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あなたいろを、ひとさじ

#アリスラビリンス #キャラパフェ


●甘い国
 とある不思議の世界に、「パフェの国」と呼ばれる不思議な国がありました。
 不思議な国に住む人々は、これまた不思議な姿かたちをしていました(彼らにとっては、ごく当たり前なことでしたけれども!)。

 洒落たスーツに身を包んだ伯爵は、甘酸っぱい馨のイチゴの頭に、ちょこんとシルクハットを乗せて。
 金平糖でおめかしした妖精たちの膚は、飴細工のようにつやつやと透き通っています。
 彼女達が羽ばたくと、きらきらと白いお砂糖が鱗粉のように零れ落ちていきます。それを集めたヴェールでおめかしをしているのは、シュークリーム夫人。

 ――このように、この国に住む愉快な仲間たちはみな、あまぁい果実やスイーツの姿をしておりました。
 彼らは、この国を訪れる者たちに自慢のスイーツをふるまう事を何よりの楽しみにしていました。それはたとえば国と国とを不思議の穴で繋いで行き来する時計携えたウサギであり、たとえば彼らが『アリス』と呼ぶ不思議な来訪者でありました。
 中でも彼らが得意とするのはパフェ。様々なスイーツを組み合わせてひとつの作品を作り上げるのを、至上の喜びとしていたのです。

 脳天突き抜ける芳醇な馨のシャーベット。
 彩を添える果実は時に瑞々しくフレッシュに、時に甘く煮詰めて敷き詰めて。
 雲のようなクリームをスプーンで掘り進めば、ざくざくとコーンフレークが食感も耳も軽やかに満たしてくれる。

 けれどそれだけじゃものたりない。
 折角お出迎えをするのだから、もっともっと喜んでもらいたい。

●あなたいろに染まります
「って試行錯誤を重ねた結果、『イメージパフェ』ってのをやる事にしたんだとよ」
 グリモアベース。小さく不安定な世界に猟兵達を呼び寄せたジャスパー・ドゥルジー("D"RIVE・f20695)は、礼もそこそこに語りだす。
「自分だとか、大切な誰かだとか、或いは思い出の光景とか曲とか。そういったものをイメージしたパフェを作ってくれるんだってさ。代表のイチゴ伯爵と話しながら、パフェのイメージを作っていく。イメージの色や食材も指定できるし、対象を模したチョコやクッキーを添えて貰うことも出来るみてえだ」
 指定はふんわりでも、がっつりでも。
 ただしイメージするものの事は、イチゴ伯爵にきちんと伝えて。

「あまーい馨のこの国に、吸い寄せられるように立ち寄るアリスも結構いたみたいだな。んで、こっからは甘くねえ話だ。平和だの笑顔だのってのはオウガにはどうしようもなく腹立たしいらしい、この国も『トランプ兵』っていうオウガに目を付けられて襲撃に遭っちまってる。巻き込まれたアリスがいねえのは不幸中の災いだが――ただ、ちょっと放ってはおけねえ状況だ」
 この国の住人たちは、猟兵程強力ではないがユーベルコードを使う事が出来る。それにより今のところ持ちこたえてはいるものの、何しろ敵の数があまりに多いのだ。
「助けに行ってやれ。あァ、ただトランプ兵を取り仕切ってる強力なオウガが奥に控えてるみてえだ。そいつを斃さねえ事にゃどうにもならねえ。住人達でも手に負えるくらいに数を減らしたら、道を拓いてそっちに向かってくれ」
『頭』を失えば忠実だけが取り柄の兵隊たちは統率が取れなくなる。そのためには連係プレイだ、とジャスパーは腕を振るう。その手の先、きらりと銀色の細長いものが光る。
 パフェスプーンだ。
「無事斃したら、最大限のおもてなしを受けられるはずだぜ」
 ワクワクを隠しきれない男の、もう片方の手がスマートフォンを操作する。グリモアを介して世界を繋ぐ予備動作。
 開く異世界へのゲート。向かうは不思議の世界、アリスラビリンス。
「んじゃ、ご武運を」
 かしこまってみせながら、男は猟兵達を送るのだった。


ion
●お世話になっております。ionです。
 美味しくてときめけるパフェを目指して。
 プレイング受付:各章、断章投稿時に受付開始日時をお知らせし、集まりを見てMSページに終了日時をお知らせします。

●一章:<集団戦>
 この国を襲撃しているトランプ兵とのバトルです。
 敵はやたらめったら多く、猟兵といえど殲滅させることは出来ません。
 現地の愉快な仲間達と共闘しつつ、ぱぱぱっとボスへの路を拓いてください。
 残ったトランプ兵たちは愉快な仲間たちが請け負ってくれます。

●二章:<ボス戦>
 トランプ兵たちを取り仕切るボスとの戦いです。
 此れを討ち取らない限り、トランプ兵たちを全滅させることは出来ません。

●三章:<日常>
 愉快な仲間たちがイメージパフェをふるまってくれます!
 UDCアースでいうところのキャラカクテル屋さんのパフェバージョンをご想像いただければ。
 ご自身でしたり、ご同伴者様、大切な人、物、風景……。いろいろな題材で作ってもらえます。
 ただし猟兵として登録されている御方(PC)のイメージは、トラブルを避けるためご同伴者様のみに限ります。
 色や、取り入れて欲しい食材など、ご指定頂けます。
 けれど一番は、イメージしている「もの」をイチゴ伯爵に伝えること!
 人でしたら性格や見た目、風景だったらいつ、どこで見たものか、それを見てどう感じたのか――あなたの心を聞かせていただければ、幸いです。
 三章のみ冒頭で皆様を案内していたジャスパーが現地におります。何かあればお声かけいただいて大丈夫です。
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第1章 集団戦 『トランプ兵』

POW   :    『女王直々の召集令状である!』
【ハートの女王】から【の令状を読み上げ怒号】を放ち、【令状に従い組み付くトランプ兵】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    『赤く赤く、染めねばなるまい!』
【ハートのスピア】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    『――このままでは首を刎ねられてしまうッ!』
自身が【ハートの女王に対する恐怖】を感じると、レベル×1体の【ハートのトランプ兵たち】が召喚される。ハートのトランプ兵たちはハートの女王に対する恐怖を与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:あなQ

👑11
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 ――がしゃん、がしゃん、がしゃん。
 ぺらぺらの胴体に不釣り合いな重たい金属音と共に、トランプ兵たちが威勢よく行進してゆきます。
 目的はあまいあまい彼の国。
 お行儀よく、という言葉は程遠い彼らは最短距離で街の中心へ一直線。そのために花壇に真鍮の足で押し入って、綿菓子が咲く不思議な花を踏み散らかしても、脚の不自由なギモーヴばあさんを押しのけて転ばせてふわふわのお顔をぺちゃんこにしてしまっても、意にも介しません。
 何故こんなことをするのかと訊かれれば、きっと彼らにもわからない。
 彼らに応えられるのはただひとつ。

「「「女王様の命令は絶対だ!」」」

 その女王様が下した命令が、何か崇高な目的に基づいたものであっても、ただ平和で楽しそうなこの国にむしゃくしゃしたのであっても、トランプ兵たちには関係がないのです。
 だって命令に背いたものは、すぱん、と首を刎ねられてしまうのだから。
 ただのぺらぺらに戻って文字通り誰かの手札にされてしまうなんて! そんなのはまっぴらごめんなのです。
 でも、だからといって彼らを許すわけにはいきません。
 女王様印の槍が、チョコレートの煉瓦でできた教会の壁におおきな穴をあけ、歯向かったシュガーフェアリーを突き飛ばします。

「この国を女王様のものに!」
「女王様、万歳ッ!」

「大丈夫?」
「ええ、こんなところで負けてなるものですか!」
 妖精たちの鱗粉が甘い目くらましとなって、トランプ兵をぐらつかせます。
 隙あり、とばかりにイチゴ伯爵のステッキが、オランジェットちゃんやブラウニーさんやシュークリーム夫人の魔法が、兵隊たちをしとめるけれど。
「怯むな! 邪魔者を始末せよ!」
 ――兵隊たちの数は多く、ひとりふたり討ち取られたところで、残念ながらへっちゃらなのです。
 彼らの狙いは街を破壊することから、愉快な仲間達を始末することへ。

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 第一章プレイング受付:5/31(日)朝8:31~
ルベル・ノウフィル
ギモーヴのおばあさま、お手をどうぞ
あの兵は淑女の扱いを知らぬとみえますな

あの兵らが女王陛下とやらのために戦うならば
僕は愛らしいおばあさまのために戦いましょう
夕闇を翻し、おばあさまをお守りする

UC五月のメギル
代償は見た目には視えぬもの、もしくは視えてもアメジスタを使用して幻術で平静を装いましょう
おばあさまを心配させてしまいますから

メギルとはエルフ語で剣を差す
僕が使うのは、痛悼の共鳴鏡刃

僕を紅く染めるですって?
いけませんね
僕が、貴方を僕色に染めるのです
そこを間違えては、いけません

スピアはオーラ防御しつつ、避ける様にしましょう
長い得物を避け、短い得物を当てる

華麗にね
淑女の前では、格好つけたいのですよ




「どけどけェ!」
「我々はこの国を壊し、掌握し、我らが女王様の君臨する新たな理想郷に作り替えねばならぬ!」
 威勢よく叫んでは蹂躙を繰り返すトランプ兵たちは、突き飛ばした老婆に気づきもしません。尻もちをついた彼女へ、優しく手を差し伸べる者がおりました。
「ギモーヴのおばあさま、お手をどうぞ」
「おやおや、ありがとうねえ」
 白に近い灰色の、ふわふわのお耳と尻尾を持つ少年、ルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)です。まだまだ幼さの残る彼だけれど、一人前の紳士のように洗練された動きで、ギモーヴばあさんを助け起こします。
「大丈夫でございますか」
「なに、すぐに戻るさね」
 柔らかいお菓子でできたお顔は、先ほどまではぺっしゃんこになってしまっていましたが、既にすこうし膨らんできているようです。安堵の笑みを漏らしたルベルが、きっとトランプ兵たちを睨みつけました。
「あの兵は淑女の扱いを知らぬと見えますな」
 全くもって許しがたいことです。女王陛下とやらのためならば何をしても良いなどとは!
 ならば僕は、愛らしいおばあさまのために戦いましょう。
 翻る夕闇がルベルの華奢な身体を大きく見せました。その手には、人を護るための剣が握られています。痛悼の鏡刃が共鳴しているのは、ルベルが宿す死霊にでしょうか。己が決して成れない、人というものにでしょうか。
「邪魔する者には容赦はせぬ!」
「赤く、染め上げてやれ!」
 襲い来るハートのスピアたちを、ルベルは最小限の動きで避けながら距離を詰めていきます。練り上げたオーラが軌道を逸らせば、ルベルを阻むものは何もありません。
「僕を紅く染める、ですって?」
 ――いけませんね。僕が、貴方を僕色に染めるのです。そこを間違えては、いけませんよ。
 スピアよりも短いその刃が、鮮やかにトランプ兵達を屠っていきました。
 実に軽やかに立ち回るルベルが、その強力な術の代償に身体を蝕まれているなどとは、トランプ兵も、後ろに控えるご婦人も気づかなかった事でありましょう。
 血さえ流れなければ、それを隠し通すことなど、己を燃やし尽くすように生きるこの少年には容易いことなのです。
 だって。
 ――淑女の前では、格好つけたいのですよ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オズ・ケストナー
セロ(f06061)と

いそいでみんなをたすけよう
わあ、ラファガだっ
セロもラファガもありがとう
ぎゅっと掴まって
だいじょうぶ、いこうっ

飛び込みながらガジェットショータイム
出るのは大きな刷毛
武器受けしながら
えーいっ
薙げば兜にべっとり赤いインク
ほら、あかくそまったよっ

でしょ、ってセロに得意げに笑み返す

すんと香りを嗅げば
いちごジャムだっ
ふふ、おいしいものはぜんぶおわったらだよ

わたしがふせぐから、そのすきにおねがいねっ
視界を奪いながら生命力吸収
戦う子たちに
いまだよって合図

わあ、セロあたまいいっ
みんなが遠くから攻撃できるなら
斧に持ち替えて30㎝以内に相手を入れない戦法

はやく女王さまのところにいかなくちゃねっ


セロ・アルコイリス
オズ(f01136)と!

またかわいい世界ですね!
先に戦ってくれてる子達を救うためにラファガで急行しますよ
振り落とされねーでくださいね、オズ!

オズの目隠しが巧くいったなら
おお、ほんとだ、もう奴らの願いは叶っちまいましたね!なんて笑って
戦いに不利そうな愉快な仲間をまずは掬って離れたところに逃しつつ
……うう、腹減って来ますね

共に戦う子達のフォローを中心に動く

30cm以内に近付かなきゃ当たんねーんでしょ?
なら飛行戦のまたヒットエンドラン
必要とあればおれも近付く奴を蜃気楼で吹き飛ばす

ですね
女王サマもいちごジャムで満足してくれたらいいんですけど
焼き立てのパンに塗ったりヨーグルトに入れたり
あー腹減るなあ




「またかわいい世界ですね!」
 世界が起きるその時のいろが、不思議の国を見下ろして。
「いそいでみんなを助けよう」
 産まれたばかりの子猫のいろが、こくりと頷きます。
 東雲色がセロ・アルコイリス(花盗人・f06061)、キトンブルーがオズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)。
 ふたりの人形たちは、大きな翼竜に乗って大空をびゅんびゅん飛んでゆきます。トランプ兵さんたちが悪さをしているところまで、文字通りひとっとびです!
「振り落とされねーでくださいね、オズ!」
「うん、だいじょうぶ。セロもラファガもありがとう。いこうっ」
 ぎゅっと白い身体に掴まって、友と翼竜の名を呼ぶオズの眸が、きらきらと子どものように輝いていました。
 標的を見つけたラファガが高度を落とし、ぎゅんっとトランプ兵の群れへ飛び込んでいきます。
「敵襲か!?」
「怯むな! 立ち向か」
 トランプ兵の言葉は途中で途切れてしまいました。ラファガとトランプ兵たちが交錯する瞬間、オズが召喚した大きな刷毛が、えーいっと振るわれたからです。
 不思議なガジェットから飛び出したのは不思議な赤いインク。トランプ兵たちの真鍮の兜にべっとりへばりついて、その視界を奪ってしまいます。
「ほら、あかくそまったよっ」
「おお、ほんとだ、もう奴らの願いは叶っちまいましたね!」
 ラファガを駆るセロもにっこり笑顔です。これで彼らも女王様には怒られずに済みますかね? たぶん残念ながら、そんなことはねーですけど!
「えへへ、でしょー?」
 オズが得意げに微笑み返している間にも、セロはラファガにお願いしながら、戦いが苦手そうな愉快な仲間たちから掬って離れたところに逃がしてあげていました。
 クッキーにブラウニー、チョコレートにチーズケーキ、いろんな人たちを安全なところに避難させていきます。変わったところでは甘納豆の愉快な仲間まで!
「……うう、腹減ってきますね」
 戦場に残って力を振るう仲間たちも、とっても美味しそうな姿をしているのですから、思わずセロがぼやいてしまいます。
「それに、なんだかいい匂いまで……」
 セロの呟きに、オズもすんっと鼻をひくつかせて。
「いちごジャムだっ」
 ぱあっと子猫の青が輝きました。なんとその香りはオズからしていたのです。正確には、オズの刷毛から出る赤インクから。
「ふふ、おいしいものはぜんぶおわったらだよ、セロ」
「仕方ねーですね」
 二人と一匹の避難誘導が終わった頃、いちごジャムを何とかふきふきしたトランプ兵たちが襲い掛かってきました。
「でも、うんと近づかなきゃ当たんねーんでしょ?」
 なららくしょーらくしょー♪ ふわりと舞いあがったラファガの上、セロが握るフリントロック式の骨董銃がトランプ兵を蹴散らします。
「わあ、セロあたまいいっ。ようしっ」
 オズが目を遣ったのは、懸命にトランプ兵へと立ち向かう愉快な仲間たち。
「わたしがふせぐから、そのすきにおねがいねっ」
 プレッツェルの剣で応戦する彼らを助けるように、視界奪うイチゴジャムを飛ばします。
「いまだよっ」
「ありがとう、助かる!」
 オズの作った隙を逃さず、敵を蹴散らすプレッツェル剣士。
 チョコのパラソルから魔法を放つ魔法使いたちを助ける時は、オズは武器を斧に持ち替えて。
「わたしたちがあいてだよ、なんてねっ」
 トランプ兵たちの射程から護るように立ちふさがります。
 ひとりひとりの力は猟兵よりは弱いけれど、皆で力を合わせれば、トランプ兵だって蹴散らせるのです。
「けど、はやく女王さまのところにいかなくちゃねっ」
「ですね。女王サマもいちごジャムで満足してくれたらいいんですけど」
 美味しいですよ、いちごジャム。いちごジャムがあれば争う必要なんてねーと思うんですけどね。焼きたてのパンに塗ったりヨーグルトに入れたり……。
「あー、腹減るなあ」
 想像でますます自分自身の腹を追いつめてしまって、セロはしょんぼり。
 そんなセロに笑みを零しながら、オズは斧を振るったのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

バンリ・ガリャンテ
雷香(f17947)と
【POW】
甘やかな幸せで満ちた国に、あなた達何用だ?
それすら分からぬままに進むんだから哀れだね。
雷香の御降らせになる雨がその身を打ち拉ぐ事だろう。
【SUGAR ME(攻撃回数重視)】発動
群がる奴らを焼却して掻き分けよう。 
雷香にも愉快なお仲間さんにもひとひらだって触れさせない。
彼らに注ぐ攻撃はすべて見切って武器受けし
仮初めの命だろうと吸い尽くす。
礼状取り出す側から地獄炎で薙ぎ払って捨てていく。
伯爵さんや夫人さんの華麗な援護を受けて共に範囲攻撃。
有難うな。あなた方こそがこの国の幸いさ。
薄っぺらのお身体を焦がし痩せぎすの心さえ焼き切ってやる。

さぁ続々と塵になれ。


狛居坂・雷香
バンリ(f10655)と
それは……そう、とても、悲しいお話ですね。
あるいは、彼らには平和や笑顔が、わたしたちにとっての戦争や痛みになるのでしょうか。
……どちらにせよ、彼らの狼藉を許すことはできませんし、わたしたちの平和や笑顔も諦められません。
【気象治定・青天の霹靂】で、天候を雨に定めます。
雷も当たれば御の字ですが、今回の主役はほんの一時の通り雨。
濡れて弱った紙の身体で、その重い四肢を動かすのは辛いでしょう?
雨上がりで動きの鈍った後は、バンリの炎と、愉快な仲間達さんの力をお借りして、道を拓いてしまいましょう。
私も風の力……吹き飛ばしで、微力ながら協力します。




 地に足をつけない女の子。ふわふわとなびく青緑の髪のように、どこかほわりとした目線がトランプ兵達を見遣ります。
 白い指先が電子機器を操作するかのように宙を滑りました。さながら現代版の魔法使いといった動作で彼女が操るのは、ほんの少しだけ天候に干渉する力。
 先程までは青く澄み渡っていた空を、みるみるうちに昏い雲が覆い尽くし、重たくたちこめるそれらが臨界点に達した時、バケツをひっくり返したような雨となって降り注ぎます。
 狛居坂・雷香(能天気予報少女・f17947)の持つ、それはとても強力な力です。強力な代わりに局地的。降り注ぐ霹靂は雷香の眸というファインダーの先にしかない。
 けれど、それで十分なのです。トランプ兵たちのぺらぺらぺらの身体では、雨で濡れただけで重たい頭も四肢も支えきれなくなってしまいます。
 ぴかりと轟いた雷鳴は、そのどれかを刺し抜いたでしょうか。その雷鳴をものともせず、不思議な髪色の少女がそこに在りました。
「甘やかな幸せで満ちた国に、あなた達何用だ?」
 ――それすら分からぬままに進むんだから哀れだね。
 ぽつり呟いたのはバンリ・ガリャンテ(Remember Me・f10655)。
「すべては女王様の御心のままに!」
 ふらつくトランプ兵の言葉からはやはり何も分からず、バンリはちいさくかぶりを振りました。
 忠誠か、はたまた恐怖か。従うもののために奪いに来た彼らでも、何のために何を奪いにきたのかは、てんで判っていないのでしょう。
 奪われた何かが、何なのかもわからないほどに奪われたバンリは。その憤りをサウンドソルジャーとしての力にしたいけれど、やはりその口からは嘆きは生まれることはありません。
 代わりに手繰り寄せたのは身体のどこかに生じた地獄の炎。
 わめくように湧き上がる炎は、激しい雨の中でも一向に衰えず、兵隊たちを燃やし尽くし道を拓きます。
「それは……そう、とても、悲しいお話ですね」
 こくり、と雷香が頷きました。
「あるいは、彼らには平和や笑顔が、わたしたちにとっての戦争や痛みになるのでしょうか」
 だとしたらきっと、こうして命を燃やし合うほかないのでしょう。雷香は風の力を纏わせ、令状取り出しこちらの動きを封じようとした兵隊を吹き飛ばします。
「……どちらにせよ、彼らの狼藉を許すことはできませんし、わたしたちの平和や笑顔も諦められません」
「ああ。雷香にも愉快なお仲間さんにもひとひらだって触れさせない」
 炎纏い輝くバンリは文字通りトランプ兵たちの格好の的。集中する攻撃を文字通り受け止めて、その命を炎が吸い尽くします。
 動きを封じる令状が読み上げられようとすれば、キャンディ頭の女の子が飴玉鉄砲を放ち、トランプ兵の手を撃ちました。ぽろりと令状が地面に落ちたところを、
「有難うな。あなた方こそがこの国の幸いさ」
 薄っぺらのお身体も、痩せぎすの心も、燃やして焦がして焼き切ってやるとも。
 炎はひときわ明るく燃えて、活路を見出す光となります。嘆きを紡げぬ歌うたいの、地獄の炎さえ甘美です。
「さぁ続々と塵になれ」
「微力ながら、私も協力します」
 雷香の力が爆ぜ、風がトランプ兵たちを吹き飛ばしました。がしゃん、がしゃんと重たい音を立て、トランプ兵たちが地面に積み重なって斃れました。
「今なら、突破できそうです」
「よし」
 目を交わし合う二人。彼女達のおかげで愉快な仲間達も健在、他の猟兵達も気配もします。任せてしまって大丈夫そうです。
 開いた道を駆け抜けて、二人は『女王様』のもとへと向かうのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

終夜・嵐吾
せーちゃん(f00502)と

ぺらっぺらじゃの~!
あれは虚の爪と一緒に遊んでも楽しくなさそじゃな
派手に散らして燃やすと迷惑かけてしまうかもしれん、一か所に集めて燃やしてしまお
それでええかな、せーちゃ……ガン見?なにを…
…せーちゃん、あの伯爵や夫人は食べれんからな
あとでパフェ作ってもらお、わしのも一口あげるからの

狐火をいくつか躍らせて、蹂躙されそうになっとる子がおったらかばう
こーんな楽しくておいしそな国をめちゃくちゃにするなど、風情がないもの達じゃなぁ

愉快な仲間たち吐息合わせ、その行く道を作ろう
あとはせーちゃんがしゅばっとどうにかしてくれるじゃろ
甘味のために張り切っておるしの
あっ、容赦ない……


筧・清史郎
らんらん(f05366)と

俺は甘い物が好きだ(超絶甘党
だがその為にまずは、オウガを斃さなければだな
安心してくれ、イチゴ伯爵に妖精さん、シュークリーム夫人
必ずやこの国を平和にしてみせよう
ところで…俺は甘い物がとても好きだ(仲間たちガン見しつつも微笑み
パフェ楽しみだな、らんらん(一等涼しい笑顔
ああ、交換こしよう

さて、では張り切って参ろうか、らんらん
甘味を脅かすとは、不届きにも程がある
仲間たちとも力を合わせ、彼らを庇い守りつつ
友と連携し桜吹雪舞わせた刀で、トランプどもを召集令状ごと斬り伏せてやろう

数が多いので、道を作るべく、斬るべき敵を見極めつつ
甘味が俺を待っているのでな
次々と斬っていこうか(微笑み




「ところでらんらん、俺は甘い物が好きだ」
 赤の中に、ほんの微かに髪の青を拝借したような、不思議な色の眸。
 筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)の眼差しは、いつになく真剣です。
「だがその為にまずは、オウガを斃さなければだな」
 その先に待っているとびっきりのご褒美を思えば、自ずと刀握る手にも力が籠るというもの。
「そういうことじゃ、せーちゃん」
 愛称に愛称で返しつつ、それにしても、とトランプ兵に目を遣ったのは終夜・嵐吾(灰青・f05366)。立派な髪も、狐の耳や尻尾の艶やかな毛並みも、青を帯びた灰色の、隻眼の男性です。
「ぺらっぺらじゃの~! あれは虚の爪と一緒に遊んでも楽しくなさそじゃな」
 狩りに、或いは戯れに付き合って貰うには、どうにも物足りなそうです。
「派手に散らして燃やすと迷惑かけてしまうかもしれん、一か所に集めて燃やしてしまお。それでええかな、せーちゃ……」
 トランプ兵に聞かれないように、ひそひそ小聲で話しかけた嵐吾ですが、清史郎は嵐吾の方を見ようともしません。聞こえなかったんかな、と聲をかけ直そうとしたところで、清史郎がじいっと見つめている者たちに気づきます。
「イチゴ伯爵に妖精さん。それにシュークリーム夫人。安心してくれ、必ずやこの国を平和にしてみせよう」
 彼らの名を、清史郎が口にして。
 真剣なまなざしが、ふっと和らぎました。
「ところで……俺は甘い物がとても好きだ」
 とっても大事なことなので、二回言いました。しかし『甘い物』の姿をした愉快な仲間たちを見つめてのこの言葉は、なんだか少しあぶないような?
「……せーちゃん、あの伯爵や夫人は食べれんからな」
 わたわたする伯爵たちと清史郎の間にそれとなく入りつつ、嵐吾が溜息交じりにフォローです。
 まさか本当に彼らをぱくりとしてしまう気はないのでしょうけれど、普段通りのゆるりとした口ぶりも涼やかな笑みも、どうにも冗談を言っているようには見えないのが困りものなのでした。
「あとでパフェ作ってもらお、わしのも一口あげるからの」
「ああ、交換こしよう。……パフェ楽しみだな、らんらん」
 にっこりと。
 清史郎の笑みは一等涼しく、一等雅で、一等嬉しそうでありました。


「さて、では張り切って参ろうか、らんらん」
 ――甘味を脅かすとは、不届きにも程がある。全くもって!
 桜纏う刀を振るう清史郎の背後、無数の狐火が浮かび上がりました。嵐吾の操る炎です。
「こーんな楽しくておいしそな国をめちゃくちゃにするなど、風情がないもの達じゃなぁ」
 まるで意思を持っているかのように自在に動く炎が、兵隊たちに襲い掛かります。
 ただ燃やしているだけではありません。トランプ兵たちを取り囲むように放たれた炎は、彼らが散り散りにならないように包囲して、ひとかたまりに追い込んでいきます。『迷惑をかけないように、一か所に集めて』――打合せ通りです。
 応戦する愉快な仲間達に被害が及ばないように狐火を躍らせつつ、息を合わせてトランプ兵の数を減らしてゆきました。
「あとはせーちゃんがしゅばっとどうにかしてくれるじゃろ」
 云うが早いか、しゅばっと小気味よい音がしました。蒼き刀に宿る桜は吹雪のように荒れ狂い、ひとたび振るえばトランプ兵は召集令状ごとまっぷたつです。
 優先すべきは道を作る事。全てを相手どれない中で、斬るべき敵を即座に見極める事。
「甘味が俺を待っているのでな。次々と斬っていこうか」
「容赦ない……」
 清史郎が張り切っているのは嵐吾も知っていましたが、予想以上の剣幕です。といっても表情はいつも通りの涼やかスマイルではありました。
「うむ、甘味が絡んだ時のせーちゃんは実に頼もしいの」
 負けてはいられんか、と嵐吾も炎を操り続けたのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リアム・ペンタス
アドリブ歓迎

オスカー(f19434)とは初対面
オウガがいると聞いたから退治しに来たのだけれど
可愛い小雀さん、よかったら一緒に共闘してくださらない?
あたし、戦闘は久々で少し不安なのよね
無事倒したら、一緒にこの国で食べられるっていうパフェも食べにいきましょ?
と共闘に誘う

傘を畳んで槍に持ち替えたら
UC【リアライズ・ホステリティー】発動
物騒で可愛い兎ちゃんたち、あたしの敵を切り刻んでちょうだいな
なんなら女王様の代わりに首を刎ねてもいいわ

さあ私も働かなくちゃね
道を拓くことを優先しなくちゃだし
オーラ防御したまま捨て身でランスチャージして敵陣に突っ込んで蹴散らすわ
攻撃は槍で盾受けして負傷は激痛耐性耐えましょ


オスカー・ローレスト
リアム(f19621)と、共闘……
初対面、だけど……俺も、オウガの襲撃はみ、見過ごせない、から……、よ、よろしく……か、可愛いって、俺の、事……?(自分に自信が無い小雀、自覚なし

ぱ、パフェは……甘い物とか、果実は好き、だし……でも、あんまり沢山は食べれる方じゃなくて……そ、それでも、お、俺なんかでよけれ、ば……(初対面の上に誘ってくれるリアムに挙動不審になる小雀

俺は、基本後衛で、トランプ兵の攻撃範囲外から動く、よ……【切実なる願いの矢】で……前衛で動いてくれるリアムや、目くらまししてくれる妖精達に敵が攻撃しにくいように、敵の手元や足元を狙って【援護射撃】していく、よ……(【スナイパー】併用




