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稀覯本とチョコレヰトケヱキ

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●ChocolaTrap
 ――――カタカタ、カタカタカタカタ。

 無機質なキータイプ音が、迷宮の下層から静かに響く。
 その迷宮内は四方の壁が全て本棚となっており、果ての見えない天井から床近くにまで、大量の書籍が詰め込まれている。
 本棚にひしめくはどれもこれも、旧い魔導書や伝記など――人知れず消えていった書籍ばかり。いわゆる『稀覯本』というものだ。
 そんな『稀覯本の壁』に囲まれた暗闇の中に――“それ”は、居た。

『――煩わしい。ただ耳障りな声々が、この迷宮の最奥にまで届いてくる。
 まるで醜い羽蟲がぶんぶんと、辺りを飛び回っているようだ。
 効率的な作業には、静謐こそが相応しい。故に、不快だ。』

 “それ”は青白い光を煌々と灯しながら、紙に文字を綴り続けていた。
 延々と、永遠と。
 “それ”にとって、物語を紡ぐことは呼吸に等しい。
 そのとき、本棚から一つの書物が、ぱたぱたと鳥のようにその身をはためかせて飛んでくる。
 “それ”へ見せるように頁を開けば――暫し、キータイプ音は静まった。

 ほどなくして。
 ――――カタカタ、カタカタカタカタ。

『学園内に新設された、温室喫茶。
 主に女子生徒に人気が集まり、昼休みや放課後には溜まり場となっているといふ。
 ――なればこそ、作業の効率を阻むものは「修正」されるべきであろう。』
 淡々と、紡がれる文字は青白く輝く。
 そうして、新たに紡がれた物語は――、
『「書物の魔物」は上層へと侵攻し、常の静謐を取り戻すべく、温室喫茶を襲撃した。
 ガムシロップは流したての涙、角砂糖は穢れを視たばかりの目玉。
 千切った指先をティースプーンとして、赤く濁った紅茶をかき混ぜるのだ。

 ――――少女の新鮮な肉塊で、チョコレヰト・ケヱキを仕立てよう。
 血のソースを滴らせながら丁寧に切り分け、皿の上にのせると良い。』

●Briefing
「……只の、悪趣味なティータイムよ」
 眼鏡の奥の瞳を曇らせ、小夜凪・ナギサ(人間のUDCエージェント・f00842)は不快げに吐き捨てる。
 淹れたばかりの珈琲を一口啜りながら、予知の概要を語り始めた。
「アルダワ魔法学園の迷宮から、災魔(オブリビオン)が侵攻しに来るわ。
 どうやら、新しくオープンした温室喫茶の存在が気に食わないらしいの。
 配下を率いて階層を上がり、喫茶店内の女子生徒を惨たらしく殺していくわ。
 ……そうなってしまう前に、あなた達には配下及び、迷宮のボスを討伐して欲しいの」
 ひどく不快げに眉根を寄せ、ナギサは溜息を漏らす。
 普段ならば冷静に対処する、狂気に慣れたUDCエージェントが滅入る程の予知だったのだろう。
 それでも改めて平静を取り戻し、集った猟兵達を見つめながらナギサは説明を続けた。
「私がテレポートするのは、迷宮の入り口に当たる地点よ。この迷宮は、どの階層も壁が本棚になっていて、本棚に潜んでいる『書物の魔物』が次々と襲ってくるわ。ただ、全てがオブリビオンではないの。外では出回っていない『稀覯本』なんてものが本棚に眠っていることもあるわ。気になる魔導書や伝記、物語があれば、こっそり持ち帰るのもアリでしょう」
 どうか報酬代わりに探してみて頂戴、とナギサは悪戯っぽく笑う。
「そして――『書籍の魔物』を蹴散らしたなら、この侵攻の主犯である『スペシャル・ライター』が待ち構えている筈だわ。『スペシャル・ライター』の目的は一つ。『温室喫茶の惨劇奇譚を阻んだ猟兵を「修正」すること』よ」
 修正されるべきは自分ではない、邪魔立てをした猟兵たちなのだ。
 故に、『スペシャル・ライター』は効率良く猟兵たちを修正――及び、始末することだろう。
「全ての災魔を討伐できたなら……その温室喫茶を楽しんでみない?
 今なら温室には季節を先取りした春のお花が沢山咲いているの。
 珈琲や紅茶は勿論、お花をモチーフにしたお茶菓子も用意されているのよ。
 迷宮で『稀覯本』を手に入れたなら、そこで少し読んでみるのもアリだと思うわ」
 仕事終わりのお茶会の誘いには、ナギサは心なしか声を弾ませた。
 猟兵たちの無事と勝利を、信じているのだろう。一緒にティータイムが楽しめるように。

 ――そういえば、その温室喫茶のオススメのスイーツは?
 テレポートの最中、或る猟兵がそれを訊ねると、ナギサは苦笑しながら返した。
「……チョコレートケーキよ。
 てっぺんにお花のチョコ細工が咲いて、フォークを差し入れればチョコソースが滴るように溢れる……濃密な味わいの、ね」


夢前アンナ
 夢前アンナと申します。
 狂気めいたティータイムを回避し、快適な午後を過ごしませんか。

●第一章
『書物の魔物』との集団戦。
 OP通り、迷宮の本棚の壁から大量に飛び出してくるのでお気をつけ下さい。

●第二章
『スペシャル・ライター』とのボス戦。
 集団戦を終えた後、下層にての勝負となります。
 こちらも本棚の壁はありますが、基本的に『スペシャル・ライター』一体との対決が主ですので雑魚の注意は不要です。

 ※第一章・第二章まで、迷宮の外では出回っていない『稀覯本』を入手することができます。
 ご希望の本の種類(魔導書、小説、戯曲、伝記など)があれば、ふわっとあなたのお手元に届くかもしれません。
(著作権に抵触する内容は不採用。当シナリオでのアイテム発行はありません)

●第三章
 学園内の『温室カフェ』でひと息。
 此方は各々、自由に過ごして頂ければ幸いです。
 店内は春の植物やお花がいっぱいでとても快適!

 グリモア猟兵の小夜凪・ナギサ(人間のUDCエージェント・f00842)は『第三章』のみ、お声がけがあった場合は登場します。

 それでは、どうぞ佳き夢を。
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第1章 集団戦 『書物の魔物』

POW   :    魔書の記述
予め【状況に適したページを開き魔力を蓄える】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    ページカッター
レベル分の1秒で【刃に変えた自分のページ】を発射できる。
WIZ   :    ビブリオマジック
レベル×5本の【毒】属性の【インク魔法弾】を放つ。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●壱
 猟兵たちが降り立ったその迷宮は、薄気味悪ささえ覚えるほどの静謐と、果ての見えない暗がりに包まれていた。
 この迷宮の先に住まうボスにとって、今のこの空間こそが『効率的な作業』に相応しいからだろう。
 入り組んだ通路の壁は、全てが本棚。
 所狭しと詰め込まれた大量の本――この中のいずれかに『書物の魔物』が潜んでいるのだろう。

 ――その時だ。

 侵入者の存在に気づいたらしき一冊が、本棚から抜け出し羽ばたいたのだ。
 一つ、二つ……また、一つ……否、もう数十は超えた。
 数えても数えてもキリがないほどの書物たちは、その身を開き、ぱらぱら、ぱらぱらと羽ばたくように頁を捲る。
 いつしかその音は、羽ばたきから騒音へと変わってゆく。
 数々の頁が刃へと姿を変え、猟兵たちへと襲い掛かる――!!
三千院・操
【WIZ】
きみたちのボスは喫茶店嫌いらしいね。羨ましいのかな……まぁいいや。
ここから先は交通止めでーす! オブリビオンの立ち入りはご遠慮ください! ってね!
そういうわけだから、大人しく本棚に収まっててよ!

『蝿の王』で戦闘するよ!
毒だったらこっちだってそれなりに使えるもんねー!
腐敗の吐息とインク魔法弾、どっちが強いかな?
あは! 動かなくなったら自由にさせてもらうからね!

戦いながら(終わってからでもいいけど) 面白そうな魔道書を探したいなー
一応魔道書のUDCを宿してるとはいえどさ、気になるものは気になる!
でしょ? ラジエル!
『私達は無窮の智慧。及ぶものがあるとは思えませんが』
うへー、相変わらず……



「おっと、ここから先は交通止めでーす! オブリビオンの立ち入りはご遠慮ください! ってね!」
 声を弾ませてちら、と舌を出し、真っ先に肉薄したのは三千院・操(ネクロフォーミュラ・f12510)。
 両の手のタトゥーが赤く、紅く、光を灯し――、
「――――喰われる準備はいい? 暴れておいで、『蝿の王(ベルゼブブ)』!」
 顕現するは、聖書にも記されし悪魔の代表格・ベルゼブブ。
 巨大な躰を持つ蝿の王は、大きな翅を羽ばたかせて両側の壁に脚を引っ掛ける。
 大きな蟲の目で魔物たちを見据えては、腐敗の吐息を噴出した。
 魔物たちも負けじとインクの魔法弾を次々に放つものの、吐息に溶かされ対抗する術もなく――。
 ぱたん、ぱたん、と床に伏し、元の書物へと戻っていく。
「ゆっくりオヤスミ。これから自由に図書巡りさせてもらうからね!」
 操は嬉しげに広角を釣り上げては、魔物が消えた隙に本棚を漁る。
「おれとしても気になるものは気になるんだよ。でしょ? ラジエル!」
『――私達は無窮の智慧。及ぶものがあるとは思えませんが』
「うへー、相変わらず……」
 堅物な彼――ラジエルの言葉に辟易しながらも、ピンと直感で引き抜いたのは一冊の魔導書。
 ――――その題は『ソロモンの徴証』。
 立派な装丁ながらも、頁そのものは色褪せており、古い書物であることは一目で分かる。
 本の内容は、後で確かめようと、操はぱたん、と音立てて本を閉じた。
 ソロモンの名が記されているが故に、悪魔にまつわる話が綴られていることだろう。
「ラジエル。おれ、この本持ってくよ」
 操が内なる人格へ告げれば、声は淡々と返ってくる。
『……どうぞ、お好きなように』
「あ、もしかしてヤキモチ妬いてる? っと、おしゃべりはオブリビオンを片付けたあとで!」
 そう歯を見せて笑い、操は本を小脇に抱えながら、新たに襲撃する魔物へと身構えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイラ・ツェレンスカヤ
動く本は初めてみるかしら!
うふふ、一冊持って帰りたいくらいなのだわ!
パーティーの余興にはちょうど良いでしょう?

レイラの血の槍とあなたの弾丸、撃ち合い勝負といくかしら!
さあいくのだわ、これがレイラの魔法!
放って放って、串刺しかしら!
血を流した分は生命力を奪っていくのだわ!
敵の血も、レイラの血も、全部レイラの力になるかしら!

敵の攻撃は避けないのだわ
だって毒を受けて、どんどん衰弱していくレイラも
無様で、惨めで、とっても可愛いんですもの!
うふふ、うふふふ!



