地獄に立てられし十字架!極天十字拳の絶技
#アポカリプスヘル
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その古びた寺院の内部は、異様なまでの熱気と緊張感に満ちていた。
熱気――否。殺気と言ってもいい。広場の中心で格闘する、二人の男。そして、それを取り巻いている数十人の老若男女。彼らは一様に、血と汗で汚れた揃いの稽古着に身を包んでいる。この寺院は、武術の道場なのだ。
無数の拳打が、蹴りが乱れ飛ぶ。そして、激突のたびに響く凄絶な打撃音。やがて熾烈な攻防の果てに、一撃を受けた男が倒れ伏す。
「それまで!」
荒い息を吐きながら、打ち倒した相手を見下ろす男。ここは、『極天十字拳』という武術流派の総本山。勢力拡大のために他流派を吸収し、強くなるためには同門同士の序列争いも辞さない、冷酷非情で知られる拳法である。
「ハーッハッハッハ! その意気だ!」
人の波が真っ二つに割れ、奥から白いコートを纏った女が姿を見せた。門下生同士の死力を尽くした壮絶な仕合に満足げな笑みを浮かべる彼女こそが、この武術家集団の総帥である。
「生きることは、即ち戦いだ。強き者が生き残り、脆弱な者が死していくは世の摂理。命と魂を削る戦いこそが、己を高みにのし上げるのだ! 死にたくなければ戦え! 戦わなければその震えは止まらぬ! 技を磨き上げ、もっと強くなれ。私の首を獲るまでにな!!」
それが彼女の持論であり、人生観だった。門下生達にかけられた言葉は鼓舞ではなく、もはや呪縛に等しいものであった。
「メンバーは揃ったかな? それでは今回の作戦を説明しよう」
ある日のグリモアベース。作戦会議に集まった猟兵たちの前で、ガーネット・グレイローズは輝く物質グリモアを取り出しながら口を開いた。
「アポカリプスヘルでは、レイダー(野盗)と呼ばれるオブリビオンが人類の施設を占拠してアジトとしていることが多い。今回は、そんなレイダーの拠点のひとつを叩きに行ってもらいたい」
ガーネットがキューブ状のグリモアを操作すると、廃墟と化した街の映像が虚空に映し出された。
「ここは元々、中国の河北省と呼ばれる地方の街だった。最近になって、この街に拳法家の集団がやって来て拠点を築き、街を仕切るようになった。『極天十字拳』という流派の一門だ」
アポカリプスヘルは、謎の黒い竜巻『オブリビオンストーム』によって既存の社会基盤が悉く崩壊した世界。竜巻に呑み込まれて死亡した生物や、破壊された兵器がオブリビオンとなって蘇り、多くは略奪者となって各地で暴虐の限りを尽くす。
「この『極天十字拳』の首領を務めるのが、『十字皇ジュリア』という女だ。彼女は世紀末覇王を名乗り、武力で屈服させた拳法家達を引き連れて各地の制圧に乗り出したレイダーだ。しかもオブリビオンだけでなく、近隣の拠点に住む民間人も奴隷や門下生として徴用し、略奪に向かわせたり、苛酷な訓練を課しているらしい。この悪質な組織を潰し、人質を救出して、街に平穏を取り戻して欲しい」
そしてグリモアの力を増幅させて転移ゲートを開きつつ、ガーネットは一言付け加えた。
「こういった地道な活動を続けていけば、いずれはそれが文明再建の足がかりになるかもしれない。手強い相手だろうが、君たちなら必ず成功できると信じているぞ」
弥句
テーレッテー!こんにちは、弥句です。今回はアポカリプスヘルにて、あるレイダー組織の討伐をお願いいたします。場所は旧中華人民共和国、河北省の某都市。
そこでは「十字皇ジュリア」なるレイダーが率いる拳法集団「極天十字拳」の一派によって近隣の拠点(ベース)から門下生という名の奴隷が集められ、殺し合いに等しい苛烈な鍛錬を強いられたり、他の地域への略奪に駆り出されたりしています。
第一章は冒険パート。市街地は拳法家の楽園と変わり果て、至る所でアウトロー達がストリートファイトに興じています。猟兵を見るとなりふり構わず喧嘩を仕掛けてくる彼らを叩きのめし、アジトの情報収集や物資の調達を行ってください。
第二章は集団戦。ジュリアは自ら屈服させたオブリビオン格闘家をアジト内に待機させ、奴隷の監視や門下生の稽古を請け負わせています。奴隷を救出するためには彼らを全滅させる必要がありますが、戦闘に巻き込まないための工夫が必要です。
第三章はボス戦。「極天十字拳」の総帥たる「十字皇ジュリア」との直接対決です。二章で奴隷の救出に成功していると、決戦時に武器を持った奴隷が協力してくれます。彼らは一般人のため戦闘の役には立ちませんが、アジト内の構造に精通しているため戦術面でのサポートが可能です。
シナリオ説明は以上です。それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちしております!
第1章 冒険
『拳闘楽園』
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POW : 拳を使う(物理)
SPD : 足を使う(物理)
WIZ : 頭を使う(物理)
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「お前……強いのか?」
短くなったタバコを吐き捨て、靴底で踏みつぶしながら長身の男が言う。猟兵たちが潜入した街の中では、至る所で無法者によるストリートファイトが繰り広げられていた。ここはまさに、アウトロー達の楽園だ。
彼らは狭い拠点の中で、他人と身を寄せ合って生きることをよしとしなかった者たち。自分の力のみを頼りに生き、奪われるより奪う側に立つことを選んだのだ。
「あん? 極天十字拳の奴らに用があんのか……ここでは、情報交換や取引はすべてコレで行うのが鉄の掟だ。さあ、構えろ!」
そう言って、男は自らの拳を握り固めてファイティングポーズをとった。大きな拳ダコが、男の潜り抜けた修羅場の数を物語る。なんとも奇妙で非合理的なコミュニケーション手段だが、それがここの流儀ならば仕方がない。
郷に入っては郷に従えというものだろう。猟兵達は、己の得意とする流儀(スタイル)で、独自の情報収集に臨む。
ノウェム・ノインツィヒ
POW
アドリブ連携○
売られた喧嘩は全て買い、反抗意思を喪失するまで徹底的に粛清。拷問めいた事も顔色変えずに遂行。情報搾取後、禍根残さぬよう敵対者は焼却処分する。
【戦闘前~最中】
ふむ。我を見目だけで判断して襲い掛かる奴等がこんなにも……。浅はかにも程があるとはこの事か。
【情報収集について】
生温い、そんな手法では駄目だな、代われ。
気絶してしまったようだ。さて……次だ。アジト内は何人いる?物資の納品先は?内情を知る者に殴り着くまで大層梃摺ったぞ。簡潔に答えろ。余計な言葉を聞く耳はない。隣を見るがいい、答えなければ分かるな?今後一切、歩く事も食べる事も出来ない体にしてやろう。5秒やる。5…4…3……。
劉・涼鈴
なるほどね、武侠――ううん、武狂ってトコだね!
こーゆー連中は酒場でたむろってるのが基本だよね! 映画でよく見る!
扉をドカーン!って蹴り破って入るよ!(パフォーマンス)
この街にジュリアとかいう強ぇーヤツがいるって聞いたんだけど、知らない?
(取り囲まれて)……あんたたちみたいなザコに用はないんだけど?(挑発)
【野生の勘】で【見切って】受け流して、その辺の椅子とか引っ掴んで叩きつける!(地形の利用)
【怪力】で敵をぶん投げたり、【踏みつけ】たり!
ここで一番強そうなヤツに【ダッシュ】で近付いて【劉家奥義・神獣撃】でぶん殴る!
おりゃあ!
強いヤツの胸倉掴んで締め上げる
もっかい聞くよ、ジュリアってヤツはどこ?
●
「ここだね、強い奴らが集まる、武人の街っていうのは!」
頭に大きな牛の角を持つ銀髪の少女が、辺りを見渡して街の様子を窺っている。どこかに強者はいないものかと、大きな目を輝かせている。
猟兵達が転移した街の中は、ボロボロに荒廃していた。ただでさえオブリビオンストームの被害を受けて壊滅的な打撃を受けていたのが、外部からの無法者の流入によって手の施しようがない状態になってしまったのだ。
「どうだろう……武人と呼ぶには、語弊の有るやつらかもな」
牛型キマイラの劉・涼鈴(豪拳猛蹴・f08865)の傍らを醒めた表情で歩くのは、体の色素の薄い白髪の少女。フラスコチャイルドの人形めいた戦闘兵器、ノウェム・ノインツィヒ(白壁ノ嫗・f24561)は、売られた喧嘩は全て買い、反抗意思を喪失するまで徹底的に粛清するつもりでいた。
「武侠――ううん、武狂ってトコだね! こーゆー連中は酒場でたむろってるのが基本だよね! 映画でよく見る!」
カンフー映画の大好きな涼鈴は、お気に入りのシーンを思い出しながら小さなパブの前でふと立ち止まる。すると彼女は、
「おりゃーーーーっ!」
ドカーーンッ!!
勢いよく木製のドアを蹴り破り、建物の中へとずかずかと入っていった。この行動力、アポカリプスヘルへの適応力がありそうである。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか」
斧槍を携え、ノウェムも後に続く。まずは、情報収集という名の拷問開始だ。
狭い店の中は薄暗く、古びた換気扇がカラカラと寂しく回転していた。
「……ア? 何だ、お前らは」
ラウンドテーブルを囲み、三人の男が酒を飲みながらカード賭博に耽っていた。店員の姿はない。既に逃げ出したのか、男たちによって追い出されたのか。
「この街にジュリアとかいう強ぇーヤツがいるって聞いたんだけど、知らない?」
男たちは一様に、ゆったりとした黒い拳法着を纏っていた。全員、同じ流派の使い手なのだろうか。
「ジュリア……? はっ! テメェらごときが、あのお方に試合を申し込む気か? やめておけ、門前払いがいいところだぜ」
「ガハハハハ!」
二人の見た目からして、武道家に憧れる夢見がちな子供と思われたのだろう。だが、酔いが回ってまともな判断、分析が出来なくなっていたのは男達にとって不運と言う外なかった。おもむろに立ち上がり、二人の少女を取り囲む。
「ここはな、大人の社交場なんだよ。ガキ共は消え失せろ」
「……あんたたちみたいなザコに用はないんだけど?」
見下した物言いに、涼鈴の闘志に火が点く。
「ふむ。我を見目だけで判断して襲い掛かる奴等がこんなにも……。浅はかにも程があるとはこの事か」
ノウェムもまた、既に臨戦態勢だった。彼女が勢いよくテーブルを蹴り上げると、酒瓶とグラス、カードが豪快に宙を舞った。
「シィッ!!」
涼鈴の腹部目掛けて、鋭い突きが打ち込まれる。だがそれも、涼鈴に備わりし野生の勘の前には通用しない。体の軸をずらして反射的に一撃を捌くと、手近にあった椅子を引っ掴んで叩きつける。
「うがっ!?」
怯んだところで手首を捩じり上げ、自慢の怪力で無造作に投げ飛ばすと、男の体は放物線を描いてバーカウンターの向こうまで飛んでいった。投げられた男は製氷機の中に頭を突っ込ませたまま、ピクリとも動かない。
「気絶してしまったようだ。さて……次だ。アジト内は何人いる? 物資の納品先は?」
ノウェムの手足に、灼熱の闘気『焔葬』が宿る。万物を灰燼に帰す烈火を纏った蹴撃が瞬時にテーブルを燃やし尽くすと、男たちが驚愕の表情を浮かべた。
「簡潔に答えろ。余計な言葉を聞く耳はない。隣を見るがいい、答えなければ分かるな?」
「ほ、炎の気……!」
たじろぐ拳士の懐へ、涼鈴が一跳びで潜り込んだ。キマイラの瞬発力と膂力を最大限に引き出し、体重を乗せた豪快な打撃で店の外まで叩き出した。
「……もっかい聞くよ、ジュリアってヤツはどこ?」
路上に投げ出された男の胸倉をつかみ上げ、涼鈴が厳しい口調で問う。
「は、八番通りの、青い屋根の寺院、だ……」
観念したか、息も絶え絶えの様子で、男が辛うじて言葉を絞り出す。やがて男が失神すると、店の奥から火だるまになった最後の一人が飛び出してきた。
「ひゃああああっ!」
燃える男は絶叫を上げながら、どぶ川の方向へと走り去っていった。その後から、ノウェムが涼しい顔で店から出てきた。
「歩く事も食べる事も出来ない体にしてやると言ったら、洗いざらい吐いたよ。アジトにはジュリアの他に、他流派の拳士が十数人いるそうだ」
「結構な大所帯なんだね。よし、しっかり準備を整えてからいこうか!」
かくしてジュリアのアジトの情報を聞き出した二人は、「青い屋根の寺院」がある八番通りへと足を向けることにした。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
春乃・結希
ガンつけられても、睨み返します
…相手を選ばないで挑む勇気は素敵です
情報くれるって約束は、守ってくださいね
…『with』が気になりますか?
