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炎虎水龍決戦

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「緊急事態だ」
 ヘクター・ラファーガはドンッと持ってきた資料を演壇に乗せ、集まった猟兵たちに真剣な眼差しを向ける。
「もう一度言うぜ、緊急事態だ。アックス&ウィザーズの世界で、ある魔物たちが喧嘩をおっぱじめやがった」
 大型モニターに出力されたのは、炎の群れと流水でできた大蛇が対峙している光景。
 ボタンが押され、動画が再生される。
 炎の群れ……“炎の精霊”の大軍は高らかに朱色の煌めきを放つ。対して流水でできた大蛇……“水の大蛇”はとぐろを巻き大軍へ向けて顎を開き轟く。映像は互いが発したものによってノイズが走り始め、そこから何も映らなくなった。
「周囲に村や街はないから人的被害はない。ただ、ほっといたらそのうち災害になる。コイツはそんなレベルの喧嘩なんだ」

「……原因はこうだ。まず最初に、この映像が送られた前日に噴火があった」
 山頂を分断するようにラインを引いたマグマ。そこから大量の炎の精霊が這い出る光景。
 モニターに映されたこの写真に、ヘクターは炎の精霊が映る箇所を丸でマークをする。
「コイツらは別に増えても問題ない。今までもこうやって個体数を増やしてきていたのはあっちの世界でも観測されてたからな」
 持ってきた資料をめくりながら、ヘクターは続ける。
「ただ今回は溶岩が流れた方向が悪かった。コイツを見てくれ」
 映像が切り替わり、空中から撮影された火山と、緑と茶色の斑点模様……広い湿地帯の衛星写真が映し出される。写真がコマ送りで流れだし、まず噴火のシーンが流れる。火口からマグマが流れ出し、それは扇状に広がりながら湿地帯へ流れ込んでゆく。だが不思議なことにマグマは冷えることなく真っ赤なままで、さらに湿地帯から肉眼で確認できるほど太く青い毛玉のような影が映し出される。
「こんな感じで、運悪く湿地帯に炎の精霊がぽこじゃが生まれるマグマが流れちまった。おかげでそこから生まれた炎の精霊は皆縄張りに入り込んだ判定を大蛇からくらって、そんで同胞を殺された怨みが他の炎の精霊にも伝播して……こうなった」
 もう滅茶苦茶だ。と、ヘクターはアックス&ウィザーズ世界を観測した記録を見ながら呆れた。
 千年に一度起こると言われている大災害『炎虎水龍決戦』。
 炎と水のせめぎ合いが起きたその翌日に大洪水を起こすほどの大雨が降り、辺り一面を更地にしてしまうというもの。前回それが起きた記録のある座標は、奇しくも今作戦で突入する座標と同じだった。
 平坦な地にそびえたつ火山。その隣に佇む湿地帯。どちらも自然に生まれたとはいえ、運命としか言いようがない。

「というわけでだ。まずは先に炎の精霊たちを鎮めて欲しい。炎の精霊の原動力は"熱"だ。だから、その"熱"を封じる手段があると結構楽になると思うぜ」
 先に炎の精霊たちがいる火山へ赴き、激化した炎の精霊を鎮圧。巣たる火山に何者かが侵略していると気付けば、水の大蛇へ進軍している炎の精霊もこちらへ戻ってくるだろうという算段だ。
 目的は激化している炎の精霊をできる限り多く鎮圧し、水の大蛇との戦闘に備えること。
「巣の中に飛び込んで大暴れするんだ。個体差があるとはいえ、一体でも苦戦するくらい強い。だからペアを組むか、冷気や水とか使ってまとめて一掃するのをオススメするぜ」

「で、本命の水の大蛇なんだが……コイツは相当硬い。どう硬いかというと、表面が激流で覆われてて、まず普通の攻撃が通らん。全部流水で弾かれちまうし、そこに手でも突っ込めば切れる。高水圧のヴェールを纏ってるとでも言えばいいか」
 水の大蛇は湿地帯から動くことがないため、そこへ出向く必要がある。周囲は沼やぬかるみ、長い草むらで埋め尽くされており、地の利では水の大蛇が圧倒的に有利だ。誘導もできないため、そこでの戦闘を余儀なくされるだろう。
「船を出せばいくらか楽になりそうだが、さっきも言ったようにヤツは高水圧のヴェールを纏ってる。だから近づかれると一瞬で終わる。そこら辺はじっくりと考えてくれ」

「説明は以上だ。何かあれば後で俺んところに来てくれ」
 資料を閉じ、ヘクターは猟兵たちにそういえばと伝えるべきことを言う。
「本作戦で突入する座標なんだが、そっから10キロメートル圏内に村や街はない。そんで長期戦を予想してるから、滞在時間も長い」
 スッと、彼は持ってきた白い筒のようなものを取り出した。
「もしも時間が余ったら天体観測しようぜ」


天味
 天味(あまみ)です。
 二作目は火と水のぶつかり合い、矛と盾のぶつかり合いです。
 前作のリプレイを書いている途中、アックス&ウィザーズ世界の物語を書きてぇなぁ……けど集団戦もやりたい。という気持ちが湧きだし、このような形で最初手から集団戦を行うシナリオができました。

 先述の通り、今回は戦闘ラッシュ。
 第一章では、炎の精霊の群れを鎮圧すること。巣の中に飛び込み遊撃へ行った炎の精霊たちを緊急帰還させる。という作戦になっております。敵拠点から攻めに入るため、何かしら突入のプロセスを加えると思います。
 第二章では、本命である水の大蛇戦。高い防御力を持つこのボスをどう攻略するのか、猟兵たちのプレイングが楽しみです。
 第三章では、余った時間でキャンプ。ほのぼのとした時間になります。天体観測ロルに限りヘクターが出るかもしれません。この章では夜の時間帯を想定しているので、それに沿ったプレイングをお願いします。

 それでは、皆さまの自由なプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『炎の精霊』

POW   :    炎の身体
【燃え盛る身体】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に炎の傷跡が刻まれ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    空駆け
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ   :    火喰い
予め【炎や高熱を吸収する】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 噴火して数日立つ火山だが、未だにマグマは流れ続けそこから炎の精霊が生まれている。
 虎の顔をした、炎の体を持つ彼らは同胞を蹴散らされた怒りと火山から賜った熱を糧に飛翔する。
 相手は天敵である水の大蛇、だが引き返すことはない。圧倒的な数と火力で削り、今度はこちらがかの大蛇を蹴散らすのだ。

 我らの繁栄を邪魔するのなら、たとえ神であろうと許さない。
ゼット・ドラグ
「おっしゃあ、戦闘は任せろおおおおおおおおおおお!」
黒剣を握りしめ、戦闘狂が望む戦いがここにある。
【ワンダレイ機械化歩兵部隊】で巨大な黒剣を持ったロボット達を可能な限り召喚、自身を囲むように配置し、突入する。
相手の【燃え盛る身体】をトレースしているロボットで受けるか、黒剣で切り裂き、体がバラバラになるまで切り刻む。
出来る限り多く鎮圧する気はない。全滅するまでやる。それくらいの覚悟で臨む。



 湿地帯に隣接する火山の裏側。そこは沼や水草が生い茂る場所ではなく、木々が豊かに育つ森林地帯だった。
 マグマが流れなかったその場所で偵察を行っていた炎の精霊は、森林地帯の木々を踏み倒しながらこちらに向かって超高速で近づく黒い群れを見つけた。
 何かと思い目を凝らしたところで、炎の精霊は驚愕する。
「行けェ!!俺の『ワンダレイ機械化歩兵部隊』よ!進軍し道を開くのだあああああああああああ!!!!!」
 それは三メートルほどの、中型とも言えるオブシディアン色のロボットの軍勢だった。各々が両手に超巨大な機関砲を装着しており、履帯(キャタピラ)の脚でギャリギャリと土煙を轟音を放ちながら進んでゆく。
 合計20機。四列横隊の先頭に立つのは、このロボットの指揮者。同じくオブシディアン色の装甲を纏い、自身にも換装させた履帯脚で全身するサイボーグの黒騎士、ゼット・ドラグだ。
「ハァッハッハッハッハ!!戦闘は任せろおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
 やまびこするほどの音量の勝鬨を上げ、ゼットはロボットたちに散開命令を下す。
 四列横隊は綺麗に五人ずつ左右に分かれ、一列横隊となって右腕に装備された機関砲"ガトリングドラゴン"を構える。
 目標は、慌ただしく群れをなして飛翔してくる炎の精霊たち。
 右、左、そして火口のある上空からも。その数は20機のロボットの数千倍。視界いっぱいを埋め尽くすほどの朱色が槍となってこちらへ降りかかる。
 ゼットは、ニッと歯を見せて笑った。
「全機、発射ァーーーーーーーッッ!!!!!」
 20機の機甲兵が持つ"ガトリングドラゴン"の砲身が回転する。肩部に付けられたコンテナ型のマガジンが外部動力とドッキングし、給弾。装填された対空通常弾は回転する六つの銃身から放たれ、無数に散らばる炎の精霊たちの灯火を爆風でかき消し始めた。
 一機につき一秒20発。リズミカルに、だが一切の隙も休止もなく向かってくる炎の精霊に極太の弾丸の雨を浴びせ続ける。被弾すればそこから着弾した衝撃が広がり、周囲を巻き込みながら炎の精霊は死滅してゆく。
 たとえガトリング砲で弾丸も少し大きくなった程度とはいえ、その威力は戦車の徹甲弾に匹敵する。あたかも自爆したかのようにもとれるこの光景に、逃げ出す炎の精霊も少なくはなかった。

