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歪みの赤薔薇は屍の褥に咲く

#ダークセイヴァー #異端の神々

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#ダークセイヴァー
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#異端の神々


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●茨の屍を守る女
 霧深い谷に、その祭壇はひっそりと横たわっていた。
 黒いローブに身を包んだ美しい女は、祭壇の傍らに腰を下ろし、檀上を覆う茨の蔓へと淡く微笑みかけた。
「ねえさま。ねえさま。今日は西の森を焼いてきました」
 囁かれる声はふわふわと甘く、茨の塊を見つめる瞳はどこかしら夢うつつ。
 呼応するようにいばらが蠢く。その内側に浮かび上がるのは、人の形。
 祭壇に横たわっていたのは、女性の屍だった。
 白骨化した遺体が、死後どれほど経過したものなのかはわからない。ただ、ほんの一部、右手だけが辛うじて、生気の失せた青白い肉を纏っていた。
 ローブの女は屍の冷たい手をそっと握り締める。
「ええ、ねえさま。もう少しです。もう少しであの忌まわしい七草を焼き尽くせます。そうしたら、もう、ねえさまを阻むものは何もありません」
 屍を取り巻く茨が蠢き、屍の頭部を動かした。白骨化した顎がぎこちなく開き、その喉から不思議な音があふれ出す。
 人の声に似た、人のものではない、美しく楽しげな、少しひずんだ旋律。
 それは不可思議な歌のように聞こえた。
 女はうっそりと微笑んだまま、屍の手を祭壇に横たえ、立ち上がった。
「では、残る毒草を焼き払いに行ってきます。あと少しだけ待っていてくださいね」
 静かに立ち去る女の姿は、先の見えない濃霧の中に紛れて消えた。
 霧の中には歌が満ちる。人のものではない、美しく楽しげな──狂った歌声が。

●グリモアベース:ゲネ
「今回はダークセイヴァー。辺境に巣食う「異端の神」のなれの果ての討伐を頼みたい」
 ゲネ・ストレイ(フリーダムダイバー・f14843)はホロモニターにダークセイヴァーの辺境の景色を映し出すと、事の経緯を語り始めた。
 ダークセイヴァーの辺境は荒野や森林といった手つかずの未開の地となっており、現在ヴァンパイアの領土にはなっていない。
 かつてヴァンパイア達はオブリビオンの軍勢を率いて辺境制圧に乗り出し、数々の神々を屠った。が、殺されたはずの神々は次々とオブリビオンに憑依し、魂と肉体を奪ってしまったという。結果として制圧は失敗、ヴァンパイアは辺境支配を断念したのだ。
 このような経緯から、現在の異端の神々はオブリビオンの肉体を有している。と同時に一切の理性を持たぬがゆえに、神々は「狂えるオブリビオン」とも呼ばれるようになった。
「この「狂えるオブリビオン」を討伐して辺境を開放すれば、ヴァンパイアの支配下にない居住地を作り出せるという算段だ。かなりの危険を伴うが、やってみる価値はあるだろう。……そこでだ!」
 モニターが反転、分裂し、新たな光景を映し出す。霧に沈む広大な谷と、薔薇に取り巻かれた女性の屍だ。
「今回倒してもらいたいのは『共棲者』と呼ばれるオブリビオン。厳密には茨の部分が本体の狂える異端の神だが、現在はヒトの屍に寄生して一体となっている」
 『共棲者』の生息域は濃霧に支配された霧の谷。
 先の見えない霧の中、まずは敵の居場所を探り出すところから始めなければならない。
「霧の中では『共棲者』の狂った歌声が常に響き渡っていて、長時間耳にしていると狂気に魂を支配される可能性がある。こいつに対処するためには、近辺に棲息する『闇の七草』を利用するといい」
 霧の谷には闇の七草と呼ばれる七種の薬草があちこちに生えている。見た目は一見普通の草だが、摘むと薔薇の香りがする変わった植物だ。
 闇の七草は『共棲者』の侵食を和らげる効果があるという。七種全て採取して、体内に摂取したり皮膚に塗り込んだりすれば、『共棲者』のもたらす狂気を抑え込むことができるはずだ。
「闇の七草を揃え終えた頃には、敵側にも動きがあるはずだ。『共棲者』には大量の狂信者が配下についている。こいつらがどうやら、『共棲者』の脅威になりかねない闇の七草の群生地をあちこちで焼き払っているようなんだ。野焼きが始まれば霧も薄まるだろうし、連中の位置は一目瞭然になるはずだ」
 『共棲者』の正確な居場所はわかっていないが、その狂信者の群れを撃退すればおのずとその手掛かりも手に入るだろう。
「狂信者の中には、現在「狂えるオブリビオン」にとり憑かれている屍の縁者もいるようだ。こいつもとっくに『共棲者』の狂気に憑かれているが……上手く利用したり情報を取れれば、スムーズに『共棲者』との戦いに持っていけるかもしれないな」
 全ての情報を提示し終え、反転したモニターが転送術式を輝かせた。
「というわけで、いざ征かんダークセイヴァー辺境! 異端の神を討伐し、ヴァンパイア支配圏外への希望を掴み取ってくれ!」


そらばる
 ダークセイヴァー、辺境殺神戦。
 ヴァンパイアの支配領域外を支配する異端の神を倒しましょう!

●第一章:冒険『闇の七草を求めて』
 濃霧に満ちた谷で七草を探します。
 見た目は普通の草で特に匂いもありませんが、摘むと(茎を切り離すと)薔薇の香りがするようになります。
 狂えるオブリビオン『共棲者』の歌声が常に聞こえています。
 集めた七草を摂取したり肌に塗ったりすることで、歌声の狂気をはねのけることができるでしょう。

●第二章:集団戦『異端の神を崇拝する教徒』
 黒ローブの狂信者達。『共棲者』の狂気に惹かれ、『共棲者』を崇めています。
 闇の七草を『共棲者』を脅かすものと考え、周辺の野や森を定期的に焼いています。
 狂信者の中には『共棲者』が寄生している屍の、生前の縁者がいるようです。

●第二章:ボス戦『共棲者』
 かつての異端の神が、ヒトの生き血を啜る薔薇と成り果て、屍人に寄生した状態。
 屍に判断能力や思考能力はなく、言葉も発しません。
 薔薇に操られ、狂った歌声に合わせて戦場を踊り狂います。

 執筆の進捗やプレイング締め切りなどは、マスターの自己紹介ページで呟いております。目安にどうぞ。
 それでは、皆さんの自由なプレイングをお待ちしています!
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第1章 冒険 『闇の七草を求めて』

POW   :    手当たり次第に摘んでみる

SPD   :    類似した植物の特徴から群生地を絞り込む

WIZ   :    七草が放つ他とは違うオーラを感じ取ってみる

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ベルンハルト・マッケンゼン
アドリブ連携大歓迎!

霧が立ち込む渓谷を偵察し、敵を排除せよ、か。
あぁ…これはハイランダー、グレンコーの戦いの記憶だ。
全く…命じられたとはいえ、酷い任務だった。

SPD
野戦柄の「迷彩」服でカモフラージュ、
敵の注意を引かないよう静かに移動。
野焼きの跡を探し、残った野草や
再び生えてきた新芽の特徴から七草を探索する。

候補が見つかったら、擦り潰したペーストを顔に塗り、
フェイスペイント。
更に持ち込んだラム酒とライムジュースに揉んだ野草を浸け、
即席のソーダ抜きモヒートを一杯味わう。

いや、1杯ではない。いっぱい、だ。
……狂気の歌声? 既にディオニュソスの狂気に苛まれている私には、関係無いな。
戦術的に…フッ。



●酒は飲むとも歌に呑まるるな
「霧が立ち込む渓谷を偵察し、敵を排除せよ、か」
 霧の谷を覆う濃霧に既視感を刺激され、ベルンハルト・マッケンゼン(黄金炎の傭兵・f01418)は吐息をついた。
「あぁ……これはハイランダー、グレンコーの戦いの記憶だ。全く……命じられたとはいえ、酷い任務だった」
 野戦迷彩の戦闘服を身に纏い、風景に紛れながら谷を進む。周辺に敵の気配がないか神経を研ぎ澄ませつつ、静かに、そして速やかに移動。
 沢、森、草原。霧の合間に覗ける雄大な自然の中に、不意に黒々とした不自然な光景が広がった。
 野焼きの痕跡だ。それも、かなり日が経過しているものと思われる。
「フッ……野を焼いた程度で植物を駆逐しようとは浅はかだな」
 ベルンハルトは焼け焦げた残骸を探り、丁寧にかき分けた。露出した地面にはすでに新芽が生え揃い始めている。
 複数ある新芽の特徴をしっかりと抑えてから、ベルンハルトは焼かれていない草原と森林地帯の境界の辺りへと移動し、本格的に七草の捜索に乗り出した。新芽の葉の形、枚数、茎のバランス、全体の姿かたち。情報を照らし合わせ、近いものを拾って摘んでみる。
 茎を手折れば、確かに漂う薔薇の芳香。
 七種の薬草は瞬く間に集まった。ベルンハルトは速やかに七草を擂り潰しペースト状にすると、フェイスペイントとして顔に塗りつけた。
 さらに懐から取り出したラム酒とライムジュースに揉んだ七草を浸け、即席のソーダ抜きモヒートにして味わった。一杯……いいや、いっぱい、だ。
 霧間に覗ける雄大な景色を肴に、一人酒はとめどなく進む。鼻に抜ける薔薇の香りが心地よい酩酊感をほどよく彩り、余計な雑音を遠ざけていく。
「……狂気の歌声? 既にディオニュソスの狂気に苛まれている私には、関係無いな。戦術的に……フッ」
 酔いどれ傭兵の酒盛りは、深々と時を押し流していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天星・雲雀
「えと、最終目標は、狂気に堕ちた神様を討伐して土地を奪う。そのための第一段階として、薬草の採取と摂取。群生地はここで合ってるはず」
内心では、そっとしとけば良いのにな。と思いつつも、土地不足問題で他に方法が無いならやむなしと、ここまで来てしまった。正直、気は進まない。
「薬草の知識はないから、UC光の粒子を凝縮した操り糸で全部刈り取って、薔薇の香りがする草をまとめて、薬草の茹でも作りましょう」
UCオトモおーけすとら楽団の奏でる曲で、絶えず聞こえる歌声に抵抗しながら。
釜戸と料理を任され(押し付けられ)たオトモに、「火加減とアク抜きは任せましたよ」とだけ言って、刈り終わった草の山から闇の七草を探す。



