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希望の物資

#アポカリプスヘル

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#アポカリプスヘル


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 そこはおそらく、かつてゴミ処理場だったのだろう。
 オブリビオン・ストームの発生以来、処理作業は中断され今では当時の粗大ゴミが山のようになっている。
 ラジオ等の電子機器からはノイズが流れ、何やら言っているが内容までは聞き取れない。
 中には当時流行っていたハスキー犬型ペットロボットも数多く混じっていた。
 ゴミ処理場というだけあってすぐ近くには人が住めるような場所はなく、瓦礫だらけの荒廃した土地になっている。
 ここなら、オブリビオン・ストームが発生したとしても人的被害は及ばないであろう。

●グリモアベース
「今まで難しかった物資支援が、できそうな地域が見つかったの」
 リディー・プレヴェール(夢見る乙女のプリン(セ)ス・f27338)は地図を広げながら話す。
 ここよ、とリディーが指さしたその場所は開けた場所になっており、少し広めの土地のようだ。
 アポカリプスヘルでは長きにわたり物資不足に悩まされている。
 もちろん、異世界からの物資支援でそれが賄えないわけではない。
 猟兵たちの手持ち装備程度の少量であればテレポートも使える為、危険性はかなり低くはなる。
 これだけでも十分助かるのだろうが、これでは効率が悪い。
 アポカリプスヘルでは、一分一秒がかなり重要となる。
 効率的により多くの人への支援をと考えるのなら、大量の物資を要するだろう。
 しかし、困ったことに大量の異世界からの物資を運搬するとなると話が変わってくるのだ。
 大量の異世界からの物資の存在はブリビオン・ストームの発生を招いてしまう。
 何も考えず誘発させてしまえば人的被害は免れず、下手をすればたくさんの命を奪うこととなってしまう。
 この為、今まで異世界からの物資の運搬、支援は困難を極めていた。
 しかし、今回この人的被害を抑えることができるであろう場所が発見された。
 この地に異世界の物資を集め、発生したオブリビオン・ストームから現れるオブリビオンを素早く撃破し、周辺の拠点へ配給する。
 以上が今回の任務だとリディーは告げる。

「うまくいけば今後の物資関係に希望が見えてくるかもしれないわ。
 今回はその足掛かりになるかもしれない。気を引き締めて頑張ってきて頂戴」


楔之 祈
 ここまでの閲覧ありがとうございます、楔之 祈と申します。
 当シナリオでは、アポカリプスヘルへの物資支援の可能性を広げるため頑張っていただきたいと思います。

●第一章●
 冒険です。まずはたくさんの物資を集めてください。
 『どのような物資をどれだけ持ってくるか』をプレイングに表記ください。
 集積された物資が一定量到達すれば、オブリビオン・ストームが発生します。
 離れすぎない程度に辺りを散策するのもいいでしょう。何か見つかるかもしれません。

●第二章●
 集団戦です。第一章で発生したオブリビオン・ストームの影響で現れるオブリビオンの群れを撃破してください。
 第一章で見つけたものを使用することもできます。

●第三章●
 日常です。集めた物資を周辺の拠点へ配給してください。
 拠点の住民との交流も行えます。住民を勇気づけてあげてください。

●その他●
 今回はここ、というところにプレイングボーナスは設定しておりません。
 しかし、ボーナスをつけないわけではありませんので、よろしくお願いします。

 プレイング受付期間に関しましては、旅団やTwitterにて告知致しますのでご確認ください。
 では、皆様のご参加を心よりお待ちしております。
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第1章 冒険 『マンズ・ジャワメグ・デンジ・ジャミング!』

POW   :    叩けば治る。

SPD   :    設備をいじる。

WIZ   :    聴き取ってみる。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ビュオオオ。
 山となるテレビ等の粗大ごみの隙間を抜ける風が唸る。
 その一角に、物資を集められそうな場所があった。
 その場所に物資を持った猟兵達たちが集まってくる。
 あるものは食料を、あるものは毛布等の物資、ある人は娯楽のための物資。
 ぞくぞく集まってくる物資。希望の物資作戦開始だ。
麻海・リィフ
アドリブ、即興連携歓迎

そうね…物はあればあるだけ良い世界だもの
色々持っていきましょう!

UC発動
衣類
食料品
医療品
工具や裁縫道具や調理器具(非電動)

これらを詰めるだけ小箱に詰める

学天則!出番よ!
搭乗しコンテナに建設資材などを詰め込み持ち上げ携えて現地へ

到着したら資材を下ろし大まかに分類整頓
(必要なら指揮)


それが済んだら近場を探索

第六感などで何かありそうな場所を見切り
集積地から離れ過ぎないように散策
部品なり何か…あるかしら?

何かあったらメカニックと知識系を動員して分析&回収
大型、重量物は学天則を併用し丁寧に扱う
仲間の力仕事や手数仕事は積極的に援護射撃

物はあるだけ役に立つ…
害毒なら…敵に投げましょう




 集まってくれた猟兵の一人。
 凛とした表情に、ポニーテールで爽やかな印象の少女がいた。
 いや、印象的だったのはそれだけではない。
 彼女は蒸気電気式の強化外骨格に搭乗していた。
 麻海・リィフ(晴嵐騎士・f23910)。

「よしよし、いい感じね、学天則」
 学天則と呼ばれた強化外骨格は、その信頼に応えるかのようにがっしりとコンテナを持ち上げている。
 コンテナの中には、詰められるだけの建築資材が詰め込まれていた。
 木材、鉄鋼はもちろん、天井材や屋根用の金属や瓦。
 断熱材、遮熱材。防音材まで入っている。
 これだけあれば、拠点の補強もできるだろう。

 ガン、と指定の場所へコンテナを降ろし、学天則から降りたリィフ。
 リィフはその手に小さな小箱を浮かべていた。
 綺麗な真鍮色の絡繰小箱。発条や歯車等の仕掛けが外からでもわかるデザインになっている。

「ふぅ…この世界は、物があればあるだけいい世界だもの。
 どれだけ持ってきても足りないわね」
 小箱を片手に、コンテナを見上げ少しばかり不満げな声を上げる。
 しかし、リィフが持ってきたものはこれだけではない。

「でも、まだまだ色々持ってきたのよ」
 そう言うとリィフは、小箱の中から次々と追加物資を取り出していく。
 まずは衣類。どちらかというと小さめの衣類が多いようだ。
 女性用、子供用が多いのだろうか。
 おしゃれなものもあるが、大半は動きやすいようなものであり、リィフの気遣いが見受けられる。
 長く使えるようにと、裁縫道具まで用意されていた。
 次に食料品。長期保存に適したものが数多く入っていた。
 肉や魚は干してあり、他の物は缶詰だ。中でも多いのは豆の缶詰。
 常温でも保存ができるようなものが多い。
 調理用器具も入っており、料理も不便無いだろう。しかも非電動式。
 現地への配慮がしっかりされている。
 そして医療品。
 常備薬を始め、包帯や絆創膏、消毒液や清潔なコットン。
 病院にあるようなものではなく、家庭用の一般的なものではあるがそれでも申し分ない。
 あとは工具等も入っており、中々の数だ。
 これらの物を軽く分類整理し並べていく。

 ある程度分類し終わり、ひと段落した為リィフは近場を探索することにする。
 何か使えそうな家具などがあればいいのだが。
 そう思いながら彼女は家電の積み上げられた場所を探すことにした。
 近づくとテレビやラジオからノイズが聞こえてくる。
 耳障りなノイズの中には、何やら人の声も混じっているようだ。
 助けを求めるような声。途切れ途切れに聞こえてくる。

「お…さん。と…さん。どこ…すか」
「おか…さん…とわ、しは…げ…きです」
「は…く、もど…きて…ジジ」

 小さな女の子の声だろうか。場所までは分からない。
 ただ、父親とはぐれてしまい探しているのだろうことは推測できた。

「…今のわたしには、君たちに何もしてあげられないわ。けれど」
 だからこそ、今のわたしにできることをするのよ。
 悲しい家族の声に耳を向け、自身の無力さと今一度覚悟と誓いを立てるリィフ。
 自分は、猟兵なのだから。

 ふと足元に、おもちゃの骨が転がっていることに気づく。

「なにかしら、これ」
 普段なら、ただのゴミだと気にもかけなかっただろう。
 しかし、何故かふと気になったのだ。
 彼女の第六感なのだろうか。それを拾い上げ、空になった小箱へ入れる。

 その後もしばらく探索を続けたが、集積所が騒がしくなってきた。
 リィフは手伝うために一度戻ることにする。
 最後にもう一度、ノイズが聞こえたラジオへ向き直る。
 ぐっと拳を握り、リィフは集積所へと戻っていった。
 その拳に何を乗せたのか、それは彼女だけの秘密である。

大成功 🔵​🔵​🔵​

土谷・メイ
SPD アドリブ◎

こういう場所ならたくさん物が置けそうですね!(尻尾フリフリ)
とりあえず一匹じゃ運搬大変なので、戦車に搭載していきますー(砲台近くにあったゴミを前足でかき分けスペースを作る)

えーと、保存食をたくさん、布・板・釘・杭などの拠点強化用資材を乗るだけ、その上に作業とかで怪我した人の為に救急箱を数箱乗せます。
疲れた時のお菓子も欲しいよね!隙間につめこんでっと。
あと、俺みたいな動物のために犬猫用のご飯も積もう!口に合うかな?