「オウガがいると聞いたから退治しに来たのだけれど……」
 辺りを見回す淡桃色の髪の時計ウサギ、リアム・ペンタス(星屑の道標・f19621)。星屑を鏤めた傘が影をおとす貌はとろりと淑やかな貴婦人のそれで、けれどそれにしては背はすらりと高く、聲は穏やかに低く。
 さて、『彼』の視線の先には小柄な青年が震えておりました。オスカー・ローレスト(小さくとも奮う者・f19434)です。明るく甘い色合いのこの国の中で、喪に伏すための黒服に身を包んでいるオスカーは却って目立っておりました。薄い面布の奥、涙ぐんだ眸が、それでも懸命に他の猟兵達と交戦しているトランプ兵を見据えていました。
「そこの可愛い小雀さん」
「ぴぃっ!?」
 いきなり聲をかけられて、オスカーがびくんと肩を震わせました。恐る恐る聲のした方を向いてみます。聲の主が優しそうな『お姉さん』であった事にまず安堵し、それからよくよくその言葉を反芻してみます。
『小雀さん』はわかります。オスカーの背には一部ちぎられているものの、雀の羽があるのです。
 けれど『可愛い』とはどういう事でしょう。自分の他にも小さい雀がいるのでしょうか?
「いやいや、あなたの事よ、小雀さん」
 思わず振り向いてしまったオスカーに、リアムがくすくすと笑みを零しました。
「お、俺……?」
 低めの背丈よりも更に自己肯定感の低いオスカーは、ぱちぱちと眼をまたたかせます。
「そう。良かったら一緒に共闘してくださらない? あたし、戦闘は久々で少し不安なのよね」
 あなたがいれば心強いわ、とリアムはオスカーの腕を見下ろします。そこにはクロスボウが装着されておりました。
「無事倒したら、一緒にこの国で食べられるっていうパフェも食べにいきましょ?」
「……ぱ、パフェは……甘い物とか、果実は好き、だし……でも、あんまり食べれる方じゃなくて」
 初対面の相手に物怖じしないどころか優しく誘ってくれて、しかも押しつけがましくない。貴婦人の眩しさにわたわたしつつも、オスカーは懸命に言葉を紡ぎます。
「……でも、その、お、俺なんかでよけれ、ば」
「助かるわ。量が食べられないなら、その分うんと美味しいパフェを作ってもらいましょ」
 星屑の傘を畳んだリアムの手には、いつのまにか槍が握られておりました。


「増援か!?」
「怯むな! このままでは、我々が首を刎ねられてしまうッ!」
 負けるわけにはいかないのだと、分身するように数を増やすトランプ兵たち。
「あらあら、同じカードがそう何枚もあっては、ゲームにならないじゃない」
 リアムが呼ぶのは彼女と同じウサギたち。ただしその姿は化物じみていて、その額には拷問道具じみた刃物の角が宿っていました。
「さあ、物騒で可愛い兎ちゃんたち」
 ――あたしの敵を、斬り刻んでちょうだいな。
 主人が敵と見定めた兵隊たちへ、兎たちがぴょんと飛び掛かります。兎の刃物が、トランプ兵の首が、舞う、舞う、舞う。
「くッ……!」
 槍での一撃を兎たちやリアムから逸らすように、飴細工の妖精たちもふわりと舞って目くらましをしてくれています。おかげで彼らは無事ですが、後方から魔法の槍を打つオスカーにとっては気が気ではありません。
(「あんな小さい子達……少しでも俺の、ね、狙いがズレたら、大変なことに、なる」)
 オスカーの脳裏に浮かぶのはかつての光景です。自分が矢を放てば、辺りはアリスの悲鳴とオウガ達の狂喜で満たされた――狂った『舞台』から解放されても、未だオスカーを蝕む忌まわしい記憶。
(「当たらないで、当たらないでおくれよ……!」)
 貌は蒼白で、ぎゅっと唇を噛みしめて、けれどオスカーの切実な願いを込めた魔力の矢は、兵隊たちの槍を握る手元を、兎を突け狙う足元を、実に正確に撃ち抜いていきます。
「さて、私も働かなくちゃね」
 最小限のオーラ防御だけを展開し、リアムが槍を手に敵陣を蹴散らしてゆきます。その勇猛なランスチャージは、彼女自身が騎士の槍になったかのよう。
 トランプ兵たちは知る事になるでしょう。ハートの女王様の槍よりもアリスナイトの槍が、そして勇気の矢が、つよいことを。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夕時雨・沙羅羅
きらきらきれいで、かわいいがつまっていて、しかも、おいしい
素晴らしきパフェ
それを生業にする国、守るべき
アリスだって、きっと喜ぶ

そら、邪魔、じゃま
トランプひと束、52枚?
ジョーカーはいるか?それ以上?
女王の処刑で止まるなら、何枚だっていっしょ
ざぶんと飲んで、沈めて、流してしまおう
それとも、お前たちをパフェに飾るのも良いかもしれないな
…なんて、冗談
憎いオウガ、いつだって僕はお前たちが滅ぶこと、願ってる
僕たち愉快な仲間が、何度だって、倒して、
国も、アリスも、守る
守るんだ

協力してくれる、この国の仲間
無茶、しないで
感謝はするけど、あなたたちも、守りたい
僕は
とても、あなたたちのパフェを、楽しみにしてるから




 ――透ける水尾に、「君」が好きなものを集めている。
 いつか、綺麗な聲が歌っていたから、彼の名前は夕時雨・沙羅羅(あめだまり・f21090)。
「きらきらきれいで、かわいいがつまっていて、しかも、おいしい。素晴らしきパフェ」
 それを生業にする国、守るべき。アリスだって、きっと喜ぶ。
 ぽつりぽつりと、言葉は雨雫のように。けれど静かな決意を込めて、呟かれておりました。
「に、……人魚!?」
 沙羅羅の透き通る鰭を見たトランプ兵達が驚愕の聲をあげました。
「人魚の姫が描かれた童話があったな。だが童話の主役となるような逸材は、我らが女王様ただ一人でよい! かかれッ!」
 沙羅羅がプリンセスであることは知らない筈ですが、いやに狼狽えるトランプ兵たちです。女王様への畏怖を糧に、彼らはその数を増やしてゆきます。
「トランプひと束、52枚? ジョーカーはいるか? ……それ以上、かな」
 その数を把握しきれないほどに、視界を埋め尽くすトランプ兵たち。――でも。
「女王の処刑で止まるなら、何枚だっていっしょ」
 そしていっしょなら、何も処刑するのは女王でなくてもよいのです。沙羅羅の鰭が、水もないのにぱしゃんと音を立てました。いえ、水はそこに生まれていました。そして淡く光る飛沫をあげた沙羅羅は、おおきな水のさかなになっておりました。
 もう一度、確かにうまれた水面を叩けば、革命の如き波がオウガ達を飲んで、沈めて、流してしまいます。
「お前たち、残った者はパフェに飾るのも良いかもしれないな……なんて」
 冗談を云ってみたけれど、沙羅羅自身にとってもあまりおもしろくはありませんでした。だって相手は憎いオウガ。この世界を虐げるものたち。きれいで美味しいパフェに乗せるのは、あまり得策とは思えません。
「いつだって僕たちはお前たちが滅ぶこと、願ってる」
 だから。僕たち愉快な仲間が、何度だって、倒して。
 国も、アリスも、守る。
 守るんだ。

 背後では、愉快な仲間達が魔法弾で応戦してくれていました。
「無茶、しないで。感謝はするけど、あなたたちも、守りたい」
 さかなの表情は変わらないけれど、その言葉はとても真摯でした。
「――僕は。とても、あなたたちのパフェを、楽しみにしてるから」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティル・レーヴェ
ライラック殿(f01246)と

甘く愛らしい世界にその住人達
愛おしき其れを蹂躙するなど許し難い

うむ、ライラック殿!
彼の言葉に頷き踏み出す一歩
涙の塩味も混じらぬ様に
先に戦う甘き仲間達へと手を差し伸べて

纏う衣の力で彼らを癒し
怪我深き者が居れば間に入り『かばう』
妾は甘き幸が大好きじゃ
共にこの世界を護らせて

衣通して感じるは交戦せし皆の力
敵味方其々に
力振るう裡に抱く想いがあろう
その全てを受け止め糧として

彼が紡ぐ問いへ返す兵等にも
各々理由があろうが
満ちる幸は甘き彼等のもの
奪う事など許さぬ

得た力で増えた手数は
聖痕での癒しを主に
十分ならば攻めに転ず

楽しげな彼には同意して
御伽めいた戦場も
護りし先に想像の糧となろう


ライラック・エアルオウルズ
ティルさん(f07995)と

壊され崩れる甘い国、
甘味好きには耐え難い景だ
そも、傷付く子も居るとあれば
情状酌量の余地無しだろう

――往こう、ティルさん
想像に苦みの混ざらぬよう
甘味を美味しく頂く為にも

然して、それ程に女王は怖い?
素敵な国を台無しにする程に?
懐から手帳出し兵へ問い、
槍に寄らぬ様に黒獣を放ち
槍狙い《武器落とし》試みて
組み付く兵から味方《庇い》、
喰らい付き《カウンター》を

僕の力も貴方の糧になるの、
何だかこう、――嬉しいな
傷癒えた子には声掛けて、
隙突く様に御願いしようか

入り乱れた行進は絵本めいて、
心做しか表情は楽し気に
皆で道を切り拓こう
先で形となる甘い想像は、
きっと素敵なものだから




 反旗を翻した愉快な仲間達。加勢する猟兵達。
 彼らの共闘によって兵達は数を減らしてはいるものの、未だ退く様子は見られません。
「壊され崩れる甘い国、甘味好きには耐え難い景だ」
 告げるライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)の丸眼鏡の奥、名前と同じ花のいろをした眸が静かにトランプ兵たちを見据えました。
「そも、傷付く子も居るとあれば情状酌量の余地無しだろう」
「その通りじゃ!」
 銀帯びた緑色の髪の少女がこくりと頷きます。ティル・レーヴェ(福音の蕾・f07995)です。
「甘く愛らしい世界にその住人達。愛おしき其れを蹂躙するなど許し難い」
 籠の鳥か、はたまた天使か。線の細い儚げな容姿とは裏腹に、ティルの言葉は随分と古風なもの。けれど付き合い深いライラックの耳には、それがまた心地よく。
「――往こう、ティルさん。想像に苦みの混ざらぬよう、甘味を美味しく頂く為にも」
「うむ、ライラック殿! 涙の塩味も混じらぬ様に!」
 甘さを惹き立てるように計算づくめの苦みや塩味はともかく、強制的に差し込まれるそれらなどはまっぴらごめんです。


 ステッキ振るい応戦するイチゴ伯爵。洗練された動きで敵をいなしていきますが、彼も無傷とはいきません。
「……キリがありませんね」
 上質なスーツも今ではぼろぼろです。脚が痛むのか、低く呻いて体勢を崩しかけた所に、ハートのスピアが襲い掛かります。
「イチゴの赤では女王様は満足せぬ! もっと赤く赤く、染め上げねば――ッ!」
 けれど身を翻し、割入ったティルが一撃を受け止めました。少女の身体が彼らの望む赤を流し――と思えば、その姿がみるみる変わっていきます。聖衣が癒しの光を放ち、流れかけた赤も甘き仲間達の傷も、ふわりと優しく包んでは治癒してゆきました。
「立てるかの?」
「ああ……かたじけない」
 ティルの差し伸べた手を取り、イチゴ伯爵が立ち上がります。
「然して、それ程に女王は怖い? 素敵な国を台無しにする程に?」
 ライラックの問いはあくまで穏やかで、けれど不思議を愛する彼が手帳を手に口にすれば、決して尽きない『好奇心』が牙を剥くのです。
「貴様は女王様を知らぬゆえ、そのような口が叩けるのだ!」
「首を刎ねられたくなくば大人しく……ぐぁッ!」
 兵たちの言葉は月並みで、まるで何かの頁をなぞっているよう。黒獣が満たされるはずもなく、振るった爪が兵隊自慢のスピアを叩き落します。
 ならば、と令状読み上げ束になったトランプ兵たちが、守りの薄い愉快な仲間を組み敷こうとしても。
 仲間を庇い敢えて標的となったライラックが、カウンターの要領で兵隊たちを蹴散らします。
 その時生じた僅かな傷でさえも、ティルの夜明けの光が塞いでゆきます。
「僕の力も貴方の糧になるの、何だかこう――嬉しいな」
 ライラックが微笑みました。ティルが微笑み返します。言葉にせずとも、ライラックの想いが、愛すべき国を護るために奮闘する仲間達の想いが、聖衣を通じてティルの中に流れ込んでくるようでした。
 裡にした想いは、そのままティルの力となります。
「彼が紡ぐ問いへ返す兵等にも各々理由があろうが――満ちる幸は甘き彼等のもの。奪う事など許さぬ」
 光は尚強く戦場に降り注ぎ、護るものたちを癒し、奪うものたちを貫いてゆきます。
 軌道の見えぬ攻撃に、兵隊たちは統率もとれずあたふた戸惑い、しっちゃかめっちゃかな始末です。その様子がなんだかでたらめな絵本みたいで、ライラックの表情はどこか楽し気です。
「さ、皆で道を切り拓こう。先で形となる甘い想像は、きっと素敵なものだから」
「御伽めいた戦場も、護りし先に想像の糧となろう」
 同意を示したティルの光が、ライラックの怪物が、仲間達の一斉攻撃が、轍となってゆきます。
 幾千の空想を旅しても、未知は楽しいものですから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ラフィ・シザー
【童話家族】
ふふ、家族全員で出かけるのは久しぶりだな♪
イメージパフェ今から楽しみだ。
みんなのパフェはどんなふうになるんだろう。
ん?もちろんファンにーちゃんのもだぜ?

みんなでパフェを食べるためにもここのオウガをやっつけないとな。
でも、今日はみんながいるから心強いや♪

とにかく数が多いから減らさないとな。
UC【Dancing Scissors】
トランプの兵隊さん達を切り刻んでやるぜ!
ふふん、兵隊さんの攻撃もそこからじゃあ届かないだろう?
pureを【投擲】して牽制しつつ後方にトランプ兵が行かないように足止め。


ファン・ダッシュウッド
【童話家族】

ぱふぇ……ですか?
前に本で読んだ事はありますが
実際に食べるのは、今回が初めてですね
皆さんのイメージパフェ、今から楽しみで……
え、あ、僕もですか?(まさかの声に目を瞬かせて

邪魔者は貴方達の方です
白色の薔薇を赤く染める為、塗料はたっぷりと
真っ赤な塗料をお持ちでないならば
貴方達の首を刎ねてしまいましょうか

まずは掃除からですね
僕も前衛を努めましょうか
『クロ』を槍形態に変えて、敵の密集地帯目掛けて
UC:砕禍を発動

一度で駄目ならば何度でも
敵が多い場所へ【範囲攻撃】を
他の人に攻撃が向かいそうになれば
対象の敵に向けて【串刺し】による【部位破壊】
……大人しく殺されて下さいね?


アナンシ・メイスフィールド
【童話家族】

皆のイメージのパフェを食べられるのかね
私はどの様な味になるのかも気になるけれども皆のパフェはどの様な物だろうね?…ふふ、楽しみなのだよ

戦闘時は敵の攻撃範囲に入らぬ様間合いに注意しつつラフィ君の鋏から逃れた敵を地から生じさせた蜘蛛足【贄への誘い】にて敵を貫き【暗殺】して行こうと思うよ
ふふ、うちのこたちは何時も元気だねえ
あと前衛で戦う子や住民に迫る敵を見れば敵の攻撃を邪魔する様に【贄への誘い】を
もし間合いに入られてしまった攻撃は『オーラ防御』と仕込み杖の剣にて『武器受け』、『カウンター』にて反撃を
ははは、本当に数が多いねえ
いやはや、少々疲れてきたのだけれども…さて、残りは如何程かな?


アリア・モーント
【童話家族】
久しぶりのお出かけなのよ?お出かけなのだわ!

イメージパフェ…!
パフェだけでもとーっても美味しそうなのにお兄様たちやパパやママのイメージのパフェなんて…
わたし、今からとっても楽しみなのよ!

だから、ね?
白い薔薇は赤い薔薇に
ペンキじゃダメよ?ダメなのだわ!
首をはねれば見えるのかしら?
トランプさんの真っ赤なアレが!

わたしとママは後ろでお留守番なのよ?
だって前にはパパとファンお兄様とラフィお兄様の鋏があるもの!
家族を【鼓舞】する魔法の歌と
【空中浮遊】の魔法の歌を【歌唱】したら準備完了!
【多重詠唱】で【硝子迷宮演目「Nigella」】をいつもより広く響かせるの
そう、迷宮も広がるように!


鳳城・那由多
【童話家族】
久しぶりに皆さんとお出かけですね
皆さんのイメージ通りのパフェを見るのが楽しみですわ♪
しかし無粋な方々がいるようで…困りましたわ
そうね、みんなで倒してしまいましょう

私もアリアさんと一緒に後ろからサポートしましょう
【歌唱】で【おびき寄せ】たトランプ兵に【呪詛】の歌を贈りますわ
呪いで動きが鈍ったところを皆さんに攻撃してもらいますわ
負傷した方がいらっしゃったら
UC【シンフォニック・キュア】で回復いたしますわ

トランプ兵さんたちも
一緒にパフェを食べたらよろしいですのに
その方がずっと楽しいと思いますわよ?




 生まれも、育ちも、さまざまな猟兵たち。
 けれど同じ想いの元に集えば、孤独も空虚も埋めあう『家族』になれるのです。
 これは、そんな猟兵達の物語。

「久しぶりのお出かけなのよ? お出かけなのだわ!」
 大きな眸は青い紫陽花のよう。アリア・モーント(四片の歌姫・f19358)はとっても上機嫌、言葉は歌うように弾んでいます。
「イメージパフェ……! パフェだけでもとーっても美味しそうなのにお兄様たちやパパやママのイメージのパフェなんて……」
 んーっ、と言葉を溜めて。
「わたし、今からとっても楽しみなのよ!」
 移り気で狂気的な本質も、大好きなあまいものの前ではなりを潜めて。無邪気なだけの少女のように、ときめきを吐露します。
「ぱふぇ……ですか?」
 目をぱちぱちと瞬かせるのはファン・ダッシュウッド(狂獣飢餓・f19692)。その装いだけでなく、身体のすべてが色を手放したような、灰色の時計ウサギです。
「前に本で読んだことはありますが、実際に食べるのは今回が初めてですね。皆さんのイメージパフェ、今から楽しみで……」
「ん? もちろんファンにーちゃんのもだぜ?」
「え、あ、僕のですか?」
 聲を挟んだのはラフィ・シザー(【鋏ウサギ】・f19461)。同じ時計ウサギではありますが、こちらは黒を基調としているもののファンよりは随分と鮮やかです。少年と青年のはざまのような声音でそう云われ、ファンはまさか、と再びのおめめぱちくりです。長きに渡り幽閉され人々から隔離されてきたファンにしてみれば、自分の権利や主張といったものはどうにも置き去りにしがちなのですが。
「当り前だろ? 家族全員で出かけるのは久しぶりだし、みんなのパフェが楽しみだし♪」
 期待を示すように、ラフィの長い耳がぴょんと跳ねました。ラフィは絆を大切にする殺人鬼なのです。
 さて、家族というからには保護者に相当する者がいるのです。20歳のファンを筆頭に、年少組を子供達とするならば、残る二人がそれにあたるでしょう。
「皆のイメージのパフェを食べられるのかね」
 ひときわ長身の男性。インバネスコートに仕込み刀を携えた礼装、洗練された立ち居振る舞い――目にした者に生まれながらの紳士なのだと印象付けるような彼の真実は、実のところは彼自身も覚えてはいないのですが。
 アナンシ・メイスフィールド(記憶喪失のーーー・f17900)。焦燥感を押し込めた、蜘蛛の神です。
「私はどの様な味になるのかも気になるけれども――皆のパフェはどの様な物だろうね?」
「ええ、皆さんのイメージ通りのパフェを見るのが楽しみですわ♪ それに、久しぶりの皆さんとのお出かけも、心が弾みます」
 楽しみなのだよ、とアナンシが笑みを零せば、傍らの白を纏った女性が同調しました。
 鳳城・那由多(傍観察者・f22037)。透き通るような膚に白いロングドレスを纏った、穏やかな淑女といった佇まいの女性です。
 類まれなる歌声と容色で人々を魅了する彼女は、今日も柔和に微笑んでいました。ですが妖狐らしくヒトの全てを愛し受け止め許す彼女でも、ヒトならざる者達の所業まで許せるとは限りません。
「しかし無粋な方々がいるようで……困りましたわ」
 ふう、と那由多がため息をつくと。
「全く、けしからん者がいたものだよ」
「やっつけちゃうのね? やっつけちゃうのだわ!」
「はい、微力ながら全力を尽くします」
「でも、今日はみんながいるから心強いや♪」
 家族みんな、想いはひとつ。ふふ、と那由多が頷きました。
「そうね、みんなで倒してしまいましょう」


「むっ、何奴!?」
 トランプ兵の群れへ、真っ先に飛び込んだのはラフィです。トランプ兵たちが一斉にハート印のスピアを構えました。
「ひとに名前を訊く時は、まずは自分が名乗れって習わなかった?」
 揶揄うように薄く笑んだラフィが、その手に握った鋏をくるくるくると回します。するとどうでしょう! たちまちその鋏がずらりと増え、何十本もの刃が一斉にトランプ兵へと襲い掛かったのです!
「ふふん、そこからじゃ届かないだろう?」
 女王様直々に賜ったスピアは強力ですが、極めて短い射程しか持たないのです。対するラフィは無数の鋏を念動力で操り、十分に離れたところからの投擲を可能としておりました。
「さ、ダンスの始まりだ! 踊れ、踊れ!!」
 挑発的な物言いの奥、鏡色の眸が冷静に兵隊たちの動きを分析しています。後方へと突破されることのないように。くるりと空中で翻った刃が、今まさに駆け寄ろうとした兵隊を斬り刻みました。
「ぎゃあっ」
「怯むな! 突撃せよ!」
 吶喊の雄叫びをあげて走りくる群れを、アイスブルーの眸が静かに見つめておりました。
「流石、ラフィ君の鋏は頼もしい。しかし――いやはや、本当に数が多いねえ」
 紳士然としたアナンシが手にしているのはステッキ一本。それが鋭い刃を忍ばせていたとしても、『近づかなければ攻撃できない』のはカードの兵士たちと同じ?
 ……いいえ、そうではありません。記憶を失くしていても、アナンシは蜘蛛の神。そっと忍び寄る捕食者たちは、何も地上に糸を張り巡らせているとは限らないのです。
「な……ッ!?」
 鉄仮面の奥、トランプ兵に貌があるのなら、きっと目を剥いていたことでしょう。何もなかったはずの地面から、音もなく蜘蛛の脚が生じたのですから!
 ひ、と喉から漏れ出た聲が悲鳴になるよりも早く、蜘蛛の脚はトランプ兵の薄い身体を貫きました。次いで、力の抜けた兵を地面に引きずり込んでゆきました。
「ふふ、うちの子たちは何時も元気だねえ」
『贄』にすべき存在を蜘蛛に教えるアイスブルーの眼差しは穏やかなのに、どこかぞっとするような気配を帯びておりました。
「く、邪魔者め! 薔薇よりも赤く赤く、染めねばなるまいッ!」
 スピアを振り上げる兵隊たちに。
「邪魔者は貴方達の方です」
「そうよ、だから――ね?」
 同時に反応したのは、ファンとアリアです。
「白薔薇を染めるのならば、塗料はたっぷりと必要でしょう」
「塗料? ペンキじゃダメよ? ダメなのだわ!」
 口ずさむアリアの身体が、ふわりと魔法の詩を紡ぎ出します。
 それは家族たちを鼓舞する歌であり、同時に『Nigella』――硝子迷宮演目と名付けられた歌声でした。歌は戦場に響き渡り、いつのまにか硝子の迷宮を生み出しておりました。
 その歌声のように透き通った美しい硝子迷宮。だけどそこは、迷えば迷うほど命を奪われる歌姫(殺人鬼)の『狩場』でしかない!
「逃げてもいいのよ? パパとお兄様達が捕まえるもの――」
「ええ。真っ赤な塗料をお持ちでないのならば――」

 ――貴方たちの首を、刎ねるまで!

 ファンの肩に、いつのまにか小竜がとまっておりました。彼と同じくいろの消えた体躯の中で、ただその金色の眸だけが爛々と輝いて――そして『クロ』と名付けられたその竜が、漆黒の槍へと変貌します。
 地形ごと破壊するような一撃を、全てトランプ兵の殺傷力に変えて。薙ぎ払うような一撃は、首どころか兵隊たちの身体ごと粉砕してしまうほど!
「ああ、こちらの方がいいかも知れませんね。美しい国を赤に染めてしまうのは、あとで『掃除』が大変です」
 槍を握りしめたファンが、ふたたびその力を振るいます。
 ――大人しく殺されてくださいね?
 吹き飛ばされた兵隊たちは、ただの紙切れとなって積み重なりました。
「く、いかん、このままでは首を刎ねられてしまうッ!」
「なんとしてもこやつらを始末せねば!」
 震える兵隊たちが瞬く間に増援を呼び、死に物狂いの連撃がラフィに、ファンに、アナンシに襲い掛かります。
「あらあら、皆さんに手出しはさせませんわ」
 ほわり、と響いた那由多の聲が、穏やかな響きとは裏腹に呪詛を帯びて。
「ナイスっ♪」
 ラフィの鋏が、ファンの槍が、アナンシの蜘蛛脚が、兵達を仕留めてゆきました。
「皆さん、お怪我はありませんか? 遠慮なく仰ってくださいね。癒しの歌を歌いますわ」
「ありがとうございます。おかげ様で、大丈夫です」
 ファンが礼を述べ。
「それにしても、さすがに少々疲れてきたのだけれども……残りは如何程かな?」
 アナンシが敵襲を仰ぎ見ます。
「もうちょっとなのだわ!」
 アリアの生命力奪う迷宮と、那由多の動きを鈍らせる呪詛。じわじわ蝕まれた兵隊たちを蹴散らし先を急ぐには、絶好のチャンスといえるでしょう。
「流石ですわ、皆さん。私もお力添えいたします」
「よし、もうひと頑張りだなっ」
「く――、このままでは!」
「女王様にこの国を献上する為、みすみすやられるわけにはいかぬッ!」
 ふらふらと、懸命に立ち上がる兵隊たち。あら、と那由多が首を傾げました。
「トランプ兵さんたちも、一緒にパフェを食べたらよろしいですのに」
「……は?」
 思わず間抜けな聲を上げてしまうトランプ兵たちへと、那由多は続けます。
「その方がずっと楽しいと思いますわよ? なんでしたら、あなた方の女王様もお呼びして」
「ふざけるな!」
 気色ばみ、槍を振り上げるトランプ兵。ふざけてはいないのですが、という那由多の聲も彼らの届かず。
「そうですか――残念ですわね」
 静かに瞳を伏せ、呪詛の歌を返事代わりに響き渡らせます。
「さて、ではもうひと頑張りとしよう」
 貪欲な蜘蛛が、兵隊たちを貪って。
「だいぶ数が減ってきましたね」
「突破するのよ? 突破するのだわ!」
 ファンの言葉に、迷宮の出口を知るアリアが駆けだします。
「させるか――ぐあッ!」
「あんた達とはトモダチにはなれないよ、バイバイ♪」
 悲鳴をあげるトランプ兵の身体には、ラフィの投擲した鋏が突き刺さっておりました。
 アリアに続き、追っ手を振り切って。
 迷宮の先、『女王様』のおわす場所へと、五人は駆けていきました。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジャック・ジャック
【月寐】

好きこそ物の上手なれ、と云うだろう
趣向を凝らし技巧を施された珠玉の逸品は
さぞ舌を唸らせてくれるだろうて

その腕は護らねばならん
なぁ?
ユルグ、お前もそう思うだろう?
同意を得れば改めて獲物を握り直す
ここぞと云う場面ですっぽ抜けては適わんからな

必要最低限の道さえ拓ければ事足るならば
手伝ってくれるか?
虚空へ問い、捧ぐ右手に触れる“彼女”の意
眼差しの力を借り、足が縫い付けられた物から順に
ひとりひとり、一匹一匹
屠り、還す

空腹は一番のスパイスと云うだろう
働けば働いた分だけ褒美が一等美味く感じるだろうて

此れだけ手伝えば十分か?
さぁ、先を急ごう
今にも世界の宝が奪われてしまうとも限らんからな


ユルグ・オルド
【月寐】

歩くだけでも甘ったるいわァ
まァこんだけ甘い中で作るんだから
さぞお得意なんだろうけども
うん、なんて適当な解釈で頷いて片して

いつになくンな真剣に言われましても
そうね、悪戯に奪っていいもんでもなし

さってお手伝いといきましょ
張り切ってるジャックに任せてもよくない?
なんていやいや頑張りますとも
準備運動に腹ごなし、ッてな

シャシュカ一本振り抜いたなら兵隊サンの元へ駆け
並べ揃えてストレートフラッシュになんねぇかな
錬成カミヤドリで呼び出したシャシュカを
一本振り抜いてカードを捌いたらその次

ツーペアなんて嘯いて蹴っ飛ばして
まァ引く札も無くなったんなら上々じゃない
腹空かせて倒れる前にネ
急ぐ背を追うとしましょ




 あの聲に応えたくて、『彼』は彼に成りました。
 それが誰のものだったのかを忘れてしまっても、いらえを発する口は残りました。
「歩くだけでも甘ったるいわァ」
 いつしか人の形を結び、ユルグ・オルド(シャシュカ・f09129)と呼ばれる事となった彼の口は、今はそんなふうに、少し気だるげな聲を零しました。
「まァこんだけ甘い中で作るんだから、さぞお得意なんだろうけども」
「好きこそ物の上手なれ、と云うだろう。趣向を凝らし技巧を施された珠玉の逸品は、さぞ舌を唸らせてくれるだろうて」
 こちらはジャック・ジャック(×××・f19642)の聲。白と灰、色の抜け落ちたような男の傍で、なにか甘やかな気配が漂っては消えてゆきました。まるで笑ったようでした。
「その腕は護らねばならん。なぁ? ユルグ、お前もそう思うだろう?」
「いつになくンな真剣に言われましても……まァ、そうね、悪戯に奪っていいもんでもなし」
 じ、と灰色の眸に見つめられて。否定する理由もないし、と頷くユルグに、ジャックも満足そうに頷きました。
 この国に住まう愉快な仲間たちは、魔弾を飛ばして応戦している者が多いようです。トランプ兵達を仕留めるだけの威力はあるのですが、何せ敵の数が多く苦戦している様子でした。
「ならば、道を拓くついでに数を減らしていくか」
 手の獲物を確と握りなおしたジャックが、
 ――手伝ってくれるか?
 虚空へ手を伸ばせば、先程の甘やかな気配が強まって。女性の姿が浮かび上がり、ジャックに同調するようにその手が添えられました。
「幽霊……!?」
 時が止まったかのように美しい『彼女』に目を奪われた兵隊たちは、その眼差しを真っ向から受け止める形になってしまいます。
『こっちよ』、と花咲く笑みで縫い留められてしまったトランプ兵たちを、ジャックの獲物が屠り、骸の海へと還してゆきました。
「わー、お見事。ところでこれ、俺必要?」
 張り切ってるジャックに任せてもよくない? なんて。軽口を叩いたユルグへと、ジャックが視線を寄越します。
「空腹は一番のスパイスと云うだろう。働けば働いた分だけ褒美が一等美味く感じるだろうて」
「いやいや頑張りますとも。準備運動に腹ごなし、ッてな」
 ゆるり笑んだユルグの手には、いつの間にか一本のシャシュカ。それをそのまま斬りかかることはせず。
「並べ揃えてストレートフラッシュになんねぇかな」
 ぞろり、数を増やして並び立つ70本以上の刃。その一本を振り抜いてカードを斬り伏せました。――クラブの2。
「次」
 刃が鈍く光を発しながら閃きました。ダイヤの8、スペードのJ、ハートの2、ハートの8。
「ツーペアね、まあ上々」
 そんな風に嘯いて、捌いたカードを纏めて蹴っ飛ばしました。重量のあるカードたちは、ばたばたとドミノ倒しのように倒れてゆきました。
「全部使いきる前に、引く札が無くなっちゃいそ」
「それよりも――そろそろ充分なのではないか?」
 ジャックが顎で示したのは、数を減らした兵達の、最も手薄な方角です。
「おっ、イイ感じ」
 二人の活躍もあり、応戦する愉快な仲間たちもほとんど傷を負っていません。二人の思惑を察した彼らも、どんと自らの胸を叩いてこの場を請け負う事を示してくれました。
「さぁ、先を急ごう。今にも世界の宝が奪われてしまうとも限らんからな」
「世界の宝」
 大仰な物言いに、思わず復唱をしてしまうユルグではありましたが。
「そうね、腹空かせて倒れる前にネ」
 まだもう一戦控えているというし、ここは程々にという点では、全くもってその通りです。
 身を翻し、まばらな群れを駆け抜けてゆくジャックの背を追いかけてゆきました。
『もうひとり』は彼らを助けるように兵達に艶やかな微笑を向けては文字通り地面に釘付けにしていきました。そうして彼らが突破を果たしたころ、ふわり、と宙に溶けたように、その姿は消えてゆきました。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

パウル・ブラフマン
【エイリアンツアーズ】
愛機Glanzで乗り付け参上っ♪
どもー!エイリアンツアーズでっす☆

深冬ちゃんのハイスペック・索敵を頼りに
【運転】テクを駆使して縦横無尽に駆け回るよ。
もち、周囲の損壊は最小限にするよう留意。

派手にカマそうぜ、Glanz―UC発動!
射程を3倍にしたKrakeを展開して
敵の間合いに入る前に消し炭にしちゃうもんね!

