帝竜戦役㉙〜竜者必滅を成す~
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「遂にアックス&ウィザーズの世界を救う時が来たようじゃな」
眼鏡をかけた付け髭……ケーシー・ヒゲヨシ(付け髭ヒーローマスク・f00695)がふよふよと浮遊しながら語り始める。
「オブリビオン・フォーミュラ『帝竜ヴァルギリオス』を守る呪力結界は皆の奮闘で遂に立ち消えた!さぁラスボス戦じゃ!」
向かうは四方を呪力高山に囲まれた世界樹イルミンスールのその内部。
立ちはだかるは、世界最強・オブリビオンフォーミュラ『帝竜ヴァルギリオス』!
炎・水・土・氷・雷・光・闇・毒の八属性を自在に操り、かつての勇者達と相討ちとなった群竜大陸の主。
復活を果たしたこの竜の目的は人類滅亡。
「故に、必ず倒さねばならぬ相手じゃ!」
勝負は真っ向勝負!
オブリビオン・フォーミュラ『帝竜ヴァルギリオス』は【必ず猟兵よりも先に攻撃をしてくる】。
これは防御の術や補助の術等でも同じだ。何の対策もないとユーベルコードの発動前に攻撃を受けてしまいかねない。
また猟兵が来る事を待ち構えているヴァルギリオスに対して奇襲や狙撃等と言った事をしようとしても対策なしでは気取られ先制でユーベルコードを使われてしまうだろうし、ユーベルコードと奇跡の力を持っていかなくては対抗するのは難しい。さらに複数のユーベルコードを使用する隙もないだろう。
【如何に防御し、反撃するかが重要】となる。
「じゃが、こちらにも利点はある。……わしらグリモア猟兵の予知じゃ」
敵はこちらのユーベルコードを知らないが、こちらは敵の使うユーベルコードの詳細を把握している。
特に先制攻撃の際に際に使用してくるのは猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードのようだ。
「最後の決戦じゃ。皆、気を引き締めて向かって欲しい。わしも悲劇はみたくないからのぅ。よろしく頼むぞい、イェーガー!」
そしてケーシーはヒゲをひらひらさせて猟兵達を送り出すのだった。
ナイン高橋
ナイン高橋です。
実はオブリビオン・フォーミュラ戦は初めてです。
『帝竜ヴァルギリオス』は、【必ず先制攻撃してきます】!
工夫がない限りは、防御の術や事前のユーベルコード発動なんかも間に合いません。
奇襲や狙撃も同様です。
無くても先制攻撃で一発KOとまではいきませんが、先に攻撃を許すとかなり戦況が悪くなるのは間違いありません。
【どう防ぎ、どう反撃するか】が重要となります。
またある程度人数が揃ったら書き始める予定ですので早めに締め切る可能性があります。
ご了承ください。
それではご参加お待ちしております。
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「帝竜戦役」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 ボス戦
『帝竜ヴァルギリオス』
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POW : スペクトラル・ウォール
【毒+水+闇の『触れた者を毒にするバリア』】【炎+雷+光の『攻撃を反射し燃やすバリア』】【氷+土の『触れた者を凍結するバリア』】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : 完全帝竜体
【炎と水と雷の尾】【土と氷と毒の鱗】【光と闇の翼】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ : ヴァルギリオス・ブレス
【8本の首】を向けた対象に、【炎水土氷雷光闇毒の全属性ブレス】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:hina
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ナハト・ダァト
サテ、君ノ弱点
こノ叡智デ、証明しようカ
対策
先手の毒、水、闇のバリアを庇う形で受け止める
その後、タールの液体純度を水に合わせてバリアの内に溶け込み
闇属性は闇に紛れる技能で自身の力へ
毒に対しては、ドーピング、限界突破、継戦能力を使いながら
世界知識、情報収集、医術、早業で抗体を作って相殺
「トラップツールⅡ」、武器改造でバリアを体に馴染ませたら
敵を盾にする、シールドバッシュ技能でその他のバリアの相殺に掛かる
炎、雷、光のバリアへ2番目にぶつかり
尚燃える体を、氷と土のバリアへぶつける
相殺後、弱点を実証した事でユーベルコード発動
君ノ弱点ハ
互いヲ殺し合ウ事ダ
まるデ蠱毒…いヤ、孤独だネ
レフティ・リトルキャット
※詠唱省略やアドリブOK
※UC裏条件:猫竜は中二病ロールしないと協力してくれません。
対策対策…くっ、おのれ帝竜ヴァルギリオス…!(裏条件的に八つ当たり)
呪いで子猫に変身。黒炎のオーラ防御を纏い武器にして盾たる肉球で小手先の単属性ブレスを受け流し、全力でくるがいいとばかりに中二病ロールするにゃあ。
中二病ハイテンションで己を鼓舞しつつ限界突破!髭感知で動きを見切り、全ての首がブレスを放つタイミングに併せて、大音量のヘヴィなミュージックエナジーで重量攻撃しブレスの暴発や混乱を狙うにゃん。
暴発や混乱の隙に左手に宿る呪いの根源【黒炎猫竜】を解放し、炎であって炎にあらず所謂中二病属性の黒炎猫竜で攻撃にゃ。
シズホ・トヒソズマ
マジェスの放射した風で周囲の物を吹き飛ばし敵の全身に当て、その様子でどこにどの種類のバリアがあるか見極めます
物が凍れば氷、反射されて焦げれば燃、何も無ければ毒
先制攻撃なら恐らくバリアを当ててくる
氷盾には王劾で召喚した全炎獣の◆焼却による凍結封じで防御
毒盾にはデザイアキメラの◆オーラ防御で毒封じ
燃盾はマジェスの喰盾で燃えないよう防御に徹しつつ◆生命力吸収
反撃
氷盾は残った炎獣を風で強化しつつ高熱剣を持つマジェスで破壊
燃盾はガオにバリアのエネルギーを◆補食させ攻撃せずに消去
毒盾はUCで零距離にワープさせた宇宙船をぶつけ毒を受けず破壊
マジェスの熱喰剣、ガオが放出した補食エネルギー、船の先端で本体に攻撃
緋月・透乃
こいつが最強と噂のヴァルギリオスかー。強そうで良いね!