結構乗ったなぁ…よーし全速前進ー!ゴロゴロ(比較的重そうな音)

着いた、じゃあ全部降ろします。慎重に…
あれ、こんな所に俺の同類?違った、これロボットだ。
弄ってみますか。




 ゴロゴロゴロ…。
 地面が揺れるような大きな重低音を鳴らしながら戦車が到着する。

「とうちゃーっく!」
 戦車から顔を覗かせたのは土谷・メイ(イヌの砲撃術【大】・f27738)。
 自身だけでは大量の物資の運搬は難しい為、戦車に乗せて運んできたようだ。

「うん!こういう場所なら、たくさん物が置けそうですね!」
 改めて集積場を確認し、その広さや周囲状況に納得する。
 聞いていた通りの場所だ。尻尾をふりふりと揺らしている。
 早速荷下ろしにかかるメイ。
 戦車には様々な物が積まれていた。

「疲れた時には甘いものってよく聞きますよね!なのでお菓子も持ってきました!」
 まず出てきたのはお菓子類。
 いろんな隙間に詰め込んである。クッキー等に始まり、いろんな味のキャンディーまで。
 総じて言えることは、食べやすく、日持ちするものであること。
 キャンディーは小さめのものが多く、どちらかと言えば普通の、ソフトではないものが多い。
 見たことのない、長期保存用の羊羹には驚いた。
 洋風菓子だけでなく、和和風菓子まで用意されているのは英断だ。好みは十人十色なのだから。

「後はこれです。俺の最近の流行りです!」
 ふふん、と得意げに隙間から引っ張り出したのは犬猫用のごはん。
 これは自身の気に入っているもの。皆の口に合えばいいのだが。

 ぽろぽろとお菓子類が雪崩出てきた後、上に積まれていたものを下ろす。
 これは救急箱だ。数箱がバランスよく乗せられていた。
 救急セットはいくらあっても困らないだろう。
 どの世界にも言えることだが、やはり病気やケガは免れないのだ。
 包帯に絆創膏、消毒液と箱いっぱいに詰め込まれている。
 
 まだまだ物は乗っている。
 今度は大きな箱を数箱下ろしてくる。
 中には布や、板。釘や杭等、拠点の強化に使えそうな資材がたんまりと入っていた。
 綺麗に箱の中で並べられているため、これはこのまま下ろすことにする。

 その下には一番大きな積み荷が置かれていた。
 中には保存食がたくさん入っている。
 乾パンを代表に、お湯を入れるだけでできるヌードル、スープ。
 レトルト系のカレー。長期保存ができる温めるだけで食べられるごはん。
 開けたらすぐ食べられるもの、食べやすいもの。
 軽く調理して食べるものと、非常食としては幅広くそろえられていた。
 それだけでなく、使い捨ての箸やスプーン。プラスチック製の物は洗って再度使えそうだ。
 これも、数が多いためこのまま下ろす。

 こうして全て降ろし終わったメイは、先に置かれているものに合わせて種類ごとに整理していく。
 そのためか整理には時間はさほどかからなかった。

「あれ…?」
 最後の荷物を置いたとき、ふと目の端に気になる影が見えた。
 気になって近づいていく。
 それは他のゴミに下敷きにされていた為、メイはしゃがんでそれを助け出す。

「違った。これ、ロボットだ」
 見つけたのはハスキー犬型のペットロボットだ。
 はじめは自身の同類なのかと思った。触ってみて、固く冷たいその体から、ロボットだと分かった。
 まだ動くかな?
 メイはロボットを弄ってみる。スイッチと思しきボタンを押してみるが、反応はない。
 その目は開いてはいるが、光はなく、壊れているようだ。
 その近くに、おもちゃの骨が落ちている。
 おもちゃの骨には、名前が書いてあった。持ち主がいたのだろう。
 よく見ると、そのロボットの首輪にも同じ名前が書いてあった。
 おそらくペットロボットの付属品のおもちゃなのだろう。

「これは君のなんだね」
 メイは、おもちゃの骨をロボットに咥えさせる。
 本物さながらのロボットは、しっかり咥えて離さない。

「もう失くさないでくださいね」
 メイは、動くことのないロボットを、ゆっくり寝かしてその場を離れる。
 こんなことがなければ、もしかしたらもっと持ち主と遊べたのだろうか。
 すこし、寂しい気持ちになったメイだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルフトフェール・ルミナ
物資、物資。そうだなあ……。
多分、食品や機材はもう運んでる人いるよねえ。

本……はどうだろう。
図解ありの簡単な医療技術に関する本。小さな子含め、皆に医療知識があったら、咄嗟の応急処置で、生存率が上がるかも。
或いは、農業の本。同じ土地でも収穫量を上げることができないかな。
うーん……限られた食材を活用できる、料理のレシピ本とかはどうかな。食事って士気に関わるっていうし。
そして、物語本……未来に希望持てるような内容の。皆の考えを誘導してるみたいで、ちょっと気が引けるけれど。

後、住民の人達が避難できそうな場所を探してみたい。豊かになれば、それを狙う不埒者が出そうだから、身を守るために必要になるかなって。




 様々なものが積み上げられた集積場に、二つの影が近づいてくる。
 ルフトフェール・ルミナ(空を駆ける風・f08308)と、彼が召喚した艶のある柔らかな絹毛と立派な長き前歯、そして鋭い爪を持つ魔獣【ゴールデンハムスター】だ。
 彼らはそれぞれ、大きな箱を手に持っていた。
 どうやらルフトフェールは、自身のみでは重いであろうこの積み荷を運ぶ手伝いをしてもらう為召喚したらしい。

「ありがとう、助かったよ」
 ルフトフェールはゴールデンハムスターに向かって微笑む。
 ゴールデンハムスターも、どういたしまして、という様に柔らかい雰囲気。
 笑っているようにも見えた。
 どん、と二つの箱を置き、すでに置いてある物資を見る。
 今までに積み上げられた物資は衣類、食料、建築資材、医療品等。
 その数々を目にし、彼はほっと胸をなでおろす。

「よかった。やっぱりこれはまだあんまりないみたいだね」
 彼は箱の中身に視線を落とす。
 そこには様々な本が詰められていた。
 物資、と聞けば多く浮かぶのはやはり食料品や機材である。
 故に既にたくさん運ばれているのではないかとルフトフェールは考えた。
 もちろん、それらは多くあっても困ることはないだろうが、せっかくならと別の物資を考えていたのだ。
 その結果、彼は本を選んだ。
 図解のある簡単な医療技術に関する本。医療に必要なものは、医療品だけではない。
 それらを正しく使用できるかどうか、も大事になってくる。
 その為、知識をつけること、知識をつけられるものも大事な物資だと考えた。

「こんな世界じゃ、小さい子も戦わなくちゃいけないんだ。これで少しでも怪我とかで死ぬ人が減ったらいいんだけど」
 ルフトフェールは医療技術に関する本を紐でまとめて置く。

 次に取り出したのは農業に関する本。
 物資の支援というのも無限ではない。つまり、いつまでもそれに頼っては生きていられないということ。
 故に、少しでも自給自足を行えるのなら、それだけでも生存率はぐっと上がるだろう。
 もしかしたら、今までより収穫量を増やせるかもしれない。
 それだけではない。

「なにより美味しい食事って大事だもんね」
 彼は限られた食材を活用できるようにと、料理のレシピ本も用意していたのだ。
 これで少しでも士気を保てればいいと、願いを込めて紐でまとめる。

 次に取り出したのは様々な種類の物語の本。
 おとぎ話や、伝記のようなもの。どれも希望が持てるような、明るい未来の話がチョイスされている。
 少しでも皆が前向きになれるようにと、ルフトフェールが選んだもの。
 まるで考えを誘導する様な、印象操作するような感覚がして自身はあまり乗り気ではないようだ。
 だが、こういった娯楽も必要なのは間違いなかった。
 例え誘導されたものだとしても、希望を持てるだけで気力は湧いてくるのだ。

「ふう…これで最後、と」
 全ての本をまとめ、崩れないように箱に詰めて置いておく。
 そして辺りを見渡してから、ふらっと辺りを散策し始める。
 彼は住民達の避難場所を探そうとしていた。
 豊かになった場所には、不埒者が現れる。必ずではないが、その確率は高いだろう。
 故に、身を守る為の避難場所を見つけようと考えたのだ。
 しばらく歩いて回る。

「うーん…あんまり、良さそうな場所は…あっ」
 ルフトフェールは瓦礫の山の中に地下への入り口を見つけた。
 辺りには建物の残骸が散らばっているところを見ると、もともとは処理するための建物が立っていたのだろうか。
 ルフトフェールは降りてみる。

「だいぶ使われてない、だろうね」
 少し咳込む。中はかなり埃っぽかった。
 中は少し広めの部屋になっている。
 入り口は入ってきたところしかない。袋小路だ。
 入り口の見つかりづらさからすれば身を隠すにはもってこいかもしれないが、追い込まれてしまえばひとたまりもないだろう。
 一長一短、といったところか。
 この辺りにはここ以外に良さそうな場所は見つからなかった。
 一応、配給するときに話してみようと思う。
 ルフトフェールは他に隠れられそうなところを探しつつ、集積場へと戻っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

梅力岩・じぇしか
WIZ
だいぶ物資は集まっとる感じやろか?
こういうのは多いに越したことはないやろし、俺んのも足してもらってもよかですか?

俺が持ってきたんは、まず医院から貰てきた備品やね
中は生理食塩液パックが多めで、点滴用にカテーテルも細さ種類適当に。医療機器は心肺蘇生できる小っちゃい装置を何個か持ってきたばい

あとは毛布と、動物さんのぬいぐるみとシール
それと、俺ん家にあったウォッカとビールをありったけ持ってきたなあ
趣向品多めやけど、どやろか。役に立つかな?