 圧倒的な数に対抗するには、圧倒的な暴力で対抗すればいい。
 火山への進行ルートを切り開いたゼットは、一斉発射の命令を止めた。
「俺について来おおおおおおおおおおいッ!!!!」
 進路は確保された。猟兵たちはゼットの大声に応じ各々が持つ獲物を構え突入する。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘンペル・トリックボックス
虎穴に入らずんば虎子を得ず──よもや文字通りの状況に置かれるとは思いもしませんでしたが、どんな状況であろうと紳士らしくスマァトにいきたいものです、えぇ。
まずはUCにて『氷』属性の霊符を連続展開、敵が群れている場所を狙って四方を氷の壁で覆い、冷気によって一帯の気温そのものを大幅に下げるとしましょう。原動力である熱そのものを低下させれば、ある程度の弱体化を狙えるかもしれません。
次いで、UCで展開した『水』と『土』属性を混ぜ合わせた土石流による【範囲攻撃】を【全力魔法】で強化。氷の壁の中に閉じ込めた敵の一掃を試みます。
炎が燃えるのに必要な酸素の供給を、完膚なきまでに絶つとしましょう。



 ──火山突入開始から数分後。
 シルクハットとタキシードに身を包んだミレナリィドールの陰陽師、ヘンペル・トリックボックスは一人雪の降る山道を歩いていた。
 否、雪が降っているのはヘンペルの周囲のみ。降らせたのは彼が発動したユーベルコードによるものだ。
 『霊符展開・森羅相剋一斉掃射(コードフルオープン・ウィークネスクロスモア)』による呪符の連続展開。炎の精霊に対し有効的な氷属性を乗せた呪符を四方に巻き、周囲の気温を極限まで低下させる。
 彼を囲む炎の精霊の動きは極端に遅くなっており、そして原動力たる熱が弱まっているおかげか、サイズも小さくなっている。
「これでは可愛らしいただの燃える猫ではありませんか。あっけないですね、炎の精霊として情けないのでは?」
 ヘンペルは突入作戦に参加し、誰とも組むことなく一人火山の中腹まで歩いてきた。
 カモだと思いやってきた大量の炎の精霊をおびき寄せ、接触寸前というところで呪符を展開し……今に至る。
 四方に展開した呪符の効果範囲は広く、雪に捕まり力を失いつつある炎の精霊は数千体、もはや息を吹きかけられただけで死滅しそうなものは数百体というところか。
 ヘンペルは一枚、何も書かれていない紙札を取り出すとそれを指でなぞる。
「これではオーバーキルもいいところですが、仕上げを」
 バギィッ!!と、銀世界は一瞬にして凍り付き、ヘンペルを囲むように巨大な氷の立方体ができあがる。その中にいるのは、一切身動きできず生きたまま閉じ込められた炎の精霊たち。
 まるで時が止まった水族館の中にいるような光景に、ヘンペルは思わず感嘆を漏らした。
「ほぅ……これはこれで良いネタになりそうですね。しかし」
 もう一枚、白の紙札をヘンペルは取り出す。彼が指で表面をなぞると、水色の墨が浮き上がり辰星の象徴が描かれる。さらにもう一度指が紙札に置かれると、今度はこげ茶色の墨が浮き上がり、絡み合うように鎮星の象徴が描かれた。
 "水"と"土"の属性が込められた呪符。ヘンペルはそれを氷の壁に貼り付けると、シルクハットで目元を隠した。
「あなた方を鎮圧しろとのことでしたので、これでお別れです」
 氷の中で、時は動く。土属性の呪符により立方体は面だけを残し中が綺麗に崩れ、バラバラになった氷塊は水となり立方体の中を満たした。
 やっと動ける。そう思った矢先、天敵たる水がこちらを呑み込んでくる。炎の精霊たちは氷の水槽の中で絶望し、抵抗もむなしく水に飲まれ消滅していった。

 水を閉じ込めたアイスボックスが、山中に並ぶ。後に火山の熱で溶けて流れて行った水は、突入作戦でなぎ倒した木々たちの栄養となりまた豊な自然を取り戻したとか。

成功 🔵​🔵​🔴​

ネージュ・ローラン
なんと傍迷惑な喧嘩でしょうか。
大災害になる前にさっさと鎮圧してしまいたいですね。
文字通り頭を冷やしてもらいましょう。

恐らく炎の精霊の意識は同胞や水の大蛇の方へ向いていることでしょう。
こっそり反対方向から近付いた後に【スカイステッパー】で空中を舞い、炎の精霊達の上空を取ります。
そこから【全力魔法】の【属性攻撃】です。
【エレメンタル・ファンタジア】による水流のダウンバーストを放ち、一気に冷やしてしまいましょう。

皆さん巻き込まれないようにうまく退避してくださいね。



「なんと傍迷惑な喧嘩でしょうか」
 空色の踊り子衣装に身を包んだ露出度の高い女性、エルフのスカイダンサー、ネージュ・ローランは目を回し倒れた地上の炎の精霊たちを見てひとりごちる。
 今彼女がいる場所は上空約10メートル。火山灰が雪のように降り始めるこの山中で、彼女は無数にいる炎の精霊と一人格闘を続けていた。
「作戦では鎮圧とありましたが、これでは埒が明かないですね」
 二方向から挟み込むように突っ込んでくる炎の精霊。それをネージュは軽くジャンプするだけで回避し、炎の精霊は互いに頭をぶつけ怯む。ネージュはそれを踏み台のように踵で蹴り、もう一体にはオーバーヘッドキックを決め地面に叩き落とした。
 『スカイステッパー』の能力で空を跳んでいたが、そろそろ限界が近い。空中戦用の"エリアルシューズ"も炎の精霊を何度も蹴ったおかげか、焼け跡ができ靴底に穴が空きそうになっている。
 やはり一人で突っ込むのは無謀だったか。突入作戦の前に誰かと組むべきだったと心の中で後悔しながら、ネージュは"エレメンタルヴェール"に隠れていた精霊を呼ぶ。精霊は体を伸縮させ棒状となり、"エレメンタルロッド"となった。
「……文字通り頭を冷やしてもらいましょう」
 空中を強く蹴り、さらに上昇する。10メートルで留まっていたが、20、30と高く上昇し、炎の精霊たちの群れを縫うように抜けてやがて火山灰を降らす元凶である噴煙に近づく。
 "エレメンタルロッド"に込めるのは水属性の魔力。
 高く、キノコ雲のように空を黒く覆う噴煙を積乱雲とし、魔力をこの空一帯に分散させる。
 噴煙から、青色の煌めきが放たれた。
「──『エレメンタル・ファンタジア』」
 ネージュの下。駆けあがってきた炎の精霊に向かって降りかかってきたのは、大量の水と突風。噴煙は魔力によって急冷却され、そこから発せられた小高気圧が地面に逃げようと強い下降気流を伴って炎の精霊たちに襲い掛かる。
 水流とダウンバーストを融合した大災害を起こしたのだ。この場にいたのが彼女一人だったからこそできる芸当。バケツよりも規模の大きい、貯水タンクをそのままひっくり返したかのような大雨と共にやってくる突風。それは大雨というより、高水圧ジェットに近い。
「……ふぅ」
 ネージュはそのまま落下してゆく。発動者である彼女は『エレメンタル・ファンタジア』の脅威にさらされることなく、地上へと帰ってゆく。数回に分けて空中を蹴りながら減速し、さながら透明な階段を降りるように彼女は山中に降り立った。
 流され、くすぶって消えてゆく炎の精霊を眺めながら。