●義務と憐憫の狭間
「えと、最終目標は、狂気に堕ちた神様を討伐して土地を奪う。そのための第一段階として、薬草の採取と摂取。群生地はここで合ってるはず」
 天星・雲雀(妖狐のシャーマン・f27361)は為すべき手順を口に出して確かめながらも、淡い溜息が鼻から抜けていくのを感じていた。
 狂えるオブリビオンとやらは今のところ特に悪さをしているわけでもないし、狂信者達もやっていることと言えば野焼き程度。
(「そっとしとけば良いのにな」)
 とは内心思えど、安全な土地確保のためならばやむなしと、結局ここまで来てしまった。
 正直、気は進まない。しかし依頼を受けたからには為すべきは為さねばならない。
 雲雀が指を鳴らすと、召喚された大量の狐火の『オトモ』が心得たとばかりにくるりとトンボを切り、各々携えた楽器でオーケストラを奏で始めた。絶えず聞こえる歌声の狂気には、これでなんとか対抗できるだろう。
 狐火の演奏隊を引き連れて谷を下る雲雀。やがて広大な草原が目の前に現れた。これほどの広さならば、どこかには七草が生えているだろう。
「薬草の知識はないから、光の粒子を凝縮した操り糸で全部刈り取って、薔薇の香りがする草をまとめて、薬草の茹で物でも作りましょう」
 方針を決めるや、雲雀は片手で何気なく空中を払った。途端、目に見えない糸が草原を走り、周囲の草を片っ端から刈り取っていった。
 瞬く間に積み上がっていく草。傍らでは料理番を任された(厳密には押し付けられた)オトモによる竈の準備が着々と進められている。
「火加減とアク抜きは任せましたよ」
 料理番に一方的に告げ、雲雀はこんもりと積まれた草の山の選別に取り掛かる。大量の草から薔薇の香りを嗅ぎ取るのはなかなか地道で骨の折れる作業だったが、二山目に突入してほどなく七種全ての薬草が揃った。
 あとはあくせく働くオトモの作った料理を戴くだけ。
「ふむ、ほどよい苦み。薬草にしてはなかなか食べやすいですね」
 すっかり綺麗に刈り揃えられた草原で、闇の七草を味わいながら人心地つく雲雀。
 その耳には、遠く響く歌声に忍ぶ狂気が、ずいぶん薄まったように聞こえた。

成功 🔵​🔵​🔴​

木霊・ウタ
心情
吸血鬼に滅ぼされた狂った神様、か
何か可哀想だよな
狂信者も哀れだぜ
海へ還してやろう

手段
多分、位置関係はこう

共棲者のいる場所を中心としたら
そこから大よそ同心円状に七草を野焼きした場所が広がっているはず

歌の聴こえてくる方向を見極め進む
インカムして自分の歌に心を集中
狂気を締め出すぜ

まずは野焼きの場所を見つける
そこやその近くに新たな七草生えてきてるかも

なければ野焼きの場所から
さっきとは反対方向へ剣で草を薙ぎ払いながら進む
群生するにはその条件がある筈
群生地の近くならやっぱりその条件を満たしやすいよな
近くに生えている筈だ
薔薇の香りはどこだ?

見つけたら煎じてマグカップで飲むぜ
よっしこれで準備完了だぜ(ぐっ



●群生する法則
 深々と通り過ぎていく霧の塊の向こうに静かな谷を見出して、木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)はなんとも言えない溜息をついた。
「吸血鬼に滅ぼされた狂った神様、か」
 発展性も救いもない、ひたすらにうらびれた衰退の香りが、狂えるオブリビオンにはつきまとう。
「何か可哀想だよな、狂信者も哀れだぜ。海へ還してやろう」
 谷にたどり着いたウタは耳を澄ませた。美しく明るく、しかしどこかひずんだ歌声が響いてくる。サウンドソルジャーの優れた聴覚は、歌の聞こえてくる方向をしかと捉える。
「敵は共棲者の周囲から野焼きをしてるだろうだから、野焼きの跡はおおよそ同心円状に広がっているはず」
 ウタはインカムを身につけ、自ら歌を歌うことに心を集中することで侵食してくる狂気を締めだした。
 霧の谷に相応しい静かで抒情的な歌を紡ぎながら、狂える歌声の方向へと進むと、ほどなくして黒々と焼き払われた一帯に行き当たった。まだ焼かれてさほど時間は経っていないのか、新芽も見当たらない。
 ウタは踵を返し、野焼き跡の周囲の草を剣で薙ぎ払いながら進み始めた。
 群生するにはそれに相応しい条件というものがあるはず。群生地の周辺ならばその条件を満たしやすいだろう。つまり、野焼き跡の近くが怪しいのだ。
(「薔薇の香りはどこだ?」)
 歌に心を集中し、嗅覚は草の匂いに研ぎ澄ます。ひと薙ぎするたび濃厚な緑の匂いが鼻を刺激する。
 うんざりするほど青臭い匂いを嗅ぎ分けた……その時。
「薔薇の香り──あった! っとと」
 足を止めると同時にわずかに霧が晴れ、開けた視界の先にさらなる谷間が覗けて見えた。足元は崖になっているのだ。
「この辺は霧が濃いのか、気をつけないと。……もしかして霧の濃さが繁殖に関係してるのか?」
 そこを意識して辺りを薙ぎ払い始めると、濃厚な薔薇の芳香が広がった。どうやら新たな群生地を引き当てたらしい。
「よっしこれで準備完了だぜ」
 あっという間に七草を全種揃え、ウタは七草をマグカップに煎じた薬湯をぐっと飲み干した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

祝聖嬢・ティファーナ
WIZで判定を
※アドリブ歓迎

『フェアリーランド』の壺の中から風の精霊と死の精霊を呼んで聖霊と月霊も呼んで「“闇の七草”って言う、ちょっと危ない植物類を探すからミンナ気を付けて探して見付けたら教えてね☆彡」と言って精霊・聖霊・月霊・死霊に“七色こんぺいとう”を配りながら「変と感じたら近付く前に教えてね♪」と念を推しながら何時もよりも余計に配って警戒感を促します☆彡

土地の精霊にも「ねぇ、教えてくれないかな?♪」と聞いて見ますが必要そうならバンシーも呼んで待機してもらいます☆彡

聞いた情報や気になった点をチビえんぴつとノートでメモを控えます♪
他の猟兵も居たらメモを見せて情報を共有して、メモに書き足す☆


飛鳥井・藤彦
えらいご機嫌な歌声やなぁ。
僕、音楽には明るくないから上手い下手はよう解らんけど。
(意訳:耳障りな歌だから黙って欲しい)

ええと、手折ると薔薇の香りがする草、草、と。
この霧やし見た目も特徴がない言うんなら頼りになるのは勘と鼻だけ。
気分悪いけど地道にやりましょ。
しゃがみこんで草を摘んでは香りを確認し、該当する草を集めて擂鉢の中へ。
食べるんはちょっと勇気がいるなぁ思って、肌に塗る塗料を作ります。
香りはええけど、色はどうなんやろなぁ。
ちょっと期待しながら七草をすり潰して少しの水で伸ばしたものを筆にとり。
手の甲から腕にかけて魔除けの紋様を描いて、ハイ完成。
お、お陰で快適になった気ぃがするわ。