あっ、イチくんもビームする?
オレも【一斉発射】かますから一緒にビィィムしようよっ☆

深冬ちゃんや住民さんがピンチだったら
猛【ダッシュ】で接近して、敵を【なぎ払い】
もしくは【かばう】ように動くよ☆
…なにダセェ真似してんの?
返答は求めない。そのまま【零距離射撃】で始末するね。


榛名・深冬
【エイリアンツアーズ】

こんなに平和そうな国、守らないと
ブラフマン先輩、青和さん、頑張りましょうね
…パフェ、食べたいですし

機械鳥と電脳眼鏡型ゴーグルで戦場の
【情報収集】をオートで行い情報は仲間や愉快な仲間達に共有
手動より速さや精度は劣りますが今回は接近戦メインで
UC使用し槍の燈を構え攻撃をかわしながら攻め込む
敵も槍を使う様ですが速さなら負けません
…後で筋肉痛になるかもしれませんが

お2人のビームが炸裂してて思わず感動
え、すごいかっこいい…!動画撮っておこう

敵に囲まれた時は燈の炎の力を借り槍に纏わせ
【属性攻撃】を【範囲攻撃】にし周りの敵を焼き払う
大丈夫、燈の炎は仲間を守りはすれど焼いたりしません


青和・イチ
【エイリアンツアーズ】

パフェの国なんていう素晴らしい国を襲うとか、とんだ悪党…
全力で助けに行くよ

榛名さんとパウル先輩の動きに合わせ連携を
榛名さん、敵が多いのどの辺です?

くろ丸は咥えた刀での斬撃、噛みつきで応戦して
仲間が危ない時は、援護宜しくね

うっ、ビーム、ですか…?
普段、単体瞬殺時にしか、使わないんですが…
ちょっと躊躇いつつ、じゃあ…と眼鏡に手を掛け
パウル先輩に合わせ【流星】を発動
視線を、空を切り裂く青い光に

光を左右に動かし、『範囲攻撃』で広範囲多数の敵に照射
『吹き飛ばし』も出来るかな
うう…範囲でやると、絵面が怪獣映画みたいで…(はずかしい

まあ、仲間やくろ丸のピンチには、躊躇なく怪獣しますけど




 おとぎの国に響き渡る、重厚なエンジン音。
 ひときわ異色な音を引き連れて、愛機Glanzに跨り現れたのは隻眼の運転手、パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)です。
「どもー! エイリアンツアーズでっす☆ ここからはオレ達も助太刀するよ!」
 唸るGlanzは兵隊たちを睨んだまま、パウルが上半身だけ愉快な仲間達を振り返ってにっこりスマイルです。あいさつ代わりに述べた猟兵向け旅行会社名。そのエイリアンツアーズからは、もう二人。
「こんなに平和そうな国、守らないと」
 豊かに長い黒髪を緩く二つに結んだ少女、榛名・深冬(冬眠る隠者・f14238)と。
「パフェの国なんていう、素晴らしい国を襲うとか……とんだ悪党です、ね」
 表情は乏しいながら、全力で助けに行くよと確かな決意を込めた青和・イチ(藍色夜灯・f05526)です。ちなみに二人とも、眼鏡がトレードマークなのでした。
「ブラフマン先輩、青和さん、頑張りましょうね」
 ……パフェ、食べたいですし。深冬が呟いた言葉に、パウルは朗らかな笑みで、イチは目を輝かせて、頷くのでした。

「我らが女王様の為に! 敵もこの国も、赤く赤く、染めねばなるまいッ!」
 ハートのスピアを携えて、トランプ兵たちが戦いの狼煙をあげました。ぺらぺらの身体にがしゃがしゃの四肢、そして重たい頭です。その動きはあまり早くはないけれど、
「数が多いのが、厄介、ですね」
 イチの藍色のまなざしが兵隊たちの群れを見遣りました。これだけの敵襲をいちいち相手取るのは、いかに猟兵といえど確かに骨が折れそうです。
 とはいえ、兵隊たちに必死で抗ってきた愉快な仲間達も負けてはおりません。アツアツの甘い紅茶をばらまき、金平糖をマシンガンのように放ち、各々の得意技で必死に応戦し続けています。
 そんな彼らを庇うように、イチの相棒犬くろ丸が身を躍らせます。鮮やかなブルーの眸が睨みつけた敵を、咥えた刀の斬撃が斬り刻みました。
「手薄なところを狙っていきましょう」
 深冬の傍から小さな小鳥たちが空へと飛んでいきました。それは実の所本物の鳥ではなく、情報収集や索敵に長けたドローンなのです。更にはトレードマークの眼鏡も、実はコンピューターを内蔵したゴーグル。鳥が分析した情報はオートでここに流れ込み、深冬はそれを同僚に、そして愉快な仲間達にも共有していきます。
「三時の方角に突破するのはどうでしょうか。最も手薄なところではないのですが、なるべく数を減らしていくのが良いかな、と。この国の方に、あとを護って頂くのですし」
「さっすが深冬ちゃんやっさしー! よっしゃバリバリ巻き込んでいくよ♪」
 パウルの腰から青い触手達が伸びあがりました。それぞれに固定砲台Krakeを携えて。
「――UC発動ッ!!」
 聲と共に、強化されたKrakeから一斉に極太の光線が発射されました。
「すごい」
「すごいです」
 一気に敵を焼き払った光線。これには深冬もイチも思わず見惚れてしまいます。
「あっ、イチくんもビームする?」
「ビーム?」
 首を傾げる深冬。イチがうっと小さく呻きました。
「ビーム、ですか……普段、単体瞬殺時にしか、使わないんですが……」
「オレも一斉発射かますから一緒にビィィムしようよっ☆」
「わたしも、ちょっと見てみたい、かも」
 期待にきらめくみっつの眸に見つめられて。
「……じゃあ、ちょっとだけ」
 眼鏡に手を掛けるイチ。
「やった! せーので行こうよ。せー……」

 ――のッ!

 次の瞬間、戦場は思わず目を覆ってしまうほどの眩しさに包まれました。パウルの四砲同時発射にも負けないくらいに強力な『ビーム』は、なんとイチの眼鏡から放たれたのです!
 パウルの光線が海を統べる矛ならば、イチのそれはさながら青くきらめく流星。
「え、すごいかっこいい……!」
 これには深冬も思わず大感動。すかさずオートで情報処理していた機械鳥さんとゴーグルに干渉して動画撮影モード。
「これで大丈夫ですね。わたし達も行きましょう」
 深冬の言葉に応えるように、槍の形の橙が焔を纏います。彼女を狙いハートのスピアを振り翳す者があっても、その切っ先が深冬に届くよりも先、疾風の炎撃がぺらぺらの身体を貫いておりました。
 ドローンに操らせた身体は、戦場の誰よりも速く、そして的確に隙を突いてゆきます。
「……後で筋肉痛になるかもしれませんが」
 けれどもそのおかげで、接近戦の中でも一方的に深冬は敵を葬り去ってゆきます。
 更にはイチのビームが敵襲へと炸裂します。光を動かしての範囲攻撃を放てば、身体を焼かれ、吹き飛ばされ、がしゃんがしゃんと音を立てて斃れてゆきました。
「イチくんやるゥ♪これなら集団戦でもビーム大活躍だね!」
「うぅ……でもこれ、絵面が怪獣映画みたいで……」
 思い出すのはいつか見た人気作品。焼き払うのが等身大の敵か、街並みか程度の差しかない気がして、思わず羞恥で真っ赤になってしまいました。
 けれど前衛で奮闘するくろ丸へ槍を向ける不届き者があれば、躊躇なくビームを発射です!
 そしてそれはパウルも同じ。戦いなれていない住人たちを、よりにもよって後方から突き刺そうとした不届き者を、一瞬でトップスピードに達したGlanzが撥ね飛ばしました。
 地面に叩きつけられもがくトランプ兵に、なんだまだ息してたんだ、と絶対零度の言葉が吐き棄てられました。その額にあたる部分に、ごりっとKrakeを押し当てて。
「――なにダセェ真似してんの?」
 トランプ兵が何かを言いかけた直後、答えも聞きたくないとばかり、零距離からの光が炸裂したのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『七罪』嫉妬のシンデレラ』

POW   :    シンデレラ・ストーリー(シンデレラの物語)
【理想とする美しさと強さを備えたプリンセス】に変身し、武器「【全てを破壊し、全てを防ぐガラスの靴】」の威力増強と、【無敵の美しさと魔法の加護を得る魔法ドレス】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
SPD   :    戦略級空中機動要塞・パンプキンフォートレス
自身が操縦する【超重火力のカボチャ型空中機動要塞】の【45cmカノン砲、多連装ミサイルの威力】と【対物理・魔法装甲及び対電子プロテクト】を増強する。
WIZ   :    常時発動型UC『恵まれし者達への嫉妬』
【嫉妬の闇の魔力を纏った自身の肉体や武器】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、嫉妬の闇の魔力を纏った自身の肉体や武器から何度でも発動できる。

イラスト:ミタビツカサ

👑11
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「一時期はどうなる事かと思いましたけれどもね」と、シュークリーム夫人。
「なかなかどうしてわたくし達も戦えるではございませんの」
「ああ、その通りだ」と、イチゴ伯爵。
「彼らのお陰だ。それに報いよう」
「ひとりひとりは弱くとも、集団で悪事を働く厄介な者達は」
「頭を叩くのが最も効率的。そうであろう?」
 それはこの国の者達の総意でした。自分たちより頼もしい人たちに最も危険な役目を任せるのだから、このくらいは耐えてみせよう、と。

 あなた達はこの街の奥、大きなチョコレートの噴水に辿り着きます。
 湧き出る芳醇な馨のチョコレートドリンクを、銀のカップで掬ってこくりと味わっている少女がおりました。
「遅かったじゃない、ちゃんと奴らを懲らしめたんでしょうね――?」
 振り返った彼女の貌が引き攣ります。やってきたのは配下のトランプ兵ではなく、見知らぬさまざまな男女だったのですから!
 けれどオウガである彼女には、あなた達が誰なのかが本能的にわかります。それは「猟兵」という名の、どうしようもなく、敵対する者達なのです。
「どうやら、あたし自身があんた達をやっつけるしかないようね」
 たん、とステッキで地面を突いて『女王様』は名乗りをあげました。

「あたしはシンデレラ。お義母様たちはあたしにお菓子なんてくれなかったし、城では毒見の済んだ齧ったケーキしか食べられない」
 だからこの国が欲しいのだと、幸せをつかんだはずのお伽話の姫が云うのでした。
 ――オウガというのは、どこまでも、しっちゃかめっちゃかのようです。

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 プレイング受付:6月7日(日)朝8:31~
 再送にご協力頂く可能性がちょっぴり御座います。プレイングが流れてしまった場合、お気持ち変わらなければそのまま再送いただけるととてもありがたいです。
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フクス・クルーガー(サポート)
ヤドリガミのスターライダー × 戦車乗り
年齢 20歳 女
外見 163cm
特徴
口調 女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)
怒った時は 無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)

長年使われてきたトラックを核にして生まれたヤドリガミ。その持ち主に影響されたのか彼女自身も何かを届けることがやりたいことになっている。
性格はおおらかで気前がいいお姉さん


戦闘時
・生身の場合、P90で射撃しながら、UC【特殊作業対応型運搬腕】で格闘&射撃。もしくはトラックの板を複製して盾の様に扱います。

・トラックに搭乗できる場合。UCで変形合体して戦うことになります。(全長3m弱です)


グァンデ・アォ(サポート)
《アドリブ、連携、苦戦描写、ユーベルコード詠唱変更、その他何でも歓迎です》

「おや? あれは何だろう……ねーねー、そこのオネーさん、これは何なの?」

通常はだいたいイラストの通りのキャラクターです。
好奇心の向くまま、あちこちウロチョロ飛び回っては、なんやかんやで状況を動かします。
念動力でその場にあるものをなんやかんやしたり、ウロチョロ飛び回ってなんやかんやしたり、危険な行為に勇気を出してなんやかんやします。

「サポートAI、『大人の』グァンデです。よろしくお願いします」

マシンヘルムに変形して誰かに装着してもらう(攻性ユニット化)場合に限り、口調と人格が大人のそれになり、装着者の行動をアシストします。




「おや? あれは何だろう」
 ネオンブルーの光の翅が、空をくるりと旋回して。
 新たに表れたオウガ『シンデレラ』を見て不思議そうにしているのはグァンデ・アォ(敖 広徳・f10200)。
「いや……あんたこそ何なのよ」
 シンデレラが眉を顰めてグァンデを見つめ返しました。それもその筈、彼の姿はアリスラビリンス生まれのオウガにしてみれば、見た事もないような姿だったのですから!
 ヘルメットのような身体に、ちいさな脚と光の翅。ぴょこんと伸びたアンテナがトレードマーク。キマイラフューチャーの謎テクノロジーが産み出した、意志を持つドローンのような存在。それがグァンデなのです。
「生き物……なの?」
「ねーねー、そこのオネーさん、あの子がオウガなのかな?」
 自身が怪訝に思われているとは露知らず、グァンデは傍らの猟兵に問いかけます。
「そうみたいだね」
 答えたのはフクス・クルーガー(何処でもお届け! 安心のクルーガー運送!・f22299)。藍色の髪を邪魔にならないように束ね、動きやすいツナギに身を包んだ女性です。乳白にひとしずく蜂蜜を垂らしたようないろの眸が、やれやれと伏せられました。
「オブリビオンがいたら、届けられる荷物も届けられなくなっちゃう。アタシもひと仕事しないとね」
 そう、フクスは大型トラックのヤドリガミ。36の世界をどこまでも、真心込めて荷物をお届けするのが彼女の信条。
「荷物をお届け? はん、他人の為だなんて、よくやるわ」
 シンデレラの赤い眸が侮蔑に燃えた直後、背後から現れたるは大きな南瓜!
 南瓜の馬車ではありません。ふわりと宙に浮くそれは、ばかでかいカノン砲と多連装ミサイルを携えた、規格外の空中機動要塞なのです!
「わあ、かっこいい!」
 グァンデが無邪気に感嘆の聲をあげた直後、それらが一斉に火を噴きました。
「消し炭にしてあげる!」
 シンデレラがまず狙いを定めたのはグァンデです。小さくて仕留めやすいと踏んだのでしょうか。しかし大小さまざまな銃弾の雨は、まるで空中を跳びはねるように縦横無尽に飛び回るグァンデにやすやすと避けられてしまうのでした。
「くっ、ちょろちょろと……」
「危ないことはダメだよ!」
 勇気を振り絞って放たれた念動力が、パンプキンフォートレスの銃弾をはね返しました。
 合わせるように、フクスの短機関銃『P90』がシンデレラを狙い撃ちます。
 けれどそのどちらとも、南瓜要塞の銃撃が相殺してしまいました。
「半端な威力じゃダメか……こうなったら」
 ――クーちゃん、力を貸してね。
 自身の本体であり、無二の相棒である大型トラック『クーちゃん』と合体したフクスは、みるみるうちにその姿を変えてゆきます。
 人機合一、その神髄。三メートルを超す巨大な機械超人のような姿になったフクスへと、シンデレラが銃撃を浴びせかけようとしましたが。
「オネーさんに手出しはさせないよ!」
 グァンデがそのちいさなちいさな身体で、巨大な南瓜要塞へと接近しました。ぶんぶんと蜂の字描くように激しく飛び回り、狙い定めるシンデレラの視界を妨害します。
「こンの、やかましい――!!」
 追い払うように振るわれたステッキを、ぴょーんとひときわ大きく跳んでグァンデが避けた直後。
 巨大な機械超人の、その腕が。
 南瓜要塞のそれに匹敵する巨大なガトリング砲が。
 けたたましい轟音あげて、シンデレラを飲み込んだのでした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アラン・スミシー(サポート)
基本突然現れて仕事を終えたら去っていく人物です。

基本的に【乱戦】か【銃撃戦】での援護がメインとなります。
他の猟兵の手の足りない所に現れては銃で攻撃し、気を引いたり足止めをしたり敵の頭数を減らしたりします。
また既存のPCでトドメを刺しにくい時は【最終局面】を使って下さい。逆転の隙を作ったり、心情的に殺せないタイプのPCがいた際にどうぞ。

説得や交渉等が必要ならなんか良い感じの言葉を言います。
例:君の正義は分かった。しかしその正義は君を救ったかい?

ユーベルコードのセリフを参照し、MSの言って欲しい都合の良い言葉をアレンジしてやってください。
大体無意味に格好いいこと言ってます、割と適当に。


天宮院・雪斗(サポート)
『なせば大抵なんとかなる』
 妖狐の陰陽師×ビーストマスター、7歳の男です。
 普段の口調は「子供(ぼく、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」、怒った時は「子供(ぼく、呼び捨て、だね、だよ、だよね、なのかな? )」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
  甘えん坊で、頭撫でられるの好き、お姉ちゃんたちに甘えるのも好き。あとはおまかせ(アドリブ・行動OK)。よろしくおねがいします!




「くっ……!」
 硝煙が晴れた先、膝をついたシンデレラが悔しそうに猟兵達を睨みつけました。
「随分と余計な事をしてくれるじゃない。大人しくあたしに踏み躙られればいいのに!」
「――どうしてそんなに他者を憎んでいるんだい?」
 はっ、とシンデレラが顔をあげました。攻撃を喰らった直後で怯んでいたとはいえ、その聲の主がいつからそこにいたのかが分からなかったからです。
 Savile Row仕立ての質の良いスーツやコートに身を包んだ、すらっとした男性。だというのにどこか枯れたような印象を見る者に与えるのは、不精髭のせいなのでしょうか、それとも緩く笑んだつかみどころのない表情のせい?
 ――その男はアラン・スミシー(パッセンジャー・f23395)。帽子を被り直し、先を促すようにシンデレラを見つめました。
「分かるわけないわ。恵まれているあんた達に」
 返事はそれだけでした。やれやれとかぶりを振るアランの足元、ふわりと雪のように白い尻尾の狐がこんと哭き、直後、ヒトの姿へと変身しました。
「おねえちゃんのことは、ぼく、よく知らないけど」
 はっとするほど顔立ちの整った、とても幼い少年です。ヒトとなっても残る耳と尻尾。大きな銀の眸。天宮院・雪斗(妖狐の陰陽師・f00482)です。
「けど、やっぱり悪いことはだめなんだよ」
 ふさふさの尻尾が揺れた直後、雪斗の周囲に無数の狐火が浮かび上がりました。
「なせばなんとかなる、ってね♪」
 ぽわりと揺れる幽火が、シンデレラに襲い掛かります。
 受け止めるように翳されたオウガのステッキ。擦り抜けた狐火がその身を灼いても、オウガはその眸をサカウラミに滾らせるばかり。
「子どもは嫌いよ。甘えるだけで生きていける。たくさんのお菓子に囲まれて……そんなの、大ッ嫌い!」
 ステッキの水晶が闇色に瞬いて、放たれるのは雪斗が手繰ってみせたものとよく似た炎――ただし、闇色の。
「全部ぜんぶ奪ってあげる!」
「だめ!」
 雪斗が叫び、炎を閃かせます。狐火と闇火が空中でぶつかって、二色の火花が爆ぜました。
 嫉妬の炎は雪斗やアランだけではなく、うつくしい街並みをも破壊しようと降り注ぎます。それらにも狐火をぶつけて阻止する雪斗の額から、汗が滴って零れ落ちました。
「だめだよ、おねえちゃん」
 実の所、雪斗はたった七歳の少年です。まだまだ甘えたい盛りの雪斗は、小さな体から勇気を振り絞って街を護り続けました。
「ああ、うざったい。さっさと燃えちゃいなさいよ――!」
「お姉さん、嫉妬に狂うあまり私をお忘れではないかな?」
 シンデレラの頬を銃弾が掠めていきました。アランの拳銃から放たれたものです。
「っ……!」
 血の滲む頬を歪ませて、シンデレラがアランに向けて炎を振るいました。
「ところで『コレ』、ピースメーカーという通称があるのだけれど」
 炎を巧みに避けながら、アランもシンデレラへと銃弾を浴びせます。
「武器にこんな名前をつける奴は理想家か夢想家、一体どちらだろうねぇ? どっちにせよ愚者には変わりないけどね」
「べらべらよく喋るわね。これだからオッサンって嫌いなのよ」
 口汚く罵られても、アランは微かに肩を竦めただけでした。
「同感だね、私のようになってはいけないよ」
 口調はあくまで飄々と、けれど闇火をすり抜けた銃弾が、嘲笑うようにシンデレラの腕を撃ち抜きました。
「きゃあっ」
「おねえちゃん、ごめんね!」
 祈るように、狐火が吼えました。シンデレラの悲鳴は、瞬く間に雪斗の炎に呑み込まれてゆくのでした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

オズ・ケストナー
セロ(f06061)と

ケーキがあぶなくないかチェックしてくれてるってことだものね
だいじにされてる
頷きながら

ひとつ、すぐにできる方法があるよ
いちからおかしをつくればいいんだよっ
そしたらいちばんのりで食べるのも自由だもの

まかせてっ
セロに手を差し出し
いっしょにとぼうっ

セロと自分をシャボン玉で包み
虹色の膜の中でセロと顔を見合わせ笑う
ふふ。セロと飛ぶの、たのしいっ
うんうん、まけないよっ

いこう、セロ
びゅんとシンデレラを追いかけ
攻撃は武器受け
セロに合わせて魔鍵で生命力吸収も狙っていく

そうだよ、いちばんのりのケーキより
みんなでいっしょに食べるケーキのほうがおいしいんだよ

いろんなのをわけっこもできるし
ねっ、セロ


セロ・アルコイリス
オズ(f01136)と!

もらえなかったから欲しいってのはまあ判りますが
毒味終ったモンもらえんのは幸せなんじゃ?
違います?

なるほど、それは名案です!

さて、敵が飛ぶなら次はオズの力で飛びてーです!
はいっ、オズ!(元気に手を取って)
自分を包むしゃぼん玉を触ったり跳ねたり
ええ、楽しいです!
楽しむ気持ちならおれ達誰にも負けねー気概がありますよ

無敵の靴もドレスも厄介ですが
あんたのココロなら斬れんでしょ?
って【旱魃】
国ごと欲しいなんて狂気は切り分けちまいましょう

トランプ達と一緒に普通に食べに来たら良かったのに
そうですよ、ひとりで喰うモンは味気ねーし
なるほど、確かにそうですね!
分けっこしたらより楽しいです!




 今回の騒動を引き起こしたのは、嫉妬拗らせオウガ達の『女王』になるまで上り詰めた少女、シンデレラ。
 対するは幼子のように感情豊かなオズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)と、左頬に『ココロ』の図案をペイントした知りたがり、セロ・アルコイリス(花盗人・f06061)です。
「もらえなかったから欲しいってのはまあ判りますが、毒味終ったモンもらえんのは幸せなんじゃ?」
 セロの言葉に、オズもこくこく頷きました。
「ケーキがあぶなくないかチェックしてくれてるってことだものね。だいじにされてる」
 けれど女王様があんまりにも悔しそうなので、オズはうーんと考え込んで。
「そうだ! ひとつ、すぐにできる方法があるよ。いちからおかしをつくればいいんだよっ」
「……は?」
「そしたらいちばんのりで食べるのも自由だもの」
「なるほど、それは名案です!」
 さすがオズ、とにっこり笑うセロとは対極に、シンデレラは口元をひくつかせていました。
「自分で作るなんてもううんざりよ。お義母さまやお義姉さまに、それこそ一生分はこき使われたんだから!」
 シンデレラが叫ぶと同時に、その身に纏ったドレスが輝きを増しました。きらびやかなドレス、それに敗けないくらいぴかぴか光るガラスの靴。なるほど確かにそれは、絵本に描かれたプリンセスのように美しい姿ではありました。
「だからこの国の奴らに作らせるのよ! みーんなあたしのドレイになるの!」
 だん、とその脚がチョコレートの石畳を踏みしめれば、たちまちに無数の亀裂が走りました。
「……おっかねー女の子ですね」
 思わず肩を竦ませてしまうセロなのでした。シンデレラのドレスが光り輝き、その身体が宙を飛翔します。
「敵が飛ぶなら追っかけましょうか。次はオズの力で飛びてーです!」
「まかせてっ」
 差し出された球体関節の手を、セロが取った瞬間。
「いっしょにとぼうっ」
 二人の身体が、大きなシャボン玉に包まれてぷかぷかと浮かび上がったのです!
 東雲色を好奇に瞬かせ、セロは虹色の膜をちょんとつついたり、軽く飛び跳ねてみたり。それでもびくともしない不思議なシャボン玉に、オズと顔を見合わせてくすくすと笑いました。
「ふふ。セロと飛ぶの、たのしいっ」
「ええ、楽しいです!」
 成人男性の姿をした、ふたりの機械人形。けれど浮かんだ笑みは無邪気な子供のようでした。
「楽しむ気持ちなら、おれ達誰にも負けねー気概がありますよ」
「うんうん、まけないよっ」
 そしてその楽しむ『キモチ』こそが、オズの空歩くシャボン玉をますます強くするのです。
「いこう、セロ。むてきのくつでも、このシャボン玉はわらせないよっ」
 びゅーんとシャボン玉がシンデレラに接近します。オズの手には、誰も傷付けない不思議な鍵が握られておりました。
「みんな、あたしにひれ伏しなさいっ!」
 魔法の靴が放った蹴りを、オズの春麗が確りと受け止めました。『全てを破壊し全てを防ぐ』筈の一撃を、です。
 交錯した鍵から生命力までも奪われて瞠目するシンデレラへと、畳みかけるようにセロの魔法の刃が奔ります。
「無敵の靴もドレスも厄介ですが、あんたのココロなら斬れんでしょ?」
 ――国ごと欲しいなんて、過ぎた願いは。
 狂気を断ち切る旱魃の、絶好の餌食となったのでした。
「……トランプたちと一緒に、普通に食べに来たら良かったのに」
 呟いたセロの言葉は、きっと傲慢な女王様には届かなかったけれど。
「そうだよっ」
 傍らのオズが、心からの同意を呉れたのでした。
「いちばんのりのケーキより、みんなでいっしょに食べるケーキのほうがおいしいんだよ」
「そうですよ、ひとりで喰うモンは味気ねーし」
 セロの言葉に、オズが嬉しそうに顔をほころばせて。
「それにね、いろんなのをわけっこもできるし。ねっ、セロ」
「なるほど、確かにそうですね! 分けっこしたらより楽しいです!」
 新たな発見とばかりに、セロは微笑んだのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルベル・ノウフィル
wiz
UC聖女の願い

オーラ防御/積極的に他者を庇う

ああ、可憐なシンデレラ!
恵まれない子供達は貴方のお話に夢を見るのです
今は不幸だけれど自分もこのお話のように、と
現実と虚構は違うのにね
希望が未来に向かう支えとなる

ああ、可愛いシンデレラ!
嫉妬と欲に塗れた瞳のなんと美しいことでしょう
僕は、御伽噺の現実味のない清らかな姫君より今の貴女の方が好きだな

技をコピーなさるのでしたか
貴女も清らかな姫を召喚して、恵まれし者達を守る願いをなさいます?