色々乗り越えてやっと戦えるんだから、存分に楽しみたいね!
流石に最強だけあって弱点はよくわからないね。それなら自分の得意な怪力で勝負するよ!
武器は重戦斧【緋月】を使うよ。
敵はバリアを纏ってこっちを殴ってくるのかな。
それならジャンプしてバリアに攻撃。すると反射効果と空中で踏ん張れないが重なって吹き飛ばされるからダメージはあんまりないはず。攻撃はこれでしのぐよ。
こっちの反撃はさっきとはかわって真っ直ぐ突っ込みバリアへ思いっきり武器を叩きつけ、反射や冷たさ等に気合いで耐えつつ怪力で押し込み続けてバリアをこじ開ける!そして緋迅滅墜衝をぶっぱなそう!
緋神・美麗
絡み・アドリブ歓迎
やっと親玉迄辿り着いたわね。ラストだけにやたら面倒そうだけど勝って戦争を終わらせるわよ。
その自慢のチートバリア、堂々うち破って見せるわよ!
スペクトラル・ウォールにオーラ防御を全力で張ったシールドビットを突っ込ませてバリアと干渉させ、バリアに穴が開いた瞬間を狙ってシールドビットを砲弾代わりに用いて、持ちうる全技能を活用して最大限に強化した超巨大電磁砲で一気に撃ち出す
「これが今の私の全力よ!」
戦場外院・晶
なるほど……つまり挑めということですね、ヴァルギリオス・ブレスに!真正面から!
「戦場外院・晶と申します……よしなに」
我が祈りは顕現し、物理的オーラとなりてこの身を助く
いざ、息吹の最中……守りを固めようとも、焼かれ、砕かれる
耐えては回復し、凌いでは回復し……まさに苦行
超重力の回廊を抜けた根性で足を踏み出し
「……そこです」
骨の平原で磨いた隙を縫う技巧をもって
【手をつなぐ】
帝竜であれ手があるならば……
「捕まえました……せい!」
投げる
肉、骨、そして関節を備えた肉体を相手にするのは得意です
我が怪力に彼自身の力を利用してグラップルで崩して
「……破ぁ!」
拳を叩きつけ、破魔の力を全て、そこで炸裂させる……成敗
桂・真白
【魔少女の生贄】
ふっ、この情欲の堕天使たるボクに相応しい相手だ。
ふむ、攻撃を反射するバリアか。だが、ボクの魔眼の前には無意味!如何に強固な守りで有ろうとその内側(鎧無視攻撃)にボクの魔眼は作用するのだからな!(『時の蜘蛛糸』の眼帯を外し封印を解く)。さぁ、喰らうがいい、運命を操りし時さえ凍えるボクの魔眼を!(視力/時空属性攻撃/操縦)
な、なにぃ!バカなこれ程の力の差があるというのか!うわー!(咄嗟にオーラ防御で直撃は避けるも余波だけで満身創痍)
くっ、まだだ、ここで倒れるわけにはいかぬ!(魂が肉体を凌駕(気合い/限界突破/継戦能力)して立ち上がる)
UDC達よ力を貸してくれ!
ジャスティスペイン起動
アリス・セカンドカラー
【魔少女の生贄】
先ずは擬態を解きUDC貴腐神としての本性を顕す(封印を解く)
真白ちゃんのジャスティスペインをハッキングしてその召喚に応じてどこぞの不死鳥座が乙女座を助けにくるような感じで登場。大丈夫、召喚の項目があるんだからルールからは逸脱していない。そして、【真白ちゃんのUCとして活動することで真白ちゃんの反撃扱いになること】が先制攻撃対策である。
さぁ、真白ちゃん。リンクして限界突破しリミッター解除した鎧砕きの鎧無視攻撃の魔眼でバリアごと粉砕してあげなさい。多重詠唱で真白ちゃんの魔眼に魔力溜めしてさらなる底上げを。ええ、これは真白ちゃんの反撃ですもの、私は力を貸すだけよ♪
対価は後で頂くけど☆
ナイ・デス
ソラ(f05892)と
かつての、数多の勇者パーティは、ヴァルギリオスと相討った
私達も。世界の滅びから、守りましょう、ソラ!
ソラの盾を、私も一緒に【念動力オーラ防御】支える
【かばう】
【覚悟激痛耐性継戦能力】私は再生する。ですから、大丈夫
反撃、しましょう。あのバリアは、私が!
聖剣に変身
私達が、破ります
光輝く。願う
骸の海へと消えた、過去の勇者にまで光よ届け、と……
光を集める。勇気の光を、束ね
……集ってくれた海賊幽霊さんは、勇者?勇者。勇者ですか、これも
そう、なのですね……
不真面目そうなので、純粋な力に変換!
いってください、ソラ!
剣となった私は【鎧無視】の刃
【生命力吸収】する光を放ちながら、敵を滅す!
ソラスティベル・グラスラン
ナイくん(f05727)と
古の勇者たちが嘗て倒した、最後の帝竜
この竜を倒せば、わたしたちも彼らに並び立てる…!
全力で守りを固め、【盾受け・オーラ防御】
各種属性の【耐性】を全開
ナイくんの前に立ち、全属性のブレスを【見切り】受け流す!
勇者は決して、退きません!【気合い・かばう】
彼の変身した聖剣を手に、一気に飛翔!
今まで縁を紡いだ彼らの声が聞こえます
『勇者カイゼン』、そして勇ましき海賊たちよ
世界が滅べばあらゆる欲も成り立たぬでしょう
欲もまた人の営み!未来に生まれ出る欲悦を求め、共に竜へと叛逆の時です!
剣に【属性攻撃】を纏わせバリアの属性を中和
【勇気】を胸に更に一歩!抜けた先で全力の一撃を叩き込む!!
カシム・ディーン
…はぁ…僕としてはエロい事がしたいんですが
お伽噺の帝竜を狩るというのも…中々に面白い(くくく
対POW
ふん!触れなければいいだけの事です!
