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帝竜戦役㉕〜天地をひらく雷

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●轟くのは蒼雷
「ええい、忌々しい!」
 蒼き雷が閃く空間に、竜の巨大な声が響く。
 帝竜『ワーム』――蛇のような長大な体躯を雷雲の中でうねらせて、竜は変わり果てた己の姿に怒気を露にしていた。
 自身は、比類なき美しさを持っていたはずなのに。
 決してこのような悍ましい姿ではなかった。
 そう心中で呟くたびに、自分を再孵化させたヴァルギリオスへの怒りが湧いてくる。
 だが、帝竜ワームはその怒りを奥底へと押しこめた。腹立たしく、忌々しいが、さりとて自身の変貌はどうとでもできることである。

「ヴァルギリオスの『再孵化』は恐らく、私と同じ能力。
 私は、ヴァルギリオスを死後数日で『再孵化』できる。
 つまり、私とヴァルギリオスのどちらかがいれば、私達は不滅。
 姿かたちと過去の記憶は、再孵化を繰り返す内に取り戻してゆこう」

 さながら海を泳ぐ鯨のように、帝竜がゆっくりとその身を翻す。

「そうと決まれば、助力は惜しまぬ。全てを喰らい、駆逐してやろう。
 私こそが、世界の全て。私に勝てるものなど、この世にありはしないのだ……!」

 もし自分の前に現れる者あらば――。
 帝竜ワームの放つ恐ろしき雷光が、一帯を白く包むのだった。

●グリモアベースにて
「呼びかけに応じてくれて感謝する。また、帝竜の討伐を頼みたい」
 集った猟兵たちにひとつ頭を下げ、プルート・アイスマインドがグリモアを起動する。
 スクリーンのように空間に投影された映像には、絶えず雷が閃く巨大な雲が映っていた。
「帝竜『ワーム』が、この雷雲の領域に潜んでいる。おまえたちにはこの雷雲の中に突入し、中にいるワームを倒してきてほしいのだ」
 いわく、ワームは『無限竜』の異名を持つ難敵である。
 その代表的な能力は、生命の存在を許さぬ『雷雲の海』を作ることだ。だが同時に高度な呪いや魔術を操る力も持ち合わせており、非常に厄介な敵であることは疑いようがない。
「しかし、放置できる敵でないこともまた明白。だからこそヴァルギリオスとの決戦を迎える前に、なんとしても奴を排除してほしい」
 プルートが猟兵たちを見やるのと同時に、グリモアが映す雷雲が眩く強烈な閃光を放つ。
 なるほど確かに、捨て置ける存在ではなさそうである。
「簡単な戦いではない……そしてそれゆえに頼めるのはおまえたちしかいない。奴の存在が災いを成す前に、どうか仕留めてきてくれ」


星垣えん
 というわけで、星垣えんでございます。
 帝竜が1体『ワーム』が今回の相手となります。

 帝竜ワームは必ず先制攻撃をしてくる強敵ですが、ユーベルコードへの対処法を編み出すことでプレイングボーナスを得ることができます。
 いかに防御して反撃するか、など考えてみてください。

 それでは、皆様からのプレイング、お待ちしております!
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第1章 ボス戦 『帝竜ワーム』

POW   :    ローズ・ブレス
命中した【薔薇の香気を帯びたブレス】の【中に含まれる、邪なる心を増幅させる呪い】が【対象を操る白い仮面】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
SPD   :    遺失魔術『ギガンティア』
【自分の分身体】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    ワーム・サンダー・ブレス
【無数の雷】を降らせる事で、戦場全体が【生命体の存在を拒む雷雲の海】と同じ環境に変化する。[生命体の存在を拒む雷雲の海]に適応した者の行動成功率が上昇する。

イラスト:シャル

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アリシア・マクリントック
『全て貴族である私に従えばよいのに。逆らう者を排除するだけの力もある。力あるものが支配するのは当然でしょう?』
違う……私はそのようなことなど!私は貴族として民を……
違う……?いいえ、きっとこれも私自身。目をそらすわけにはいきません。
……このキーは……やってみせます。新たな扉よ開け!変身!マーナガルムアーマー!
邪悪な心も私の一部!封じ、避けるのではなく全て飲み込んで前に進んでみせましょう!
(相反する力を両立しているせいか負担が大きいですね……一気に攻めます!)

光と闇の舞!神狼の双刃の前に倒れなさい!
この剣はただ斬るだけではありません。牙のような峰を使えば刃の通らない鱗も噛み砕くことができるはず!


佐伯・晶
再孵化と同じ能力?
気になるけれどまずは倒す事に専念しよう
皆と協力して打倒を目指すよ

雷が降り始めたら
石から創った使い魔に
地面とつないだワイヤーガンを持たせて
斜めに浮上させ避雷針にするよ
絶縁体の石で創った使い魔ならダメージ無いだろうし

それでも抜けてきた雷は神気で時間を停めて防御
これは僕なりのオーラ防御だよ

初撃を凌いだら邪神の施しで体を石英に変えよう
絶縁体になれば雷は表面の水滴を流れるだけだろうし
生体ではない動く彫像なら
表面を雷が流れても影響ないしね

ガトリングガンは雷で使えないだろうから
空中浮遊で近づいて強化された力で殴ろうか
使い魔の石化で動きを邪魔しつつ
受けたダメージを治しながら
打撃を重ねていくよ


グァーネッツォ・リトゥルスムィス
オレも欲深い方だが他人や世界があるからオレも輝けるんだ
今の自分や世界も認めず壊そうとするのを見過ごせないぜ

生命力を高めて命を奪う雷雲への電撃・環境・地形耐性を、
精神力を高めて邪心に抵抗する呪詛・狂気耐性を上げておくぞ
質量を持った雷雲の中をドワーフ直伝のトンネル掘りで移動して
敵のブレスに当たらない様に雷雲の闇に紛れたり
雷雲を盾にして直撃を防いでみるぞ

敵の先制をやり過ごせたら『大隼との友情飛翔』を使用して
大隼を信頼しながら飛翔力や威力が衰えてないか調べるぞ
これならオレを操る仮面が無い事の証明になって戦闘に支障が出ないはずだ
またブレスに当たらない様に敵の首の可動域付近に密着してその首を斬ってやるぜ


クーナ・セラフィン
うーんそんなに怒る程の見た目なのかな?
危険性はともかくとしてこれはこれで綺麗だと思うけども。
今の自分に満足できず不平と嫉妬でしか動けないタイプの中身だったり?
そんなのがヤバイ力持ってるとなるととてもまずいよね。

基本は走り飛び回り的を絞らせない。
ブレスに対抗するにはまずは回避、直撃避けるには剣閃に破魔の衝撃波纏わせブレス切り裂いたりして対抗してみる。
それでもダメな時は符に破魔の力宿して自分に張り付け、呪いの被害を抑え込む。
邪心にはあの竜を討つという目的意識のみに集中し影響を抑えよう。
耐え切ったらUCで攻撃力重視で強化、オーラで攻撃凌ぎつつワームの喉元に突撃槍喰らわせようか。

※アドリブ絡み等お任せ


メイスン・ドットハック
【WIZ】
雷もここまであると壮観じゃのー
とは言っても雷雲に飲まれる気は全くないがのー!

