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3章連続スペシャル! スーパー猟兵ヒーローショー!!

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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●Special Stage!!
 此処はなんでもアリアリのアリの世界、キマイラフューチャーの街中。
 今日は休日の昼下がり。
 大広場に設置された特設ステージの観客席には、キマイラの子供たちがいっぱい!
 それもそのはず。
「ぐぅ……! あらわれたな、イェーガーズ! また邪魔をしやがって!」
「怪人め! これ以上、キマイラフューチャーの平和を脅かすなど許さないぞ!」
 今日は『第六戦隊イェーガーズ』のスペシャルヒーローショーが開催されているのだから!
「わぁー! がんばれ、イェーガー!」
「いつもみたいに怪人、やっつけてー! がんばれー!!」
 ワイワイきゃあきゃあっ。
 楽しげに飛び交う子供たちの歓声が――或る瞬間を境に、静まり返った。
 いったい何故か? それは――――、

「ここが会場かーーーー!!!」
「う、うわぁぁぁぁ!! 怪人、怪人だぁぁぁぁ!?」

 大広場のステージに突如、“本物の”怪人、コスプレ撮影怪人アングラーローが飛び込んできたのだ!
 アングラーローは、様々な異形頭の配下怪人も引き連れている。
 カシャッ、カシャッ。
 コスプレイヤーを撮ることが生き甲斐だった怪人は、すぐさま頭部のレンズを――ヒーローと怪人に向ける。
「ふむ、良い! 最高だ! お前達のヒーローと怪人のコスプレの完成度……素晴らしい!!」
「な、何を言ってるんだ!」
「だがもっと様々なコスプレをさせてやろう! 食らえー!!」
「ぐわぁぁぁぁぁ!?」
 パシャ、パシャパシャパシャ!!
 アングラーローの放ったフラッシュ光線で、ステージ一帯が眩しい光に包み込まれる。
 光が収まったとき、ステージに立っていたのは――、

 ヒーローや怪人のスーツを脱ぎ去られ、メイドやセーラー服などの衣装を着せられた、素顔の“一般キマイラたち”だった。

「そ、そんな……! イェーガーが、フツーのキマイラだったの?」
「イェーガーは負けちゃうの?」
「ううん、イェーガーなんてホントはいないんだ。
 ……ボクたち、だまされてたんだよ」

 ざわつく子供たち。広場からはぐす、ぐす、と涙ぐむ声も聞こえる。
 アングラーローはその能力を以て、キマイラの子供たちが憧れた『猟兵』という存在の夢を壊したのだ。
 しかし、無情にも高らかに響くのは、怪人アングラーローの笑い声。
「フフフ……ハーッハッハッハ! さあ、次のコスプレイヤーを探すとしようか!
 涙を流す子供がコスプレをするのも――実に、イイ!!」
 そうして、アングラーローが大広場の観客席へと踏み込もうとした、そのとき。

「そうは――――そうは、させない!!」

 ある勇敢な少女の声が、響いた。
 ばちり、ばちり。
 ノイズがかった赤い髪と、お手製の白いマフラーを翻す。
 蛮勇を胸に抱く少女は、ダンボール製の剣を掲げた!
「子供たちが泣いてる……そんなの、放っておけないじゃない!
 この子達に手を出さないで。あたしが、ロソコが相手してやるわ、この変態怪人!!」

●Prologue
「――――まあ、でもその赤髪の女の子、数秒でやっつけられちゃうんだけどね」
 グリモアベースにて、そう肩を竦めたのはグリモア猟兵の虜・ジョンドゥ(お気に召すまま・f05137)だ。
 一連の予知を語り終えた上で、「どうしたものかなあ」と考えながら、ロリポップをぺろりと舐めつつ話を続けた。
「キミたちが行動できるのは、ボクがさっき語り終えた――『赤い髪のバーチャルキャラクターの女の子が、怪人に立ち向かう瞬間』からだよ。その上で、その女の子を説き伏せた後に、怪人アングラーロー達と戦って、撃退して欲しいんだ」

 パチンッ。

 指を鳴らせば、ジョンドゥの手元から『赤い髪のバーチャルキャラクター』の個人情報が出現する。
「そんで、キミたちが最初に対処して欲しい困ったちゃんの名前は――『ロソコちゃん』。赤色やヒーローが大好きで、キマイラフューチャーで活躍した猟兵も逐一検索しちゃうくらいの猟兵オタク! そんでもって、正義や平和がだいすきなんだってさ」
 そうして新たに有益な情報を伝えようと己を正すべく、ロリポップから口を離した。
「ヒーロー気取りで子供たちを守ろうとするロソコちゃんは、確実に怪人に倒されて……きっと、死んでしまう。だから、みんなの説得を以て、ステージに上がる瞬間に彼女を思い留まらせて欲しいんだ」
 その説得が効果的であれば、ロソコちゃんは怪人への攻撃を改めるかもしれない。
「そんでね、一つ重要なのが――キミたちの放つ言葉は『猟兵に憧れるキマイラの子供たちにも耳に届く』っていうことなんだ」
 キマイラにとって猟兵はヒーローであり、娯楽でもある。
 だからこそ、本物の猟兵がサプライズとして登場するのならば注目度は高くなることだろう。

「効果的なのは、総じて『ヒーローらしい振る舞い』だよ。
 怪人の撃退も大事だけれど、キミたちの目の前には『猟兵の存在そのものを疑っていたり』『いざという時に助けてくれない猟兵がいるんだ』という疑念に駆られてしまった子供たちが居ることを、忘れないで欲しいんだ」

 ――つまり、『子供たちの夢を護ってほしい』ということだ。
 色違いの瞳を細めたジョンドゥは、コントローラーめいたグリモアを浮かべてキマイラフューチャーへの世界へといざなったのだった。

「――――――頼んだよ、ヒーロー」

 託された言葉が耳に届いたと同時、猟兵たちはキマイラフューチャーの世界へとたどり着いていた。


夢前アンナ
 最善最強の猟兵を求めております。

 夢前アンナです。日曜の朝にテンションが昂ぶった結果です。
 素敵なニチアサで御座いました……。
 当方が『定めた期間』にプレイングを募集する形態なので、
 ご了承のほどお願い申し上げます。

●フラグメントについて
 ・第一章は、怪人が乱入したステージに突入しようとする、
  勘違いヒーロー志望娘の『ロソコちゃん』を思い留まらせて下さい。
  説得方法はお任せします。
  但し、場所は「大広場」なので子供たちの目に晒されることはご留意ください。

 ・第二章以降はその都度、プレイング募集時に更新いたします。

●プレイングについて
『合同描写・グループ描写の場合』
  相手の名前・ID、カギカッコ付で全員共通の『グループ名』をプレイング先頭に。

『アドリブ歓迎の場合』
  プレイング先頭、または末尾に「◎」

『アドリブ不可の場合』
  プレイング先頭、または末尾に「×」

  上記の記号希望は『マスターより』でも明記しますが、
  特に書かれて居ない場合は『アドリブ歓迎』として処理して書かせて頂くか、判断に迷う場合は流してしまいます。両極端です。
  ご了承のほど、お願い申し上げます。

●パロディについて
  固有名詞がガッツリ入ったプレイングや、
  伏せ字有りでも直球すぎる内容は全てマスタリング対象で、採用もお見送りさせて頂きます。
  ただし、お遊びなどは大好きなので、チャレンジ精神で送って頂けるのは歓迎です。

  グリモア猟兵の虜・ジョンドゥ(お気に召すまま・f05137)は当リプレイでは全章通して登場しませんので、ご了承のほどお願いいたします。

  それでは、どうぞ佳き夢を。
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第1章 冒険 『ヒーロー気取り』

POW   :    力を見せつけ思い留まらせる

SPD   :    技量を見せつけ思い留まらせる

WIZ   :    賢さを見せつけ思い留まらせる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


※『募集期間について』
 書き忘れておりました、申し訳ございません。現在【受付中】です!
 さっそくのプレイングもありがとうございます。順次、執筆させて頂きます。
ロク・ザイオン

ジャック(f02381)と

(大きな豹の鎧を引き摺って来た森番は「適任者を連れてきた」という自信に満ち溢れている)
ジャック。
しごと。

(勇敢なれども愛らしい子供のキミが、立ち向かう必要なんてどこにもない。
【ダッシュ】【早業】でその眼前に割り込み歩みを妨げる。
足を止めてくれる程度に睨む。【恐怖を与える】。)
……へんしん。
(声を出したくないが、ひーろーはそういうものなのだと聞いた。仕方ない)
(「羨囮」で頭部を、竦んだキミの愛するものに変えよう。きっとそれは、自分ではない誰かだ。
例えば今倒された、ひーろーのマスク)
……任せろ。
へんしん、できるから。おれがいく。

(ああ)(子供はかわいいなあ)


ジャガーノート・ジャック

*ロク(f01377)と

(グリモア兵を見る。)
(普段より多くノイズが走る。ザザザ)
――連れてこられたと思えば。
敵役の方が似合う姿だろうに。
――いや、いい。
今日位は英雄になろうか。


(ザザッ)
POWを選択。

(ロソコの前に立ちはだかり進路を遮る様に現れ)
――そこまでだ。

その剣で本物の怪人を倒すのはあまりに無謀と本機は推察する。
敵を穿ち己の身を守るには
もっと重く硬いものを用いねばならない。
例えば、この鉄の腕と体のように。

――然し、君もまた
本機が持ち得なかった、
勇敢な心を持っている。

だから、君の勇気を本機に貸してくれないか。
であるならば、本機、
ジャガーノート ・ジャックは今日、君の剣となろう。



●BATTLE1
 別所での支援に向かうべく転移していったグリモア猟兵の顔をふと追うのは、黒き鋼の豹たるジャガーノート・ジャック(OVERKILL・f02381)だ。
 ――常より色濃い、ノイズの嵐が視界を遮る。

 ――――ザザッ、ザザザッ。

「――ック。……ジャック。しごと」

 ひとつ、ひとつ。
 彼の名を呼びかけたのは、ロク・ザイオン(疾走する閃光・f01377)のざらりとした荒砂めいた声だ。
 ロクの呼びかけに引き戻され、ジャガーノートの視界が雨上がりのように一気にクリアになったのち――
 視界に映ったのは、ロクの常のツンとした面差し。
 その鮮やかな青い瞳には、確かな信頼が宿されていた。
 森番たる彼女の目に間違いなど、ない。『適任者』を連れてきたという、確かな自信が――。

(「――連れてこられたと思えば。敵役の方が似合う姿だろうに」)
 向かう寸前、胸中に零す自嘲めいた言葉。
 されど、赤き瞳が見据える先には、ざわめくキマイラの群れが。
「ジャック」
 いこう、とさらなる言葉を続けずとも、ロクが再び名を呼べば、ジャガーノートは静かに頷いた。

 ――――今日位は、英雄になろうか。

 ――。

 猟兵たちが駆けつけた大広場では、既に本物の怪人・アングラーロー達によってヒーローショーがジャックされていた。
 特設ステージに上がり込む怪人たち。フラッシュ光線によって身ぐるみを剥がされた役者たち。
 そして、夢を壊され、涙を流し始めるキマイラの子供たち。
 平穏だった筈の休日に巻き起こった、地獄絵図。
「ホントはイェーガーなんていないんだ……!」
「怪人があらわれても、たすけてくれないなんて!」
 キマイラの子供たちは恐怖に慄き、口々に泣き叫ぶ。
 子供たちは諦めていた。信じていたイェーガーズがニセモノだったのだから。

「この子達に手を出さないで! あたしが、ロソコが相手してやるわ――!!」

 おそらく即席で作ったのであろう、ダンボール製の剣を掲げ、バーチャルキャラクターの少女・ロソコがステージへと向かおうとする――。
 そのときだった。
 彼女の眼前を掠めたのは、炎色の鬣の軌跡。昼下がりに舞い降りた、色鮮やかな箒星。
「……!? な、何!? 誰――!?」
 行く手を塞がれ、ロソコは思わず足を止めた。否、止めずにはいられなかった。
 新たに現れた箒星――ロクの眼差しに、足が竦んだのだ。
 それでも、少女は剣を離さない。ぎゅっと力を込めたその手をロクは一瞥し、表情を変えぬまま、一つ、呟いた。
「……へんしん」
 ――“ひーろー”とは、そういうものなのだと聞いた。
『羨囮』の能力によって、ロクの頭部はロソコがもっとも惹かれる――赤いヒーローの仮面へと、その姿を変える。
 それはイェーガーズの頼れるリーダー、レッドの仮面そのものだ。
「!? い、イェーガーレッド……? まさか、そんな!」
 勿論、ロソコだけでなく、周囲の子供たちも涙を止めて息を呑んだ。
「……任せろ。へんしん、できるから。おれがいく」
「で、でも! 一人だけじゃ危ないわよ。いくら、ヒーローとはいえ……!!」
 それでも尚、粘ろうとするロソコ。
 必死なその顔からは、必死さを感じることができるだろう。ただの目立ちたがりではない、寧ろ、ロク自身を案じているようにも見て取れる。
 されど、この場に集った英雄(ヒーロー)は、ロクだけではない。

 ――ザザッ。
「――そこまでだ」
 ノイズの直後、くぐもった声と共に。ロクの傍らへ立つは黒き機械鎧の兵士たる、ジャガーノート。
 ジャガーノートは特設ステージ上の怪人たちへと身体を向けながらも、潜むように光る赤い瞳は少女を見遣る。
 脆い剣を握る彼女の手は、小刻みに震えていた。
 それは怒りからか? 違う。強大な怪人に立ち向かうことそのものが怖いのだと、ジャガーノートは瞬時に悟った。
「……その剣で本物の怪人を倒すのはあまりに無謀と本機は推察する」
「えっ……そ、そんな! それでも、あたしは!」
「敵を穿ち己の身を守るには、もっと重く硬いものを用いねばならない。――例えば、この鉄の腕と体のように」
「自分の身を、守る……?」
 ジャガーノートはそう語りながら、鉄の手を握る。ぎし、と鎧同士が軋み、鈍い音を鳴らした。
 戦わなければならない――その一心で、ロソコは『自分の身を守る』ことを忘れていた。
 そして、『ピンチの前でもヒーローは現れるもの』なのだと、身体を張って伝えてくれたのはロクだ。
 両手の震えは次第に収まりながらも……それでも、ロソコは引き下がらなかった。
「加勢してくれて、ありがとう。……でも、あたしも戦いたいの!
 このままじゃ、あなた達も、イェーガーズの中の人みたく敗けちゃうかもしれない。そんなの、見てられな……!」

「い……いぇーがー!!」

 その時だ。
 観客の中のひとりの子供が、勇気を振り絞って声をあげたのは。
「きっと、いぇーがーだよね? ぼくたちを、たすけにきてくれたんだよね!」
 まだ泣き止まない子供たちも多い中、それでも希望を見出した子供が居るのだ。
 森番たるロクは、その野生の勘を以て、人混みの中で声援を送る子供をすぐに見つけた。

 ――――その小さな少年は、目を真っ赤に腫らしながらも、精一杯に声を出してくれていたのだ。

(「――ああ」)
 子供は、かわいい。特にあの少年は、純粋に、自分達を“信じて”くれていたのだから。
 この声は、勿論聞こえていることだろう。傍らのジャガーノートへ、ロクはアイコンタクトを取る。
 ぎし、と音を立てて頷きながら、ジャガーノートは新たな言葉を紡いだ。
 ――ザザッ。砂嵐ののち、ロソコへ向けて新たに語る。
「――然し、君もまた。本機が持ち得なかった、勇敢な心を持っている」
「……あなたが、持ち得なかった? そんな、強そう格好なのに、どうして――」

 ロソコの問いに、兵士を“演じる”彼は答えることができなかった。
 暫しの沈黙ののち、続いて響く声は明瞭に。大勢の観客(こどもたち)へ、届くように。

「――――本機、ジャガーノート ・ジャックは今日、君たちの剣となろう。
 君たちの勇気を、本機に貸して欲しい」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

カノン・トライスタ
◎ むしろ大歓迎だぜ
「よく言ったな嬢ちゃん。」
辺りに突然黒い霧(UC)が立ちこめたかと思うと、その霧が一箇所に集中する。そして、霧が弾けるとそこには赤髪のヒーローが。
「その思い、勇気はとても美しい。でもな、勇気と無謀を履き違えちゃイケないぜ。」
「だから、俺達猟兵に任せておきな!一人残らず護ってやるぜ!」
右手のガンナイフ、左手の剣を振るうと、先程の黒い霧が刀身を覆う。
「さぁ、いくぜ。銃刀戦闘術・改…始動ッ!」
「二度と失わないために、俺は刃を振るう。坊主たち、嬢ちゃん、しっかりその目に焼き付けな!これが…護るための力だぁッ!」


レイ・アイオライト
◎【SPD判定】
あー……ヒーローっぽいことね……正直あたしは悪寄りなんだけど、子どもたちの危機なら仕方ないわ。
「ヒーローってのはね、遅れて来るものなのよ。あなた達が思い描いた猟兵の姿、しかと目に焼き付けなさい!」
そう言って子どもたちの後ろから、【選択したUC】で文字通り「闇の中」から現れるわ。
ロソコには、「アンタにはまだ力が足りてない、強くなるためには誰だって特訓が必要。誰かを救いたいと願うなら、今この場に立った猟兵の姿を見て色んなことを学びなさい」って説得する。
『雷竜真銀鋼糸』を用いて子どもたちの周りに鋼糸の結界を作るわ。怪人に好き勝手させるわけにはいかない。


アメリア・イアハッター
平和と赤色が好き、か
ふふ、なんだか親近感湧いちゃうね
ちょっとくらいカッコつけてもいいよね
ヒーロー、だもの

・行動
【スカイステッパー】使用
空高くから少女の前に背中を向けた状態で着地
「子供たちが泣いてるのを、放っておけるわけないよね」

振り返り、少女に笑顔を向け
「初めまして、勇気ある貴方。私達のこと、知ってるかな?」
「私達は今と未来を守るもの。勇敢なヒーローの……そう、貴方の言葉に導かれ集いし仲間」

イェーガーという言葉が聞ければニッコリと
「そう、そして未来の貴方の姿……かもね?」
ここは任せての言葉と共に赤い帽子を少女の頭に乗せ、怪人に向き直り

「私はアメリア。赤い帽子のアメリア! 笑顔を守りに来たわ!」


アーサー・ツヴァイク
◎共闘大歓迎

待て、少女! そして…そこまでだ、怪人ども!
これ以上の狼藉は許さねえぜ…俺達猟兵がな!
良い感じに高い場所(ここ重要)から勇敢な少女を制止してから飛び降りて参上だぜ!
ライドランを後方に待機させといたら、ヒーローらしく名乗らないとな。それと他の猟兵の名乗りと合わせてライドランを槍モードに変形、地面に刺さったらUCで爆発演出を再現するぜ!

悪を討つ太陽の戦士…ドーンブレイカー、参上!

まあ、こんな感じに本物の猟兵の方が百億倍カッコいいってところを見せつけて、怪人の注意も引いておくぜ。
子供達の避難は…任せるぜ、未来のヒーローちゃん!