「まあ! 動く本は初めてみるかしら!」
 同心円のぐるぐるおめめをぱあっと輝かせ、レイラ・ツェレンスカヤ(スラートキーカンタレラ・f00758)は嬉しそうに声を弾ませる。
 周囲を飛び交う本たち。まるで飛び交う鳥のよう。
「うふふ、一冊持って帰りたいくらいなのだわ! パーティーの余興にはちょうど良いでしょう?
 喩えばそう――狩猟パーティーだとか!」
 沢山撃ち抜いて、獲物が苦しめば苦しむほど高ポイント! ステキかしら!
 レイラはそう想像しながら、口元に手を添えつつ、うふふと笑う。
 魔物たちの羽ばたきが羽風を生み、レイラの豊かな銀髪を揺らす。
 その威勢の良さにレイラはにこり、と口角を大きく釣り上げては――両の腕を広げ、その身を魔力で包む。
「さあいくのだわ、これがレイラの魔法!
 本は血を流すかしら? せめて苦しんで踊って廻って、愉しんで欲しいのだわ!」
 彼女の放つ“無垢なる狂気”に危機感を覚えたのか、書物の魔物たちは一斉に魔法のインク弾を放ち始めた。
 その連弾を貫くように――射出されたのは、鮮血の如く紅き槍――血槍チェルノボグだ。
「放って放って、串刺しかしら! うふふ、ふふふ! 逃げ惑う姿も、悶え苦しむ惨めな姿も可愛らしいのだわ!」
 嗚呼、嗚呼、嗚呼。なんて堪らない。
 魔物が血槍に貫かれ、ぱたぱたと苦しみ息絶える姿は――まるで昆虫を玩んでいるようで退屈凌ぎに丁度いい。
 レイラは上機嫌にかつり、と厚底パンプスを鳴らし、地に伏して今なお虫の息の書物の魔物の傍へ。
 しゃがみ込んだのち、頬杖ついてじぃ、と覗き込む。
「頁をちぎれば血が溢れ出るかしら? それともインクが血の代わり?」
 細長い指先で、大きく開かれた書物の1頁へ手をかけ――そのまま、破ってトドメを刺そうとした、
 その直後。
 
 ――――最後の悪足掻きにと放たれたインク弾が、レイラの身体を射抜いたのだ。

 本来ならば避けられる攻撃だった。けれど敢えて受けたのだ。
 何故か? ……それは、『レイラ自身』の選択だったからだ。
「ふふ、なんて可愛いらしいのかしら」
 同心円の瞳を柔らに歪め、愛おしそうに書物の頁を指先で撫でて――――――、

 おもむろに立ち上がった直後に、厚底パンプスで魔物を踏みつけたのだ。
 ぐりぐり。ぐりぐりぐり。
 頁から溢れる黒きインクが血となり、レイラの渇きを潤してゆく。

「ふふ、うふふ。うふふふふふ! レイラの身体中に毒と血が廻ってる。
 嘔吐くくらい気持ち悪くて、無様で、惨めで……でも、愉しいのだわ!」

 ――――どんどん衰弱していくレイラも、とっても可愛いかしら!!

 幼き娘の笑い声が、迷宮中にこだまする。
 さあ、パーティーの余興はまだこれから。
 小さな唇から溢れる毒の血で新たな血槍を創り出し、極悪非道の令嬢はふたたび書物と戯れる。

成功 🔵​🔵​🔴​

クラーラ・レイネシア
俺は馬鹿だからこう難しい事書いてる本は眠くなっちまうな
読むんだったら絵本が良いぜ!
簡単で、わかりやすいから俺でも理解できるしな!!

突然本が飛び出すんだっけ、これが飛び出す絵本って奴か?
でもオブリビオンなんだっけね
だったら殴るだけだな!簡単!!
相手の攻撃は痛くても我慢!激痛耐性で無視して前へ前へ
無意識にオーラ防御も併用するけど馬鹿な俺は気付けない
近づけたなら相手が何をしようがやる事は一つ
気合いを入れて、力を溜めて
自慢の怪力を以て目にも止まらなぬ早業で反逆の拳でぶち抜く!
それも二回攻撃で二回もだ!出来るんだっけ?
多分出来る!出来ると信じる!

後で出てくる奴らを同じように片っ端からぶちのめすだけだな!


ジャガーノート・ジャック
(ザザッ)
稀覯本か。興味がなくもないが――オブリビオン討伐を一先ずは優先。ミッションを開始する。

(ザザッ)
SPD選択。
『Summon: Arms』によりレーザーファンネルを二機召喚。
『二回攻撃』『スナイパー』『一斉発射』『なぎ払い』で的確にレーザーを照射、敵性存在を焼き払う。
友軍に迫る敵の弾丸があれば、『援護射撃』にてそれを焼き払う事とする。

(ザザッ)
目につく範囲かつ、敵の手が薄れた時に
『暴れ狂う獣が人の心を獲るまでの話』、そう言ったものがもし見つかる様ならば、持ち帰りたい。

――本機の行動指針は以上、実行に移る。オーヴァ。
(ザザッ)

*アドリブ等歓迎、ペア行動可


作図・未来
気に食わないというだけで惨殺か。全く、あまりにも趣味の悪い脚本だね
こんなセンスの無い脚本を書いたのは一体誰……ああ、すまない、君たちだったね
なら今から僕たちの活躍も頁に追加してくれるかな。この物語を幸せな結末に変えてあげるよ

僕は死者の舞踏で戦おう
数には数をぶつける。なに、少し一緒に踊って貰うだけさ

基本は霊の半数には剣、もう半数には冷気によって攻撃させる
冷気によって動きが鈍ったところに斬撃、といった感じだね。紙はよく斬れそうだ

さて、護ることに特化した盾の騎士の戦記なんかはあったりするだろうか
難敵を次々に打ち倒す騎士の話は多いけれど、この手のはなかなか見つからなくてね
どこかにあると嬉しいんだけれど


千桜・エリシャ
あら、今回の敵さんには首がありませんのね……
少し残念ですが……春が芽吹く温室を壊されるのは我慢なりませんもの
私だって春の花ですから――なんてね

まあ!本を持ち帰っていいとは、なんて太っ腹なのかしら!
ふふ、私も一冊選んでみましょうか
装丁が美しいものはついつい手にとってしまいますわね
お話のジャンルでいうと幻想的で美しい怪奇小説や推理小説が好みですわ
そういうご本はあるかしら?

ついつい夢中になって選んでしまいそうですが――ここは戦場でしたわね
でも数が多いのは面倒ですわ
御首もいただけませんし……魅了して数を減らしましょうか
あなたたち同士討ちしてくださらない?
うふふ。いい子だから私の言うこと聞けるわよね?


紅庭・一茶
素敵な素敵な御茶会を、悪趣味仕立てにするなど!
ティーポット代表で……紅庭が許しませんっ!

【POW】(時間稼ぎ・見切り)

飛び出す絵本は良いものですが、
飛び出す御本は唯々厄介ですねっ!

先ずは『とっておき☆レシピ』使用
魔力蓄え等の行動を妨害すべく、
沢山のシュガースティックで攻撃を
(皆さんの援護も必要に応じて)
飛んでくる頁やインクは見切り使用で、
出来る限りに避けたい心地!

妨害後・攻撃を避けた後等に隙が出来ましたら、
駆け寄って『遠回す大人味』で思い切り敵を叩きます!
一先ずの!めでたしめでたし、ですっ!

☆稀覯本
んん、そうですねえ…
出来れば『小説』を探せれば幸いです!
(夢の様な御話が大変に好みです)


南雲・海莉
さすがにうちの学園内で猟奇殺人は勘弁よ
残さず紙屑とスクラップにするわ

……さて
(入口についたところで、左手に剣、利き手である右手に刀を構えて)
まともな本を汚したり傷つけたりするのはもったいないわ
ここは氷の属性ね(UC使用)
飛び出す本の攻撃をかわすのは最低限に
一冊ずつ確実に切り刻む
余裕ができれば、棚に向かうインク弾を凍らせて叩き落とすわ

近くの敵を倒した後で、本棚を覗いてみようかしら
『属性付与の魔術』関連の書物があれば嬉しいんだけど
(あかがね色の絹の装丁の本を、何気なく手に取って)
これは……戯曲よね
(望むものと違えど、なんとなく棚に戻す気になれず、袋に仕舞って)
ボスも控えているし、長居できないわね


知念・ダニエル
ローズウェル(f09072)と一緒に。

はしゃぐのはまだ早いっすよローズ。
お楽しみは敵さんを片付けてからって決まってるっすから。

んー、魔物とそうでないものが混ざっていると。
魔物だけを的確に狙っていきたいっすね。
こちらからは【儚き夢と燃え尽きた楽譜】で攻撃するっす。本なら燃えやすいっすよね、きっと。
【破魔】で動きを鈍らせて【2回攻撃】で確実に葬るっすよ。
もしインクが飛んできたら【衝撃波】で防ぐっす。

俺が本を探すとしたら…故郷の手掛かりに関するものっすけど。
ま、それも探す暇があったらっすね。


ローズウェル・フィリンシア
ダニエルさん(f00007)と一緒に行きます!

ダニエルさんダニエルさん、チョコレートケーキですって!
も、勿論目的は忘れていませんよ…!このままドカーンとやっつけちゃいましょ!

まずは書物の魔物ですね。
普通の書物に罪はありませんから、傷付けないように戦わないとっ。
攻撃は【月の恵み】で【2回攻撃】します!
本棚ではなく、飛び回っている書物を狙って攻撃していきたいですね。

変わった本があると聞いたのですが、探す余裕があれば、ですねっ。
私は元々儀式用の杖だったので…私について書いてある本なんてあったら面白そうですね。



「本ねぇ……俺は馬鹿だから、こう難しい事書いてる本は眠くなっちまうな」
 ふわぁ、とギザギザとした歯を見せながら、クラーラ・レイネシア(殴って叩いてはいお仕舞い・f11610)は豪快にあくびを一つ。
 銀の長髪をくしゃくしゃっと乱暴に梳いては、果ての見えない本棚の壁を仰ぎ見る。
「どこもかしこも小難しい本ばかりか? 読むんだったら絵本が良いぜ!
 なんたって簡単で、わかりやすいから俺でも理解できるしな!!」
 クラーラはにぃ、と不敵に笑い、書物の魔物たちの群れへと果敢に飛びかかってゆく。
「くぅっ、カラスにでも一斉に突っつかれてるみたいだ……でも!」
 拳を強く握り、先ずは真正面の一番鬱陶しい魔物一体めがけて――ストレートの拳を見舞う!
 殴打を受けた一体が激しく床に叩き伏せられながらも、気にせず眼前の魔物を拳一つで撃退していった。
「殴って殴って、殴り倒す! 本を読むより簡単なことだぜ!」
 持ち前の気合いや激痛への耐性、怪力もあり、怯むことなく次々と連撃を重ねていく。
 突如、新たに本棚から飛び出してきた書物の魔物からの不意打ちも。
「――くっそ、鬱陶しい! 黙ってろ!」
 怒り任せにオーラ防御でインク弾を跳ね返し、クラーラは反撃として跳躍からのアッパーカットを繰り出した。
「飛び出してくる本なんてのはな、飛び出す絵本って奴で充分だ!」
 そう力強く宣しては、利き手を振って息を吐く。
 そのまま新たに通路を進もうとした、その直後。
 ふたたび阻むように本棚から抜け出した書物の魔物が、クラーラへと頁の刃を向ける――!