つまり武器で攻撃すればいい!
シーフワイヤーで触れずにバリアを攻撃(反射して燃やすバリアを優先して誘導
反射攻撃を受けた瞬間
【属性攻撃】
全身に炎属性を付与
それでダメージを軽減且
えっ…あああ熱い熱い熱いぃ!!(のたうち…力尽き燃えながら焼け消える様を見せ
【迷彩】で存在を隠し接近
帝竜眼起動
流動的に近づいてしがみついて焼き尽くし
【医術・視力・情報収集】で動きから致命となりえる部分を焼
お前の目玉を寄越せ…!
【盗み攻撃・盗み・溜め攻撃】で眼球強奪に掛かる!
流石…燃えませんか
テラ・ウィンディア
…ずっと昔からこの物語は伝わってきた
おれは憧れていたよ
世界を滅ぼす龍と戦った数多の勇者達
そんな物語の勇者におれは憧れていたんだ
またこの世界が滅ぼそうとされてる
でも…勇者達が守った今が…勇者達が託した未来がある…!
ならば…守らなければいけないよなぁ!
対POW
【戦闘知識】でバリアの系列の把握
【見切り・第六感・残像・空中戦】
で飛び回りバリアに対して【早業】で斬撃を繰り返
己と他の猟兵の斬撃を記憶を刻
…過去が在るから現在があり未来がある
お前達も自らの未来を夢見ただろう
だから…我が悔恨…我が過去が…未来へと繋ぐ刃を示す!
消えざる過去の痛み発動
ヴァルギリオスのバリア内部の肉体全身を刻む刃を再現!
斬斬斬斬斬!
●
『よくぞここまで来た、猟兵達よ!余こそが群竜大陸の主、帝竜ヴァルギリオスである!』
『最強の帝竜である余を倒さぬ限り、『カタストロフ』は止まらぬ』
『さあ猟兵達よ、最終決戦といこうではないか!』
『スペクトラル・ウォール!余の八つの属性を持ちしバリアの壁を超えて来れるか!』
開幕と同時に帝竜ヴァルギリオスは八つの首のそれぞれが咆哮を上げる。
そしてヴァルギリオスの周囲を覆うように巨大なバリアが三層にも構築される。
「……はぁ……僕としてはエロい事がしたいんですが
帝竜の威圧の中、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は飄々とした足取りでヴァルギリオスに立ち向かう。
「お伽噺の帝竜を狩るというのも……中々に面白い」
くくくと悪い顔を浮かべると、事前にこのバリアのユーベルコードの情報を得ていたカシムはとっておきの秘策を取り出す。
「対『触れた者を毒にするバリア』&『触れた者を凍結するバリア』の秘密兵器!シーフワイヤー!」
ルーンシーフなる際物の組み合わせをやっているカシムにとっての必需品!
魔力を通しやすく丈夫で柔軟性の高い金属、ミスリル製の鋼糸である!
「ふん!触れなければいいだけの事です!つまり武器で攻撃すればいい!」
ワイヤーの先にナイフを取り付けたカシムはブンブンと振って遠心力を付けた後、豪快にスイング!
「これで触れずにバリアを攻撃ですっ!」
触れたものが毒または凍結にするだけのバリアであれば確かに遠距離攻撃をする事で反撃を受けずに一歩的に攻撃が可能!
基本的にはシーフであるカシムは防御力よりも回避力に重きを置いている。そのため攻撃を避けるのが難しいカウンター攻撃は弱点。しかしなればこそ、己の弱点を補う術を熟知している。それがこの答えだっ!
『愚かなっ!余のバリアは三層あるっ!』
だが帝竜ヴァルギリオスのバリアは三種類。そして3つ目のバリアは【炎+雷+光の『攻撃を反射し燃やすバリア』】。
そのバリアを表層に出すとヴァルギリオスはカシムの遠距離攻撃を受け止め、そして遠距離攻撃すらもそのまま反射し、そしてワイヤーを通して炎雷がカシムの元まで跳ね返ってくる!
「えっ……あああ熱い熱い熱いぃ!!」
ああー!カシムぅーっ!?
魔力伝達率の高いミスリル金属を使うという事は、自分の魔力の操作がしやすいだけではなく、相手の魔力も効率良く伝わってくるという事。
ヴァルギリオスのバリアによって反射した炎を受けたカシムはのたうち周りながらゴロンゴロンしたあと、力尽きた。
そのまま燃えながら消えていく。
※なお、猟兵は基本的にピンチになるとグリモア猟兵が自動的にテレポート緊急救出します。重傷であっても真の姿になれば全快するので命に別条はまずありません。
『どうした猟兵達よ!よもやこれで終わりではあるまい!』
帝竜ヴァルギリオスは八つの首を荒げ、三種のバリアを広大させてプレッシャーを強めてくる。
「いいえ!一番外のがどのバリアか分かりました!ここからですよ!」
シズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)がからくり人形を取り出しながらヴァルギリオスに啖呵を切る。
今回、シズホは三種のバリアを見極め、そしてそれぞれを無力化もしくは弱体化させる事を重きを置いてきている。
「マジェス!」
召喚したからくり人形五英雄再現戦闘人形『マジェス』。その能力によって風を放出。帝竜ヴァルギリオスまでに存在する瓦礫や樹木の残骸を吹き飛ばし、なおかつ各属性のバリアとの衝突とその反応からどの種類のバリアが生じているのかを見極める。
当然、今回張られているバリアは、『反射し燃やすバリア』!
風を放ったからくり人形であるマジェスにそっくりそのまま熱風が跳ね返ってくる!