荷物置き終わったら、耳ば澄ましてそこら辺を散歩してみよっかね。何があるやろなあ




「おー、だいぶ集まっとる感じやろか」
 梅力岩・じぇしか(ラストポリフェノール・f27845)は手で望遠鏡を作り覗きながら集積場を確認する。
 集積場にはかなりの物資が集まっており、慌ただしくしている。

「ほいじゃま、いこっか」
 二つの箱を持ち上げ集積場へ向かうじぇしか。
 一つは腕に。一つは空中に。
 彼はサイキッカーなのだ。念動力を用いて重いほうの箱を運んでいく。
 集積場に辿り着き、ゆっくりと二つの箱を降ろす。

「こういうのは多いに越したことはないやろし、俺んのも足してもらってもよかですか?」
 その場で整理していた猟兵に声をかける。
 もちろん、と返答をもらい、じぇしかは嬉しそうな表情で積み荷を解いていく。

「これ、うちで使ってる医療品ばい。医療関係ってどこに分けられとる?」
 俺も手伝うよ、とじぇしかは整理された物資の場所を教えてもらう。
 せめて自分で持ってきたものは自分で、と考えたのだろう。
 医療関係の物資の場所を教えてもらい、その場所へ向かう。
 医療物資を詰め込んだ箱はそこそこ重く、精密機器も入っているため丁寧に丁寧に運んだ。
 中には生理食塩液のパックが中心になっている。
 流石は医療関係者である。生理食塩液は非常時にかなり必要となる。
 かなり重要なものであるのだ。
 点滴用にサイズや種類様々なカテーテルも入っている。
 そして、心肺蘇生用の小さな装置が数個。これだけあれば、かなり安心できるだろう。

「よし…これだけあればちょっとは役に立つかな。あとは…これやね」
 医療品を置き、もう一つの箱も片付けに行く。
 こちらの箱には趣向品が多く入っている。
 清潔な毛布に、かわいい動物のぬいぐるみ。
 あとはシール。小さい子が好きそうなものばかりだ。
 それだけでなく、お酒も入っている。ビールやウォッカ、彼の家にあったものをありったけ。
 これで大人に人にも喜んでもらえるのではないだろうか。

「皆にも頑張ってもらいたいもんねぇ…」
 荷下ろしを済まし、ため息交じりに吐き出す言葉。
 自身が医院の副院長だからか、彼の優しさなのか。
 これで少しでも誰かの命が救われるのなら、生を捨てないでいられるならと思う。 うーん、と伸びをし、気分を変える為散歩に向かう。
 そこらには瓦礫の残骸や壊れた電子機器、家電製品。
 ノイズが交じり、散歩日和とは言えないが。

「なんか見つかるかな」
 耳を澄まし、ノイズの中から音を探りながら歩く。
 ふと、ざわついた感覚にとらわれるじぇしか。
 どこからかはわからない。ざわざわと、何か。
 ふと、作戦前に聞いていた話を思い出す。
 あぁ、これが。

「もうすぐ…なのかなぁ」
 何か来そうな感覚に、引き返そうと踵を返す。
 ふと、大きな箱が目に入った。
 その空箱はどうやらおもちゃのもののようだ。
 箱の側面にはこう書いてあった。

『賢い忠犬を貴方の家に!骨をあげれば飛びつくぞ!」

 あぁ、そんなおもちゃも流行っていたか。
 遊び方も書いてある。骨を投げて取ってこい遊びができる…。
 何かに使えるかな。どうだろうか。
 とにかく今は、備えるように伝えに戻るのが先だ。
 じぇしかはふらっと集積場へと戻っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィリー・フランツ
【SPD】アドリブ・協力Ok
目的:修理部品の収集

理由:このジャンク山は家電の廃品があるみたいだ。
部品さえサルベージ出来ればこの耳障りなラジオのノイズを消せるかもな。

手段:俺は廃家電を漁ってラジオの廃品を集めるぜ。
UCバトル・インテリジェンスのドローンで偵察しながら行くか。

マトモな品は皆無だろうが、数さえ集めりゃニコイチ・サンコイチ修理だって出来るよな?
ま、紙巻きタバコでも吸いながら気長に探して、往復しながら修理に必要な分を集めるさ。

後は、余裕が有れば男手が必要な場所の手伝いだな。
ほれほれ、そんなひとりで背負い込まないでもっと俺みたいなオッサンを頼ってくれや。




 ヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)もまた集積場へと来ていた。
 彼は何かを持ってきたわけではない。
 このジャンク品の山から何か部品を収集するためにやってきたのだ。
 持ってきた物資でなければもしかしたら、オブリビオン・ストームを起こさず済むかもしれない。
 ヴィリーは今までの培ってきた経験を活かし、ここにあるものの部品をサルベージできないか考えた。

「ふ~…とっとと始めるかぁ」
 耳障りなノイズの中、まずは使えそうなものを廃家電の中から漁る。
 ノイズを発しているラジオなら、見つけやすいだろうと的を絞る。
 案の定めぼしいラジオは数個見つかった。
 もちろんまともに動くものはなかったが、ノイズを発せる以上使える部品はあるだろう。
 ポケットから紙巻きタバコを取り出し、火をつける。
 ここに人がたくさんいるなら、嫌がれるかもしれない。
 今は一人で、こんな場所だ。誰も咎める人はいなかった。
 タバコをふかし、ガチャガチャとラジオを弄繰り回す。
 そのうち、ぽろっと数個の部品が取れた。

「お、これぁ使えそうじゃねぇか」
 取れた部品から使えそうな部品を選定する。
 結局、他の部品は使えたものではなく、そのラジオからとれたのはこの程度だった。

「ふ~ん…まぁこんなもんかね」
 チャリ、とコインで遊ぶように部品で遊ぶと、次のラジオへと移る。
 数さえあれば、ニコイチ、もしくはサンコイチ修理ぐらいはできるだろう。
 ここで見つかったラジオからは、4つ程の部品しか取れなかった。
 まだまだノイズは聞こえてくる。他にも部品が取れそうなラジオはあるだろう。
 ヴィリーは二本目の紙巻きタバコに火をつけ、ドローンを飛ばす。
 【バトル・インテリジェンス】のドローンを使い、辺りの捜索にあてる。
 自分ひとりの眼では限界がある上に時間もかかってしまうと判断したのだ。
 ドローンは偵察を始める。
 ヴィリーもタバコをふかしながら、この付近を往復して部品を探すことにした。

「思ったよりはあったじゃねぇか」
 しばらくして修理に使えそうな部品がそこそこ集まった。
 小袋一つ分だが、これでも十分だろう。その分部品は良さそうなものを選んだ。
 長持ちするだろう。
 その小袋を手に、集積場へと向かった。
 
 集積場に着いたら丁度重そうな箱を運んでいる猟兵がいた。
 ヴィリーは、タバコを消し、近づいていきその箱に小袋を乗せた。
 運んでいた猟兵は、驚いて箱を落としそうになる。
 ヴィリーはすかさずその箱を持ち上げ、そのまま代わりに運ぼうとする。

「ほれほれ、そんな一人で背負い込まないで、もっと俺みたいなオッサン頼ってくれや」
 そう言いながら背を向けて歩き出す。
 数歩歩いて、くるりと振り返りもともと運んでいた猟兵を見た。

「ところで、これ、どこに運んだらいいんだ?」
 ヴィリーは少し、困ったように笑った。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリステル・ブルー
アドリブ連携okです

そういう事情なら是非手伝いたいね!
食料は既に持ち込まれてそうだけど……空腹はとても辛いもんね。
長期保存可能な缶詰を色々持ち込もうと思う。後は夜を越える為の毛布と灯り、燃料。
日除け用に大きな布、撥水加工だから雨も凌げるね。集めた物資の保護にも使えるかも?

ひと抱えできる木箱に目一杯詰めるだけ詰めていくよ。
UC「影身」でもう1人の僕に協力してもらえば……2人分持ち込めたりしないかな?
無理なら出来る事を出来る範囲で!
承諾してくれる猟兵さんがいたら一緒に協力やサポートするのもいいね。

現地では拠点周辺を離れ過ぎずに探索するね。
敵を誘導出来そうな場所や有利に戦える場所や物、何かないかな?




「重くないかい?」
 影に向かって声をかけるアリステル・ブルー(人狼のクレリック・f27826)。
 彼は【影身(オルタナティブ・ダブル)】を使い、もう一人の自分と物資を運びこんでいた。
 問われた影は、大丈夫、という様に頷いて見せた。
 軽くひょい、ひょいと木箱を上下し、余裕だよ、と言っているようにも見える。
 そんな様子の影にクスリと微笑むと、アリステルは再び歩を進めた。

 しばらく歩を進め、集積場へとたどり着く。
 ふぅ…と一息つくと、木箱をその場所へ置き、中を確認する。

「ありがとう、助かったよ」
 君も置きなよ、とジェスチャーするアリステル。
 影は、頷くとゆっくりを木箱を降ろす。
 アリステルは二つの中身を確認する為一度開ける。

「まずはそっちからにしようか」
 最初に開けたのは影の運んでいた小箱。
 中には食料がたくさん入っている。
 主に入っているのは缶詰。長期保存がきくようなものばかりだ。
 フルーツの缶詰もあり、デザートになるようなものもある。
 自分のほかにも、食料を持ってきた人はいるだろう。
 とはいえ、食料はいくらあっても困らない。
 多少食べるのが遅くなっても大丈夫なように缶詰を選んだ。
 空腹は辛いものだ。
 栄養は生きる上で必要であるのだから。

「うんうん、ちゃんとあるね。次は…」
 木箱を閉め、今度は自分の運んできた小箱を確認する。
 中には毛布や灯り、燃料だ。
 そして撥水加工のされた大きな布も入ってる。
 夜は冷える時もあるだろう。病気やケガをした際にも、体温を保つために必要になる。
 その為の毛布を数枚詰め込んできた。
 夜は暗い。灯りも必要になるだろう。電気を使うようなものではなく、燃料型。
 電力は用意しづらいと考え、燃料型にした。
 撥水加工のされた大きな布は、日除けに使えるだろう。
 撥水加工されている為、雨でも資材を守る事ができる。雨を凌げるのは大きい。

「うん、こっちも大丈夫」
 中身をしっかり確認し、木箱を閉める。
 そして持ち上げると、分けられた物資へと足す。
 積まれた物資はしっかり整理されており、わかりやすい。

「さて…ありがとう、助かったよ」
 影にお礼を言うと、影はどういたしまして、と頷くとふわっと消える。
 一仕事終え、んー、と伸びをすると、少し歩き始める。
 辺りを散策するつもりらしい。

「もしオブリビオン・ストームが予定通り発生したら…ここで戦うのはよくないよね」
 ぽつりとつぶやくと、集積場に危害が及ばないような場所を探す。
 ある程度広くて、戦闘に適した場所…。
 誘導できればいいのだが。
 しばらく歩いていくと、開けた場所がある。
 周りにあまり大きな粗大ゴミの山もなく、少し建物の残骸がある程度視界が開けている。
 広すぎず狭すぎず、ちょうどいい広さの為、集団戦にも単体戦にも向いているだろう。
 これなら、戦闘にも適している。

「ここなら、やりやすそうだね」
 うんうん、と頷く。
 その瞬間。

 ゴゴゴゴゴゴ。

 大きな音が響き、同時に離れた所に竜巻が見えた。
 あれがオブリビオン・ストームか。
 大きな真っ黒の竜巻は、とてつもない速さで近づいている。
 アリステルはこの場所を伝える為、そして物資を守る為に一度引き返すことにした。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『暴走ロボット犬『シベリー』』