 その刹那、

 ――――ザザッ。

「オプションパーツ召喚――本機との接続、完了。攻撃を開始。友軍を援護し、目標を殲滅せよ」
 くぐもった、ノイズめいた声が迷宮内にこだまする。
 子供か、成人か、男か、女か。凡てがまるで判別不能。
 その声の主――ジャガーノート・ジャック(OVERKILL・f02381)に従い、宙を飛び交うはレーザーファンネル二機。
 矢継ぎ早に発射されるレーザーは的確に、クラーラへと襲い掛かった書物の魔物を突き刺してゆく。
「おぉ! 助かったぜ、ありがと! えっと……お前、真っ黒でカッコいいな!」
 クラーラはにかっと無邪気に笑い、姿をあらわしたジャガーノートにサムズアップをしてみせる。
 対するジャガーノートはザザッ、と新たな雑音を紡いで言葉を発する。
「――礼には及ばない。本機は只、任務を遂行するまで」
 機械的に言葉を発するが、黒豹の仮面の眼はふと、本棚の壁へと視線が逸れる。
 それをふと――おそらく直感で気づいたのであろう――クラーラが、小さく笑って。
「今よーやく数も落ち着いてるし……なんか気になる本でもあんならさ、俺が抑えとくから探してこいよ!」
 と、書物の魔物を拳で叩き落としながら、彼女は提案したのだ。
「――――……」
 暫しの無言。しかし今は窮する事態。思索に暮れる時間はない、故に――。
「――本機の有するレーザーファンネルは、敵性存在を焼き払うようインプットされている。
 故に、バックアップとして機能するだろう」
 彼なりに、『戦闘中は支援する』と伝えているのだろう。
 自他ともに認めるお馬鹿ゆえに言葉の全てを解せずとも、なんとなく感じ取ったクラーラは微笑みひとつで頷く。
 そのままレーザーファンネルを遠隔操作しながら、ジャガーノートは本棚を見渡す。
 画面越しの視界から、ふと注視したのは――棚の中段で眠るように仕舞われた一冊。
 ――――題を、『この手が花を散らさぬよう』。
 副題の英字に『and yet』とある。
 古びた表紙には、大きな獣の手と小さな花。

 中身は、結末は、分からない。
 しかし、何も言わずに、その本を手にとったか否かは――彼のみぞ知る。

 ――なんて、センスの無い脚本なのだろう。
 作図・未来(朝日の死者のタンツ・f00021)はただ、憤慨する。
 気に食わないというだけで、罪もない少女たちを惨殺。
 救いようのない、B級作品にすら値しない悪趣味な筋書きだ。
「こんなセンスの無い脚本を書いたのは一体誰……ああ、すまない。君たちだったね」
 未来は静かな面差しで、羽ばたく書物たちを見据える。
「なら今から、僕たちの活躍も頁に追加してくれるかな。君たちにも、君たちの主にすらも綴れないであろう物語を」
 全てはこの物語の結末を、ハッピーエンドに変えるため。
 未来は漆黒の手帳を音もなく開く。
「――ともに、踊ろうか」
 周囲に浮かぶ宝球をそれぞれ輝かせ、人をかたどった無数の『死者』たちを喚び出した。
 うち半数は剣を、もう半数は冷気を帯び――無作為に次々と、踊るように魔物を殲滅していく。
「なるほど、やっぱり紙はよく斬れるようだね。――さて、」
 粗方の敵数が落ち着いたところで、未来がふと仰ぎ見るは本棚の壁。
 少年が求めるは、護る術に特化した騎士の戦記。
 剣を携え、敵を斬り捨てるばかりの物語ならば数多く世間にも出回っている。
 されど、盾の騎士となるとそうそう見つからない。故に、この膨大な図書迷宮から探し出したいと考えていた。
「――――?」
 盾の紋章が背表紙に描かれた書物を、未来はふと見つけた。
 引き抜いて埃を払い落とせば、英字で綴られた古びた洋書であることが判る。
 ハッピーエンド主義者たる少年にとって、この物語が『未来』への糧になるか――。
「まあ、素敵な本だこと」
 未来が手にとった洋書を覗き見て、花咲くように笑うのは千桜・エリシャ(春宵・f02565)。
 日頃通う旅館の女将たる彼女と邂逅し、未来は思わず会釈をひとつ。
「確か、この迷宮にある本は持ち帰ってもいいのでしょう? なんて太っ腹なのかしら!」
 エリシャは好奇心のままに本棚を見渡す。
 春めくその眸が目に留めたのは――奇遇にも彼女を象徴たる花と同じ、桜色の装丁。
「ふふ、思わず手にとってしまいましたわ。どんな物語なのかしら」
 さっそくエリシャは、一頁目を開く。長く伸びた鬼の爪で本を傷つけぬよう、やさしく、静かに。
 ――――それは、桜の樹にまつわる伝承をまとめたものだ。
 彼女にとってそれが真新しく感じたのは、サムライエンパイアでない、魔法学園の世界に於ける『桜』だったからか。
「或る湖のほとりにそびえる桜の樹が夜な夜な、女の霊となって迷える旅人をいざなう。
 誠実な旅人には正しき道を、悪しき旅人には…………あら、この続きが愉しみなのに」
 ――嗚呼、そういえばここは戦場でしたわね。
 そう思い出しながら、此方へ向かって放たれたインク弾を大太刀であしらう。
 此度の御相手には“首”が無いのが残念ね。ならば、と。
 エリシャは手にした得物を――桜の花弁へと変え、美しく着飾り、“魅せる”。
「あなたたち、同士討ちしてくださらない?
 うふふ。いい子だから私の言うこと聞けるわよね?」
 その魔性の囁きは、微笑みは、夢か現か。
 飛び回る羽蟲たる魔物に思考する術はない。
 魅了に取り憑かれ、仲間めがけてインクを出し切り、次々と果ててゆく――。

「素敵な素敵な御茶会を、悪趣味仕立てにするなど!」
 新たに羽ばたく書物たちを見据え、紅庭・一茶(いばらゆめ・f01456)は『sugar☆stick』をぎゅっと握る。
 少女めいたあどけない面差しにも、此度ばかりは沸騰しそうなほど怒りがいっぱい。
 この憤りの熱は、ちょっとやそっとでは冷めることはないのだ。
「ティーポット代表で……紅庭が許しませんっ!」
 宣言とともに、一茶が解き放つは幾つもの『sugar☆stick』。
 今にも舌が蕩けてしまいそうなほどの大量のお砂糖で、書物の魔物たちをポカポカっとはたき落としてゆく。
 しかし、中には攻撃を逃れた魔物も数体ほど。
 隙を見つけた一茶は好機とばかりに、それをも見逃さない。
「まだまだ物足りないですか? 遠慮せずに、考慮せずに――さあさ、たんと甘さを足しましょう!」
 ――――どうぞ、召しませ!
 ぱたぱた駆け寄った一茶は『sugar☆stick』を、天高く掲げて一気に振り下ろす!
 たらふくお砂糖を味わった魔物たちは見事、満腹とばかりに力尽き、崩れ落ちていった。
「一先ずの! めでたしめでたし、ですっ! さて、飛び出す御本が落ち着いたことですし――」
 んんー、と口元に人差し指をあて、一茶は本棚を見上げる。
 ふと気になった書物をうんと背伸びして引き抜いて――まるでお伽噺めいた洋書だと気づけば嬉しそうに目を輝かせる。
「どうぶつさん達の御茶会の御本ですか! どんなお喋りをするのでしょう?」
 とても楽しみだとばかりにぎゅっと抱きしめて、ぱたぱた通路を駆けていく。
(「さすがにうちの学園内で猟奇殺人は勘弁よ」)
 そう肩を竦めて入口へ降り立つは南雲・海莉(コーリングユウ・f00345)。
 残さず紙屑と――スクラップにせねば。未だ見ぬ先に待ち構える災魔にも、警戒を怠らない。
「……さて」
 通路へ踏み出す前に、海莉は得物を静かに構える。
 左手に剣を。利き手の右手には、野太刀を。
「まともな本を汚したり傷つけたりするのはもったいないわ。けれど……容赦はしないわよ」
 直後、群れで襲い掛かる書物たち。
「――――汝、冬を司りしもの、刃に宿れ」
 詠唱と同時、海莉が携えた両の手の刃が――氷の魔力に包まれた。
 冷気を帯びたその得物で、一体一体を次々に屠ってゆく。
 切り刻んだ書物たちは一瞬にして氷結し、雪の結晶のように美しくも儚く砕け散っていった。
 周囲に雪が降りしきる中、海莉は壁の本棚へと目を遣る。
「……今なら、大丈夫よね?」
 大量に詰め込まれた書物の背表紙を覗き、目に留めたのは――あかがね色の本だ。
 海莉はそれを、何気なく手に取る。
 絹でできた立派な装丁の古書。題名から察するに、おそらくは――――、
(「これは……戯曲よね。どうしてかしら、望むものとは違ったのだけれど」)
 どうしても、それに手を伸ばさずにはいられなかった。
 そっと袋へ仕舞い込んでは、通路の奥を見据えて。
「ボスも控えているし、長居できないわね」
 気を引き締め、海莉は先へと歩んでいった。
「ダニエルさんダニエルさん、チョコレートケーキですって!」
 迷宮内に響くは、ローズウェル・フィリンシア(太陽と月の神子・f09072)の無邪気な声。
 温室喫茶、とっても楽しみですね! と両手を組み、ローズウェルはさっそく夢心地。
 そんな妹分を穏やかに嗜めるは、常のメイド服を身にまとう知念・ダニエル(黄昏冥土・f00007)だ。
「はしゃぐのはまだ早いっすよローズ。お楽しみは敵さんを片付けてからって決まってるっすから」
「も、勿論目的は忘れていませんよ……! ほら、魔物もさっそくやって来てます!」
 ぱたぱたと、書物の魔物は鳥の群れのように此方へ向かってくる。
 さっそく放たれたインク弾に対し、ダニエルは周囲に衝撃波を放って防御する。
 そのまま、眼鏡の奥の瞳を眇めて状況を整理した。
「んー、これは……魔物だけを的確に狙っていきたいっすね」
「はい。普通の書物に罪はありませんから、傷付けないように戦わないとっ」
 互いにアイコンタクトを取る。息を合わせて態勢を整えた。
 マイクを手にし、ダニエルは静かに息を吸う。
「歌って踊れ、これは全てを燃やす炎との演舞――」
 ダニエルの歌声が音符の炎となり、書物の魔物めがけて放たれる。
 その技の名に相応しく炎は燃え盛り、書物を灰へと、塵へと還してゆく。
「スポットライトのお月様はいかがですか? さあ、これが月の力です!」
 ローズウェルが二振りの杖を向け、撃ち出したのは三日月の魔法弾。
 煌々と光を放ちながら、まっすぐに魔物たちを撃ち抜いてゆく。
 音符の炎と重なり合えば、まるで月光の軌跡が五線譜を描くかのよう。
 演舞の中を踊りながら、魔物たちは次々と燃え尽き、果ててゆく。
「わあっ、やりましたねダニエルさん! コンビネーションの勝利、ですっ」
「ローズは元気っすねぇ……そうだ、今のうちに本でも物色するっすかね」
「そうでした! 折角ですし、一緒に探しましょうか」

 猟兵たちはそれぞれ目当ての本を探し出しながら、魔物の群れを抜けて暗闇の奥へと向かう。

 ――カタカタ、カタカタ。

 嗚呼、聴こえる。
 この先に、惨劇を望む“紡ぎ手”が潜んでいる。 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『スペシャル・ライター』

POW   :    修正箇所
【修正箇所を確認する目の青白い光】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    印字作業
【26個のキーから青白い光】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    より良い作品を
対象のユーベルコードに対し【正確に全く同じユーベルコード】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はライラック・エアルオウルズです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


【さっそくのプレイング、誠にありがとうございます!
 これより第二章導入を更新します。現在頂戴しておりますプレイングも、少しずつ返却させて頂きます。
 導入更新後に頂いたプレイングは『第一章で採用できなかったお客様』並びに『先着順』を基本優先として採用していけたらと思います。
(朝8:30以降にお送り下さると、大変ありがたいです…!)
 当方のキャパが越えそうになりましたら、成功度まで執筆し、受付を〆たいと思います。
 今後とも、宜しくお願い致します。】
●弐
 図書迷宮の通路を着実に侵攻し、猟兵たちは遂に最深部へと到達した。
 足を踏み入れれば、其処はガランとしただだっ広いワンフロアであり、四方の壁一面が全て本棚となっている。
 戦闘に支障は無く、猟兵たちが最深部に侵入しながらも、壁の本棚から『書物の魔物』が出現することはない。
 恐らくは、この本棚の中にも『稀覯本』が眠っていることだろう。

 ――――カタカタ。カタカタ、カタカタカタカタ。

 最深部の奥、青白い薄明かりが次々に茫と浮かぶ。
 それはアルファベットと同数の26ものキーと、両目とおぼしき2つの光。
『――度し難い。
 余りに、度し難い。
「書物の魔物」の群れを抜け、此の書斎まで辿り着くなどと。』
 迷宮のボス――『スペシャル・ライター』は無機質なキータイプ音を幾度も響かせ、紙に青白い文章を印字してゆく。
『「書物の魔物」には、上層への侵攻を命じた。
 討伐されても尚、「修正」に何も問題はない。何故ならば、』

『スペシャル・ライターに一切の無駄はない。完璧な執筆を以て、闖入者を「修正」するのだ。
 ――此れより綴るは、或る一つの惨劇。』

 ――――カタ、カタカタカタカタカタカタカタカタ。

 キータイプ音は次第に早く、耳障りなほどに大きくなってゆく。
 26のキーに備えられた青白い光もまた次第に眩くなり、それらは闖入者たる猟兵たち目掛けて放たれたのだ――!
甲斐・ツカサ
リッティ(リヴェンティア)ちゃん(f00299)と頑張るよ!