●精霊の導きと青い薔薇の加護
「広い谷だね♪ なら……みんな、出ておいで☆彡」
 祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)は霧の谷に到着するや、小さな壺を掲げた。
 壺の中からフェアリーランドの色鮮やかな輝きが溢れ、精霊達が次々に現れた。風の精霊と死の精霊、聖霊と月霊も。
 宙に居並ぶ四体に、ティファーナは快活に語り掛ける。
「“闇の七草”って言う、ちょっと危ない植物類を探すからミンナ気を付けて探して見付けたら教えてね☆彡」
 言いつつ全員に七色こんぺいとうを配って回る。いつもより多めの分量を受け取った精霊達は大喜びで上空に舞い上がった。
「変と感じたら近付く前に教えてねー♪」
 辺りに散っていく精霊達を、警戒を促しつつ見送ったのち、ティファーナはバンシーを呼び出し傍らに待機させ、すとんと膝を曲げて足元の地面に手のひらを置いた。
 柔らかく少し冷たい感触に集中すると、淡い光がティファーナの全身を包み込んだ。
 すると霧の一部が淡く光を帯び、朦朧とした小さな人影らしきシルエットを描き出した。霧の谷に宿る土地の精霊だろう。なんとなく陰気そうな、疲弊した様子の老人の姿に見える。バンシーを呼んで備えはしたものの、敵意はなさそうだ。
「ねぇ、教えてくれないかな?♪」
 ティファーナが小首を傾げて訊ねると、老人は不本意そうにぼそぼそと何かを囁き始めた。ティファーナは精霊術士の聴力でしっかりと聞き取り、チビえんぴつでメモを控えていく。
「……って感じみたい☆彡」
 老精霊が去り、ティファーナは仲間達を振り返って、メモを惜しみなく開示してみせた。
「へぇ、霧の深いところを探れ、と。場所のアタリもついとるね。精霊と意志疎通できるってのは便利やねぇ」
 可愛らしい文字と絵で埋め尽くされたノートの見開きを覗き込み、飛鳥井・藤彦(春を描く・f14531)は感心し、ふと不快げに霧の向こう側へ視界を転じた。
「にしても、えらいご機嫌な歌声やなぁ。僕、音楽には明るくないから上手い下手はよう解らんけど」
 耳障りな歌だから黙って欲しい、と暗にくさして、藤彦はティファーナと共に探索を開始した。
 老精霊の示した霧深い森を進むと、先行していた精霊達が二人を取り巻き、さらなる先へと急かした。
 導きのままに到着したのは、広々とした湖畔だった。霧間に時折緑地が覗けて見える。
「ここから先は手作業やな、気分悪いけど地道にやりましょ。ええと、手折ると薔薇の香りがする草、草、と」
 精霊達のナビに従い、藤彦はしゃがみこんで選り分け作業に取り掛かった。この霧の上、目での判別は難しいとなれば、頼りなるのは勘と鼻だけ。
 摘んでは香りを確認し、薔薇の芳香がすればすり鉢へ。正体のわからぬものを食べるのは若干勇気がいるため、肌に塗るための塗料にするのだ。
「うん、これそうみたい♪ あ、こっちもだね☆」
 最終分別にはティファーナと精霊達も加わって、あっという間に二人が使用するのに十分な量の七草が集まった。
「香りはええけど、色はどうなんやろなぁ」
 ちょっと期待しつつ、藤彦は七草を擂り潰し、水で伸ばしていく。少し黒ずんだ緑色から徐々に青みが強くなり、そこからさらに念入りに擂り潰していくと鮮やかなまでの青色へと変貌した。
「さしずめ青薔薇ってかい。まあ、これなら悪くないな」
 藤彦は仕上がった塗料を筆にとり、自分とティファーナの手の甲から腕にかけてさらさらと走らせた。描き込まれた魔除けの紋様が、完成と共に淡い光を帯びる。
「ハイ完成。……お、お陰で快適になった気ぃがするわ」
 歌声は未だどこからか響いて鼓膜を震わせていたが、複雑な紋様から肌に染み渡る清涼感がねばつく狂気を退けていくようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…死してなお骸を操られ、神の狂気に晒されて…憐れな

この地を解放する事が第一な事に代わりないけれど、
できる事なら、きちんと埋葬してあげたいわ…

自我の存在感を増幅する“調律の呪詛”を付与し、
全身を狂気耐性を強化するオーラで防御し歌声の影響を軽減する

…何時まで術で保てるか分からない以上、急がないと…

“精霊石の宝石飾り”に魔力を溜め精霊達の残像を暗視して、
両手を繋ぎ祈りを捧げ、闇の七草の群生地を聞いてみる

…風の精霊、花の精。私の声に応えて
薔薇の芳香がする草花がある場所を、どうか私に教えて欲しい

場所が判明したらその方向に向けUCを発動
転移した後は第六感を頼りに七草を見切り、
七草を煎じて紅茶と混ぜて飲むわ



●気まぐれな置き土産
「……死してなお骸を操られ、神の狂気に晒されて……憐れな」
 霧の谷を見渡すリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)の胸には、祈るような想いがあった。
「この地を解放する事が第一な事に代わりないけれど、できる事なら、きちんと埋葬してあげたいわ……」
 呟きながら、リーヴァルディが解放したのは、自我の存在感を増幅する調律の呪詛。全身に纏う狂気耐性のオーラと共に、歌声の影響を遠ざけてくれる。
「……何時まで術で保てるか分からない以上、急がないと……」
 そっと胸元に手を置くと、デコルテに輝く精霊石の宝石飾りが虹色の光を静かに放ち始めた。
 宝石に溜めた魔力で精霊達の残像を探しながら、リーヴァルディは両手を繋ぎ祈りを捧げる。
「……風の精霊、花の精。私の声に応えて。薔薇の芳香がする草花がある場所を、どうか私に教えて欲しい」
 霧の合間に影が見え隠れする。くすくすとした忍び笑いが気まぐれにあちこちを行き来する。善意も悪意もない、ただ好奇心に満ちた視線を感じる。
『薔薇の香りがする草花ならば、それは薔薇でしょう?』
『呪われし赤薔薇は谷の澱みに。口に出すのも忌まわしい』
 それはおそらく『共棲者』のことだろう。
 情報を取っておきたいところではあるが、断言している以上答えはしまい。リーヴァルディは首を横に振った。
「いいえ、その薔薇ではなく。薔薇の香りのする七草の群生地を知りたい」
『なぁんだ、それなら簡単』
 精霊の残像が霧深い視界の先を指差した。と同時に、群生地への道筋を示したビジョンがリーヴァルディの脳裏に流れ込んでくる……
「ありがとう、助かった」
 リーヴァルディは淡い笑顔で感謝を返すと、左目に魔法陣を展開し、精霊達に示された場所へと空間転移した。
 霧の中から霧の中へ。新たに開けた視界に広がったのは、壮大な大滝と尽きることなく霧を生み出し続ける滝壺だった。
 緑豊かな水辺にしゃがみ込み、直感に従って草を手折ると、薔薇の芳香が鼻腔を刺激した。この調子なら、七種揃えるのも難しくなさそうだ。
「あとはこれを煎じて、紅茶に混ぜて飲めば──」
 呟くその脳裏に、野焼きに向かう黒ローブの集団とその位置を示す映像が流れ込む。……精霊達の置き土産といったところか。
「急がなくては」
 しばしして滝壺に漂う紅茶の香りが、ひずんだ歌声の狂気をかき消していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『異端の神を崇拝する教徒』

POW   :    未来を捨てよ。さすれば力を与えられん。
自身の【正気を捨て、血に濡れた短剣】が輝く間、【狂気を含まれる短剣】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD   :    命を捨てよ。異端の神々は我らを救うであろう。
【攻撃、そして死を受け入れ】【死こそ神に近づけるという】【教団の教えを信じ込む事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    崇めよ。讃えよ。吸血鬼すらも屠るは神々の力のみ。
【狂った信仰】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。

イラスト:森乃ゴリラ

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●狂信の使徒
 ごう、と風が逆巻いた。
 七草を発見し狂気の歌声を退けた猟兵達の目は、谷の中央部にたなびく黒い煙をしかと捉えた。
 時がたつほどに勢い増す黒煙。猟兵達は迷うことなくその火元へと駆け付け、そして見る。黒いローブの集団が、鬱蒼とした森を焼き払っている光景を。
 黒ローブの集団の中央では、美しい顔立ちの金髪の娘が指揮を執っている。
「霧がわだかまれば、かの忌まわしき七草は繁茂するばかり。草々も木々も全て焼き払いましょう。ねえさまのために……!」
 陶酔した眼差しで声を張り上げる娘の傍らで、片目をローブに隠した男が静かに笑う。
「ああ、そうだ。何もかも焼き払うのだ。この谷は神が力を蓄えるための寝所。神の障害を許すことなかれ。草木も虫も見逃すこと能わず」
 片目の男はランプを掲げ、狂信者達の狂気をさらに鼓舞していく。
「かの神がいずれ全ての吸血鬼を斃す。崇めよ。讃えよ。吸血鬼すらも屠るは神々の力のみ……!!」

 ……どうやら『共棲者』の宿主となっている屍の縁者は、中央の金髪の娘。
 そしてその狂気と求心力を利用している中心人物が、あの片目の男なのだろう。
  『異端の神を崇拝する教徒』達。彼等の最終目的は、この谷で『共棲者』に力を蓄えさせたのち、吸血鬼を皆殺しにさせることらしい。
 吸血鬼だけをきっちり選別して倒してくれるならありがたい話だが、当然そう上手くいくわけもない。狂気の歌声の主が辺境から解き放たれれば、ダークセイヴァーに住まう人々への被害も深刻なものとなるのは必然。
 闇の七草に阻まれ身を縮こめている今が、『共棲者』を倒す絶好のチャンス。
 そのためにはまず、この黒ローブ達を打ちのめし、『共棲者』の居場所の手がかりを掴むのだ。
 業火に巻かれる死の森で、戦いは火蓋を切った。
木霊・ウタ
心情
人間が自由に生きれる場所をとか
大好きな姉と別れたくないとか
人として当たり前の想いだよな
それを狂気にあてられちまったとは可哀そうに