「僕は彼らに嫉妬しているけれど守護者で」
痛悼の共鳴鏡刃をここまでで得た傷の傷みで喜ばせながら

斬りつける
「オブリビオンは絶対に許さないのです」
捨て身でね
一撃でも届けば好い


夕時雨・沙羅羅
処刑待ちの女王はお前?
ほんとうにオウガは、奪うしか、壊すしか、知らないな
欲しいなら対価を、誠意と感謝を
お前が欲しいものは、誰かが喜んでほしいと作り上げたものなのだから
…言葉は通じないだろう、わかってる
これは自戒を込めた独り言だ
愛しい者のために欲しがること、摘む花にも感謝をと

綺麗なお菓子、略奪者は一目すら拝めないだろう
かわいそうに
人魚は慈悲深いものだから、慰めの声色で語りかけてやろう
あまい菓子の代わり、あまい歌は如何
この歌しかいらないくらい、とろけるあまい歌

けれど人魚は欲深いものだから、邪魔をするものはとろかして惹き込んで、
氷の刃の《唄》で断罪してやろう
僕らの世界を壊すなら、海の泡と消えてくれ




 ――ああ、可憐なシンデレラ!
 少年の聲は、まるで歌劇のように滔々と響くのでした。
「恵まれない子供達は貴方のお話に夢を見るのです。今は不幸だけれど自分もこのお話のように、と」
 ルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)は識っています。現実と虚構が異なることを。けれどその希望が、未来に向かう支えとなるのでしょう。

 ――ああ、可愛いシンデレラ!
「嫉妬と欲に塗れた瞳のなんと美しいことでしょう……僕は、御伽噺の現実味のない清らかな姫君より今の貴女の方が好きだな」
 だって何だか、随分と人間らしいようでございますから。


「処刑待ちの女王はお前?」
 青年の聲は呟いて、それからこう付け加えます。――ほんとうにオウガは、奪うしか、壊すしか、知らないな、と。
「欲しいなら対価を、誠意と感謝を。お前が欲しいものは、誰かが喜んでほしいと作り上げたものなのだから」
 けれど夕時雨・沙羅羅(あめだまり・f21090)は、何も彼女を説き伏せたいわけではありませんでした。オウガに話が通じるとも思ってはいませんでした。
「……わかってる」
 ふるりと首を振りました。これは自戒を込めた独り言だ、と。
 沙羅羅が愛しい者のためにと摘む花にも、感謝の心が必要だ、と。


「……さて、」
 ルベルの傍らにはエルフの少女と、彼女に喚ばれた精霊たちがおりました。
「技をコピーなさるのでしたか。貴女も清らかな姫を召喚して、恵まれし者達を守る願いをなさいます?」
 にこりと笑んだルベルの視界、シンデレラの周りにも無数の精霊達が現れました。それが真にこの周囲に生息する精霊たちではなく、紛い物の複製でしかない事を、エルフの少女は察知したでしょう。
「ああ。技までをも奪うのか」
 怒りとも、呆れともつかない聲を、沙羅羅が零しました。
「綺麗なお菓子、略奪者は一目すら拝めないだろう――かわいそうに」
 そう、『かわいそう』。人魚は慈悲深いから、満たされないものには歌をあげるのです。
「あまい菓子の代わり、あまい歌は如何」
 とろけ滴る果汁のように、あまい甘い歌声でした。言葉を乗せるのではなく、想いを乗せるのではなく、ただひたすら純粋に、人々を――勿論オウガをも、陶酔させる歌声でありました。
 動きを止めた紛い物たちを、精霊達が抑えているあいだ。
 ルベルと沙羅羅はそれぞれの得物を手に、シンデレラへと距離を詰めました。

「……僕は彼らに嫉妬しているけれど、守護者で」
 痛悼の共鳴鏡刃が狂喜に打ち震えておりました。絵本の世界を無邪気に夢見る、そんな『ひと』のしあわせを、ルベルは護りたくて、守りたくて――だけどそれは、どうしようもなく遠いものなのです。
 でも、ただひとつ、云えることは。
「オブリビオンは絶対に許さないのです」
 そのためにルベルは、儚い命を更にあかく燃やし、己を顧みずに一撃を放つのでした。

 とろけるような聲が、とろかして惹きこんで。
 ――だって人魚とは欲深いものなのです。恋に溺れて儚く消えた姫に沙羅羅をなぞらえたトランプ兵たちは、それを知っていたでしょうか?
 只管にあまい中、きらりと光るものがありました。
 それは唄でした。
 革命齎す氷の刃でありました。
「僕らの世界を壊すなら、海の泡と消えてくれ」
 いつか『君』に逢える日を、ずっと待ってるんだ。
 オウガに醜くされた世界では、君を迎え入れることはできないから。

 二振りがひらめきました。
 片や禍々しく悦びに震え、片やどこまでも静謐に。
 けれどそのどちらもが、護るための意思を以て。
 絹を裂くような悲鳴と共に、女王様の身体はどんな薔薇よりもあかく、染まるのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

バンリ・ガリャンテ
雷香(f17947)と
【POW】
哀れなトランプ兵達に命じた、あなたがその女王様?
そうなの…残念。こんな所業に出たあなたはお城にも灰かぶりにも戻れんぜ。

胆力の無かろう女が理想を描いたとて知れてる。
雷香の霧が俺を隠して下さるから、彼女を狙い降下してくるあなたの土手っ腹に蹴りを見舞おう。
その靴に全てを破壊し防ぐ力なんざ無ぇさ。
ほらご覧、ガラスは炎で砕けちまうんだ。
高くお逃げになったって魔法のドレスを着なさってもだめさ。
【BURN BURN ME】を贈ろう。
一足飛びにあなたの胎内へゆく炎は、
甘かろう?俺と雷香からあなたへのキャンディ。
腹も膨れたならお昼寝のお時間。
安らかに。


狛居坂・雷香
バンリ(f10655)と

初めまして、シンデレラさん。お菓子好きの女王様。
あなたの気持ちは、わかりました。
それはとても悲しいけれど、でも。
やはりあなたがお菓子を手に入れることは、無いのです。
町娘ならねだれたことでしょう。けれど、あなたは今も女王様。
あなたはずっと女王様で――あなたが女王様である限り、わたしたちは貴女を倒さねばならないのです。

バンリを霧で覆い隠して、彼女の視界から消してしまいましょう。
無瑕の靴を履こうとも、攻撃が見えなければ防げません。
さあ、バンリ。あの哀しいお姫様に、最後にキャンディを差し上げましょう。




 シンデレラのガラスの靴は、幸せを約束する魔法の靴です。
 今だって、邪魔者を排除する万能の力をもたらしてくれるのですから。
 けれど、相手が『万能』でも『無敵』でも、それで怯む猟兵ではないのです。

「哀れなトランプ兵達に命じた、あなたがその女王様?」
 バンリ・ガリャンテ(Remember Me・f10655)の問いに、えっへんとシンデレラは胸を張りました。
「そうよ、私がシンデレラ。あの時と同じように、夢を叶えるの」
「そうなの……残念」
 バンリは憤るでも呆れるでもなく、ただため息交じりに云うのでした。
「こんな所業に出たあなたはお城にも灰かぶりにも戻れんぜ」
「初めまして、シンデレラさん。お菓子好きの女王様」
 聲は、バンリやシンデレラよりも頭ひとつ高い場所から。いえ、背が高いわけではありません。ふわふわ宙を漂う風使い、狛居坂・雷香(能天気予報少女・f17947)です。
「あなたの気持ちは、わかりました。それはとても悲しいけれど、でも」
 ――やはりあなたがお菓子を手に入れることは、無いのです。
「そうかしら?」
「そうなのです」
「この靴であなた達を踏みつぶしてしまえば、すべてが思い通りになるかも知れないわ」
 魔法の靴とドレスが、眩く輝き始めます。雷香はゆるくかぶりを振りました。
「町娘ならねだれたことでしょう。けれど、あなたは今も女王様。あなたはずっと女王様で――」
 呟く雷香の周囲、いつの間にか白く靄がかかっておりました。シンデレラがそれに気づいた直後、それはみるみるうちに重くたちこめる濃霧となって猟兵たちを覆い尽くします。
 魔法の靴が、雷香がいた場所を蹴り飛ばします。けれどそれは虚しく宙を切り、霧を一瞬散らしたのみ。
 聲は全く違う方向から届きました。
「――あなたが女王様である限り、わたしたちは貴女を倒さねばならないのです」

「!? どこに……」
 白で覆い尽くされた視界の中、女王様は敵対者を探そうと杖を振り回します。
 不利になった途端取り乱す彼女に、バンリはやはり、と心の中で呟くのでした。
(「胆力の無かろう女が理想を描いたとて知れてる」)
 シンデレラが得体の知れない天候使いに気を取られているうちに、バンリはのっぱら彷徨う時のように、なんでもない足取りで彼女に近づきました。
「!」
 微かな気配を感じた女王様ですが、その時にはもう、何もかもが遅いのです。
「その靴に全てを破壊し防ぐ力なんざ無ぇさ」
 バンリの脚が、女王様の土手っ腹を蹴り据えていたのですから。
 無瑕の靴も魔法のドレスも、それを扱える度量が備わっていてこそ。その証拠に。
「あ……ああ」
「ほらご覧、ガラスは炎で砕けちまうんだ」
 バンリの白い脚に、ぷつんと亀裂が走って――奔出するのは血の代わりに地獄の炎。煌々と燃えるかわりに標的の身体の中で爆ぜる、紫伴う地獄の炎!
「さあ、バンリ。あの哀しいお姫様に、最後にキャンディを差し上げましょう」
「ああ……甘かろう?」
 何もかもを喰らい尽くす地獄を裡に秘めながら、バンリは甘やかに笑むのでした。
 ――これはキャンディ。ひとくち舐めたなら、あなたの身体でぱちぱち弾ける。
 町娘ならもっと良い物をねだれたでしょうに、とふと雷香は思案します。しあわせを追い求めなければシンデレラはしあわせだった? それともその傲慢な嫉妬がある限り、いつかは身を亡ぼすさだめだったでしょうか?
 ――ほら、こんな風に。
 たくさんの『キャンディ』をお腹いっぱいに詰め込んだシンデレラから、いやにくぐもった悲鳴が漏れる中。
「腹も膨れたなら、お昼寝のお時間かな。安らかに」
「ええ……」
 雷香の青緑の髪が、晴れてゆく霧の中でふわりと揺れるのでした。
 ――おやすみなさい。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ライラック・エアルオウルズ
ティル(f07995)さんと

手に入れた硝子の靴では、
真直ぐと歩けなかったかい?
共に食べる甘味も美味だと、
知れず侭なのは哀れな事だ

最早欲張りである子に、
僕らの甘味を分けはしないよ

歌響けば、より絵本めく様で
愛らしい金糸雀を想い乍らも、
《全力魔法》込めて剣を創造
其方が無敵を謳うのならば、
此方も其れを想像するまでだ
赤い靴の様に、落としてやるさ

翼有る子を差し置いて、
僕が空往くのも妙だけれども
敵が飛翔すれば空飛ぶ傘で、
《空中浮遊/空中戦》へと移行
鳥の加護を身に感じ乍らと、
《鎧無視攻撃》でその身を斬ろう

きっと、知らずに居たのだろう
毒味は貴方の為である事さえ
僕だって、彼女の為なら
幾らでも毒味を担うから


ティル・レーヴェ
ライラック殿(f01246)と

辛き過去を耐え抜いて
やっと手に入れた幸せ
されど其方には
真の幸ではなかったのか
飢え乾き甘さを求める程に

されど其れを埋める為
他者のを奪って良い筈はなく
其れでは其方の言う継母とどう違う

もはや止めるしか術ないが
眠りの先に幸あれかしと
妾にとっての彼の如く
幸分け合う友と出逢える様に

硝子の靴の猛攻や
彼女が奪いし彼の技
其が繰り出されるなら
想い願いも響かせて歌い囲うは花鳥籠
彼と己を包みて護ろう

嫉妬に満ちた想像で
彼を真似られるとお思いか?

其方では紛いの其れしか生めぬもの

彼の様な温かな想いも
其方の傍にあったろうに
其れとも毒味の優しさよりも
毒があろうと
共に食む初めの一口を望んでいたの?




 べっ、とシンデレラが赤黒いものを吐き出しました。
 灼かれた裡と一緒に焦りも吐き棄てて、嫉妬に燃える眸が猟兵達を睨みつけます。
「辛き過去を耐え抜いてやっと手に入れた幸せ。されど其方には、真の幸ではなかったのか。飢え乾き甘さを求める程に」
 ティル・レーヴェ(福音の蕾・f07995)が問いかけました。
 お伽話のその先は、ハッピーエンドとは限らない。
 されど其れを埋める為他者のを奪って良い筈などはないのです。
「其れでは其方の言う継母とどう違う?」
「甘やかされて育ったような子供が、知ったような口を聞くのね」
 言葉はぎらぎらとした刺を孕んでおりました。ティルが聖女として繋がれ、飼われるだけの雛だったことなど、シンデレラは知りません。ティルでさえも喪っていたのですから。
「手に入れた硝子の靴では、真直ぐと歩けなかったかい?」
 けれど、だからといって友に憎しみをぶつけられて良い道理などもなく。シンデレラのふらふらの足取りを見下ろして、諫めるようにライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)が云いました。
「共に食べる甘味も美味だと、知れず侭なのは哀れな事だ」
「余計なお世話よ……」
 シンデレラは魔法のドレスを、無敵の靴を光らせては歯軋りと共にその力を振るいます。素敵な願いを叶える魔法も、今では嫉妬の炎となるだけ。
「最早欲張りである子に、僕らの甘味を分けはし」
 言葉が終わるのを待たず、シンデレラが無敵の靴から鋭い蹴りを浴びせかけました。身を捩って躱したライラックの手には醜悪なる怪物をも貫くといわれのあるヴォーパルの剣。
 不条理を屠るように振るわれた剣は、シンデレラのステッキに阻まれてしまいます。
「いいもの持ってるじゃない。あたしにも頂戴」
 闇の炎滾らせたステッキが、その姿を変えていきます。ライラックのものとそっくり同じ、ただし色はどこまでも黒く。
 丸眼鏡の文豪を弾き飛ばして、シンデレラは空へと身を躍らせます。
「なに、赤い靴のように落としてやるさ」
 頁を捲るように傘を開けば、ライラックの身体もまた、空へと舞い上がって。
(「翼有る子を差し置いて、僕が空往くのも妙だけれども」)
 けれど彼女がオウガを追いかけるわけにはいかないのです。だってティルには、ティルにしか出来ないことがあるのですから!
 どこまでも澄み切ったティルの歌声が戦場に響き渡ります。嘗て聖女と呼ばれ持て囃されていた彼女の聲は、今は親愛なる友のために。『ティル』の歌声が響くところ、鳥籠に囲まれた領域は彼女の聖域。
 聖なる歌紡ぐ羽持つ少女。ますます絵本のようだとライラックは思わず微笑みました。愛らしい金糸雀の加護を受け、ヴォーパルの剣はますます鋭く研ぎ澄まされていくのです。
 シンデレラの一撃を大きく弾き往なした直後、流れるような動作でその身体に刃が喰い込んでいきました。魔法のドレスをも貫かれ、オウガの顔が驚愕に歪みます。
「なんで、届かないの? あたしはあんたと同じ剣、それにドレスも靴も持っているのに!」
「嫉妬に満ちた想像で、彼を真似られるとお思いか?」
 ティルです。ライラックの素敵な想像の力を知るティルにしてみれば、上辺をなぞっただけの紛い物の情弱さなど手に取るようにわかるのです。
 ――彼の様な温かな想いも、其方の傍にあったろうに。
 彼女は本当に気づかなかったのかと、ティルは思案しました。
 ――其れとも毒味の優しさよりも、毒があろうと共に食む初めの一口を望んでいたの?
 ――きっと、知らずに居たのだろう。毒味は貴方の為である事さえ。
 ライラックは、斬られたシンデレラがゆっくりと墜ちていくのを見下ろしていました。
 ――僕だって。彼女の為なら、幾らでも毒味を担うから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジャック・ジャック
【月寐】

チョコレートファウンテンの噴水…だと
串に刺す物の大きさを気にしなくて良いのか
なんと贅沢な

苺やマシュマロも悪くは無いが
一度手づからスポンジを丸ごと浸し食べたいと思って居たんだ

いや、流石にナイフとフォークは用意すべきか?
無駄無く掬うならスプーンか
それでは小さすぎるな
待ってくれ
今考えを纏めているんだ
こんな又と無い機会逃すのは惜しい

――嗚呼そうだ
本題はパフェだったな
気を引き締めて掛かろう

断ち切る刃の揮う回数は片手で足る迄
同じ場所へ罅重ね食えぬ硝子は粉々に砕こう
九つの斬撃の内、一打は隣立つ美丈夫へ向かうが
なに、お前なら一閃ぐらい避けられるだろう?

軽いのは足取りも同様で
お前にだけは言われたく無いぞ


ユルグ・オルド
【月寐】

わあお豪勢、……なるほどソウイウ?
でもンな大きいモン刺すことある?
飛び込むとかでなくてなんて
笑う呼気も甘ったるくてまァ

まあ掬ってみたくはなるケドも
チョコケーキじゃダメなワケ
尋ねたとこで聞いちゃいねェ
ここでこの調子じゃパフェ選ぶのに一日かかるぞ
あ、悪ィねこのお兄さん甘いモンとなると真剣で
どうせならチョコレートでも堪能してたらお嬢サン
ひらりと手振ったところで、お、決まった?

そうねお目当てはまだこの先だかんね
駆け出し振り抜いて躍るように干戈の間を
甘い夢なんて打ち砕いて、硝子の靴も不要でしょ
跳んでくる軌道を躱――いや隣からくると思わねェわ
まったくホント、甘いのは味の趣味ばっかりネ




 トランプ兵の群れを潜り抜けて、ユルグ・オルド(シャシュカ・f09129)とジャック・ジャック(×××・f19642)が辿り着いた先にあったものは、我儘な女王様と、
「チョコレートファウンテンの噴水……だと」
「わあお豪勢」
 そう。甘美なブラウン噴き出す広場。道理で甘ったるいと思ったわ、と呆れたような笑みを零すユルグとは対照的に、ジャックは眉ひとつ動かさず、けれどその眼差しは真剣そのものでした。
「楽しそうね、ジャック」
「串に刺す物の大きさを気にしなくていいのか、なんと贅沢な」
「……なるほどソウイウ?」
 ともすれば冷血な印象さえ与えかねない鋭い眼光はそのままに、あまりに真剣な様子です。肩を竦めながらユルグは問いを投げかけてみました。
「でもンな大きいモン刺すことある? 飛び込むとかでなくて」
 笑う呼気すらもユルグには甘ったるすぎるほどで。けれど灰色の男はそれさえもときめきのエッセンスなのでしょう。
「苺やマシュマロも悪くは無いが、一度手づからスポンジを丸ごと浸し食べたいと思っていたんだ」
「……はぁ」
「いや、流石にナイフとフォークは用意すべきか? 無駄なく掬うならスプーンか。それでは小さすぎるな」
「……まあ掬ってみたくはなるケドも、チョコケーキじゃダメなワケ」
 口に入れれば味一緒デショ? と、思わなくもないユルグなのですが、ジャックはすっかり思案に浸っています。
「あのトランプ兵のスピア。あれで大きなスポンジを豪快に浸すというのはどうだろう。いや駄目だな、見た目は良いが中までチョコレートがかからない」
「聞いちゃいねェ」
「待ってくれ、今考えを纏めてるんだ……こんな又と無い機会、逃すわけには」
「……あんた達」
 呆れた様子でシンデレラが聲をかけてきました。
「あ、悪ィねこのお兄さん甘いモンとなると真剣で」
 ひらり、手を振りながら、シンデレラへ向けて肩を竦めるユルグです。
「というわけで、どうせならチョコレートでも堪能してたら、お嬢さ……」

「あたしを無視すンじゃないわよッ!!!!!!」

 いきなり顔を真っ赤にしたシンデレラが、どこからかカボチャ型の空中要塞を呼び出してどっかーん! ミサイルの雨の中を駆け抜けながら、ユルグはやれやれと苦笑です。
「ま、あの様子じゃパフェ選ぶのに丸一日かかっただろうし」
「パフェ。……嗚呼そうだ。本題はパフェだったな」
「そうよ、お目当てはまだこの先だかんね」
「気を引き締めて掛かろう」
 灰色がちかりと瞬いて、ジャックは殺人鬼の技能を極限まで研ぎ澄ませてゆきます。
「あのやたら頑丈そうな南瓜を狙うのは骨が折れるな」
「なら、壊すべきは大層な触れ込みの硝子の靴の方かな」
「俺が罅を刻もうか。……避けろよ」
 手にした刃物から、流れるような九連撃。
「きゃあっ!?」
 最初に刻んだ一撃をそっくりなぞるような精確さで、硝子に大きく罅を刻みつけました。しかし全てを敵へと叩き込めない諸刃の剣はユルグへと――。
「って、隣から来るとは思わねェわ」
 大きく飛び退いて何とか避けた一撃の重さに、ユルグが思わず愚痴をこぼします。
「なに、お前なら一閃くらいわけないだろう?」
 現にこうして無傷じゃないか、としれっと言ってのけるジャックへと。
「まったくホント、甘いのは味の趣味ばっかりネ」
「お前にだけは言われたくないぞ」
 流れるように交わされる軽口の応酬。けれど、無敵の靴に傷を刻まれ狼狽えるシンデレラに、踊るように刻み込まれたユルグの干戈は。
「甘い夢なんて打ち砕いて、硝子の靴も不要でしょ」
 ただ一撃。傍らの殺人鬼の軽やかな連撃とは対照的な、単純で、ゆえに重い一撃。
 刻んだ罅に閃かせば、無敵というまやかしも、過ぎた夢物語も、硝子と一緒に砕け散っていくのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オスカー・ローレスト
リアム(f19621)、と……

ぴっ……(闇の魔力にビビる

お、俺は……恵まれてなん、て……俺が、恵まれるなんて、そんな……こと……

けど、恵まれてないからって、無理矢理奪おうとしたり、誰かを傷つけるのは、俺だったら、したくない、よ……(ビビってもも言いたい事は言った小雀

そんな、オウガみたいなこと、もう……(かなり小声で

リアムがUCを当てやすいよう、に、普通の魔法の矢で、敵の足元を狙って、避けにくいように、する、よ。身体とか武器で庇いにくい所、狙って……(【スナイパー】、【援護射撃】使用

リアムのUCが敵に命中したら、俺も【暴風纏いし矢羽の乱舞】を発動して、攻撃する、よ……(リボンにはぎょっとしつつ


リアム・ペンタス
オスカー(f19434)と共闘
アドリブ等歓迎

かわいそうなお姫様ね
だからって他人から奪ったらいけないわ
奪ったらあなたも、お義母様とやらと同じになってしまうから

何にしろオウガだもの、一思いにやってしまいましょう
どこまで効くかわからないけれど、槍に破魔を込めてランスチャージで突っ込むわ
これでオウガの魔力を少しは散らせないかしら?
それでも駄目元でUC【あの子のリボン】でUC封じを試みるわ

オスカーがUCや攻撃を叩き込みやすいように
オーラ防御と激痛耐性、盾受けで耐えながらオウガの注意を引き付けましょう
ほらほら、あなたの相手はこちらよ
余所見なんてつれないことをしたら、あたしの槍で串刺しにしちゃうんだから




 彼女が忌々しげに眉根を寄せれば、嫉妬の魔力纏った黒炎がますますぎらぎらと燃え上がります。
 その禍々しさに、オスカー・ローレスト(小さくとも奮う者・f19434)がぴっと高く啼いて身を竦めました。
「め、恵まれて……る……? ……俺、が……? そんな……こと……」
 先程の『可愛い小雀さん』といい、今日はやけに耳慣れない言葉をかけられるものです。
 けれど気が弱く心優しいオスカーにしてみれば、見当違いの罵声を受けようとそれが怒りに結びつくことはありませんでした。オスカーの心を燃やすのは、もっと別のことがらです。
「けど、恵まれてないからって、無理矢理奪おうとしたり、誰かを傷つけるのは、俺だったら、したくない、よ……」
 ――そんな、オウガみたいなことは、『もう』。
 解放されても罪の意識は消えない。それでも罪を重ねることだけはあってはならないと、オスカーは小さな体から勇気を振り絞るのです。
「そうね、良く云ったわ、オスカー」
 アリスの槍を構えながら、リアム・ペンタス(星屑の道標・f19621)が頷きました。最後の言葉はとても小さく、リアムには届いていなかったかも知れませんが、その想いは確かに通じたのでしょう。
「確かにかわいそうなお姫さまね。だからって他人から奪ったらいけないのよ」
 飴色に写る女王様は、憎しみの炎で輪郭さえもあやふやです。地を蹴ったリアムが槍を携えアリスへと突っ込んでいきました。
「本ッ当に説教臭いのね、猟兵って奴らは!」
 憎しみの炎宿らせたシンデレラのステッキが、リアムの槍のかたちをそっくり復元してゆきます。矛先から放たれる衝撃波がぶつかり合いました。
 オスカーのクロスボウから魔力で練り上げた槍が放たれて、シンデレラの足元を狙います。不意打ちに飛び退いたシンデレラの隙をついて、リアムの槍がシンデレラに届きました。
「うざったいヤツ……!」
 王子様を射止めた美しい顔をくしゃくしゃに歪め、シンデレラがオスカーに狙いを定めます。ですが、リアムが身を翻して射程に立ちはだかりました。
 嫉妬の炎がオーラの盾を焼き尽くし、その切っ先がリアムの身体を傷付けました。疵を受けようとリアムは艶然と微笑むばかり。
「リアム……!」
「あなたの相手はあたしよ、余所見しないで」
 ――妬いちゃうじゃない、今度つれないことしたらあたしの槍で串刺しにしちゃうんだから。……なんて軽口を付け加えつつ。
 槍と槍が再びぶつかり合いました。仲間の負傷、ペンキ仕立てのバラよりも赤い血に、オスカーの貌がさあっと青ざめてゆきました。けれどぶんぶんと首を振って、弓を引き絞る事に集中します。
 魔法の矢は手ずから番える必要はありません。狙い定めた個所と瞬間を的確に撃ち抜くのに、これほど適したものはないでしょう。
 オスカーが作り出した隙を狙い、破魔の槍がシンデレラの魔力を蹴散らします。黒炎の槍はゆらめいて、何とかその形を保っている有様です。
「もう一押しってとこね。『これ』があれば、あなたの時を止められるかしら?」
 リアムが放ったのは血染めのリボン。そのいろにオスカーが流石にぎょっと瞠目しました。けれど時を止めた『あの子』のリボンがシンデレラに絡みつけば、時間ごと吸い上げたように複製の槍が効力を失って只のステッキに逆戻り。
「お、俺……も」
 ちいさな羽が暴風纏って舞い上がり、シンデレラを斬り刻みます。リアムの美しき槍が使い手の意思を反映するかのようにきらりと煌めきました。
「お仕舞いよ、お姫様」
 聲は穏やかで、けれど直後に炸裂したランスチャージには、憐れみも同情も、欠片もありませんでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

終夜・嵐吾
せーちゃん(f00502)と

わがままお姫さんのようじゃな~
オウガはオウガなりのあれそれがあるんじゃろうが
それでもめちゃくちゃにしてよいというもんではなかろ
パフェのためにもさっくりやってしまお
あの噴水も楽しめるかもしれんし
夫人や伯爵が頑張っておる間に

ざっくりやってしまおか
ぺらぺらのトランプよりも引き裂きがいはあるじゃろ
眼帯外し右腕に虚を招いてその三爪借り、せーちゃんと息合わせて仕掛けよう
やられてやるつもりなどもちろん無い
相手が空を飛ぶならば叩き落すのみ

わしの知っとるシンデレラとはちょっーっと違うようじゃね
せーちゃんもお伽噺しっとる?
んん??
それは、面白そうじゃから語って聞かせてほしいもんじゃ!