POW   :    行動プログラム:甘噛み
【激しい噛みつき】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【習性と味のデータ】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD   :    行動プログラム:お迎え
【助走をつけて放つタックル】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
WIZ   :    行動プログラム:遠吠え
【激しい咆哮】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 集積場には、たくさんの物資が集まった。
 これだけあれば、周辺の拠点へ配給できる量も増える。
 どれも考えられたものであるため、とても喜んでもらえるだろう。
 これが無事に届けられればの話だが。

 遠くに見えていた真っ黒の邪悪な竜巻は、今や目の前にある。
 唸るような轟音、じきに辺りは真っ暗になる。
 前は見えない。強い風に飛ばされそうになりながら、耐える。
 少しして竜巻は過ぎ去る。いや、竜巻は消えたのだ。
 まるでここが目的地という様に、ぱっとオブリビオン・ストームが消えた。
 集積場を確認する。どうやら辛うじて直撃は避けたらしい。
 物資には傷はつかず、しっかり残っていた。
 ひとまず安堵する猟兵たち。
 しかし、事態はそれに収まらなかった。

 ワオォォォン。

 犬の遠吠え。
 それはオオカミのように力強く恐ろしいものだった。
 予測していた通り、辺りの粗大ゴミの中からオブリビオンが生まれたのだ。
 ぐっと目を凝らし、辺りを警戒する。
 すると、やんわりと、赤い幾つもの点が浮いている。

「あ、あれって…!」
 一人の猟兵が気づく。
 物資を運んでいるときに見た、あのハスキー犬型のペットロボットだ。
 じりじりとにじり寄ってくる。その正体を確認できる程に。
 ロボットたちはどうやら物資を狙っているらしい。
 特に食料の分けられた部分を中心にしている様子だ。
 今ここでは戦闘することはできない。大事な物資を傷つけてしまってはいけない。

 ふと、近くで拾ったおもちゃを思い出した。
 名前の書かれた骨のおもちゃ。
 ポケットから取り出すと、ロボットがそれに反応した気がした。
 もしかしたら誘導に使えるのかもしれない。
 骨のおもちゃを握りしめ、集積場から離れるように駆け出す。
 一匹のロボットが、それに反応し追いかける。
 その首には、同じ名前の書かれた首輪が光っていた。
ヴィリー・フランツ
【SPD】
目標:拠点より暴走ペットロボを引き離し、殲滅する

理由:発生は想定内だが、拠点近くでオブリビオンが湧くのは予想外だったな。
物質を巻き込む訳にはいかねぇ、外に誘い出すぞ!

手段:こんなにペットロボがいるなら、まだ骨の玩具があるはずだぜ!
(玩具を掴んで)おい犬ども!追い付いたら良いものやるぜ、着いてこい!

ここまで引き付けたら頃合いだな、おい犬ども!
てめぇらに食らわせるのは骨じゃねぇ、アサルトライフルの鉛弾だ!!(銃撃開始)
UB発動も発動、その赤い目玉ごと制御回路をぶち抜いてやるぜ!

(舌打ち)まだ居やがる…(タバコに火を付け)おいそこの若いの、ヤバい時こそ落ち着けよ、でないと簡単に死ぬぞ。


土谷・メイ
同類のロボット達……予想はついてたけど、オブビリオンになったのがキミ達だなんて。
でもオブビリオンはオブビリオンです。移動式砲台(戦車名)に乗り込みます!
念の為、【動物と話す】事がまだ彼らに出来るなら、人語あるいは犬語で「ステイ」を試します。ステイ維持が無理ならば…【範囲攻撃】と【吹き飛ばし】の【砲撃】用意。弾込め開始!

「…ごめんよっキミ達ッ!」
まだUCは使用せずに、ひとまず軽く吹き飛ばして皆を転ばせます。
そこから、改めてUC『チャージブラスター』を使用しますよ。狂ってしまったキミ達には制裁を与えなくちゃいけないんだ!頭を【部位破壊】する【一斉発射】!!薙ぎ払え!!

…他の皆の為なんだ。ごめんね。


アリステル・ブルー
連携アドリブok/味方のサポ積極的に行います。

最優先で他の猟兵に「あっちに戦闘しやすい場所がある!」と伝達。
集積所で敵を追い払います。
(余裕があれば、特に食品紙布類を中心になるべく多くの物資に持ってきた日除け布をかけます)
「これは大切な物だからあげらあれないよ」

その後は全力で戦闘復帰を目指します。
使用UCは「ジャッジメント・クルセイド」人狼咆哮よりも周囲に被害が出ず、命中が高いので最小限の被害になるのではないか、と。

ロボの稼働不可狙いで頭、もしくは行動阻害狙いで足を狙います。
基本は破壊/行動不可狙いですが他に何かしたい猟兵がいれば協力/サポート(囮になったりして時間を稼ぐ等)を行います。




 この事態に、いち早く行動を起こしたのはアリステル・ブルー(人狼のクレリック・f27826)、土谷・メイ(イヌの砲撃術【大】・f27738)、ヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)の三人だ。
 
「あっちに戦いやすそうな場所があったよ!この道まっすぐ!」
 アリステルは声を張り上げ、自身が見つけた戦闘に適した場所を皆に教えた。
 道なりにまっすぐ走れば着くと。複雑であれば、自身も付いていかなければならない。
 しかし、簡単であれば後から合流することもできる。
 アリステルにはやりたいことがあった。

「そうかい、そういう事なら任せとけ」
 ヴィリーはその話を聞き、そういう事なら自分が引き付けると名乗り出た。
 ロボットは集団で集まってきている。つまり、まだ骨のおもちゃがどこかに落ちていてもおかしくはない。
 ヴィリーは辺りを探す。
 が、そう運よくは見つからない。ぎりっと歯を軋ませる。
 少し焦りの表情を見せうつむいたその時、物資の影に一つ骨らしきものが落ちていることに気づいた。
 誰かが見つけて持ってきていたのだろうか。それとも慌ただしくしていた為、気づかず蹴って転がってきたのか。
 わからないが、今はそれに感謝する。

 骨のおもちゃを拾い上げ、ぐっと力強く握ると、高く振り上げこう叫んだ。

「おい!犬ども!追いつけたら良いものやるぜ、こっちだ!ついてこい!」
 声に反応し、ロボットたちは目でヴィリーを追う。
 そして一目散に駆け出した。

「俺も行く!…キミたちを放ってはおけないから!」
 積み荷を降ろし、散策したときに見つけたあのペットロボット。
 ロボットであっても、彼にとっては同類なのだ。
 そんな彼らがオブリビオンになってしまった事が…。なんとも言い難い感情になる。
 しかし、メイはその感情に引っ張られてはいない。
 他の皆のために、そしてオブリビオンになり狂ってしまった同類たちのために。
 彼は追わねばならないのだ。

「これは大切なものだから」
 二人がロボットたちを引き付けてくれたおかげで、アリステルには時間ができた。
 とはいえ急いで合流しなければならない。
 持ってきた日除けの布を広げ、手早く物資に被せる。
 特に食品や、紙、布類を中心に被せ、もしもに備える。
 これがアリステルのやりたかったことだ。

「こんなものかな。これで、もし何かあっても大丈夫なはず」
 ぱんぱん、と手を鳴らし、意気込んでから戦線復帰へ向けて足を動かした。


「あいつが言ってたのはここかい」
 一足先についたヴィリー。
 辺りを見渡し、なるほどと納得する。
 ここであれば思いっきり暴れても大丈夫だろう。
 少し遅れてロボットたちがやってくる。
 集積場に現れた個体全てが付いてきているようだ。
 メイもロボットに続いて辿り着く。ロボットたちを挟み込む形になった。

 グルルルル…。
 唸るロボットたち。
 何を考えているのかわからない。むしろ何も考えていないのかもしれない。
 目の前にあるそれに対しての欲望それだけ。
 その姿がどうしようもなく悲しくて、やりきれなくて。
 メイはなるべく傷つけず終わらせるため、ステイを試みる。
 せめて痛くないように。瞬時に終わらせるにはとどまっていてもらう必要がある。
 そうすれば、ロボットも、自分たちも傷つかない。
 まずは人語で試してみる。
 メイの声には反応するものの、ロボットたちは依然威嚇を続けている。
 人の言葉は分からないのか。はたまた彼らにそれほどの理性が残っていないのか。
 これではまだ判断はつかない。
 メイは犬語で再び試みる。
 グル…。
 多少威嚇は和らいだようだが、あまり効果はないようだ。
 やはり、今の彼らに目の前のものを追う事しか頭にないらしい。
 はたまたロボットだから言葉が通じないのか、それは分からない。

「やっぱり、だめなんですね」
 ぐっと歯を食いしばるメイ。
 これから、力業に出なくてはならないのだ。
 そんな様子のメイに、ヴィリーは声をかける。

「おい、そこの若いの。ヤバい時こそ落ち着けよ。でないと、簡単に死ぬぞ」
 最後の一言の凄みがすべてだった。
 数々の戦線を潜り抜けてきたからこそ、その経験があるからこその威厳。
 メイはその言葉にきっと鋭い視線で応えた。

「わかっています」
「上等だ」

 メイの返答に、満足した様子のヴィリー。
 紙巻きタバコを一本取り出すと、火をつける。
 戦闘開始の合図だ。

 ロボットたちが一斉にヴィリーに飛び掛かる。
 理性はなくとも、集積場での煽りに反応しているのか。
 流石は犬というべきか、狩りの本能からなのか統率の取れた動きだ。
 
「おいおい、そう急くんじゃねぇよ!てめぇらに食わせるモンなんざこれで十分だ!」
 ヴィリーはアサルトライフルで襲い来るロボットたちを狙い撃つ。
 ロボットたちも流石は犬だ。動きが俊敏で身軽に回避する。
 しかし、アサルトライフルの鉛弾は直撃こそしないものの確実にロボットたちの動きを制していた。
 これでは反撃に出ようにも動きが取れない。

「弾込め開始!」
 その瞬間を逃すまいと、すかさず援護に入るメイ。
 弾を込め、吹き飛ばし動きを止めるための砲撃を用意。
 そしてヴィリーのアサルトライフルに合わせて発射する。
 不意の方向からの砲撃に、ロボットたちは吹き飛ばされ体制を崩してしまう。