鎮火
焼き払いに対し獄炎を放ち
火を吹き飛ばしたり
取り込んで獄炎の一部として消去(UC

戦闘
獄炎纏う焔摩天で教徒らを一気に薙ぎ払う
防御されても短剣ごと砕く

武器受け
仲間も庇う
傷つけられたら返り血で敵を火達磨に
七草等に延焼しないよう獄炎を操作

片目
人を救いたいっていうアンタの想いは
俺達が未来へ繋ぐぜ
狂神の軛から解放してやる

金髪娘
…姉貴はもうこの世にはいない
判ってんだろ?
今、姉貴の待つ海へ送ってやるぜ

事後
鎮魂曲を謳い奏でる
最期も狂った歌声に送らるのはあんまりだもんな
安らかに


天星・雲雀
「全てのバンパイアを根絶やしにする力、実在するなら良いんですけど、制御できない力なら持たない方がマシです」

「民草の助けに成るならいざしらず、厄災と成る物なら、外界に解き放つ訳には行きません!」

「オトモ!教徒さん達の、逃げ道を塞いで、事情を知ってそうな人を生け捕りに、無傷で無力化出来そうに無い人は、倒して」(仲間を呼ばれても面倒ですから)

【その後】可能なら金髪の娘さんの『ねえさま』の話を聞きたいですね。
『共棲者』に取り憑かれてるなら、すでに亡くなられてるはずですが、蘇生を予感させるだけの『何か』が在ったのでしょうか?
(もし、『神と一つになられたのです』とかだったら、扱いづらいなぁ・・・)



●獄炎と狐火
 森を蝕む赤い炎。
 その火勢が、突如として膨れ上がった。不完全燃焼を示す明るい緋色ではなく、地獄に渦巻く紅蓮の色を帯びて。
 次の瞬間、森を包んでいた炎の半分ほどが消失した。
「──何事だ」
 どよめく狂信者達を片手で制しながら、片目の男が周辺に目を光らせた。
 が、その眼差しが異変を捉えるより早く、突如として信者達の絶叫が上がった。森を焼いていた信者の一角が、紅蓮の炎に巻かれて瞬く間に消し炭にされていく。
「……人間が自由に生きれる場所をとか、大好きな姉と別れたくないとか、人として当たり前の想いだよな。そこを狂気にあてられちまったとは可哀そうに」
 同時に響き渡ったのは、憐憫に満ちた木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)の声だった。その周囲には、森の火を消し飛ばし取り込んだ紅蓮の獄炎が取り巻いている。
「反逆者か。──神の敵だ! 贄に捧げよ!」
 片目の男の鼓舞に応えて狂信者達が躍り出る。
 ウタは焔摩天に獄炎を纏わせ、襲い来る狂信者達を一気に薙ぎ払った。閃く短剣は巨大剣にあっけなく砕かれ、防護もやすやす突き破られる。
 炎に巻かれ、大質量に打ちのめされ、次々と焼き尽くされていく狂信者達。しかし彼等は己の死を恐れることなく、量と盲信でもってウタを攻め立てる。
 混沌と入り乱れ始めた戦場に、新たな声が飛び込む。
「──オトモ! 教徒さん達の、逃げ道を塞いで、事情を知ってそうな人を生け捕りに、無傷で無力化出来そうに無い人は、倒して」
 天星・雲雀(妖狐のシャーマン・f27361)の解き放った狐火が森を駆け抜け、狂信者達を取り巻いて次々に打ち倒していく。逃走経路も仲間を呼ぶ余地も封じられ、瞬く間に窮していく狂信者達。
「術者を狙え!」
 片目の男が高らかに命じた。狂信者達は敵も味方もなくナイフを翻し、雲雀へと襲い掛かってくる。
「はぁぁぁぁぁ──ッ!!」
 腹の底から裂帛の気合いを吐き出し、ウタは周囲の敵を大剣で薙ぎ払うと、雲雀を背後に庇う形で割り込んだ。幅広の刃で大量のナイフを受け止め、裂かれた腕から流れ出る鮮血を敵群に振りまいて即座に発火させる。業火は草木を焼くことなく狂信者達だけを火達磨に処していく。
「貴様等は吸血鬼ではあるまい。何故我等を妨げんとする?」
 さらなる狂信者達をけしかけながら、金髪の娘と共に後方に控える片目の男は、深みのある声色で猟兵に問いかけた。
「我等の神は吸血鬼を退ける力を携えた尊き存在。彼のお方の意に背くとは、貴様ら、よもや吸血鬼の使徒か?」
「冗談はよしてください。全てのバンパイアを根絶やしにする力、実在するなら良いんですけど、制御できない力なら持たない方がマシです」
 オトモ達に応戦させながら、雲雀はきっぱりと男の言葉を撥ね退けた。
「民草の助けに成るならいざしらず、厄災と成る物なら、外界に解き放つ訳には行きません!」
「ほう……」
 それこそ愉快な冗談だとばかりに、男は小馬鹿にしたように笑う。
「この世はすでにして地獄。諸悪の根源たる仇敵を討ち果たせるならば、多少の犠牲にかかずらうなど愚の骨頂。それが人々を救済することにも繋がるとは思わんかね」
 厳しい環境、厳しい世相。そんな世界で育まれた反骨の意志が、狂気さえ帯びながらかような強硬さを備えるのも道理ではあるだろう。……だが。
 焔摩天を構え直し、ウタはまっすぐに片目の男を見据えた。
「人を救いたいっていうアンタの想いは俺達が未来へ繋ぐぜ。狂神の軛から解放してやる」
 叩きつけられる決別と巨大剣。地獄の炎が戦場を鮮やかに輝かせる。
「……美しい……ねえさまに捧げるに相応しい紅……」
 辺りを彩る獄炎と狐火を陶然と見つめる金髪の娘。狂信者を斬り払って開けた視界の先にそれを見出し、ウタは眉根を寄せる。
「……姉貴はもうこの世にはいない。判ってんだろ?」
「この世に? ……ええ、そうですね。それがなにか?」
 金髪の娘はきょとんと首を傾げている。
 オトモの指揮を執りながら、雲雀も声を上げる。
「あなたにとって『ねえさま』は生きている、ということですか? それとも、これから蘇生を予感できるだけの『何か』が在ったのでしょうか?」
「蘇生? その必要がどこに?」
 娘は首を傾げたまま、無邪気に微笑む。
「ねえさまは我等の前におわします。神をその身に降ろし、神と一つになられたのです」
 それが彼女の信仰らしい。
 ……懸念が現実のものとなってしまった。雲雀は言葉もなく、ただ溜息をついてかぶりを振る。扱いづらいことこの上ない。
「……今、姉貴の待つ海へ送ってやるぜ」
 炎で敵群を薙ぎ払うウタの脳裏に、彼等の為の鎮魂曲の旋律が流れる。
 戦いが終わったなら謳い奏でよう。狂った歌声に最期を送られるのはあんまりだ。
 せめて、安らかに、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

祝聖嬢・ティファーナ
WIZで判定を
※アドリブ歓迎

「神様は人に道を差し示されても、生贄や代償は求めません… 間違った【信仰】で神様の在り方を占めさせません!☆彡」
『フェアリーランド』の壺の中から光/風の精霊と聖霊と月霊を呼んで「ミンナ、ボクに協力してね♪」と“七色金平糖”を配って『月世界の英霊』で空間飛翔して避けながら『月霊覚醒』で敵のUCを封印/弱体化させて『エレメンタル・ピクシィーズ』で光/風属性攻撃を『神罰の聖矢』で聖攻撃を仕掛けます☆彡
数が多かったりしたら『叡智富める精霊』+『神聖天罰刺突』で苛烈な猛攻を仕掛けます!

怪我人は『祝聖嬢なる光輝精』で治し『シンフォニック・メディカルヒール』で状態異常を癒やします



●精霊無双
「神様は人に道を差し示されても、生贄や代償は求めません……間違った【信仰】で神様の在り方を占めさせません!☆彡」
 殺意を漲らせる狂信者達へと高らかに宣言し、祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)は小さな壺を掲げた。
 溢れ出る光と共に精霊達が壺から飛び出す。光の精霊と風の精霊、聖霊と月霊の四体だ。
「ミンナ、ボクに協力してね♪」
 七色こんぺいとうを各自に配ると、ティファーナは光り輝く英霊を連れ立って姿を消した。殺到した狂信者達のナイフが空を切り、互いを斬り裂き鮮血が舞う。
 空間飛翔を経て、ティファーナの姿は戦場を見下ろす木の枝の上に。
「月は眼醒めた……其の総ては庇護と加護と祝福を絶たれる……☆」
 詠唱が響き、覚醒した月霊から様々に満ち欠けした月の光が狂信者達の頭上に照射される。清廉な輝きに浄化されるように、狂信者達の狂気と殺意がわずかに和らいでいくのがわかった。
「続けていきますよ☆ ……歌唱う、我らが精霊・聖霊・月霊よ♪ 歌い、踊り、唄い、舞踏れ♪ 素ノ源ヨリ来タレリ……!」
 天上を差すティファーナの指が敵群に差し向けられた瞬間、四体の精霊達がティファーナの周囲を螺旋を描いて上昇し、一気に戦場の上空へと展開するや、各々の属性の魔法の矢を直下へと解き放った。森の天蓋より吹き荒れ降り注ぐ数多の聖矢が、狂信者達を射抜き蹂躙していく。
「石を持て! 術者を追い落とすのだ!」
 片目の男の指示に従い、木の上のティファーナへ信者達は咄嗟に地面の石塊を拾って投げつけ始めた。コントロールも威力も低いが、数が多い上に、時折その辺の毒草を乱暴に潰して擦りつけた石も飛んでくる。
 ティファーナは空間飛翔を繰り返して回避しつつ、戦場に歌を響かせ仲間達の負傷をカバーしていく。
「それにしても数が多いですね……ならば!☆彡」
 度重なる空間飛翔で大量の狂信者を釣り出し、ティファーナは地面に降り立った。
 直前までとは違うティファーナの行動に、咄嗟に対応をまごつかせた狂信者達の目の前で、ティファーナは高々と天に手を掲げた。
「精霊、聖霊、英霊、月霊よ、叡智と膂力を示せ!☆ そしてっ、神罰なる天罰の刺突を!☆彡」
 戦場に吹き荒れる精霊達の力。どこからともなく放たれるは、神聖なる槍、鉾、矢、杭の嵐。
 精霊の輝きが洪水となって一帯を満たし、森を焼く炎さえ塗り潰していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

グレース・マクローリン(サポート)
口調 フレンドリーで中性的(アタシ、~君、~さん、だね、だよ、だよね、なのかな? )
怒った時は チンピラ(アタシ、お前、だ、だね、だろう、だよね?)