「マジェス、喰盾!」
だがそこは予定通り。むしろカシムの特攻によってどのバリアが表層に存在しているのかの"当たり"がつけられていたために余裕を持っての対処が可能だった。
「エナジー吸収!」
反射してきた熱風はエネルギーを吸収する喰盾によって受け止められる。
全ての炎を吸収しきれる訳では当然ないが、それでも殆どダメージを受ける事なく凌ぎ切る事に成功する。
それもそのはず。ヴァルギリオスのバリアは反射。こちらの攻撃力が高い程反射してくるのだが、今回シズホがマジェスに放たせた風はヴァルギリオスにダメージを与えるのが主目的ではなかった。
「ふっ、射線を通してくれれば十分だ!」
「こいつが最強と噂のヴァルギリオスかー。強そうで良いね!」
突風によってヴァルギリオスに至るまでの障害物を取り除いた"道"を桂・真白(情熱の堕天使・f27369)と緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)が駆けていく。
「帝竜ヴァルギリオスか。ふっ、この情欲の堕天使たるボクに相応しい相手だ」
「色々乗り越えてやっと戦えるんだから、存分に楽しみたいね!
真白は眼帯に隠された魔眼を、透子は愛用の武器、重戦斧【緋月】をそれぞれ構え、帝竜ヴァルギリオスのバリアに接近する。
「ふむ、攻撃を反射するバリアか。だが、ボクの魔眼の前には無意味!」
若返りの能力を帯びているという『時の蜘蛛糸』にて紡いだ眼帯を外し、真白は魔眼の封印を解く!
「如何に強固な守りで有ろうとその内側にボクの魔眼は作用するのだからな!」
バリア越しに帝竜ヴァルギリオスを睨み、真白は呪われし魔術を行使する。
「さぁ、喰らうがいい、運命を操りし時さえ凍えるボクの魔眼を!」
運命と時空を操る魔術が眼球を媒介にして放たれる。
それはヴァルギリオスの作ったバリアを貫……く事無く反射してついでに炎付きで跳ね返ってきた!
「な、なにぃ!バカなこれ程の力の差があるというのか!うわー!」
眼球に炎を受けるとかもはや致命傷になるのではないかと思われたが、咄嗟位にオーラ防御で直撃だけは避けた真白。
それでも余波の炎だけですっかり衣服は燃え尽き満身創痍になっていた。
反撃ダメージって怖いね。
「流石に最強だけあって弱点はよくわからないね。それなら自分の得意な怪力で勝負するよ!」
続けて透子が真白の攻撃した箇所と同じ場所に向かって跳躍!
非常に重いはずの重戦斧を振りかぶって思いっきりバリアに叩きつけにいく!
「い、よっこいしょーっ!」
炎+光+雷の属性を持ったバリアは透子のパワーに押されながらも、その特性通りに攻撃を反射しなおかつ炎によるカウンターを放って来る。
「おわっと!?」
空中で踏ん張りが聞いていなかった事もあって透子は自分の攻撃のパワーとヴァルギリオスの炎に身を焼かれながらも吹き飛ばされる形で弾かれる。
しかしそれ故に下手に抗う事もないために炎以外のダメージは少ない。
「んー、でもこのバリア。思ったより硬くないかも!」
一発直に殴りつけて見る事で透子はある程度の強度を感覚的に悟る事が出来た。
帝竜ヴァルギリオスのバリアが絶対的なのは八つの属性が組み合わさるからである。
しかし三層のバリアはそれぞれ単独で見れば三属性+三属性+二属性であり、一度に全てのバリアを相手どらないのであればその対処に使うリソースはかなり軽減される。
「よし!もーいっかい、いくよーっ!」
そうと決まれば透子再び猛ダッシュ!
重戦斧を地面に引きづりながら帝竜ヴァルギリオスとそのバリアに突撃を仕掛ける!
「そうよっ!、まだだ、ここで倒れるわけにはいかぬ!」
透子の勢いに乗って、炎に焼かれてのたうち回っていた真白も魂が肉体を気合で凌駕させて立ち上がる!
「UDC達よ力を貸してくれ!ジャスティスペイン起動!」
そしてユーベルコードを発動!
「まだ、終わらない。まだ、諦めない。最後に勝つのはこの情熱の堕天使よ! 皆、お願い! 力を貸して!」
自身の【使役UDCの力を借り負けシチュから逆転】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大するというユーベルコード!
そう、これまでの下りは実は負けシチュからの逆転狙い!
真白によって召喚されるのは。
「UDC貴腐神こと、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の魔少女・f05202)よ♪」
UDCを呼び出すはずが何故か猟兵が出てきた。
「真白ちゃんのジャスティスペインをハッキングしてきたのよ♪大丈夫、召喚の項目があるんだからルールからは逸脱していない」
ジャスティスペイン側に召喚の項目がないのはツッコミ待ちなのかどうかわからないけど、はっきり言っておくと、合体ユーベルコードはロマン!
つまりOK!
「それなら真白ちゃんのUCとして活動することで真白ちゃんの反撃扱いになることが先制攻撃対策っていうのは?」
むしろ、ボス戦なんだから片方が盾になって片方が砲台になるようなコンビネーションはどんどんやるべきだと思うという心意気が全てOK!……あ、他のMSさんでは知らないのであしからず。
あ、ただ不死鳥座が乙女座を助けにくるような感じで登場する予定だったらしいですが、残念ながら私はあんまりその辺のネタ分からないんですよね。
なのであれです。知らないから調べもせずに語ります。
多分ほら、魔眼で暗黒オーラを守ってる真白の横並びになる感じでえっちなピンクオーラを纏ったアリスが同じ向きに同じ口の形で横並びになるようなイメージで行きます!多分これ!間違いない!
「そう言う事なら、遠慮なくいっちゃうわよ☆『夜』は繋がり包み込む(デモニックエンハンス)」
「おおっ!?何かよくわからないが、ボクとアリスが繋がったぞ!?」
アリスのユーベルコード:『夜』は繋がり包み込む(デモニックエンハンス)は魔術刻印より召喚した赤い糸をリンクさせる事で感覚と技能を共有。なおかつエネジー吸収を行う『夜』の力で強化する事が出来るのだ!
