3
血煙道中猟兵無双

#サムライエンパイア

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サムライエンパイア


0





 その街道沿いの小さな宿場町は、新春を祝う祭りの最中。毎日を慎ましく暮らす町の人々も、この日ばかりは仕事の手を休め、家でご馳走の支度をしている。テキ屋や行商人たちはホクホクの笑顔で今日の売り上げを数え、宿屋や酒場も年に幾度と無い活況で、満員の店も出始めている。
 そんな町の様子を、丘の上の一本松にもたれかかり見下ろす影があった。丈の短い忍装束を纏った、長身の女だ。太ももには大きな刺青。着物の肩口から胸元を大胆にはだけ、白磁のような肌を惜しげもなく晒しているが、匂い立つ色香を打ち消してしまいそうなほどに鋭い眼を爛々と光らせている。
 そして何よりも特徴的なのは、額に生える黒曜石の二本角。女は羅刹だった。
「ちっ……何ともつまんねえ世の中になっちまった。どこを歩いても、腑抜けた顔の奴らばかりだ!」
 舌打ち一つかまし、女は吐き捨てるようにつぶやく。女羅刹の名は菫(すみれ)。本名ではない。かつてこの国が戦乱の真っ只中だった頃、忍軍の一派として様々な汚れ仕事をこなしてきた頃の呼び名だ。もとより争いごとを好む羅刹の性分で、こんなに自分に合った仕事は無いと思っていた。数えきれない人間を斬り、村を焼き、城を落としてきた。
 だが、時代は変わった。天下泰平。徳川家が国を治め、人々は安定と平穏を享受している。志半ばで滅んでいった戦国大名、その手足となって戦った者たちの数は計り知れないが、それも皆忌まわしい過去の記憶として忘れ去られようとしている。
 それが、気に入らない。ならば、骸の海から蘇ったオブリビオンである己が為すべきことはひとつ。存在の証明だ。
「行くぞ、皆殺しだ。あの町の連中に思い出させてやる。アタシら『邪忍軍』の恐ろしさをなァ!」
 菫は姿の見えぬ『何か』にそう呼び掛けると、急斜面を一気に駆け下りていった。
 また、戦国の世が戻ってきた。あの乱世の風雲児――第六天魔王『織田信長』の帰還とともに。

「よく来てくれた。今度の行き先はサムライエンパイアだ。ひとつ、鬼退治を頼みたい」
 グリモアベースに集まった猟兵達を出迎えたのは、和服姿のガーネット・グレイローズだ。ガーネットは光の物体グリモアから、予知した情報を抽出する。
「街道沿いにある宿場町に、オブリビオンの集団が現れる。見た目からして、忍者のようだな。リーダー格は、羅刹の女だ」
 女羅刹が率いる忍軍は、この宿場町を襲撃し、住人や旅人に襲い掛かって皆殺しにしてしまう。ちょうどこの町は新年が始まって春を迎える祭りの準備中で、かなりの賑わいを見せている。
「私が諸君を町の入り口付近にテレポートするから、まずは戦いに専念できるよう、人々の避難に当たってくれ。幕府から与えられた天下自在符を見せれば、たとえヤクザ者だろうと君たちに協力を惜しまないだろう」
「敵は、忍者ですよね? 羅刹の女ってのは、何者なんです?」
 猟兵からの質問に、ガーネットは小さく頷く。グリモアを操作すると、敵の大まかな情報が明らかとなった。
「羅刹のくノ一は、『邪忍軍』という忍の一派の頭領を務めている、菫(スミレ)という女だ。戦国の時代には要人誘拐に暗殺、村の焼き討ちなど、色々と非道な任務を行っていたらしい。部下の妖魔忍者も同様、任務遂行のために一切の人間性を削ぎ落した殺人マシーンのような奴らだ」
 さすが忍者、汚いな……と色めきたつ猟兵達。
「部下の妖魔忍者の戦法は、スピードを活かした殺人術や鬼火を操る忍法がメインだな。オーソドックスな戦い方だが、如何せん数が多い。得意の集団戦法で敵の術中にかからないように、こちらも連携する必要がありそうだな。頭領の菫は身代わりの術や分身の術など、トリッキーな技を習得しているようだ。『流血乱舞』という手裏剣と鉤爪の連続攻撃も威力が高く、注意が必要だぞ」
 相手は乱世の闇を駆け回った、歴戦の猛者たち。しっかり準備をして挑まなければ、あっさりと返り討ちにあってしまう可能性もあるだろう。
「ああ、そうだ。無事に敵を撃破できたら、町で開かれる祭りに参加してくるのもいいだろう。屋台の仕事を手伝ったり、自分たちで店を出して人々と交流を図るのもいい。得意な料理を振る舞ってあげたら、きっとみんな喜ぶぞ?」
 私も何かうまいものを頂きたいな……とガーネットは呟き、テレポートの準備にかかるのだった。


弥句
 弥句です。サムライエンパイアのシナリオをお送りします。今回の敵は戦国の亡霊、悪の忍者軍団。一切の手加減は要りません。片っ端からぶった切っておくんなせえ。ユーベルコードの実験台に、新しい刀の試し斬りに。猟兵の先生方のご参加をお待ちしておりますぜ。
 一章と二章が戦闘パート。三章は日常パートで、町のお祭りに皆で参加して楽しもうという内容になっております。屋台を出店して食べ物を振る舞ったり、客として和グルメに舌鼓を打ったり。歌や踊りを披露するのもいいかもしれません。楽しみ方は人それぞれです。公序良俗の範囲でお楽しみください。ガーネットも、呼ばれれば来ます。
 それでは、よろしくお願いします!
62




第1章 集団戦 『妖魔忍者』

POW   :    忍法瞬断
【忍者刀】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    忍法鎌鼬
自身に【特殊な気流】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    忍法鬼火
レベル×1個の【鬼火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

テリブル・カトラリー
ただ徒に戦火を広げようとするなら、戦うとしよう。
忍者。この世界における殺人マシーン、だったか?
…さて、戦争兵器とはどれほど違いがあるか。

敵集団に対して視力と聞き耳、見切り併用で情報収集、位置割り出し。
ライトマシンガン、アームドフォートによる
二回攻撃、範囲攻撃でなぎ払い。
ラストデザートはクイックドロウ、スナイパーで狙い撃ち、

爆弾は目立たぬように操縦、自身の死角、物影、敵が避ける先に配置し、
適宜爆破。


劉・涼鈴
POW
ニンジャってヤツだね!
マンガで見たことあるよ! 分身したり火ぃ吹いたりするんだよね!
うーん、でもマンガじゃ主人公だったけど、ここにいるのは悪いヤツなんだね?
じゃー、片っ端からぶっ飛ばしてやるよ!

手近なヤツから【怪力】でぶん殴って蹴っ飛ばす!
どりゃー!
武器持ってて危ないから、手首を引っ掴んでへし折ってやる!(【グラップル】)
至近距離になったら【灰燼拳】をブチかます!
こいつを喰らって平気なヤツはいないよッ!!
鬼火とか衝撃波を飛ばしてきたら【野生の勘】で避けるよ!
見えるッ! ……気がした!
腕からなんかみょーんって伸びてるし、
引っ掴んでぐるぐるぶん回して別の敵に投げ飛ばしてみよう!(【怪力】)


ミアズマ・フォルテ
火のない所にボヤ騒ぎを起こそうとするんじゃないよ、まったく。

SPD重視で行動

まず天下自在符を掲げて人々に避難を促す
役人とか現地での有力者っぽい人がいれば避難の協力を要請しよう
本来なら詳しく説明するべきなんだろうけど時間が惜しいからな
敵に町に入り込まれる前に叩いてしまいたい

戦闘:
数には数で対抗
他の猟兵と連携を前提にして動く、孤立している味方がいれば
積極的に援護射撃して補佐する。
基本は近接戦闘を避けて千里眼射ちで攻撃
数が多いし動きも早いが一射一射確実に当てて潰していこう。
もちろんとどめもきっちり刺す、自爆でもされたらたまらん。


六道・紫音
相棒ルビィと連携
邪忍軍…なかなか斬り甲斐のありそうな連中だ。
俺の剣には良い糧となろう…ルビィ、行くぞ!

・移
「相棒のおかげで俺は何も気にせず疾れる」
『残像』を伴いながら『ダッシュ』で一足飛びに駆ける《縮地》により、足を止めず包囲されないように動き回り撹乱する。

・攻
町民は相棒に任せ、俺は縦横無尽に戦場を駆け主攻を担う。
弐之太刀《無影》にてヒット&アウェイ戦法。
忍者刀のアウトレンジから『怪力』と『鎧無視効果』と『捨て身の一撃』を乗せた一撃必殺の無影を叩き込み、残心を以って『第六感』と『見切り』で攻撃後の隙を見せず《縮地》で離脱、再び無影で攻勢をかける。
「一刀一殺、貴様らの血で我が剣は更に冴え渡る!」


ルビィ・リオネッタ
相棒の紫音と連携

斬るだけの価値があるといいんだけどね
シオン、頼りにしてるわよ

・避難
まず上空から地形を確認するわ
天下自在符を見せ町の責任者に協力して貰う
町人を逃がし易く守り易い場所を、猟兵と現地の町人を交えて相談
『妖精の家』の中に逃げ遅れそうな人を匿うわ

「子供や老人、足に自信のない人はここに。動ける人は避難を始めて」

アタシは殿をやるわ
主攻は相棒に任せて町人の傍を離れず守りに徹する

鬼火や敵の攻撃は『視力・見切り』で見極め
『ダッシュ・空中戦』で接近
『早業・盾受け・武器受け・先制攻撃』の『水属性の属性攻撃』で撃ち落とすわ

「邪忍軍…だっけ?可哀そうな人たちね。弱い者相手にしか自分の力を示せないなんて」





 グリモアベースからサムライエンパイアに転送された猟兵たちは、まず宿場町の入り口に出現した。幸い、まだ敵の気配は感じられない。
「さて……まずは一般人の避難をさせないとな」
 ミアズマ・フォルテはまず、近くの茶店に入って店の親父に声をかけた。ミアズマが天下自在符を見せて事情を話すと、店主は慌てて店じまいの支度を始めた。
「今日は店じまいだよ! 帰った帰った!」
「えええっ!? 俺まだ食ってんのに……」
 店主は団子を食べていた商人を追い出し、暖簾を片付けてそそくさと立ち去った。その後もミアズマは手際よく、道行く旅人を町の中へ誘導していく。
「効果覿面だな」
 様子を見ていたウォーマシンの女戦士、テリブル・カトラリーが加工された合成音声でそう呟く。 
「この調子で、さっさと避難させよう。本来なら詳しく説明するべきなんだろうけど、今回は時間が惜しいからな」
 
