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迷って護って曲がれ右!

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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「右2回、直進1回。左1回、右1回……さぁて、この行き止まりはどうだ?」
 カツンカツンと石畳を軽やかに進み、三叉路を曲がれば袋小路。そこには宝箱が配置されているものだと信じて疑わない彼は魔法学園の男子生徒。意気揚々と飛び出してみたものの、目的のものは見つからない。『近年の迷宮変化は宝を守るためのもの』だと、噂はどこから流れたのか、出所などだれも気にはしていない。信憑性は薄いが、腕の立つ生徒ほど実力を試し成果を誇示したくなるもの。しかし我先にと迷宮に挑んでは、負傷し帰ってくる者の多い事。帰還するならまだマシで、先日はついに死人が出た。そのことを思い出し、これ以上の探索は危険だろうと判断した男子生徒は来た道を戻ろうとするが。違和感。床になにかが落ちている。それも沢山。よく見ればそれは毎日勉学で使う魔導書のようだった。不審に思いながらも1冊に手を伸ばし、慎重に中をあけると突如視界が白くなる。
「なんだ!?……うわ、やめろっ!誰か、助け―――」
 魔光を封じ込めた魔導書は、その光で周囲の本を覚醒させる。彼の目が眩んでいる中、最期に見えた光景は、牙持つ本に食い破られていく自身の肢体だった。

 グリモアベースに集まった猟兵達を随分と待たせ、ガジェット製の携帯端末を弄りながら重役出勤する少女が一人。物言いたげな視線を気にも止めずに、斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)は本題を切り出した。
「やっほー、皆集まった感じー?んじゃ説明始めるから御清聴よろー」
 端末を手早く操作しすると、壁掛けのスクリーンに情報が表示される。表題は大きく『地下迷宮攻略』と打たれ、まるでゲームのような感覚を覚えるかもしれない。
「場所はアルダワ魔法学園の名物、地下迷宮。知ってる?最近になって深奥に大魔王が現れたって話。それがどこでそーなったのか分かんないんだけど、素晴らしい宝物が隠されてるって話に変わってんの」
 もちろん学校側も対策はしている。探索の禁止や見張りを配置するなどしているが、冒険心が擽られたら挑まずにはいられないのがここの生徒たち。様々な方法を使い迷宮に入り込んでいる。
「このままだとオブリビオンの餌食になる生徒続出間違いなし!そこで猟兵の出番ってワケ」
 端末を弄ると、情報が次のものに変わる。彩萌曰く攻略の大前提として『迷宮は常に変化しているため、地図はほぼ役に立たない』『先に迷宮入りしている生徒たちよりはやくこのフロアボスを倒し、宝物がないと証明する』事を提示した。 迷宮の造りについて猟兵から質問があがると、今から説明するしぃーとのらりくらり予知した構造を語る。
「現場は石造りで冷たい印象かなー、実際ヒヤっとしてるかも。分かれ道はいっぱい、でもさほど広くはないっぽい。何人か入り込んだ学園生徒がうろついてんだけど、私達と比べたら弱いから見つけ次第救出してくれたらベスト」
 今回の予知で見えた迷宮は、決して消えぬ不思議な蝋燭が一定距離で配置されている為、光源は必要ない。探索に何が必要で、どのようなルート取りをするかが鍵になる。
「力技で総当たりに行くもよし、手早くショートカットを探すも良し。少なくとも猟兵よりは迷宮慣れしてる生徒に話を聞いて出し抜くのもアリだね。ま、そこら辺は個人の得意分野とアイデアを活かしてこ!」
 最終目的を素早く遂行しなければ、いくつもの命が失われるのだ。
「言うの忘れてたけど、私は戦闘には参加出来ないからね。あくまで移動係に徹するから。いざってときはこっちまで撤退して来てちょーだいな。テレポートでパッと移動よ。まっ、そうならないよう気を付けてねーん。じゃあいってらー!」
 どこまでも軽いノリで猟兵を送り出す彩萌。しかしその目は仄暗く、全く笑っていなかった。


