学舎に立てこもる人々は争いと死を学ぶ
#アポカリプスヘル
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●覇王は強者を待つ
アポカリプスヘルの一角に、かつては学校だった建物がある。
もっとも、今は学校などではない。入り口という入り口に机を利用したバリケードを作り上げ、無数の窓はすべて板を打ち付けて守りを固めた堅牢な要塞だ。
建物を臨む丘の上には、1人の女が立っていた。
「学舎か……フッ、戦い方は教えているのやら」
白の衣装に身を包んだ彼女は腕組みをして、悠然と建物を見下ろしている。
周囲には無数のロボット犬たちがいて、激しく尻尾を振っていた。
「――待て」
今にも建物に向かって駆け出そうとしている犬たちを、女は片手をあげて制した。
「おすわりをするがいい、シベリーたちよ」
覇王の風格を漂わせ、女はロボット犬たちに告げる。
一糸乱れぬ動きで、ロボット犬のシベリーたちは女の周りに整列しておすわりをする。
「焦ることはない。慕うべき価値がある者がいるならば、すぐにここまで来る。この十字皇ジュリアと戦うためにな」
不敵な表情でジュリアは言った。
「ここまで来ずに全滅するやもしれぬが……あの弱き男にさえ勝てぬようなら、もとよりこのジュリアが戦うに値する敵ではなかったということよ。そうだろう、シベリー?」
尻尾を振るロボット犬たちに語りかけるジュリアの体から、激しい闘気が吹き上がっていた。
●憂いの拳士
ジュリアたちが見据える学校内では、オブリビオンの襲来を防ぐために人々が忙しく働いていた。
大人たちの間を、かつては制服だったであろう古着を着た子供たちが走り回って、できる限り手伝っているようだった。
そんな彼らを見て、黒い肌の男は大きく息を吐いた。
「守るべき子供たちのために、別の子供たちを殺めねばならんか。いったい……私はなにをしているのだろうな」
筋肉は固く盛り上がり、男が手練れの格闘家であることは誰の目にも明らかだ。
もっとも、彼がオブリビオンであることまでは、まだ誰も気づいてはいない。
潜んでいるオブリビオンには気づかぬまま、人々は建物を守るために奔走している。
「……だが、力なき者が死ぬのは世の習い。この天敗星のダイバ、守るべき者のために鬼となろう」
拳を固めて、ダイバは建物の入り口へと向かう。その体には、後悔と自責を形にしたようなオーラがまとわりついていた。
オーラを用いた技がバリケードを打ち砕き、人々を勝ち目のない戦いに追いやるまで、もうわずかな時間しかなかった。
●グリモア猟兵の依頼
事件を予知したと、白金・伶奈(プラチナの先導者・f05249)はグリモアベースに集まっていた猟兵たちに告げた。
「アポカリプスヘルで一般人の拠点となっている学校が、オブリビオンによって崩壊するようです」
学校とは言っても、実際に学業が行われているわけではない。
ただ、建物が頑丈だから拠点として利用されているだけだ。子供もいるが、教育されているのは生きるための技術だけだった。
「そんな拠点に十字皇ジュリアというオブリビオンが襲撃をしかけます」
世紀末覇王を名乗る彼女は、魔闘気をまとい極天十字拳と呼ばれる技を用いる強力な拳士だ。
生きることは戦いで、戦わぬ者には死あるのみ。それがジュリアの思想だ。
ある意味で黙示録の世界にふさわしい人物とも言える。
「彼女はロボット犬『シベリー』の群れを引き連れて拠点に向かっています」
シベリーは、かつては愛玩用のロボット犬だった。いや、今も愛玩用であることに変わりはない。
ただ、暴走したシベリーたちの愛情表現は、人をたやすく死に追いやるだろう。
「拠点には戦闘ができる人もいますし、入り口にはバリケードが築かれています……が、残念ながらこの拠点は長くはもちません」
バリケードを頼りに戦えば、時間を稼ぐことくらいはできたはずだ。その間に逃げる算段をすることも可能だっただろう。
「ですが、拠点内にもすでにオブリビオンが入り込んでおり、バリケードを内側から破壊してしまうのです」
侵入しているオブリビオンは『拳帝軍』の1人、天敗星のダイバ。
自分の土地に住む子供たちの安全と引き換えに侵略に荷担する男だ。
「もちろん、誰かを守ることを言い訳にして、虐殺に荷担する彼の行動を見過ごすことはできません」
そもそもオブリビオンである彼の子供たちが、今も存在しているかどうかさえわからないのだ。
ダイバは自らの憂いと絶望を具現化したオーラを用いて、高い戦闘能力を発揮する。
「まずは拠点内に転移して、彼を止めなければなりません」
そして、ダイバを倒したら次は外にいるシベリーの群れとジュリアだ。
拠点内には、戦闘能力を持つ戦車乗りが1人とサバイバルガンナーが数人いる。彼らをうまく指揮することができれば、シベリーとの戦いを有利に進めることができるだろう。
「もっとも、彼らの実力はジュリアやダイバと戦えるほどではありませんのでご注意ください。2人と戦えるのは猟兵の皆様だけです」
伶奈は言った。
「本来なら学びの場である学校を、墓場にしてしまうオブリビオンを見過ごすわけにはいきません。どうか、皆様の力を貸してください」
そう言って、伶奈は猟兵たちに頭を下げた。
青葉桂都
おはようございます、青葉桂都(あおば・けいと)です。
今回はアポカリプスヘルで人々の拠点となっている学校を守っていただきます。
●拠点
かつては学校だったと思われる頑丈で大きな建物です。
現在はもちろん学校として使われることはなく、オブリビオン・ストームを生き延びた大人や子供が共同生活を送っています。
●『拳帝軍』天敗星のダイバ
第1章のボス戦で戦うオブリビオンです。
味方を装って拠点内に入り込み、拠点に築かれたバリケードを内側から破壊しようとしています。
皆さんはまず拠点内に転移して、ダイバを倒していただくことになります。
●暴走ロボット犬『シベリー』
第2章の集団戦で戦う敵で、拠点を狙うロボット犬の群れです。
かつては愛玩用のペットロボットでしたが、現在は暴走しており、遊びを求めて人に襲いかかるようになっています。
●十字皇ジュリア
第3章のボス戦で戦うオブリビオンです。
生きることは戦いだという思想をもった拳士です。
シベリーの群れを率いて拠点を襲撃しようとしています。
●その他
第2章と第3章では、冒頭に状況説明のための短いリプレイを追加する予定です。
ただ、フラグメントは公開されていますので、それを待たずにプレイングをかけてくださっても問題ありません。
それでは、ご参加いただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『『拳帝軍』天敗星のダイバ』
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POW : お前たちは私のようには成るな
全身を【己が精神を具現化したオーラ】で覆い、自身が敵から受けた【影響】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
SPD : お前たちはこの末法の世界をどう思う
質問と共に【具現化したオーラによる拳】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
WIZ : この世界を救う救世主とはどのようなものだろうか
対象への質問と共に、【己が精神が具現化したオーラ】から【執着心の鎖】を召喚する。満足な答えを得るまで、執着心の鎖は対象を【自他を苛む後悔の念】で攻撃する。
イラスト:黒江モノ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「フローラ・ソイレント」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アリス・フォーサイス
荒廃した学校か。これはあれだね。UDCアースの男の子が転生してきて無双するやつだ。
まあ、一般人を本当に転生させるわけにはいけないし、妄想思念の実体化で我慢するか。
荒廃した学校を見て戸惑ってるみたいだね。いい反応。ねえ、キミ、戸惑ってる場合じゃないよ。敵が来るからね。
あ、武器?そのままでもいける気はするけど、そうだな。そこらへんに落ちてたこの檜の棒を使ったら?言わないけど、ぼくの魔力で強化済みだよ。
さあ、ダイバくん。これが救世主だよ。
宇宙空間対応型・普通乗用車
この末法の世界をどう思うかだぁ?