 その時だ。

「ジャッジメント・クルセイド!」

 その声が響くと共に、薄暗い空から光が降り注ぐ。
 それは神々しく輝き、鋭くロボットたちに突き刺さった。

「ぜぇ…はぁ…間に合いましたね」
 声の主はアリステル。
 息を切らし、おそらく全速力で走ってきたに違いない。
 しかし、彼の【ジャッジメント・クルセイド】は見事にロボットたちの足を止めることができた。
 息を切らしていたとはいえ、狙いは正確だった。
 数体は頭に直撃し、半分が壊れている。
 もう数体は足をやられ、動きが鈍くなっている。
 弱々しくも、唸り未だ戦闘態勢のロボットたち。
 
「…ごめんよっ、キミ達ッ!」
 声にならない声で吐き出すメイ。
 今が最大のチャンスなのは分かっているのだ。
 【チャージブラスター】の出力を高め、動きの鈍い同類たちに狙いをつける。
 そして最大出力で薙ぎ払う。
 苦しまないように。一撃で終わるように。その頭を目掛けて。
 心の中で謝りながら。他の皆のためなんだと、自分を言い聞かせながら。
 狂ってしまった彼らには、制裁を与えなければいけないのだ。

 このチャンスを見逃すはずがないのはヴィリーも同じだった。
 ロボットたちの気がそれた今なら、必ず当てられる。
 頭の半分を飛ばされたロボットが、ヴィリーに気づく。
 が、もう遅い。
 こちらに向けられたその赤い瞳を瞬時に捉え、鉛弾を放つ。

「その赤い目玉ごと制御回路をぶち抜いてやるぜ!骨の代わりにたんと食らいな!」
 鉛弾は見事命中。赤い瞳を中心に捉え、その頭を貫いた。
 見事な【ヘッドショット】だった。
 回路を貫かれ、切れたところから電気が漏れている。
 バチバチと音を鳴らし、次第にショートした。

 アリステルも続けて【ジャッジメント・クルセイド】を放つ。
 動きの鈍くなったロボットたち。今度はその動きを完全に止めるために放つ。
 再び天から光が降り注ぐ。
 今度は確実に。その頭を飛ばすように。
 光はその頭を貫き破壊する。

 タバコをふかしながら、ヴィリーは舌打ちをする。
 ロボットたちはこれで全てではないのだ。

「まだ居やがる」
 ヴィリーは鬱陶しそうに呟く。
 アリステルとメイはヴィリーに近づき陣を取った。
 たまたまだったのか、こちらの連携が上手だったのかは分からない。
 相手もまた統率の取れた動きをする以上、気は抜けない。
 じっとロボットたちを見る。目を離さぬよう、隙を与えぬよう。隙を見逃さないよう。。
 ロボットたちもまた、3人をじっと見る。
 しばしの静寂。
 そして再びぶつかり合うのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ニーヤ・カト(サポート)
『色々冒険していくにゃ!』
 ケットシーの探索者×ヴィジランテの男です。
 普段の口調は「猫(おいら、お前、呼び捨て、にゃ、にゃん、にゃあ、にょ?)」、偉い人には「丁寧(私、あなた、~さん、にゃ、にゃん、にゃあ、にょ?)」です。
お前が「おみゃー」となってしまいます。
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。基本的には女好きなケットシーです。昔は金持ちの見せ物になっていたという過去があります
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


響納・リズ(サポート)
「ごきげんよう、皆様。どうぞ、よろしくお願いいたしますわ」
おしとやかな雰囲気で、敵であろうとも相手を想い、寄り添うような考えを持っています(ただし、相手が極悪人であれば、問答無用で倒します)。
基本、判定や戦いにおいてはWIZを使用し、その時の状況によって、スキルを使用します。
戦いでは、主に白薔薇の嵐を使い、救援がメインの時は回復系のUCを使用します。
自分よりも年下の子や可愛らしい動物には、保護したい意欲が高く、綺麗なモノやぬいぐるみを見ると、ついつい、そっちに向かってしまうことも。
どちらかというと、そっと陰で皆さんを支える立場を取ろうとします。
アドリブ、絡みは大歓迎で、エッチなのはNGです


コーデリア・リンネル(サポート)
 アリス適合者の国民的スタア×アームドヒーローの女の子です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、機嫌が悪いと「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

内気な性格のため、三点リーダーや読点多めの口調になります。
ですが人と話すのが嫌いでは無いため、
様々な登場人物とのアドリブ会話も歓迎です。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


梅力岩・じぇしか
戻ってきたら…沢山おるねえ、犬さん!
俺より物資のほうば狙うんか。そいつは困るねえ

おもちゃの骨は残っとう? あれば、念動力で投擲して遊んだろかね
オブリビオンになっても喜んでくれるとかなあ。敵意がなかったら、乱暴しないであげたいねえ。襲われたら正当防衛でやり返させてもらうけん

骨だけでなく俺にも噛み付くか? よかよお、カウンターで錆付かせちゃる
UCで内側に入り込んで、ハッキングとかで稼働停止に追い込みたいねえ
後は、念動力でメスや注射器とかぽいぽい投擲して牽制するかな




 遅れて駆け付けたのは4人の猟兵だった。

「沢山おるねぇ…犬さん!」
 既に動けなくなったロボットたちと、未だ稼働を続けるロボットたちを見て声を漏らす梅力岩・じぇしか(ラストポリフェノール・f27845)。

「おみゃーさんら、ちょっとおいたが過ぎるにゃあ」
 大切な物資を狙って寄ってきたロボットたちを聞きつけたニーヤ・カト(猫の冒険家・f17782)。

「せっかく皆で…集めたのに…」
 同じく、物資が狙われたと知ってむぅ、と頬を膨らませているコーデリア・リンネル(月光の騎士・f22496)。

「悪い子は、め、としなければいけませんわね」
 稼働するロボットたちに向かって少し可愛らしい言い回しをする響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)。

 4人は各々戦闘態勢に入る。
 残りのロボットたちは依然興奮しているようだ。

「ふーん…?」
 じぇしかはロボットたちをじっくりと見る。
 彼は医療関係者なのだ。
 専門医ではないとしても、多少なりその意識の方向は感じ取ることはできるはずだ。
 彼らは少なくとも今は物資のことは頭にないだろう。
 あくまで目の前にあるもの。自分たちに意識が向いている。
 そのことに安堵し、戦闘に集中できるだろうことを皆に伝える。

「であれば、安心ですわ。少しお灸を据えて差し上げましょう」
 リズは美しいフルートを構えると、静かに優しい音色を響かせた。
 音色が響く中、その音色に誘われるかのように白い花びらが舞い始める。
 無数の白い花びらは、嵐のように舞い、ロボットたち目掛けて鋭く刺さる。
 それは美しきものには棘がある、薔薇の花そのものを具現しているようにも見えた。
 文字通り、【白薔薇の嵐】だ。
 
 ロボットたちはひらりと身体を翻し、ダメージを最小限に抑える。
 やはり動きが俊敏で足を止めなければ直撃は狙えない。
 ロボットたちは先程の戦闘で猟兵たちの連携の凄さを学んでいた。
 彼らの陣形、連携を崩すため各々に狙いを定め襲い掛かる。

「んにゃ!?」
 ロボットのタックルを間一髪で避けたニーヤ。

「不意打ちはずるいにゃあ」
 ロボットによるとてつもない勢いのタックルは制御が利かず、近くの瓦礫の山へと突進する。
 瓦礫の山ははじけ飛び、当たっていればシャレにならないレベルだと知らせている。
 ニーヤはよく避けたと自分を褒め、今度はこっちの番だと構えた。
 瓦礫から顔を出し、ぶるぶると顔を振るロボット。
 ぱらぱらと粉砕された瓦礫の粉が振り落とされる。
 と同時に、素早く近づき爪を突き付けるニーヤ。
 【クイッククロー】で一撃を入れた。
 不意を突かれたロボットはそれをまともに受ける。
 ロボットは怯み、ニーヤから距離を取る。

「おみゃー、中々やるにゃ」
 ロボットは答えるようにぐるる…と唸り、静かな時間が流れた。

 コーデリアもロボットと見合っていた。
 互いに隙がなく、時間だけが流れている。
 しっかり握った内部で光子が渦巻く銃の銃口は、ロボットを捉えている。

「大切なあの積み荷…まだ狙うのであれば…許しません」
 一発、バンッと放った光子の弾と、その銃声が静寂を破った。
 光子の弾を避け、その勢いからぐっとコーデリアとの距離を詰めるロボット。
 鋭い牙を見せ、大きな口を開くロボットをコーデリアはそれを読んでいたのか、ひらりと躱す。
 ロボットは勢いのままコーデリアの服へかみつき、引き千切った。
 それと同時に、銃を放つコーデリア。
 至近距離になるこの瞬間を狙っていたのだ。
 光子の弾はロボットを貫き、弾の勢いで吹き飛ぶ。
 ロボットは致命傷にはならなかったが、少しふらりとしていた。

「…まだ、立つのですね」
 コーデリアは改めて銃を構えた。

 じぇしかは自身の持ってきたメスや注射器をふよふよと浮かべている。
 その中に、おもちゃの骨も紛れていた。
 ロボットは心なしかその骨を気にかけているようで、目で追っているように見えた。

「ちょっと遊んだろかねぇ」
 じぇしかは骨のみをふよふよとちらつかせ、ロボットを煽る。
 ロボットはぐるるる…と小さく唸る。
 そして猫じゃらしに飛びつく猫のように飛び跳ね、骨を手に入れようと暴れた。
 しばらくは骨を追っていたが、それを操るのがじぇしかだと理解したのか標的がジェシカへと移る。