大丈夫です。使うまでもないので
あなたたちなんて、蹴りだけで充分です
どこからでもどうぞ
『wanderer』で強化された脚力による蹴撃で戦います【怪力】
私に攻撃が届いたとしても
この程度で怯むなんてあり得ない【激痛耐性】
何人に囲まれようと絶対に引かない【覚悟】
全員蹴り飛ばす
『with』に触れられようなものなら
UCで全力でボコります
私の恋人に…触るなぁっ!!
あなたの知ってること、全部教えてください
嘘ついたら…潰しますよ
【怪力】で頭を地面に抑えつけつつ聞き出します
●
「……呆れた。まさに無法地帯ね」
大剣を背負った旅人、春乃・結希(withと歩む旅人・f24164)の目に飛び込んだのは、カラスを思わせる黒づくめの改造学生服集団が闊歩する姿であった。
例えばフラスコチャイルドの中にもスクールユニフォームと呼ばれる衣服を着用する者達がいるが、それとは根本的に異なる、古いデザイン。そんな彼らが結希を目に留めるなり、下卑た声で挑発してくる。
「ヨウ姉ちゃん、ど~こ行くんだイ?」
「俺たちとバイクで遊びにいかねーか?」
耳障りな声で喚き散らすのは、まさに都会のカラスだ。こんな奴らでもなにか知っていることはあるだろうかと、結希は声をかけてみる。
「この街を仕切っている、ジュリアという女のことを知りませんか。どこに居ますか」
その名を口にした途端、学ラン達が俄かに静まりかえった。顔を見合わせ、後ろのほうで何事か言葉を交わしている。
「おいおい……オメエ、あの道場に行く気か? わざわざ死ににいくようなもんだぜ」
「道場……その場所を教えなさい。急いでいるんです。コソコソ話しているあなた達の体に訊いてもいいんですよ?」
挑発を受けた、学ラン達の顔つきが変わった。鉄パイプや木刀といった凶器を構え、包囲網をじわじわと狭めてくる。
「口の利き方は気に入らねえが、まずはこの状況を切り抜けられたら教えてやるよ!」
「……相手を選ばないで挑む勇気は素敵です。情報くれるって約束は、守ってくださいね」
後ろから矢継ぎ早に罵声が飛んだが、声が被りすぎて結希にはうまく聞き取れなかった。
「大層な剣なんて持ってるが……見かけ倒しだったら只じゃおかねえぞ?」
「……『with』が気になりますか? 大丈夫です。使うまでもないので。あなたたちなんて、蹴りだけで充分です。どこからでもどうぞ」
結希が負けじと睨み返しながら愛用の蒸気魔導ブーツ『wanderer』を起動させると、噴出した蒸気によって彼女の瞬発力が大幅に強化される。怒声と共に突っ込んでくる学ラン達の動きは、いずれも直線的で単純だ。攻撃の軌道も真正直で見切りやすい。ガジェットブーツで強化された結希の脚力は、卓越したフットワークを彼女にもたらす。
「遅すぎますよ!」
突き込まれる木刀をいなし、素早くローキックをぶち込んで転倒させる。すかさず鳩尾を踏みつければ、それだけで無力化できる。さらにブーツの蒸気を噴射させて高く跳躍し、一人の肩を踏み台にして空中へ。
「うおっ……!?」
さらに独楽のようにスピンしつつ、回転蹴りを放って複数人をまとめてなぎ倒すと、結希の勢いは止まらない。脚を鞭のようにしならせ、上中下段と左右、変幻自在の足技で敵を翻弄して仕留めていく。
「てやぁぁぁっ!」
結希本人に加え、大剣『with』の重量も乗せたドロップキックを放つ。それを顔面にもろに受け、リーダー格らしき男が大きく吹き飛ばされてダウンした。
「ま、参った……」
先ほどまでイキっていたとは思えぬ体たらくで、敗北を認める学ラン軍団のリーダー。結希は胸を踏みつけて押さえ込みつつ、頭を掴んで男に訊ねる。
「あなたの知ってること、全部教えてください。嘘ついたら……潰しますよ」
「わかった……何でも話す」
頭を潰されては、流石にひとたまりも無い。学ラン達は大人しく、自分たちの知る情報を包み隠さず結希に提供した。
成功
🔵🔵🔴
レパイア・グラスボトル
それが家族であろうが、奴隷であろうが、共にある者を補佐し略奪に勤しむ。
それはこの世界では当然のことだ。
家族と共に交易に来た体を装う。
そっちは怪我人が多いだろ?うちで造った医療品だ。
情報と交換ってのはどうだ?
駄目か。
【SPD】
怪我人がいないなら作っちまえば良いよな。
ワタシはか弱い医者なんでな。荒事は家族に任せよ。
オマエら、楽しんできな。
レイダーだって過去のある人間。拳法をしていたヤツもいるかもしれない。
荒事情報収集は任せ、レパイアは敵味方問わず治療行為に従事する。
手を出してくる相手には【医術】により体を壊す。(後で治す)
ここでの生活は楽しいか?
強くなって大将と一緒に他所で奪いたい放題なんだろ?
●
「怪我人はいないか~? どんな怪我でも、ワタシが治してやろう」
レパイア・グラスボトル(勝利期限切れアリス・f25718)が足を踏み入れたのは、兵隊くずれの無法者たちが根城としているガレージつきのビルだった。情報と「患者」を求めて交渉を持ちかけたレパイアだったが、男達は彼女を追い出そうとして聞かないので、当然そこからは実力行使となった。
「怪我人がいないなら、作っちまえば良いよな。ワタシはか弱い医者なんでな。荒事は家族に任せるよ。オマエら、楽しんできな」
「ヒャッハー!! 略奪の時間だァ~!!」
レパイアには、怪我人を見ると無意識に治療してしまうという奇妙な癖がある。レパイアの呼びかけに応じ、総勢31人もの略奪者(レイダー)が次々と集まってきた。それらはレパイアの周囲を凶器で武装して固め、ビルの中に居た無法者たちに襲い掛かる。
やがて男たちはレイダーによってボコボコに叩きのめされ、ロープで拘束されて床に転がされてしまった。ユーベルコードで召喚されるレイダーは、高い戦闘力を持つのだ。
「くっ、フザけやがって……お前ら、レイダーか!」
「いかにも。それが家族であろうが、奴隷であろうが、共にある者を補佐し略奪に勤しむ。それはこの世界では当然のことだ」
レパイアはレイダーのグループに拾われ、育てられたフラスコチャイルド。そのため、略奪者の流儀はよく心得ている。
「オイオイ、何の騒ぎだ? 俺のマシンになにかあったら只じゃおかんぜ」
金髪の角刈りに、ティアドロップのサングラスで決めた厳つい男がぬっと姿を現した。ここいらでは、『軍曹』の渾名で知られる喧嘩屋である。
「何を奪いに来た? 食い物か?」
「そっちは怪我人が多いだろ?うちで造った医療品だ。情報と交換ってのはどうだ? 駄目か」
「情報……? 一体何を嗅ぎ回ってるんだ」
レパイアは自身が製造した『携帯式医療器具生成機』で生み出した、数々の医療器具を軍曹に見せながら交渉を持ち掛けた。
「十字皇ジュリアのさ」
その名前を耳にした、軍曹の表情が強張る。そして溜息。わかりやすいリアクションだ。
「やれやれ、よりによってあの女に用があるとはね」
「ここでの生活は楽しいか? 強くなって大将と一緒に他所で奪いたい放題なんだろ?」
どうだ図星だろう、とレパイアは笑う。しかし、軍曹の表情はどこか浮かなかった。
「今の俺はただの運び屋だ。……そいつらの縄を解いて、治療してやれ。俺の知っていることは話してやる」
「ほう」
つまるところ、彼らは「極天十字拳」一派の使い走りに利用されていたのだ。彼らの元に略奪物資を運び、僅かながらの報酬を受け取る。軍に属していた彼らでさえ、太刀打ちできない相手なのだ。
「では、ワタシが話をつけて来てやろう。ジュリアはどこだ」
「出来るのか? ……お前に」
無論だ、とレパイアは不敵に笑って見せた。育ちの悪さと、強かさは折り紙付きだ。
成功
🔵🔵🔴
ハロ・シエラ
そう言えば、こう言う方達は故郷にもいたものです。
なので扱い方は分ります。
昔よりもやり易くはありますしね。
と言う事で、若干外見から舐められている気もしますが戦いましょう。
私は剣士ですが、ここは素手でお相手します。
まずは相手の動きを観察し、動きを【見切り】ましょう。
攻撃に対しては【グラップル】による【カウンター】を仕掛け【怪力】で投げ飛ばしてしまいます。
拳闘の構えで【フェイント】をかけておけば【だまし討ち】できるかも知れませんね。
まだ向かってくる様なら、寸止めのユーベルコードで【恐怖を与える】としましょう。
後はアジトの場所を聞きだすだけです。
可能なら乗り物付きで案内してもらいたいですね。
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「あんだい、ジロジロ見てんじゃないよ!」
街を散策していたハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)の目に飛び込んできたのは、改造セーラー服に身を纏い気だるげに煙草を吹かす女だった。世界崩壊前の日本において、スケ番と呼ばれていた不良少女の一種である。
「おいチビ。何か食いモン持ってねーか? 昨日から何も食ってないんだが」
「はぁ……コッペパンならありますけど」
ハロが懐から取り出したコッペパンに、スケ番は目を輝かせた。素早くしゃくり取ろうと手を伸ばすが、ハロはぷいっと手を引っ込めてしまう。
「な! て、テメエ……あたしをおちょくってんのか!?」
「あなたが知っている、情報と引き換えです。ギブアンドテイクです」
空腹でイラついていたスケ番は、その一言にカチンときた。煙草を地面に吐き出し、グシャグシャと靴で乱暴に踏みつぶす。
「チビ助……なに上から目線でモノ言ってんだ、あぁ? 何を知りたいか知らねえが、情報とやらが欲しけりゃアタシとタイマンしな!」
スケ番の身長は、低く見積もっても165㎝はある。女性としては長身といえるだろう。それに比べ、ハロは身長145cm。体格差は歴然だ。若干舐められている気もするが、ハロはこのタイマンを引き受けることにした。情報は欲しかったし、こういう手合いは故郷のダークセイヴァーにも稀にいたからである。僅かな食料を巡り、集落で様々な諍いが起きるのを見てきたのだ。そのため、対処の仕方はハロにもわかっていた。
「私は剣士ですが、ここは素手でお相手します」
「上等だ、ゴラァ!」
スケ番はメリケンサックを嵌めた拳で、ハロに勢いよく殴りかかってきた。空腹とは思えないほど、キレのある動きだ。ハロは相手の動きを捌きながら冷静に観察し、反撃の機会をうかがう。
(……今だ!)