筧・清史郎
らんらん(f05366)と

…チョコレートの噴水(何気にガン見
だが甘い噴水やパフェを堪能する前に、成すべき事をやろうか
ああ、頑張ってくれている、あの一等甘そうな伯爵や夫人達の為にもな(微笑み

友が存分に敵を引き裂ける様に、
連携しつつ、俺は南瓜要塞を引き付けるよう動こう
強化した見切りや花霞に溶ける様な残像駆使し敵を攪乱、
広範囲の衝撃波や刀の連撃を見舞おう
幾ら威力上げようとも当たらねば問題はないし
守り固めても、友の鋭く速い三爪がその身を引き裂くだろうからな

ふむ、御伽噺なら聞いた事がある
確か不遇な美しき姫が、甘味をあげた動物さんと南瓜に乗って鬼退治に行く話だったか?
ああ、パフェを食べながら話そう(微笑み




「わがままお姫さんのようじゃな~」
 ひたすら身勝手なシンデレラの言い分に、思わず率直な感想を漏らしてしまう終夜・嵐吾(灰青・f05366)なのでした。
「オウガはオウガなりのあれそれがあるんじゃろうが、それでもめちゃくちゃにしてよいというもんではなかろ。のう、せーちゃん?」
「ああ、そうだな……」
 嵐吾の言葉に相槌を打ちつつも、筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)の視線はある一点に注がれておりました。
「……チョコレートの噴水」
「パフェのためにもさっくりやってしまお、あの噴水も楽しめるかも知れんし」
 涼しい顔に似合わず、清史郎は大変な甘党なのです。友として嵐吾も知る所でありましたし、更に言えば先程、そんなやりとりをしてきたばかりでした。
「そうだな。甘い噴水やパフェを堪能する前に、成すべき事をやろうか」
「夫人や伯爵が頑張っておる間にな」
「ああ、頑張ってくれている、あの一等甘そうな伯爵や夫人たちの為にも」
 目を細める清史郎の笑みは、相変わらず『雅』の文字が相応しいもので。
 どこまで本気なのか、嵐吾ですら計りかねるのでした。


「目障りな奴ら、みんな消し飛ばしてしまいなさい!」
 シンデレラが命ずれば、巨大な南瓜の要塞が火を噴くのです。ミサイルにカノン砲、でたらめな数の暴力の中を、二人は駆け抜けていきます。
「さっくりやってしまおか。ぺらぺらのトランプよりも引き裂きがいはあるじゃろ」
「では、俺が南瓜要塞を引き付けようか。らんらんはシンデレラを」
 頷きあった直後、二人はそれぞれの狙いへと向き合います。
 ふわりと桜が舞えば、幾重にも残像纏った清史郎が砲撃を撹乱させてゆきました。ミサイルが届いても、まるで花霞に溶けるように男の姿が消えてしまうものですから、きぃとシンデレラは歯噛みします。
「あたしが直々に蹴り飛ばしてやろうかしら」
 魔法の靴とドレスの力を解放し、空へと舞い上がるシンデレラ。
「なら、叩き落してしまお」
 ――ちょっとだけ、出て来てもええよ。
 華封じの眼帯外せば、眠るものが右腕の上を這いまわるように姿を現しました。その三爪見遣り、清史郎も花振舞を構え直すのでした。あの鋭い爪の前では、護りを固める為のドレスも意味を成さない事を知っているのです。
 友へ狙いが行かぬように。清史郎は雨のように降る殺意を衝撃波で弾き飛ばし、流れるような動作で南瓜要塞へと連撃を叩き込みました。ぐらりと巨躯が傾いだその時、嵐吾もまたその『右腕』を振るっておりました。
「なん、で」
 虚の爪は、たった一振りで魔法の加護宿るドレスを裂き、その身を食い破るのでした。
「あんた達……女の子に野郎二人で、恥ずかしくないの……っ」
 悔しまぎれの暴言は、『嫉妬』の名を冠した彼女だから。
 息の合ったコンビネーションが、羨ましかったのかもしれません。


 崩れ落ちるシンデレラに目を遣りながら、嵐吾がふと思い立ったように呟きます。
「わしの知っとるシンデレラとはちょーっと違うようじゃね。せーちゃんもお伽噺しっとる?」
「ふむ、御伽噺なら聞いた事がある。確か……」
 せーちゃん、暫しの思案。
「不遇な美しき姫が、甘味をあげた動物さんと南瓜に乗って鬼退治に行く話だったか?」
「んん?? それは、面白そうじゃから語って聞かせてほしいもんじゃ!」
 しかも、姫と南瓜に甘味とは。何ともぴったりな話じゃ、と眼帯を戻しながら笑む嵐吾に。
「ああ、パフェを食べながら話そう」
 清史郎も、心からの笑みを向けるのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

パウル・ブラフマン
【エイリアンツアーズ】
ワルいお姫様みーっけ!いざお覚悟ォ♪
(胸元から視線を外しつつ)

エッなに…やっべーカボチャの要塞超カッケェ!!
これは攻略するっきゃないっしょ☆
行くよGlanz―UC発動!
イチくん、深冬ちゃんも良かったら後部座席へどぞ♪

お姫様のカボチャはマジハイスペックだね。
でも…機動力にかけちゃGlanzは負けないぜ!
イチくんと連携しつつ
深冬ちゃんの割り出してくれたデータと
【野生の勘】を基に、ミサイルを【見切り】応戦。

展開したKrakeの全砲【一斉発射】で
要塞のプロテクトを破壊したら、そこから中へ!
操縦席を狙って突っ込むよ!!

キミが持ってないモノ?
そうだなァ…心から信じられる友達じゃない?


榛名・深冬
【エイリアンツアーズ】

ハッピーエンドの先が幸せだとは限らない、
という事でしょうか
だからといって人様に迷惑を掛けていい理由にはなりませんので
遠慮なく倒します
視線を逸らす男子ズには思わずジト目

ブラフマン先輩のGlanzに乗せてもらい安心して作業に専念
電脳眼鏡型ゴーグル起動、電子キーボードを【早業】で操作
UCの機械兵器と機械鳥を駆使して牽制・撹乱・【情報収集】
空中機動要塞を攻略してみせます
必要な情報共有しつつ同時進行で猫の手も使用し
【ハッキング】し要塞の無力化を試みる
青和さんのフォロー、とても心強いです
シンデレラと戦う場合UCの機械兵器は闇の魔力を纏った
部位や武器への攻撃は避けるか燈が炎を吐いて攻撃


青和・イチ
【エイリアンツアーズ】

お菓子欲しさに、国ごと欲しいとか…
だいぶ歪んだなあ…

先輩?なに視線逸らし…
……(自分は脚から視線外し

それじゃお邪魔します、とGlanzさんの後部座席へ
この機動力と操縦、いつ乗っても爽快です
相手の攻撃、当たる気しない

魔導書から射手座を喚び、鋭い光弾を連射
プロテクトに阻まれるなら…お姫様の眼前狙って煽ってみよう

榛名さんの要塞攻略、めっちゃ頼りにしてる
集中出来るよう、攻撃は『かばう』、弾く、『念動力』で逸らす等フォローはお任せを

成功したら「ナイスです」と、即弱った所を攻撃
パウル先輩の一斉発射に合わせ、自分も『2回攻撃』で弾数増やして攻撃

こうして悪いお姫様は退治されました
おしまい




 白銀の煌めきを纏った、流星の如き疾走。
 宇宙バイクGlanzはトランプ兵をかぎ分けて、女王様のところへとひとっとびです。
 大きく展開した後部座席には、『エイリアンツアーズ』の二人のクルー。
「お菓子欲しさに、国ごと欲しいとか……だいぶ歪んだ、なあ……」
 率直な感想を述べるのは青和・イチ(藍色夜灯・f05526)。
「ハッピーエンドの先が幸せだとは限らない、という事でしょうか。だからといって人様に迷惑を掛けていい理由にはなりませんので、遠慮なく倒します」
 ねえ燈、と肩に掴まる小竜に語りかけながら、榛名・深冬(冬眠る隠者・f14238)。
「おっ、ワルいお姫様みーっけ!」
 そしてGlanzの運転手、パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)が歯を見せて笑う先。
 ステッキ構えふんぞり返るシンデレラが、彼らを迎え撃つのでした。
「いざお覚悟ォ♪」
 いつもの快活さのまま宣戦布告するパウルですが、何故だかその目線はシンデレラから逸らされています。
「先輩? なに視線逸らし……」
 貌を上げてシンデレラを見たイチも、やっぱり同じようにすぐに下を見てしまいました。
 そんな男子ズに思わずジト目になってしまう深冬は気づいておりました。パウルは女王様の胸元を、イチはすらりと伸びた脚を、視界に収めた瞬間しどろもどろになっていたことを。
 まあじろじろ見るよりは、なんて溜息を零して気を取り直し。
「次から次へと邪魔者が入るわね。全部吹き飛ばしてやるわ!」
 シンデレラの聲と共に、南瓜の要塞がその姿を現しました。
「エッなに……やっべーカボチャの要塞超カッケェ!!」
「そ、そう?」
 隻眼をきらきらさせて褒められれば、賛美に飢えたシンデレラはまんざらでもない様子です。
「うんうん、ほんとイカしてるよ。これは……攻略するっきゃないっしょ☆」
 ――行くよGlanz、UC発動!
 掛け声と共に、三人を乗せた白銀が猛然と奔り出しました。同時に火を噴いたミサイル群はそのスピードに置いてけぼり。獲物を捕らえられずに虚しく破裂するばかりです。
 イチが古い星座図鑑の頁を捲り、射手座の力を解放します。鋭く迫る光弾が南瓜に襲い掛かり――直後、見えない何かに弾かれました。
「あれが、プロテクト、かな」
「ブラフマン先輩の言葉を借りるなら――わたしが空中機動要塞を『攻略』してみせます」
 電脳眼鏡型ゴーグルを起動させながら、深冬が機械兵器と機械鳥を解き放ちます。機械鳥は情報収集の為。そして機械兵器は、南瓜要塞の狙いを撹乱するために。
「お姫様のカボチャ、マジハイスペックだね。でも……当たらないよ!」
 Glanzが縦横無尽に戦場を駈け廻ります。スピードを感じさせない程の緻密な制御は、パウルの生まれもった勘と、リアルタイムで共有される深冬のデータによるもの。
「榛名さんの要塞攻略、めっちゃ頼りにしてる」
 更にイチの念動力がミサイルたちの軌道を捻じ曲げます。開いた視界、まっすぐに放った光は要塞ではなく、女王様の眼前目掛けて。
「きゃっ」
 それはお返しとばかりに要塞の砲弾に弾かれてしまったけれど、シンデレラの眉間の皺が増えているのを見るに、挑発としてはなかなかに作用したようです。
「青和さんのフォローこそ、とても心強いです」
 微かに笑んだ深冬の表情は『やり切った』と言わんばかりでした。
 それもその筈です。直後、あんなに降り注いでいたミサイルの雨が、ぴたりと止んでしまったのですから!
「一時的に要塞をハッキングしました」
「マジ!? 深冬ちゃんカッコ良すぎる~☆」
「ナイスです、榛名さん」
 即座にパウルの触手が伸び、取り付けられた砲台が一斉に南瓜要塞を見据えます。
「一斉発射ァ!!」
 合わせてイチが放つ光弾の連撃。深冬の割りだした弱点への集中砲火は、強大な要塞のプロテクトをも破壊したのでした。
「よっしゃ突撃ィ!」
 Glanzが一等高く吼え、シンデレラの元へと切り込みました。
「くッ……!」
「行って、燈」
 咄嗟に闇の魔力張り巡らせ彼らの技を奪い取ろうとするシンデレラですが、闇を纏わぬ腕目掛けて燈が焔のブレスを吐き、力の根源たるステッキを取り落とさせました。
「力を、貸して」
 祖父に貰った大切な図鑑が、ひときわ眩く煌めいて。
 合わせるように、Krakeがシンデレラを焼き払うのでした。

「どうし、て」
 ぼろぼろの身体でシンデレラは歯軋りをしました。
「あたしとあんた達、何が違うのよ。どうして勝てないの……!」
「キミが持っていないモノ? そうだなァ……」
 パウルの眼差しは、どこまでも穏やかでした。
「心から信じられる友達じゃない?」
 シンデレラが訝しげにイチを、深冬を、そして深冬の肩に乗る燈に目を遣りました。
「そんなの要らない。もっとあたしだけが幸せになりたいの」
 それだけを吐き棄てて、シンデレラの身体が地に崩れ落ちました。
「……なんだか、寂しい人ですね」
 人間嫌いと称されていたほど人付き合いに苦手意識のある深冬も、思わず呟いてしまいます。
「でも、これで『めでたしめでたし』に、なるのかな」
 イチが呟いた通り。
 悪いお姫様は、猟兵達に倒されるのですから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ラフィ・シザー
【童話家族】
ここはアリスラビリンスだからなアンタみたいなシンデレラがいても不思議じゃないさ。
毒味がすんだ齧ったお菓子が嫌だってなら毒味前のお菓子を食べればいいだろう?毒が怖くないのならだけどな。
それとも自分でお菓子を作ればいいじゃないか。
誰かから奪うだけがやり方だけじゃないだろう?

そんなことも考えないで一人でわがままを言ってるシンデレラにはお仕置きが必要だよな。
UC【悪い子のクリスマス】

ふふ、俺達がどんなにヤンチャでも那由多やアナンシが守ってくれるだろう?
だから思いっきり戦えるんだぜ。

さぁ、みんなでパフェまであと一踏ん張りだ!


ファン・ダッシュウッド
【童話家族】

シンデレラ……ですか
まあ、僕の言いたい事は
アリアやラフィさんが申し上げていますから
其れでも、言わせてもらうならば……
毒の心配の無い食べ物を貰えるだけ幸せだと思いますよ

とはいえ、毒でも食べる度胸はおありではない様子
家族皆でぱふぇを食べる為にも
嫉妬に満ちた灰かぶりには消えて頂きましょうか

殺戮刃物を手に『UC:九死殺戮刃』を
【部位破壊】【傷口をえぐる】程の力を込めて
邪魔なプロテクトとやらを壊してしまいましょう

クロ、鳳城さ……お義母様の傍に
何かあれば【武器受け】で【かばう】を
(暴れ足りなさそうにしつつ、言う通りにしようと)


アリア・モーント
【童話家族】
ラフィお兄様の言うとおり!
誰もくれないのなら作ればいいの
齧られたくないなら、毒を恐れず食べればいいわ?
そもそも、毒見してくれるのは愛されているからなのに

それを知らないわがままシンデレラ
ああ…なんて滑稽なのかしら?

今回はわたしだって前に出るのよ?
次の演目は【恋歌狂奏曲「Viburnum」】
パパとママ、お兄様たちのために歌うのだわ!
【誘惑】するように【ダンス】しながら
【歌唱】による【多重詠唱】で奏でるのは炎【属性攻撃】魔法のcandy rain

うふふ!
だってわたしとラフィお兄様がはしゃいでも
ママの傍にはファンお兄様もパパもいるんですもの
だからパフェのために頑張れるのよ?頑張れるのだわ!


鳳城・那由多
【童話家族】
お菓子を好きに食べられないのは可哀想ね
好きに食べられるこの国が欲しい気持ち
わからなくはありませんわ

まぁ、子どもたちは素敵な提案をしますね
人から貰えないなら自分で作ればいい
宜しければお手伝いくらいはいたしますので
諦めてはくれませんか?
それで諦めてくれるとは思いませんけど

それとも素直に皆さんとパフェを楽しむというなら
貴方とご一緒いたしますわ
私の愛は誰にでも平等ですから

あらあら、アリアさんもお転婆さんですわね
それではUC【ラルゴとヴィヴァーチェ】を使用
ラルゴはオーラ防御で子どもたちの盾に
ヴィヴァーチェは炎のブレスで敵を焼却してくださいませ


アナンシ・メイスフィールド
【童話家族】

ふむ、確かに誰かが先に手を付けた食事は嫌かもしれないねえ
けれどもアリア君の言う様それだけ君が大事にされていた証だと言う事だろうに
幸せとは本人には解らぬ物なのかもしれないね、うんうん

戦闘と共に手にした剣とは逆の手にて【捕食行動】
生じさせた蜘蛛糸にて皆が攻撃を当てやすい様、そして敵の攻撃を避けやすい様動きを妨害せんと試みるよ
全てを防ぐというけれども…粘着性のあるこれは振り切るには骨が折れるのではないね?
成功したなら敵を繋いだ侭剣にて『二回攻撃』『暗殺』を狙いながら攻撃を
ふふ、ラフィ君勿論だとも
皆への攻撃は可能な限り【捕食行動】と『武器受け』にて妨害して見せるゆえ、安心して戦って来給え




「シンデレラ……ですか」
「ここはアリスラビリンスだからな。アンタみたいなシンデレラがいても不思議じゃないさ」
 うさみみ付きの愛らしいランプ携えて、ラフィ・シザー(【鋏ウサギ】・f19461)は云うのでした。その言葉に、ふむ、とファン・ダッシュウッド(狂獣飢餓・f19692)は頷きます。
 二人はともに時計ウサギ。この世界とは縁の深い種族です。
「毒味がすんだ齧ったお菓子が嫌だってなら毒味前のお菓子を食べればいいだろう?」
 毒が怖くないのならだけどな。それとも怖いのか? すらすらと口をついて出るラフィの言葉に、妬きもちやきのシンデレラはぎりりと歯軋りをするばかり。
 それとも、とラフィの耳がぴんと揺れて。
「自分でお菓子を作ればいいじゃないか。誰かから奪うだけがやり方だけじゃないだろう?」
「ラフィお兄様の言うとおり! 誰もくれないのなら作ればいいの」
 少女の弾む聲がラフィに同調します。もうひとり、この世界と縁の深い種族。アリス適合者のアリア・モーント(四片の歌姫・f19358)です。
「齧られたくないなら、毒を恐れず食べればいいわ? そもそも、毒見してくれるのは愛されているからなのに」
 ――それも知らない、わがままなシンデレラ。
「ああ……なんて滑稽なのかしら?」
 あくまで楽しい物語を紡ぐように、歌姫(サツジンキ)は嬉しそうに言葉を連ねるのでした。
「随分と下品に囀る鳥がいたものだわ」
 シンデレラの呼び寄せるパンプキン要塞は、幾多の攻撃を受けて崩壊寸前。それでも彼女が命ずれば、がたがたと震えながらも砲撃の雨を降らせるのです。
「子どもたちに手出しはさせませんわ」
 降り注ぐ殺戮から彼らを庇うように騎士が立ちはだかります。それは鳳城・那由多(傍観察者・f22037)の呼び寄せた『ラルゴ』。彼女の白い髪やドレスとは対照的に、漆黒の槍と鎧を纏っています。
「それにしても、子どもたちは素敵な提案をしますね。人から貰えないなら自分で作ればいい、とは」
 誇りに思いますわ、と那由多が笑みを零せば、狐の尻尾が楽しそうに揺れるのでした。
「好きにお菓子が食べられるこの国が欲しい気持ち、わからなくはありませんもの……ですが、残念ながらあなたの望みを叶えることはできませんわ。宜しければお菓子作りのお手伝いくらいはいたしますので、それで諦めてはくれませんか?」
「お断りよ」
 短い答えと同時に、降ってくるのは破壊の弾丸。
「手作りですって? 冗談じゃない! 折角他人にこき使われない身分になったのに!」
「やはり、聞き入れては頂けませんか」
 吐く息はあくまで穏やかに。お願いね、と『彼ら』に命ずるのです。
「ふむ、確かに誰かが先に手を付けた食事は嫌かもしれないねえ」
 大仰な様子で頷きながら、紳士然とした男――アナンシ・メイスフィールド(記憶喪失のーーー・f17900)が、剣を持っていない方の手を宙に伸ばしました。その手にきらりと眩く光るのは、この神の眷属たる蜘蛛の糸。
 強靭さと柔軟さを兼ね備えた糸を、張り巡らせては砲撃たちを妨害し。
 ファンの持つ鋭利な刃物が、アナンシが防いだ砲弾たちを斬りつくしながら要塞へと距離を詰めました。
「アリアやラフィさんが、僕の言いたいことを申し上げていましたから……強いて、言わせてもらうならば」
 呪いの子と蔑まされるほどの衝動を、研ぎ澄ませて叩きつけるように、刃の連撃が翻ります。
「毒の心配の無い食べ物を貰えるだけ、幸せだと思いますよ」
「そうだね、アリア君も言っていたように、それだけ君が大事にされていた証だと言う事だろうに」
 ――幸せとは、本人には解らぬ物なのかもしれないね、うんうん。
 納得したように頷くアナンシの眼前で、張り巡らされたプロテクトを破壊された要塞が崩れ落ちてゆきます。
「く……っ!」
「今日はわたしだって前に出るのよ? パパとママ、お兄様たちのために歌うのだわ!」
 ファム・ファタールのようなウインクひとつ、ダンスと共に歌い上げるのは恋歌狂奏曲「Viburnum」。恋が題材の魔法の歌は、何にも負けないような勇気をもたらしてくれるのです。そう、まるで恋する乙女のように!
 それと共に奏でられる、炎の魔法。甘やかに降り注ぐCandy rainがシンデレラを焼き払います。
「あらあら、アリアさんもお転婆さんですわね」
「うふふ! だってわたしとラフィお兄様がはしゃいでも、ママの傍にはファンお兄様もパパもいるんですもの」
 情熱的な演目を繰り広げながら、楽しそうにアリアは笑うのでした。
「だからパフェのために頑張れるのよ? 頑張れるのだわ!」
「そうそう。俺達がどんなにヤンチャでも、那由多やアナンシが守ってくれるだろう?」
「ああ、勿論だとも。安心して戦って来給え」
 那由多の呼び寄せた騎士ともう一匹――蒼白い炎の巨大な狼、ヴィヴァーチェがシンデレラの元に立ちはだかります。練り上げたオーラで騎士が家族を護っている間、アリアとヴィヴァーチェの炎のデュエットがオウガを焼き焦がしてゆくのです。
 炎の海の中であっても燃えぬ蜘蛛の糸が伸びて伸びて、とうとうシンデレラへと纏わりつきました。
「なによ、この……!」
「全てを防ぐというけれども、粘着性のあるこれは振り切るには骨が折れるのではないかね?」
「くっ、莫迦に……すんじゃないわよッ!」
 シンデレラの眸に宿る嫉妬の炎がますます昂り、とうとうそれが実体となって現れました。ヴィヴァーチェやアリアの炎をコピーしてみせたのです。幾多の包囲を潜り抜け、それは那由他へと襲い掛かりました。
「クロ、鳳城さ……お義母様を!」
 漆黒の子竜が了解したとばかりに高く啼いて、嫉妬の炎から那由他を守り抜きました。
「ありがとうございます、疵はあとで私が癒しましょう」
 いい子ね、と那由他の白い手がクロを撫でました。子竜は心地よさにぴかぴか光る金色の眸を細めつつ、それでも少しだけ不服そうでした。護衛役では暴れたりないからでしょうか?
 しかしラルゴとヴィヴァーチェを使役する関係上、彼女が矢面に立つわけにはいかないのです。ひとたびオウガが那由他を狙えば、頼もしい盾と矛のどちらをも喪う事になるのですから。
「ねえ、シンデレラさん。皆さんとパフェを楽しむというなら、貴方とご一緒いたしますわよ?」
 ――だって、私の愛は誰にでも平等ですから。
「お断りよ」
 シンデレラはまたもや短く拒絶するばかりです。
「おやおや、折角彼女が誘ってくれたというのに」
「わがままばっかのシンデレラにはお仕置きが必要だよな」
 可愛らしいランプから、使役されるのは聖夜の悪魔。鞭をしならせ悪い子を懲らしめるのです。
「あらラフィお兄様、クリスマスにはまだ遠いのよ?」
「継母よりわがままなシンデレラがいるなら、6月のクリスマスくらい不思議じゃないさ」
「同感だ、彼女の不条理に比べれば些細な事柄だろう」
 糸に絡めた獲物をとうとう捕食するように、アナンシの持つ美しい銀の刃が彼女の膚に突き刺さりました。
「さぁ、みんなでパフェまであとひと踏ん張りだ!」
 ラフィの聲に応えるように、悪魔が鉤爪を振るいます。
「ええ。家族皆でぱふぇを食べる為にも」
 ファンが、まるで魔法の言葉であるかのようにその単語を口にします。
「――嫉妬に満ちた灰かぶりには、消えて頂きましょうか」
 研ぎ澄ませた連撃を、何度も何度も叩き込みました。きらきらと美しい宝石箱のような『ぱふぇ』に相まみえる前に、この忌まわしき衝動をすべてオウガに注いでしまうのだとでもいうように。
 アリアの赤。ヴィヴァーチェの蒼白。二色の炎が降り注ぎ、悪魔の鞭と爪が、蜘蛛の針が、傲慢な女王様を次々と染め上げてゆくのでした。

 ――無敵のドレスも、魔法の靴も、その嫉妬ゆえに使いこなす事叶わず。
 トランプのようにぺらぺらな栄光は消え失せて、あとには何も残りませんでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『スイーツ・ヘヴン』

POW   :    独特な素材の斬新なスイーツ

SPD   :    フルーツをふんだんに使ったスイーツ

WIZ   :    趣向を凝らしたお洒落なスイーツ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 ――こうして、甘い国に平和が訪れたのでした。

「是非に礼をさせてください。我々に出来る最高のおもてなしを致しましょう」
 イチゴ伯爵がうやうやしく頭を下げれば、ジェリービーンズにビスケット、色とりどりの愉快な仲間達も続きました。

 この国流のおもてなし。それは勿論、目と舌を楽しませてくれる一点物のパフェ!
「題材にした人や物、情景などを是非詳しく聞かせてください。ご自分がテーマでしたら、深く語るのは気恥ずかしいかもしれませんが……向き合う時間もまた、楽しんで頂ければと」
 それに加え、全体の色や、入れて欲しい食材などがあれば、是非に聞かせて欲しいという。
「我々にある程度任せて頂くことも勿論、喜んで承ります。しかしできれば、イメージカラーはあると嬉しいです。色というのは、それほどまでに印象を決定づけるものですから」
 ――さあ、あなたいろのひとさじを、ぜひ。

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第三章はスケジュールの関係上、少しお時間を頂きまして、6/17(水)朝8:31~の募集とさせていただきます。終了日時はMSページでお知らせします。
三章のみの参加も大歓迎ですが、キャパシティを超えた場合、再送にご協力頂く可能性がございます。その場合も、MSページで改めてお知らせします。
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セロ・アルコイリス
オズ(f01136)と

パフェですね!
ひとを元にパフェを作る……ってのがおれまだ想像つかねーんですけど

じゃあじゃあ、おれもオズ作って欲しいです!
あんたに伝えたらいいんです?
えっとえっと
白い椅子とか柵とかのある、ちゃあんと整った緑の庭園に白い鳩とかが飛んでて
青い薔薇が咲いてるんですけど
そこに咲くお陽さま色のたんぽぽ!
きっと固いよりは柔らかくて
ベタ甘よりはきっとちょいと清しい感じかな
……ん? こんなんでパフェとか作れるんです?

出来上がったら見て見て!っていちばんにオズに見せに行く
ほら、こういうとこがすげーオズっぽい!
あっ、これが件のしらたまってやつですね?
へへ、はいどーぞ
『おれ』もひと口くださいな!