揚陸艦ロストリンクに搭乗して参戦
雷を電脳魔術製の特大避雷針に電気誘導させる特殊フィールドを電脳魔術にて構築
さらに回避重視で、雷雲の直撃を避けるために、3基のAIによる軌道予測・制御回避・被害が少ない箇所を選択させ、被害はある程度覚悟しても突き進む
時には大胆に雷を急加速で突撃してダメージ軽減も狙う

先制後はUC「深淵の水、混沌の渦となる」を発動させ、質量のある雷雲を黒スライムに変えて、ワームに取り付かせる
精神汚染で、自傷させるような幻影を見せて自滅を狙う

精神の方は弱そうじゃし、搦手というやつじゃ

アドリブ絡みOK


リステル・クローズエデン
タイミングが大事ですね。

視力+偵察+第六勘で、攻撃の予兆を見切り。
引き付けてからの
足場習熟+環境耐性+電撃耐性で足場確保。
早業+ダッシュ+ジャンプ+空中浮遊。
残像+迷彩+闇に紛れる+目立たないで
一気に加速し攻撃をかわし。

魔装の腕輪による
乱れ撃ち+目潰し+部位破壊の範囲攻撃を行います。

相手の攻撃が当たった場合、
オーラ防御+電撃耐性+激痛耐性で耐え。
呪いは呪詛耐性と破魔で抗い。
限界突破。ユーベルコード発動。
悪影響を放出する


魔装の腕輪に紫傷石をセットし、
リミッター解除+鎧無視攻撃+全力魔法で砲撃を行う。

近距離ならば上記の砲撃を
怪力+シールドバッシュに変更し、
オーラディフェンサーを暴走させて
殴ります。


天道・あや
サクラ(f01965)さんと出陣

さて、今回のあたしのお仕事は…ズバリ!囮役!

サクラさんがあの帝竜にアタックするまで、帝竜を引き付ける!

ということで、帝竜を【挑発】して、あたしへと注意を引く!【存在感、誘き寄せ】

へい!そのでっかい蛇さん!youの姿、ダサイね!それに吐息も臭そうだし!あ、だからそうやって隠れてたの?あ、そうなんだ、それはごめんね!隠れてるの見つけちゃって

そんな感じで挑発したら、ドリームスターに乗って、この空の海を逃げ回る!【見切り、ダッシュ、航海術】 そして、引き付けて、サクラさんが攻撃したら…よし!船長!船に設置してある大砲起動!弾はあたし!

今だ!発射!【属性攻撃雷、鎧砕き】


刹羅沢・サクラ
あやさん(f12190)と共に出向きます

あやさんが囮を買って出てくださるとのこと
その策に乗り、あたしは忍び足で回り込み肉薄するとしましょう
仮にブレスの影響で正気を失いかけたなら、竹筒の水の香りで平静を取り戻すことを試みます
こちらからは、霧氷雪華刃を使い、手裏剣で相手の体に足場を作ります
その首に刃が届かぬならば、届く距離まで駆け上がるまでのこと
この刀で首が獲れぬまでも、その一助となる傷とはなろう
また、あたしの攻撃がくわわれば、あやさんからも注意が逸れましょう
こちらを向けば、今度はこちらが躍る番です
あやさんが攻撃に転じる隙を作りましょう
帝竜墜ちるべし


ガルディエ・ワールレイド
心が乱れても、動く技が有り鍛えた体が有る。
ならば十分に過ぎる。
武人の意地を舐めるなっ!

◆行動
武装は《怪力/2回攻撃》を活かす魔槍斧ジレイザと魔剣レギアの二刀流

《オーラ防御/電撃耐性》で環境に対応
更にブレスを《見切り》回避を狙う
被弾時は《破魔》で呪いの進行を鈍化させつつ、人々を守る為に戦うという騎士の誓いを思い出して邪心に打ち克とうとするぜ

◆反撃
自分が邪心に侵されている場合、《捨て身の一撃》で【戦場の剛刃】を狙うぜ。
むしろ大ダメージを喰らって戦闘不能になった方が効率が良いくらいだ。
邪心に影響されないよう、意識を無として、身体に染み付いた武技を振るう。
邪心が増幅されていなければ、普通に攻める


フランシーヌ・ゴールデンルール
はっはっー、いいね!
その無茶苦茶なルールの穴を突くような理論!
そういうのを見てると、解体したくなっちゃうね!

戦場変化が主眼なら狙いはそこそこ荒いんじゃないかねぇ
飛行補助ユニットで雷の発生ポイントを計算し、雲に紛れて近づいてくルートを構築!
生命体を拒む……実に対策が分かりやすいね!
つまり、生命体以外ならいいわけだ!
というわけでゴーレム軍団カモン!
戦闘力はない彼らなわけだけれど、ないなら与えてあげればいいじゃない!
【メカニック】で改造開始!
環境に適応した飛行能力!
そして、その身を攻撃力に変換する自爆能力!!
この二つを付けましたら、さぁレッツゴー!
雷に負けないくらいに大きな華を咲かせてきたまえよー!