そして吸収するのは未だに燃焼していた真白の炎。
「さぁ、真白ちゃん。リンクして限界突破しリミッター解除した鎧砕きの鎧無視攻撃の魔眼でバリアごと粉砕してあげなさい」
「フハハ!力が漲ってくる!」
真白の魔眼の魔術に、リンクしたアリスが多重詠唱でそのまま二人分の魔力を溜めて威力の底上げを図っていく。
「今度こそ我が本気の一撃を喰らえ!はぁっ!……あ、なんか凄い目が痛いっ!!!???」
「限界突破でリミッター解除させてるから当然反動も大きいわね♪大丈夫、ええ、これは真白ちゃんの反撃ですもの、私は力を貸すだけよ♪」
「つまりアリスにはこの反動が言ってないという事かぁーっ!?」
「あ、勿論。対価は後で頂くけど☆」
痛いけど眼球から放っているため視線を支援者のアリスに向ける訳にもいかない真白はそのままヴァルギリオスの扱わない『時』の属性の魔術を放ち続ける。
ヴァルギリオスのバリアは当然、その攻撃を反射し、炎を伴って反撃して来ようとするが。
「ガオ!」
ここでシズホが己のからくり人形を突撃させてくる。
獣人型のその人形は牙をバリアに突き立てると、口部分からバリアのエネルギーを吸収していく。
「バリアが固定化されていれば、対処は可能!ガオ!エネジードレイン!」
攻撃に反応するのであれば、攻撃そのものではなく吸収能力のみを利用する。
当然バリア自身に吸収効果を使えばそれは攻撃判定が出るであろうが、反射された炎を伴った反撃を吸収する分には相手のバリアに干渉はしない。
そして反射さえされなければ持続的に放つ真白の魔術は、ヴァルギリオスのバリアに強烈な負荷をかけ続けることが可能になる。
「そーれっ!」
そしてそこに今度は真っ直ぐ突っ込み、大地に足を付けしっかりと踏ん張りを利かせた状態で重戦斧を振りかぶる透子が到達する。「気合だぁーっ!」
『ぬぅっ!余のバリアを砕くか!猟兵!』
反射されようが炎に焼かれようが気合と怪力で無理矢理押し込み続ける透子が最後の一押しとなり、ヴァルギリオスの三層のバリアの内、炎+雷+光の『攻撃を反射し燃やすバリア』を砕く事に成功するのだった!
『だが、余のスペクトラル・ウォールは三層のバリアにて絶対無敵とする!物理的な力のみで砕けるものではないぞ!』
言葉通りに、帝竜ヴァルギリオスは続けざまに第二層のバリア。毒+水+闇の『触れた者を毒にするバリア』を展開してくる。
「うわ、なにこのバリア。触れたらべちゃってなるし、なんか力が抜ける~」
一番近くにいた透子は何はともかく目の前にバリアが来たのだからと重戦斧を振りかぶって力の限り叩きつけてみたら、水と闇の特性であろう衝撃がバリア全体に浸透して力が分散されてしまった。
それだけならばまだしも、弾かれた際に飛び散った毒液が透子に当たると、急に力が入らなくなっていく。
「バットステータスのようですね!」
一口に毒とは言っても様々な効力があるが、今回のバリアの主だった能力はデバブ。
その毒を受けた場合、大きくステータスを下げられてしまう事になる。
力押しのみで突破するには相性が悪い存在である。
「単純にエナジー吸収をしたら毒が回るのが早まるだけ……ガオ、戻って!」
シズホはバリアのエネルギーを吸収し過ぎて燃え出しているからくり人形を戻し、代わりの人形を呼び出していく。
「うおおおー、目がー眼がーっ!!」
因みに真白は瞳を酷使し過ぎてゴロンゴロンしてた。
「アア、待ッテいたヨ」
だがここに、主にこの力押しだけでは対抗できない毒+水+闇の『触れた者を毒にするバリア』に対しての対策を準備してきた猟兵がいた。
フードの中にある光。ナハト・ダァト(聖泥・f01760)である。
「サテ、君ノ弱点。こノ叡智デ、証明しようカ」
そしてナハトは自ら飛びつくようにヴァルギリオスの3枚のバリアの内、毒+水+闇の『触れた者を毒にするバリア』をその身で受け止める。
「水、闇、毒、カ。種ガ分かレバ、造作モ無イ」
ローブの内側にあるナハトの、ブラックタールの身体が一気に広がっていく。
「水ノ液体純度ヲ合わセテ、しまえバ、バリアの内ニ溶ケ込めル……!」
闇の属性を己の光で。
毒に対しては己の医術の知識にて、その場で解析を開始していく。
帝竜ヴァルギリオスはオブリビオン。
つまり過去の存在が現在に滲み出てきたもの。
そうであれば、かの敵の毒は既に世界には知られているはずのもの。
抗体がないとは限らない。
「グ、ヌヌ……」
だが勿論このような、己の身を使ってのこの場での調整、この場での解析が負担がかからないはずもない。
だがナハトは己の限界を超え、解析を完了する!
「分カッたゾ……君ノ弱点ハ、互いヲ殺し合ウ事ダ」
そしてナハトは己の身体を無理矢理気力で奮い立たせるとその身体をバリアに同調させていく。
「ソレと、勝手ダが、少シ君達ハ借リ受けル」
さらに腕……と言うか触手がウネウネと伸びていくと、先程の炎と雷と光のバリアの反撃の炎を浴びていた真白、透子、そしてシズホのからくり人形であるガオの炎が終息していき、そして触手を伝ってナハトに向かう。
「迅速ナ救助、治療ヲ行うタメ……だけでハ、ナイ、ナ」
治療も行ったが、目的はそれだけではなく。炎を一時借り受けする。
「バリア同士ヲぶつケ合イ、相殺さセル。ソレが、君ノ弱点、ダ」
ナハトは自分に伝ってきた元は反射した炎と雷と光のバリアの炎をそのまま、次の水と闇と毒のバリアにぶつける!
「Ph’nglui mglw’nafh」
帝竜ヴァルギリオスがそもそも融合化させる事をしなかった属性同士。相反する属性のバリアがぶつかり合う事でその力は対消滅を起こし減衰する。
「まるデ蠱毒…いヤ、孤独だネ」
触手がナハトの身体から大量に放出されると、弱体化した二層目の毒+水+闇の『触れた者を毒にするバリア』をさらに三層目のバリアにぶつけ始める!