オズ・ケストナー
セロ(f06061)と

パフェだよセロっ
たまパフェも、なんでもつくってもらえるっ

わたしはねえ、セロのパフェをつくってほしいな
わあ、セロはわたしのパフェ?
ふふ、たのしみっ

セロの目はよあけのやさしいピンクいろで
髪は空のいろんな色をうつす雲みたい
それからねえ、虹の色もっ
セロの髪、ひかりがあたると虹色にみえるんだもの
きっと空のどこかに虹がかくれてるんだよ

しらたまに目をかいて上にのせてほしいな
セロといっしょにいる、たまだよっ
あとセロといったらこれっ
鳥の羽みたいなマフラー
しあわせをはこぶ青い鳥だもの

すごいっ
ありがとうっ
セロがパフェになっちゃった
セロのもできた?
きれいなパフェに目を輝かせ
ひとくちこうかんしよっ




「パフェだよセロっ」
「パフェですね!」
 オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)とセロ・アルコイリス(花盗人・f06061)。二人の人形が、きらきら目を輝かせておりました。
「たまパフェも、なんでもつくってもらえるっ」
「ひとを元にパフェを作る……ってのが、おれまだ想像つかねーんですけど」
 しりたがりのセロが興味深そうに首を傾げます。
「わたしはねえ、セロのパフェをつくってほしいな」
 共に平和を護った大切な友人。どんなパフェになるかな、とオズの聲が弾みます。
「じゃあじゃあ、おれもオズ作って欲しいです!」
「わあ、セロはわたしのパフェ? ……ふふ、たのしみっ」
「あんたに伝えたらいいんです?」
 セロに問いかけられたイチゴ伯爵がこくりと頷きました。
「是非、聞かせてくださいませ」
「えっとえっと」
「セロはねえ……」
 時に顔を見合わせたり、ひとりで考えたり。
 オズとセロのお話から、紡がれたパフェは――。

「オズ! 見て見て! すげーオズっぽい!」
 まるで子供のようにはしゃいで、いの一番に見せに行くセロのオズパフェ。
 荒く潰した生のキウイや、そのキウイをグラニテにしたものを、甘すぎないホイップクリームで挟んで。
 白い椅子や柵のある緑の庭園をイメージした土台の上、砂糖細工の青薔薇がのびのびと咲いています。
 青薔薇に寄り添うように彩を添えるたんぽぽは、こちらもイエローキウイの飾り切りを花に見立てたもの。
「庭園を飛ぶ幸せの白い鳩は、粒状に作られた白いゼリーをちりばめることで再現しております」
 とイチゴ伯爵。
「あまり甘すぎず、清しいものがよいと伺っておりましたので」
「この青薔薇とか、オズの帽子についてるのとすげーそっくりですよ」
「わあ、すごい、すごいっ。あのね、わたしのパフェもとってもすてきだよっ」
 オズが隣にセロパフェを並べます。
 よあけのやさしいピンクいろは、とろりと甘い桃のソース。まどろむように優しいセロの眸のいろ。
 フランボワーズのクリームの酸味が、桃の甘さを惹き立ててくれるのです。
「夜明け空のどこかに虹が隠れておりますので、探してみてくださいね」
 わあ、といろいろな角度からグラスを眺めてみるオズですが、虹は外からでは見つかりませんでした。
 代わりに目を引いたのは、グラスの上、桃のソルベのとなりにちょこんと乗っかっているしらたまです。
 ソースでチョンっとかわいくおめめの描かれているこれは、
「セロといっしょにいる、たまだよっ」
「あっ、これが件のしらたまってやつですね?」
 ふわふわの毛玉そっくりのもちもちに、セロが笑みを零しました。
 そしてもちろん、オズの思い浮かべるセロは、しあわせを運ぶ青い鳥。
 青く色づいたチョコレートのプレートが羽のように添えられているのは、セロのマフラーをイメージしたものです。
「すごいっ、ありがとうっ」
 イチゴ伯爵にお礼を云ったセロの頬も、ふふっと花咲くように緩むのでした。
「セロがパフェになっちゃった!」
 そして、折角お互いのパフェが出来たのだから。
「ねえセロ、ひとくちこうかんしよっ」
「へへ、はいどーぞ」
 美味しくて、きれいなものは、やっぱり分け合いたいふたりなのでした。
「『おれ』もひと口くださいな!」
「いいよ、どうぞっ」
 おいしいねえ、と笑い合いながら。
 パフェスプーンで桃色の空を丁寧にかき分けていたオズが、あっと聲を漏らしました。
「みてみて、ほんとに虹がかくれてたっ」
 それはセロのペイントと同じ、ハート型のシュガークッキーでした。
 ちいさいクッキーはセロの髪をあらわすようなパステルレインボー。
 丹念に虹を探したオズへの、ほんのちいさなご褒美でした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

筧・清史郎
らんらん(f05366)と

ああ、らんらん
一点物のパフェとは心踊るな(雅にわくそわ
では俺はらんらんのパフェを作ってみよう

らんらんは、もふもふだ(まずそこ
色はやはり灰青だが、炎の赤や瞳の琥珀の印象も
そして、もふもふ(大事なので二回
クリームや綿飴だとふわふわになるだろうか
らんらんらしく、狐耳や尻尾、眼帯や花の装飾も付けられたら

おお、俺のパフェは一等甘そうだ
噴水のチョコか、良いな(ご満悦

らんらんも男前だが内面はゆるりとした印象なので、可愛いパフェにしてみた
ん?らんらんらしいと俺は思うが?(友に倣い写真撮るが下手すぎぶれぶれ

ジャスパーを見かければ声を
いつも世話になっているな
俺のパフェも一口どうだ?(笑顔


終夜・嵐吾
せーちゃん(f00502)と

いよいよお楽しみのパフェタイムじゃね!
そのために頑張ったんじゃもんな
わしがせーちゃんの作ったげよ

せーちゃんはこーんな顔しとって中身はもふもふ好きと大層な変わり者よ
それが面白くてええんじゃけど

あとは…えぐい
えぐいほどの甘味好きでの…
涼やかな顔でもりもりと食べていく
じゃからどろっどろのあまあまのもりもりで頼む
あっ、さっきの噴水のチョコもかけてもろたら?
ふわふわクリームももりもりでの

汝、わしをかわいいと思っておるんか?
尻尾のもふもふはその通りじゃけど
まぁええか、写真とっとこ(ぱしゃー)

んでは一口
…んまい…さすがパフェの国…!
せーちゃん、そのどろ甘を勧めるのは…大丈夫かの…




「いよいよお楽しみのパフェタイムじゃね!」
 そのために頑張ったんじゃもんな、と終夜・嵐吾(灰青・f05366)がへらりピース。
「ああ、らんらん。一点物のパフェとは心躍るな」
 対する筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)は、あくまで雅に笑み返します。
 だけどらんらんこと嵐吾は知っています。清史郎は間違いなく、それはもう間違いなく、むちゃくちゃはしゃいでいるのです。
「わしがせーちゃんの作ったげよ」
「では俺はらんらんのパフェを作ってみよう」
 ではお互いの事をお聞かせ願いますか、というイチゴ伯爵に、清史郎はふーむと考えを巡らせて。
「らんらんは、もふもふだ」
「そーそー、せーちゃんはこーんな顔しとって、中身はもふもふ好きと大層な変わり者よ」
 受け流しつつ、傍らの友の事を伝えるのも忘れない嵐吾です。そして友を語るにおいて欠かせない事がもうひとつ。
「あとは……えぐいほどの甘味好きでの……」
 甘いものなら何でも、涼やかな顔でもりもりと平らげてしまうので。
「じゃからどろっどろのあまあまのもりもりで頼む」
 どうせなら彼が満足できるものを、とお願いする嵐吾の言葉を、伯爵もしっかりとイチゴ頭に刻みつけたようでした。

「おお」
「これは」
 二人の前に並ぶ、ふたつのパフェ。
 清史郎が頼んだ嵐吾のパフェは、ブルーベリークリームと灰青色の綿飴で、もふもふの毛並みを余すことなく再現した特別仕様!
 ふわふわにアクセントを添えるのは砕いたアーモンドキャラメリゼ。そしてメインの色が落ち着いている分、トッピングは賑やかに。
 燃える炎の赤と、瞳のいろを表現するのは、名前までお揃いの琥珀糖。とろり艶めく二色に囲まれたレモンジェラートには、チョコ細工の狐耳と尻尾がぴこんとくっつけられて自己主張。更にはチョコペンで描かれた眼帯の傍に飾られているのは、色あざやかなエディブルフラワー。
「うん、らんらんの男前だがゆるりとした印象の良く出ている可愛いパフェだ」
「……汝、わしをかわいいと思っておるんか?」
「ん? らんらんらしいと俺は思うが?」
 至極当然といった様子の清史郎なのでした。
「まぁええか、尻尾のもふもふはその通りじゃし」
 ぱしゃーと自分のパフェを並べて写真を撮る嵐吾。清史郎も倣って撮ってみるけれど、どうにもこうにもブレブレな写真しか撮れません。
 仕方ない、と上げた目線は、嵐吾に作ってもらったあまあまパフェに釘付けに。
 狐さんパフェよりもひとまわり大きなグラス。敷き詰められたイチゴソースも、バニラアイスもクランブルも、とことん甘さをプラスした特別仕様。清史郎といえばの桜も、塩漬けにした本物を使うのではなく砂糖菓子とアラザンで作ったあまあま仕立て。
「最初は青をプラスしようかとも思ったのですが、チョコレートに合わせる事を考えると今の色合いの方が綺麗かと」
「チョコレート?」
 イチゴ伯爵の言葉に首を傾げる清史郎。伯爵が掲げたカップから、とろりと流れてきた甘い液体は。
「あの噴水のチョコレートか」
 そう。清史郎が何気に釘付けになっていた、あのチョコレートです。ホットファッジサンデーのような趣向に、良いな、と清史郎の頬もほころびました。
「んでは一口」
 いただきますと手を合わせ、嵐吾はもふもふのその先にスプーンをざくり。口に運べばとろけるようなふわふわです。
「んまい、さすがパフェの国……!」
 隻眼を細める嵐吾の横で、清史郎が見付けたものは。
「おや、ジャスパー。いつも世話になっているな」
「おっ、清史郎に嵐吾じゃん」
 期待に尻尾を揺らす赤角の男でした。どうやら自分のパフェを考えるのに参考にしようと、皆のパフェを見て回っていた様子。
「こっちこそめっちゃ世話になってるし」
「折角だ、俺のパフェも一口どうだ?」
「……せーちゃん、そのどろ甘を勧めるのは……」
「えっマジ? いいの?」
 ジャスパーのスプーンが甘さの多重奏パフェをざくり。
「んまい!!!」
「……大丈夫じゃったか」
「それはよかった」
 清史郎もパフェを口に運び、雅に笑んだのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雅楽代・真珠
しゃらら(f21090)と

甘い甘いぱふぇ
しゃららにお呼ばれ
楽しみだ
お前の姿が見えたなら
如月の腕から降りて、ゆぅらり

ぱふぇは甘味の宝箱
侍国の宝たる僕にふさわしい甘味だ
ふさわしいからね
いいよ、しゃらら
でもね、うんと可愛くしないと駄目だよ
僕が飾られたらもっと可愛くなるような
きらきらで甘くて可愛い特等席に

僕はしゃららぱふぇを
しゃららは雨
天の涙
透明な水
静かで何でも飲み込む水だ
おはじきに花、それから何がいいかな
綺麗と可愛いを閉じ込める水なんだ
けれど口にしたらぴりり
しゅわしゅわかもしれないね
檸檬やぐれぇぷふるぅつも合いそう

出来たぱふぇは綺麗で満足
さいだぁ味のぜりぃも美味しい
桃、好きだよ
しゃららも一匙要る?


夕時雨・沙羅羅
しんじゅさん(f12752)と

ぱふぇっ
楽しみの気持ちを込めて、誘ったともだちに手を振る

パフェ、きらきら宝物詰め合わせ
素晴らしいデザート
きらきらの宝物といえば、目の前のしんじゅさんが浮かぶ
パフェにして良い?と聞いてみて
なるほど、綺麗でかわいい方向

しんじゅさんは…
光浮かぶ白
春の花の柔らかな優美さ
ふわりと広がる鰭
華美な八重の花弁
きらきら透明で可憐
そして…いや、これは言うまでもない

ジェルや八重の桜茶の花がきっと合う
果物もあると嬉しい
今の時期は桃?
僕はぴりしゅわなのか…ひとからのイメージは新鮮

出来たパフェに目を輝かせ
このまま取っておけたら良いのに
でも、味も絶品
しんじゅさん、桃好き?
それなら一切れ、あげる




 何もしらないひとが見たら、黒髪の男性がうつくしい人魚を抱きかかえていると、そう映ったでしょうか。
 実のところ男性は半自動型の絡繰人形『如月』であり、人魚は美しいびいどろ金魚からうまれた雅楽代・真珠(水中花・f12752)でありました。
 一見陸には適さぬ姿の真珠ですが、あ、と小さく呟いて如月の腕から離れると、ゆぅらりと水槽を揺蕩うように宙を進んでいくのでした。
「しゃらら」
 真珠が名を呼んだのは、こちらも人魚のような鱗や鰭を持つ、うつくしい青年。夕時雨・沙羅羅(あめだまり・f21090)です。彼もまた真珠の姿を見つけると、ぼんやりとした表情のまま、どこか楽しそうに手を振るのでした。
「しんじゅさん、ぱふぇっ」
「うん。ぱふぇは甘味の宝箱。侍国の宝たる僕にふさわしい甘味だ」
 誇らしげというよりも、それが当然といわんばかりの口ぶりでした。沙羅羅も真珠のそんな言葉に頷いて。
「――パフェ。きらきら宝物盛り合わせ」
 きらきらの宝物といえば、やはり真珠の姿が浮かぶのです。美しいびいどろがそのままひとの形になったような人魚の姿が。
「しんじゅさんのこと、パフェにして良い?」
「いいよ、しゃらら。でもね、うんと可愛くしないと駄目だよ」
 世界でいちばん可愛い僕はぱふぇにふさわしいけれど、すべてのぱふぇが僕にふさわしいとは限らないからね。
「僕が飾られたらもっと可愛くなるような、きらきらで甘くて可愛い特等席に」
「なるほど、綺麗でかわいい特等席」
 どんなものがいいかな、と想いを巡らせる沙羅羅。真剣に考えてくれるしゃららへのお返しに、僕もしゃららのぱふぇを作ってあげようと、真珠も思案顔です。

「しんじゅさんはね」
 春の花の柔らかな優美さと、光浮かぶ白をそのまま閉じ込めたような、きれいなパフェ。
 丹念にアルコールを飛ばしたロゼスパークリングのジュレに、ふんわりとフロマージュブランのムースを乗せて。
 はらはらと散る華美な八重の花弁はルビーチョコレート。
 ひときわ目を引くのは、一番上に鎮座する、飴細工で作ったうつくしい金魚の鰭。悠然と泳ぐ姿が目に浮かぶような、繊細で大胆な造形。
(「そして――いや、これは言うまでもない」)
 飲み込んだ言葉は、きっとその通りになるに違いないから。
 最後に、味の決め手となるのは――。
「しんじゅさん、桃好き?」
「好きだよ。美味しいし、色もいい」
 旬の桃の一番美味しいのをごろっと乗せた贅沢な仕上がりに、真珠の頬もほころぶのでした。

「しゃららは……雨。天の涙」
 透明な水は、静かになんでも飲み込んでいる。美しい人魚のはらのなか。
 グラスの中は、大胆に透明なゼリーで満たされていました。その中に、おはじきのような金平糖たちや、食べられる花びらや、小さな林檎をイメージしたさくらんぼや――沙羅羅が、更に言えば沙羅羅が焦がれる人が好きなものが、たくさん詰まっています。
 ゼリーの上にはホイップクリームと、『檸檬やぐれぇぷふるぅつ』が酸味と彩を添えておりました。
「うん、しゃらららしく出来た」
「これが僕? すごい綺麗……」
 目を輝かせた沙羅羅は、先程飲み込んだ言葉を口にするのでした。
 ――このまま取っておけたら良いのに、と。
 真珠が作ってくれた水の中のように。
 けれども真珠が桃が好きと云っていたのを思い出して、沙羅羅はとうとうスプーンでひと切れ掬ったのでした。
「一切れあげる」
「しゃららも一匙要る?」
「うん」
 最初のひとくちは、お互いこうかんこ。透明なゼリーを口に運んだ沙羅羅が目を瞬かせました。
「これって」
「ぴりり、しゅわしゅわのさいだぁ味だよ」
 水のおなかは綺麗なだけではないようです。
「僕はぴりしゅわなのか……」
 ひとからのイメージは新鮮だと、しゃららぱふぇを眺める沙羅羅。
 これこそが、誰かと来る醍醐味、なのかもしれませんね。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

境・花世
【梟】

自分を一言でいうと、花
今この春だけは爛漫に咲く花だよ

仕上がるパフェは深紅と薄紅、
ベリー系のシャーベットパフェに
花の形に絞ったヨーグルトクリーム
爽やかな酸味で舌を休めるのにぴったりなはず

黒羽、大人の味なら任せて?
なんて口実で交換こする深い色は
やさしい甘さで癒されるきみらしい味

大人男子組はどんなパフェ――…
あ、綾、なんて大胆なつまみ食いを

と言いつつ争奪戦にしゅっと参加
パンチの効いた、だけど不思議と絶妙なロカジパフェも
涼やかでするする舌に融けてく上品な綾パフェも
四人四色でどれも似てない美味しさで
どれが一番か決められやしないから、
もう一口ずつ食べて確かめるしかないね?

ふふ、ロカジ、さすが太っ腹!


都槻・綾
【梟】

其々の印象を甘味に寄せて
交換会

運ばれてきたのは
初夏の爽やかな薄荷の香り
チョコミントアイスを下地に
薄紫や薄紅のゼリーを散らした、紫陽花パフェ

色は秘色
名付けは「薫風」
青磁香炉が本体である身を題材に

装飾の翼が欠けてしまったものだから
もはや飛ぶことは叶わないのだけれど
仄かな香りだけは
皆の許へ翔けて行けますように

などと
穏やかに詠いつつも
さり気なく伸ばした匙の標的は
ロカジさんの大福

…余りに美味しそうで、つい

悪びれた様子もなく
黒羽さんからも一匙相伴
甘やかさの中に、滋味深さ

かよさんの華やかで目を惹く器は
然れどすっきり颯爽として、

あぁ、本当
幾らでも食べられますねぇ
――もう二口くらい行っても、許されますか?


ロカジ・ミナイ
【梟】

やぁやぁ、豪華だこと!
四つもパフェが並んでりゃつままない方が失礼よ

僕のパフェは甘いよ
苺ソースにチョコとバニラのアイスの土台
その上に小ぶりの桃入り大福がこれでもかと乗っかって
たっぷりと黒蜜を着せてもらってね
ああ、とてもとても甘くて、ときどき酸っぱくてビター
題名?ロカジスペシャル

花世さんのお花ちゃん満開みたいなベリーも
そよぐ風みたいに優しい綾のミントも
ほんのり大人味もしてくる甘い黒羽のコーヒーも
…もしかして、みんなのを先に貰っといた方が
身の為舌の為じゃあないかい?

なんて匙を悩ませてたら!
大福が一個消えてるじゃないの!

いいよいいよ、もってけ泥棒
かわいい君らが笑うなら
…やっぱ一個残しといて!


華折・黒羽
【梟】

見たまま黒猫の風貌に掛け合わされた鴉翼
出されたのは似通う彩りの、

チョコケーキに白クリームと鳶色のゼリーが絡んで
器から飛びだしそうに盛られたのは白玉ふたつと
ホワイトチョコで描く猫顔のチョコアイス
桜の花飾り添えられて
題もまんまに「黒猫」と

頂きますと一口
美味しさにほわり綻ぶ心地
初めて食べたこーひーの苦みには一瞬眉間をきゅっと
これが大人の味…?

皆さんのも気になります
交換こしましょう

花世さんの甘酸っぱくも夏らしい
ロカジさんの驚き瞬く程の甘さ
綾さんの風が通り抜ける様な清涼感
とりどりの

…なんだか口と頭が混乱してきました

なんて言って自分の白玉を
パクリ一口

賑やかに行き交う匙追えば
楽しくて零れる笑み、ひとつ




「やぁやぁ、豪華だこと!」
 そんな聲が上がるのも当然です。色合いも味わいも様々なパフェが、四つも並んでいるのですから!
 パフェが四つなら、それを頼んだのも四人。感嘆を吐露したロカジ・ミナイ(薬処路橈・f04128)をはじめ、不思議な手紙屋に集う人々です。
「なるほど、これはいいね」
 喪った右眼のかわり、薄紅色の大輪の花を咲かせる境・花世(はなひとや・f11024)。
「其々の印象の甘味。交換会といきましょうか」
 ゆるり笑むのは都槻・綾(糸遊・f01786)。かつて存在したひとに良く似た姿のヤドリガミ。不思議な手紙屋の主です。
「そりゃあもう! 四つもパフェが並んでりゃつままない方が失礼よ」
「交換会……」
 ぽつり呟いた華折・黒羽(掬折・f10471)の普段は鋭い光を讃えた眸は、今ではパフェにくぎづけです。
 そんな黒羽のパフェは、健啖家な彼も大満足な大きなグラスに、チョコレートケーキに濃厚な生クリーム、それに鳶色のゼリーをたっぷり敷き詰めて。
 器から飛び出しそうなほどに盛られたもちもちの白玉ふたつ、それからチョコアイス。アイスにはホワイトチョコで可愛らしいにゃんこのお顔が描かれています。チョコプレートで猫耳と鴉翼を模したものが刺さっていて、まさにそのふたつを併せ持つ黒羽を可愛らしいマスコットキャラにしたかのよう。
 それから忘れちゃいけない、桜の花飾りをちょんと添えて。
「題をつけるなら……黒猫、ですかね」
 頂きます、と呟いて、パフェスプーンでひとくち。濃厚だけどふんわりとろけていくクリームに、黒羽も頬をほわりとほころばせた直後。あとからゼリーの苦みが溢れていて、ほんの少し眉間がきゅっと縮こまりました。
「これが大人の味……?」
 初めて食べたこーひーの味。ちょっとだけびっくりです。
「黒羽、大人の味なら任せて?」
 なんて口実と共に、花世が自分のパフェを差し出してコーヒーゼリーを頂きます。
「ふふ、きみらしい味だね」
「俺らしい、ですか?」
 目をぱちくりさせる黒羽。苦さも好ましく受け止められる花世の舌にしてみれば、ゼリーのほろ苦さとクリームの調和がやさしい甘さの黒猫パフェは、黒羽にぴったりと感じられたのでした。
「わたしのもどうぞ、黒羽」
「ありがとうございます、花世さん」
 そんな花世のパフェは――その名の通り、花をイメージした美しい色合い。ふたつの紅のシャーベットが印象的です。
 深い紅は、クランベリーとラズベリー。淡い紅は、ストロベリーと練乳。
 しゃりしゃりと爽やかな馨を惹き立てるのは、八重牡丹のように絞ったヨーグルトクリームです。
「爽やかな酸味でいいね、皆のパフェを食べたあとで舌を休めるのにもぴったり」
「甘酸っぱくも夏らしい……美味しいです」
 甘いけれど、甘すぎない。かろやかな花世そのものです。
「さて、大人男子組はどんなパフェを……?」
 花世の視線の先、こちらも爽やかな夏のいろは綾のパフェ。
 目にも爽やかなチョコミントアイスを下地に、梅雨の雲とも、ふわふわの翼ともとれる優しい白のホイップクリーム。
 その上できらめいているのは、薄紫や薄紅、色とりどりのゼリーです。緑いろの葉っぱ型クッキーの上で、ちっちゃい花型ゼリーがたくさん集まっているのは――。
「これ、紫陽花?」
「ご名答」
 花世の問いに、綾はにこりと頷きます。花の細かな細工を見ようと花世が顔を近づけました。
「香りもすごくいいね」
「ええ。薫風、と名付けましょうか」
 その名の通り、心地よい薄荷の馨を届けるのは、綾の本体たる秘色の香炉を題材にしているからこそ。
「装飾の翼が欠けてしまったものだから、もはや飛ぶことは叶わないのだけれど。仄かな香りだけは皆の許へ翔けて行けますように」
 穏やかに詠う綾の匙が、まるでその振り付けのような自然な動作で、となりのグラスから大福を攫っていきました。
「花世さんのお花ちゃん満開みたいなベリーも、そよぐ風みたいに優しい綾のミントも、ほんのり大人味もしてくる甘い黒羽のコーヒーも……」
 さてどれから頂いたものかと匙を悩ませていたロカジがふと、自分のパフェグラスに視線を落とすと。
「ああ! 大福が一個消えてるじゃないの!」
「あ、綾、なんて大胆なつまみ食いを」
「……余りに美味しそうで、つい」
 にこりと匙の上の大福を食べる綾からは、悪びれた様子は欠片もなく。
「ああロカジさん……先にご自分のを食べていれば」
「だって僕のパフェは甘いんだもの、みんなのを先に貰っといたほうが身の為舌の為かと」
 そんなロカジのパフェは、鮮やかな苺ソースに、たっぷりチョコとバニラのアイスの土台。そこまではとってもプレーン。
 その上にはなんと、パフェスプーンでも食べやすい小ぶりの桃入り大福が、これでもかとばかりにごろごろと!
 ちょっとスプーンの入れ方を間違えたらころころ落っこちてしまいそうな大福に、これまたたっぷりと黒蜜をかけて。
「ああ、とてもとても甘くて、ときどき酸っぱくてビター」
 花に、黒猫に、薫風ときて。
「これの題名? ロカジスペシャル」
「「「ロカジスペシャル」」」
 花、黒猫、薫風、ロカジスペシャルが揃い踏みです!
 ……と、戦闘時さながらの俊敏さで花世のスプーンがひらめいて、大福をまたひとつ攫っていきました。
「んー、パンチが効いてるけど不思議と絶妙」
「あっまた……いいよいいよ、もってけ泥棒」
 かわいい君らが笑うなら安いもんよ、と呟いたが最後。
「い、いいですか……? ……! これ、すごく甘い、ですね」
 驚きの甘さに目をぱちぱちさせた黒羽を皮切りに、
「では、遠慮なく」
「ふふ、ロカジ、さすが太っ腹!」
「……やっぱ一個残しといて!」
 大福目掛けて匙が殺到。慌てて愛しの大福を引き留める羽目になってしまいました。
「涼やかでするする舌に解けてく上品な味わいね」
 紫陽花パフェを最後に、一通り味わった花世が、ほうと息を吐いて。
「どれが一番か決められやしないから、もう一口ずつ食べて確かめるしかないね?」
「黒羽さんのものは、甘やかさの中に滋味深さが。かよさんの華やかで目を惹く器は、然れどすっきり颯爽として――」
 こちらも己のパフェを勧めつつ、皆のものも順番に味わっていた綾。
「あぁ、本当、幾らでも食べられますねぇ――もう二口くらい行っても、許されますか?」
「くれぐれも僕の大福は残しといておくれよ!?」
 わいわい、きゃいきゃい盛り上がる成人男性をよそに、黙々と匙を進めていたのは黒羽です。
(「甘酸っぱくて、びっくりするくらい甘くて、風が通り抜けるような清涼感も――なんだか口と頭が混乱してきました」)
 ぱくりと自分の白玉を口にすれば、落ち着く甘さが一息つかせてくれるようでした。
 もちもちを堪能しながら賑やかに行き交う匙を眼で追う黒羽。
 楽しさに、知れず笑みがひとつ、零れたのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三咲・織愛
ネネさん(f01321)と

キャラクターパフェ、楽しみですね!
イメージなどを伝えたらその通りに作ってくれるみたいですよ
ネネさんはパフェははじめて?
折角ですし、お互いのイメージでお願いしてみましょうか

きゅっと手を握って、二人で一緒に席を探しますね
妹がいたらこんな感じなのかしら、なんて

こっほん。それではさっそく!
イメージカラーは赤と白、でしょうか
瞳の色は夜めいていて静かな雰囲気が合うと思うのですよね
紅い薔薇の甘やかな砂糖菓子……なんて、私のイメージだったり

ふふ、本人の前で言うとちょっぴり照れちゃいますね
言われるのも照れちゃうんですけれど

おいしい? 一緒に来てよかった
ね、ネネさん。一口交換こしましょ


藍崎・ネネ
織愛ちゃん(f01585)と

キャラクターパフェ、初めて聞く言葉なの
私、パフェもはじめてなの
織愛ちゃんのパフェ、お願いしてみるの

一緒のお出掛けもはじめてだから、わくわくなの
手をふらふらしてたら握ってもらえたから、うれしくてにこにこしちゃうの

わっわっ、織愛ちゃん頼むのが早いの
なんだかすごく照れちゃうのよ……私もお願いするの

織愛ちゃんはあったかくてほんわりしているの
淡いピンクが似合うと思うのよ
時々すごいから、ぱちってしたものがあるとぴったりだと思うの
びっくりするのよ。でもそこが魅力なの

わぁ、パフェってすごくおいしいの!
ひとくち交換うれしいの。織愛ちゃんにあーんてするの
えへへ、今日はすっごく楽しいの




 パフェと聞いて、やってきたのは二人の女の子たち。
「キャラクターパフェ、楽しみですね!」
 とある世界の小さな本屋。小さいけれどどんな物語も手に入る――そんな不思議な店の店主、三咲・織愛(綾綴・f01585)がにこり微笑めば。
「キャラクターパフェ、初めて聞く言葉なの」
 言葉をかえす藍崎・ネネ(音々・f01321)の赤茶の髪の上で、薔薇がふたつりんと揺れるのでした。
「イメージなどを伝えたら、その通りに作ってくれるみたいですよ」
 それからふと、考えて。
「ネネさんはパフェははじめて?」
「うん。私、パフェも初めてなの」
 籠の中で美しく囀る金糸雀のように、ひっそりダイジに育てられてきたネネなのです。鳥籠の外は、まだまだ知らないことばかり。一緒のおでかけだって、今日がはじめてなのです。
 まあ、と小さく織愛は呟きました。はじめてのパフェならば、ますます可愛く美味しく作って頂かなければ!
「折角ですし、お互いのイメージでお願いしてみましょうか」
「お互いのイメージで……うん!」
 きらきらしたお菓子の世界が眩しくて、どこに行けばいいのかなとふらふらしていたネネの手を、織愛がきゅっと握ってくれました。
「イチゴの頭をした殿方が作ってくださると聞いています。きっとあの方ですね!」
 導いてくれる織愛の優しいぬくもりがうれしくて、ネネの顔にはにこにこ笑みが溢れました。同じくらい、織愛のこころもときめきで満たされておりました。
 ――妹がいたらこんな感じなのかしら、なんて。

「こっほん、それではさっそく!」
 しばし考えるように視線をあげたあと、織愛はネネのイメージを言葉にします。
「イメージカラーは赤と白、でしょうか。瞳の色は夜めいていて、静かな雰囲気が合うと思うのですよね」
「ふむ。静かな雰囲気ですね」
「それに、紅い薔薇の甘やかな砂糖菓子を……」
「わっわっ、織愛ちゃん頼むのが早いの」
 すらすらと想いが言葉に出てくるのは、本や物語を愛する織愛だからこそ、でしょうか。びっくり驚くネネの頬がちょっぴり赤らんでおりました。自分のイメージを口に出されるというのは、これもなかなかない経験です。
「ふふ、本人の前で言うとちょっぴり照れちゃいますね」
「私もお願いするの。あのね……」
 織愛に負けじと、ネネも一生懸命言葉を紡ぎます。
「織愛ちゃんは、あったかくてほんわりしているの。淡いピンクが似合うと思うのよ」
「淡いピンクで、ほんわりしていて……とても可愛らしいイメージですね」
「でも、それだけじゃないの。時々すごいから、ぱちってしたものがあるとぴったりだと思うの」
 びっくりするのよ、でもそこが魅力なの! 一生懸命語るネネの横で、織愛の頬もほんのりピンクです。
「言われるほうも照れちゃいますね」
 でも、そんな風に一生懸命話したから、完成したパフェも二人にぴったり。
 ネネをイメージしたパフェは、ベリーのコンポートとホイップクリームの赤と白。ふたつ並んで咲いた赤い薔薇はあまーい砂糖菓子。可愛くなりがちな色合いですが、棒状のカシス・メレンゲとブラックベリーが夜めいた幻想的な雰囲気をプラス。仕上げに星屑のように金箔をはらりと散らして。
 織愛をイメージしたパフェは、同じくベリー系だけれどクリーム多めの淡い色合い。まどろむようなピンクに、砕いたピスタチオが葉のように彩を添えています。
 底に敷かれた透明ジュレは、ぱちぱち弾けるサイダー仕立て。
 そして甘いだけじゃない織愛を演出する仕掛けは、もうひとつ。
 お好みでかけてお召し上がりくださいと添えられたイチゴシロップを、クリームと一緒に口に運ぶと。
「! ジンジャーの馨がします!」
 素敵な女の子にはスパイスが欠かせないのです。
「わぁ、パフェってすごくおいしいの!」
「おいしい? 一緒に来てよかった! ね、ネネさん。一口交換こしましょ」
「うれしいの。織愛ちゃんにあーんってするの」
「ふふ、あーん」
「あーん。えへへ、今日はすっごく楽しいの!」
 美味しいパフェを取り囲んで、二人のおしゃべりはいつまでも続くのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

バンリ・ガリャンテ
雷香(f17947)と

このときをお待ちしてました!
遠慮なしに色々言っちまうがいいかしら…。
当然俺はご一緒下すったこの方
雷香色のパフェを所望する。よ。…ちっと恥ずかしいけどもな。
雷香と言えば抜けるような空色なんだ。爽快で美しいブルーのゼリーやソーダををお使い頂けたら幸い。
それから可憐なバイオレットも彼女の色味に思うから、ブルーベリーのアイスとソースなんかも欲しい。
チョコミントのアイスクリームも添えて、ホイップクリームも白と空色の二色づかいで。
わぁ。こいつは…まさしく雷香のパフェ。
スプーンで恐る恐る掬って一口。
優しくって爽やかで、清らかな甘み。
ああ。一生に一度の友情パフェを、本当に有難う。


狛居坂・雷香
バンリ(f10655)と


遠慮せずともよいと思いますよ、バンリ
きっとこの国の方たちも、わたしたちの思いを形にするのを
楽しみにしているのだと、思いますから

という訳で、わたしももちろん、バンリのものを
あなたを例えるなら、そう……
刺激的なピンクの、燃えるような情熱の炎
例える、というより、ある意味そのものなのかもですが、ね?