 雲、雲、雲。
 大地のように確かな感触を持つ雲に降り立った猟兵たちは、辺りを見回した。凸凹と起伏ある雲の地形はまるで岩場のようで、群竜大陸の不可思議さを改めて教えてくれる。
 だが興じている時間はない。
 猟兵らの目前には、うずたかく積もる雷雲が、山のようにそびえているからだ。
「来たか。身の程も知らぬ者たちよ!」
 地鳴りのように響き渡るのは――帝竜ワームの声。
 同時に、破裂したかのように無数の雷撃が拡散した。
 その一撃が白衣の妖精――フランシーヌ・ゴールデンルールにも迫る。しかしフランシーヌは小さな体をするりと翻し、ギリギリながらも直撃を回避した。
「ふむ、雷はそれほどの精度はないみたいだね」
「なら仕掛けるとしようか」
 金色の長髪をなびかせ、懐から石を取り出したのは佐伯・晶だ。握った石を有翼の使い魔に変えると、晶は足元の雲にワイヤーガンを撃ちこんだ。
「再孵化と同じ能力っていうのが気になるけど、今はまず倒さないとね」
 ワイヤーガンを持たせ、使い魔を飛び立たせる晶。
 すぐさま雷撃の嵐が使い魔を取りこむ。だがそれこそ晶の想定。即席の避雷針に雷が集中しているうちに晶はワームとの距離を詰める。
「直撃を避けるか。だが死ぬのが延びただけのこと!」
 ワームの殺意が晶に向き、全方位から雷が奔った。
 ――刹那、晶の体に魔法陣が輝く。その身に宿す『邪神』の力で肉体を結晶、石英に変じた晶の体表を雷撃は抗いようもなく滑り去ってゆく。
「!」
「動く彫像なら生体とは言い難いよね。雷が当たろうと問題ないよ」
 生者必死の雷雲を蹴りつけて、晶が跳躍する。
 石英の体で空中を浮遊し、懐に潜りこむ。ワームは巨大な敵だがそれだけに至近距離まで近づけばがら空きの胴が待つ。
 強化された拳を打ちこむと、ワームの硬い表皮が硝子のように砕けた。
 痛撃。ワームの体が折れ曲がる。
「おのれ……小賢しくも私に一撃を浴びせるとは!」
「一撃? 悪いけど一撃じゃすまないと思うよ」
 降下して離れながら、晶がにやりと笑う。
 そして一瞬の後、厚い雷雲から小さな小さな何かが飛び出した。
「はっはっー、私も無事にたどり着いたぞ! 帝竜ワーム!」
 盛大な笑声とともに現れたフランシーヌだ。雲に紛れ雷を避けられるルートを脳内で弾き出した科学者はその路を金翼の生えたマシンブーツで突っ切り、傷ひとつなくワームの眼前に踊り出した。
「生命体を拒むというなら、対策も簡単だ! というわけでゴーレム軍団カモン!」
 指を鳴らすフランシーヌ。生まれ出でるのは機械式のゴーレムたち。
 命なきゴーレムならば確かに稲妻に撃たれようと大丈夫だろう。
 問題は戦闘力がないことだが――。
「能力がないなら与えてあげればいいじゃない!」
 多機能型の機械腕を起動し、ゴーレムたちを改造するフランシーヌ。瞬時に機械翼を追加されたゴーレムたちが一斉に上昇。ワームに殺到する。
 そして激突し、轟音をあげて爆発した。
「雷に負けないくらいに大きな華を咲かせてきたまえよー!」
「自爆……!?」
 次々に特攻したゴーレムたちが、ワームの体表で爆散を繰り返す。
 耳をつんざく轟音の嵐――そこへ新たな爆音が響き渡る。
「大量の雷は壮観じゃが、僕を止められるほどではないみたいじゃのー!」
 天上でも、地上でもなく、横合いから、巨大な拡声器を通したような声が響く。
 誰の声か、とワームは視線を巡らした。
 すると能天気な声から一拍遅れて、その正体が雷雲から顔を覗かせる。
「揚陸艦ロストリンク、戦場に到達じゃー」
 雲を抜けて出現したのは、所々が黒焦げに小破した空中艦船。艦全体が魔術的なフィールドに覆われており、艦首からは特大の避雷針が伸びている。
 まず避雷針で雷撃を受け、拾いきれぬものは無視して突き進む。
 豪胆な舵取りで見事に雷雲をぶちぬいてきたメイスン・ドットハックは、強襲揚陸艦ロストリンクの艦橋から帝竜へピッと指を差した。
「ではたっぷりとあるこの雷雲、すべて使わせてもらうぞー」
 メイスンのユーベルコードが艦船から周囲の雷雲へと染みわたる。
 途端、雲は黒い粘液――スライムへと変質し、意思を持ったかのようにワームに取りついた。
「これは……? ええい、私に触れるな!」
 纏わりつく黒スライムを振り払おうとするワーム。
 だが、やがて様子が変わる。
 まるで気が触れたように、自身の体に牙を突き立てたのだ。その肉を喰らおうとするかのように、ワームは自らの牙で自らを痛めつけてゆく。
「グゥ……オオオオッッッッ!!!」
「精神の方は弱そうじゃし、搦手というやつじゃ」
 精神を汚染する電脳スライム――その威力ににんまりと笑いながら、メイスンはロストリンクを増速。華麗にその場を離脱する。