相手は惨劇の紡ぎ手なんだっけ?
オレは冒険譚の担い手、魂が沸き立つ話でみんなを奮い立たせるよ!

竜と戦う勇者の話、星の海行く海賊の話、悪鬼斬り伏せるサムライの話に怪人と戦うヒーローの話…冒険譚は幾らでも、オレの中から湧き出てくる!
だから、どっちの物語が尽きるかの勝負だね!

特に力を入れるのは、チンチラ率いるハムスターの群れの勇気とがんばりの冒険譚!
リッティちゃんが負けないように、冒険譚で応援だ!

そういえば「大魔王」もオブリビオンなんだし、昔そいつらと戦った勇者とかいるのかな?
そういう、昔の学生の冒険譚があったら楽しそう!
ぜひ読んでみたいな!


リヴェンティア・モーヴェマーレ
戦闘のいろはを教えてくれるツカサセンパイ(f04788)と一緒に討伐でス
緊張しますガ何かあったラ、ツカサセンパイが何とかしてくれる…ハズ…デす!(ツカサさんの方をチラッチラッ)

とと…
ボス戦ですネ!
頑張りマス!
さぁ、おいでませハムちゃんズ!私と一緒に戦ってくだサい!(ハムスターの機械兵器を大量に。もしかしたらその中にチンチラも混ざってるカモ)
私のハムちゃん達を好き嫌いがないノデ何でも食べちゃいますヨ…!

あっ…でもこれ…同じことされたら…ぴゃー!ツカサセンパイ、助けてぇぇ!!
ヘタレながらも応援を貰ったら再度頑張りマス

▼稀覯本
見つけられタラ嬉しい気持ち…
古いお星様の本…ないカナ…
コッソリ…コッソリ…



 直後、スペシャル・ライターが放った青白き光を跳ね返したのは、透き通るような蒼き一閃だった。
『AZ-Light』――始まりと終わりの名を冠すその光刃は、持ち主たる甲斐・ツカサ(宵空翔ける冒険家・f04788)の瞳と同様に燦然と輝いていた。
「惨劇なんて、紡がせてやるもんか」
 夢見る冒険家たる少年は告げる。真っ直ぐに、強き意思を懐きながら。
「オレは冒険譚の担い手。魂が沸き立つ話で、みんなを奮い立たせるよ!
 ――行こう、リッティちゃん!」
 共に迷宮へ赴いたリヴェンティア・モーヴェマーレ(血も骨も、灰すら残さず・f00299)へ振り返れば、彼女は信頼の笑みを浮かべて深々と頷き返す。
「ハイっ! ツカサセンパイのこと、頼りにしてますヨ! 頑張りマスっ」
 ぐっと手を握り、リヴェンティアもまた気合十分。
『センパイ』から戦闘のいろはを教えて貰うべく、初めての戦いに挑む彼女はツカサの傍らへ。

『魂――無駄を排した作品に、感情的な要素など不要。
 その魂とやらも、『修正』なければならない。』
「負けないよ! どっちの物語が尽きるか勝負といこう!」
 無機質に紡がれるスペシャル・ライターの文字に対し、ツカサはニッと不敵に笑って対抗。
「――さあ、お耳を拝借……なんてね!
 これは昔々に始まって、そして今日も続いている、明日へと続く夢と希望に満ちた冒険の話さ!」
 前口上を高らかに、次々と語るは、ツカサが今まで触れてきた数々の冒険譚。
 だが、スペシャル・ライターが新たに綴るは……、
「! このお話、ツカサセンパイとおんなジ……!?」
 青白い文字列がまったく同じ冒険譚を書き連ねている事実に気づき、大きく目を瞬かせるリヴェンティア。
 しかし、負けじと彼女が繰り出したのは――たくさんのハムスターだ!
「さぁ、おいでませハムちゃんズ! 私と一緒に戦ってくだサい!」
 リヴェンティアの呼び声に応じ、宙を飛ぶようにてってか駆ける大勢のハムスター……もとい、機械兵器たち。
 一匹、二匹、三匹……おや、何やらチンチラも混じってる?
「がんばれリッティちゃん!
 そうだ、次の話は――チンチラとハムスター達の、勇気とがんばりの物語!
 このまままっすぐ、ハッピーエンドを掴み取ろう!」
 ツカサが新たに創造した冒険譚にのせ、チンチラとハムスターの群れはスペシャル・ライターめがけて大ジャンプ!
「私のハムちゃん達、好き嫌いがないノデ何でも食べちゃいますヨ……!
 その『ニセモノの物語』も、いただきまス!」
 リヴェンティアが得意げにそう言えば、ハムスターたちは黄金の機体に次々としがみつき、『ニセモノの物語』を綴った紙をガジガジっと齧ってゆく。
「――こうして、みんなの勇気が悪を打ち破ったのでした。めでたし、めでたし!」
「ツカサセンパイ、ありがとうございまシた! あっ……この本は?」
 帰還したハムスターたちが運んできたのは、古びた表紙のとある一冊。
 星々の絵がぼんやりと描かれたそれを、リヴェンティアはそっと手にとった。
「古いお星様の、おとぎばなし、デす? どんなおはなし、でしょうカ……!」
 嬉しそうに、ぎゅっと本を抱きしめる。
「リッティちゃんも本、見つけたの? オレもさっき探してゲットしたんだ。
 勇者たちが『大魔王』を打ち倒す旅に出る、壮大な冒険譚だって!」
 どんな物語なのか、楽しみだね。満足げに笑って、ツカサは分厚い古書を見せたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クラーラ・レイネシア
粛清をするとか完全に圧政者だな!
強力な相手にこそ反逆し甲斐があるというものだ!
他の猟兵と出来るだけ連携を取ります

相手の攻撃は【オーラ防御】と【激痛耐性】を使って【気合い】で耐える
痛みなんて置き去りにして相手へと突進して距離を詰めるぜ
距離を詰めれたら最大の火力で一気に攻めるぜ
両手に【力溜め】て目にも止まらぬ【早業】で【怪力】を以て右の拳で反逆の拳をぶち込むぜ
機械の体だから鎧代わりになってそうなら【鎧砕き】ながら【鎧無視攻撃】で確実に芯まで通したいな
更に左手の反逆の拳による【二回攻撃】で追撃を入れて更にダメージを重ねたいところだな
拳で攻撃したときに【生命力吸収】もして少しは回復もしておきたいな!



「『修正』……それって粛清だよな? 完全に圧政者の所業だな!」
 新たに動き出したスペシャル・ライターへと肉薄したのは、クラーラ・レイネシア(殴って叩いてはいお仕舞い・f11610)だ。
 無差別に放たれる青白い光線が、じゅわ、と少女の肌を灼く。
 しかし、『反逆者』はふたたび無意識にオーラを防ぎながらも気合いで痛みに耐え――寧ろ、ニヤリと不敵な笑みをのせて拳を握る。
 勢いのままに、スペシャル・ライターの真正面へと飛び込んだ。
「強力な相手にこそ、反逆し甲斐があるというものだ!
 ――いくぜ、ブチ込む!!」
 鈍い金属音がこだまし、拍子にばちりと火花が散る。
 両手に込めた力を解き放つように、クラーラは反逆の拳を繰り出したのだ。
『――全くもって、度し難い。
 単純な攻撃を繰り返し、「修正」に反逆しようなどと理解に苦し――』
「ごちゃごちゃうるせぇな! いいからしばらく黙ってろ!!」
 叫びと共に、左手の拳で連撃を重ねる。もはや執筆の余地すらも与えない。
 完璧である筈の機械のボディのいち部分が、砕かれた。

「これが俺の――反逆者様の、戦い方だ」

成功 🔵​🔵​🔴​

ジャガーノート・ジャック
(ザザッ)
修正とは過去の誤ちを正す行いだ。故にこそ、正されるべきはどちらかは明白。
――過去の残滓の"修正"任務を開始する。

(ザザッ)
SPD選択、『Gepard』を召喚。
『スナイパー』を用いての浮遊戦車の砲撃、
及び本機の熱線銃からの射撃で敵の攻撃範囲外から射撃を実行。
――キーが攻撃射出口なのだな。
『スナイパー』、及び本機と戦車の『二回攻撃』を以てキーを狙撃、破壊していく。
範囲攻撃を無効化する事で
前衛型の友軍への『援護射撃』となる事を期待する。

トドメを狙えるならば、Gepardを右腕に接続、大砲形態に移行させ敵を穿つ。

本機の行動指針は以上、実行に移る。オーヴァ。
(ザザッ)

*アドリブ等歓迎


ミーユイ・ロッソカステル
ふぁ、と欠伸をひとつ、天井から漏れる陽光から身を守るように日傘をさして
……あら、もう本の群れはおしまい?
丁度いいわ、何度も同じものの相手をするのは退屈だったから。
……少しは、楽しませて頂戴な?


――へぇ、よりによって私の歌に、詩に難癖をつけると。
ええ、その喧嘩、買わせていただいてよ?
おまえが人より完璧と自信を誇るなら、その綻びを歌ってあげる。

他者より良く 他者より優れ
そのさまはただ見たものをまねるだけ
それは何も生み出さず
その行為に「創造」は何処にある?