 六道・紫音とルビィ・リオネッタのコンビは、宿場町を仕切る任侠親分の屋敷を訪ねていた。突然訪ねてきた二人に若い衆が不信感を露わにして威圧してきたが、ルビィが天下自在符を見せた途端に大人しくなる。 
「アンタ達にも協力してもらうわよ。時間がないから、任侠のしきたりだのなんだのに構ってる暇はないの! いいでしょ、親分さん?」
 徳川幕府が発行している天下自在符によって、猟兵の存在は幅広く周知されている。それもそのはず、将軍家光自身がこの世界で最も有名な猟兵なのだ。
「真っ昼間から攻め込んで来るたぁ、タダモンじゃねえな。おいてめえら、さっさとみんなに知らせてこい!」
 親分が一喝すると、若い衆は大急ぎで町のあちこちへ散っていった。
「後は俺たちに任せておきな、親分。邪忍軍……なかなか斬り甲斐のありそうな連中だ。俺の剣には良い糧となろう……ルビィ、行くぞ!」
「連中に斬るだけの価値があるといいんだけどね。シオン、頼りにしてるわよ」
 紫音とルビィは戦いの準備を整えるため、任侠一家の屋敷を後にした。

 人気の失せた街道は、昼間だというのに不気味に静まりかえっていた。木々に留まっていた鴉がぎゃあぎゃあと騒ぎ始め、周囲に不穏な空気が漂う。程なくして雑木林や草むらから、黒ずくめの異形が音もなく這い出てきた。
「…………」
 妖魔忍者だ。人の形をしたオブリビオンの群れは、真っ直ぐに宿場町を目指して前進を始める。
「来たな」
 手に馴染んだ愛用のライトマシンガンを携え、テリブルは迫り来る黒影を見据える。
「ただ徒に戦火を広げようとするなら、戦うとしよう。忍者……。この世界における殺人マシーン、だったか? ……さて、戦争兵器とはどれほど違いがあるか」
「わあ、あれがニンジャってヤツだね! マンガで見たことあるよ! 分身したり火ぃ吹いたりするんだよね!」
 テリブルの傍らにいるのは、元気いっぱいのキマイラの格闘士、劉・涼鈴。初めてのサムライエンパイアは、まさに彼女がバトル漫画で見た世界そのものだ。 
「うーん、でもマンガじゃ主人公だったけど、ここにいるのは悪いヤツなんだね? じゃー、片っ端からぶっ飛ばしてやるよ!」
 さっきからテンションが上がりっぱなしの涼鈴は、カンフースターの真似をしてそこら中を飛びはね、駆け回っている。
「じゃあ、行くぜ。相棒、後は任せたからな」
 紫音は皇月を抜き、ルビィに町人の安全確保を任せて前線へと向かっていく。『縮地の歩法』を駆使し、異様な速さで駆けていった紫音を、町の者は呆然と見送った。
「子供や老人、足に自信のない人はここに。動ける人は避難を始めて」
 旅人達は宿屋に閉じ籠もり、既に多くの住民は避難を始めている。代官屋敷まではやや距離があるため、町の中で比較的大きくて立派な建物が避難場所に選ばれた。剣術道場と任侠屋敷、そして造り酒屋である。
 ルビィは自身の能力で『妖精の家』を発動させた。彼女の小さなティアラの宝石に触れた者達が、次々と異空間へと吸い込まれていく。その中は、ユーベルコードで作られたキュートなドールハウスである。
「へええ。猟兵さんってのは不思議な力があるんじゃの。たまげたわい」
「さあ、お爺さんもこの石に触って。大丈夫、別に怖くはないわ」
 脚の悪いご隠居が恐る恐るティアラに触れると、体がみるみるうちに縮小。シュルシュルと石の中へと収納されていった。ご隠居はそのままドールハウスへワープし、ピンク色の可愛らしいテーブルに着席した。

「わざわざ近づいてくるのを待ってやる必要もないか。……先手必勝、町に入る前に叩いてやる!」
 民家の屋根に上ったミアズマが、愛用のロングボウに矢をつがえ、弦を引き絞った。精神統一し、ユーベルコード『千里眼射ち』を発動させる。迫り来る妖魔忍軍に標的を定め、一射。有り得ない距離から放たれた矢は彗星のごとく一直線に飛び、最前列にいた妖魔忍者の胸を射貫いた。矢を受けた忍者は、声を上げることもなく仰向けに倒れ込んで絶命する。その一矢が開戦の合図となり、敵が一斉に動いた。妖魔忍者達はそれぞれ体に特殊な気流を纏うと、急激に移動スピードを上げて猟兵達に襲いかかった。
「いっくぞー、私と勝負だっ! どりゃーーっ!」
 涼鈴は拳を固めて駆け出し、早速手近な敵に殴りかかる。忍者刀による横斬りの一閃をウィービングで躱し、顔面に『灰燼拳』でカウンターの掌底を叩き込んだ。車に撥ねられたような衝撃を受けて、轟音とともに忍者の体が大きく吹き飛ぶ。牛型キマイラの膂力を以てすれば、涼鈴のような小兵でも凄まじい剛拳を繰り出すことが可能だ。
「おチビを援護するか。危なっかしくて見てられん」
 テリブルはマシンヘルムのバイザーを下ろし、涼鈴の後ろをピタリと随伴する。目に付いた敵へと殴りかかっていく涼鈴は、突出しやすい。テリブルはヘルムの集音マイクとカメラアイに備わった熱センサーを駆使して索敵を開始する。
「姿を隠していても、無駄だぞ……!」
 敵は体を覆った気流で身を隠していたが、刃物を抜く音や足音がテリブルの集音マイクに拾われていた。テリブルはライトマシンガンとアームドフォートを掃射し、こちらを包囲しようとしていた敵群を仕留めていった。
「数には、スピードで対抗するか」
 脚部に装着したブースターを噴射し、陰から陰へと瞬時に移動する。超小型の爆弾を撒き、それらを遠隔操作して設置。敵を怪力で投げ飛ばしたり、腕をへし折ったりと野蛮な格闘戦を繰り広げる涼鈴へ援護射撃を飛ばしつつ、背後や屋根づたいに近づいてくる敵を『爆破工作』で爆殺していった。
 涼鈴は後退する敵を追っていく。忍者が逃げる先の、商店の曲がり角付近。その地中から、テリブルは熱源を確認した。
「地中だと……! 待て、罠だ!」
「こらーっ、逃げんなーっ!」
 涼鈴が忍に追いつこうとした瞬間、土遁で潜伏していた二体が姿を現した。
「あっ……!」
「「殺!」」
 忍刀を閃かせ、地中から飛び出した妖魔忍者が涼鈴に襲いかかる。涼鈴が咄嗟に身を守ろうとしたが、反応が遅れて――。
「!?」
 次の瞬間、忍者の真横から猛烈な剣風がなぎ払われた。衝撃波を伴って叩き込まれた一刀が、忍者の一体を真っ二つに両断したのだ。突如現れた黒い影は、すかさず返す刀でもう一体を斬り伏せる。
「おぅ、待たせたな」
 黒い影の正体は、長い黒髪を振り乱した長身の男。紫音だ。愛刀を手に縮地の歩法で路地を一気に駆け抜け、そのままの勢いで『弐之太刀《無影》』を放ったのだ。
 そして残った一体に、背後から矢が突き刺さった。遠距離からミアズマが放った一矢だ。
「ふん……火のない所にボヤ騒ぎを起こそうとするんじゃないよ、まったく」
「邪忍軍……だっけ? 可哀そうな人たちね。弱い者相手にしか自分の力を示せないなんて!」
 ミアズマとルビィがコンビを組み、後方で町の住民を守りながら紫音への援護を行っていた。ルビィは上空から町の様子を把握し、地上の二人へと合図する。紫音はそれを頼りに縮地で縦横無尽に駆け回っては、『無影』で敵を斬りまくった。ルビィは素早く空中を飛び回って敵が操る鬼火忍法を巧みに躱し、水の魔法でそれらを迎撃。敵が攻めあぐねている隙を突いて、ミアズマが『千里眼射ち』で一人ずつ的確に仕留めていった。
「とどめもキッチリやっておくか。自爆でもされたらたまらん」

「一刀一殺、貴様らの血で我が剣は更に冴え渡る!」
 愛刀の切先を血で染め、紫音は次々と妖魔忍者を切り捨てていく。
「しかし、思った以上に数が多いな」
 テリブルがブースターを噴かして彼に追随し、愛銃ラストデザートを連射して敵をなぎ倒していく。猟兵達は連携を組んで敵を撃破していくが、敵の攻撃が止む兆候はない。
 そのとき、町の入り口で空間が揺らいだ。何者かが、町へと入ってくる気配がした。
「なんだ、また新手か?」
 紫音の問いかけに、テリブルはゆっくりと首を横に振った。
「いいや。……援軍だ」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

明神・竜聖
我ら羅刹と戦の華は切っても切れぬ関係、わかりますよ。
ですが、無垢の民を襲って血の花を咲かせるのは、罷り通らないですよね。
その歪んだ性根、角ごと圧し折って差し上げましょうか

酔わずの蟒蛇の利用を兼ねて、お酒をくぴくぴ飲みながら向かいましょう。
呑気に酒を飲みながら歩けば、遊び人のように見えて、向こうも襲ってくるんじゃないでしょうか。
遅ければ、それだけ僕が強くなれますがね。

来たら、袖から天乃白川を棚引かせ、
しなりしなりと揺れながら、
ゆらりゆらりと動きながら、
天舞を舞って放たれる攻撃を往なしながら攻撃回数を重視し、
打って払って捉えて投げ飛ばして切り伏せて、
複数人を纏めてお相手しましょう。

(アドリブ歓迎)


レクス・マグヌス
【心情】
平和な景色の何がいけない
戦いを知らず、平和に生きられる人々がここにはいる
それを破壊しようという者がいるのなら、僕は絶対に許さない!