「羽虫の分際で……私に傷をつけたこと、悔やませてやるぞ!」
 淀んだ精神を晴らすべく頭を大きく振って、ワームが叫ぶ。
「許さぬ、許さぬ! 消し去ってやろうぞ、この世界ごとな!!」
 なぜ猟兵などに手傷を負わねばならぬ、と帝竜の巨躯が荒れ狂う。
 ワイルドなビキニ防具に身を包む女ドワーフ――グァーネッツォ・リトゥルスムィスはその怒りを肌で感じた。
 だが、竜骨の大斧を握る手が恐怖に震えることはない。
「オレも欲深い方だが、他人や世界があるからオレも輝けるんだ。今の自分や世界も認めず壊すって言うなら、オレの手で止めてやる!!」
「そうだね。あれは止めないといけない」
 羽根つき帽子の鍔をくいっと押さえて、灰猫の騎士――クーナ・セラフィンが清廉な細剣を構える。
 が、彼女にはちょっと気になることが。
「にしても、そんなに怒る程の見た目なのかな? これはこれで綺麗だと私は思うけども……今の自分に満足できず、不平と嫉妬でしか動けないタイプなのかな。その姿の中身は」
「ほざけ! 私は世界、私こそが世界のすべて……その私が何を妬むと言う!」
 腹の内を探るようなクーナの眼差しに、ワームが心を逆立てる。
「性根の醜きは貴様らよ! その深奥、私に見せよ!!」
 稲光が零れるワームの口からブレスが溢れだす。
 薔薇の香気が一帯に立ち昇った。
「どう見ても、当たるわけにはいかないよね」
「ああ! 嫌な予感がぷんぷんするぜ!」
 危険を察知し、散開するクーナとグァーネッツォ。
 対するワームも二人を捉えんと左右に首を振る。
 だが素早く走り回るクーナを捉えきれない。機敏な跳躍でかわし、細剣『オラクル』の剣閃でブレスを吹き飛ばすクーナ。グァーネッツォはグァーネッツォで雷雲を掘って身を潜めることでブレスの直撃を防いでいた。
「猟兵! 小癪な真似を……!」
「これは失礼だったかな。じゃあ小癪じゃないこともしてみるね」
 躍り出たクーナが銀槍『ヴァン・フルール』を構える。
 穂先を上げるなり、炎と水が逆巻き、豪風が唸って香気を吹き飛ばす。
「しっかり味わうといいよ」
「ぬぐっ!!?」
 銀槍を構えたクーナの突撃がワームの喉元を穿った。
 強烈な一撃に、ワームの首が前に倒れる。
 その瞬間を、グァーネッツォは雷雲の穴からしっかりと捉えた。
「よし、今だ!!」
 飛び出したグァーネッツォの全身を、大隼の幻影が包む。そのまま幻影の翼をひろげて飛翔したグァーネッツォは、俯いたワームの首の後ろに回り込んだ。
 首の後ろならばブレスを吐きようがない。
 グァーネッツォは大斧『ナチュラルアックス』を振りかぶった。
「竜の首、ぶった斬ってやるぜ!!」
「グォォォォ!!?」
 横薙ぎに振られた骨斧がワームの首を深々と抉る。獣の牙のように喰いついた刃はワームの硬皮をいとも簡単に破った。
「貴様……首から降りろ!」
「おわっ!?」
 激昂したワームが首を回し、グァーネッツォを振りほどく。首を前後から攻撃されてダメージは浅くないはずだが、未だワームは弱る気配がない。
 だが弱っていようが元気だろうが関係ない。
 そう言わんばかりにワームの前に飛び出してきたのは、華やかなアイドル衣装を纏った女――天道・あやだった。
「へい! そのでっかい蛇さん! youの姿、ダサイね! それに吐息も臭そうだし! あ、だからそうやって隠れてたの? あ、そうなんだ、それはごめんね!」
 怒涛の勢いでまくしたてたあやが、てへっと舌を出す。
 しばし重い沈黙が訪れた。
 そして……。
「消えよ!!!」
「危ない危ない危なーい!!?」
 秒で吐き出されるブレス。あやは待機させていた幽霊船『ドリームスター号』に慌てて乗りこむ。そこからはもう全力逃走の日々だった。
「逃がさん!!」
「絶対逃げる!」
 熾烈な追跡劇を演じる両者。
 そこへ、一筋。
 きらりと光る何かが、ワームに伸びた。
「何だ……? 私の体に何かが……」
 追走を止め、自身の体を確かめるワーム。視線を巡らした竜が見たのは――表皮に喰いこんだ一枚の手裏剣だった。
「これは――」
 ワームが体に力をこめて手裏剣を弾き出そうとした瞬間、冷気が奔る。
 氷柱。一瞬にして手裏剣は氷柱へと変わっていた。
 正確に言えば手裏剣が刻んだ傷痕から無数の氷柱が伸び、肉体に突き刺さっているのだが、この際その差異はワームにとってはどうでもよかった。
 意識を向けねばならないのは、自身へ猛然と駆けてくる女のほうだ。
「帝竜ワーム、その首、獲らせてもらいます」
 着物に身を包み、刀を携えて駆けてくるのは女羅刹――刹羅沢・サクラ。
 あやが囮になっている隙に、サクラは身を潜めて死角へ回っていた。意識が他へ向いている敵へ手裏剣を当てるのは容易い。ユーベルコードで作り出した氷柱を足場にして、サクラは瞬く間にワームの首元に駆けあがっていた。
「貴様ら、また私の首を……!」
「一太刀、届きました」
 抜き放つ刀は『銀鵲』。
 羅刹の膂力をこめた一撃がワームの鎧装を、肉を斬り裂く。みたび見舞われた首への攻撃にワームはいよいよ痛切な叫び声をあげた。
 ぐらりと傾ぐ帝竜の体。
 サクラは首元から飛び降りながら、あやへと合図を放った。
「今です、あやさん!」
「OKサクラさん! ぶっ放すよー!」
 景気よく返したあやがいるのは――ドリームスター号の大砲の中だ。
 砲身に、すっぽり収まっていた。
「狙いよし! 弾はあたし! いくぞ発射ー!」
 ズドォォォン……という砲火とともに、射出されるあや。
 ワームへみるみる近づくあやは、ぐっと拳を握ってかざす。
「砕けろぉぉぉーー!!!」
 人間砲弾。一直線に吹っ飛んだあやの拳がワームの鎧装を粉砕し、貫いた。

「おのれ矮小な者どもが……調子づくな! 貴様らは私の前に敗れればいいのだ!」
 体に孔をあけた帝竜が、猛り狂い、足場の雲にブレスを吐きつける。
 勢いよく飛んだブレスは急速に拡散。さながら大波のように戦場を走り、リステル・クローズエデンとガルディエ・ワールレイドに迫ってきた。
「敵の攻撃、来ます!」
「まったく広範囲に仕掛けてきやがる。こいつはかわしきるのは無理……か?」
「そうかもしれません……ですが退くわけには、いきません」
 ガルディエの言にやや不安げに頷くのは、アリシア・マクリントックである。
「さあ、邪心を呼び覚ませ! 猟兵よ!」
 大量のブレスを吐きつづけるワーム。
 その眼と直感で予兆を掴んでいたリステルは、盛り上がった雷雲を駆けあがり空高く跳躍した。宙を舞う体の下を、猛然とブレスが通過してゆく。
 だがガルディエとアリシアは、ブレスにその身を晒していた。
「ぐ……うっ……!」
「わ、私……は……」
「ガルディエさん! アリシアさん!」
「湧き上がる心に従え、猟兵たちよ。抵抗など無駄よ」
 顔に顕現した仮面を押さえる二人へ声を投げるリステル。ワームが嘲笑うようにガルディエたちに囁きかけると、リステルは毅然とワームを睨み返した。
「勝ち誇るには、早いですよ」
 腕にはめた『魔装の腕輪』がこめられた魔力で強く輝く。
 生み出された無数の魔法弾は、一斉にワームに襲いかかった。