オレら機械にとっちゃ最高に助け甲斐のある素晴らしい職場だなぁ!
この学校の連中も、アンタの土地のガキどもも、
まとめて助けて機械の有用性ってやつを証明してやんぜぇ!
で、なんだっけ、アンタは憂いと絶望で戦うんだっけ?
つまり弱点は喜びと希望ってことだなぁ!
分かったところで【ガジェットショータイム】!
このめっちゃ明るい気分になる洗脳音波発生装置
(という名の音楽プレーヤー)で、あっさり無力化してやるぜぇ!
どうだ!これで手も足も出…
えっ、普通に殴っても強いって?
えーっとその…こ、拳で車に勝てると思うなオラァ!
轢き逃げアタックでその自慢の拳をへし折ってやるぜぇ!
●救世主を求めて
アポカリプスヘルの一角に存在する学校。
もはやこの建物は学校として利用されてはいないかったが、名残はある。
「荒廃した学校か。これはあれだね。UDCアースの男の子が転生してきて無双するやつだ」
建物内をながめながら呟いたのは、アリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)だった。
お話を好む情報妖精は、この空間から想起される物語を想像し始める。
「まあ、一般人を本当に転生させるわけにはいけないし、妄想思念の実体化で我慢するか」
荒廃した世界に、アリスは妄想思念を降らせる。
少女が想像した世界がこの地に実体化する。
『こ、ここは一体? 俺はどうしてこんな場所に……?』
妄想思念が実体化した少年は、アリスが想像した物語の通りに戸惑った様子を見せる。
「荒廃した学校を見て戸惑ってるみたいだね。いい反応。ねえ、キミ、戸惑ってる場合じゃないよ。敵が来るからね」
自ら作り出した存在へと、アリスは語りかけた。
『敵……よくわからないけど……。でも、そいつをぶっ殺さなきゃいけないんですね』
物憂げな表情で、彼は応じる。
『なにか……武器はないんですか? 大砲とか、核ミサイルのスイッチとか……』
「あ、武器? そのままでもいける気はするけど、そうだな。そこらへんに落ちてたこの檜の棒を使ったら?」
言われるまま、彼は棒を握る。
口には出さないが、それはアリスの魔力で強化した棒だった。
天敗星のダイバが動き出す。
目立たないようにゆっくりと、バリケードを破壊するために歩いていく。
「あいつが敵だ。君が戦わなきゃ、ここにいる人たちは全滅だ」
拳を固めて進むダイバを指さしてアリスは告げた。
「誰か教えてくれ……この世界を救う救世主とはどのようなものなのか」
そんな言葉を呟きながら、ダイバはバリケードの前で構える。
『やめろっ!』
制止した少年に対して、ダイバが物憂げな瞳を向けた。
「さあ、ダイバくん。これが救世主だよ」
アリスが想像した救世主と、オブリビオンの戦いがはじまった。
とはいえ、ユーベルコードで作り出した存在では、有力なオブリビオンに勝つことは難しい。
「教えてくれ……この世界を救う救世主とは、なんだ?」
執着心の鎖が絡みつき、妄想で作られた救世主を縛り上げる。
少年が膝をつこうとした、その瞬間だった。
高らかにセダンの排気音が鳴り響く。
「そこまでだぜ!」
廊下を駆け抜けて、宇宙空間対応型・普通乗用車(スペースセダン・f27614)がダイバへと突撃していく。
オブリビオンはとっさに跳躍し、その攻撃を回避した。
「――誰も乗っていないだと?」
「乗り心地は保証するがね。あんたを倒した後、外の奴のとこに行くときには体験してもらうさ」
車型のウォーマシンは不敵な声を発する。
「お前も猟兵か。ならば聞かせてくれ――お前たちはこの末法の世界をどう思う」
拳にオーラを集めて、ダイバは問う。
「どう思うかだぁ? オレら機械にとっちゃ最高に助け甲斐のある素晴らしい職場だなぁ!」
飛んできた拳型のオーラを、ドリフト走行で普通乗用車は回避する。
「この学校の連中も、アンタの土地のガキどもも、まとめて助けて機械の有用性ってやつを証明してやんぜぇ!」
ボロボロの校舎内を普通乗用車が駆け抜ける。
跳躍したダイバは電灯につかまって彼の動きを再び避けた。
「で、なんだっけ、アンタは憂いと絶望で戦うんだっけ? つまり弱点は喜びと希望ってことだなぁ!」
普通乗用車がガジェットを召喚する。
「このめっちゃ明るい気分になる洗脳音波発生装置で、あっさり無力化してやるぜぇ!」
たいそうな名前がついているが、それはただの音楽プレイヤーだ。だが、プレイヤーはこの上なく明るい調べを周囲に響き渡らせる。
「くっ……こんな曲を……あの子たちに聞かせてやりたかった……」
それでもダイバは膝をつき、苦悩し始めた。
「どうだ! これで手も足も出……」
「だが、それでも私は負けるわけにはいかんのだ!」
普通乗用車のフロントガラスに向けて拳を放ち、大きなヒビを入れる。
「えっ、普通に殴っても強いって?」
追撃と第2の拳がボンネットを狙ってくる……が、それは妄想思念で作られた少年が持つ棒が受け止めてくれた。
『だ、大丈夫ですか?』
「た、助かったぜ……。えーっとその……こ、拳で車に勝てると思うなオラァ! 轢き逃げアタックでその自慢の拳をへし折ってやるぜぇ!」
少年を乗せて普通乗用車はダイバへと向かう。
黒い肌のオブリビオンは、轢き逃げアタックで吹き飛ぶ。
だが、轢かれたダメージはあってもダイバは倒れない。
戦いはまだ、始まったばかりだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
白峰・歌音
他の子を犠牲にする守り方は、必要なら守っていた子すら犠牲を躊躇わなくなる!そんな道理、オレは絶対に認めない!!
「未来ある者の犠牲を躊躇わない偽りの守護者!マギステック・カノンが歪んだ道理を破壊してやるぜ!!」
相手の攻撃を【第六感】で【見切り】【ダッシュ】【ジャンプ】で躱して【手を繋(ぐ)】いで躱しにくい形から【カウンター】のUCを思いっきり叩き込むのを狙うぜ!
敵UCでダメージを受けても
「末法?まだ終わりじゃない!絶望に満ちているとしても、希望は必ずここにあるんだ!これが間違った答えだというなら、その答えを覆してやる!」
と、オレの道理の【情熱】とそれを貫く【覚悟】で耐えぬく!
アドリブ・共闘OK
木霊・ウタ
心情
人質をとって手駒にするなんて
十字皇ってのはヤな奴だぜ
後で報いは受けてもらうけど
まずはダイバを止めてやらなきゃな
戦闘
ダイバは拳帝軍だ!
俺達に任せて離れてくれ
人々へ知らせつつ
バリケード死守
火壁を張りつつ武器受けで防御
人々や仲間は庇う
獄炎纏う焔摩天で薙ぎ払う
ダイバ
力なき者が死ぬは世の習いってんなら
何であんたは子供達を守ろうとする?
