22
海のそこ、きみの月(作者 遅咲
28


●海のそこ、きみの月
 ゆらゆらと、水面が揺れる。こぷりと洩れた空気の泡が、静かに天へのぼる。
 ひかりの梯子はまっすぐ降りることはなく、やんわりと曲がりながら水底に沈んでいく。
 電子の幻がつくりだした海中を、あわい花弁が、水晶の欠片が、星の雫が泳ぐ。
 見上げてみれば、丸いかがやきの輪郭はぼやけていて。

 きらきら、きらきら。

 ――背ぇ高のっぽの青い流れ星が、月へと手を伸ばした。

●星のいろ、ぼくの空
 グリモアベースで佇む長身の人間が、猟兵達に頭を下げる。
「こん、にちは。キマイラ、フューチャー、の、事件、です」
 世母都・かんろ(秋霖・f18159)が青年の声でたどたどしく世界の名を告げると、その背で揺らいでいる空間が、ポップなサイバーパンク都市の景色を映す。手にしたタブレット端末を操作すると、彼の物ではない女性の声が説明を始めた。

「現在、キマイラフューチャーで静かな流行となっている小さな箱庭型テーマパークに怪人が出現します。そのテーマパークはホログラムによる仮想空間での体験を売りにしており、期間を設けて都度内容を変更しています。
 今回は月夜の海がテーマとなっており、ホログラムによる疑似的な月夜の海を、水底から楽しむ仕様となっています。花弁や水晶、星の雫など、参加者の想像する様々な物を自由に浮かせることが出来ます。
 また、アバターによる別人格や匿名で『いらないもの』を捨てに行くことも出来ます」
 いらないもの、という言葉に首を傾げた猟兵達に、かんろが小さく言葉を洩らす。
「おもちゃ、とか、指輪、とか。大切、に、して、た、もの。小さな、もの、なら、なんで、も。ゴミ、じゃ、なければ、いい、ん、ですって」
 そう語ってから、再び端末を操作して女性の声を呼びだす。
「月夜の海を体験中、怪人達が乱入してくるでしょう。皆様にはまず箱庭を楽しんで頂いてから、その撃退をお願いします――以上」

 かんろはそっと傘を開いて、猟兵達をちらりと見る。
「夏、だか、ら。ホロ、グラム、の、海、も、涼しくて、綺麗、だと、思い、ます」
 グリモアのてるてる坊主が、ふわりと踊った。


遅咲
 こんにちは、遅咲です。
 オープニングをご覧頂きありがとうございます。

●成功条件
 月夜の海を楽しんで、全てのオブリビオンを撃破する。

 皆さんのプレイング楽しみにしています、よろしくお願いします。
73




第1章 日常 『つきはそこから』

POW深海魚の心地で游ぐ
SPD名無しの匿名希望さん
WIZ偽物アバターの独り言
👑5 🔵🔵🔵

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


鵜飼・章
夜も海も僕は好きだからここはとても居心地がいいね
ゆらゆら漂うホログラムを眺めていたら
なんだかうとうと眠くなってしまうよ

昨日も夜更かししてしまったんだっけ
僕が眠るまでは今日なんだ、なんてよく口にする屁理屈で
夜が好きなひとは月や星を眺めているとは限らないんだって
明日が来るのがいやだから夜を更かしてしまうんだ

『明日』っていらないものには入らないのかな
匿名で明日くんを放流したらどうなるんだろう
月のとなりに朝日が昇ったりしてね
ナンセンスだよ
だって僕は海底から明日と今日の境目を眺めてる

ほかにも浮かべていいのかな
じゃあ鴉…いやカブトムシ…
ううんかわいくない
ウミクワガタなら許されるかな…
空気を読んで蝶にしよう


 こぷり、ぷかり。青の濃淡が光と影に揺らめいて、海底に迷い込んだ猟兵達を出迎える。
 アメジストの双眸を細めながら、鵜飼・章は幻想の海で掌を泳がせる。
 夜も海もすきだから、此処はなんだか居心地がいい。リズムを取ることなく、自由気ままにゆらゆら漂う星の雫、花のひとひら。何をするでもなく眺めているだけで、なんだか眠たくなってしまう。
「(昨日も夜更かししてしまったんだっけ)」
 うとうとしだした思考の隅で、過ぎてしまった夜を思い出す。僕が眠るまでは今日なんだ、なんて。よく口にする屁理屈が、人間社会ではあまり通らないことは識っている。
 どこかの誰かが言っていた――夜が好きなひとは、月や星を眺めているとは限らないんだって。
「(明日が来るのがいやだから、夜を更かしてしまうんだ)」
 ふと、思いつく。『明日』は『いらないもの』になるのだろうか。せっかくの重い月、やってみようと匿名で流した『明日くん』に、さようなら。やわい月の隣に朝陽が昇って融けたりするなら、
「ナンセンスだよ」
 だって僕は――海底から明日と今日の境目を眺めてる。
 章の想いを汲んだのか、ただの偶然でしかないのか。流した『明日』は、ゆるやかなひかりのながい魚と成って、海の底で静かに丸まっている。
 君はそうなるんだ、と声をかけて、ほかにも浮かべてみようか思案する。
「じゃあ鴉……いやカブトムシ……」
 ううん、これはわかる。たぶんきっと、世間的にかわいくない。ウミクワガタならどうだろう、ちゃんと海の生き物だし。
 結局のところ空気を読んだ青年は、浮かび流れていく蝶々を見送る。ぱちりぱちりと明滅を繰り返す蝶が、いつかの境目でゆるやかに融けていった。
大成功 🔵🔵🔵