「嵐よ、起きろ! 戦いの時だ!」

忍者、聞いたことがある
サムライエンパイアにおける強力な戦闘集団だと
だが、僕は負けるわけにいかない

【戦術】
忍者相手には距離を取って戦う
相手の近距離攻撃を喰らわないよう留意しつつ、魔法の矢を集団に対して使用して、まとめて攻撃を行う

数が多い相手なので、囲まれないように建物の壁などを利用



戦闘スタイルは剣と魔法を併用したもの
防御に剣を用いて、相手の隙を突いて魔法を用いる


ノイン・フィーバー
心情:妖魔忍軍? 妖怪+忍者ですか? ……インパクトが足りない!! あなたも忍者の一人なら火薬を使いなさい! 火薬を!!(間違ったイメージだがノインは気にしない)
行動:
アームズフォートの弾丸を軽くばら撒き、こちらへ注意を向ける。
「私を無視して民の皆様を殺し回っても構いませんが、その場合は後ろから脚と腹を中心に撃たせて頂きます。非常に苦しいと思いますので、今のうちに撃退されては?」
こちらに殺到する気配を見せた瞬間にフルバースト・マキシマム発動。
「忍法結構、妖怪結構! しかしアナタ方には火薬が足りない!!」
全弾発射で可能な限り殲滅。
全段発射が終わったらあとは味方の援護に徹する。


夜神・静流
「悪しき妖は抹殺します」
歴史の裏で魔の者と戦い続けてきた夜神の一族も、忍と似た部分があるかもしれません。
だからこそ、己の欲望の為に弱者を虐げるような者達を許すわけにはいきません。全て斬り捨てます。

投擲技能を使用して鉄礫や霊札を投擲し、牽制。注意を引いて攻撃を誘います。
敵を射程内に集めて、なるべく多くの敵を巻き込めるように。

ダッシュ技能で素早く最適な位置に移動し、早業・先制攻撃・属性攻撃・薙ぎ払い・範囲攻撃・怪力・破魔技能を使用。忍者刀による攻撃に先んじて三ノ太刀・鳴神で範囲内の敵を纏めて攻撃します。

攻撃後はダッシュ・残像技能を使って離脱し、再び牽制しつつ攻撃の機会を伺います。


陰白・幽
お祭りだよ~。きっと皆この日を楽しみにしてたはずだよね~、皆が楽しく今日を終われるようにボクも頑張らねば……(くんくん)あ、美味しそ~なにおい……じゃなくて、しゅーちゅうしゅーちゅう~っと。

初めは避難のお手伝いをしようと思うよ、天下自在符を見てもらって避難を促すよ。子どもとか、おじいさんおばあさんなんかの足の悪い人がいたら荷車を借りてそこに乗ってもらって運んじゃおう。【怪力】を使えばへーきへーき。
「乗り心地が悪いかもだけど……ちょっと我慢してね~」
まだ避難中に忍者が来たらUCを使って敵の攻撃を迎撃したり、動きを封じて時間稼ぎとするよ~
「生きてる以上眠りはするよね、おやすみーいい夢を、だよ~」





 猟兵と邪忍軍の戦いが繰り広げられている町に、新たに五人の猟兵がテレポートしてきた。すでに敵と交戦している猟兵達への援護が必要だ。
「忍者、聞いたことがある。サムライエンパイアにおける強力な戦闘集団だと……。だが、僕は負けるわけにいかない」
 レクス・マグヌスが、間近に迫った戦いを前に決意を固める。失われた都の王族の出身である彼は、平和の尊さを誰よりも知っている。たとえどんな強敵が相手だろうと、人々の平穏な暮らしを守るためには一歩も退けないのだ。
「……悪しき妖は抹殺します」
 夜神・静流は、歴史の裏で魔の者と戦い続けてきた一族の剣士。自分は忍びとどこか、似たような部分があるのではないかと思う。だが、だからこそ、己の欲望の為に弱者を虐げるような者達を許すわけにはいかないのだ。
 一人残らず、全て斬り捨てよう。静流は悪しき忍者軍団への闘志を静かに燃え上がらせ、愛刀十六夜の感触を確かめた。
「すでに戦闘中のようですネ。急ぎましょう」
 タキシード姿のヒーローマスク、ノイン・フィーバーが愛用のアームドフォートを起動させる。猟兵達は頷き、戦闘の音が聞こえてくる町の中へと足を踏み入れた。

 町の大通りを、天人のごとく美しき羅刹が往く。深い緑色の長髪を揺らし、瓢箪の酒をぐびりとあおるのは、明神・竜聖だ。ともすれば遊び人のようにも見える彼は一見昼間から呑気に飲み歩いているようだが、物陰に潜んでいる敵の殺気を敏感に感じ取っていた。竜聖が通り過ぎた飯屋の陰から、忍者刀を構えた忍たちがぬるりと現れた。
 竜聖は足を止め、くすりと笑みを漏らす。
「我ら羅刹と戦の華は切っても切れぬ関係、わかりますよ。ですが、無垢の民を襲って血の花を咲かせるのは、罷り通らないですよね。その歪んだ性根、角ごと圧し折って差し上げましょうか」
「「斬」」
 振り返った竜聖に、二人の忍者が高速の動きで斬りかかってきた。
「――舞いましょう?」
 羅刹の本性を垣間見せ、桃色の瞳が妖しい輝きを放った。竜聖のユーベルコードがひとつ、『天舞』。身に纏う純白の羽衣[天乃白川]をはためかせ、敵の斬撃を捌き、得物を絡め取る。愛用の戦布は見た目の繊細さに反し、非常に頑丈だ。
「いい、殺気ですよ。僕でなかったら、仕留められたかもしれませんね」
 竜聖はひらり舞うような手つきで、白煌閃の刃を一閃させる。銀光が走り、瞬く間に一人を斬り伏せた。そこへすかさず、レクスが唱えた『ウィザード・ミサイル』の火炎の矢が射出されもう一人へと叩き込まれる。
「奴ら、うまく陽動にかかりましたね」
 民家の陰から、レクスが姿を現した。レクスが魔法による牽制と援護射撃。竜聖が陽動と正面突破という役割分担だ。
「来るのが遅ければ、それだけ僕が強くなれますがね。早めに潰すに越したことはないか」
 次々と襲い来る忍者の一団。竜聖はその猛攻を舞い躍るような動きで次々と捌き、蹴散らしていく。
「嵐よ、起きろ! 戦いの時だ!」
 竜聖が十分に敵を引きつけたところで、後衛のレクスがウィザード・ミサイルを叩き込んで敵を討ち果たした。竜聖はまた、瓢箪の酒をくいっと口に含んだ。完璧な勝利は、酒をより美味くする。
「さぁ、どんどん行きましょうか」

 陰白・幽は逃げ遅れている住人に天下自在符を見せ、避難活動に勤しんでいた。次は病気のお婆さんを荷車に乗せ、自慢の怪力で牽引する仕事だ。
「お祭りだよ~。きっと皆この日を楽しみにしてたはずだよね~、皆が楽しく今日を終われるようにボクも頑張らねば……」
 民家の前を通りかかったとき、料理のいい匂いが幽の鼻をくすぐった。
「あ、美味しそ~なにおい……じゃなくて、しゅーちゅうしゅーちゅう~っと。おばあちゃん、乗り心地が悪いかもだけど……ちょっと我慢してね~」
「坊やはちっちゃいのに、力持ちだねぇ~」
 ゴロゴロと荷車を引いて、幽は避難所の剣術道場を目指す。そんな二人に妖魔忍者たちが忍び寄っていくのを、ノインと静流が灯籠の陰から見ていた。
「幽サンが危ないですな。ここは助太刀しなければ」
 パントマイムのような動きでクネクネと踊りながら幽の元へ向かうノインの後を、静流が忍び足で追いかける。
「……その動き、何なんですか?」
 静流は、ノインの奇怪な動作に戸惑いを隠せない。服装からして手品師のような人物であることは分かるのだが、テレビ型の覆面は何なのだろう……と。
「ま、気にしないでください。私の習性でして、走るときはこのような動きをとってしまうのです」
「はぁ……」
 気を取り直して、静流は敵を引きつける作戦に移る。集まってきた敵群めがけ、鉄礫や霊札を投げつけて牽制。素早く前進と後退を繰り返しながら攻撃し、敵を引きつけていく。
「幽様! ここは私たちが引きつけますから、早くお婆さんを連れて行ってください!」
 ノインも静流と共に、敵の足止めに加わる。アームドフォートの出力を抑え、静流とタイミングをずらして単発のビーム弾を断続的に放ち、敵の動きを抑制していく。
「私を無視して民の皆様を殺し回っても構いませんが、その場合は後ろから脚と腹を中心に撃たせて頂きます。非常に苦しいと思いますので、今のうちに撃退されては?」
 接近を阻まれた忍者たちは鬼火忍法を繰り出す。印を切りながら青黒い炎を操り、猟兵たちと飛び道具による熾烈な応酬を繰り広げる。
「ありがと~。ついでにボクも足止めしておくね~」
 幽は精神を集中し、ユーベルコード『永眠龍の封刻鎖』を発動させた。妖魔忍者たちの頭上から、エネルギーの鎖が何本も降り注ぐ。それらが体を貫くと、忍者達はたちまち強烈な睡魔に襲われた。展開していた鬼火の術が途切れ、蹲って寝息を立て始める者もいる。
「生きてる以上眠りはするよね。おやすみーいい夢を、だよ~」
 幽は再び老婆を乗せた荷車を引き、剣術道場の方角へと去って行った。
「今が攻撃の機会ですね……!」
 静流は好機と見るや愛刀[十六夜]を抜き放ち、敵陣へ果敢に飛び込んだ。必殺の一太刀を放つべく、力を溜める。
「我が剣は雷。薙ぎ払え、三ノ太刀・鳴神!」
 勢いよく横薙ぎに繰り出された斬撃に呼応して紫電が迸った。密集していた妖魔忍者たちが、眩い光の中で轟雷に貫かれる。
「よし……!」
 静流は残像を描くダッシュで、素早く間合いから離脱。再び鉄礫と霊札による動きの抑制にかかる。
「お見事! では私も、とっておきをお見せしましょう」
 ノインはアームドフォートのリミッターをすべて解除し、フルバーストマキシマムの態勢を整えた。
「忍法結構、妖怪結構! しかしアナタ方には火薬が足りない!! 妖魔忍軍? 妖怪+忍者ですか? ……インパクトが足りない!! あなた方も忍者なら火薬を使いなさい! 火薬を!!」
 敵がこちらに殺到する気配を見せた瞬間に、静流がその動きを封じにかかる。ノインは標的を捉え、アームドフォートの全弾を一斉に放出した。静流の鳴神にも引けを取らない、暴力的な光と弾丸の嵐が妖魔忍者の集団を撃ち抜き、薙ぎ払った。後に残ったのは、塵芥だけだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『邪忍軍の女棟梁』