未来は命の重みだ
命を守れず
どうして未来を創れるんだ
いい加減目を覚ませ
あんたの子供達を救う為
俺達が手を貸すぜ
信じてくれ
降伏してくれるといいけど…
そうでなくても心に迷いや後悔が生まれれば
オーラや「影響」は弱くなるよな
畳みかけて剣で語るぜ
事後
鎮魂曲を奏でる
骸の海で安らかにな
●犠牲は認めない
他の猟兵たちも、次々に校舎内へと転移してきていた。
木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)は突然始まった戦いに戸惑っている人々へ向けて、叫んだ。
「ダイバは拳帝軍だ! 俺達に任せて離れてくれ」
少年の言葉を聞いて、一般人たちが慌てて離れていった。
戦闘能力を持つ者たちは、とっさにその人々をかばっているようだ。
隙を見て再びバリケードに向かおうとしていたダイバの進路を、炎の壁が阻む。
ウタは自らの腕を切り裂いて、噴出する地獄の炎で行く手をふさいだのだ。
「お前も――猟兵か」
「そうだ。お前を止めに来た」
焔摩天の梵字を刻んだ巨大剣に炎をまとわせ、彼はオブリビオンと対峙する。
「いいだろう。だが、私は負けるわけにはいかないのだ」
さらになにか言いかけた言葉を、ダイバは飲み込んだ。『子供たちのために』と……そう言おうとしたのだと、猟兵たちの誰もが理解する。
(「人質をとって手駒にするなんて、十字皇ってのはヤな奴だぜ。後で報いは受けてもらうけどまずはダイバを止めてやらなきゃな」)
ウタは心の中で呟いた。
彼はもちろん、ダイバの行動を良しとする者は、猟兵たちの中には1人もいない。
青いポニーテールと大きな胸を揺らし、ダイバの前に降り立った少女もそうだった。
「他の子を犠牲にする守り方は、必要なら守っていた子すら犠牲を躊躇わなくなる! そんな道理、オレは絶対に認めない!!」
白峰・歌音(彷徨う渡り鳥のカノン・f23843)の輝く瞳は、ダイバの絶望に濁った眼をまっすぐに見つめていた。
「未来ある者の犠牲を躊躇わない偽りの守護者! マギステック・カノンが歪んだ道理を破壊してやるぜ!!」
「ふ――この世界を歪んだ道理と言い切るか。若いな」
ウタを牽制しつつ、ダイバは歌音へ拳を向ける。
「ならば教えてもらおう。お前は……この末法の世界をどう思う?」
問いとともにオーラの拳が歌音を追いかけてくる。
「末法? まだ終わりじゃない! 絶望に満ちているとしても、希望は必ずここにあるんだ!」
応じた歌音の体をオーラの拳がさいなむ。彼女の答えは正しい答えではないと、ダイバはそう考えているのだ。
だが、誤りを認めるわけにはいかない。少女は覚悟と情熱で傷ついた体を動かした。
「これが間違った答えだというなら、その答えを覆してやる!」
床を砕いて歌音が跳ぶ。
「恐怖、哀しみ、絶望……全部吹き飛ばす風になってやるぜ!」
暴風を守る回し蹴りがダイバを吹き飛ばす。
オブリビオンは壁に激突し、砕け散る。
けれど――瓦礫の中からオブリビオンはなお立ち上がってきた。
傷つきながらも敵は濁った目を猟兵たちに向けてくる。
「強い心に満ちているな……。猟兵たち、お前たちは……私のようにはなるなよ」
「そんな言い方、しないでくれよ! 力なき者が死ぬは世の習いってんなら、何であんたは子供達を守ろうとする?」
オーラをまとうダイバに対して、ウタが叫んだ。
「未来は命の重みだ。命を守れず、どうして未来を創れるんだ。いい加減目を覚ませ! あんたの子供達を救う為、俺達が手を貸すぜ。信じてくれ」
降伏して欲しい。そんな願いを込めて、少年はダイバに語りかける。
だが、ウタの願いは通じなかった。
「眩しいな、その情熱……だが、残念ながら私はもう手を引くわけにはいかんのだ。私は……引き返すには手を汚しすぎた」
ダイバは言った。
オーラが弱くなっているか、見た目ではわからない。
けれど説得が無駄でなかったことを信じて、ウタは焔摩天を構えて断罪の炎をダイバへ向かって放つ。
歌音も紫と紅のオーラを身にまとって、ダイバとの戦いに再び加わる。
戦う意志に呼応して戦闘力を増幅するオーラと炎まとう剣の連携、そして他の猟兵たちが放つ攻撃によって、ダイバの体には次々に傷がついていく。
強大なオブリビオンも、徐々に動きが鈍っているようだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
メルフローレ・カノン
目前のオブリビオンにも守るべきものや矜持があるようですが……
この拠点とここにいる人々を守るのが今の私の目的です。
互いに勝ちを譲るつもりがないなら、
変に言葉を重ねるより、全力でぶつかり合いましょうか。
そのほうが、彼の思いにこたえることになるのでしょうか?
それでは……全力で行きますよ!
私の得物はメインがメイス、サブが剣で、
[怪力][力溜め]の上で、
[2回攻撃][武器受け][オーラ防御]【無敵城塞】をもって
相手に正面からぶつかりましょう。
私が押し切れればそれでよし、そうでなくても注意を引き付け、
他の猟兵の攻撃につなげるのもありでしょう。
敵が隙を見せるようなら、[傷口をえぐる][マヒ攻撃]で攻めます。
●ただ、ぶつかり合うのみ
猟兵たちの攻撃で深く傷つきながらも、ダイバは退こうとはしなかった。
オブリビオンと化してなお、彼は子供たちを守るために命をかけているのだ。そのための行動が正しいかどうかは、ともかくとして。
「目前のオブリビオンにも守るべきものや矜持があるようですが……この拠点とここにいる人々を守るのが今の私の目的です」
メルフローレ・カノン(世界とみんなを守る……かもしれないお助けシスター・f03056)がそんな敵に対してできることは、全力でぶつかることだけだった。
右手にはメイス、左手にグラディウスを構えてダイバの前へ彼女は立ちはだかる。
「互いに勝ちを譲るつもりがないなら、変に言葉を重ねるより、全力でぶつかり合いましょうか。そのほうが、彼の思いにこたえることになるのでしょうか?」
素早く身構える黒い肌の拳士と対峙して、メルフローレは口の中で呟く。
大きく息を吸い、発した言葉はいつも通りまっすぐなものだった。
「それでは……全力で行きますよ!」
メイスの一撃をダイバの太い腕が素早く受け流す。返す剣の攻撃はオブリビオンの体をとらえた――が、固い筋肉についた傷は決して深くはない。
それでも、これまでにも傷ついていた敵は苦しげな表情を浮かべた。
「良い目をしているな、少女よ。だが、それでも私は負けるわけにはいかない。もしこの戦いを生き延びることができれば……」
負のオーラがダイバの全身を包み込む。
「お前は、私のようにはなるな」
オーラによって強化された動きでダイバの拳がメルフローレの腹部をしたたかに打つ。
生命力が吸い取られていくのを感じる……が、次いで繰り出された蹴りはメルフローレを傷つけることができなかった。
「あなたのその言葉は、胸に刻んでおきます」
超防御モードに入って攻撃を防いだメルフローレは、ダイバの言葉もまた肯定も否定もせず受け止めただけだった。
なすべきことはただ正面からぶつかるのみ。
もはや残り少ない命で最後まで戦おうとするダイバの体術と、メルフローレの力強いメイスと剣が、火花を散らす勢いで激突を繰り返す。
注意を引きつけている間に他の猟兵たちもオブリビオンへと攻撃を加えている。
もはや、決着は目前に迫っていた。
成功
🔵🔵🔴
ケルスティン・フレデリクション
きゅうせいしゅ、なんてわからないの。
でも、だれかをたすけたい、まもりたいっておもうきもちがとうといの。
思いが力になり、それが世界を救う力になる。
わたしは、みんなをまもりたい、たすけたいっておもうよ。
だから、たたかうの。
あなたは、そうじゃなかったの?