まなづる牡丹
 オープニングを読んで下さりありがとうございます。今作よりMSを勤めさせていただきます、まなづる牡丹と申します。
 本シナリオでは『アルダワ魔法学園』の地下迷宮に挑みます。話の展開は皆様のプレイングによって変動しますが、最終的に戦闘は避けられません。

 おおまかな流れは、迷宮攻略→生徒救出→フロアボス戦となります。まずは迷宮探索をお楽しみください。
 POWは力技や体力を、SPDは器用さや素早さを、WIZは知恵や知識を活かした行動になります。大抵のものは大丈夫ですが、あまりに大きい荷物やアイテムは迷宮に入らないかもしれませんのでご注意下さい。
 それでは皆様のプレイングをお待ちしています!
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第1章 冒険 『冒険競争』

POW   :    力技で迷宮を攻略する

SPD   :    速度を活かして迷宮をショートカットする

WIZ   :    競争相手の生徒達の行動を読んで出し抜き先行する

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

グウェンドリン・グレンジャー
私は、力だけなら自信がある……ので、総当たりに行かせてもらう。
早歩きで手早く行くわ

大きな紙を一枚と、油性ペン、それと毛糸玉を幾つか持ち込んで、行った道を片っ端からマッピング。
入り口に毛糸玉を結びつけて、自分の歩いたルートを糸で逆に辿れるようにする。
(行き止まりの場合は分岐の場所まで回収、引き返す場合はその地点に粘着テープとかで固定して再開できるように)

生徒に出くわしたら、この先は危険だからと警告して、引き返すルートを教える。
聞かないなら、腕力で引きずるとか、担いで外に出す……



躊躇なく石畳の回廊を踏破していく少女、グウェンドリン・グレンジャー(NEVERMORE・f00712)は毛糸を辿り、迷宮の分岐点に戻ってくる。地図を出して大きく×とチェック。
「ここも、行き止まり。残りはあっちね……案外簡単な作りで助かったわ」
 小柄な体に似合わず力強い探索で正解を導き出したグウェンドリンは、完成しつつある地図を見て少し満足気。総当たりを選んだゆえに迷宮で様々なものを発見する事もできた。

 例えば古い書物。魔物ではないかと手持ちの毛糸玉を投げつけて確認したそれは、古代語で記された分厚い本。興味はそそられたが今は読み込んでいる時ではないと、そっとバスケットに入れて奥へと進む。
 続いて見つかったのは迷って泣き叫ぶ学園の生徒。グウェンドリンよりも余程年上であるはずなのに、人影とみるや縋りついてきた。言う事を聞かなければ力ずくで外に担ぎ出そうと思っていただけに予想外ではあったが、糸を辿る様に教えれば感謝の言葉を投げかけられる。

「……体力勝負も、悪くない……」
 まだ見ぬ宝と地図の空白箇所を求め、また一歩、一人迷宮を暴いていく―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイシア・オブリオン
よーし、いくよロジャー!
私達のコンビネーションを見せつけてやるんだ!
まずはロジャーに乗って全速力でショートカット!
罠があれば発動する前にすり抜け、近道っぽいものも見逃すもんか。
万が一行き止まりだったら……ロジャー、やっちゃえブッ壊せ!
時には力技だって大事だもんね!
私達の行く手をさえぎる物は壊して置き去りにして……おっと、生徒の皆を弾き飛ばしたりしないように適度に安全運転でいこうね、ロジャー!
はいはい、どいてどいてー!
私とロジャーが通るよー!