言動:表向きはフレンドリーな態度を装ってるが実際は狡猾で計算高い。…が直情的なのでその場のテンションの高低や感情に左右されがち。

敵対するなら女子供や愛玩動物類などにも容赦はないが、昆虫や節足動物に対してはやたら感傷的になる。

戦闘時には刀剣や長物に銃火器等なんでも使用する。



●黒き暴食の悪魔たち
「ふんふん、人間、人間、人間……子供はいないけど女混じりか。昆虫や節足動物はいない、と。ふーん」
 黒ローブの集団をしっかりと眺めまわすと、グレース・マクローリン(コスプレ海賊・f12443)はMARカービンを構えた。
 明るく人好きのする笑顔の中で、その双眸だけは狡猾に輝いている。
「てことは、手加減する必要はなさそうだね!」
 たちまち火を噴く銃口。大量の弾丸が吐き出され、狂信者達の集団を一気に打ち据えていく。
「回り込め! 狙いを絞らせずに振り回し囲い込むのだ!」
 片目の男の指揮に合わせて敵群の動きが変わる。木々を遮蔽物にして不規則に動き回り、多方向からグレースを徐々に追い込む戦略行動。
「まあそう来るよね。でも銃しか芸がないと思われるのは心外だなぁ」
 グレースは一つ所にとどまらず、木陰を駆け回りながら銃撃を続ける。しかし量で圧倒する狂信者達は進路も退路も塞ぐ形でグレースを取り囲んでいく。
 万事休す。しかしグレースは穏やかに自信に満ちた笑みを浮かべ、銃口を下ろした。
「そっちから来てくれるとは話が早い……黒く塗り潰せ!」
 たちまちグレースの全身から噴き出したのは、大量の虫。甲虫に似た黒くテカテカとした背中から薄羽を広げ、ブブブブ……と不快な音を立てながら一気に狂信者達を襲う。
 阿鼻叫喚が周囲に広がった。狂信者達は必死にナイフで抵抗しようとするが、小さな虫達はその大振りな動きをあっさりと躱し、狂信者達の身体に次々と取り付いていく。
 結果森のあちこちに量産されていく、黒く艶やかな……もぞもぞと蠢く人影。
 白骨とわずかな残滓だけを残して舞い戻った虫の一匹に、グレースは止まり木代わりの指を差し出した。
「おつかれ」
 虫達へと向けられるその表情からは一切の打算が消え、純粋で透明な微笑みに彩られていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

大豪傑・麗刃(サポート)
基本的右手サムライブレイド(固定)+左手フライングシャドウor脇差(にしては大きすぎるバスタードソード)の二刀流。なんらかの原因でそれらを持っていなければ任意で。【スーパー変態人】使用時は両手に武器2本ずつの四刀流。
大軍を前にいろいろ考えるが結論は「全員やっつければ(斬れば)いいのだ!」

ユーベルコードは基本MS様にお任せしたいが、決まらなければ下記参照

ネタ可なら
可能な限り【ネタキャラとしての矜持】
精神攻撃より直接ダメージが望ましければ【鬼殺し】【変態的衝動】
変化球なら【ギャグ世界の住人】【自爆スイッチ】

ネタ不可なら【剣刃一閃】
それが集団戦に適さないと思えば【スーパー変態人】



●YESコメディNOシリアス
 右手にサムライブレイドを、左手にフライングシャドウを構え、大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)は二刀流で斬って斬って斬りまくる。
「とりあえず大群なぞ全員やっつければいいのだ! いいのだ──が!」
 絶好調で次々に敵を屠りながら、その胸中には稀有なる苦悩が渦巻いていた。
「ぬぉぉぉ……なんというシリアス展開……! こいつらギャグに反応するどころかこっちの話聞いてねぇし! これはネタキャラにはツライ……早く、早くお笑いに走りたいのだ……!」
 もちろん狂信者達はそんな願いなど知ったこっちゃない。迷妄な信心に囚われた凶刃が幾度も翻り、麗刃に息つく暇もギャグを放つ心理的余裕も与えてくれない。
 それは、麗刃にとって、存在意義をも脅かす高ストレス状態が続くということ──
「麗ちゃんは……麗ちゃん、は……」
 斬っては斬り斬っては斬り。
 ルーチンワークかと思うような退屈な戦闘の中で、麗刃は──キレた。
「わたしは超怒ったのだーーー!!!!!」
 突如として青白いスパークが弾け飛び、金色のオーラが麗刃の全身を塗り替えた。
 【早くシリアス終わらせお笑いに走りたい精神】が限界に達し、スーパー変態人を追い抜いて飛び級進化した姿、スーパー変態人2だ!
「はーっははは、はーっはははは、はーっははははは! もうこうなりゃ全部全部全部斬り払ってコントライブ開催してやるのだーーーー!!!!!」
 黄金の全身で駆け巡り飛び回り、四刀流のスーパー変態人2が八面六臂に暴れまわる輝きが(たまに木に直撃したらしき「ふごごっ」とくぐもった声を交えつつ)森中をかき乱すのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

マルコ・ガブリエル(サポート)
『初めまして、わたくしはマルコと申します』
『皆様を苦しめるのであれば、わたくしも情けは捨てましょう!』
『まあ、なんて美味しそう……! 宜しければ、一緒にいかがですか?』
笑顔が魅力的で朗らかな女の子です。実は故郷を滅ぼされて天涯孤独の身ですが、そうした悲壮感を仲間に感じさせることはなく、いつも明るく振る舞っています。
誰に対しても優しく、敵にさえ「できれば戦わず、穏便に事件を解決したい」と考えるような優しい性格ですが、無辜の人々を苦しめる悪い奴には心を鬼にして全力で攻撃をお見舞いします。
美味しいもの、特に焼肉をみんなで食べるのが大好きで、無事に事件解決した後はよく他の猟兵をご飯に誘おうとします。



●白い嵐
「思いのほか手強い……。しかしならばなおさら、我らが神の御許へ向かわせる訳にはゆかぬ!」
「……ええ。……そのとおり」
 片目の男の言葉に、金髪の娘はゆるりと賛同を示した。
 狂信者達の士気がいや増す。その狂騒のさなかに、静かに歩み出るたおやかな人影が一つ。
「初めまして、わたくしはマルコと申します」
 神の御使いを思わせる清廉な純白の翼を背負い、マルコ・ガブリエル(焼肉天使・f09505)は端然と会釈してみせた。
「可愛らしいお嬢さん」
 金髪の娘の口許がほころぶ。
 マルコもまた朗らかな笑顔で応える。
「ありがとうございます、素敵なお姉さん。……ですが、森を焼くというのは乱暴すぎます。兵を退いてはいただけませんでしょうか」
 娘は微笑みを貼り付けたまま、ゆっくりとした仕草で、狂信者達に示すようにマルコを指差した。
「──彼女も、敵です」
 狂信者達の雄たけびが上がる。大量のナイフを翻して、黒ローブの集団がマルコへと迫りくる。
 マルコは吐息と共にかぶりを振った。
「……やはりそうなりますよね。できれば戦いたくはなかったのですが……残念です」
 強い意志を込めた眼差しを決然と上げると同時、マルコの携えたメイスが無数の白い花びらにほどけた。
「狂った信仰のために人を苦しめることを厭わぬのなら、わたくしも情けは捨てましょう!」
 たちどころに戦場に広がる鈴蘭の花弁。白い花嵐が一帯を駆け抜け、狂信者達に貼りついてその全身を清浄の白で埋め尽くしていく。悲鳴を上げることも、抵抗することもできず、ただただ無力化されていく信者達。
「く……っ、忌々しい異教徒が……!」
 狂信者達を肉壁にして身を守る片目の男の腕の中に庇われながら、娘は甘い瞳に美しい花吹雪を映し、きれい、と小さく呟いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…お前達のような狂信の輩は何度も見てきた

互いに相容れない以上、口舌を交わす必要はない

…速やかに葬送してあげるわ。お前達の言う神の身許にね

自身の殺気や気合いを絶ち存在感を消して闇に紛れ
敵の持つ“血に濡れた短剣”を暗視して魔力を溜めUCを発動

…これ見よがしにそんな物を持っているからこうなる
…手元注意よ。後悔しなさい

敵の短剣から無数の血棘を乱れ撃ち傷口を抉って隙を作り、
今までの戦闘知識から見切った敵の死角に切り込み、
怪力任せに呪詛を纏う大鎌をなぎ払う早業の2回攻撃を行う

…ああ、そうだ。お前の姉の名前は…?