「おっと、ばれよったね」
 ぱっと骨への念動力を解き、骨は地面へと落ちるがロボットの眼中にはもう存在していない。
 念動力でメスや注射器を操り、ロボットを牽制していくじぇしか。
 しかし、ロボットは身軽にそれを避け、じわりじわりと距離を詰めてくる。
 そして一瞬の隙間を縫い、一気に距離を詰めてくるとじぇしかに勢いよく噛みついた。
 にやりとじぇしかは不敵に笑う。
 これが狙いだったのだ。噛みついたその口から、じぇしかは入り込む。
 噛みつかれた腕は紫色に変色し、【紫色の錆】に変異した。
 入り込み、錆を広めていく。
 じわじわと蝕んでいくじぇしか。そして制御回路までもその手中に収めたのだ。
 制御回路を奪われ、行動ができなくなったロボットは、力なくだらりと項垂れる。
 ぱっと腕は元に戻り、じぇしかは欲しがっていた骨のおもちゃをそっとその上に置いてやった。

 リズを狙うロボットは、周りが単騎でやられているのを見ると遠吠えをする。
 リズはその大きな音に思わず耳を塞ぐ。
 コーデリア、じぇしか、ニーヤにもその遠吠えは届き、皆耳を塞いだ。
 その瞬間にまだ稼働しているロボットたちは再び集まり陣形を取る。
 単騎では不利だと考え、今一度連携を用いた戦闘に切り替えたのだ。
 その様子に、猟兵たちももう一度集まる。

「あの…少しの間、彼らの足を止めててもらえませんか…?」
 コーデリアは3人に頼む。
 自身の【ヘビーアームド・ウェポナイズ】で一掃できないかと考えたのだ。
 一瞬でいい。狙いをつけ、一瞬の隙があれば。
 3人は、やってみよう、と了承すると各々構える。
 念動力でメスや注射器を操るじぇしか。
 己の拳で牽制するニーヤ。
 美しい白薔薇の花びらを奏でるリズ。
 単騎での行動が仇となり、うまく動けないロボットたちは、それを避ける事しかできなかった。

「これで…さよなら、です」
 コーデリアはしっかりとロボットたちを狙う。
 狙いを定め、時を待つ。
 全てのロボットに当たるであろうその瞬間、コーデリアは溜めに溜めた光子の力を解放した。
 その光はロボットたちを貫き、粉砕する。
 光が消えたその場所に残ったのは、ロボットたちの残骸であった。

 無事にロボットたちを殲滅した猟兵達は、集積場へと戻り、そして配給へと向かう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『荒野の日常』

POW   :    廃墟の街を散策する。

SPD   :    周囲の砂漠を散策する。

WIZ   :    星空を眺めて過ごす。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アリステル・ブルー
(連携アドリブ歓迎)

「みんなお疲れ様でした!」
無事に倒せて良かったね。
とりあえず僕は持ってきた物資を中心に運ぶね、もちろん他のものも。来た時と同じく【影身】を呼んで手伝ってもらうよ。
他の猟兵さんが手伝い必要ならそっちも手伝うねー!

住民たちにはそうだね、
「そう言えば特に必要な物資とかある?残念ながら確約は出来ないんだけど」
って聞いてみたいな。
次にここに来る猟兵たちにそれを伝えられたらいいよね。
あと台車を持ち込めば良かったなぁ…。

残りの時間は拠点見て回るね。
僕に出来る事と言えば戦う事ばかりであとは祈る事、治療がちょっとだけ…だけど。
思ったよりこの世界に愛着がわいたみたいで、記憶しておきたいな。




 場所は拠点。
 忙しく人が行き交いし、騒がしいとはまた違う騒々しさがある。
 アリステル・ブルー(人狼のクレリック・f27826)は自身の持つ物資に目を落とし、作戦の成功に安堵の息を漏らした。
 無事に倒せてよかった。物資も無事に守られた。
 本当に良かった。
 ちょいちょい、と肩をつつかれる。
 顔をあげると、そこには自分と全く同じ人物が、同じように物資を抱えて立っていた。
 違いがあるとすれば、それは彼の影であり、真っ黒であるということぐらいか。
 きっと彼の【影身】であるのだから、心も優しいのだろう。
 あっちに人がいる、と視線を向け、顎をくいっとしてみせた。
 その方向を見てみると、ひとりの少女が真剣な顔で本を睨んでいた。
 少女というには大人びている、女性というには幼さの残るその少女。
 真剣な表情に、時折悩むように顔をしかめる。そんな彼女に、影身は興味を持ったようだ。
 アリステルはそっと近寄っていく。影身も後ろをついていく。

「こんにちは。…もうこんばんはかな」
 少女に声をかけるアリステル。
 彼女は近寄る彼の存在に気づかなかったのか、その声に驚き小さくヒッと声を上げた。
 そしてアリステルの顔を見て、目を見開き固まる。
 この拠点では見覚えのない人物。後ろには似たシルエットの影が箱を持って立っている。
 何なら動いている。恐怖を覚えないわけないのだ。

「あ…驚いちゃったかな。ごめんね。僕、ここの拠点に支援物資を持ってきたんだ」
 悪い人じゃないよ、とにこりと笑う。
 うまく笑えただろうか。
 少女は警戒を解くが、未だに不信感を乗せ睨むような表情でアリステルを見ている。
 こんな状況なのだ。こんな状況だから、善意で物を持ってくる人はいない。
 大抵は騙すための文句、取り入るための罠。
 皆自分が一番なのだ。だから奪い合いが始まる。騙し合いが始まる。
 それがこの世界というものなのだ。

「あー…と。何をしていたのかな?なんだか、真剣な様子だったけれど」
 物資を置き、目線を合わせるようにその場にしゃがむ。
 あんまりの警戒する様子に、頬を掻く。
 その瞬間、少女は距離を取る様に立ち上がる。いつでも逃げ出せるように。構える。
 後ろの影身は、物資を置くと、ぱっと両手を顔の高さに上げる。
 少しおろおろしているようにも見える。
 そんな様子のアリステルたちに、次第に警戒心が薄れていく少女。

「……これ」
 少女はぽすんと、さっきいた場所に座り、目の前に本へ視線をやった。

(これは…医学に関する本…?しかもこれって、かなり難しいレベルのものじゃないかな…。
 基礎知識がないと到底理解は難しいものだろう…僕にもさっぱりわからないから)

 驚くほどの難解な本。それを読んでいた。
 もちろん、彼女は何一つ理解できていなかった。基礎知識が足りていないのだろう。
 少女はじっと本を見つめるアリステルを見ると、ふんっと鼻を鳴らした。

「どうせ、アナタもこんなもの読めないのに時間の無駄だっていうんでしょ。バカのやることだって笑うんでしょ」
 彼女は不貞腐れたのだ。大人たちにバカにされてきたのだろう。
 なんとも年相応の態度に、アリステルはなんだか微笑ましく思った。

「そんなことはないよ!僕はえらいと思う!」
 アリステルは言うが、少女は信じない。
 ふん、と顔を背けつーんとしてしまっている。
 アリステルは何とかしようとあわあわしている。その様子が面白くて、影身はくすくすと笑う。
 もちろん、顔はない。声も出せない。影そのものなのだから。
 しかしわかるのだ。笑っていることが、楽しそうにしていることが。
 なんとも不思議な事であっても、これはなんら不思議ではないのだ。

 影身は自分の持ってきた物資をそっとアリステルのそばへと持っていくと、これ、と指さした。
 アリステルは、少しの間きょとんとしていたが、すぐその意図が分かった。
 箱を開け、中を漁る。たくさんの本をかき分け、一冊の本を取り出す。
 そう、自身が持ってきた物資を運んでいたのだ。
 後ろから覗いていた少女は、その本を見て目を輝かせる。
 散々、あの難しい本を眺めていたのだ。今更わからないわけがない。

「それ…!」
「うん、医学書。って言っても、君が持っていたものより簡単なものだから、基礎知識ぐらいは得られると思う」
 流石よくわかったね、とにこりと微笑むと本を少女へ渡した。
 少女は目を輝かせながら早速本を開いてみる。
 先程の本とは違い、ちゃんと読めることが嬉しいのか、真剣な、楽しそうな表情で目を通していた。

「医学が好きなのかい?」
 少女に問う。これほどまでに真剣に読んでいるのだから、相当好きなのだろう。
 そう思った。しかし返答は想像とは全く違うものだった。

「全然。難しいのは好きじゃない。でも…」
 母と弟が、亡くなったから。
 アリステルは息を呑んだ。
 二人はオブリビオンに襲われ命を落としていた。
 母は致命傷で、治療が間に合わなかった。弟は足を持っていかれた。
 適切な処置がされなかったせいで感染症。

「…ごめん、そんなこと…知らなくて…」
 聞いてはいけない事だった。アリステルは後悔する。
 謝るにも言葉が見つからず、しどろもどろになる。

「いいの。知らないなんて当たり前だし。それに…」
 これで、お父さんは助けられるから!
 少女は嬉しそうににっこり笑った。最初の出会いの時とはえらく違っていい笑顔だ。
 喜んでもらえたようだ。

「それはあなたが貰ってよ」
「いいの!?」
 少女は驚きのあまり大きな声が出る。

「もちろん。そのために持ってきたから。他にもね」
 影身も、ぐっと親指を立てている。グッジョブ、だそうだ。
 少女は嬉しそうに、ありがとう!というと本を抱きしめた。
 その様子に、アリステルは安心する。
 自分の持ってきたものが役に立った。こんな嬉しいことはないだろう。

 少女と別れ、持ってきた本も本を扱う場所の人に置いてきた。
 図書館とまではいかないが、図書室のような場所はある。
 その場所を管理する人へと預けてきた。

「ありがとう、助かったよ」
 影身へと感謝を告げる。
 物資を運ぶのを手伝ってもらったのだから。影身は、紳士のようにお辞儀をし、消えていった。
 …あんな性格だったっけ。なんだか恥ずかしくなる。
 ちなみに、他にどんな物資が欲しいか、あの後聞いてみた。
 ところが押し問答のようになってしまった。提案されるものは全て持ってきてあるものだ。
 ひとまず、今回集まった物資の種類を中心に…とするよう報告することにする。

 一仕事終え、じっと拠点の中を眺める。
 忙しなく働く人。走り回る子供たち。喧嘩している夫婦。祈りを捧げる老人。
 皆、懸命に生きている。守る為に動いている。
 彼らのために、自身ができることなんて少しばかりの治療と、祈る事ばかり。
 あとは戦う事だけ。これが彼らのためになるのかは分からない。
 それでも、自分も懸命に生きようと思った。できることを精一杯やっていこうと思った。
 アリステルはこの光景を目に焼き付ける。忘れないように。糧になるように。
 思ったよりこの世界に、愛着が湧いたみたいだ…なんてね。