 暗い暗い闇。
 泥中に囚われたような感覚でいるアリシアの頭に、朧気な声が響く。
『全て貴族である私に従えばよいのに。逆らう者を排除するだけの力もある。力あるものが支配するのは当然でしょう?』
「違う……私はそのようなことなど! 私は貴族として民を……」
 弱肉強食を謳う甘い囁きに、かぶりを振るアリシア。
 強者の世界など間違っている――誰かが誰かを支配していい理由はない――アリシアの頭の内を聞こえの良い言葉が巡る。
 だが、そこではたと気づくのだ。
「いいえ、違いはしませんね……きっとこれも私自身……」
 認めたくはない。
 しかしそれもまた、紛れもなく自分なのだ。容れるべき心なのだ。
 そうであるならば――。
 と、アリシアが小さな小さな声を零したとき、強い光が閉じた瞼を打った。
「……このキーは……?」
 首に提げられた鍵が、輝いていた。
 己の可能性を、その堅き扉を開く鍵を、アリシアは握りこんだ。
 そして、叫ぶ。
 頭に浮かび上がってきた、未知の一言を。
「……新たな扉よ開け! 変身! マーナガルムアーマー!」

 深く沈んだ水中から飛び上がる。
 そんな感覚で、アリシアは現実に引き戻された。
 ひらいた双眸で戦況を、ワームを確認する。
 ワームは――。
「グァァァァァア!!!」
「その眼、塞がせてもらいましたよ!」
 リステルの魔法弾に目を撃たれ、苦しみもがいていた。爆発したような煙をあげる眼はひらかず、ワームはただ身をよじらせるよりなかった。
 好機。
 アリシアは、ワームへ向けて跳んでいた。
「光と闇の舞! 神狼の双刃の前に倒れなさい!」
 右の半身が光に染まり、左の半身が闇に染まる。邪心をも取りこんだアリシアの振るう斬撃はワームの表皮に絡みつき、粉々に粉砕した。
「馬鹿な……この力は何だ……」
 驚愕の声が、ワームから零れる。
 仮面に憑かれたアリシアがなぜ、と。
 しかしワームに考える暇などなかった。
 己が足元、至近のその距離に――白い仮面を被った黒騎士が立っていたからだ。
「貴様、貴様も……自らの邪心に囚われたはず……!」
「これしきの仮面で俺が俺を見失うと? 心が乱れても、動く技が有り鍛えた体が有る。ならば十分に過ぎる。武人の意地を舐めるなっ!」
 両の手に禍々しき魔槍斧と魔剣、『ジレイザ』と『レギア』を構えるガルディエ。
 白い仮面の囁きを騎士の誇りでねじ伏せてしまった男は、あらん限りの力を込めてふたつの刃をワームに叩きつけた。
 全体重。全身全霊。
 己のすべてを乗せた斬撃が、硬き鱗を砕き、切り裂く。
 刻まれた十字傷から、血のような体液が噴き出した。
「私が……私が斬られるだと……? 貴様らなぞに……!」
「信じられないか? ならば何度でも斬ってやる!」
 下におろしていたジレイザとレギアを、振り上げるガルディエ。返す刀で切り裂かれたワームの体は、よりいっそうの鮮血で濡れるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロード・デンドロン
呪いだぁ?この誇り高き吸血鬼様が、今更トカゲモドキの呪いでぶっ増幅されたぐらいでどうにかなるようなぶっ小せぇ邪心なんか持ってる訳がねぇだろ!
オラ、アタシの邪心を操れるもんならぶっ操ってみろよ!

要は白い仮面がぶっ突き刺さってくるダメージにだけ気を付ければいいんだろ?
ならアタシは【野生の勘】で出現する仮面を【串刺し】にしつつあのトカゲモドキまで一直線にぶっ進んでやるぜ!

接近出来たら槍をぶっ刺して【ドラゴニック・エンド】を発動するぜ!
そら、ぶっ出て来なバジリスクッ!
…あ?バジリスクはドラゴンじゃない?似た様なもんだろ!

さぁ、たかが世界を滅ぼそうとする程度の小せぇ邪心でアタシに挑んた事をぶっ後悔しな!



 猟兵たちの屈さぬ心を目の当たりにしたワームは、驚きを隠さない。
「なぜだ……邪心に呑まれぬはずがない。貴様らが私の呪いに抗えるはずが!」
「呪いだぁ? この誇り高き吸血鬼様が、今更トカゲモドキの呪いでぶっ増幅されたぐらいでどうにかなるようなぶっ小せぇ邪心なんか持ってる訳がねぇだろ!」
 自信に満ち満ちた声でワームに言い捨てたのは、ロード・デンドロン。
 頭に双角、背から黒翼をひろげる女は吸血鬼――ではなく牛と蝙蝠の因子を持ってるキマイラである。
「オラ、アタシの邪心を操れるもんならぶっ操ってみろよ!」
「驕るな! 貴様など容易く堕としてやろう!」
 吹き下ろすワームのブレスが、ロードの眼前にひろがる。
 逃げ場なく迫る呪い――のど真ん中に、ロードはドラゴンランスを突き出しながら特攻した。
「要は白い仮面がぶっ突き刺されなきゃいいんだろ!」
 包囲する香気。ロードの顔に白い仮面が覆いかぶさる。
 しかし振り上げたランスが仮面を貫く。穂先で白い仮面を串刺しにしたまま、ロードは前に突き進んだ。
「速い……!」
「たかが世界を滅ぼそうとする程度の小せぇ邪心でアタシに挑んた事をぶっ後悔しな!」
 めいっぱい突きのばしたランスが体を穿ち、返り血がロードの頬を濡らす。垂れ落ちる血をぺろりと舐めると、自称吸血鬼は陶酔するように笑った。
「そら、ぶっ出て来なバジリスクッ!」
 大笑とともに召喚される竜。当人が勝手にバジリスクと呼ぶそれはワームの胴体に喰らいつき、牙でもって硬き鎧装を抉り取った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皐月・灯
シャル(f00330)と

雷雲に潜む竜……それだけじゃねーな。
てめーで言った通り、ただの竜じゃねーみてーだ。
シャル、あのブレスぜってー喰らうなよ。あれは、やばい。

分身体と本体の位置関係をしっかり把握しとく。
攻撃範囲を【見切り】、最も攻撃が浅い箇所を駆け抜けて被害を最小限に留める。
……何せデカさが違うからな。
オレ達を潰すために、続けて畳みかけてくるだろ。
……それが狙いだ。【カウンター】を合わせてやる。
【全力魔法】【リミッター解除】の《大戦神ノ槍》を発動。

――一瞬ありゃ十分だ。

ヤツが気づくよりも迅く、シャルの開けた道に【切り込み】をかける。

ヴァルギリオスもすぐ送ってやるよ。
地に這いずってろ、蛇野郎!