お前達に墓碑銘は必要無いでしょうけど、
亡骸を操られているだけの彼女の弔いはきちんとしないと…



●血は踊り、名は告げられる
 炎踊り、狂騒に満ちる森を、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)の瞳が厳しく見据える。
「おのれ背信の輩めが……っ」
「神のために死ねぃッ!!」
 戦いに酔い、短剣を振りかざしてくる狂信者達。
「……お前達のような狂信の輩は何度も見てきた」
 互いに相容れない以上、口舌を交わす必要はない。
「……速やかに葬送してあげるわ。お前達の言う神の身許にね」
 炎を照り返す刃が振り下ろされる瞬間、リーヴァルディは背後へと地面を蹴った。その姿は闇に紛れ、殺気も気配も存在感も、何もかもが瞬時に絶ち切れた。
「!?」
「くっ、どこに消えた!?」
 ……闇の中から、リーヴァルディは狼狽する狂信者達の姿を見通していた。その手に光る、“血に濡れた短剣”を。
 呼吸を一つ。──瞬間的に溜めた魔力を解き放つ。
「……これ見よがしにそんな物を持っているからこうなる」
「何!?」
 敵の短剣にまとわりついた血液が無数の血棘へと変じた。
「……手元注意よ。後悔しなさい」
 血棘が一斉に発射され、腕を中心に狂信者達の身体に夥しく突き刺さった。皮膚を食い破り、傷口を抉り、鮮血が舞う。
 阿鼻叫喚の人の群れをリーヴァルディは駆け抜けた。死角に回り込み、呪詛纏う大鎌を怪力任せに薙ぎ払う。
 狂信者の人垣を薙ぎ倒して急速に迫りくるリーヴァルディに、片目の男も狼狽を隠せない。
「ぐぬっ……我等を守れ!」
 さらに後方へ退こうとする片目の男と金髪の娘を庇い献身する狂信者達の身体は、しかし立ちはだかったそばから大鎌に上半身と下半身を切り離されていく。
 開けた視界、鮮血の舞う合間に、リーヴァルディと娘の視線が交錯する。
「……ああ、そうだ。お前の姉の名前は……?」
「なまえ……」
「お前達に墓碑銘は必要無いでしょうけど、亡骸を操られているだけの彼女の弔いはきちんとしないと……」
「ねえさまのなまえ……は」
 リーヴァルディの問いかけに、娘は茫洋と答える。
「ねえさま……ローズねえさま」
 答えを聞き届け、リーヴァルディは再び大鎌の刃を疾らせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『共棲者』

POW   :    Embraced by wild roses
【勢い良く生え茂る茨】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    One is nine
自身の【左胸の短剣】が輝く間、【茨】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    Would you like to
【絡繰る踊り】を披露した指定の全対象に【共に踊りたいと思わせる】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。

イラスト:すろ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はメルヒェン・クンストです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●二人のロンド
「ぐ……がぁぁっ……!」
 猟兵の猛攻に、ついに片目の男が膝を屈した。
 今際にかすむ視界に映り込む景色の中で、森を焼く炎はほとんどが鎮火し、再び濃い霧に包まれていく。
「ここまでか……! 我が神が吸血鬼どもを破滅へと導く未来をこの目で見られぬとは、口惜し、い……」
 辛うじて持ちこたえていた身体がどさりと地に伏し、男は息絶えた。
 そして、猟兵達は気づく。先ほどまでそこにいたはずの金髪の娘の姿が、見当たらない。
 同時に、谷にずっと響き渡っていた狂気の歌声に、別の女の歌声が混ざり始めた。あの娘の声だ。
 歌声は動いている。猟兵達はそれを追って霧の中をひたすらに進んだ。

 やがてたどり着いたのは、谷の中心部、蒼く沈む遺骸の森。
 天蓋から差し込む淡い光芒の直下に、茨に覆われた奇妙な祭壇がある。
 その縁に、娘の姿はあった。茨の棘に肌が傷つくのも構わず、甘えるように祭壇に縋り付いて、歌らしきものを囀っている。
 ひとしきり狂気の歌を唱和したのち、娘は不意に、囁くように茨に語り掛けた。
「ねえさま。ねえさまのお名前を思い出しました。ねえ……ローズねえさま」
 祭壇の上に広がっていた茨が蠢き、その中心の屍が起き上がる。
 狂えるオブリビオン──『共棲者』。
「薔薇のように美しかったねえさま。また美しく咲いて?」
 だっこをせがむ幼子のように、茨うねる屍へと両手を差し出す娘。
 茨は容赦なくその身を貫いた。くぐもった呻きと鮮血が迸る。
 蔓ばかりだった茨は、鮮血を吸収したかのように、屍の全身に幾輪もの赤薔薇を咲かせ彩った。
「これで……ひとつに……」
 粘つく深紅にまみれた娘は微笑みを貼りつかせたまま、茨に取り巻かれて絶命した。
 『共棲者』は白骨の手と青ざめた手で娘の両手をとり、等身大の人形を弄ぶように踊り始めた。屍と屍のペアダンス。明るく狂った歌声の合間に、うわずった笑い声が響く。
 これがかつて神だった者の末路。過去の栄華は二度と戻らない。
 人々の生活圏を拡大するため。辺境の地を狂気から解放するため。悲しき神に引導を渡すため。
 各々の想いを胸に、猟兵は狂える神に立ち向かう。
春夏秋冬・ちよ(サポート)
良き景色を探して絵にする為に旅するお節介な老猫

優しいお婆ちゃん猫で猟兵としての経験は浅いですが、アルダワの学生としてはとても長い間戦い続けた歴戦の戦士です
その為、謎の強キャラ感あり
しゃべり方は優しいお婆ちゃんをイメージ

動物と会話して道や情報等を得られます

UCは竜を疑似再現、その力を借りる物
何竜の力かは状況、やりたい事によって指定を
(例:火竜・刃竜・筋肉竜等々 真面目からネタまで可)

戦闘は素早い身のこなしで回避重視、杖か閉じた傘(又はUC)による鋭い攻撃
所謂蝶舞蜂刺です
必殺技はUCで騎乗か飛行してのランスチャージ

一人称追加・おばあちゃん

禁止事項
真の姿の解放(覚醒)
UC『凶夢の魔竜騎士』二種の併用


触叢・アン(サポート)
『なんなぁ、どしたんなぁ』
 スペースノイドのスターライダー×スピリットヒーロー、20歳の女です。
 普段の口調は「方言(わし、おめー、じゃ、なぁ、じゃなぁ、じゃろか?)」、仲間には「やっぱり方言(わしゃ、おめー、じゃ、なぁ、じゃなぁ、じゃろか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。基本的に効率重視で、他人の目や評価を一切気にしません。羞恥心もありません。身も心も自由ならそれで良いのです。あと、宇宙原付ですぐ轢き逃げします。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


ルネ・ロッサ(サポート)
 ダークセイヴァーの歴史ある街を故郷に持つ自由人。色々なジャンルの本を読むのが好き。好きな食べ物は甘味全般。戦闘では前衛に立って剣戟を交わすのが得意なアタッカー。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●竜と黒剣と轢き逃げと
「白い霧に霞む美しい蒼……でも少し不気味ね。本当なら素敵な景勝地だったでしょうに」
 春夏秋冬・ちよ(旅する老猫・f19400)は蒼褪めた遺骸の森を見渡して、ほう、と小さく溜息を零す。
「となれば、この地に巣食う狂気の源を焼き祓い、絵の題材に相応しい景色を取り戻しましょうか」
 霧が流動し、ちよの傍らに巨大なシルエットを形作り始めた。曖昧模糊とした輪郭から、周囲の蒼を映しこむ鏡の如き鱗持つ爬虫類へ。
 それは、疑似再現された飛竜。
「まずは邪魔な茨を焼き払いましょう」
 おっとりとしていながら歴戦の重みを湛えるちよの言葉に、竜は首をのけぞらせ吼え猛る。
 狂った歌声を響かせ妹の遺体と共に踊り狂いながら、『共棲者』は全身から勢いよく茨を生い茂らせ、忽然と現れた竜へと棘にまみれた蔓を殺到させた。
 竜は反らせていた喉をやにわに膨らませると、上体を戻すと共に白く輝く霧の如きブレスを解き放った。
 正面から激突する茨とブレス。衝突点には蒼白い炎が上がり、高熱で焼かれた茨が徐々に押し返されていく。
 カカカカカッ、カカカカカカカッ。劣勢にありながら、屍は白骨をカタカタと震わせて嗤うような仕草をした。左胸に深々と突き立った短剣が燦然と輝き、茨がさらなる脅威を増す──
 その時、突如駆け込む足音が一つ。
「──させません!!」
 ルネ・ロッサ(自由に生きているダンピールの黒騎士・f27104)は黒剣を掲げて敵の懐へ一気に距離を詰めるや、輝く短剣を狙って深々と斬り込んだ。
 『共棲者』はダンスのついでのようにひらりと黒い刃を躱す。が、短剣の輝きはすぼみ、続けざま襲い来る黒剣に再発動もままならない。
 刃を絡めとり抵抗する茨と拮抗しながら、ルネは好奇心に満ちた瞳をらんらんと輝かせる。
「辺境はこの世界の人々の希望の地……勝手で悪いですが、譲り渡してもらいますよっ!」
 斬り裂かれる茨、翻る黒刃、躱す屍。二人の殺陣は、あたかも軽快なステップを踏んで踊るよう。
 赤い花弁と青草が舞い散る舞踏会場に、突如轟くエンジンの音。
「おーお、ぶち痛そうな棘じゃのぉ。じゃがわしの牙には通じんぞ!」
 爆音を上げて戦場に滑り込んだのは、宇宙原付に跨る触叢・アン(銀河疾風・f01011)。
 タイヤをガンガンに回して突進してくる原付へ、『共棲者』は踊り狂いながらも茨を投げかける。
 アンはジグザグ走行で茨を躱していく。鋭い棘がよぎるのも構わず振り切って、切り裂かれた服の下に赤く細い血をにじませながら、巧みに急旋回、再度の突撃。
 正面から襲い掛かる茨。しかし今度は躱さない。
「──ゴッドスピード!」
 アンはエンジンをさらに回転させた。
 たちまち原付が流線形ベースのシャープなフォルムへと変形し、速度を上げた。地面に埋まった岩のわずかな傾斜を利用して跳躍、蠢く束となって迫りくる茨を飛び越えて躱し、一気に本体へ──
「喰らえぃ!」
 原付の質量を乗せた強烈な一撃が『共棲者』の胸部から顔面にかけて思うさま轢き潰し、
「そしてさらば!」
 顔面に当てがった後輪を思いっきり回転させてさらに跳躍、一切の後腐れなくアンは見事に走り去っていった。
 轢き潰された『共棲者』はありえぬ角度に背骨がのけぞり、妹の遺体と共に動きを止めている。
 その瞬間、ルネは黒剣を絡めとる茨を斬り捨てた。斬られた拍子に暴れた蔓が、ルネの腕に鋭い傷を走らせた。
 その傷口から、突如として炎が噴き出す。
「焼き払いなさい!」
 ルネの肉体からあふれ出した地獄が、紅蓮の炎となって茨に着火し、瞬く間に延焼していく。竜のブレスの巻き起こす蒼白い炎と混ざり合って、火勢が一気に膨れ上がる。
 再度あがる竜の咆哮。その背には、杖を手に持つちよの姿があった。
「おばあちゃんも戦えるのよ?」
 羽ばたき霧をかき乱しながら、一気に距離を詰める飛竜。
 すれ違いざまに叩きこまれる老練なる刺突が、『共棲者』の喉元を、深紅の薔薇ごと抉り突いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