成功 🔵​🔵​🔴​


●──作戦から一日が立ち、朝が来た。
 水の大蛇を襲っていた炎の精霊たちは、猟兵たちの襲撃によって火山が破壊されていると聞き引き返すことを決めた。
 何でも、僅か一分で数万もの同胞を消し炭にする兵隊を見た。千体もの同胞が氷漬けにされ弄ばれるのを見た。突如何もかもを抉る強烈な大雨が降りそれに呑み込まれてゆく様を見た……と。
 水の大蛇も脅威だが、それよりも住処を荒らす侵入者の方が驚異的だ。
 炎の精霊はそう判断を下し、赤みを失い始めた溶岩流を眺めながら空を駆ける。
クロウ・タツガミ
【狐の宿】で連携

【POW】

それにしても、数が多い

戦闘前に【情報収集】を行い、【戦闘知識】を用い狐宮さんの【夢幻の霊刀】の為にに炎の精霊に有効な霊刀についての知識を伝えておく。
武器はサカホコ(ハルバート)、【怪力】による【2回攻撃】で近接攻撃での戦いが基本だな。距離の離れた敵は【力を溜め】レプリカを【投擲】し攻撃するつもりだ

周りの数が増えてきたタイミングで【黒帝九相】を使う、無数の車裂きの車輪を放ち敵の群れを攻撃する

マガホコ、任せるぞ

可能な限り【火炎耐性】を利用したガントレッドの【盾受け】で他猟兵を【かばう】つもりだ

さて、女将さんの初陣、怪我の1つもさせるわけにはいくまい


狐宮・リン
旅団【狐の宿】としてチームで行動します。

災害……ですかそこまでになると被害も出てしまいそうですね、ならば被害が出てしまう前に食い止めないとです……!

【SPD】
武器受け1、勇気1、オーラ防御1、第六感1

みんなと炎の精霊の巣に乗り込みます。

【夢幻の霊刀】を使用して戦闘を行います。
水属性が敵の弱点というのは想像できますし、氷か水で攻撃できる霊刀なのだとあたりをつけて使用します。
また、一緒に参加するクロウさんから知識を伝達してもらい霊刀の使用にいかします。


ナノ・クロムウェル
旅団【狐の宿】のチームで行動します
戦いではありますが…皆さんと行動できるのは嬉しいですね

私の役割は皆さんの支援や援護です
戦い前に皆に「防具改造」を施しましょう
ガジェッティアの技術の応用で耐火性能を上げるだけですがね

私はクロスボウ型の「ガジェット」を使います
これで皆さんの「援護射撃」です
この「ガジェット」から放たれる矢で「鎧砕き」をして見せましょう
私の「サイバーアイ」で敵の炎や動きを「見切り」しっかり当てていきます
「視力」は自信あるのですよ
私の攻撃で敵を弱らせた所を皆に攻めてもらいます
空にいる敵には「蒸気式飛行ユニット」の「空中戦闘」に加えユーベルコード「超速機構」で蜂の巣にします


護堂・結城
【狐の宿】で連携

喧嘩は元々はた迷惑なものだが規模がちげぇ!?
絶対に止めねぇと…

【POW】
対属性っていうなら俺達の出番だな
氷牙をハンマーにかえて装備しながら『雪見九尾の闘気の尾』を発動
属性は氷、自然現象は竜巻で氷雪の巨人を召喚だ

「別に恨みはないが大人しくなってもらうぜ」

巨人のハンマーによる【怪力+衝撃波】に吹雪をのせた【範囲攻撃+属性攻撃】で周囲の熱を奪う
隙ができたやつから【2回攻撃】の追打ちをかけるつもりだ

ちょっとした傷なら【火炎耐性+激痛耐性】で無理矢理次の攻撃をねじ込む
こっちだって一人じゃないし、一撃でも多くぶち込んだ方が早くケリがつくだろうしな

リンを狙う敵がいれば最優先で倒しに行く


縁城・陽
【狐の宿】の面々と連携

巣の中の鎮圧……なるたけやってみる
ほっといたら大変なことになるからな!
炎の精霊ども、恨みはねーがちょっと少なくなってくれよ?

判定:WIZ
技能:祈り、勇気、覚悟

オレのできることは後方支援。前線は十分そろってるからな
【生まれながらの光】で火傷を回復させねーと
優先するのは初陣のリン、あとは前衛
あと足の怪我は即座に治す、でないと捕まったら大変だからな
皆大怪我なくすむことを<祈る>ぜ
「怪我は治してやるけど、無茶はすんなよ!」