「サア、今ダ」
「銀河を支配する頂点なる過去、我が力となりて宇宙を駆け全て貫く船を呼ばん!幻影装身・極:星海の玉座に座す皇帝(アームドフォーミュラミラージュ・リスアット)!」
限界以上の力を使い果たしたナハトの作った隙に、素早く反応したシズホがユーベルコードを起動!
己を、他の世界のオブリビオンフォーミュラであった銀河皇帝の幻影と融合し変身すると、バリアに向かって『黒き槍の船』を外宇宙からワープさせてぶつけにいく!
弱体化……いいや無駄だ。
これはただただ単純に、宇宙船の大質量の攻撃。バットステータスが効果のある存在ではない。
水と闇による衝撃緩和……いいや無駄だ。
万全の状態であればまだしも、今のバリアはナハトによって大きく第二と第三層同士で対消滅を起こさせている。
この質量の攻撃をそのまま受け止め切れるには、至らない!
「マジェスの熱喰剣、ガオが放出した補食エネルギー、船の先端に集中!」
シズホがからくり人形に命令を出すと、ボロボロになりながらもこの瞬間のために待機させていた二体がバリアに追撃を放つ!
『ヌゥゥっ!?猟兵よ!よもや余のスペクトラル・ウォールを第二層まで撃ち破るとは!だが!余の氷+土の『触れた者を凍結するバリア』こそ、最も防御力に優れた障壁よ!』
「ふぅん。だったらそれを貫けばあとは貴方に通るって訳よね」
ここで、最初にシズホが風によって障害物を吹き飛ばし"道"を作った場所に巨大な装備を展開し終えた猟兵が参戦しに来た。
「やっと親玉迄辿り着いたんだから、ラストだけにやたら面倒そうだけど勝って戦争を終わらせるわよ」
緋神・美麗(白翼極光砲・f01866)は身の丈もある巨大な盾をレールにセット。
己のサイキックエナジーを雷へと変換し力を溜めていく!
「その自慢のチートバリア、堂々うち破って見せるわよ!」
射線の開いている"道"を一直線に、美麗は己のシールドビットを射出!
電光を伴った弾丸と化したシールドビットは音速を超えた速度で帝竜ヴァルギリオスの第三層の氷+土の『触れた者を凍結するバリア』に突き刺さる!
同時に触れたシールドビットが凍結によって浸食されそうになるが。
「サイキックバリア、全力展開!」
砲弾代わりにしたシールドビットから圧縮されていたサイキックエナジーがオーラ防御となって発生!
美麗の全力全開のサイキックエナジーが込められたバリアは、帝竜ヴァルギリオスのバリアと干渉しあい、その周囲だけだが確実に穴が開いていく……!
美麗の能力は電光を伴う攻撃。
スペクトラル・ウォールの中でも第一層の同じ属性である炎+雷+光のバリアであれば、恐らく吸収されてしまい反射されるだけであったろう。
第二層の反属性である毒+水+闇のバリアでは攻撃を受け止められ、弱体化の毒により防がれてしまっていたであろう。
だが、第三層、ナハトとシズホによって大きなダメージを受けていた氷+土のバリアならば。
この攻撃は、貫ける!
「これが今の私の全力よ!チャージ、セット、いっせーのっ‼」
超巨大電磁砲(ハイパーメガレールキャノン)!!!
電磁加速して射出された二枚目のシールドビットが、一枚目の開けた穴を通過し、帝竜ヴァルギリオスのバリアを突き抜け突き刺さる!
『ヌッ、グアアアアッ!!!!???』
美麗の全ての力を出し切って放ったユーベルコードの直撃に、帝竜ヴァルギリオスは大きくのけ反る。
そして同時に構成していたバリアが弾け飛び消えていく。
「いけた、わね!」
力を放出し過ぎて膝を突く美麗の視界の中で、帝竜ヴァルギリオスもまたその足を大地に沈める。
だがしかし!
『見事、猟兵達よ!見事なり!しかし、未だ、余に届くには遠きものと知れっ!』
帝竜ヴァルギリオスは体勢を整えると、八つの首のそれぞれが大きく息を吸い込む。
『余こそ、群竜大陸の主、ヴァルギリオス!最強の帝竜である!』
帝竜ヴァルギリオスの最大の攻撃『ヴァルギリオス・ブレス』
八つの首からそれぞれ放たれるのは炎水土氷雷光闇毒属性のブレス!
首それぞれが猟兵を見定め、葬り去らんと放たれる!
「今にゃあ!」
だがその瞬間!
大音量のヘヴィなミュージックエナジーが帝竜ヴァルギリオスへと放たれる!
『ヌゥっ!?』
八つに『音』の属性は含まれない。
ならば同時に放たれるブレスに対し、音速のミュージックエナジーが届かぬ道理もない!
「にゃあ!ブレスを吐く瞬間は帝竜と言えども隙が出来るにゃあ!」
呪いによって猫の姿になったレフティ・リトルキャット(フェアリーのリトルキャット・f15935)は、自慢の髭でヴァルギリオスの魔力を感知。
今まさに放たれようとしたブレスをノックバックでキャンセルさせようとしたのだ。
『ならば貴様から消し炭にしてくれる!』
「にゃあ!?やっぱり完全に止めるまでは出来ないかにゃあ!」
一拍は止められたブレスも、それはあくまでも奇襲攻撃だったから。
認識された状態では次のブレスは同じミュージックエナジーだけでは阻めそうにない。
そして向けられたのは火属性の首。
「対策対策……くっ、おのれ帝竜ヴァルギリオス……!」
避ける、には恐らく間に合わない。
かの帝竜ヴァルギリオスのブレスは広大。その命中精度はブレスの範囲が広すぎて避けれる場所がないという意味。
(対策は、あるにゃ!でも、これを使うにはにゃ……)
レフティにはこの攻撃を防ぐ案がひとつ浮かぶ。
だがそれをするには、ある条件を満たさなくてはならない。
(でも背に腹は代えられないにゃ!)
謎のハイテンションに至ったレフティは猫のまま不敵な笑みを浮かべると、前足を出してくいくいっと帝竜ヴァルギリオスに向けて誘う。
「いいにゃ!我が呪われし暗黒の炎が、貴様の炎を超える所を証明してやるにゃ!さあ全力でくるがいいにゃ!」
『よかろう猟兵!望み通り燃やし尽くしてくれようぞ!』
「ふーっ。力を貸すにゃ猫竜!(我、嗤う 我が身の儚さを 炎、笑う 妖精の愚かさを 秘密の寝床にて、変わりゆく呪いを猫竜が笑う 全ては己の愚かさ故に)」
(『くははっ』)
レフティの身体に宿る呪いから、嗤い声が響いた気がした。
「にゃー!黒炎猫竜(ブラックフレイム・キャットドラゴン)にゃ!」
レフティは利き手である左の前足を前に突き出すと、そこから暗黒の炎が吹き荒れる!
そしてその暗黒の炎は、帝竜ヴァルギリオスの炎のブレスにぶつかると、吸収される事もなく、拮抗していく。
『ヌゥっ!?その炎は、火の属性ではないというのか……!?』
「炎であって炎にあらず所謂中二病属性の黒炎猫竜にゃ!」
それはレフティの左手の封印の中にいる呪いたる黒き猫竜。
ただの炎ではない!
中二病を患ったような言動をしないと協力してくれない、暗黒の炎なのだ!
『な、なんだその属性はっ!?』
「喰らえニャー!」
中二病属性などと言う全くの未知の属性ブレスに動揺したヴァルギリオスは一瞬集中が途切れ、レフティの炎に巻き込まれる!
『ヌゥっ!?』
だがヴァルギリオスの首はまだ七つある!
「にゃあ……でもレフティばっかり相手にしていていいのかにゃあ?」
『何だと……?』
「なるほど……つまり挑めということですね、ヴァルギリオス・ブレスに!真正面から!」
レフティの言葉に答えるように、戦場外院・晶(燃えよドラゴン……この手を掴め・f09489)が帝竜ヴァルギリオスへと向かって走り寄っていた。
それは障害物がなくなった最初の道を通ってきたバリアの内側。
「戦場外院・晶と申します……よしなに」
修道僧の姿の晶は律儀に礼をすると、帝竜ヴァルギリオスへと足を進める。
いや、晶だけではない。他の猟兵もバリアのあった筈の場所より内側に侵入すると散開して帝竜ヴァルギリオスへと突撃してくる。
『面白い!猟兵達よ!余の八つのブレスにて全て消し去ってくれようぞ!』
一か所に集まっては集中砲火を受けるだけと別れた猟兵達に対して帝竜ヴァルギリオスはそれぞれの首をかまげ、ブレスを放つ!
「我が祈りは顕現し、物理的オーラとなりてこの身を助く」
だがそのブレスを、晶は全く避けず、正面から受け止める!
祈りが、強烈な精神エネルギー、思い込む力が物理的な障壁となって晶を守る。
「いざ、息吹の最中……」
『だが無駄よ!その程度!』
堅牢なオーラ防御でも、帝竜ヴァルギリオスは二つの首を合わせ、威力を倍増させてくる。
如何に強固なオーラ防御であっても、ユーベルコードでもなければ流石にオブリビオンフォーミュラのユーベルコードの攻撃に耐えきる事は出来ない。
無残にオーラごと砕かれ、晶はブレスに焼かれる。
しかし。
『歩みが、止まらぬだと!』
「……まさに苦行。されど」
聖なる光が、晶を包む。
晶自身の放つ高速治療のユーベルコードが、ブレスに焼かれる傍から回復をしているのだ。
「超重力の回廊を抜けた根性を……」
この群竜大陸を攻略するために行った修行を思い出せば、足が踏み出る。
『ヌゥ!ヌゥ!』
いつの間にかブレスが三つの首から集中してくるが。それでも晶の足は止まらず。
「骨の平原で磨いた隙を縫う技巧をもってすれば……」
四つ目の属性が放たれ、ヴァルギリオスの半分の力がたった一人の猟兵に注がれるも、それは晶を止めるに至らず。
「帝竜であれ手があるならば……」
そして帝竜ヴァルギリオスの前足にまで、辿り着く。
「……そこです」
【手をつなぐ】
「捕まえました……せい!」
帝竜ヴァルギリオスの前足を掴んだ瞬間に晶はその身に宿る怪力を発揮し、帝竜ヴァルギリオスの力を利用してのグラップルを発揮!
『ヌッ!グオオ!』
帝竜ヴァルギリオスの巨体が、投げ飛ばされる!
「……成敗。破ぁ!」
そのまま晶の手前にきた土属性の首に対し、破魔の力を籠めた拳で殴りつけ、炸裂させるのだった!
ヴァルギリオスの首。残り六。
「……ずっと昔からこの物語は伝わってきた」
エルフの少女、テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は帝竜ヴァルギリオスとの戦いに参戦していた。
「おれは憧れていたよ。世界を滅ぼす龍と戦った数多の勇者達」
重力を操り、障害物の取り除かれた"道"を翔び、そして空中を飛び回ってブレスを回避しながらも突撃してきた一人だった。
「そんな物語の勇者におれは憧れていたんだ」
そして今、テラの前には数多の猟兵達との戦いで消耗し、倒れた帝竜ヴァルギリオスの首があった。
「またこの世界が滅ぼそうとされてる。でも……勇者達が守った今が……勇者達が託した未来がある……!」
星の力を宿す宝剣が、炎の加護を持つ槍が!
テラの両手でその魔力を輝かせる!
「ならば……守らなければいけないよなぁ!」
『ヌゥ!ならば、余を討ち倒してみよ!余が生きる限り、カタストロフは止まらぬ!』
「これは我が悔恨……我が無念……そしておれが知る恐るべき刃だ……とくと味わえ……!」
ユーベルコード:悔恨「消えざる過去の痛み」(キエザルカコノヤイバ)。
この能力は、虚空から現れる『空間に刻まれた斬撃』が相手を斬り刻むもの。
そしてその斬撃は、己とそして他の猟兵達を、かつての勇者の斬撃をも記憶に刻むもの。
『何っ!?』
「……過去が在るから現在があり未来がある」
帝竜ヴァルギリオスは最強の帝竜。されど、だからこそ、その過去には数多の戦歴の斬撃が記憶されている。
「お前達も自らの未来を夢見ただろう。だから……我が悔恨……我が過去が……未来へと繋ぐ刃を示す!」
ヴァルギリオスの全身を、斬撃の刃が刻みつけていく!