こうかいはあるよ。でも、それがあるからまえへとすすめるの
いたいきもちを、こころにかかえて、たたかってゆけるの
だから、がまんできるよ
【ひかりのしらべ】をあなたに。この光は世界を照らす、みちびきのひかり
あなたもきっと、すくってみせる
●光が導く未来
オブリビオン、『天敗星の』ダイバは、今や倒れる寸前だった。
それでも立っているのは、彼が守ろうとしている『子供たち』のためなのか。
もっとも、過去の存在である彼の『子供たち』がまだ存在しているのかどうかすら、定かではなかったが。
次いで前に立った猟兵の姿を見て、ダイバは大きく目を見開いた。
「子供か……!」
薄紫のドレスを着た少女は、拳士の顔を静かに見上げる。
「いや、無垢なる子供ならばこそ、たどり着ける真理もあるかもしれんな。お前も猟兵ならば答えてくれ。救世主とはいったいなんなのか――!」
絞り出すような問いとともに、執着の鎖が少女へと絡みつく。
「きゅうせいしゅ、なんてわからないの。でも、だれかをたすけたい、まもりたいっておもうきもちがとうといの」
ケルスティン・フレデリクション(始まりノオト・f23272)は、まだまだ舌足らずな声で、ダイバへと語りかけた。
思いが力になり、それがやがて世界を救う力にまで変わる。
引っ込み思案で人見知りな彼女だけれど、それでも己の中にある思いを言葉にする。
「わたしは、みんなをまもりたい、たすけたいっておもうよ。だから、たたかうの。あなたは、そうじゃなかったの?」
「ああ、そうだとも。――だが、力及ばぬ私が、守るべきものを守るには、強き者の意に従うしかなかった」
ダイバの後悔が鎖を通じてケルスティンへと流れ込み、締め上げる。
けれど、少女は折れはしない。
「こうかいはあるよ。でも、それがあるからまえへとすすめるの。いたいきもちを、こころにかかえて、たたかってゆけるの。だから、がまんできるよ」
鎖が緩む。
オブリビオンが力尽きようとしている。
小さな指先を、ケルスティンはダイバへとむけた。
「ひかりのしらべをあなたに。この光は世界を照らす、みちびきのひかり」
建物の天井を貫いて、光がダイバへと降り注ぐ。
「あなたもきっと、すくってみせる」
光の中でオブリビオンが見せた表情は、どこか穏やかなものだった。
「ならば――いつかこの末法の世界を救ってくれ、猟兵たちよ。その時こそ……私もきっと、救われる」
そして、ダイバは骸の海へと還っていく。
もはや彼の苦悩が、今存在する世界を侵食することはない。……再び過去が染み出す時までは、だが。
校舎を利用した生存者たちの『拠点』はとりあえずのところ守られた。
けれど、まだ危険が完全に去ったわけではないことを猟兵たちは知っている。次なる敵は、建物の外にいるはずだ。
成功
🔵🔵🔴
第2章 集団戦
『暴走ロボット犬『シベリー』』
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POW : 行動プログラム:甘噛み
【激しい噛みつき】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【習性と味のデータ】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD : 行動プログラム:お迎え
【助走をつけて放つタックル】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
WIZ : 行動プログラム:遠吠え
【激しい咆哮】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
イラスト:すねいる
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●愛は勝ち取るもの
『天敗星の』ダイバを打ち倒した猟兵たちは、学校の入り口に築かれたバリケードの一部を避けて外へ出た。
建物の周囲は廃墟と化している。
そして、近くにある荒れ果てた丘の上に、オブリビオンの姿があった。
「来たぞ、シベリーたち。あれこそが強者たちだ。お前たちが愛する価値がある者たちだ」
両腕を大きく広げて、十字皇ジュリアはよく通る声を発した。
「さあ、行くがいい。愛は与えられるものではない。勝ち取るものだ。お前たちの力を示し、愛を奪い取るがいい!」
おすわりをしていたロボット犬たちが、一斉に立ち上がった。
そして、激しく尻尾を振りながら丘を駆け下りてくる。
耳に痛いほどの吠え声を発し、弾丸のごとき勢いで近づいてくる犬たちの群れは、愛玩用ペットロボットにはとても見えない。
暴走した犬たちがプログラムの通りに甘えようとするその動きが、人を害する攻撃となってしまうのだ。
「なにか手伝えることがあれば言ってくれ。いくらあんたたちが強くても、あの数を防ぐのはきついだろう」
戦車を駆る戦士が猟兵たちに声をかけてくる。拠点に元からいた、猟兵ではない男だ。
彼の周りではサバイバルガンナーたちがそれぞれの銃を構えていた。
シベリーたちの数は多いが、ダイバほど強そうには見えない。彼らにうまく指示して協力できれば、有利に戦うこともできるだろう。
いずれにしても、敵は猛烈な勢いで接近してきている。戦いは、今にも始まろうとしていた。
木霊・ウタ
心情
暴走し十字皇の配下とは可哀そうに
元へ戻してやれないのが悔しいけど
せめて海へ送ってやるぜ
戦闘
ガンナーと戦車に後方から援護射撃を依頼
俺たちを突破してくる敵の撃破を優先に
これでちょい安心だぜ
お前らにとっちゃ遊びのつもりなのかもな
せめてもの手向けだ
思いっきり遊ぼうぜ
攻撃し注意をひきつける
学校へ向かおうとする敵を優先的に
獄炎纏う焔摩天で薙ぎ払う
剣風を炎の嵐とす
刃で砕く他
誘爆させたり
溶かしたり
熱で動作不良を起こさせる
炎の壁を展開し武器受け
仲間も庇う
噛まれても
傷からの炎が
口腔内から体内へ燃え広がったり
火達磨にしたり
データの活かしようがないだろ?
事後
鎮魂曲を奏でる
骸の海でご主人と沢山遊べるぜ、きっと
ケルスティン・フレデリクション
…いぬさん…なんで、こんなことしちゃうの…
こんな…戦いに利用するなんてこと…だめなのに…
…せんしさん、わたしが、たてをつくって、ぜんぶのこうげきをうけとめるから。そのあいだに、こうげきをしてくれる…?
【ひかりのまもり】を使って、すべての攻撃を防御するよ
これはみんなをまもる、むてきのたて。
戦士さんの攻撃が終わって、敵がまだ残っているようなら
鳥型の氷の精霊ルルにお願いして、お手伝いしてもらうね
【属性攻撃】【範囲攻撃】【全力魔法】で氷の雨を降らせるよ
かわいそうだけど、…だからこそ、もうたたかいにつかわれることのないように…
来世はきっと、しあわせになりますように。【祈り】
●強すぎる愛から校舎を守れ!