「よーし、いくよロジャー!」
 相棒のガジェット『ジョリー・ロジャー』を駆り、アイシア・オブリオン(メタライズ・f05786)は小さな綻びも見逃さないよう迷宮を走り抜けていく。ヒビの入った壁あらばブチ抜き、低い壁あらば飛び越え、浮かんだ床はひょいと飛び越える華麗な動き。巧妙に仕掛けられた罠をすり抜け、勢いのままに攻略する。
 右、左、左と抜けて、直進。かなり奥まで来たと一度周囲を確認すると、かすかに聞こえる人の声。全速力で来たものの、学園生徒を弾き飛ばして進むわけにもいかず。
「どいてどいてー!私とロジャーが通るよー!」
 と大きな声で自分の存在をアピール。どこに隠れているかわからない生徒に怪我をさせぬよう、先程よりも速度は抑え目に、安全運転の配慮も忘れない。

 人の気配に気を使ったアイシアは、偶然にも目に入った違和感を見逃さなかった。ゆっくり移動した事により、注意深く観察しなければ気付けないようなわずかな壁のズレを発見する。ぐっとロジャーの腕で押し込んでみれば、風の抜ける感覚を肌に感じ取れる穴が床に現れて。所謂抜け道だと判断し一気に滑りこめば、吸い込まれるように迷宮の中心へ導かれた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニコラ・クローディア
「ほぉ、迷宮の宝とは、なんとも竜好きのする事件もあったものじゃあないか」
ニヤニヤ笑いを浮かべて、竜、つまりドラゴニアンである自分の好みのシチュエーションだ、とダイナミックエントリー。
「なぁに、ひたすらに速く攻略するなら……そりゃあ、力技だろう? 細かいマッピングは無視だ、無視。壁があったらどついて壊せ。敵とあったらしばいて倒せ、だ」
そもそも変化を続ける迷宮でマッピングにそこまで価値があるとも思えず、壁にぶちあたったり敵とであったりするたびにユーベルコードで力任せに障害突破を試みる。
「その先に宝の道があれば儲けものだ。見つかるまで繰り返すぞ!」
げに、POW頼りの体力押しである



意気揚々と豪快に!ぼんやりと炎が揺れる迷宮の雰囲気を変えるが如く、天井からダイナミックエントリーしたニコラ・クローディア(世界を渡る龍賢者・f00091)。舞う土埃を軽く払い、ニヤニヤと美しい顔に薄ら笑いを浮かべる。
「迷宮の宝とは、なんともオレサマ好みの事件があるじゃあないか。さぁて、どこから暴いてやろう」
 着地点は丁度十字路の中心。壁があったら壊して進もうと思っていただけに、想定外の選択肢が与えられ一瞬悩むも枠にはまるニコラではない。道順通りに行く必要などどこにある、道があるなら宝も探せ、あれば丸っと儲けものだ。

 結論から言えば、宝はあった。そこに至るまでの道程がひたすらに過酷ではあったけれど。
 壁を粉砕すれば濁流が押し寄せ、仕掛けを壊せば巨大な鉄球に追われた。幸いにも敵に遭遇しなかったが、これがニコラでなければ既に体力の限界だっただろう。様々な障害を越え、ついに見つけたあからさまに怪しい鍵のついた金の箱。ようやくか、と一息ついて、力技で開錠してみれば。
「……まぁ、人によっては宝だろうがな?」
 金塊でもなく、知識の集合体でもないソレ。誰がどうして設置した、肩掛け鞄ほどの大きさの包みには『緊急脱出用!!地上行き転送魔法陣キット』と書かれていた―――。

成功 🔵​🔵​🔴​

赤城・碧
生徒達が巻き込まれる前に事を成さねばな。

迷宮自体は然程広くないのであれば、ここは【オルタナティブ・ダブル】を使用して、もう1人の自分を出して総当たりで行こうか。レベル的に半径 100メートル範囲も動ければ問題ないだろう。