「おっ!?」
体重の乗った渾身のストレートパンチに合わせ、体の軸をずらしつつ両手で腕をキャッチする。それと同時に相手の体重を支える軸足を素早く払い、バランスを崩させながら勢いよく投げ飛ばした!
「……グッ!!」
受け身を取れず、スケ番は背中から地面に落下する。失神はしなかったが、落下の痛みと呼吸困難によってしばらく動けずにいた。そんなスケ番の元に、ハロはつかつかと歩み寄る。
「これで、とどめです」
スケ番よりもはるかに小柄なハロから、濃密な殺気が放出される。その殺気に気圧され、息を呑んだスケ番の目の前に【スネイクバイト】による高速の手刀が放たれ――直前でぴたりと止まった。手の風圧で、スケ番の前髪がぶわっ、と浮き上がる。
「――!!」
「……嘘ですよ。別にあなたを殺しに来たワケではないですから。意地悪をしてごめんなさい」
恐る恐る目を開けたスケ番に、ハロはコッペパンを差し出した。
「えっ? チビ、お前……」
「これあげますから、極天十字拳という流派について教えてもらえませんか? あと、出来れば乗り物つきで街を案内してほしいのですが……」
ハロの視線の先には、スケ番の愛車である真っ赤なスクーターがあった。
大成功
🔵🔵🔵
陰白・幽
情報収集〜……頭を使う必要があるのかと思ったけど〜じゃくにくきょうしょく〜自然のおきてと言うならまーけないぞ〜
情報は〜食べられないからまあいっか〜……喉渇いたな〜あ、そこのお兄さ〜ん少し教えてよ〜
喧嘩をするのはいいけどやり過ぎるのはだめだよね〜とりあえず……思いっきり足を狙おう、痛くて歩けなくなるレベルでダメージを蓄積したら降参してくれるかな〜
ローキックしたりスライディングキックしたり、回し蹴りと尻尾の払いの連続攻撃したりして戦意を刈り取るぞ〜
能力を使って水を入れる入れ物とか、物を入れれそうな風呂敷とかを作って色々と集めるよ〜
準備できたし、少しゆっくりしよ〜っと、いい日陰はないかな〜
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「情報収集〜……頭を使う必要があるのかと思ったけど〜じゃくにくきょうしょく〜自然のおきてと言うならまーけないぞ〜」
歌うような不思議なアクセントで独り言を呟きながら、ドラゴニアンの少年陰白・幽(無限の可能性を持つ永眠龍・f00662)は裏路地を彷徨っていた。
時折廃品を持った浮浪者が通りがかる程度の、寂しい裏通り。僅かに陽が当たる突き当りの角を曲がると、そこには肩口から破れた道着姿の男が佇んでいた。幽に背を向けていた男が、ゆっくりと振り返る。
「情報は〜食べられないからまあいっか〜……喉渇いたな〜あ、そこのお兄さ〜ん少し教えてよ〜。水飲み場はどこかな~」
「……次の乱入者はおまえか」
放浪の格闘家といった出で立ちの青年が、鋭い眼光で幽を見据える。背負っていたずた袋を降ろし、格闘家は拳を作ってファイティングポーズをとる。
「男なら、拳で語り合え」
微妙に話が噛み合っていないような気もするが、この男が街のことを何か知っているかもしれない。他に通行人もいないし、幽はとりあえずこの格闘家と拳を交えてみることにした。
「ふんッッ!」
強く地面を蹴り、男が跳躍から飛び蹴りを放ってくる。幽が蹴りをガードすると、男は着地と同時に足払い、ボディブロー、アッパーとコンビネーションを繋いだ。
「喧嘩をするのはいいけど、やり過ぎるのはだめだよね〜」
体格で劣る幽にとって、生命線となるのが長い尻尾だ。それと、打点の低さを活かしたローキックや回し蹴りが攻めの中心だ。地味だが足への攻撃を蓄積させると、機動力を奪うことができる有効な手段だ。
「えいっ」
男が組み付いて投げを仕掛けようとしたので、槍で突くように尻尾の先端を突き出して顔を狙い、怯んだ隙にスライディングで足元を払い転ばせる。そして相手の起き上がりに合わせてローキックで追撃する……と見せかけて軽くジャンプし、尾を鞭のように振り下ろして男の肩を打ち据えた。
「ぐっ……! 見事な二択だ。オレの一本負けだ」
膝を付いた男が、自らの負けを宣言した。好戦的だが、潔く負けを認めるシンプルな性格でもあるらしい。
「……えっ、もういいの~?」
「今の一撃で肩をやられた。腕が上がらん」
どうやら幽の尾撃を受け、男は肩を負傷したようだ。どこか申し訳ないと思いながらも、幽は戦意を失った男に街の情報をあれこれと聞いてみることにした。それと、極天十字拳のことも。
「――十字皇ジュリアの配下には、体を機械化した拳士がいるらしい。行くなら気を付けろ」
「機械の体……」
元々、強くなるためには手段を択ばない者たちだ。体を機械化することにも、抵抗がないのかもしれない。
「……肉体の強さのみを追求するオレには、理解できん感覚だがな。……じゃあな坊主、生きて帰れよ」
「うん、お兄さんも元気でね~」
言葉を交わし、幽と格闘家はまた別の道を歩いて去っていく。その後幽は【猫工房】で物資の収納に適した入れ物や風呂敷を作り、井戸で汲んだ飲み水や食料を回収していった。
「準備できたし、少しゆっくりしよ〜っと、いい日陰はないかな〜」
成功
🔵🔵🔴
アニカ・エドフェルト
強いか、どうか、ですか……。
それ、聞く意味、あります、か?
どっちにしても、戦うことに、なります、よね?
そして、わたしが、勝ったら、いろいろ、教えてくれる、んですよね?
でしたら、わたしも、戦う理由、あります、ね。
いざ、勝負、ですっ
さて、この世界は、初めて、ですから、どんな、戦い方なのか…
《死闘天使》で、見させて、もらいますね。
まぁ…いろいろ、ぼろぼろに、なっちゃいそう、ですが、各種〈耐性〉で耐えて…
最後に、攻撃手を取っての、カウンター〈グラップル〉他で投げ倒してからの関節極め、狙って、いきます。
さて、極天十字拳のこと、教えてくれます、よね?
教えてくれるなら、離してあげます、よ?