「で、でも、でも……!」
 ぐ、と歯噛みしながら、ロソコは剣を下ろそうとはしなかった。
 観客の中にも、不安に駆られている子供たちが大勢いる。
 猟兵たちの存在も、未だ半信半疑。目の前で夢を破壊された子供たちの心の傷は、深い。
 できることなら、自分もこの戦いに加わりたい――蛮勇抱く少女は、そう曲解しかけてしまうことだろう。
 けれど、そのとき。彼女の小さな肩をぽん、と。大きな手が軽く叩いた。

「よく言ったな、嬢ちゃん」

「え? わわっ……!?」
 或る青年の声が耳に届いた直後、周囲に立ち込めたのは鏖殺領域による、深い黒霧。
 咄嗟に顔や目を覆う、ロソコを始めとした子供たち。
 深い、深い、黒き霧が晴れて。ロソコが瞼を開いたとき、真っ先に目に映ったのは――鮮やかな、赤き髪。
「赤い……ヒーロー……?」
「おっ、この髪に目がいくとはお目が高いな」
 お揃いの赤い髪の少女が見惚れているのに気づいたなら、“赤いヒーロー”は小さく歯を見せて笑ってみせる。
 赤いヒーロー――カノン・トライスタ(深紅の暗殺者・f01119)は、その両の手に得物を携えた。
 右手にオリジナルモデルのガンナイフを、左手には片刃の剣を。
 これらの武器を手にするまでにも、カノンには様々な過去を背負っていた。
 特に、その左手に握られた剣には――――。
「その思い、勇気はとても美しい。でもな、勇気と無謀を履き違えちゃイケないぜ」
「勇気と、無謀……あたしの気持ちは、無謀だったの?」
「いいや、違う。嬢ちゃんは嬢ちゃんの身を、大事にしてくれ。
 ――だから、俺達猟兵に任せておきな! 一人残らず護ってやるぜ!」
 もう、誰かを喪いたくないからこそ。カノンは重い武器を握り、構える。
 新たな猟兵の登場に、段々と泣き声を止め始めるキマイラの子供たち。
「ほんとに……ほんとに、イェーガーがあらわれたの?」
「もう、うそじゃないのかな? 負けちゃったり、しないかな……?」
 少しずつ、少しずつ。
 カノン達の登場演出や口上が効果を成し、混乱は収まり、子供たちは特設ステージへと注目していく。
 だがそれでも尚、漂う不安は拭いきれない。
 タイミングよく現れた猟兵たち。その彼らまでもが、怪人を前にして破れてしまったとしたら――。
 子供たちの絶望は、先ほどよりも計り知れないほどのものになるに違いない。
「あたし、あたしは、子供たちを放っておけなくって……。
 でも、あたしの気持ちはヒーローとしての、勇気なの? それともヒーロー気取りで目立ちたいだけ……?」

 ばちり、ばちり。ばちり。

 葛藤が赤い髪に伝染し、バーチャルキャラクター所以のノイズが走る。
 不安に駆られた少女は、即席の脆いダンボール剣を離すことが出来なかった。
 ――だが、そのとき。

「ヒーローってのはね、遅れて来るものなのよ」

「!? い、いつの間に……!?」
 まるで、影に紛れていたかのように、音もなく現れたのはレイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)。
 常の無表情のまま、赤い瞳だけをチラリと無力な少女に向けて――レイは静かに、告げる。
「アンタには、まだ力が足りてない。強くなるためには誰だって特訓が必要よ」
「特訓……? 猟兵の皆さんも、やっぱり、強くなる為の、特訓を?」
「……そうね。それを一から十まで話すより、その目で確かめる方が一番手っ取り早いわ。
 今この場に立った猟兵の姿を見て、色んなことを学びなさい」

 ――アンタが、本当に誰かを救いたいと願うなら。

 本来ならば、影を纏い戦う筈の暗殺者たるレイ。
 それでも尚、ぶっきらぼうな言葉ながらも檄を飛ばすのは、レイなりの“想い”があってなのだろう。

 ――――バチリ。
 レイの手を鎧う雷竜真銀鋼糸が、微かな雷を疾らせる。
 彼女はその場から跳躍し、広場の隅から、隅へ、まるで蜘蛛の巣のごとく鋼糸の結界を張っていく。
 子供たちに危害が加えられぬ為に。怪人からの光線をも、阻む為に。


「ちょ、ちょちょちょちょ!! ストップ、ストーーーーーップ!!」


 ぐあーっ! と凄まじい勢いでステージから絶叫したのは――他でもない、コスプレ撮影怪人アングラーローだ。
「怪人としてちょーっと空気読んで静観してたら、何なんだ!?
 ここからあの赤い髪の子もコスプレしてくれる展開になるかと思ったらそうでもないし!? 観客席に結界張られるし!?
 なんのつもりなんだ!? こっちはただ素晴らしいコスプレイヤーを探していただけだというのに!!」
「や、それが問題だっていうのよ! 分かんないの!?」
「現に、お前の強引なやり口で被害に遭ってるキマイラ達がいるんだからな」
 アングラーローによる必死な訴えに対し、レイとカノンは呆れ顔でそう言い返す。
 実際に子供たちの泣き声が耳に入ったとあれば、さすがに怪人もぐうの音は出ない。
 ぐぎぎ、と苛立たせて、ぷす、ぷす、とカメラ頭から煙を漏らす。
 しかし、アングラーローは態勢を整え、観客席を阻む猟兵たちへ向けてレンズを向けたのだ。
「おのれ、おのれ……! まさか本当に猟兵が現れるなど!
 お前たちもろとも、コスプレさせてコレクションに収めてやる――!!」


「そうはさせねえ!」「待ちなさい!!」

 同時に響いたのは、男女の声だ。
「ど、どこから!? どこから聞こえたの!?」
「まって! 周りを見てみよう。ヒーローショーじゃ、意外なトコから登場するのはお約束――!」
 口々に言い合う子供たちは、次々と周囲を見渡し――最終的に、自分の背より何杯も高い建物を見上げることとなった。
 それもそのはず。
 広場と隣り合う高層ビルの屋上に、新たなヒーロー達が現れていたのだから!
 屋上に佇む人影は、二人。
 うち一人は、長い長いマフラーが特徴的。
 もう一人は、特徴的な帽子を被った長髪の少女。
 彼等は逆光によって、表情はおろか、全ての色が見えぬ完全シルエット。

 ――それでもなお、ロソコを始めとした子供たちは感じただろう。
 彼等から感じる、ヒーローとしての威厳に。

「これ以上の狼藉は許さねえぜ。俺達、猟兵がな――!」
 な、そうだろ? と、傍らのもうひとりのヒーローへ、“彼”は訊ねる。
「そうね。子供たちが泣いてるのを、放っておけるわけないよね」
 長い髪を寒風に翻し、訊ねられた“彼女”はそう確かに頷いてみせる。

 そして、高所から登場する二人は――一斉に、大広場へと飛び降りた。

 スタッ。スタッ。
 軽やかな靴音鳴らし、猟兵二人は舞い降りる。
 その華麗な登場シーンに、息を呑む子供たちも多く居た。
 それでもなお、敵たるアングラーローは焦りを見せながらも警戒を怠らず、「な、何者だ!」と指を指して訊ねてみせた。

「おっと、ヒーローといえば一番は『名乗り』だからな。僭越ながら俺が、先陣を切るぜ!」
 そう、不敵に微笑んでみせたのは、アーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)。
 ふわり、乱れたマフラーを手で払ってふたたび翻したと同時――丁度よいタイミングで愛機たるバイク『ライドラン』が走ってくる。
 ライドランは疾走中に槍へと変化し、そのままアーサーの背後へ地面へ刺突!

 その直後――巻き起こる、爆発!

「悪を討つ太陽の戦士……ドーンブレイカー、参上!」

 スタントマン顔負けの危なっかしい爆発演出で、アーサーはド派手に決めポーズ!
 その大迫力に、観客席からは大歓声!
「ドーンブレイカー! かっこいー!」
「がんばれ、まけないでー!!」
 子供たちのそんな無邪気な声が、アーサーの耳にも届いたに違いない。
 そして、ドーンブレイカー改め、アーサーの傍らへと、スカイステッパーを利用して軽やかに着地した“彼女”は――。

「初めまして、勇気ある貴方。私達のこと、知ってるかな?」
「あなたは……! も、もしかして、ハンドスピナーのときの――」
「そこまで知ってるなら話が早い! そう、私達は今と未来を守るもの。勇敢なヒーローの……そう、貴方の言葉に導かれ集いし仲間」
「えっ、でも、あたしが検索した限りではアメリアさんってマイスピナー……」
「なんでそこばっかり覚えてるのよ!?」
 ああ、もうっ! と半ばヤケになりながら、アメリア・イアハッター(想空流・f01896)は長い赤茶の髪を翻して参上する。
「い、いえいえ! 冗談、です! ……つまり、あなたは――イェーガー、ですよね?」
 紛れもなく、間違いなく。
 確かめるように恐る恐る訊ねたロソコへ、アメリアは優しく頬を緩ませた。
 年季を感じる赤い、赤い、古びた帽子を取って、ロソコの頭へとそっと被せる。
「わ、わ……! 赤い、赤い色……」
「そうよ、赤色。このショーが終わるまで、大事に被っててね?」
 大切なものだから、と小さく囁いたアメリアは、そのまま真っ直ぐに特設ステージへと上がり込む。

「私はアメリア。赤い帽子のアメリア! 笑顔を守りに来たわ!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

御堂・茜


ちょっと待ったァッ!!(場外からの大声
御堂の目が赤いうちはそのような蛮行許しません!
UC【暴れん坊プリンセス】でステージに乱入し
先陣切って怪人を急襲します!
出演者の方は今のうちに避難を!
皆様が説得を行う間怪人共を追い回し
邪魔立てさせぬよう尽力
【騎乗/操縦】を駆使した正義の安全運転で
お友達やセットへの被害は避けます

御堂、理屈は苦手ゆえ
運転しつつ【気合い】で押し切ります!
ロソコ様、よくぞ立ち上がって下さいました!
正義ある貴女へ大切なお仕事を任せます
ショーには欠かせない要素
知識を活かした解説ですッ!
皆様と一緒に会場を盛り上げて
客席からわたくし達を応援して下さいね!
皆様の声援が猟兵の力になりますッ!


ラニューイ・エタンスラント
◎まったく、営業妨害にも困ったものね……子供達の夢を壊すなんて、ふざけたことしてくれるわ。なら、『本物』として少しばかり協力するわ。猟兵戦隊イェーガーシックスの一人……このイェーガーマゼンタがね!(※過去に別の依頼でヒーローに扮したことがあるので、マゼンタなヒーローっぽい衣装に身を包んで挑みます)■(ここから説得)あなたの勇気、素晴らしいわ。でも、無謀なことはしちゃ駄目よ。死んじゃったら、ご両親や友達が悲しむでしょう?だからその勇気……私達に、預けてくれるかしら?■力の見せつけ方は、適当な配下怪人に奇襲で飛びかかってド派手にユーベルコードを使用します。


エスチーカ・アムグラド


子供たちが泣いている、ですか?
でもでも、チーカは泣いてなんていませんよ?
さて、なんででしょうっ!
正解はー……猟兵が来たからですっ!

あやや、もしかしてもしかて、まだ疑ってる子も居るでしょうか
でもでもっ、こーんなに小さいフェアリーの着ぐるみ、あるでしょうか?
こーんなに小さい着ぐるみに入れるキマイラさん、居るでしょうか?

チーカが、チーカたちが猟兵だって信じて貰えたらロソコお姉さんも思い留まって貰えると思うんですけどー……どうでしょう?
もしすんなりいかなくてもですね、広場のみんなが泣き止んだら変わるものもあるかなーって!
だからチーカ、笑顔と言葉で広場のみんなにも勇気をお裾分けしますっ!【勇気+鼓舞】


蒼焔・赫煌


【POW】

ヒーローをお呼びかい?
そういうことなら!
可愛いボクの出番ってわけだ!
なにせ、可愛いボクは正義の味方だからさ!

とゆーわけでちょっと待ったー!
正義の味方とは!
守るべき者のために身を削ることを厭わぬ者のことを言う!
ロソコちゃん、キミにその【勇気】と【覚悟】はあるかい?
ちょっと痛いどころじゃ済まないのが正義の味方さ!
ちなみに可愛いボクも今とても痛い!
何故ならボクのガシャドクロがめちゃくちゃ血を吸ってるから!
貧血! なう!

もし、それでもヒーロー目指したいなら、今日のとこはボクらに譲っておくれよ!
先輩ヒーローの背中……ばっちり見せちゃうぜ!


アリルティリア・アリルアノン
(電脳空間から飛び出してきたような演出で登場)
じゃーん!
ネガティブハートにスマイル配信!
バーチャル魔法少女アリルちゃん参上だよ❤

ロソコちゃんが怪人どもの相手をしてくれたお陰で、
アリル達は間に合いました!ありがとう!
(と、これまでのロソコちゃんの行動がすごい活躍であった事をアピールします)

さて、ここからはアリル達に任せてください!
その代わり子供達が怪我しないように、しっかり守っててくださいね!これもヒーローの大事な任務ですよ!
(他の子供達を守るという「大役」を任せる形で、
客席まで下がって貰います)




禮紫亜・慧恋

【POW】「少女(ロソコちゃん)よ!強敵を前によくぞ名乗りあげたね!でも、敵の強さを見誤ってはいけない」
会場の一番高いところから、真紅のマントと蒼く長いマフラーをなびかせ腕組みしながら高らかに宣言
「蛮勇と勇気は違う!相手の力量を推し量り最適な戦略を取ることもまたヒーローの戦い方さ!」
脳内の演算機能をフル回転させてロソコと敵の位置関係や自分の武装の射程計算し
「そしてここからは猟兵の…おっと、名乗り忘れてた…『輝くブルマは正義の印!スーパーブルマカイザー推参!』ってな訳でこのスーパーブルマカイザーの出番さ!」
(そう宣言し、フルバースト・マキシマムの圧倒的火力でロソコを避けつつ敵を撃ちステージへ)


フィン・クランケット
◎【WIZ】
イェーガーに憧れる純真な子どもの心を踏み躙るなんて許せません!
ましてや、命を奪われるなんて…ええ、絶対に!
ロソコちゃんの命も、子どもの夢も、守ってみせますとも!

やっぱりヒーローは登場のインパクトですよぅ
ということで、UCで透明になった状態でステージへ

ふふふ、怪人め、そこまでだ!
ロソコちゃん、皆、お待たせしました!
と、エコーをかけて宣言します
所謂、「この声は一体…!?」的、声はすれど…な演出ですねっ
注意を引けたら、バッと姿を現してポーズ!
「呼ばれて参上、イェーガー蜜柑、フィンです!」

ロソコちゃん、信じてくれてありがとう!とウィンク
本物の猟兵の活躍、ぜひ最前列で見守っててくださいね!


アヤカ・ホワイトケープ
子供達の夢を壊すなんて許せない!
でも、いきなり困った事になったわね…
ともかく、まずは思い留まらせてわたし達が何とかしなきゃ!

【WIZ】
説得は仲間がやってくれるだろうから、わたしは会場ナレーションを行い、上手くトーク能力で誘導してロソコちゃんを【言いくるめ】られないかやってみるね。
この手のヒーローショーのナレーションはある程度理解してるつもりだし、ここから猟兵が本当にやってくるかもしれないサプライズを【コミュ力】を生かして子供達に伝えて希望を残すわ。
…大丈夫、信じる心があればヒーローは本当に来てくれるわ!
だから今こそ!大きな声で、呼んであげて!

ふふっ、本当はこう言うの一度やってみたかったのよね




「――ちょっと待ったァッ!!」

 場外から響くは、少女の高らかな声。
 広場内に居た誰もが動きを止め、周囲を振り返る。
「な、何者だ!? これ以上猟兵が現れるなんて流石にそんなことは――どあああああーっ!?」
「そんなことも、あるのですッ!!」
 威勢よく踏ん反り返ったコスプレ撮影怪人アングラーローを蹴り倒しながら轢いたのは――馬型ロボット『名馬サンセットジャスティス』に跨った、暴れん坊プリンセスたる御堂・茜(ジャスティスモンスター・f05315)だ!
 まさかステージに新たに乱入したのが、まさか馬を従えた少女だとは! 流石の子供たちもお口をあんぐり。
 されど正義に燃える暴れん坊プリンセスにとっては、そんな視線もどこ吹く風。
 麻呂眉をきりりっと精一杯に釣り上げて、茜はアングラーローを見据える。
「お、おまっ……せ、正義のヒーローが、怪人を轢き倒しても良いというのかァ!!」
「ご安心ください! わたくしの正義の安全運転で走らせておりますので何も問題はありません!」
「もはや正義という名の理不尽に等しいのでは!?」
 夢を壊された子供たちにとっては『理不尽』という言葉は「お前が言うな」案件である。
 茜はぷくーっと頬を膨らませながらも、未だステージ上で腰を抜かしている役者たちへ目を向ける。
「今のうちに、お逃げ下さい!」
「は……はい。ありがとうございます!」
「不甲斐ない僕たちの代わりに……子供たちを、宜しくお願いします!」
 茜の言葉に、役者たちはようやく我に返り、立ち上がりながら舞台袖へと消えていく。
 去り際に、声援を送る役者も居た。『自分達が夢を壊してしまった』という負い目からだろう。
(「――不甲斐ない、だなんて。
 理不尽に襲われたあなた方が、罪の意識を感じることなどありません……!」)
 サンセットジャスティスの手綱を持つ手が、小さく震える。
 それでも、茜は真っ直ぐに、理屈が苦手なりに、想いをロソコに伝えたのだ。
「ロソコ様、よくぞ立ち上がって下さいました!」
「! は、はいっ!!」
「正義ある貴女へ、大切なお仕事を任せます。
 ショーには欠かせない要素――知識を活かした解説ですッ!」
「あ、あたしが、解説役、に……?」
 そんな大役、担ってしまっても良いものかと、茜は純粋に慌てふためく。
 それでも、憧れの猟兵からの願いを思わず最後まで聞いてしまう。
「ええ、そうです! ヒーローを愛する貴女なら、きっと適任ですよ!
 どうかわたくし達を応援してください――その声援が、猟兵の力になりますッ!」
 茜は騎乗したまま、ジャスティスミドウセイバーを振るう。
 臨戦態勢は充分。あとはヒーロー達の勢揃いを待つばかり!