もし、生徒に出くわしたら説得して【オルタナティブ・ダブル】で安全圏まで送らせる。



「お前は右の道を。俺は左へ行く」
 青い瞳でもう一人の自分に視線を送る。多重人格者である赤城・碧(黒き百合は咲き乱れ白き少女は希う・f02420)にとって、自分を操る事など造作もない。元が自分なのだから、気心の知れない相手よりも余程信頼できる。予知によって判明している迷宮の規模は然程でもない、しかしそれでも半径100メートルではカバーが難しい広さはある。総当たりの探索にどれほどの時間をとられるのか分からない現状、少しばかり早足で歩みを進めた。

 遠くより、声が聞こえた気がした。他の猟兵か、学園生徒か。聞き耳を立てて判断しようとすれば、声は足音に変わり接近してくる。カッカッと響く音は女物の靴かなどと考えていると、曲がり角で派手に躓く少女とかち合う。咄嗟に腕を伸ばし少女の転倒を阻止した碧は様子を窺いながら声をかけてみる。
「大丈夫か?」
「!あ、ありがとう……」
 友達と来たのにはぐれたという少女は、数時間彷徨ってヘトヘトのところを災魔に襲われたのだと言う。必死で走って、もう無理というところで出会った碧はまさに救世主に見えたに違いない。
 事情を把握した碧はもう一人の自分を呼び戻し、安全な入り口付近まで送るよう指示する。
「危険な事は分かっただろう、こいつに送らせるからお前はもう戻れ」
 友達を置いていくなんてと食い下がる少女に、見つけたら保護すると説得して。ようやく納得した様子に内心安堵しながら、入口へと向かう二人を見送った。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルメリア・レイアーク
んー、迷宮ですか。
師匠には嫌ってほど連れ回されたなあ……。

つうことで、私はショートカットを探すっすよ。遺跡迷宮のギミック解除やら隠されたものの発見は、得意分野です。
つっても壁叩いたり、空気の流れを見たり、すっげー地味な作業ですけど。

あ、何、生徒救出?
まあ、出会ったら危ねーんで帰るよう、説得ですかねえ。
聞かなそうな相手なら近道っつって帰り道教えちゃいましょう。面倒くさいし。


アイシア・オブリオン
さあて、あと一息かな? どうかな?
折角見つけた抜け道。突っ走ってどんどん中心部を目指すよ!
まさかこんな所まで生徒は入り込んでいないだろうけど、もし居たら帰るように促しておこうね。
基本方針は変わらず。ロジャーに乗って安全運転、かつ全速前進!
障害物は走り抜け、叩き壊して進むよ!
さあさあ、目指せ中心部。突っ走るよロジャー!


鳴宮・匡
【POW】>【SPD】
速度を活かしつつ、体力にあかせて虱潰しに迷宮を攻略。
あんまり体力は使いたくない派だけど、弟子の依頼とあっちゃな。

一応反響音や人の流れから正解っぽいルートを選ぶようにはするけど、
まあ外れても気にせず。広くはないんならそのうち正解にあたるだろ。
体力なら有り余ってるし、全速力でやりますか。

中で猟兵仲間に出会ったら軽く情報共有。
まだ探索してないところとか、怪しげな道がどっちかとか。
あと、道中で襲われてそうなやつを見つけたら一応保護しておくかな。
道がわかる範囲なら、入口の方に戻るように促しとく。