成功 🔵​🔵​🔴​

草野・千秋(サポート)
日常ですか
それとなれば戦いとは全く違った
和やかのほほん雰囲気で楽しむでしょう
子どもとお年寄りには優しいつもりです
少年のように童心に帰るように
とは言いつつお酒は笑い上戸だったりします
あと馬鹿力です、怪力です
力こそパワーです(ふんす)
子どものように無邪気に微笑みつつも
飛び込む世界関係なく楽しみましょう
平和こそ宝ですよ
特に子どもの笑顔は
場がノってきたらシンフォニック・キュアや
他歌UCで盛り上げたりも
こう見えて歌い手としては結構名を馳せてまして
世界共通で通じるといいのですけど
その際は歌唱を使用
そしてサイボーグで酩酊しないはずなのに笑い上戸
日常こそ猟兵の癒しには大事
公序良俗に反する行動NG




 草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)は、その持ち前の怪力で建築資材等の運搬に当たっていた。
 黙々と資材を運び、周りを見渡す。
 本当にいろんな人がいる。自分と同じように重いものを運搬する男性たち。
 洗濯物を取り込んだり、火を起こしてご飯を作ろうとしている女性たち。
 元気よく走り回る小さな子供たち。それを宥めるお兄ちゃんお姉ちゃん。
 皆必死に生きようとしているこの光景は、大変なものだと、望まれるものではないと分かっていながら、どこから美しくも感じ、平和なようにも思えて。
 この光景が続けばいいのにと思う。
 こんな日常は、きっと自分たち猟兵にも必要なものなのだろう。

 何度も往復し、山積みであった物資もだいぶはけてきた。
 もう少しだ、と大きな積み荷を運ぶため持ち上げた。
 ちょうどその時だ。

 ドンッ。

 力いっぱい何かにぶつかった。いや、ぶつかられたというほうがいいか。
 腰辺りにきた振動。驚いて振り向くと、底には小さな男の子たちがいた。
 ぶつかってしまった子供たちは、怒られる!と目を潤ませ、きゅっと目を瞑る。
 千秋はガタイがいい。身長も高めで、肉付きも良く、大きな大きな積み荷を持ち上げられるだけの力がある。
 子供たちにとっては、やはり怖いのだろう。
 そんな様子の子供たちに、千秋はにこりと笑っていった。

「大丈夫ですか、怪我はない?」
 優しい声。彼は歌い手なのだ。優しく、恐怖心を拭うような声色。
 そんな声に、子供たちはえぐえぐとしゃくりながらもこくりと頷く。

「よかったです。元気なのはいいことですよ」
 優しく笑いながら、微笑みかける。
 次第に子供たちはけろっとしだし、きゃっきゃと遊び始める。
 千秋にも絡むようになり、足の筋肉を触ってみたり、抱き着こうとしてみたりと騒がしい。
 子供が嫌いなわけではない千秋は、かわいい子供たちに微笑ましく感じつつも、一応は仕事中である、ということに少し悩む。
 子供たちに、遊んで!とせがまれると、遊んであげてくもなる。
 すると、同じように資材を運んでいた拠点の男性が見かねて声をかけてきた。

「にーちゃん、もうずっと手伝ってくれてんだろ。休憩したらどうだい?」
 休憩を取ったらどうだと提案をしてくれる男性。
 現に、配給作業が始まってからずっと運び続けているのだ。サイボーグとはいえ、疲れが出ないわけではない。
 しかし、自分だけが休憩するというのも心苦しい千秋は、でも…と口ごもる。
 嬉しい提案なのだが、やはり悩ましい。

「休憩も必要だぜ、それに、そいつらの相手でもしてやってくれりゃあ助かるよ」
 暴れられちゃあ、危なっかしくて仕方ねぇ。
 そう付け足し、かかかと豪快に笑う。
 そこまで聞いて、千秋はその申し出を受けることにした。

「おにーちゃん力つよーい!」
 子供たちはきゃっきゃと千秋の腕を引いていく。
 特に何かをしたわけではない。こうも気に入られた理由は分からない。
 しかし、子供は敏感なのだ。きっと、彼の優しい心を感じ取ったのだろう。

 千秋は、力こぶを作り、そこに捕まらせると、落ちないようにゆっくり持ち上げる。
 子供たちは、すごいすごい!と喜び、ぶら下がって遊んでいる。

「あっはは、僕たちもすごく力強いですね!」
 千秋も笑顔で遊んでいる。サイボーグとは思えない、とても表情が豊かな彼は。
 人間味あふれる彼は、なおの事子供たちに好かれたのかもしれない。
 そんな様子をみて、先程の男性も微笑ましく思う。顔がほころび、自然と笑みがこぼれる。
 そして力も湧いてくる。
 ここで生きている人はいっぱいいっぱいなのだ。
 申し訳ないとは思いつつ、やはり短気になってしまう。イラついてしまったりして、子供たちと遊んでやるような余裕がないのだ。
 だから、千秋が遊んでやってくれることがとてもありがたい。
 子供たちにとっても、大人にとっても、とてもリフレッシュになっただろう。
 千秋にとっても同じだった。
 子供たちは満足したのか、おなかが空いたのか、名残惜しそうに帰っていく。
 また遊んでね!と大きく手を振って走っていった。

「にーちゃん、ありがとうな」
 再び物資の運搬の手伝いに戻る。
 すると、休憩を提案してくれた男性が礼を言っていた。
 自分は何も…と謙遜するが、男性は許さない。

「あいつらのあんな顔、久しぶりに見たよ」
 男性は少し寂しそうに、安堵したような、なんとも言えない表情をしていた。

「…ほんとに、いい笑顔でしたね」
 願わくば、あの笑顔が消えてしまわないように。
 自分ができることを。そう思った。
 子供たちの笑顔を思い出し、ぐっと拳を握る。
 あの笑顔こそ宝だ。平和の象徴であろう、あの屈託のない笑顔こそが。
 あの宝を守る為、戦おう。できる限りのことを。
 そう心に決め、再び物資に手をかけた。

成功 🔵​🔵​🔴​

梅力岩・じぇしか
さてさて、医療行為はじめよか。少しでも多くの人が痛い思いせんようにしたいけんね
なあに、信用できんと?そりゃそうよお!ちゃんと警戒心持っとるねえ、偉かー

ばってん、今必要なのは医者の力やなくて医学の知恵やね
一緒に応急処置ばやってみらん?難しくなかよ、落ち着いてやればいいの。方法さえ知ってりゃ誰だってお医者さんになれるもんやし

今、自分のことで手一杯なのは当たり前やね。毎日大変やもんね。けどね、手広げたら誰かが手エ取ってくれるから
だけん、まずは挨拶から始めなさい。声交わして、一緒に飯食って、一緒に過ごせば家族になれる……説教くさかねえ、俺
踏ん張って、気張って、生きれな。休んでもよかけん、死なんでね




 梅力岩・じぇしか(ラストポリフェノール・f27845)は、拠点をうろうろとしていた。
 配給するため自身が持ってきた物資を手に、怪我人を探す。
 正確には、医療関係の場所。怪我人や病人を集めている病院のような。
 医療関係者として、少しでも苦痛の減らしたいと考える。
 そんなじぇしかの耳にふと唸るような、か細い声が聞こえてきた。
 近寄ってみると、小さなテントが経っている。
 中を覗いてみると、女の子と男の子、そして一人の青年がいた。
 女の子がうずくまり泣いており、男の子は何度も謝っている。
 青年は医療キットのようなものを手に少しあたふたとしているようだ。
 焦っているのか、じぇしかの存在には誰も気づかない。
 仕方なく、声をかけてみることにした。

「あー…どげんかしよったと?」
 声をかけると、男の子はびくっと飛び跳ねるほど怯え、女の子は依然と泣いている。
 二人を守る様に、立ち塞がろうとする青年。
 そんな姿に、じぇしかは安心感を持つ。
 彼らは警戒しているのだ。警戒心をしっかり持っている。簡単には人を信用しない。
 こんな世界では大事なものなのだ。

「なぁに?疑いよると?なぁんもせんよ」
 あっけらかんと言ってみる。カマかけとまではいかないが、揺さぶりはかけられるだろう。

「…誰ですか。どうしてここにいるんですか」
「んー?怪我しよる人とかおらんかなぁって探しよるのよ」
 支援物資を配給しに来たこと、そして自分が医療関係者であること。
 何かできないかと、怪我をした人を探していた事等を説明した。
 手に持っている物資も見せ、医療道具が入っていることを見せた。
 一通りの説明を、静かに聞いていた青年は、警戒を解かない。
 証拠を出せと言わんばかりの表情だ。
 後ろで女の子はまだ泣いている。見ると小さな血だまりができている。
 ただ事ではないと考えたじぇしか。

「信用できんと?そりゃそうよぉ!警戒心もちゃんと持って、えらかねー」
 ひとまず、青年はしっかりと警戒を解かず冷静な様子に満足する。
 これだけしっかりしているのなら、大丈夫だ。

「ひとまず、女の子ギャン泣きしてるよ、話ば聞かせてもらっていい?血が見えよるから、気が気でないんよ」
 女の子は血を流しているのだ。

「信用ないなら、手は触れない。後ろで組んでおいてもいいよ」
 ダメ押しで交渉する。
 青年は少し迷ったものの、自分たちではどうしようもない状況にじぇしかを頼ることにした。

「この子…怪我、したみたいで」
「ぼく、ぼくが、押しちゃって、そしたら、こけて、そこに、あぶないものあって…!血が、ずっと、出てて…っ」
 女の子を見せてもらう。男の子は、自分がぶつかってしまったせいで、こけたのだと説明してくれた。
 えぐえぐとしゃくりあげ、ずっとごめんね、ごめんなさいと謝り続けている。
 女の子は腕を深く切っていた。と言っても、見た感じ致命傷にはならない。血もすでに止まりかけており、大事ではないようだ。
 ほっとする。

「大丈夫、これぐらいなら、なんも心配いらんよ」
 傷が少し深い程度であること、すでに血は止まっており心配はない事を伝える。
 とはいえ、このままにしておくのはまずい。傷口は少し深く、開いている為手当ては必要だ。
 黴菌が入ってしまう。