POW   :    闇闘技・流血乱舞
【手裏剣】が命中した対象に対し、高威力高命中の【血濡れの鉤爪の連撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    邪忍法・身代わりの術
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【呪いの木偶人形】から排出する。失敗すると被害は2倍。
WIZ   :    禁術・影分身
レベル×1体の、【胸元】に1と刻印された戦闘用【妖艶なる分身体】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠エルシー・ナインです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。




 邪忍軍襲撃の予知を受けて宿場町に現れた猟兵たちは、一般人を迅速に避難させ、早い段階で戦いに専念することができた。それぞれが複数のチームを組んで連携し、ユーベルコードを駆使して猟兵達は次々と邪忍軍を打ち倒していった。
「ほぅ、その人数でウチの奴らを殺ってしまうとはな」
 猟兵たちの前に、疾風とともに白髪のくノ一が現れた。邪忍軍を率いる女羅刹、菫だ。
「……何もんだお前ら? ただの雇われ用心棒でもなさそうだが」
 一際強烈な威圧感を放つ菫の出現に、猟兵たちに緊張が走る。即座に攻撃を叩き込むが、菫の姿は既にそこにはない。変わり身の術だ。
「さぁ、少しは楽しませてくれよ? たっぷり時間をかけて斬り刻んでやる」
 菫の右手に嵌められた鉤爪手甲が、カチカチと不気味な音を立てた。この女に、町の人々を殺させるわけには絶対にいかない。猟兵たちは怯むことなく武器を構え、戦闘態勢を整えた。
劉・涼鈴
POW
わー! あれカワリミ・ジツだよね! すごーい!
さっきのニンジャより強い、グレートニンジャだ!
他のジツも見てみたいけど……悪いヤツはやっつけるよ!

あの手に持ってる「しゅりけん」って、たしか投げる武器だよね?
間合いを詰めて投げるヒマを与えない!
【野生の勘】で避けながら突っ込む!
当てられたら【気合い】と根性で頑張る!

【怪力】でぶん殴って蹴っ飛ばす!
分身をいっぱい出してきたら体当たりでぶっ飛ばす!
当てられる距離まで近づいたら【グラップル】で引っ掴んで身代わりを封じて、
【灰燼拳】でブチかます!
ぶっ潰れろっ!


レクス・マグヌス
【心情】
人々の避難を忘れていたか
本当に僕はまだまだ至らないな

でも、後悔は後だ
まずはアイツを倒さないと

妖剣がうずく……僕に力を貸してくれるのか
たとえ邪悪の力だろうと、僕は使いこなして見せる


何者か、と問われるのならあえて答えよう

「黙れ! そして、聞け! 我が名はレクス・マグヌス! 滅びし都の最後の王!」

【戦術】
数が増えたら「力溜め」で準備したマジックミサイルでまとめて薙ぎ払う

たまに攻撃する振りをして、フェイントをかけることで身代わりの術のタイミングをずらす

「手裏剣」での攻撃には特に気を付けて回避を行う

「その邪術、敗れたり……だ」


ノイン・フィーバー
心情:
変わり身の術。見事。
ですが、初手でその技を見せたのは悪手ですね?

行動:
ひとまずは皆さんの援護を。
アームズフォートでずがんずがん。
妖艶なる分身体を生み出したら率先して撃破
「チェンジ。出直して下さい」
画面に「30点」と表示

身代わりの際に脱力状態になる事を察する
距離を詰めてくるように誘い、顔面の画面がしっかりと見えるような距離で、ユーベルコード発動

顔面の画面に井戸が映り、その井戸の中から黒い長髪で顔を隠した少女が這い出るように現れる。
そして画面からその少女がずるぅりと這い出る。
少しだけでいい。それに恐怖を感じてくれたなら、完全な脱力はできまい。
人外なる力で少女がしがみついた隙に、零距離射撃


ルビィ・リオネッタ
相棒の紫音と連携するわ

「そうそう。通りすがりの戦闘狂と、それを見守るしがない妖精ってとこかしら♪」

・戦法
早い相手ね…
相棒の左肩に乗って迎撃に専念するわ

装備した『妖精の盾』を相棒の胸付近に浮遊させる
相手の動作を動体【視力】でよく見て行動パターンを【学習】
【見切り・早業】で攻撃動作と位置を見極めるわ
シオンかアタシを狙って投げてきた手裏剣は、小さなダガーか妖精の盾を使って【盾受け・武器受け・武器落とし】で防ぐ

手裏剣の一撃を確実に防いで、アタシたちのチャンスに変えるわ
シオンが敵に肉薄するのに合わせて【早業・暗殺・2回攻撃・空中戦】の『sfz』
相棒とクロスする剣筋で仕留める!

「…逃がさないわ!」


六道・紫音
相棒ルビィと連携

ほぅ、かなりやるようだな…これは斬り甲斐がありそうだ
「俺は紫音、お前を刀の錆とする男だ」
ヤツの速さと技を超えて斬り捨て、俺の剣を高めてみせる

・戦法
ヤツは速い、俺の太刀筋でも捉えるのは容易で無かろう…ならば隙を突くのみ
「いざ…勝負!」
ルビィを肩に乗せ連携
『残像』で翻弄しながら攻撃を誘発し『第六感』でルビィに伝え防御、攻撃後の隙を『見切り』即座に『カウンター』で攻勢に転じ『ダッシュ』で一足飛びに駆ける《縮地》にて懐へ入り、『鎧無視効果』で弱点を狙い『怪力』を発揮して膂力を増し『捨て身の一撃』により全神経を攻撃に集中した【参之太刀《雲耀》】を相棒と共に放ち一刀両断
「俺達の…勝ちだ!」