……おまえは文章など作れもいていない。
ただ人の猿真似をして悦に浸るだけの機械風情に、わかったような顔をされる謂れはないわ。



 ――――ザザッ。
 静かに走る、ノイズ音。

 薄暗がりの中、闇に溶け込むジャガーノート・ジャック(OVERKILL・f02381)は新たな兵装を呼び起こす。
 広々とした書斎内に出現するは、巨大な浮遊戦車だ。
「修正とは過去の誤ちを正す行いだ。故にこそ、正されるべきはどちらかは明白」
 砂嵐混じりのその声で、兵士は冷酷無比に告げる。
 “過去の誤ち”――それは即ち、今まさに対峙する災魔(オブリビオン)を指す。
 ジャガーノートは『Gepard』に搭乗し、搭載された主砲を対象に向けた。

「――――――過去の残滓の"修正"任務を、開始する」

 青白き光をランダムに発射するスペシャル・ライター目掛け、砲撃を放つ。
 放たれた砲弾と、スペシャル・ライターによる『修正』の光線が飛び交う。
 塵埃と硝煙が舞い、辺りは霧でも出たかのように灰色に燻った。
(「――キーが攻撃射出口なのだな」)
 赤き瞳が、鋭い光を帯びる。
 カシャ、と熱線銃のグリップを握り、構える。ジャガーノートが狙うは、スペシャル・ライターの機体から伸びる26ものキーの、うち一つ。
 一発の、銃声。ガシャン、と繊細な硝子細工か何かが砕かれるような、甲高い音が響く。
 ――青白く灯るキーのうち、一つが破壊されたのだ。

 ――――カタ、カタ。カタカタカタ。

『――――煩わしい。』

 バチッ。
 カタ、カタ。

 無駄などない“筈”のスペシャル・ライターのキータイプに、雑音が交じる。
『た【■】耳障りな声々が、雑音が、この迷宮の静謐を壊すな【■】。
 こんなにも飛び回る羽蟲を何故、はたき落とせないのか。この「修正」は、完璧【■】ある筈な【■】』
 紡がれる文字に、【■】が刻まれていく。
 ジャガーノートが破壊した『D』に当たるキーが機能せず、正しく印字ができないのだ。

 そのとき――ふぁ、と小さく漏れる退屈そうなあくび。そしてちょっぴりこほん、と咳き込み。
 愛用の日傘をくるり廻し、ミーユイ・ロッソカステル(眠れる紅月の死徒・f00401)は月めく金の瞳を薄っすら細める。
「不思議。この部屋、ヤケに煙っぽいわね。あのカラスみたいな本達を少しでも置いておけば良かったんじゃないのかしら。
 まあ、けれど……少しは、楽しませて頂戴な?」
 そう囁いたのちにミーユイが紡ぐは、『聖なる勇者の行軍 第3番』。
「私は知る 私は理解する その意味を――その目的を 私は妨げる」
 物語における、急転の意を込めた詩を紡ぐ。
 しかし、スペシャル・ライターは完璧な……否、完璧“であった”存在。
 一つのキーが欠けながらも、対抗すべくより良き作品を紡ぐのだ。
『私は知る 私は理解する その意味を――その目的を 私は妨【■】る』
 欠けた詩で真似して紡ぎ、互いの攻撃を相殺し合う。
 だが、自分の一部が欠けたことなど信じられないのだろう。スペシャル・ライターは完璧を求めるべく文字を紡ぎ続ける。
『書物の魔物を抜け、この最深部へ到達することな【■】、想定外【■】。
 しかし、この執筆が完璧【■】あることは歴然――』
「ああ、もう良いわ。黙りなさい。
 見苦しいのよ。おまえが、人より完璧と虚勢を張るなんて。……判らないの? なら、歌ってあげる」

 ――おまえの、その綻びを。

 そう静かに告げ、ミーユイは歌う。
 それは『完璧』に対しての『綻び』を突きつける――刃にも似た、即興のアンサー。
「他者より良く 他者より優れ そのさまはただ見たものをまねるだけ。
 それは何も生み出さず その行為に――――「創造」は何処にある?」
 唄いながら青白い光線を相殺し、ミーユイは浮遊する戦車へ目配せ一つ。
『いま、穿ちなさい』――黙したまま告げられた、ミーユイの意思。
 それを汲み取ったジャガーノートは、戦車から飛び降り、先程まで搭乗していた『Gepard』を右腕に備える。

 ――ザザッ。
 声を紡ぐ前に、ふたたびノイズが入る。
「――感謝する。『Gepard』を大砲形態に移行。目標を、穿つ」
 大砲と化した右腕を、真っ直ぐに構え――――ジャガーノートは、大きな砲撃を見舞った。
 激しい爆発音ののち、黒く立ち昇る硝煙。
 さらに濃くなった黒霧が薄れていくと同時、かしゃん、とまたもキーが砕け散ってゆく。

『【■】し難い――あ【■】得ない。
 これ以上、「修正」を阻害するな【■】、ゆ【■】せる訳がない。』
「……あら、次に失ったのは『R』のキーかしら?
 おまえは文章など、作れもいていない。ただ人の猿真似をして悦に浸るだけの機械風情に、わかったような顔をされる謂れはないわ」
 冷めた瞳でスペシャル・ライターを見据えながら、ミーユイは埃のついたスカートをぱた、と手ではたいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『花やかなお茶会』

POW   :    カフェでまったり過ごす

SPD   :    お菓子を購入する

WIZ   :    温室の花を観賞する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


【さっそくのプレイング、誠にありがとうございます!
 第三章執筆の目処が立ちましたので

『2月5日8:30~』

 に正式にプレイング募集開始したいと思います。

 リプレイ内でのアナウンスが遅くなってしまい、大変申し訳ございません。
 現在いただいているプレイングに問題のある内容はありませんので、
 お心変わりなければ、プレイング再送頂けますと幸いです。

 深夜にリプレイ導入を更新いたします。今暫く、お待ちくださいませ。】
『【■】【■】、【■】【■】【■】【■】――……』
 猟兵たちの猛攻に耐えかね、スペシャル・ライターは遂に活動を停止する。
 完璧であった筈の紡ぎ手は、次々とキーが欠け、終いには何をも紡がぬ我楽多(ガラクタ)と化したのだ。
 ボスを失った迷宮の最深部は、全てを隠蔽するかのように崩壊してゆく。
 数々の稀覯本や瓦礫が襲い掛かる中、猟兵たちは迷宮を脱出した――。

 ――――紡ぎ手を喪いし書斎は、永遠の眠りに就く。
 ――――人知れず消えていった稀覯本達も、また……。


「――転校生の皆さん! この度は助けて下さって、本当にありがとうございます!」
 パーン! パーン! パパーン!
 迷宮の攻略を終え、学園内の温室喫茶へと訪れた猟兵たちへと魔法クラッカーが響く。
 猟兵たちを出迎えたのは、アルダワ魔法学園の学生たちだった。
 どうやらこの学生たちは、温室喫茶のアルバイトとして働いているらしい。
「折角なので、今日は貸し切りにしちゃいました!
 どうか楽しんでいってください!」
 と、学生は手を広げ、温室喫茶を案内する。

 ――扉を開けば、ガラス張りの温室内には春にまつわる花々が咲き乱れている。
 ミニバラやアネモネ、ジャスミン、サクラソウ……その名の通り、五月に咲く花であるメイフラワーなどが展示されている。
 喫茶店内は温室となっており、肌寒い季節でもなお、心地よい温かさが満ちた空間の中でティータイムを楽しむことができる。
 

「……あ、もうチョコレートケーキが焼き上がったみたいです!」
 学生がそう嬉しげに声をあげ、カウンターの方へと目を遣る。
 オーブンで焼き上げた、熱々の生地から香るショコラの匂い。
 フォークでぷすりと生地を刺したなら、とろーり甘いチョコが流れ出てくることだろう。

 勿論、名物であるチョコレートケーキに合う紅茶やコーヒーも各種揃っている。
 魔法学園のカフェは、うら若き学生の為にある。注文されたものは何だって運ばれてくることだろう。
 ――それに、温室にある花々や、迷宮で手に入れた本を広げて乙なものだ。
 カフェでの時間を楽しみながら、お土産を探すのも良いだろう。
 ケーキや紅茶など、迷宮を救った猟兵が注文すれば、なんでも快く売ってくれる筈だ。

 ――――さあ、あなたは此度、どんなティータイムを過ごす?

========

 此方、リプレイ補足となります。

・POW カフェでまったり過ごす
(文章通りです。温室喫茶でまったり過ごすことになります。)

・SPD お菓子を購入する
(此方も文章通り。カフェで提供されているスイーツは購入可能です。)

・WIZ 温室の花を観賞する
(温室に咲いている春の花を鑑賞できます。上記に記載のない花も指定があれば見つけられると思います)

 グリモア猟兵の小夜凪・ナギサ(人間のUDCエージェント・f00842)は『第三章』のみ、お声がけがあった場合は登場します。

 沢山書いてしまいましたが、各々、自由に過ごして頂ければ幸いです。
 それでは、皆様のプレイング、お待ちしております。
南雲・海莉
小夜凪さん、近くの席いいかしら?
本当に色んな本があって、魅力的な迷宮だったわ

(何気なく本をめくり……挿絵にはっとして)
この本……義兄が大切にしてたのと同じ
覗き見たのは本当に小さい頃だけど、
この川辺の建物の絵に覚えがあるもの
(迷宮で見つけた時の事を思い出しつつ)

あの頃は知らない外国の本だって思っていたけれど、
まさか異世界のだったなんて
アルダワの文字で書かれたこの本を、
どうして義兄が持ってたのかは分からない
でも……
この本の中に
『今、義兄がいる場所』のヒントがあるかも……


(注文のケーキに咲く花に、表情を緩め)
わぁ、ほんとに見事ね!
(一口頂き、美味しい、と笑顔で)
これはロイヤルミルクティを頼んで正解ね



 猟兵たちがそれぞれ席に就き、温室喫茶は賑わい始める。
「小夜凪さん、近くの席いいかしら?」
 南雲・海莉(コーリングユウ・f00345)は、店内の隅にある席に居た小夜凪・ナギサ(人間のUDCエージェント・f00842)に声をかけた。
 珈琲の入ったマグカップをこつり、と置いて、ナギサは海莉へ微笑みかける。
「あら、あなたは――海莉さん。今回もご協力、本当にありがとう。図書迷宮はどうだった?」
「ええ、本当に色んな本があって、魅力的な迷宮だったわ。稀覯本もこの通り、手に入れたしね」
 海莉もまた向かいの席に腰掛け、入手したばかりの稀覯本を見せた。
 あかね色の絹の表紙をそっと指で撫でながら、海莉は何気なく本を捲る。
 歓談のなか、ふっと指を止めて目を大きく瞬かせた彼女の様子に、ナギサはふと訊ねる。
「それは良かったわ……。――? 海莉さん、もしかして、その本に思い入れがあるの?」
 ナギサの問いに、海莉は黙したまま一つ頷いて。懐かしそうに目を細めながら、語り始めた。
「この本……義兄が大切にしてたのと、同じ。覗き見たのは本当に小さい頃だけど、この川辺の建物の絵に覚えがあるもの」
 テーブルに本を広げ、海莉は指をさす。
 その絵を見て、ナギサもまた眼鏡越しから瞳を幾度か目を瞬かせ、
「お義兄さんが大切にしていた本を、迷宮の中で……?」
「あの頃は知らない外国の本だって思っていたけれど、まさか異世界のだったなんて。
 私も驚いたわ。けれど……」
「……不躾かもしれないけれど、訊いてもいいかしら。
 海莉さん、もしあなたが此処とは別の世界でお義兄さんと出逢っていたなら、まさか――」
「…………そう。この本は、確かにアルダワの文字で綴られている。
 どうして義兄がこれを持ってたのかは分からない。でも……」
 本を閉じ、表紙を大事そうに掌でおさえながら、海莉は目を伏せる。

 此処から先は、自分自身が綴る番だ。
 ――この本の中に、『今、義兄がいる場所』のヒントがあるのならば。

「……海莉さん」
 思索に耽る彼女の名を、ナギサは静かに呼ぶ。
 現実に引き戻された海莉の黒き瞳は、ナギサの青い眼差しと交わった。
「お義兄さんについて手がかりが見つかれば、私も協力するわ。どうか、一人だけで抱え込まないで頂戴ね」
 私達は、同じ猟兵であり、仲間なのだから。
 ナギサがそう言い添えたと同時、ふわりと温かな紅茶の香りが漂う。
「――――ありがとう、小夜凪さん。私はもう一度、義兄と巡り逢いたい。
 だからこそ、戦い続けたいの。……勿論、息抜きも忘れずに、ね」
 丁度そのとき、運ばれてきたのは、チョコレートケーキとロイヤルミルクティ。
 ケーキのてっぺんに咲く花細工に、頬を緩ませる。
「わぁ、ほんとに見事ね!」
 フォークでケーキをつつき、海莉は一欠片を頬張り、ふんわり柔らかな笑みを浮かべる。
 その顔はまさに、戦いから少しの間だけ身を離れた、年相応の少女としての素顔だった。
「これはロイヤルミルクティを頼んで正解ね。小夜凪さんも、一緒に食べましょう?」
「ええ――そうね。このひとときを、楽しみましょう」
 かた、と静かに響く、茶器の音。
 ショコラの香りが甘く、静かに、日常をもたらしてゆく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリア・アリス
【華麗なる西風】の皆と参加
【POW】
ツカサとリヴェンティアちゃんにお誘いされて、お茶会に来たの。
瑠璃ちゃんも焔ちゃんもいっしょね!2人の冒険のお話を聞きながらお茶を頂くわ。冒険のお話はもちろん楽しいけど、楽しいからこそ自分も連れてってほしかったわ!もう、ツカサ!どうして誘ってくれなかったのよー!リヴェンティアちゃんも水臭いじゃないー!追加でくれたケーキにほだされそうだけど!瑠璃ちゃんありがとう!

