●グリモアベースにて
「とうとう、ヴァルギリオスに決戦を挑むときが来た」
呼びかけに応じた猟兵たちに、プルート・アイスマインドから一報が告げられる。
険難至極な高山に囲まれた世界樹イルミンスール――帝竜ヴァルギリオスの居場所を堅く守っていた完全不可侵の結界が消失した。
猟兵たちのたゆまぬ進撃が、ついに最終決戦への道を切り開いたのだ。
「ヴァルギリオスは世界樹イルミンスールの中で、こちらが出向くのを待ち構えている。すでに配下たる帝竜たちを倒されている奴におそらく慢心はない。厳しい戦いとなることは覚悟しておかねばなるまい」
なにせ敵は世界最強の竜なのだからな、とプルートは苦笑する。
それぞれに属性を備えた八つの首を持つ帝竜『ヴァルギリオス』。
多属性を駆使した防御能力、強化能力、攻撃能力はまさに圧倒的である。
「言うまでもなく、この戦争において最も厄介な敵だな……だが事ここに至っては退く選択肢などはありえない。そうだろう?」
猟兵たちの顔を順繰りに見やったプルートが、グリモアから光を放つ。
転移の光。
最強の竜との戦いへ導く白光が、猟兵たちを包みこんでゆく。
「アックス&ウィザーズに平穏をもたらすために……頼むぞ、猟兵たちよ」
●決戦の地にて
まるで眼前に立つ者を射竦めるように。
あるいはその強さを値踏みするように。
帝竜ヴァルギリオスは塒たる世界樹に現れた者たち――猟兵を見下ろした。
「よくぞここまで来た、猟兵達よ。
奥の手であった『ワーム』にさえも辿り着くとは、見事なり」
賛辞を送る竜の言葉は、恐ろしいまでに泰然としている。
ことごとく己が配下を破られておきながら、ヴァルギリオスの八つの首には狼狽もなければ当惑もない。何ひとつ揺らぐことはない。
世界を滅ぼそうとする竜は、ただ、排すべき『敵』の姿を捉えつづけている。
「最強の帝竜である余を倒さぬ限り『カタストロフ』は止まらぬ。
さあ猟兵達よ、最終決戦といこうではないか!」
大陸すらも震わす八つ首の咆哮が、響き渡った。
星垣えん
というわけで、星垣えんでございます。
最強の帝竜『ヴァルギリオス』が今回の相手となります。
帝竜ヴァルギリオスは必ず先制攻撃をしてくる超強敵ですが、ユーベルコードへの対処法を編み出すことでプレイングボーナスを得ることができます。
いかに防御して反撃するか、考えてみてください。
それでは、皆様からのプレイング、お待ちしております!
第1章 ボス戦
『帝竜ヴァルギリオス』
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POW : スペクトラル・ウォール
【毒+水+闇の『触れた者を毒にするバリア』】【炎+雷+光の『攻撃を反射し燃やすバリア』】【氷+土の『触れた者を凍結するバリア』】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : 完全帝竜体
【炎と水と雷の尾】【土と氷と毒の鱗】【光と闇の翼】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ : ヴァルギリオス・ブレス
【8本の首】を向けた対象に、【炎水土氷雷光闇毒の全属性ブレス】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:hina
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アヴァロマリア・イーシュヴァリエ
あれが、帝竜の一番偉いヒト……ギィちゃん、危ないから気を付けてね
(帽子の中に隠した小さな竜の幼体を気遣いつつ挑む。まだ幼い子を連れているのは、予感がしたから。聖者としてかサイキッカーとしてかはわからないが、この小さな竜が最良の未来を引き寄せられるかもしれない、と。
敵の先制は念動力で周囲の岩を集めオーラ防御で補強した壁で耐え、巻き起こる土煙に紛れながらクリスタライズで身を隠し帝竜の死角を目指す。辿り着いたなら、あとは剣を奮うだけ。祈りを束ねた光の剣は、その祈りの強さだけ強く、大きくなって。全ての力を込めて)
行くよギィちゃん! この世界を救う為に……えぇーーーい!!!
戦場外院・晶
最強――全く憧れる称号です
「戦場外院・晶と申します……よしなに」
今日、此処で越えてみせましょう
我が祈りはオーラとなりて身を護る
対するはヴァルギリオス・ブレス……正面から往く……正気か?狂気ですとも
「……ふふ」
守りを抜かれて炭と化す身を癒しながら進む……超重力の回廊での鍛錬を思い、一歩、一歩
「……ここです」
どんな攻撃も防御も途切れ、隙は出来る……そこを突くことは、骨の平原で習得済みです
【手をつなぐ】
帝竜に手があると知って、これがやってみたかった
「……せい!」
投げる、極める
肉体を持つならばそれを利し、怪力とグラップルの技巧で崩してみせます
「……破ぁ!」
培った破魔の力を根刮ぎ込めて、渾身の拳を見舞う
ナイ・デス
【覚悟】を決めて
【激痛耐性、継戦能力】私は、本体無事なら再生する
私は死なない。私は、死ねない
だから、臆さず。最短で、最強の、一撃を!
【怪力ダッシュ】駆ける
避けも、防ぎもしない
ただ【吹き飛ば】されないよう、確り大地【踏みつけ】
受けて、様々な属性の影響を受け、消し飛びかけながら
勇気で、攻め
気合で、守り
根性で、進む
それが、私の知る、勇者理論、です!
『いつか壊れるその日まで』
意志の力【念動力】で、状態異常でも体動かし最短を
破壊と再生を繰り返しながら、一歩、一歩と
負傷に比例した戦闘力増強。輝き、強めながら
そして
これが私の、最強。世界守る為の、一撃です!
【鎧無視攻撃】【生命力吸収】する光を、解き放つ!
ヴァルギリオスの声が、戦場を揺らす。
強大な体躯、獰猛なる八つの首、漲るオーラ――その威風たるや最強の竜にふさわしい。
「あれが、帝竜の一番偉いヒト……ギィちゃん、危ないから気を付けてね」
アヴァロマリア・イーシュヴァリエが鍔広の帽子を手で押さえると、その内から幼き竜『ギィ』の小さな鳴き声が返される。
最良の未来を引き寄せてくれる――おぼろげな予感を信じて連れてきた幼体は、怯えながらもアヴァロマリアの頭にしがみつき、懸命に恐怖に耐えてくれていた。
「最強――全く憧れる称号です。しかし今日、ここで越えてみせましょう」
ヴァルギリオスを見上げ、決意を示すようにロザリオを握る戦場外院・晶。尼僧服を纏った女の表情は、どこか気色に満ちていた。
「ヴァルギリオス、ここで……倒してみせます!」
絹のような白髪が目を引くヤドリガミ――ナイ・デスが、赤い瞳に覚悟を灯す。退かぬ意志を示す白光で体を覆って、ナイはヴァルギリオスへ踏み出した。
「臆さず向かってくるとは見上げたものよ。だが余に勝てるなどと思わぬことだ!」
八つの首が一斉にブレスを吐きだす。
炎や水、雷や毒、あらゆる属性がひとつに寄り集まって猟兵たちに降りかかった。
「来た……直撃は避けないと!」
アヴァロマリアが念動力を飛ばし、周辺の岩で壁を作る。だが岩壁は全属性ブレスを受けた途端に爆砕した。強烈な余波にアヴァロマリアの体が吹き飛ばされる。
「うっ……!」
「軽いな。その程度か、猟兵よ!」
再び八つ首が持ち上がり、今度は晶とナイにブレスを放射する。
晶は、ナイは、避けなかった。
「正面から……」
「行きます!!」
さながら猛吹雪の中を往くかのように、腕を盾にして突き進む晶とナイ。
毒が体内を侵し、氷風が肌を固める。目も眩む閃光に襲われたかと思えば、苛烈な威力の前に二人の体は炎に焼かれ、瞬く間に損傷してゆく。
だが膝はつかない。
「……ふふ、一歩、一歩、です」
晶が聖なる光で自身を治療しながら歩を進める!
「私は死なない。私は、死ねない。だから、臆さず!」
腕が焼け落ちるのも構わず、ナイが大地を蹴って前へと歩く!
「傷を負いつつ……向かいくるか!」
「勇気で、攻め。気合で、守り。根性で、進む。それが、私の知る、勇者理論、です!」
前のめりに突破したナイが、倒れこむようにヴァルギリオスを間合いに捉える。
ナイの全身から再生の光が立ち昇る。腕の肘から先を修復したヤドリガミは恒星のような輝きを得て、ヴァルギリオスにその剥き出しの腕をかざした。
「これが私の、最強。世界守る為の、一撃です!」
「ぬうっ!?」
眼も開けられぬ白光が直撃し、ヴァルギリオスの体から生命力を奪い取る。
帝竜が、わずかに怯んだ。
「……ここです」
ブレスの猛威に耐え忍んでいた晶が、すかさずヴァルギリオスの前脚を掴む。
「……せい!」
「!!」
晶の怪力でもって、ヴァルギリオスの体が浮き上がる。傍から見ればひとりでに浮いたかのようだ。だがその巨体は完全に晶に掌握されていた。
「……破ぁ!」
「ぐっ……!?」
前脚を引きこんで帝竜の体勢を崩す晶。地に顔をつけたヴァルギリオスの胴体に渾身の拳を打ちこみ、確かなダメージを浸透させると、どこへともなく声を発した。
「……では、追撃を」
「うん、わかった!」
晶に応じながら、アヴァロマリアが忽然と現れる。何もない空間から出てきたように見えるクリスタリアンは、結晶の体を透明化して人知れず近づいていた。
アヴァロマリアは手を天にかざし、祈るように瞑目する。
するとその掌が光り輝き、やがて収束した光は巨大な剣を成していた。
「行くよギィちゃん! この世界を救う為に……えぇーーーい!!!
ギィの鳴き声を受けながら、剣を振り下ろすアヴァロマリア。
光剣がヴァルギリオスを呑みこみ、戦場を鮮烈な光の渦に飲み込む。
――が、光が失せたそこに、ヴァルギリオスは涼しい顔で立っていた。
「余に一撃を届かせるか……だが、これしきで倒せるとは思うまいな?」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ミニス・クラインシュテルン
アドリブ・連携歓迎
最強だろうと何だろうと関係ない
そこに人々を苦しめる悪者がいるなら懲らしめる、それが私の騎士道だよ!
どの道先にバリアを張られちゃうなら覚悟を決めよう
ICのポーズで構えて相手が準備を終えるまで動かないよ
騎士道に則って正々堂々と勝負!(UC発動条件)
敵の攻撃は極力剣で受け間に合わないのは手袋に魔力を込めバリア
大振りな攻撃はダッシュで回避
こっちの攻撃は氷と土の首優先
UCで上がった身体能力でバリアを破るよ
斬るのと同時にバリアを張り氷+土→炎+雷+光→毒+水+闇の優先順位で防御
凍って動けなくされそうな氷+土のバリアが最優先
防ぎ切れなかった分は自分を鼓舞して勇気と気合と激痛耐性で頑張る
ユヴェン・ポシェット
帝竜ヴァルギリオス…遂に此処まで来たのか
あのバリア、厄介だな。
バディペットの大鷲「タイヴァス」により空中から移動。その間タイヴァスに攻撃がいかない様、動く方向の指示をすると共に、手には布の盾「sateenkaari」を広げて、避け切れない攻撃は自身が受け持つ。
帝竜より高く高く、上を目指して。タイヴァスを守り切るなら俺は攻撃を受けても構わない。
何故なら
砕かれれば砕かれるほど俺の体は刃になるから。
UC「revontulet」を使用。
砕け自身から離れていった欠片達が宝石の雨となり降り注ぐ。
このままバリアの破壊、そのまま帝竜への攻撃を試る。
そのまま、帝竜のどれか頭を目指し星剣「tähtinen」で攻撃
グァーネッツォ・リトゥルスムィス
最も強いだけで敵無しではない
オレがお前の敵の勇者になってやる!
毒にするバリアには武器にオレの活力を籠めた毒に耐えるオーラで包んで武器受けしつつ迎撃
反射し燃やすバリアには小刻みにダッシュして残像を生んで囮にしつつ樹を掘って退避
凍結するバリアには寿命を削る覚悟で鼓動を高め氷結の耐性を高め怪力を活かしたグラップルで経戦するぞ
敵の先制の隙を見切り防御から一転UCで大量の竜巻を生み出し
オレ自身も竜巻の風力で浮いて反撃開始だ
毒は吹き飛ばし凍結は竜巻が凍り付く前に更に竜巻を加勢させて相殺だ
攻撃を反射……なら吸込む風向きの竜巻にはどうなる?
限界突破で吸込み回転し反射によって吸い込まれたら燃える竜巻で突撃だぜ!
ナハト・ダァト
サテ、君ノ弱点
こノ叡智デ、証明しようカ
対策
先手の毒、水、闇のバリアを庇う形で受け止める
その後、タールの液体純度を水に合わせてバリアの内に溶け込み
闇属性は闇に紛れる技能で自身の力へ
毒に対しては、ドーピング、限界突破、継戦能力を使いながら
世界知識、情報収集、医術、早業で抗体を作って相殺
「トラップツールⅡ」、武器改造でバリアを体に馴染ませたら
敵を盾にする、シールドバッシュ技能でその他のバリアの相殺に掛かる
炎、雷、光のバリアへ2番目にぶつかり
尚燃える体を、氷と土のバリアへぶつける
相殺後、弱点を実証した事でユーベルコード発動
君ノ弱点ハ
互いヲ殺し合ウ事ダ
まるデ蠱毒…いヤ、孤独だネ
緋月・透乃
こいつが最強の帝竜かー。
最強らしく堂々としてるし強そうな雰囲気がめっちゃでてるね。こりゃ楽しい戦いができそうだね!
私は近接攻撃が得意なのに触るとやばいバリアとは厄介だねぇ……これは破りがいがあるね!
力ずくでバリアを破壊しようと思うけれど流石に手に持った武器での攻撃は自分にも影響でそうだね。
そこで、敵のもとへ突撃しつつまずはシンカーキャロット投げつける。多分バリアで反射されるからそれを重戦斧【緋月】で受け止めつつ更に突撃し間合いを詰める!そして怪力全開でバリアが破れるまで斧越しににんじんを押し込み続けるよう!
破れたら勢いを殺さずに罷迅滅追昇を叩き込むよ!
白斑・物九郎
【エル(f04770)と】
●POW
ワイルドハント、白斑物九郎
アックス&ウィザーズのフォーミュラを狩りに来た
●対先制
属性あれやこれやマシマシってカンジっスね
さぞや精密に制御してるんでしょうわな
だってんなら、一丁ジャミングしてやりまさァ
・フォースオーラ『モザイク状の空間』を薙ぐように投射(なぎ払い+投擲)
・言わば混沌属性、モザイク模様でバリア内の属性の概念を【蹂躙】し掻き乱す
●反撃
・エルの差配する空間転移に乗り【野生の勘】を働かせつつ接近
・エルの【狩猟の魔眼と砂嵐の王】後に【砂嵐の王と狩猟の魔眼】発動(2回攻撃)
・敵コード封印の魔鍵を「一撃目」に定義
・封印ざま高火力の「二撃目」を叩き込む必殺の連携
エル・クーゴー
【物九郎(f04631)と】
●POW
これより、敵性の完全沈黙まで――ワイルドハントを開始します
●対先制
・敵のウォールへ渾身の電脳魔術で【ハッキング】を敢行
・毒に炎を衝突させ消毒を
・水に氷を衝突させ氷結による水の不全、氷属性への偏りを
・闇に光を衝突させ相殺を
・雷に土を衝突させアース作用による拡散を
・敵バリアの弱体ないし機能不全を狙う
●反撃
・物九郎に先んじて【狩猟の魔眼と砂嵐の王】発動
・「ウォールには相反する属性が包含されてもいるだけに、統御をしくじれば機能不全を起こしかねない」という点を先の対先制を以って弱点指摘/実証とする
・空間転移“門”の出現位置/座標を制御し、物九郎を絶好の位置へ送り込む
ハロ・シエラ
例え相手が無敵の障壁を持っていたとしても、退く訳には行きません。
厄介な能力ですが【勇気】と【気合い】で突き進みます!
とは言えそれだけでは敗北は必至。
まず毒蛇の宿るダガーの力による【毒耐性】で毒に耐えます。
また、レイピアに宿るスピリット・オブ・ファイアの炎を燃え上がらせて炎の【属性攻撃】を帯びた【オーラ防御】で氷結を防ぎます。
毒と火傷の痛みは【激痛耐性】で我慢ですね。
そうして敵の攻撃を【見切り】避けながら、攻撃を反射するバリアを抜ける位置を【第六感】で感知したら反撃開始です。
密着する程の至近距離で殴り付け【全力魔法】のユーベルコードで爆破します。
ぼろぼろになっても、ほんの少しでも構わない。
届け!
続けてヴァルギリオスへと仕掛けたのは、ミニス・クラインシュテルンとグァーネッツォ・リトゥルスムィスの二人だった。
「最強だろうと何だろうと関係ない。そこに人々を苦しめる悪者がいるなら懲らしめる、それが私の騎士道だよ!」
「お前が最も強い竜であっても、敵無しというわけではない! オレがお前の敵の勇者になってやる、ヴァルギリオス!」
赤いマントを翻らして走るミニスに、竜骨の大斧を担いで並走するグァーネッツォ。
真正面から立ち向かってくる二人の猟兵へ、ヴァルギリオスは高笑いした。
「ひねり潰してやろうぞ、猟兵!」
八つ首の力を解放し、三種のバリアを纏うヴァルギリオス。
「来たね! でもこっちも覚悟は決まってる!」
「オレたちも全力でぶつかってやるぜ!!」
ミニスが地面に剣『ポラリス』を突き、その柄に両手を置いて敢然と立てば、グァーネッツォは大斧『ナチュラルアックス』に闘気をこめる。
小細工はない。
二人がとった作戦は同じ――清々しいまでの正面突破である!
「消えるがいい!!」
ヴァルギリオスの爪が振り下ろされる。
「そうはいくか!」
「正々堂々、勝負だよヴァルギリオス!」
得物をふりあげ、バリアを纏った爪を防ぐグァーネッツォとミニス。武器を伝ってその身が毒に侵されるが、二人は構わず前に踏みこんだ。
「厄介なバリアは破らせてもらうよ!」
赤い羽根つき帽を押さえながら、天高く跳躍するミニス。相手の攻撃を待ち受け、騎士道精神を体現したことで強化された肉体で、氷結のバリアを斬りつけた。
一気に腕の感覚が消える。凄まじい凍気にみるみる凍りついているのだ。
「さすがは最強の竜だね……でも負けるわけにはいかないよ!」
精神を励起し、ミニスが炎熱のオーラを張り巡らせる。そうして凍結を免れた腕でポラリスをもう一振りすれば、氷結のバリアは上下に切り裂かれた。
「ほう、気合は見事だ。しかし無駄よ!」
わずか驚きを口にするヴァルギリオスから、氷と土の力が溢れだす。
破れたバリアはみるみる復元しようとしていた。
しかし、完全復元する前にグァーネッツォが突っこんだ。
「そうはさせないぜ、ヴァルギリオス!!」
無数の竜巻を伴い、空中から飛来するグァーネッツォ。自らの体さえ浮かすほどの暴風の力で猛毒のバリアを吹き飛ばし、氷結のバリアを粉砕する。
そして光り輝くバリアを前にして、グァーネッツォは新たな竜巻を差し向けた。
「反射するなら、吸いこむ風はどうなる?」
「!?」
回転する嵐が周囲を吸いこみ、ヴァルギリオスの体を引き寄せる。
バリアに風が触れる。その瞬間、竜巻が燃え上がり、ヴァルギリオスは逆巻く業火のうちに取りこまれた。
「ぐっ、小賢しい真似を……!」
「炎の竜巻の味、しっかり味わうといいぜ!」
燃え上がる炎から弾かれた火の粉が、空に舞って消えてゆく。
大鷲『タイヴァス』の足につかまって上空を飛んでいたユヴェン・ポシェットは、吹き付ける熱風に眼を細めた。
「激しいな……だが高みの見物はしていられない。行くぞタイヴァス」
一鳴きした大鷲が旋回する。
ユヴェンの指示に従うタイヴァスは飛翔を続け、ぐんぐんと天空へと昇った。
「頭上を取るつもりか。ならば撃ち落とすまで!」
未だ炎に巻かれながらも、ヴァルギリオスのいくつかの首が空へ向く。
稲妻、閃光、天を衝く柱のようなブレスがタイヴァスを狙った。
被弾すればタイヴァスが墜落するのは必至。ユヴェンは首に巻いていた布の盾『sateenkaari』を外し、昇りくるブレスを受け止める。
防ぎきれぬ雷撃がユヴェンの脇腹を、脚を撃つ。オパールの身体が砕け、中空に放り出された破片がキラキラと輝いた。
「墜落を免れるために己が身を犠牲にするとは、滑稽だな、猟兵」
「そうか。滑稽か」
ヴァルギリオスの嘲笑に重なる、ユヴェンの微笑み。
そのときだ、光が降った。
「ぬっ……! これは!?」
降りそそぐ光に撃たれたヴァルギリオスが、自身の体を見てそれの正体に気づく。
光に見えたのは宝石だった。砕かれたユヴェンの欠片が弾雨となって、バリアを貫いてヴァルギリオスに撃ちこまれていた。
無論、反射バリアによってユヴェンも被弾している。だが体が砕けるほど宝石弾は数を増やし、更なる猛威となってヴァルギリオスを蜂の巣にした。
「いちおう訊いておこう、帝竜ヴァルギリオス。まだ滑稽に見えるか?」
「これはまた、鬱陶しい技を使うものだ……!」
猟兵の攻撃は着々とヴァルギリオスの力を削っていた。
だが依然として最強の帝竜が地に伏す気配がないのも、また事実だった。
「さすが最強の帝竜。こりゃ楽しい戦いができそうだね!」
ヴァルギリオスを見やる緋月・透乃が、重戦斧【緋月】を振り構える。
最強の竜――その力は如何ばかりかと期待する女の声は弾んでいた。
「この戦争で対峙したどの帝竜よりも強い……それは間違いないでしょう」
炎を纏うレイピア『リトルフォックス』を抜いて、ハロ・シエラが零すように答える。
ヴァルギリオスの強さは疑いようもない。
だが、だとしても、ハロの瞳には微塵の怯みもなかった。
「ここで、討ちます!」
「剛毅よな……しかし貴様らの攻撃、余に届くか?」
嘲弄するように言い放つなり、ヴァルギリオスの体をバリアが覆う。
凍気を発し、毒々しい闇を零し、或いは鏡面のごとく輝く三種のバリアに守られた竜はそのまま透乃とハロに向けて吶喊してきた。
「いかにも触るとやばそうなバリア……これは破りがいがあるね!」
「例え無敵の障壁だとしても、退く訳には行きません!」
迫りくる帝竜の巨体を見上げて――二人は後退しない。
バリアがもたらす毒がハロの全身に回ろうとする。だがハロは毒の短剣『サーペントベイン』の加護で毒に耐え、続けてレイピアに宿った炎を燃え上がらせ、炎熱のオーラでその身を覆った。
「凍らせると言うならば、熱を帯びればいいだけのことです!」
「無駄な抵抗を……」
「無駄かどうかは、まだわからないよー!」
ハロに加勢する形で、緋月を振りかぶって突進する透乃。
――が、そのまま戦斧を叩きつけることはなかった。
「ひとまずこれをくらえー!」
透乃がどこからともなく取り出したのは――巨大な人参『シンカーキャロット』。
それを投石よろしく全力でぶん投げてきたのだ。
当然、人参はバリアに当たって跳ね返され、ぐんぐんと投げた本人の透乃に迫る。
そこへ、透乃は戦斧を振るった。
「反射されるのは織りこみ済み!!」
戦斧の刃がシンカーキャロットを捉え、勢いのままバリアへとぶつかる。
そうして、透乃は怪力をこめた。戦斧に押しこまれた人参がバリアにめり込んでゆく。
「間に挟めば、すぐには毒も凍結も受けないよね!」
「貴様……!」
透乃を薙ぎ払おうとするヴァルギリオスだが、遅い。
押しこみきった戦斧がバリアを破ると、透乃は雪崩れ込む形でタックルをぶつける。そして下から振り上げた一撃でヴァルギリオスの体を縦に切り裂いた。
「ぐくっ……!?」
ゆらり、と足元を揺らすヴァルギリオス。
そこへハロが突っこんできた。透乃が打ち破ったバリアの穴を通り、触れえるほどの至近距離に潜りこむと、拳にすべての魔力を凝縮する。
「これが私の……猟兵の力です!!」
打ちこまれる拳。
魔力が爆炎を噴き、ヴァルギリオスの体が大きく傾ぐ。
「余を揺らがすだと……? そんな馬鹿なことが……!」
大爆発の衝撃が未だ冷めやらぬ、戦場。
そこへ降り立ったふたつの人影は――目つきの悪い色黒キマイラと、清々しいまでに無表情をキメこんだ武装ミレナリィドール。
白斑・物九郎とエル・クーゴーの二人だった。
「さて、アックス&ウィザーズのフォーミュラ狩りといくっスかね」
「これより、敵性の完全沈黙まで――ワイルドハントを開始します」
からんと下駄を鳴らす物九郎が前に出て、エルが目元を覆う電脳ゴーグルを起動する。
対するヴァルギリオスは、纏わりつく爆破の煙を翼で払い飛ばして笑った。
「余を狩る? 面白い。どちらが狩る側であるかを教えてやろう!」
体を覆うバリア群を活性化させたヴァルギリオスが、物九郎たちを圧潰せんと前脚を振り下ろす。
しかし巨大な影を落とされながら、物九郎は不敵に笑った。
「いやァその属性マシマシな贅沢バリア、さぞや精密に制御してるんでしょうわな。だってんなら、一丁ジャミングしてやりまさァ」
物九郎の腕がモザイク状に歪み、上方へ振り上げられる。するとモザイクは投げ飛ばされたかのように空間を進み、ヴァルギリオスのバリアにぶつかった。
その瞬間、バリア全体がモザイクと化し、不気味に膨張と縮小を始める。
「余のバリアが、狂っている……!?」
「引っ掻きまわすのは得意なんでさァ。言わば俺めの混沌属性。あとそれから――」
物九郎が、ちらりと後方のエルを振り返る。
エルはわかっているとばかりに手であしらう仕草をすると、電脳コンソールを展開。電脳ゴーグルで分析情報を閲覧しながら指を鮮やかに、高速に滑らせる。
さて、閲覧した情報とは何か。
「ハッキング完了。これより相互干渉を行い、バリアの機能を停止させます」
物九郎に狂わされていたバリアが、今度は互いに打ち消しあう。
毒を炎が、水を氷が、雷を土が、闇を光が、それぞれがそれぞれに干渉した。
そして気づけば、ヴァルギリオスは裸であった。
「馬鹿な……!!」
「多属性が複合したウォールは相反する属性も含むため不安定。統御をしくじれば機能不全を起こしかねず、万全の守りとは言えません」
つらつらと言い放つエルが、その実証をもってユーベルコードを発動する。
コンソールが指を滑り、物九郎の姿が空間の裏側へ消失する。
同時にエルはヴァルギリオスの後ろへ『門』を展開。ぽっかり空いた空間の孔から飛び出すのは――言わずもがな物九郎である。
「背後、とったっスわ!!」
「くっ!?」
「遅えっ!!」
素早く振り返るヴァルギリオスだったが、物九郎の攻撃のほうが速い。自分へ向く竜の横っ面を魔鍵で殴りつけると、物九郎はエルに視線を飛ばした。
「でっけぇ花火、頼むっスわ!」
「了解です」
エルの首肯に合わせて、天空から無数の砲火が閃く。
雨と降る銃弾がヴァルギリオスの体を穿ち、爆撃が表皮を砕き、焼き尽くしてゆく。
「ぐ……オオオォォォォ!!!」
「サテ、君ノ弱点。こノ叡智デ、証明しようカ」
爆撃の余韻。土煙の舞う戦場へ降り立ったのは――ナハト・ダァト。
ローブにその身を包んだブラックタールを認めるなり、ヴァルギリオスは咆哮とともに立ち上がり、破られた三種のバリアを再び張りなおした。
「……させぬ! 同じ過ちは、犯さぬわ!」
ナハトが動きを見せる前に――と、尾を振り抜くヴァルギリオス。
直撃。強烈に打たれたナハトが、風にあおられた紙屑のように舞い上がった。
――ように見えた。
「フム。第一段階は完了だネ」
「……!?」
ナハトの声に驚いたヴァルギリオスが己の尾を見る。
尾に、液状の体を露にしたナハトがしがみついていた。ヴァルギリオスが攻撃して打ち上げたのはナハトの着たローブだけだったのだ。
「貴様、どうやって余のバリアを……!」
「私ハ液体だかラネ。バリアの水属性ニ溶ケコマセテもらっタヨ」
驚く帝竜へナハトは事もなげに言った。無論、ブラックタールというだけでできる芸当ではない。闇を己に取りこみ、毒を瞬時に解毒する知識があってこそだ。
しかも、ナハトの策はそれだけではない。
「デハ、二枚目三枚目モ抜くとシヨウカ」
敵のバリアと同化した体で、バリアにぶつかるナハト。炎や光のバリアを水や闇の力で斬りぬけると、そのまま燃え立つ体で氷結のバリアをも相殺する。
そうして、ナハトはヴァルギリオスに触れていた。
「……!」
「君ノ弱点ハ互いヲ殺し合ウ事ダ。まるデ蠱毒……いヤ、孤独だネ」
無敵のバリアの弱点。それを実証してみせたナハトが肩を竦めると同時、蠢く触手がヴァルギリオスを絡めとり、動きを封じるのだった。
大成功
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フローズヴィトニル・ヒースハイデ
(アドリブ、マスタリング歓迎)
_
…帝竜、『ヴァルギリオス』。
只其処にいるだけで心臓が圧迫される様な、凄まじい威圧だった。
だがそれが何だという。
背筋は変わらず凛と伸ばし、
膝を恐怖に震わせることもなく、
視線は逸らすこともない
唯、真っ直ぐに、見据える。
「…成る程」
"王"殺しか。
──承った。
▼戦闘
奴の先制攻撃を逆手にとる
あえて敵の攻撃を真正面から受け
それと同時にユーベルコード『魍魎』を発動
「──残念だったな」
そして微笑み、一つ。
そっくりそのまま返してやる。
埃を払う様剣を抜き
黄昏の眼差しは確かに竜を射抜く。
さあ──反撃の時間だ。
「……ならぬ、ならぬ、ならぬ!!」
天まで響く竜の咆哮。
滲むのは怒りだ。あろうことか自分が猟兵に追いこまれつつある。
――それを許せぬ帝竜の体に、八つの属性が迸る。
「余に敗北などない! 余は最強、余こそが最上なのだ!」
もとより凶悪だった尾が、鱗が、翼が多属性をまとって更なる禍々しさを得る。
「……帝竜『ヴァルギリオス』。凄まじい威圧だな」
眼前の威容に眼をすがめて、黒ずくめに身を包む人狼――フローズヴィトニル・ヒースハイデが小さく零す。ただ対しているだけで心臓を潰されるような、そんな感覚を彼は覚えていた。
だがそれほどの敵を前にして、フローズヴィトニルはいつも通りだった。
ただ凛然と背を伸ばし、見据える。
骸に変えるべき『敵』を。
「“王”殺し――承った」
「貴様に、余が殺せるか!!」
憤怒の声が降り、ヴァルギリオスの翼が薙ぐように振るわれる。
翼は棒立ちのフローズヴィトニルに直撃した。
しかし、フローズヴィトニルの両の脚は、地を捉えて動かなかった。
「──残念だったな」
ひとつ、優美な微笑みを浮かべる。
次の瞬間、ヴァルギリオスの体を薙ぎ倒された衝撃が襲う。耐えきれず地を転げる帝竜にもたらされたのは、紛れもなく己が放ったはずの攻撃だ。
「こ……れは!?」
「さあ──反撃の時間だ」
当惑するヴァルギリオスを、ユーベルコードで返した翼の一撃で倒した竜を黄昏の眼に捉えながら、フローズヴィトニルが剣を抜く。
そのまま音もなく振るわれる刀身。
それは当たり前のように、ヴァルギリオスの鱗を切り裂いていた。
大成功
🔵🔵🔵
セリオン・アーヴニル
お前の『物語』は、ここで終わりだ。
事前に目立つ色の投擲ナイフを数本用意。
予め尾、鱗、翼、首がそれぞれどの方向から攻撃するか予測し、各部位から連続攻撃が来る事も考慮に入れ【第六感】も頼りに予備動作から攻撃の軌道を【見切り】先制攻撃を回避。
また人形を開戦直後に突貫させ、可能なら先制攻撃の対象を人形に向ける。
その後敵状態に応じ、呪縛なら攻撃重視、他は持久戦で戦闘。
遠距離攻撃で攻撃を行いつつ、掠めたり弾かれた銃弾や投擲ナイフを『視認対象』としてUCを発動。
瞬時に位置を交換し、近接武器による不意を突く一撃を与え、即座に離れた別の物体と再度位置交換し回避か次の攻めに繋げる…という変則攻撃で攻め立てようか。
ウィユ・ウィク
SPD
超強化は自身の体にも負荷がかかるみたいです?
それならはじめはこちらの攻撃が届かなくても良いのでしっかり距離をとりつつ回避に専念しましょう。
カタストロフは迫ってきていますが、焦りは禁物です!
持ち前の素早さと【逃げ足】【聞き耳】【野生の勘】等の回避向き技能でヴァルギリオスさんの攻撃を躱します!
代償のある力を使い続ければ、どこかで綻びや隙が生まれる筈です!
代償や味方によってチャンスが生まれたら反撃です!
【ダッシュ】【目立たない】【忍び足】等の奇襲向き技能で一気に距離をつめて、温存しておいた【くろねこさんとあおつばめさん】を呼び出して近距離からの総攻撃です!
(アドリブ・共闘・掛け合い歓迎です!)
「不覚をとったか……ぬぅっ……!」
両断された傷を覗いたヴァルギリオスの体勢が、傾ぐ。
避けた傷からは多くの血が流れ落ちていた。斬られたことを考えれば当然だが、最強の竜が一太刀でそれほどのダメージを負うというのも腑に落ちない。
――と、ウィユ・ウィクは思った。
「あの強化状態は自身の体にも負荷がかかるみたいです? ならしっかり距離をとって回避に専念するのがよさそうですね」
「確かにそうみたいだな」
黒い猫耳をぴこぴこさせて思案するウィユに同意したのは、セリオン・アーヴニルだ。
億劫そうにヴァルギリオスの首たちを見上げて、セリオンは投擲用ナイフを手元でくるりと遊ばせる。
「勝手に倒れてくれるのを待ってみるか」
「余と戦わぬとは賢明よ。もっとも逃げられればの話ではあるがな!」
八つ首が獰猛に牙を剥き、ヴァルギリオスが動く。
横薙ぎに振られた尾が炎弾を散らし、羽ばたかせた翼が光のレーザーを放射する。
「来ました……!」
「奴が先か俺たちが先か、持久戦ってところか」
飛んでくる炎を、光を、散開して避けるウィユとセリオン。猛追してくるヴァルギリオスが尾から放つ雷撃もかわして、二人は敵を挟む形で向かい合わせに位置取りした。
「そう簡単には当たりませんよ、ヴァルギリオスさん……!」
「速い……がどうにもならないレベルじゃないな」
「笑わせる。その言葉が真実か、証明してみせよ!」
吼えたてるヴァルギリオスの連続攻撃がウィユへ放たれる。
しかし振り下ろした爪は地面を抉り、崩す。猫らしい機敏さと野生の勘で動き回るウィユは、右へ左へ軽やかにヴァルギリオスの追撃をかわしてみせた。
「よく動きよる……ならば!」
反転したヴァルギリオスが、視界にセリオンを捉える。
だが振り回す尾も、噛みつかんと下ろす無数の首も、セリオンを捕まえられない。敵の体勢から予備動作までを瞬時に掴んだセリオンはすべてを紙一重で回避していた。
「余の攻撃が当たらん、だと……!」
「最強、も大したことはないな」
攻撃の間隙を突いたセリオンが、ナイフを投げ放つ。鮮烈な赤の柄が目立つナイフはしかし、硬き鱗に弾かれてしまう。
それしきが効くものか、とヴァルギリオスは一笑に付した。
セリオンは――消えた。
「どこを見ている?」
「!?」
ヴァルギリオスの背後で、声がする。振り向けば中空にセリオンがいた。
蒼黒魔眼――互いの位置を換えるユーベルコード。その力で投擲したナイフと入れ替わったセリオンは槍剣『オルファ』をヴァルギリオスのがら空きの背に突きこんだ。
「ぐっっ……!?」
「お前の『物語』は、ここで終わりだ」
言下、ユーベルコードで転移して消えるセリオン。
どこへ――とヴァルギリオスは八つ首を巡らした。そしてその一瞬で気づいた。
己の足元、腹の下までウィユが接近していたことを。
「こいつ、いつの間に……!!」
「くろねこさんとあおつばめさん! おねがいします!!」
ウィユの呼び声に応じて、黒猫と青燕の群れが現れる。ウィユと一丸となって黒猫と青燕はヴァルギリオスに殺到して、次々と隙だらけの腹に突撃した。
「ぐっ、オオオオ……!?」
「さあ、どんどん攻撃しちゃいましょう!」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アリス・セカンドカラー
完全体ねぇ、でも、反動はあると。
では、その反動である毒を念動力でハッキングし毒使い&罠使いの呪詛で強化、その反動の毒を用いて【炎と水と雷の尾】【土と氷と毒の鱗】【光と闇の翼】の強化を略奪し反転属性攻撃でその身を蝕む毒へと反転させましょう。
ま、完全には反転できないわよね。でも、僅かでも時間稼ぎできれば充分よ。
不可思議体(10の64乗)の我が残機、秒間万を消費されようが充分な貯蔵があるわ。というわけで、『帝竜ヴァルギリオス』を全力魔法の多重詠唱で男の娘属性攻撃の呪詛で男の娘化デバフをかけ、目立たない存在感のオーラ防御の隔離結界に連れ込み情熱ダンスでおいしく料理してエナジーを捕食するわ♡
「ふむふむ完全体ねぇ」
轟音鳴り響く戦場へ降り立って、アリス・セカンドカラーは闘気漂わす帝竜を見る。
「でも、反動があるならやりようもあるわね」
「また新手が来たか!!」
鱗に生じる毒気を爪の先に集めて、ヴァルギリオスがアリスに叩きつける。
だが、アリスは潰れはしない。するりと避けて爪の上に乗ると、そっと指先で触れて自分の魔力を送りこんだ。
「ぐ、うっ……!?」
「毒をハッキングさせてもらったわ☆」
暴走する毒気に侵され、ヴァルギリオスが苦悶する。ユーベルコードの反動と一体となった毒は、水の波紋のように一気に全身へ浸透した。
しかし、忘れてはならない。
敵は最強の竜なのだ。
「自らの力で斃れるほど……余は愚かしくはないぞ!」
裂帛の咆哮で、体を巡る毒気を解消するヴァルギリオス。差し向けた首から無数のブレスを放てばアリスの体は一瞬にして消滅した。
見紛うことのない死――と思えるだろう。
「ふぅ、危なかったわ」
「!?」
しかしアリスは平然と生きていた。
加えて、アリスはヴァルギリオスがどれほど攻撃をぶつけても、やはり何事もなく生きていて、そこかしこに姿を見せるのだ。
「貴様、どうなっている!」
「ふふふ。わたしの残機はたくさんあるのよ。秒間一万回とか死んでも余裕♪」
「残機? 何を意味のわからぬことを――」
「さ、それじゃヴァルギリオスたんを男の娘にしちゃおうかしら❤」
不穏なことをのたまうアリスが詠唱を始め、謎の結界を作り出す。
そっからアリスさんが何したかはご想像にお任せしときますね。
大成功
🔵🔵🔵
ガーネット・グレイローズ
ついに現れたな、最後にして最強の帝竜、ヴァルギリオス。さて、決着をつけようか!
先制攻撃
ヒーローカー『BD.13』に乗って出撃。電撃作戦が可能なように、〈メカニック〉技術でマシンを予め調整しておく。己の度胸と〈運転〉テクを信じ、アクセルを思いきり踏み込んで〈限界突破〉!撃ち出されるブレスを掻い潜り、ヴァルギリオスの元へ! ユーベルコードは敵の強化を強制解除する終末異界兵器「XIV:節制」を選択。車体を槍に換えて飛び乗り、〈念動力〉で突撃!奴の首のひとつ、そのさらに小さな鱗の一枚でも貫くことができれば御の字だ。奴のバリアも、翼に宿した光も闇も、この魔槍で貫いて強制的に解除させてやるぞ。
カシム・ディーン
共闘希望
最強の帝竜…ええ…僕は知ってます
どれ程に恐ろしい存在であり…この世界で生きる者達を蹂躙せし暴君
…僕は勇者なんかじゃない
盗賊です
だからこそやることは一つ…奪い…喰らう(狂った笑顔
対Wiz
流石に避けるのは無理ですね…ならば…!
【情報収集・医術・視力】でブレスの方向性と肉体稼働からどう放たれるかを把握
【属性攻撃】
光闇炎で可能な限り相殺しダメージを減らし致命だけは避け切!
ヴァルギリオス…竜の王!
竜を倒すのは…勇者ではなく竜!
UC発動…!(相対する帝竜
八竜首に変じた帝竜眼から【溜め攻撃・二回攻撃】で強化した全属性ブレスを放ち距離を詰め
【盗み攻撃・盗み・捕食】によりその血肉を奪い喰らい尽くす!!!
「……僕は知ってます。最強の帝竜……お前がどれ程に恐ろしい存在であるかを……」
独り、ふらりと戦場に現れるのはカシム・ディーン。
未だ倒れず、健在なる帝竜の姿に、少年は歪んだように笑った。
「だからこそやることは一つ……奪い……喰らう」
「……喰らう? 貴様が余を喰らうと?」
ふはは、とヴァルギリオスの笑声がひろがる。
「貴様のような小さき者に……何ができる!!」
帝竜の八つ首が放つ多属性ブレスが、カシムに降りそそぐ。
避けようもない――一目でそう判断したカシムは、頭上から迫るブレスにウィザードロッドを掲げた。盾のように展開される光、闇、そして炎の魔力。
それらをぶつけ相殺させることで、ブレスの威力は弱まった。
しかし弱まっただけだ。
圧殺されそうな破壊力が体を押さえつける。腕が吹き飛ばされそうな衝撃に、カシムはまだ幼さの強い顔をひきつらせた。
「さすがは最強の竜……!」
「このまま、地の底まで落としてくれるわ!」
吐き出される多属性ブレスが、更なるプレッシャーでカシムに降りかかる。
けれどそのとき、横合いから凄まじい爆音が走ってきた。
「最後にして最強の帝竜、ヴァルギリオス! 討たせてもらおうか!」
改造エンジンの轟音をあげて疾走してくるのは――ガーネット・グレイローズの駆るクーペ『BD.13』だ。
流星のように飛んできた車へ、ヴァルギリオスが顔を上げる。
「また、分を弁えぬ者が来たか!!」
当然のように放出されたブレスが、ガーネットを歓迎する。
フロントガラスへ迫ってくるそれを見て、ガーネットはハンドルを切り、アクセルペダルを全力で踏みこんだ。眉ひとつ動かさずに。
「そんなものが、私に当たると思わないことだ!」
恐れ知らずの加速で、クーペがブレスに突っこむ。
改造して得た超馬力とガーネットの躊躇ないハンドリング。左右に大きく揺られながらも車は見事に無傷で危険地帯を切りぬけた。
そして勢いのまま、ガーネットはヴァルギリオスに突っこんだ。
「その首、もらい受ける!」
「!」
ユーベルコードを発動するガーネット。搭乗する『BD.13』が、その車体をまるまる魔槍に変える。穂先に飛び乗るなり念動力で軌道を操作し、ガーネットはヴァルギリオスの首のひとつを刺し貫いた。
「グ、ガッッ……!?」
貫通の衝撃に、のけ反るヴァルギリオス。
吐き出すブレスの威力も弱まる――カシムはのしかかるブレスを振り払って、その身を竜へ、帝竜ヴァルギリオスそのものへと変える!
「これは……余の姿だと!!」
「竜を倒すのは……勇者ではなく竜!!」
獲得した八つ首から、カシムの全属性ブレスが撃ちだされる。
ブレスはヴァルギリオスのそれとぶつかり互いに消失。
ヴァルギリオスは再びブレスを吐かんとして八つ首を前に向ける――が、攻撃を繰り出すまもなくカシムが至近距離まで迫っていた。
「……!!?」
「その血肉、喰らわせてもらう!」
帝竜に変じたカシムの八つ首が、ヴァルギリオスの八つ首に牙を立てる。
なすすべなく肉を喰いちぎられたヴァルギリオスは、夥しい鮮血を噴きながら、巨大な叫びをあげるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リゼ・フランメ
産まれながらに原罪を抱く私達の、贖罪の道行きは
幸せへと辿り着く為のもの
より暖かい所にいく為のもの
だからこそ、終わらせるなんて認められない
命が続き、辿る道は続き続けて、理想へと至る筈なのだから
「故に貴方の罪を、この炎の剣で裁きましょう」
カタストロフを望む罪は、如何なる炎で燃えるのか
張り巡らせるバリアは身を滑り込ませるだけの隙間を作れば十分
加えて複数の属性で成り立つなら、一つ破壊すれば構築するバランスは狂って壊れ、連鎖で崩れる筈
氷と闇を狙い、破魔、属性攻撃、焼却を乗せ、剣で串刺しを
残る属性と炎雷光の反射の負傷あれど勇気を以て踏み込み、巨躯を駆け上がり
断罪の天焔剣にて、その罪咎宿す瞳へと斬り込むわ
絶叫じみた、帝竜の咆哮。
その恐ろしい音色を聞きながら、リゼ・フランメは紅の瞳を倒すべき敵へ向ける。
「産まれながらに原罪を抱く私達の、贖罪の道行きは、幸せへと辿り着く為のもの。より暖かい所にいく為のもの。だからこそ――」
終わらせるなんて認められない。
リゼは確かな声で呟いて、『揺れ火の誓剣』を抜いた。
「貴方の罪を、この炎の剣で裁きましょう」
「余を……咎人と断ずるか……」
深く抉れた無数の首を力なく垂れさせながら、帝竜がリゼに正対する。
「ならば貴様の裁定ごと、葬ってやるだけよ!!」
気炎をあげるヴァルギリオスの巨体を、再び三種のバリアが覆う。
対するリゼは真正面から斬りこんでぶつかった。障壁に剣が止まる。だがリゼの腕は構わず剣を押しこむ。
「複数の属性というならば……」
剣を伝い、破魔と炎の力を注ぎこむリゼ。
伝わってゆく属性がバリアに作用し、バランスに偏りを生ませる。結果としてバリアにわずかな歪みが生じ、リゼはその歪みに強引に体を押しこんで潜りこんだ。
「バリアを抜け……!?」
「言ったはずです。私はあなたを捌くと」
赤き火焔を纏う剣を携え、リゼがヴァルギリオスの体を駆けあがる。
脚から胴、背、そして頭部へ移って――振りかぶった剣で帝竜の瞳を斬りつけた。
しかして瞳に傷はない。
だがヴァルギリオスは、首を振り乱して悶絶した。
「ぐおおおおっ!!?」
リゼの焔剣が切り裂いたのは瞳に宿る罪、そして深奥の霊魂。であればその斬撃に抗いようはなく、それは最強の竜とて例外ではなかったのだ。
大成功
🔵🔵🔵
ナイ・デス
【生命力吸収】して、疲労はない
『いつか壊れるその日まで』で再生済み。肉体的損傷もない
最強の一撃で、倒せなかったけれど
【勇気】それでも、諦めない
私も、まだ戦えます……!
【覚悟、限界突破】狙うのは前の一撃をこえた、喰らう光
ヴァルギリオスだけを喰らうように、制御して【零距離射撃】叩き込む
その為に【怪力ダッシュ】近づいて
【第六感】でタイミング【見切り】
【念動力】で、バリアに守られていない、ヴァルギリオスの足元を【吹き飛ばす】
タイミングよく足場破壊して、バランス崩し
バリアに手を
【激痛耐性、継戦能力】毒になっても、焼かれても、凍っても
構わず、バリアこえ、触れて
【鎧無視攻撃】『クラウモノ』
黒く強靭な鱗が剥がれ落ち、風に乗って世界樹イルミンスールの外へ消えてゆく。
ヴァルギリオスが朽ちていた。
「余が負けるか……最強たる余が……」
「この世界に、あなたの居るべき場所は、ありません……!」
虚ろに言を零す竜の前に立っているのは、またもナイだ。
その体は崩れ始めたヴァルギリオスと対照的に、損傷ひとつない。ヴァルギリオスから吸収した生命力とユーベルコードで再生したヤドリガミは白い輝きさえ発している。
対峙する、黒竜と白器。
ヴァルギリオスは、笑った。
「貴様らが上回った。ならば結末は変わるまい……だが! 大人しく受け入れる理由もないわ!!」
朽ちかけの体に再びバリアを張り巡らし、突撃してくるヴァルギリオス。
迫りくる巨躯。
対するナイもまた――吶喊した。
蹴りつけた足が地を砕き、風を切る。
凄まじい速力で進むナイの小さな体は、ヴァルギリオスの振るう爪の連撃をかわし、するりと足元に滑り込んだ。
「速い……!」
「それだけじゃ、ないです!!」
ナイの瞳が赤く輝き、念動力が奔る。
ヴァルギリオスの足元が隆起し、噴火するように爆発を起こした。
ぐらり。傾いた巨体がバランスを失い、横に倒れる。
「っ……!?」
「いきます……!」
バリアに手を伸ばし、体ごとぶつかるナイ。
灼熱に手が焼かれる。
猛毒が腕を上る。
首まで凍結した体はもう何も感じない。
それでも、ナイは進んで――。
「これで終わり、です!!」
「ッッッ!!?」
伸ばした指先が、ヴァルギリオスに触れた。
刹那、眩い白光が迸る。
光は急速に膨張し、ヴァルギリオスの巨大な体を一瞬にして飲みこみ、そして生命を――『生きるべき時間』を簒奪した。
「こ、れ……は…………――」
「骸の海に、還ってください……」
ナイの放つ光がやみ、ヴァルギリオスの体が動きを止める。
それはまるで抜け殻のように――彫像のようにしばらく残って。
そして、やがて、風に晒された灰のように、崩れ去ってどこかへ消えた。
大成功
🔵🔵🔵