しかしちょっと鍛えんのサボりすぎたかな、だいぶ足にきてる気がする。
もう若くねーな……。




 空気の流れ、床の埃、壁の模様の乱れ。一見地味だが重要なヒントが隠されている迷宮を、ひとつずつ確実に解いていく。急がば回れとはよく言ったもので、少し手間をかけて発見したショートカットを活用し、消費した時間を大幅に巻き返しながらぐんぐんと奥へ進むアルメリア・レイアーク(トレジャーハンター・f05287)。トレジャーハントの師匠に嫌と言う程付き合わされた探索技術がしっかりと身につき、役立っている事を実感して、何とも言えない感情が渦巻く。楽しい思い出ばかりではないけど、教わったことは無駄ではなかったと―――悪い気はしなかった。
「ここはこう、ですか」
 テロレロテロリン♪ 魔法錠前の鍵であるパズルを解いて開いた扉の先には、高い天井の丸い部屋。壁一面には大量の本、本、本。軽く見渡しただけでは図書室の様だが、意味もなくこのような場所があるとも思えず首を傾げる。
「んー、怪しさ満点ですねえ」
「そうだな」
「!」
 背後から気配もなく聞こえる声。ひやりとしながらも、わざわざ話掛けてきた段階で敵意があるとも考えにくい。平常心を保ち振り返れば、黒髪茶眼の青年が穏やかな笑みを浮かべていた。
「猟兵だな?俺の他に、誰かに出会ったか?」
「……いーえ誰にも。あなたは見つけたんですか?」
 アルメリアも他の猟兵がこの迷宮に入っている事は知っていたし、学園生徒を発見次第保護する任務も覚えている。とは言え本心では生徒とは出会いたくはない。面倒くさいし、近道と言って帰り道を教えようとしていたくらいだ。
 首を横に振る青年は、鳴宮・匡(凪の海・f01612)と名乗った。弟子の依頼を放っておけなかったと、見た目の柔和さに違わず面倒見は良いらしい。今頃迷宮入口でグリモアを転がしている彩萌がくしゃみをしているだろう。
 アルメリアと合流する少し前、匡もまた反響音や足跡からこのルートを導き出した。あまり広くないとはいえ、一人でやるには少々骨が折れる。体力は余っているが、時間をかけていても仕方ない。そう考えていた矢先、何かのピースが嵌ったような軽快な音が聞こえたのでこちらに来てみれば猟兵の姿。人手が増えれば手数も増える。二人はこれまで辿ってきた道順や隠し通路の位置、仕掛けの構造を共有し、次の分岐をどう攻略するか意見を述べ合った。

ところで此処は少しばかりではあるが迷宮の中でも開けた空間。障害物もなく戦場にはうってつけの場所だと二人は口に出さずとも同じ考えに至っていた。気になるのは予知で出てきた災魔。あれは確か、本の姿をしていた。
「まさか全部そうだ、なんてないですよねぇ?」
「どうだかな」
獲物をいつでも抜けるよう、お互い手持ちのダガーに触れて今日の具合を確かめた。今はまだ、何も起きていない。それが続くとは限らない。


 飛びこんた床の穴は角度はゆるいが放っておいたら止まらない絶妙な塩梅でアイシアとロジャーを迷宮中央に吸い寄せて行った。流石にこんなところまで生徒は入りこんではいないだろうけど、基本方針に則り安全に全速力で進んでいけばついに訪れた行き止まり。しかしやる事は特に変わらない。今まで通り、目の前に壁が立ちふさがるならば壊すだけ。ロジャーも蒸気をふかし、懸命に壁に腕を叩きつける。
「いいよロジャー!その調子!」
 壁が崩れ抜けた先は、一面の本で埋め尽くされた広間。と、少女と青年。二人ともぽかんとしていた。突然の打音、震える部屋、敵が来たかと構えてみれば、現れたのは同業者だったのだから驚くのも無理はない。
「おや、ひょっとしてここが中心部?」
 当初の勢いを失わずどこまでも突っ走ったアイシアに、迷宮の神は微笑んだのかもしれない。此処は間違いなく、大当たりの大本命!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『書物の魔物』

POW   :    魔書の記述
予め【状況に適したページを開き魔力を蓄える】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    ページカッター
レベル分の1秒で【刃に変えた自分のページ】を発射できる。
WIZ   :    ビブリオマジック
レベル×5本の【毒】属性の【インク魔法弾】を放つ。