「ばってん、安心ばしたらいかん。ちゃんと手当ばしないと」
 見た感じなにもされていない。
 まぁ、かなり焦っていた様子だったので、当然かもしれない。
 じぇしかは思う。やはり、医者の力だけではない。道具だけでもない。
 知識も必要な支援物資であると。
 医学の知恵を持ち合わせなければ、医療器具があっても使えない。
 逆に言えば、きちんと知恵があれば、誰であっても医者になれるのだ。

「でも、俺…わからなくて…」
 悔しそうに話す青年。

「俺がしてもいいけど…一緒に応急処置ばやってみらん?」
 ばっと顔を上げる青年。
 じぇしかは、共に応急処置を行うことを提案した。
 自身が一人でやってもいい。が、それではおそらく警戒心をまた煽るだけだ。
 どれだけ時間が経っているかはわからない。だからこそこれ以上は時間をかけられない。
 医療には時間が命になるのだ。
 やり方を教えることもできるし、これなら青年も頷きやすいのではないかと考えた。
 青年はこくっと頷くと、表情を引き締める。
 その顔は覚悟を決めたいい表情だった。
 そんな様子の青年に満足するじぇしか。

「なら、早速始めよう。まずは…」
 ゆっくり一つずつ指示を出すじぇしか。
 まずは布を濡らし、患部を綺麗に拭く。血で見づらかった傷口は、はっきりと見える。
 真っ赤に染まった布と、その傷口、痛みに反応する女の子に青年は怖気づいてしまう。手が震えてしまう。

「大丈夫。ゆっくりでいいの。落ち着いてやればいいの。難しくなかよ」
 これぐらいであれば、縫う必要もないだろう。
 あとは消毒をして、救急パッドを貼る。もし異物が刺さっていれば取り除く必要があるが、そういうこともない。
 青年は不慣れながら、手当てを終えた。見栄えはぐちゃぐちゃ。しかし、患部はしっかり手当されていた。

「うん、これならおっけー。ようやったねぇ」
 青年はやり終えて、放心している。おそらく、実は気が小さいのだろう。
 それでもこの子達を守る為じぇしかに噛みつき、手当てを行った。
 彼はかなり頑張ったと思う。
 女の子も。消毒はしみていたかっただろうが、最初程声を上げなかった。
 男の子は懸命に女の子の手を握り励ます。皆相当頑張っていただろう。

「皆えらかねー、立派なお医者さんばい」
 うんうん、と頷く。

「あの!ありがとう、ございました!」
 青年はじぇしかへと礼をする。
 じぇしかは少し驚いたが、すぐにっこりと笑って返した。

「ええんよー。俺にはこんなことしかできんもん。ちゃんとお礼ば言えてえらいねぇ。
 そうやって、挨拶ばするのは大事よ。一言でも、無意味じゃなか。
 人はね、手を広げれば、手を伸ばせば、同じように手を伸ばしてくれるもんなんよ」
 青年は静かにじぇしかの話に耳を傾ける。
 女の子も男の子も、じぇしかを見上げて話を聞いていた。

「声交わして、一緒に飯食って…そうやって一緒に過ごして、家族になれる。
 疲れたら休んでもいい。踏ん張って頑張って生きれな。死なんでね」
 その為の術は、いま教えた。そして、君が伝えていくんだ。
 青年はその言葉に、力強く頷いた。

 医療関係の物資はそこへ置き、テントを出る。

「ちょっと、説教くさかねぇ…俺」
 先程の自分の言葉を思い出し、ふはっと笑う。
 自分がこんなことを言うなんて。とも少し思う。それでも、あれは紛れもなく自分が発した言葉なのだ。
 あれは、自分が感じた言葉なのだ。

「あの!」
 後ろから大きな声で呼び止められた。
 振り向く。

「ありがとうございました!俺たち生きますから!絶対!家族みんなで!!!」
 青年が大きく手を振っていた。
 男の子と女の子も、両手を振りありがとうを叫んでいる。

「おう!」
 一言返す。なんだか、悪くない気分だ。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィリー・フランツ
目的:ラジオの修理と荷物の運搬

理由:よっしゃ!集積された物資を各拠点に配布出来る!
っと、その前にラジオを修理して聴こえる様にしねぇとな。

手段:第1章でバラした部品と第2章のペットロボのケーブルやスピーカーと言った部品を合わせて、輸送隊の出発時間迄にラジオを出来るだけ多く復元するぜ。

何でこんな事するかって?
たまに聴こえるノイズまみれの声は安否報告や救援要請無線だろ?

余裕のある拠点なら、その声に応えられるかも知れねぇ、だから直したんだよ。

後はUCのドローンにフックを引っ掻けて、ラジオを載せた荷物の搬出・運搬の手伝いだな。

俺は車を持ってねぇからな、集積所で荷役に専念するぜ。
煙草は…今日は禁煙すっか




 ドローンが空を飛んでいる。
 少し重いのか、いつもより低めの位置を飛んでいるように思う。
 ヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)は、機械部品の詰まった箱を持っていた。
 入りきらなかった分は、ドローン引っ提げてある。

「間に合わなかったからなぁ…」
 箱に目を落とし、ため息をこぼす。
 実は配給が始まる前に、見つけたラジオを修理しておきたかったのだが、時間が足りなかったのだ。
 ノイズに紛れた声が聞こえていたことを考えると、おそらく安否報告や救援要請の無線である可能性が高い。
 それを拾うことができれば、拠点同士の連携等に使えるかもしれない。
 それに、ラジオとして使えれば娯楽にも使えるかもしれない。
 故にどうにかこれを修理して見せたかったのだ。

「ま、帰還する時間までには何とかなるか」
 適切な場所を見つけ、箱の中身を広げる。
 部品と、壊れているラジオ。借りてきた修理道具。
 早速取り掛かる。
 骨が折れそうだ。

 しばらく弄っているが、中々うまくはいかない。
 頭をガシガシと掻く。少しイライラしているようだ。
 その時、周りが薄暗くなった。目の前に誰かが立ったらしい。

「あー…すまねぇがちょっとどいてくれるか?見えねぇんだよ」
 顔を上げると女の子が立っていた。缶コーヒーを手に持って。
 少し低いヴィリーの声に、びくっと身体を揺らす。
 怒られた時の反応だ。
 怖がらせてしまった事に少し反省する。

「あー……その、悪いな。怒っちゃいねぇよ。なんだ、どうした?」
 ヴィリーは目を泳がせて答えた。次の言葉で泣くんじゃないか。
 そんな気持ちから中々言葉が出ず、もどかしい話し方になる。
 女の子は、おずおずと缶コーヒーを差し出した。

「おじさん…怖い顔してたから……これ…」
 勇気を振り絞った声。プルプルと震えながら缶コーヒーを握る手。
 なんだか申し訳ない気持ちになる。

「そうか。くれるのか?」
 女の子はこくりと頷く。

「サンキューな。ちょうど喉が渇いたんだ」
 はははと笑う。なんだかぎこちないような気もする。
 うまく笑えているだろうか。

「…おじさん、何してるの?」
 女の子は、なんとなく、緊張感が解けた気がした。
 ヴィリーは安心する。

「これか?ラジオだよ。知ってるかい?嬢ちゃん」
 ヴィリーはこのラジオを修理していると説明した。
 無事に動けば、遠くの人の声を聴けるかもしれない。音楽を聴けるかもしれない。
 いろんな説明をした。女の子は真剣に聞いていた。
 作業はさっきより進んだ。
 女の子がいるからか、気を貼りすぎていたからか。
 理由は分からないが、集中力が上がったのは確かだ。
 もしかしたら、早く女の子に見せてやりたいのかもしれない。

「うし、これで動くぞ」
 ようやく一つ。かなり時間がかかってしまったため、この一つが限界かもしれない。
 もちろん諦めるつもりはないが。
 ひとまず、このラジオを稼働させてみる。ジジッとノイズが走る。

「何も聞こえないね」
「だな」
 チャンネルをいろいろ変えてみるが、音は聞こえない。
 やはり局が少ないせいか。
 これでは修理したとて意味がない。
 その時だった。
 ジジッと再びノイズが走る。そして、そのあと、声が聞こえてきた。

『お父さん。どこにいるの?お父さんは元気かな。私は元気だよ。お母さんも元気』
「これって…」
 無線が拾えた…?
 小さい女の子の声。歳はおそらく、ここにいる女の子と同い年ぐらいだろう。
 女の子の声の後に、女性の声も聞こえた。お母さんだろうか。

「おーい、ミカちゃーん!」
 “ミカ”を呼ぶ声。
 側にいた女の子が、あ!と反応する。この子の名前のようだ。
 女の子は、ここだよー!と手を振り声の主を呼ぶ。
 すると、ひとりの男性が走ってきた。

「急にいなくなると危ないじゃないか!」
 息を切らす男性は、女の子の無事を確認し安堵する。
 女の子は先程の事を無邪気に話す。なんというか、やはり子供だなと思う。
 男性は、一目でヴィリーが猟兵だと分かった。
 物資が来てから、忙しく皆が動いているのだから、わかるのだろう。
 ありがとうございますと礼をする男性。
 するとその時。
 再びラジオが鳴った。
 先程の親子の声が流れる。その声を聴いた男性。

「…み…き」
 ぽそりとつぶやき、ラジオの前で崩れる。
 そして、よかった、よかったとラジオを握りしめていた。
 男性が落ち着いたころ、話を聞いてみた。
 聞けば、あの親子の声は、男性の家族だそうだ。
 逃げる時にはぐれ、以来安否が不明だったそうだ。
 ミカと呼ばれた女の子は、年齢も娘と同じだったため、自身の娘のようにかわいがっていたらしい。
 本当にありがとうと何度も何度もお礼を言う男性は、笑顔と涙でぐちゃぐちゃだった。

 ラジオはそれから、時たま無線やどこかの放送を受信しているらしい。
 一仕事終え、ヴィリーは一服しようとポケットから煙草を取り出し、火をつけようとした時。
 ふと、先程の男性を思い出した。誰かのためになったというのは、やはり心地がいい。

「…今日は、やめとくか」
 なんとなく、ヴィリーは煙草をそっとポケットへと戻した。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月02日


挿絵イラスト