(アドリブ歓迎)
●
「お前、強いのか……?」
寂れた倉庫が立ち並ぶ、町はずれの区画に転移したアニカ・エドフェルト(小さな小さな拳闘士見習い・f04762)の前に現れたのは、革ジャンにスキンヘッドの男。ガッチリした長身の男は、出くわすなりいきなりアニカに声をかけてきた。
「えっ……」
「いや、正体を隠しても俺にはわかるぞ。この掃きだめのような街に現れた天使よ。お前からはただ者ではないオーラを感じる! お前もファイターなのだろう?」
突如長身のスキンヘッドに話しかけられ、アニカは当惑を隠せない。
「いかにも、わたしは、拳闘士です、けど。強いか、どうか、ですか……。それ、聞く意味、あります、か? どっちにしても、戦うことに、なります、よね?」
「無論だ。この街で出会った者同士は、必ず一度拳を交えねばならん。それが掟だ」
なんとも奇妙な慣習だが、それが街の掟ならば受け入れざるを得ないだろう。アニカは、あくまで異邦人なのだ。
「そして、わたしが、勝ったら、いろいろ、教えてくれる、んですよね? でしたら、わたしも、戦う理由、あります、ね。いざ、勝負、ですっ」
「ああ、望むところだ。準備はいいか!?」
男は見た目に似合わぬ軽快なステップで距離を詰めると、ジャブからワン、ツーとブローを叩き込んできた。アニカは打撃をブロックしつつ、まずは相手のクセを見切ることに注力する。
アニカはダークセイヴァーに生まれ、見世物として闘技場で戦う生活を送っていた。そこで仲の良かった友人の格闘スタイルに影響され、拳での打撃よりも掴み合いや蹴りを駆使した戦法を身に着けたのだ。
(さて、この世界は、初めて、ですから、どんな、戦い方なのか……)
そこで今回は【死闘天使】という技を用い、あえて敵の攻撃を受けながら戦ってみることにした。
「シィッ!」
男の打撃は鋭く、重い。ガードを固め、前へ前へと踏み込んでくる。だが、至近距離での打ち合いに特化した構えであるため、見切ることはそう難しいものではなかった。向こうから間合いに飛び込んでくるのならば、つかみ合いに持ち込むチャンスはすぐに訪れるだろう。
丁寧なブロッキングで打撃に耐えながら、アニカは反撃の機会を窺っていた。そして男がボディブローを放った瞬間、アニカはその腕を素早くキャッチすることに成功していた。
「!!」
「……捕まえ、ましたっ」
そのまま、手首を捻りながら手元へと引き寄せ、肘をロックしながらてこの原理で体重をかけて投げ倒す。
「さて、極天十字拳のこと、教えてくれます、よね? 教えてくれるなら、離してあげます、よ?」
このまま腕の関節を極めた状態で、彼の利き腕を破壊することも可能なのだ。だが、そうすれば男のファイターとしての生命は終わるだろう。そうはさせないままこの戦いを終わらせたいのが、アニカの慈悲だった。アニカの体重は男の3分の1程度だが、ユーベルコードで強化された彼女の膂力がしっかりと男を押さえ込んでいた。
「……わかった、俺が知っていることは何でも話す」
「賢明な判断、ですね」
八番通りにある「青い屋根の寺院」に向かえと、男は言い残して去っていった。そこに、アニカが探し求める極天十字拳のアジトがあるのだろう。
成功
🔵🔵🔴
第2章 集団戦
『邪流拳法『機拳流』の武術家』
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POW : 機拳流奥義・戯岩斗拳(ギガントパンチ)
【機械化した右腕の一撃】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 機拳流禁忌・王刃悪狼怒(オーバーロード)
【体内に埋め込んだ加速装置を暴走させる】事で【オーバーロード状態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 機拳流秘伝・魔心眼(マシンガン)
【機械化した左眼で見た対象の動きを解析して】対象の攻撃を予想し、回避する。
イラスト:内藤ゆう
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
街の各地で無法者相手に情報を集めていた猟兵達は、やがてひとつの答えにたどり着いた。世界崩壊前から存在する、この街で最も立派な建物。すなわち、八番通りにある青い屋根の寺院「亜州寺(あしゅうじ)」こそ、「極天十字拳」の一派がアジトとしている場所だった。
猟兵が亜州寺にたどり着くと、敷地内では各地から召集された門下生たちに対して激しい鍛錬が行われていた。「十字皇ジュリア」率いる一派はここに総本山を構え、レイダーとなる強者を育てるために無法者をスカウトしたり、時に拉致などの強引な手法で下働きする者を獲得していたのだ。
猟兵達は門番をなぎ倒し、固い門扉を強引にこじ開けて内部に突入した。するとそこでは、赤い武道着をまとった女拳士達が稽古をつけているところだった。
「騒がしいと思えば……何の用だ?」
鋼の腕を見せつけ、女が鋭利な目つきで猟兵達を威圧する。彼女らの体は一部が機械化されており、情報通ならばそれが「機拳流」の特徴だとわかった。
「た、助けてくれ! このままだとこいつらに殺されちまう!」
猟兵達の顔を見るなり、稽古着姿の青年が悲痛な叫びをあげた。
「おや、強くなりたくてここに来たんだろう? ジュリア様に頼まれて、せっかく私が稽古をつけてやったのに。もったいない」
「あれは稽古なんてモンじゃねえ! 組み手のときに機械の腕でブン殴られて、動かなくなった奴を俺は見たんだ!」
どうやら、彼女らの鍛錬は稽古の範疇を逸脱しているようだ。まずは、この女拳士達を蹴散らして弟子たちを解放してやらなければならないだろう。
「……ジュリア様に会わせろだと? あの方が、キサマらなど相手にするわけがないだろう。侵入者は自由に殺して構わんと言われている……皆殺しだ!」
冷徹な表情を浮かべた「機拳流」の武術家が、恐ろしい殺気を放ちながら構えをとる。猟兵たちもまた、それぞれの得意とするスタイルで戦闘の態勢を整えた。異様な空気が支配する寺院は、一触即発の危険な状態と化した。
ハロ・シエラ
機械の腕……となると武器みたいな物ですね。
こちらも気兼ねなく剣を抜きましょう。
乗り物で送って頂いたお陰で体力も温存できています。
こちらも敵の殺気を跳ね返すような【気合い】を篭めた【大声】で威嚇し、敵を【おびき寄せ】るとしましょう。
こちらを狙ってくれば、敵の攻撃を【見切り】素手とレイピアのリーチ差を生かして【カウンター】のユーベルコードで返り討ちにします。
あの右腕を【部位破壊】できれば大分戦力も削げるでしょう。
敵は大勢なので【第六感】も働かせておきます。
敵の動きを感じ取る事ができれば、不意打ちを防いだり、弟子の方が巻き込まれそうなのを【かばう】事も出来るかも知れませんので。
●
拳で語り合ったスケ番にスクーターで道中送られ、ハロは亜州寺の大きな門を潜った。広い敷地の中で、既に猟兵達と「機拳流」の武術家たちが入り乱れて戦闘を繰り広げていた。
「ほう、多少は歯ごたえのありそうなのがやって来たな」
黒い軍服『ブラックストリングス・スケイル』に身を包んだハロを一瞥し、赤い道着の女が舌なめずりをする。彼女らは「師範」と呼ばれ、ここで奴隷たちの監視や武術の稽古を請け負っていたのだ。
「機械の腕……となると武器みたいな物ですね。こちらも気兼ねなく剣を抜きましょう」
容易に人体を破壊せしめるであろう鋼の腕を目の当たりにして、ハロは己の愛剣『リトルフォックス』を抜く。サムライエンパイア製の見事なレイピアが、冴え冴えと輝きを放った。
「壊し甲斐がありそうな娘だ」
オブリビオンとなり、武術家の誇りも矜持も失った者の末路が、手っ取り早く強くなるための機械化手術だった。美しく整った女の顔が、暗い愉悦に歪む。
「さあ、どこからでもかかって来い!!」
ヘソの下、丹田に力を込めてハロが声を張り上げる。敵の殺気に負けぬように、まずは己を奮い立たせ、相手を大声で威嚇をするのだ。
「我破坏你(捻り潰してやる)」
「出来るものならばね!」
レイピアの切っ先を真っ直ぐに突きつけ、タンッ、と一歩を踏み込んだ。人の精気を食らい美しく輝く細身の剣が、風を切り裂く鋭い音を奏でながら刺突を繰り出す。もちろんリーチの上では、剣を持つハロに分がある。しかし拳士達は徒党を組み、連携を組んでハロを攻めたててくる。そのうえ、全員が一撃で致命的な打撃を与える秘伝の技を有しているのだ。もしレイピアを取り落としたり、奪われるようなことがあってはハロの敗北は確定的となる。
それだけは避けたい。なのでハロは己の感覚を限界まで研ぎ澄まし、敵の数と攻撃の方角を皮膚感覚で判断しながら動き続ける。尚且つ、奴隷を巻き込まないように動くのは至難の業だ。
「それでも、やるしかない!」
考え得る限りの、最良の答えを弾き出すのだ。繰り出す太刀筋は電光石火、機械の拳よりもなお速く。ハロの心臓を抉りださんとする手刀を絡め取るように螺旋を描いて突きを繰り出し、右腕を弾き返してバランスを崩したところに必殺の【剣刃一閃】を突き込む。
「なに……!」
機械化された女の右腕。その肩口に目掛けて、『リトルフォックス』の切っ先が深々と突き刺さる。ハロが刀身を引き抜くと、貫かれた部位からドロリと赤黒い機械油が漏れ出し、石畳に滴り落ちた。
「どうですか……その腕で、まだ私を壊すつもりでいますか」
死闘の中でハロのユーベルコードは冴えわたり、揺るぎなき闘志が彼女を奮い立たせる。機械の力に頼らずとも、彼女は己の剣のみでオブリビオンを相手取ることができるのだ。
成功
🔵🔵🔴
ノイン・フィーバー
途中参戦ニテ失礼しますヨー。
方針:基本的に援護射撃してメンバーを闘い易く。あと、被害者の方達へ攻撃されるようならそれも庇いましょうカ。
UC:頃合いを見て発動。
久々ノ! ガジェットショーターイム!!(画面にSHOW!と表示)
ビニール製の「木人サン」をばらまきます。
カンフー映画の修行に使う木人のビニールですネ。
「あまり舐めない方が宜しいかト」
この木人サン、自立動作して反撃してくる優れものである。
地味に強い。UC発動してないノインよりも格闘技は強い。
倒したら倒したで爆発するので気を付けるんだ。機能なので動きを解析してもわかんないだろうなぁ。
その隙に宇宙バイク等も使って、被害者の方々を逃がす
●
「ん……? 何だ、あの変な奴は」
「変な奴?」
猟兵とオブリビオン達が激しい戦いを繰り広げる中、戦場に奇妙な男が乱入してきた。タキシード姿の、奇術師風の青年だ。
「途中参戦ニテ失礼しますヨー」
190センチ近い長身の男の名は、ノイン・フィーバー(テレビ顔のメカ野郎・f03434)。ヒーローマスクであるノインの本体は、頭部のブラウン管TV型の覆面である。
「道化者の出番はないぞ!」
女の武術家が体内の加速装置を暴走させる『王刃悪狼怒(オーバーロード)』状態に突入し、スピードと反応速度を爆発的に増大させてノインに襲い掛かる。
「自分の出番は自分で奪うもの。久々ノ! ガジェットショーターイム!!」
加速した鉄拳がモニターに叩き込まれる直前、ノインのガジェットボックスからビニールの木偶人形が飛び出してきた。カンフー映画などでお馴染みの、武術の稽古で用いられる「木人」である。その木人がひとりでに動き出し、洗練された動きでノインへの攻撃を受け止める。
「なに……!」
画面に「SHOW!」と表示させたノインが、ビーム兵装『アームドフォート・typeB+』で木人を援護射撃する。この木人は某カンフー映画の主人公の動きを忠実に再現するように出来ているので、実際かなりの強さだったりする。
「あまり舐めない方が宜しいかト」
ノインは隙を突いてさらに二つ、三つと新たな木人を追加していく。木人は能動的で複雑な動きこそできないものの、自動的に攻撃を防いで反撃を繰り出す仕様となっており、ノインが指示を与えなくても戦ってくれるのだ。
「ハッ、それはこちらの台詞だ! もうこいつらの動きは見切ったぞ」
「ワンパターンなんだよ!」
機拳流拳士は挟み撃つように木人を囲み、フェイントから高速の連撃を次々に叩き込んで木人をたちまち秒殺する。すると木人を破壊した刹那、仕込まれていた爆薬が点火して瞬く間に敵を爆炎に巻き込んだ。
「ぐわっ!!」
「言い忘れてましたガ。そいつは倒すと爆発する仕様ですのデお気をつけて」
ビニール製の木人は低コストで、さらにダメージを受けると爆発するように設計されていた。敵が怯んだ隙に、ノインは愛用の宇宙バイク『ブーストスライガー』を呼び出し、道場内部に突入させた。
「さあ、今のうちにお逃げなサイ! それに乗って!」
「あ……」
固唾を飲んで戦いを見守っていた奴隷の女が、手枷をされたままノインを見つめていた。
「早ク!」
はっと我に返り、慌てて機体に飛び乗った女を連れ、宇宙バイクは光の尾を曳いて走り去っていった。
成功
🔵🔵🔴
レパイア・グラスボトル
家族と共に現地に到着。
医者の要否を確認。
纏めて放置しているならそっちの治療を優先。
邪魔する者は家族が相手をしてくれる。
義肢に興味。応急処置に使用できるか検証。
【POW】
本能全開の家族達が見た目は良さげな拳士に襲い掛かる。
【医術】により、生身で弱そうな箇所を指摘。
抱き着いたところを他の猟兵が攻撃して巻き込まれても仕方がない。
あちらが機械で補うならこちらは【医術】と爆発物で補う。
瀕死であっても生きていれば元気に治す。
それが仕様であるから。
レイダーだって過去のある人間。サイボーグ技師だった者もいるかもしれない。
消滅しない拳士も治療。危険物、力の拠り所は除去する。
売られるか家族になるかは本人次第。
●
「ここかい、『極天十字拳』の本拠地っていうのは!」
部下であり家族であるモヒカン達……レイダー軍団をぞろぞろと引き連れ、レパイアは亜州寺へとやって来た。
「辛気臭い寺だなぁ」
「い、いつ殺せるの」
口々に文句や願望を垂れながら、装甲ベストやレザージャケットに肩パットやら派手なスタッズ加工を施したレイダー達が内部を物色している。
「おっ、女がいるぜぇ」
相手が若い女と見るや甲高い嬌声を上げ、テンションを高めるレイダー達。その様子を見て、機拳流の女拳士達は不快そうに舌打ちする。
「ちっ、何処から湧いて出た。クズ共が……」
「女だからって、甘く見ていると痛い目にあわすぞ?」
機械の剛腕に油を差し、彼女らが戦闘の構えをとる。モヒカン達もまた、愛用の釘バットや鉄パイプを手にヤル気満々だ。
「まあ待て。そこに衰弱している奴らがいるだろう? ワタシに治療をさせてくれないか」
「そこで転がっている奴隷たちか? 助けたいのなら好きにしろ。私達も、好きにやらせてもらうがな!」
レパイアのレイダー軍団と、拳法使い達による壮絶な格闘が始まった。治療の対象が増えるな、とレパイアは独り言ちながら、疲弊した奴隷たちに栄養剤を注射していく。軽い脱水症状を起こしているが、命に別条はなさそうだ。
「くらえ、機拳流奥義・戯岩斗拳(ギガントパンチ)!!」
「グヘェッ!」
鋼鉄の拳に撃ち抜かれたモヒカンが、豪快に宙を飛んでいく。
「いいパンチだ。どこの義肢メーカーだ? 応急処置の参考にさせてもらおう」
レパイアは人質モヒカン問わず治療を続けつつ、モヒカンのケツを蹴り上げてユーベルコードを発動させた。
「そら、行ってこい! 心配するな! バラバラになっても治してやるから! ……生きていたらな」
「ヒャアアアッ!」
蹴飛ばされたモヒカン男の逆立った髪が、爆発物の導火線へと変化する。ショウタイム・オン・ザ・ファイアワーク……見苦しい花火ともいう。
「オメエも俺達の家族になれや!」
「コラ離れろ! 気持ちの悪い! ……爆発するだろうが!!」
必死に引きはがそうとするのだが、鋭く尖ったモヒカンの先端が体に刺さって抜けないのだ。やがて拳士は、モヒカンと共に星となった――。
「なに、案ずるな……ワタシは闇医者だ。どんな手を使ってでも元通りにしてやろう」
成功
🔵🔵🔴
劉・涼鈴
機拳流……ふぅん、身体を強くする外家の極端なヤツ、ってトコかな?