 空を切り裂いて投げられた手裏剣と魔法の炎弾が、空中で激しくぶつかり合う。渾身のウィザードミサイルを相殺され、レクスは歯噛みした。羅刹のくノ一、菫が覆面ごしに嘲笑う。
「ふん……坊やの本気はこんなモンかい?」
「黙れ! そして、聞け! 我が名はレクス・マグヌス! 滅びし都の最後の王!」
 戦うことに集中するあまり、人々の安全を確保することを失念していた。自分の至らない点を、レクスは自戒する。しかし、反省は後回しだ。今はこのオブリビオンを討ち取らなければならない。レクスは覚悟と共に、妖剣を強く握りしめた。
「じゃ、俺もついでに名乗っとくか。俺は紫音、お前を刀の錆とする男だ」
「そうそう。通りすがりの戦闘狂と、それを見守るしがない妖精ってとこかしら♪ あっ、あたしはルビィよ!」
 長身の剣豪、紫音とフェアリーの暗殺者ルビィのコンビは、息の合ったコンビネーションで菫を攻めたてる。
「それはご丁寧にどうも。まぁ、どうせ全員ぶっ殺すからアタシにはどうでもいい情報だけどよォ!」
 菫が瞬発力を活かした強烈な蹴りを放つ。ルビィは『妖精の盾』を紫音の胸元で浮遊させ、守りを固める。紫音の左肩に留まり、菫のクセや行動パターンを優れた動体視力でもって観察し、勝利へのデータを収集しているのだ。
 ノインはアームドフォートを起動させ、地道に援護射撃を行っている。菫の素早さは、妖魔忍者の比ではない。手数で上回る猟兵側と、単体で互角に立ち回っている。
「おい、そこの箱頭。何か言うことはねえのかよ?」
 余裕の表情を浮かべる菫は、意地悪くノインに煽りを入れる。
「変わり身の術。見事。ですが、初手でその技を見せたのは悪手ですね?」
 相手の技量を認めつつも、ノインは負けじと言い返す。そこへ、紫音とルビィが連撃を仕掛けた。菫の右腕が斬り飛ばされた瞬間――それは壊された木偶人形へと変わる。
「こんなのでよけりゃ、幾らでも見せてやるよ!」
「わー! あれカワリミ・ジツだよね! すごーい! さっきのニンジャより強い、グレートニンジャだ!」
 身代わりの術を目の当たりにし、涼鈴はこの状況にも無邪気な歓声を上げた。
「喜んでる場合じゃないと思うんですが……」
 自由奔放な涼鈴の言葉に、レクスは頭を掻く。
「他のジツも見てみたいけど……悪いヤツはやっつけるよ!」
 涼鈴は地を蹴り、真正面から菫へ突撃をかけた。
「援護しますよ、涼鈴サン!」
 ノインがアームドフォートの大型ライフルを連射する。そこへ、レクスが火炎の矢で支援に加わった。菫は猛スピードでジグザグに走り、容易に的を絞らせない。
「とりゃああっ!」
「シェアアッ!」
 涼鈴と菫の蹴りがぶつかり合う。キマイラと羅刹、どちらも優れた身体能力をもつ種族だが、大人と子供の体格差は如何ともしがたい。たたらを踏んだ涼鈴の胴を引き裂かんと、菫の鉤爪の一撃が走る。
「死ねよ」 
 そこへ、レクスが飛び込んできた。菫の鉤爪手甲を、妖刀で咄嗟に受け止める。刀の強力な呪詛が、レクスの体へと流れ込んできた。
「妖剣がうずく……僕に力を貸してくれるのか? たとえ邪悪の力だろうと、僕は使いこなして見せる!」
 菫を押し返そうと、レクスは剣を薙ぎ払う。菫はバックステップで距離をとると、両手で印を切った。すると時計回りに円を描き、無数の分身体が出現した。
「楽しくなってきたじゃあないか、ええ? 盛り上がっていこうぜ!?」
 現れた分身体は手に手に武器を構え、一斉に猟兵たちへ襲い掛かった。
「んー……お顔は悪くないんですが、少し言葉遣いが悪すぎますね。チェンジ。出直して下さい」
 ノインは得意の精密射撃で、分身体を率先して撃破していく。ノインの頭部モニターには、『30点』という表示が出た。100点満点で、という意味だろうか。
「あー、邪魔邪魔! ホンモノはどこよ!?」
 分身体を体当たりで吹き飛ばし、回し蹴りで薙ぎ払い、涼鈴は菫の本体を探す。分身体には胸に『壱』の字が刻まれているため、そうでない本体を特定するのは容易だ。
「なぁに、片っ端から斬ればいい! 一番強いのが本体だ!」
 電光石火の斬撃が走り、菫の首が宙高く舞った。紫音は『縮地』の歩法で一足飛びに戦場を駆け抜け、怒涛の勢いで菫の分身体を撫で切りにしていく。斬られた偽物は、血しぶきをあげるでもなく霞のように霧散していくのみだ。
「っ!」
 そのとき、紫音の背後から肩に乗るルビィへ手裏剣が投げつけられた。ルビィは反射的に聞こえた風切り音だけを頼りに、素早くダガーで手裏剣を叩き落した。
「見えた! あいつが、本体よ! ……逃がさないわ!」
 ルビィが指さした『本体』はすぐさま身を翻し、分身二人を相手取っていたノインへと向かう。懐から忍刀を抜き、無防備な背中を突き刺そうと背後に迫った。
「ノインっ!」
 レクスの叫びにノインが振り向いた刹那、菫の凶刃が彼の胸に深く突き刺さる――
「げっ!?」
 否。菫はノインの顔面のモニターに、映し出された、『ある映像』を見てしまった。思わず体が固まり、刺突の軌道が逸れてしまう。
 真っ暗な画面に井戸が映り、その井戸の中から黒い長髪で顔を隠した少女が這い出るように現れた。そして画面からその少女が実体となってずるぅりと這い出る。
「何だ、こいつはぁ!」
 画面から胸から上だけを覗かせた少女が、万力のような力で菫の首を絞めつける。菫が少女の腕を何度も刺突したことで、少女は力を失い消失した。
「少しだけでいい。それに恐怖を感じてくれたなら、『完全な脱力』はできまい」
 菫の変わり身の術の特性を見抜いたノインが繰り出した、秘策であった。
「その邪術、敗れたり……だ」
 そこへ、レクスのウィザードミサイルが矢継ぎ早に繰り出され、力を振り絞った涼鈴が走り寄る。
「ぶっ潰れろ!!」
「ちぃっ……!」
 ガードの上から、『灰燼拳』の剛打が勢いよく叩きつけられる。防御した鉤爪手甲が、衝撃に耐えられず叩き折られた。たまらず後退する菫。そこへさらに、ルビィと紫音の二人が迫る。
「この一撃に賭けるわ!」
「貴様を斬って、俺達はさらに高みへと登る。俺達の…勝ちだ!」
 すべての守りを捨てて繰り出された紫音の『参之太刀《雲耀》』。そしてルビィの神速の『sfz』が、クロスするように菫の体を深く切り裂いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

夜神・静流
時間をかけて斬り刻むなど未熟者のする事。私は殺せる時にしっかり仕留めましょう。
真の姿を解放。背中に純白の羽が生え、髪の色が黒→白に。

身代わりの術を打ち破るため、一ノ太刀・隼による攻撃を……二連続で放ちます。
見切り・怪力・早業・先制攻撃・フェイント・衝撃波・2回攻撃・破魔の技能を使用。
脇差【白夜】による左手の抜刀術で一撃目を放ち、続けざまに右手の【十六夜】による本命の二撃目を。
一撃目が防がれた場合は術を使った隙を見逃さずに二撃目で仕留める構え。

「我が剣は迅。一ノ太刀・隼二連」
「敵を前にしてなお、己の楽しみを重視する。その驕りが命取りです」


ミアズマ・フォルテ
SPD重視で行動

前回と同じく連携を前提に動く、孤立厳禁。
敵の側面か背面に回り込みつつ、他の味方とタイミングを合わせて攻撃
援護に徹し、勝利を急がず着実に追い込もう。

気を付けるべきは影分身、おまけに合体で強化が可能と。
厄介な技ではあるが事前にわかっていれば対抗策は用意できる。
サポートAIに分身体を片っ端からロックオンさせて「全力射撃」で撃ち抜く
対集団戦用UCだ、数で仕掛ける暇も合体する余裕も与えるつもりはない。


明神・竜聖
嗚呼、つまらない。
時間をかけて? ちまちまと?
嗚呼、くだらない。
興覚めですねぇ、まださっきの彼らの方が楽しかったですねぇ。
それとも、真っ向からやり合うのが怖いのですか?お嬢さん?(くすり)

恫喝交じりの誘惑と言いましょうか、それで彼女をこちらにおびき寄せましょう。
あまり遠距離から戦われては、退屈で仕方ないですし。
手裏剣を投げてきたら、見切りからの残像を見せて当たったように見せかけ、距離を詰めましょうか。

射程に入ったらグラップルで掴んだり踏みつけで足を抑え、怪力で逃がしません。
掴んだ状態から第六感で感知して、見切って、攻撃を捌いて、攻撃を叩き込みましょうか。
最後は、崩天で壊してあげましょう。


陰白・幽
さすが忍者、恐ろしいほど早いね……だからってボクたちが負けるわけにはいかないよ~
戦いに生きて、戦いに死ぬ……否定はしないけど、今を生きる皆を巻き込むなら……もう一度地獄にドボンして貰うよ~。

敵の動きは早いからね、思いっきり近づいて接近戦をしかけるよ~。
敵が距離をとろうとしたり、背後から攻撃をしてきたときはUCを使って防御や拘束を狙って、動きが止まったところを回し蹴りを狙っていくよ~。
分身をしてきた相手に囲まれそうになったりしたら離れた場所に鎖を出して、自分めがけて伸ばして、鎖を掴んだら鎖を引っ込めて一気に離脱するよ

「流石は忍者、噂通りの早さや業のキレだよ~。でも、ここが年貢の納め時だよ~」


テリブル・カトラリー
銃撃での範囲攻撃で分身をなぎ払い、
攻撃はスクラップフィストで武器受けと見切り併用。

何故戦いを楽しむのか、それを問うつもりはない。
だが、お前は一体何の為に戦うのか。

それ以外の生き方は選べないのか?
オブリビオンとて、いや一度死んだオブリビオンだからこそ、
己の身の振りかたくらいは選べるんじゃないか?

会話で隙を見せ、手裏剣をあえて右腕で受け負傷(激痛耐性で耐える)