大豪傑・麗刃
全部斬った後はコントライブ開催。確かにわたしはそう言った。
ってことは今からコントライブのはじまりで、このちょっとおかしい人は観客と解釈してもあながち間違いではあるまいな。

当然生じる疑問。
神を名乗る者にギャグは通じるのか?
狂った相手にはどうだ?

通じる。
通じるのだ。
気合いの入ったギャグに通じないものなどないのだ。

ということで。

きみの名前はローズというのかね。
よしならばきみをバラバラにしてやるのだ。

バラバラ!!

薔薇薔薇!!

こうして相手に失われたはずの喜怒哀楽恐の感情を呼び起こさせ、普段通りの実力を発揮できなくした所で刀で適当にずんばらりん。
茨とやらが飛んできても斬る。うん、やっぱりイバラバラなのだ。



●コントライブ:薔薇
「全部斬った後はコントライブ開催。確かにわたしはそう言った」
 大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)は二刀を手に、静かに敵前へと歩み出た。
 厳かに伏せていた面をゆるりともたげ、正面を向くと同時にカッと両眼が見開かれる。
「ってことは今からコントライブのはじまりで、このちょっとおかしい人は観客と解釈してもあながち間違いではあるまいな」
 『共棲者』は麗刃に興味を示さず踊り狂うばかり。
 当然生じる疑問。
 ──神を名乗る者にギャグは通じるのか?
 ──狂った相手にはどうだ?
 その疑問は不安に似ていた。怖気に似ていた。
 だがそんなものを、麗刃は容易く踏み潰す。
 ──通じる。
 ──通じるのだ。
 ──気合いの入ったギャグに通じないものなどないのだ。
 と、いうことで。
 麗刃は深々と息を吸い込み、『共棲者』へと声を張り上げた。
「きみの名前はローズというのかね。よしならばきみをバラバラにしてやるのだ」
 ピタリ……と『共棲者』の動きがステップを踏みこんだ中途半端な姿勢で止まる。
 しかしそれ以上の反応はない。
「バラバラ!!」
 無反応。
「薔薇薔薇!!」
 沈黙。
 ……常人ならば耐えられぬであろう深く長く果てしなく感じられるほんの数十秒を、麗刃は耐える。
 耐えて耐えて耐え抜いて……さしもの麗刃の額にも脂汗が滲み始めた、その時。
 『共棲者』の屍の頭蓋が、かぱぁッ、と勢いよくかっぴらいた。
 カカカカカッカカカカカカカッカカカカカカカカッ!
 ……何がツボに入ったか知らないが、どうやら大爆笑である。
 踊る人体模型めいてテンションアップした愉快なダンスを披露する『共棲者』。茨はふにゃふにゃ頼りなくのたうち、地面を楽しげに叩くばかり。たまーに事故のように猟兵へと飛んでくる茨もあるが、麗刃はそれらをバッサリ斬り捨てあっさり敵の懐に踏み込んだ。
「うん、やっぱりイバラバラなのだ」
 トドメのギャグに腹を抱えて笑い出した『共棲者』は、ずんばらりんと適当に腕を切り落とされてなお、愉快なダンスと大笑いをやめなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

祝聖嬢・ティファーナ
WIZで判定を
*アドリブ歓迎

『フェアリーランド』の壺の中から風/光の精霊と聖霊と月霊を呼んで“七色金平様”を配って猟兵と協力しながら『クリスタライズ』で姿を隠して『月世界の英霊』で空間飛翔しながら敵のUCを『月霊覚醒』で封印/弱体化させて、『エレメンタル・ピクシィーズ』で風/光精霊で属性攻撃を『神罰の聖矢』で聖属性攻撃を仕掛けま
猟兵の怪我人には『祝聖嬢なる光輝精』で治し『シンフォニック・メディカルヒール』で状態異常を癒します☆彡

敵の状況や状態を見ながら『叡智富める精霊』+『ヴァイストン・ヴァビロン』で苛烈な猛攻を仕掛けます!
「薔薇の美しさと貴方の美しさは違います…“祝福の箱庭”へ導きましょう」


木霊・ウタ
心情
狂気のままの死は哀れだけど
姉が神と一つにって言葉が
自分についてた嘘だって
本当は気づいてて
姉の待つ海へ行きたかったのかもな

本来の神としての矜持や役割があったろうに
残酷だぜ
海へ還してやろう

戦闘
そんなにダンスが御所望なら
地獄の焔摩がお相手するぜ

獄炎纏う焔摩天で薙ぎ払う
剣風を炎嵐と化し共棲者を火達磨に

防御は火壁を盾としながら武器受け
茨に巻き付かれたら好都合
傷口から炎が迸り茨を消し炭に

七草も同じ事をされてたよな?

力尽きた共棲者は燃やし尽くす
種とか残しゃしない
ローズの遺体も火葬として

事後
ローズや妹、狂信者、神へ鎮魂曲
ここは人の安住の地となる
いつか必ず吸血鬼を滅ぼす
この誓いを手向に骸の海で安らかにな



●精霊光と地獄炎
 猟兵達からどれほど攻撃を受けようと蹂躙されようと、妹の遺体がどれほど欠損しようとも、『共棲者』は踊る。踊り続ける。
「狂気のままの死は哀れだけど……「姉が神と一つに」って言葉が自分についてた嘘だって本当は気づいてて、姉の待つ海へ行きたかったのかもな」
 木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)はいいように弄ばれる妹の遺体を見つめたのち、弄んでいる張本人へと視線を転じた。
「本来の神としての矜持や役割があったろうに、残酷だぜ。海へ還してやろう」
 悲しい姉妹と神を看取る眼差しに宿るのは、憐憫。
「なら、せめて最期は華々しくいこ!♪ みんなっ、最後の仕上げだよっ☆彡」
 祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)はあくまで元気に朗らかに、壺の中から呼び出した風の精霊と光の精霊、聖霊と月霊に七色こんぺいとうを配って準備万端だ。
 『共棲者』は軽快にステップを踏みながら、体中からはやした茨を蠢かせる。猟兵達の出方を伺っているのか、単にダンスが興に乗っているだけか。
「そんなにダンスが御所望なら地獄の焔摩がお相手するぜ」
 巨大剣『焔摩天』に獄炎を纏わせ振りかざすウタ。
 その殺気に『共棲者』は自動的に反応する。ウタが剣を振り払うのと、波打つ茨がウタへと伸びたのは同時。
 ウタの剣風が紅蓮の炎嵐と化して『共棲者』を襲う。爆発的に広がった炎が勢い増して『共棲者』の姿を炎の向こう側へと隠していく──
 明々たる炎幕はしかし、瞬く間に中央から破り取られるように左右に退いた。現れたのは焼け焦げた茨によって編み上げられた即席のカーテン。風にそよがせるように巧みに動かし、炎嵐をいなしたのだ。
 カカカカカッ。『共棲者』はあざ笑うように新たな茨を解き放った。ウタは咄嗟に己の目前に火壁を築き茨の軌道を妨げるが、巧みに炎を躱して回り込んだ数本が鞭の如くウタを打った。
 素肌が引き裂かれ、赤い鮮血が舞う。
「っ……かえって好都合だ!」
 派手に切り裂かれた腕の傷を割って紅蓮の炎が大量に噴き出した。襲い来る茨が一気に消し炭と化して散る。
 深々と抉られた傷口に、柔らかな治癒の光が注がれた。
「無理は禁物ですよ♪」
 間近でティファーナの声が上がるが、その姿は見えない。クリスタライズによる透明化だ。
 ティファーナは同じく姿を透かした英霊と共に空間飛翔し、敵の頭上に躍り出た。
「月は眼醒めた……其の総ては庇護と加護と祝福を絶たれる……強化はさせませんっ!☆」
 天蓋から放たれる満月、半月、三日月、新月。
 注ぐ月の輝きがまるでスポットライトのように、踊る『共棲者』を照らし出し、代わりに左胸のナイフの輝きを奪い去った。
 当てずっぽうの茨が反撃の触手を伸ばしてくるが、ティファーナは余裕の空間飛翔で離脱、続けざま増強した精霊の力で敵四方に神聖なる刺突武器を召喚した。
「精霊の叡智と膂力を宿せ──神罰なる天罰の刺突を!☆彡」
 一斉に宙を疾る武具。槍が、鉾が、矢が、杭が、『共棲者』の茨だらけの肉体に深々と突き刺さる。
 『共棲者』は苦痛こそ示さぬものの、その動きは明らかに鈍り、踊る足取りが怪しく乱れた。カクカクと操り人形のような不自然な踊りが、炎に炙られた戦場を背景に、滑稽に映える。
「薔薇の美しさと貴方の美しさは違います……“祝福の箱庭”へ導きましょう」
 精霊の力をありったけに紡ぎ上げるティファーナ。
 同時に、ウタの大剣が炎を噴き上げる。
「七草も同じ事をされてたよな? 共棲者、あんたから始まった悲劇だ、責任持って因果を受けろ……!」
 豪快に空を切り裂いた焔摩天から再度放たれる炎嵐。
 輝く精霊の力が、紅蓮の地獄の炎が、眩くも苛烈に、踊り狂う一対の屍を蹂躙した。
 光に彩られ、火達磨になってなお、火葬の炎の中で屍は踊る、踊る、いつまでも踊る。
「ここは人の安住の地となる。いつか必ず吸血鬼を滅ぼす。この誓いを手向に骸の海で安らかにな」
 かつてローズであった屍へ、その妹へ、狂信者達へ、かつて神だったモノへ。ウタは鎮魂曲をかき鳴らす。
 ティファーナは鎮魂曲に耳を傾けながら手を組み合わせ、精霊達と共にただ静かに祈りを捧げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