【デモリッション・ギガレックス】を召還!
ギガレックスはそっちの人たちを守ってて! ビームも使っていいよ!
こいつは私が倒す!
相手の拳を【見切る】
一歩も動かず、迫る拳の側面に掌を押し当てて軌道を逸らす!(武器受け)
右から左から何十発打ち込まれても全部だ!
どんなに改造して力が強くなっても、内功を鍛えてないヤツの拳なんか全然怖くないね!
生身の子供に凌がれて焦り、技が雑になったところで懐に飛び込む!
気功(気合い)を込めた【怪力】の拳を叩き込む!
【砲撃】のような一撃は機械の身体でもブチ砕く!(鎧砕き)
これが劉家の拳だ!!
●
「機拳流……ふぅん、身体を強くする外家の極端なヤツ、ってトコかな?」
スタイリッシュにして妖艶な、チャイナドレス風の武道着を纏った女武術家をしげしげ眺めながら、涼鈴が牛の耳をぴこぴこと動かしている。
「なんだ、私の体が珍しいか?」
鋼の拳を力強く握りしめ、女が自慢げにほほ笑む。毎日メンテナンスを欠かさない機械の体が、彼女に絶大な力を与えてくれたのだ。
「ううん、猟兵には機械の体を持つ人もいっぱいいるし、別に?」
「え? そ、そうか……」
意外にも涼鈴のリアクションが薄かったため、武術家は肩透かしをくらった。
「それより、私も面白いもの見せてあげる!」
「……はぁ?」
涼鈴は両腕を頭上にばっと掲げ、天下無敵のティラノサウルス型マシン『ギガレックス』を召喚する儀式【デモリッション・ギガレックス】を発動させた。涼鈴が何やら怪しげな呪文を唱えると、低い唸り声と共に黒い装甲に覆われた暴君竜が顕現した。
「あ……きょ……恐竜、機械の!?」
アポカリプスヘルには、機械と融合を果たした野生動物も珍しくない。だが、さすがに太古の超生物である恐竜が出現するとは思いもよらず、敵は呆気に取られていた。
「ギガレックスはそっちの人たちを守ってて! ビームも使っていいよ!」
涼鈴からの指示にギガレックスは忠実に答え、ノッシノッシと敵の前に立ちはだかる。大木のような尾を振り回し、時にビームを吐いて敵を牽制。そうして敵が攻めあぐねている間に、人質を逃がす算段だ。
「――こいつは、私が倒す!」
目の前の敵に相対する、涼鈴の紅い瞳に闘志が宿った。腰を落としてどっしりと構え、全神経を見切りに集中させる。
一歩もその場から足を動かすことなく、不動の構えで左右から撃ち込まれる拳を捌く。女が何十発と撃ち込もうと、涼鈴の体を捉えることはなかった。
「クッ……舐めるなよ小娘!」
機拳流の秘技・戯岩斗拳(ギガントパンチ)は、一撃で人体を破壊せしめる殺傷力を持つ。だが、それも当たらなければまるで意味がないというものだ。
「どんなに改造して力が強くなっても、内功を鍛えてないヤツの拳なんか全然怖くないね!」
これが研ぎ澄まされた感覚と、極限まで鍛え抜いた人間としての芯の強さだ。
「これが劉家の拳だ!!」
丹田で練り上げた氣を体の隅々まで伝達し、大きく踏み込んで渾身の突きを打ち込む。ズゥン! と大地を揺るがす震脚と共に放たれた剛打が、女の鳩尾を捉え勢いよく後方へ吹き飛ばした。
「グオオオオオオッ!!!」
涼鈴のクリーンヒットを称えるように、ギガレックスが勇ましい咆哮を轟かせた。
成功
🔵🔵🔴
春乃・結希
あなた達みたいに流派があるわけでも無く
ちゃんとした型があるわけでもない
綺麗な武術の動きが出来るの、少し羨ましいです
私の体術は全て我流
どんな手を使っても相手を挫く為のもの
手加減なんて出来ない
私が勝てればそれで良い
……全力で、潰す
『wanderer』による蹴り、UCによる拳で戦います
繋がる焔鎖で、どちらかが倒れるまで終わらないデスマッチ
背中の『with』の重さを感じることにより無限に湧き出る【勇気】により
絶対に引かず踏み込んでいく【覚悟】
痛みは全て無視【激痛耐性】
殴られてもお返しに【カウンター】を叩き込む
どうですか?『春乃流』の弟子に……
……教えるの苦手やけんやっぱ辞めとこ
●
頭部を破壊された石像が無惨に転がる、寺の中庭。鋼鉄の大剣『with』を背負った結希が、視線を逸らすことなく相手との距離を詰めていく。
「あなた達みたいに流派があるわけでも無く、ちゃんとした型があるわけでもない……綺麗な武術の動きが出来るの、少し羨ましいです」
自由気ままに旅をする結希にも武術の心得はあるが、そのスタイルは完全な我流だ。型にはまらず、一つどころに留まらず、自由に生きるのが彼女のスタイルであるがゆえに。
「……自分より強い奴に会いに行くとか、そういうヤツかい? それとも、人助けがしたいの?」
技術をある程度修めた後も、自分の道場を開かず武者修行を続ける武術家も中にはいる。ただ、弱者も強者も徒党を組むことが多いアポカリプスヘルでは、そういう人間は稀だ。
「……いいえ。多分誰かのためとかじゃなく、自分が楽しむために戦ってるんだと思います。……この『with』が私の道標になってくれるから。これからも『with』と共に在りたいから」
「戦いのスリルに憑りつかれたか! どうやらお前は、私と近い存在のようだ。少し気に入ったよ!」
勝つためには、どんなスタイルも厭わない。手加減なんてできない。勝てればそれで良い……闘法は違えど、両者に共通するのは『勝つことへのこだわり』だった。
「……全力で、潰す」
蒸気機関式戦闘ブーツ『wanderer』が、結希の戦意に応じるように白いスチームを放出する。軽くジャンプして感触を確かめると、準備完了だ。
「はっ……!!」
そして二人は激突する。装甲義肢とガジェットブーツによって踏み込みを加速させ、同時に放たれた蹴りが交錯した。
素早い切り替えしと共に結希の拳から放たれた焔が女の腕に絡みつき、煉獄の鎖となって二人を繋ぎ止める。
「んっ!?」
「どちらかが倒れるまで、消えませんよ」
凄絶な笑みを浮かべながら、結希が炎鎖をぐいっと手元に引き寄せる。逃げ場のないデスマッチだ。無論、味方が加勢に入ることも許されない。
「……望むところだ。小娘っ!」
片腕の膂力で主導権を握り合う二人。五月雨のごとく打ちつける結希の拳打が、女を襲う。
「沈め!」
女の機械腕が殺意に応じるように変形し、戯岩斗拳(ギガントパンチ)が結希のボディに深々と突き刺さった。
だが、それも気合いで耐え抜く。結希が背負っている『with』の重みが、彼女に無限の力と勇気を与えてくれる。だから、まだ戦える。
「私は……絶対に諦めない!」
余計な痛みは無視だ。歯を食いしばり、捨て身の覚悟で繰り出したブローが灼熱の獄炎を噴き上げ、女の顔面を捉える。爆発の勢いは打撃を加速させ、スレンダーな女の肢体を遠くまで吹き飛ばしていった。
「どうですか?『春乃流』の弟子に……」
石畳に横たわる拳士に声を掛けるべきか、逡巡する結希。もし叶うのであれば、共に腕を磨き合う相手が欲しかったのだろうか。
「……教えるの苦手やけんやっぱ辞めとこ」
それは僅かに芽生えかけた想いだったが、今はそっと胸にしまい込んでおくことにした。
成功
🔵🔵🔴
陰白・幽
持ってきた物資を残された人人に渡して元気を出してもらって、あとは自分で逃げてもらうよ〜
ここは危ないよ、取り敢えず逃げることがオススメだよ〜
敵の人は拳法家さんだよね〜、動きを読まれないようにしながらこちらの攻撃を当てなくては〜
戦闘では尻尾の攻撃を交えて相手のリズムを崩して敵の隙を作ったりしていくよ〜基本は下方面を狙って機動力を削いで、意識が下に行ったらハイキックをお見舞いするよ〜
敵のUCは速さと上がるみたいだから……よし、ボクもUCで対抗だよ。右腕を雷属性を宿したガントレットにして敵の攻撃を防いで、その時に痺れさせてからカウンターの攻撃を入れていくよ〜
ふぁ〜、あと、残ってる人はいるかな〜
●
「んん、ジュリアさんは、どこかな~」
ようやく亜州寺にたどり着いた幽は、十字皇ジュリアを探して寺院の廊下を彷徨っていた。すると、炊事場から温厚そうな男性がおそるおそる幽の前に姿を現した。
「お、おいキミ……どうなってるんだ? 寺の中がやけに騒がしいんだが」
「おじさん、ここは危ないよ、取り敢えず逃げることがオススメだよ〜」
話によると、男性はこの寺院で炊事や洗濯などの雑務に従事しているという。幽は持参した飲み水を男性に手渡し、速く逃げるようにと促した。
「もう何日も、家族と連絡が取れてないんだ。外出も手紙を出すことも禁じられてるし、ベースの家族が心配だ」