イラスト:kokuzu

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


図書広間にカタカタという不気味な音が響く。部屋の壁一面の本達が騒ぎ立てている。
『お前の知識を頂こう!それが我らの糧となる!』
 全方位から向かってくる数多の刃持つ本に、猟兵は立ち向かう。人の知恵と経験が、使われぬまま眠る知識に勝る事を証明するかのように。
アイシア・オブリオン
出たな、本の化け物!
此処で仕留めてやるから覚悟しなよね!
まずは……コール・スペシャルパーツ!
あの本相手に最適の装備をロジャーに合体させるよ!
準備ができたら、後は大暴れするだけ。
ロジャーのパンチにチョップ、ついでに私のバズーカでの支援。
いくよ、ロジャー!
あの古本お化けを紙くずにしちゃえ!


鳴宮・匡
やれやれ、やっと本業か。
囲まれてるのはうまくねーけど、ま、とりあえず殺りますか。

動き出したヤツから殺ってくぞ。
ユーベルコード【シーブズ・ギャンビット】を使って片っ端から。
早撃ちはお手の物ってね。一撃で効果が薄いようなら「2回攻撃」で。
中でもページを開く動作やら、何がしかを発射する素振りが在るヤツから優先だ。
とにかく数を減らさないことにはどうしようもねえ。

敵の動きにこっちの動きが追いついてないようならしょうがねえ、コートぐらいは脱ぐ。
ついでに敵に投げつける。何かしら動きを鈍らせるくらいの効果はあんだろ。

あーあと味方がピンチそうなら「援護射撃」するぜ。
アイツの出した仕事にケチはつけられないからな。


アルメリア・レイアーク
うわー、げんなりする数ですねー……。
私、ガチンコドンパチって性に合わないんですけどねえ。

こうなっちゃったら仕方ないです、足を引っ張らないよう精々全力で当たりますよー。


戦闘は、毒がちょっと怖いですから、SPD重視で進めます。
って、ひー、ただでさえ多い敵の、ページが乱舞して視界が白い!

ここは技能の2回攻撃1と、シーブズ・ギャンビッドを使用して、手数重視で沈めていきますよ!

とはいっても、私の攻撃じゃあ火力がないですし、味方が大技を出すなら派手に動き回って敵の気を引いて、時間稼ぎか隙を作れないか試してみましょーか。

んじゃ、がんばっていきましょー。


……渋々。



●凪
 表紙を羽根のように羽ばたかせ、ひらひらと猟兵達の様子を窺う魔本の群れ。絵本から辞典まで、雑多なジャンルの魔力を蓄えている。風もないのに不気味に本文を進める姿は、見えない誰かが実際に読んでいるような錯覚を引き起こす。
「出たな、本の化け物!」
「うわー、げんなりする数ですね」
 アルメリア・レイアークのうんざりした声に、鳴宮・匡もただ頷く。アイシア・オブリオンは変わらず元気だが、状況は把握しているようで敵から目を逸らさない。三人で背中を合わせ死角を消し、両者しばらく様子見。先に動いたのはどちらからだったか。


●旋風
 小説の魔力を持つ5冊の魔本は、本文をカッターのように鋭い切れ味に変え射出する。それぞれの個体は強くないが、数で攻めてくるタイプだ。この小説が終わるまで耐えるのは厳しいだろう。相手の動きに合わせ、アルメリアも手数で速攻の各個撃破を狙う。
 向かい来る頁の竜巻を、床につく程低く屈んで躱し走り抜けて。
「ひー、視界が白い!」
 十徳ナイフを振るい横に一閃、怯み風が弱まったところを中綴じ中央から真っ二つにした。どさりと床に落ち、糸は解けバラバラになる。こうなればもう脅威はない。
 残りは4冊、精々頑張らせて貰いますよ、と。渋々ながら少し……そう、ほんの少しだけ本気になってみるのだ。