動くことでの疲労は極力避ける
狙われるまで<勇気>をもって極力動かない

自分の怪我は<覚悟>のうえで、回り癒すことを優先
「こっちはいーから、数を減らすのを頼む!」



 ──火山中腹にて。
「えぇ、ですから……」
「えーっと……うん!」
「……呑気だなぁ」
 白髪と褐色肌が特徴的な妖狐の竜騎士の男性、護堂・結城は九本もある尻尾を揺らし呟く。
 後ろにいるのは、黒の皮鎧を纏ったドラゴニアンの竜騎士の男性、クロウ・タツガミ。彼から何やらアドバイスを受けているのは、青い着物を纏った金髪の女性、妖狐のパラディン、狐宮・リンだ。
「けど、変に気を張るよりかいいですよ」
「そーだぜ。ナノの言う通りだ」
 杞憂な結城の隣を歩くのは、露出の多い茶髪のサイボーグのブレイズキャリバーの女性、ナノ・クロムウェル。
 もう一人は一本の角を生やした小柄な羅刹のパラディンの少年、縁城・陽だ。
「いやな、魔物同士の喧嘩だとは聞いたけど規模が違い過ぎるだろ」
 結城の指摘通り、この喧嘩はただの縄張り争いではない。放置すれば大洪水、それも大地を更地に変えるほどのもの。作戦では半径10キロメートル圏内に村や街はないと聞いているが、そんな大災害が起こればたとえ離れの街であろうとも被害からは逃れられないだろう。
「……ですね。だからこうして、自分たちにできることをしているのです」
 リンへのアドバイスを終えたのか、クロウは背負っていたハルバードを両手に持ち割り込んでくる。
「あれ、もういいのか?」
「バッチリです♪」
 リンもまた列に並び、陽の意外そうな表情に笑顔で応える。
 クロウは昨日と違い曇り空になった空を見上げた。
「昨日の突入作戦のおかげで、水の大蛇を攻撃していた炎の精霊たちはこちらへやってきたそうです。だから──」
 炎の精霊の数も少ない。昨日であれば、この山中を歩けば数百、数千もの炎の精霊が襲いかかってきた。だが今日はそれがない。偵察に来た炎の精霊をちょくちょくと見かけるが、すぐに逃げてゆく。
「──決戦は溶岩が流れた場所、火山の表側ですかね」
 岩肌と豊かな木々だけの殺風景に、雲を映し出す沼や水草のある湿地帯が割り込んでくる。
 火山から感じる熱も強まり、いよいよ炎の精霊たちが待ち構える火山の表側に、五人はたどり着いた。
 目の前に広がったのは、視界を埋め尽くすほどの朱色。先ほどまで三、四体しか見なかった精霊たちは数十万ほど頭数を揃え、いつでも補充が可能な溶岩流の元で迎撃しようと考えたのだ。
 先に声を上げたのは、結城だった。
「我が身、闘気を纏いて、この敵意抑えること許さず──『雪見九尾の闘気の尾(ヒートヘイズオーラブラスト)』!」
 結城の尻尾の一本が青白い輝きを放ち、光は結城の二倍ほどの大きさの人型を形成し、それを元に氷と雪が肉付けされてゆく。
 五人を守るように仁王立ちする、"雪"と"竜巻"を融合して生み出された氷雪の巨人。巨人と結城は、変化自在の武具"雪見九尾の氷牙"をハンマーにフォルムチェンジさせ同タイミングで背負う。
「エンチャントは事前に付与しておきました。私は援護を!」
 ナノは持っていたクロスボウ型の"ガジェット"を持ち、片足を上げて地面に座る。射撃支援デバイス"サイバーアイ"を右目に装着し"ガジェット"に魔力を装填させると、無数に飛ぶ炎の精霊たちを精確に狙い始める。
 さらに彼女は事前に全員の服装に火炎耐性の加護を施しており、対策はバッチリだ。
「オレは後方支援をするぜ。前衛は結城とクロム、リンに任せるからな」
「自分は、盾役を引き受けましょう。リンさん、実践の時です」
「お任せください!」
 陽は全員の回復役として体に隠してある"聖痕(スティグマ)"を起動させる。
 クロウは龍翼を思わせる形状の武骨なハルバード"サカホコ"を構え、結城の隣に並ぶ。
 リンは四人の後ろに立ち、クロウのアドバイスを元に武器の生成を始めた。
 ──炎の精霊たちが動く。
「行くぞおおおぉぉぉッ!!」
 結城は大地を蹴り、巨人は岩肌を抉りながら走りだす。
 炎の精霊は渦を巻き、螺旋状になって大蛇の如く結城と巨人へ肉薄する。
「別に怨みはないが、大人しくなってもらうぜ──吹雪を起こせ!」
 大蛇の先端、そこに結城は"雪見九尾の氷牙"を叩き込む。ノックをするように二回、初撃を当てた反動を利用し、二度炎の精霊の顔面に氷の礫で殴る。
 同時に指示を受けた巨人は、結城の持つものよりも2倍大きな"雪見九尾の氷牙"を地面に叩き込む。周囲の熱が一瞬で冷め、そして冷気が辺りを包む。雪だ。大気中を舞う火山灰や塵が氷の結晶を纏い、雪として降り始めた。
「マガホコ、任せるぞ」
 クロウは翼の生えた黒蛇に合図を送ると、結城と巨人の合間を縫って接近してきた炎の精霊の攻撃をガードする。怪力によって炎の精霊を力で押しのけ、さらに"サカホコ"を回し×の字の切り込みを与えあしらう。
 "マガホコ"と呼ばれた黒蛇は全身をスライムのように溶かし原型を失うと、そこから刃付きの車輪を無限に放つ。
 『黒帝九相(コクテイクソウ)』。それは拷問具を射出するユーベルコード。
 今回再現された拷問は車裂きの刑。刃付きの車輪がブーメランの如く飛翔し、他方向から攻撃を仕掛けてきた炎の精霊たちの体を抉る。
「数が、多いっ!」
 隙の無い防衛の中、それでもかいくぐってくる炎の精霊たちに、ナノは徹甲矢を撃つ。リズミカルに乱射しているが、狙いは"サイバーアイ"により全て初弾で炎の精霊の中心を穿ち、一匹も逃さず潰してゆく。
「くっ……ナノ、飛んで来い!女将さん!まだ、ですかかッ!」
「もう、すぐ……!」
 炎の精霊にハルバードの一撃を与えながらクロウは叫ぶ。
 中心、リンは戦況を見据えながらあらかじめクロウから教えられた情報と共に、この戦場の有効打となる武器を模索する。過去、未来、そして世界をも超えて、幻想の海から最適な武器を引き上げるための詠唱を行う。
「我が創りし剣は儚く消える泡沫の剣、なれど今一時この刃は天下五剣にも劣らない……っ!」
 リンの手元から青白い光が放たれ、彼女はそれを掴む。
 『夢幻の霊刀(ムゲンノレイトウ)』。光は幻想。そこから引きずり出されるものはリンの手の中で物質化し、再現されてゆく。生成系のユーベルコードだ。
「──銘を"須臾淡雪(しゅゆあわゆき)"。幻の業物、その切れを知りなさいっ…!」
 雪が強まり、それは吹雪となって周囲の環境を上書きする。
 リンが手にしたのは、雪の結晶の装飾が施された鞘に納められた、一本の打刀。彼女はそれをおもむろに抜刀し、青白く冷気を放つ刀身に目を奪われた。
「……せ、成功しました!早速前線へ行きます!」
「あぁ……女将さん、思う存分楽しんでくださいッ!」
 喜び、刀を片手にぴょんぴょん喜ぶリン。その様子を背中で感じたクロウは、ナノの加護が施された"シールドガントレット"で炎の精霊からの噛みつきをガードした。
 結城もまた、背中でリンが前線に来るのを感知しハンマーを振るう。吹雪で弱りそれでも襲い掛かる炎の精霊に無慈悲な一撃を与えると、ようやく振り返った。
「待ってたぜリン、早速やろうぜ」
「はい!それでは──参ります」
 刀を片手に走ってきたリンは、結城と共に武器を構え炎の精霊に接近する。
 結城が振るったハンマーは炎の精霊を凍結し、砕く。
 一方リンは、炎の精霊相手に刀を振るい……空振りした。
「って、何してんだ!?」
 チラリとリンの戦闘を伺っていた結城だが、空振りしたリンの姿を二度見する。
 しかし結城は再度驚愕することになる。刀が描いた軌道はそのまま冷たい突風となり、空気さえも凍結させる暴力的な斬撃が、溶岩流諸共炎の精霊を雪の結晶に変えてしまった。
 "須臾淡雪"とはサムライエンパイアに伝わる伝説の武器。雪女に一目惚れした職人が、彼女のためにと命の灯火で玉鋼を溶かし作り上げた妖刀だ。
「すごいですっ!これバンバン斬れちゃいますよ!」
 ただ、リンはそれを凍てつく暴風を放つ刀と認識しているようで、これでもまだ出力は弱い。それでも炎の精霊に対し圧倒的な力を見せつけるその刀に、結城は「もう出る幕無いのでは?」と思い始めた。
「ふぁぁ……寒いぃ!」
 そんな結城の元へ、"蒸気式飛行ユニット"で飛んでいたナノが降りてくる。火山だったこの場所は今や極寒地帯。あまりの冷たさに噴出孔が冷えて固まっていた。
「あれ、さっきまで迎撃してたんじゃなかったのか?」
「クロウさんが空から炎撒いてくる精霊たちをどうにかして欲しいって言ってたので」
「……あっ」
 そういえばと思い出す。闘っている中、確かにクロウが「ナノ、飛んで来い!」と言っていたような。
 実はその通り、ナノはリンが前線に出てくるまで『超速機構(アクセルフォーム)』を発動し炎の精霊たちが覆いつくす空の中を飛翔していた。"翠炎剣"を先端に制御不能の戦闘(コンバット)モードへ変形し、滞空する炎の精霊たちを猪突猛進と化したナノがほとんど轢き倒していたのだ。
 ただ、"蒸気式飛行ユニット"は長時間の運用に向かず、さらに火山がこうして寒冷地帯として変化してしまった今、エンジンが冷えて使い物にならなくなってしまったのだ。
 二人はリンが走っていった方向を見る。
「はぁぁぁっ!」
 ゴッッ!!と、リンの一振りで吹雪だけでなく氷の波が形成される。寒冷地となったこの環境でまともに動ける炎の精霊はおらず、戦いはもはや一方的な蹂躙(リンチ)へと変わっていた。

 火山活動は止まり、炎の精霊たちは戦意を失った。作戦は成功と言えるだろう。
 翌日からは水の大蛇の戦闘となるだろう。
「いっだぁぁ!!」
「我慢しろよ。ったく、傷なんか無視して戦うからだ」
 陽は、結城が負った傷の手当てをしていた。
 作戦中、盾役を請け負ったクロウの手当てしかできなかった陽は、傷だらけのまま寝ようとする結城を引っ張り出し、こうして医療テントの中で彼の傷を癒していた。
 『生まれながらの光』は、結城についた小さな傷を照らし優しく再生してゆく。あの寒さの影響で細胞の壊死が早まったせいか、細かなものでも傷跡が残りそうなものが多い。一切傷なく帰ってきたリンや完璧に迎撃をこなしていたナノと違い、結城は巨人とタッグを組んでいたとはいえ、陽がいた場所から離れ生身で炎の精霊たちと相手していた。
「……すっごい頑張ってたの、ボクは見てたよ」
 『生まれながらの光』は、使用者のスタミナと引き換えに対象を癒す回復系ユーベルコードだ。
 細かな傷とはいえ数十ヵ所もの傷を癒した彼の体力は、もう限界だった。
 そのまま眠りそうになる彼を結城は支え、しっかりと座らせる。
「……ありがとな」
 まだ傷は残っている。だがもう十分に癒しの光と気持ちは受け取った。
 眠たそうに笑みを向ける陽に、結城は力強い笑顔を向けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『水の大蛇』

POW   :    水の身体
【液体の身体により】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
SPD   :    口からの水弾
レベル×5本の【水】属性の【弾丸】を放つ。
WIZ   :    身体の復元
【周囲の水を体内に取り込み】【自身の身体を再生】【肥大化を行うこと】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は宇冠・由です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ──作戦開始から三日。
 無敵のヴェールを纏う激流の神龍、”水の大蛇“は、炎の精霊が消え代わりに猟兵がこちらに来ることを察知していた。
『縄張りを荒らす小蝿共の次は、寄ってたかる小蟻共か』
 とぐろを巻き、縄張りである湿地帯の恵みを吸収してゆく。
 炎の精霊のように一撃で仕留めれる相手ではない。
 こちらを討ちに来るであろう猟兵に備え、水の大蛇はただひたすら待つ。
デナーリス・ハルメアス
【WIZ】で戦います。