丘の上から駆け下りてくるロボット犬たちを見て、ケルスティンは幼い顔に悲しげな表情を浮かべた。
「……いぬさん……なんで、こんなことしちゃうの……。こんな……戦いに利用するなんてこと……だめなのに……」
少女の隣で、ウタもシベリーたちを見上げて、彼女の言葉にうなづく。
「暴走し十字皇の配下とは可哀そうに。元へ戻してやれないのが悔しいけど、せめて海へ送ってやるぜ」
凶悪な面構えをしたロボット犬たちは、近づいてくる間ひたすら尻尾を振っていた。
プログラムされているのは、確かに親愛の表現なのだろう。けれど、その突進の速度は明らかに危険なものだ。
「……せんしさん、わたしが、たてをつくって、ぜんぶのこうげきをうけとめるから。そのあいだに、こうげきをしてくれる……?」
「ああ、わかったぜ。任せてくれ」
ケルスティンに声をかけられて、戦車の中から声が応じた。
「そうだな。俺たちを突破してくる敵の撃破を優先して、援護射撃してくれると助かる」
ウタが巨大な梵字を刻んだ剣を構え直すと、ガンナーたちが銃を構えた。
「これでちょい安心だぜ。さあ、行くぜ!」
駆け下りてくる犬たちに向かって、少年が駆けだしていく。
そんな彼に、先頭を切って突っ込んできたシベリーが噛みついてきた。
本来なら痛くないようにデザインされていたであろうロボット犬の牙は暴走した今となっては容赦なく少年の体に強く食い込んだ。
「お前らにとっちゃ遊びのつもりなのかもな。せめてもの手向けだ。思いっきり遊ぼうぜ」
その傷から炎が噴き出して、ロボット犬は思わず飛びのいた。
「これじゃ、データの活かしようがないだろ?」
語りかけながら、彼は犬たちへ攻撃した。ただし、狙うのは彼自身へと襲いかかってきた相手ではない。
傷口から噴き出した獄炎をまとった剣を振り上げて、ウタは無数の犬たちの中から、校舎を目指しているものを狙って得物を薙ぎ払う。
剣風が炎の嵐と化し、ロボット犬たちを撫でていく。炎上する犬が爆発する。
炎は壁となってシベリーたちの進撃を阻もうとする――が、それでもオブリビオンと化したロボット犬たちは校舎を目指していた。
ウタよりいくらか後方にいた少女にも、ロボット犬は容赦なく甘噛みしようとする。
攻撃が命中する寸前、ケルスティンの体が輝きを発した。
「きらめき、まもって!」
光の壁を創造し、少女はロボット犬の攻撃を防ぐ。
「これはみんなをまもる、むてきのたて」
無敵だと彼女が信じる限り、決して貫くことができない盾だ。
そして、哀れなロボットたちの姿は少女の信念を強くしこそすれ、くじくことはない。
戦車乗りとガンナーたちによる援護射撃が、校舎に近い敵から順にシベリーたちを撃ち抜いていく。
「ルル、あなたも手伝ってね」
白くてふくふくした姿を持つ鳥型の精霊へとケルスティンは呼びかけた。
氷の精霊である鳥は氷の雨を降らせてシベリーたちを攻撃する。
ケルスティンが光の壁で守る中、ウタの炎と戦士たちの銃、ルルの氷が数えきれないほどいるシベリーたちを確実に阻んでいた。
「戦いが終わったら、鎮魂曲を奏でてやるからな。骸の海でご主人と沢山遊べるぜ、きっと」
炎を発しながらウタが呟く。
「かわいそうだけど、……だからこそ、もうたたかいにつかわれることのないように……来世はきっと、しあわせになりますように」
ケルスティンもまた、倒れていく犬たちのために祈りの言葉を捧げた。
シベリーたちの数が少しずつ減っていく……とはいえ、オブリビオンたちの群れは、まだまだ数えきれないほど残っていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アリス・フォーサイス
救世主『俺より強い超能力ヒーローみたいのがいっぱいいるのに、俺が戦う必要、あるんですか?』
アリス「意味はキミが考えることだよ。」
それじゃあ、今度はぼくの出番かな。
ロボット犬はじゃれてるつもりなんだよね?なら、避けるわけにはいかないね。わざと左腕を噛まれるよ。
いたた。よしよし。
頭を撫でるように電流を流してICチップをショートさせるよ。
遊んでほしいワンちゃんがいっぱいいるね。いいよ。遊んであげる。
宇宙空間対応型・普通乗用車
なにか手伝えることがあれば言ってくれだぁ…?
逆だバカ!オレは乗用車だぞ!
オレが足になってアンタらの銃撃戦を手伝うんだよぉ!
そんなわけで【限定的ワープ走行】でガンナーの元へ颯爽と参上!
そのまま元気そうなヤツを誘拐し、敵陣に向けて颯爽と突撃!
回避と移動はオレの方で受け持ちつつ窓を開放し、
ガンナーたちに自慢の銃を好き放題ぶっ放してもらうぜ!
ちぃと粗っぽいが、爽快感あふれるドライブへご招待だヒャッハー!
立ちふさがる犬コロは適当に跳ね飛ばしつつ、
敵陣に銃弾の雨をお届けしてやんぜぇ!
何がロボット犬だ!
体当たりで犬が車に勝てると思うんじゃねぇぞオラァ!
●戦場の物語
猟兵たちの後方から射撃するガンナーたちが、猟兵たちに叫ぶ。
「他のみんなも、俺たちに手伝えることならなんでも言ってくれよ!」
しかし、その言葉を聞いた普通乗用車は、まるで文句を言うように大きなエンジン音を立てていた。
「なにか手伝えることがあれば言ってくれだぁ……? 逆だバカ! オレは乗用車だぞ! オレが足になってアンタらの銃撃戦を手伝うんだよぉ!」
一気に加速した普通乗用車が、姿を消した。
次の瞬間、彼はガンナーの1人のそばへと出現していた。
「亜空間フィールド発生装置起動! 限定的ワープ走行! いくぜオラァ!」
「へ?」
問答無用でスペースセダンに乗せられたガンナーが不思議そうな声を出す。
彼の疑問を無視して、普通乗用車はシベリーたちの群れへと突撃してく。
颯爽と突っ込んでいくスペースセダンを、1人の少年が見送っていた。
「俺より強い超能力ヒーローみたいのがいっぱいいるのに、俺が戦う必要、あるんですか?」
アリスによって召喚された『救世主』は猟兵たちの活躍をながめて、問いかける。
「意味はキミが考えることだよ」
首をかしげて、それでも戦いに加わっている彼を残して、アリスは弾幕をくぐりぬけて近づいてくるロボット犬太たちを見やる。
「それじゃあ、今度はぼくの出番かな」
悩みながらも戦う主人公を背に、アリスはシベリーたちの前に進み出る。
「ロボット犬はじゃれてるつもりなんだよね? なら、避けるわけにはいかないね」
甘噛み……というプログラムに従って牙を突き立てようとするシベリーに対して、アリスは左腕を突き出す。
尻尾を振りながら……しかし、危険なほどの勢いで、シベリーは彼女の腕に噛みついてくる。それをアリスはわざと受け止めた。
そうしたほうが、より物語が美味しくなる。
「いたた。よしよし」
噛みついてきたシベリーの頭をなでてやると、凶悪な顔をした犬ロボットは目を輝かせて牙をさらに突き立てる。甘えているのだ。
けれども、甘えていられる時間は長くない。
情報妖精であるアリスは、撫でたその手から電流をシベリーの頭に流し込む。
一瞬、犬の体が跳ねて――ショートしたロボットはもう動かなくなった。
その間にも、普通乗用車がガンナーを乗せて戦場を駆け巡っている。
「爽快感あふれるドライブへご招待だヒャッハー!」
銃弾の雨を降らせる彼に、シベリーたちが突撃していく。
「何がロボット犬だ! 体当たりで犬が車に勝てると思うんじゃねぇぞオラァ!」
車体をへこまされながらも、普通乗用車は逆にシベリーたちを吹き飛ばしている。
「俺たちの住処には絶対近づかせないぞ、コラァ!」
乗せられているガンナーもだんだんと調子づいてきたようだ。
銃弾をばらまき、シベリーたちを撃ち抜いている。
「ただ人間がヒーローになるのも、悪くない物語だね……できれば、ゆっくり見てたいところなんだけど」
アリスが周囲を見回すと、走り回る普通乗用車と弾の雨をくぐりぬけたシベリーたちが猛烈に彼女へと突進してくる。
「遊んでほしいワンちゃんがいっぱいいるね。いいよ。遊んであげる」
召喚した救世主が、とっさに棒をかまえてアリスのフォローに入ってくれた。
襲い来るシベリーたちを、アリスは1体ずつ電流で破壊し始める。
暴走するロボット犬たちは、その数を確実に減らしていった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
白峰・歌音
戦車の兄ちゃんたち、ありがとー!!ここの拠点にいるみんな、絶対守り抜こうぜー!!
「間違って躾けられた暴走犬!マギステック・カノンがオシオキしてもう一度躾けなおしてやるぜ!!」
敵の動きを先読みして倒さなきゃいけない所から迎撃し、拠点を守るぜ!