暖色系のミックスベリーに、伯爵さんの苺味……
口の中で弾ける、ピンクのキャンディ。ハートのチョコレート
本格的なお料理には詳しく無いのですが
フランベというものも、バンリらしいかもですね?

えへへ、快活で楽しいお味です
バンリそっくりですよ……ごちそうさまでした
そして、ありがとうございました




 地獄の炎を宿した炎使いも、空を飛び天候を操る強化人間も、ひとたび戦闘が終われば普通の女の子。
 特に可愛くて美味しくてしかもオーダーメイドのパフェとなれば、17歳の少女たちが惹かれてやまない要素ばかりといっても過言ではないでしょう。
「この時をお待ちしてました!」
 バンリ・ガリャンテ(Remember Me・f10655)ははしゃぎつつ、遠慮なしに色々言っちまうのがいいかしらと想いを巡らせます。
「遠慮せずともよいと思いますよ、バンリ」
 微笑む狛居坂・雷香(能天気予報少女・f17947)の聲も、心なしか普段よりはしゃいでいて。
「きっとこの国の方たちも、わたしたちの思いを形にするのを楽しみにしているのだと、思いますから」
 雷香の言葉に、勿論ですともと伯爵がうやうやしく礼をしてくれました。二人は顔を見合わせて。
「じゃあ俺は遠慮なく、ご一緒下すったこの方を」
「わたしももちろん、バンリのものを」
 息もぴったりに、告げるのでした。

「わぁ、こいつは……まさしく雷香のパフェ」
 バンリのピンクの眸が見つめる先、細長いグラスにぎゅぎゅっと詰まった雷香いろ。
 雷香といえば、と真っ先にバンリが連想した抜けるような空色は、ブルーのゼリー。しゅわしゅわ弾けるソーダ仕立てなのは、移ろいやすい天候を表しているかのようです。はらりと散らしたアラザンは、雷香の力がもらたす青天の霹靂。
 それからそれから、可憐なバイオレットも雷香には良く似合う。綺麗な瞳のいろ。二つ並んだアイスクリームの、片方がブルーベリー。こっくり降るソースも、同じ味わいです。
 もうひとつのアイスはチョコミント。梅雨の開けたばかりの空のように、爽やかな風味。
 敷き詰めたホイップクリームは淡い空色と、雲のような白色の二色使い。ゼリーの青と相まって、本当に空を切り取って閉じ込めたかのよう。
 口へと運ぶスプーンは恐る恐る。とっても綺麗だからでしょうか。はじめての経験だからでしょうか。
 けれどバンリの頬はすぐにほころびました。
「優しくって、爽やかで、清らかな甘み」
 これはまさしく雷香だと。

 バンリを例えるのなら炎だと、雷香は云いました。刺激的なピンク色した、燃えるような情熱的な炎だと。
(「例える、というより、或る意味そのものなのかもですが、ね?」)
 裡に宿した彼女の情熱。甘くてあついキャンディを、グラスの中に構築してもらうのです。
 ミックスベリーのアイスクリームから滴るソースは、お世話になった伯爵さんの苺味。
 濃淡さまざまなピンク色の小さなキャンディは、口に含むとぱちぱち爆ぜるものだといいます。
 クリームの海の中に、外からでも目を惹くルビーチョコのハート。甘酸っぱい馨は、きっとバンリそのものでしょう。
 そして、それだけではないのです。
「炎、とお伺いしておりましたので」
 パフェの上部にこんもり盛られたメレンゲへと、伯爵がステッキをかざしました。
 途端、バンリのそれによく似たピンク色の炎がぽっと灯ります。魔法の炎はアイスクリームやチョコレートはそのままに、メレンゲだけを香ばしく炙るのでした。
「素敵な演出ですね」
「パフェの中にもフランベした苺が入っておりますので、是非お召し上がりくださいませ」
 ひとさじ食べれば、とろけるような甘さの中に刺激的なキャンディが弾ける刺激的な味。
「えへへ、快活で楽しいお味です。それに、バンリそっくりですよ」
「雷香のもいいな」
 お互いのを見比べ合って、おしゃべりと一緒に楽しむと、楽しい時間はあっという間。
「ごちそうさまでした。そして、ありがとうございました」
「ああ。一生に一度の友情パフェを、本当に有難う」
 空のグラスと共に、バンリと雷香はお礼を述べるのでした。
 この場を提供してくれた伯爵やパフェの国の住人達に、そしてかけがえのない友にも。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リアム・ペンタス
オスカー(f19434)と

オウガの討伐お疲れ様
共闘してもらえて本当に助かったわ
さ、約束どおりパフェ食べに行きましょ
とオスカーを労う

パフェは…そうね
あたしの大好きな『あの子』をモチーフにしてもらおうかしら
黄色いワンピースがよく似合う笑顔の可愛い子でね
ふわふわした印象の子だったわ
だから、黄色いフルーツと生クリームを使ったパフェ作って頂けるかしら?
それと赤い赤いラズベリーのソースもたっぷりかけてちょうだいな
赤は、あの子との最期の思い出なの

オスカーのパフェは…あら可愛い
助けてくれる小鳥モチーフなのね
愛らしい色合いで美味しそう

心配そうな顔をされたら
大丈夫よって言って微笑むわ(笑顔だけど目はどこか仄暗い)


オスカー・ローレスト
リアム(f19621)と……

こ、こちらこそ、ありがとう……お、俺1人だったら、た、太刀打ちできてたかどうか……

パフェ……どうしよう、か……
好きな、もの……な、なら、俺のユーベルコードの、ハシバミの木の小鳥達、を……いつも手助けしてくれる、淡い、けど色んな色の、小鳥達……タダで手伝って貰うのも申し訳なくて、つい果実とかお礼に渡しちゃって……

あ、えと、そうだ、色……森のような緑に、小鳥達のパステルカラーを添える、みたいな感じは、できる……? トッピングとかは、お任せで……り、量は、少なめで……

リアムの、は……(添えられた赤と、「最期」という言葉を聞き心配そうにリアムを見る。目を見て更に不安に




「オウガの討伐お疲れ様。共闘してもらえて本当に助かったわ」
「こ、こちらこそ……ありがとう……」
 片や優雅に、片やおどおどながら精一杯、健闘を労いあう二人組。
 雀の羽持つ愉快な仲間、オスカー・ローレスト(小さくとも奮う者・f19434)と、星屑を携えた時計ウサギ、リアム・ペンタス(星屑の道標・f19621)です。
「お、俺一人だったら、た、太刀打ちできてたかどうか……」
「何言ってるの。とても頼もしかったわよ」
「そ、そうかな……」
 オスカーの聲は小さくなっていくばかり。リアムの言葉が嬉しくなかったわけではないのですが、誉め言葉を素直に受け取れるほど、自分自身を肯定できていないのです。
 そんなオスカーの貌を覗き込んで、リアムは穏やかに微笑みました。淡桃色の髪がさらりと美しく垂れて。
「さ、約束通りパフェを食べに行きましょ」
「う、うん」

「パフェ……どうしよう、か……」
 好きなもの、大切なものなら、何でも大丈夫とこの国の同族たちは請け負ってくれました。
「な、なら……ハシバミの木の小鳥達、を」
「ほう、詳しくお聞かせ願いますか」
 イチゴ伯爵が優しく訊ねます。
「いつも手助けしてくれる、淡い、けど色んな色の、小鳥達……タダで手伝って貰うのも申し訳なくて、つい果実とか渡しちゃって……」
 オスカーは話し上手な方ではありませんが、頼もしい小鳥たちを思えば案外するすると言葉が出てくるものです。自分でも少し驚きながら。
「あ、えと、そうだ、色……森のような緑に、小鳥達のパステルカラーを添える、みたいな感じは、できる……?」
「お任せください」
 表情は伺えないけれど、きっと笑ってくれたのだろう伯爵に、胸を撫でおろしつつ。
「あ、り、量は、少な目で……」
 付け加えるオスカーでした。
「そちらの御方は?」
「あたしは……そうね、大好きな『あの子』をモチーフにしてもらおうかしら」
 リアムのとろりとした琥珀色の眸は、心なしか遠くを見ているようでした。
「黄色いワンピースが良く似合う笑顔の可愛い子でね。ふわふわした印象の子だったわ」
 リアムがよどみなく希望する食材を選んでいるうち、オスカーのパフェが完成していました。
 小さいグラスにぎゅぎゅっと美味しさと可愛さを詰め込んだ小さな箱庭。抹茶生地やほうじ茶アイスの素朴な色合いの上に、鳥の巣のように盛られたカダイフ。その上に所狭しと乗っている、淡く色づいた白玉たちが、頼もしい小鳥達なのでしょう。
「あら、可愛い。助けてくれる小鳥モチーフなのね。愛らしい色合いで美味しそう」
「なんだか……食べるのもったいない、ね……」
 そうこうしているうちに、リアムのパフェも隣に並びます。
「リアムのは……」
 黄色いマンゴーシャーベットの上に、たっぷりとバニラアイスや生クリームの白。
 パパイヤにマンゴー、砂糖漬けにしたレモンなど、黄色いフルーツをこんもり乗せて。
 優しい色合いのパフェに、最後にとろりと、赤い赤いラズベリーのソースをかければ完成です。
「赤は、あの子の最期の思い出なの」
 その言葉と、血のような赤にオスカーが思わず連想してしまったのは、先の戦闘で助けてくれたリボン。思わずリアムを見ると、大丈夫よ、と微笑みが返ってきました。
 ――けれど、ずっと穏やかだった琥珀色がどこか仄暗くて。
「大丈夫よ」と、もう一度リアムが云いました。
「さ、食べましょ。想いの詰まったパフェ、きっと味も素敵なはずよ」
「う、……うん」
 不安はぬぐえないオスカーですが、それでも誘ってもらったこの時を、リアムと一緒に楽しみたくて。
「いただきます」
「……いただきます」
 おのおののパフェに、スプーンをいれるのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジャック・ジャック
【月寐】

さぁ、お待ちかねの褒美の時間だ
腹が空いているだろうそうだろう
働いた分の労いは受け取らんとな?

足取り重たげな同行人を尻目に
近付き伝うは“彼女”の事

令嬢とは思えん程お転婆でな
ドレスにも関わらず野山を駆けまわったり
木登りをしようとするから手を焼いた

見えぬ場所に作る傷は両手で数え切れん程で
きっと侍女には知れていただろう

歳を重ねる毎に容姿は洗練されていったが
その実、中身は左程変わっていなかった

華やかで、明るくて
少しの毒気も加味して

――そんな“彼女”を又、味わわせてくれるか?

自分に無いモノを持つ者には惹かれるものだ
おや
とびきり濃厚なデザートのおかわりをご所望か?
良いだろう
何せ帰路に就くには未だ早い


ユルグ・オルド
【月寐】

っし、やァっと本命
そうネお陰で今ならパフェもいけそ

そうなァ、あんまし甘くないので
何せとびっきり甘ったるい話が隣
頬杖着いて、聞くのは存外悪くはない
酒もありゃ良い肴だったのに
ア、アルコール入りあんの

そんでグラスに詰めんのは
お隣の語る恋の真似事
知らない味をお手柔らかに?
何せお菓子の作法に詳しくない
美人に毒気は物騒だケド、花に棘でつきもんだろか

んふふそりゃア手ェ焼いただろうネ
ちょっとジャックの本命としちゃ意外だったケド
片手にそんなもんかしらと銀の匙を手遊び
あれ、馴れ初めまで辿り着いてなくない
音を上げるか皿を空けるか天秤にかけて、まあ、ね
たまにゃ砂糖漬けも悪かないさ




「っし、やァっと本命」
「さぁ、お待ちかねの褒美の時間だ」
 ユルグ・オルド(シャシュカ・f09129)の安堵の聲を、すかさず拾うジャック・ジャック(×××・f19642)。
「腹が空いているだろうそうだろう、働いた分の労いは受け取らんとな?」
 異論をはさむ余地もない口ぶりです。心なしか歩みさえ軽やかなジャックの後を追いかけるユルグの足取りは、反対に重たげではありますが、
「そうネ、お陰で今ならパフェもいけそ」
 幸せそうなジャックを見るのはまあ、悪い気分ではないのでした。

「――彼女を、」
 イチゴ伯爵へ、真っ先に胸の裡を告げたのはジャックでした。
「"彼女"を又、味わわせてくれるか?」
 素敵な女性がいたのです。彼女が笑うと、ジャックの中に何かが灯るようでした。
 とても綺麗なひとなのに、令嬢とは思えないくらいお転婆で。ドレスにも関わらず野山を駆けまわったり、木登りをしようとするものだから。
「あの頃は手を焼いた」
 言葉とは裏腹に、ジャックの口元は微かに緩んでおりました。
「見えぬ場所に作る傷は両手で数えきれん程で、きっと侍女には知れていただろう」
 今でも思い出せる。歳を重ねる毎に容姿の洗練されていく彼女を。
 けれど中身は、左程変わっていなかったのです。華やかで、明るくて。でも甘味にするのならば、少しの毒気もあって欲しい。
 頬杖ついてその話を聞くユルグは、ある意味ではイチゴ伯爵よりも真剣に耳を傾けていたかもしれません。甘い甘味は得意でなくとも、甘ったるい話というのは存外悪くはないものです。
「酒もありゃ良い肴だったのに」
「アルコール入りのものをお出ししましょうか?」
「あんの? じゃあそれで」
 ほんの少し、パフェへの期待が増すユルグなのでした。
「俺のは……甘ったるい話を惹き立てる、あんまし甘くないので」
 そして……そうだなと呟いて、こう付け加えるのでした。
「お隣の語る恋の真似事でも、詰めて貰いましょか」
 恋の味とやらも、お菓子の作法も、詳しくない。だからお手柔らかに、と。


「それにしても――んふふ、そりゃア手を焼いただろうネ」
 繊細なドレスをものともせず駆け巡る少女を想像し、ユルグが笑むのでした。
「ちょっとジャックの本命としちゃ意外だったケド」
「自分に無いモノを持つ者には惹かれるものだ」
「サラッと惚気るねェ。そんなもんかしら……」
 銀の匙をくるくるともてあそび、ジャックのパフェを眺めるのでした。
 チェリーコンポートに赤ワインのジュレ、それからクレーム・ショコラ。一見成熟した女性の雰囲気ですが、トップに鎮座する甘酸っぱいカシスアイスの隣、ランダムに飾られた細長いチョコレートは無邪気な棘のようで。可愛らしい彼女ならではの、あるいは恋というものの毒気を孕んでいるようでもありました。
 グラスの下、コースターには薄紫の花弁が添えられております。
「スターチスです。花言葉は……」
 ――変わらぬ心、変わらぬ誓い。可憐な花はその他に、意外な言葉を秘めているのです。……『いたずら心』と、『驚き』。
 同じ花はユルグのものにも添えられておりましたが、その趣は似て非なるもの。
 アルコールを残したスパークリングジュレをたっぷり敷き詰めて、塩気を利かせたチーズクリームで出来た甘さ控えめのパフェ。パフェの層に組み込まれたスライスアーモンドや、トップに棘のように突き立てられたカリカリと甘くないシュースティックは、ジュレのおつまみにも、甘い話の箸休めにもなりそうです。
「……あれ、馴れ初めまで辿り着いてなくない」
 恋においてそれは重要じゃないの、とユルグが言葉を投げました。
「おや、とびきり濃厚なデザートのおかわりをご所望か?」
 うーむ、とユルグは唸ります。自ら甘いものをせがむ日が来ようとは。根を上げるか皿を空けるかを天秤にかけて、結局「まあ、ね」と覚悟を決めるのでした。
「たまにゃ砂糖漬けも悪かないさ」
 こうなれば舌も耳もどっぷり漬かる覚悟です。良いだろう、とジャックが頷きました。彼女のあじを、ゆっくりと味わいながら。
「何せ、帰路に就くのは未だ早い」――と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ライラック・エアルオウルズ
ティルさん(f07995)と

至高の甘味に胸躍る侭、
告げる想像は何にしようと
ふたりで決めた『ひとつ』は、
ついと頬緩む程に素敵だね

想うのは『あなたいろ』
溢れ返りそうなもの、
ぎゅうと詰めて頂こう

彼女に想うは、矢張り花
彼女の好きなもので、
彼女を表すに相応しいもの
庭咲く花めく優美さに、
野咲く花めく可憐さに
花咲くような綻ぶ笑みの、
どれもが愛らしいと想うから

故に、是非と花添えて?
花絡む髪のミントアイス
まあるく添えるクリームへ、
ミント飾って鈴蘭咲かせ
淡紫ゼリーを器に詰めて、
連なる藤花としておくれ

溢れる想いは匙受け止め、
僕が一口頂いてしまおう
貴方が想う僕は柔く淡いね
あなたのいろも、ひとさじ
請われる侭に口許届けて


ティル・レーヴェ
ライラック殿(f01246)と

甘きもてなしの
ただ『ひとつ』
願い求めるなら
あゝ其れは『あなたいろ』

使う材料はお任せと
紡ぎ伝えるは親愛なる彼の事

名に冠すその花色は瞳に紫、髪に白
かの手が生み紡ぐ詞は
御伽めいて優しいの
彼が座す図書館は青に満ちて

そうして忘れてはいけないの
揺らす洋灯から現れる影の友
彼と共に在る彼等も大切な
あゝでも全ては乗せきれない?
だったら始まりの
手で生む兎の影の子を

欲張ってもいいのなら
ふたりが揃いと手にする
眸色宿す水晶ペンも!

夢中で語る言葉は溢れ
器からも溢れるじゃろうか?

花咲くパフェに
彼の想う己を垣間見られて
嬉しさと少しの面映さに頬淡く

嬉しい儘に甘えてもいい?
その匙で運んでと口開けて




 甘きもてなし。至高の甘味に胸は躍れど、得られるものはただひとつ。
 ならば、ティル・レーヴェ(福音の蕾・f07995)もライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)も、願うものは同じ。
 匙で運ぶ、幸せな『あなたいろ』。
 常に浮かべた穏やかな笑みだって、なんだかいつもよりも幸せそうです。

「使う材料は、お任せというのはありじゃろうか?」
「ええ、勿論ですとも。その分、お相手様の事を聞かせてくださいませ」
 ティルの問いに、イチゴ伯爵が頷いてくれました。
「ぎゅうと詰めて頂こう。溢れ返りそうなものを」
 ライラックの聲も弾んでおりました。

 ――ティルの想う『あなた』は。
 瞳の紫。髪の白。名に冠す花のいろをした親愛なる彼。御伽めいて優しい、不思議な彼。
 路地に建つ細長い建物の扉をくぐれば、青と本に満ちた図書館。想像を愛する彼が座す場所。
 もうひとつ、忘れてはいけないものがあります。
 揺らす洋灯から現れる、影の友。奇妙な友人たち。
 彼と共に在る彼らも大切な存在――あゝでも、すべては乗せきれない? 彼の想像は無限に広がり、創造される友もまた同じ。
 だったら始まりの子を。手で生む兎の影の子を。
「……欲張ってもいいのなら」
 付け足すティルが、ふふっとはにかんで。
「ふたりが揃いと手にする、眸色宿す水晶ペンも!」
『双眸』のひとつを見せるティルは、とても嬉しそうでした。

 ――ライラックの想う『あなた』は、これまた矢張り、花。
 彼女が好きなもので、そして彼女を表すに相応しいもの。
 庭咲く花めく優美さも、野咲く花めく可憐さも、持ち合わせたひと。
 それから花咲くような綻ぶ笑み。どれもが愛らしい、それが『ティルさん』。
 だから、ティルのパフェには是非に花が欲しい――そう願うライラックの想いが詰まったパフェは。
 花絡む髪のいろを現したミントアイス。甘いだけではない爽やかさも、ティルによく似合っています。
 まあるく、ぽつぽつと添えるやさしい白のクリームに、連なるようにミントを飾れば、愛らしい鈴蘭が咲き誇るようでした。
 その下には淡い紫色のゼリーが敷き詰められています。透き通る藤色はティルの眸であり、そして――。
『双眸』のもうひとつは、彼の手元にあるのです。

 ティルらしい佇まいにライラックが感嘆の息を漏らす頃、彼女が思い描いてくれたパフェもテーブルにおでましです。
 同じ藤色のゼリーにたっぷりクリームを乗せれば、まどろむような空想の世界。クリームはプレーンのホイップと、そしてもうひとつ、図書館に満ちる青を添えて。
 書物机に灯る灯りのように散る金箔。影からひそりと生まれるように、小さな兎の形のチョコプレートが刺さっています。
 まるで夢中で語った言葉がそのままグラスに蓄積したかのようで、ティルの頬がほころびます。こんもり盛られた薄紫のアイスクリームなんて、器に収まり切れない想いの象徴みたいです。

「最後に、」
 とイチゴ伯爵が二本の細長く焼いたブルーベリーメレンゲを添えるのでした。ライラックの器と、ティルの器に、それぞれ。
 二人は見つめ合って、それからくすくすと微笑みました。
「欲張りすぎて溢れてしまいそうじゃの」
「なら、僕が一口頂いてしまおう」
 はしゃぎすぎじゃろうかと頬を緩むティルの傍で、アイスがひとさじ攫われていきました。
「あなたのいろも、ひとさじ」
 どうぞ、と差し出されたパフェ。
「……ひとつ、甘えてもいい?」
 あなたの手で届けて欲しいと口を開ければ、清涼な馨をライラックがくれるのでした。
 柔く淡い『ライラック』が、花咲く『ティル』が、くすぐったくも嬉しくて。
 ――きっと今日は、忘れられない一日になりそうです。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

納・正純
ルベル/f05873と

なァにィ~~?
ジャスパ~~~フェクトパフェバトル2020夏の陣お祭り大作戦のお誘いだとォ~~? 乗った! 料理で俺に勝てると思うなよルベル!

フ、成る程……ルベルは苺とラズベリーを中心にした王道且つ要素てんこ盛りの、言わば欲張りさんパフェ~ンヌじゃねェか 最高の見た目だし最高に美味そうだ
だが甘い! 見ろ! 28歳のパフェセンスを 狙いは絞る方が得意でね

俺が出すのはホイップクリームに薄く包まれたハート型のパフェだ
真っ白いハートを割ると、中にはピンクのさくらんぼと紫の巨峰が詰まってンのさ
種は予め抜いてあるから、かぶりついても良いんだぜ?
真っ赤なザクロスムージーを添えて召し上がれ


ルベル・ノウフィル
正純殿f01867と

ジャスパ~~~~~~フェクトパフェ勝負!
どちらがジャスパー・ドゥルジー殿にウケるかの勝負でございます、YESッ

蕾が花開く型のパフェグラス

下から
淡く甘酸っぱいラズベリーゼリーが上にいくにつれ色薄く透明度を増す

上はふんわりエスプーマ仕立ての繊細ホイップクリーム
濡れた輝きの苺ソースの贅沢がけ
蝙蝠翼型のヨーグル苺チョコ飾り
忘れてはいけないツンツン上向く苺の角!あんっ、苺攻めでございますぅ!

これで終わりとお思いですか、お 甘 い !

グラスの足もとに薄紫に金文字で名を綴りしリボンを結び、仕上げにジャスパーきゅん人形(食べられません)を添えて

くっ
正純殿、やりますな
奉仕で対抗
はい、あーん




「ジャスパ~~~~~~フェクトパフェ勝負!」
 お伽話めいた国に、どどどーんっとルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)の聲が響き渡りました。
「どちらがジャスパー・ドゥルジー殿にウケるかの勝負でございます、YESッ」
「なァにィ~~? ジャスパ~~~フェクトパフェバトル2020夏の陣お祭り大作戦のお誘いだとォ~~?」
 対する納・正純(Insight・f01867)も、自信満々に仁王立ち&腕組みです。
「乗った! 料理で俺に勝てると思うなよルベル!」
 ちょっとラーメン屋の雰囲気漂うポーズではありますが、実の所正純はダイニングレストランの主であるのです。素人料理と謙遜する彼ではありますが、それでも対価を頂くに値するものです。少なくとも、店を訪れる人たちはそう思ってくれているはずなのです。勝負を持ちかけられれば、負けるわけにはいきません。
「なんの。ジャスパー殿にはお世話になっているのです。僕だって、彼の好みならば少し覚えがあるのです」
 そちらが技術で勝るなら、僕は心で勝利をつかみます。レッツおもてなし!
 爆ぜる火花。両者一歩も譲りません。
 渦中のジャスパーは、参考にしようと皆のパフェを見て回っていたところでした。たまたま見知った二人組を見かけて聲をかけただけだったのに、気がついたらこんなことになっていたのです。
「……これはあれか。わたしのために争わないでってやつか」
 多分、人生で初めて吐いたセリフでした。

「ジャスパー様はですね、苺が好きなのでございます」
「好きだけど、ルベルに云ったっけ?」
「聞いてはおりませんが、きっと好きに違いないと思っておりました」
「そう来たか」
 勝利を確信した笑みを浮かべるルベルのパフェは、蕾が花開くようなかたちのパフェグラス。一番下には淡く甘酸っぱいラズベリーゼリーを。上にいくにつれ、色薄く透明度を増すように仕立てております。
 エスプーマ仕立てのふんわり繊細なホイップクリームに、つややかに濡れた輝きの苺ソースを贅沢がけ。蝙蝠翼の形の可愛らしいヨーグル苺チョコも飾られています。
 そして、翼をあしらうならばこれも忘れてはいけません! ツンツン上向く苺の角!
「あんっ、苺攻めでございますぅ!」
「おお、うまそう」
「やるじゃないかルベル」
 苺に見惚れるジャスパーが慌てて口元を拭うのを見た正純が、好敵手を素直に讃えました。
「ふふふ、これで終わりとお思いですか?」
「なに?」
「お 甘 い ! 甘いのはパフェだけで十分でございます!」
 グラスの足元には金文字で彼の名を綴ったリボンを結び、更に駄目押しとばかりに添えたのはジャスパーきゅん人形!
「可愛い……俺これ知ってるぞ、『推しぬい』と写真撮るっていう一部で流行ってるやつ」
「食べられませんが、お持ち帰り頂けます」
「やったぜ」
「フ、成る程……お前のおもてなしとやらは痛いほど伝わってきたぜ、ルベル……王道且つ要素てんこ盛りの、言わば欲張りさんパフェ~ンヌじゃねェか。最高の見た目だし最高に美味そうだ」
「でしょう?」
「だが甘い! 見ろ、28歳のパフェセンスを!」
 どどどどーん!! と現れたのは純白のハート。ホイップクリームに薄く包まれた、繊細かつ大胆な造形です。
「そちらが足し算のパフェなら、こちらは引き算。狙いは絞る方が得意でね」
「うまいこと言いやがって。それにしても、これはパフェなのか?」
「それはこのハートを割ればわかる」
 すっと渡されるパフェスプーン。崩しちまうの勿体ねーなあとおそるおそる匙を入れるジャスパー。
 ……と。シンプルなハートの割れ目から、ピンクのさくらんぼと紫の巨峰がぎっしりと顔を覗かせるのでした!
「めっちゃうまそう」
「種は予め抜いてあるから、かぶりついても良いんだぜ?」
 殺し文句その一。
「これが大人の気遣い」
「真っ赤なザクロスムージーを添えて召し上がれ」
 殺し文句その二。
「クリームに果実にスムージーまで……。テーブルの上すべてがひとつのパフェを構築しているわけだ。これが大人のパフェ」
「くっ、やりますな正純殿」
 負けじとスプーンを取るルベル。
「ならばこちらは奉仕で対抗致しましょう」
 瑞々しく濡れた苺に、ソースとホイップクリームの世界をひとさじで構築し、はいあーんと差し出すルベル。
「美味しいですか、ジャスパー殿」
 ぱくり。
「んまい」
「いやぁいい、とことんいい。気に入ったぜルベル。それなら俺は」
「では僕は」
 美味しいパフェを二つも頂き、各種サービスまで受けてご満悦のジャスパーは、ご満悦過ぎてすっかり忘れておりました。
 勝負であるからには勝者を選ばねばならぬという事を。
 ゆえにこの後地獄を見る事になったそうな。ふたつのパフェは、どちらも魅力的でしたから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

パウル・ブラフマン
【エイリアンツアーズ】
オシゴトお疲れさまっ♪
エイツアの皆やジャスパーと合流して
名物のパフェを堪能しにいこ☆

なるほど、フルオーダー式!
テーマは『エイリアンツアーズ』でお願いします♪
オレが運転手を務めてる旅行会社なんだけど
本拠地が宇宙で
そこからいろんな世界の素敵な場所を
たくさんのヒト達に知ってもらうタメに活動してるんだ。
今日一緒に来てるクルーさん達やジャスパーも
かけがえのない、大切なヒト達なの。
(身振り手振りで熱弁)

イメージカラーは『ブルー』と『ピンク』で
他はまるっとお任せ☆

運ばれてきたパフェを見たらきっと感極まっちゃう。
ありがと…ございます!
ジャスパー、このパフェ分けっこしよ!
写真撮影も歓んで♪


榛名・深冬
【エイリアンツアーズ】

この時を待ってました…!
ドゥルジーさんも良ければ一緒に楽しみましょう

パフェイメージ
あたたかでやさしい灯火、緋色
大切な存在の燈。かわいい。かわいいは正義
燈は果物大好きなので果物いっぱいだと嬉しいです
それと色とりどりの飾りの食べ物があればと
バイト先のやさしいひとたちの、個性豊かであたたかな、光
わたしの大切なひとたちのイメージ