なるほど。水は状況によっては同じ厚さのコンクリート壁より硬くなるとか。
それを物理的な力で打ち砕くよりかは別の力をもって戦った方が良いと考えます。

つまり、水の精霊の喧嘩相手と同じ、炎の力で。
「偉大なる竜神よ、汝の御業を人の子に貸し与えたまえ。水のヴェールを世界を隔てるヴェールのように容易く切り開きたまえ。」
ドラゴンファイア・バーストで攻撃し、まずは敵の防御力にダメージを与え、他の方々につないでいきましょう。



 白のチューブドレスを身に纏ったスペースノイドの女性、シャーマンのデナーリス・ハルメアスは、湿地帯にある浮島に降り立つ。
 目の前にいるのは、全長100メートルは越えるであろう、水流を纏った巨大な神龍。"水の大蛇"はとぐろを巻いた姿でこちらを睨んでいた。
 互いに睨み合う。一対一の勝負とはいえ、サイズはデナーリスが大いに不利。しかし大蛇も大蛇でたかが一人の猟兵と侮らず、観察する。
 静かな時間が流れ数秒。先に動いたのは、デナーリスだった。
「偉大なる竜神よ、汝の御業を人の子に貸し与えたまえ!」
 早速、デナーリスはユーベルコード起動のための詠唱を始める。
 炎の力を右手へ集中させ、掲揚して魔法円を展開。円を門とし、竜神に呼び答える。
「水のヴェールを、世界を隔てるヴェールのように──容易く切り開きたまえ!」
 『ドラゴンファイア・バースト』。それは竜神からもたらされた地獄の炎を召喚するユーベルコード。しかし効果はそれだけではない。
 水の大蛇も動く。とぐろを巻くのを止め、長く、まっすぐ伸ばしただけで300メートルはくだらないであろう胴部をくねらせながら牙を向けた。
「はァッ!!」
 デナーリスは黒く燃え上がる炎を広げ、水の大蛇の頭へ向けて放つ。炎は液体のように吹き荒れ、水の大蛇を包み込む。ジュウジュウと焼け焦げるような音と共に炎は地面に落下し、水面に落ちてもなおそれを燃料として燃え続ける。
 もう一つの効果、それは炎が地形さえも燃やすことだ。地獄とは終わらぬ苦しみを示し、永久に近い概念を持つ。
 相手が水属性であろうとも、水を蒸発させるほどの熱には勝てない。ましてや地獄の炎であれば確実にダメージを与えれるだろう。デナーリスの読みは的中し、炎は水の大蛇の全身を炙り、大蛇は苦しみ鎌首を上げた。
「……このまま燃え続ければ、水流のヴェールも弱まるかな」
 黒く輝きを放つ炎を眺めながら、デナーリスは背を向ける。
 その時、バシャァッ!と大量の水が流れる音がした。
「っ!?」
 すぐさま飛び退く。
 浮島に叩きつけられたのは、高水圧で覆われた大蛇の尻尾。それは容易く浮島を砕き、沼の中の泥を掻きだし茶色い水しぶきを上げてデナーリスに襲い掛かった。
「炎よ!!」
 すぐさまデナーリスは召喚した炎を残りを引き寄せせ、それを盾状に広げ泥水を防ぐ。黒い炎に触れた泥水は即座に蒸発し消えてゆく。
 水の大蛇のは、水のヴェールと共に健在だった。地獄の炎に覆われたはずの体は無傷で、大蛇自身にも大してダメージが通っているようにも見えない。
「……計算を間違えた?ううん、ちゃんと燃えていたはず……これは、不味いかもしれない」
 デナーリスは冷静に状況を分析し、撤退を決めた。
 水の大蛇は彼女を追うことなく、今だ燃え上がる黒炎に囲まれたままただそこに佇む。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ヘンペル・トリックボックス
「──嗚呼、なるほど。これは受肉した自然災害そのもの。極東の世界においては土地神と呼ばれる類の存在でしょう。放っておくのは如何にも拙い。」
はてさて、しかして荒ぶるカミを鎮めようにも、噺も攻撃もまともに通じないご様子。で、あれば私は──ほかの皆様が全力を出すための、下地作りに専念するとしますか。えぇ、紳士ですので。
火属性の霊符と土属性の霊符を連続展開し、【全力魔法】で強化しつつ【範囲攻撃】。対象は水の大蛇ではなく、再生と強化を促す湿地帯そのもの。『放熱』と『吸水』による極度の乾燥地帯を再現し、敵に不利な地形を作り出します。効果が出たら前線から離脱、後方から呪符でほかの猟兵を援護するとしましょう。



「──嗚呼、なるほど。これは受肉した自然災害そのもの。極東の世界においては土地神と呼ばれる類の存在でしょう。放っておくのは如何にも拙い」
 最初に接敵した少女の報告を受け、次に動いたのは紳士の恰好をした怪しげなミレナリィドールの男性。陰陽師のヘンペル・トリックボックスだ。
 大蛇は次の相手を捉え、ヘンペルへと鎌首をもたげる。
 対してペンヘルは沼に浮かぶ巨大な蓮の葉の上に立ち、シルクハットで目元を隠し不敵に笑う。
「──対象認識」
 詠唱が行われた途端、水の大蛇は尻尾を振るう。
 ペンヘルはそれを飛んで回避、水しぶきが舞う中、赤色の墨で描かれた呪符と茶色の墨で描かれた呪符を一枚ずつ左右に投げた。
「解析を戦闘記録から抽出、既存属性を使用、弱点──把握」
 蓮に着地すると、再度跳躍。ペンヘルが着地した場所を潰すように、大蛇は沼底から水流の槍が突き上げ攻撃を仕掛ける。
 跳ぶ度に呪符を投げ、ひたすら攻撃を回避する。それが繰り返され、浮島へ着地したのを最後に水流の槍が止まる。
 今が種明かし時だ。シルクハットを取り大蛇へ向けてお辞儀をすると、ペンヘルは軽快に指を鳴らした。
「『霊符展開・森羅相剋一斉掃射(コードフルオープン・ウィークネスクロスモア)』」
 その時、湿地帯から一瞬にして水気が消失した。
 長い水草は栄養素だけを持った繊維の塊となり、沼は焼き立ての壺のように底を見せる。蓮は枯れ、湿気が消えた変わりにカラカラとした空気が流れ始める。
 水の大蛇は気づく。狙いは自分ではなく、この縄張りそのもの。
 火の呪符による『放熱』。土の呪符による『吸水』。様々な事象を起こす呪符を撒くユーベルコードはペンヘルの思惑通り発動し、水の大蛇の回復源を断った。
「……彼女には後で礼を言わねばなりませんね」
 ペンヘルが見たのは、地獄の炎が燃えていた痕。
 水の大蛇は戦闘時、自身の体を湿地帯全体を覆うように伸ばしており、そこに接着している沼や水草からヴェールの源を供給していた。
 最初に接敵した少女の着眼点は間違いではなかったが、ただ範囲が足りなかっただけのこと。
 ペンヘルは水の大蛇が驚愕しているうちに、乾ききった沼の跡を駆けて撤退する。
 次の傭兵にバトンを渡すために。彼はただ紳士としてできることを行った。

成功 🔵​🔵​🔴​

ネージュ・ローラン
この争いを終わらせる為に、もう一度だけ精霊のぶつかり合いといきましょう。

戦場の状態から炎の精霊が最適でしょうか。
これから呼び出す子は、さっきまでの虎とは格が違いますよ。
【精霊獣召喚の舞】により炎の黒犬を召喚して騎乗します。

黒犬の上から炎弾を放って牽制し、相手の水弾はエレメンタルヴェールで受けながら接近します。
そのまま黒犬に噛みつかせましょう。



 エルフのスカイダンサーの女性、ネージュ・ローランは炎の精霊に騎乗し水の大蛇がいる湿地帯へ向かっていた。
「……湿地帯が乾燥している?今がチャンスですね」
 今彼女が騎乗している炎の精霊は昨日鎮圧したものの一匹ではない。『精霊獣召喚の舞(インヴォーク・エスプリベート)』という召喚系ユーベルコードで呼び出したネージュのオリジナル。違う点はカタチが黒犬であることと、体格が一回り大きいことか。
 水の大蛇はネージュと炎の黒犬に気付くと、大きく口を開き水弾を吐き出す。
 圧縮された水の弾丸は地面に着弾すると爆発し、辺り一面に水をまき散らし沼を元の姿に戻そうとする。
「当たらなければ相手を有利にさせるのですね。ならッ!」
 次に放たれた水弾に向かって跳躍し、回転しながらそれに被弾する。
 彼女の纏うヴェール、"エレメンタルヴェール"は同じ水属性の魔力を纏い、水弾を吸収して無効化した。
 騎乗者が消えた炎の黒犬は水の大蛇へと突撃し、首元へ牙を向けた。
 接触した瞬間、蒸気が噴き出し辺りを包んでゆく。燃え盛る黒犬と、水流を纏う大蛇。それらがぶつかり合い、互いに纏っているものを削りながら鍔迫り合いを行う。
「この炎で!」
 空中に舞うネージュは、黒犬に意識を集中させた大蛇へ向けて炎の弾丸を放った。
 弾丸は大蛇の頭部へ被弾し、一瞬だがぬめりのある灰色の皮膚を見せた。おそらくそれが本体、水の大蛇の真の姿だ。
 水流が、弱まった気がする。
「見えた……!撤退しますよ、第二陣が来ます!」
 すっかり頭部が黒く焦げた炎の黒犬は牙を抜き、落下するネージュを背中でキャッチし乾燥地帯を駆ける。
 水の大蛇はさらに怒り狂い、逃げてゆくネージュへ咆哮を上げた。