「――ヒーローをお呼びかい? そういうことなら! 可愛いボクの出番ってわけだ!」

 高らかに、響き渡る威勢のよい声。
 鮮やかな青の髪を翻し、キマイラの子供たちの前に、蒼焔・赫煌(ブレイズオブヒロイック・f00749)が舞い降りた。
「とゆーわけで、ちょっと待ったー! そこの赤い子と、何よりも怪人たち!!」
「は、はいーっ!!」
 赫煌からの制止に、思わずビシッと姿勢を正すロソコ。
 おそらく、本物の猟兵からのアドバイスに対する礼儀だろう。
 ぴんっと背筋を伸ばして赫煌からの言葉を固唾を呑んで待っていた。
「正義の味方とは!」
「せ、せいぎの、みかたとは!」
「守るべき者のために身を削ることを厭わぬ者のことを言う!
 ――ロソコちゃん、キミにその【勇気】と【覚悟】はあるかい?」
「勇気と……覚悟。あたし、あたしは――」
 確かに、子供たちの為ならばこの身を張ろうとしていた。
 けれど、数々の戦いに挑んだ猟兵たちに比べたら、それは未だ生半可な覚悟に過ぎないかもしれない。
 思わず、言葉を失った。トレードマークの白いマフラーが、風になびかず力なく垂れる。

 けれど、ぽん、と。
 赫煌はロソコの頭を軽く撫でて、微笑んだ。

「そう。怖いし、痛い想いもする。現にボクも、このガシャドクロにめっちゃ血を吸われてるしね!」
 ――でも、ちょっと痛いどころじゃ済まないのが正義の味方さ。
 からっとした笑顔のまま、赫煌は笑ってみせた。
 それでも彼女は戦う。七妖鎧装をまといながら、戦い続ける。
 ――それこそが、赫煌にとっての『誰かを守る術』だからこそ。
「もし、それでもヒーロー目指したいなら、今日のとこはボクらに譲っておくれよ!
 先輩ヒーローの背中……ばっちり見せちゃうぜ!」

「それは……そんな、そんな!
 猟兵の皆さんに護ってもらってばかりで、あたしは、こんな、ちっぽけで……」
 これから、どうすればいいのか。
 段々と、増えていく子供達からの声援。
 そして、目の当たりにされる『猟兵の力』。
 今まで伝えられた猟兵たちの言葉の通り。自分の想いは、間違っていない筈だ。
 けれど、ダンボール製の、弱い、弱い、この剣では、誰も守れやしない。
 ならば自分にできることは? ――猟兵たちが怪人に立ち向かう中、少女はひとり、葛藤する。

 ――そんな彼女の視界に、新たに舞い込んできたのは、見覚えのある電子ノイズ。
 電脳空間から新たに現れたのは、アリルティリア・アリルアノン(バーチャル魔法少女アリルちゃん・f00639)だ。
「じゃーん! ネガティブハートにスマイル配信! バーチャル魔法少女アリルちゃん参上だよっ」
 語尾のハートマークも欠かさずに、バーチャル魔法少女(ウィッチ)たるアリルティリアはキュートに舞い降りる。
 自信を失った――まさしくネガティブハートなロソコを見つめると、アリルは「むむっ」と目を瞬かせるも――笑顔は、欠かさずに。
「ロソコちゃん! ロソコちゃんが怪人どもの相手をしてくれたお陰で、アリル達は間に合いました! ありがとう!」
 ぺこっと頭を下げるアリルティリア。
 その感謝に、ロソコもまたお返しで深々と頭を下げて。
「そ、そんな……! あ、あたしは、確かに見て見ぬふりができなかったけど――それは無茶な行動で……」
「でも! ロソコちゃんのその『想い』は正しいものです!
 子供たちを泣かせてしまう、悪を許せない――その『正義の想い』は、此処に居る猟兵の皆さんが信じています!」

 アリルティリアはそう両手を広げてみせた。
 それも、そのはず。
 この場に集う猟兵たちは皆、『ロソコの行動や想いそのもの』を否定している者など居ないのだ。
 寧ろ――猟兵たちは知っていた。
 蛮勇で動いてしまった、“ヒーロー気取り”たる彼女の本質である、『正義感』を。

「――――……ぐすっ、う、うぅっ……!!」

 思わず、ロソコは涙を流した。ずっと、ずっと堪えていた涙だ。
 怪人に立ち向かう恐怖。自分がもし敗けてしまった時、子供たちに危害が加えられてしまう責任感。
 猟兵でないのにヒーローを偽る、その罪悪感。
 全て、全てが、本当はのしかかっていた。ほろり、ほろり、溢れる大粒の涙。
 ――――その涙を掬ったのは、ロソコよりも何倍も小さな、桃色の髪の妖精だった。

「子供たちが泣いている――と思ったら。ロソコお姉さん。貴女が泣いてしまうなんて」

 大丈夫ですよ、と。
 涙で塗れたロソコの頬へ、エスチーカ・アムグラド(Espada lilia・f00890)は両手で触れる。
「……でもでも、チーカは泣いてなんていませんよ? ロソコお姉さん、皆さん、さて、なんででしょうっ!」
「ぐすっ……ひっくっ……な、なんで……?」
「正解はー……猟兵が来たからですっ!」
 にぱっ! と、明るい笑顔を、エスチーカは目の前で咲かせてみせた。
 ロソコも途端に目をまあるくさせて、瞬きを、二度、三度。
 その明るい笑顔に、思わず涙も引っ込んでしまったことだろう。
 けれどエスチーカはお構いなしに、鼓舞するよう言葉を続けた。
「ロソコお姉さんも、皆さんも――チーカや、チーカたちが本当の猟兵だって、もう信じてますよね?
 どうか、どうか泣かないでください。チーカは、お裾分けしちゃいます。猟兵(ヒーロー)の勇気を!」
 ――どうか、受け取ってください!
 ふわり、ふわり。羽をはためかせ、観客席を舞うチーカは、未だ泣き続ける子供たちを鼓舞し続けた。
 次第に更に減っていく、子供の泣き声。
 声援は、普段のヒーローショーよりも、まだ少ないかもしれない。
 けれど、確かに猟兵たちへの子供たちの声は、届いている筈だ。

「がんばれ! いぇーがー!」
「たすけてー!!」
「まけないでー!!」

「少女よ! 強敵を前によくぞ名乗りあげたね!」
 高らかに、響き渡る少女の声。
 この声もまた、反対側の高層ビル屋上から届いたものだ。
 逆光を背に、「とうっ!」と声をあげて、少女は高らかに飛び込む。
 ――真紅のマントと青きマフラーを翻し、華麗に着地した。彼女の名は、禮紫亜・慧恋(スーパーブルマカイザー・f02544)。
 旧式ブルマ型パワードスーツに身を包みながらも、その引き締まった肉体は少年少女の憧れとなろう。
「だが……蛮勇と勇気は違う!
 相手の力量を推し量り、最適な戦略を取ることも、またヒーローの戦い方さ!」
「蛮勇と、勇気……そっか。やっぱり猟兵の皆さんは、しっかりと相手を分析した上で、戦いに挑むのね」
 涙をぎゅぎゅっと拭いながら、ようやく前向きに戻ったロソコはメモを取り始める。
 慧恋はうんうん、と深々頷いてみせた。
 正義のヒーローを堂々と見せた慧恋からの真っ直ぐな説得は、効果的であったことだろう。
 その間にも、慧恋は脳内の演算機能を展開し、様々な計算を始める――。
「そしてここからは猟兵の……おっと、名乗り忘れてた」
 こほん、と小さく咳払いをひとつ。決めポーズは、ド派手に、高らかに!
「『輝くブルマは正義の印!スーパーブルマカイザー推参!』――ってな訳でこのスーパーブルマカイザーの出番さ!」
 名乗りの直後、慧恋の背後でドカン! と響く轟音。
 フルバースト・マキシマムによる圧倒的火力で名乗りを演出しつつ、特設ステージの怪人たちを狙い撃ち!
「う、うおおおっ!? 危ない!?」
 しかし、間一髪で避けたアングラーロー。だがこのままラクにはいられない。
 なんたって、ここから更に猟兵たちの反撃が待ち受けているのだから――!!

「――危ない、ってだけで終わりだと思っていましたか? ふふふ」

 そう。この場に駆けつけた猟兵は、まだまだ存在するのだ。
「な、何者だ!? この声はいったい何処から――ぐぐっ!? いつの間にぃ!?!」
 喩えば、こうしてアングラーローの背後を取って薙刀を構える――フィン・クランケット(蜜柑エルフ・f00295)もその一人。
「ロソコちゃん、皆、お待たせしました!」

 \ましたー……!/
 \したー……!/
 \たー……!/

 ぴこぴこっとアホ毛を軽やかに揺らしながら、フィンはエコーをかけて仲間たちへ呼びかける。
 そして薙刀を構え、アングラーローを捕獲しながらキリッと身構えて、ヒーローらしく名乗りを上げる!
「呼ばれて参上、イェーガー蜜柑、フィンです!」
「俺、蜜柑にやられてんの……? ちょ、まじで離して、ヒーローとはいえ正々堂々と戦って、ちょっと、あの、ぐえっ、エッ」
 薙刀の柄で首を締められ、さっそくやられてるアングラーロー。
 ちょっとお子様の教育上宜しくないかもなので、一旦離してあげた。
 げほっげほっと咳き込む怪人。この数分でこんなにも形勢逆転するとはすごいもんだね!

「まったく、営業妨害にも困ったものね……」
 ゆらり、ふらり。豊かな髪を揺らし、アンニュイな声を漏らすは――ラニューイ・エタンスラント(ダンピールの聖者・f05748)。
 否、違う。此度、彼女はふたたび『あの衣装』を身にまとっていた。
 それは――、
「あっ、あっ!! もしかして、あなたは――! かつてこのキマイラフューチャーの遊園地で現れたという伝説の、あの!!」
 レッドでもない、ピンクでもない。
 彼女の髪の色を示す、鮮やかなその色の名は――

 ――――猟兵戦隊イェーガーシックス・イェーガーマゼンタ!!
(※山野芋子MSからの許諾有。ありがとうございます!!!!)

「……何か、変なの混じってなかった?」
「気にしないでください! それより、その……本物のイェーガーシックスと出逢えるなんて、あたし感激です!!」
 客席側から思わず握手を求めるロソコ。気分はもうミーハーなファンのそれ。
 その勢いに乗っかって恐る恐る握手に付き合うラニューイであれど、今はそんな場合ではないと心に留めている。
 故に、真剣に説得をせねば、と。握手した手をそのまま握って、間近な目線でラニューイは語り始めた。
「あなたの勇気、素晴らしいわ。でも、無謀なことはしちゃ駄目よ」
「……無謀。やっぱり、無謀に、見えますか?」
「そうね。他の猟兵にも言われたでしょうけれど、その剣じゃすぐにゲームオーバーね。
 死んじゃったら、ご両親や友達が悲しむでしょう?」
 ――その勇気……私達に、預けてくれるかしら?
 真摯に向けるその瞳に、ロソコは暫し逡巡しながらも――彼女を見つめ、深々と頷いたのだった。

 ステージ上に転がる、マイクを一つ。
 手にとったのは、アヤカ・ホワイトケープ(ロストイノセント・f00740)だ。
「みんなー! こうして、猟兵の皆さんが集結したわよ!!
 彼等なら、キマイラフューチャーの未来を救ってくれるわ。『新生・第六戦隊イェーガーズ』の誕生よ!」
 会場ナレーションを行うアヤカは、持ち前のトーク力を活かし、会場の子供たちへと呼びかける。
 ヒーローショーでお馴染みの司会のお姉さん枠。その存在に安心したキマイラの子供たちは、一斉に笑顔で拍手を送った。

「やったー! ぼくたち、しんじてたんだ!!」
「ありがとう! いぇーがー!」
「おねーさんもさらわれないようきをつけてねー!!」

 まるで『お約束』を知ってるかのような子供――大きな子供? の声に苦笑いしつつも、アヤカはマイクを手に、司会進行を努め始めた。
「……大丈夫、信じる心があればヒーローは助けてくれるわ。
 だからみんなも一緒に、応援しましょう! 大好きなヒーローの名前を、呼んであげて!」
 無邪気な子供たちの笑顔を見て、アヤカは思わず頬を緩ませた。
 ――ふふっ、本当はこう言うの、一度やってみたかったのよね。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アニカ・エドフェルト


その戦い、ちょっと待った、ですっ
って言いながら、空から2人の間に、舞い降りて、
ロソコさんに、話しかけ、ます。

猟兵のこと、大好き、なんですね。
そんなに思っていただいて、ありがとう、ございます。
あなたの想い、しっかりと、受け止め、ました。
あの怪人は、わたしたちに、まかせて、くださいっ

それに、あなたには大事なお仕事が、あります。
泣いている、怖がっている、あの子たちの近くで、
元気づけてあげて、くださいっ

怪人さんが、攻撃してきたところを、ロソコさんを抱えて(〈怪力〉使用)、翼の力で飛んで、回避できると、いいな、なんて。
そのまま、子供たちの近くで、降ろしてあげられるといいな、なんて思い、ます。



「その戦い、ちょっと待った、ですっ」
 控えめな声ながらも、ロソコと怪人を阻むように舞い降りたのは――淡い色合いをした小さな天使。
 アニカ・エドフェルト(小さな小さな拳闘士見習い・f04762)はまあるいその瞳をロソコへ向けて、ぽつり、ぽつりと必死に話しかけた。
「猟兵のこと、大好き、なんですね。そんなに思っていただいて、ありがとう、ございます」
「う、ううん! あたしこそ、いつも夢を抱かせてくれて――本当に、ありがとうございます!」
 お互いに、ぺこり、ぺこりとお辞儀する。傍から見れば、少しばかり異様な光景かもしれない。
 けれど、彼女等にとっては真剣そのもの。アニカは顔を上げたのち、まっすぐにロソコを見つめて、ふたたび訊ねる。
「あなたの想い、しっかりと、受け止め、ました。あの怪人は、わたしたちに、まかせて、くださいっ」
「……本当に、いいの? あなたのような、小さな子や――いきなりこの世界にやってきた、あの人達に任せても」
 一対一でのやり取りの中、思わずロソコは疑問を新たに投げかけた。
 憧れている猟兵といえど、自分よりも小さな彼女や、新たにやってきた猟兵たちに全てを任せるなど――正義感が、黙っておけないらしい。
 それでもアニカは、常の柔らかな笑みを絶やさぬまま深く頷く。
「あなたには大事なお仕事が、あります。泣いている、怖がっている、あの子たちの近くで、元気づけてあげて、くださいっ」

 ――それは、前線で戦うアニカ達には、できないことだから。

 故に、正義感の強いロソコに任せたいのだと、アニカは告げた。
 その言葉に、ロソコは幾ばくか目を揺らし――暫しの逡巡の後に、首を縦に振った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アレクシス・アルトマイア

メイドの衣装でも、従者の格好でも、
イェーガーはヒーローなのだと教えて差し上げましょう。

ごめんなさい、遅れてしまって……
と、敵が手を出そうとしたら牽制の銃弾を放ちつつ登場しましょうか

みんなの心が、まだイェーガーを求めてくれるなら……
呼んでください。私達を。

必ず、その声に応えます

ちょっと演出過多にスパークとか爆風とか用意しましょう。
裏方仕事は得意技ですっ

BGMも流しても良いですね。
演出というものは大事なものですよ。

いけませんよ。
イェーガーは助け合いです。
一人で立ち向かっては危険です。

でも、頑張りましたね、ロソコちゃん
貴女の勇気、私達が受け取りました

そういう感じに、たしなめつつも褒めてあげましょう


富嶽・隼刀


富嶽・隼刀は猟兵であること以外は普通の16歳と変わらない。
臆病なのと左眼を通る傷痕を好きなゲームのキャラのコスプレ(ゴテゴテな軍服と顔の左半分を覆う眼帯)となりきりで隠している。

「待て、勇敢なる少女よ」
そう言って富嶽はロソコを止める。
「その行動力は買うが勇気と無謀は違う。ここは我等猟兵に任せてもらおう」
日本刀(サムライブレイド)を抜いて怪人に向けながら相手を睨む(POWで判定)

(こ、怖いけど……この人が死ぬのを知ってて放っておくなんて出来ないよ……)


リーネ・メルトハート

(……賢さ、は。 言葉は、出せないから。行動で示す。)
(怪人が高笑いしてる隙、その一瞬なら。 示せるはず。)
(【首狩り兎の憂鬱】はその一瞬を、示してくれる。)
(刃が届くなら、その首の傍に、威嚇のための刃を添えることが、できるはず。)
(身につけた大きな赤いマフラーは、昔のヒーローを思い起こさせる――……かもしれない。)
(貴方が動かなくても――私は、私達は、いる。 私達が、動く。)
(行動で示すのは一瞬。 一瞬でいい。 子どもたちの前で首をはねるわけにもいかない。 子どもたちの前で負けるわけにも行かない。)
(一瞬、怪人とロソコちゃんが止まってくれたら。 すぐに距離を取る。)



「ええい、猟兵め。さっきから邪魔ばかり……! っていうか、置いてけぼり状態なんだが!?」
 ぷすんぷすん、とカメラ頭からふたたび煙を燻らせて、アングラーローは憤慨する。
 もうこうなれば強硬手段だ! と、ロソコへとレンズを向ける――。
「!!」
 思わずダンボール製の脆い剣を構えるロソコ。猟兵たちが集結し始めているとはいえ、遠距離からの光線を一緒に浴びてしまえば元も子もない。

 ――だが、そのとき。
 広場内に、銃声が響いた。
「ぐぬゥっ!? さ、撮影の邪魔をするとは――次は誰だ!?」
 四肢にそれぞれ銃弾を受けたアングラーローは、思わず頭のカメラから手を離す。
 銃弾が放たれた方向を睨みつけ、新たな猟兵の存在を警戒した。

「ごめんなさい、遅れてしまって……」
 二挺の拳銃をそれぞれの手に備えたアレクシス・アルトマイア(夜天煌路・f02039)は、ロソコを護るように彼女の傍らへ。
「――メイド、さん?」
 アレクシスの身に纏うモノトーンの従者服を見て、ロソコは率直な感想をぽつり漏らす。
 レースで目元を隠した、謎めく彼女。されど、アレクシスはロソコへ優しげな微笑みを送る。
「素敵でしょう? この服、オーダーメイドでお気に入りなんです。
 どんな衣装でも、イェーガーはヒーローなんですよ」
 そう語りかけ、アレクシスは特設ステージへと視線を促す。

 ロソコも釣られて目を遣れば――自分を、子供たちを、必死に守ろうとする沢山の猟兵たちの背中が確かに在った。
 誰もが、頼もしく映る。
 真っ白なパレットに、沢山の絵の具を並べたように――全ての“色”が際立って見える。

「――勇敢なる少女よ」
 そして、新たに添えられる色が、またひとつ。

 背後から呼びかけられた声に振り返れば、其処に佇んでいたのは厳かな軍服に身を包んだ、一人の少年だった。
 彼の名を富嶽・隼刀(本当の自分を隠して・f13192)。
 左半分を眼帯で覆い、“本当の自分を隠す”彼は、静かな声音のままロソコへと呼びかけた。
「その行動力は買うが、勇気と無謀は違う。ここは我等猟兵に任せてもらおう」
「……あなた達を、信じても、いいの?」
 隼刀の右眼をじっと、見つめながら。ロソコは唾を飲み込み、問いかける。
 その言葉に、隼刀は言葉として返事を述べることはしなかった。
 ただ、ひとつ。
 携えた日本刀を引き抜きながら、その眼力を以てアングラーローを睥睨した。
 鋭い眼差しによる『圧』を感じ、「な、なぬゥ!?」とアングラーローは腰を抜かす。
(「こ、怖いけど……この人が死ぬのを知ってて、放っておくなんて出来ないよ……」)
 内心の恐怖は勿論あれど、それでも隼刀は戦うことを決意したのだ。
 臆病者なりに、自分が誰かを救うことができるのならば――。

「お、おのれ! さっきから格好いい演出ばかりするんじゃない! そういう趣旨とはいえ!!」
「いえ、でも本当にそういう趣旨ですから……」
「ああ、諦めた方が吉だ」
 ようやく立ち上がったアングラーローが必死にツッコむものの、アレクシスや隼刀からの辛辣な言葉が返ってくるばかり。
 さすがの怪人もグサっとくる。
 だが、まだ諦めた訳ではない様子で……ふふ、と何かを企むような笑みを漏らす。

「しかし……そんなにハードルを上げてもいいのか?
 お前たち猟兵はいざ敗北すれば、この子供たちの前で恥を晒すことになるんだぞ!」

 アングラーローは、そう大声を張り上げた。
 遠くの観客席にも居る、子供たちにも聞こえるように。
 奴は子供たちの不安を煽ることで、怪人側が有利な空気になるように空気を入れ替え始めたのだ。
「下手をすれば、このアングラーローより子供たちを泣かせる――いや、一生の傷を負わせることになるかもしれないな!
 いいや、恥を晒したくないのなら良いんだぞ?
 この手でベストな衣装を調達し、素晴らしい撮影をすれば万事解決なのだからな!
 フフ……フフフ……フーッハッハッハッハ痛ッァ!?!?!!」

 突如、高笑いし始めたアングラーローが首を手でおさえて苦しみ始めた。
「――…………」
 首を狩る、斬撃――その軌跡を目視できたのは、この場ではかろうじて猟兵だけ。
 彼等が振り返ったその先、真っ先に目に入ったのは、

 ――――色鮮やかな、赤いマフラー。

 大きくたなびく長い裾は、少年達が夢見たヒーローの理想像とも重なることだろう。
 猟兵たちの視線に釣られ、子供達も振り返った。
 先ほどのアングラーローの言葉に揺らいでいたであろう子供達も、新たな猟兵の登場に夢中になる。
 赤いマフラーの猟兵、リーネ・メルトハート(首狩りスノーホワイト・f14460)は、観客席から特設ステージへと駆け抜ける最中、ロソコへとアイコンタクトをとった。

 貴方が動かなくても――私は、私達は、いる。
 私達が、動く。

 首狩り兎の真っ赤な瞳は黙したまま、確かな意思を示していた。

「頑張りましたね、ロソコちゃん。貴女の勇気、私達が受け取りました」
 アレクシスは特設ステージへ向かう直前、ロソコへそう声を掛ける。
「イェーガーは助け合い。だから、貴女もどうか私達を……子供達を、助けてあげてください」

 ――貴女達の想いを糧に、私達は戦います。

 ふわり、豊かなスカートを揺らしてステージへ赴くアレクシスの姿は、テレビ越しのヒロインより華麗に映ったことだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

六六六・たかし


ヒーローに憧れるのはいい、正義や平和を愛するのもいい。
だが、ヒーローになろうというのならロソコお前には力が足りていない。
力なき正義は悪に打ちのめされるだけだ。
だから、ここは俺に任せろ。

変…身…!!