パフェのクオリティにびっくり
すごいです…!とってもきれい
写真を撮って他の方のも良ければ撮らせてもらう
皆さんのもとってもきれいですね、素敵です

勿体無いと思っている間に燈が嬉しそうにぱくり
おいしいですか?よかった
微笑ましくて思わずふきだし
わたしもいただきます


出雲・八雲
【エイリアンツアーズ】で参加

呼んでくれてどーも。ぱふぇが食えるたァ有難いもンだ。
甘味の誘いとありゃ断れねェが……フルオーダーっつーのはちィと注文すンのが照れるなァ…。
ンじゃァ果物多めの甘さ控えめな感じであとはお任せしとく
色のイメージは薄紫が可能ならってトコだなァ。
ま、美味けりゃなンでも大歓迎なンだが

おー、こりゃ見事だなァ。
(運ばれてきたぱふぇに目を輝かせて尻尾が揺れている)

彦星がぱふぇの写真を撮るならちょっとだけ食べるのを我慢する。
…いただきます。
(緩む頬はなるべくバレない様に食べているつもり)


三条・姿見
【エイリアンツアーズ】

誘いを受け、クルーの一員として同行する。
猟兵各位の尽力に感謝し、この場をありがたく楽しむとしよう。

パフェとはそう縁が無いものでな。要望を聞かれると悩ましい。
いっそ任せてしまってもいいのだが……
いや、思い付いた。
季節の植物【朝顔】の花を主軸にしたものを頼みたい。

モチーフを写し取り、形成する菓子といえば、練り切りや羊羹が親しみ深いが……
パフェとなると材料も変わってくることだろう。スプーンといった専用の食器も面白い。

具体的な物に留まらず、言葉や、本来かたちを持たないものまで作り込む……職人芸だな。
皆それぞれの逸品、とても興味深い。共に休息をとるというのも良いものだ


青和・イチ
【エイリアンツアーズ】

待望の、パフェ…!
ジャスパー先輩、こっちこっち

僕は『夜の散歩』をテーマに、お願いします
いつも相棒のくろ丸とする散歩
風が優しい、静かな夜に…星が光って
くろ丸が足元の草を踏む、小さな音が可愛い
そんな心安まる時間です

色のイメージは…紺とか、濃い青です
青…難しいです?何なら多少有害でも(ごにょ

ええと、生クリームは絶対沢山欲しくて
あと果物と、白玉も…(もちもち好き
あ、犬と、眼鏡型のチョコとかあると、個性出るかな
(やたら無茶振りの迷惑客

作られるパフェを、くろ丸とワクワク観察

皆さんのパフェにも興味津々
綺麗だったりカッコ良かったり…
珍しくスマホを手に、写真撮って良いですか?と聞いてまわる


笹塚・彦星
【エイリアンツアーズ】

パフェが食えるんだよなァ…楽しみ。
どんなのにしてもらおうかな…悩む時間も楽しい。

パフェのイメージは…雨と、龍、かな。難しいよな、なんか浮かんだンだけど。ここにいない後輩の印象強いかも。
白緑と青紫のイメージもあるから、難しければそっちで。星がキラキラ降ってると嬉しいかなぁ。

自分のパフェ来るまでに他の人のパフェが来たら写真撮っていい?ってスマホ取り出して写真に収めていきたい。
おお、めっちゃ綺麗。これ写真プリントして事務所に飾りたい。
鮮やかで美味しい思い出だな。

(年上男性のみ名前+旦那呼び
同い年、年下は呼び捨て)




「待望の、パフェ……!」
「この時を待ってました……!」
 ぼんやりクールな榛名・深冬(冬眠る隠者・f14238)も、表情控えめの青和・イチ(藍色夜灯・f05526)も、この時ばかりは眸きらっきらです。なんといっても、戦いの後の甘いものは格別。それも今日は、世界でたったひとつのパフェなのですから!
「二人とも、オシゴトお疲れさまっ♪ ……あ」
 運転手のパウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)が貌をあげた先、転送担当のジャスパー・ドゥルジーが新たな同僚たちと共にやってきたところです。
「皆やジャスパーもお疲れさま☆」
「ジャスパー先輩、皆さん、こっちこっち」
「ドゥルジーさんたちも、良ければ一緒に楽しみましょう」
「おう。楽しむぜ。そっちもお疲れー」
 既に他の面子に二度ばかしご相伴に預かっていたと噂のジャスパーですが、それはこれ、これはこれ。甘いものならいくらでも。
「呼んでくれてどーも。ぱふぇが食えるたァ有難いもンだ」
 ぴょんと立つ狐耳も狐尾も何処か嬉しそうな、出雲・八雲(白狐・f21561)。薄布の奥の口元も、ゆるりとほころんでおりました。
「パフェが食えるんだよなァ……楽しみ」
 いろ違いの双眸を期待に細める笹塚・彦星(人間の剣豪・f00884)。旦那たちこそお疲れ、なんて気遣いの言葉も忘れません。
「猟兵各位の尽力に感謝し、この場をありがたく楽しむとしよう」
 三条・姿見(鏡面仕上げ・f07852)のストイックで生真面目な物言いはいつも通りですが、その中にはこの機会を楽しもうという意思が溢れておりました。
 総勢七名。困っている人が居ればどこへでも。楽しい事が待っているのなら、それこそ三十六の世界を軽々飛び越えて。
 彼らはエイリアンツアーズ――猟兵向け旅行会社の従業員たちなのです。


 楽しい事が大好きな彼らならば、相談の時間もまた大盛り上がり。
「なるほど、フルオーダー式! 楽しそう~☆」
「甘味の誘いとありゃ断れねェが……フルオーダーっつーのはちィと注文するのが照れるなァ」
 触手を楽しそうにうにょうにょさせるパウル。どうしたもんかと頭を掻く八雲。
「どんなのにしてもらおうかな……悩む時間も楽しい」
 じっくり想いを馳せる彦星に。
「そこに気がつくとは。こいつオーダーパフェに向いてるな」
「なんだそれ」
 謎の茶々を入れるジャスパー。
「ジャスパーはどうするの?」
「俺はジャスパ~~~フェクトパフェってやつを二つも作って貰ったから被らねえようにイメージ含ませるのに苦戦中」
「何それくわしく」
「僕は……くろ丸と一緒の時間を、作って欲しい、な」
「イチさん、素敵ですね。わたしも燈のパフェにしてもらいましょうか……」
 パフェに仕立てたいくらい大切なものといえば、真っ先に頼もしき相棒の浮かぶふたりです。
「それ絶対かわいいじゃん」
「かわいいです。かわいいは正義です」
「パフェとはそう縁が無いものでな。要望を聞かれると難しいな……」
 西洋風のものはあまり詳しくないのだ、と悩む姿見。
「姿見はやっぱ刀モチーフかァ?」
「うーむ、いっそ任せてしまってもいいのだが……いや、思い付いた。季節の植物を取り入れてもらおう」
「八雲さんはどうなさるのですか?」
「俺……ァー、俺こそお任せにしちまおうか。美味ければなンでも」
「かわいいと、美味しいは、正義です、ね」
 尻尾ゆらゆら、思い切りの良い八雲に、イチがうんうんと同調します。
「俺は……今ぱっと浮かんだイメージで作って貰おうかな」
「ふむ。スイーツ番長のイメージしたものというのは何だろう。楽しみだ」
「ハードルあげるねェ」
 姿見の言葉がまっすぐであるからこそ、なんだか照れくさい彦星でした。
 そして皆のアイディアに興味深そうに耳を傾け、相槌を打っていたパウルといえば。
「オレはやっぱり――『エイリアンツアーズ』! これっきゃないよね☆」


 ――パウル。
「オレが運転手を務めてる旅行会社なんだけど、本拠地が宇宙で。そこからいろんな世界の素敵な場所をたくさんのヒト達に知ってもらうタメに活動してるんだ」
 職場というだけではない、たくさんの思い入れが詰まった大好きな場所を、パウルは身振り手振り、一生懸命語ります。
「今日一緒に来てるクルーさん達やジャスパーも、かけがえのない、大切なヒト達なの」
 イメージカラーはブルーとピンクで……そう告げたパウルのパフェは。
 ピンクの桃ゼリーにブルーベリーのソース。ソーダゼリーとパンナコッタ。それらが綺麗に複雑に混ざり合って、まるで幻想的な宇宙のよう。
 たっぷり敷き詰めたゼリーの海が単調になりすぎないように、アラザンとシルバーシュガーが彩を、砕いたナッツが食感をプラス。
 トップにこんもり盛られたイチゴアイスの宇宙船にチョコプレートの翼。その隣には、エイリアンツアーズのマスコットキャラ『エイリやん』の顔つきクッキー!
「わ……ありがと、ございます!」
 感極まって思わずうるっときた目頭をきゅっと抑えて、とびきりの笑顔でお礼を云うのでした。
「ジャスパー、このパフェ分けっこしよ!」
「もっちろん!」
「ああ待って旦那、写真撮りたい」
「歓んでー♪」


 ――イチ。
『くろ丸』は、いつも一緒にいる大切な犬。お顔はちょっと怖いけれど、人懐こくて愛らしい女の子。
 不思議な夜色の列車に乗る時も、勿論一緒だけれど。
「風が優しい、静かな夜……くろ丸と一緒に散歩してる、そんな時」
 くろ丸が足元の草を踏む、小さな音が可愛くて。そんな、心休まる瞬間を。
「イメージは紺とか、濃い青……あ、でも、青……難しいです?」
 なんなら多少有害でも大丈夫です、なんて伝えてしまうほど、一生懸命だったイチのパフェ。
 パウルのパフェが宇宙空間なら、こちらは地上から見上げる夜空。
 細長いグラス。抹茶スポンジの上に、青いゼリーから濃いブルーベリーソースへのグラデーション。銀箔を包み込んだ宇宙が広がっておりました。
 その上には生クリームや、ブルーベリーやリンゴが控えめに盛られ、星のようなしらたまと、くろ丸の顔をかわいらしくデフォルメしたものをプリントした青いマカロン。
 そしてその中にひっそりと飾られた、眼鏡型のチョコレート!
「すごいね、くろ丸」
「わう」
 くろ丸も興味津々です。
「イチさんの眼鏡そっくりです。ビーム撃てそうですね」
「何だァ、それ?」
 深冬の感想に、渾身の眼鏡ビームを見ていない八雲は疑問顔。
「……ひ、秘密です」


 ――深冬。
 グラスを満たすのはバニラアイスと、燈の緋色を思わせる濃厚な柿のシャーベット。
 口に入れればもちろん冷たいけれど、色はぽかぽかおひさまのいろ。
 その上に乗せるのは、見た目にも楽しいたくさんの果物たち。
 燈色のみかんやオレンジは勿論のこと。イチゴの赤、メロンの緑、皮つきぶどうの紫、それにそれに、スイカやパパイヤ、キウイにマンゴーまで!
 燈が果物が大好きだから、というのも勿論。もう一つの理由は、バイト先のやさしいひとたちの、個性豊かであたたかな光を。
(「わたしの大切なひとたちのイメージを、作って欲しかったんです」)
 仕上げに緋色のチョコレートで、燈の羽やもふもふ尻尾をトッピング。
 嬉しそうに飛び回る燈。深冬も目を輝かせてパフェを見つめておりました。
「すごいです……! とってもきれい」
 写真を撮る深冬の横で、僕もいいですか、とイチも珍しくスマホを構えておりました。
 綺麗だけど、食べるのは勿体ないな――深冬が逡巡している間に、燈がみかんをぱくり。あまりに幸せそうに食べるから、深冬は思わず噴き出してしまいました。
「おいしいですか?」
「きゅう」
「ふふ、よかった。では、わたしも」
 ――いただきます。


 ――ジャスパー。
「悩み過ぎてハゲるかと思った」
 ハゲてねェよなと額に触れる彼のパフェは、裡に宿るオウガ・ジャバウォックをイメージしたものだといいます。
 チョコレートアイスからアプリコットのコンポート覗かせ、食感も楽しいざくざくのショコララングドシャをちりばめます。
 モンブランのように山形に絞ったカシスクリームにフランボワーズをトッピング。仕上げに、相棒と揃いの角の形をした、炎いろのショコラプレートを飾り付けて。
「ただ、アイツと食べるには流石にちーせェんだよな」
 微笑ましい深冬・燈コンビを羨ましそうに眺めるジャスパー。
「ま、いいか。俺には……」
「ワオ、ジャスパーのパフェちょーお洒落だね!」
「サンキュ。はい、あーん」
 当然といった仕草で『あーん』を差し出すジャスパーと、受け止めるパウル。
「味も美味しい! オレのもあげるね、はいっ」
 差し出された宇宙色も、やっぱり幸せの味。


 ――八雲。
「てっきり、八雲はもっと甘党なのかとばかり」
「甘味は好きだが、和菓子に慣れてっと甘ったるいのはあんまなァ」
「なるほど」
 甘さ控えめというオーダーが少し意外で問いかけた姿見も、その答えに納得顔です。
 そんな八雲のパフェは、甘さ控えめスッキリ仕立ての薄紫のベリークリームをふんわり敷いて。
 こちらも素材の良さを大切に作り上げたイチジクのコンフィチュールは、どこか八雲の紅を引いた眸を連想させる色合いです。
 そして多めにとお願いした果物は。
 湯剥きしたものと皮つきのもの、どちらも載せた贅沢ぶどう、桃に林檎。ちょっと意外なところでは、柿なんかもごろっと盛って。
 最後にフィユティーヌを混ぜ込んださくさくショコラを差し込めば、八雲のパフェの完成です。
「おー、こりゃ見事だなァ」
 ピンクの眸はきらきら。尻尾はゆらゆら。けれど彦星その他写真を撮りたい面々の為に、ぐっとガマンの八雲です。
 シャッター音のあと、落ち着き払った様子で頂きますと静かに呟いて、食べはじめる八雲。噛むほどに幸せそうに緩む頬を、バレていないと思っているのは、本人だけだったかもしれません。


 ――姿見。
「ほう、なるほど。細長いグラスに盛られたパフェを食べるから、スプーンも細長くなるのか」
 見慣れないパフェスプーンを興味深そうにしげしげ見つめています。そして和の文化に慣れ親しんだ姿見にしてみれば、パフェというものがそもそも馴染みの薄いもので。
「モチーフを写し取り、形成する菓子といえば、練り切りや羊羹が親しみ深いが……」
 そう呟く姿見のパフェは、彼の連想したものと、未知のもの、ふたつを合わせた朝顔のパフェ。
 スポンジの代わりに抹茶カステラを敷き詰めた土台に、透明なゼリーときらきら金箔の層。クリームを挟んでもうひとつ訪れるゼリー層は、青に紫、朝顔色のクラッシュゼリー。
 甘納豆に白玉を盛りつけて、隣には姿見も馴染み深い練り切りで朝顔をこさえてあります。
 蔦は抹茶チュイール。細長いチョコレートの棒に巻き付いた、和洋折衷の朝顔の出来上がりです。
「和パフェ……風流ですね」
 深冬の言葉に、ああ、と頷いて。
「具体的な物に留まらず、言葉や、本来かたちを持たないものまで作り込む……職人芸だな」
 その精神があれば、国や世界の差というのは些細なものなのかもしれません。
 みんなそれぞれの一品も興味深くて、そして楽しむ同僚たちの姿も楽しげで。
「共に休息をとるというのも、良いものだ」


 ――彦星。
 皆のパフェの写真を、スマホでしげしげ眺めながら。
「おお、めっちゃ綺麗。これ写真プリントアウトして事務所に飾りたい」
「悪くねェな」
 画面を覗きこむ八雲と談笑しているうち、彦星のパフェもとうとうご到着。
「これは何のイメージなんだァ?」
「雨と、龍。……難しいかなって思ってたンだけどさ」
 結構いいじゃん、と笑う彦星のパフェは、最上部にふわふわ綿菓子の飴細工。ダジャレというわけではないでしょうけれど、少し灰色がかった雨雲色。
 雨の中を悠然と進む竜は薄いクッキーの繊細な仕上げ。
 白緑のクリームにざくざくアーモンドをかき分けかき分け、一番最後に辿り着く最下層が、雨上がりの星空。青紫のゼリーに、きらきらの金箔が光っています。
「事務所に並べるなら、こいつも写真撮っておかねェとな」
「勿論」
 軽快なシャッター音と共に、七つのパフェが目の前にも、フォルダの中にも揃い踏み。
「わ、彦星くん写真のセンスもマジ最高だね。飾ってもらうの楽しみー!」
 覗き込むパウルに、笑いを返しつつ。
(「竜は、俺でもあるけど」)
 雨喚ぶ刻印持つ後輩を、ふと思い出したりなんかもして。
 なんとなくクッキーの龍をお皿の端に取り分けて、最後のお楽しみにとっておく彦星でした。

 ――しあわせな思い出がもうひとつ、エイリアンツアーズの社報ファイルと皆のこころに刻まれた一日でした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ラフィ・シザー
【童話家族】
いよいよパフェの時間だぜ!
せっかくだから家族それぞれのイメージのパフェが見てみたいよな!
んー…自分のイメージって意外と難しいなぁ…
黒兎な時計うさぎで鋏が武器。お菓子が大好きで特に好きなのはピスタチオのマカロン♪
後は紅茶を入れるのが好きだぜ!

(並んだ家族達のイメージパフェに目を輝かせて)
わぁ♪みんな素敵だなぁ。
アナンシのも那由多のもファンのもアリアのもみんなのイメージにピッタリだ!
俺のも!俺のも俺にピッタリ!
食べるのがもったいない気もするけどアイスが食溶けちゃうからな。
いただきまーす。

一口交換!?俺も俺も!

今日はみんなと出かけられてよかった…また一緒に何処に行こうな♪


鳳城・那由多
【童話家族】
やっと皆さんとパフェを楽しめますね
私をイメージしたパフェとはどんなものでしょうか

真っ白なクリームにムース
カスタードが折り重なった上に
花を象ったホワイトチョコと
チョコペンで狐の顔を描いたマシュマロ
そして一番上に真っ赤なチェリーが飾られて
とっても素敵なパフェをありがとうございます

子どもたちのパフェはとても可愛らしい
どれも美味しそうですね
アナンシさんと私のパフェは
対称的な感じになったかしら?

ええ、パフェの交換はもちろんよくてよ
私にも一口いただけますかしら?

皆さんとのお出かけなら
私はいつでも大歓迎ですわ
次が楽しみですね


アリア・モーント
【童話家族】
みんなのパフェがどうなるのか楽しみなのよ?
楽しみなのだわ!

わたしは歌姫
可愛い女の子
切り裂き紳士も恥じらう歌乙女
可愛いお花も素敵なドレスも
きらびやかな宝石も大好きなのよ?

だからバニラアイスにはたくさんのエディブル・フラワーのドレス
生クリームのフリル
チョコソースの五線譜
お砂糖の音符
真っ赤な苺の宝石
ナイフのクッキーにリボンの飴細工

ラフィお兄様、ファンお兄様のはとっても可愛いくて
パパとママのはとっても素敵!

ファンお兄様の紅茶もあることだし
パフェ一口ずつ交換いたしましょう?
きっとどれもとびきり美味しいのだわ
はい、ママ!
お兄様たち、パパも、あーん

ええ、ラフィお兄様
また家族でお出かけしましょう?


ファン・ダッシュウッド
【童話家族】

僕のイメージカラー、ですか
御覧の通り無彩色、モノクロームがそれに当たるかと
後はお任せしま……
いえ、可能であれば本のビスケットを添えて頂ければ
(自分も童話家族の一人だから……とは、口に出来ないけれど)

並べて見ると一層、素敵ですね
ええ、ラフィさんのもラフィさんらしくて素敵ですよ
アリアも美味しいでしょうか?
紅茶なら僕が……僕もちゃんと食べますから
お気遣いなく『UC:紅茶の時間』

成程、一口交換……
それぞれが色々な味が楽しめる、とても効率的な食べ方ですね
えっ、効率は関係ない?
……人との関わりは中々難しいと実感しつつ
僕も交換を

ええ、もし宜しければ是非
また家族で出掛けられる日が楽しみですね


アナンシ・メイスフィールド
【童話家族】

ん?私のイメージかね?
色は白と黒…瞳の青だろうけれども
ふふ、性は蜘蛛だからねえ
可能ならば蜘蛛の巣のチョコレィトを飾って貰えると嬉しいのだよ

パフェが運ばれてきたなら皆のパフェを興味深げに眺めてみよう
鋏が乗ったこれがラフィ君で…チョコソースが美味しそうな此方がファン君かな?
アリア君と那由多君はレディらしく華やかだねえ
それと那由多君は私と対照的につくられているのかな?
ふふ、一目見て皆だと解るのが面白いね

一口は勿論だとも
ふふ、どの様な味がするのかね。本当に楽しみなのだよ…と

パフェは確かに溶けてしまっては勿体ないね、頂こうか
又の出かけは勿論だとも
ああ、本当に楽しかったのだよ、うんうん




「やっと皆さんとパフェを楽しめますね」
 楽しみですわ、と微笑む鳳城・那由多(傍観察者・f22037)。
「せっかくだから、家族それぞれのイメージのパフェが見てみたいよな!」
 ラフィ・シザー(【鋏ウサギ】・f19461)がぴょこんと兎耳を揺らしました。
「みんなのパフェがどうなるのか楽しみなのよ? 楽しみなのだわ!」
 アリア・モーント(四片の歌姫・f19358)も『ラフィお兄様』に同調します。
「ええと、イメージカラーや、他に何かあれば、でしたっけ」
 ファン・ダッシュウッド(狂獣飢餓・f19692)は思案顔です。イメージカラーの方はすぐに浮かぶファンですが、後はどうしましょうか、と。
「アナンシさんはどうなさいますか?」
「ん? 私かね?」
 那由多に聲をかけられて、アナンシ・メイスフィールド(記憶喪失のーーー・f17900)は暫し視線を揺らし。
「色は白に黒、それに瞳の青だろうけれども……ふふ、性は蜘蛛だからねえ」
 お礼や歓迎の気持ちを込めてのパフェだと言うのだから、少しの要望くらいは云った方がいいものか、と。
「可能ならば、蜘蛛の巣のチョコレィトを飾って貰えると嬉しいのだよ」
「蜘蛛! とっても素敵ね!」
 アリアがぽんと手を叩きました。
「強くて格好いいパパのパフェにぴったりよ、ぴったりなのだわ!」
「僕は無彩色の他はお任せしま……いえ、」
 色のない身に、あらわしたいものなど――思っていたけれど、思いめぐらせば、ひとつ。
「可能であれば本を、添えて頂けますか。ビスケット辺りが丁度いいのでしょうか」
「はい。アナンシ様が白に黒と青に蜘蛛のチョコレート、ファン様がモノクロームに本のビスケットですね」
 すらすらとメモを取っていくイチゴ伯爵。
「んー……自分のイメージって意外と難しいなぁ……」
「せっかくの『家族』ですもの、アナンシさんの隣に並べるパフェがいいですわ」
「わたしはね、イチゴ伯爵さん……」
 溢れる想いを取りこぼさないように、紙の上に書き溜められていく言葉の山たち。
 楽しそうな那由多と子供たちを見遣り、アナンシがふ、と笑みを浮かべたのでした。


 そうして並んだ五つのパフェ。
 わあっと無邪気に眸をきらめかせるアリアとラフィ。素敵ですわねと微笑む那由多。ほう、と皆のパフェを見比べるアナンシ。
「ひとつひとつも素敵ですが、並べてみると一層素敵ですね」
 目を細めるファンのパフェは、ガトーショコラの土台、クリームと昏いぶどうのコンフィチュールの海に、チョコレートソースをかけて。はらり、散らしたのはカカオニブ。
 甘苦いコーヒーゼリー。その上にふたつ並ぶアイスは、黒胡麻とヴァニラ。
 本のビスケットは、二枚重ねてクリームを挟んでちいさな文庫本を表現しています。かつてファンの『すべて』だった、本。何度も読んでボロボロになった様子までは、流石に再現はされていないけれど。
「……これが、僕」
 皆の目には、こんな風に映っているのでしょうか?

「わぁ♪みんな素敵だなぁ。アナンシのも那由多のもファンのもアリアのも、みんなのイメージにぴったりだ!」
 ぴこんと立った兎耳。ラフィです。
「俺のも! 俺のもオレにピッタリ!」
「ええ、ラフィさんのもラフィさんらしくて素敵ですよ」
 ブラックチョコレートのアイスに、チョコレートのプレートで黒とピンクの兎耳を表現。
 お菓子が大好きな黒い時計ウサギのラフィらしいアイスの下には、黒を惹きたてるための白の洋梨。
 コンポートにジュレ、それに生の洋梨も挿して、甘党のラフィも嬉しい仕立てに。ベリーのソースもたっぷり注いで。
 ラフィの愛用する武器である鋏はチョコ細工。その隣には、
「ピスタチオのマカロンだ!」
 一番の大好物が乗っかっておりました。

「ねえねえ、わたしのも見て、とっても可愛いのよ!」
『歌姫』アリア。可愛く可憐な女の子。切り裂き紳士も恥じらう歌乙女。
 ――可愛いお花も素敵なドレスも、きらびやかな宝石も、全部大好きなのよ。
 だから、とアリアが歌に乗せて可愛いグラスに盛られたパフェをご紹介。
「バニラアイスにはたくさんのエディブル・フラワーのドレス
 生クリームのフリルも忘れないで
 チョコソースの五線譜に、お砂糖の音符
 真っ赤な苺はほんものの宝石みたい
 ナイフのクッキーに、リボンの飴細工も飾るのよ」
 それらがカスタードクリームの上に、いっとうきらびやかなドレスのように乗っているのです。
 色あざやかなエディブル・フラワーの中にあっても、苺の濡れたような赤はうつくしくきらめくのでした。

「子どもたちのパフェ、とても可愛らしいですわ。どれも美味しそうですね」
「鋏が乗ったこれがラフィ君で、チョコソースが美味しそうな此方がファン君か。アリア君と那由多君はレディらしく華やかだねえ」
 アナンシと那由多。二人のパフェは、それぞれ落ち着いた黒と、明るい白。それが同じグラスに、よく似た配分で、色違いのように入っておりました。
「なるほど、私と那由多君の対照的とは、こういう事か」
 那由多のパフェは、真っ白なクリームやムースの間にカスタードを挟んで。
 幾重にも折り重なった層の上には、花を模ったホワイトチョコレートとマシュマロ。マシュマロには、チョコペンで狐の顔が描かれています。
 そして一番上には真っ赤なチェリー。那由多の眸によく似た色です。
「こうして並べると、とても素敵ですね」
 アナンシのパフェもムースとクリームを折り重ねています。ほのかに青いブルーベリームースと、ホイップクリーム。
 その上に、蜘蛛の巣を模ったチョコレィト。那由多と揃いのマシュマロは、こちらはシンプルにそのまま載せて。
 トップに鎮座するのは、こちらもチェリー。ただし黒いパフェに良くなじむ、ぐっと落ち着いた色合いのアメリカンチェリーです。
「ふふ、一目見て皆だと解るのが面白いね」
 それは勿論、心を込めて作られたパフェだから、というのもありますが。
 きっとアナンシが、皆が、家族を大切に思っているからこそ。

「ラフィお兄様、ファンお兄様のはとっても可愛くて、パパとママのはとっても素敵!」
「折角ですし、紅茶を淹れましょうか」
「俺もやるぜ、ファン」
 立ち上がりかけたラフィに、やんわりと首を振りました。
「大丈夫ですよ、僕もちゃんと食べますから、お気遣いなく」
 とぷたぷ注がれていく紅茶のいろを眺めながら、ラフィが名残惜しそうな様子でスプーンを手にします。
「食べるのがもったいない気もするけど、アイスが溶けちゃうからな」
「確かに溶けてしまっては勿体ないね、頂こうか」
「あ! ファンお兄様の紅茶もあることだし、パフェ一口ずつ交換しましょう?」
「交換……?」
 アリアの言葉に、カップを配り終えたファンが目をぱちくりさせました。
「きっとどれもとびきり美味しいもの!」
「一口交換!? 俺も俺も!」
「ああ、勿論だとも」
「もちろんよくてよ、私にも一口いただけますかしら?」
「成程……」
 家族たちの言葉に、ファンも得心がいった様子。
「それぞれが色々な味を楽しめる、とても効率的な食べ方ですね」
「効率は関係ないのだわ、ファンお兄様」
「えっ、そうなんですか?」
 人との関わりというのは難しいと実感するファンでした。
「そそ。美味しくて楽しいからやるんだぜ。はい、ファンどーぞ!」
 それでもラフィから差し出されたスプーンをぱくりと一口。
「ありがとうございます、ラフィさんもどうぞ」
「はい、ママ!」
「まあ、とっても美味しいですわ」
「お兄様たち、パパも食べてね。あーんってしてあげるのだわ!」
「アナンシさんも、どうぞ」
「ありがとう。ふふ、どの様な味がするのかね」
 白と黒を交換しながら、子供たちのパフェも本当に楽しみなのだよ……と、アナンシ。
「んー、ファンの紅茶も美味しい♪」
 甘いパフェと相性抜群の紅茶に、ラフィが頬を上気させて。
「今日はみんなと出かけられてよかった。また一緒に何処かに行こうな♪」
「ええ、もし宜しければ是非。また家族で出かけられる日が楽しみですね」
「皆さんとのお出かけなら、私はいつでも大歓迎ですわ」
「また家族でお出かけしましょう、ラフィお兄様♪」
 ファンは微かに。那由多は穏やかに。アリアは満面に。それぞれに笑顔を浮かべ、ラフィの言葉に頷くのでした。
「又の出かけは勿論だとも」
 そんな家族たちの様子を眺めながら、アナンシも紅茶を口に含みます。口の中の甘さを心地よく攫ってくれるこの紅茶があれば、いくらでも食べられてしまいそうだ――そんなことを考えながら。
「ああ、そうだとも。……本当に楽しかったのだよ、うんうん」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年06月22日


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アリスラビリンス
#キャラパフェ


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はフレミア・レイブラッドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト