スペースシップワールドの代表的な食文化がスシであることは既に多くの人々の知るところである。
星という名の資源、即ち土が極めて希少な世界であるところのスペースシップワールドにおいて炭水化物を活動源とする炭素生命体種族の人々の生活を主なカロリー源として支えるのは、水耕栽培が可能な特性上、イネ科の苗をルーツとする植物。すなわちコメに類似する穀物である。
幸いにしてスペースシップワールドには豊富な水資源が存在している。居住には適さないが良質なH2Oを蓄えた氷の彗星などの存在により、水の供給には事欠かない。その証拠として、この世界には人工の海を備えたリゾート船が数多く運航している。
それは即ち、水棲の原生生物、つまりスシのネタとなり得る魚類がスペースシップワールドにも存在しているということだ。実際魚類の肉は良質なたんぱく質源として人々の間でも親しまれている。宇宙の海とはよくも言ったものである。
そして、シャリとネタが揃うということは、即ちそこにスシが生まれるということだ。そして、スシは今日もスペースシップワールドの人々の食文化を支え続けている。
しかしこのスペースシップワールドを支えるスシ文化は今、恐るべき侵略の魔の手に晒されていたのである。
「ガオオォォン!グゴゴゴ……ガオオン!」
グリモア猟兵、砲撃怪獣・ガンドドン(f12004)は、スペースシップワールドにおいて発生した案件についての詳細をモニターへと投影した。
「グゴゴゴゴ……ガオン!」
『任務内容:宙域に出現する詳細不明の艦艇の調査』。
『当該の宙域において、ここ数週間の間に正体不明の艦艇の目撃証言が寄せられている。実際に、当該の艦艇によるスペースシップの襲撃事件も周辺において発生しているため、銀河帝国残党オブリビオンが潜伏しているものと推察される』
『これより当該宙域へと赴き、調査対象である艦艇と接触。必要に応じて敵性の撃破を依頼したい』
――モニターの画面を、各世界に対応した言語での翻訳を交えながら文字が流れてゆく。
「ガオォン」
内容が正しく伝達できているか確認するように、ガンドドンが首を傾げた。
一拍置いて、再びモニターに新たなメッセージが流れ始める。
『当該の艦艇は『アビ・スシ』のスペースカンバンを外装に取り付けたスペースシップである』
『付記:報告によると、仮称アビ・スシによって襲撃を受けたスペースシップはいずれもスシの提供を伴う飲食サービスを産業としており、また、いずれのスペースシップも外装に取り付けられたスペースカンバンを破壊される営業妨害行為を受けている』
「ガオォングゴゴ」
ガンドドンは調査資料を示したのち、更に画面に新たな情報を表示した。
『補足:今回の案件においては、スペースシップワールドの民間船が協力を申し出ている。協力者の民間船もまた、スシを提供する飲食サービスを行うスペースシップであり、本案件における囮役を買って出てくれたのだ。まずは彼らとともに行動し、敵をおびき出してもらうことになる。なお、彼らの安全にもじゅうぶん留意したうえで任務を遂行してほしい』
「グゴゴゴ……ガオン」
ガンドドンは再びモニターに映像を表示する。
『任務内容まとめ』
1.任務に協力する民間船に乗り込み、囮役として敵の出現まで当該の宙域を航行する。なお、敵の出現までは半自由時間となり、船内の人々と接触することも許可されている。また、船内での食事は経費として落ちるため、常識的な範囲内であれば自由に飲食しても構わない。
2.敵の艦艇が出現した際は速やかに戦闘態勢に移り、迎撃する。
「ガオォォン」
以上だ。
「ガオォン?グゴゴゴ。ガオォンゴゴゴ」
ガンドドンは最後に確認するように猟兵たちに問いかける。
「ガオォォン。ゴゴゴ……ガオォン」
そしてねぎらいの言葉を寄せると、一度ゆっくりと頷いてからグリモアを輝かせた。
無限宇宙人 カノー星人
ごきげんよう、イェーガー。カノー星人です。
新たな侵略活動を開始いたします。ご査収ください。
この度も、あなたがたと共に旅路をゆけることを幸福に思います。
楽しんでいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
第1章 日常
『スペース・スシ・パーティー』
|
POW : 大きなお寿司でパーティー!
SPD : 華麗なお寿司でパーティー!
WIZ : 知的なお寿司でパーティー!
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ヘイラッシャイ!」
民間スペースシップ、『ザ・ゴールデン・スシ』は、最大乗船人数が乗組員を含めて100人にも満たない小〜中型のスペースシップだ。
キャプテン兼筆頭イタマエを務めるのは、歳の頃三十路に差し掛かった頃か。職人としてはまだ若く、その顔立ちにも若干のあどけなさを残す若者であった。名を、ゲンタウ・メーモリーという。
「いやァ、お客さん!よく来てくれたじゃーねェか!へへ、なに握りやしょう!」
ゲンタウは船内のスシ・バースペースで猟兵たちを歓待する。カウンターに吊るされたAI搭載型チョーチンランタン・メカが『ゴユックリィ!』を叫んだ。
「……いやいやいや、浮かれてるってワケじゃねぇんですよ。へへ、何しろスシ職人はワザマエだけじゃなく、お客のハートを掴む愛想も大事ってモンですからね」
ゲンタウはカウンター席に熱した手指清拭用クリーンオシボリを並べながら愛想良く猟兵たちへと笑いかける。
「件の『アビ・スシ』とかいう悪党スシ屋も、その内出てきやしょうさ。……スシでも食いながら気長に待っててくだせェな。請求書の送り先は聞いてるんで、お代は気にしなくても結構!」
そして、ゲンタウは宇宙アルコール・クリーナーで指先をクリンナップする。汚れひとつないゴールドに輝くイタマエスタイルが、イナセに煌めいた。
「さあお客さん!何握りやしょう!」
睦沢・文音
【WIZ】で知的におスシを楽しみます。
心情
タダズシ……!
なんと甘美な響きでしょうか!
作戦
とはいえ相手は勝手の異なるスペーススシ。
まずは上ズシ一人前を注文して摘まみつつ、好みのネタや傾向をゲンタウさんに伝えます。
後はゲンタウさんに「お任せ」で腹八分になるまで握って貰います。
これぞ必勝の策、「プロにお任せ」!(知的要素)
おスシを美味しく頂いた後は協力して下さった皆さんに報いるためにも、アビ・スシ調査への情熱を燃やします。
他の参加者様との連携歓迎です。
最大の目的は、おスシを美味しく頂くことです。
その為なら、些細な失敗はやむを得ないものとします。
ジークハルト・グリムガルデ
ははぁん。戦闘の前のエネルギー補給も兼ねるとはなんと知的な作戦でしょうか。
何を……と言われると困りましたね、寿司には詳しくありません……とりあえずオススメの物をお願いします。
(そうして出てきた寿司をみて)……寿司とはなんと美しい食べ物なんでしょうか。(ひょいパク)……)御寿司という食べ物はとてもおいしいですね。
これは。(ひょいパク)なんとしてでも(ひょいパク)作戦を成功させねば(ひょいパク)……大将お代わり、作れるものを端から端までお願いします。
あと卵焼きはお代わりでお願いします。
ザ・ゴールデン・スシのスシ・バーエリアへと足を踏み入れた睦沢・文音(f16631)とジークハルト・グリムガルデ(f21399)を、筆頭イタマエであるゲンタウが迎え入れる。
「よくいらっしゃいやした、猟兵のお嬢さん方。さァさァ、今日に限っちゃお代の心配は結構!オーガニック・スシだって出せますともさ!何から握りやしょう!」
「おお……」
圧!イナセな大将の威勢のよさに若干押されながら、ジークハルトはスシ・バーのカウンター席につく。手指清拭用クリーンオシボリで指先を拭きながら、ジークハルトは品書きに目を通した。
「何を……と言われると困りましたね、寿司には詳しくありません……」
「こういう時は作法があるのですよ」
その隣に相席した文音は、知的な雰囲気を漂わせながら微笑む。
「大将」
「アイヨ!」
「お任せでお願いします」
「アイヨォ!」
スペースシップワールド外の出身である文音はスペースシップワールドにおけるスシについての知識をもたない。
であるが故に、蛇の道は蛇。その道に精通するゲンタウ氏に任せるという策をとったのだ。実に冷静で的確な判断力である!
「では、私もとりあえずオススメの物をお願いします」
「ヨッシャア!ンじゃあ、ちょおいと待ってろィ!」
イタマエは威勢よく声を張り上げた後、スペーススシオケから適量のスメシを取り出し、その手に握る。コメは農耕生産船団・ギミヤ産のコスモ米、サニーニシキをほんのり固めに炊き上げたものだ。
スペースシップワールドに流通するコスモ米は農耕生産船団イガニータ、中でもとりわけ稲作農業船ウォヌマー産のコスモヒカリが有名であるが、コスモヒカリはスシにするには美味過ぎるのだ。コメとしての味わいが控えめなサニーニシキはネタの味わいをそっと受け止め、スシとして合一化した時のネタの味を引き立てる。即ち完成度を高めるのである。
「いいかい、お客さん。――スシにはね、食べる順にもおススメってのがあるのさ。方法の一つとしちゃ、淡泊であっさりとした控えめな味のイカや白身から始めて、次いで赤身。それから貝や魚卵なんかの味の濃い方に順番で食べていくやり方だ。先に味の濃いものを食っちまうと、次のスシの味が入ってこれなくなっちまうからな。逆に味の濃淡の波をつくって緩急をつけていくのもテよ。この場合はアガリや酢締めのネタで味をリセットしながら波を楽しんでいくのがおすすめだぜ」
「なるほど……そのあたりはこちらの世界の作法とそう変わらないんですね」
「そうなんですか。私は寿司そのものがはじめてですが……楽しみです」
2人はカウンター越しに振るわれるイタマエの手さばきを眺めながら、次々に握られてゆくスシの姿を見た。まずは遺伝子調整済みバイオヒラメを用いたエンガワの握り。続けて遺伝子調整済みバイオグラビトロマグロの赤身。更に遺伝子調整済みバイオホタテやバイオ鯛などのスシは次々に握られてゆく。ここへ更にグラビトロマグロのトロや旬のバイオ初ガッツォが加わり、最後にスペースシップワールド原産の鳥類型家畜ワーリニットの鶏卵を使用したタマゴのスシを加えてセットが完成した。定番に近い品を揃えたコースである。
「一貫献上!へいお待ち!」
「わあ……」
「おお……握りの見た目はほとんど同じなのですね」
2人の前へと、スシ・バー独特の足つき木製プレートへと乗せられたスシ・セットが提供される。
「さあ、食ってみてくんなァ!」
「はい、いただきます」
「いただきます」
そして、文音とジークハルトはそれぞれ小皿へとスペースムラサキを注ぐ。ザ・ゴールデン・スシで使用されているムラサキは農業生産船団ホカード産のゼログラビティ大豆仕込みの上等なショウユソースである。先に文音が手本を見せるように、まずエンガワから手に取る。適量のスペースムラサキをネタにつけ、そして一口。
「……んっ。これはなかなか」
エンガワは淡泊な味わいと歯ごたえのある触感が楽しめる白身の定番だ。仄かな温かみの残るスメシ。ネタとスメシの狭間に隠れた遺伝子調整済みオーガニックワサビのアクセントと、スペースムラサキの華やかな風味が彼女の舌の上で混然一体となって踊り出す。
「ウチのネタは培養バイオサクじゃなくて、ちゃーんと仕入れたバイオフィッシュを捌いて調理してっからねぇ!1皿ワンコインのエコノミックスシチェーンたぁ味が違うのよ、味が」
培養バイオサクとは、その名の通りスペースシップワールドの技術を用いて作られる培養魚肉のことである。魚類の可食部位のみを培養して食用化する技術によって生み出され、味は生体バイオフィッシュの身に比較すれば上等とは言えぬものの安価で安定した供給が可能なため多くのエコノミック・スシ・チェーンでは食材として親しまれている。
「そうなんですか……もぐ」
ジークハルトは見様見真似でエンガワにムラサキを触れ、そして口に入れる。たちまちその舌の上でヒラメが舞った。――味のファーストコンタクトは苛烈に彼女の味蕾を刺激し、脳天を蕩かすに近いスシの奥深い味わいを叩き込む。
「……寿司とはなんと美しい食べ物なんでしょうか」
初めて経験するタイプの美味であった。戦いに身を捧げ続け兵器として振るわれ続けていた彼女であったが、ここにきて彼女は遂にスシという幸福に巡り合ったのである。
「御寿司という食べ物はとてもおいしいですね」
「そうですよ。おスシはとてもおいしいです」
2人はスシをつまみながら非常に有意義かつ知的な会話に興じ、そしてスペースシップワールドのスシ文化を堪能してゆく。
「これは」
ひょいぱく。ジークハルトはマグロ赤身を食べた。
「なんとしてでも」
ひょいぱく。ジークハルトはタイを食べた。
「作戦を成功させねば」
ひょいぱく。ジークハルトはトロを食べた。おすしおいしい。その目にはたいへんな光が宿っている。
「はい。協力して下さるゲンタウさんたちに報いるためにも、アビ・スシのことは私たちがしっかり解決しなくてはいけませんね。……あ。大将、アガリください」
「アイヨォ!」
かくして2人の猟兵はその胸に火を灯す。そう、スシ文化はスペースシップワールドの宝だ。それを脅かそうという悪のスシ屋を許すわけにはいかない。
「……大将お代わり、作れるものを端から端までお願いします。あとタマゴはお代わりで」
「私は腹八分目で止めておきたい…………ですが、……一貫だけなら大丈夫でしょう。大将、私にもタマゴおねがいします」
「ハイヨロコンデー!」
かくして、戦意高揚のための壮行会めいた猟兵たちのスシ・パーティーは繰り広げられるのである。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
新海・真琴
寿司…スシ!?
あ、うん、そうだね、スペースシップワールドの主食はスシだね
(ニューロンを侵食された寿司の本場サクミラ日本人)
あ、このお寿司、七夕飾りみたいで可愛い…
こっちの茶碗蒸しは薄紫とピンクで夜空みたいだ。マツタケが仄かに光って天の川みたいだ。宇宙船でもキノコって育つのかな?
この卵焼きはお月様みたいな色で…卵獲れるんだ
私の故郷も寿司文化があるんだけど、こんなに華やかなお寿司はなかなか無いんだよね
ちょっとビックリしたけど可愛いは正義だし、七夕にはちょっと真似してみようかな?
(スシ職人に話しかけて)
あの、今ここで旬のネタってなんですか?
……ICBMバラクーダ。ええと、カマス?
チル・スケイル
…これが、異世界の一つ。通称・スペースシップワールド。
スペースシップなる金属製の町、窓の外には果てなき夜空。空を超え宙へ飛び立ち、そしてその果てに大地を求める、どこかいびつで、美しい世界。
そしてこれが…この世界の人々が生み出した文明の断片…スシ。
世界全体の大まかな知識だけは仕入れましたが…やはりというか、右も左もわかりません。
とりあえず…敵が現れるまで、食事をとりましょう。とりあえず…オススメのスシを頂きたいと思います。
………美味しいです。未知の刺激であるにもかかわらず、どこか安らぎを覚えます……
鋼の船には、未だ慣れませんが。
スシは…良いものですね。
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
スシか…まさか外宇宙で出てくるとは思わなかったな
銀河帝国も絡んできてるそうだが…まぁスシでも食べて待つか
この後の戦闘の事も考えたら控えめに頂くのが良いだろうな
中トロ・コハダ・アジ
アナゴ・甘エビ・〆サバ・スズキ…
いい味だな、貝類も行こうか
ホタテ・アワビ・赤貝・ミル貝
カツオ・カンパチ・ウニ・イクラ…
むぅ…どれも新鮮で素晴らしく味が濃いな
思わず食べ過ぎてしまいそうだ
とスシを堪能しつつもUCを密かに発動
ドローン達を宙域で隠密行動させ、怪しい艦船が近づいて来ないか警戒する
残党とは言え一時は世界を滅亡へと導こうとした奴らだ
油断せずに行こう
これ以上の被害は止めて見せるさ
ここのスシも旨いしな
「ヘイラッシャイ!」
次なる猟兵たちがノレン・カーテンをくぐり、スシ・バーのカウンター席へとつく。
「これが、スペースシップワールド……」
チル・スケイル(f27327)ははじめて訪れる世界の風景に息を呑んだ。
大地なき世界。スペースシップという船の中に存在する街。窓の外には果て無き星の海。空を超え宙へ飛び立ち、そしてその果てに大地を求める、どこかいびつで、美しき世界。彼女の故郷であるアックスアンドウィザーズ世界から見た夜の空よりもはっきり星が瞬く宇宙の世界に、チルは見入る。
「そしてこれが……この世界の人々が生み出した文明の断片……スシ」
そしてカウンター席についたチルは、スシを握る大将ゲンタウの姿を見上げながらしみじみと頷いた。
「スシか…まさか外宇宙で出てくるとは思わなかったな」
一方UDCアース人であるところのキリカ・リクサール(f03333)は店内の様子に驚きを隠せない。そこはUDCアースに存在する日本の寿司屋の店内とそっくり同じ風景をしていたのである。スペースシップワールドとは信じられぬ佇まいに戸惑いつつも、キリカは席に着いた。
「そうね、まさかスペースシップワールドに寿司が……スシ!?」
新海・真琴(f22438)は目を丸くして素っ頓狂な声をあげた。彼女はサクラミラージュ世界の猟兵である。本来であればスシ文化といえばサムライエンパイア、あるいはサクラミラージュに存在するニホン文化圏のもののはずだ。
――という偏見に、彼女は囚われている。
オープニング冒頭でも説明された通り、スペースシップワールドの文明の中にはスシ文化が育つ素養が十分に存在しているのだ。すなわちスペースシップワールドの食文化の中心がスシであることには何の不思議もなく、むしろ当然であるといえる。
「あ、うん、そうだね、スペースシップワールドの主食はスシだね」
世界背景を見通したうえでのきわめて正しい文化的な認識を獲得することに成功した真琴は納得して席に着いた。
「ラッシャイ!なに握りやしょう!」
そうして席に着いた3名の猟兵へと、ゲンタウは威勢よく笑顔を見せた。
「とりあえず……オススメのスシを頂きたいと思います」
「そうだね……私はせっかくだからここならではの逸品を食べてみたいところだけど、大将。できるかな?」
「お任せあれよ!」
「では、私は定番を頂こうか、大将、まずは中トロだ。それからコハダとアジを頼む」
「アイヨォ!」
筆頭板前ゲンタウは猟兵たちのオーダーに元気よく答えながら、てきぱきと手際よくスシを握り始める。サニーニシキのコズミック銀シャリを手早く握り、まずは注文に応えてバイオグラビトロマグロの中トロを握る。グラビトロマグロとは高重力圏の環境下に適応進化したスペース魚類だ。引き締まったその身の味わいは涼やかで、しかして高重力環境に適応するためのクッションとして発達したやわらかな脂身も芳醇な風味をもつ人気のスペーススシネタだ。続けてバイオコハダとバイオアジの握りを素早く整えた。職人の技と共にスシネタがきらりと光る。スペーススシゲタにセッティングされたスシの数々が店の照明を照り返しながら、キリカの前へと提供された。
「では、いただこう」
「アイヨォ!そちらのお客さんにも同じのを一丁!」
「はい……ありがとうございます」
続けておなじスペーススシゲタがチルの前へと提供された。チルとキリカはコスモチョップスティックを巧みに操り、スペースシップワールドの流儀に則ってスシを食べる。小皿にとったスペースムラサキに適量浸し、そして口に入れる。シャリ・ネタ・ムラサキ。そしてスシの中に密かに隠れた遺伝子調整済みオーガニックワサビのつんとくる独特の辛みが混ざり合い、舌の上で舞い踊る。それは開闢であった。異界の文化に初めて触れるチルにとってはまさしく黎明である。
「これは……」
チルは双眸を開いた。
アックスアンドウィザーズ世界において、魚肉の生食は一般的ではない。また、かの世界において主食は小麦を練り上げ発酵させた生地を焼き上げるパンが主流である。そうした文化に育った彼女にとって、ここで出会うスシは未知の味わいであった。
「………美味しいです。未知の刺激であるにもかかわらず、どこか安らぎを覚えます……」
「うん。いい腕だ、大将。しかし、この後の戦闘の事も考えたら控えめに頂くのが良いだろうな……」
キリカはヒカリモノと呼ばれるネタを堪能し、満足げな声をあげる。
「おうおう!食いねェ食いねェスシ食いねェ!言ってくれりゃアどんどん握るぜぇ」
「……そうか。うむ。いい味だな。貝類もいこうか」
「健啖健啖!そうこなくっちゃいけねぇ。ささ、そちらのお客さんも!」
ほめ言葉に鼻を高くするゲンタウは更に次なるネタを繰り出す。バイオホタテ・バイオアワビ・バイオレッド貝!ゲンタウの腕はますます冴える。
「大将、私の注文はまだかな?」
「もちろん忘れちゃいねぇさ!……さあ、こいつでどうだい、お客さん!」
真琴の注文にこたえるゲンタウは、カウンターへと小ぶりなスペーススシオケを配した。蓋を開く。ふわ――。広がるスメシの香り。そこに現れたのは、スメシの上に散りばめられたバイオフィッシュのネタ具材に、糸状に細かく刻まれたタマゴ!スメシの舞台上に配されたそれらは輝く宇宙を映した絵画めいて光っていた。――これこそはスペース・チラシである!
「ちらし寿司まであるのか……。あ、このお寿司、七夕飾りみたいで可愛い……」
真琴はスペースチョップスティックで星型の飾り切り具材を取り、感嘆の声を漏らす。
「それだけじゃーねェぜ。更にこいつも食ってみなァ!」
バァンッ!――更なる追撃めいて提供されたのは熱々のコスモチャワンである。真琴はその蓋を取り上げた。ふわりと中から香るのは、甘く濃厚なタマゴの風味。高級オーガニックコスモマツタケと遺伝子調整済みバイオシュリンプやバイオギンナンを贅沢に使ったゲンタウ自慢のコスモチャワン蒸しだ。
「茶碗蒸しとは恐れ入ったね……。薄紫とピンクで夜空みたいだ。しかも、マツタケが仄かに光ってまるで天の川だね」
「おうともさ。さあ、まとめておあがりよ!」
促された真琴は提供されたそれぞれの料理を口に運び、堪能する。華やかさが光るスペース・チラシズシはスメシの仄かな甘みと様々な具材が互いに絡まり合い、複雑で芳醇な味わいを真琴の下の上で広げる。一方でコスモチャワン蒸しは厳選されたスペースシップワールド原産の鳥類型家畜ワーリニットの中でも特に上等なブランド品種が生産したタマゴを惜しげなく使った逸品だ。濃厚な味わいが真琴の味蕾を優しくも激しく刺激する。
「なるほど……これは確かに美味しい。私の故郷も寿司文化があるんだけど、こんなに華やかなお寿司はなかなか無いんだよね」
真琴は更にチラシ上の飾り切り具材をつまみながら、見た目にも愉しめるそのスシをその双眸においても堪能した。
「飾り切りか……ちょっとビックリしたけど可愛いは正義だし、七夕にはちょっと真似してみようかな?」
「待て、そのチラシとチャワン蒸し……旨そうだな。同じものを私にも頼む」
「私にもお願いします」
「アイヨォ!」
見た目の華やかさと香りに惹かれ、キリカとチルも注文を通す。――実際、チラシもまた美味い。カウンターへと通されたスシが繰り出す味のイリュージョンが猟兵たちの味蕾をくすぐり、スペースシップワールドにおけるスシの奥深さを存分に叩き込んだ。
「ほう……」
チルはアガリで舌を一旦リフレッシュしながら息をつく。あまりにも鮮烈な味体験は度を過ぎると精神的な瑕疵となって残ることさえあるが故に、それは正しい選択であった。
「スシは……良いものですね」
「ああ。どれも新鮮で素晴らしく味が濃いな。思わず食べ過ぎてしまいそうだ」
キリカもまたアガリを口にしながら静かに頷いた。
――しかし、その一方で彼女に油断はない。キリカは徹底的にスシを堪能しているばかりに見えるようであったが、それに同時並行して既に行動を起こしていたのだ。【シアン・ド・シャッス】。スペースシップ、ザ・ゴールデン・スシの付近の宙域においては、現在彼女の繰るドローン機たちが周辺を哨戒していた。
「とはいえ……油断せずに行こう。なに、これ以上の被害は止めてみせるさ」
ここのスシも旨いしな。そう言い添えたキリカは周辺の警戒を怠ることなく継続しながらも、続けてスシの注文を重ねる。
「ところで、今ここで旬のネタってなんですか?」
「そりゃあ勿論プロクシマ太陽系暦5月の今と言やァICBMバラクーダよォ!」
「……ええと、カマス?」
かくして、銀河帝国残党と思しき謎の艦艇との接触を前に猟兵たちは英気を養う。
未だ周囲に敵性の反応は察知できない。スシ・パーティーの時間は十二分に残っているだろう。猟兵たちは更に注文を重ねるのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
アイ・リスパー
「お寿司!
お・す・し!
OSUSHI!!」
お寿司食べ放題などというパラダイスが地球上に存在していいのでしょうか!(地球じゃありません
ここは経費という魔法の言葉をフル活用です!
【チューリングの神託機械】で電脳空間の万能コンピュータにログイン。
最も効率的な順番で食べられるように最適な注文方法を計算します。
「計算完了!
これが最もパーフェクトな寿司の注文順番です!
マスター!
いくらあなごサーモンイカ中トロ玉子えんがわ(中略)の順番で!」
神託機械をフル稼働させた反動で口から吐血しながらも一息で注文をおこないます。
これが食べられるなら後悔はありません!
私が育った研究艦にはお寿司などなかったのでワクワクです。
シャルロット・シフファート
アイと連携希望。
「寿司ね...アリスになる前から...多分UDCアースの日本に来日した時よく食べていたけど、SSWの寿司はどんな味なのかしら」
と、マグロの赤身とトロは外せないとして、この時期の旬の新子、穴子、アジとスズキ、ヒラメとこの時期の旬のネタを二貫頼みましょう。
と、寿司を堪能して次はオススメのイカやエビ、白身魚を頼んで満喫する。
アイには日本における寿司の来歴や旬などを会話として話したりアイのドジっ子属性が発揮されたらフォローするわ。
「悪くないわね。これも猟兵になる役得かしら?」
フィーナ・ステラガーデン
ただでお寿司が食べれると聞いて参上よ!
とりあえずメニューにあるもの片っ端から順番に持ってきなさい!
世界を救う戦いより大事な戦いが今から始まるといっても過言じゃないわ!!いざ!いただくわ!!(ズガグガガッ!!←食事音)
ゴクンっ!1周目し終わったあたりで裏メニューとか無いか聞きたいわね!
UDCじゃないお寿司屋!
きっと普段食べれない何かすんごいものがあるはずよ!いや、あるわ!!
何が出るとか味は任せるわ!
(アレンジアドリブ連携大歓迎!)
「ただでお寿司が食べれると聞いて参上よ!」
バーン!フィーナ・ステラガーデン(f03500)がノレンカーテンを潜り、ザ・ゴールデン・スシのスシ・バーへと飛び込んだ。
「お寿司!」
アイ・リスパー(f07909)が続けて突入!その双眸にきらきらと光を湛えながら声をあげる!
「お・す・し!」
アイはフィーナと手を取り合いながらワルツを踊るように一度くるりと回転。そしてすぱっとカウンターの座席につく。
「「OSUSHI!!」」
テンション高く声を揃えて2人は快哉を叫んだ。ぱし、と音を立ててたいへん楽しそうにハイタッチする!
「いえーいおスシ!ここは経費という魔法の言葉をフル活用です!ふふ、お寿司食べ放題などというパラダイスが地球上に存在していいのでしょうか!」
「うふふ。アイったら。ここはスペースシップワールドよ」
経費でスシ。それは多くの人の憧れだ。点描で描画された優雅な空気を纏ったフィーナはその喜びからか少々ハイな様子が見てとれる。
「寿司ね……」
シャルロット・シフファート(f23708)はアイに続いてカウンターへとやってくる。ごきげんよう、と行儀よくイタマエのゲンタウさんに挨拶をしてから楚々とした仕草で席に着いた。
「アリスになる前から……多分、UDCアースの日本に来日した時よく食べていたけど……この世界の寿司は、どんな味なのかしら」
「とにかく食べるわよ!とりあえずメニューにあるもの片っ端から順番に持ってきなさい!」
「待ってくださいフィーナさん。いいですか、おスシにはその味を最高に味わうための最適な順番というのがあるんです」
「……そうなの?」
「そうよ。それにチョイスとしても、マグロの赤身とトロは外せないとして……やっぱりこの時期の旬の新子も見逃せないわね。あとはイタマエにオススメを選んでもらうのも……」
「いいえ、それにも及びませんよシャルさん。ここはぜひ私にお任せくださいなのです!」
ガールズスシトーク!しかしてこれは非常に重要な会議でもあるのは間違いない。スシを食べる順にも作法やスシの味をより楽しむための流れが存在しているのだ。アイは2人を制止しながら自信ありげに渾身のドヤ顔と笑みを浮かべる。
「電脳空間への接続を確認。万能コンピューターへログイン。オペレーション開始します」
【チューリングの神託機械/チューリング・オラクル・マシン】!――バーチャルキャラクターとしての権能を用いてアイは電脳空間上に構築された演算装置へと接続する。
アイはその演算能力の全てをフル稼働し、スシの味を最大限に引き出し、最も効率的に食べられる最適な注文方法を様々なアプローチからシミュレートし数値化。計算を繰り返し、最適な答えを導き出す!
「ごぼッ」
その身にかかる絶大な負荷はアイの内部データに損傷を与え血を吐かせるも、しかし最高のスシを味わうためならば後悔はない。――シミュレート完了。答えは導き出された。
「ふっ……。計算完了です。わかりましたよ……これが最もパーフェクトな寿司の注文順番です!」
「待ちわびたわ!早く注文しましょう!」
「そうね……アイ、まず血を拭って」
「はいです」
シャルロットはハンカチでアイの吐いた血を拭い、一度落ち着かせる。――さあ、あらためて注文だ。クールダウンのため一度全員でアガリを一杯飲み干してから、代表してアイが挙手する。
「マスター!いくらあなごサーモンイカ中トロ玉子えんがわ(中略)の順番で!」
「あいよォ!」
大将は呪文の高速詠唱めいて素早く放たれた注文をコズミック聴覚で聞き取ると握りに移る!スメシを握り、遺伝子調整済みオーガニックノリを巻きつけたバイオイクラ軍艦を仕上げた。続けてバイオアナゴ、バイオサーモンといったネタを次々とシャリに合一化させてゆく。そしてスペーススシゲタの上にパズルのピースを置くように、絵画めいて鮮やかにネタが並んだ。都合3人前!瞬く間に握り終えられたスシ・コースがカウンターへと提供される!
「へいお待ち!」
「わぁいおスシ。私が育った研究艦にはお寿司などなかったのでワクワクです」
店内の照明を受けて眩しく輝くネタの光に、アイは快哉を叫んだ。
「それじゃ、いただきましょう」
「ええ!世界を救う戦いより大事な戦いが今から始まるといっても過言じゃないわ!!いざ!いただくわ!!」
ズガグガガッ!フィーナは目の前にスシゲタが置かれるや否や握りを次々と口へ運ぶ。瞬く前にスシ・コースひとつがフィーナの腹の中へと消えた。
「え、もう食べたんです?」
「随分早いわね……。アイ。計算だと、どのくらいのペースで食べるのが一番いいの?」
「おなかの負担にならないよう、いっこずつゆっくり味わうのがいいですよ!」
「いいのよ、私が満足すれば!ところで大将、裏メニューとか無いの?裏メニュー」
フィーナは更にテンション高くカウンター越しに大将へと声を投げかけた。あきれた顔をしたゲンタウが肩を竦めて笑う。
「まァ、ないこたァないさ。しかしこいつァちと上級者向けだぜ」
「構わないわ。普段食べれない何かすんごいものがあるはずよ!任せるわ!」
「アイヨォ、それなら――」
ゲンタウがシャリを握る。――そして、その上にネタとして乗せられたのは、青紫色をした奇妙な切り身だ。率直に言ってしまえばやや毒々しい色合い。どちらかと言えば珍味の類であろう。ゲンタウはそれを一貫握ると、フィーナの前へと提供した。
「モンゴリお待ちィ!」
モンゴリとは、スペースシップワールド原生生物である食用宇宙モンゴリアンデスワームを用いたスシである。ホルモンめいて弾力に富みジューシーな味わいを楽しめる、近代のいわゆる肉寿司に似た新世代のスシだ。見た目は毒々しくも味は独特で、一部に熱狂的なファンを抱えている。
「モンゴリ」
「モンゴリ……?」
アイとシャルロットが困惑した。
「こういうのを待ってたのよ!」
フィーナは躊躇なくいった!――他のいかなる動物性たんぱく質由来食品とも異なる触感。しいて言えばホルモンに近い弾力が歯ごたえとなってフィーナの舌を楽しませた。
「……」
「……」
「……さ、さあシャルさん!私たちも食べていきましょう!」
「え、ええ、そうね――」
一方で、アイとシャルロットはアイが計算したベストのスシ・イーティングの流れにそって寿司を口に運んでゆく。どれも培養バイオサクではなくスペースシップワールド産の生体バイオフィッシュを捌いた正式なスシである。その味はUDCアース文化圏の寿司屋にも決して引けを取らないだろう。
シャルロットはつまんだイカを咀嚼し、スペースムラサキの風味や遺伝子調整済みオーガニックワサビのさわやかな辛みと共に味わう。
「うん。悪くないわね。これも猟兵になる役得かしら?」
「ですね。なにより経費ですから!」
人の金で食べるスシは美味い。否、スシは美味いが人の金で食うとなおさら美味いのだ。アイはしみじみとスシを味わいながら、今日一番の幸せな顔で笑った。
――しかし、猟兵たちよ。スシの後には仕事が残っている。そっちも決して忘れてはならないぞ!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ジル・クリスティ
【恋華荘】
お寿司食べ放題はいいんだけど…私のサイズだと、大きいね、さすがに
(胴体くらいある大きさの握りを見て)
テーブルの上に座り、目の前にそびえるお寿司にチャレンジ
…何が好きって言われても…食べたことないからなぁ…
とりあえず手のひらサイズのボールみたいなイクラを摘まんでみたり
巨大な刺身を少しずつ抱えて端から齧ってみたり…
「ん、私サイズじゃないから食べにくいけど、美味しいね」
ふわふわなタマゴとか、柔らかいサーモンとか、好きかもしれない
でも、ご飯全部は食べきれないかも…
出来るだけ残したくはないけど…んっっ!?
なんかツーンときた!涙出てきた!これがワサビ…
え、理緒これだけで食べるの…?(汗
菫宮・理緒
【恋華荘】
これ、敵がでてくるまでは、
おスシ食べ放題ってことでいいんだよね!
経費でおスシとか、
なんだか何年かあとには弾けていそうな豪勢さだね!
それにしても、
おスシがスペースシップワールドの食文化を支えてるとは知らなかったな。
ジルさんはお寿司だとなにが好き?
わたしはねー! マグロもいいけどやっぱり白身!
鯛、ヒラメ、ハマチ、ノドグロとかイサキなんかもいいよね!
「んんんんーっ! このすっきりとうまみのこらぼれーしょん!」
そして、シメはもちろんわさび巻き!
もちろんジルさんも食べるよね!
「これ、敵が出てくるまではおスシ食べ放題ってことでいいんだよね!」
「食べ放題はいいんだけど…私のサイズだと、大きいね、さすがに」
菫宮・理緒(f06437)はテーブル席に着くや否や快哉を叫ぶ。一方、理緒の肩上に乗って同行してきたジル・クリスティ(f26740)は、スシゲタに並んだスシの数々に圧倒された。フェアリーである彼女にとっては、人間サイズにはちょうどいいスシであっても握りのひとつひとつが彼女の胴体ほどもある巨大な物体だ。
「そっか。たしかにジルさんの大きさだとおスシもちょっと大きすぎるね」
「おっと、こいつァ失礼!それなら合わせた大きさで握りやしょうか?」
筆頭イタマエのゲンタウがカウンター越しに声をかける。
「お気遣いありがとうございます。でも、せっかくなのでこのままチャレンジしてみます」
「アイヨォ。んじゃ、必要なら言ってくんなせェ」
「はーい」
かくして、ジルはカウンター上でスシに向かう。
「それにしても、おスシがスペースシップワールドの食文化を支えてるとは知らなかったな」
理緒は率直な感想を口にした。本来イメージされるスペースシップワールドの食品というと、本来は合成タンパク質やサプリメントなどの無味乾燥なものとなるだろう。しかして実際は各スペースシップに搭載されたコアマシンから供給されるエネルギーの恩恵によって意外にも食文化の多様性は豊富なのだ。その中でもスシはオープニングで記述されたようにこの世界に於いては水資源が豊富であることから食材の供給がされやすいためにこの世界における主な食文化となっているのだ。
「ヨソの世界のお客さんはみーんなそう言うんですよねぇ。あっしらからすりゃあ当たり前のことなんですが」
「でも、宙域性でちょっと違いがあると思うな。私の宙元(※ソラモトと読む。スペースシップワールドにおける『地元』の意)はあんまりおスシ流行ってなかったし」
ジルはほんのすこし首を傾げた。――スペースシップワールドは非常に広大な世界だ。例えばUDCアースの日本においても北海道と沖縄でその郷土料理や食文化が大きく異なるように、宙域によって文化が重ならない部分も生じるのである。
「へぇ、そうなんだ……。ところでジルさんはお寿司だとなにが好き?」
理緒はカウンターに提供されたスペーススシゲタからジルへと視線を移し、問いかける。
「何が好きって言われても……食べたことないからなぁ……」
「そうなんだ。それじゃあ今日好きなのが見つかるといいね。……わたしはねー! マグロもいいけどやっぱり白身!」
理緒はバイオタイの握りを口に運ぶと、その仄かに甘みの香るすっきりとした旨味をスペースムラサキの風味と共に味わう。ぴりりと舌を刺激する遺伝子調整済みオーガニックワサビの辛味がアクセントだ。
「んんんんーっ! このすっきりとうまみのこらぼれーしょん!」
続けて手に取るのはヒラメやハマチといった白身のネタである。さっぱりとした味わいはいくらでも食べられそうだ。理緒はその味に舌鼓を打つ。
「なるほど……そっか。おスシって言ってもいろんなネタがあるもんね」
その一方で、ジルはイクラを一粒手に取った。彼女のスケールからすれば、手のひらサイズのボールほどの大きさになる。スメシの上に乗ったネタを、少し抱えてかじってみる。新鮮な食用魚介を生食する習慣は、スシの文化をもたない宙域の出身であれば物珍しさもあっただろう。ジルは興味深げに様々なスシをつまんでゆく。
「私サイズじゃないから食べにくいけど……美味しいね」
「やっぱりサイズ合わせたのを握ってもらえばよかったんじゃない?」
「うーん……最初はほんとうの大きさで体験してみたかったっていうか……でも、たしかにご飯全部は食べきれないかも……」
2人は談笑を交えながらスシを食べ進めてゆく。
「出来るだけ残したくはないけど……んっっ!?」
ここでジルに電撃走る。――遂に彼女はスシの中に潜んだ遺伝子調整済みオーガニックワサビに行きついたのである。はじめて体験するツンとした辛味に、ジルは涙を浮かべた。
「なんかツーンときた!涙出てきた!」
「どうしたの、ジルさん?」
「これがワサビ……」
「ああ、ワサビかあ。……おいしいよね。わたし好きなんだ」
理緒はここで手を上げてカウンター奥のゲンタウを呼んだ。シメの追加注文を行う。ワサビ巻きである。
「理緒、それは……」
「シメはもちろんわさび巻き!もちろんジルさんも食べるよね!」
「ええ……理緒、これだけで食べるの……?」
ジルは先ほど体感した遺伝子調整済みオーガニックワサビのつんとくる辛味の味を思い出しながら、辟易した顔ですこし引いた。
「わ、私は遠慮……」
「……食べないの?」
ほんのちょっと寂しげな顔で囁くように言う理緒!このシチュエーション、断るのには少々の勇気がいる。ほんの少しの逡巡。ジルは少しだけ悩んだ後――
「……じゃ、じゃあ、挑戦してみます」
妥協!
ジルは友情とワサビへの忌避感を天秤にかけた上で友情を取った!かくして、ジルはワサビ巻きへと挑まざるを得ない状況に追い込まれるのである!
「やったー!それじゃあいっしょに食べよ!」
一方理緒は友達と同じものをシェアできる嬉しさに 表情をほころばせた。――スペースシップワールドにも、『おなじ船で食う』というスペースコトワザがある。食事とはあまねく生命が明日を繋ぐために必須の行為であり、その食事を共にするということは、ともに生きるということでもあるのだ。すなわち、たべものをシェアするという行為は命を分け合う行為に他ならない。
かくして彼女たちの友情はスシを通じて育まれるのである。
――ところで猟兵たちよ。このあとの仕事も忘れてはいけないぞ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ユーノ・ディエール
SPD
アビ・スシ……まさか、いいえ、奴は葬られた筈
しかし偉い人は言いました
一匹いたら百匹いると思え、と
つまりはそういう事……でしたら
今はスシ・バーを堪能する他ありません!
それでは私はまず赤身の握りを頂きます
何の赤身ですって? まあ色々あるでしょう
うん、美味い。流石のワザマエです
続いてはやはり――外す事は出来ません、ええ
大将、アレを。そう
ス ペ ー ス モ ン ゴ リ ア ン デ ス ワ ー ム を
……いつからでしょう。この食材に、存在に
私が虜にされてしまったのは。信じられない事ですが
※以下食レポは大将のお任せで
……この気配、まさかいるのですか
いたら返事してくださいよねえ
(と、隣席の人に絡む)
カーバンクル・スカルン
【SPD】
アビ・スシかー、見たことはあるけど食べたことはなかったなー。
せっかくのサービスだし、スペースシップワールドでしか食べられなさそうネタをいただくとしようか? 懐の心配は無いからねー。
……まぁ、大抵がここでしか見れないネタなんだけどさ。そういやこのお醤油もどうやって作っているのかね? 遺伝子組み換え? それとも昔ながらの発酵?
うん、おいしい!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・【POW】使用
■行動
お寿司、美味しいですよねぇ。
折角ですから、到着までいただきましょうかぁ。
【豊饒現界】を使用し[大食い]を強化しましょう。
これで、一般的には難しそうな「大物」でも、しっかりといただけますぅ。
まあ「常識的な範囲で」と言われている以上、そこまでの量にはならない気は致しますが。
ネタの方は、ゲンタウさんのお勧めをお願いしたいですねぇ。
一番良いネタを把握されているのはこの方でしょうし。
あまり他ではいただけない品だと最良でしょうかぁ。
お寿司を握られている間は、同時に強化した[料理]を使って勉強させていただきましょう。
猟兵をやっておりますと、何処かで実際に握る機会も有りそうですぅ。
ミスト・ペルメオス
【SPD】
スシって、この銀河では一般的だったのですか…。
ぼくの故郷は、相当に「変わりもの」だったのですね…?
(スシどころか料理全般、食文化がごっそり逸失しているメシマズな「船団」の出身。
なお故郷は銀河帝国攻略戦前後に大変なカルチャーショックを受けたようで、食文化を少しずつ復興中)
…そう、ですね。
ここは…ご主人、「おまかせ」でお願いしますッ。
見よう見まねで、或いはご主人に食べ方を教えてもらいながらスシをいただく。
故郷ではまだまだ楽しめない、鮮度と素材の旨みが売りの上等なスシを楽しんで…。
素晴らしいスシ職人さん達に仇なす『アビ・ズシ』への敵意を静かに燃やし、万全の状態で戦闘に臨まんとする。
「スシって、この銀河では一般的だったのですか……」
スシ・バーのカウンターへと腰かけたミスト・ペルメオス(f05377)はカルチャーショックに打ちのめされる思いであった。
彼の出身であるところの銀河船団は、スシどころか料理全般の食文化を逸失している。差別的な観点の強い地域においてはキョッペ(※「辺境っぺ」の意。辺境銀河出身者を田舎者と嘲る宇宙スラングである)の謗りを免れないであろう。
しかして、彼の故郷は銀河帝国攻略戦以後、猟兵たちの尽力や他の船団との交流がもたれたことによって少しずつであるが他の船団や他の世界からの食文化の輸入が始まり少しずつではあるが文化復興の兆しを見せている。
今回の経験は、彼の船団にとっても貴重な食文化体験のデータとなって新たな文化を積み上げる礎となることだろう。
「ええ、そちらの船団では知られていなかったようですが……」
先輩風を吹かせるユーノ・ディエール(f06261)であったが、実際のところ彼女はスペースシップワールドの食文化に非常に精通した猟兵である。グリモア猟兵として多くの世界を見てきた経験も合わせて豊富な知識をもつ彼女は、スペースシップワールド出身の猟兵の中でも食通であるといえる。
「ええ。お寿司、美味しいですよねぇ」
そこで夢ヶ枝・るこる(f10980)が口を挟んだ。
るこるはいわゆる大食いと呼ばれるタイプの猟兵だ。すなわち、小柄な体格でありながら実に健啖である。スペースシップワールドの代表的な食文化であるところのスシを堪能できるということで、言ってしまえば食事に釣られて現場に来てしまったタイプである。
しかして、彼女はただスシを食べにきただけ――というわけではない。料理を得手とする彼女は、このスペースシップワールドのスシの握りを彼女自身の目と舌でもって味わい、学ぼうと意気込んでもいたのであった。
「まあ、どれにしたってねー」
一方、カーバンクル・スカルン(f12355)は既に席につき、スシ・バー・カウンター越しに握りの準備をするイタマエのゲンタウへと視線を注いでいた。
「せっかくのサービスだし、いただくとしようか?懐の心配は無いからねー」
カーバンクルは素直にスシを楽しもうという腹積もりであった。
それに、せっかくスペースシップワールドのスシ職人のもとへと出向いたのだ。この機会にスペースシップワールドでしか食べられなさそうなネタをぜひとも頂きたい。期待に輝く視線がイタマエの指先を視る。
「……そう、ですね」
ミストは頷いた。ここにこうして足を運ぶことになったのも、きっと縁というものなのだろう。普段から鎧装を駆り、戦いに身を投じている彼であったが、今この時を楽しんではならないという理屈はない。
「ここは……ご主人、『おまかせ」』でお願いしますッ」
とはいえ、寿司文化はミストにとっては管轄外の知識だ。蛇の道は蛇。ここはプロの目に任せるべきだと判断して、ミストはメニューをゲンタウにゆだねる。
「そうですね、私もゲンタウさんのお勧めをお願いしたいですねぇ」
「そしたら私もおまかせでおねがーい」
るこるもまた同じ判断を下した。一番良いネタを把握しているのは店をやっているイタマエ自身であろうと考えたのである。更に、カーバンクルもおまかせに追随する。
「アイヨォ!」
猟兵たちの注文に、イタマエのゲンタウは威勢よく答えた。ゲンタウはスペーススシオケから適量のスメシを取り、そして瞬く間に農耕生産船団・ギミヤ産のコスモ米、サニーニシキを使ったスペース銀シャリを握り上げる。続けて取り出したネタに遺伝子調整済みオーガニックワサビ・ペーストを適量仕込み、そしてその手の中でシャリと合一化させる。かくして完成するのがスペースシップワールドのスシだ。遺伝子調整済みバイオグラビトロマグロの赤身・中トロ・ネギトロ軍艦の並ぶマグロ食べ比べに、赤身ばかりに偏らぬようと配慮された白身のバイオヒラメやバイオハマチといったネタや、食感の違いを楽しめるようバイオイカやワーリニット鶏卵を用いたタマゴなども並ぶ比較的初心者向けのスシ・コースセットがスペーススシゲタの上に配され、そしてカウンターへと提供された。
「私はまず赤身の握りから頂きましょうか。こちらにもグラビトロマグロ3種をお願いします」
「ヨロコンデー!ちょいと待ってくんなよォ」
ゲンタウは手早くオーダーに応え次々にスシを握ってゆく。修行を重ねた職人の技が光った。
「流石本職の握りは違いますねぇ……。ですが、勉強になります」
るこるはスペースムラサキに浸したグラビトロマグロの赤身を頬張りながら、目の前で繰り広げられるスペースイタマエの見事な技術を注視する。
――猟兵をやっていれば、いずれ何処かで実際にスシを握る機会もあるかもしれない。
そう。猟兵にもたらされる依頼の内容は千差万別だ。当然、スシを人々に振舞ったり、オブリビオンと味で対決するようなシチュエーションも襲い来ることがあるだろう。備えを怠らぬるこるの姿勢は非常に賢明であると言えた。
「うん、おいしい!」
カーバンクルは口にしたバイオハマチの握りを呑み込んで、声をあげた。
「あったりまえよォ。ウチはいつもツキジーチヴァまで出向いてエマドエ産のバイオフィッシュを仕入れてっからねェ!」
「バイオフィッシュ?」
カーバンクルはここで疑問を呈した。バイオフィッシュとはいったいいかなるものであろうかと首を傾げる。
バイオフィッシュとは、スペースシップワールドの一部の艦艇で飼育あるいは養殖されている魚類である。本来の住居としていた惑星の海はもはや存在しない魚類であるが、その生態と生存環境を保全するための船が少なからず存在しているのである。そうした艦艇の一部は、艦で生育・養殖した魚類をザ・ゴールデン・スシのような飲食サービス船に卸すことによって運営資金を得ているのである。――なお、当然ながらそれらの生体はスペースシップ内での生存のためにバイオテクノロジーを用いた遺伝子調整が行われている。そのため、これらの魚はバイオフィッシュと総称されるのだ。
なお、遺伝子調整を施すことなく細心の注意を払って本来の生存環境を完全に再現された中で生育された原種魚類はバイオフィッシュと区別するためにオーガニックフィッシュと呼ばれている。こちらは非常に高価だ。
「まァ、レールウェイ型のエコノミック・スシ・チェーンなんかは培養バイオサクなんか使うこともあるがね。うちは断然活きのいいバイオフィッシュ一本よォ」
「なるほど……」
そうしたバイオフィッシュを用いたネタというのはある意味このスペースシップワールドでしか食べられないネタである。カーバンクルはスペースチョップスティックでつまんだグラビトロマグロを見つめた。
「そういやこのお醤油も?」
「ああ、そいつはホカード産のゼログラビティ大豆100パーセントよ」
旧き惑星の文化を今に伝えようとするスペースシップは決して少なくはない。それらの努力がかたちとなって、ここにスペースシップワールドの文化の結晶であるスシが燦然と輝いているのだ。
「……で、お客さん。スシはな、そのムラサキをネタにつけて食べるのさ。……ああ、つけ過ぎちゃいけねぇ。あんまりやり過ぎちゃ、スシの味がわからなくなっちまう」
「なるほど……」
ミストは見よう見まねでたどたどしくスペースチョップスティックを操り、スシをつまんで恐る恐る口へと運ぶ。
――噛み締めた瞬間、グラビトロマグロからあふれる海の香り。仄かな甘みを宿した脂。それらがスメシと一体となりながらムラサキの華やかな風味と共に舌の上へと広がり、そして隠されていたオーガニックワサビは爽やかな辛みとなってマグロの風味を引き立てながら刺激的に踊り出す。――出身船団の食文化の乏しさから食事の良し悪しの理解に欠けていたミストであったが、その彼をもってしてもこのスシは上等なものであると理解できた。
それは彼にとって、食道楽と言う名の快楽の新たな黎明の瞬間でもあった。
「ところで大将」
「アイヨォ」
――ここでユーノがゲンタウへと視線を向けた。その眼差しには、真摯な光が宿る。
「グラビトロマグロ3種、堪能させてもらいました。流石のワザマエです」
ず。――ユーノはアガリを一口啜り、一拍置いてからもう一度口を開く。
「ですが大将、私にはどうしても食べたいネタがあるのです。……あるんでしょう」
「アレかい」
「はい」
「『アレ』?」
意味深なやり取りにるこるが口を挟む。――裏メニューだろうか。るこるの舌先が疼く。
「はい。――大将。アレを」
「アイヨ」
深くは説明することなく、ユーノは静かに頷いて注文を通した。
「……気になりますねぇ。それじゃあ私も同じのを頂けますぅ?」
「へえ。それ、ひょっとしてここでしか食べられないようなネタ?それなら私も食べたいなー」
「承知ぃ!」
威勢の良い声を張り上げながら、カウンター越しにゲンタウが新たなネタを繰り出す。――それは、奇妙な青紫色をしていた。
「……なんですかぁ?」
「あれは――そう」
シャリの上へとネタが乗せられる。毒々しい、と言っても過言ではない色合い。珍味の類であろう。ゲンタウは真剣な眼差しでそれを握ると、猟兵たちの前へと提供した。
「モンゴリお待ちィ!」
「これは……!」
モンゴリ。
それは、宇宙モンゴリアンデスワームの握りである。
スペースシップワールドを原産とする宇宙モンゴリアンデスワームの身は、珍味として一部の愛好家の間に知られている。ほどよい弾力をもち、他のいかなる動物性たんぱく質由来食品とも異なる食感。しいて近いものを挙げるとすればホルモンか。いわゆる肉寿司に近いその味わいは、新世代のスシとして近年じわじわと愛好家を増やしつつある。
「……いつからでしょう。この食材に、存在に、私が虜にされてしまったのは。信じられない事ですが」
本来であれば宇宙モンゴリアンデスワームは危険であるとして忌避される宇宙生物だ。しかし、近年になって一部の愛好家の間で研究が進み、かくして食品として密かに流通されるまでに市場の開拓が進みつつあったのである。ユーノはそうしたムーヴメントの中でその魅力に取りつかれた一人であった。
「これは……たしかに他では頂けない品ですねぇ」
るこるは割と躊躇なくいった。――不思議な食感。しかし、決して不味いものではない。癖のある独特の風味は好き嫌いが分かれるだろうが、るこるの舌はこれを許容範囲と受け止めた。
「宇宙モンゴリアンデスワーム……。うーん、こーいう生き物がいるのは知ってたけど、まさか食べられるとは思ってなかったなー」
カーバンクルは提供されたモンゴリの握りにいささか驚くようなそぶりを見せながらも、味への興味が勝った。いちにのさん、で口に入れる。――あ、案外おいしい。血抜きや臭み消しの下ごしらえがしっかりとされているのだろう。名前と見た目に反して口の中に入れてしまえば抵抗感はなく、その食感が存外にカーバンクルの舌を楽しませた。
一方でユーノはその味をしっかりと噛み締めている。
「……ああ、やはりここに来てよかった」
宇宙モンゴリアンデスワームを食材として提供している店舗はまだまだ少ない。ザ・ゴールデン・スシはその少ない中のひとつなのである。
「これが、スシの文化……」
ミストは店内を満たす幸福感を肌で感じながら、静かに目を細める。
「……スシは素晴らしい文化ですね。……それを支えるスシ職人さん達に仇なす『アビ・スシ』……私たちの手で、必ず叩いてみせます」
そして、このスシ文化を脅かそうとする邪悪なアビ・スシへと彼は静かに敵意を燃やしたのであった。
「アビ・スシかー、見たことはあるけど食べたことはなかったなー……」
一方、カーバンクルは聞き覚えのある名前だと思い出しながら首を傾げた。
「アビ・スシ……」
モンゴリの握りをほおばりながら、ユーノは怪訝な表情を浮かべる。
――アビ・スシ。それはどのような意図のネーミングであろうか。『アビス』か。それとも『阿鼻』か。どちらにせよ、その言葉が意味するのは深淵――あるいは、『地獄』だ。
「まさか……いいえ、奴は葬られた筈」
ユーノの脳裏をよぎるのは、グリモア猟兵としての彼女が以前目にしたオブリビオンの姿である。
しかし、それと同時に彼女のニューロンにはかつての宇宙偉人が残したスペースコトワザが思い浮かんでいた。――すなわち、『1匹いたら100匹いると思え』。いかなる事象も致命的な事態が隠れていると考えて行動すべし、という格言だ。
職人のスシを堪能しながらも、猟兵たちはそれぞれにこれから始まるであろう戦いへ向けて胸の内へ静かに火を灯すのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
シグルーン・オールステット
ゲンタウさん、久しぶり。ワルキューレの皆と何度か来たけど覚えてる?
SSWの戦争は終わったけど、ボクたちの部隊は散り散りになってしまってね。もしかしたら、仲間がここに来たかもと思って。
もし同じようにボクを探してる人が来たら、元気にやってると伝えてくれると嬉しいな。
さて、個人的な話はともかく今日は仕事に来たんだった。スシ店のみを狙うというのも奇妙な話だけど、何か噂とか聞いたりしてる?
あ、注文が先……はい。じゃあ今日のお勧めから順に。それとこの店の名物とデザートお願い。
「ゲンタウさん、久しぶり」
ノレン・カーテンを潜るシグルーン・オールステット(f23940)は、ゲンタウにそう声をかけた。
「ヘイラッシャイ!……なに?」
威勢のいいアイサツで歓迎するゲンタウは、しかし怪訝な顔をした。
そして考えること数秒の後にぽんと手を叩く。
「……シグちゃんじゃねえか!ワルキューレの!」
「うん。本当に久しぶりになっちゃったね」
シグルーンはカウンター席につく。
彼女は元々スペースシップワールドで生まれた戦士である。かつては宇宙バイクを駆る女性ばかりのスターライダーを集めた特殊部隊、ワルキューレの一員として様々な任務に就いていた。しかし、紆余曲折を経て世界を渡った彼女が猟兵となり、銀河帝国が崩壊した今となってはもはや遠い思い出の日々だ。
「やいやい、一体今までどこに行ってやがったんでい。お前さんがいなくなった時なんかな、ヒル子なんざびいびい泣いて朝まで帰らなかったんだぞ」
「あはは……ヒルデらしいな。それは悪かったね」
絡んできたゲンタウを曖昧に笑って受け流し、シグルーンはゆるくかぶりを振った。
「まァ、いいさ。お前さん、今日ここに来たってこたァ今は猟兵なんだろう。……それだけで十分さ」
ゲンタウは静かに笑いながら、スペーススシオケを開く。
「ワルキューレの話は聞いてる?」
「解散したんだってな。引退した奴も多いぜ。結婚する子もいるっつってたな」
「そっか。みんな元気でやってるんだ」
シグルーンは安堵したように息を吐いた。
「もし同じようにボクを探してる人が来たら、元気にやってると伝えてくれると嬉しいな」
「バカヤロウ。ここに来れる身体があんだろうが。そいつは自分で伝えな」
「相変わらず手厳しいなあ……」
肩を竦めてシグルーンは苦笑いする。
「さて、個人的な話はともかく今日は仕事に来たんだった。スシ店のみを狙うというのも奇妙な話だけど、何か噂とか聞いたりしてる?」
「ああ、例のアビ・スシだな。噂は俺も聞いちゃいる。だが……」
ゲンタウはもったいぶって言葉を切った。
「だが?」
変な沈黙に耐えきれず、シグルーンは続きを促す。
「ハナシは注文の後よ。さァお客さん。なに握りやしょう」
「なるほど。それも道理だね。……はい。じゃあ今日のお勧めから順に。それとこの店の名物とデザートお願い」
「ハイヨロコンデ!」
そしてゲンタウはスシを握り始めた。
スシ・バーのカウンターの上で、思い出話に花が咲く。それは、彼女にとっては失った過去を取り戻す暖かなひと時であった。
成功
🔵🔵🔴
月守・咲凛
アドリブ他諸々OK
えーと、えーと。
おさかないっぱいです!たまごやきもあるのです!
まずは見た目を楽しみますけど、とても少食であまりいっぱい食べられないので、なにを食べるかはとてもまようのです。
いちばん美味しいのが良いのです!
値段は気にせずとりあえず美味しそうなビッグ・トーロと宇宙ウナギを一貫ずつ食べてお腹いっぱいになります。
宇宙ワッサービは毒物認定しているので、ワッサービを乗せようとする行為は見逃さないのです。キャプテンさん、それは毒なのです。たべられない物なのです。たべると死んでしまうのです。
(ワッサービが乗った物は絶対に食べません)
エドゥアルト・ルーデル
腹が…減ったな…
スペースシップ・オーガニック・スシ食べ放題と聞いて腹もペコちゃんでござるし遠慮なく食わねば
イクサ前にはスシ、とかの有名なスペース・ミヤモトマサシも申している
実際にいるかは知らんが
暖簾を潜れば雰囲気重点のいい店でござるな
良い…スシを食べる時は誰にも邪魔されず自由で、なんというか救われてなきゃあダメですぞ、独りで静かで豊かで…
スシ大将にマグロ二貫を注文!良質なバイオツナトロの味わい深さ…
誰か来たな、他の猟兵…【知らない人】だこれ!誰!ねぇ…誰なの!
当然のように座ってきた知らない人がスシを…喰ってる…
その健啖な食いっぷりを横目で眺めつつ拙者も味わうと…お持ち帰り!そういうのもあるのか
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
ヒャッハー!寿司だ寿司!
UDCアースの江戸前もいいけど、
星空を見ながらの宇宙寿司ってのも乙だねぇ!
あ、ヒロアのカリフォルニアロール?
そういやぁあんなのもあったねぇ……
それはソレだ、郷に入りては郷に従えってね!
ゲンタウの大将、ここはひとつ大将のお任せで頼むよ!
ほら、注文だなんて無粋じゃないのさ。
それに言葉を交わさずとも、一流のスシ職人なら
アタシが何を欲してるか分かるだろう?
なんてね。
【超感覚探知】のテレパスを併用しながら『コミュ力』で、
サビの利きが良い、辛めのネタを目ざとく探してパクつくよ。
そうそう、このうま味の後でツーンと鼻に抜ける感じがたまらねぇ!
大将、もう一つ!
桐嶋・水之江
◆なんでも歓迎
お食事代は全額経費で落ちるの?本当に?
据え膳食わぬはなんとやら
せっかくのご厚意なのに遠慮しちゃタイヘン・シツレイよね
死海文書にもそう書いてあるもの
もしもしドーモ、イタマエ=サン
一番高くて美味しいのをお願い
具体的には…そうね、海老雲丹縁側イクラサーモンそしてオイル滴るトロマグロ・スシ
存分に堪能させてもらうわ
あーおいし
脳内の快楽物質がドバドバ分泌されてるのを感じるわ
けれどこんなに食べたら太っちゃう…(でも止めない)
「……ほう。雰囲気重点のいい店でござるな」
スシが食える。――そのように聞いて訪れた空腹のエドゥアルト・ルーデル(f10354)は、ノレン・カーテンを潜りながら呟いた。
「ラッシャイ」
「ドーモ……世話になるでござる。……マグロを」
カウンター席についたエドゥアルトは静かに店主に目配せした。
「良い……スシを食べる時は誰にも邪魔されず自由で、なんというか救われてなきゃあダメですぞ、独りで、静かで、豊かで……」
エドゥアルトは一人だけ作画の違う顔をしながら、愁いを帯びた瞳で呟いた。あわせてゲンタウも劇画調へと表情を変えてエドゥアルトの独白に雰囲気を合わせる。
「ヒャッハー!寿司だ寿司!UDCアースの江戸前もいいけど、星空を見ながらの宇宙寿司ってのも乙だねぇ!」
――その雰囲気を崩すように、新たな猟兵たちもやってきた。
数宮・多喜(f03004)が大喜びでノレン・カーテンをくぐる――よもや他人の金でスシが食えるとは。これこそ猟兵の役得というものである。多喜は喜色満面でスシ・バーのカウンター席へとついた。
「お食事代は全額経費で落ちるの?本当に?」
続けてやってきた桐嶋・水之江(f15226)が訝しむ。
――しかして、これは現実だ。彼女の前にはスシ・バーのカウンターがあり、その奥ではスペースイタマエのゲンタウが威勢のいいラッシャイ・コールで猟兵たちを迎え入れている。スシ・バー独特のスメシの匂いが華やかに香り、水之江の嗅覚を刺激した。
「……そうね、据え膳食わぬはなんとやら。せっかくのご厚意なのに遠慮しちゃタイヘン・シツレイよね」
水之江は微笑んでカウンター席に腰を落ち着ける。各席に設置されたシナガキ端末を開きながら、スシの味わいに思いを馳せた。
「えーと、えーと……おさかないっぱいです!たまごやきもあるのです!」
その隣席で、月守・咲凛(f06652)もまた興奮に声を荒げた。スペースシップワールドの本格的なスシ提供サービス店は彼女にとってもはじめての体験だ。遺伝子調整済みバイオフィッシュが泳ぐディスプレイとして飾られたコスモイケスや、鮮やかな色を見せる遺伝子調整済みバイオフィッシュたちの切り身。そして上等な鳥類家畜ワーリニット鶏卵を用いたイタマエ手作りのタマゴヤキが並ぶショーケースの煌びやかさに咲凛は目を輝かせてはしゃいだ。
「ああ、好きなものを選ぶといい……。スシは、自由でなくてはならないからな」
そして、席について知らないおじさんが咲凛の様子を優しげな眼差しで見守りながら温かく声をかけた。
「誰か来たな、他の猟兵か――」
エドゥアルトはやってきた客の気配に恰好をつけようとしながら絶句した。
「【知らない人】だこれ!誰!ねぇ……誰なの!?」
「エッ。あちらの旦那さん、お客さんのお知り合いではないので?」
賢明な読者諸君であればもうおわかりであろう。しれっと混ざってきた知らないおじさんはエドゥアルトのユーベルコードの発露によって度々召喚されるマジで知らないおじさんである。
「おじさん、するとここは何を注文するのがおすすめなのです?いろいろ見るのは楽しいですが、私はとても小食なのです。あんまりいっぱい食べられないので、何を食べようなとてもまようのです」
「フッ……。せっかくの機会なんだ。こういうときは、思い切って普段は食べないものを食べてみるといい」
「なるほどなのです……。じゃあ、いちばん美味しいのが良いのです!」
咲凛は知らないおじさんからのアドバイスを得ながらシナガキ端末を操作する。知らないおじさんは見事に場の空気に溶け込んでいた。マジで誰なんだか誰も知らない不審者なのであったが、ともすればエドゥアルトよりもシブく誰もツッコめないくらい場の空気に馴染んでいたのである。
「そうね。イタマエ=サン、私もそうさせてもらうわ。一番高くて美味しいのをお願い」
咲凛のオーダーにしれっと水之江も乗っかる。2人はシナガキ端末に表示された中から値段順でソートし、一番上位にきたネタを選んだ。
「アイヨォ。なら、ちょいと値は張るが景気よく大トロでいこうじゃァねェか」
「ああ、俺もそれで頼もう……」
知らないおじさんもエドゥアルトを差し置きそこに便乗してオーダーを通す。本人を差し置いて知らないおじさんはやりたい放題していた。
「ゲンタウの大将、あたしは大将のお任せで頼むよ!」
一方、多喜はオーダーの内容を職人に委ねた。
「ほら、注文だなんて無粋じゃないのさ」
郷に入りては郷に従え。スペースシップワールドのスシにはスペースシップワールドなりの流儀があるはずだ。そしてそれは、この世界のスシに精通した職人がもっともよく知ることだろう。
「アイヨォ。なら、こっちで見繕わせてもらいやしょう」
「ああ。期待して待ってるよ。……フフ。言葉を交わさずとも、一流のスシ職人ならアタシが何を欲してるか分かるだろう?」
「おっと。そいつはあっしへの挑戦状と受け取りやしょう。お客さんが舌を巻くような握りを披露させていただきやす」
かくしてゲンタウはその技を振るう。スペーススシオケから取り出されるスメシを手早く握り、そしてネタを重ねる。よく訓練された職人の手つきだ。
「さて、まずはそちらさんのご注文からやらせていただきやす。――お客さん、そちらさん、サビ抜きでようござんすな?」
「はいなのです。ワッサービは毒なのです。たべられない物なのです。たべると死んでしまうのです」
「そういう言い方はちょいとよくねェな、お客さん」
ゲンタウは眉をひそめた。
「そりゃアたしかにワサビは辛ぇ。苦手だってお客さんもいるが――『毒』は流石にシツレイってもんでしょう。あっしもね、誇りをもってスシ握ってんだ。いくらお客さんが若いからっつって、大事な商売道具を毒なんて言われちゃいい気はしやせんぜ」
地雷!頑固なスシ職人が説教めいて長台詞を口にする。とはいえ、スシを握るその手さばきはよどみない。スペーススシゲタの上には次々に握り終えたスシが並び始めた。
「まあまあ大将、そのくらいにしときなよ。アタシはワサビ好きだからね。うま味の後でツーンと鼻に抜ける感じがたまらねぇ!だろう?」
「おっと、あっしとしたことがつい熱くなっちまった。いや、申し訳ねぇ」
「いいのです。たしかに私も失言だったのです」
「フッ……。何の気なしに言った言葉が他人を傷つけることはよくある話さ。言葉選びには気を付けるんだな」
知らないおじさんが教訓話のようにまとめたところで、それぞれの猟兵たちの前へとスシゲタが提供された。
「へいお待ち!」
「うむ……良質なバイオツナトロの味わい深さ……良いでござるな……」
本人を差し置いてやりたい放題やってる知らないおじさんについてはつとめて見ないふりをしながら、エドゥアルトはバイオグラビオトロマグロの赤身を頂く。引き締まった身の中に感じる旨味の味わいをエドゥアルトは噛み締めた。
「こちらバイオグラビトロマグロの大トロ。そちらさんはサビ抜きで」
「はいです」
「そうそう、これこれ……。存分に堪能させてもらうわ」
咲凛と水之江のもとには、バイオグラビトロマグロの高級大トロが提供される。店の照明を受けて赤い宝石のようにその身が鮮やかに煌めいた。2人はコスモチョップスティックを用いてそれぞれに提供されたスシを頂く。
口に入れた瞬間、蕩けるように広がるグラビトロマグロの濃厚な旨味が広がった。スペースムラサキの風味と混ざり合い、スメシに支えられたネタの味わいが2人の味蕾を通じて脳天を揺さぶる。
「あー……おいし」
「これはすごいのです……たしかにすごくおいしいのです」
多くの猟兵は、スシの文化をもつ世界としてUDCアースやサムライエンパイア、あるいはサクラミラージュを挙げるだろう。しかして、スペースシップワールドのスシもまたそれに引けを取らない。そのことを証明するように、バイオグラビトロマグロの身は猟兵たちの舌にその存在感を刻み込んだのである。
「さあ、こちらのお客さんもマグロ尽くしといきやしょう。どうぞ食べ比べてみてくだせェ」
「なるほど、そうきたか!」
一方、多喜に提供されたのはバイオグラビトロマグロの赤身・中トロ・ネギトロ、そして大トロの4種盛りである。すべてが同じグラビトロマグロの身でありながら、部位によってその色や食感はまるで異なる味わいを見せるのだ。多喜はコスモチョップスティックでスシをつまみ、口へと運ぶ。
「んー……っ!」
そして、多喜の舌の上でバイオグラビトロマグロの饗宴が始まった。舞台を彩る遺伝子調整済みオーガニックワサビがマグロの旨味とともに多喜の味覚を刺激し、駆け巡る。鼻の奥をつんと抜ける独特の辛味が多喜を愉しませた。
「こりゃたまらないねぇ!大将、もう一つ!」
「アイヨォ!」
「脳内の快楽物質がドバドバ分泌されてるのを感じるわ……。たくさん食べたら太っちゃうけど……イタマエ=サン。追加お願い」
「ヨロコンデー!」
水之江はもはやスシの虜といっても過言ではない。バイオアマエビ、コスモウニ、バイオヒラメエンガワ、バイオイクラにバイオサーモン……。次々に注文を追加してゆく。
「人が食べていると食べたくなってしまうな――大将。俺にも同じものを頼む」
「合点承知よ!」
「握ったのはそのまま包んで土産用にしておいてもらいたい。俺一人だけ楽しんできてしまっては、妻と娘に叱られるものでね」
その一方でバイオグラビトロマグロの大トロを頬張りつつもオーダーを追加する知らないおじさんはお土産用の包みを注文していた。スシ・コールドスリーパーに通されたスシが瞬間凍結され、テイクアウト用に仕上げられる。
「お持ち帰り!そういうのもあるのか」
エドゥアルトはその様子を横目で見ながら、あとで自分もお願いしようと密かに決心したのであった。
イクサ前にはスシ。食事をもって英気を養うのは、古代スペース古事記より伝わる伝統的な戦備えである。
かくして猟兵たちは思い思いにスシを楽しみながら、これより待ち受ける鉄火場に備えてその心身を整えてゆく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
エダ・サルファー
回る寿司かパック寿司くらいしか食べたこと無い私だけど、まさかスペースシップワールドで回らない寿司屋デビューすることになるとはなぁ。
……言ってて気付いたけど、「スペー『スシ』ップワールド」なのか。
そりゃお寿司が代表的な食文化なわけだわ。
あ、私は店長のおすすめで!
……ふっふっふ、回らない寿司屋ではとりあえずおすすめを頼むと通ぶれて失敗が無いって漫画で読んだんだよ。
それにしてもお寿司って不思議だよねぇ。
酢飯とネタを一緒に握ってるだけに見えるのにとっても美味しいんだもの。
……せっかくだし、握るところをしっかり見て勉強させてもらおうかな?
同じレベルは無理だろうけど、自分でも握れたら楽しそうだし!
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
え?あ、うん。もちろん知ってたよ!
スペースシップワールドといえばスシだよね!
だからそれを狙う悪い奴らは許せない!
行くよ、ウィーリィくん!
目指すはスピンレス・スシ!
(※スピンレス・スシ:SSWにおける高級スシの呼称。一般的なスピニング・スシと区別するためにそう呼ぶ)
SSW出身者なのでウィーリィくんに色々解説しながら一緒にスシを楽しむ
料理知識は確実にウィーリィくんの方が上だろうけど、間違いを指摘されたら
「よそはよそ!うち(SSW)はうち!」
で切り抜ける
ボクのお勧めはこのイナリ・スシ!
「イナリ・スシを食べる時はこれが作法なんだよ?」
(優雅に中指と薬指、親指で摘まんで食べる)
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
寿司といえばサムエンってイメージだったけど、いざ色んな世界を回って見るとキマフューにもUDCにもあるんだよな。
そしてこのスペシワにも。
で、寿司がある以上当然悪の寿司屋もいる訳だ。
料理人としては放っておく訳にはいかないな!
でも、その前に腹ごしらえ。
スペースシップワールドのスシは食べるの初めてだからな!
シャーリーに案内してもらってスペースシップワールドのスシを堪能する。
最初は赤身やハマチ、軍艦などのオーソドックスなもの。
で、その後にこの世界独特のグローバルを超えたコズミックな視点のスシを味わう事にする。
世界は違っても、料理人の想いは同じだよな。
「うん。いい仕事してるぜ、板前さん!」
「たのもー」
「ヘイラッシャイ!」
ノレンをくぐるエダ・サルファー(f05398)を、威勢のいいラッシャイ・コールが出迎える。エダはイタマエのゲンタウに促され、スシ・バーのカウンター席へと腰を落ち着けた。
「邪魔するよ。……いやあ、しかし。回る寿司かパック寿司くらいしか食べたこと無い私だけど、まさかスペースシップワールドで回らない寿司屋デビューすることになるとはなぁ」
「ああ。寿司といえばサムエンってイメージだったけど、いざ色んな世界を回って見るとキマフューにもUDCにもあるんだよな」
「……おや。奇遇だね?」
エダが視線を隣席に向けると、そこに座っていたのはウィーリィ・チゥシャン(f04298)である。
「エダも来てたんだな」
「ああ、スシって聞いていてもたってもいられなくて……おや。そっちはお連れさん?」
アイサツを交わすエダは、その一方でウィーリィの隣席に座る猟兵の姿を目敏く見つけた。
「アッハイ。こんにちは」
シャーリー・ネィド(f02673)はウィーリィ越しにエダへとアイサツする。
「……ほおー。スミに置けないねぇ」
「茶化すなって!それより、今はスシを楽しもうぜ。スペシワといえばスシだもんな」
にやにやするエダの視線を振り払いながら、ウィーリィはその瞳を輝かせる。その魂を料理文化に捧げるウィーリィは、あまねく世界の食文化とそこに使われる技術。そして知識を貪欲に学び続けている。当然ながら、ここスペースシップワールドの代表的な食文化であるところのスシもまた例外ではない。
「え?あ、うん。もちろん知ってたよ!スペースシップワールドといえばスシだよね!」
この中では唯一のスペースシップワールド出身であるシャーリーもまたスシには特別な思い入れをもつ猟兵の一人だ。
「それに、今日はスピンレス・スシだからね……。ボクもちょっと興奮してきちゃった」
スピンレス・スシとは、スシ提供飲食サービス船のいわゆる『格』をあらわす宇宙スラングである。多くの場合、大衆向けの安価なスシ提供飲食サービス船はベルトコンベアめいたレーンにオートメーション化されたスシが並べられ、店内を巡回するスシの中から客がセルフで好みの皿を取る形式をとっている。一般的に言うところの、スピニング・スシである。
「なるほど。やっぱりスペースシップワールドの文化でも回らない寿司は特別なんだね……」
目を輝かせ始めたシャーリーの様子を横目に見ながら、エダは頷いた。
「……言ってて気付いたけど、「スペー『スシ』ップワールド」なのか。そりゃお寿司が代表的な食文化なわけだわ」
「そういうことなのかな……?」
ウィーリィは訝しんだ。
「さてお客さん!何から握りやしょう!」
ここで会話の流れを一旦断ち切って、イタマエのゲンタウが猟兵たちに声をかける。
「あ、私は店長のおすすめで!」
「俺は……そうだな、まずグラビトロマグロの赤身と、ハマチを。あとイクラ軍艦ももらおうかな」
「ボクも同じのを。それからイナリもつけてください」
「アイヨォ!」
威勢のいい声が響き渡り、ゲンタウがスペーススシオケを開いた。ふわりと香るスメシの匂いがスシ・バーに広がる。
「……ふっふっふ、回らない寿司屋ではとりあえずおすすめを頼むと通ぶれて失敗が無いって漫画で読んだんだよ」
「たしかにおすすめだったらプロの板前がチョイスしてくれるってことだからな。実際その通りだと思うぜ」
「そうだね。迷ったら専門家に聞くのが一番なのはどこの業界でも同じだと思うよ」
ゲンタウがスシを握る間、3人は電子シナガキ端末をあらためて見た。
「……ところで、ここのお品書きってだいたい『バイオグラビトロマグロ』とか『バイオサーモン』みたいにだいたいバイオだけど、これってどういう意味なんだい?」
「それ、俺もちょっと気になってたな」
ここで2人の疑問がスペースシップワールド出身のシャーリーへと向けられる。
「それはバイオテクノロジー……えーっと、この世界の環境に耐えられるように遺伝子調整されてるバイオフィッシュを使ってるからだね」
「バイオフィッシュ?」
「この世界って、海がないでしょ。だから魚もほんとはいないんだ。大昔の戦争で生き物が住んでた星はぜんぶなくなっちゃったわけだし」
「そう考えると、たしかにスシがあるのは変な気がしてきたな……」
「でもね、たくさんあるスペースシップの中には、そうやって滅んじゃうところだった生き物を保護したところもあったんだ」
「ふーん……。UDCアースの神話みたいだね」
エダは以前訪れた世界で聞いたことのある神話を思い浮かべた。大洪水によって地上が滅びるにあたって、滅びを免れるために動物たちを箱舟に乗せたノアの伝説である。
「とはいえ、スペースシップの中じゃ、元々生きてた星とはどうしても環境が違うでしょ?だからその中でも生きていけるように遺伝子調整をされてるから、バイオフィッシュっていうんだ」
そうした環境保全や原生生物の種の存続を目的としたスペースシップは現在でも決して少なくない数が航行し続けている。それらの一部は、船内に再現された海や山などの環境を利用して、一部を旅客に開放することでいわゆるリゾート船としての登録もされている。こんど一緒に行きたいね、とシャーリーが言い添え、それを聞いてエダがにやにやした。
「それにしてもお寿司って不思議だよねぇ……」
その一方、エダはカウンター越しにイタマエの技へと視線を向けた。職人の技が光って冴える。見事な手さばきで農耕生産船団ギミヤ産のサニーニシキが次々とスペース銀シャリへと姿を変えてゆく。エダはその様を見ながら感心したようにため息を吐いた。
「酢飯とネタを一緒に握ってるだけに見えるのにとっても美味しいんだもの」
「素材の味をじゅうぶんに引き出すための技術が大事なのさ。大事なのは酢飯の炊き加減に、スシネタの味を落とさない包丁の入れ方、それにシャリの固さや大きさとネタのバランス……ああ見えて、スシっていうのはすごく繊細な料理なんだ」
握る、という工程に至るまでに、数えきれないほどの技術を必要とする工夫がいくつも差し挟まれているのである。
「でも、自分でも握れたら楽しそうだね」
「練習するなら俺も付き合うよ。シャーリーもどうだ?」
「そうだね、ボクもスペースシップワールドの人間なんだし、勉強してみたいな」
「へいお待ち!」
ここでカウンター越しにイタマエの声が響く。スペーススシゲタがカウンターへと提供された。赤身、白身、光物。スシゲタの上に整然と並んだスシネタがステンドグラスめいて美しく光る。
「来たね!」
「よし。いただきます!」
「いただきます」
エダに提供されたのは、バイオヒラメエンガワやバイオタイなどの白身、バイオグラビトロマグロ・バイオガッツォなどの赤身のほか、バイオアマエビ・バイオホタテなどを取り揃えた様々な味を楽しめるスシ・セットであった。
「……シャリの固さは完璧。スシネタの包丁の入り方も見事なもんだ」
ウィーリィはバイオグラビオトロマグロの赤身をコスモチョップスティックでつまみ、そのかたちをよく観察する。続けてスペースムラサキを適量スシネタへと触れさせ、そして口へと運んだ。舌の上で広がるグラビトロマグロの旨味がムラサキの風味に包まれながらウィーリィを満たしていく。つんと鼻に抜ける遺伝子調整済みオーガニックワサビの辛味もたまらない。ネタの鮮度は申し分ない。技術も素晴らしいものがあった。UDCアース世界で味わったスシネタよりも素材は若干固めのようではあるが――それもまた歯ごたえとして楽しめる。総じて高得点だ。何よりも、このスシの中には職人の丁寧な技術と熱い魂が息衝いている。世界は違い、環境や食材が違っていても、料理人の想いは同じだ。
「うん。いい仕事してるぜ、板前さん!」
「こっちのイナリも美味しいよ、ウィーリィくん」
シャーリーはイナリ・スシを手にしながらにこやかに微笑む。
この店で使われているイナリは、農耕生産船団ホカード産ゼログラビティ大豆を使ったスペース油揚げが用いられている。イナリは旧モフモ星系人、その中でも特にノジャロ星人と呼ばれる半獣人タイプの人類をルーツとしてもつスペースノイドに人気の高いスシであり、愛好家が多い。スペースシップワールドのスシ提供飲食サービス船でも定番の品だ。イナリの出来でその店のイタマエの腕が推し量れるとはよく言われたものである。
「イナリ・スシを食べる時はこれが作法なんだよ?」
優雅に中指と薬指、親指でスシをつまんで、シャーリーはイナリを口に運ぶ。この手のかたちはいわゆるキトゥーネ・サインと呼ばれ、前述の旧モフモ星系人の祖霊信仰に根差すスピリチュアルな意味合いや、そこから転じた魔除けとしての意味をもっている。そうした文化が民間の作法として、今もこのスペースシップワールドに残っているのだ。ウィーリィもそれをまねてイナリを口に運ぶ。甘く煮られた油揚げの味がスメシと一体化してやさしく広がる。まるでスイーツのように甘美な味わいであった。
「……さて。そしたらもう一品。〆にこの世界ならではのネタを頂きたいところだな」
そして、ウィーリィはイタマエを見た。
――せっかくのスペースシップワールドだ。この世界独特の一品を味わっておきたい。ウィーリィとゲンタウは料理人同士、目と目で通じ合う。ゲンタウが静かに頷いた。
「こちら、モンゴリの握りになりやす」
かくして、カウンターに登場するのはスペースシップワールドの原生生物、食用宇宙モンゴリアンデスワームの握りであった。
こうして、猟兵たちは戦いに備えて英気を養っていく。
スペースシップワールドの素晴らしい食文化であるスシを脅かす悪の寿司屋を許すわけにはいかない。猟兵としての矜持を胸に、彼らは戦いへと備えるのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
アリルティリア・アリルアノン
【アリ☆エル】
「マワラナイ・スタイル・スシ」!
キマフュー旧人類の間では富と名声を得た者のみが食べる事を許されたと言われるカチグミ・グルメですね!
つまりアリルも大物では……?
ともかくエルナちゃん、腹が減ってはなんとやらです!
おスシを満喫して来る戦いに備えましょう!
まずはギョクから頼むのがツウってやつです!
これの良し悪しでそのイタマエの格がわかると古事記にも書いてあります!
もぐもぐ…なるほど。タイショーのワザマエはかなりのものです!(※わかってない)
その後はエビとかイナリとかの(いかにも子供が好きそうな)ネタをじゃんじゃん頼んでいきます
あ、サビは抜いてくださいね!
エルナリア・アリルゼノン
【アリ☆エル】
エルナはスシというものをよく知りませんが、
これから護衛する対象がどういうものか体験しておく必要がありますね
何やらアリルがドヤ顔で蘊蓄を垂れていますが、
こういうのは専門家に一任するのが得策でしょう
タイショー、よろしくお願いします
ふむふむ……酢を混ぜた米の上に魚介類を乗せて一緒に食するのですね
色とりどりのスシが並ぶ様はさながら芸術作品のようです
食べてしまうのが勿体ないですが、いただきます
魚介の味わいをこのソース(醤油の事)が引き立て、
それらを程よい酸味の米が受け止める…
月並みに言えば美味しくて手が止まりません
ごちそうさまでした
こんなに素晴らしい料理に出会えて、エルナは幸せ者です
聖護院・カプラ
銀河帝国残党がリゾート・スシ・スペースシップを襲う。
一見不可解な侵略行為に思えますが……いえ、何故スシシップを襲うのかはわかりませんが襲う為の手法は理解しました。
ゲンタウタイショが一仕事を終えた際に声をかけさせていただきます。
いいネタとシャリを仕入れていると仰っていましたが、
宜しければ仕入れ先の農耕生産船団や漁業生産船団のリストを見せていただく事はできませんか?
アビ・スシがスシシップを襲うのはツキジヤクザ行為。
リストを何らかの手段で入手した彼らは……
船団が卸しているスシシップを狙っているのではないでしょうか。
間違いない。
彼らは最上級のネタとシャリを寡占する事で食から世界征服をするつもりです。
「ラッシャイ―!」
ノレンをくぐる猟兵たちを、威勢よくイタマエが迎え入れた。
「『マワラナイ・スタイル・スシ』!キマフュー旧人類の間では富と名声を得た者のみが食べる事を許されたと言われるカチグミ・グルメですね!」
アリルティリア・アリルアノン(f00639)は、元気な笑顔でカウンター席へと飛び込む。
「ふうん……。エルナはスシというものをよく知りませんが」
エルナリア・アリルゼノン(f25355)はアリルに連れられるかたちでスシ・バーへと足を踏み入れる。スシという食文化は、彼にとって未知のものだ。
「ふっふっふ。ならばかわいくてかしこいアリルちゃんがエルナちゃんに教えてあげましょう。このようなカウンターでイタマエに注文するマワラナイ・スタイルはとっても特別なんですよ。こんなのを食べに来れるなんて、つまりアリルも大物では……?」
「はい。スシとは、スペースシップワールドの文化の中でも非常に重要な位置を占める、いわば特別なソウルフードなのです」
ここで、スシ・バースペースに佇んでいたコズミックブッダ――ではない。聖護院・カプラ(f00436)が口を開いた。
「スシを構成するスペース銀シャリ。このシャリとは即ち、スペースブディズムにおけるギャラクシーブッダの聖遺骨が由来となっています。白く輝くさまや、日々の糧として人々の命をささえるその有難さが聖人の聖遺物になぞらえられているのですね」
「あなたは……」
「ハッ!あなたはカプラさん!」
「どうも。聖護院・カプラです」
聖護院・カプラは数値化すること660の圧倒的な存在感をもつ猟兵だ。アリルは以前スペースシップワールドにおける依頼などの際にその姿を目撃したことがある。
「カプラさんもここに来てたんですね!」
「はい。スペースシップワールドの文化を脅かす行いを見過ごすことはできません」
「ああ、すまねぇなカプラさん。このお客さんで最後みてェだからよ、握り終えたら話をさせてくんな」
カウンター奥でスペース銀シャリを握りながらゲンタウがカプラへと声をかける。カプラは一度頷いてから、静かにコズミックザゼンを組んだ。
「ともかくエルナちゃん、腹が減ってはなんとやらです!おスシを満喫して来る戦いに備えましょう!」
「……そうですね、これから護衛する対象がどういうものか体験しておく必要がありますね」
エルナはカウンター越しにゲンタウの手捌きを見ていた。その技術は非常にスピード感に溢れながらも正確で繊細だ。まるで芸術品を仕上げるように、ゲンタウはスペース銀シャリを仕上げていく。
「なるほど……たしかにこれは凄い技術ですね」
「でしょう!さあ、どんどん注文していきますよ。アリルちゃんは詳しいですからね、任せてください!まずはギョクから頼むのがツウってやつです!」
「そうなんですか」
「そうですよ!これの良し悪しでそのイタマエの格がわかると古代スペース古事記にも書いてあります!」
「そうなんですね」
「そうなんです!」
アリルちゃんがドヤ顔で講釈するのをエルナは話半分に聞き流しつつ、カウンター越しに完成しつつあるスシの姿を注視していた。色とりどりのバイオフィッシュの切り身は宝石めいて光り、そしてそれらの彩りがシャリと合一化しスシが生まれてゆく。
「へい、お待ち!」
スペーススシゲタに並ぶスシたちはまるでモザイクアートめいて芸術的な姿を見せながらカウンターへと置かれた。
「これが……スシ……」
エルナはスシゲタの上からバイオグラビトロマグロの赤身をコスモチョップスティックで取った。はじめて触れるスシの姿を物珍し気に眺める。
「ふむふむ……酢を混ぜた米の上に魚介類を乗せて一緒に食するのですね」
「おうともさ。シャリとネタの融合。動物と穀物の恵みが一体になったのがスシってもんよ。さ、食べておくんなせえ」
「なるほど……。しかし、見た目も素晴らしいですね。色とりどりのスシが並ぶ様はさながら芸術作品のようです」
「あ、アリルちゃんのはサビ抜きにしてくれました?」
「モチのロンよォ」
さぁ、どうぞおあがりよ。ゲンタウは両手を広げながらアリルちゃんたちに促した。
「では早速いただきましょう!エルナ、スシはそこのおしょうゆをつけて食べるんですよ。ちなみにスシの場ではおしょうゆのことをムラサキというんです!」
「そうなんですね」
またもアリルちゃんはドヤ顔でスシの蘊蓄を垂れる。エルナはそれを巧みに躱しながら小皿にとったスペースムラサキへとスシを触れさせ、そして口に運んだ。途端、舌の上に広がるスシの旨味。バイオグラビトロマグロの旨味とムラサキの風味が交わりながらエルナの味覚を満たした。その中でぴりと刺激する遺伝子調整済みオーガニックワサビの辛味が味に変化をもたらし、その舌先を楽しませる。
「魚介の味わいをこのスペースムラサキが引き立て、それらを程よい酸味のシャリが受け止める……。繊細で芸術的な味わいです」
エルナは続けてバイオホタテをつまんだ。これもまたスペースムラサキに触れさせ、口に運ぶ。――濃厚な味わい。濃縮された魚介の風味が、バイオグラビトロマグロとはまた異なった味としてエルナの味蕾で踊った。
「うん。これもいいですね……。月並みな言い方ですが、美味しくて手が止まりません」
ひとつ、またひとつ。ついついエルナは手が伸びる。スペーススシゲタの上はたちまち虚空と化した。
「もぐもぐ……なるほど。タイショーのワザマエはかなりのものです!」
その一方アリルちゃんはすなおにゲンタウのスシをほめた。――本当のことを言えば、アリルちゃんはそこまで繊細な味の違いまでわかるような食通ではないが、わかったようなつもりになって評論する。
「お褒めにあずかり光栄ってもんよぉ。そう言ってもらえりゃスシ職人冥利に尽きるぜ!」
しかして、握ったスシで客が笑顔になることこそがゲンタウの喜びだ。評論家の採点よりも、目の前のアリルちゃんの笑顔こそ彼にとって何よりの勲章なのである。
「さあ、次は何を握りやしょう!」
「えーっと、じゃあこのバイオアマエビとイナリをお願いします!引き続きサビは抜いてくださいね!」
「では、エルナにも同じのをお願いします」
2人は手元の電子シナガキ端末を見ながら、次の注文を通す。
「合点承知でい!」
かくてアリルちゃんとエルナはマワラナイ・スシを堪能するのであった。
「待たせちまったな、お客さん」
「いえいえ、タイショこそお疲れ様です」
そして、一仕事終えたゲンタウがカプラを呼んだ。コズミックザゼン姿勢を崩したカプラは、カウンター越しにゲンタウへと向き合う。
「銀河帝国残党がリゾート・スシ・スペースシップを襲う……。一見不可解な侵略行為に思えますが……」
「……そういえば、たしかに変な話ですね。どうしてスシ・シップばかり襲うんでしょう?」
「何か目的があるんでしょうか」
アリルちゃんとエルナも話に加わった。
「……ですが、襲う為の手法は理解しました」
「方法だって?」
ゲンタウが訝しむ。
「はい。時にゲンタウ・タイショ。いいネタとシャリを仕入れていると仰っていましたが……宜しければ仕入れ先の農耕生産船団や漁業生産船団のリストを見せていただく事はできませんか?」
「ああ、そりゃ構わないが」
ゲンタウは手元の端末を叩き、空間にデジタル帳簿を投影する。指先でスライドして画面を動かし、そこに仕入れ先の一覧を表示した。
――コスモ米、サニーニシキは農耕生産船団ギミヤ産。旧アース型惑星海洋生物保全艦隊エマドエの良質なバイオフィッシュ。これらがザ・ゴールデン・スシの主な仕入れ先だ。
「失礼。ゲンタウ・タイショ。この仕入れ先は、他のスシ・シップも利用しているのでしょうか」
「そりゃそうよ。スペース銀シャリと言やァサニーニシキ。バイオフィッシュはエマドエ艦隊の商談請負艦ツキジ号まで出向いて仕入れるのがここらのスシ職人の常識さ。スシと言やァエマドエ産のバイオフィッシュに限るからねェ」
「つまり、ツキジの保有する顧客リストを何らかの手段で入手すれば、逆説的にスシ・シップを狙うことができる……ということですね」
「……どういうことでい?」
ゲンタウが首を傾げた。
「……あ、わかりました!アリルちゃんわかりましたよ!」
ここでアリルちゃんが挙手する。
「そのエマドエを利用してるスシ・シップがぜんぶなくなっちゃえば、そこのいい食材をひとり占めできるってことじゃないですか!」
「なんだってェ?」
「はい。私も同じことを考えていました」
カプラの双眸が静かに光を湛える。
「間違いありません――アビ・スシ。彼らは、最上級のネタとシャリを寡占する事でスペースシップワールド最大のスシ勢力となり、食から世界征服をするつもりです」
「なるほど……たしかにスペースシップワールドの人々の文化の中にスシが息衝いている以上、それを握るということはすなわち人々の心を掌握し、この宇宙を征服するのも同じということですね」
これほどまでに人々を虜にしてしまうスシであるならば、そのようにして世界を脅かすことも決して不可能ではないだろう。たった今スシの文化に触れたエルナはそのパワーを身をもって理解している。
かくして猟兵たちは恐るべきアビ・スシの野望の全容を解き明かす――!
「よもや平和を取り戻したこの世界にまだこのような邪悪な野望が生まれているとは」
「クソッ、アビ・スシめ……!スシを悪用して宇宙征服をもくろむなんて、ゆるせねえ!」
「任せてください、タイショー!アリルちゃんたちはそのために来たんですから――」
――その時である!
《ゴヨーダ!》
《ゴヨーダ!》
《ゴヨーダ!》
ザ・ゴールデン・スシの艦載警報機が一斉に警告を叫ぶ!敵の到来を告げているのだ!
「……お出ましってことかい!」
《テヤンデエ!親分、不明な艦艇が接近中でい!量子通信応答なし!スペースカルバリン砲に熱源を感知!交戦距離入りやす!》
「チクショーメ!全艦迎撃態勢!アビ・スシの連中に違ぇねえや!ここで会ったが百万光年目よ。ここで返り討ちにしてやらァ!」
ゲンタウは板前帽を床に叩きつけながらザ・ゴールデン・スシの艦橋へと向けて飛び出してゆく!
「お客さん、どうやらもう始まっちまうようだ。こっちもできるだけやるが、頼みの綱はアンタたちさ。よろしく頼むぜ!」
そして、遂に戦いの幕が上がる!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第2章 集団戦
『宇宙開拓者』
|
POW : 味気ない宇宙食
戦闘中に食べた【チューブ入りの完全栄養ペースト】の量と質に応じて【逆境に立ち向かう開拓者精神が燃え】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : 暴発するレーザー掘削機
【レーザー掘削機から、四方八方に破壊光線】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 故障した環境維持装置
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
――おお、見よ。
猟兵たちの乗るザ・ゴールデン・スシの進路に現れた謎の艦艇は、その艦橋にスペースカンバンを掲げていた。
そこには、極太のイーヴィル・オスモウ体(※スペースシップワールドでは既に失われた古代文字の一種である)で威圧的に『アビ・スシ』のギャラクシー屋号が刻まれていた。
「ククク……。ご覧なさい、皆さん。あれが今日の獲物ですよ」
イタマエ・カッポウコートに身を包んだ男が、艦橋モニタに映し出されたザ・ゴールデン・スシの姿を見上げて嗤う。
「さあ、行きなさい。宇宙を漂流し、寄る辺を失ったあなた方を受け入れたこの私に恩を返すのです。さすれば、奴らから接収した食材でいくらでもスシを振舞って差し上げましょう。……クク、今まで通りね」
「スシ……」
「ああ……ああ、やる。やるよ……なんだってやるさ……!もうあんな味のカロリー・ペーストなんかまっぴらだ!」
「スシが食えるなら……!」
船内に並んだ元・宇宙開拓者のオブリビオンたちが涙すら流して拳を握る。その姿に、アビ・スシの暗黒イタマエは満足げな笑みで口元をゆがめた。
「では、行ってきてください。ぬかりないように」
「ああ、行ってくる!ダンナ、アタイたちのスシ握ってて待っててくれよ!」
かくして、アビ・スシの艦艇からオブリビオンたちが一斉に飛び出した!宙間戦闘――あるいは、ザ・ゴールデン・スシの外壁に取り付いた敵との戦いになるだろう。
「ククク……。この宇宙の重要な食文化であるスシの権威を手中に収めることでこの世界の民草どもの人心を掌握し、そして我々の手で銀河帝国を……否、それを超える我々の帝国を作り上げるというこの野望。この調子でいけばそう遠い未来の話ではないでしょう」
そして、アビ・スシの艦内であやしく嗤う暗黒イタマエ――。
戦いはいままさに始まろうとしていた。
チル・スケイル
宇宙服と装備の確認……良し。
では、出撃します。吉報をお待ちください。
…(あれがこの世界のオブリビオン…見た事もない装備だが、軽装の戦闘員?)
…(活動に支障はない。だが宇宙戦闘…不慣れという段階ですらない)
…(他の猟兵の戦いぶりから、セオリーを掴めないだろうか。1分ほど敵味方の観察に使う)
…(敵の能力は、自然現象による攻撃か。何が出るかわからないので危険)
…(魔法により【氷術・窟】のトリガーである氷の門を生成。敵の攻撃も見方を変えれば『抵抗しない対象』。氷の門に吸い込ませ、ダメージを氷の洞窟に肩代わりさせる)
…(氷の門で防御して、私の杖【カシュパフィロ】で狙撃し、各個撃破する)
月守・咲凛
銀河帝国以上の帝国!
なんておそろしい野望!私が阻止してみせるのです。
あっさり信じて殺る気になりますので容赦しません。
敵のレーザーは射線を見切って回避、避けきれない物はアジサイユニットで防ぎます。
こちらからは基本的に射撃戦、ミサイルとガトリングで攻めていきます。
敵が射撃戦に対応し始めた所で一気に接近してビームチェーンソーでナデギリして一撃離脱、以後は接近すると見せかけてそのまま射撃戦に戻ったり、フェイントを駆使して敵のペースを乱していきます。
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
フン…スシパーティー中に乱入とは何とも無粋な奴らだ
まぁ、腹ごなしには丁度良いか
シルコン・シジョンで敵集団に一斉射撃の雨を降らせ、接近してきた敵には浮遊するオーヴァル・レイのビーム粒子線でカウンター攻撃
周囲に被害が出ないように距離を取りつつ戦う
まさに鬼気迫る…と言ったところか
食い物の恨みは恐ろしいな
事前に展開していたドローン達を集結させて攻撃
搭載したレーザー兵装や機関銃で一斉射撃を行い、攪乱するように周囲を飛び回れば破壊光線の照準もブレるだろう
奴らが浮き足立ったらこちらからも攻撃
レーザー掘削機を銃撃し暴発させて敵の周囲も攻撃させる
諦めろ
どんな理由があれど暴徒に食わせるスシは無い
メンカル・プルモーサ
……さて、まずは迎撃……なのだけど……
うーん、これはただのスシ戦争なのでは……?
…ひとまず宇宙に出て飛行式箒【リンドブルム】に乗って機動力を確保……
…四方八方に放たれる破壊光線を回避しながら【面影映す虚構の宴】を発動…
…再現するは以前UDCアースの老舗の高級寿司屋で食べた一流職人の握ったスシの臭い…
…宇宙空間と言うあり得ない状況で…嗅ぎ慣れていつつもどこか違うその臭いに一瞬気が取られるはず…
…その隙を狙って術式銃【アヌエヌエ】に装填された炸裂弾をレーザー削岩機に撃ち込んで爆破していくよ…
……それにしても……暗黒イタマエの握るスシとやらはどんなものなのやら…
「……良し」
チル・スケイル(f27327)にとっては、宙間機動戦闘ははじめての経験になる。
宙間戦闘用の装備を整え機能を確認。動作チェックは問題ない。チルはゲンタウを振り返り、一度頷いた。
「では、出撃します。吉報をお待ちください」
「おう!頼んだぜ!」
「フン……スシパーティー中に乱入とは、何とも無粋な奴らだ」
チルに続いて宙間戦闘機動に備えたキリカ・リクサール(f03333)がスシ・バーから出立する。
「まぁ、腹ごなしには丁度良いか。大将、すぐに片付けてくる。重装宇宙要塞に乗ったつもりで待っていろ」
「ああ!」
そして猟兵たちが宇宙へと飛び立っていく。
閃光が交差し、赤く爆ぜる。出力を強引に引き上げられ暴走したレーザー掘削機から漏れ出した光が弾け、それが戦いの始まりを告げる合図となった。
「おおおおおおッ!」
爆音!そして振動するレーザー掘削機が高まる出力を暴走させ、破壊レーザー光をでたらめに撒き散らす!
「アビ・スシのダンナが新しい帝国をつくると言ったんだ……!それをお前たちなんかに!」
「帝国……?帝国なのですか!?」
先陣を切るように敵のもとへと飛び込んでいた月守・咲凛(f06652)は、対峙するオブリビオンから出た言葉に仰天する。
「そうだ。アビ・スシのダンナは俺たちに新たな帝国と永遠のスシを約束した……。かつての銀河帝国を超える更なる巨大な暗黒スシ帝国を!」
「銀河帝国以上の帝国!?」
――よもや!なんと悪辣でかつ壮大な計画なのであろうか。咲凛はその脅威と恐ろしさに息を呑む。
「なんておそろしい野望……!私が阻止してみせるのです」
しかし、そのような恐ろしい野望を実現させるわけにはいかない。咲凛はその胸に正義の炎を灯し、戦いへと臨む。
「うーん……これはただのスシ戦争なのでは……?」
その一方で、メンカル・プルモーサ(f08301)は訝しんだ。
――スシで宇宙を支配するなどという話は、あまりにも荒唐無稽だ。せいぜいが、同業者同士の争い程度なのではないか。メンカルが飛行の術式を書き込んだ魔術箒に腰かけ、戦場へと身を投じながらオブリビオンたちの言葉を聞く。
しかし、それを一笑に付すことはできまい。
なぜならば、この世界にはユーベルコードという概念が存在する。それは世界法則を時に無視し、時に変革し、そして時に超越するものだ。【スシ】によって他者を支配する――そのようなユーベルコードもまた存在しないとは言い消えないのだから。
メンカルは瞑目しながら戦いへと意識を向けた。もし敵の言うことが狂人の妄言や世迷言でなかったとしたら、それはそれでまた脅威になりうるのだ。
「……どの道、迎撃……するけど」
箒に纏わせた術式の推進力で宙域を機動しながら、メンカルはその手の中に銃把を握る。術式銃の銃身が鈍く光った。
「はいです!みんな私たちでやっつけるですよ!」
咲凛は円盤状のビットを展開。アジサイユニットがシールドの役目を果たし、無尽に駆け回るレーザー光を受け止める。
「なるほど」
宙域を滑るように、ザ・ゴールデン・スシのエアロックゲートからキリカが飛び出した。宙域を埋め尽くさんばかりに走るレーザー光を躱しながらキリカは手にした長銃の筒先をオブリビオンたちへと向ける。
「まさに鬼気迫る……と言ったところか」
「なんだ……!?」
光線の合間を縫うように宙を舞い、キリカは引き金を引く。シルコン・シジョンの銃口が光を奏で、オブリビオンたちへと逆襲するように降りかかった。凄まじい反撃。レーザー光と打ち合った光弾が爆ぜる。その閃光にオブリビオンたちが怯んだ。
「いまです!」
ぎゃり、ッ――!敵の攻め手が止まった瞬間を好機として、咲凛は装備した火器ユニットを展開する。装甲に接続したガトリング砲頭とミサイル射出口をオープンし、すかさず弾丸を叩き込む。命中。爆炎。オブリビオンたちが炎の中に断末魔めいた悲鳴をあげる。
「くそ……くそ、くそッ!」
「猟兵どもめ……!」
だが、全滅には至らない!残存するオブリビオンたちが、レーザー推進光の軌跡を描きながら掘削機を構えて猟兵たちへと襲い掛かる。
「まだ……終われるか!」
加速!速度を上げて宇宙を飛ぶオブリビオンたちが凄まじい形相で叫んだ。
「諦めろ」
――だが、その道を『猟犬』の群れが阻む。
【シアン・ド・シャッス】。キリカが事前に展開していたドローン機体の群れが彼女の指示で集結したのである。ドローン編隊はオブリビオンたちの進路を阻むように機動しながら、搭載したレーザー兵装で迎撃する。
「どんな理由があれど暴徒に食わせるスシは無い」
「お、おのれぇッ!」
オブリビオンたちの足が止まる。しかし、未だ戦意を残したままの彼らは、レーザー掘削機を振り回しながら尚も猟兵たちへと攻撃をしかけようと身構える。
そして彼らが再びレーザー掘削機の出力を臨界に高めようとした――その時である。
「……ここに、ある」
「なに――!?」
不意に、オブリビオンたちがその嗅覚に違和感を覚えた。
彼らの鼻腔に届くのは――紛れもないスメシと新鮮な魚介の香り。そう、間違いなくスシの匂いである。
「馬鹿な、こんなところにスシだって!?」
「……」
【面影映す虚構の宴/ハートレス・メモリー】。
――メンカルの繰る、幻惑の術式を用いたユーベルコードである。それは五感を欺く術だ。そこに彼女が作り出したのは、おそろしく精巧なスシの幻影である。それは彼女の知りうる限りもっともハイソサエティに好まれる、UDCアースの高級寿司店で最高の素材を用い一流の職人の手によって握られたスシの香りだ。
こんな宇宙空間にスシの匂いなどするわけがない。
しかし、わかっていたとしても――飢えと心細さを、まやかしとはいえスシに救われたのは紛れもない事実なのである。彼らはそれを無視することができない。
「スシなんか、どこに――」
「……悪いけど」
その隙へとねじ込むように、メンカルは引き金を引いた。銃に装填した榴弾を、困惑するオブリビオンめがけて撃ち放つ――着弾。炸裂。またしても響く悲鳴。
「猟兵どもめ、ッ!」
しかして、数を大きく減らした残存オブリビオンたちが激昂の叫びをあげる。その半身を焼かれながらもオブリビオンたちはその手からレーザー掘削機を放さない。
「こいつで……!」
持ちうる手札はすべて切る、とばかりにオブリビオンたちは掲げたレーザー掘削機を叩いた。
掘削機に内蔵した機構が、奇妙に唸りながらエネルギーを放射する。そのエネルギーは、レーザー光ではなく周囲一帯の空間の大気や気温に干渉する環境維持機能の暴走として発露した。ブリザードめいた超低温の嵐が、虚空の中で渦巻いたのだ!
(……そうくると思っていた)
しかし、その瞬間である。虚空の中を風が吹き荒れるのと同時に、闇の中で『門』が開いた。
【氷術・窟/アイスケイブ】。それはチルの繰る魔法が開いた小規模な異界門である。氷塊が形成する氷門は、その内部に別の空間を持ついわばひとつの隔離結界だ。チルは氷門を通じて構築した異空間に暴走するエネルギーの渦を吸い上げ、敵の攻め手を阻んだのである。
(周囲の環境に影響するほどのエネルギーを出していたとしても……それそのものが抵抗しない以上は、向きさえ与えれば、御しきれる)
チルは寡黙に戦場を舞いながら、構築した『門』に意志を魔力を注ぎ込み隔離結界を維持。オブリビオンたちが暴走させた環境維持装置の力を抑え込む。
(……これで)
「なんで……なんで効かないッ!?」
「いい加減にあきらめるです!」
ガトリング砲の銃身が火を噴いた。咲凛は更に近接戦闘用ビームチェーンソーを展開しながら加速し、すれ違いざまに斬閃を見舞う。【コード・アクセラレーター】。光の刃がオブリビオンたちを纏めて切り裂いてゆく。
「つく側を間違えたんだ、お前たちは。――後悔しろ。悪事に手を貸したことを」
そして、光が広がる。再び光弾を放つシルコン・シジョン。引き金を引くキリカは容赦しない。
(せめて次は、飢えずに済む生を送れるように祈ろう)
カシュパフィロ。長銃のかたちをもつ氷の魔杖が、術式弾頭を放つ。チルは無心で何度も引き金を引いた。弾が闇を裂いて飛ぶ度、オブリビオンが凍り付き砕けてゆく。
「……これで、終わり……」
そして、術式銃アヌエヌエが再び炸裂する榴弾を放った。
「グアーッ!!ヤラレターッ!」
――弾丸の嵐が吹き荒れる。そして最後にひときわ大きな爆発がオブリビオンたちを呑み込み、そして一団を壊滅させたのであった。
「……終わったですか?」
「いや、どうせまた次の敵がくるぞ。準備しておけ」
「わかりました。……備えましょう」
しかして、猟兵たちは油断なく得物を構えたまま次なる戦いに備える。アビ・スシは再び侵略の先兵とした元宇宙開拓者たちを手駒として差し向けてくるだろう。
「……それにしても……彼らをこんなに狂わせるなんて……。……暗黒イタマエの握るスシとやらはどんなものなのやら……」
メンカルは、喰らい宇宙の中で威圧的に浮かび上がる敵のスペースシップの姿を睨んだ。
――戦いは、続く。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
さて、お仕事の時間ですねぇ。
参りましょうかぁ。
【遍界招】を使用し『宇宙空間』に適応する『ぴっちりスーツ型祭器』を召喚、着用して艦に近づいてきた相手を迎撃しますぅ。
メインは【遍界招】で強化された『FRS』による[砲撃]、『FBS』は4枚を四肢に嵌め『スーツ』と繋げてスラスターに使用、残りは『FRS』共々攻撃に回しましょう。
『FSS』は艦を狙った射撃へのカバーを中心に、接近されたら『刀』でお相手しますねぇ。
相手が『ペースト』を口にしようとしたら優先的に狙うか、場合によっては奪い取ってしまうのも良さそうでしょうかぁ。
敵方の様子を見る限り、あまり美味しく無さそうでは有りますが。
エダ・サルファー
美味しいお寿司を食べて元気いっぱい!
今の私に強盗ごときが太刀打ちできると思うなよ!
……えっ、そっちもスシ食べてんの?
厳しい戦いになりそうだぜ……
スペースシップワールドでの戦闘では、毎回どうやって移動するかって問題に頭を悩ませるんだよね。
でも今回は、相手が外壁まで来てくれるみたいじゃないの。
ならあとはどうやって仕留めるかって話だな!
無重力の世界では投げ技はあんまり有効じゃないだろうし、打撃も衝撃が逃げやすい気がするんだよね。
だから今回は絞め技、極技を重点的にやっていこうと思うよ!
というわけで、狙うは首だな!
徹底して聖職者式極支で首を狙っていくよ!
近付いて掴めた部位を破壊、その後首でトドメだな!
エドゥアルト・ルーデル
ドーモ、宇宙開拓者=サン、スシイーターデス
挨拶と同時に船壁を蹴り【流体金属】君を相手を手繰り寄せるワイヤー代わりに使いながら接近ですぞ
張り付いたら【栄養ペースト】を【スリ盗り・ジツ】お持ち帰りに貰ったスシを【スリ渡し・ジツ】を駆使し次の敵に跳躍ですぞ!
ある程度配ったら唐突にかの有名な暗黒メガコーポ、ササ・スシムーブでメンタルを殺す
これがアビ・スシがお出しするスシなんか目じゃないホンモノのオーガニック・スシでござる!
もっと欲しいか!欲しけりゃ今すぐドゲザでもして見せてくれや!ギャハハハハ!
オブリビオンにこれ以上あげる訳無いだろ!下座ってる所を適当に爆発物でも投げて始末ですぞ!
「さて、お仕事の時間ですねぇ」
夢ヶ枝・るこる(f10980)は腰を上げる。既に敵の襲撃は始まっていた。
「よし!美味しいお寿司を食べて元気いっぱい!今の私に強盗ごときが太刀打ちできると思うなよ!」
席を立ったエダ・サルファー(f05398)はグッと拳を握りながらやる気を見せる。
「いや、そうはいかないかもしれんぞ」
しかし、スシ・バーの席でマグロをつまむ知らないおじさんがエダをたしなめた。
なお、この知らないおじさんは前章でエドゥアルト・ルーデル(f10354)について現れたユーベルコード由来の知らないおじさんである。まだ帰ってなかったのだ。
「どういうこと?」
「曲がりなりにも敵はスシ提供スペースシップ……敵もスシを補給していることは想像に難くない」
「……なるほど。たしかにあっちもスシ食べてる可能性はあるね。厳しい戦いになりそうだぜ……」
「武運を祈ろう」
「ああ、ありがとう。知らないおじさん!」
「それでは参りましょうかぁ」
かくして2人は戦場へと赴く。
「ドーモ、宇宙開拓者=サン、スシイーターデス」
「なんだこのおっさん!!」
一方。
ザ・ゴールデン・スシの外壁で、エドゥアルトは跳ぶ。流体金属スピットファイアくんが伸ばした身体をワイヤーがわりにしながらの戦闘機動!
「こいつ!」
「クソ、捉えられない!」
「遅いですゾ〜!スタミナが足りていないのでは????」
撹乱するように飛び回るエドゥアルトを追うオブリビオンたちは困惑しながらレーザー掘削機を向けるも、エドゥアルトはすぐさま飛びすさり回避機動を取る!
「チッ……!」
攻めあぐねた元宇宙開拓者たちは舌打ちしながらポケットを開く。歯磨き粉めいたチューブを開いて咥え、苦々しくそれを吸う。
「……そこだッ!」
――ガァンッ!踏み込みの音!船体外壁を蹴って跳ぶエダが弾丸めいて飛び出し、宇宙食ペーストを食むその瞬間の隙へ飛び込んだのである!
「メシ食ってる時は無防備だからね!」
「しまった……!」
組み打ち!関節を極めるように四肢を絡めながら、エダは力を加えた。ご、ッ!オブリビオンの骨が音をたてて粉砕!激痛!オブリビオンが苦悶する!
「極める!」
「グア……ッ!」
続けざまに首!頸椎をへし折る!【聖職者式極支】!それが致命傷となってオブリビオンは活動を停止し、そのまま崩れ去り骸の海へと還った。
「次ッ!」
「こいつ……!」
エダは更に壁面を蹴って跳ぶ!再び加速し、次なる獲物へと向かった!
「それでは、こちらも仕留めていきますねぇ」
その一方、戦場を飛ぶるこるはその身体に祭器を纏う。【豊乳女神の加護・遍界招】。支える神格の力をその身に降ろし、ボディスーツめいた伸縮性の布地に身を包む。神格の加護に背を押されるようにるこるは虚空で加速した。
更にるこるは小箱を開く。内部ストレージ領域より12枚の光刃と16門の砲門を展開し、閃光を迸らせる。船体へと接近しつつある新手のオブリビオン群に向けて、刃と砲火が襲いかかった。
「なんだ……なんだよ、強すぎる……!」
「圧倒的じゃないかよ……!」
数で勝るにもかかわらず戦況は完全に猟兵たちに圧倒されている。彼我の戦力差に元宇宙開拓者たちが竦んだ――その時である!
「ギャハハハ!貧乏人には似合いの姿でござるぞ!」
エドゥアルトが再び戦闘機動!そして船体表面を飛び回りながらオブリビオンたちに接敵。その上でエドゥアルトは彼らの持つ栄養食ペースト・チューブを奪い取るとそのまま放り捨て、そしてあまつさえ小箱を押し付けたのだ。見事な【Pickpocket】!
「なに……!?これは……」
「それはこの船、ザ・ゴールデン・スシの一流のイタマエが握ったスシでござるぞ〜」
「スシ……!?」
オブリビオンたちはその言葉に迷いなく箱を開く。おお、見よ!そこに燦然と煌めくのは間違いなくゲンタウが握ったスシである!
「これがアビ・スシがお出しするスシなんか目じゃないホンモノのオーガニック・スシでござる!」
「スシ……スシだ……!」
「ア、アタイにも、アタイにもよこしてくれ!」
「もっと欲しいか!欲しけりゃ今すぐドゲザでもして見せてくれや!ギャハハハハ!」
悪辣!エドゥアルトはゲンタウのスシを口に運ぶオブリビオンたちを見下ろしながら哄笑した。これはかつてスペースシップワールドのスシ業界において隆盛をきわめた悪徳高級スシ提供スペースシップ、バンブグラスの代表が圧倒的な資金力を盾に他のスシ提供スペースシップへの嫌がらせや営業妨害を行なっていた際の言動にインスパイアされたものである。
なお、スペースシップワールドのスシ業界で起こった事件をまとめたスペーススシ史書としてアーカイブを閲覧可能だ。
話を戻そう。そのようにしてエドゥアルトは力の差に動揺するオブリビオンたちを更に打ちのめし心をへし折りにかかったのである!
「ス、スシを……スシを食わせてください……!」
そしてエドゥアルトの目論見の通り、オブリビオンたちが頭を下げる!
「ギャハハハハ!お前ら貧乏人にこれ以上食わす寿司はないでござる!さあ今ですぞ!」
「はーい」
エドゥアルトはここで更に悪辣に高笑いする!腕を振り上げてるこるへと「殺れ」のハンドサインを送った。宙を舞う光刃と砲門が再び光を放ち、オブリビオンの群れを灼き尽くした!
「今きてるのはこれであらかた片付いたみたいだね」
エダは最後のオブリビオンの骨をへし折りながら、2人に合流する。
「ドゥフフ。卑しい奴らでしたな」
「でも、ちょっと気持ちがわかるような気もしますねぇ」
るこるは外壁に降り立ちながら、漂っていたのを回収した栄養食チューブを見た。
「……あー、たしかにまずそうだもんね」
だからこそ、暗黒スシ帝国などという甘言に乗せられてしまったのだろう。エダは彼らの境遇を憐れみ、祈りを捧げた。
「ヨシ!じゃあ次がくるまで一旦休憩ですぞ〜」
ここで猟兵たちは一旦船内へと帰投する。
かなり多くの戦力を削ったはずだ。しかし、尚も迫り来るアビ・スシの軍団は未だ尽きない。猟兵たちの戦いは続く!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
エルナリア・アリルゼノン
【アリ☆エル】
あれが話に聞くアビ・スシですか
人々を食でもてなす飲食サービス艦とは思えない威圧的なショドー……
彼らの邪悪な企みが看板からもにじみ出ているようです
この世界の平和と正しいスシ文化を守る為にも、ここで叩き潰しましょう
敵が視認出来たらバズテール・フェイズを発動
ザ・ゴールデン・スシに近づく敵やアリルの討ち漏らしを優先し、
取り付かれる前に確実に撃ち落としていきます
ゴアンゼンニー(宇宙労働者の伝統的アイサツ)
それにしても敵戦闘員達の装備はお世辞にも良いものとは言えません
流通の独占よりも、福利厚生の改善が急務なのでは…?
アリルティリア・アリルアノン
【アリ☆エル】
出ましたねアビ・スシ!
スシ・バーのカンバンを掲げながらスペースヤクザめいた悪質な営業妨害、許せません!
このバーチャル魔法少女アリルちゃんが成ば……
って危なっ!?掘削機や環境維持装置が暴走してめちゃくちゃじゃないですか!
こんなの整備不良ってレベルじゃないですよ!ヒヤリハット!
オブリビオンとはいえ、不安全状態を放置しての作業はいけません!
対策として敵ごとオーラ防御の力を乗せたホログラフィックペタルで球状に包み込んでしまいましょう
危険なアレコレはこの光の花弁のドームの内部で封じ込め、浄化できるはずです
これでひとまずアンゼン・ヨシ!(古式ゆかしいユビサシ・チェック)
ジル・クリスティ
【恋華荘】
…寿司って、そんなに大事、なの…?
いや、確かに美味しかったけど…寿司の為に操られるオブリビオンとか…
なんか頭痛がしてきたよ…
ともあれ、理緒に付き合って外壁での防衛戦
理緒の少し上空で浮いて待ちかまえるよ
アサルトビット展開!全力で迎え撃つよ!
艦の外壁に取りつく前に、ビット攻撃で迎撃
数基のビッドからの集中砲火で叩いたり、ビットで足止めしたところにロングレンジライフルの砲撃で撃ち落としたり!
…ビットを抜けて外壁に取りついた相手は…理緒に任せるよ
なんかまた酷いこと考えてるみたいだし、ワサビとか、ワサビとか
私は食べない
ワサビはもうこりごり!
次のお寿司はワサビ抜きで作ってもらうんだから……!
菫宮・理緒
【恋華荘】
オブリビオンも可哀想だよね。
胃袋を掴まれる、とはよく言われるけど、
あんなのに掴まれちゃったのが不運としか言えないね。
おスシを独り占めしようなんて、なんて心の狭さっ。
美味しいおスシを食べてもらって、こちらに引き込んでもいいんだけど、
相手がオブリビオンだと、仲間にするっていうのもちょっと困る、かな。
でも、美味しいものを食べてから逝ってほしいのはあるから、
わたしとっておきの『わさびマシマシ』な
わさび巻を用意してあげちゃおう。
わさびの量も辛さも、マシマシマシな感じだよ!
これ食べたら【虚実置換】で消してあげるから、美味しく逝ってね!
あ、もちろんわたしも食べるよ。
ジルさんも、1本いっておくー?
「あれが話に聞くアビ・スシですか」
エルナリア・アリルゼノン(f25355)は、ザ・ゴールデン・スシの外壁から敵艦の姿を捉えた。
禍々しいイーヴィル・オスモウ体(※スペースシップワールドでは既に失われた古代文字の一種である)で威圧的に『アビ・スシ』の屋号をショドーしたスペースカンバンを掲げる邪悪な暗黒イタマエ艦が、ザ・ゴールデン・スシへと今にも迫ろうとしている。その威容を前に、猟兵たちは迎撃の準備を整える。
「出ましたねアビ・スシ!スシ・バーのカンバンを掲げながらスペースヤクザめいた悪質な営業妨害、許せません!」
アリルティリア・アリルアノン(f00639)は前面で仁王立ちしながらアビ・スシに対峙する。
「人々を食でもてなす飲食サービス艦とは思えない威圧的なショドー……彼らの邪悪な企みが看板からもにじみ出ているようです」
「オブリビオンも可哀想だよね。胃袋を掴まれる、とはよく言われるけど……あんなのに掴まれちゃったのが不運としか言えないね」
菫宮・理緒(f06437)もまたそこに並び、迎撃体制を整えながら迫り来る艦艇と、そして出撃するオブリビオンの姿を仰いだ。
「あれは、歪みです。この世界の平和と正しいスシ文化を守る為にも、ここで叩き潰しましょう」
スシを悪用するとは、その野望は捨て置くにはあまりにも邪悪が過ぎる。エルナは睨むように目を細めながら、握る拳に思わず力が入った。
「そうですよ!アリルちゃんはわかりました。スシはスペースシップワールドの宝ともいえる文化ですからね!」
「寿司って、そんなに大事、なの……?」
その一方、ジル・クリスティ(f26740)は訝しむ。
いくらスシが素晴らしい食文化であるとはいえ、スシのために操られるオブリビオンとは。彼女の常識からすれば信じがたい荒唐無稽な話だ。
しかし、食とは生命を繋ぐ必然の行為であるとともに、世界を象徴する文化なのである。例えばアックスアンドウィザーズ世界には酒場での食事。ヒーローズアースにおいてはアメリカ文化圏のバーガーやグリードオーシャンの宴会に用いられる焼いた肉。あるいはサクラミラージュ世界における合法阿片など、人の口に入るものとは、その世界の人類の文明を支える非常に重要なファクターだ。それらを掌握し、支配できたとするのならばそれは世界そのものを握ることに他ならない。わかったね?
「なんか頭痛がしてきたよ……」
ジルは頭を抱えた。
「体調不良でも敵は待ってくれないよ!」
「むっ。健康管理ダメですか!」
しかし、敵と理緒とアリルは待ってくれない!ジルの背を押すように声を張り上げながら、彼女たちは向かい来る敵へと相対する!
「おおおおおおッ!」
オブリビオンの群れが宙を駆け、猟兵たちのもとへと襲来!
「きましたね!それじゃあこのバーチャル魔法少女アリルちゃんが成ば……」
いの一番に前へと出るアリルちゃん!しかし、襲い来る敵たちはアリルちゃんの口上をまるで無視しながらレーザー掘削機を構えたのである!出力臨界!暴走状態に陥ったレーザー掘削機が唸りをあげながら破壊レーザーを撒き散らす!同時に暴走状態のままスイッチを入れられた環境適応装置が悲鳴めいたノイズを叫びながら凄まじい熱と嵐を巻き起こした!
「わあっ!?なんです!?メチャクチャじゃないですかアレ!!」
怒涛めいて押し寄せる破壊レーザー光と荒れる熱波!凄まじい攻勢がアリルちゃんの気勢を削ぐ!
「一度下がってください。迎撃しますよ」
一方、アリルの後ろでしっかりと迎撃準備を整えていたエルナは既に敵の姿を照準に捉えている。掲げた砲身はソーシャル・レーザー!既に【バズテール・フェイズ】へと移行したその砲口からレーザー光を放つ。閃光!掘削レーザーからの破壊光線と打ち合い、相殺して光線が弾けた。
「こっちも協力するね!アサルトビット展開!全力で迎え撃つよ!」
更にビット兵器が宇宙を駆けた!【Assault Bit Dragoon】!ジルの操る遠隔操作型の砲撃ユニットが走り、そして光を放ちながらオブリビオンたちを迎撃する。レーザー光や荷電粒子が飛び交い、花火めいて宇宙を彩った。
「た、助かりました……!」
始まるレーザー砲撃戦に緩む敵の攻勢の中、アリルちゃんはアイドルがしてはいけないデッサンの崩れた顔で一旦後退。表情を整えてから息を吐く。
「それにしても、あれはさすがにひどいです!こんなの整備不良ってレベルじゃないですよ!ヒヤリハット!」
敵のユーベルコードは明らかに暴走状態にある危険なアイテムを稼働させた危険極まりないものだ。いくらオブリビオンのやることであるといってもこんなものをゆるすわけにはいかない。アリルちゃんは憤慨する。
「実際そうですね。敵戦闘員達の装備はお世辞にも良いものとは言えません」
エルナは更にレーザー内に搭載するファーボリッツ・サーキットの稼働率を上昇させる。レーザー出力を安定させつつ徐々に上げ、少しずつ砲撃戦の状況を傾けていった。
「よくありませんね!オブリビオンとはいえ、不安全状態を放置しての作業はいけません!」
「……そういう問題なのかなあ」
ぎゅっと拳を握るアリルちゃんをよそに、構えたロングレンジライフルから大口径の粒子砲で迎撃を続けながらジルが目を細めた。
「理緒、そろそろ出番かも。備えといて」
「うんうん。わかってるよ!わたしもとっておきを用意してるからね!」
理緒は敵の接近に備えた近接戦闘の構えを見せている。砲撃戦にしびれを切らした敵が突撃してきたならば、その時は彼女の出番だ。それは一旦置いておくとして、理緒はにやと笑みを浮かべていた。
「とっておき……?また何か変なこと考えてる?」
「変なことなんて――」
「ヨシ!それじゃあそろそろアリルちゃんの活躍の現場ですよ!さあ、とくとご覧になってくださいね!」
2人のやり取りを遮るように、アリルちゃんの元気な声が響いた。その瞬間に、光が満ちる。【ホログラフィックペタル】!アリルちゃんはデバイスを叩きながらステッキを振る。そして広がる電子の花弁が光となって戦場にあふれだした!
「なに……!?」
「どうですか!アリルちゃんのバーチャル魔法は!これ映えますよ絶対!」
アリルちゃんはドヤ顔で熱い自画自賛!ホログラフィックペタルの光がオブリビオンたちを包み込んだ。広がった術式は球状に広がり、簡易的な結界めいて敵集団を閉じ込める。暴走するレーザー光や環境維持装置の出力を呑み込んでその脅威度を封じ込めた。
「そうですね」
そしてエルナが聞き流す!
しかして、実際敵の攻勢を封じ込めることに成功したのは事実だ。アリルちゃんはもう一度渾身のドヤ顔!
「これでひとまずアンゼン・ヨシ!」
古式ゆかしいユビサシ・チェックでアリルちゃんは敵の状況を観測。ペタルの光が敵の攻勢を阻んだが故に、その脅威度は低い。
「ゴアンゼンニー」
宇宙労働者たちの間に伝わる伝統的なアイサツで返しながらエルナは更にレーザー光を射出。趨勢を更に傾けてゆく。
「あれぐらいになったなら……チャンスだね!ジルさん、わたしちょっと行ってくるね」
「え、行く?本気です?」
ここで理緒がザ・ゴールデン・スシの外壁を蹴った。反動で飛び上がる身体が、ペタルの光に包まれた領域へと向かって飛んでゆく!
「だってさ、かわいそうでしょ!せっかくだから、あの人たちにも食べてもらおうと思って――お寿司!」
「お寿司って、それは――!!」
宙を舞う理緒がその手にもったノリマキ・タイプのスシを見せびらかすように掲げる。――巻かれたネタはややくすんだ緑色。それは――遺伝子調整済みオーガニックワサビそのものだ!ワサビ巻きである!
「やっぱり!!」
ワサビじゃん!!!そんなこったろうと思った、とジルが叫ぶ。
「ゲンタウさんに特別に巻いてもらったんだよ!オブリビオンだって、せめておいしいものを食べてから逝ってもらえたらと思ってね。ジルさんも、1本いっておくー?」
「食べない!!!」
ワサビはもうこりごり、とジルは激しく首を横に振った。
「遠慮しなくていいのに!」
「グアーッ!!な、なんだ貴様は――グアーッワサビ!!!!グアーッ!!」
そして敵集団の中へと飛び込んだ理緒は手にしたワサビ巻きを手当たり次第にオブリビオンに叩き込んでゆく。悶絶!阿鼻叫喚!悲鳴が宇宙を満たした!
「次のお寿司はワサビ抜きで作ってもらうんだから……!」
「う、うわあ。なんだかすごい拷問ですよ……?」
「ゴアンゼンニー」
アリルちゃんとエルナは若干ヒき気味にその光景を仰いだ。あまりの状況に2人は絶句する。
「……あの。すみません、うちの同居人が」
そして、ジルは頭を下げた。
かくして、このオブリビオンたちの部隊が全滅に至るその瞬間まで、慟哭と悲鳴が虚空の中にこだましたのである。
「流通の独占よりも、福利厚生の改善が急務なのでは……?危険手当とか……」
エルナは眉根にしわを寄せながら静かに呟いた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
睦沢・文音
心情
「あの装備、本来戦闘用の物ではありませんね…」
装備や様子から黒幕に操られていることを看破します。
戦闘中、主に味方の回復や支援に徹します。
ユーベルコード「子守歌」を使うことで、相手の魂を【慰め】る歌を【祈り】を込めて【歌唱】します。
真空の宇宙であろうとも、🔴25個に比例する強さで相手の魂に直接歌を響かせます。
「思い出して下さい!あなた達の夢を!」
レーザーは頑張って避けようとします。
アドリブ・連携歓迎です。
最大の目的は、いち早く敵の群れを殲滅・鎮魂することです。
その為なら、ある程度のダメージはやむを得ないものとします。
カーバンクル・スカルン
なんか来ましたね。……目ギラギラしてんなー、相手。
とりあえず店を壊しにかかる暴徒は鎮圧させていただきまーす。ということでまずは蹴り飛ばす。
そして車輪に相手を拘束したら強引にぶん投げて走行させて、他の奴らにもぶつける。はい、ワンピンからのスペアいただきましたー。
何? スシが食いたいの? スシ食えたら大人しくなるの? じゃあ……あ、いたいた。おーい、大将さーん、営業時間外で申し訳ないんだけど、私のおごり(経費)で車輪にくっつけたやつの口に寿司突っ込んどいてくれないー? 飛び込みでめっちゃ寿司食いたいだけの人らしいからー。
うるさかったり図々しい奴にはサビオンリーで、よろしゅう
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
さぁて食った分はきっちり働く!
これ以上なく分かりやすい理屈だよな。
アンタらも胃袋を掴まれてる口みたいだね?
気持ちはわかるが、恨みっこなしで行かせてもらうよ!
早速カブに『騎乗』して、宇宙空間へ飛び出すよ。
宇宙カブの名前は伊達じゃないんでね、
宙間戦闘なら任せとけってんだ!
そうして星の海を駆け抜けながら、
片手でカブを『操縦』しつつもう片方の手に特異点を生み出す。
光すら吸い込む【災い拒む掌】の発動さ!
そうして周囲に乱射されてるレーザーを『おびき寄せ』、
お返しとばかりにぶっ放すよ。
なるべく狙うのはレーザー掘削機だけ!
使い手はそこまで悪かないからね。
後で大将の寿司食ってけよ!
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
ゲンタウ、頼みがあるんだけどさ。
ちょっと調理場借りていいか?
いや、団体客が来るみたいだからさ。
シャーリーと協力し、外壁に取り付いた敵を【飢龍炎牙】で迎撃し、【武器落とし】で無力化する。
そして捕縛した敵達を船内に入れたら出撃前に【料理】したスシを振る舞う。
「腹、空いてるんだろ? 宇宙食の食べっぷり見てればわかるぜ」
敵の狙いはスシ文化の独占による銀河支配。
当然、部下への報酬もスシだろうな。
だからあんたらにも俺達のスシも食べてもらいたい。
どっちが旨いかは尋かない。
ただ、この銀河には色々な味があり、色々なスシがあるって事を知って欲しい。
そしてあんたらにそれを潰して欲しくない。
それだけだ。
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
あの装備は正規軍や海賊じゃないね
多分、元宇宙開拓者だったんじゃないかな
だから宙間戦闘には慣れてるだろうけど、その油断を逆に隙として利用させてもらうよ
【罠使い】+【ロープワーク】で外壁付近に外壁と同じ色に塗ったワイヤーを張り巡らせておいて、
【エクストリームミッション】で宇宙空間を飛び回りながらブラスターの【乱れ撃ち】で敵を迎撃する様に見せかけて敵を仕掛けに誘導して一網打尽にする
残った敵はウィーリィくんに任せてボクは捕らえた敵の武装を解除して船内に運び込む
もうオブリビオンになってしまったのなら元に戻す事はできない
それでも、せめて人としての望みをかなえてあげたいから
聖護院・カプラ
(外壁にて)
お待ちなさい、宇宙開拓者よ。
かつてスペースフロンティアスピリッツに溢れ、遥か遠い彼の地を目指した貴方達が何故オブリビオンとなりアビ・スシに従うのですか。
――『味気ない宇宙食』に嫌気が差したのなら、
逆境を思い出す為にカロリー・ペーストを食す事すら忌避するでしょう。
何故、そのユーベルコードで自身の開拓者精神が燃え上がるのか……
今ならまだ間に合います、向き合う行いをしませんか。
アビ・スシはスシを道具として使い宇宙征服を虎視眈々しています。
そこにスシへの愛と感謝はありません。
今、オミヤとして持ってきたタイショのスシを食べて下さい。
スシシップを襲う行いでは、本当のスシはロステクとなるのです。
「なんか来ましたね……目、ギラギラしてんなー、相手」
外部の映像を映し出すモニターが、捉えた敵の姿を映し出す。ただならぬその雰囲気にカーバンクル・スカルン(f12355)は息を吐いた。
「あの装備、本来戦闘用の物ではありませんね……」
睦沢・文音(f16631)は、眉根を寄せて呟く。
――操られているのだろう。彼らもまた不幸な犠牲者なのだと、文音は察する。
「うん。あの装備は正規軍や海賊じゃないね」
シャーリー・ネィド(f02673)は頷く。
「多分、元宇宙開拓者だったんじゃないかな」
宙間機動用の光波スラスターを内蔵したレーザー削岩機の装備には見覚えがある。資源小惑星の組成を削り取るためのものだ。シャーリーは接近するオブリビオンの正体を看破した。
「ゲンタウ、頼みがあるんだけどさ」
「なんだいお客さん。言ってみな」
ウィーリィ・チゥシャン(f04298)は、戦場へと赴く前にゲンタウへと切り出した。
「ちょっと調理場借りていいか?」
「こんな時にかい?」
「いや、団体客が来るみたいだからさ」
「……なるほどねぇ」
ゲンタウはウィーリィの言わんとすることを察した。そして、静かに頷いてから調理場を開く。
「わかった。好きにしな」
「ああ、恩にきるぜ」
一方。
「さぁて、食った分はきっちり働くとしようか!」
数宮・多喜(f03004)はマシンのエンジンに火を入れる。宇宙カブの宙間機動用推進機が火を吹き、燃える推進剤の軌跡を流星めいて残しながら多喜は宇宙空間へと飛び出した。
「用心棒か!」
「邪魔はさせないよ……アタイたちだって、スシが食いたいんだ!」
対する元宇宙開拓者のオブリビオンたちは、ツールに内蔵したガジェットを起動しながら赤くレーザー光波推進装置の光を放つ。加速するオブリビオンたちが光の芸術のようにレーザー光の軌跡を描いた。
「アンタらも胃袋を掴まれてる口みたいだね?」
多喜はハンドルを切り返し、衝突を避ける機動。それと同時に、手の中に力を収束させる。
「だったら……どうだっていうんだ!」
「こっちも負けられないってことさ!そっちの気持ちはわかるが、恨みっこなしで行かせてもらうよ!」
「なめるなーッ!」
閃光!赤光が閃いた。その光はレーザー掘削機の過剰出力から放たれる破壊レーザー光だ!出鱈目に爆ぜる破壊光線が無数に放たれ、宇宙を赤く染める!
「悪いね――光なら、“吸える”のさ!」
「……なに!?」
【災い拒む掌/キャプチャー・アンド・リリース】。多喜の手の中に収束したユーベルコード出力が次元をゆがめた。そこに現出する小規模次元特異点は、ユーベルコード出力によって形成された事象を吸収する特性を持つのだ。多喜は掲げた手の中に開いたブラックホールめいた特異点をもって、宇宙を埋めつくさんばかりの赤い光を吸い寄せた。
「――あんたらさ、本当はこんな仕事、やりたいわけじゃないんだろ?」
そして、見透かすように多喜は言った。それと同時に、その手の中から光が放たれる。――能力特性を複写された破壊レーザーが、闇を裂いてオブリビオンたちへと襲い掛かった。
「く、ッ……だけど……!」
被弾。閃光が通過し、レーザー掘削機が爆発する。咄嗟にツールを投げ捨て、オブリビオンが退避する。
「お前たちに……暗闇の果てで飢えたことのなお前たちに、アタイたちの気持ちがわかるか!」
だが、その内に宿した暗澹たる思いをオブリビオンたちは叫ぶ。
「――はい、わかりません」
そこに飛び込んだのは、文音の声だ。
「……ですが、それでも。あなたたちの嘆きを……私は、悲しく思います」
「なら、通しなよ……邪魔をするなよ!」
「それではいけないんです。それはただ、悲しみを広げるばかり……。だから、思い出してください」
文音は宇宙空間を進み、オブリビオンたちの前へと進む。
「思い出す……?」
「何を……!」
「夢を、です」
そして、文音は奏でた。
「ほしのかなたに―― きっとひかり――」
【子守歌/ララバイ】。文音は、スペースシップワールドに伝わる旧い子守唄を口ずさんだ。
オブリビオンとは即ち、滅びを経て過去へと堕ち、骸の海より襲い来る“死”の先の存在だ。文音は、さまよい続ける元宇宙開拓者たちの姿に、かつて彼らに訪れたであろう滅びを想った。
そして、その魂の救済を願った。
「う……ッ」
「や、やめろ……!」
「いいえ……歌は止めません。きいてください。そして、思い出して下さい!あなた達の夢を!」
祈りを込めた歌声が真空の宇宙空間を渡り、オブリビオンたちの魂に響き、染み渡る。――それは、それを聞く者たちの戦意を削ぐのにはじゅうぶんであった。
「…………アタイたち、だって」
「……いい暮らしが、したかったんだ。危険じゃなくて。不安じゃなくて。暖かくて、……スシだって、食べられる」
「ならさ、今だっていいじゃないか」
手を止めたオブリビオンたちへと、多喜は声を投げかける。
「大将の寿司、食ってけよ。ここのスシ、すっごく美味いんだからさ」
「スシ……」
そして、彼らは武具を手放した。
「削ってやる、削ってやる、削ってやる……!」
「この船さえ叩けば、ダンナがスシを食わせてくれるんだ……!」
一方、敵群の中から抜け出した一団がザ・ゴールデン・スシの船体へと取り付いていた。レーザー掘削機の出力を上昇させ、進入路を無理やりこじ開けようとしているのだ!
「お待ちなさい、宇宙開拓者よ」
しかして、その悪行を荘厳な声が制止する。――そこに座すのは、聖護院・カプラ(f00436)の姿である。
「……邪魔をする気か!」
「かつてスペースフロンティアスピリッツに溢れ、遥か遠い彼の地を目指した貴方達が何故オブリビオンとなりアビ・スシに従うのですか」
説得!オブリビオンたちの前に対峙するカプラは、重々しくも存在感に満ちた声を通し、彼らへと語り掛ける。
「アビ・スシのダンナは……アタイたちに永遠のスシを約束してくれたんだ!」
「そうだ……もう、こんな味気ない栄養食なんか食わなくてもいいって!」
オブリビオンたちは満たされぬ思いに焦がれ、叫んだ。カプラはそれを受け止めながら、静かに頷く。
「……しかし、です。――『味気ない宇宙食』に嫌気が差したのなら、逆境を思い出す為にカロリー・ペーストを食す事すら忌避するでしょう。……それでも、あなた達は。それを食むことで己を奮い立たせることができる力を持っている……そうですね?」
「な……何が言いたい!」
「それは、あなた達の胸にはまだ熱く燃える魂の火が残っている証明に他なりません。そう、宇宙開拓者としての誇りが」
「ッ……!」
カプラの説得に、オブリビオンたちが動揺する。
間違いない。彼らはまだ人としての心を残しているのだ。ただ、それを邪悪なアビ・スシの暗黒イタマエに利用されているだけなのである。
「今ならまだ間に合います、向き合う行いをしませんか」
カプラは更に言葉を重ねた。
武具を手にした元宇宙開拓者たちは、幾度か逡巡するような仕草を見せ――
「だ、けど……!」
しかして、引き金に指をかけた。
「はーいそこまでー」
「グアーッ!?」
その時である。鋭く襲来する蹴り足がオブリビオンの背中に突き刺さった!衝撃!蹴り足を受けたオブリビオンが無重力化での慣性の法則に従ってあらぬ方向へと飛ぶ――が、レーザー光波推進を起動し、反転。切り返したオブリビオンは再びザ・ゴールデン・スシの船体へと着地した。
「な……何だ!?」
「なんだと言われてもねー。……とりあえず店を壊しにかかる暴徒は鎮圧させていただきまーす」
そこに立つ姿。宇宙の風に赤毛を揺らし、身の丈ほどもある巨大な『車輪』を携えたカーバンクルである!
「これ以上、好き勝手なことはさせないよ!」
続けて光の雨が降った。シューティングスター!熱線が火を噴く。艦艇の周囲の宙域を縄張りにしたかのように、虚空に浮かぶのは鋼鉄の鮫である!シャーリーのパワードスーツだ。愛機ハイメガシャークとの【エクストリームミッション】!宇宙の海を泳ぐ鮫が闇の中で吼える!
「くッ……!なんて出力!」
「げ、迎撃、迎撃しなきゃ……!」
「はいはーい。残念でしたねー」
シャーリーの射撃攻勢から逃れようとするオブリビオンたちを迎えたのは、高速回転する車輪である。戸惑うオブリビオンの背中にもう一度蹴りを入れて、カーバンクルは大車輪の車軸にオブリビオンを叩き込んだ。がしゃ、と音をたてた車輪が、拷問具めいてオブリビオンの身体を拘束する。
「な……!」
「武器を引いてのご乗車にご協力くださーい!」
「グアーッ!ヤメロー!!」
【通勤電車地獄/ラッシュトレインプッシュ】!オブリビオンの躯体を拘束したカーバンクルの車輪は、高速で回転しながら前進する!他の元宇宙開拓者へとぶつかりに行き、派手に激突して激しい衝突音を響かせた。何体かのオブリビオンがそのまま爆発して骸の海へと還る。
「はい、ワンピンからのスペアいただきましたー」
「くそ……こんなことで……!」
「もうやめとけよ。……お前たちに、勝ち目なんかないぜ」
尚も戦意を見せ続けるオブリビオンの目の前で、炎が龍となって燃えた。
ウィーリィは手にした大包丁に龍炎を纏い、オブリビオンたちを阻む。
「そうです。……もう、お止しなさい。その行いでは、あなた達は救われません」
そして、再びカプラがオブリビオンたちに相対した。
「だけど……ダンナは!うまくやったら!スシを食わせてくれるって、約束したんだ!」
「……ああ、だろうな。そうだと思ってたよ」
対峙するウィーリィは一歩も引くことなく、慟哭にも似たその言葉を受け止める。
「アビ・スシの狙いはスシ文化の独占による銀河支配……当然、お前たちへの報酬もスシだろうな」
「しかし、アビ・スシはスシを道具として使い虎視眈々と宇宙征服を目論んでいます。そこにスシへの愛と感謝はありません」
「……」
「何?スシが食いたいの?スシ食えたら大人しくなるの?」
半ば呆れたような声で、カーバンクルは首を傾げる。
「じゃ、食わしてあげますかー」
そして、こともなげに言った。
「なんだって……?」
「スシを……?」
敵対する猟兵たちの口から施しの言葉が出たことに、オブリビオンたちは困惑する。
「はい。スシです。……ぜひ、ゲンタウ・タイショのスシを食べて下さい」
「ああ。……腹、空いてるんだろ?」
「ウィーリィくん、中の準備、できてるって。それから、向こうの人たちも一緒にお願い」
シャーリーは船体の上に降り立ちながら、上を仰いだ。――そこには、戦いを止めたオブリビオンたちと、彼らを伴って船へと向かう多喜と文音の姿があった。
「大将さーん」
「アイヨォ!」
「……」
かくして、猟兵たちは敵であるオブリビオンたちを船内へと案内した。――スシ・バーのカウンタースペースに座らせる。
「うるさかったり図々しい奴にはサビオンリーで、よろしゅう」
「テヤンデエ!そんな意地の悪いことを俺がするかよ!」
「……」
猟兵たちのやり取りをよそに、オブリビオンたちは緊張した面持ちだ。だが、そんな彼らへと向けて、ゲンタウとウィーリィは黙ってスシを握り、提供した。
「ヘイお待ち」
「……どういうつもり?」
元宇宙開拓者は訝しむ。
「あんたらにも俺達のスシも食べてもらいたい。……ただ、この銀河には色々な味があり、色々なスシがあるって事を知って欲しい」
ウィーリィは、その疑問へと真摯に答えた。
「そして……あんたらにそれを潰して欲しくない」
「……」
「いいからさ、食べてみなよ」
「そうです。……きっと、満足いくと思います」
そして、多喜と文音がオブリビオンたちに促した。
「スペースシップワールドとは、開かれた世界なのです。……そして、この世界の重要な食文化であるスシも、あまねく人々に拓かれたものであるべきだと。あなた達も、そう思いませんか」
それは――オブリビオンとなり果ててしまった彼らであっても、スシを味わっていい。という意味でもある。
スシは何物をも受け入れる赦しと癒しの象徴でもあるのだ。
わずかな逡巡を置いて――元宇宙開拓者たちが、スシを口に運ぶ。
「ああ……」
涙が零れた。
彼らは滂沱しながら、カウンターに供されたスシを次々に平らげる。グラビトロマグロ。エンガワ。バイオイクラ軍艦。シメサバ。
一貫口に運ぶ度、その味をかみしめるようにしながら彼らは泣いた。
「……こんなに美味いスシは、はじめてだ」
そう言って、オブリビオンたちの中から1人が光の粒子へと変わる。
「スシシップを襲う行いでは、このように素晴らしい本当のスシはロステクとなるのです」
「そうか……。アタイたちのやってきたことは……いい行いじゃ、なかったね」
そして、その躯体は溶けるように消えた。
また1人、また1人と同じように崩れてゆくオブリビオンたちの姿を見つめながら、シャーリーは思わず祈るように手を合わせた。
――骸の海からオブリビオンとして現れてしまった以上、もとの人間のように生きてゆくことはできない。彼らはどうしても、滅びるしかないさだめだ。
しかし――それでも、せめて人としての望みを。
消えゆくオブリビオンたちの姿に、シャーリーは瞑目してその冥福を祈った。
「あなたが居たことを、その存在を、私がきっと覚えておきますから……お休みなさい」
そして、文音もまたその鎮魂を願うのであった。
「……さて、それじゃ次にいくとしようか」
ここで多喜が踵を返す。――そう。まだ戦いは続いているのだ。船を襲うオブリビオンたちはまだ全滅したわけではない。第二波、三波とこのまま続けて襲ってくるだろう。
猟兵たちは頷きあい、そして再び船外へと飛び出してゆく。
――そう、スシによる銀河の支配を目論むアビ・スシの野望は今もその邪悪な計画を進めているのだ。
戦いは続く!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ユーノ・ディエール
おのれアビ・スシ……宇宙の先駆者たる彼らを惑わし
よもやカミカゼめいた扱いをするなど言語道断!
その歪んだカラテ、私のサイキック・カラテで粉砕して見せましょう!
クルセイダーに騎乗し先制突撃
念動力で敵の攻撃を逸らしつつ
誘導レーザーの一斉射で牽制し
敵のレーザー掘削機をハッキングしましょう
上手くおびき寄せて範囲攻撃! まとめて無力化です!
目を覚ましなさい、これが見えますか?
引き連れた虚無デスワの姿を見せつけて
障害を消しながら彼らの正気を取り戻します
心を取り戻すのです!
本当のスシ……それはヒトの心を縛るものではない!
心と腹を満たすモノ、それこそがスシ本来のあるべき姿
今ならば間に合います、早くこちらへ……!
ミスト・ペルメオス
【SPD】
やはり、美味しい料理を食べると幸せになれるのですね…。
…っと、いけない。集中…。
スシを堪能した余韻を振り払い、気持ちを切り替え、愛機たる機械鎧(人型機動兵器)を駆って出撃。
マシンヘルム等を介して念動力を活用、機体をフルコントロール。
空間戦闘は己と愛機の本領とばかり、スラスターを駆使して星の海を駆ける。
敵は歩兵、フネに取りつかれてはたまらない。
敢えて護衛対象の対空砲火の射程外に進出、飛び回りながら【クイックショット・ホークアイ】。
念動力による超感覚も駆使して敵を捉え、片っ端から可変速ビームキャノンで狙撃。
敵対的なオブリビオンならば容赦は出来ない。…恨めよ。
※他の方との共闘等、歓迎です
桐嶋・水之江
◆なんでも歓迎
あの看板は…情報通りね
ステルス性も何もあったものじゃないわね
まあ、分かりやすくて大変結構だけれど
さて食べた分働かなきゃね
じゃあパパッと終わらせましょうか
れっつごーワダツミ
大勢でご苦労な事よね
数で押すのは戦術の基本…こっちも数で対抗させてもらうわ
人形機兵隊で大量生産したDプラスを迎撃に向かわせるわ
敵の位置情報を把握しておけば進路を掴んで先回りするのも難しくないでしょう
幾らか墜とされるでしょうけれどお気になさらず
足止め役がメインだもの
そしてDプラス相手に手一杯になってる所へミサイルかメガビーム砲の援護砲撃でズドン
一網打尽にしてあげるわ
「やはり、美味しい料理を食べると幸せになれるのですね……」
ミスト・ペルメオス(f05377)はスシのあたたかみの余韻を振り返り、短く息を吐いた。
「……っと、いけない。集中……」
しかし、今彼が座すのはスシ・バーのカウンター席ではなく、冷たく熱い鋼鉄に包まれた愛機ブラックバードのコクピットである。開いたコントロール・パネルを指先で叩き、マシンの出力を上昇させてゆく。エアロック・ゲートが開くその先の戦場に、ミストは臨んだ。
「おのれアビ・スシ……宇宙の先駆者たる彼らを惑わし、よもやカミカゼめいた扱いをするなど言語道断!」
同じくゲートからの発進準備を整えながら、ユーノ・ディエール(f06261)はその胸に怒りを滾らせる。ディアブロクルセイダーのエンジンに火が入り、鼓動めいた振動を伝えた。
「こちらブラックバード。出撃します!」
「ディアブロクルセイダー、発進!」
《Wasshoi!》
エアロック・ゲートにイナセな電子音が響き渡る。発進許可の合図だ。2人はほとんど同時に機体を発進させ、宇宙空間へと飛び出した。
「――こちらワダツミ。猟兵各位、聞こえる?」
その時である。2人の機体へとオープン回線での通信が届いた。――パターン青。猟兵として識別されるコードだ。ブラックバードの観測器は、宙域に接近する戦闘艦の反応を検知する。
多目的強襲揚陸艦ワダツミ。桐嶋・水之江(f15226)の操艦する船である。
「こちらブラックバード。貴艦の反応を確認しました」
「こちらワダツミ。本艦はこれより対オブリビオン戦闘を開始するわ。……食べた分は働かなきゃだものね?」
「同感ですね!私のサイキック・カラテで奴らの歪んだカラテを粉砕してみせましょう!」
猟兵たちは宙域でチャンネルを接続し、情報共有用のボイス・チャットルームを構築した。それぞれに運用の異なる3機のマシンが連携しながら戦闘機動へと移ってゆく!
「敵は既にかなりの数を展開しているようですね――敵は歩兵です。フネに取り付かれて破壊工作を仕掛けられれば、こちらの被害は大きくなるでしょう」
「了解。それならこっちの方が小回りが利きます!」
「こっちからも手を出すわ。数は出せるし支援砲撃も可能よ」
――猟兵たちは方針を固める。ユーノがディアブロクルセイダーの機動力を活かして遊撃に回りつつ、水之江は艦載機を出撃させて艦の防衛に回る。ミストはブラックバードの機動力と火力を活かして前進し敵陣へと攻め入る方針だ。
「では行きましょう!状況開始です!」
そして、ユーノのマシンが咆哮した。
「アタイたちの野望のために――ッ!」
「止めてください……!こんな戦いは無意味です!」
閃くレーザー光を躱しながら機体を加速させ、そしてユーノは叫ぶ。ザ・ゴールデン・スシの船体へと迫るオブリビオンたちを迎え撃つべく、ユーノは機体を走らせた。
「黙りなよ!」
「黙りません……!目を覚ましなさい!」
ここでユーノは更に速度を上げ、そしてマシンを分解した。パーツごとに分かれたマシンの構成部品を集めて再構築。【躍騎迫匣/クルセイダー・オールブラスト】!鋼のマシンを彼女は鎧として身に纏う。鼓動めいて唸るエンジン音。ユーノはマシン出力を上昇させながら加速する。放たれるレーザー光を潜り抜け、宇宙を駆けるクルセイダーは大太刀を振り抜いた。鋭く光る剣閃!掘削機を断ち切る!
「グア……ッ!」
怯むオブリビオン!ユーノは機体を前進させ、更に押し込んでゆく!
「くそ、だが――あの船さえ落とせばァッ!」
しかして、数に勝るオブリビオンたちは展開した部隊で数にあかせて押し込んでゆく!いかに猟兵たちの戦力があったとて、1人ですべてをカバーしきることは不可能だ。ユーノ一人では足りぬ防衛線を蹂躙すべく、オブリビオンたちが攻め寄せ――
「大勢でご苦労なことよね――でも、そうはいかないの」
『命令を受諾』
――そして、迎撃された!オブリビオンたちを迎え撃ったのはDプラス。水之江の駆る揚陸艦ワダツミより出撃したAI搭載型無人マシン兵器部隊である。【機巧の魔女の人形機兵隊/マリオネットソルダート】!展開したDプラス戦闘部隊はオブリビオンの群れを迎撃し、その侵攻を押しとどめる!
「足止めはしてあげるわ」
「感謝します!」
大太刀を振り抜きながらユーノが叫ぶ。
「デスワーム!」
ぐもももも――ユーノの声に呼ばれるように、宇宙の暗闇から虚無が這い出た。――虚無モンゴリアンデスワーム!ユーノの飼いモンゴリアンデスワームである虚無モンゴリアンデスワームは奇怪な咆哮をしながらオブリビオンたちを睨みつける。
「宇宙モンゴリアンデスワームだと!?」
「これが見えますか――。であれば、わかるはずです。見えるはずです!あなた方のあるべき姿と行くべき道が!」
――虚無モンゴリアンデスワームは、あまねく存在を無へと還す概念兵器としての性質を持つクリーチャーだ。おぞましく身体をくねらせながら、虚無モンゴリアンデスワームは元宇宙開拓者たちへと対峙する。
だが、ここで虚無モンゴリアンデスワームが喰らい、虚無へと還すのはオブリビオンたちの目を曇らせ、狂わせる邪心だ。
「勝機を取り戻してください……!心を取り戻すのです!」
「こ、心……」
「あ、ああ……わ、わかる――わかる、ような、気がする――」
そして――その禍々しくも神々しい虚無モンゴリアンデスワームの威容に、オブリビオンたちは動揺し、困惑し、そして滂沱した。その魂を縛る悪質な暗黒スシの呪縛から、彼らの魂が解き放たれる。
「本当のスシ……それはヒトの心を縛るものではない!心と腹を満たすモノ、それこそがスシ本来のあるべき姿!」
そこへ畳みかけるようにユーノは鋭く声を投げかけた。オブリビオンたちが怯む!
「今ならば間に合います、早くこちらへ……!」
「あ、あ――」
――そして、ザ・ゴールデン・スシの外壁へと迫っていた元宇宙開拓者たちは、静かに瞑目し、その手を止めた。
「うおおおおお――ッ!」
「あなたたちがこの宇宙の海図を広げ、いまのスペースシップワールドを作り上げる礎となった人々であることは重々承知している」
一方、前線である!ブラックバードのスラスターが推進剤の軌跡を残し、虚空の中を突き進む。目標は敵のスペースシップ、アビ・スシ――マシンヘルムを通じてミストの超感覚と接続した視覚センサーが、宇宙空間に展開した敵群の姿を捉えた。
「しかし、だとしても――敵対的なオブリビオンならば容赦は出来ない」
「なめるなアッ!」
レーザー掘削機が破壊レーザー光を放った。しかし、ブラックバードを通じて敵意を鋭敏に感じ取るミストは操縦桿を巧みに操り、機敏に回避運動をとる。光線が機体表面を掠めて爆ぜ消えてゆく――カウンター!同時に可変速ビームキャノンの筒先がオブリビオンたちへと向けられた。
「恨めよ」
閃光。ブラックバードのジェネレータに直結された大出力ビーム砲が光を放ち、オブリビオンの一団をたちまち灼き尽くす。【クイックショット・ホークアイ】!断末魔すらなく消滅する元宇宙開拓者たちの姿に、ミストは僅かに胸を痛めた。――しかし、その程度のことで手を止めるようなことは、戦士として育ったミストにはあり得ない。操縦桿を押し込んでミストは更にブラックバードを加速させる!
「こちらワダツミ。これより火力支援に移るわ」
そして、次の瞬間である。水之江が操る揚陸艦ワダツミが搭載された火砲の火を噴いた。支援砲撃だ!メガビーム砲の砲身より、激しく閃光が迸る!
「グアアアーーーッ!」
そして、爆発――!炎の中にオブリビオンが消え失せる。しかし、それだけではまだ攻勢を止める理由には足りない。ブラックバードは爆炎の向こうから猟兵たちを狙う敵意を感知すると、そこへと向けて再びビームキャノン砲撃を叩き込んだ。
3機のマシンは敵を完全に抑え込んでいた。前線に出たミストのブラックバードが敵を叩き、水之江のワダツミがそれを見事に支援する。更に、防衛線を抜けてザ・ゴールデン・スシへと接近したオブリビオンはユーノのクルセイダーが迎え撃ち、更に揚陸艦ワダツミより出撃する無人戦闘マシン部隊が敵の攻勢を削いでいたのである。結果として、オブリビオンたちは本来の目的であったザ・ゴールデン・スシへの襲撃をほとんど諦めたままに攻勢を止めることとなる。
「……あれが、敵の船」
そして、猟兵たちは闇の向こうに座すスペースシップ、アビ・スシの姿を見た。
「……人々からスシを奪うのみならず、死者の魂までスシで支配するなんて……許せません!」
ユーノはその胸に熱く炎を灯す。この事件の裏で糸を引く黒幕であるアビ・スシの所業はあまりにも邪悪に過ぎる。到底、それを赦すことはできない。
「はい、あのアビ・スシは必ず滅ぼさなくてはいけません」
ブラックバードの操縦席で、ミストもまた双眸を細める。スペースシップワールドの重要な文化であるスシをこのように悪辣に利用するなど、到底捨て置けるものではないだろう。
「そうね――それじゃ、パパッと終わらせましょうか」
そして、揚陸艦ワダツミがその進路をアビ・スシへと向けた。
かくして、猟兵たちの戦いは佳境へと入ってゆく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ジークハルト・グリムガルデ
WELCOME TO HELL。
我が戦場へようこそ。
お前たちの事情など知らないし、知るつもりもありません。
ここに居るのは一振りの魔剣にして無限の剣戟。
無慈悲に無常に切り伏せる暴力装置。
恐れぬ者からかかってきなさい。
正しく扱えぬ武具など恐れるに足りず。
魔剣第壱解放。
生み出した魔剣を盾にして中央突貫、掘削機ごと切り捨てます。
そしてそのまま蹂躙を開始。
その武器はある程度狙いを絞れるようですが、乱戦状態で狙いを付けづらいでしょう。
覚悟の決まった者なら撃つでしょうが、そういう者から切り捨てます。
怯えろ、竦め!そして何も出来ぬまま散れ!!(悪役ムーブ)
新海・真琴
宇宙の影朧……いやちがう、オブリビオンか!!
お前達にどのような理由があろうが、私は刃を振るうのみ
銀河帝国……記録でしか見ていないが、帝を戴くと言っても私達のサクラミラージュとは比べ物にならないと聞いているぞ!
(存在感を発しつつ恫喝する)
(発動する羅刹紋『壱師の花』)
戦闘知識でもって宇宙開拓者の動きを推測
はなきよらのリーチを活かし、先制で薙ぎの一撃を喰らわせる!
随分と動きが鈍いじゃないか。栄養、足りてるのかい?
環境維持装置は故障して制御が効かないのか
厄介だな……それならこれだ!
曼珠沙華を発動。花弁で機械を詰まらせて完全故障を狙う
故障で注意散漫になった隙を突いてはなきよらで首を狙う一撃、喰らえ!
シグルーン・オールステット
スシは美味しい。美味しいスシには良い食材が欠かせない。
だけどそれはアビ・スシのような方法で手に入れて良いものではなく、正当化するものじゃない。
このザ・ゴールデン・スシはボクや仲間の馴染みの店。君たちの好きにはさせない。
”Pegasus”で出撃。「残像」や「地形の利用」でデブリなどを利用しつつ破壊光線を躱しレーザー掘削機に接近。車体をぶつけて宇宙開拓者の方へ「吹き飛ばし」て彼女たち自身を攻撃させる。そして混乱した相手が逃れようとしたところを轢きます。
「アタイたちはスシが食いたいだけなんだ!そこをどきなよ!」
「お前達にどのような理由があろうが、私は刃を振るうのみ」
「ええ。お前たちの事情など知らないし、知るつもりもありません」
ガァンッ!ザ・ゴールデン・スシの目の前の宙域で、レーザー掘削機の放った光と閃く刃が交錯した。ジークハルト・グリムガルデ(f21399)の魔剣が舞い、新海・真琴(f22438)のはなきよらが火花を散らす。襲撃を仕掛けてきたオブリビオンたちを、猟兵たちが迎え撃つ。ふた振りの刃が重なり合うようにオブリビオンを迎え撃っていた。
「おのれ……!」
「ここに居るのは一振りの魔剣にして無限の剣戟。無慈悲に無常に切り伏せる暴力装置――恐れぬ者からかかってきなさい」
ジークハルトは前進する。打ち払う剣がレーザー掘削機を払い、そして開いた身体に刃を叩き込んだ。オブリビオンが悲鳴を上げて霧散する。
2人の猟兵は、ザ・ゴールデン・スシへと迫るオブリビオンたちを迎え撃ち、その剣を振るっていた。ふた振りの刃が閃く度、オブリビオンが悲鳴をあげて消滅する。
「ぎ、銀河帝国以上の……アタイたちの、暗黒スシ帝国――」
「銀河帝国か――だが、帝を戴くと言っても私達のサクラミラージュとは比べ物にならないと聞いているぞ!」
はなきよらの刃が舞う。閃く戦斧が更にオブリビオンを撫で斬りにしながら、真琴が前進した。
「そして――スシ帝国などとというふざけた世迷言、私が根こそぎ断ち切ろう!」
「グアアーッ!」
残閃!はなきよらがオブリビオンを断つ。残心。態勢を立て直しながら真琴は更に追撃の構えを取った!
「くそ……!」
「させません。――私の剣は、無慈悲だと言ったはずです」
そして、そこへ割り込むように魔剣の切っ先が再び走る!
「ぐ、おお……ッ!す、スシ……アタイたちの……!」
だが、それでも残る執念が彼らを支える。身体を半ば断ち切られたオブリビオンが、しかして最後の力を振り絞ってその指先をレーザー掘削機の引き金にかけた。
――しかし、その時であった。
「スシは美味しい。美味しいスシには良い食材が欠かせない――」
「……グア、ッ!?」
奔る銀光。鋼の天馬が星空を駆ける。――“Pegasus”。輝く機体の宇宙バイクを駆り、戦場に飛び込んだのはシグルーン・オールステット(f23940)である。
「だけどそれはアビ・スシのような方法で手に入れて良いものではなく、正当化するものじゃない。……その悪事、止めさせてもらうう」
ハンドルを切り返し、機体を巧みに操りながらシグルーンは更に走った。
「く、くそ……!くそッ!アタイたちの夢を……!」
新たに戦場へと突入したオブリビオンが掲げたレーザー掘削機が、赤く光を放つ。出力臨界点。破れかぶれに暴走する機体が満ち溢れるエネルギーを光として漏れ出した。
「どれだけ力を秘めていようとも――」
しかして、赤光を銀閃が切り裂く。
「正しく扱えぬ武具など恐れるに足りず」
【封印術式解除・魔剣第壱解放】。ジークハルトの魔剣が、暴走するレーザー掘削機を切り捨てたのだ。断ち切られた掘削機はそのまま爆発し、オブリビオンとともに爆炎の中へ溶けて消えた。
「まだだッ!また俺たちは終わってない!」
「――口は達者なようだけど」
続けて掘削機を構えたオブリビオンへと、再び刃の風が襲う。――真琴は戦斧を薙いだ。その身に宿した花の文様が紅く浮かび上がる。頬を彩る彼岸花の色が、宇宙の闇の中に咲いた。
「随分と動きが鈍いじゃないか。栄養、足りてるのかい?」
「ごフ――ッ!」
刃はオブリビオンを断つ。文字通り真っ二つにされたオブリビオンが断末魔の声を残す間もなく爆発して骸の海へと還った。
「おのれえええええッ!」
しかして未だ戦意を失わぬオブリビオンたちの執念はレーザー掘削機を抱えながら、尚もザ・ゴールデン・スシの船体を目指す!
「ダメだよ――それは許さない」
だが、その路を再び銀光が遮った。シグルーンの繰るPegasusの車体がオブリビオンへと叩きつけられ、その進路を力づくで止める!正面衝突!
「グオ……!」
質量と加速力が勝つ!圧倒的なマシンパワーが、激突したオブリビオンの骨格をへし折った!
「このザ・ゴールデン・スシはボクや仲間の馴染みの店。君たちの好きにはさせない」
――オブリビオンたちにも、譲れぬ願いがあるように、彼女にもこの船を守る理由があるのだ。シグルーンは更に機体のエンジン出力を上昇させ、マシンを発進する。ご、ッ!馬力を上げるPegasusのパワーが更にオブリビオンの身体を押し込む。全身を完全に粉砕されたオブリビオンはそのまま爆発して骸の海へと還る。炎を潜って、シグルーンのマシンが走った。
「つ……強い、強すぎる……!」
猟兵たちの戦力は、圧倒的であるといえた。
暴走を前提とした攻撃や故障した装備品を用いて戦う彼ら元宇宙開拓者たちでは、もとから勝負にすらなっていなかったのだ。
――だが、それに気づくにはあまりにも遅すぎた。
「ハラが決まっていないのなら、そもそもここに立つべきではなかったのです」
そして――その弱さを介錯するかのように、刃を携えてジークハルトが竦み上がるオブリビオンの眼前へと進み出る。
「怖いですか。恐ろしいですか。――では、怯えろ、竦め!そして何も出来ぬまま散れ!!」
ジークハルトは躊躇なく剣を振り下ろす。その双眸に宿る危険な光は手にした魔剣の影響が故か。決して正義の味方の言動とは言えぬ言葉と共に刃を振り抜き、ジークハルトは無慈悲にオブリビオンを斬った。
「ち、チクショウ――ちくしょう、ッ!」
咆哮。次々と仲間たちが屠られていく中で、元宇宙開拓者が叫んだ。レーザー掘削機に内蔵した環境維持装置を強引に過剰出力で駆動し、暴走させる。故障した機構が無秩序に暴力的な凍気を吐き散らし始めた!
「まわりの環境を変える装置……?いや、だけど明らかに故障している。制御できていないのが、むしろ厄介だな……」
氷点下100℃を更に下回る暴走環境調整機構の暴風にその身を晒しながらも、真琴はその視線の先に敵の姿を捉える。僅かな逡巡を置き、そして。
「……それなら、これだ!」
光が満ちた。
真琴は手にしたはなきよらを投げ放った。それと同時に戦斧の形がほどけ、赤く【曼殊沙華】の花びらへとかたちを変える。
「壱師の花の灼然く――彼岸の緋、咲き燃えろ!」
緋色の花吹雪が、怒涛めいて吹き荒れた。それは血流めいて宇宙を赤く染め上げながら、オブリビオンへと浴びせられる。――怯んだ。環境維持装置が花びらを吸い込み、そして内部機構に異常が生じたのだ。襲い来る凍気は和らぎ、それを操るオブリビオンもまた怯んだ。
――そして、そこに生まれた間隙へと。真琴は一気に前進する。
「……終わりだ!」
赤い花弁の中で、その掌を握り込む。花弁が集まり手の中に収束。そして、そこに再びはなきよらの刃を現出させた。
真琴は裂帛と共に振り抜く。
「グ……ア……!」
――そして、オブリビオンへと巨大な傷が刻み込まれた。
到底、耐えきれるダメージではない。傷を負ったオブリビオンが、呻くように悲鳴をあげながら爆ぜて消えた。
「……これで、撃退成功でしょうか」
ジークハルトが仰ぎ見れば、ザ・ゴールデン・スシへと襲い来る敵オブリビオンの数はもはやごくわずかであった。襲撃の頻度も格段に落ちている。
その一方で、シグルーンは視界の先に敵の姿を捉えながら、しかして油断なく身構える。Pegsusのエンジンが静かに鼓動した。
「これで終われば楽ですが……そうはいかないでしょうね」
ジークハルトはその向こうに浮かぶアビ・スシの艦体を。そして、その中に座しているであろう暗黒イタマエの姿を見通す。
「ですが、敵の戦力は間違いなく減少しつつあります。このまま、敵を叩きましょう」
「それは私も賛成だ。……このまま一気に叩き潰そう!」
そして、真琴が頷いた。
残存する敵オブリビオンの数はもはやわずかだ。趨勢はもはや決したといっても過言ではない。
だが、それは戦いの終わりを意味するものではない――猟兵たちの戦いは、これからのことこそが本番なのだ。
戦いは次のステップへと進みつつあった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
フィーナ・ステラガーデン
【PPP】
何よ寿司ネタを奪うつもり!?そんなに飢えてるなら食らわせてやるわ!!
っていうわけでUCでマグロ召還してパタパタと炎を沈下!
アイが作り出したカタパルトにセットオン!
マグロの尻尾にロープをきゅっきゅ!私の腰にもきゅっきゅ!(ロープはたゆんたゆん)
マグロにライドオン!準備完了よ!!狙いは敵陣!華麗に突っ込むわよ!
(決して華麗な結果になるとは限らない)
フィーナ!でるわ!!(発射!)
跨ったまま(もしくはロープに引きずられて)マグロで敵を轢き倒して
スピードが落ち着いてきたらマグロ欲しさに群がってきた敵に
【範囲攻撃・属性攻撃】で炎を出して一気に焼き払うわよ!
(アレンジアドリブ大歓迎!)
アイ・リスパー
【PPP】
「SUSHI……
それはSSWの守るべき食文化っ!
SUSHIの敵は許しませんっ!
行きましょう、フィーナさんっ!」
【超伝導リニアカタパルト】展開っ!
電脳空間からリニアレールを実体化させ、【マックスウェルの悪魔】により砲身を絶対零度に冷却します。
「フィーナさん、質量弾体をお願いしますっ!
……って、マ、マグロっ!?」
召喚された弾体はマグロ……
「ま、まあ、それならマグロを冷凍して……
冷凍マグロを弾体として射出しますっ!」
冷凍マグロが敵をなぎ倒していき……
「って、ロープがーっ!?」
フィーナさんのロープに絡まってしまい、一緒に敵陣の中央にっ!?
「ちょっ、私、接近戦できないんですけどっ!
ヘルプー!」
シャルロット・シフファート
PPP
では、アイとフィーナがマグロを射出しているのを見ながらこちらでもサポート。
「レーザーにはレーザーよね?やみくもに放射するのと私の光属性全ての魔導術式と科学技術が詰まったこのユーベルコードに勝てると思わない事ね!!」
そう言って先制攻撃として光速をも突破、更に特殊相対性理論を破壊して因果律を破壊。範囲破壊光線が到達する因果を破壊して防御する。
「お返しをご馳走するわ。私のおごりよ!!」
そう言って先程のレーザー採掘機のユーベルコードを改善した範囲指定型攻性光子砲で宇宙開拓者を薙ぎ払う。
「どうかしら、私の新しいユーベルコードは?遠慮なく褒めてもいいのよ?」
そうアイとフィーナに満悦の笑みを。
「SUSHI……それはSSWの守るべき食文化っ!SUSHIの敵は許しませんっ!」
アイ・リスパー(f07909)が戦場に出る。――残存する敵オブリビオンの数は当初に比べ大きく数を減らしていたが、しかして完全に無力化に至ったわけではない。度重なる交錯を経ながらも、敵オブリビオンの軍団は残る力を振り絞りザ・ゴールデン・スシを狙って迫りつつあった。
「行きましょう、フィーナさんっ!」
「オッケー!いくわよアイ、シャル!あいつら全員ぶっとばしてやりましょう!」
「ええ。私たちできっちり撃退してやりましょう。――いきます」
フィーナ・ステラガーデン(f03500)とシャルロット・シフファート(f23708)もまたアイに並び、襲い来るオブリビオンたちへと対峙する。
「なめるなよ、猟兵どもがッ!」
「アタイたちの帝国を、邪魔させるもんか!」
だが、最後に残ったオブリビオンの群れは抵抗の意志を折ることなく攻撃の態勢を見せる。レーザー掘削機が唸り、駆動音を鳴らした。
「何よ!大層なこと言って結局やってるのは強盗じゃない!……そんなに飢えてるなら食らわせてやるわ!!いくわよアイ、カタパルトよろしく!」
真っ向から啖呵を切るフィーナが敵に対峙し、力強く叫んだ。
「はい!カタパルト展開します!」
【超伝導リニアカタパルト】!アイが電脳空間上のストレージからデータを読み込み、戦域の中に実体化させる。
「エントロピー・コントロール……よし!フィーナさん、質量弾体をお願いしますっ!」
「任せなさい!さー行くわよ!こいつを喰らわせてやるわ!」
フィーナが続けてユーベルコードを励起する。展開されたリニアレール上に、質量弾体として相応の物体を召喚した。
「……こ、これは……!?」
「……マグロね」
「ええ、マグロよ!!」
そのユーベルコードは、マグロ霊を召喚する【回遊魚ノ怒リ】である。――本来であればこのユーベルコードによって構築されるマグロはマグロの霊、すなわち霊体のため質量をもたないが、今回は細かいことに目を瞑り質量をもつマグロとして描写しよう。
地球上で漁獲されたマグロの最大記録はおよそ3メートル。体重は約500キログラムにも達するのだという。フィーナはレール上にセットしたマグロと自分の身体をロープで縛り付け繋ぎ、そしてその上に騎乗した。その姿こそまさにマグロライダーである。
「なに……!マグロだと!?」
困惑する元宇宙開拓者たち!
「準備完了よ!!狙いは敵陣!華麗に突っ込むわよ!」
「わ、わかりました……!射出します!」
敵の困惑をよそにフィーナたちは発射準備を整える。3・2・1・GO!
「フィーナ、出るわ!」
そして、マグロが発進する!超伝導リニアカタパルトが質量弾体であるマグロを急加速させ、そして射出した!高速で撃ち放たれたマグロが虚空へと飛び出す!
「はい!発進どうぞ――」
「あっ」
しかしその瞬間である。マグロの加速にバランスを崩したフィーナがマグロ上からころりと落ちた。
「あっ」
あーあやっちゃった――シャルロットがその様子を目撃し、思わず声を漏らす。
「あれぇ!?」
一方アイは転げ落ちたフィーナにつながれていたロープに引っ掛かって絡まってしまう。
――その結果!
「ロープがーっ!?」
「あーーーーーっ!」
フィーナとアイは凄まじい速度で射出されたマグロ弾体にロープで引きずられ、絶叫マシンめいた速度で宇宙空間を駆け抜けることとなる!凄まじいスリル!しかしその一方でカタパルトによって射出された大質量は砲撃として十分な威力をもつ。フィーナとアイを引きずりながら飛び込んだマグロはオブリビオンの群れにまっすぐ向かい、そして激突!
「グアーッ即死!!」
「グアーッもらい事故!!」
マグロ事故!高速で飛来したマグロが叩き込まれ、更にその衝撃の余波で周囲の元宇宙開拓者たちを巻き込みながらオブリビオンが爆散する!
「く、クソ!猟兵どもめえッ!」
しかし、敵もただ黙って蹂躙されるばかりではない。その手に構えたレーザー掘削機に光を灯し、過剰出力によって暴走させた躯体から破壊エネルギーを放射する!一気に敵陣まで突っ込んでしまったマグロとフィーナとアイは敵のど真ん中だ。危ない!このままでは集中砲火を受けてしまう!
「ちょっ!囲まれてますよ!?私、接近戦できないんですけどっ!ヘルプー!」
「ここは私の出番ね。サポートに入るわ!」
しかし、ここでアイの救援要請にこたえるようにシャルロットが介入する。その身体が加速した。――正確に言えば、単純な加速ではなく光を繰る魔術と電脳技術を応用し、タキオン光子と同調することで光速に達する技術である。【無尽光全て司どりし戴冠聖光/アンリミテッド・シャイン・コンプリート】。
「な――」
通常の知覚力であれば、光が迸るようにしか見えず、その姿を捉えることは不可能だ。シャルロットは閃光めいて宇宙を駆け、刹那にも満たぬ速度で敵陣へと到達。そして光を放つ。
「お返しをご馳走するわ。私のおごりよ!!」
瞬きひとつほどの時間も必要ない。――オブリビオンたちの構えたレーザー掘削機が、次々に破壊され爆発。暴走したエネルギーの余波はオブリビオンたちを呑み込みながら燃え上がり、そして彼らを骸の海へと還してゆく。
「よし、チャンスね!このまま一気に……焼き払うわよ!」
そして、その手の中にフィーナが炎を灯した。燃え上がる炎は銀河めいて円を描くように広がり、そして周囲に展開した残存オブリビオンを呑み込みながら広がってゆく――!
「グアーッ全滅!!」
――こうして、アビ・スシの尖兵としてザ・ゴールデン・スシを襲撃せんとしていたオブリビオンの群れは全滅に至る。
「よし、やったわね!」
「ええ、完全勝利と言っていいわね。どうだったかしら、私の新しいユーベルコードは?遠慮なく褒めてもいいのよ?」
シャルロットは2人へと笑いかける。
「えっと……すごかったけど、はやすぎて見えなかったですね」
「あ、うん。何かしてるのはわかったんだけど、速すぎて」
光の速度での戦闘を目視するには、相応の備えをもった視野と知覚力でもってそれを捉えなくてはならないのである。シャルロットのユーベルコードは間違いなく大活躍であったが、活躍を見せつける、という点においては少々むずかしいものだったのである。
「なんですって!?」
「あ、でもすごく助かりましたよ!ありがとうございます!」
閑話休題。
――そして、ここでアビ・スシの船が動きを見せた。手駒であるオブリビオンを失ったがために、次の一手を指しにきたのである。
アビ・スシの船体前方中央部。正面ロックゲートが開放され、その奥から進み出る男の姿があった。――アビ・スシの代表である、暗黒イタマエである!
「なるほど、なるほど――猟兵。やはりあなた方が私の野望を阻みますか」
暗黒イタマエが不気味に笑い、そしてアビ・スシの甲板部から猟兵たちの姿を仰ぐ。
「では、こうなってしまえば仕方がありません。――私自らが手を打つと致しましょう」
プレッシャー――!スペースシップに立つ暗黒イタマエが、その全身から凄まじい力を放った。その存在圧に、周囲の空間が歪む!
かくして――戦いは、新たな局面を迎える!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第3章 ボス戦
『地獄宇宙人アビ星人』
|
POW : 宇宙地獄近接格闘術
単純で重い【宇宙マーシャルアーツ 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 宇宙地獄超次元殺法
【短距離テレポートを駆使した近接格闘術 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【超高速連続攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : 宇宙地獄プラズマ弾
【掌から100,000,000℃の光弾 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠砲撃怪獣・ガンドドン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アビ・スシの暗黒イタマエが身に纏ったダークイタマエ・カッポウコートを脱ぎ捨て、そして――自らの顔面を、剥いだ。
――ヒューマノイド型のスペースノイドに変装し、自らの正体を偽装していたのである!
そこに現れたその貌こそは――おお、見よ。おおよそ人類のそれとは何一つ共通する点を持たない異形の頭部。顔の中央で明滅する奇怪な発光器官。その姿は間違いなく、邪悪なる侵略宇宙人群の一種である地獄宇宙人、アビ星人である!
「あなた方が手を出さなければ、この私が新たな帝国の支配者として君臨できたというのに」
アビ星人は頭部の発光器官を明滅させながら猟兵たちへと対峙する。
「ですが、ここであなた方を排除してしまえばなにも問題はありません――手駒どもはまた拾えばいい。私の暗黒イタマエとしての腕前もこの世界の人間どもの魂を握るに不足なく、計画は完璧です……。そう、私の野望を阻むあなた方さえいなければね」
そして、アビ星人が拳を握った。
――暗黒イタマエでもあるアビ星人であったが、奴はスシを握るその手を血に染めることをまるでいとわない。アビ星人の握るスシは、血塗られた呪わしき暗黒スシなのだ。
そのような邪悪な野望を、スシを穢す邪悪な願いを、捨て置くわけにはいかない。
かくして、アビ・スシとの最後の戦いは幕を開ける。
月守・咲凛
あなたのイタマエとしてのワザマエ、試させてもらうのです!
ソラノナミダから宇宙魚を取り出して刻んでお皿に盛り付ければスシ(刺身です)の完成なのです。
さあ!あなたもイタマエなら料理で勝負なのです!
魚を切っただけなのに何故か黒くぬらぬらした固形物と化した物体を突き付けます。(食べると宇宙の暗闇から誰かが覗いている感覚がします。味は醤油がない刺身)
相手が食べるようならこちらも味勝負で戦うので相手の料理も食べます。(少食なのでスシ一貫くらい)
美味しければ自分の負けを認めますけど、先に食べたイタマエさんのスシとも比較して判定を下します。
最終的にそれはそれとして敵はチェーンソーで無慈悲にバラバラにします。
「あなたのイタマエとしてのワザマエ、試させてもらうのです!」
月守・咲凛(f06652)はアビ・スシの甲板へと降り立ち、アビ星人へと対峙した。
「ほう。……なるほど、私に料理勝負を挑みたいと、そういうことですね?いいでしょう」
アビ星人はぱちりと指を鳴らす。
こんなこともあろうかとアビ星人が艦艇に仕込んでいたギミックだ。甲板上に調理台が2つ。そして審査員席と観客席が迫り上がる。おお、見よ。それこそはきたる暗黒スシ帝国の支配力高揚のために用意されていたスシ・コロッセオの舞台なのである。
「はい!では、食材はこの魚なのです!」
「ほう、コスモサーモンですか」
咲凛は髪に付属する結晶体から宇宙魚類であるコスモサーモンを現出させた。銀河を巡る宇宙回遊魚である。咲凛の髪に付属する結晶体ソラノナミダがどのような機能と役割を果たし何故そこから宇宙魚を出せるのかプレイングとアイテム説明文から読み取ることはできなかったが、ここはアビ星人がまあ多分データストレージ的な擬似空間が内部に存在しておりそこから出したのだろうと理屈付け、大人の余裕を見せながらスルーして現れた食材を受け取る。
「よろしい、ではテーマはス」
「できました!!!」
ドン!!!咲凛はコスモサーモンを包丁で切り刻み皿に乗せると、完成品として提出した。なんら特別な調理法を用いたわけでもないはずのコスモサーモン刺は、皿の上で黒くぬらぬらとした固形物へと形を変えている。これこそは【クック・オブ・デス】。もはやユーベルコードと化した咲凛の調理技術である。
「さあ!味勝負といきましょう!まずは私の料理を」
「ではまず先にそちらが味見をしてください」
アビ星人は嗤った。
「料理とは自らの身体に入れるもの。それは即ち毒や薬を混ぜ込んで暗殺するにも適している。……そうでしょう?」
「む!そんなことはしてませんよ!」
「では、まずご自身で召し上がってそれを証明してください。そうしたらこちらも応じましょう」
咲凛の反論をアビ星人は突っぱねる。
「なるほど一理あるのです……!では、そのようにしましょう」
咲凛は頷いた。コスモチョップスティックを手に取り、自らの手で尽くし出した暗黒物質を掴み、そして口に運ぶ。
「ヴッ」
その瞬間、咲凛の意識は飛んだ。
身体を離れた精神は銀河の暗黒領域へとつながり、そしてその深淵に座す(人類の身体と精神では理解不能かつ表音・表記不能な異形の神性の個体名を指す言葉)がこちらを覗いていることを理解する。ひとが深淵を覗くとき、そこから覗き返している者こそこの(表記不可能)なのだ。
「……はっ」
体感時間ではおよそ1時間。現実時間にして10秒ほど。深淵を垣間見た咲凛の意識がカムバックする。
「オイシカッタデスヨ」
「いや絶対嘘ですよね?」
アビ星人は訝しんだ。
「……しかし、約束は約束。私もアビ星のキム・ラタークヤと呼ばれた男。二言なくその勝負を受けましょう」
だが、勝負を受けると約束した以上、アビ星人は約束を果たす。卑怯もラッキョウもアビ星人の好物として有名だが、約束を守るのもまたアビ星人なのだ。なお、キム・ラタークヤとはスペースシップワールドでも男前で顔がいいことで有名な宇宙俳優である。話を戻そう。
「なるほど」
そしてアビ星人はコスモチョップスティックを持ち、暗黒物質を口に運んだ。
「ヴッ」
その瞬間、アビ星人の意識は飛んだ。
身体を離れた精神は銀河の暗黒領域へとつながり、そしてその深淵に座す(人類の身体と精神では理解不能かつ表音・表記不能な異形の神性の個体名を指す言葉)がコンニチワして手を振っている姿を見る。
現実時間にして10秒後、正気度チェックを回避したアビ星人の意識が戻る。
「はっきり言って冒涜ですね。こんなものにされるために捌かれたコスモサーモンが哀れでなりません」
辛辣!アビ星人は咲凛の暗黒物資に暗黒イタマエとして評価を下しながらコスモ米を炊いたスメシを握り、見事な包丁の冴えで捌いたコスモサーモンを乗せる。
「ヘイお待ち。……はい。当然こちらも味見をしましょう。ははは。我ながらいい腕です」
そしてアビ星人のサーモン・スシが提供される。抜け目なく味見することで毒物などの仕込みがないことをアピール!
「む……これはたしかに……」
そして咲凛はコスモサーモンスシを口にした。
アビ星人の暗黒イタマエとしての腕は確かなものである。事実として、これは美味い。
「ですが、ゲンタウさんのおスシと比べると――」
だが、あたたかみが違う。先刻咲凛が口にしたスシの方が美味しかった、と彼女は思った。
「何故他人の名前が出てくるのです?」
しかし、アビ星人は異を唱える!
「料理勝負を持ちかけたのはそちら。勝負に提供した料理はあなたがつくったもの。すなわちこの勝負は私とあなたのサシの戦いでしょう。そこに他人のスシの味を差し挟む余地はありません」
「なるほど……たしかにそれはそうなのです」
咲凛は静かに瞑目する。――完敗だ。料理対決、という舞台においては、彼女潔く負けを認める。
「では、私の勝――」
――そして。
「それはそれとしてバラバラにしますけど」
無慈悲!近接戦闘ユニット・ムラサメが構築するビーム刃が唸りをあげた!急襲!勝ち誇るアビ星人を咲凛が襲う――しかし!
「ははは!」
Blink!アビ星人の姿は咲凛の正面からかき消えた。短距離テレポート能力を用いた緊急回避だ!
「勝負に負けたら暴力に移行する……くくく。我々侵略宇宙人の常套手段でしょう。予期していないとでも思いましたか!」
「む……!」
反撃!咲凛の背後に再出現していたアビ星人は鋭い脚技で咲凛へと逆襲!咲凛は咄嗟に展開したアジサイユニットを盾としながら逃れる!
「やはり最後は暴力で決着をつけるのが我々侵略宇宙人の流儀というもの。さあ、仕切り直しましょう」
「わかりました、こうなれば正面から勝負なのですよ!」
咲凛は一度態勢を立て直し、そして再びアビ星人に対峙した。
かくして、暗黒イタマエ――アビ星人との戦いは始まったのである!
苦戦
🔵🔴🔴
ユーノ・ディエール
【おのれアビ星人】
ハードラックと踊らせてあげますよ……地獄宇宙人!
ブォンブォンバァンガガガキィィィィーン
エンジンを高鳴らせ、夜姫さんを背に突撃スシハート!
クルセイダーに騎乗し念動力でフィールドを張りつつ切り込みます!
夜姫さんの攻撃に合わせて連装ミサイル、誘導レーザーを一斉射
あの時とは別個体でしょうが、あなたの生まれを呪いなさい!
そして本命……行きますよデスワーム!
虚無の力を見せ付け、更に!
最接近した所で二振りの大剣を念動操作し射出
奇襲を敢行しつつデトネイターで風穴を空けてやりましょう!
夜姫さん今です! 私達は! アビ星人を! 許さない!
ペンギンの思いを乗せて、銀河に正しきスシを取り戻す為に!!
響・夜姫
【おのれアビ星人】
ユーノ・ディエール(f06261)と行動。
お寿司食べ過ぎて出遅れた体で参戦、ユーノの宇宙バイクにタンデム。
さらに宇宙ぺんぎんさんも便乗。
「ぺんぎんさん、ごーごー」
※ぺんぎんが行動すると不条理かつ理不尽に敵にダメージが入るUC
今回はビット兵器・サバーニャの制御をぺんぎんさんが担当。
おのれアビ星人とばかりに【誘導弾/2回攻撃/乱れ撃ち/制圧射撃/鎧砕き】と破壊系技能フル活用。弾幕が容赦ない。
私はユーノのクルセイダーを拠点にして【拠点防御/オーラ防御/武器受け/援護射撃】で防御メイン。裏方に回る。
「アビ星人は、許さない。ぺんぎんさん、最大火力やっちゃえ」
スシを美味しく頂くためにー。
ブォンブォンバァンガガガキィィィィーン!!ディアブロクルセイダーのエンジン音がうなりを上げ、アビ・スシ艦の上を高速で駆け抜ける!
「ハードラックと踊らせてあげますよ……地獄宇宙人!」
「けふー」
意気軒高!マシンを加速させるのはユーノ・ディエール(f06261)と響・夜姫(f11389)である!夜姫はさきほどまで堪能していたスシの味わいを反芻して息を吐き出すと、それから視線をあらためて前へと向けなおした。
『なるほど――敵はアビ星人か』
更にディアブロクルセイダーにタンデムするのは夜姫に付き従う宇宙ペンギンだ。彼らは甲板上を走り、アビ星人へと追いすがる。
「ほう」
――正面衝突!念動フィールドを展開したディアブロクルセイダーの機体が、アビ星人へと正面から叩きつけられる。しかしアビ星人はその衝突を鋭く重たい拳打で止めた。アビ星人の骨格とディアブロクルセイダーのフレームが軋む。互いに痛み分けだ!
「……これはこれは珍しいものを見ました。アイスバーグレンジャーの裏切り者とは」
『なんとでも言うがいい。今の私は――もはや銀河帝国の者ではない』
「世迷言を」
宇宙ペンギンと視線を交錯させたアビ星人は素早く飛びのきながら再び迎撃姿勢をとった。
「ぺんぎんさん、ごーごー」
夜姫が指先を向けると、それに従うように宇宙ペンギンが戦いへと意識を向ける。同時に夜姫の背面から十字架状の砲門が展開した。独立機動遠隔浮遊砲サバーニャ。言ってしまえばビット兵器である。
『承知――アイ・ハブ・コントロール!』
「はは。尊厳と魂を売り渡し下劣な家畜に成り下がりましたか。なんと醜い姿でしょう」
『既に潰えた野望に縋り続ける貴様の言えたことか!情けない!』
宇宙ペンギンは夜姫から譲渡されたビット兵器の操作権限を巧みに繰る。3対6門の火砲がフォーメーションを組み換えながら光の雨を降らすように弾幕を形作った。
「こちらも仕掛けます……いきますよ、アビ星人!あの時とは別個体でしょうが、あなたには恨みがありますからね!」
弾幕に重ねるようにユーノがコンソールを叩いた。ディアブロクルセイダーに搭載した火器を一斉に展開し、連装ミサイルとレーザーを斉射する。凄まじい火力がアビ星人を襲う!
「ははは――恨みなどいくら買ったかいちいち覚えていませんね!」
しかし、アビ星人は砲火の中を掻い潜る。決して無傷ではない。しかし、アビ星人は走る火線の中から薄い個所を見切り、損傷を抑えながら前進を始めていたのだ。
「こっち、くる……」
夜姫はホルスターから銃を抜き放つ。ジャンヌ・ダルク/ジャンヌ・マガツ。迫りくるアビ星人に向けて引き金を引いた。
「そのような玩具で」
しかしアビ星人は巧みな体捌きで身体を逸らし、銃弾の軌道を躱す。
「ならば、こちらではどうですか!」
「ぐもももも」
――だがその時である!ディアブロクルセイダーの影に潜んでいた異形の生物が飛び出し、アビ星人を襲ったのだ!
「ぬう――!宇宙モンゴリアンデスワーム!こんなものまで飼い慣らしていたのですか!」
虚無モンゴリアンデスワームの襲撃!アビ星人は咄嗟に逃れる。宇宙モンゴリアンデスワームの凶暴性と危険性はスペースシップワールドでも有名だ。一部の宙域では侵略的外来種に指定され、入域を禁止されているほどである。アビ星人は鋭い蹴り足で虚無モンゴリアンデスワームを牽制しながら間合いを取った。
『これがかつての我々銀河帝国の持たなかった猟兵たちの力だ、アビ星人……!立場も生まれも種族さえも違うもの同士が、支配ではなく強力しあって戦っている!そう、異なる具材が混然一体となって完成する複雑な味わいのチラシ・ズシのように!』
その隙へと宇宙ペンギンが砲撃を叩き込む!直撃!アビ星人が呻きながら僅かに後退した。
「今です!」
――更なる追撃が走る!ユーノは念動力を収束させ、インペリアルデトネイターを射出した。まっすぐにアビ星人の躯体を狙う!
「ぬおお、ッ!」
打突音!――アビ星人が素早く反応し、接近するデトネイターを弾いたのだ。
「まだです!」
「ぬ……ぅッ!」
しかし、二段構え!ユーノが射出したインペリアルデトネイターはふた振りであったのだ。2本目の刃が、アビ星人の身体を貫く!
「夜姫さん今です!火力を集中させましょう!」
「おーけー……アビ星人は、許さない。ぺんぎんさん、最大火力やっちゃえ」
『アイ・マム!』
「むうう……ッ!」
貫かれた痛みに呻くアビ星人へと向けて、猟兵たちは砲口を向ける!
「私達は!アビ星人を!許さない――私たちの銀河に、正しきスシを取り戻す為に!!」
そして、膨大な光がアビ星人を圧し潰した――!
『……やったか!?』
――そして、光が晴れる時。
「は、はは。はははははは!面白い。なかなか楽しませてくれるではありませんか!」
アビ星人は、健在であった。
間違いなく、ダメージは刻まれている。デトネイターが貫いた傷跡も残ったままだ。砲火を浴びた躯体は決して無傷とは言えまい。
「しかし、この程度で私に勝てると思ったのであれば――甘い、と言わざるを得ません」
アビ星人は甲板に立ったまま、猟兵たちへと視線を返して嗤った。
『むう……!夜姫、このアビ星人はかなりの実力者だ。油断はできんぞ!』
「……そーなの?」
『ああ。恐らくはアビ星人の中でも特に強力な個体……奴は20件以上のプレイングに耐えるほどのパワーを持っている!』
「つまり、今この章に参加している猟兵の攻撃のほとんどを受けきるつもりということですか!?」
あまりにも凄まじい存在強度だ。目の前に対峙するアビ星人の圧倒的なパワーに、ユーノは歯噛みした。
「ははは――。その通りです。今この宙域に集まった猟兵たち……あなたがたのユーベルコードをすべて受け切るまで私は耐え切り、そして勝つでしょう」
「そうはさせません……!いきますよ、夜姫さん!ペンギンさん!そして虚無モンゴリアンデスワーム!私達の手で、アビ星人を倒しましょう!」
「おっけー」
ユーノと夜姫は再びバイクの出力を上昇させ、戦闘機動を継続する。
――かくして、戦いは続くのである!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
チル・スケイル
…(あれがスペースシップワールドのモンスター…いや、異種族か)
…(あれにとってスシは道具に過ぎないらしい。スシを侮辱する不埒者め)
…(速やかに始末したいが、能力の相性が悪い)
…(幸い、こちらの戦力は多い。油断はできないが、勝算はある)
…(瞬間移動からの格闘。強力だが、一度に全員を攻撃できるとは思えない)
…(狙撃するため、慌てず騒がずそれとなく、あの敵と距離をとる)
…(敵が別の猟兵をターゲットにしている隙を狙い、氷魔法による狙撃を行いインタラプトする)
…(狙うのは手首。凍結させ粉砕すれば格闘技も光弾もパワーダウンが見込める)
…(私が狙われた際はあえて吹き飛ばされ、油断させながら距離を取る)
ジークハルト・グリムガルデ
強大な敵です……しかし、高純度のエネルギーフードである寿司を食べた事、そして先の戦いで肉体にスシのエネルギーが馴染んだ事で私の力は全盛期に近い状態(Lv10からLv49)です。
ならば、この身から放たれる一刀はまさしく、正しきスシの力にほかならぬでしょう。
不のスシパワーを正のスシパワーで撃ち滅ぼす時です。
先の戦いで呼び出した魔剣を一本に統合させ、Lv50の魔剣にします。
そして、全エネルギーを魔剣に注ぎ込み。宇宙地獄近接格闘術にカウンター……というよりは相殺したうえで、さらに火力で押しつぶすつもりで《真名解放・我が名は全てを焼き尽くす終末の業火》を叩き込みます。
全てを焼き滅ぼす!!
メンカル・プルモーサ
…暗黒イタマエ、アビ星人…その野望さえなければ超一流のイタマエとして平和にスシを握り人々を笑顔にすることも出来たろうに…
…そのワザマエは惜しいけれどもアビ・スシに手を染め他のスシ職人を排除しようというのであれば…相応の対応を取らないとね…
…さて、おそらくはアビス鉄火巻きから着想を得たであろうプラズマ弾…その熱量こそ脅威ではあるが…
…【尽きる事なき暴食の大火】で対応できる…その熱もプラズマも…
…存在を喰らい、炎すら喰らうこの白い炎で喰らい尽くしてくれる…
…勢いを増した白い炎を分離…操る事でアビス星人の退路を断ちつつ包囲…叩き付けるよ…
…そのニギリに技・体はあれど心が足らなかった事が敗因かな…
「さあ、次はどなたが相手ですか?」
「であれば、私が行きましょう!」
ジークハルト・グリムガルデ(f21399)は虚空を駆け抜けてアビ星人へと一気に間合いを詰めた。振り抜く剣閃!魔剣の刃がアビ星人へと振り抜かれる。
「ははは!」
しかし、アビ星人は鋭く身を躱しながら裏拳で剣の腹を叩き、その太刀筋を逸らす。即座にダッキング。身を沈めながら間合いを詰めてのカウンターパンチ!ジークハルトは側面に身体を反らしてこれを回避。そのまま側転の要領で間合いを離す。
「なんて鋭く重い拳……!これがスペースシップワールドの闘技ですか」
「いいえ、宇宙マーシャルアーツの真骨頂はここからですよ――逃がしません!」
Blink!アビ星人の姿が特殊映像効果めいて?き消える――その次の刹那、ジークハルトの背後にアビ星人が現出した。ジークハルトは殺気を気取ると反転しながら剣を振り抜く。再び拳と刃が交錯した。
(あれがスペースシップワールドのモンスター……いや、異種族か)
チル・スケイル(f27327)は敵の強さに怖れすらおぼえた。
(速やかに始末したいが、能力の相性が悪い)
彼女の故郷であるアックスアンドウィザーズ世界ではなかなかお目にかかれないタイプの怪物だ。単純な戦闘能力において、あのオブリビオンは屈指の強さだろう。洗練された格闘技術。宇宙人という種族がもつ人類以上の膂力や瞬発力というフィジカルアドバンテージ。更に短距離空間転移能力を噛み合わせた変幻自在の攻め手。スペースシップワールドでも――否、他の世界のオブリビオンに比較してもその強さは上位にくるに違いない。
「……」
だが、その実力を推し量ってなお、チルは必ずかの侵略宇宙人を撃退せねばなるまいと決意する。
(あれにとってスシは道具に過ぎないらしい。スシを侮辱する不埒者め)
そう。この世界の重要な食文化であるスシを、奴は穢しているのだ。ゲンタウのスシを通して文化の素晴らしさを学んだチルは、それを許しはしない。
「……暗黒イタマエ、アビ星人……その野望さえなければ超一流のイタマエとして平和にスシを握り人々を笑顔にすることも出来たろうに……」
一方、メンカル・プルモーサ(f08301)はアビ星人の悪辣さを惜しむ。実際、暗黒イタマエとして腕を振るうアビ星人はたしかな技術に支えられた一流のワザマエを持ち合わせているだろう。それを善きことに用いられてさえいれば。
「……」
その言葉にチルは頷きながら、甲板上でぶつかり合うジークハルトとアビ星人の戦いを見下ろした。
「……そのワザマエは惜しいけれども……悪事に手を染め、他のスシ職人を排除しようというのであれば……相応の対応を取らないとね……」
「……」
そして頷きあうチルとメンカルは、それぞれの得物を携えながら散開し戦いへと臨む。
「ははは!」
「くッ!」
ぎぃんッ!幾度目かの交錯!拳と剣がぶつかり合い、甲高く音を鳴らす!
「強大な敵です……しかし!」
「む――ッ!」
だが、ジークハルトがここで押し切った!パワー負けしたアビ星人は後方へと飛び退りながら態勢を整える。
「どこからこんな力が――!」
「……高純度のエネルギーフードである寿司を食べた事、そして先の戦いで肉体にスシのエネルギーが馴染んだ事で私の力は全盛期に近い状態です」
「なるほど、スシを摂取していましたか!」
アビ星人は再びアビ・スシ艦の甲板を蹴立てた。再び間合いを詰め、ジークハルトへと拳を叩き入れる。
「はあッ!」
「やッ!」
だが、ジークハルトはその拳打に素早く反応し剣でもって対抗する。衝撃と反動で互いに飛びのきながら再び開く間合い。
「この私と互角に戦うとは――」
「アビ星人。あなたの用いるスシの力が血に染まった邪悪な負のスシの力であるならば、この身から放たれる一刀はまさしく、正しきスシの力にほかならぬでしょう」
「戯言を!」
アビ星人は再び跳んだ――Blink!しかしてジークハルトの眼前でその姿は再び消失する!
「私の技がそんなものに負けるはずが――」
死角ッ!ジークハルトの背後から再び現出するアビ星人!その拳がジークハルトを捉えんと放たれた!
(――ああ。そこに来ると思っていた)
だが、そこに氷の弾丸が飛び込む!
「――なにッ!?」
命中!それは距離を置いた位置から狙撃のタイミングを狙い続けていたチルの【氷術・狙/アイススナイプ】である。アビ星人の短距離テレポートは、高い確率で対峙する相手の背面などの死角に出てくることを彼女は看破していたのだ。その狙いが功を奏し、彼女の魔法弾はアビ星人の腕へと命中。術式がそこで広がり、凍結させる!
「狙撃とは、味な真似を!」
アビ星人は一旦後方へと大きくバックステップし、ジークハルトから距離を取った。そこから上方に視線を巡らせ、こちらを狙う猟兵たちの姿を探す――見つけた!
「ならば、そちらも灼き尽くして差し上げましょう!」
腕を掲げるアビ星人は、その手の中にエネルギーを収束させる。――渦巻く熱量。弾けるプラズマ!高密度の熱が膨れ上がり、極小の恒星となって戦場に現出する!
「……そう。お前は、そうする」
白熱するプラズマ火球を見下ろしながら、メンカルは静かに呟いた。
「……プラネットコアロールから着想を得たであろうプラズマ弾……その熱量こそ脅威ではあるが」
プラネットコアロールとは、スペースシップワールドにおけるスシの一種である。中心にマグロ種の魚肉を巻き込み、スメシとノリでロールした一品だ。断面を見ると央の赤身がまるで燃え立つように見えるため、かつて存在した惑星の内核が超高温となっている様子になぞらえてそのように呼ばれている。別の宇宙の文化圏においては「テッカマキ」の名で呼ばれるロール・スシだ。暗黒イタマエであるアビ星人はそこに着想を得てかのユーベルコードを編み出したのだろう。メンカルはそのように類推していた。
「……私なら、対応できる。その熱も……プラズマも……」
「ならば、やってみせるがいいッ!」
ご、ッ!アビ星人のプラズマ光弾が唸りをあげて飛んだ。超高温の火球がメンカルの浮かぶ空間めがけて投げ放たれる!
だが、メンカルはつとめて冷静にその炎へと対峙した。そして術式を繰る。
「……存在を喰らい、炎すら喰らうこの白い炎……」
【尽きる事なき暴食の大火/グラトニー・フレイム】。それはいかなる存在をも燃料として燃え上がる白き炎である。メンカルは白炎を放ち、そしてアビ星人のプラズマ火球へとぶつけた。
「なに……!」
「……喰らい尽くしてくれる……」
白炎がアビ星人のプラズマを覆いつくした。侵食するように広がる白色はプラズマ火球を完全に呑み込み、そして勢いを増しながら燃え上がる。
「……これで」
そしてメンカルは指先を向けた。白炎はほどけるように広がりながら、アビ星人を包囲するように落ちる。
「ヌウウッ!」
アビ星人はその炎を振り払う。しかし、決して無視できないダメージだ。燃ゆる白炎は確実にアビ星人の身体を蝕んでいた。
「……そのニギリに技・体はあれど……心が足らなかった事が敗因かな……」
「決着もつかぬうちになにを勝ち誇りますかッ!」
「であれば、ここでつけましょう!」
「……むう!」
ざ、ッ!燃え上がるアビ星人へと向けて、剣が走った!ジークハルトである。その両手で握りしめた魔剣はその力を開放し、そして膨大な熱量を蓄えながら白熱する!【真名解放・我が名は全てを焼き尽くす終末の業火/ラグナロク・レーヴァテイン】!
「ですがその直線的ッ!躱せぬ剣では――」
しかしてアビ星人は鋭く身を躱し、ジークハルトの剣筋から逃れるべくステップを刻む!
「――」
「……ぬうッ!!」
しかし、その進路で術式が爆ぜた。――チルが再び狙撃したのである。その弾丸に気を逸らされたアビ星人に、致命的な隙が生じた!
「負のスシパワーを――正のスシパワーで撃ち滅ぼす時です」
「ご、――ッ!」
熱を纏う魔剣が、アビ星人を薙いだ。重く鋭く、そして熱い一撃が、アビ星人の躯体に叩き込まれる!
「……ぐあ、ッ!!」
果たして、燃え上がるアビ星人は刃に薙ぎ払われアビ・スシ艦の甲板上を転がった。
――しかし!
「な、るほど……これは、私の落ち度……!どうやら、あなた方を過小評価していたようです」
アビ星人はまとわりつく炎を払いのけながら立ち上がり、態勢を整える。
間違いなく、ダメージは通っている。しかし、致命傷までは押し切れなかったのだ。アビ星人はその全身に再び力を行きわたらせ、そして猟兵たちへと対峙する。
「出し惜しみはできませんね――いいでしょう。私も本気で行かせていただきます」
――アビ星人との戦いは、続く!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ジル・クリスティ
【恋華荘】
ワサビ巻きは劇物だよ…なんでわからないの
…理緒には呆れのジト目を飛ばすけれども、それはこの際置いといて
さて、出てきたね、暗黒板前!
鎧装の出力全開で高速戦闘行くよ!
「理緒、支援お願い!」
私はロングレンジライフルで撃ちながら高速で飛び回って隙を狙おう
(私から見て)大巨人だろうとも、そんな大きな手足が、私のような小さな的にそうそう当たるモノか!
「私を握れるものなら、握ってみなよ!」
宇宙マーシャルアーツの攻撃を高速飛行ですりぬけつつ、懐に飛び込んでライフル撃ちまくる
そして、理緒の支援で奴の動きが止まった一瞬を狙って
「零距離ハイパーメガバスター!くらええええ!!」
至近距離から撃ち抜いてやるっ!
菫宮・理緒
【恋華荘】
わさび巻きって、そんなに劇物かなぁ……解せない。
美味しいのに。
と、劇物認定されたわさび巻きを囓ってテンションをあげます。
暗黒板前さん、ねー。
『この世界の人間どもの魂を握る』んだっけ?
え、まさかおスシだけに『握る』とか言っちゃってる?
これってひょっとして板前ギャグとか?
ま、ギャグでも本気でもいいけど、ね
食はみんなのもの。幸せに食べないと!
相手の攻撃には【虚実置換】で対応するね。
近距離テレポートに対して、
自分をドラッグアンドドロップして瞬間移動。
「こんな使い方も、あるんだよー?」
相手を映像内に収めたら、映像をフリーズさせて動きを止めるね。
そこをジルさんに全力で攻撃してもらいたいな。
「わさび巻きって、そんなに劇物かなぁ……」
解せない。菫宮・理緒(f06437)はわさび巻きをかじりながらアビ・スシ艦の甲板へと降り立った。
「ワサビ巻きは劇物だよ……なんでわからないの」
ジル・クリスティ(f26740)は呆れた顔で理緒を見る。
「おやおや。敵であるこの私を前にして、随分と余裕をお持ちのようではありませんか?」
その眼前に立つアビ星人は即座に仕掛けてきた。だ、ッ!甲板の床を蹴立て、爆発的な加速力で飛び込む!鋭い拳圧!ジルの髪を掠める!
「速い……!だけど!」
回避機動が間に合った。フェアリー特有のフィギュアサイズの身体を活かし、ジルは有効打を避ける。
「私を握れるものなら、握ってみなよ!」
しかし、アビ星人の卓越した宇宙マーシャルアーツの腕前は鋭く正確だ。次の一撃は危うく羽の先端を掠める寸前であった。甘く見ては手痛い一撃をもらうだろう。余裕ぶった台詞を吐きながら、ジルは背中に冷たいものを感じる。敵の攻撃が当たりにくいサイズ差というのは、逆を言えば一度直撃をもらっただけで致命傷に至るリスクも抱えているのだ。
「ではこちらはいかがです!」
息つく間もなくアビ星人は反転。流れるような体捌きで続けて理緒を追う。Blink!アビ星人の姿が消失し、再び理緒の側面へ!
「いかがと言われても、ッ!」
理緒は後ろに倒れこむように身体を反らしてアビ星人の拳打を躱しながら――その身体が消失する!
「ほう!」
「そう簡単には捕まらないよ!」
【虚実置換/キョジツチカン】!理緒の繰る電脳魔術のひとつである。デバイス内に映し出した画像を用いて現実へと影響を及ぼす空間制御術式だ。理緒はこれを応用し、自分自身の身体をドラッグアンドドロップ。カットアンドペーストで擬似的な空間転移を行ったのである!
「よろしい。ではその自信を砕いて差し上げましょう!」
しかしアビ星人は更に理緒を追って姿を消す!Blink!追い縋るアビ星人!Ctrl-V!再び消える理緒!互いに現れては消えを繰り返すチェイスタグがここに展開される!
「それにしても、暗黒板前さん、ね――『この世界の人間どもの魂を握る』んだっけ?」
「ええ、私のスシは間違いなく人心を掌握するでしょう」
「――はっ!」
Ctrl-V!理緒は巧みな転移でアビ星人の追撃を逃れながら、鼻で笑う。
「まさかおスシだけに『握る』とか言っちゃってる?これってひょっとして板前ギャグとか?」
「――おや!洒落のつもりはありませんでしたが、ねッ!」
「つ、ッ!」
Blink!追い縋るアビ星人の拳がここで理緒の頬を掠めた。――掠めただけで頬に傷が開いた。余りにも強力な拳圧だ。
「捉えましたよ」
アビ星人は更に直撃を見舞うべく、追撃の構えを取った!
「それは、こっちの台詞だよッ!」
閃光!アビ星人の胸元で光が弾ける!理緒とのチェイスに意識を割かれ、注意力を削られたアビ星人の死角から入り込んだジルが仕掛けたのである!
「ようやく捕まえた……!もう離さないからね!」
ジルが手の中でロングレンジライフルを構え直した。理緒との追いかけっこに意識を向けていたその瞬間は、付け入る隙となっていたのだ。
「ははは!この私をそう易々と捉えられるものですか!」
「いーや……捕まえるよ!理緒、チャンス今!」
「おっけー!」
Flash!続けざまに理緒のデバイスが光り、シャッター音が鳴った!そのデバイス内、フレームが捉えたのはまさしくアビ星人の姿である!
「……なに!?」
「こっちが本当の使い方なんだよー!」
理緒はデバイスへとアビ星人を捉えた上で、アプリケーションをフリーズさせた。Freeze!それは現実に存在するアビ星人の身体を金縛りめいて固定するものとして発現する!
「電脳魔術……かッ!」
「そういうことッ!……いくよ、バレル展開!」
そして、これが最大の好機だ。ジルはアビ星人の胸元へと飛び込み、至近距離からライフルの先端を向ける。エネルギー収束。砲身が加熱し光を放つ!
「最終セーフティー解除……くらえええええッ!」
【Hyper Mega Buster】!砲身が焼け付くほどの最大出力!零距離から叩きつける荷電粒子の閃光がアビ星人を灼いた!
「ムウウウウウウウ……ッ!!」
そして、炸裂!電光が弾けてフォトン光が爆ぜる。そして、その光の中に――
「――なるほど、油断のならぬ相手です」
――アビ星人は、健在であった。
「たしかに強烈な一撃でした。……しかし、私を滅ぼし切るには少々出力が足りなかったようですね?」
アビ星人は嗤う。
だが、決して無傷ではない。間違いなく、効いている。――ただ、敵のオブリビオンとしての存在力が強大であったのだ。そのため、確実なダメージを重ねることこそできたものの、致命傷には至っていないのである。
「私はまだ敗北を認めていませんよ。……さあ、かかっておいでなさい」
そして、アビ星人は再び戦いの構えを見せる。
アビ星人との決戦は、まだ続くのである!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
この方が暗黒イタマエですかぁ。
確かに、独特の存在感が?
ここは【耀衣舞】を使いましょう。
『光速の突撃』→『そのまま轢く形で離脱』→『FRS&FSSの[砲撃]』の流れを繰返し、相手の間合いを外しつつ叩きますねぇ。
相手がカウンターを狙う様なら、暫くは[砲撃]優先で。
ただ正直なところ、アビ・スシの味や技術は気になりますぅ。
交戦中に場所を確認し『光速の突撃』で板場に突入、道具や材料を奪って来ましょうかぁ。
職人としての誇りが有るなら、此方を優先的に狙って来るでしょう。
その場合は囮として防御優先で良いですし、そうでないならその程度、ということで?
出来れば、帰りにオミヤが欲しいですぅ。
聖護院・カプラ
アビ・スシとはアビ星人のアビだったとは……迂闊。
銀河帝国攻略戦で相見えましたが、直接戦闘力はフォーミュラを除くオブリビオンの中では上位にあります。
更にこの個体は暗黒イタマエとしての技能を身に付けている。
――ですが、先程の宇宙開拓者に対する決まり手を覚えていますか?
そう、ゲンタウタイショの握ったスシですね。
血塗られた呪いの死のスシは、ネタの生きている本当のスシに勝る物ではありません。
違うというならネタの声を聴いてごらんなさい。
生きとし生けるネタの声が私達猟兵を、人類を、スペースシップワールドを支えているのです!
それを知る為、輪廻転生表すルーレットスシとなり……握られる星の光となるがよいでしょう。
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
フン、正体を現したか
スシもこの世界も、お前が握れるものは何一つないと言う事を教えてやろう
装備武器で銃撃
取り回しの良いシガールQ1210をフルオートで発射し、さらにオーヴァル・レイを操作して敵の死角から粒子ビーム線を撃ち込む
お前が握れるのは、ナミダにまみれた敗北だけだ
かつての帝国と同じように、お前も骸の海に叩き返してやろう
敵が接近してマーシャルアーツを繰り出したらこちらもUCを発動
グラップルを組み合わせた脚技で敵の攻撃をいなしつつカウンターを叩き込む
蹴り飛ばし等で距離が空いたら、追い打ちで一斉射撃も行う
お前の命運はここで終わりだ
先の宇宙開拓者達と共に、骸の海でスシ屋でも開くんだな
睦沢・文音
戦闘中、味方の支援と盾役に徹します。
ユーベルコード「殲術再生歌」を使い、味方を強化します。
また、装備アイテムのスイーツを【大食い】で大量に平らげ、アルミ箔の包み紙を殲術再生歌で強化することでプラズマ弾の熱から味方を守る盾とします。
「真空の宇宙では輻射、赤外線によってのみ熱が伝わるはず!」
「美味しく食べて欲しいという作り手の願い!美味しかったという消費者の感謝!それらを受けたスイーツ(の包み紙)ならば、例え無機物であろうとも私の歌に応えてくれます!」
アレンジ・連携歓迎です。
最大の目的は、戦闘を有利に進め、勝利に導くことです。
その為なら、ある程度のダメージはやむを得ないものとします。
カーバンクル・スカルン
魂をネタにしたスシねぇ……酢飯とワサビの味しかしなさそう。
まぁ、他の店を潰すこと以外で維持できない不人気店にはさっさと店仕舞いしてもらいましょうかー。
四方八方から車輪を飛ばし、アビ星人を拘束しにかかる。人っぽい形を取っている以上、使える手足は4本だけ。それを超える量の攻撃を全て受け流して、耐え切ることは不可能でしょう?
雪崩のような攻撃で四肢を1本ずつ別の車輪で拘束出来たら、それぞれ別の方向へ引っ張ってしまいましょ。色んな意味で商売道具を使えなくさせていただきます!
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
アビ星人!アビ星人じゃないか!
いやぁお前さん方、残ってたんだねぇ!
てっきり「アビス」と掛けてるのかと思ったら、
なるほどアンタらのスシ屋でもあったわけだ!
その寿司にもちょっとは興味があるけれど、
他の店をぶっ潰してのシェア拡大は頂けないね。
アンタは骸の海の、三途の河岸で握ってな!
アンタの同胞とは一度やり合って、
短距離転移にはよくよく悩まされたもんさ。
けどね、転移能力者がアンタ達だけだと思うなよ!
超次元殺法に応じるように『グラップル』で迎え撃つ!
転移には転移、
【縁手繰る掌】でアンタの転移座標をずらして『カウンター』!
格闘戦のペースを「握って」やろうじゃないのさ!
「この方が暗黒イタマエですかぁ……?……確かに、独特の存在感が?」
「ええ、その通りです。私こそがこのアビ・スシの暗黒イタマエ――アビ星人です」
夢ヶ枝・るこる(f10980)は対峙する。甲板上で迎撃姿勢を整えるアビ星人へと向き合った。
「フン、正体を現したか」
キリカ・リクサール(f03333)もまた甲板上に立ち、アビ星人へと相対する。
「アビ・スシとはアビ星人のアビだったとは……迂闊」
思えば、気付ける要素はあったのかもしれない。――聖護院・カプラ(f00436)は忸怩たる思いで目の前に現れたその威容を見た。
「……皆さん、気を付けてください。かのオブリビオンこそ、銀河帝国の侵略宇宙人……地獄宇宙人、アビ星人。スペースシップワールドの住人ならば誰しもその名を知っています。幾つもの船団がかの星人によって銀河の藻屑と化しました」
アビ星人に真正面から向き合うカプラは、しかし一歩も引くことなくその身の内に徳を高めた。
「私も銀河帝国攻略戦で相見えましたが、直接戦闘力は他の世界のオブリビオンたちと並べても上位にあります。いわゆる将兵級のオブリビオンにも匹敵するといっても過言ではないでしょう」
更に、いま我々の目の前に立ち塞がるこの個体は暗黒イタマエとしての技術までも身に着けている――間違いなく、凄まじい強敵だ。
「アビ星人……アビ星人じゃないか!」
数宮・多喜(f03004)は色めき立った。――彼女もまた、過去にアビ星人との戦いを経験した猟兵だ。強敵との戦いの予感に、多喜の心臓が鼓動を早める。
「ほう。これはこれは……我々のことをご存じの方もいらっしゃるご様子ですね?」
「ああ、あんたらとはもう一度やりあってみたいと思ってたのさ。――いやぁお前さん方、残ってたんだねぇ!」
「ええ、我々の」
「なるほどアビ・スシってーのはてっきり『アビス』と掛けてるのかと思ったら、アンタら『アビ』星人のスシ屋でもあったわけだ!」
饒舌!アビ星人の口上を遮って若干早口で多喜が畳みかけた!
「……」
「あんたたちの寿司にもちょっとは興味があるけれど……他の店をぶっ潰してのシェア拡大は頂けないね」
多喜が拳を握る。その視線が鋭くアビ星人の姿を射抜いた。
「まぁ、他の店を潰すこと以外で維持できない不人気店にはさっさと店仕舞いしてもらいましょうかー」
カーバンクル・スカルン(f12355)は車輪を回す。既に戦闘態勢は整えている。――あとは、叩くだけだ。
「はい。宇宙の平和を乱し、そしてスシを冒涜するアビ星人……。私たちは、あのオブリビオンをゆるすわけにはいきません!」
睦沢・文音(f16631)も立ち向かう。
「ああ。ゆくぞ、スシもこの世界も、奴の手で握れるものは何一つないと言う事を教えてやろう」
「はははは!よろしい。であれば、この宇宙の真なる支配者に相応しいのが誰なのか――こちらこそ、身をもって教えて差し上げましょう!」
かくてここに戦いは始まった。アビ星人はアビ・スシ艦の甲板上を駆け、猟兵たちへと迫る。
「お前が握れるのは、ナミダにまみれた敗北だけだ」
キリカは接近するアビ星人の姿へと向けて銃口を向けた。魔導機関銃シガールQ1210が咆哮しながら秒速数百発の弾丸を吐き出す。
「その言葉、そっくりそのままお返ししましょう!」
しかし、アビ星人はその弾丸の飛び交う中を掻い潜り素早くキリカへと間合いを詰めた。――襲う蹴り足!強烈な宇宙マーシャルアーツの技の冴え!
キリカは身体を反らしてそのつまさきを間一髪で躱しながら、口の端に僅かな笑みを乗せた。
「――お前は、自分の方が強いと思っているだろう」
「ええ、実際にそうでしょう?」
「その慢心が、お前を殺す」
躱すキリカの背後から、卵に似たカタチの何かが飛び出した。――浮遊砲台オーヴァル・レイ。アビ星人の死角になるように、キリカはこれを配していたのである。
「ムウッ!」
オーヴァル・レイから光が放たれた。アビ星人はこれを咄嗟に躱し、後方へと大きく飛びのく。
「油断大敵、ということですよぉ!」
だが、躱した先のその場所へと目掛けて高速で閃光が飛来する!【豊乳女神の加護・耀衣舞】!ユーベルコードの力によって神気を纏ったるこるである。光を纏ったその身体が凄まじい速度でアビ星人の躯体へと激突した!
「油断などォッ!」
「く……ッ!」
しかしアビ星人はその卓越した宇宙マーシャルアーツの技で迎え撃ったのである!インパクトのその瞬間、アビ星人はるこるの胸郭へとカウンターの拳を叩き込んでいた。激突の衝撃に吹き飛ぶアビ星人と、カウンターをもらったるこるが互いに甲板上を転がった。
「次はこっちよ!」
ここでカーバンクルがアビ星人へと追撃をかけた!カタリナの車輪が走る!――それも一輪ではない。二つ、三つ、四つ!数を増やした鉄の輪が轟音とともに駆け回り、アビ星人へと襲い掛かる!
「いくら技を鍛えたって、人間とおなじ四肢をもつなら……使える手足は4本だけ。それを超える量の攻撃を全て受け流して、耐え切ることは不可能でしょう?」
「ええ、ええ、そうでしょうね――あなたがたの常識で考えるなら!」
だが、アビ星人は迎え撃った!素早く身を躱し、襲い来る鉄輪をいなす。ひとつ弾くと同時に反転してもうひとつを蹴倒す――Blink!短距離空間跳躍で激突を回避すると、更に蹴り足を叩き込んだ。
「そして、こちらからも言わせてもらいましょう。如何に得物を増やしたとて、それを制御するのに使える頭脳は一つだけ。であれば、本当に躱しきれぬ道理があるでしょうか?」
かくしてアビ星人は鉄輪より逃れ宙を舞う。そして、その掌の中に膨大な熱量が収束され始めた。
「さあ、今度はこちらから仕掛けさせてもらいましょう!あらゆる勝算ごと灼き払って差し上げます!」
「さすがに強力なオブリビオンです……!ですが!」
宙を舞うアビ星人の姿を、文音が仰ぐ。――そして、そこに生じ始めた光を見た瞬間に彼女は行動を開始した。文音はまずポケットからアルミ箔銀紙を撒く。
――これは、彼女が常備するスイーツの包み紙である。ここに至るまで、フォーカスされていないところで彼女はもそもそとスイーツを平らげていたのだ。
「真空の宇宙では輻射、赤外線によってのみ熱が伝わるはず――!ですから!」
そして文音は息を吸って、吐く。――この宇宙を満たす不可視のエーテル物質を通じて、文音は声を響かせた。そう、このスペースシップワールドは真空の宇宙である。我々の常識において、そこに音は生じない。だが、そうではない。この世界は一見虚無と暗闇の宇宙であるように見えて、その実世界を満たす何かしらが存在しているのだ。一部の人々によって、それはエーテル物質と仮称されている。
そして、その物質が作用することによって――この宇宙でも、歌声は届くのだ。
「La―――♪」
【殲術再生歌/リヴァイブソング】が、宙域を満たす。その祈りと願いが歌声に乗って広がった。
「ムウ……!歌だと……!?」
「皆さん、ともに戦いましょう……。敵は強大です。ですが、私たちにあって敵にないものがあります。それは、助け合う気持ちです!」
文音は歌と共に想いを伝える。それはこの戦域に存在する猟兵たちの背中を支えるとともに、また別のものにも影響を及ぼし始めた。
「なに……!?……チャフでも撒いたというのですか!いつの間に!」
銀の光が周囲を満たした。――それは、今しがた文音が撒いたアルミ箔銀紙である。
「美味しく食べて欲しいという作り手の願い!美味しかったという消費者の感謝!それらを受けたスイーツ……そしてそれを包んでいた銀紙ならば、例え無機物であろうとも私の歌に応えてくれます!」
「そのような理屈が……通じるものですか!」
「では、試してみてください!」
「戯言をッ!」
結界めいてあたりを照らし出す銀の光へと向けて、手の中に収束した豪熱のプラズマ火球をアビ星人は叩きつけた。――拮抗!銀光とプラズマの光が打ち合って、爆ぜる!互いに打ち消し合うように瞬いたふたつの光は、数秒の間激しく光を放った末に対消滅するように消え失せた。
「なに――防ぎ切ったというのですか!」
「驚いてるトコ悪いけど、まだこっちの喧嘩は終わってないよ!」
「ヌウッ!」
隙を見せたアビ星人の身体が、不意に引き寄せられる!【縁手繰る掌/アポート・アンド・テレポート】!多喜の繰るサイキックである!強制的な空間転移によって、アビ星人は強引に多喜の間合いへと引きずり込まれた!
「これは――!」
「転移能力者がアンタ達だけだと思うなよ!」
多喜の拳がアビ星人の顔面目掛けて飛んだ。しかしアビ星人は身体を反らしてこれを躱す!続けて反撃の態勢へと移ろうとしたところで――
「逃すか!」
――側面からの急襲!ここでキリカが飛び込んだ!蹴り足がアビ星人の胴体を捉える!
「グオ……ッ!」
「よし、いいぞ――こっちでペースを“握って”やろうじゃないのさ!」
続けて多喜が追撃をかけた!グラップリングの妙技が鋭くアビ星人を捉える。顔面!叩き込まれてアビ星人がのけ反る――Blink!アビ星人は短距離転移で間合いを放しにかかった。
「アンタの手はもう見えてる……ネタはあがってんのさ!」
「馬鹿な……!」
――Blink!逃れたアビ星人を、多喜のアポート念動力が再び引き寄せ間合いに引き戻す!
「かつての帝国と同じように、お前も骸の海に叩き返してやろう。お前の命運はここで終わりだ」
更にそこへキリカが再び蹴り足を見舞う。【サバット】!鋭く重たい蹴り足がアビ星人の胴体を捉える。骨格・内臓・筋組織。そのすべてをミシミシと軋ませる音が鳴り、アビ星人が苦悶に呻いた。
「そうさ。こっちの世界はアンタにゃ相応しくない。アンタは骸の海の、三途の河岸で握ってな!」
「ああ。先の宇宙開拓者達と共に、骸の海でスシ屋でも開くんだな」
コンビネーション!多喜とキリカの拳と蹴り足が、代わる代わるアビ星人の躯体を捉え、叩き込まれる!咄嗟のブロッキングを蹴り足が弾き、開いた身体へと拳が打ち込まれた!
「ムウ……!何故……!なぜこのような力が!」
「さっき聞いてなかったのかい!“助け合う気持ち”ってやつさ!」
「グオ……!」
打突!叩きつけられた拳の衝撃にアビ星人の身体が飛んだ!
「次は~、八つ裂き~、八つ裂き~……です!」
そして、そのアビ星人の躯体へと再び車輪が追い縋る!
「今度はちゃんと捕まえさせてもらうよ!」
「小癪な……ッ!」
アビ星人は受け身を取るように身体を反転させ、甲板上に着地した。そこへ車輪が突進をかける。アビ星人は横っ飛びに回避。そして更に迫る車輪を迎え撃とうと宇宙マーシャルアーツの構えを見せた。
「だめですよぉ。そろそろ店仕舞いの時間にしましょう?」
「ヌウ、ッ!」
だが、その動きを遮るように閃光が迸る!空中を機動する遠隔操作型砲塔/FRSによる支援砲火だ!るこるはアビ星人に光線を浴びせ、そこに隙を生み出したのである。
「それと、帰りにオミヤが欲しいですぅ」
「ははは……私を滅ぼすことができたら好きにすればいいでしょう。できるものなら――グアッ!」
「――とった!」
その間隙に割り込むように、走る車輪がとうとうアビ星人を捉えた!その腕を絡め取るように拘束する!【五馬分屍/チュウカシキクルマザキ】!
「貴様――!」
「商売道具、使えなくさせていただきます!」
ギャリギャリギャリギャリ!拷問具としての機能を果たしカタリナの車輪がアビ星人を責め上げる!その躯体が悲鳴をあげた!
「グオ……オ、ッ!!さきほどよりもパワーがあがっている……!おのれ、あの歌ですか!」
アビ星人は頭部の発光器官を明滅させながらその視線を文音へと向ける。彼女の奏でる殲術再生歌は、それを聴く者たちが過ごしてきた日々の思いを力へと変えるものだ。そして、彼女たちはいずれも愛しき“日常”を経て今ここに立っている。
そう、スシである。
スペースシップワールドのスシ文化に触れ、そしてその日常を愛おしむその思いが、殲術再生歌を通して彼女たちの力を引き出していたのだ。
「ならば……、ッ!あの歌さえ、止めれば……!」
しかし、それを看破したアビ星人はその手の先を文音へと向け、開いた掌の中に再び熱を収束させた。
「いいえ――あの歌を止めたところで、もはやあなたに勝ちの目はありません」
だが、その眼前に現れたカプラがその視界を遮る。
「思えば、初めからあなたは敗北していたのです。――先程の、あなたが手駒としていた宇宙開拓者に対する決まり手を覚えていますか?」
「何を……!」
「そう。ゲンタウタイショの握ったスシですね」
カプラは毅然と対峙する。2人は正面から睨み合った。
「馬鹿な……!奴らは私のスシに満足していたはずです!」
「はい。たしかに彼らはあなたのスシに救いを求めていたのでしょう。……しかし、その実彼らは満たされていなかったのです。血塗られた呪いの死のスシは、ネタの生きている本当のスシに勝る物ではありません」
「貴様……まがいもののブッダスタチューごときが、この私に説法ですか!」
「違うというならネタの声を聴いてごらんなさい」
激しく舌戦を繰り広げる中、カプラはひとつの小箱を開いた。それはゲンタウの握ったオミヤのスシを詰めた、コスモスシパックである。そこに現れるのは、ひとつひとつのネタが活きて輝くただしきスシの姿だ。
「なに……!このスシは……!」
「生きとし生けるネタの声が私達猟兵を、人類を、スペースシップワールドを支えているのです!」
おののくアビ星人の眼前で、カプラの身体が光を放つ。
【第十八願/シシンシンギョウノガン】――カプラはその巨大な存在感を拡散し、この宇宙に満ちるあまねくスシへと呼びかけた。その願いは、道を違えた暗黒イタマエであるアビ星人の輪廻と救済を願う光だ。コスモサーモンが、グラビトロマグロが、宇宙殺人モンハナシャコが、エマドエのバイオフォッシュが、その願いに光を乗せる。
「それを知る為、輪廻転生表すルーレットスシとなり……握られる星の光となるがよいでしょう」
そして、爆発的な光が膨れ上がりながらアビ星人を包み込む――!
「オ、オ、オオオオオオオ、ッ!!」
「設我得仏」
光が、満ちた。
「……終わりましたかぁ?」
「相当痛めつけてやったんだ。これで倒れても不思議はない……が」
収束する光の先を、キリカが仰いで目を細める。
「ああ。……スペースシップワールドのオブリビオンは、常識外れの連中が多いからね」
半ば確信をもって多喜が頷く。握った拳に力を込めた。
「なら、終わるまで何度でも叩いてやればいいんでしょ?」
しかして話は単純だ。カーバンクルは再び車輪を携えた。
「……そう、ですね。みなさん、もうひとがんばりですよ!」
「……ええ。しかし、なんと深い業でしょう。これが地獄宇宙人の名の真の由来ということでしょうか」
そして、文音とカプラの見上げた先に――アビ星人は、健在である!
「危ういところでした……。私が並のアビ星人であれば、今の交錯で往生させられていたところでしょう」
アビ星人は天に浮かび輝くいくつものボタンを見上げた。
「ですが、数多の生命を捌いた暗黒イタマエとしての業がこの私の身体を突き動かしているのです」
そして、アビ星人は再び身構えた。
まだ、その邪悪な野望は尽きていない。銀河のスシを巡る戦いは、まだ終わらないのだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
(※訂正)
(先ほどのリプレイ文中の文章を下記のように修正いたします)
☆原文(誤)
【アビ星人は天に浮かび輝くいくつものボタンを見上げた】
☆訂正文(正)
【アビ星人は天に浮かび輝くいくつもの🔵を見上げた】
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
キミのしていることはこの銀河からスシを滅ぼそうとしているだけだよ!
そんなキミに暗黒とはいえイタマエを名乗る資格はない!
…よね、ウィーリィくん?(一応本職に了承を求める)
といってもアビ星人は確かに強い
「いかなる戦いにも負けた事のない無敵のアビ星人」
「宇宙で一番強い生き物」
ってあちこちで自称してるのもうなづけるよね
だからウィーリィくんを【援護射撃】で支援しながら【ロープワーク】+【罠使い】で気付かれないよう周囲にワイヤーを張り巡らせ、短距離テレポートで転移してきたところを縛り上げる
そのまま【クイックドロウ】+【零距離射撃】で至近距離からの熱線をお見舞いするよ!
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
これだけは言わせてくれ。
イタマエが握るのは「己の魂」であって「他人の魂」じゃない。
お前にスシを支配の道具にさせるもんか!
【ダッシュ】で一気に敵との間合いを詰め、直後に【フェイント】で宇宙マーシャルアーツの一撃を回避して周囲の地形を破壊させる。
「直撃喰らってたら危ないところだったぜ……!」
けど、これで仕込みは済んだ。
後はガレキや破片を足場に【ジャンプ】でパルクールで周囲を飛び回りながら【物を隠す】で蹴り上げた大きな破片の影に姿を隠しその隙に大包丁での【二回攻撃】を繰り出す。
そしてシャーリーが奴の動きを止めたところで【二回攻撃】を【限界突破】させた複数回攻撃で【料理の鉄刃】を叩き込む!
エダ・サルファー
料理も格闘も好きな私としては、どちらも超一流なのは尊敬に値するんだよね。
邪悪な野望を抱いてさえいなかったらなぁ。
……まあ猟兵とオブリビオン、同じ方は向けないか。
行くぞ!お前の野望、私の拳で打ち砕く!
折角相手が近接格闘を得意としてるんだ。
こちらも近接格闘を挑まなきゃ女が廃るってもんよ!
相手はオブリビオンで侵略宇宙人かもしれないけれど、格闘家ならこのお誘いには乗ってくれるはず!
後は互いの意地と誇りを拳に握り、ひたすらに殴り合うのみ!
お前の宇宙地獄近接格闘術と私の聖拳突き、どっちが強いか勝負だ!
まあアレだ、「スシは争いの道具ではない」って言葉もあるが、やっぱり争いは拳の方が分かりやすいわ。
【血反吐】
「これだけは言わせてくれ、アビ星人」
ウィーリィ・チゥシャン(f04298)は、真正面からアビ星人に対峙した。
「なんでしょう?」
「イタマエが握るのは……『己の魂』であって『他人の魂』じゃない」
「は、ッ。何を言うかと思えば。この私を前にしてイタマエの正道を語りますか。そのような戯言は聞き飽きています」
「それでも……キミのしていることは、この銀河からスシを滅ぼそうとしているだけだよ!」
シャーリー・ネィド(f02673)はウィーリィと共に、暗黒イタマエであるアビ星人の野望へと異を唱える!
「私たちの世界の文化……スシを悪用しようとするなんて!キミにイタマエを名乗る資格はない!」
び、っ!指先を向けるシャーリーが鋭く声を投げかけた。
「……よね、ウィーリィくん?」
「ああ、その通りだぜ。シャーリー。……料理とは……世界の食文化とは、みんなに笑顔と幸せを運ぶためのものなんだ!お前にスシを支配の道具にさせるもんか!」
しゃ、ッ!涼やかな金属の音とともに、ウィーリィは大包丁を抜き放つ!
「愚かな……。支配とはすなわち人心を掌握すること。そして、食とは生命維持に直結する原初の欲求であり、それを刺激する食文化、すなわちスシとはこの世界に生きる者たちの心身に染み渡るものであり、それを支配することこそ即ちこの世界に生きる人々の支配に直結するものです。――効率的でしょう?どうして利用してはいけないのですか?」
「その野望こそが、スシへの冒涜だからだッ!!」
裂帛!ウィーリィは怒りを帯びた咆哮と共に大包丁を携えながらアビ星人へと突進した!
「ははは――甘っちょろいことを!あなたには銀河支配という大局が見えていないのです!」
Blink!しかしアビ星人は空間転移能力によってウィーリィの刃を躱す!
「……その野望さえなければねえ!」
「――ムウッ!」
だが、躱したその先で拳打を浴びせかけられた!――エダ・サルファー(f05398)である!
「料理も格闘も好きな私としては、どちらも超一流なのは尊敬に値するんだよね――だからこそ、残念だよ!」
「何がッ!」
エダは更に追撃する!鋭く放たれる拳がアビ星人の胸郭を狙った。しかしアビ星人は素早く身体を捻りブロッキング!鞭のようにしなりながら払われる腕がエダの腕を払う!
「スシをつかった支配だなんて邪悪な野望……!捨て置けないってことさ!」
「ちいッ!」
ガァン、ッ!!アビ星人とエダの拳が衝突する!拮抗するパワー。その余波を浴びて互いに立つアビ・スシ艦の床面に亀裂が走った!
「私は猟兵で、あんたはオブリビオン……同じ方は向けないってことだね!」
「辺境世界の田舎猟兵如きがッ!!」
「そう言ってられるのも今の内だ!行くぞ、お前の野望、私の拳で打ち砕く!」
激突!激突!激突!アビ星人の繰り出す宇宙マーシャルアーツと、鍛え抜かれたエダの格闘技が激しくぶつかり合った。一進一退の攻防。エダの拳がアビ星人の顔面を捉えれば、返す蹴り足がエダの鳩尾を叩く!互いに無視できないダメージをくらいながらも、互いに徒手空拳の武技を用いる闘士として、2人は持てる技の全てを出し合いながら殴り合った!
「すごい……なんて技の冴え!」
シャーリーはその光景に息を呑んだ。
エダは数多の戦場を潜り抜けてここに至った歴戦の猟兵だ。その戦いぶりはウィーリィの口からも伝え聞いたことがある。しかし、それ以上に恐ろしいのは今こうして間近で目の当たりにしたアビ星人の戦闘技術である。
「“いかなる戦いにも負けた事のない無敵のアビ星人”……。“宇宙で一番強い生き物”!」
「……なるほど、そう自称するのも頷ける強さだな」
それらはスペースシップワールドの伝承に残されるアビ星人たちが自らを称して名乗った言葉である。――それは、決して口だけということではない。目の前で展開される凄まじい打撃戦が、その証明のひとつだろう。
「ははは……!これで、どうですか!」
「く……ッ!」
衝撃、ッ!掌底めいた一撃がエダの胸郭を捉えた!全身の骨格が軋むような感覚に襲われるエダが苦悶するように声を漏らし、衝撃に吹き飛んで床上へと背中から叩きつけられる!
「エダ!」
「エダさん!」
「次はあなたたちが相手ですか!」
Blink!アビ星人の姿が掻き消えた!――その躯体は、瞬き一つにも満たぬ時間でウィーリィの眼前に再び現出する!
「――きたか!」
「ええ、ご期待通り!」
「ウィーリィくん!」
至近距離に出現したアビ星人が鋭く拳を構えた!しかし、その眼前を光が横切る!【クイックドロウ】!シャーリーが咄嗟に抜いたシューティングスターの引き金を引いたのだ。迸る熱線がアビ星人の攻撃を逸らす。
「ムウ、ッ!」
「だあッ!」
同時にウィーリィは巧みに身をかがめながら側面に回避!アビ星人の宇宙マーシャルアーツを躱す!アビ星人の拳はアビ・スシ艦の甲板を叩き、その表面を破壊した。装甲材がひび割れ歪み盛り上がる!
「小癪な!」
「直撃喰らってたら危ないところだったぜ……!」
宇宙マーシャルアーツの技によって砕かれた鉄床の上をウィーリィは走った。障害物上を走り抜けるパルクールめいた機動は、彼にとっては得意分野だ。アビ星人の周囲を旋回するようにウィーリィは走る。
「なめるなッ!」
「こっちの台詞だよ、ッ!」
ウィーリィへと追いすがろうとするアビ星人の眼前を再び光条が走り抜ける。シャーリーの熱線銃がアビ星人の注意力を削いだ。
「煩わしい真似をッ!小娘、ならば貴様から葬って差し上げます!」
反転!アビ星人は砕けた装甲板を蹴って跳んだ――Blink!そして、その姿がまたも消え失せる!
「さあ、屠――」
再び姿を見せたアビ星人は、シャーリーの眼前であった!握り込んだその拳を、構える!
「……かかった!」
「なに……!?」
だが、アビ星人はその全身に違和感をおぼえる。――きわめて視認しにくいトラップワイヤーだ!細く、だがきわめてしなやかで強靭なその糸がアビ星人の身体を強力に絡め取り体の自由を奪ったのである!シャーリーは宇宙海賊でありながらトラッパーとしても優れた腕を持つ。アビ星人の拳の矛先が自分へと向くのをあらかじめ予期し、彼女は罠を張っていたのだ!
『きしし!』
パイレーツハットから顔を出したダンジョン罠ウサギが、性格の悪さをまるで隠すことなく厭味ったらしい笑い声を響かせた!
「いまだよ、ウィーリィくん!」
「ああ、わかってる!――エダ!行けるか!」
「ああ……若い子たちにこーお膳立てされちゃ、やんないわけにはいかないよねえ!」
――ここで、ウィーリィが走った!そして彼の声に応じて、エダが再び立ち上がる。ぎり、ッ。その拳を強く握りしめた!
「おのれ……!」
「いくぞ、アビ星人……てめぇの邪心、俺の包丁が捌く!」
【料理の鉄刃/ブレイドワーク・オブ・アイアンシェフ】、ッ!閃く斬撃!大包丁が風を切り、アビ星人の漆黒の体躯へと鋭く裂傷を刻み込む!
「やっぱり争いは拳の方が分かりやすいわ――あんたもそう思うだろ、ッ!!」
続けざまに、エダが拳を叩き込む!必殺の一撃、【聖拳突き】ッ!聖職者としての祈りを込めた重く鋭い拳打が、邪悪な業に満ちたアビ星人の躯体を叩いた!
「グ、オオ……、ッ!馬鹿な……!これほどまでの、力を……!?」
「これで、終わりだよッ!」
駄目押しッ!更にシャーリーが銃口を向ける!トリガー!トリガー!トリガー!至近距離から叩きつける熱線の雨!アビ星人はそのすべてを全身で受け止めながら唸るように叫んだ!
「ム、ウ……オ、オオオオオッ!」
――しかし!アビ星人は未だ滅びない。咆哮めいた声と共に、その全身に力を行きわたらせる。そしてその膂力でもって強引にその身体を戒めるトラップワイヤーを引きちぎると、短距離空間転移の力を即座に励起させ、一度猟兵たちとの間合いを開いた。
「ハア……ハア……なるほど……さすがに、猟兵たちです……。は、ははは。そのパワー……私の予測をはるかに上回っている!」
アビ星人は、態勢を立て直す。しかしてその全身に刻まれたダメージは、既にアビ星人の躯体の深くまで浸透しその身体を蝕んでいた。
「しかし……私とて、いかなる戦いにも負けたことのない無敵のアビ星人……!この程度で終わるわけには参りません!」
だが、それでもなおアビ星人は戦意を失うことなく猟兵たちへと対峙し続ける!
「これが、暗黒イタマエの実力ってことか……」
「でも、負けられないよ……いこう、ウィーリィくん。私たちのスシ文化を守ろう!」
「私も手を貸すよ……さあ、決着を付けよう、アビ星人!私の聖拳突き、もう一発くらわせてやるよ!」
もはや戦いは終局へと近づきつつあった。――だが、アビ星人の闘志は未だ尽きず、その抵抗は続く。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
エドゥアルト・ルーデル
「スシで宇宙を征服出来るなどというナイーヴな考え方は捨てろ」
ここで新たな侵略者のエントリーだ!
説明しよう、ややこしい事に先の知らない人とはまた違う【知らない人】が出てきたんでござるよ
こいつはどうも暗黒星雲ラーメンで銀河の支配者を目指してるらしくてネ…アビ星人に負けず劣らずダークサイド極まるラーメンヲタクみたいですぞ
知らない人とアビ星人、お互いの経営戦略やら侵略後のヴィジョンで論戦したり光弾を撃ち合う激しい戦いが始まったりしてお互いの料理人としてのプライドと銀河の飲食業の覇権を賭けた戦いが今、始まる…
あ、拙者は特に関係ないから不意打ちに両方に攻撃しかけるね…
このヌカッとしたランチャーでな!
「スシで宇宙を征服出来るなどというナイーヴな考え方は捨てろ」
「……ほう?」
アビ・スシ艦へと足を踏み入れたのは、【知らない人】であった。
彼は旧メランゲハ星人をルーツとするスペースノイドの男だ。彼は暗黒星雲ラーメンによる銀河支配を目論む暗黒ラーメン職人であった。
「スシなどもはは時代遅れの遺物に過ぎん。それで人心を掌握できるなどと思っているのは情報のアップデートができていない証拠だ」
メランゲハ星人が疾駆し、アビ星人に手刀を放つ。
「愚かなことを。スシはこのスペースシップワールドに古来から根付く食文化。すなわちソウルフードです。伝統は精神に息衝くもの……それをわからずしてこの宇宙を支配することはできません」
アビ星人は手刀を払い、そしてすぐさま掻き消えた。Blink!メランゲハ星人の背面に出現する!
「フン……それではダメだ。新たな支配体制。新たな世界。新たな宇宙。新しい何かとは、構造を疑い破壊することなくしてはうまれないのだ!」
しかしメランゲハ星人は鋭く反応し、後ろ回し蹴りを放つ!咄嗟のガード!アビ星人は衝撃で後方へと飛び退く!
「なるほど……。つまりあなたは、スシという食文化を破壊し、その汚らしい暗黒星雲ラーメンとやらでこの宇宙を支配しようと?」
アビ星人は更に手の中に光を灯した。収束するエネルギー塊が光弾となって放たれる。メランゲハ星人もまた応戦し光球を放った。轟音。爆散。強烈な閃光が交錯し、かたやスシによる支配を。かたやラーメンによる銀河支配を目論む2人の暗黒料理人による戦いが繰り広げられる!
「なんだかとんでもないことになってきましたぞ」
エドゥアルト・ルーデル(f10354)はそれを遠巻きに見ながら面白がっていた。
もとい、機会を伺っていた。
「よし今でござる!!」
そして雑なタイミングでヌカランチャーのトリガーを引く。どおん。爆音とともにカッ飛んだ特殊弾頭が命中し、巨大な爆発が2人の暗黒料理人を包んだ。
「やったでござるか!」
「邪魔をしないでいただきたい」
Blink!!しかして生存していた暗黒料理人たちがエドゥアルトの前に空間転移!横槍を入れられた怒りをエドゥアルトへと向ける!
「アッ!!!これはまずいですぞ!!!」
エドゥアルトはスタコラサッサと撤退を開始!それを追うアビ星人とメランゲハ星人!ここに地獄の宇宙キャッチタグ大会が開催されたのである!
成功
🔵🔵🔴
新海・真琴
暗黒イタマエ?ふっ、笑わせてくれる!!
板前は調理と向き合い、食材の命と向き合ういわば神官、聖職者だ!!
部下にすら親愛や信頼のないその口ぶりだけでもお前の邪悪さはよく分かったさ
既に倒されたあの娘達に何か言うことは?
(はなきよらを構えて)
帝国は復活させない。この宇宙も宇宙のスシも平和であるべきだ。私達が守るからな!
(恫喝の声音で啖呵を切る。戦闘知識で好機と隙を見定めて、走る)
懐に潜り込み、アビ星人の胴体を潰すようにグラウンドクラッシャー
破魔の一撃、銀河に捧ぐぞ!!
スシにあっていいのは弱者の血で無く魚の血合いだけだ
私、鯖の塩焼きの血合いの所好きなんだよね
桐嶋・水之江
◆なんでも歓迎
やっと悪の親玉がご登場ね
あなたみたいな極悪イタマエ=サンはこの美少女猟兵(※35歳)がスシに代わってお仕置きよ
1億度の光弾ですって?
見た目によらずとんでもないわね
喰らったら流石のワダツミも無事じゃ済まないでしょうね
幸い射程が限られてるようだから超長距離から攻めましょう
積んでるミサイルを虚ろな雷の弩でシュゥゥゥ!するわ
超高速かつ高精度な誘導弾…避けられるかしら?
位置情報はレーダーで探査済だから狙いに抜かりは無いわよ
ついでに光弾発射の予兆を掴んだら他の猟兵さん達に知らせてあげましょうか
前衛が居なくなったら困るもの
とんでもない熱量なんだから出だしの反応を感知するのは簡単よね
シグルーン・オールステット
暗黒イタマエによる暗黒スシでこの世界を支配……
うん、そんな計画もスシも遠慮するよ。キミにどちらも握らせる訳にはいかない。ゲンタウさん達スシ・バーのイタマエや彼らの握るスシを楽しむ人たちの為にここで潰させてもらう。
宇宙空間での戦いは一番得意とするところ。「残像」「オーラ防御」で身を守りつつ「戦闘知識」でタイミングを計って突撃。
相手のUCによって地形を破壊されようとボクの走りは止まらない。むしろそれを利用してアビ星人に一気に近づいて轢き飛ばします。飛ばす先は他の猟兵。ボクが追い込むから、トドメは任せたよ。
「やっと悪の親玉がご登場ね……!」
「ええ、そうです。この私がアビ・スシの暗黒イタマエ……」
桐嶋・水之江(f15226)は強襲艦ワダツミの視界センサーの先にアビ星人の姿を捉える。凄まじいユーベルコード反応。そこに立つアビ星人は、間違いなく強力なオブリビオンであることをあらゆる測定器が示していた。
「暗黒イタマエ?ふっ、笑わせてくれる!!」
新海・真琴(f22438)はその眼前で対峙し、刃を掲げる。
「板前は調理と向き合い、食材の命と向き合ういわば神官、聖職者だ!!」
「何を言うかと思えば……。愚かなことを。スシは力です。それに善も悪もない。どう使うかは包丁を握るこの私次第」
「なら、お前は最悪ということだ。部下にすら親愛や信頼のないその口ぶりだけでもお前の邪悪さはよく分かったさ……既に倒されたあの娘達に何か言うことは?」
「ああ、あの漂流者たちですか。ははは。残念でしたねえ」
アビ星人は嘲笑うように発光器官を明滅させた。
「暗黒イタマエによる暗黒スシでこの世界を支配……」
シグルーン・オールステット(f23940)は、視線の先に捉えたアビ星人のあまりにも邪悪な在り方に敵意をおぼえる。
「うん、そんな計画もスシも遠慮するよ」
「それはそれは残念です。しかし、ここまでいらしたのも何かのご縁。私の技を是非ご覧頂いてからご退場願いましょう――お代はあなた方のお命で頂戴します!」
Blink!アビ星人の姿が搔き消え、そして再び猟兵たちの眼前に再現出!超次元殺法が襲いかかる!
「味で勝負ってわけでもなく、いきなり暴力でくるのね……!あなたみたいな極悪イタマエ=サンはこの美少女猟兵(※35歳)がスシに代わってお仕置きよ!」
動き出したアビ星人の姿を捉え、水之江はワダツミに搭載した武装へと火を入れる。
「……スシも、宇宙も。あいつにどちらも握らせる訳にはいかない。ゲンタウさん達スシ・バーのイタマエや、彼らの握るスシを楽しむ人たちの為にも……ここで潰させてもらう」
そして、シグルーンのマシンが動き出した。
「ははは!やってごらんなさい。それが可能だというなら!」
「はあッ!」
激突!真琴の振り下ろすはなきよらの刃が、アビ星人の拳を打ち合った!互いに衝撃で弾かれ、同時に後退して間合いを開く。
「帝国は復活させない。この宇宙も宇宙のスシも平和であるべきだ」
「おや、これは大きな誤解を。もちろん、私の帝国は平和に統治されますよ。言わばこれは、私なりの平和の願いなのです」
「侵略宇宙人の発言とは思えないな……!」
ヴォンッ!エンジン音とともに疾る銀光!シグルーンのマシン、Pegasusが唸り、加速した。側面からアビ星人へと激突しにゆく!
「だけど、その平和も侵略の方便でしかないんだろう!」
「む、ッ!」
だがここでアビ星人は後ろへと更に飛び退いた。マシンの激突を避けたのである。
「そこだッ!」
「ちいッ!」
しかし、その回避の隙に真琴が再び突き込んでゆく!薙いだ刃がアビ星人に一太刀を浴びせた。
「流石は猟兵……!口先だけではないということですか。では、こちらではどうです!」
ここでアビ星人は後退しながらその手の中にエネルギーを収束させた。ばぢ、ッ!プラズマが弾ける!
「……出たわね!」
しかして、水之江がワダツミの艦橋からそれを捉えていた。水之江はコンソールを開き、コマンドを入れる。
『こちらワダツミ。これより火砲支援を開始するわ。……あ、それと、アレくるわよ。お気をつけてー!』
「見えてるよ。こっちも回避する!」
通信機越しに連絡を取り、シグルーンはマシンを走らせた。真琴をマシンのシート後部に引き上げながら一時後退。それと同時にアビ星人の掲げた手の中でプラズマ光球が巨大に膨れ上がった!
「これで……燃え尽きていただきましょう!」
「……100,000,000℃ですって。本当にとんでもないわね!」
サーマルセンサーに異常はない。ワダツミが計測する限り、あれは間違いなく100,000,000℃の光弾だ。あれの直撃を受ければ、この艦も無事では済むまい。
「だからこそ、こっちに陣取ったんだけど……」
コード入力。水之江は電脳魔術の術式を起動する。彼我の距離はメートル法に換算しておよそ1000メートル。術式が電磁加速式カタパルトを構築した。艦載ミサイルコンテナから弾頭をセット。レーダーの先に捉えたアビ星人へと向けて射出する!
「さて。これを避けられるかしらね……?シューッ!」
【虚ろな雷の弩/ヴァーチャルリニアシューター】!加速するミサイル弾頭が秒速5900メートルの速度で宇宙を走る!
「……なに、ッ!」
瞬く間に着弾!意識外からの奇襲だ。プラズマ光弾とアビ星人を巻き込みながら爆炎が膨れ上がる!
「さあ、どうかしら!」
「ッ、ヌオオ……!」
だが、炎の中に揺らめく影――これだけの火力を浴びてなお、アビ星人は健在だ!
「まだ倒れないのか……それなら、決めに行こう。付き合ってくれるね、學徒兵さん」
「承知した、ハイカラさん。……では、突貫だ!」
シグルーンが鋭くマシンをターンさせる。同乗する真琴は、担ぐように刃を構えた。
「ハア……ハア……まさかこれほどまでとは!」
「まだ終わってないよ」
「さあ、覚悟しろ暗黒イタマエ!この宇宙は、私達が守る!」
ヴォン、ッ!Pegasusのエンジンが吠え猛る!更に速度を上昇させたマシンは最高速度で宇宙を走り抜け、【果てなき疾走/オアンドリグ・オーカ】はアビ星人を捉える!そして――激突!
「ご、ッ!」
「トドメ、任せたよ」
「ああ、任された!破魔の一撃、銀河に捧ぐぞ!!」
そしてインパクトの瞬間、真琴はシートを蹴って飛び込んだ。加速の勢いを加えて叩きつける必殺の【グラウンドクラッシャー】!
「グアアアアアアーッ!!」
轟音!宇宙を揺るがす衝撃!正面からその全てを受けたアビ星人は、その身体をズタズタにされながらアビ・スシ艦の甲板を転がる!
「こ、この私は、こうも押されている……!」
「スシにあっていいのは弱者の血で無く魚の血合いだけだ。……人の魂を支配しようなんて、そんなスシが許されるわけないじゃないか」
膝を屈するアビ星人へと、真琴は刃を突きつけた。
「私、鯖の塩焼きの血合いの所好きなんだよね」
「ふざけたことをッ!」
Blink!
――しかして、アビ星人はまたも逃れて間合いを開く!
「まだです……!ええ、まだですとも……!私はまだ滅びておりません……!」
そしてアビ星人はふらつく足取りでありながらも、しかしその二本の脚で立ち上がってみせた。
なんたる執念であろうか。これほどの戦いを経て、アビ星人の闘志は未だ尽きていないのである!
だが――それでも、もはや限界は見えた。
決着の時は、近い。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
フィーナ・ステラガーデン
【PPP】
ん!強奪犯は退治できたようね!じゃあまたお寿司食べましょ!
←ただただお寿司を食べにきた人
あら!あんた新しいイタマエかしら?良い腕してるって自信満々ね!
それなら私とアイに作り方を教えなさいよ!
大丈夫よ!ネタならあるわ!!取引よ!このネタをあげる代わりに教えなさい!
(先ほどまで宇宙を泳いでいたかのような新鮮なマグロの切り身を取り出す)
【フィーナの料理の腕前】
・レシピ通りにせずいらんことをつけだす
・料理は火を使うのは当然
・強火は灰燼と化すかの勢いの炎のことだと思っている
・タタキを作れと言われれば魚で殴りつける
・オブリビオンを容赦なく強火で巻き込む
・アレンジアドリブ大歓迎!
シャルロット・シフファート
PPP
「暗黒イタマエに弟子入りして大爆発って…まぁ、ダメで元々でバックアップを背後で取るわよ…」
と、アイたちがドタバタやっている間に着実と先手を打って行く。
光にまつわる科学技術による超兵器のセットアップや大規模魔術の儀式準備をいつでもアビ星人に叩き込めるよう色々と現出させていく。
「因果を崩壊させて、初撃を凌いで私達に攻撃が当たらない因果をしこんでおいたわ」
と、そこに起動される準備させた科学技術による超兵器と大規模神話魔術が光速…をも越える「光速突破速度」で襲い掛かって来るわ。
…出来るなら、ドタバタが終わった直後に起動させたいわね。
あ、大爆発が成功したら撤収の準備に入ってアビ星人に止めを刺すわ
アイ・リスパー
【PPP】
「アビ星人!
血塗られたSUSHIで銀河を征服しようなんて許せません!」
ですが敵が強敵なのは事実!
【チューリングの神託機械】で万能コンピュータにログイン。
最適な対策を計算します。
「対策が計算できましたっ!
これなら勝率78%ですっ!」
フィーナさん、シャルロットさんに作戦概要を伝えます。
それは……敵に弟子入りし、隙をついて倒す作戦!
「というわけで、師匠!
一人前のSUSHI職人になれるよう、弟子にしてくださいっ!」
SUSHI職人の朝は早い。
極上の銀シャリのためのご飯を炊くのだ。
その時こそ敵への攻撃のチャンスが生まれる。
「というわけで隙を突いて強火な【破砕領域】による対消滅で攻撃ですっ!」
「はい。ではそこに正座です」
「はい」
「はい」
アビ・スシ艦の甲板上で、アビ星人が正座する。その前に並んだ猟兵たちもまた、厳かに正座の姿勢をとった。
「どうしてこのような結論に至ったのですか」
「……何よ!?何が悪かったっていうわけ!?」
フィーナ・ステラガーデン(f03500)は正座姿勢のままで反論する。
「そうです!これは万能コンピュータがはじき出した最適な対策だったんですよ!?」
アイ・リスパー(f07909)もまた口を挟んだ。成功率78パーセント。小型鉄球打出式の景品交換型電光遊戯機種の信頼度で言えば、金色演出で熱くなる確率である。勝算は十分のはずであった。
「いや明らかにおかしいでしょうそのコンピュータ。定期的なメンテナンスとデフラグはしているのですか?敵ながら心配ですよ」
正座姿勢を崩すことなくアビ星人はぴしゃりと否定する。
結論から述べてしまうと、だめだったのである。シャルロット・シフファート(f23708)が『ダメでもともと』と思っていた通りだ。
「やっぱり取引のネタが赤身だったからいけなかったのかしら……はっ!そうか、せめて中トロだったなら……」
「それです、フィーナさん!」
「違います」
アビ星人は緩々と首を横に振った。
「まずですね、ええと、なんですか。今回のあなたたちの作戦は」
「はい!敵に弟子入りし、隙をついて倒す作戦です!」
アイがとっても元気に答えた。
「どうしておかしいと思わなかったんですか?????」
アビ星人は本気で困惑する。
「いえ、これが潜入作戦や暗殺任務などの冒険フラグメントだったなら話はわかります。ええ、そちらでしたら十分にアリだったと思いますよ。しかし、これはボス戦フラグメントなんですよ?ご覧なさい、この🔵の数。私の身体に刻まれた傷跡。そりゃあたしかに初っ端で料理対決もしました。ですが、戦闘中にいきなり弟子入り志願が来たところでどう対応しろというのですか。アレですか?そういうのにノってくる宇宙人だとお思いでしたか?」
アビ星人は正座姿勢のまま2人へ向けてくどくどと説教をした。
「えっ。ノれないの?」
「ノってくる方だと思っていました……」
「時と場合があるでしょう。時と!場合が!」
ぱーん!アビ星人の掌が床の装甲材を叩いた!
「それで。弟子入りしたところでどうするつもりだったというんですか」
「それは……その。私の料理の腕前を見せようかと……」
フィーナがおずおずと手を挙げた。
「……では、どうぞ。実演してご覧なさい」
「わ、わかったわ。まーっかせて!」
アビ星人は甲板上に準備されたスシ・コロッセオを指し示す。フィーナは元気よく立ち上がると、グラビトロマグロのサクを調理台に運び、包丁を握る。
そして躊躇なくグラビトロマグロを最大火力で焼却した。そばで見ていたならば炎に撒かれて命を落としていた可能性まである危険な火力であった。
「わざとですか?」
「えっ」
「わざとでしょう??」
「……テヘ☆」
「テヘ☆ではなく」
アビ星人が頭を抱えた。
「それで、そちらは?」
「はい!私は隙を突いて消滅させる予定でした!」
アイが挙手した。
「どうしてその元気な笑顔でそんな恐ろしいことを言えるんです???サイコパスなんですか???」
アビ星人は頭を抱えた。
「……何やってるのかしら」
その一方で、シャルロットは大規模術式を構築していた。使えるものはなんでも使う。弟子入り作戦を看破され説教タイムを受けている2人を囮としながら、彼女は密やかに自らのユーベルコードを着々と紡ぎ上げていたのである。
「……まあ、でも。こっちは予定通りね」
アビ星人による説教は既に10分を超えている。それはアイとフィーナの足が痺れ始める限界に近い時間であったが、そうであると同時にシャルロットがユーベルコードを組み上げるに至るじゅうぶんな時間でもあったのだ。
「……ねえ、アイ。なんで私たち、宇宙人にお説教されてるのかしら」
「ですが、これはむしろこんな説教の長い師匠に弟子入りしなくて正解だったと言えるのでは?」
「……聞いているのですか!」
ぱーん!アビ星人が再び装甲板を叩いた。しかし、その瞬間である。
「……そろそろいいかしらね。じゃ、仕掛けましょうか」
励起!ここでシャルロットの仕込んでいた術式が駆動した。爆発的な閃光!膨れ上がる光が宙域に満ちる!
「なに……!?これは……まだ仲間がいたのですか!」
膨れ上がる光にようやくアビ星人が気付くが、しかし、それももう遅い!
「それを見抜けなかったのがアンタの敗因よッ!」
「紆余曲折ですがこれで予定通りですねっ!」
【無尽光全て司どりし戴冠聖光/アンリミテッド・シャイン・コンプリート】!満ち満ちた光は邪悪なる暗黒存在であるアビ星人の身体を包み込みながら蝕む!
「ヌウウーッ!小癪な!」
「ここからが本題ですよ、アビ星人!血塗られたSUSHIで銀河を征服しようなんて許せません!」
「ええ、これで退治してやるわ!いくわよ……詠唱省略!焼き尽くせえぇぇぇえ!」
【喰らう灼熱の黒炎】!【破砕領域/イレイズ・サークル】!畳み掛けるようにユーベルコードの光が走る!アビ星人はこれに応戦。無数の光弾が次々と生み出されそして爆ぜた!光と光がぶつかり合い、弾け、そして滅する。千紫万紅に繰り返す光の乱舞は、まるで神話の一場面のようでもあった。
光の交錯が収まる頃、そこにアビ星人の姿はない。
跡形もなく消滅したか――と猟兵たちが考え、その瞬間である。
「ハア……ハア……」
――Blink!
アビ星人は再び姿を見せた!しかし、そのパワーは格段に消耗され、もはや風前の灯と言えただろう。
しかし、その一方で激しいユーベルコードの撃ち合いに加え、長時間の正座によって足を痺れさせた2人も決して万全とは言えない状態になっていたのである。
「ここは……痛み分けとしておきましょうか!」
かくして、アビ星人はここに未だ立つ!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
アリルティリア・アリルアノン
【アリ☆エル】
かつて解放軍の伝説的英雄、テン・ドゥーのおばあちゃんは言ったそうです
『まずいスシ・バーと悪は栄えた試しがない』と!
だからアビ・スシと「新たな帝国」とやらの野望も今日ここで潰えるのです!
かつて銀河帝国がそうだったように!
まずは【アート】【迷彩】【残像】の技術を駆使して自分の立体映像をたくさん展開して攪乱、
同時にドローンの「アレリ」を飛ばして【情報収集】させ攻撃の兆候を掴みます
アリル本体への攻撃は周辺への【範囲攻撃】魔法と【オーラ防御】のバリアで防御です
注意が他所に向いたり、隙を見せた所でUC発動!
ワープで逃げる間もなく撃ち抜いてやります!
オアイソよろしく!お釣りはいりませんよ!
ミスト・ペルメオス
【SPD】
その野望は理解しがたいが、実力は本物か…。
引き続き愛機たる機械鎧を駆って参戦。
マシンヘルム等を介して念動力を活用、機体をフルコントロール。
姿を現したアビ星人との戦いに臨む。
スラスター最大稼働、立体的な戦闘機動を行いながらまずは射撃戦。
砲撃に制圧射撃、途切れさせぬよう撃ちかける。
敵がテレポートも駆使して射撃を掻い潜りつつ肉薄してくれば、流石に驚くが…不意打ちまでは許さない。
【シュラウド・ジャンプドライブ】、こちらもサイキック・ゲートを利用した空間跳躍で対応。
時には距離を取って回避。或いは敵をこちらのゲートに飛び込ませ、混乱させたところにカウンターを仕掛ける!
※他の方との共闘等、歓迎です
エルナリア・アリルゼノン
【アリ☆エル】
イタマエがアビ星人だからアビ・スシ――
迂遠な計画の割にネーミングの意図は清々しいまでに安直でしたね
スシは単なる栄養補給の手段ではなく、人々を楽しませ、幸福をもたらす娯楽の側面を持ちます
しかし貴方が握ろうとしているスシは多くの人々を不幸にする
ならばイタマエが例え宇宙一のワザマエの持ち主だったとしても、
アビ・スシはアリルの言う所の「まずいスシ・バー」に違いないでしょう
戦闘は引き続きソーシャルレーザーでの射撃を行い、
接近された場合は革命剣で応戦します
過去のアビ星人に関する記録や味方の猟兵との交戦データを分析すれば、
UCを発動して連続攻撃を完全に読む事も可能な筈です
「かつて解放軍の伝説的英雄、テン・ドゥーのおばあちゃんは言ったそうです。『まずいスシ・バーと悪は栄えた試しがない』と!」
「ほう……“兜の騎士”、ソージ=テン・ドゥーの言葉ですね。思えば彼奴も腹立たしい男でした」
アリルティリア・アリルアノン(f00639)は、アビ星人へと対峙する。
「でしたらわかるはずでしょう!アビ・スシと『新たな帝国』とやらの野望も今日ここで潰えるのです!かつて銀河帝国がそうだったように!」
「フン……わかっていませんね。かつての銀河帝国は、ただ力のみによる支配を目指したからこそ叛逆の憂き目にあったのです。その点私の計画は完璧……。スシによって人心を掌握しきれば、叛逆の芽など芽生えるはずがありませんからね」
「その野望は理解しがたいが、実力は本物か……」
ミスト・ペルメオス(f05377)は鎧装ブラックバードの操縦席からアビ・スシ艦を見下ろし、その姿を捉える。
「ええと、宇宙を支配する目的の手段としてスシを握り……」
エルナリア・アリルゼノン(f25355)は眉根にしわを寄せた。
「……スシを支配するために、他のスシ提供スペースシップを襲っていた、と」
ここまで喋ったところで、回りくどい、とエルナは思った。
「……それで、暗黒イタマエの正体がアビ星人だからアビ・スシ――迂遠な計画の割にネーミングの意図は清々しいまでに安直でしたね」
「いえ、それだけではありません。このネーミングは私アビ星人を示すと同時に、アビス、則ち一度入ってしまえば二度と出られぬ深淵であることを示しているのです」
「あっ。ダブルミーニングだったんですね……」
変な凝り方にエルナはちょっと困惑した。微妙な間が生まれる。
気を取り直してエルナは再び口を開いた。
「しかし、スシは単なる栄養補給の手段ではなく、人々を楽しませ、幸福をもたらす娯楽の側面を持ちます」
「そう。その通り!だからこそ、私は人々の魂を掌握する最適な手段として目をつけたのです」
「しかし貴方が握ろうとしているスシは多くの人々を不幸にする」
「……ほう?」
剣呑な空気を纏い、アビ星人が静かに威圧する。
しかし、エルナはその視線に一歩も退くことなく立ち向かった。
「ならばイタマエが例え宇宙一のワザマエの持ち主だったとしても、アビ・スシはアリルの言う所の『まずいスシ・バー』に違いないでしょう。……貴方のスシは、人の幸福を願っていないからです」
「……フン。言うではありませんか」
アビ星人は静かにひとつの小箱を取り出した。
「あなたの言葉には一考の余地がありますが――それは、あなた方を皆殺しにした後で考えるとしましょう」
「えっ!?その箱なんですか!?聞いてないですよ!?」
「“切り札”ですよ……ははは。搭乗型の鎧装まで出張ってきていますからね?私も既に追い込まれた水際。切らせていただきましょう」
「あれは……!」
そして、アビ星人が箱を開く――おお、見よ!そこに詰まっていたのは、スシである!
「あなた達を幸福にするのがスシならば、支配するのもまたスシなのです!」
アビ星人は最上級グラビトロマグロの大トロスシを掴んだ。頭部の発光器官の前で弾けたプラズマの中にスシを放り込む。スシを摂取しているのだ!
「スシを……摂取している……!?」
「えっ。えっ。あの、アリルちゃんわからないんですが、なんでいきなりスシ食べてるんです?」
「いえ……スシは栄光効率の高いパワーフードです。それによる強化を狙っていることが予測されますが……」
「ムウウウウウウウオオオオッ!」
――そして、そこに膨大な力が満ちた!
「まさか……!」
「フン――ッ!」
次の瞬間である!Blink!突如空中へと転移したアビ星人が、ブラックバードを襲ったのだ。コクピット内で鳴るアラート!計器が測定した敵性体は、全高約8メートル――すなわち巨大化したアビ星人である!
「スシのエネルギーで巨大化したということですか……!?」
ミストはコンソールを叩きながら操縦桿を押し込み、機体を姿勢制御する。
「なんです!?巨大化!?ちょっと展開に追いつけないんですが!?あーもー!アレリ、データ収集よろしくですよ!」
その威容を仰ぎながら、アリルちゃんはドローンを放った。nano2タイプドローン・アレリくんがアビ星人を追って慌ただしく飛んで行く!
「そう……銀河帝国が滅びた後、私は新たな帝国を作り上げるべく様々な手段を検討しました」
Blink!追い縋る巨大アビ星人!しかしミストはその超感覚を同調させ、再出現のポイントを読む。スラスターを吹かし回避機動!現出した巨大アビ星人の蹴り足を躱し、ブラックバードはマシンキャノンの応射で反撃した。
「フッ!」
しかし力を滾らせる巨大アビ星人は弾幕を突き破り再びブラックバードへと肉薄する!
「その中で私は気づいたのです……私は、大トロ・スシを摂取すると巨大化する体質であるということを!」
「スシを摂取すると巨大化する体質!?!?!?」
アリルちゃんがおののいた。
「……そうか!聞いたことがあります」
ミストは以前船団のデータベースで見た記録を思い出す。侵略宇宙人の中には、特定の物質を摂取することで巨大化する体質の者たちがいるのだ。かつての反乱軍の伝説的な戦士カーク・レインジャーと戦ったとされるボゾク星系人の宇宙暴走族連合などが有名である。
「でもそんなことフラグメントには書いていませんよ!?」
「こまかいことはいいんですよ!」
巨大アビ星人は更に転移し、ブラックバードを追う!
「ですが、これ以上は……許さない!」
ミストは思念を強める。マシンを通じてその強念がサイキックのエネルギーとして機体から溢れた。
「許さなければどうだと言いますか!」
巨大アビ星人は鋭く手刀を振り下ろした――だが、次の瞬間!
Blink!
「なに……!?」
ブラックバードの躯体が、掻き消えたのである!巨大アビ星人の腕が空を切る!
「どういう……!」
「こっちです!」
巨大アビ星人の背面で開くゲート!【シュラウド・ジャンプドライブ】の空間跳躍だ。巨大アビ星人の背後から再出現したブラックバードはその勢いを乗せて巨大アビ星人の背へと強烈な蹴り足を叩き込んだ!
「ヌオ……!」
「こいつも……持っていけッ!」
FCSリンケージ!ブラックバードに搭載された可変速ビームキャノンにエネルギーが収束。そして衝突の勢いでブラックバードから離れ行く巨大アビ星人へと向けて照準。トリガーを引く!
「グ、ヌ……お、おのれぇッ!マシンの力を借りねば戦場にすら立てぬ脆弱な人間風情が、ッ!」
光線を浴びせられながら、巨大アビ星人は身体を反転する。反撃態勢だ。明滅する頭部の発光器官に怒りを宿しながら巨大アビ星人はブラックバードの躯体を仰ぐ。
しかし!
「……なに!?」
「ふっふっふっ。矢面に立ってくれる人がいるなら好都合というもの……!」
巨大アビ星人の見上げた空間に浮かぶブラックバードの機影はひとつではなかった。ふたつ、みっつ、よっつ――否。それ以上!
「協力に感謝します」
「猟兵は助け合いですからね!」
それはアリルちゃんの電脳魔術が作り出した虚像!立体投影影像である!本来自分自身の分身体を出す予定ではあったが、アリルちゃんは戦況を見ながら咄嗟に判断して作戦を切り替えたのである。
「むう……!しかし、所詮は虚像!実際に攻撃を仕掛けてくる本物のみを見極めれば……!」
「……そんな余裕は与えませんよ」
閃光!迸る光が巨大アビ星人の躯体を掠めた。困惑したその刹那は、奇襲をかける絶好のタイミングであったのだ。エルナがソーシャルレーザーの銃身を僅かに動かす。誤差の微調整。照星の先に巨大アビ星人をあたらめて捉える。エルナの支援射撃であった。続けざまにもう一射。光条が走る!
「グア……、ッ!」
「これまで得られたデータから対象の行動を予測――アリル。敵は次に離脱を試みるはずです」
【戦術予測/プリディクション】。電脳が接続しデータベースから引き出した過去の戦闘記録から、エルナは敵の次の手を類推する。
「バッチリですよ!こっちも捉えてますからね!」
アリルちゃんは今日イチのドヤ顔を披露しながら指先を向けた。アリルちゃんは先んじて飛ばしていたアレリくんとデータリンクを行い、敵の座標を受け取る。そして、その指先を向けた。
「おのれ……!ダメージを受けすぎましたか……!斯くなる上は、一度撤退し態勢を……!」
「おっと――アリルは早撃ちにも対応済みですよ?」
Blin――Zap!!
【タキオンシュート】!巨大アビ星人が転移の技を発動するはずだったその刹那、アリルちゃんの掌から放たれたバーチャル魔法光線が巨大アビ星人の躯体を貫いた!ダメージに身体が硬直!空間転移は出鼻を挫かれて失敗する!
「ぐ、お、オオ……!こ、ここまできて……こ、この、私が……!」
「オアイソよろしく!お釣りはいりませんよ!」
「ええ、店仕舞いの時間です」
「ええ。これで……シメです!」
追撃!態勢を崩した巨大アビ星人へと放たれ、そして重なるソーシャルレーザーとビームキャノンの光!閃光が宇宙を満たす!
「ぐ、お、おおおおッ!ま、またの、お越しを……!」
「二度はありませんよ!!オアイソです!!」
駄目押しのタキオンシュート!貫く光はかくして、アビ星人のオブリビオンとしての存在核へと届き、そして、打ち砕く、ッ!
「グオオオオオオオオオオオオオッ!!」
閃光。爆発。暴走するエネルギーが無秩序に暴れまわり、耐えきれなくなった巨大アビ星人の身体は瞬く星の光となり、そして散った。
「……目標、完全に沈黙」
ブラックバードのコクピットで、ミストが敵の完全消滅を確認する。
「やりましたね!アリルちゃんの完全勝利です!」
「そうですね」
勝利の余韻に拳を突き上げるアリルちゃんに塩対応しながら、エルナは通信回線を開いた。
「こちら猟兵です。……ゲンタウ・タイショ。ぜんぶ終わりました」
『おう!そうかい!よくやってくれたじゃねえか!そんなら祝いスシだ!握ってやっからちゃっちゃと戻ってきな!』
通信機越しに響くゲンタウの声が、猟兵たちへと届く。
そして、快哉の声が宇宙を満たした。
かくして、銀河支配を目論む邪悪なスシ屋、アビ・スシの野望は潰えたのである。
そしてスペースシップワールドの重要な食文化は守られたのだ。
明日も。そしてその先も。スペースシップワールドの人々は、スシを握り続けるだろう。スシは今日もスペースシップワールドの人々の食文化を支え続けている。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