【POW】
「ざしきわらし」とユーベルコード『デビルチェンジ』を使用して変身。
俺の「存在感」「パフォーマンス」を利用して力を魅せる。
俺の愛用武器「たかしブレード」を持ってポーズでも決めれば
子供たちも喜ぶかもしれんな。
さて、ここからはかっこ悪く悪に負けることは許されない。
なぜなら俺はたかしだから。


秋稲・霖
おーっと、そこの嬢ちゃんちょっと待ったー!!
あんた、すっげえかっけーな!いかにも悪いヤツ倒しそうなヒーロー的な?
けど、ヒーローには戦略的撤退ってヤツも大事っしょ

悪いんだけど、本物の怪人が来ちゃったからには…あんたを戦わせる訳にはいかねぇんだよなぁ

ってわけで俺の力を見せてやるぜ!
式神に炎を纏わせて…これ当たるとめっちゃ熱いし怪人でもギブ…うわっ手に当たった熱っ

き、気を取り直して
やっぱこのくらい出来るヤツが怪人と戦わなきゃな?
だから…俺らの戦い、見守っててほしい

本物の猟兵ならここにいるぜ!あんたのことも、ここにいる未来のヒーローの夢も笑顔も、まとめて守ってやるからさ!

※他の方との絡み歓迎です




「なぁ、あんた。すっげえかっけーな! いかにも悪いヤツ倒しそうなヒーロー的な?
 その剣とかも……自分で作ったんだろ?」
 よくできてんなぁ、とロソコへ気さくに声を掛けたのは、秋稲・霖(ペトリコール・f00119)だ。
 チャラそうにへらりと笑みを含む霖へ、少女は目をぱちくりと瞬かせながらもお辞儀をひとつ。
「そ、そうなの。ありあわせで作ったダンボールだけど……悪いヤツを倒したい気持ちは、猟兵と変わらないわ!」
「元気有り余ってんなぁ! けど、ヒーローには戦略的撤退ってヤツも大事っしょ」
「戦略的、撤退……?」
「突っ走って玉砕しちゃあ、元も子もねぇからな。
 悪いんだけど、本物の怪人が来ちゃったからには……あんたを戦わせる訳にはいかねぇんだ」
 問いかけるロソコへ頷いてみせながら、霖は彼女を護るように前へと出でた。
 ゆるり、ゆわゆわ。緩やかに揺れる、狐の尻尾。
「そ、それでも……!」
 それでも尚、駆け寄ろうとする少女を、霖は利き腕を広げて制止した。
 彼の掌から広げられたのは、幾つもの紙人形――陰陽師のしもべたる、“式神”だ。
「まぁ、焦んなって。――俺の力を、見せてやるぜ!」
 広げられた紙人形たちに、纏う炎は――桔梗の花にも似た青紫の彩。
 祓い、清める、邪気の炎。今にも燃え広がりそうな程に揺らめくその炎は、式神としての形を成しながら――、
「……なんか燃え移ってない?」
「うわっ手に当たった熱っ!? き、気を取り直して――全部綺麗に、燃やしてちょーだい!」
 ぺしぺしっと手をはたいて消火し終えたあと、霖はふたたび澄まし顔で、式神たちを解き放った。
 鳥のように宙を翔び、アングラーローや配下たちへと飛びかかる式神たち。
 青紫色の炎は怪人たちの身体に張り付いた直後、音を立てて燃え盛る――!!
「ぐあああっ!? あつ、熱、あっつ!?」
「うっし、大成功! やっぱこのくらい出来るヤツが、怪人と戦わなきゃな?
 ――だから……俺らの戦い、見守っててほしい」
 頼めるか? と霖はロソコへ振り返る。
 その返答に、声を出すことも、頷くこともできず――暫く俯いた。

 そんな彼女の身体を軽やかに飛び越え、特設ステージの前へと着地した新たな猟兵が、一人。
 暗いフードを目深に被った少年は、その奥から鋭い瞳を未熟な少女へと向けて。
 静かに、語り始めた。
「ヒーローに憧れるのはいい、正義や平和を愛するのもいい。
 だが、ヒーローになろうというのなら――ロソコ、お前には力が足りていない」
「……えっ。力……あたしは、やっぱり戦いたくて、」
「力なき正義は、悪に打ちのめされるだけだ」
 必死に漏らした反論にも、彼はぴしゃりと一言で跳ね除けた。

 その言葉でロソコはぴたりと動きを止め、
 握り続けていたダンボール製の剣を――ぱた、と力なく落とした。

 ――――俺に、任せろと、言わんばかりに。
 少年、六六六・たかし(悪魔の数字・f04492)は鋭いその目で語り、特設ステージに立つ怪人たちを見据える。

「変……身……!!」

 その詠唱は、余りに皮肉なものだった。
 本来ならばヒーローらしいその台詞も、たかしが紡げば『悪魔』へと成り果てる。
 悪魔の数字を刻みし、たかし自身の業。
 それでも尚、少年は、子供たちの前でもデビルズナンバーの力を用いて――、
 姿を変えたのは、愛らしいデビルズナンバー『ざしきわらし』の姿だった。
「わあっ、女の子がきた!」
「だいじょうぶ!? がんばってー!」
 人形のように愛らしい少女の見目に、観客席の子供たちは口々に声援を送る。
 たかしブレードを携え、壇上でポーズを決めたなら、女の子を中心に拍手がいっぱい!
「お、おのれぇ! こんなに可愛い子が……女の子のハズがない!?
 コスプレ意欲が湧いてくるわぁ!!」
 ざしきわらしの姿に見惚れたらしい、アングラーローが何やら叫んでいる。
 だが、たかしにとってはそれは重要でなかった。
 この場で格好悪く敗けることは、許されないのだから。

 ――それは、何故か?
 ――――それは、たかしがたかしで在るからに、違いない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ウェンディ・ロックビル

ね。どうしてヒーローは強いのか、知ってる?
才能?努力?違うなぁ。……ふふ、信念?ちょっと惜しいかも。
……それはね?皆の応援!

あー!いま馬鹿にしたでしょ!ほんとなんだぜ!嘘だと思うなら、僕と一緒に言ってみよ?「がんばれー!」って!
……ほらっ!みんな、カッコイイ顔してるでしょ?

みんなが応援してくれるから、ヒーローは頑張れるんだよ。

【手を繋ぐ】【パフォーマンス】でロソコちゃんやこどもたち(物理的にも精神的にも)手を取って一緒にみんなの応援をするよ。
「生まれながらの光」で、猟兵たちの傷だけじゃなく、観衆のみんなの心的疲労を取り除けたらもっといいかな。UCの作用で疲労が来るけど、笑顔は絶対絶やさずに。



 ――――みんなが、戦っている。
 ――猟兵たちが、必死に戦っている。
 それなのに、あたしは。

 手製のダンボール剣を、その場に落としたばかりのロソコは俯いたまま、葛藤し続けていた。
 自分の無力さを痛感しながら、今もステージに向かって戦う猟兵たちが何よりも眩しくて。
「その勇気は蛮勇だ」と嗜めてくれた者も居た、新たな役割を示してくれた者も居た。
 ――自分の勇気を、湛えてくれた者も、居た。

「……あたしは、あたしはどうすれば、いいの。ヒーローってなんなの」
 目の前に怪人が現れ、子供達が泣き始めた瞬間から、身体が勝手に動き出していた。
 自分は、間違っていたのか? そう、悩み続けていたとき。

 ――――俯く自分の目の前に、差し出されたのは、ボロボロのダンボールの剣。

「はい、落とし物。大切なものでしょ?」
 どうか、大事に持ってて。
 と新たに投げかけられた優しい声に、思わずロソコは剣の柄を握った。
 ふと、見上げれば。そこには立派な角を生やしたキマイラの少女が、鮮やかな金の片目を輝かせて見つめてくれていた。
「ね。どうしてヒーローは強いのか、知ってる?」
「ヒーローが……どうして強いか?
 それは――」
 思わず、ロソコは考えあぐねる。
 ううん、と何度も、何度も唸っても、キマイラの少女は何も言わずに答えを待ち続けていた。
「……生まれた時からの才能や、運命?」
「うーん、そっか。違うなぁ……」
「じゃ、じゃあ、何なの?」
「ならヒント!」
 ぴん、と人差し指を立て、キマイラの少女は悪戯っぽく笑ってみせた。
「“今までロソコちゃんが出逢ったヒーローが、みんな持ってるもの”」
「……ヒーローとしての、気持ち?」
「気持ち、信念――ふふ、ちょっと惜しいかも」
 正解は……と、ちょっぴり勿体ぶった様子で、観客席の最前列に身を乗り出して、

 得意のダンスでくるりとターンを決めて――ウェンディ・ロックビル(能ある馴鹿は脚を隠す・f02706)は両手を広げてアンサーを告げた。

「……それはね? 皆の応援!」

 ぽかん、と口を開けるロソコ。そんな彼女に「あー! いま馬鹿にしたでしょ!」とウェンディは明るい声で反論する。
「ほんとなんだぜ! 嘘だと思うなら、僕と一緒に言ってみよ?」
「な、何を……?」
「もちろん、応援だよ。『がんばれー!』って!」
 縮こまってしまったロソコの背をそっと押して、「見て!」と促してみせる。

 ――今にも聞こえてくる。

「がんばれー! いぇーがー!!」
「まけないで! たすけてー!!」

 戦うヒーローだけじゃない、子供達もまた、必死に彼等を応援し、後押ししている。
 その声援が、ヒーローの力になるのだと。

 見惚れているその間に、ぎゅ、とロソコの手を繋いでくれたのはウェンディ。
 おいで、と彼女が手招きすれば、子供達が寄ってきた。
 繋いだその手と手を伝わって、沢山の想いが、一体となっていく。
「――みんな、応援しよう! 僕たちと一緒に、猟兵のみんなにエールを送るんだ!」

 特設ステージや、そのステージと観客席の間で子供達を護る猟兵たちへ。
 この場に集ってくれた、多くの猟兵たちへと、想いを届ける為に。
 すぅ、と大きく息を吸ったのは、ロソコだけではない、子供達も、被害を被った役者達も、みな、皆が、猟兵達の勝利を祈っていた。


「イェーガー!! がんばれぇぇぇぇーーーーー!!!!」


 ――――その高らかな声は、ウェンディの聖なる光を以て形となる。
 きらびやかな光が、観客席から降り注ぎ――――傷つく猟兵達へと癒やしをもたらしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『オリジナル必殺技!』

POW   :    力を生かしたオリジナル必殺技を披露する

SPD   :    速さを生かしたオリジナル必殺技を披露する

WIZ   :    魔法的なオリジナル必殺技を披露する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


※『募集期間について』

【2/25 8:30以降】に募集開始いたします。
 導入OPはそれまでにご用意させて頂きますので、もう暫しお待ちくださいませ。

(上記に指定した日時以前に送って下さったプレイングは、
 一律お返しさせて頂きます。
 ご了承のほど、お願い申し上げます。)
●BATTLE2
 猟兵たちの華麗な登場、そして活躍もあり、特設ステージは着実に活気を取り戻しつつあった。

「みんな、イェーガーのピンチよ! 一緒に応援しましょう!」
 先ほどまでステージに乱入しようとしていたロソコが、観客席の子供たちへ大声で呼びかけたなら。
「イェーガー! がんばってー!! まけないでー!!」
「あんな怪人、やっつけちゃえ!!」

 その呼び声に応え、ヒーローの存在を信じる子供たちが、キラキラした瞳を向けながら声援を送り続ける。
 精一杯に、高らかに、声を上げて。
 少年少女たちの声は、きっと特設ステージの猟兵たちにも届いていることだろう。

 場内は既に『猟兵コール』一色。
 しかし、そんな空気を受け入れない、許せない者が一人。
 ――――そう。このステージを脅かした元凶たる、コスプレ撮影怪人アングラーローに他ならない。
「ええい、このステージをコスプレ会場にするつもりが!
 まさかとんだ邪魔者が入るとは……! 許せん、許せんぞ!!」
 ぷるぷる、身体を震わせながら、カメラ頭のレンズを回し、ピントを合わせる。
 その先は――、

「此処が、此処こそが、コスプレ会場だーーーーーーー!!」

 その絶叫と共に放たれたのは、触れたもの全てをコスプレ化させる光線だ。
 しかし、猟兵たちはその叫びに乗じて防御や回避の態勢を整え、各々の戦法で身を躱していく。
 その軽やかな身のこなしに、アングラーローは地団駄を踏んで悔しがった。
「おのれ、おのれ! お前達に最高の衣装を提供するつもりだったものを!

 ――まあいい。お前達、かかれぇい!!」

 アングラーローの声に従い、「イィー!」と声を上げ、特設ステージから飛びかかる異形頭の戦闘員たち。
 いずれも、オブリビオンだ。攻撃方法は殴る、蹴るなど、安直なものばかり。
 しかし、彼等の暴走であれど、放っておけば子供たちが被害を被ることは間違いない。

 猟兵たちは、アングラーローに辿り着く前に、この戦闘員たちを蹴散らさねばならないのだ。
 勿論、この場で苦戦を強いられたなら空気は悪くなる。
 ただ戦うだけでは、他の猟兵でもできる。一番は『子供たちが憧れるように格好よく』戦うことだ。

 故に必要なのが――、ユーベルコードによる『必殺技』を決めること!

 格好良く、華麗に技を決め、戦闘員たちを打ち倒すことで、子供たちの声援もますます増えることだろう。
 そして、怪人アングラーローも焦りを見せるに違いない――!

「イェーガー! あんなやつら、やっつけちゃえ!」
「まけないで―!」

 子供たちの声援は、君たち猟兵の力になっていることだろう。

 さあ、猟兵たちよ。君たちはどう戦う――!?
※【プレイングについて】

 急遽、更新させていただきます。
 大変申し訳ございません。

 体調不良につき、本日~現在まで頂いているプレイング、ほぼ採用できなくなりそうです。
 頭がぼうっとして熱があり、一旦病院で診てもらおうと思います。
 その期間も踏まえて今週土日は様子見しつつ、改善した頃合いに再度プレイングの募集をかけたいと思います。

 現在いただいているお客様のプレイングにまったく不備はなく、全て当方の体調の問題です。
 受付日時を此方で指定しておきながら、ご不便をおかけして申し訳ございません。
 もしお気持ち変わりなければ、プレイングを再送して頂けると幸いです。

 この度は、誠に申し訳ございません。
※【追記】
 長らくお待たせいたしました。本日より、『受付再開』いたしました。
 現在もプレイングを募集しております。
 以前のフラグメントで参加して下さったお客様も、ご新規のお客様も、歓迎です。

 ただ、今回は以前の募集の際に送って下さったお客様を優先して採用いたします。
 数によっては体調の兼ね合いも踏まえ、従来より早めにプレを〆たり、次フラグメントに進む可能性が高いです。
 先着順で不採用になるかも…な場合も少しあります。
 大変恐縮ですが、ご了承のほどお願い申し上げます。
アレクシス・アルトマイア
ふむ…格好良く決める…と

それでは、敵を上空に蹴り飛ばした後
従者の時間短縮術を用いて銃で撃ち上げていって、花火のように散らしましょうか

たくさんの敵がいるなら、その頭上を踏みつけつつ、空を駆けるように走ったりしてみましょうか
鋼糸を使ってまとめて捉えてしまったり、これらも一緒に花火にしたりするのも、きっと派手ですね
ちゃんと爆発を派手に演出するのも忘れませんっ

ファンサービスも忘れずに。
格好良くポーズを決めたり、声援に手を振ったりいたしましょう
もちろん、敵の排除は引き続きばしばししつつ、やっていきますよ

ありがとうございます、
皆さんの声が…私達の力になりますっ

さあ、ここからはずっとクライマックスですよっ



「「「イィー!」」」
 特設ステージにて。
 数多くの戦闘員たちは、猟兵たちを襲撃するべく声をあげて飛びかかってゆく。
 観客席の子供たちが息を呑むこの瞬間――ふ、と唇を緩めて微笑んだのは、アレクシス・アルトマイア(夜天煌路・f02039)だ。
(「ふむ……格好良く決める……と」)
 ならば、とアレクシスは従者服のスカートを手で大きく翻し、そのまま真っ先に飛び掛かってきた戦闘員1体を大きく蹴り上げた。
「イィイ!?」
 その蹴撃は腹部にめり込み、戦闘員はたちまち空高く飛んでゆく。
 そのままアレクシスは二挺の愛銃を構え、宙に舞う戦闘員の身体を何度も、何度も撃ち抜いた。
 銃撃の反動で飛び上がり、空高く爆発四散する戦闘員。
 しかし、アレクシスの背後にはまだ多数もの戦闘員たちが――!
「――ふふ、そんなに隙があるように見えました? ちょっと心外ですね」
 ふわり、目元を隠すレースを揺らし、ふたたび唇は蠱惑に笑む。
 瞬時に振り返ったアレクシスは蹴撃で戦闘員たちを蹴散らしていく。
 先に飛び掛かった戦闘員は振り向きざまの回し蹴り。新たに飛び掛かった戦闘員へは、肘打ちで大きく仰け反ったところを喉仏めがけて銃弾を撃ち込む。
 力尽きた戦闘員が仰向けに倒れたことで、ドミノ倒しのように戦闘員たちが崩れていくところを、階段のように踏み越えるアレクシス。人に拠ってはある意味ご褒美だ。
 駆け上がり、そのまま跳躍したなら――新たに両の手で手繰るは、ロストクレイドルと冠された、細い、細い鋼糸。
「イイイッ!?」

「ひとつ、賭けをしませんか? 流れ星みたいなものですよ。
 私があなた達を倒す前に、願い事を三つ言えたならあなた達の勝ち、というのは」

 可否を問う以前に、アレクシスはそのまま鋼糸をぐるりと巻き付け、戦闘員数名を捕縛する。
 ふたたびステージに着地し、腰を深く落として態勢を整えた。
「イィ、イィィ……!?」
「イィーッ!?」
 そのままギリ、ギリリ、と音立てて手繰り、締め付けたなら、戦闘員たちは手足をばたつかせながら声にならない声をあげた。

「あら、残念。時間切れですね」

 ――だってこの糸は、逃れようとするほど身体を蝕むのですよ?
 故に、揺籠。暴れる厄介な赤子たちを逃さず、絡め取り、じわりじわりと締め殺す――。

 アレクシスは微笑みのままにロストクレイドルを解放し、後に残ったボロボロの戦闘員たちを子供たちに見せぬよう派手な銃撃で爆発させたのだった。

「メイドのおねーちゃんすごーい!」
「かっこいいー!! がんばってー!!!」

 少年少女たちの評判も好調で、声援に応えるべくアレクシスは従者服のスカートの裾を摘み、優雅に一礼する。

「ありがとうございます。皆さんの声が……私達の力になりますっ。
 どうか、これからの猟兵の皆さんのご活躍も、ご期待ください!
 ――皆さんをきっと、守って下さるのですから!」

 ――さあ、此処からこそがクライマックスだ。
 猟兵達の活躍を後方から観察し続け、常にカメラをまわす怪人が一人いる。
 ――――その名も、怪人アングラーロー。
 奴を倒すまで、猟兵たちのヒーローショーは、消して終わることはない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラニューイ・エタンスラント
◎さて……パーティーを始めるとしましょう。格好悪い所は、見せられないものね。演出としてトリニティ・エンハンスで攻撃力を強化し、軽やかに舞うように敵の攻撃を回避しつつ、オーヴァードライブ・ブラッドクロスで攻撃するわ。勿論、詠唱はしっかり唱えるわよ。必殺技って、そういうものでしょう?


カノン・トライスタ
◎ いつも通り大歓迎だぜ

「さーて、ロソコに大口叩いたんだ。サクッと片付けないとな。」
さぁ、しっかり目に焼き付けな!これが俺の【銃刀戦闘術・改】だぜ!」
右手のガンナイフ、左手の剣を体の正面で十字を切るように振り、刃にUCの霧を纏わせる。
「普段は霧の中を駆けるんだがな…今回は見栄えよく行くぜ。」
霧をコートの上から纏い、素早く戦場を駆ける。
赤い髪と黒い霧が尾を引いているように見える。
【2回攻撃】を使用し、あえて一撃で倒さない(急所を狙ったエグい倒し方を子供たちに見せない)
一通り片付くと、ロソコと子供たちに向けてウインク&サムズアップするぜ



「あら、こんなにも歓迎してくれるなんて」
 気怠げでぼんやりとした紫の瞳をうっすら細め、ラニューイ・エタンスラント(闇と光のダンピールイェーガー・f05748)は迫り来る戦闘員たちを見据える。
「さて……パーティーを始めるとしましょう――格好悪い所は、見せられないものね」
 す、とその瞳が見遣るは観客席の子供たち。
 今にも囲まれてしまったラニューイこと、イェーガーマゼンタの活躍を、固唾を呑んで見守っているのだ。
「がんばれ、イェーガーマゼンタ!」
「えっ、あれピンクじゃないの!?」
「しーっ! ピンクじゃないの、マゼンタなの! そこんトコ間違えたらいけないわ」
「はっ、はいっ! 気をつけます!!」
 新参の子供へもビシッと嗜めるロソコ。キマイラフューチャーのヒーロー界隈にある暗黙の了解も、彼女が居ればおそらく安心だ。
 そんな彼女等のやり取りを耳にして――ラニューイはしなやかに、手招きをひとつ。
 少女の身体をまとう、三つの属性に子供たちは息を呑む。
「――おいでなさい。聖霊剣、グロワール・リュミエール」
 ラニューイの呼びかけに応じ、光の精霊を宿す聖霊剣が顕現し、彼女の手に収まる。
 きらり、と燐光散らして刃は輝く。
 しかし、その光に屈せず、戦闘員たちはラニューイめがけて立ち向かってゆく。
 拳を剣の峰でいなし、足払いをふわりと跳躍し、回避してゆく。
「イイィッ!!」
「!? 不意打ち……!?」
 ――しかし、着地した直後。背後に潜んでいた戦闘員から手刀が繰り出される。

「おっと、そいつは卑怯なやり口だな」

 カノン・トライスタ(深紅の暗殺者・f01119)がふ、と不敵な笑みを浮かべ、静かに肉薄した。
 ガンナイフの刃と剣を振るい、十字の軌跡を描く。得物に纏うは、鏖殺領域による殺気の霧。
「な、なに!? どうなってるの!?」
「赤と、黒しか見えない……どうなってるんだ……!?」
 観客席の子供たちも、ざわついたことだろう。
 特設ステージから見えるのは、カノンの赤い髪と黒い霧の残像ばかりなのだ。
「でも……とっても、綺麗」
 ロソコは、そう呟いた。ステージを彩る、色鮮やかな赤と黒のコントラストに惚れ惚れしたのだろう。
「イィッ!?」
 腕を大きく斬りつけられた戦闘員が驚きと痛みで声を上げれば、カノンはそのまま蹴りを入れて特設ステージから追いやった。
 そこでようやく、子供たちはハッキリと――カノンの存在を目の当たりにする。
「ロソコに大口叩いたんだ。サクッと片付けないとな」
「すごい、あんな一瞬で……!」
 当の本人たるロソコは、思わずごくりと唾を飲み込む。
 カノンの剣戟を、目視することなど不可能だった。されど気がつけば、カノンは今にも戦闘員たちを相手取っている。
 ガンナイフの刃で斬りつけ、戦闘員がひるんだ隙に急所へ銃弾を見舞い。
 さらに回し蹴りで追手を巻き込み蹴散らした後、後方から迫り来る戦闘員へ、『星見の刃』の腹で鳩尾を殴りつけた。
「グエェ! イィーッ!」
「あんまりエグい戦いはしたくないもんでな――トドメは頼むぜ」 
「あら、任せてもいいの?」
 カノンからの目配せを受け、ラニューイは手を翳す。
「ユーベルコード、リベレイション!」
 その直後に、高らかな宣誓。掌に輝く、まばゆき光に戦闘員たちの目が眩む。
「――オーヴァードライブ・ブラッドクロス!」
 そのまま解き放つ、十字架型のエネルギー波。
 光と闇を司るダンピールイェーガーであるラニューイこそ編み出せる、光の力だ。
 その高威力のエネルギー波に呑まれ、戦闘員たちは次々に消滅していった。
「必殺技って、こういうものでしょう?」

 一連の戦闘を見守り、巻き起こる大歓声。だが、猟兵たちのヒーローショーはまだ終わらない。
 平和を阻む、怪人たちがこの場に残る限りは――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 猟兵達の攻防は、ステージ上でさらなる激しさを増していた。
 群がる蹴散らしたと同時、赤髪の猟兵は観客席へ向けてウィンクとサムズアップを投げかけた。
「わあーっ! かっこいー!!」
「頑張って、いぇーがー!!」
 さらに湧き上がる歓声。その賑わいのおかげか、新たなギャラリーも増え始める。
 ――しかし、猟兵を応援する声が広がることによって、アングラーロー達は焦りを見せていた。
「おのれ、おのれ……! 何故こんなにも喜びの声が上がるのだ!
 特製の最高のコスチュームを着せてもいないというのに!」
 フォーカスリングをキリキリ、と何度もフォーカスリングを回すアングラーロー。

 ふたたびシャッター音が切られたと同時――ステージ一帯を包む大規模なフラッシュが焚かれた!

「うわっぷ、まぶしい……!?」
「い、いぇーがー! たすけてー!!」
 観客席から次々に投げかけられる、救いを求める声々。
 子供たちの危機を救うべく――数々の猟兵たちが、飛び込んでゆく。
ウェンディ・ロックビル

観客席の方まで飛んできたコスプレビームの前に庇うように飛び出て直撃を受けます。受けるよ。

……んもぅ、いいところだったのに!
そっちの攻撃食らってあげたんだから、今度はこっちの番だぜ!

どんなコスプレさせられるかは知らないけど、その衣装のまま前線に“踊り出る”よ。
こどもたちも怪人さんたちも、みんな僕に夢中にさせちゃうから!「スカイステッパー」!
空中を蹴って跳び回る【パフォーマンス】で注意を惹きつつ、敵の背後を取って気絶させる……みたいな!感じで!

へ?そんなに速いになんで避けなかったか、って……食らった上で勝つ方がカッコいいじゃん?


エスチーカ・アムグラド
沢山の敵に囲まれて!一斉に攻撃されてっ!ああ、ヒーローの姿が見えないっ!大丈夫でしょうかっ!?
こんなシーン、ドキドキしちゃいますよね!
でもヒーローはしーっかり攻撃を受け止めていて、どかーんっ!と敵を吹き飛ばして平然と立ち上がるんです!

戦闘員たちを【おびき寄せ】たらチーカもこんなこと出来ないかなって!
チーカの身体だと受け止めるのは大変そうですから、タイミングを合わせてカウンターのように刃嵐を発動です!
クラッカーとか、下からぽーんっ!って噴き出す紙吹雪みたいにグラジオラスの花を舞わせましょう!

小さくったって猟兵の力はすごいんですから!
戦闘員にも、勿論見ている皆にもにーっこり余裕の笑顔です!


御堂・茜
出ましたね戦闘員!
子供達に夢与えたい演者の方の想いを乗せ
ここで更に良い子達を驚かせてご覧に入れます
ミドウセイバーを天高く掲げ

――変身!

(説明しよう!
良い子の声援を受け
御堂茜の【気合い】と【勇気】が最大に高まった時
燃える正義感が爆発し
彼女は義勇の騎馬武者ロボ、ジャスティスミドウカイザーとなるのだ!)

超合体大将軍ジャスティスミドウカイザー、見参!
本日は正義のレッド
赤備えフォームで攻めの姿勢です!
旧人類が誇る文化『ジダイゲキ』とヒーローの融合、ご覧あれ!

殺陣を演じて戦闘員を集め
巨大化したミドウセイバーの【衝撃波】を使い
きりもみ回転させながら派手に吹き飛ばして一網打尽です
きっと空気を読んで下さる筈!




アリルティリア・アリルアノン
ふっふっふ、コスプレ光線などアリルには効きませんよ!
何故ならばアリルは身も心も既に魔法少女へと変身しているから……

って、ほわーっ!?
余裕こいてたら出遅れましたー!?
皆さんアリルの見せ場も残してくださーい!(わたわた)

さて、気を取り直して戦闘員に魔法のステッキを向けると、
それが光と共に無数の電子の花びらへと変わって悪の手先を呑み込み浄化します
どうです!これがバーチャル魔法、ホログラフィックペタルです!(ドヤァ)


蒼焔・赫煌
【POW】

よーしよしよし、まかせたまへー! 任せ給えー!
声援に対して手を上げながら、大きな声で返事をして【存在感】をアピール!
よっしゃ、よっしゃ、要はいつもより派手にドカーンとやっちゃえばいいんだね? まっかせろー!!

へいへい、かもんかもん!
まとめて相手してあげようじゃないか!
ガシャドクロで武装したら、戦闘員の真っ只中にどーんと駆けこむよ!
安直な攻撃ばかりなら、動きを【見切り】、刀で【武器受け】するのも簡単さ!
攻撃して隙ができたら、そこへ向かって刃を最大展開!
【カウンター】でまとめて一気にずばっとやっちゃうのさ!
これが可愛いボクの! ガシャ、ドクロォォォォ!!


【アドリブ、他の方との絡みは歓迎】



「えぇーい! このコスプレ光線で最高のコスチュームを身に纏うのだ!
 事案? 知ったことか!!」
「いやーー!!」
「うわぁーーーっ!!」
 アングラーローによる遠距離からの光線が、観客席の子供たち目掛けて照射された。
 ――が、そのとき!

「おぉっと、あぶなーい!」

 自慢の脚力で、ステージから客席までひとっ飛び!
 ウェンディ・ロックビル(能ある馴鹿は脚を隠す・f02706)が、身体を張ってコスプレ光線を一身に受けたのだ。
 勿論、ウェンディ自身は直撃と共に、めくるめくまま衣装が変化してしまう。
 果たして、その衣装とは――――、
「お、おねーちゃん……!」
「ちょっとあんた! なに鼻血だしてんのよ!!」
 少年たちが息を呑む! そんな反応に少女たちが制裁のビンタを食らわす!
 コスプレ光線を浴びたウェンディの衣装はたちまち、扇情的なバニーガールと化したのだ!
「……んもぅ、いいところだったのに! なんだか脚がスースーするなぁ!」
 エナメル質のレオタードの胸元をちょい、と指先で整えながら――金の片目は輝きを増して。
 ばっと大きく手を振って、能ある馴鹿は脚を“晒す”――!!
「さぁさ、今のトコちょっとピンチだけど、僕は負けないからね! みんな、手拍子お願い!」
 ウェンディは機転を利かせ、教育番組のお姉さんめいた声で子供たちへと呼びかける。
 この状況でも動揺せず、笑顔のままパフォーマンスを続けるウェンディの様子に、子供たちは安心しただろう。手拍子は一つ、二つ――そして幾重にも重なって、盛大なリズムを刻んでゆく。
「みんな、ありがとー! こどもたちも怪人さんたちも、みんな僕に夢中にさせちゃうよ!」
 ふふんっと得意げな笑み一つ。
 ウェンディは長く伸びた脚を跳躍させ、足場もない空中を幾度も飛び回ったのだ!
 その軽やかな身のこなしに、子供たちも怪人たちも呆気にとられてしまう。
「ふふんっ、隙アリ!」
 宙に浮いたまま、戦闘員の背後へと構えたのは、母の名を継いだお守り代わりのリボルバー銃。

 ――その名を『Vi✖️eN』。
“彼女”は、ひたすら逃げ足の早い狩猟豹の胃を狩ることができたのだ。
 これしきの相手を射抜くことなど――容易い!

 放たれた銃弾は、戦闘員の背後から急所に叩き込まれる。
 されどその戦闘員は振り向きざま、褐色肌の艷やかなバニーガールを目の当たりにして、少しばかり幸せそうな顔で気を失ったのだった。
 気絶した戦闘員の背を踏み台にして軽やかに飛び跳ね、ステージ上に立ったならふふんと得意げに笑うウェンディ。

「ふっふっふ、コスプレ光線などアリルには効きませんよ!
 何故ならばアリルは身も心も既に魔法少女へと変身しているから……って、」

 ――ほわーっ!?

 余裕ぶっていたところを思わず出遅れてしまったのはアリルティリア・アリルアノン(バーチャル魔法少女アリルちゃん・f00639)だ。
「余裕こいてたら出遅れましたー!? 皆さんアリルの見せ場も残してくださーい!」
 思わず両手を振ってわたわた、慌てて猟兵たちへアピール!
 届くだろうか? されど自分自身が動かなければん何も始まらない――と感じ、アリルティリアは無い胸を張る。
 くるり、向けるは魔法のステッキ『エレクトロ・ルミネイト』。
 薄緑色がまばゆくきらめき、アリルティアめがけて襲い掛かる戦闘員が現れたなら――、
「引っ掛かりましたね? 残念でした! かがやく正義の花よ、舞え!」
「イィーッ!? イーッ!!」
 ステッキから綻ぶ光の花びらに、戦闘員達は目を眩ませたのだ。
 無数の電子の花弁に浄化され、戦闘員はたちまち蕩けて跡形もなく消えていく。
 その様子にアリルティアは思わずぴょんっと飛び跳ね、喜んだ。
「どうです! これがバーチャル魔法、ホログラフィックペタルです!」

「わわっ、沢山の敵に囲まれて! 一斉に攻撃されてっ! ああ、ヒーローの姿が見えない――と思ったら、格好いいシーンがいつの間にやら!」
 エスチーカ・アムグラド(Espada lilia・f00890)は声を上げ、ウェンディの活躍にパチパチっと拍手を送る。
「ところで、そんなにお速い能力があるのに、どうして攻撃を避けなかったのですか……?」
「それはもう、食らった上で勝つ方がカッコいいじゃん?」
 ドヤ顔で迷いなく答えるウェンディに「なるほど!」と疑いなく汲み取るエスチーカ。とても素直で単純な性格に違いない。
「チーカ、知ってます。ヒーローはしーっかり攻撃を受け止めていて、どかーんっ! と敵を吹き飛ばして平然と立ち上がるんですよね!」
 わりとだいたいそんな感じである。
 ふわり、妖精の羽の軌跡を巻きながら、チーカはふわりふわりと飛翔する。
 戦闘員たちはフェアリーの小さな身体を囚えるのに悪戦苦闘しながらも、近距離で拳や蹴撃を繰り出してきた。
「きゃあっ! あ、危ないですっ。……風に舞え、花の刃!」
 同時、チーカは色鮮やかな花を呼び込む。
 グラジオラス。別名で『剣』とも呼ばれし、密やかな時を示す花の名。
 鋭き花弁は剣の刃となりて――――クラッカーのようにポンッ! と音を立ててグラジオラスの鮮やかな花が地上に咲く!
「イィイイッ!?」
 その衝撃に耐えられず、戦闘員は地に伏した。死因がグラジオラスって、わりかしオシャレなのでちょっと気に食わない。
「小さくったって猟兵の力はすごいんですから!」
 にーっこり! 満面の笑顔を猟兵たちに向けたなら、新たに沢山の歓声や拍手が巻き起こる。
 その声々に応え、現れたのが蒼焔・赫煌(ブレイズオブヒロイック・f00749)だ。
「よーしよしよし、まかせたまへー! 任せ給えー!」
 自称正義の味方たる彼女は、得意げな笑みを欠かさずに。
 存在感をアピールしたなら、
「わー! ありがとー!」
「がんばってーー!!」
 と、子供達からの純粋な声援が大きく届くことだろう。
「よっしゃ、よっしゃ、要はいつもより派手にドカーンとやっちゃえばいいんだね?」
 まっかせろー! と得意げな笑みを添え、赫煌はさっそく迫り来る得物を見据える。
 武装するは――ガシャドクロ。『矢尽きれども我が刀は折れず』。
 赫煌の存在感もあり、戦闘員はそのまま彼女の方へと釣られてゆく。
 己の血を纏いて武装したなら、そのまま戦闘員の群れへと肉薄してゆく。
「これが可愛いボクの! ガシャ、ドクロォォォォ!!」
 刃を仕込む骨鎧、髑髏の刃は近寄っていく戦闘員達を刳り、裂く。
「はわ、うわわ……!」
 しかし、子供達にとってはやや刺激的な光景であったかもしれない。
 得物を用いて、その攻撃を確りと防ぎながらも、
 やや震えている様子の子供達を見かね、暫し考えた赫煌は、
「ちょーっとお願いしていいっかな! 皆が安心できるようにさ!」
「お任せ下さいませ! この御堂、正義の名の元に皆様へ安心を届けようと思いますッ!!」
 この場で宣したのは、御堂・茜(ジャスティスモンスター・f05315)。
 ふふんっと得意げにまた麻呂眉を上げ、ミドウセイバーを掲げ――ちょっとしたポーズを、決める!
「――変身!」

(「――説明しよう!」)
「待って!? 馬が喋った!?!!」
「何言ってるのあんた!? 馬が喋るわけないでしょ!!?」
 そう、観客席にて少年を嗜めているマダムが言う通り、“本来ならば”馬が言葉を介することなどない――。
 しかし、御堂・茜が跨る『名馬サンセットジャスティス』は、カメラ目線を向けた上で解説を挟んでくれたのだ。
 主に優しい、彼の話(おそらく心の声)をもう少し聞き届けてあげようと思う。

(「良い子の声援を受け、御堂・茜の【気合い】と【勇気】が最大に高まった時……、
 燃える正義感が爆発し、
 彼女は義勇の騎馬武者ロボ、ジャスティスミドウカイザーとなるのだ!」)

 ――いま変形中だと思うんだけど大丈夫?

(「今やってるから大丈夫」)

 ――ガシャンっ。ガシャンっっ。

「超合体大将軍ジャスティスミドウカイザー、見参!」

 ほんまに変形したぁぁぁぁぁーーーーっ!?!?!

 にわかには信じがたいが、茜が召喚し、合体した超合体大将軍ジャスティスミドウカイザーが顕現しているのである!!
 いわゆる此度は正義のレッド。赤備えフォームで攻めの姿勢。
「それはもう、レッドといえば正義の色。攻めの姿勢に入るのは致し方がないわね!」
 と、ロソコさんが思わず解説していますけれどそこはお気になさらずに……。
 確かに旧人類では『ジダイゲキ』が流行ったと云うけれど――と思いきや、
「ジャスティスミドウカイザー! がんばれー!!」
「このまま戦闘員もやっつけちゃってー!!」
 なんて、歓声が聞こえているもんなんだから! その辺は大丈夫ですよ!!
 当の茜本人は麻呂眉をふふんっと釣り上げてジャスティスミドウカイザーの動向を見守っている始末!
 それでええんかパイロット!!

「まあそれはそれで超合体大将軍ジャスティスミドウカイザーで戦闘兵を蹴散らしましょう」
「ちゃんとできるんかなあ……」
 ややぎこちない操作ながらも、ミドウカイザーの無慈悲な衝撃波で雑魚を蹴散らしただった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロク・ザイオン

ジャック(f02381)と

(ジャックは、ヒーローと呼ばれたいのだと言っていた)
(愛らしい子供たちは応援してくれている。猟兵を。ヒーローを。求めている)

…ジャック。
おれは、どうすればいい?

(キミの願いに。子供たちの思いに。応える術が、知りたい)

…わかった。

(身の軽さには自信がある。
踊るように【ダッシュ】【早業】で戦闘員たちをいなし、躱し、一箇所に誘い込み
「烙禍」を叩きつけ、燃え上がり脆くなる地面で足を止められたなら)
(大ジャンプ)
(しゅた、とジャックの肩に乗る。ばっと腕を掲げて)

…ふぁいあ。


……そうか。
助けて守るのが、ヒーローで。
(したいことをしたら「そう」なんだったら)
おれも。キミも。もう。


アニカ・エドフェルト


期待されてるのならば、それに応えないと、いけませんっ
全力で、ぼこぼこに、しますっ

まずは、ご挨拶、ですっ
(思いっきり突っ込んで翼の力込みでの飛び蹴り)

(ある程度飛びながら避けながら蹴ったりして、動きが鈍くなったところで)
…ふぅ、もう、これくらいで、いいでしょう。
これにこりたら、もう悪さはしないこと、です。
…さて、後はあなた(アングラーロー)だけ……きゃ…!
(まだ動けた怪人が殴り掛かってくる想定)

…なんちゃって、です。
そういえば、わたしの必殺技、お見せしていません、でした。
綺麗に回って、くださいっ
(腕を取り、そのまま《転投天使》(翼の力で回るに合わせて捻って倒す)、以降は組み技も解禁)


ジャガーノート・ジャック

*ロク(f01377)と

(ザザッ)
――どうすれば、か。
君は子供達を助け守りたいのだろう。
であるならば、その為に動けばいい。

そして、君が本機に力を貸してくれるなら尚心強い。

(ザザッ)
SPDを選択。
ゲパルトを召喚、サブアームの機関銃と本機の熱線銃による射撃を照射で敵を捕縛するロクを援護しつつメインアームの大砲をチャージ。
(援護射撃+力溜め)

チャージが完了し次第、ゲパルトを変形、右腕に接続。
――変形武器が多少子供達にも受ければ幸い。

少しくらいヒーローらしく行くとしようか。

「――5、4、3、2、1、ゲパルト、Fire!!」
(スナイパー+なぎ払いで敵を吹き飛ばす)

――掃討完了。オーヴァ。
(ザザッ)



 戦いへ赴く最中、ロク・ザイオン(疾走する閃光・f01377)はふと思い出した。
 ――ジャックは、彼は、ヒーローと呼ばれたいのだと。
 周囲を見渡せば、幼い子供達の歓声が耳に届く。
 そのまま、ロクは訪ねた。

「……ジャック。おれは、どうすればいい?」
 言葉少ななロクの問いに、ジャガーノート・ジャック(OVERKILL・f02381)は幾ばくかの時間を要した。
 暫しの後、ザザッと常の砂嵐を響かせ、くぐもった声を届かせる。
「――どうすれば、か。君は子供達を助け守りたいのだろう。
 であるならば、その為に動けばいい」

「――――そして、君が本機に力を貸してくれるなら尚心強い」

 言葉少なな黒豹による、静かな言葉。
 それを聞き届けたロクは、彼なりの『応える術』を識った上で、

「……わかった」

 静かに、ロクは頷いたのだった。

 そのまま、音もなく肉薄する。
 ロクの素早さは戦闘員をいなし、躱し、翻弄させ、単純な動きをする彼等を一箇所へと誘い込むことは用意であった。
「――――燃え、落ちろ」
 その言葉が、合図。
「――浮遊戦車型兵装"ゲパルト"召喚、搭乗完了」
 ロクを援護していたゲパルトを変形後、ジャガーノートは右腕へと接続する。
「!! すごい! あの武器、どうなってるの……!?」
 観客席から、ゲパルトへ興味をいだいた少年の声が耳に届いたことだろう。
「――5、4、3、2、1、ゲパルト、Fire!!」
 そのまま大砲へと変化させ、戦闘員たちを誘い込み――大きな一撃を、叩き込んだ。
 叩きつけられた業火が燃え上がると同時、脆くなった地面をその足で止められたのならば、
 高らかな跳躍と、共に。
「……ふぁいあ」
 両腕を大きく広げ、ロクはジャガーノートの肩へと飛び乗ったのだ。

 ――掃討完了。オーヴァ。

 ザザッ。

 静かにくぐもった砂嵐が、掃討の合図。
 黙したまま得物をしまい込むジャガーノートを見て、ロクは想う。
(「……そうか。助けて守るのが、ヒーローで」)

 ――――もし、したいことをしたら『そう』なんだったら。

(「おれも。キミも。もう。」)

 彼女は感じた。
 仮面越しに感じる、「彼自身」を。

「まずは、ご挨拶、ですっ」
 アニカ・エドフェルト(小さな小さな拳闘士見習い・f04762)はその華奢な体躯ながらも、翼の力を生かし、向かってくる戦闘員へと力強い飛び蹴りをかます。
 ふわり、ふわり、ひらり。ある程度の飛び蹴りなどで動きが鈍くなれば、小さな肩を竦め、倒れ伏した戦闘員たちを見据えた。
「……ふぅ、もう、これくらいで、いいでしょう。これにこりたら、もう悪さはしないこと、です。
 ……さて、後はあなた(アングラーロー)だけ……きゃ…!」
 思わず、アニカは声を上げる。まだ戦闘員の残党が残っていたのだ。
 このままピンチ――かと思いきや、

「……なんちゃって、です」
 そういえば、わたしの必殺技、お見せしていません、でした。
 小さく微笑み、悪戯に襲われたフリ。
 そうして新たな必殺技を見せるように、戦闘員の手を取って――ぱた、と大きく翼をはためかせ、そのまま捻り倒す!
「綺麗に回って、くださいっ」
 ぐるり、と大柄な戦闘員の身体が宙を舞い、崩れ付す。それを確りと捕まえるは、その戦闘員の何倍もの身体つきであるアニカだ。
「おねーちゃんすごい!」
「かっこいー……!!」
 少年少女――特に、少女からの歓声が多く、アニカ自身も撃退し終えたのち、満足したことだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『コスプレ撮影怪人アングラーロー』

POW   :    ここがコスプレ会場だーーーーーーー!!
【コスプレ化光線とポーズ指定催眠音波 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    お前は最高のコスプレイヤーだ!(フラッシュ)
【強制コスプレ光線 】【ポーズ指定催眠音波】【撮影されると気持ちよくなる催眠】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    良い! 実に良いアングルだ!
【カメラのレンズ 】から【強制コスプレ光線】を放ち、【ポーズを取らせる事】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠プリマステラ・リコールドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「おのれ……よくも、よくもよくもぉ! コスプレ計画を台無しにするとは!
 許さん、許さんぞぉ!!」
 戦闘員たちを蹴散らされ、窮地に追いやられたアングラーローは声を荒げ、地団駄を踏むばかり。
「しかァし! このコスプレ光線は、未だ健在ッ!
 今度こそお前達をコスプレイヤーに仕立て上げ、今日という一日をコスプレ日和にしてみせる!」
 キラン、とレンズを輝かせ、ステージ上で今にも光線を放とうとするアングラーロー。
 その時、赤髪を翻しながらロソコは観客席から立ち上がる。
「そうはいかないわ!」
 ずびしぃっ! と人差し指を怪人相手に差し向けて、堂々と言い放つ。
「此処にはもう、猟兵がこんなにも集っているんだもの!
 アンタなんかに負けやしない!」
「うるさいうるさーーい!! こちとら一対……何十人だと思ってる!? 流石に多いわ!! 集団リンチか!?」
「猟兵はね、何十人の心を一つに合わせて戦ってるの。実質、一対一よ!!」
「んなアホなぁーーー!!!?」

 もはや言いがかりにも程がある。
 プスン、プスンっと煙を立て、アングラーローが頭を抱えている間に、ロソコは猟兵たちへ手を振った。
「猟兵の皆さーん! 此処からの活躍、子供たちみんなで応援しています!
 どうか格好良く、キメちゃってください!

 ――あ、あと!!」

 と、ロソコは手元の鞄からごそごそと何かを取り出した。
 彼女が持っていたのは、黒ペンと――サイン色紙?

「サプライズ握手&サイン会、だなんていかがですか!
 皆さんが戦ってる間に、運営の人達と掛け合ってきます!
 確実にOKはもらえる筈なので、皆さん思う存分戦いつつサインとか子供達への声かけとか考えててくださいねー!!」

 矢継ぎ早に言った瞬間、ロソコはそのまま観客席から裏手へとまわっていった。
 彼女の言葉を聞いた子供達は、ますます歓声を上げてゆく。

「えっ、イェーガーと握手が!? サインがもらえる!?」
「わぁわぁっ! がんばれーー!!」
「コスプレ怪人にまけるなーーー!!」

「ええい……ええい、なんだ、なんだこの声はーー!!
 許せん! お前達みな、最高のコスプレイヤーとなれ――――!!」

 雄叫びと共に、アングラーローは様々なコスプレ衣装を両の手から取り出し、カメラのレンズを猟兵たちへと向ける。
 これより、ヒーローショーのクライマックスが始まろうとしていた――!!

※『募集期間について』
【3/12 8:30】より受付いたします。
 今回はボス戦より、『サプライズ握手&サイン会』がメインになりそうです。
 子供達はそれぞれ、皆さんの戦いぶりへの感想を伝えると思いますので、此方もまたヒーローらしくお願いします。
 もちろん、握手&サイン会を断って静かに去る行動も、格好いいので大歓迎です。
 皆さんの想う『ヒーロー像』を、この最終章を以てぶつけてくださると幸いです。

 マスターコメント含め、Twitterでも情報を更新いたしますので、ご参照のほどお願い申し上げます。
※追記
『サプライズ握手&サイン会』について。
 子供達に伝えたい言葉ややりたいことがあれば、色々めいっぱい取り入れて下さい!
 前章から参加して下さった方は勿論、今回の最終章から飛び入り参加も大歓迎です。
 キマイラフューチャーの子供達にとって、猟兵は総じてヒーローなので!

 アドリブ歓迎の合図として、プレイング先頭、または末尾に◎の記号を入れると、子供達から応援メッセージが貰えるかもしれません。

 改めまして、ご参加お待ちしております!
富嶽・隼刀


「さて、残るは貴様だけか……子供等の夢を壊そうとした罪は重いぞ」
富嶽は怪人を睨み刀を抜く。
「愚者には罰を受けて貰う!」
そう叫んでユーベルコードを怪人に放つ。

サプライズ&サイン会には参加。
(こんな僕にも声を掛けてくれるなんて……)
嬉しさに涙しそうになるのを必死に堪え、あくまでも冷静に対応する。
「お前達一人一人の声が我等猟兵の力になる。これからも応援してくれると嬉しい」
そう言って頬笑みながら子供達の頭を撫でる。


アヤカ・ホワイトケープ
よし、さっさとこいつを倒して握手会と行くわ
わたしのギターの音色、そして貫きし憤怒の歌で穴だらけになりなさい!
そして覚えておくといいわ、猟兵を一人見たら十人いるものだと
さあ、分かったらさっさと消えてなくなりなさい!

握手会&サイン会?なんだったら撮影会も追加しましょう?
これで子供達が喜んでくれるのなら、わたしは自ら進んでやっちゃうわ
いい、みんな?本当にピンチって時になったら、わたし達猟兵はどこへでも駆けつけるわ。だって今回もそうだったでしょう?
信じる心があれば、ヒーローは必ずやってくる…それを忘れないでね
ああ、あとちゃんといい子でいる事も、ね?




ウェンディ・ロックビル

んもう!懲りない怪人さんだなぁ。いーよ!折角コスプレしたんだし、撮らせてあげる。
……ただし、“僕の速さに追いつけたら”ね?【トラブルトラベル・テイクオフ】!


わわっ、握手会ー?んへへ、いーよいーよ。いっぱいしてあげる!僕もこどものころはたくさん握手してもらったものです!
あ、でもバニーさん衣装のままだからおさわりはNGだぜっ。

……え?僕がカッコよかった?えへへ、ありがとう。そうでしょー?
ね、それってなんでだと思う?なんで僕はカッコいいんでしょう!
……僕のひみつ、内緒にできる?よし!
それは、僕が僕をカッコいいと思ってるから!……自分をカッコいいと思える人って、すっごくカッコいいんだよぉ。体験談!


レイ・アイオライト

鋼糸の結界維持するのに精一杯で戦闘はあんまり参加できなかったわね。

アングラーローに対しては【翻ル凶星】で動きを封じるのを優先するわよ。撃破は他の猟兵に任せるわ。

握手会とサイン会……皆から注目されるのは苦手なんだけど……猟兵たちのことを信頼してくれたんだし、やってあげなきゃね。

ロソコも、その勇気はすごいと思うわ。他の猟兵たちにも負けないくらいよ。
どうすればヒーローになれるのか……「その道は一つじゃない」ってことしか言えないわね。
とても難しい問題だけど、きっとその答え見つけられると思うわ。
(そう言って闇の中に文字通り消えていく)


御堂・茜


コスプレ…笑止、その手は通じませぬ!
何故ならミドウカイザー状態なので
恥ずかしくも何ともございませんとも!
皆様を庇って攻撃を受け
辱しめから守る【勇気】で
怪人様をがっかりさせてさしあげたら
UC【完全懲悪】で止めと致しましょう
さあ良い子の皆様ご一緒に!
完・全・懲・悪ッ!!!

握手会ではロソコ様や
ヒーローに憧れるお嬢様方へ伝えたい事があります
わたくしも幼い頃は「女子が武士にかぶれるなどはしたない」と言われておりました
男子に力で敵わず悔しさに涙を呑んだ日々もありました

ですが己が正義を信じ
鍛練を重ねた今の御堂は
ロボにも変身できるのです
皆様も何にだってなれるのです!
ヒーローへの夢の道
諦めず共に走りましょう!


カノン・トライスタ
◎ 

「子供達を巻き込むわけにはいかねぇ。一撃で仕留めるぜ。」
UCを使用するぜ。
「我が身を焦がす私怨の炎。胸に刻みし潰えぬ蒼火。ここに交わりて新たなる焔とならん。即ちこれ生るは『銃刀戦闘術 奥義 紫炎』」

サイン会、握手会には参加するぜ。
「俺はこれからも強くなる。大切な人を失わないためにな。」

UCの詠唱や過去について質問されると、曖昧にはぐらかす。

憧れなどの目線を向けられれば、頭をくしゃくしゃっと撫で応援する。


ロク・ザイオン

ジャック(f02381)と

(髪を解いて巨大ジャックの上で仁王立ち)
(姿や動きを固められても、髪までは縛れまい。
「轟赫」の24を束ねて一に、ジャックの武器に絡めて灼熱の剣へと)
(声を揃えて)
がったい、ひっさつ――


(握手会から逃げるジャックを引き摺る。ひとりにするな)
(子供は柔らかく脆い。好きだが触れるのは恐ろしい。
無言で硬直、手は勝手に握られていくのだろう。
子供には寡黙でクールな猟兵に見えるかも知れない)

(キミはどうだろう。ヒーローと呼ばれることは
キミを少しでも人間に戻してくれるだろうか。
キミがひとに囲まれているのを見るのは、嬉しい)


…さいん?
(何だそれと狼狽えながら
整った字で『禄』と、記す)


ジャガーノート・ジャック

ロク(f01377)と

――剣になる、と約束したからな。
レオパルド、起動。
(全長26mの豹型の巨大機会兵器を召喚。人型に変形させる。ヒーローならやはり〆はロボだろう)(武器改造+メカニック+操縦)

合体、必殺――!
(変形時、作り出した『剣』をロクの力も借り、炎を纏い敵へ。少しでも勇敢な少女に報いれればいい)

(ザザッ)
握手に向いた腕に見えるか?全く――
(引き止められたならば仕方ない。何処かぎこちないロクと付きそう形で握手会へ。)
(手を繋ぐ)

この様な風貌でも
少しは英雄らしく振る舞えたろうか。
(『僕』には判らないけど。)

(サインには、"Jack"と。一番馴染みのある兵士/英雄としてのニックネームを)


六六六・たかし

【WIZ】
コスプレコスプレやかましい!
そんなにコスプレが好きならお前がコスプレイヤーになってろ!!
UC『悪魔の模倣』を使用し、相手のコスプレ光線を拝借する。
アングラーローに光線を使用し、硬直させ近距離から「たかしブレード:ガンモード」の「零距離射撃」を食らわせる!
喰らえ!!デビル!たかし!!インパクト!!!



