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雲は島の子の嘆きを拭って(作者 佐和
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 紫陽花の花が咲き乱れるその島で、海賊達は追い詰められていた。
 最初は、追いかける側だったのだ。
 メガリスを手にしてコンキスタドールとなった者を、海賊の掟に従って殺すために。
 しかし、コンキスタドールはコンキスタドールを呼び寄せて。
 いつしか海賊達は分断され、それぞれに窮地を迎えていた。
「くそっ、何なんだあの怪物どもは」
「これじゃ、カイリを殺すどころか俺らの方が……」
「頭は無事なのか!?」
「カイリの野郎、勝手な事しやがって……」
「船に帰ることもできねぇんじゃよぉ!」
 屈強な海の猛者達にそんな悲鳴のような声を上げさせているのは。
「おいつめたぞー」
「こいつをたおしたらご飯にしような!」
「おう。もうちょっとだけがんばる!」
 八重歯のように牙を生やした、獣耳を持つあどけない子供達。
 と思いきや、その下半身は鋭い爪を持つ獅子であり、揺れる尾は蠍のように禍々しい。
 幼いながらも充分な実力を持つ、マンティコアキッズ。
「こいつをたおしたら、カイリがよろこぶんだよな」
「カイリのためにがんばる!」
「でもやっぱりご飯ほしいからがんばる!」
 無邪気に笑い、襲い掛かるマンティコアキッズが思うのは、1人の少年。
 羅針盤のメガリス『ブルーワンダー』によってコンキスタドールとなった、彼らの新たな仲間だった。

 グリードオーシャンを旅する鉄甲船『彩雲丸』の行く先に、1つの島が現れたのだと、九瀬・夏梅(白鷺は塵土の穢れを禁ぜず・f06453)は話し始めた。
「島の名前は『眞藍島』。
 サムライエンパイアから落ちて来た島のようでね。島民は羅刹ばっかりだ」
 島民の種族の偏りも特徴的だが。
 いたるところに咲く紫陽花が何よりも目を惹く島だという。
 居住区域にはもちろん、畑の周囲や山の麓などにも、いたるところに紫陽花が生え、そしてこの時期は見事な花を咲かせているのだとか。
「この眞藍島を縄張りにしている海賊団がいてね。
 そいつらは、眞藍島で『メガリスの試練』を行うのを慣例にしていたようだ」
 メガリスの試練とは、海賊が手に入れたメガリスを用いて、ユーベルコードに覚醒するために行うもの。
 もちろん、覚醒できなければ待つのは死であり、コンキスタドールへの変遷。
 ゆえに、メガリスの試練には『それを乗り越えられずにコンキスタドールとなってしまった者は、その海賊団が責任を持ってケリをつける』という掟が存在する。
 そして今回、試練は失敗して。
 掟に従い、海賊団はコンキスタドールを倒すべく向かったのだが。
 返り討ちにあってしまうと予知されたのだという。
「コンキスタドールが強大化していると言われているからね。
 これまで通りにはいかなくなった、ってことなんだが……」
 このままでは海賊団は全滅し、島民達にも被害が及んでしまう。
 そうなる前にコンキスタドールを倒して欲しいと、夏梅は言った。
 頷く猟兵達を見回していた夏梅だが、ふと、その緑色の瞳が陰りを見せる。
「……どうも、今回コンキスタドールになったのは、海賊団の一員ではない、眞藍島に住む人間の少年のようでね。勝手にメガリスを持ち出して、勝手に試練をやったらしい」
 それでも海賊団は、掟に従い、少年を追ったのだ。
 羅刹しかいない島に住む人間の少年と。
 人間を含む様々な種族が集った海賊団。
 その間に何があったのかは分からないけれども。
「海賊団を助けて、掟を果たさせてやって欲しい」
 改めて頼む夏梅に、猟兵達はまたしっかりと頷き返した。

 どうしよう。どうしよう。
 僕は勝手にやってしまった。
 そして失敗してしまった。
 このままじゃ皆に嫌われる。
 どうしよう。どうしよう。
 ただ皆と一緒にいたかっただけなのに。
 もうそれすらも叶わない。
 皆が僕を嫌いになった。
 どうしよう。どうしよう。

 もう誰も信じられない。





第3章 日常 『花は宴のためにある』

POW宴会には飯! 美味しい料理をたらふく食べる。
SPD場所取り命! 絶好のポジションを素早く確保。
WIZ芸事こそ花! 花を見ながら隠し芸を披露する。
👑5

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 掟を果たした海賊の男……マイルは、猟兵達を羅刹達が住む場所へと案内した。
 その入り口に当たる場所は、ちょっとした広場になっていて。
 紫陽花の花に囲まれたそこに、数多の料理が並べられている。
 その光景は、どこからどう見ても、宴の準備。
「仲間を殺しておいて祝うのか、と思うだろうな」
 誰も指摘はしなかったが、その気配は感じたのだろう。
 マイルは自嘲気味に苦笑して説明する。
「皆で飲んで騒いで、海里の話を語り合う。
 最期の哀しみよりも、それまでの楽しかった日々を思い出して、笑う。
 ……これが俺達の弔い方だ」
 メガリスの試練を行う時は、必ず宴を準備しているのだと。
 試練を乗り越えた者を祝うために。
 そして、乗り越えられなかった者を、笑顔で送るために。
 ここまでが彼らの『海賊のしきたり』だと、マイルは告げた。
「良ければ、混ざっていってくれ。
 料理も酒も存分に振る舞わせてもらおう」
 手伝ってくれた礼には足りんだろうが、とマイルはまた苦笑を見せる。
「ああ、賑やかなのが嫌いなら、島内を好きに回ってくれても構わない。
 どこに行っても紫陽花は見頃だ。
 料理を持ち出してもいいかもしれんな」
 言う間に、向かう先でもこちらに気付いたようで。
 羅刹達が、見覚えのある海賊達が、招くように手を振りだした。

「……ありがとう。猟兵達」