拠点の人にオレがUC発動するまでの牽制射撃をお願いして、まずはUCのそよ風の領域の展開に集中。展開できたら、敵の動きをUCでの先読みを元にして【見切り】、格闘インファイトでの【カウンター】や遠距離は風の【属性攻撃】と使い分けて迎撃していくぜ!
アドリブ・共闘OK
メルフローレ・カノン
次は迫ってくるロボット犬を殲滅ですね。
数は多いですが機械に遅れを取らないようにしましょう。
それでは……全力で行きますよ!
私も迫りくるロボット犬を食い止めましょう。
人に甘えてくるなら、私に迫ってくるかと。
その間に、拠点の戦士の皆さんは
弾幕で敵を足止めしてもらえば
敵の侵攻を止められるでしょうか。
私の得物はメインがメイス、サブが剣です。
[力溜め][2回攻撃][なぎ払い]それに【神の無限なる聖剣】で
多くの敵を薙ぎ払います。
「神よ、その奇跡の刃を、私にお貸し下さい」
敵にたかられたら[武器受け][盾受け][オーラ防御]で受け止め、
[怪力]をもって引き剥がし、投げ捨てましょう。
●犬たちは甘えられない
猟兵たちと、支援するアポカリプスヘルの戦士たちによって(中には戦士たちを支援する猟兵もいたが)、シベリーの数は確実に減っていった。
「戦車の兄ちゃんたち、ありがとー!! ここの拠点にいるみんな、絶対守り抜こうぜー!!」
歌音が腕を突き上げると、戦士たちが声をあげて応じる。
「間違って躾けられた暴走犬!マギステック・カノンがオシオキしてもう一度躾けなおしてやるぜ!!」
残り少なくなってきた犬たちに向け、歌音は改めて見栄を切る。
「最後まで、機械に遅れを取らないようにしましょう。それでは……全力で行きますよ!」
愛用するメイスとグラディウスを手に、メルフローレがシベリーたちへと突っ込んでいった。
甘えてくるつもりなら、向かっていった自分にはむしろ群がってくるはず。メルフローレはそう予測して、正面からシベリーたちを迎え撃つ。
歌音は逆に、シベリーたちの動きを読みながら動く。
「皆さんは弾幕を張って援護してください!」
「そうだな、少しの間援護を頼むぜ!」
メルフローレや歌音の指示を受けて、ガンナーたちが弾をばらまく。
そして、メルフローレが敵を集めるまでの間に、まず歌音がユーベルコードを発動した。
「陽気に心弾ませる 喧しい春乙女のささやき インベロップ・ブリーズ・テル ……お前の動きは全て風が教えてくれる。もう逃がさないぜ」
戦場に微風の領域が展開した。
ロボット犬の1体が歌音へと突っ込んでくる。それを、彼女は流れるような動きで回避した。
いや、1体だけではない。襲い来る敵の間を、歌音はまるで木の葉のようにスムーズにかわしていっているのだ。
今、彼女には無数のシベリーたちの動きが風を通じて伝わってきていた。
「見えるぜ、お前たちの動き! 悪いが、オレにはお迎えは必要ない!」
歌音の纏うドレスが舞う。蹴りの一撃がシベリーを砕く。あるいは、風を巻き起こして離れた敵を吹き飛ばす。
魔力によって纏うドレスがシベリーたちの間を駆け抜けるごとに、ロボット犬たちは倒れていった。
その間に、残っていたシベリーたちの多くは、メルフローレに甘えようとまとわりついていた。
「すみませんが、甘えさせてあげるわけにはいかないんです」
甘噛みしてくるシベリーをつかみ、体に似合わぬ怪力でメルフローレは牙を引き剥がす。
そして、おもいきり投げ飛ばす。
ガンナーたちの射撃がシベリーたちの動きを止めた。その瞬間、メルフローレは動いていた。
「神よ、その奇跡の刃を、私にお貸し下さい」
両腕で獲物を振りかぶる。
連続して振り回す刃が衝撃はとなって、シベリーたちを切り刻んでいく。
メルフローレを囲んでいた敵は、一瞬のうちに軒並み砕けていた。
残りわずかなシベリーたちを、猟兵たちと戦士たちが打ち砕く。
誰かの奏でる鎮魂歌が、ロボット犬たちのために響く。
それを聴きながら猟兵たちは皆、丘の上を見上げた。
「さあ――来い、強きものたち! 猟兵たちよ! 私にお前たちの力を見せてくれ!」
ジュリアの声が聞こえてくる
この言葉と、この学舎での最後の戦いが、猟兵たちを待っていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 ボス戦
『🌗十字皇ジュリア』
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POW : 征天十字鳳
全身を【魔闘気】で覆い、自身の【修めた極天十字拳の技量】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : 覇王に後退はない、制圧前進のみ!!
自身の【己が覇道を貫く覚悟】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
WIZ : 覇王は、退かぬ!媚びぬ!!顧みぬ!!!
敵を【全身全霊を込めた一撃】で攻撃する。その強さは、自分や仲間が取得した🔴の総数に比例する。
イラスト:すねいる
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠白石・明日香」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●十字皇の出陣
丘の上に立つ女は、配下のオブリビオンが猟兵たちによって倒されても、動揺する様子を見せなかった。
「素晴らしい。それでこそ、この十字皇ジュリアの前に立つ資格がある」
両腕を大きく広げた独特の構え。
余裕を見せていながら、隙はまったくない。
白いブーツで一歩踏み込んでくる。重みを感じさせない静かな動きであるにもかかわらず、大地には深く足跡が刻まれていた。
「小細工は好まぬ。覇王たる我はただ前進あるのみ!」
白い装束に包まれた体が魔闘気に包まれ、黒い髪が重力を無視して浮き上がる。
「来い、強き者よ! 生きることは戦いなり! 戦わぬ者、即ち生きる命にあらず! 汝らの生きる証を見せるがいい!」
この黙示録の世界にふさわしく、ただ強さだけを信じているオブリビオンは、猟兵たちを正面から打ち砕くべく前進してくる。
おそらく猟兵に対しても、他の一般人に対しても彼女は同じようにふるまうだろう。力を至上とし、力なき者にもそれを容赦なく押しつけてくるに違いない。
「あいつ……なんて威圧感だ。震えが止まらねえ……」
ロボット犬に対しては果敢に戦いに加わっていた戦車乗りが、力の差を知って身をすくめている。それでも退こうとしないのは人々を守ろうとする使命感ゆえか。
もっとも、彼も他の戦士たちも、戦力にはなりそうにない。ジュリアの相手ができるのは、猟兵だけのようだ。
背後にある校舎――力なき人々の拠点を守るためにも、退ける状況ではなかった。
宇宙空間対応型・普通乗用車
愛は奪い取るものだぁ?
じゃぁオレが勝ったらアンタの愛はオレのもんってわけだなぁ!
キャンギャル姿で愛を囁きつつ、
オレの全身を鏡みたいになるまで磨いてくれるってわけだよなぁ!?
ヒャッハー!たまんねぇぜ!
早速【瞬速展開カタパルト】で突撃して愛を奪いに行くぜ!
後退しないっていうその覚悟やよし!
車の質量×圧倒的速度の暴力的威力で正面からぶっ飛ばしてやんぜぇ!
そのままエンジン吹かして四輪駆動で力比べといこうか!
オブリビオン相手なら多分負けるだろうけどなぁ!
まぁしょうがねぇ!
そんときゃ何度でも【瞬速展開カタパルト】だ!
正面から押しに押しまくって、オレの愛を押しとおしてやるぜぇ!