続く鉤爪を左腕で迎撃、と見せかける。実際は左腕はフェイント。
右腕を大型ドリルに換装しこの腕で迎撃する。

まぁ、戦いを、虐殺が楽しいのなら、
それ以外をしようとは思わないのかもしれないが。

それにこの問答も別に大して意味のあるものではないがな。





「やるじゃねえか。こんな面白い殺し合いは久方ぶりだ」
 菫は折れた鉤爪を投げ捨て、換えの手甲を装着する。先ほど受けた傷口から、血が流れ出す。それは仮初めの命の証。戦って死ねば、また骸の海へと還り、また肉体を得て現世に戻って戦い、殺し、死ぬ。その繰り返しだ。だから、自分の命にも、他者の命にも、価値を見いだすことはない。
「時間をかけて斬り刻むなど未熟者のする事。私は、殺せる時にしっかり仕留めましょう」
 決着を付けるべく、静流は真の姿を解放する。艶やかな黒髪は反転したように真っ白に様変わりし、背中には同じく純白の翼が現れた。
 静流は幽や竜聖と連携を組んで、菫に攻撃を仕掛ける。力強く羽ばたいて急速に接近、先ほどよりも大幅に向上した機動性を活かして、立体的な動きで菫を襲う。小さな体で格闘する幽を支援すべく、菫の死角に回り込んで鉄礫と札を投擲。菫がそれを手裏剣で相殺したところに、十六夜で斬りかかる。
「流石は忍者、噂通りの早さや業のキレだよ~。でも、ここが年貢の納め時だよ~」
 菫が繰り出す連続蹴りを、幽は長い尾で捌き、鞭のように振るって応戦。体格差をカバーすべく、竜繰鋼糸と龍爪の鎖も駆使して立ち回る。
 そこへ、ミアズマとテリブルが援護射撃を撃ち込む。菫が回避していく方向に待っているのは、竜聖だ。
「禁術・影分身!」
 猟兵達の連携に追い込まれる菫は、再び分身体を生み出す。どうやら本体が受けた傷は、分身体にも反映されているようだ。
「嗚呼、つまらない。時間をかけて? ちまちまと? 嗚呼、くだらない」
 襲い来る分身体の攻撃を[天乃白川]で打ち払い、[白煌閃]で切り捨て、竜聖は辛辣な言葉を菫に投げかける。
「興覚めですねぇ、まださっきの彼らの方が楽しかったですねぇ。それとも、真っ向からやり合うのが怖いのですか? お嬢さん?」
「あぁん? 分かってねえな。念入りに、徹底的にやるってんだよ! 最近のサムライは武士道だの礼節だの、クソみたいに退屈なことばっかり抜かしやがる」
「そういう日和った奴らを見てるとな、イラついてぶっ潰したくなるんだよ!」
 菫の分身体が、口々に喚き立てながら攻撃を仕掛けてくる。それらを、テリブルはマシンガンの掃射とマグナムの早撃ちで的確に撃ち倒していく。
「何故戦いを楽しむのか、それを問うつもりはない。だが、お前は一体何の為に戦うのか」
 テリブルもまた、帝国によって造られ、長い間戦いの中に身を置いてきたウォーマシン。菫に対して何か思うところがあったのか、静かに語り掛ける。
「それ以外の生き方は選べないのか? オブリビオンとて、いや一度死んだオブリビオンだからこそ、己の身の振りかたくらいは選べるんじゃないか?」
「生も死も、過去も未来も、アタシにゃ関係ない。今こうして、オマエ達と戦っているだけで満足だね! お前だってそうなんだろう!?」
 何度銃で撃ち抜かれ、スクラップフィストで粉砕されてもなお、菫の分身は攻撃を止めることはない。厳めしい容姿だが本来は穏やかで戦いを好まないテリブルとは、埋められない決定的な隔たりがあった。
「まぁ、戦いを、虐殺が楽しいのなら、それ以外をしようとは思わないのかもしれないが……」
 二人の間を断絶させるように、ミアズマの矢が地面に突き刺さる。ミアズマはマシンベルトに収納していたサポートAIを武器に取り付け、戦場の分身体を片っ端からロックオンさせていく。
「対集団戦用ユーベルコードだ、数で仕掛ける暇も合体する余裕も与えるつもりはない!」
 ミアズマがトリガーを引いた瞬間、アサルトウェポンの光弾が一斉に全ターゲット目掛けて放たれた。急所を撃ち抜かれた分身体が、瞬く間に消滅していく。
「なに……!?」
 最後に残った菫の本体は、幽と格闘戦を繰り広げていた。一瞬にして分身体をすべて失い、さすがの菫も驚きを隠せない。
「敵を前にしてなお、己の楽しみを重視する。その驕りが命取りです!」
 再び一人になった菫に、静流が『一ノ太刀・隼』で素早く斬り込んだ。
「戦いに生きて、戦いに死ぬ……否定はしないけど、今を生きる皆を巻き込むなら……もう一度地獄にドボンして貰うよ~」
 静流が菫と斬り合っている間に幽は精神を集中させ、『永眠龍の封刻鎖』の詠唱を行う。
「我が眠り……汝を蝕め」
 ユーベルコードの詠唱が完成すると、虚空からオーラの鎖が何本も飛び出した。菫は咄嗟の判断で短い跳躍を繰り返し、回避を試みる。
「ははっ、変わった術だなおい? 他にもまだあるんだろ、見せてみろ!」
 鎖を操る間足を止めている幽を庇って、テリブルが前へ進み出た。投げつけられた手裏剣を、テリブルは敢えて右腕で受けた。傷口から、黒い機械油が勢いよく飛び散った。
「くっ……」
 痛みという信号を遮断し、テリブルはガードに徹する。そこへ、『流血乱舞』二撃目を叩き込むべく、菫が民家の壁を蹴った勢いでテリブルへと飛びかかった。その鉤爪を迎撃しようと、テリブルは左拳を固めて真っ直ぐに突き出した。
「止まれば、死だ。貰ったぞデカブツ!」
 スピードでは、菫に分がある。だが、攻撃の瞬間に菫の脚に何かが絡みついた。
「!?」
 それは、幽が操るオーラの鎖。ほんのコンマ数秒、菫の意識が途切れる。それにより菫は脚を縺れさせ、間合いを見誤ってしまった。振り下ろされた鉤爪はテリブルの左腕装甲を削り取っただけに留まる。
「クソッ、急に眩暈が……!」
「残念だったな。左は囮だ」
 テリブルの傷ついた右腕が、大型ドリルへと換装された。単純ながら重い、『戦争腕・穿孔螺旋拳(ドリルアーム)』が炸裂。腹部を貫かれ、菫の体が大きく打ち上げられる。テリブルの一撃は、周囲の大地までも粉々に抉り取った。
「がはッ……!」
 鮮血の霧雨が猟兵達に降りかかる。竜聖はひらりと舞い、その血を避けながら菫へ追撃をかける。
「もう、いいでしょう……。これで壊してあげます」
 ゼロ距離から放たれた寸勁『崩天』が、菫の体に凄まじい衝撃を叩き込む。大きく吹き飛ばされた先にいたのは、静流だ。
「テ……メェ……」
 強力な二発を受け、大きくバランスを崩した菫に、静流の『一ノ太刀・隼』が繰り出される。左手に握った脇差[白夜]による超速の抜刀技だ。
 これ以上の被弾が許されない菫は、身代わりの術で切り抜けようとする。だが、真の力を解放した今の静流の攻撃を見切ることは、誰にもできなかった。
 それは、単なる技量の問題ではない。静流の体を突き動かしたのは揺るがぬ信念であり、決死の覚悟であり、迸る気魄でもあった。それらが極限の速さをもたらし、[十六夜]による本命の二撃目が繰り出された。
「我が剣は迅。一ノ太刀・隼二連!」
 静流が納刀し、数瞬の間を置いて逆袈裟の太刀筋が描かれる。噴き出した大量の返り血が、静流の衣服と翼を朱に染め上げた。
「そう……だ、この……痛みが、さいごの……きおく」
 地に両膝を突いた菫の体が、青白い炎に包まれる。炎は一瞬にして傷口から全身に燃え広がり、菫の肉体はみるみるうちに灰へと変わり崩れ去った。
「魔を討ち滅ぼすのが私の使命。人に仇なす存在は……すべて滅する」
 力を使い切った静流の体は、やがて元の姿へと戻っていく。菫を討ち果たした彼女の元に、仲間達が集まってきた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『お祭りのお手伝い!』

POW   :    全力で楽しむ!

SPD   :    お手伝い開始!

WIZ   :    屋台を出すよ!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。




 激しい戦いは終わり、町の危機は去った。猟兵とオブリビオンの戦闘で多少破壊活動が発生したものの、祭の開催には問題のないレベルといえるだろう。
 猟兵達の元に、避難していた人々が次々にやってきた。老若男女が押し合いへし合い、大騒ぎである。皆、命を懸けてオブリビオンと戦った猟兵たちに感謝の気持ちを表し、その活躍に称賛を惜しまない。
「さぁ、祭りだ祭りだ! 猟兵さん、あんたらも楽しんでってくれ!」
「酒だ、飯だ~!」
 ここは、せっかくの人々の好意に甘えていくとしよう。何せ、さっきから美味しそうな料理の匂いが漂っていて空腹の身には堪らないのだ。まずは、戦いで傷ついた体を治療し、一休みしてから身支度を整えることにしよう。
ルビィ・リオネッタ
相棒でもあり恋人の紫音とお祭りを楽しむわ

この世界はシオンの故郷
ここでシオンは育ってきたのよね…と思うと何でも知りたくなるわ

「着物…?時々シオンが着てる服よね。着てみたいわ!」
すごく綺麗…アタシが花が好きなの、覚えていてくれたのかしら
「ど、どう?」
シオンの前でくるっと回ってみる
色っぽい…そ、そうかな(照れている)

・食べ歩き
「あれは何?シオン」
シオンの肩に乗ってお祭りを楽しむわ
「甘酒……ん、体が温まるわ。シオンは何を飲んでるの?」

アタシが沢山食べられないから、いつも料理は分けあってるのよね
「ありがと。いただきます」
手を合わせて言うのは、シオンに教わったわ

「賑やかで平和で…いい世界ね。シオン」


六道・紫音
相棒にして恋人のルビィと祭りを楽しむ

俺は着ている着流しそのまま、ルビィにはレンタルで紅に白牡丹の着物をチョイス。
「ふふ、着物姿も似合っている…色っぽいぞ、ルビィ」

・屋台食べ歩き
自分には日本酒、ルビィには甘酒を買って、ルビィを肩に乗せ飲みながら食べ歩きを始める。
「この甘酒というのはお酒ではないんだ、甘くて美味しいからきっと気にいるぞ?」
「俺はお酒だ、ルビィはまだ飲めないだろ?」
サムライエンパイアの祭りには不慣れなルビィにお勧めを案内していこう。
「買うのは一つにしような、ほら…先に食べていいぞ」
ルビィと分け合い食べていく、俺達はいつもそうしているのだ。

「俺の故郷、ルビィも気に入ってくれて嬉しいよ」





 猟兵たちとオブリビオンの激闘が終結し、宿場町は元の平穏と活気を取り戻した。町のあちこちから聞こえてくるのは、人々の歓声や軽快な祭囃子。賑やかな通りを、紫音とルビィが散策していた。
「ふぅん、この世界がシオンの故郷なのね。ここでシオンは育ってきたのよね……そう思うと、何でも知りたくなるわ!」
 紫音の左肩に留まったルビィは、町のあちらこちらをキョロキョロと眺めている。目に映る全てのモノが、彼女には新鮮に感じられる。あれは何? と獅子舞を指すルビィに、紫音はあれは祝い事の時に出てくる着ぐるみだ、と丁寧に説明した。
 紫音は普段着の着流し姿。ルビィは借り物の、紅に白牡丹の着物を纏っている。

 時間は、少し遡る。二人で町の中をデートすることに決まり、何を着ていこうかとルビィは悩んでいた。そこで、紫音は着物を着てみてはどうかと提案したのだ。
「着物……?時々シオンが着てる服よね。着てみたいわ!」
 そういうことならと二人で呉服屋を訪れ、ルビィが気に入った花の模様の着物を借りることにした。
「すごく綺麗…アタシが花が好きなの、覚えていてくれたのかしら」
「ああ、勿論だ」
 着物に着替えたルビィは、シオンの前でくるっと回ってみせる。
「ど、どう?」
「ふふ、着物姿も似合っている……色っぽいぞ、ルビィ」
 普段とはまた違う、艶やかな装いの恋人を見て、紫音の気持ちも自然と高鳴る。
「色っぽい……そ、そうかな」
 紫音に率直に褒められ、ルビィは嬉しさと気恥ずかしさにすっかり照れてしまったのだった。