成功 🔵​🔵​🔴​

クロウ・タツガミ
【狐の宿】で連携

【POW】

さて、一匹とは言え油断するわけにもいくまい

翼を出して空を飛び空中から、【戦闘知識】を用いて事前に地形の【情報収集】を行い、【地形の利用】をしやすい場所へ誘導して戦うつもりだ。同じ戦うでも泥濘の少ない場所のほうが良いからな。

主武器はサカホコ(ハルバート)、【怪力】と【2回攻撃】で戦うつもりだ。ガンドレッドで【盾受け】しつつ、他猟兵への攻撃は【かばう】つもりだ。

炎の次は、水か、となればこちらの取るべき手は

【アグネヤストラ】を使い、【力溜め】を行いレプリカに【雷】の属性を込めて【投擲】し、紫色の炎での拘束を試みるつもりだ

動きが鈍れば、御の字だな


狐宮・リン
旅団【狐の宿】としてチームで行動します。

さて、今回は量より質って感じなのですよね?
大型の魔物との戦闘…、ドキドキします

ですが!
わたしには頼りになる仲間がいますから、
怖くはないです♪

さぁ!頑張ってまいりましょう!


【SPD】
残像1、属性攻撃1、武器受け1、勇気1、第六感1、オーラ防御1、
所持武器:霊刀【白狐】は、今回雷の属性を纏います。

【夢幻の霊刀】を使用して戦闘を行います。
湿地帯の水ごと蒸発させてしまえば足場も確保できて、水の大蛇の体力も削れて
一石二鳥なのではないでしょうか!
そうなると、水気を分解するか…、高温度で水分を蒸発させる霊刀だと予測し使用します!


縁城・陽
【狐の宿】で連携

次は……いや、でかすぎだろ、これ。
とはいえ、ほかの猟兵も頑張ってる。
オレたちも負けてらんねー、アイツをここで倒さねーと、だな!

判定:WIZ
技能:祈り/勇気/覚悟

オレの攻撃手段だと相性が悪ぃ……今回も癒しに回るぜ
【生まれながらの光】を放って相手からの攻撃による傷をすぐ癒す

危険なのはリン、結城さん、父様(クロウ)
とくに結城さん。じーっと見て、またムチャしねーか見守る
カウンター狙いなら傷も増えるだろーし
「まーたそーやってムチャしやがって……」
皆が大きく怪我しねーことを<祈り>、怪我したら即座に全力で癒す

※聖痕は背中に。光が強くなると翼のように広がります

アドリブ・絡ませ歓迎です


ナノ・クロムウェル
旅団【狐の宿】としてチームで行動します
皆頼もしいです

敵は液体の体を持ち高い防御力を有します
なので私の炎で水を蒸発させる勢いで敵を倒しにかかります

…だから出し惜しみは無しです
「翠の水晶」で感情の「封印を解く」…そして「煉獄の強襲」を発動します
(発動後、戦闘終了まで口調変化)
ナノの炎はね…感情に応じて強く強く燃えるんだ
さあ、「翠炎剣」に炎を纏わせて「蒸気式飛行ユニット」の「空中戦」からの炎の「属性攻撃」の強襲だよ
君達の喧嘩は迷惑なんだよ
皆の命が脅かされてさ
ナノはそういうの嫌い
だから、もっと、もっと、もっと…燃え上がれ!!
ナノの怒りはこんな物じゃないよ
君の全てをナノの炎が飲み込んであげる


護堂・結城
【狐の宿】で連携
よっし、次は水だな
やっぱこういうデカブツと戦うのが一番愉しいわ

【POW】

いつも通り前衛【グラップル】の方が合ってる

とりあえず『雪見九尾の闘気の尾』を発動、今度の属性は雷、自然現象は渦だ
氷牙は今回は投擲槍に変更

巨人の方の暴食の尾で防御しながら放電して隙ができるまで粘る
【武器受け+カウンター+マヒ攻撃+生命力吸収】

「絶対喰い殺してやるから覚悟しな」

隙ができれば巨人と一緒に振りかぶって水蛇目掛けて渦雷の投擲槍を投げる
無駄な力全部吸い取ってやるからお前も大人しくなれや
【鎧無視攻撃+属性攻撃+怪力+槍投げ+串刺し+生命力吸収】

「どんな激流でも実体がないものは弾きようがないだろ」



 黄昏時。
 乾ききった湿地帯。そこに陣取るのは、怒りに支配された水の大蛇。
 最初は炎の精霊だった。自身の縄張りに何か泥が流れ込んだかと思えば、そこから水の大蛇が最も嫌う炎の虎が現れたのだ。蹂躙し、何度殺しても湧き出す小蠅のような存在。本能に刻まれた宿敵──
 そうだ。今こうして闘っている小蟻共もまた、本能に刻まれた宿敵ではないか。
 猟兵。憎むべき……

「……いや、でかすぎだろ、アレ」
 羅刹の少年、パラディンの縁城・陽は遠くにいる水の大蛇を見てぼやく。
炎の精霊鎮圧に続き、水の大蛇鎮圧にも参加した彼は、今回も後衛で前線に行った三人の仲間たちを待つ。
 後ろには妖狐のパラディン、狐宮・リンが両手を遠くに見える大蛇にまっすぐ向けた状態で待機していた。
「んん……暇ですね。」
 前線に行った仲間からの情報を待つ彼女の両手は光で包まれており、手首から先が見えない。
 この光は陽が持つユーベルコード『生まれながらの光』ではなく、リンが発動した召喚系ユーベルコード『夢幻の霊刀』によるものだ。
 幻想の世界から今の戦況に有効的な刀剣を召喚するこのユーベルコードだが、戦況や知識があればあるほどより有効的なものを召喚できるというもの。そのために、情報が来るまで彼女はひたすらここで待っているのだ。
「そうだ、ボール遊びしましょう」
「いやその状態でできるわけ……っ!?」
 大蛇が何かを振り払うような動きをすると、そこから黒い塊がこちらへ飛来してきた。
 陽はすぐさまリンを庇うようにして前に立ち、そして目を見開く。
「クロウ!?」
 重く、くぐもったような爆発音と共に土煙が舞う。
 二人から数メートル離れた場所に着弾したドラゴニアンの竜騎士、黒を基調とした白髪の男性クロウ・タツガミはハルバードの"サカホコ"を片手にゆっくりと立ち上がる。
「……っ、すみません。怪我は、ありませんか」
「怪我どころじゃねぇだろッ!」
 陽は背中にある"聖痕(スティグマ)"を輝かせ、光の翼を広げながらクロウに近づく。
「燃えろ、燃え上がれ、二度とその傷を残さぬよう覆い隠せ──ボクの『生まれながらの光』よ」
 光の翼はクロウの背中に当てられ、着地の衝撃で痛めた体を癒してゆく。
「クロウさんが吹き飛ぶなんて、一体何があったんですか!」
 両手が光で包まれたまま、リンもクロウへ近づく。
 クロウは数秒ほど考え込み、そして口を開いた。
「クロムウェルさんと護堂さん、あの二人を庇うために……それよりも、女将さん。あなたには情報が必要でしょう」