シャルロット・クリスティア
灯(f00069)さんと共闘

放置しておくと厄介そうですね……ヴァルギリオスを仕留めてもこいつの好きにさせておくとすべてが無駄になる……!
ここで仕留めます!

幸いここは気流の乱れた雲海です。
風上を取れば、ブレスの拡散もある程度は阻害される。距離を取っていれば回避は難しくない。
とは言え、回避に徹していたら攻め込めませんからね……灯さん。
道を一瞬だけ開きます。斬り込み、お願いして良いですか。

ガンブレードに風属性弾をセット、最大威力の一振りで風の刃を射出、ブレスを吹き飛ばす!
後は分身体の牽制をショットガンも併用して。
後ろは押さえます、灯さんは前だけを。
全能を気取る思い上がりをぶっ飛ばしてやってください!



「ありえぬ……私に敗北はありえぬ!!!」
 絡みついてくる召喚竜を振りほどき、ワームが狂気じみた咆哮を放つ。
 すると、雷雲の中から巨大な竜が現れた。
 大蛇のごとき長躯、迸る稲妻――それはまさに『帝竜ワーム』に相違ない。
「「滅ぼしてくれる! 私を阻むものすべてを!!」」
 折り重なる、二体の無限竜の声。
 恐ろしくも倍化した脅威を見上げて、シャルロット・クリスティアは決然と呟いた。
「……やはり放置してはおけない相手ですね」
「そうだな。てめーで言ってる通り、ただの竜じゃねーみてーだし」
 皐月・灯が、吐き捨てるように返事をする。
「本体と変わらぬ力の分身体……気を付けてくださいね、灯さん」
「シャルも、あのブレスぜってー喰らうなよ。あれは、やばい」
 無事に――。
 言外に言い合って、二人は飛び出した。
 灯が一直線にワームへと駆ける。一方のシャルロットはワームから距離を取りつつ風上に回り込んだ。
「這い回るか。目障りだ!」
 ワームの一体がローズ・ブレスでシャルロットを狙う。
 しかし当たらない。向かい風を受けて横にひろがり、あるいは減速したブレスをシャルロットは易々と避けてみせた。
 もう一体のワームが加勢せんと、口をひらく。
 だが、すでに灯が目と鼻の先だった。
「よそ見してていーのかよ」
「まったく面倒な……!」
 不遜に笑む灯に、二体のワームが襲いかかる。
 頭上から降るふたつの巨体。灯はその位置と動きを分析予測。分身体が振り下ろす尾を避けると、その分身体の巨体の陰に回ってワーム本体の視界から身を隠した。
「姑息な真似をする! だが!」
 分身体とともに飛び上がるワーム。
「同時に仕掛ければ、身を隠すこともできまい!」
「あー、そうだな。同時にやられたらさすがに無理だ」
 敵の言葉にこくりと頷く灯。
 しかし口にする言葉とは裏腹に、その表情にはうっすらと笑みさえ浮かんでいた。
「……来いよ。オレを潰すなんて簡単だろ」
「言われずとも、すぐに葬ってやる!」
 空中でぐるりと反転して、ワームが灯へと降下する。
 ――その刹那だ。
「ワーム! あなたの思いどおりにはさせません!!」
 遠く離れていたシャルロットが、魔術武器『アルケミック・ガンブレード』を振りかぶり、叫んだ。魔力の弾を装填することで絶大な威力を発揮するその長剣を、シャルロットはワームたちめがけて振り抜く。
 風の刃が超速で空間を走る。
 ブレスさえも吹き飛ばして疾走する斬撃は、ワームと灯との間を分断した。
 一瞬の空白。
 灯は、それを待っていた。
「灯さん、後ろは私が請け負います! 灯さんは全能を気取る思い上がりをぶっ飛ばしてやってください!」
「ああ。任せとけよシャル」
 手にしたマギテック・ショットガンで分身体を牽制するシャルロット。彼女に軽く手を振った灯はその体を巡る魔力をフル回転させる。
 高まる魔力が灯の肉体に留まりきれず、鮮烈な燐光となって瞬く。
「魔力……まだまだ膨れて……!?」
「ヴァルギリオスもすぐ送ってやるよ。地に這いずってろ、蛇野郎!」
 臨界に達した魔力でもって、吶喊する灯。
 目にも止まらぬ速度で一条の光が翔けた――と認識した瞬間、魔力が凄まじい爆裂を引き起こす。線状に奔った灼熱のプラズマがワームの体を貫通し、大穴を開けて遥か彼方へと突き抜けてゆく。
「ば、かな……!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ライナス・ブレイスフォード
リカルドf15138と

前はリカルドに盾になられたからな
『オーラ防御』と共にリボルバーを向け『おびき寄せ』先に囮に

敵の攻撃を受け左半分を白い仮面が覆うと共にリカルドの血を肉を啜り喰らいたいという欲が膨れればその首筋に牙を埋めんと試みる―も
口内の甘露と共に皮膚を剥がされる様な痛みが顔を襲えば正気に戻り顎を離すぜ
…前も言っただろが
俺のもん置いて何処いくんだっつの

次いだ言の葉には開かぬ左目を閉じたまま具体的に言わねえと解んねえよと、軽口を返しつつ
【偉大なる糧】にて強化した感覚を使い狙いを定め『クイックドロウ』にてリカルドの弾丸の後に続く様に弾丸を放つぜ
これで満足だろ?ほら、動けなくなる前に撤退すんぞ