…ってツカサ?何で寝てるの!もうほっぺにケーキつけちゃって…。これはケーキがもったいないからよ?ええ。私がちゃんと残さず食べてあげるんだから。そう言って彼女は彼の頬に顔を近づけ…。


リヴェンティア・モーヴェマーレ
【華麗なる西風】で【P】

ご褒美とっても嬉しい気持ち!(ハムちゃん達と一緒に大喜び
疲れた時には甘いもの…最高ですネ!
ツカサさんもお疲れ様な気持ち!
素敵な本も手に入れたし良い冒険でしたネ♪

合流後
偶然居合わせた焔さんに「一緒にお話いかがですカ?」とお声掛け
マリアさんには是非今度は一緒に行きましょう!瑠璃さんや焔さんも一緒に行きたい気持ち!と目を輝かせてお誘いでス


皆さんに入手した本を見せながら談笑
とっても素敵な時間

瑠璃さんの歌を聴いて寝ているツカサさんはまるでお母さんに子守唄を歌って貰ってるようでホッコリしマスね

マリアさんの行動に思わず笑顔が込み上げて
マリアさん可愛いデス!恋の物語のはじまりな気持ち!


渡瀬・瑠璃
【華麗なる西風】の皆さんと【POW】

カフェによったら甲斐さんとモーヴェマーレさんが本を読みつつお茶をしてました。
先程まで二人は戦闘していた、本は戦利品だって私に笑いかけます。笑顔はとても綺麗ですが流石にお疲れの様子。
私もお茶を頼むついでに席に着きます。
一緒にいけなかったとご機嫌ななめなアリスさんには私からこっそりケーキをプレゼント。
神薙さんも加わってテーブルは華やかに。
今度は皆で冒険に行けるといいですね。
店内は少し騒がしい。これならお疲れなお二人に回復の歌を歌っても大丈夫ですかね?勿論小声で。曲は折角ですしご本にちなんでお星さまのお歌に。
お疲れな甲斐さんの小さな寝息がコーラスになりそうです。


甲斐・ツカサ
【華麗なる西風】のみんなと【POW】

よく頑張ったリッティちゃん(勿論、ハムちゃん達も)に、ご褒美にチョコレートケーキ!
冒険で疲れた時には甘いものが良いんだよねー

ちょっと行儀悪いけど、さっき手に入れた本も気になるし、ケーキこぼさないように注意しながら読んじゃおう

みんなが来たら本を読むのは中断して、さっきの冒険の話
特にリッティちゃんがどれだけ頑張ってたのかを話してあげなくちゃ!

でも冒険して、たくさん食べて、たくさん話して……スイッチ切れたみたいにいきなりぱたん、と眠っちゃう

ケーキを頬にかすめて眠りこけながら、さっきの本の影響で大魔王に立ち向かうオレ達の事を夢に見て、今日の冒険はおしまい!

お疲れ様!


神薙・焔
【華麗なる西風】のみんなと。

手を伸ばし、一冊の本を手に取る、うーん、やっぱりハッピーエンドはいいわね。
迷宮で見つけたというこの冒険譚のように、惨劇を未然に防いだ子たちは、今は同じテーブルでお茶会をしている。

あたしは偶然、温室喫茶に来ていたのだけど、リヴェンティアちゃんに誘われて同席させてもらった。

そういえばツカサくんの声が聞こえていたような…すっかりお休みね、熟練の冒険家だけど、こうしていると子供らしい…お相手はマリアちゃんにおまかせ―ナニか大胆な行為に及んだようにも見えたわね。

今度ご一緒できればいいな、そんなことを話しつつ、今はチョコレートケーキと紅茶、瑠璃ちゃんの歌声を楽しみましょう―。



 キュイキュイっ、ワァワァっ! とハムちゃん達の嬉しげな大合唱!
 またチンチラも混じってる――? いやいやそんなコトは無い、とは言えないかも。
 そんなこんなで、リヴェンティア・モーヴェマーレ(血も骨も、灰すら残さず・f00299)たち【華麗なる西風】の面々は和気藹々と温室喫茶を訪れたのだ。
「ご褒美とっても嬉しい気持ち! 疲れた時には甘いもの……最高ですネ!」
 ふわあっと嬉しげに笑っては、一緒に迷宮での冒険に同行したセンパイ、甲斐・ツカサ(宵空翔ける冒険家・f04788)へと頷いてみせる。
「うんっ、よく頑張ったよねリッティちゃん! 冒険で疲れた時には甘いものが良いんだよねー」
 初めての戦いで奮闘したリヴェンティアを労うべく、ツカサがにこりと笑いかける。
 ――ふと、ツカサが開いたのは迷宮の中で手に入れた稀覯本だ。
 改めて、本を開けば、あの冒険のときに思い描いていた、勇者たちと大魔王との物語が浮かび上がる。

 迷宮の最下層に住まうと云う、強大な『大魔王』。
 それは古くから、アルダワ魔法学園の生徒の中でもウワサとして伝えられていたらしい。
 だからこそ、生徒たちは憧れ、そして夢見た。
 退屈な授業を並べる教諭たちですらも、誰も語ることのない。
 未だ見ぬ『大魔王』を打ち倒す勇者たちの存在を。

 ツカサが手に入れた書物は、かつての学園生による創作活劇であった。
 大魔王を打ち倒す『勇者たち』とは、彼らが夢見た『勇者』を各々が自己投影し、創作した存在に過ぎない。
 なんと口絵には、登場する『勇者たち』の設定やパラメータまで掲載されている始末。
 現在、大人になった学園生たちがこれを見てしまえば赤っ恥ものだ。

 ――――それでも、この本には。
 学園生たちがかつて抱いた野望や夢が、めいっぱい詰め込まれていた。

『俺たちで大魔王を倒してやる!』
『そして、いつか俺たちが勇者となるんだ!!』
 そんな風に、叶うことなく潰えた、青い春の夢が。

「ツカサ……センパイ?」
 リヴェンティアは思わず、戦いのときと同様に彼を『センパイ』と呼んだ。
 ツカサ自身は、どういった面持ちでこの書物を読んでいたのだろうか――。

 そのとき、

「ツカサ! リヴェンティアちゃん! やっと見つけた! お疲れ様!」
 明るい声色が、二人の耳に響いた。
 振り向けば、『華麗なる西風号』――ブリリアント・ゼファーの船長たるマリア・アリス(歩き出したアリス・f04782)が笑顔で二人へ手を振っていた。
「お二人とも、お疲れ様です。そのご本は戦利品として大事に取っておいて……疲れも、癒やしましょう」
 マリアと共に、渡瀬・瑠璃(ミレナリィドールのシンフォニア・f05412)も隣の席に就く。
 いつもは釣り目気味な瑠璃の瞳も、此度ばかりは少し柔らかく緩んでいる――ような気がした。
「ねえツカサ、リヴェンティアちゃん。今回はどんな冒険だったの?」
「えっとね! 書物の魔物と、大きなタイプライターみたいな災魔が襲ってきたんだ。
 とても大変だったけど……リッティちゃんが助けてくれたんだよ」
「!! つ、ツカサさん……! なんだか恥ずかしいけド……嬉しい気持ち、でス!
 でも、ツカサさんの活躍もお話させて下さいネ?」
 マリアや瑠璃と合流した途端、ツカサとリヴェンティアのお互いの褒め合い合戦が始まった!
 勿論、話の最中に「マリアさんや瑠璃さんも是非いきまショウ!」というリヴェンティアのお墨付き!
「――あっ、焔さん!」
「……あら、リヴェンティアちゃん? まさかバレるなんて思わなかったわ」
「そんなご遠慮なさらズ! 一緒にお話いかがですカ?」
 にっこにっこにっこ。
 リヴェンティアの明るい笑顔に、神薙・焔(ガトリングガンスリンガー・f01122)もちょっぴりたじたじ。
 鮮やかな碧の瞳を少しばかり右往左往させたのち、観念したように笑ってみせた。
「そうね……皆と偶然出会えたのも、何かの縁でしょう」
 折角だし同席するわ、と観念したかのように笑って、テーブル席はさらに賑わった。
「そういえば、神薙さん。あなたも本を手に入れているようですが、いったいどのような――?」
「ああ、私もね。こっそり見つけていたのよ。ちょっとした、冒険譚を」
 誰も見知らぬ間に見つけたという本を、焔は瑠璃に見せる。
 それはアルダワでしか見つけられない冒険の物語。
 喩えるならば、此度のような惨劇を未然に防いだ――少年少女の活躍を描いた冒険譚だ。
「あら、素敵ね! 冒険のお話ならツカサが気になって食いつきそうだけれど――って、
 ってツカサ? 何で寝てるの! もう、ほっぺにケーキつけちゃって……!」
「あら、ツカサくん……? すっかりお休みね」
 すっかり、ぐっすり。
 冒険の疲れからか、テーブルに眠りこけているツカサを見て、マリアや焔は微笑ましく眺めている様子。
 焔は自分の手に入れた本を開くか悩むものの、先ずは気まずそうな身内を優先して声をかけた。
「マリアちゃん、お相手は任せるわ」
「そんな、私に!? もう、仕方ないわね……私がちゃんと残さず食べてあげるんだから――」
 ――何か、大胆な好意に及んだかしら。
 くすりと小さく笑って、焔は手に入れたばかりの書物を開いてご満悦。
 当のマリアは――眠りこけているツカサの頬にそっと口づけを落とした。
「そうだな――店内は少し騒がしい。これならお疲れなお二人に回復の歌を歌っても大丈夫ですかね?」
 勿論、小声で、と瑠璃は控えめに歌を紡ぐ――けれど、この温室喫茶にはBGMが無いからこそ、
 瑠璃の安らかな歌声は、店内の人々に届いたのだった。
(「――お疲れな甲斐さんの小さな寝息が、コーラスになりそうです」)
 小さく笑った彼女の声が、まさしくそうであるかのように
 ツカサは今も夢見心地で、未だ見ぬ敵や歌声を楽しんでむにゃむにゃ……。
「……今度はご一緒できるよう、お話してみましょう。
 瑠璃ちゃん、また大事件聴かせてね?」
 ぽつり、呟いた焔の声。
 瑠璃はその言葉にウィンク一つ返して――言葉はまた歌声に消え、暖かなティータイムは、これからもまだ、続く。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

零井戸・寂
いやぁ、全くライターは難敵だったね。(素知らぬ顔でケーキだけ食べにくる眼鏡)

【POW】
……ん、聞いてた通り絶品だ。

血生臭いのなんて戦場だけで結構、こんな綺麗でおいしいもの食べれる場所なんだ。
何処かの文豪気取りに台無しにされずに済んで良かったね。

しかしやっぱり、仕事終わりの甘いものは疲れが吹き飛ぶなぁ。

え、僕?やだなぁちゃんと戦ってたとも。
見当たらなかった?
じゃあ行間にでも隠れてたのかもね。

なんて冗談はさておいて、だ。
僕が戦ってたか否かなんてどうでもいい事さ。

(そんな風に冗談めかして、何処かで手に入れた本は、大事に持ち帰っていく。)