「はあアアァァァァァッッ!!」
 サイボーグのブレイズキャリバー、ナノ・クロムウェルは空を飛びながら叫ぶ。
 怒りの感情を燃料とし、翠の炎を焚かせて空を舞う彼女は"翠炎剣"を片手に水の大蛇の表面を斬りつけた。
 ナノの怒りとは、水の大蛇への怒りではない。この『炎虎水龍決戦』に向けられたものだ。命を脅かす大災害を起こす喧嘩。きっかけはどうあれ、単純な喧嘩だけで様々な命が散る理不尽を許せなかった。
 翠と黒の炎は高水圧でできた表皮を焼き、蒸発させてゆく。
 湿地帯はある紳士の猟兵により乾燥地帯に変化しており、大蛇の回復源となる沼はどこにもない。
「もっと、もっと!もっと!!燃え上がれェッ!!」 
 ナノはそこへラッシュをかけ、抵抗する前に斬ってひるませ、隙を与えない。
  『煉獄の強襲(ヘルズアサルト)』によって生まれた炎は大蛇の表皮に穴を空け、そして高水圧のヴェールに覆われていた表皮はついに破れ、ヌラヌラとした灰色の肌を見せた。
「結城!」
「任せな!」
地上で大蛇と対峙していた妖狐の竜騎士、護堂・結城は投擲槍(ジャベリン)に変化した"雪見九尾の氷河"を手にし、背後に構えている雷を纏う巨人に向けて叫んだ。
[行け、海神(ワダツミ)屠る雷の王!我が闘志纏いて力を振るえ!!」
 巨人も結城と同じ投擲槍を手にし、矛先に小さな雷雲と台風を纏わせ構える。
 狙うは灰色の肌。もうすぐ高水圧のヴェールが張りなおされる前に、二人は投擲槍をぶん投げた。
「いっけェェぇええええええエエッ!!」
 ある競技大会において、投擲した物体の距離で競技する種目では、投擲した後に大声を叫ぶことで飛距離が上がるというジンクスのようなものがある。
 結城も、巨人もそれに習い叫ぶ。雷と一体となり、光速で放たれた投擲槍にエネルギーを与えるように。
 二つの槍は収束し結合、雷は紫電となって灰色の皮膚に着弾した。
 くぐもった爆発音。一瞬にし大蛇の胴にぼっかりと穴が開き、その断面から黒みの強い血が噴き出る。悲鳴を上げようとした大蛇は、自身の体が徐々に鈍ってゆくのを感じた。
「……絶対、喰い殺してやるから覚悟してな」
 肉体の麻痺。槍が纏った雷は大蛇の持つ高水圧のヴェールに乗せて全体に行き渡り、体全体を麻痺させたのだ。
 ナノが降り立ち、結城もまた巨人を霧散させ睨む。
 ゆっくりと鎌首をもたげる程度しか動けなくなった大蛇。その瞳に映ったのは、こちらへ歩いてくる三人の影。
「──銘は"十掬の剣"。真なる名を"天羽々斬(アメノハバキリ)"と呼びます」
 その内の一人は、一振りの劔を持ってゆっくりと歩く。
 金剛で磨かれ、銅で装飾された両刃の剣。その持ち主、狐宮・リンは剣から黄金の輝きを放ちながら詠唱を紡ぐ。
「幻の業物、その切れを知りなさい」
 羽々とは、蛇を意味する。
 かつて素戔嗚尊がヤマタノオロチの首を斬り倒した伝説の神剣。それが今目の前にある。実際はどんな剣なのかはわからない、だが彼女が言い放ったその名から感じ取れたものは『恐怖』。すなわち死──。
 逃げねば。大蛇は生まれて初めて、そんなことを思った。麻痺で動かぬ体を無理にでも動かし逃げなければ、殺される。
「させるか」
 逃げようとした瞬間、槍によって開かれた大穴に何か突き刺さるものを感じた。
 紫電の炎を纏った小さな投げナイフ。小蟻と呼んでいた猟兵よりも小さなナイフが纏う紫電の炎は、ゆっくりと傷口を覆うように広がってゆく。
「『アグネヤストラ』」
 大蛇は二度目の絶望を味わう。紫電は器官を通り大蛇の肉体を隅々まで麻痺させ、もはや吠えることすらも許されなくなった。
 クロウは大蛇の瞳から殺意が消えたのを感じ取り、逃がすまいと雷属性を強く込めた"レプリカ"を放ったのだ。
 もう逃げ場はない。あとは剣に刻まれた神話通り、首を落される。
「……さて、と」
 迫りくる神剣を持つ妖狐の少女。彼女は剣を両手に持ち、上段に構える。
「お疲れ様でした」
 優しい微笑みを向けた少女は、勢いよく"天羽々斬"を振り下ろした。

 水の大蛇は乾ききった湿地帯に潤いを戻すように血を流し、猟兵たちは静かにその最期を見送った。
 作戦終了。『炎虎水龍決戦』は伝承通りの災害を起こす前に終わり、アックス&ウィザーズの地図は書き換えられることなく平穏が訪れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『幻想夜景』

POW   :    キャンプファイアーをしたりバーベキューをしたり、盛り上がって過ごす

SPD   :    夜の森や原っぱを駆け回ったり星空を飛んだり、満喫して過ごす

WIZ   :    虫や動物の声を聞いたり星占いをしたり、静かに過ごす

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 火山から流れるマグマは冷え固まり、湿地帯には数百年ぶりに草食動物が集まり始めた。
 命の循環は美しいものへと調律される。炎の精霊と水の大蛇を恐れて離れて行った人々たちも、ここを新たなフロンティアとして村づくりを始めるだろう。

 作戦が終わったその夜、今回の指揮を行っていた妖狐のグリモア猟兵、ヘクター・ラファーガはジョッキ一杯の炭酸リンゴジュースを片手に、作戦に参加した猟兵たちへ祝辞を述べた。
「まずは作戦お疲れ様。脅威が排除されたことで、アックス&ウィザーズの平和は守られたぜ。……まあそれはいいんだが、予定より早く終わったんで、テレポートの維持日数が余った」
 ジュウジュウと肉が焼ける音。ほのかに広がる焦げ付いた脂の匂い。一部の猟兵はそれだけでウズウズし、まだかまだかと祝辞の終わりを待つ。
「ってことで、今日は大蛇の肉でバーベキューパーティーだ!撤収は明日!以上、全員飲むぞ!未成年はリンゴサイダーな!!」
 かんぱーい!と、歓声が上がる。
 大規模作戦の後の打ち上げは、火山裏手の森林地帯で行われた。
モルツクルス・ゼーレヴェックス
【WIZ】

「出遅れたっす。……せっかくだし、ゆっくりしてくっすかね」

なんにしてないのに、宴に参加するのも気がひけるっすね

一人、ぶらぶらと散歩して、夜と自然を楽しむとするっす

「……豊かっすね」

虫の鳴き声、風の音
草のさざめき、水の声

この世界には命が溢れてる

「……センチな気分っす」

思い出すのは故郷、ダークセイヴァーの景色

……暗い、荒涼とした世界に、何時かは帰りたいと思ってる?

自分の気持ちなんて、分かんないっすね


開けたところに着いたんで、寝転んで、星を眺めてみるっす

「どの世界にも、変わらないモノってのが、あるっすよね」

遠い、遠い光を眺めて
歌ってみたり、お酒を啜ったり

気づけば寝てしまったりして、過ごす


ヘンペル・トリックボックス
いやはや、どうにかこうにか一件落着。賑やかな宴会には、後ろ髪を引かれる思いですが…さて、後始末はしなければ。えぇ、紳士ですので。

地形環境をまるごと変えたのは我ながらやりすぎだと反省しつつ、星空の下を歩きながら乾燥の酷い区域を点々と回るとしましょう。地脈の中心部分を見つけたら、『水行辰星符』と『木行歳星符』を張り付けて元の環境を取り戻すことの出来る下地を作ります。

──森羅万象、普くあるがままの姿こそが美しい。誰かが手を加えてバランスを崩すなど、本来到底褒められたものではないのですけどねぇ…。どうかこの土地に、永らくの平穏が訪れますように。