男性は幽に礼を述べると、足早に立ち去っていった。無事にベースに戻れるかどうかは、幽にはわからない。あとは、彼の無事を祈るのみだ。
「おい、そこで何をしている」
幽の背後から、剣呑な女の声がかけられる。振り向くと、そこには赤いチャイナドレス風の武道着を纏った女が立っていた。
「こんな子供まで、ブリンガーの真似事をしているとはな。人質を連れ戻すように、依頼されたのか?」
「うーん……ボクはブリンガーじゃない、けど。ここにいる皆は疲れているから、元気を取り戻してもらいにきたよー」
女は険しい表情を浮かべると、体内に搭載された「加速装置」のリミッターを解除して王刃悪狼怒(オーバーロード)状態に入った。スピードと反応速度を大幅に強化した女が、幽に襲い掛かる。
「子供とはいえ、侵入者は始末しないとな!」
空を裂き繰り出される中段突きを、幽は咄嗟に身を屈め回避。やや踏み込んで左右のショートフックを放ち、膝を狙ったローキックを挟んでから尾撃を叩きつける。
「……その尻尾、面倒だな」
女の脚はサイバー義肢と化しているため、生身より耐久性に優れている。とはいえ、幽の強靭な尾の攻撃を受ければ性能の低下は避けられないだろう。鋭くしなる尾の破壊力は、侮れない。
幽は下段攻撃を起点として下半身を攻め、機動力を奪うのが狙いだ。そして下段を意識させておいてハイキック、さらにミドルと繋いでガードの揺さぶりをかける。一方女は幽の尾撃を躱し、隙を突いて懐に飛び込むのが狙いだ。
「もらった……!」
反応速度で優った女が、幽の蹴りを掻い潜って距離を詰める。踏み込んだ勢いのまま、至近距離からボディブローを撃ち込もうとする。
「龍の顎よ……我が一部となれ……」
「!?」
ほぼ無意識の状態で、幽は自身の中に眠る竜の力を発動させていた。拳打を防御した幽の右腕に、雷龍の力を帯びたガントレットが装着される。ボディブローをブロックすると同時に、ガントレットから紫電が爆ぜた。
「なに……!?」
激しい光を放つ電撃に阻まれ、女がたじろいだ隙に幽が動いた。屈みこんで力をため、全身のバネを活かして飛び上がりながら攻撃を繰り出す。
「ごめんね」
迸る電光を乗せたアッパーが女の下顎を打ち抜き、敵の体を大きく吹き飛ばした。
「ふぁ〜、あと、残ってる人はいるかな〜」
少し手こずったものの、敵を退けることに成功した幽。他に助けを求めている人がいないか確かめつつ、幽は寺院の奥へと進んでいく。
成功
🔵🔵🔴
アニカ・エドフェルト
機械の、腕…。
すごく、重くて、硬そう、ですね。
これだと、ガードしても、危なさそう、ですから、
避けて、行きたい…ですが、
離れて、避けたりすると、いろんな人、巻き込んじゃいそう、ですね。
となると、懐に潜り込んで、〈オーラ防御〉と〈激痛耐性〉で、なんとか耐えきるしか、なさそうです、ね。
ですので、懐に潜り込んでから、掴んでの《転投天使》、を狙って、みます。
一回、掴んだら、意地でも、離さないように、頑張りますっ
上手く、投げ倒せたら、後は踏みつけたり、蹴ってみたりと、してみます。
機械相手では、極め技は、使いにくいかも、しれませんし、ね。
ふぅ…あとは、親玉だけ、ですねっ
(アドリブ歓迎)
●
「見つけたぞ、侵入者め……!」
アニカが混乱に乗じて寺院から脱出しようとする人々を誘導していると、騒ぎを聞きつけて「機拳流」の使い手がやって来た。色鮮やかな緋の武道着を纏った、機械の四肢を持つ女が険しい表情でアニカを見据える。
「機械の、腕……」
冷たい光を放つ女の鋼鉄の腕に、アニカは戦慄する。打撃をガードするだけでも、こちらの腕が損傷を受けそうだ。
「覚悟はいいか!?」
アニカが構えるなり、女は素早い拳打と蹴りのコンビネーションを打ち込んできた。アニカはまず敵と距離を取り、動きを見切って回避に専念する。女の剛打が振るわれるたび、周囲の物品が破壊され辺りに散乱した。
「どうした、怖じ気づいたか!?」
(離れて、避けたりすると、いろんな人、巻き込んじゃいそう、ですね)
弾みで人を巻き込んでしまう恐れがあるし、このままではジリ貧だ。打開するには、アニカ得意の投げ・極め技に持ち込むしかない。
「ふううう……」
一旦頭の中をクリアにして、全神経を集中させる。呼吸を整えると、アニカのまとうオラトリオヴェールから守りの力をもつ淡い光が立ち昇った。
「シィッ!」
顔面に向けて突き込まれる右拳を、両手でブロックして受け止める。重い打撃音とともに凄まじい衝撃がアニカを襲うが、アニカは全身に力を込めて踏み留まった。ここからは、一歩も退けない。
「離しませんよ……!」
「ぬっ!?」
女が義眼でアニカの動きを解析し、素早く次の攻撃に繋ごうとする。それより早く手を伸ばし、アニカは女の鋼の腕をしっかりと掴みロックする。その一瞬の差が明暗を分けた。
「そこで、寝ていて、くださいっ」
全身のバネと瞬発力を活かし、必殺の投げ【転投天使】を放つ。バランスを崩した女の体が、次の瞬間に大きく宙を舞った。床に叩きつけたところへすかさずニードロップによる追撃を入れると、女は短い呻き声を上げて動かなくなった。死亡したかどうかはわからないが、ひとまずこれで決着はついただろう。
「ふぅ…あとは、親玉だけ、ですねっ」
アニカは警戒を続けながら、敵の首領「十字皇ジュリア」の元へと向かうことにした。この通路の先に、アニカが求める相手は待ち受けているだろう。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『🌗十字皇ジュリア』
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POW : 征天十字鳳
全身を【魔闘気】で覆い、自身の【修めた極天十字拳の技量】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : 覇王に後退はない、制圧前進のみ!!
自身の【己が覇道を貫く覚悟】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
WIZ : 覇王は、退かぬ!媚びぬ!!顧みぬ!!!
敵を【全身全霊を込めた一撃】で攻撃する。その強さは、自分や仲間が取得した🔴の総数に比例する。
イラスト:すねいる
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠白石・明日香」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ハーーーッハッハッハッハッハ! 道場破りか、よく来たな!」
亜州寺の中庭は、広大な訓練施設に改修されていた。打撃の練習台となる木人をはじめ、様々な訓練器具が設置されている。そこに、高笑いとともに白いコート姿の女が現れた。彼女こそが、『極天十字拳』の総帥、十字皇ジュリアその人である。
「人生は戦いの連続だ。闘争こそが人を成長させ、人類を次のステージへ導くのだ。戦いから降りたものに未来はない。停滞と、緩やかな死が待つのみ!」
長い石段を下りながら、ジュリアはよく通る声で雄弁に持論を語り始める。
「私は世紀末覇王! 我が覇道を阻む覚悟が、汝らにあるか!? ならばかかってこい。誰の挑戦でも受けよう!」
覇道などと言っているが、結局やっていることは力による統治と、他の地域への侵攻にほかならない。人類復興どころか、被害を拡大させているのは彼女自身だというのに。そして極天十字拳もまた、他勢力の吸収や内部闘争に明け暮れる歪な流派だ。門弟同士の信頼関係はなく、自分以外は敵という考えが蔓延している。ジュリアの思想がいかに危険なものであるかは、これまでの戦いを切り抜けてきた猟兵なら理解できるだろう。猟兵達はそれぞれの武器を執り、拳を固め、最後の決戦に臨む。
ラウラ・クラリモンド
「なるほど、この世界の十字を名乗る者は、剣ではなく拳で戦いますか。」「十字皇と聞いては、戦うしかありません。」
【WIZ】で攻撃します。
【フェイント】や【カウンター】を織り交ぜながら、【破魔】を付けた【全力魔法】【鎧無視攻撃】の【死女の恋】で『十字皇ジュリア』を【範囲攻撃】でどこに動いても狙えるようにして【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「私の役目は、少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。
ノイン・フィーバー
協力等なんでもOK.