【誰かとの同席、アドリブ歓迎。ナギサさんも良ければご同席どうぞ】



「……ん、聞いてた通り絶品だ」
 ほう、と小さく感嘆のため息を一つ。
 口いっぱいに広がるショコラの風味に、零井戸・寂(アフレイド・f02382)は舌鼓を打つ。
 生徒たちや猟兵たちの楽しげな声々が耳に届き、顔を上げて店内を見渡せば、彼ら彼女らの笑顔がいくらでも目に映る。
 ――それらは全て、あの地下迷宮では窺えることなどできなかったであろう、幸せに満ちた『日常』そのものだ。
 嗚呼、故に。寂は朗らかに笑みを浮かべたのだ。
「……あら。あなたは、確か――零井戸さん、だったかしら。この度も、ご協力ありがとう」
 ふと、声を掛けられたのは、珈琲のお代わりを貰いに行ったばかりの小夜凪・ナギサだ。
 見覚えのある小柄な背丈、赤縁の眼鏡を見て自然と声をかけたようだが――。
「ああ、ナギサさん。今回も案内をありがとう。とても助かったよ」
「声を掛けておきながら何だけれど……あなたも、迷宮探索に?」
「え、僕? やだなぁ」
 さくり、ふたたび崩したケーキから、仄かにショコラが溢れる。
「――ちゃんと戦ってたとも。見当たらなかった?」
「……そう、ね。確かにあの迷宮は暗かったものだから――」
 それに、ナギサ自身、グリモア猟兵としての仕事はあくまで『転移』だ。
 猟兵それぞれの顔も全て覚えきれていなかった――かもしれない。故に、ナギサも言い包められた。
「じゃあ、行間にでも隠れてたのかもね」
「行間――?」
「……なんて冗談はさておいて、だ。僕が戦ってたか否かなんてどうでもいい事さ」
「……そうかしら? どうでもよくなんて無いわよ。
『私』に応えてくれた猟兵には、声を掛けてくれたなら、真摯に向き合いたいの」
 少し、踏み込んだ上で、ナギサは手元の珈琲を一口啜り、訪ねる。
「零井戸さん、もしかして、あなた――」
「…………ひとつだけ。ゲームで喩えるなら、」
 手元には、空になった皿とカップ。ふと、立ち上がり、少年は力なく笑う。
「『お助けNPC』みたいなもの――で、如何かな。……パッケージどころか、説明書にも載らない」
 他者には聞こえない、密やかな声で、囁いて、去ろうとする。
「――まだ、」
 白衣の女は小さなその背に、一つ。静かな声で呼びかける。
「“あの子”は、知らないわよ」
 テーブルに開いたタブレットPCには、ミントグリーンとピンクの画面に『Sleep』と綴られていた。
 その鮮やかなパステルカラーを、少年は視たか、どうか。眼鏡の奥の瞳は、誰にも知られること無く。
 小さく肩を竦めて、喫茶店を立ち去った。

 ――――その傍らに、ちらりと。小脇に抱えた本に綴られていたのは、或る英字のタイトル。

大成功 🔵​🔵​🔵​

三千院・操
うわー! いい匂い!
へへへ……魔導書の蒐集もいいけどー、こういうのもたまらん……!
ちゃんと戦ったしいっぱい食べていいよね! その分あとで筋トレすればいいし!
それじゃあいただきまーす!

焼き上がったチョコレートケーキを甘い紅茶と一緒に頂くよ!
中の甘いチョコとふわふわの生地が美味しい……しあわせ……。
だめ! つい顔が緩んじゃう!

ひと通り堪能したらお菓子を買いに行くよ!
何があるかなー、何があるかなー。
マカロンとかエクレアとか、ドーナツとかあるかな!
へっへっへ……いっぱい買っちゃお……。
うん! これでしばらくは甘いものには困らないね! よしよし!

※アドリブ歓迎です



「うわー! いい匂い!」
 温室喫茶に訪れては、三千院・操(ネクロフォーミュラ・f12510)はさっそく声を弾ませる。
 ふわりと香る紅茶や甘いケーキ、花の香り――普段より魔導書を蒐集し続けていた彼にとっては、新鮮な空間であるかもしれない。
「ちゃんと戦ったしいっぱい食べていいよね! その分あとで筋トレすればいいし!」
 今でこそ精悍な身体でありながら、自分の体調にも気を使って。
 操はふふんっと得意げに笑いながら、テーブルに運ばれてくる数々のケーキに目を輝かせた。
 彼が頼んだのは丁度、焼き上がったばかりのチョコレートケーキだ。
 テーブルに置かれたケーキをそーっとフォークで差し込めば、チョコレートがじゅんわりと溢れてゆく――。
(「だめ! つい顔が緩んじゃう!」)
 素直な操は思わずにっこり、とろけるケーキと気持ちが重なるようにへんにゃり頬を緩ませた。
「それじゃあいただきまーす!」
 さっそくケーキを味わい終えたなら、もう一つの楽しみであるお土産のコーナーへ。
 様々な洋菓子が並ぶなか、甘味の虜になった操は一つに絞れる訳もなく――。
「マカロンとかエクレアとか、ドーナツとか! 沢山みつけたし、へっへっへ……いっぱい買っちゃお……」
 カゴには色とりどりのスイーツが沢山!
 うん! これでしばらくは甘いものには困らないね! ――なんて、鍛えられたその胸を張っていたなら。
 はぁ、と脳裏に小さく溜息が漏れた気がした。……おそらく、ラジエルだろうか?
「もー、ラジエル! おれ、このスイーツ食べた分だけ頑張るよ?
 そんな溜息つかないで!」
 なんて、明るい声で操が内なる彼へ声を掛ける。
 さっそく梱包された袋の中からドーナツを一つ、頬張った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

千桜・エリシャ
まあ!春の花がいっぱいで素敵なところですわ!
花がよく見える席を選んで座りましょう
チョコレートケーキと紅茶を頼んでティータイムと洒落込みましょうか
はぁ…戦の昂りを鎮めるようなほっとする味ですこと…
それに春とチョコの甘やかな香りがとても芳しくて…
私、気に入りましたわ

ああ、そうですわ
持ち帰った稀覯本の続きを読もうかしら
先ほどはいいところで中断されてしまいましたものね
『誠実な旅人には正しき道を、悪しき旅人には…』
ふふ、この続きを読まなければ
さあ、どんな結末が待ち受けているのかしら?

それにこの本、なんだか魔力を感じますわね
もしかして何かいわくつきだったりするのかしら
ふふふ、私そういうの大好きですわ!



「――まあ! 春の花がいっぱいで素敵なところですわ!」
 春めく桜の瞳を輝かせ、一仕事終えたばかりの千桜・エリシャ(春宵・f02565)は静かに席へと腰掛ける。
 選んだのは、温室内の花がよく見える一席。ふわりと香る花々の芳香に、思わず瞼を下ろして。
 ――エリシャが頼んだのも、オススメと挙げられたチョコレートケーキと、薫り高い紅茶だ。
 手元へと運ばれたなら、焼き立てのショコラの香りにふわり、笑みを綻ばせる。
「はぁ…戦の昂りを鎮めるようなほっとする味ですこと……それに春とチョコの甘やかな香りがとても芳しくて……」
 私、気に入りましたわ。
 桜色の唇から溢れたのは、砂糖菓子めいた甘い独白。
 するとその最中、思い出したように目を瞬かせて。
 エリシャがそっとテーブルに広げたのは――迷宮にて手に入れた稀覯本だ。
 桜色の装丁を、鬼の爪で傷つけぬようそっとひと撫でしては、エリシャはふたたびその本を開いた。
「ふたたび本の続きを読みたかったの。先ほどはいいところで中断されてしまいましたものね――」
 そっと、花弁をはらうように、頁を捲る。
 稀覯本に綴られていたのは、いわゆるお伽噺に近い……「金の斧と銀の斧」にも似た噺であった。
『誠実な旅人には正しき道を、悪しき旅人には――桜が化けた女の霊は、その者の魂を吸って新たに生き永らえるだろう、ですって」

 ――くす。
 くすくすくすくす。

 子供が不気味で感じるであろうお噺であるに違いないのに、不思議と笑みが溢れて仕方ない。
 ――――どうして形の残らぬ魂だけだったのかしら。
 御首を刎ねて、ずっと、ずうっと、永遠に手元に残しても良かったのに。
 歪に細められた、桜の眸。
 嗚呼、それでも。傍から見れば和装の娘が読書を嗜んでいる――そんな日常の一幕に映っていたに違いない。
「なんだか、魔力を感じますわ。この桜の女の霊が、遺っているみたい――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

紅庭・一茶
【POW】

ふふふ!大変に待望な御茶会ですね!
紅茶に茶菓子をささと注文したら、
手に入れた御本をテーブルに置いて読書をば!
動物さんたちの御茶会の御本、
紅庭は今まで読むのをずっと我慢していたのです
だって、喫茶店で是非にと読みたかったのですから!

御本の頁をふんふんと御機嫌に捲りながら
紅庭も御茶会に動物さんを呼べたらと思いつつ、
茶菓子を口にすればとても幸せ心地で――
む!ここの娘の淹れる紅茶、美味ではないですか!
…なんて、店のポットへのジェラシーも抱いたりもしつつ

は~…紅庭、素敵な御本に御茶会にと大変に幸せです…
ですので、ナギサちゃんを見つけたらば茶菓子を差し出しお礼を!
連れて来て下さり、有難うでしたっ!



「ふふふ! 大変に待望な御茶会ですね!」
 得意げに愉快げに韻を踏み、紅庭・一茶(いばらゆめ・f01456)はひょこんっと跳ねるように一席へと腰掛ける。
 とろりと甘い蜂蜜めいた長い髪を上機嫌に揺らせば、学園の生徒たちはたちまち“彼”に夢中。
 ――あんなに可愛い転校生は女子? それとも、男子……?
 だなんて、不毛な議論が飛び交いながらも、一茶にとってはどこ吹く風。
 手に入れた洋書はテーブルに置いて、そおっと表紙を開いて物語の世界へ。
(「紅庭は今まで読むのをずっと我慢していたのです。だって、喫茶店で是非にと読みたかったのですから――!」)
 薫り高く、あったかな紅茶。甘く深い、焼き立てショコラケーキの匂い。
 そして何より、それらを楽しむ人々の声々――。
 ふんふんっと鼻歌めいた小さな声で上機嫌に捲っては、先程の物語を思い返す。
 御茶会に呼ばれる、色んな動物さんたち。
 くまさん、うさぎさん、きつねさん、たぬきさん――お伽噺らしく、肉食草食など関係なく、皆が仲睦まじく笑顔で御茶会を楽しんでいる。
 ――紅庭も御茶会に動物さんを呼べるでしょうか。美味しい紅茶を淹れて、楽しい時間を過ごせるように――。
 なんて、夢見心地で紅茶を一口啜ってみれば。一茶は琥珀色の瞳をまあるく瞬かせた。
「む! ここの娘の淹れる紅茶、美味ではないですか!」
 なんだかちょっぴりジェラシー。ポットとしての対抗心!
 ちょっぴりふつふつ火照った思いはなんとか冷ませて、通りがかったナギサを見つけたなら――。
「! ナギサちゃん! 見つけましたよっ。紅庭から此度のお礼をば!」
「あら、このお茶菓子を、私に……? ありがとう」
 ぱあっと広げてくれた可愛らしいモチーフの茶菓子の袋を、そっと両手で受け取って、ナギサは嬉しそうに微笑む。
「……宜しければ、これからご一緒にお茶して下さる? いつも珈琲ばかりだったものだから、オススメの紅茶を識りたいわ」
「是非っ、紅庭にお任せあれ!」
 ふふんっと胸を張って、向かいの席へご招待!
 ティータイムは和やかに楽しげに、まだまだ続いてゆく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