●突き進む猟兵、受け止めるオブリビオン
待ち受けるジュリアへと、真っ先に突っ込んでいったのは普通乗用車だった。
「愛は奪い取るものだぁ? じゃぁオレが勝ったらアンタの愛はオレのもんってわけだなぁ!」
「ああ、よかろう! もしも汝が我に勝てたならばな!」
矢のごとく走っていくスペースセダンに対して、ジュリアは真っ向から立ち向かう。
「キャンギャル姿で愛を囁きつつ、オレの全身を鏡みたいになるまで磨いてくれるってわけだよなぁ!? ヒャッハー!たまんねぇぜ!」
「いいだろう! もっとも……この覇王に敗北などありえんがな!」
加速する普通乗用車に対してジュリアがしたことは、ただ正面から突っ込むだけだった。
これが覇王を自称する彼女の戦いかたなのだろう。
もっとも、次に普通乗用車が行った行動は、ジュリアにとっても予想外なものだっただろう。
「滑走路展開車体固定射角調整風力測定磁力充填重力演算その他諸々影響確認射角補正車体解放射出開始ここまで100ミリ秒未満だオラァ!」
一瞬の超加速。
弾丸よりも速く飛び出した彼自身の車体を、ジュリアは回避することができなかった。
いや、仮に回避できてもしなかっただろう。
「後退しないっていうその覚悟やよし! 車の質量×圧倒的速度の暴力的威力で正面からぶっ飛ばしてやんぜぇ!」
「この世紀末覇王を吹き飛ばすなど、不遜なことを言ってくれる!」
暴力的な加速を、暴力的な力でオブリビオンは受け止める。
言うだけの力はあるということか。
ぶつかり合う力によって、普通乗用車のボンネットとバンパーが歪み、ジュリアの腕から血が吹き出す。
そして、普通乗用車の車体が、押し戻される……。
だが、そこで再び彼は加速した。
「まぁしょうがねぇ! 正面から押しに押しまくって、オレの愛を押しとおしてやるぜぇ!」
さらに連続で自らを射出する普通乗用車によって、さしものオブリビオンも後退を余儀なくされる。
荒野にオブリビオンの両足が歪んだ2本の線が引かれ、そしてセダンのタイヤが刻むわだちがそれを塗りつぶしていく。
「この世紀末覇王に後退を強制するか――その力、見事と言っておこう。だが、勝つのはこの十字皇ジュリアだ!」
オブリビオンはどうにか普通乗用車の車体が吹き飛ばして、横転させる。
だが、その腕や脚が大きなダメージを受けているのは明らかだった。
成功
🔵🔵🔴
メルフローレ・カノン
あの人は一人で拠点を壊滅させかねない実力を持ってますね。
ソルジャーの方々は安全な所に下がってください。
私は彼女に向かいます。
彼女は闘気で飛行できるようなので、
私も【祝福の光】により飛行能力で対抗します
「神よ、私に祝福の光をお与えください……」
その上で、
私の得物はメインがメイス、サブが剣です。
[怪力][力溜め]の上で、[2回攻撃][傷口をえぐる]で攻撃です。
敵の一撃については、
[武器受け][盾受け][オーラ防御]も集めて受け止めましょう。
弱攻撃は弾き返し、渾身の一撃は全力で受け止めましょう。
全力で当たることが彼女の望みでしょうし、
仮に私が倒れても他の人の勝利に繋がることを願いましょう。
ケルスティン・フレデリクション
…せんしさん、うしろへさがっててね。
…いっぱいがんばるよ
…この力は、守るためにある。自分のために振るうなんてできない。
きっと、あなたとはあいいれないね。
ルル、おてつだいしてね
【属性攻撃】【全力魔法】【範囲攻撃】
氷の雨を無数に降らせるよ。
その後に【ひかりのしらべ】を使うね
きらきら…。
わたしは、みんなをまもるためにつよくなるの、これからも。
だから…あなたにはまけないの…!
敵からの攻撃は【オーラ防御】と【激痛耐性】で我慢
●十字皇を撃ち落とせ
猟兵とぶつかり合い、傷つきながらも十字皇は簡単には倒れなかった。
「よき力を持っているな、猟兵ども! ならば、この十字皇ジュリアが極天十字拳の真髄を見せてやろう!」
魔闘気をまとったジュリアの体が飛翔する。
「な、生身で飛んだ?」
猟兵と共に戦っていた戦士の1人が、オブリビオンの動きに驚愕の声を漏らす。
「あの人は一人で拠点を壊滅させかねない実力を持ってますね。ソルジャーの方々は安全な所に下がってください」
メルフローレはメイスと剣の二刀流で、前に進み出る。
「……せんしさん、うしろへさがっててね。……いっぱいがんばるよ」
ケルスティンが空に浮かぶ敵をしっかりと見据える。
「すまねえ……女の子に頼るのも情けないが、よろしく頼むぜ!」
後退する男たちの声を背に、猟兵たちはオブリビオンと対峙する。
「惰弱な男だな。戦わずして後退を選ぶか。それに引き換え、己の意志を貫こうとする汝らの覚悟は見事と言うべきなのだろうな」
ジュリアは戦う意志を持たぬ者への侮蔑を隠そうともしなかった。
「……この力は、守るためにある。自分のために振るうなんてできない。きっと、あなたとはあいいれないね」
どこか哀しげにケルスティンは言う。
「神よ、私に祝福の光をお与えください……」
そして、祈りを捧げたメルフローレの体が一気に飛翔する。
「貴様も飛ぶか! 面白い!」
「さあ……全力でいきますよ!」
メルフローレの宣言を聞いて、ジュリアは歓喜の声をあげた。
神々しい光と、魔なる闘気が尾を引いて空中で絡まりあう。
高速の動きは互いに変わらず。
だが、冷静にみれば、オブリビオンの動きはメルフローレより明らかに速いことがわかっただろう。
痛烈に襲い来るジュリアの拳と蹴りが、オーラで固めたメルフローレの守りを打ち砕く。
だが、メルフローレはそれでもただ全力で攻撃を続けた。
(「全力で当たることが彼女の望みでしょう。仮に私が倒れても他の人の勝利に繋がることを願います」)
そして、確かにその間に反撃の準備は整っていた。
「ルル、おてつだいしてね」
ケルスティンが鳥の形をした氷の精霊に呼びかける。
一声鳴いたルルが、空から氷の雨を降らせる。
「甘いぞ! この覇王に隙はない!」
渾身の力を込めた一撃が空を裂き、ケルスティンとルルへと襲いかかる。
衝撃波が少女を吹き飛ばす。
だが、ケルスティンはそれに耐えきった。
「きらきら……。わたしは、みんなをまもるためにつよくなるの、これからも。だから…あなたにはまけないの……!」
吹き飛ばされながら向けた指先が、天よりの光を呼ぶ。
「なにっ! この世紀末覇王が……!」
光に貫かれたジュリアが空中で失速した。
そこに、メルフローレが襲いかかる。
信仰の光がオブリビオンへとぶつかり、そして2人はまとめて荒れ地へと落下していく。
轟音と共に荒野には穴が開いている。
ケルスティンが放つ光の魔法と、メルフローレが全力で叩き込むメイスが、ジュリアに大きなダメージを与えていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アリス・フォーサイス
救世主『能力なんかなくても、ここの人は勇敢に立ち向かってるじゃないか。何をやってるんだ、俺は。』
お、やる気になったね。じゃあ、始めようか。
今からここはワンダーランド。
何の能力も持たない少年が、
強大な侵略者に立ち向かい、
どんな一撃を受けても立ち上がり、
侵略者を追い詰める。
そんな、ヒロイックストーリーがここに生まれるんだ。
さあ、ぼくに美味しいお話を食べさせてよ。
白峰・歌音
お前の言ってる事は、弱い人に力を振るう理由をこじつけてるだけだ!
暴力でいたぶる奴を、これ以上前に進ませてたまるものかよ!
「無くした記憶が叫んでる!暴力を振るうものに弱者の強さを思い知らせろと!」
こいつの道を否定するために…真っ向からぶつかって押し返してやる!
相手のオーラに威圧されない【勇気】で立ち向かい、格闘【2回攻撃】でインファイト!防御は致命的な一撃を【見切り】、【オーラ防御】を固めてダメージを抑えるぜ!