 それから二人は屋台を回り、食べ歩きを楽しんでいた。紫音は鮎の塩焼きを齧りながら、酒をちびりちびりと味わう。その様子を羨ましがったルビィに、紫音は甘酒を買ってあげた。
「この甘酒というのはお酒ではないんだ、甘くて美味しいからきっと気にいるぞ?」
 ルビィは生姜の風味が効いた温かい甘酒を、ゆっくりと味わう。
「甘酒……ん、体が温まるわ。シオンは何を飲んでるの?」
「俺はお酒だ、ルビィはまだ飲めないだろ?」
 いつか紫音と二人で、お酒を飲める日が来たらいいな。ルビィは、そんな幸せな未来を密かに期待していた。

 その後二人で茶屋に入り、紫音は握り飯を買った。ルビィは沢山食べられないので、食べ物はいつも二人で分け合っている。竹の皮の包みを開くと、うまそうな握り飯と漬物が入っていた。
「ほら……先に食べていいぞ」
「ありがと。いただきます」
 手を合わせて、食事の前の挨拶。これも、紫音から教わった作法だ。
「賑やかで平和で……いい世界ね。シオン。ねぇ、この後もシオンのおすすめの場所に連れていってね?」
「ああ。俺の故郷、ルビィも気に入ってくれて嬉しいよ」
 目を輝かせ、美味しそうに食事を堪能するルビィに、紫音は顔を綻ばせた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

テリブル・カトラリー
祭りか…いや、私は祭りの準備とか、何かの手伝いをさせてもらおう。

戦闘中の事とはいえ、爆破や地形破壊等、色々やってしまったしなぁ…
どうか、手伝わせてほしい。その方が私も気が楽だ。
売り子等はあまり自信はないが、
力仕事でよければ幾らでもまかせてほしい。

右腕はドリルから再度、荷運びや普通の手として動かせる腕に換装。
怪力も使用して荷運びや屋台立て等をして祭りを過ごす。
元の腕は戦いで少し負傷してしまったしな。
こちらの腕の方が使いやすい。


劉・涼鈴
おまつりだー!
サムライエンパイアのおまつりははじめてっ!
キマイラフューチャーは毎日がおまつりさわぎだけど、こーいうのもいいね!

お団子食べてー、お汁粉飲んでー
天ぷら? そんなのもあるんだ。盛り合わせってヤツちょーだい!
わ、お寿司も売ってる! タマゴちょーだい!
両手いっぱい口いっぱいに食べ物!
あっちでなんか踊りやってるー、あとで見に行こーっと
ふふー、やっぱりおまつりは楽しーね!


レクス・マグヌス
【心情】
『邪忍軍』、恐ろしい相手でした
村を守れて本当に良かった

【行動】
全力で楽しむ!
体力に自信が無いのが考え物だけど、せっかくの勝利だもの

屋台周りをして色んなものを食べる

サムライ・エンパイアにはには色んな料理があるんだなあ
串焼きに砂糖菓子、こういうものは中々食べる機会が無かったから素直に楽しいな

そして、こういう平和な時間をオブリビオンは壊していく
だったら、僕は戦おう
この小さな平和を続けることが出来る
そんな世界を作るために


ひとしきり、祭りを楽しんだ後、ひそかに村を去る
ただ、その胸の中にはさわやかな一陣の風が吹いていた


陰白・幽
よ~し、やるべき事もやったし、楽しく過ごさせてもらうよ~。
先ずはね町を歩き回ってお祭りがどんな様子なのかを確かめていくよ~……あ、美味しそうな物があったらどんどん食べていこ~っと。

「わ~、これ美味しそう、ひと……やっぱりみっつください」
といった感じでパクパク食べて、たくさん買ってお祭りを楽しんでいくよ~。

あと、人が集まってる楽しそうな所があったら見てみたいな。
……あれは…見たことあるような顔……かな?

町を回ったりするときに、船長がいたら声をかけて一緒に回るか買い物に誘おうかな。
一緒に回れたら船長に何か食べ物を買って貰おう作戦だよ。
ねえねえ、船長~、これ美味しそうだね……(じ~っと見る)


ノイン・フィーバー
SPD:祭りの手伝いとして、マジックショーを!
心情:いいですね祭り! こういう場で皆様を笑わせるのが私の見せ場ですよぉ!
行動:
「では改めて、ヒロイン・オブ・ザ・ホラー!」
顔の画面から黒髪で顔を隠した少女をにゅーっと出現させる
今回はバニー風燕尾服を纏っており、マジックの助手である

短刀でジャグリングしながら、気付けばジャグリングしているものがお菓子に変わっており、見に来た方々に振舞う
さぁ、ガーネットサンもどうぞ。りんご飴でもどうデスか?

尚、脇腹には浅くない傷痕が残っているが、当人は痛みを感じないかのように振舞い続けるだろう
気づいた者には、そっと人差し指を口元へと添えて黙っておくようにアイコンタクト


明神・竜聖
嗚呼、戦いが終わってしまいましたね……。

さぁ、これよりは平穏の時、ハレの日。
これもまた、楽しまねば損損♪

【POW】

お料理にお酒、サムライエンパイアの世界の料理は、まだ見ぬものがあまりに多い。
料理を食べてはその味に舌鼓を打ち、調理法を学びましょう。
酒を飲んではその味に感銘を受け、種類が豊富なら次々と楽しみましょう。
足りないのなら、僕のお酒もおすそ分けしましょう。

華が必要なら、舞い躍りましょうか。
普段の戦いでの舞は潜めて、華やかに目を楽しませる舞を演じましょう。


ミアズマ・フォルテ
適当に祭りを回って見物しつつ、道場や任侠の人たちを探して改めて協力への感謝を述べて頭を下げておこう。
この世界では仁義と呼ぶのだったか、事件が終わった後になるが筋を通しておくのは大事だ。
後は迷子になった子供の親を探したりとか
望む者がいれば猟兵としてどんな活動をしてきたか
話しても問題ない範囲で語って聞かせるのもいいかもしれない。
そうだな、例えばとある国の羅刹のお姫様の話だが……(以下略)





 町のあちらこちらから、木槌で釘を打つ音や、鋸で木材を切る音が聞こえてくる。祭りの日は商売人だけでなく、大工をはじめとする職人たちも大忙しだ。
 テリブルが通りの一角を通りがかると、丁度大工たちが屋台の設営を行っているところだった。先ほどのテリブルの活躍を聞いた大工だちが、テリブルを見上げながら彼女を讃える。
「姐さん、すげえなあ! あの恐ろしい忍者どもを、ばたばたなぎ倒しちまった。まるで仁王様だ」
 テリブルはどこか、ばつが悪そうに頭を掻いた。
「いや、戦闘中の事とはいえ、爆破や地形破壊等、色々やってしまったしなぁ……」
 ウォーマシンであるテリブルは、火器やマシンアームを用いた豪快な戦いが得意だ。そのため上手く力加減が出来ず、派手に周囲を破壊してしまうことも多々ある。
「せっかく祭りの準備をしていたのに、申し訳ない。私でよかったら、どうか皆の仕事を手伝わせてほしい」
「いやいや、とんでもねえ。戦いの後なんだ、姐さんはゆっくり骨を休めてくだせえ」
 テリブルの意外な申し出に棟梁は驚き、丁重に断ろうとした。町の危機を救ってくれた恩人に仕事を頼むなんて、申し訳ない。
「いや、いいんだ。その方が私も気が楽だ。売り子等はあまり自信はないが、力仕事でよければ幾らでも任せてほしい」
 大工たちはそういうことなら……と顔を見合わせ、テリブルに木材の運搬を手伝ってもらうことにした。テリブルは任せてくれ、と笑顔で応える。
 テリブルは戦闘用のアームから、荷運びや普通の手として動かせる腕へと換装した。自慢の怪力で、両肩に長い木材を担いで軽々と運んでいく。
 そうしてテリブルは出店の屋台や、舞い踊りに使う櫓の設営を手伝い、仕事の後には大工たちと談笑して有意義な時間を過ごした。

 涼鈴は祭りで賑わう町の中を、くまなく歩きまわっている。キマイラフューチャー出身の涼鈴は、初めてのサムライエンパイアに興味津々だ。
「おまつりだー! サムライエンパイアのおまつりははじめてっ! キマイラフューチャーは毎日がおまつりさわぎだけど、こーいうのもいいね!」
 笛と小太鼓が奏でる軽快な祭囃子が聞こえてきて、自然とテンションが上がってくる。しかし、先ほどの戦いで張り切り過ぎたためか、お腹がペコペコだ。まずは屋台で何を食べようかと、涼鈴はあちこちの屋台を回ることにした。
「次はどこへ行こうかな~?」
 十数分後、涼鈴は満面の笑みで両手に沢山の食べ物を抱えていた。握り飯、飴、干し柿、焼き魚、紅白餅、他色々……。買っては食べ、歩きながら気になったものを買っていく。
「お団子と、お汁粉くださーい!」
 茶店に入って注文したのは、黄な粉団子と粒あんがたっぷり入ったお汁粉。
「天ぷら? そんなのもあるんだ。盛り合わせってヤツちょーだい!」
 エビやイカ、芋や茄子といった様々な具材を揚げた天ぷらもいただく。油でカラッと揚げたサクサクの食感は、キマイラフューチャーではなかなか味わえない貴重なものだ。
「わ、お寿司も売ってる! タマゴちょーだい!」
 天ぷらに続いて寿司も、サムライエンパイアを代表する料理だ。涼鈴は、ふんわり焼き上げただし巻き玉子の握りが気に入ったようだ。
「あっちでなんか踊りやってるー、あとで見に行こーっと。ふふー、やっぱりおまつりは楽しーね!」
 サムライエンパイアのグルメを存分に堪能し、戦いで消費したエネルギーを補給した涼鈴。食事をしながら色々な店の人とお喋りを楽しみ、涼鈴はこの世界がますます好きになった。