作図・未来
僕はカフェでまったりすごすことにしよう。

名物であるチョコレートケーキは非常に楽しみだね。
紅茶も一緒に頼んで、席で楽しむことにしよう。

そうだな、せっかくだし迷宮で手に入れた本を読みながら頂くとしようか。
こうして落ち着ける場で、美味しいケーキと紅茶と一緒に読むのも悪くない。

さて、盾の紋章が特徴的なこの本だが……一体どんな物語なのか。
護ることに特化した騎士。多くの軍勢から国を護ることもあるだろう。愛する者ただ一人を護ることもあるだろう。
きっと、その人生は苦難の数々なんだろうね。

……このような騎士が呼べたら、僕にも護ることができるのだろうか。

(本のタイトルは夢前アンナMS様に考えて頂けると嬉しいです)



 ――かつり。
 ティーカップが掠れる音を小さく響かせ、作図・未来(朝日の死者のタンツ・f00021)は静かに茶を啜る。
 名物であると事前に聞いていたチョコレートケーキは、密かな楽しみでもあった。
 学園生のサービスでの焼き立てが運ばれるまでの時間をどうするか――暫し、考えていたところ。
(「そうだな、せっかくだし迷宮で手に入れた本を読みながら頂くとしようか」)
 手元から取り出したのは、迷宮探索の際に手に入れた書物だ。
「あの時は戦いの途中だったから、タイトルまでは見ることができなかったけれど……」
 今なら、読むことができるだろうか。
 煤をそっと手で払い、表紙に刻まれていた英字を――未来は、確かめる。

「――――『We'll see』?」

 “――そのうち判る、今に知るだろう。”

 そんな、『近い未来』を仄めかすようなタイトルだ。
 この本に生きる盾の騎士もまた、『近い将来』を識ることがあったのだろうか。
 傷つける剣でない、護る為の盾の騎士が識る未来とは――?
 ふと、続きを読む前に表紙へと戻って。
 未来は、盾の紋章を指先でそっとなぞった。
 未だに残る、薄い埃。どれほどの年月、この書物は人知れず、眠っていたのだろう。
 多くの軍勢から国を護り、或いは、国以上に護りたいものがあったのかもしれない。
 たとえば地位、たとえば名誉――それらはややチープに思える、けれど。
 たとえば――『護る理由』が、家族であったり、友であったり、恋人であったり。
 血や縁で言い表せない、絆で結ばれた人々であったのならば。
「……このような騎士が呼べたら、僕にも護ることができるのだろうか」
 ――――少年の小さな願いは、いつの間にやら冷めた紅茶に溶かされた。
 “未来”を案ずる彼の元へ運ばれた、焼き立てのチョコレートケーキは――ほんの少しばかり、苦く感じたかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イルナハ・エイワズ
ハリエットさん(f05758)と参加
カフェでまったり過ごします

広めのテーブル席に座り
おすすめのチョコレートケーキと紅茶を楽しみつつ会話します
チョコレートケーキの注文は2つ
私とユルの分です
ユルに一人で食べさせたら手や口の周りがチョコソースで大変なことになりそうなので
私が食べやすいサイズに切って食べさせましょう

魔法学園は学生が多いので、こういうカフェが多く用意されています
こういう施設はやはり重要なのでしょうね
ダンジョンに潜り、災魔を倒すだけでは足りないものもあるのでしょう

そういえば学園には蒸気文明と魔法文明が導入されていますので
UDCアースとは違った技術が発展していますね
と話題へと移していきます


ハリエット・ミリオンズ
エイワズさんと参加
他愛のない話をしながら、まったりとした時間を二人で過ごしましょう

温室庭園、良い雰囲気の場所ね
このチョコレートケーキと紅茶も拘りを感じるわ
ケーキにチョコの花が咲いているのはやっぱり植物が花を咲かせる場所だからかしら、それとも会話に花を咲かせる場所だからかしら

学校に娯楽施設と言うと不思議な感じもするけれど
学ぶのは知識や技術だけじゃない、そういうことなのかもしれない
蒸気機関や魔法といった技術が発展しているのもこの学園あってのもののように思うわね
出身世界だと動力と言えば電気というイメージだから
魔法や蒸気が主な動力として発達したというのは興味深いわ
その必要性があった歴史ということだから



「温室庭園、良い雰囲気の場所ね」
 ハリエット・ミリオンズ(ソラリス・f05758)は言葉少なに、ぽつりと感想を漏らしては、青く澄んだ瞳をうっすら細める。
 庭園内を見渡せる、広々としたテーブル席。ハリエットの向かいに腰掛けるイルナハ・エイワズ(挟界図書館の司書・f02906)もまた、彼女の言葉に深々頷いては、
「そうですね。植物も花も、活き活きと咲いています」
「ええ、とっても綺麗。――丁度、ケーキと紅茶も届いたみたいね」
 その時、花の香りに混じってふわりと届いた、甘く香ばしい匂い。
 ふわり湯気立つ紅茶をハリエットは静かに啜る。心ほどけるような感覚の中で、吐息をひとつ。
「美味しい……このチョコレートケーキと紅茶も、拘りを感じるわ」
 新たに運ばれてきたチョコレートケーキに目を落とし、さっそくフォークを手にした。
 ケーキのてっぺんに咲く、見事な花細工。
(「やっぱり植物が花を咲かせる場所だからかしら、それとも会話に花を咲かせる場所だからかしら」)
 ――きっと、どちらの意味も備えているのかもしれない。
 ハリエットは花を愛でるようにフォークで撫でたのち、ケーキを先端から刺して、少しずつ頬張り始めた。
 一方、イルナハの傍らでは、相棒たるドラゴンランスのユルが興味深そうにじーっとケーキを見つめていた。
「ユル、もう少し待っていてくださいね」
 物欲しそうな顔をするユルを嗜めながらも、イルナハは2つのうち片方のチョコレートケーキをひとつひとつ、一口サイズに切り分けた。
 するとユルはたちまち嬉しそうに、一口サイズのケーキたちをぱくぱくっと啄んでゆく。
 もきゅもきゅ。たらふく頬を膨らませて咀嚼するユル。
 相棒の口についたチョコソースをそっとハンカチで拭いてあげながら、イルナハは小さく笑みを零した。
「それにしても、こういう施設はやはり重要なのでしょうね。
 ダンジョンに潜り、災魔を倒すだけでは足りないものもあるのでしょう」
 思えばこのアルダワ魔法学園には、この温室喫茶だけでなく、様々なカフェが併設されている。
 災魔と戦う為に育てられる『学生』たちにとって、カフェ等はひとときの休息を得られる貴重な居場所なのだろう。
 厨房からも、アルバイトとして働く学生たちの活気に満ちた声が聞こえてくる。
 ハリエットもイルナハの言葉に頷いて、チョコレートケーキを少しずつ食べ進めた。
「学校に娯楽施設と言うと、不思議な感じもするけれど……学ぶのは知識や技術だけじゃない、そういうことなのかもしれない」
 ――この世界は、蒸気機関や魔法といった技術が発展していたのだったかしら。
 そう思い至り、ハリエットはふと顔を上げる。
 全ての植物が満開に咲き続ける温室庭園。厨房から漏れ出る、ぷすぷすとした蒸気や機械音。
「そういえば、学園には蒸気文明と魔法文明が導入されていますので、UDCアースとは違った技術が発展していますね」
 その音を聞いて思い出したかのように、イルナハは話題を移した。
「そうね、興味深いわ。魔法や蒸気が主な動力として発達した世界だなんて」
 人形めいた容貌の“サイボーグ”たる彼女は、長い睫毛をおろして、紅茶に水面に映る自分の姿を見つめて呟いた。

 ――そのとき、紅茶の水面に新たな影が。

「ユル? いけませんよ。ハリエットさんの紅茶に毛が……」
 イルナハの言葉に、反省したように彼女の傍らへとユルは戻ってゆく。
 けれど当のハリエット本人は、イルナハとユルへ向け、安心したように瞳を細めたのだった。
「いえ、いいのよエイワズさん。ありがとう。少し、考え事をしてしまっていたから。
 ――まだ、もう少し。お茶会を楽しみましょう?」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミーユイ・ロッソカステル
【SPD お菓子を購入する】

……甘い物は、好きだけれど。
こう、ちやほやされながらというのは……落ち着かないわね、えぇ。

なんて、言葉の通りに所在なさげにしながら……あ、と思いついたような声を上げて


……そうね。たまには、お土産というのも、悪くない……かも。
……喜ぶ顔も、まぁ、何人か思い浮かぶことだし。

などと言いながら、販売する学生たちにどんなお菓子があるかを聞いて。
何人もの同居人が待つ「家」で、きっと。「気まぐれよ、気まぐれ」なんて言いながら、それを広げて、お茶会をするのだろう。



 ――……甘い物は、好きだけれど。
(「こう、ちやほやされながらというのは……落ち着かないわね、えぇ」)
 ガラス張りの天井から差し込む陽光を遮るように、愛用の日傘を差したまま入店したのはミーユイ・ロッソカステル(眠れる紅月の死徒・f00401)だ。
 この場に居残り続けるのも、なんだか息苦しい。
 所在ない気持ちも変わらぬまま、逡巡したのち――ふと、目に留めたのは店頭のおみやげコーナーだ。
 ぱちり、ぱちり。先程まで眠たげだった金の瞳が、大きく瞬く。
「……そうね。たまには、お土産というのも、悪くない……かも」
 思案の中、このお土産を渡して、喜ぶ顔も――まあ、何人か浮かぶ。そう、ミーユイは思い至る。
 止まり木に住まう彼女、亡国の姫たる彼女――……軽口叩くアメリカ人の彼も、まあ、喜んでくれるだろうか。
 ――たびたび遭遇する、星の髪飾りをしたダンピールの彼女にも近い内に逢えば、お裾分けするのも有りかもしれない、だなんて。
(「……いやね。思い浮かぶ顔が、こう何人も見つかるだなんて」)
 そう心の中で独りごちては、土産物を販売する学生へと訊ねる。
「なにか、オススメの菓子はある? 多数でシェアできるものがいいわ」
「! は、はいっ。いわゆるパーティー用なら――フィナンシェなんていかがでしょうか?」
 と、金の瞳に見つめられてドギマギした学生が勧めたのは、箱に詰まった焼き菓子だ。
 いわゆる定番。箱の中には、プレーン、チョコ、ビターチョコの三種類のフィナンシェが一つずつ袋で包装されている。
 数もある程度多く詰まっているので、お土産に相応しい一品だ。
「もし宜しければ、お一つテイスティング、いかがです?」
「……私に? そう」
 確かに、自分が「美味しい」と思ったものを贈らなければ相手にも失礼だろう。
 そう思い立ったミーユイは、サンプルとして差し出された、チョコのフィナンシェを一欠片、頬張った。
(「――――あっ」)
 瞬間、舌に届いたのは、ゆるく結んだリボンが一瞬で解けるような、甘い、口溶け。
 この味わいを、『家』に住まう同居人たちはどう反応するだろう。
 もし、この茶菓子を広げて、いつものお茶会をさらに彩ることができたら、なんて――。

(「――――きっと、気まぐれよ、気まぐれ。何なら『好奇心』が近いかもしれないわ。
 私ばかりが甘い物でこんなに驚くなんて、認めたくないもの」)

 手に提げたフィナンシェの箱は愛らしい包装に包まれて。
 誰に“それら”を贈るかは――勿論、買い手であるミーユイ次第。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月10日


挿絵イラスト