「うおおおー斬斬斬斬斬!」
ヴァルギリオスの首、残り五。
『まだよ!まだ余は倒れぬ!』
「よかったー。とっておきを取って置いたんだからまだ倒れられちゃ困るんだよねー」
再起する帝竜ヴァルギリオスの首の眼前に、バリアに弾かれながらもそのまま突撃してきた透子が跳んできた。
「バリア破るのも楽しかったけどさー、やっぱり本体にお見舞いしないとね」
そしてステップを踏んで近づくと、左手だけで持った武器、重戦斧による大振りな右薙ぎの一撃を、叩きつける!
「力の限りぶっ壊せー!必殺の左!緋迅滅墜衝!!」
ヴァルギリオスの首、残り、四.
『余の首が、討たれていく、だと……!』
「あー、アンタも討たれる首だよ」
『ヌッ!貴様はっ!?』
立ち上がろうとした首に、ミスリルのワイヤーが巻き付いていきその動きを封じ込めていく。
「僕、参上」
そこにいたのは、最初に第一層のバリアに反射され燃えたはずのカシムであった。
「フフフ……反射攻撃を受ける直前にルーン魔法で炎属性を全身に付与してたんです。渾身の演技だったでしょう」
元より攻撃力の低い攻撃で反射ダメージを押さえつつ、炎属性を付与する事で炎ダメージを軽減していたのだ。
そして燃えつきて消えたように見せかけたのは迷彩能力。
「動きはじっくり観察させてもらいましたから、これだけ縛ればあとは急所を貫くまでなら大丈夫なはずです」
そしてカシムは一つの魔力結晶体を取り出す。
その魂晶石に封じられしは、灼熱の王の力。
「万物の根源よ……帝竜眼よ……炎の竜種を束ねし竜の力を今こそ我が身に示せ……!」
カシムの腕が、超高熱溶岩流に変化していく!
『ヌゥ!それは、ガイオウガの!』
「流石……燃えませんか。ならば、お前の目玉を寄越せ……!」
ヴァルギリオスの首、残り三。
●
「古の勇者たちが嘗て倒した、最後の帝竜」
「かつての、数多の勇者パーティは、ヴァルギリオスと相討った」
ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)とナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は横に並び、互いの顔を見合い、そして笑みを浮かべる。
「この竜を倒せば、わたしたちも彼らに並び立てる……!行こう、ナイくん!」
「私達も。世界の滅びから、守りましょう、ソラ!」
二人の前に立ちふさがるのは満身創痍の身でありながらも強烈なプレッシャーを放つオブリビオンフォーミュラ。
群竜大陸の主、帝竜ヴァルギリオス!
残った首は、二本。
『まだよ、まだ終わりではない!さあ猟兵達よ、最終決戦といこうではないか!』
帝竜ヴァルギリオスは咆哮を上げると、ソラスティベルとナイに向けて光と闇のブレスを放つ!
「勇者は決して、退きません!」
ソラスティベルが一歩前に出ると、ナイをかばうように盾を構え、そしてブレスに備える。
各種属性の耐性を備えたオーラを展開し、ブレスの力に、拮抗していく。
「私も、手伝い、ます……!」
「ナイくん!」
ソラスティベルの構える盾に、ナイもその手を重ね、防御を強化する。
だがブレスの衝撃がナイにも伝わり、その身の一部が過剰なエネルギーに耐えきれずに弾ける。
「ナイくん!」
「私は再生する。ですから、大丈夫」
心配するソラスティベルに対し、ナイは優し気な笑みで応える。
「反撃、しましょう」
「わかった」
既にバリアを再度張る事が出来ない程に帝竜ヴァルギリオスは消耗している。
ブレスもそう長くは続かないだろう。
『光輝く。願う』
ナイはその身を光り輝く聖剣へと変貌させる。
『この手に有りしは一振りの光。共に在りしは、強き意思!』
そしてソラスティベルはその手に聖剣となったナイを持つと一気に飛翔!
空を飛ぶ彼女の姿もまた、髪が白色、瞳が赤色となり変貌していた。
『骸の海へと消えた、過去の勇者にまで光よ届け、と……』
「……今まで縁を紡いだ彼らの声が聞こえます」
空中で聖剣となったナイを持ったソラスティベルは紡がれる声を聞く。
『光を集める。勇気の光を、束ね』
この地、群竜大陸にはかつての勇者伝説にて命尽き果てるまで戦った勇者がいた。
『勇者カイゼン』
『……集ってくれた海賊幽霊さんは、勇者?勇者。
勇者ですか、これもそう、なのですね……
不真面目そうなので、純粋な力に変換!』
「勇ましき海賊たちよ。
世界が滅べばあらゆる欲も成り立たぬでしょう。
欲もまた人の営み!未来に生まれ出る欲悦を求め、共に竜へと叛逆の時です!」
『聖姫』
『英傑』
『……姫様と、屈強な方ですね。これも勇者。
……なんだか、不思議なポーズをしてますが。
彼らの温かい力が、沸いてきます……!』
「高潔なる勇者たちよ。
貴方がたの守ってきたこの未来。
今こそ意思を継ぎ武器を取る時!今代の『勇者』の務め、果たします!」
集まる力は、これまでの冒険の糧。
今と骸の海に存在する『勇気ある者達』に呼びかけ【ソラスティベルの勝利】という願いを、希望を、ここに集める!
『いってください、ソラ!』
「大丈夫!今の私なら、みんながいる私なら、この一歩を『勇気』を出して踏み出せる!」
『全ての、勇気ある者達に。お願いします。世界の破滅、打ち破る力を、私達に。これは、勇気の光。綯いし名は――』
『「クラウソラス!!!」』
大成功
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