リカルド・アヴリール
ライナス(f10398)と
アドリブ歓迎

前に出ようとするよりも速く
ライナスが敵を誘き寄せていて
せめて、分身体からの攻撃を受けさせない様に【かばう】

おい、ライナス!無事――ぐっ!?
食い千切る様な行為に
血を啜る欲を刺激されているのかと察して
……何故か、無性に苛立ってくる

血が欲しいなら、後で幾らでもくれてやる
お前まで、俺を置いて行くな……!
ライナスが俺を喰らう間に
【部位破壊】【捨て身の一撃】で仮面を引き剥がそうと

剥がし終えたなら
敵の視界を遮る様にUC:光
銃撃に不慣れ故、仕留め切れずとも構わない

血塗れで狙いが定まらないと言われても困るぞ
お前の腕を頼りにしている
食った分は責任取ってもらうからな、ライナス



「先に行くぜ?」
「ライナス! 待て!」
 巨体に穴をあけたワームを見て前に出ようとしたリカルド・アヴリールを、ライナス・ブレイスフォードが追い抜いてゆく。
「奴を引きつけるのは俺がやる! お前は後ろへ――」
「あれこれ言われんのは嫌いなんでな」
「……っ! 仕方ない!!」
 制止から逃げるように遠ざかるライナスを追走しつつ、ワームの分身体のほうへと目線を配るリカルド。
 ライナスはオーラを張って守りを固めて――そして今度は自身が盾になるために――リボルバー『Fortuna』の銃口をかざした。
「俺がここにいるぜ。狙ってみろよ」
「貴様ァァ……!!」
 苛立ちを滲ませるワームの声は弱っている。
 しかし、ワームの強大な力までは衰えてはいない。
「喰らうがいい! そして見せよ、貴様の本性をな!」
「こいつ、速っ……!?」
 ワームが吐きつけたブレスが足場の雲に当たり、周囲に急速拡散した。
 薔薇の香気に触れたライナスの顔の左を白い仮面が覆い隠す。
「ぐっ、アァッ……!!」
「おい、ライナス!」
 分身体の攻撃を凌ぎながら、ライナスのもとへ駆けるリカルド。
 ライナスも彼の姿を視界の端で捉えた。
 そして、どうしようもない渇望が、ダンピールの喉を疼かせた。
「ライナス! 無事――ぐっ!?」
 駆け寄ったリカルドの首筋に、鋭い痛みが走る。
 ライナスの細い牙が喰いついていた。
 欲望に任せた口が血を啜り、肉まで喰らおうと牙が伸びる。
「ライ……ナス……!!」
 痛みにわずか顔を歪ませて、リカルドはライナスを見た。
 ライナスは陶然と血を啜っている――ように感じた。
 そう思うと、なぜだかリカルドの心はざわつき、その手はライナスの仮面を掴んでいた。
「血が欲しいなら、後で幾らでもくれてやる。お前まで、俺を置いて行くな……!」
「ぐっ!!?」
 力任せに、引き離すリカルド。
 皮膚を剥がれたような痛みでライナスが我に返る。
 自身が何をしているかに気づくと彼はそっと口を離した。
「……前も言っただろが。俺のもん置いて何処いくんだっつの」
「もう少し説得力のある顔で言え。この阿呆……」
 左眼の閉じられたライナスの血塗れの顔を見てから、リカルドは横へ顔を逸らす。
 視線の先にあるのは、言うまでもなく無限竜の巨体。
「血塗れで狙いが定まらないと言われても困るぞ。お前の腕を頼りにしている。食った分は責任取ってもらうからな、ライナス」
「具体的に言わねえと解んねえよ。阿呆なんでな」
 顔を引き締めるリカルドに軽口を叩きながら、ライナスが『Fortuna』を握る。
「私の呪いを貴様も……猟兵とはつくづく腹立たしい存在だ!」
 長躯をうねらせ、二人を叩き潰さんと飛んでくるワーム。
 リカルドがリボルバー『Moirai』を抜き、一瞬で弾丸を放つ。射撃は不慣れだ。一発の銃弾はワームの体を掠めただけで消えていった。
「どこを狙――!!」
 揶揄するように声を弾ませたワームが、止まる。
 ライナスの『Fortuna』の弾丸が、腹のど真ん中を撃ち抜いていた。リカルドの撃つ弾にピッタリ隠れていた弾はワームも気づくことができなかったのだ。
「グオオオッ……!!」
「これで満足だろ? ほら、動けなくなる前に撤退すんぞ」
「ああ。そうするとしよう」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クロト・ラトキエ
私に勝てるものなど、この世にありはしない――と。
骸の海を知る方の言は、実に説得力に欠けますね。
大口は、世界の全てを敵に、一人の力のみで戦うくらいしてからでないと。

分身は視界内に留め置くも、狙いは本体。
最短距離で、駆け抜ける。
余波を受けるくらいは必要経費。
らしく無い?
いい的?
結構。

雷雲の揺らぎ、影、流れより潜る二体の位置と進路、
雲中なら空気の動き、姿見えるなら体動や口の開閉から攻撃の兆候、と…
攻撃は来る。確実に、当たりに。
…けれど。
運命を破壊するのは、君だけだと思う勿れ。見切った全てを用い
――伍式

肉薄叶えば鋼糸を拡げ、
鱗の間等、脆そうな点へと幾重にも巻き引き断つ2回攻撃。

で。
誰が不滅でしたっけ?



「なぜ私が傷つく……私に勝てるものなど、在り得るはずが……!!」
 猟兵に破壊された無惨な体を揺らして、ワームはわなないた。
 無敵を謳いながら着実に追い詰められている帝竜の姿に、クロト・ラトキエはくすりと愉快げに笑う。
「骸の海を知る方の言は、実に説得力に欠けますね。大口は、世界の全てを敵に、一人の力のみで戦うくらいしてからでないと」
「人間ごときが……私を貶めるかッッ!!」
 クロトに怒りを向けるワームが、分身体とともに襲いかかる。
 対してクロトは――ワーム本体へ一直線に駆けた。
「馬鹿め……死にに来るとはな!」
 ワームの大口に雷光が閃き、横から分身体が猛進してくる。
 ――けれど、クロトはやはり飄然と微笑むのだ。
「死? 生憎と、そんな運命は僕には見えませんね」
 クロトのユーベルコードが、発動する。
 途端、彼の眼にはワームと分身体の無数の像が浮かんだ。こちらの足元や頭上、あるいはもっと広範にワームが雷撃をひろげれば、分身体は地上から空中からいくつものルートで突進を仕掛けてくる。
 すべて、起こり得る未来だ。
 そしてその一つひとつが、水泡のように消えてゆく。
 やがて像がたった一体に収束したとき――雷撃は、跳躍したクロトの遥か下方を薙ぎ払っていた。
「!? 貴様ッ……!!」
「ほら、言ったとおりでしょう」
 狼狽えるワームへ、クロトが放った鋼糸が絡みつく。鎧装の繋ぎ目にぐるぐると巻かれた鋼糸が肉を断ち切ると、ワームは盛大な悲鳴をあげていた。
「グアアァァァァァッッ!!!?」
「おっと失礼。で。誰が不滅でしたっけ?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