天星・雲雀
「金髪の娘さんを追いかけて堕ちた神を見つけたけど大変なことに成ってますね」

「それがあなたの信仰ですか!自分にも信じる正義があります!」

「オトモ!UC獅子の座流星弾で『ねえさま』の左胸の短剣を弾き飛ばして、金髪の娘さんに触れている『共棲者』の茨と蔓のみを破壊!可能なら、時間逆行を最大で使って!」

賭けにはなりますが、『ねえさま』が命を落とす前まで逆行して、死因の可能性が在る短剣を弾ければ、死の因果律から救えるかもしれません。
『共棲者』は、別の人に取り憑くはずですが、片目の男あたりが、贄に成ってくれる事を願いましょうか(信仰心強そうでしたし)」

「生きてた頃のねえさまを前にしても、信仰を選びますか?」


リーヴァルディ・カーライル
今までの戦闘知識から短剣や茨の攻撃を暗視して見切り、
カウンターで残像が生じる早業で懐に切り込み、
魔力を溜め武器改造した掌で触れ“調律の呪詛”を付与
一時的に自我の存在感を限界を突破して増幅し狂気耐性を与えて動きを封じる

…神だった頃の貴方がどんな存在で、
どんな過去があったのかは分からない

…だけど、これ以上その狂気を広げる訳にはいかないし、
その亡骸を辱しめる事も許容できない

…かつて神と呼ばれた者よ、この一太刀を手向けとする
私の言葉が届いているならば、死を以て鎮まるがいい…!

吸血鬼化した自身の生命力を吸収してUCを発動
時間属性攻撃のオーラで防御を無視して、
過去のみを焼く黒炎を放ち亡骸に祈りを捧げる



●過去を消して
 蒼い遺骸の森が燃えている。炎の中で、茨が踊るように暴れ狂う。
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は燃え盛る戦場で、踊り狂う『共棲者』と相対していた。
 黒々と焼け焦げた茨が間断なく伸び迫る。
(「……見える」)
 リーヴァルディは戦いの中で培った経験と直感から、うねりくねる茨の軌道を見切り回避していく。しかし攻撃は苛烈を極め、反撃の隙がない。
「金髪の娘さんを追いかけて堕ちた神を見つけたけど大変なことに成ってますね……」
 炎踊り茨踊る戦場に、天星・雲雀(妖狐のシャーマン・f27361)はきつく目を細め、茨の中心でぎくしゃくとステップを踏む人影へと声を上げた。
「それがあなたの信仰ですか! 自分にも信じる正義があります!」
 神に取り込まれた屍も、神の贄になることを選んだ娘も、答えを返すことは決してない。
 雲雀は構わず大量の狐火を周囲に展開した。
「オトモ! 獅子の座流星弾で『ねえさま』の左胸の短剣を弾き飛ばして、金髪の娘さんに触れている『共棲者』の茨と蔓のみを破壊! 可能なら、時間逆行を最大で使って!」
 狐火のオトモたちの一体一体が光速超重力推進装置を生やして超高速飛翔を開始した。
 殺到するオトモに対抗して、本体に近づかせまいと茨が全方位に向けてのたうち回った。
 それは同時に、リーヴァルディに集中していた茨の攻撃が極度に薄くなったことを意味する。
 鋭い一撃を紙一重で後方に躱した直後、リーヴァルディは接地した足に反動を込めて一気に前へ蹴り出した。残像が生じる速度で茨の攻撃をすり抜けながら、瞬く間に敵の懐へと斬りこむ。
「……神だった頃の貴方がどんな存在で、どんな過去があったのかは分からない」
 邪魔な茨の根本をばっさりと斬り落とし、すかさず掌を『共棲者』の背に押し当てる。
「……だけど、これ以上その狂気を広げる訳にはいかないし、その亡骸を辱しめる事も許容できない」
 掌中に溜め込んだ魔力によって流し込まれる“調律の呪詛”。
 『共棲者』の動きが、よりぎこちなく鈍った。茨はなおもうぞうぞと蠢き抵抗を示したが、リーヴァルディは『共棲者』の内にある自我の存在感を一時的に限界突破するまでに増幅させ、狂気への抗体を働かせることで、その動きを完全に封じた。
「──オトモ! 今!」
 雲雀の号令に応えて、茨を斬り落としながら一気に『共棲者』の胸元へと殺到するオトモ達。
(「ナイフの周りだけでいい……『ねえさま』が命を落とす前まで逆行して、死因であろう短剣を取り除ければ、死の因果律から解放できるかも……!」)
 それは一つの賭けだった。
 死者を蘇らせることは、きっとできない。
 それでも、『ねえさま』が死んだことを一時的にでも「なかったこと」にできたなら、茨はとり憑く寄る辺を失うはず──
 ほのかな輝きを帯び始めていたナイフが、時間にさえ干渉する大量の狐火に弾き飛ばされた。
 因果の不整合を起こした屍から、大量の茨が見えない力に拒絶されたかのようにごっそりと弾き出された。
 茨は戸惑うように激しく蠢きながら、他にとり憑く屍を探してこの場を逃げ出そうとしている。
 瞬間、閃く一つの人影。
 ほんの一瞬、吸血鬼化した自身の生命力を贄に、リーヴァルディはその手に黒炎の剣を握りしめる。
 刃に宿るは時間を引き裂く黒き炎。
「……かつて神と呼ばれた者よ、この一太刀を手向けとする。私の言葉が届いているならば、死を以て鎮まるがいい……!」
 血の魔剣に宿る時の力は敵の守りをやすやすと斬り裂いて、過去のみを焼く黒炎で茨の塊を焼き払った。
 声なき茨の激しく身もだえる雑音と、黒い業火の燃え盛る轟音と、炎爆ぜる戦場に吹き込む風の音と。歌声の狂気を洗い流すような騒音の中、茨から解放された屍に変化が訪れる。
 屍を包み込んだ淡い光が、目の覚めるような鮮やかな赤毛の娘の姿を形作る。
 儚い輝きに包まれたまま、赤毛の娘は悲しみを湛えた表情で妹の遺体へと歩み寄る。
 ぼろぼろに損壊したその手をそっと握りしめると、妹もまた淡い光に包まれ生前の金髪の娘の姿へと変じた。
「生きてた頃のねえさまを前にしても、信仰を選びますか?」
 そっと、溜息のように訊ねる雲雀。
 妹は答えず、ただ姉を食い入るように見上げて、涙を流した。
 言葉もなく抱きしめあい、声もなく滂沱たる涙に頬を濡らす姉妹。
 それは一瞬だけ因果から解き放たれた副産物の奇跡。儚くも得難い、生と死のはざまで叶った再会。
 淡い光が消え去ると、美しい幻は消え、そこには手を握り合い寄り添う姉妹の屍が横たわっていた。
 リーヴァルディは黒炎を提供し、燃える亡骸へ静かに祈りを捧げた。

●霧の谷は静かに横たわる
 蒼い森から、火葬の煙が二筋上がる。
 狂える茨の神は種さえ残さず消し炭となり果て、姉妹の屍は骨も残さず一つの煙となって辺境の空に消えていく。
 歌を送る者、祈る者、ただ見送る者。猟兵は各々に葬送に向き合った。
 かくて狂える神は滅び、一人の死から始まる姉妹の悲劇は幕を閉じた。
 霧の谷は猟兵の手を経て、ダークセイヴァーの人々に新たな可能性を提供することになるだろう。

 狂気の歌声はもう、聞こえない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年06月15日


挿絵イラスト