吹き飛ばされても、戦えない人を守る【覚悟】を支えに何度でも立ち上がってやる!
そして押し返せたらUCで一気に押し返す!
「お前が与えようとしている事、一切合財吹き飛ばすぜ!」
アドリブ・共闘OK
木霊・ウタ
愛は奪うものとか
力が至上とか
そんな風にしか考えられないんて
この世界の犠牲者なんだろうな
可哀そうに
骸の海へ送ってやろうぜ
戦闘
獄炎纏う焔摩天で薙ぎ払い砕く
防御は炎壁の盾&武器受け
仲間を庇う
受傷時は返り血の獄炎を贈るぜ
十字皇のみならず
魔を焼き喰らう炎獄で魔闘気を浸食
力の源を地獄が喰らう
急降下に合わせ
爆炎で矢の如く宙へ飛び出し
更に刃も爆炎で加速しカウンター気味に一閃
十字皇
寂しいんだろ?
機械犬を侍らせたりして
誰かとの繋がりを求めてるように見えるぜ
俺達の強さの理由
それは命の煌き
他者との繋がりで未来を紡ぐ生命の輝きだ
もう十分だ
紅蓮に抱かれて休め
事後に鎮魂曲
愛し愛された人達と再会できるぜ
きっと
骸の海で安らかに
●終焉は歌声と共に
十字皇はすでに傷だらけだった。
だが、退くつもりはない。オブリビオンだからというよりも、彼女が十字皇だからなのだろう。
「これが猟兵の力か……だが、覇王に後退はない! ただ前進し、勝利するのみ!」
血まみれのままで、彼女は叫ぶ。
「お前の言ってる事は、弱い人に力を振るう理由をこじつけてるだけだ! 暴力でいたぶる奴を、これ以上前に進ませてたまるものかよ!」
歌音の言葉が力強く響く。
「無くした記憶が叫んでる! 暴力を振るうものに弱者の強さを思い知らせろと!」
力なきアリスたちを守る騎士は、この世界においても騎士として人々を守る意志を見せた。
紫と紅のオーラを纏う。記憶を失っても体に残っていた戦いかたで、歌音は十字皇の前進を阻む。
「愛は奪うものとか、力が至上とか、そんな風にしか考えられないんて、この世界の犠牲者なんだろうな」
同じく立ちはだかるウタは、怒りの中に哀れみが混ざった声で告げた。
「可哀そうに。骸の海へ送ってやろうぜ」
焔摩天の梵字が刻まれた剣に、断罪の炎が纏う。十字皇を滅することが、彼女を救うことにつながると信じて、彼は剣を振るう。
不利になろうとも小細工を弄することなく正面から戦う。その矜持が傷ついた十字皇ジュリアの力をさらに強化しているようだった。
魔闘気が力強く吹き上がり、歌音やウタ、他の猟兵たちの攻撃をしのいで強烈な拳打を彼女は繰り出し続ける。
傷ついてなお強いオブリビオンに、立ち向かう者たちを後方からながめている者がいた。
アポカリプスヘルの戦士たちは、距離を取りながらも、この場から逃れようとはしない。
そして、そんな彼らの姿を、アリスと彼女が作り出した『救世主』が見ていた。
『能力なんかなくても、ここの人は勇敢に立ち向かってるじゃないか。何をやってるんだ、俺は』
妄想思念によって作られた少年は、アリスが望む物語にふさわしい姿を見せる。
「お、やる気になったね。じゃあ、始めようか」
1本の棒を痛いほどに握る少年に向かって、アリスは言う。
「今からここはワンダーランド。何の能力も持たない少年が、強大な侵略者に立ち向かい、どんな一撃を受けても立ち上がり、侵略者を追い詰める」
戦場に妄想思念が降り注ぎ、アリスが望む、アリスが好む物語がそこに生まれる。
「そんな、ヒロイックストーリーがここに生まれるんだ」
『ああ、今から俺が、それを見せてやる!』
救世主の少年が突撃していく。
十字皇ジュリアは今にも全身全霊を込めた一撃を猟兵たちに向けて繰り出そうとしているようだった。
彼はその強烈な一撃を、皆をかばって正面から受けた。手にしていた棒が曲がり、地面に砕けるほどの速度で少年が叩きつけられる。
『こんな力を……あの建物の中にいる人たちに向けさせるわけにはいかないんだ!』
それでも、彼は立ち上がる。あたかも、物語の主人公のごとく。
「さあ、ぼくに美味しいお話を食べさせてよ」
彼の活躍を見守り、アリスは言った。
「ならば見よ! そして受けよ! 極天十字拳の真髄をな!」
ジュリアの体が飛翔する。
天空より急降下する勢いを乗せて、彼女は攻撃を繰り出そうとしていた。
ウタはそこへ突撃をかけた。
彼の傷口から飛び出した炎が、爆炎となって彼の剣を加速する。
一閃した剣と、ジュリアの拳がぶつかり合い、激しい衝撃波が周囲へ散っていく。
他の猟兵たちが吹き飛ぶ中、ウタの剣は炎をあげてジュリアの拳を押し戻そうとする。
「十字皇、寂しいんだろ? 機械犬を侍らせたりして誰かとの繋がりを求めてるように見えるぜ」
「黙れ! 我に必要なものは力と勝利のみ! それ以外のものはすべて覇道への障害よ!」
「そうかよ。けど、繋がりを否定していたら俺達には勝てないぜ。俺達の強さの理由、それは命の煌き。他者との繋がりで未来を紡ぐ生命の輝きだ」
魔を焼き喰らう炎獄が、十字皇の魔闘気を食らっていく。
「もう十分だ。紅蓮に抱かれて休め」
地獄の炎がオブリビオンの力の源を喰らっていく。
「うおおおっ!」
食われながらも、力を振り絞ってジュリアはウタを吹き飛ばした。
だが、他の猟兵たちや救世主の少年も攻撃に加わっていく。
歌音は最後まで真正面から十字皇ジュリアへと攻撃をしかけていた。
幾度吹き飛ばされようと、覚悟を胸に彼女は立ち上がり続け、真正面からぶつかるのだ。
「お前の道を否定するために……真っ向からぶつかって押し返してやる!」
そして、その突撃を押し退けるだけの力はもうジュリアに残ってはいなかった。
「お前が与えようとしている事、一切合財吹き飛ばすぜ!」
暴風をまとった回し蹴りが、猟兵たちの攻撃と共にジュリアの体を捉える。
風が十字皇の体を天空へと吹き飛ばしていく。
「我が覇道……ここで終わるか! だが……最後まで……倒れはしない!」
魔闘気をまとい、空中で十字皇は自らの体勢を立て直す。両足でしっかりと大地を踏みしめて着地し……。
……そして、そのまま十字皇ジュリアはもう動かなくなった。
『見事な死に様だって……言ってやるべきなんだろうな』
救世主の少年が、その瞳を閉じてやる。
「最後まで、前に進む意志は捨てなかったか。でも、その道の先に進ませるわけにはいかないんだよ」
歌音は大きく息を吐き、体から力を抜く。
猟兵たちの後方から、歓声が聞こえてきた。
アポカリプスヘルの戦士たち、そして校舎の中に残っていた人々が猟兵たちを称える声をあげているのだ。
その声の中で、静かに鎮魂歌が響き始める。
「これがエンディングテーマか。悪くはないね」
アリスが歌を聞いて呟く。
ダイバに、シベリーに、ジュリアに……この世界に生き様を狂わされな者たちのための歌を、ウタが歌っていた。
「愛し愛された人達と再会できるぜ、きっと。骸の海で安らかに」
歓声が響く中でも、その歌が骸の海まで届くことを、彼は願った。
成功
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最終結果:成功
完成日:2020年06月18日
宿敵
『🌗十字皇ジュリア』
を撃破!
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