オーガスト・メルト
煩いドラゴンだな。
雷もそうだが、声が煩い。
『うきゅー』『うにゃー』
そうだな、デイズ、ナイツ。早々に黙らせて…武器素材になってもらうとしよう。

【SPD】連携・アドリブ歓迎
デイズをランスに、ナイツをバイクにして【騎乗】し【空中戦】を挑む。
敵の攻撃を【見切り】、【敵を盾にする】ように立ち回る事で二匹の竜が互いの邪魔になるように動こう。
多少の雷は【オーラ防御】と【電撃耐性】で減衰させる。

そんなデカい図体で連携するには錬度が足りてないな。その身体にまだ慣れてないんじゃないか?

隙が出来たらUC【竜二輪変形】で一気に加速。
敵の表皮を抉るように【ランスチャージ】で斬り裂く!

いい鱗だ…これは良い武具になるぞ。


ミスト・ペルメオス
【SPD】

『再孵化』、気になるが…、
謎の解明より、ヤツを墜とす方が優先だ…!

愛機たる機械鎧(人型機動兵器)を駆って参戦。
マシンヘルム等を介して念動力を活用、機体をフルコントロール。
スラスターを駆使して飛翔、空中戦に臨む。

強大な相手とその分身。不利は承知で、しかし諦めない。
己と機体の限界ギリギリまで力を尽くし、戦闘機動を駆使しながらの射撃戦を仕掛ける。
敵の攻撃を回避、或いはビームシールドでいなして致命傷を避け。
僅かな隙を貫けとばかり、可変速ビームキャノンで応射する。
如何な相手だろうと食らいつき、凌駕し、蹂躙し、墜とす。
遠い過去の伝説、恐るべき【“黒い鳥”】のように…!

※他の方との共闘等、歓迎です



 戦域に轟くワームの断末魔。
 こちらの体まで震わすその大音声に、オーガスト・メルトは耳を塞いだ。
「煩いドラゴンだな。雷もそうだが、声が煩い」
『うきゅー』
『うにゃー』
「そうだな、デイズ、ナイツ。早々に黙らせて……武器素材になってもらうとしよう」
 両肩に陣取るむっちり真ん丸の小竜たち――『デイズ』と『ナイツ』の鳴き声に頷くオーガスト。
 そんな彼と小竜たちの横には、一機の黒い機械鎧が浮遊している。
「ヤツの言う『再孵化』は気になりますが……謎の解明より、今はヤツを墜とす方が先決ですね……!」
 物々しい機体とは不似合いな大人しい声の主は、ミスト・ペルメオス。
 サイキッカーの少年は機械鎧『ブラックバード』に念動力を巡らせた。重厚な機体をスラスターを噴いて飛翔させて、超速でワームに突っかける。
「私は滅ぶのか……? 否、滅びぬ。私は死なぬ……! 死なぬぞ……!」
 余力を振り絞り、ゆらりと巨体を起こすワーム。
 スラスターの光を瞬かせるミストの姿を認めると、ワームは分身体とともミストと同じ高度へ上昇。撃墜すべく左右から強襲する。
「滅ぶのは貴様ら猟兵だ!!」
「さすがに速い……! だが!!」
 念動力を極限まで高め、ブラックバードの飛躍した運動性で挟撃を回避するミスト。
 空中で機体を翻して急転。機体に備わる二門の可変速ビームキャノンの砲口をワームに向けた。
「喰らえッ……!!」
「ぐ……おおおおっ!!?」
 眩いエネルギーの砲撃が、光の柱がワームを掠める。ほんの少し触れた程度ではあるがその一瞬で鎧装は溶融した。まともに受けていれば――とワームも肝を冷やす。
 だが、命中は避けた。
「厄介な威力だが……知っていればどうにでもなる代物よ!!」
「くっ……!」
 高笑いするワームと分身体。主砲を撃ちきったミストに今度は上下から襲いかかる。
 が、そこへ加勢が飛んでくる。
「俺も混ぜてもらうぞ。お前の鱗に用があるからな」
「貴様……!!」
 黒い宇宙バイク『ナイツ』に跨ったオーガストが横から割りこんで、白槍『デイズ』を分身体の横っ腹に突きこむ。悲鳴をあげた分身体の体が大きく折れた。
「いいだろう。貴様もまとめて葬ってやろう……!!」
 全身に怒りの雷を迸らせるワームが、咆哮する。オーガストを撃墜せんと分身体を回りこませ、自身は真っすぐにオーガストへと突撃した。
 しかし捉えられない。
 オーガストはバイクに変形している『ナイツ』を巧みに操り、向かってくるワームの横をすり抜けて背後に回る。後ろから追いすがった分身体は撃ちかけた雷撃を止めた。ワームの体が邪魔なのだ。
「おのれ、ちょこまかと……!」
「そんなデカい図体で連携するには錬度が足りてないな。その身体にまだ慣れてないんじゃないか?」
「グガァァァァ!!?」
 オーガストの繰り出した『デイズ』の刺突が、ワームの鎧装を抉り取る。肉まで裂けた傷痕から剥落した鱗をキャッチすると、オーガストはその手触りに頬を緩める。
「いい鱗だ……これは良い武具になるぞ」
 しかと、ワームの鱗を握って、オーガストはちらと目配せをした。
「充填完了です……!!」
 眼差しに応じたミストの砲門に、熱く眩い光が灯る。
 もはや砲身を溶融させんばかりに高まったビームエネルギー。
 当然、その極大の砲撃が捉えるものは――。
「…………墜ちろッッ!!!!」
「――ッ、ガアアアァァァァァァァッッッッ!!!?」
 二条の閃光に射抜かれ、いや晒されたワームの肉体が見る間に塵と消えてゆく。
 数秒もすれば、ワームの体はさっぱりと、世界から消滅していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月30日


挿絵イラスト