 オラトリオのウィザード、軍服に身を包んだ男性モルツクルス・ゼーレヴェックスは静かになった湿地帯のあぜ道を歩く。
「……せっかくだし、ゆっくりしてくっすかね」
 作戦に出遅れた彼は、作戦成功の祝会には参加せず、水の大蛇が消えて静かになったこの場所を眺めていた。キャンプファイヤーの光が届かぬこの場所には蛍が集まり、淡い黄緑の光が辺りを照らしていた。
 虫の鳴き声、風の音、草のさざめき、水の声……彼が生まれた世界にはなかった光景。
 ダークセイヴァーという、生まれた瞬間から殺し合いを強要されるような殺伐さがない世界。弱肉強食のシステムは変わらずとも、比較すればこちらの方が数十倍はマシだと言える。それが何よりも羨ましい。
 それでも帰る場所は変わらない。暗い、荒涼とした世界にいつかは──
「……センチな気分っす……ん?」
 ふと、遠くに見えた蛍が風に煽られるように散り散りになってゆくのが見えた。
 目をこらしよく見る。人影だ。
 モルツクルスは落ちないように足元に気を付けながらあぜ道を走る。
「大蛇の血にここまでの効果があったとは……おや?」
「えーっと、何してんすか」
 蛍が去っていった場所にいたのは、紳士の恰好をしたミレナリィドールの陰陽師。彼はシルクハットを取り、深々とモルツクルスにお辞儀をした。
「……なるほど。私はヘンペル・トリックボックス。此度の作戦で大規模な術式を使いましてね、その後始末に……と来たのですが、その必要はあまりなかったようです」
 二人は、また蛍が集まりだした水面を見る。
 ペンヘルが述べた通り、この湿地帯は大規模なユーベルコードが撃ち込まれたことにより、乾燥地帯となった。しかし、水の大蛇が倒れ血を流したその時から湿地帯は本来の姿をゆっくりと取り戻し、今に至っている。
 あらゆる恵みを吸った大蛇は大地に還り、森羅万象に則りこれまで用いてきた力を弱り切った地へ分散させた。
 それは数百年の生というものを謳歌してきたことへの感謝だろうか。それとも湿地帯の暴君として君臨してきたことへの懺悔だろうか。きっとどちらでもある。だがどちらでもないのだろう。
 ふとモルツクルスは夜空を見上げる。幾千もの星々、これもまた雲に覆われた空しか見ることのないダークセイヴァーでは、見ることのできない光景だ。
「……綺麗っすね」
 アックス&ウィザーズでしか見られない、というわけではない。UDCアースであれば田舎や街の離れへ行けばこれに似た光景が見れるだろう。スペースシップワールドであれば世界そのものがこの夜空だ。
 ペンヘルもまた、夜空を見上げ呟く。
「……えぇ、美しい空です。これこそ我々が守るべきものであり、変わらぬものなのでしょう」
 湿地帯をあるべき姿へ戻そうとした彼は、シルクハットを深くかぶり蛍のいない闇の中へ消えてゆく。
 モルツクルスはあぜ道に寝転がると、そのまま夜空を眺め続けた。
「……これが、"変わらぬもの"っすか」
 ふとモルツクルスは考える。指揮であった妖狐の少年が説明した『炎虎水龍決戦』には歴史があった。そして、猟兵たちはそれが繰り返されようとしたのを阻止した。であれば、本来あるべき姿を逆の方向へ調律してしまったこの光景は、"変わらぬもの"ではないのでは?と。
「違うっす。きっと……」
 これが本来の姿、"変わらぬもの"だろう。
 暴君に支配された循環社会ではなく、数百もの命が互いを助け合う循環社会。どちらが美しいか、正しいか、答えは決まっている。
「さーて、っと」
 十分に夜空を見終えると、立ち上がりキャンプファイヤーで照らされた場所へと向かう。
 酒や美味しいものが待っている。そこで歌って踊って──明日になれば変わらぬ生活に戻る。
 それもまた、"変わらぬもの"だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

狐宮・リン
【狐の宿】として参加します。

【POW】
バーベキューいいですよね!
材料があるならお料理しますよ?なんでも!
手料理結城さんに食べて欲しいですし……!

作った手料理あーん♥️とかしたいですよね?ね?結城さんに甘えるチャンスを逃す手はないのです!!
これは……敵を倒すより重要な乙女の願いです!!

結城さんが嫌がらなければもふもふの誘惑でメロメロにしてしまいましょうそうしましょう……♥️


クロウ・タツガミ
【狐の宿】と参加、アドリブ歓迎だ

【POW】

食事会ですか、出来ることを手伝いますかね

焼くぐらいなら出来ると【情報収集】し【地形の利用】をしやすい場所を探して、蛇の肉を焼くつもりだが。どうもサカホコや宿の皆が青い顔をしてこちらをみているな(嘗ての料理の結果出来た黒く蠢く料理を覚えている、サカホコに外套を引っ張られ邪魔をされる)

仕方ない、料理はやめておきますか

各種機材を【怪力】を用いて運ぶのを手伝う

【火炎耐性】もあることだ、多少の熱い料理も問題ないだろう。食べる前に念のために【三位龍装】で胃の防御力を上げておくか。足元ではサカホコは肉を食べ翼を振り、マガホコは酒を飲んで楽しそうにしている。


ナノ・クロムウェル
【狐の宿】の人達とバーベキューです。
さあ、私の女子力発揮です。
つまり料理です。
女子なら出来なくてはなりません。
私は普段料理などしませんが。

どこかの本で料理は化学と聞きました。
つまり「医術」の知識を用いて料理をすればおいしく出来るのでは…(出来ません)
おいしい食材を切って、焼けばいいんです。簡単ですね(簡単ではない)

さあ、肉を切って焼いて、盛り付けていきましょう。
ふふ…皆喜んでくれるといいですね。

※PL
訳しますと…料理下手な娘です。
包丁捌きと盛り付けはうまいのに肝心の部分が非常に残念です。
妙に味付けが薄すぎたり、逆に濃かったり、変なものが出来ます。

アドリブ歓迎です。好きにしてください。



 森林で開かれた祝会。
 パチパチと音を鳴らして燃え盛るキャンプファイヤーを中心に、水の大蛇の肉をふんだんに利用したバーベキューパーティーが行われた。
 食材は先述の通り水の大蛇の肉。沼の水を啜っていたにもかかわらずイメージと違い泥臭くなく、高水圧に耐えるためのヌラヌラとした皮膚の下はホルモンを思わせる柔らかい肉らしい。野菜は森林に自生していたキノコ(毒キノコは抜かれている)。飲み物は支援物資経由で持ってきた。子供はリンゴソーダ、大人はビール。バリエーションの少なさが目立つが、誰も気にはしない。本当の祝い事ではないのだから、これぐらいが妥当だ。
「というわけで、わたしの女子力発揮です!」
 そんな食材たちの前に現れたのは、サイボーグのブレイズキャリバー、ナノ・クロムウェル。彼女はエプロンを身に纏い包丁を手にし、さっそく1000グラムサイズに切り取られた大蛇の肉に包丁を突き立てた。
「…………始まりましたか」
 本人は楽しそうに料理を行っているが、傍から見れば殺戮を行っているようにしか見えない。
 そんな光景に、ドラゴニアンの竜騎士、クロウ・タツガミは頭を抱えた。
 その一方で、
「あれ、どこ行ったんですか?結城さーん!!」
 すでに自身の手で手作り料理を完成させていた妖狐のパラディン、狐宮・リンは想い人である妖狐の青年を探していた。その青年は祝会を避けるように湿地帯へ向かったのだが、彼女はそれを知らない。
「もう、せっかく作ったのに冷めてしまいます……それに、新しい私の"愛のカタチ(ユーベルコード)"も見せてあげたかったのに」
 手元には美しく盛られた大蛇の肉のステーキ。キノコ入りデミグラスソースとキノコスープ付き。
 隣でヨクワカラナイモノをバーベキューコンロで焼いているナノとは比較にならないレベルの高級料理は、リンの手の中で冷めていった。
「もうすぐ、できるからね!」
「……そうですね」
 楽しそうに、ナノは肉の脂で強まる炎を見つめてクロムに伝える。もうすぐ美味しい美味しい料理ができると。
 クロムはただ、それを静かに見つめるしかなかった。
 足元では、白い翼の生えた蛇と同じく翼の生えた黒い蛇が、コンロから零れ落ちてしまった肉を取り合っていた。

 祝会は早く終わり、キャンプファイヤーの火も消え、辺りは静寂に包まれた。
 猟兵たちはテントの中で寝てしまったが、ナノは寝付けずにいた。
 少しだけ外の風を浴びるか。テントを開き外に出ると、そこに広がっていたのは満天の星空。黒色のカンバスに散りばめられた星々が照明となり、焚火がなくとも辺りに陰影をつける。
 ふと奥を見ると、そこには二人の影。
 広い背中の影はすぐクロムだと分かったが、もう一人背の低い妖狐の少年のシルエットがわからない。
 ゆっくりとナノは二人に近づく。すると二人は同時に後ろを向き、ナノを視認した。
「どうされました?」
「……なんだナノか」
 妖狐の少年は、作戦指揮をとっていたヘクターだった。クロムとヘクターは見張りついでに天体観測をしていたようで、ヘクターの隣には三脚の立てられた望遠鏡がある。
「眠れなくって……ていうか、いたんだ」
「いたんだじゃねぇよ。誰も天体観測しなかったから見張りつれてやってたんだよ」
「まあ、そういうわけです」
 自由気ままな彼の言動にナノとクロムは呆れながらも、空を見上げる。
 美しい星々が砂のように広がる夜空。
 どれも同じように見えて、それぞれの輝きやカタチを持ち、色や核の違いで区別される。まるで千差万別の個性をもつ猟兵たちのように思える。

 あの星々の中に、私たち猟兵がいる。
 そんな風に思っていると、ナノは自然と望遠鏡をこちらに寄せレンズを覗いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月04日


挿絵イラスト