覇道に進むつもりはありませんガ、挑むとしましょうカ。
「闘争、戦い、なるほど。それは進歩の道なのでしょう。ですガ、その形を物理的な戦闘力でしか描けないのなら、それはまた一つの停滞ですヨ?」
基本的にはいつも通り皆さんの援護。
敵がUC「退かぬ!~」を放ったならば、打ち消さんとこちらもUCを放つ。
下手に格闘を挑んでも負けるのは想定内。だが、自信をもって放つ必殺技を変更することはしないと予想。
つまり、その1撃だけは正面からぶつけることができるということ。
恐らく打ち負けるが、こちらは相手の拳(か脚?)へのダメージを重視。
「私は勝てなくていいのですヨ。勝つのは、『ワタシ達』ですのデ」
●
「なるほど、この世界の十字を名乗る者は、剣ではなく拳で戦いますか。十字皇と聞いては、戦うしかありません」
影のように全身を「黒」で覆ったその娘――ラウラ・クラリモンド(ダンピールのマジックナイト・f06253)は優雅な所作でドレスの裾を摘まみ、十字皇へと一礼した。そして、愛用の双剣『デイジー』と『ヴァイオレット』をすらりと抜き放って構える。
「ふむ、剣士を探しているのか? 他をあたれ……と言いたいところだが、折角だ。手合わせしていけ!」
ラウラの落ち着いた物腰の裏に潜むただならぬ執念を感じ取り、ジュリアが覇気を放つ。黒衣と白衣、対照的な二人が相対する。
「覇道に進むつもりはありませんガ、挑むとしましょうカ。援護しますヨ」
携行型重火器『アームドフォート・typeG』のセーフティを解除しつつ、ノインがラウラの傍らに並び立つ。
「生半可な覚悟で、この首を獲れると思うなよ!」
二人の猟兵へ激烈な殺気を叩きつけ、ジュリアが地を蹴った。
「いきなり正面突破!? 速イ!」
ノインがガトリング掃射で牽制するも、覇気を纏ったジュリアの肉体は弾丸をものともしない。高く跳躍すると、ジュリアは純白の翼もつ巨鳥の如くコートを翻し、鮮やかに宙を舞った。
「ひょおおおおっ!!!」
「んんッ……!!」
双剣を構え防御態勢のラウラへ、怪鳥音とともにジュリアの蹴撃が叩き込まれた。武器でガードして尚、凄まじい衝撃がラウラを襲う。後方でスタンバイしていたノインが受け止めなければ、勢いを殺しきれず吹き飛ばされただろう。
「ほう、よく持ちこたえたな!」
蹴りの反動を利用して大きく跳ね返り、着地したジュリアが、再び仕掛けてくる。速度と破壊力は圧倒的、二撃目に耐えられる保証はない。
「――幻の快楽を得て、紅き闇に落ちよ」
ラウラの詠唱に反応し、炎刀『デイジー』と氷剣『ヴァイオレット』が光の粒子となって分解されていく。そして次の瞬間、紅と蒼の薔薇へと変じた刃の花が、ジュリアの視界を埋め尽くさんばかりに嵐となって吹き荒れた。
「む……これは!」
「あなたの力を封印し、浄化して差し上げます」
破魔の力を秘めた魔法の花びらがジュリアの体に纏わりつき、力の源たる覇気を抑え込んでいく。その隙を突いてノインが封じていたメガリス『星神の戦衣』の力を引き出すと、彼の腕に黄金の光が集まった。そして瞬く間に、眩い光を放つガントレットを形成した。
「闘争、戦い、なるほど。それは進歩の道なのでしょう。ですガ、その形を物理的な戦闘力でしか描けないのなら、それはまた一つの停滞ですヨ?」
ジュリアが思い描く理想の世界を、ノインは今一つ理解しきれないでいた。彼女は従う者たちに、一体どんなビジョンを見せようとしたのか。ノインには、ジュリアが望むのは際限なき闘争が続く修羅道のような世界に思えてならなかったのだ。
「拳を交えて、他者を理解したいというのナラ、教えて差し上げまショウ。弱き者を護る為に戦った、勇者の拳をネ!!」
ファイティングポーズをとったノインが、一気に距離を詰めた。ダイナミックなモーションの一撃で、正面から打ち合うつもりだ。
「ハハハハ! 勇者の拳か、いいぞ! 見せてみろ!!」
凶暴な笑みを浮かべたジュリアが、拳を振りかぶる。ノインも負けじと拳を突き出すと、二者の間で激突したエネルギーが凄まじい爆発を生み出した。
「グワッ!」
頭部のTVモニターを損傷したノインが、傷口から黒煙を上げながら吹き飛ばされる。もとより相打ち狙いの一撃だったが、ノインはこれ以上の戦闘続行は不可能なようだ。しかし、是が非でも攻撃をヒットさせるというノインの目的は果たすことが出来た。
「私は勝てなくていいのですヨ。勝つのは、『ワタシ達』ですのデ」
ユーベルコードがぶつかり合った地点は、地面が抉れて粉砕され、クレーターのようになっていた。その中心地点に、拳を真っ直ぐに突き出したジュリアが仁王立ちになっていた。
「……存外、重い拳を使うじゃないか、道化師よ」
ノインの繰り出した一撃によってジュリアの拳の肉は深く裂け、ポタポタと鮮血を滴らせていたのである。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
春乃・結希
道場の看板には興味ありません
強い人に、お前は強いな、って言って欲しいんです
それが私の自信になるから
……行こう、『with』
貴方と私の【覚悟】、あの人に見せてあげよう
『wanderer』での踏み込みの勢いのまま正面からぶつかり、『with』を振るいます
……まだ本気やないですよね?私なんか手を抜いても勝てると思ってるんですか?悲しいなぁ
相手の身体能力が増大したら、こちらもUC発動
スピードが増加したとしても、私のする事は変わりません
【激痛耐性】と地獄の炎でのダメージ補完による
防御を捨てた全力攻撃
あなたも私も退かないなら、どちらかが倒れるまで終わりませんね
あなたの覚悟と、私の覚悟、どちらが強いかな?
●
「次の相手は汝か。随分物々しい太刀を提げておるな!」
漆黒の大剣『with』を引っ提げ、結希がジュリアの前へと進み出る。ジュリアは裂けた拳から流れる血も意に介さず、愉しそうに結希を見据えた。
「道場の看板には興味ありません」
「ほう?」
蒸気魔導ブーツ『wanderer』を起動させると、まるで靴が呼吸するかのように蒸気を吐き出し始める。
「強い人に、お前は強いな、って言って欲しいんです。それが私の自信になるから」
「我を倒し、強さの証とするか。いいだろう! 我を倒せば、多くの挑戦者が汝を狙いに現れるぞ。誇りに思え!!」
「……行こう、『with』。貴方と私の覚悟、あの人に見せてあげよう」
愛剣にそっと語り掛け、結希は勢いよく地を蹴り駆け出した。『with』を振りかぶり斬りかかる結希に対し、ジュリアは腰を落として構える。猛烈な大剣の打ち込みを、避けることもガードすることもない。
「覇王に後退はない、制圧前進のみ!!」
裂帛の気合と共に繰り出された回し蹴りが側面から刀身を叩くと、斬撃の軌道は容易く逸らされた。轟音と共に『with』が石畳をぶち割り、辺りに土埃が立ち込める。
「まだぁ!!」
続けざまに横薙ぎの一閃。ジュリアはその斬撃に、ハイキックを合わせ相殺を図る。
「フンッ!!」
覇気を纏った蹴撃が、鉄塊のごとき巨剣とぶつかり合う。渾身の力を込めた一刀が、右足ひとつで弾き返された。大きく目を見開く結希と対照的に、ジュリアは追撃をかけることもなく、静かに佇んでいる。
「……どうした?」
「……まだ本気やないですよね? 私なんか手を抜いても勝てると思ってるんですか? 悲しいなぁ」
お互いの全力で、ぶつかり合いたい。そう願う結希は自分自身の『最も強い姿』を心に思い描く。それは、ブレイズキャリバーとしての彼女の真の姿だ。
登り詰めたいのだ、本気の、さらにその上へ。炎を、もっと炎を! ユーベルコードの域まで高められた強力な自己暗示が、彼女の体に変化をもたらした。
結希の背中から、翼のように紅蓮の炎が左右に向けて噴き出したのだ。
「面白い物を見せてくれる! それが汝の本気とやらか!」
「あなたも私も退かないなら、どちらかが倒れるまで終わりませんね。あなたの覚悟と、私の覚悟、どちらが強いかな?」
加速させ拳を打ち込む結希に対し、ジュリアの動きも速さを増していく。目にも留まらぬ、熾烈な打撃の応酬。ジュリアの連撃が、結希の体に突き刺さる。だが、呼吸が止まるほどの激痛にも結希は耐える。
迸った地獄の焔が、ジュリアの行く手を阻むように火柱となる。その火柱の中から現れた結希が拳に焔を灯し、鋭い叫びと共に打撃する。
「はああああッ!」
ユーベルコードにより何倍にも威力を増強させた渾身の拳打がジュリアの体を捉えると、彼女の体は後方へと大きく吹き飛ばされた。
成功
🔵🔵🔴
ハロ・シエラ
なるほど、相手は強そうですね。
拳法を使うなら剣で【武器受け】して敵の拳に【カウンター】を仕掛け剣士である事を印象付けましょう。
その際【毒使い】でダガーの毒を送り込み【継続ダメージ】を与えてもいいですね。
敵との距離や動きの【見切り】が重要でしょうか。
後は敵のユーベルコードの発動を【第六感】で察知したい所です。
全身全霊ならかなり強力でしょうが、ただのジャブなどよりは僅かでも隙が出来るはず。
そこを見逃さず後方に【ジャンプ】し、【物を隠す】技で隠しておいた魔銃を抜き、ユーベルコードによる射撃で【だまし討ち】します。
私も闘いによって成長してきました。
これがその成果です。
通用すればいいのですけどね。
●
闘争こそが人を成長させ、進化せしめる――それが十字皇ジュリアの思想であるならば、その思想を最も体現している猟兵は彼女だろう。
「あなたが極天十字拳の総帥、十字皇ジュリアですか」
幼いころから吸血鬼と戦うための訓練を受けてきたハロにとって、戦いは日常だった。物心ついてすぐに剣を執り、小競り合いのたびに生き残った彼女はいつしか「奇跡の子」と呼ばれるようになったのだ。
「いかにも」
ハロは煤けた白いコート姿のジュリアを、赤い瞳で見つめる。これまでの戦闘で猟兵の攻撃を何度か受けているが、彼女の戦意と覇気はまだ衰えていない。それどころか、ジュリアがひどく昂ぶっているのをハロは感じた。
「娘よ、さあ早く! 早く汝の奥義を見せてくれ。私を愉しませてくれ!」
哀切するようにハロに語り掛け、ジュリアが爆発的な覇気を放出する。命そのものを燃料に換えるような激しさで、ジュリアが吼えた。
「アアアアアアッ!!」
裂帛の叫びとともに疾走し、全身全霊を込めた打撃でハロを攻めたてる。フェイントのような小細工を必要とせず、圧倒的な力でねじ伏せる。それはまさしく覇王の拳といえた。
「何という気魄……!!」
彼女の出身世界であるダークセイヴァーにも、これほど猛々しく戦う敵はそういなかった。瞬き一つで全身を粉砕される剛打を、ハロは紙一重の差で躱していく。
「私も闘いによって成長してきました」
吸血鬼の軍勢に苦渋を舐めさせられ、猟兵になってからも様々な世界を渡り歩いて剣を振るってきた。数えきれない死闘が、彼女を歴戦の戦士へと育て上げた。
「ですから、今回も必ず勝って帰還します。次の戦いのために。次の次の戦いの為に」
ジュリアの拳打に合わせ、懐から静かに抜いた短剣『サーペントベイン』の刃を走らせる。薄皮を切るほどの、か細い斬撃。ハロはその刃に、毒蛇の血と毒を仕込んでいた。
「ククク……ハハハ! そのようなチャチな刃物で私を討ち取れると思っているのなら、好きに使うがいい!」
嘲笑と共にジュリアが拳打を繰り出す。彼女の覇気が荒々しく逆巻き、切り刻むような烈風がハロの髪を嬲る。
「……!」
猛攻に耐えつつも、ハロは卓越した集中力を切らすことなくジュリアの動きを観察していた。リーチを見極めて距離を取り、反撃の機会を虎視眈々と窺う。既にその布石は打ってあるのだ。
ひとつは武器が剣一つだという印象付け。そしてもう一つは、刃に塗布していた猛毒。
「多くの仲間を見送った戦いの日々――これがその成果です」
ジュリアの打ち込むタイミングに合わせ、後方へ跳躍する。『ブラックストリングス・スケイル』の内側に秘匿していたのは、切り札として用意していた魔銃。
「貴様、毒を仕込んだか……!」
急激に呼吸が乱れ、立ち眩みを起こしたジュリアの踏み込みがピタリと止まる。そこへ、冷たく光る銃口から必中の魔弾が放たれた。
「地獄の底から、貴方を殺りに来ました」
放たれた魔法の弾丸は、狙い違わずジュリアの胸元へと吸い込まれ――彼女の白き衣を紅に染め上げた。
成功
🔵🔵🔴
レパイア・グラスボトル
レパイア一家はレイダーである。
敵が一人しかいないのなら相手は他猟兵に任せて、略奪を継続する。
【POW】
雑魚がどれだけ道場内を走り回ろうと覇王の飛翔能力の前では無意味である。
そして雑魚は蹴散らされるのだ。
死なない限りレパイアに治療されるが。
レパイアは幸か不幸かジュリアの方向に吹き飛びぶつかる。
無意識に触診をする。
そして、覇王と救世主に挟まれる。
ワタシはあんたの体の秘密がわかったぞ。
救世主にそれを伝える。
自身は後方支援、所詮は医者なのだから。
行き場のない者達を家族に誘う。
ま、なんだ。
元が何であれ荒事でしか生きられなくなってるなら、ウチに来な。
ただ、不景気な面だけはご法度だ。
アドアレ絡み歓迎
劉・涼鈴
少林拳……んー、詠春拳?