握手だと…?ふん、そんなもの俺の柄ではない。
だが…ここまで応援してくれた者たちには褒美が必要だろう。
「ざしきわらし」「かかし」子供たちと遊んでやれ
「まなざし」…お前はちょっと教育上よろしくないから下がってろ。
俺はサインを書く…!
アフターケアも万全だ、なぜなら俺はたかしだから


ラニューイ・エタンスラント
◎あら、握手にサイン会があるのならさっさと終わらせないとね……でも、その前にクライマックスは盛り上げないとね。(会場の子供達に向かって)さぁ、この悪い怪人にトドメをさすわよ。みんなの声援が、私達の力になるわ。いくわよ!※子供達の声援にあわせてホーリー・ブレイズ・ブラストやトリニティ・エンハンスや技能の属性魔法を演出としてフル活用し、『子供達の声援で聖剣の輝きが増していき、ものすごい必殺技を放つ』みたいな某ヒロインアニメ映画の◯◯ライト的なあれでオブリビオンに攻撃するわ。■握手会やサイン会はもちろんヒーローサイドとして参加させてもらうわ。もちろん、ロソコにもちゃんと握手等をしなきゃね?


エスチーカ・アムグラド

笑顔のあるところには風が吹くんですよ!
どーんな困難も吹き飛ばしちゃう風が!
何だか勇気が湧いてくる気がしませんかっ?

怪人は風に乗って素早く片付けちゃいましょう!
きっと実際に見てもらうのが一番ですからね!

ち、チーカは握手で!握手の方で!
チーカの手は小さいですけど、その手で更に小さいサインを書くよりかはいいかなって……!【手をつなぐ】
握手の時もやっぱり笑顔!手が小さいならチーカの一番の笑顔でちょーっとでも補いましょう!

あれあれ、笑顔じゃない子もいる?
安心しちゃったからでしょうか、それとも緊張?
ふふふー、相手も笑顔になるまでチーカは握手を止めませんからねー?
……その笑顔、忘れないでね!


蒼焔・赫煌


ロソコさん、ばっちり任せちゃって!
びしばし! 正義の味方を決めちゃうわ!
ぶんぶんと子供たちに手を振りながら、構えるわ!

ガシャドクロはウケが良くなかったから別の武装へと変更しましょう!
今度のは水刃の槍、ミズチ!
合わせて【ブルーブラッドアーツ】が変化する形状はチャイナドレス!
というかあれだね!
今気づいたけど、キミの力がなくても可愛いボクはコスプレできるんだね!

圧縮解放した水流で飛んできた光線とかを撃ち落として、そのまま押し流しちゃうのさ!
服は着たいように着るのが一番さ!

無事に倒すことができたらサイン会と握手会に参加、参加!
ぶんぶん手を振りながら、握手、握手!
こういうのも正義の味方の使命だからね!


アレクシス・アルトマイア
【従者の礼儀指導】で不躾な攻撃をカッコよく撃ち払って参りましょう。
催眠音波や光線はこの目隠しでガードします。
とても可愛いですからきっと防げますよ(確信)
むしろその光を利用してばばーんっとカッコよく演出しましょう。

もしも再び怪人が現れようと…この世に悪の栄えた試しなしっ
私達イェーガーと、みんなの声援がある限り!
何度でも、悪を倒して正義を為してみせましょうっ!

ばばーんっとちょっと大げさに口上を述べて締めたりします!

握手&サイン会にも積極的に参加しましょう。
子どもたちの笑顔が、私達の力になるのですから、ね
投げても危なくない、小さなゴム製の短剣とかにサインを書いたりしてプレゼントして差し上げましょう。


アニカ・エドフェルト


一対いっぱいだから、卑怯って言いたい、です?
いえ、わたしたちが、いっぱい対いっぱいから、戦闘員さん達を倒して、一対いっぱいに、しました。
戦闘員さんを、仲間と思わない人には、おしおき、ですっ
(投げる蹴る以下略、倒したら手の埃を払うように叩いてみたりする)

ふぅ…なんとか、なりました…。
って、サイン、です…?
な、何をどう書けばいいかさっぱりですあうあうあうごめんなさいですー!?(わたわたしながら囲まれたところを空飛んで急いで離脱)

……うぅ、こういうことも、何か考えておかないと、いけません……?
って、遠くへ行きすぎると、戻れなくなって、しまいます、そろそろ収まってることを、祈りますっ


アリルティリア・アリルアノン
悪しき願いの根源よ、今こそBANG!っと懲らしめます!
かがやく正義の花よ舞え…ホロフグラフィックペタルー!!
…ふぅ、これで悪は去りました!

さて、お待ちかねの握手会です!アリルは握手もサインも大歓迎ですよ!
知ってる人も知らない人も、
バーチャル魔法少女(ウィッチ)アリルちゃんをよろしくね!
まあアリル他の人みたいに難しい事は言えませんけど、
みんなが笑顔になってくれるならそれで充分です!

そうだ、せっかくなので記念撮影とかどうですか!
ほらほらー、ロソコちゃんも一緒に撮りましょう!
はい、チーズ♪



●FINAL BATTLE
「さて、残るは貴様だけか……」
 戦闘員を斬り捨てた直後、富嶽・隼刀(本当の自分を隠して・f13192)はアングラーローへ向けて刀の切っ先を向ける。
「子供等の夢を壊そうとした罪は重いぞ」
「ええい、何を言う! カメラマンにとって最高の夢を創り上げようとしただけだ!」
 筋の通らない反論に、「言っても聞かないようだな」と隼刀は呆れたように目を細めた。
「なんだとォ! お前も俺のコスプレ会場を彩るレイヤーとなるのだッ!!」
 そんな隼刀の反応に対し、アングラーローは怒りのままに光線と催眠音波を放つ!
 だが隼刀は、光線を刀で斬り裂きながら素早く肉薄。
 催眠音波によって指定されたのは――偶然にも、上段で刀を構えるポーズだった。
「!? し、しまった……!!」
「――愚者には罰を受けて貰う!」
 剣刃一閃。
 大きく刀を縦に薙ぎ、一撃を受けたアングラーローはバチリ! と派手に火花を散らした。
「ぐぬぬぅっ……! おのれ、おのれぇい!」
 ぷすぷす、とさらなる煙を立てて悔しがるアングラーロー。
 其処へ響き渡る、ギターのチューニング音。
 エスペランサ――『希望』の名を冠すサウンドウェポンを構えた、アヤカ・ホワイトケープ(ロストイノセント・f00740)がステージ上に立っていた。
「よし、さっさとこいつを倒して握手会と行くわ」
「がんばれー! おねーさーん!!」
「あんな怪人なんかにまけないでー!!」
 先程までヒーローショーのお姉さんとして司会を続けていたアヤカは、さっそく子供達の人気者。賑やかな声援に、思わずにっこりピースサイン。
「ええ、おねーさんだって戦えるのよ? みんな、応援宜しくね!」
「司会のおねーさんが戦うだとぉ!? ならば相応のコスプレ衣装を用意してやるっ!」
「あら、余計なお世話ね。今のこの服がわたしのお気に入りなのよ」
 豊かな胸を張りながら、アヤカはギターを掻き鳴らす。
 その華奢な身体からは想像もつかないほどの、激しいコード。
 歌うは『貫きし憤怒の歌』――怒りを込めたアヤカの高らかな歌声が、喉に埋め込まれたボイスオブセイレーンによって増幅され、会場一帯に響き渡る。
「覚えておくといいわ、猟兵を一人見たら十人いるものだと――!
 さあ、分かったらさっさと消えてなくなりなさい!」
 間奏の最中、声を大にしてアングラーローへと叫ぶアヤカ。
 今までの『司会のおねーさん』とは違う、『猟兵としてのアヤカ』を垣間見て、子供たちは目を輝かせた。
「すごい。おねーさん、かっこいいや……!」
 そんな感想を漏らしたキマイラの少年に向けて、アヤカはギターを弾き続けながらもウィンクをひとつ。
 それを受け取った少年はドキン! と胸を高鳴らせ心臓バックバク。少年の初恋を奪ったアヤカの罪は重い。
 歌声の弾丸に撃ち抜かれ、またもアングラーローの身体から火花が幾度も散る。
 ぐぐ、と苦しそうに呻きながらも、野望への執着は未だ残ったまま。
「このままやられてたまるものか! 此処はコスプレ会場となるのだーーー!!」
「わ、わあっ、眩しい……!!」
 観客席の子供達めがけ、コスプレ光線が次々と無作為に放たれる。
 ――しかし、それらは全てレイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)が張り巡らせた雷竜真銀鋼糸による結界が阻んでいたのだ。
 バチバチ! と激しい音を立て、光線が相殺される。
「ぐぬぅ!? そ、そんな馬鹿な……!」
「――あたしの術中に嵌ったわね。今がチャンスよ」
 レイが放つは翻ル凶星。
 影縫ノ暗剣を投げ、雷撃の結界によってアングラーローを囲み、そのまま影の奔流によって逃げ場を失くす――。
 動きを止められながらもアングラーローの火力を減らし、レイはそのまま味方の猟兵へと振り返り、クイッと顎を引いて合図を送る。
「オッケー! まっかせてー!」
 その合図に応え、ぴょんっと飛び跳ねてステージへと降りたのはウェンディ・ロックビル(能ある馴鹿は脚を隠す・f02706)だ。
「んもう! 懲りない怪人さんだなぁ」
 バニーガール姿のままであれど、豪快に飛び跳ねるウェンディに、アングラーローは「おお!」とちょっとした興奮を覚えながらもカメラマンとして真摯に対応する。
「こ、懲りないとは、なんだぁ! 折角コスプレをしているんだ、お前も写真を撮らせてくれぇ!!」
「しょうがないにゃあ……いーよ! 折角だし、撮らせてあげる」
「ほ、本当かぁ!?」
 ウェンディの蠱惑的な微笑みに、アングラーローのレンズがキラリと輝く。
 引っ掛かった様子を見て、ウェンディはふたたび小さく笑ってみせた。そして、新たに言葉を続ける。
「……ただし、“僕の速さに追いつけたら”ね?」

 ――【トラブルトラベル・テイクオフ】!

 ステージの舞台装置を軽々と足場にし、高く高く登ってゆく!
「ぐ、ぐぬぬ……! そんなに動かれては、被写体として、困るぞ!!」
 ウェンディのその身のこなしについていけず、アングラーローは写真を撮ることすらできない――!
 悔しげに地団駄を踏んでいた、そのとき――!
「隙アリ、ですッ!!」
「ぐああああーーーっ!?」
 パカラッパカラッ! 高らかに響く蹄の音!
 ジャスティスミドウカイザーと一体となった御堂・茜(ジャスティスモンスター・f05315)が、アングラーローを轢き倒したのだ!
 ひひん! と嘶くサンセットジャスティスと共に向き直り、柔らかな茶髪がふわり乱れたならそれを耳にかけつつ、宣言する。
「コスプレ…笑止、その手は通じませぬ! 何故ならミドウカイザー状態なので、恥ずかしくも何ともございませんとも!」
「き、貴様ァ! まさか愛馬にまでコスプレをさせるつもりかぁ!?
 いや、こっちとしては大歓迎だけども!」
「皆様を庇う為です! 何も恐れはしません!!」
「んなアホなぁーーー!!!?」
 突拍子もない茜の勇気に度肝を抜かれ、戦意喪失しかけるアングラーロー。
 しかし、肩を落としてばかりではいられない。傷だらけの身体ながらも、己を奮い立たせて光線を放つ!
「ああっ、皆様危ない! ――そんな、ジャスティスミドウカイザーがフリフリひらひらのメイド仕様に!?」
 ひひぃん、とジャスティスミドウカイザーが気恥ずかしそうに鳴いた気がした。
 茜が攻撃を受けようと護ったなら、ジャスティスミドウカイザーは主である茜のことも庇い、自らコスプレ光線を受けたのだ。
 あまりにヒラヒラフリフリな装飾を施され、流石のジャスティスミドウカイザーも落ち着かないようで、ずっと目を逸らしている。
「なんて……なんてむごたらしいことを……!!
 許してはおけませんッ!
 さあ、良い子の皆様ご一緒に!」
 観客席へと呼びかけたなら、子供達は一斉に手を挙げて茜を応援する。
「がんばれー! お馬さんの仇とってー!!」
「でもヒラヒラのお馬さんもかわいいよー!!」
 そんな野次が口々に聞こえるものの、茜自身の『正義』は変わらない。
「悪は滅びる!!! 正義は勝つ!!!!! ――さあ、皆様! ご唱和くださいませッ、せーの!!」

「――完・全・懲・悪ッッッ!!!」

 子供達でも合わせやすいよう、ゆっくりとしたペースで決め台詞を大胆に決める茜。
 その気魄に圧され、子供達も思わず釣られて小難しい四字熟語を叫ぶことになった。
 初めて知った四字熟語が『完全懲悪(誤字に非ず)』で良かったのだろうか。否、きっと良かったに違いない。茜を始めとした、猟兵達の活躍はより良い成長に繋がる筈なのだから――。
「ぐおおお! おのれ、おのれぇ!! どいつもこいつも邪魔ばかり!!!」
「子供達を巻き込むわけにはいかねぇ。一撃で仕留めるぜ」
 続けざまに立ちはだかるはカノン・トライスタ(深紅の暗殺者・f01119)。
「我が身を焦がす私怨の炎。胸に刻みし潰えぬ蒼火――」
 詠唱の最中、呼応するようにカノンの胸元のペンダントが輝く。
 あの日、自分は彼女を守りきれなかった。けれど――、
「おにーちゃん、がんばれー!!」
(「……諦められねぇんだよ。これからも、な」)
 カノンが己の血を込めた弾丸を解き放てば、見事それはカメラを回そうとしていた怪人の手に命中する。
 そのまま炎が燃え盛り「あちちち、あつぃ!?」と踊るように飛び跳ねるアングラーロー。
「即ちこれ生るは『銃刀戦闘術 奥義 紫炎』――ってな。せめてもの余興として、踊りな」
 ふ、とカノンが微笑んだと同時――。


 ガシャン、と重々しい音が会場内に響く。


 ――ザザッ。
 静かに鳴る、雨音めいた砂嵐。
 ジャガーノート・ジャック(OVERKILL・f02381)
「――レオパルド、起動」
 それは、全長26メートル。
 巨大な豹型の機械兵器が、人型へと変形してゆく。
 段々と巨大なロボが形作られてゆく様に、観客席の子供達は口をぽかんと開け、目を輝かせ見守る。
 子供達の中の誰かが、息を呑んで呟いた。
「ロボット戦だ……!」
 ヒーロー番組の終盤、ロボット戦に持ち込むのはもはや『お約束』!
 けれどまさか、間近で見ることができるなんて……!
 子供達のテンションは最高潮!
 そして、巨大なジャガーノートの上で仁王立ちするは、ロク・ザイオン(疾走する閃光・f01377)。
 ふわり、解いた炎色の髪が風にのって、たなびく。
 24を束ねて一つに束ねた『轟赫』の炎は、ジャガーノートの『剣』と絡み合う。

「「合体、必殺――!」」

 重なる、声と声。
 大振りな一閃に耐えかね、アングラーローは大きく飛び跳ねてゆく。
 どすん! と音を立てて尻もち。ぱきり、とレンズにヒビが入る。
「あ、ああああーーっ!? しょ、しょ商売道具のレンズが!?
 よくもやってくれたな、猟兵どもめ! 折角この手で素晴らしいコスプレを見繕ってやろうと――」
「コスプレコスプレやかましい!」
「なぬぃ!?!」
 突然の声に振り向けば、其処には六六六・たかし(悪魔の数字・f04492)の姿が。
「つべこべ言わず、お前も俺のセンスに染まるがいい! 食らえい!」
 ふたたび放たれるコスプレ光線。されど、アングラーローにとって、致命的であった点が、一つ。
 ――それはたかしが、ユーベルコードを無効化でき、それを借用できることだ。

 何故か? それは彼が、たかしであるからだ。

「そんなにコスプレが好きならお前がコスプレイヤーになってろ!!」
「ぐええええ!?!」
 そのまま向けた光線は、バチッ! と激しい音を散らしてアングラーローへと直撃する。
 コスプレ光線をモロに受けたアングラーローは勿論、タダで済むわけにはいかず――。
「な、なんだこれは……! カメラマンがボンテージ姿になるとはァァァ!?!」
「……さすがにちょっと際どすぎるぞ子供によくない! とにかく喰らえ!! デビル! たかし!! インパクト!!!」
「ぐあーーーーーーーーーーっ!?!」
 たかしからの無遠慮な零距離射撃という名の規制を受け、アングラーローはさらにステージ奥へと吹っ飛んだ。
「あらあらっ、さっそく吹っ飛んじゃいましたか!?
 笑顔のあるところには風が吹くんですよ!
 どーんな困難も吹き飛ばしちゃう風が!」
 ひらり、ふわり。花びらのようにステージ上へ舞い込むは、薄紅色の小さな妖精。
 エスチーカ・アムグラド(Espada lilia・f00890)は身体いっぱいに愛剣『Gladiola de amgrada』を振り抜き、風にのせてふたたびアングラーローを吹っ飛ばしてゆく!
「また風かぁぁぁぁぁ!?!」
 もはや攻撃を与える隙もなく、エスチーカによって立て続けにフルボッコされてゆくアングラーロー。
 ぱきり、ぱきり、とカメラのレンズが音を立ててさらに砕け散ってゆく。
 エスチーカからの追撃を追いながらも身を起こし、野望は未だ揺らがぬまま。
「おのれ、おのれ……全てはあのロソコだとかいう赤いバーチャル小娘のせいだ……!
 あいつさえ居なければ猟兵が来ることなど……!」
「やっほー、ロソコさん! ばっちり任せちゃってー!」
 そんな悔しげなアングラーローを追い込むように、裏方の方へ大きく声を上げて手を振るのは蒼焔・赫煌(ブレイズオブヒロイック・f00749)だ。
 どうやらロソコも先程、運営陣から承諾を貰えたらしい。
 遠くから赤い髪の人影が、大きく手を振り返しているのが見えた。
「おねーちゃん、がんばれ!」
「ええ、安心して! びしばし! 正義の味方を決めちゃうわ!」
 ぐっとサムズアップを一つ。そして新たに赫煌の手に宿るは――水刃の槍、静水喰い破る激流。
「さぁ! 一気に押し流しちゃうよー!!」
 水の刃でかたどられた槍を構え、そのまま彼女の身に纏う『ブルーブラッドアーツ』が形状を変化してゆく――。
「え、ええい! 何が正義の味方だ! お前こそ最高にコスプレイヤーに……」
「なんのこと? ……今気づいたけどさ、キミの力がなくても可愛いボクはコスプレできるんだよね!」
 ――ほら、見てみてよ!
 赫煌の身に纏う鮮やかな青のチャイナドレスに、思わずアングラーローはゴクリと息を呑む!
 まさに撮れ高! しかし自分のレンズはバリバリ状態!
「ぐぬぬっ、ぐぬぬ……!」
「隙アリっ!」
 水の槍から解放されるは、圧縮された水の奔流。
 その波の呑まれ、ぶくぶくっ! と息を詰まらせそうになりながらも、アングラーローはシャッターチャンスを逃さずバシャバシャ! 光線を放ち続けた。
「あら、まだ元気なのね……けれど、クライマックス。終盤こそ、盛り上げなくっちゃ」
 声援をお願いできる? と、ラニューイ・エタンスラント(闇と光のダンピールイェーガー・f05748)は観客席へと目を向ける。
 すると子供達は、ラニューイの登場を機に次々と声を上げた。