「邪忍軍、恐ろしい相手でした……。しかし、町を守れて本当に良かった」
 レクスは戦いを終え、ひと時の解放感を楽しんでいた。体力には自信がないのが考え物だが、折角のお祭りなのだから全力で楽しみたいところだ。
「サムライエンパイアには、いろんな料理があるんだなぁ……」
 まずは空腹を満たすため、食べ物の屋台を回る。そのどれもが、レクスのいた世界にはない製法で作られており、すべてが新鮮に映る。
 串焼きと言っても種類が豊富で、中でもレクスが気に入ったのはウナギのかば焼きと、味噌田楽だ。味噌やたれの風味が、素材本来の味を一層に引き立ててくれる。
「これは、何ですか?」
 レクスは菓子屋の前で足を止め、宝石のようにカラフルな小さな砂糖菓子に興味を示した。
「これは、金平糖だよ。ほれ、どうぞ一粒」
「……うん、おいしい。見た目も綺麗だし、一袋貰おうかな」
 串焼きも甘い菓子も、なかなか食べる機会が無かったので、今は素直に楽しい気分だ。
 一通り祭りを楽しんだ後。レクスは縁台に腰かけ、静かにうどんを啜っていた。
「やはり、平和とはいいものだな。そして、こういう平和な時間をオブリビオンは壊していく……」
 だったら、僕は戦おう。この小さな平和を保ち続けられる、そんな世界を作るために。
「ごちそうさま。美味しかったです」
 うどん屋の親父にお代を払い、レクスは一人静かに町を去っていく。ただ、その胸の中にはさわやかな一陣の風が吹いていた。

 ひと仕事を終えた幽は、足取りも軽く剣術道場を後にした。民間人の犠牲も出さず、安全に作戦を終えられたのも、避難活動に従事した幽の活躍あってこそだ。
「よ~し、やるべき事もやったし、楽しく過ごさせてもらうよ~」
 何か面白いものはないかと、町中をくまなく散策する。もちろん、美味しそうなものが売っていたら、見逃すはずもない。香ばしい匂いにつられて匂いの元を辿っていくと、茶店で年増の女が煎餅を焼いていた。
「わ~、これ美味しそう、ひと……やっぱりみっつください」
 塩をまぶしただけのシンプルなものや、たれを塗って海苔を巻いたものなど、煎餅は実にバラエティ豊かだ。
 幽が縁台で煎餅をかじっていると、見知った顔が歩いてくるのが見えた。
「おや、あれは……船長かな? ガーネット船長~」
 赤い髪に和装の女性は、グリモア猟兵のガーネットだった。ガーネットは幽の姿を確認すると、軽く手を上げて挨拶をする。
「やあ、幽か。今日もお疲れ様、祭りは楽しんでいるか?」
「うん。船長、よかったらボクと一緒に見て回らない? あっちで、踊りの大会があるんだって」
 町の広場に櫓が組まれ、腕自慢の踊り手が集まって得意の舞を披露するのだという。
「踊りか……楽しそうだな。行ってみようか」
「じゃあ、決まりだね。それとさ、一緒に食べ物も買っていっていいかなぁ? ねえねえ、船長~、これ美味しそうだね……」
 幽が指さしたのは、店の自慢のみたらし団子だった。
「やれやれ。幽は本当に甘いものが好きだな」
 袖を掴まれたガーネットは懐から貨幣を取り出し、幽と自分の団子を注文するのだった。

 ヒーローマスクのノインは、人々の注目の的だった。もともと目立つのが大好きな彼は、ここぞとばかりに人を集め、パフォーマンスを披露する。
「いいですね祭り! こういう場で皆様を笑わせるのが私の見せ場ですよぉ!」
「いよっ、待ってましたぁ!」
 群衆から、威勢のいい合いの手が入れられる。ノインはとっておきのを見せようと、ユーベルコードを発動させた。
「では改めて、ヒロイン・オブ・ザ・ホラー!」
 マスクのテレビ型モニターから、長い黒髪で顔を隠した少女がにゅうっと現れた。ただ、今回は先ほどの戦闘と演出が異なる。今回の彼女はバニー風燕尾服を纏っており、マジックの助手を務めるのだ。ノインに影のようににじり寄った少女が、短刀を手渡した。
「ではみなさん、今から十数えてください! その間に、この短刀がステキなものに変わりますよー!」
 ノインは複数の短刀を操り、華麗なジャグリングを始める。すると観衆は大きな声でひとつ、ふたつと数え始めた。
「ななつ、やっつ……!」
 気づいてみればジャグリングしている短刀は、お菓子を詰めた袋に変わっているではないか。ノインと少女が観衆にその袋を投擲すると、あちこちで歓声が沸き上がった。
「盛況だったじゃないか」
 帰り支度を整えていたノインのところへ、ガーネットが声をかけてきた。
「さぁ、ガーネットサンもどうぞ。りんご飴でもどうデスか?」
「なら、ひとつ貰おうか」
 二人がしばらく今回の作戦について語り合っていると、小さな子供達が駆け寄ってきた。
「あー、手品のおっちゃん!」
「手品ー! お菓子ー!」
 どうやら、子供達のハートをガッチリ掴んだらしい。
「ハイハイ。ではもう一仕事しましょうねぇ」
 子供達を相手に、手品の準備を始めるノイン。するとガーネットは、彼の脇腹の刀傷から血が滲んでいるのに気付いた。おそらく、当人は痛みを感じないかのように振舞い続けるだろう。
「おい、ノイン」
 ガーネットが声をかけた意図を、ノインも察したのだろう。振り返り、そっと人差し指を口元にあてるような仕草を返した。
「……仕方ないな。後で治療するから、早めに戻って来いよ?」
 人前では痛みや苦しみを見せず、皆を楽しませることに徹する。つまるところ、彼は真のエンターテイナーなのだろう。

 ミアズマが祭りで賑わう通りを散策していると、前から厳つい男たちがやって来た。この町を仕切る任侠の親分と、その子分たちだ。彼らはミアズマの姿を確認すると、足早に近づいてきた。
「これは、猟兵の姉さんじゃありやせんか。いかがです、この町の祭りは賑やかなもんでしょう?」
「そうだな、屋台で色々なものが売っているし、見ていて飽きない。楽しんでるよ」
 そう言って、ミアズマはにこやかにほほ笑んだ。金髪に青い瞳の彼女の笑顔に、強面の男達も思わず顔をほころばせる。
「姉さん、今回は町を守っていただいて本当にありがとうございやした。あっしらでも太刀打ちできねえ奴らを相手に、お見事な戦いぶりでした」
 親分以下、任侠たちがミアズマに深く頭を下げる。誇り高い彼らがこうして頭を下げるのは、よほどのことだ。
「こちらこそ。皆の避難に率先して協力してくれて、感謝している。あなた達のおかげで、安心して戦うことができた。私の方こそ、ありがとう」
 感謝の気持ちを忘れず、筋を通す。この世界では仁義と呼ぶのだったか、事件が終わった後になるが筋を通しておくのは大事だとミアズマは思った。
 その後は剣術道場を訪ね、そこの師範と面会。稽古に励んでいた門下生たちが、礼儀正しく出迎えた。彼らは皆この町で生まれ育った若者で、まだ歳の頃十六、七の者が多数だ。
「この中から、未来の猟兵が誕生するかもしれないな」
「ええ、そうなるのを私も願っております。彼らには、世のため人のために剣を振るう剣士になってほしい」
 師範の男性はかなりの高齢だったが、背筋のシャキッとした壮健な人物だった。
 ミアズマはしばらく稽古の様子を見学した後、門下生たちと交流して過ごした。若き剣士たちに、ミアズマは自身の猟兵としての戦いの経験を語って聞かせた。
「そうだな、例えばとある国の羅刹のお姫様の話だが……」
 様々な世界を旅するミアズマの話は、門下生たちにとって大変興味深いものだった。彼らがミアズマの後に続く世界の護り手になってくれるのなら、それは彼女にとっても本望だった。

「嗚呼、戦いが終わってしまいましたね……」
 竜聖はもう少し戦いの余韻に浸ってもいたかったが、ここからは平穏の時、ハレの日だ。サムライエンパイアには、美味い酒と料理がある。楽しまなければ損というものだ。
 とある料理屋の前を通りがかり、竜聖は暖簾をくぐった。店の親父と看板娘が、愛想よく出迎える。
「では、何かお勧めのものを頂きましょうか」
 ひとまず穴子の白焼き、野菜の天ぷら、芋とこんにゃくのうま煮、蛤のお吸い物といった品を注文。もちろん、一緒に酒を付ける。どの料理も、素晴らしく美味かった。料理好きで食通の竜聖は、上機嫌で店の親父に味付けのコツなど、調理法を教わってみた。
 上質の酒と料理を味わい、竜聖がすっかり満足して店から出ると、何やら町の広場に人だかりができ、大いに盛り上がっていた。
「そういえば、踊りや芝居の見世物をやるとか言ってましたねぇ。他所から歌舞伎役者まで来るとか」
 好奇心を抑えきれず、竜聖は人波を掻きわけて櫓へと向かう。天女のごとく見目麗しい青年の登場に、人々がざわめき、女たちは黄色い歓声をあげた。
「華が必要なら、舞い躍りましょうか。飛び入り参加、許してくれますよね?」
 今や、猟兵たちは町の注目の的だ。竜聖の登場に、会場は熱狂の渦に包まれた。
「普段は戦いの舞を舞うのですが、今日はめでたい祭りの日。皆様が健やかな一年を過ごせますように、そして春が早く訪れますように。華やかに目を楽しませる舞を演じましょう」
 三味線と笛の音色、太鼓の拍子に合わせて、竜聖は得意の舞を披露する。それはまるで、舞台の上に春が訪れたかのような、柔らかで優しい舞だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月29日


挿絵イラスト