でもなんか違う……あれもこれもって他の流派を摘み食いして、自分の流派の本質ってのを忘れちゃってんじゃない?
魔闘気に対抗して、【気功爆裂】(アイテム)させる!(覇気)
うおおおお!!
壁とか仏塔を足場代わり(地形の利用)に、高く【ジャンプ】!
飛んでるトコにぶつかって行って(捨て身の一撃)、組み付いて(グラップル)、地面に投げ落とす!(投擲)
どっせーい!
また飛ばれないように密着距離で格闘だ!
【野生の勘】で【見切り】ながらの殴り合い!
おらおらおらァ!!!
【鎧砕き】の一撃が防御を抜いたら、追撃の【劉家奥義・蚩尤激甚脚】をブチかます!!
●
「ヒャッハーー! 食い物だァーー!」
「ホホーーーーゥ!」
レイダー集団『レパイア一家』は、相変わらず略奪に勤しんでいた。貯蔵されていた食料を袋に詰め、なぜか価値の高そうな仏像や祭具までも持ち出そうとしている。
「こんなものか……今回も稼いだな。よし、ずらかるぞ!」
レパイアらが物資を奪い、引き上げようとしたとき――白いコートをはためかせ、十字皇ジュリアがレイダーに向かって『飛来』してきた。
「ハーハハハハハハ!!」
「「ぐえぇーーっ!?」」
全身から魔闘気を迸らせ、空中を超高速で飛翔して次々に技を振るっていくジュリア。ただの野盗であるレイダー達が、その動きを見切れるはずもなく。レパイア一家は次々に蹴散らされていく。
「……おい、まだ死ぬなよ。ワタシが治療してやる」
レパイアは蹴飛ばされながらも何とか地べたを這い、手下を携帯型医療器具で治し始めた。虫の息だったモヒカンが、少しずつ活力を取り戻していく。
「うっ!?」
そのとき、不意に猛烈な砂塵が寺の中に吹き込んできた。目を空けられないほどの強風が収まると、やがて風が吹いた方向から靴音が聞こえてきた。
「げ!? アイツはまさか……」
現れたその人影を目にした瞬間、レパイアは言葉を失った。
「少林拳……んー、詠春拳? でもなんか違う……あれもこれもって他の流派を摘み食いして、自分の流派の本質ってのを忘れちゃってんじゃない?」
仮にあのジュリアに師がいたとして、彼女は師から何を学んだのだろう。流派の本質とは……。そんなことを考えながら、涼鈴は体に宿る気を練り始めた。
「うおおおお……!!」
涼鈴の体表から、ゆらゆらと紅い光が立ち昇る。練り上げた気功により飛躍的に身体能力を増大させた涼鈴は、大きな石像やそびえる仏塔を足場にして跳躍し、空から襲い来るジュリアを迎え撃つ。
「フハハハハ! 面白い奴だ!!」
空中から急降下し、ジュリアは真正面から涼鈴に向かってくる。涼鈴は覚悟を決めると、塔の屋根から大きく跳躍。ジュリアに思い切り飛びつくと、空中でガッチリと組み合う状況となった。
「む!?」
「どっせーい!」
捨て身の覚悟でジュリアに組み付いた涼鈴は、キマイラの膂力を以て思い切りジュリアを眼下へと投げ落とす。真っ逆さまに落下し地上に激突する寸前、ジュリアは両手から衝撃波を地面に叩きつけて豪快な受け身を取った。
「っ……この私を空中から投げるとはな!」
「ジュリア、今度こそあなたの奥義を見せてもらう……って、誰!?」
その時、相対していたジュリアと涼鈴の元に一人の男が静かに近づいてきた。年季の入ったアーマージャケットに、革のパンツを履いた筋骨隆々の青年。鍛え抜かれた鋼の如き肉体を持つ彼は、一目で凄腕の拳法家だとわかった。
「……任せろ」
レパイアのユーベルコードによって出現した男は、極端に寡黙だった。鋭い目つきで涼鈴を一瞥してぽつりと呟くと、ジュリアに向けて拳を突きつけた。
「戦ってくれるの? 一緒に」
涼鈴の問いに、男は言葉を返さない。だが、彼女の傍らに立っていることがその答えであることは明白だった。
「二対一でも、私は一向に構わん!」
再び体から魔闘気を放ち、ジュリアが地を蹴った。それと同時に、涼鈴と謎の拳法家も前へ飛び出す。
「おらおらおらァ!!!」
「アチャアッ!」
「おおおおおおおっ!!」
三人の拳が、蹴りが激しくぶつかり合い、大気をビリビリと震わせた。何人たりとも、この戦いを止めることなどできはしない。
「……極天十字拳奥義」
魔闘気を爆発的に増幅させ、真紅の光の十字架に磔にされたような構えをとるジュリア。そして深く身を屈めると、残像を描く速度で涼鈴に飛びかかった。
「征天十字鳳ッ!!」
「あたたたたたたたたた――ほわたぁ!!」
男の長い足から繰り出された蹴撃が、怒涛の勢いで叩き込まれるジュリアの剛打から涼鈴をブロックする。しかし勢いを完全に殺しきれず、男の胸板にジュリアの鉄拳が深く突き刺さる。
「……十字皇、これで、ぶっ潰れろ!」
間髪入れず、紅いオーラを纏った涼鈴が飛び蹴りを繰り出した。これぞ、武術の名門劉家に伝わる奥義・蚩尤激甚脚。
「―――――!!」
涼鈴の蹴り足は飛び込んできたジュリアの腹部を捉え、彼女の体をくの字に折り曲げたまま天高く打ち上げた。その様子は、天へと昇る竜のごとく美しいものだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
陰白・幽
今回の〜最後敵さんがいるけど、今回は力尽くで頑張らせてもらうよ〜
敵の人も接近戦が得意そうだけど……ボクも距離を詰めて接近戦を仕掛けていくよ〜
基本は手足を使った打撃を中心に蹴って殴ってをするけど、それに混ぜて尻尾による払いや翼を使って空中で動きを変えて敵の防御をすり抜ける攻撃を行なっていくよ……
敵のUCにはボクもUCで対抗をするよ……敵は高速で動けるみたいだけど……時空操作能力を使用して敵の懐に瞬間移動をして能力の上がった攻撃をノーガードでガンガン打ち込んでいくよ……最後は全力のかかと落としを打ち込んでいく……
はぁ〜疲れた……ボクは疲れたから……もう寝とこ〜っと
●
いつしか空には雲が垂れ込め、シトシトと雨が降り始めていた。雨中に佇むジュリアの足元には、無惨に破壊された仏像の頭部の破片が散らばっている。
「ふむ、次は竜の子が相手か……今日は組み手の相手に困らんな!」
度重なる猟兵との戦いを経て白衣は汚れ、ジュリアの肉体には既に幾つもの傷が刻まれていた。しかし、彼女の生気と戦意は未だ衰えておらず、世紀末覇王を名乗るに相応しい威厳と覇気を保っていた。
「今回は力尽くで頑張らせてもらうよ〜」
いつものようにのんびりした口調の幽が、拳を構え戦いの準備を整える。烈しい気魄に満ちたジュリアが動ならば、夢と現の狭間を揺蕩う幽は静だ。
「ボクが勝ったら、人々を解放させてもらうんだよー」
「いいとも、勝てればの話だがな!」
次から次へ現れる猟兵たちは、ジュリアが思いもよらない戦い方を見せてくれた。この龍の翼と尾をもつ少年は、自分にどんな力を見せるのか。ジュリアはそれが楽しみでならなかった。
「いくぞ!!」
「……!」
二人は同時に地面を蹴り、拳と蹴りを繰り出して激しくぶつかり合った。あらゆる敵を力と覇気でねじ伏せるスタイルのジュリアは、切れ味鋭く豪快な打撃を得意としている。幽も負けじと応戦するが、彼我のリーチ差は大きい。そこで役立つのが、長い尾だ。太い尾は鞭のようにしなって打ち据え、時に体に巻き付けることもできる。
「汝の眼に刻みつけるがいい……奥義・征天十字鳳!」
幽の尾撃をガードしたジュリアの魔闘気が、爆発的に膨れあがった。スピードが上がったことで攻撃の手数が増え、怒濤の連打で幽のガードを揺さぶってくる。それに合わせ、幽も己に眠る『永眠龍』の力を解き放った。
「死を喰らう龍の力……ここに」
幽の瞳が紫の光を放ち、彼は『時間と空間を操作する力』を解禁した。
「む……どこだ!?」
ジュリアが電光石火の蹴撃を放った刹那、幽はジュリアの懐に飛び込んでいた空間を跳躍する瞬間的移動に、ジュリアの脳は幽の位置を誤認してしまったのだ。
稲妻のごときボディブローが突き刺さり、ジュリアの体が地面から数十センチ浮き上がる。間髪入れず顎を蹴り上げると、幽は勢いよくジュリアを上空へ打ち上げた。
「がっ……!」
「これで、決める……!」
幽は再び永眠龍の力を使い、空中へと飛び上がる。そして足を高く上げると、渾身の力を込めてジュリアへと振り下ろした。
「カハッ……!」
斧のごとく振り下ろされた足はジュリアの肩口に打ち込まれ――そのまま彼女を地上へと叩きつけた。その痛烈な踵落としが、決着の一撃となった。
「龍の力は、手に入らずか……」
力なく横たわったジュリアの体に、冷たい雨が打ち付ける。幽は、そんな彼女をただ静かに見つめていた。龍は古代の中国において神の化身とされ、最高権力者たる皇帝の象徴でもあった。ジュリアは倒れたまま幽に手を伸ばそうとするが、彼女の肉体は既に限界を迎えていた。指先から、白い灰になって崩れていく。骸の海に還る時が来たのだ。
「今回は私の負けだ。だが……次にまみえる時は必ず私が勝つ。再び黒き風吹くとき、また会おう……」
最後の言葉を言い残すと、ジュリアの体は突如発生した漆黒の竜巻に呑まれて砕かれていった。そのオブリビオンストームが収まると、十字皇の姿は跡形もなく消えていた。
「はぁ〜疲れた……ボクは疲れたから……もう寝とこ〜っと」
力を使い果たした幽は、ずるずると尾を引きずり寺院の奥へと消えていった。僧侶の部屋で眠っている彼を仲間の猟兵が見つけたのは、それから数時間後のことであった。
成功
🔵🔵🔴
最終結果:成功
完成日:2020年06月17日
宿敵
『🌗十字皇ジュリア』
を撃破!
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