「イェーガーマゼンタ! がんばれー!!」
「マゼンタ! あんな怪人、やっつけちゃえー!!」

 以前からイェーガーマゼンタを知っていた子供達。
 この会場で初めてマゼンタを知った子供達。
 全てがラニューイへと声援を送っている。その背を、押してくれている。
 その声たちが力となって――、ラニューイの手にする聖剣に、大きな光が宿った。
「――みんな、ありがとう」
 そのまま、イェーガーマゼンタは剣を掲げる。
 子供達の想いを、声援を、背負って。
「さぁ、この悪い怪人にトドメをさすわよ。みんなの声援が、私達の力になるわ。いくわよ!」
 ――カッと輝く聖剣の光。
 それはアングラーローが今までに放ったどんなフラッシュよりも眩く、そして尊い光だ。
「……きれい」
 無垢な心を抱いたままのキマイラの子供がひとり、ぽつりとそう呟いた。
 それが、ラニューイの耳にも届いた気がした。

 ――――そして、光は止む。
 あれほどまでに猟兵達の連撃を受けても尚、アングラーローはボロボロになりながら立ち続けていた。
「ふふ、ふはは……負けない、負けない負けない!
 猟兵も子供達も、みなコスプレ会場の花にしてみせる!」
 それが、奴にとっての野望なのだ。
 大々的に、もはや考えなしに解き放ったコスプレ光線。
 その光をもはやスポットライト代わりにして――ふわり、跳躍したのはアレクシス・アルトマイア(夜天煌路・f02039)だ。
「……なにかしていらっしゃるのですか? お生憎様。私には何も、なーんにも見えないし、聞こえませんね」
 くすり、唯一覗く口元を蠱惑的に綻ばせ、此方側へ向かってくる光線を短剣で斬り裂き、回避してゆく。
「もしも再び怪人が現れようと…この世に悪の栄えた試しなしっ。
 私達イェーガーと、みんなの声援がある限り!
 ――そうですよね!」
 くるり、ステージ上へ着地したのちに、まるでスポットライトを浴びるヒロインのように観客席へと呼びかける。
 その声に応じ、子供達から返ってくるのは案の定の大歓声!
 全てが猟兵コールに満ちてゆく。この場の子供達の中に、猟兵の存在を疑う者など、いないほどに。
「ぐぅ、ぐうう……! やはり一対十何人など卑怯、卑怯だぁ……!!」
「一対いっぱいだから、卑怯って言いたい、です?」
 ぐったり倒れ込むアングラーローを覗き込む、アニカ・エドフェルト(小さな小さな拳闘士見習い・f04762)。
 その天使の如き容貌に、アングラーローは思わず安堵してしまうものの――アニカは容赦なく、新たな言葉を、紡ぐ。
「いえ、わたしたちが、いっぱい対いっぱいから、戦闘員さん達を倒して、一対いっぱいに、しました。
 戦闘員さんを、仲間と思わない人には、おしおき、ですっ」
 がすっ。ぽかっ! ぼかぼかっ!!
 非常に可愛らしい表現をしたが、アニカは中々にハードな殴る蹴るその他以下略で戦い、アングラーローに言葉通りの“おしおき”をし終えた。
 ぱんぱんっと手の埃を払って、ふぅ、と溜息。そんな仕草もまた愛らしい。
 ――けれど、やることは中々にえげつない!
「おのれ、おのれ、ぐおお……! 夢のコスプレ会場を、築き上げたい、のだ……!」
「そうはさせませんよ! 悪しき願いの根源よ、今こそBANG! っと懲らしめます!」
 くるり、薄緑色のエレクトロ・ルミネイトを廻して構えるはアリルティリア・アリルアノン(バーチャル魔法少女アリルちゃん・f00639)。
 ステッキに宿る光を溜めて、一気にアングラーローへと放出する!
「かがやく正義の花よ舞え…ホロフグラフィックペタルー!!」
 ふわり、ひらり。光の花びらはアングラーローを包み込み、浄化させていった。
「ぐああーーーーー!! そうか……このヒーローショーこそが、最高の会場であった、というわけか……!!!」

 ドカーーーーーン!!!

 ヒーローショーでお馴染みの、大爆発を巻き起こしてアングラーローは跡形もなく消滅した。
 そして響き渡る、子供達からの大歓声!

「イェーガー、ありがと! ありがとー!!」
「助けてくれて、本当にありがとう!!」


●SPECIAL THANKS!
「おにーちゃん、すっごくカッコよかったよ」
「ニホントーってゆーんだっけ。とってもカッコよくてドキドキしちゃった!」
 隼刀の元へ向かってくるのは、主に日本刀裁きに惚れ込んだらしい男の子たちだ。
(「こんな僕にも声を掛けてくれるなんて……」)
 本当の自分を隠し、戦い続ける隼刀にとって、子供達からの素直な声援がどれだけ嬉しいことか。
 思わず涙ぐみそうになるも、必死に堪えて。この場でも彼は“演じ続ける”。
「お前達一人一人の声が、我等猟兵の力になる。これからも応援してくれると嬉しい」
 ――――本当に、ありがとう。
 紡いだ言葉は本心のまま。微笑みと共に、少年の頭を撫でたなら、憧憬の眼差しが隼刀へと向けられた。

「あら、なんだったら撮影会も追加しましょう?」
「えっ、写真! いいの!?」
「やったー! アヤカおねーちゃんと記念写真だ―!」
 ママ、撮って撮ってー! と、子供達は口々にアヤカの元へと集まってゆく。
 ぱしゃり、ぱしゃり! 平和になったステージ上では、アングラーローの光でない、平和なカメラのライトが幾度も瞬く。
「いい、みんな? 本当にピンチって時になったら、わたし達猟兵はどこへでも駆けつけるわ。
 だって今回もそうだったでしょう?」
「ほんとに、どこでも……?」
「ええ。信じる心があれば、ヒーローは必ずやってくる……それを忘れないでね」
 傍らで撮影する子供や、列に並ぶ子供達へ、アヤカは優しい笑みを向けてそう語りかける。
 その言葉に、子供達は素直に「はーい!」と手を挙げて、頷いてみせた。
「アヤカおねーちゃん達がいれば、この世界も安全だね!」
「ふふっ、そうね。あと、あとちゃんといい子でいる事も、忘れないでね?」

「ウェンディおねーちゃーん!」
「わわっ、僕とも握手したいの!? んへへ、いーよいーよ。いっぱいしてあげる!」
 真っ先に飛び込んできた女の子に手を振りつつ、ウェンディは快く握手会を始めてくれた。
 ただし、バニーさん衣装のままだからおさわりはNGだぜっ、と注意は忘れずに。残念がった少年は何人いただろうか。
「ウェンディおねーちゃん、とってもカッコよかったよ。ね、ね、そんなに戦えるのは、どうして?」
「えへへ、ありがとう。そうでしょー? ね、それってなんでだと思う? なんで僕はカッコいいんでしょう!」
 得意げに微笑むウェンディに釣られ、子供達はうーんと一斉に悩む。
 どうしてだろう。なんでかなあ。こうさーん!
 そんな声が口々に聞こえる。
 暫く経ったのちに、ウェンディは人差し指を振って、得意げに応えてみせた。
「……僕のひみつ、内緒にできる?」
「もちろん! 誰にも、なーいしょ!」
「オッケー、それは、僕が僕をカッコいいと思ってるから!
 ……自分をカッコいいと思える人って、すっごくカッコいいんだよぉ」
「自分をカッコいいと思える人――ウェンディおねーちゃんの知ってる人にも、居たの?」
「うん! とってもカッコいい人が、僕の近くにも居るんだ」
 ――それは、誰よりも何よりも、大切な家族だからこそ。
 内緒ね? と唇に人差し指を寄せて、ウェンディは子供達へと微笑んだのだ。

「――ロソコ、居る?」
「は、はい! レイさん! 今日は、子供達を助けてくれて……本当にありがとうございました!」
 握手会の際、レイに呼ばれてぴょこっと裏方から、ロソコは飛び出してゆく。
「ロソコも、その勇気はすごいと思うわ。他の猟兵たちにも負けないくらいよ」
「そ、そんな……あたしは、猟兵の皆さんのように力はありませんから。
 ……レイさん。本当に、ありがとうございます」
 あなたが結界を張ってくれたからこそ、子供達への被害が最小限に抑えられたのです。
 その感謝を告げるべく、ロソコはレイへと深々と頭を下げた。
「あたし一人じゃきっと、あの場を守るどころか、悪化させてしまっていたかもしれません。
 こうして子供達が笑顔で居られるのも、皆さんのおかげで――」
「こらーーっ! そんな謙遜、いけませんよ、ロソコ様ッ!!」
 ドドン! と胸を張って、仁王立ちで現れたのは茜だ。
「ロソコ様、そしてヒーローに憧れるお嬢様方、どうかお聞き下さい。
 わたくしも幼い頃は『女子が武士にかぶれるなどはしたない』と言われておりました。
 男子に力で敵わず悔しさに涙を呑んだ日々もありました」
 茜の力説に、握手会に並ぶ少女達は思わず彼女の方へと視線を向ける。
 ドキリ、と胸を高鳴らせるもの。うんうん、と首を縦に動かす者。反応は多種多様だ。
 それでもなお、茜は続けて語らう。自分自身が、夢を信じて走り続けた――その結果が、ジャスティスモンスターであるからこそ!
「ですが己が正義を信じ、鍛練を重ねた今の御堂はロボにも変身できるのです。
 皆様も何にだってなれるのです!」
 ――ヒーローへの夢の未知、諦めず共に走りましょう!

 ――――ヒヒィン!!

 ほら、メイド状態のサンセットジャスティスが嘶いた!
「あ、ありがとうございます……茜さん、サンセットジャスティスさん!
 あたしも、これからも頑張れそうです!」

「カノンおにーちゃん、すっごくカッコよかったよ。助けてくれてありがとう!」
「おう、ありがとうな。俺はこれからも強くなる。大切な人を失わないためにな」
 小さな男の子からのメッセージに、カノンは小さく微笑んでサムズアップをしてみせる。
「ねえ、カノンおにーちゃんは――なんで、たたかおうっておもったの?」
「そうだなあ……もう、失いたくない人がいたから、かな」
「……その人って?」
 その無垢な質問に、答え続けるのは野暮だった。子供に、むごい過去を伝えるわけにはいかなかったから。
 くしゃ、と少年の頭を撫でて、不器用に笑ってみせる。
「いまは、失いたくない、助けたい相手が増えすぎたんだ。お前も同じさ」

「……ジャック」
 賑やかな握手会から逃れようとする、鋼鉄の豹の腕を掴むロク。
 引きずる。この場に一人はいやだ。ひとりに、するな、とでも言うように。
 対する引き止められたジャックノートはザザッと常のノイズを漏らす。
「握手に向いた腕に見えるか? 全く――」
 されど、引き止められたならば仕方あるまい。
 それに、二人を目的に握手会に並ぶ子供達も、少なくないのだ。
「ロボットさーん! おにーちゃん! ありがと、ありがと!!」
 中性的なロクのことを少年と見間違えているらしい、子供達が口々に憧れの目で二人を見つめて握手を求めてくる。
 ロクは無邪気な子供達の手を、それぞれそっと握る。
 柔らかく、脆い。少しでも力を入れれば崩れるような、硝子細工にも似ている。

 ――好きだが、触れるのは恐ろしい。

 常の無言のまま、表情は硬直。勝手に握られる、柔らかで温かな温もりを手に感じながら、握手会を繰り返してゆく。
 ちら、と傍らのジャックノートを盗み見た。
(「キミはどうだろう。ヒーローと呼ばれることは、キミを少しでも人間に戻してくれるだろうか」)

 一方のジャックノートもまた、ぎこちないながらも手を繋いでゆく。
 鋼鉄の手は、子供にとってひどく冷たく感じるかも知れない。
 それでも、握手を交わした後の子供達はみな等しく、満足した顔で帰っていった。
 みな、ジャックノートを含めた猟兵たちを『ヒーロー』だと信じているからだ。

「ねえ、ねえ! ふたりとも、サインちょーだい!」
 あのときのロボ戦カッコよかったの! と少年がサイン色紙を二人に向けてきた。
 二人は顔を見合わせ、何も言葉を交わさずとも、そっとサインペンを手にとった。

 この様な風貌でも、少しは英雄らしく振る舞えたろうか。

(「嗚呼、『僕』には判らないけど」)

『禄』
『Jack』

 その文字をぎゅっと抱きしめ、少年はキマイラフューチャーの街へと帰っていった。
 二人はその小さな背を、ただただ、見送ったのだ。

「握手だと…? ふん、そんなもの俺の柄ではない」
「え、たかし。だめなの?」
「なんで呼び捨てなんだ!?」
「だってずっと、『俺はたかしだから』っていってたから……」
 子供の無邪気な問いかけに、思わずツッコむたかし。
 ううん、と悩みながら、使役するデビルズナンバーを召喚し、子供達に相手してもらうことにしたようだ。
「『ざしきわらし』『かかし』、子供たちと遊んでやれ。
 『まなざし』……お前はちょっと教育上よろしくないから下がってろ」
「たかしー! サインちょーだーい!」
「ええい、わかったから待ってろ!」
 子供からのアピールに痺れをきらしたのか、たかしはさらさらとサインを書き始める。
 自分の名をしっかりと、『たかし』と。
(「アフターケアも万全だ、なぜなら俺はたかしだから……!」)

「ロソコ、居るかしら?」
「は、はい! あたしですか、イェーガーマゼンタさん!」
「まだその名前で呼ぶの……!? ラニューイで良いわよ」
 やれやれ、と肩を竦めて、ラニューイは笑ってみせる。
 あらかた握手会が終わったところで、ラニューイはロソコへと声をかけてみせたのだ。
「あなたにも、握手をしていなかったものね。よければ、如何?」
「! い、良いんですか?」
「ええ、もちろん。ヒーローサイドとして、参加させてもらってるもの」
 あなたにも感謝したいもの、ね。
 そうして差し出された手を、ロソコはおそるおそる手にとって、ぎゅっとぎゅっと、強く握りしめた。
「ほんとに……ほんとに、ありがとうございます。
 皆さんが居てくれなかったら、この会場は、大変なことになることでしたから……!」

「ち、チーカにも握手ですか! えーと、チーカの手は小さいですけど、その手で更に小さいサインを書くよりかはいいかなって……!」
 ぎゅっぎゅっ!
 並んでくれる子供達へと、チーカは一人ひとりへ大事に握手を交わしてゆく。
 小さな両手を包むように、子供達が差し出す小さな手を包むように。
「わあ、とっても小さい。でも、あったかい……!
 チーカおねーさん、ありがとう!」
「えへへ、こちらこそ!」
 チーカはそうして、手を振って子供達を見送る。
 けれど列の最中、笑顔でない曇った顔の子供が居ることにチーカは気づいた。
「……」
「あれあれ、大丈夫ですか? 安心しちゃったからでしょうか、それとも緊張?」
「……、……」
「はいっ、チーカとあーくしゅ、しましょうっ!」
 ぎゅっと両の手で、その子の手を握ってみせた。
 その優しい温かさに、段々と子供の顔も緩んでいった。
「……怪人との戦い、やっぱり、怖かったんですか?」
 その問いに、子供はうん、と小さく頷いてみせた。
「ふふふー、でも大丈夫です! ……その笑顔、どうか忘れないでね!」

「はいはーい! ボクと握手したい皆はこっちに並んでね!」
「わあっ、赫煌おねえちゃんだー!」
 ぶんぶんっと豪快に手を振る赫煌につられ、快活な子供達は彼女の方へと並んでゆく。
 元気に握手やサインに応じてくれる赫煌は、とても上機嫌。
「こういうのも正義の味方の使命だからね!」

「アレクシスおねーちゃーん!」
「あっ、メイドのおねーちゃんだー!!」
「はーい、アレクシスおねーちゃんですよ。今日は応援、本当にありがとうございました」
 ふふっと、素顔を隠しながらも柔らかな笑みを絶やさずに、子供達と握手を交わしてゆく。
「ね、ね、アレクシスおねーちゃん。サインお願いしていーい?」
「あら、そうですね……じゃあ、私とお揃いなんていかがですか?」
「おそろいー?」
 ふふ、と蠱惑的に微笑みながら、アレクシスが取り出したのは――小さなゴム製の短剣。
 どこかのお店にも売っていそうなパーティー用品もアレクシスが刀身にサインをしてみせれば、それは何にも代えられない唯一無二の一級品に早変わり。
「わあ! おねーちゃんとお揃い。ほんとに、いいの?」
「ええ。でも、投げるのは駄目ですよ? よほどわるーい人でなくっちゃ」
 そう嗜めるアレクシスの言葉に、子供は「うん!」と無邪気に頷いて、短剣を大事に持って駆けていった。

「アニカおねーちゃん、サインちょーだい!」
「えっ、サイン、です……?」
 な、何をどう書けばいいか……思わずアニカはあたふた。
 ふと手にサインペンを譲られそうになりながらも、
「ご、ご、ごめんなさーーーい!!」

 ぱたぱた、羽ばたいて会場を後にしたのだった。

(「……うぅ、こういうことも、何か考えておかないと、いけません……?
って、遠くへ行きすぎると、戻れなくなって、しまいます」)


「アリルおねーちゃーん!」
「はーいっ! 今日はみんな、ありがとう! バーチャル魔法少女(ウィッチ)アリルちゃんをよろしくね!」
 愛用のステッキを掲げ、アリルティアは元気に決めポーズ!
「まあアリル他の人みたいに難しい事は言えませんけど、みんなが笑顔になってくれるならそれで充分です!
 ――あっ、ロソコちゃん!」
「は、はーい! アリルさーん!」
「良ければ、一緒に写真撮ろ!」
 アリルティアからの誘いに、ロソコは思わず目を輝かせる。
「良いんですか! わーい、嬉しいな!」

「えへへ、折角の記念撮影! ほらほら、猟兵のみんなも集まって――!!」


 はい、チーーーズ!


 パシャッ。と切り取られた、正義の味方たちの笑顔。
 それは永遠に、キマイラフューチャーの子供達の心に残されてゆく――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月16日


挿絵イラスト