 絵本と対峙するのは匡。それぞれの表紙に描かれたドラゴン、お姫様、少年の眼はじっとりと黒い男を睨みつけ、カラフルな中身をチラつかせている。
「動き出したヤツから殺っていくぞ」
 その言葉に反応した絵本は緩慢な動きを止め、一斉に頁をめくりだす!匡は焦るそぶりも見せず、冷静に近い絵本へ急接近し強引に鷲掴む。間髪入れず地面に叩きつけると、そのまま流れるように少年の絵本を獲物で刺し貫けばインクの血を流し動かなくなった。残されたドラゴンの絵本は匡の手が届かない程高く舞い上がり、上から刃となった頁の雨を降らせる。ダガーで捌き、コートで防御しながら隙を窺う。このままでは押し負けるかと苦虫を噛み潰した顔をして、しばらく回避に徹した。

 一方アイシアはユーベルコードの発動に手間取っていた。ロジャーに武装を装着するにはあまりにも時間がない。暴徒鎮圧弾も味方がいる事を考慮すれば安易に使えず、そもそも催涙弾や閃光弾が本に効くか分からないからだ。必殺の技を持っているだけに、使えないのがもどかしい。
 アイシアはバズーカの風圧で頁嵐を押し返し、今はチャンスを窺う。幸いにも自身に傷はひとつない。
「これからが本番だね、頑張ろうロジャー!」


●疾風
 全員が立ち回り重視した結果、図らずも統率のとれた行動となっていた。テンポは悪くないが、1冊破れば1冊本棚から飛び出てくる。埒が明かないとみたアルメリアは別々に戦っていたアイシアと匡に声をかけ、協力を提案した。
「一気に攻めましょう!私が注意をひきつけます!」
「ああ」
「了解ー!」
 アルメリアは一旦立ち止まり、あからさまに油断している様子を見せる。もちろん演技だが、所詮知識しか持ち得ぬ頭でっかちの本などに見破れるはずもなく。一斉に舞う頁、それは竜巻でも雨でも突風でもなく、大きな返しのついた錐となり対象を引き裂こうと襲いかかる。
 魔本の注意がアルメリアに向いている中、アイシアはスペシャルパーツに召喚に取り掛かる。流れ弾ならぬ流れ頁で詠唱が邪魔されぬよう、FMG-738で援護射撃する匡。この程度の数ならば弾も十分だと、一頁、運が良ければまとめて撃ち落としていく。そして、この好機に召喚されたのは……両腕に装備するシュレッダー!
「コール・スペシャルパーツ!合体だよ、ロジャー!」
「水気も火気もスルーしてそういう物が来るのか」
「有効な事に変わりはないから大丈夫!さぁ、あの古本お化けを紙くずにしちゃえ!」
 キュィイインと駆動音を鳴らし、ロジャーはアルメリアを追う頁の白に突っ込んでいった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

霄・花雫
この手の敵は初めてじゃないし、しっかり仕留めて大元を叩きに行かなくっちゃねー。
あたし本好きだし、ほんとはあんまり本ダメにしたくないんだけどさー……でも、やらなきゃやられるのはこっちだし、覚悟決めなきゃ。
ってワケで。

「行っくよー姫ねえさま! ずぶ濡れにしちゃお!」

水の精霊姫を喚ぶことにする。
だって本だもん。紙とインクでしょ? 紙もふやけてインクも滲んじゃえば、魔導書としての体裁を保てなくなるんじゃないかな。
下手に切り離しちゃってページ単体とかで動いても怖いし、水の竜巻に閉じ込めて、しっかりしっとりびしょびしょにしちゃうよ。



慣れた動きで容赦なく魔本に水の魔法を撃ちこむ霄・花雫(霄を凌ぐ花・f00523)。心境は少し複雑だ。空想の世界へ誘い、多くの知識を齎す本は大切にしたいと思う反面、やらなければこちらがやられてしまう。覚悟を決めてエレメンタルロッドに魔力を伝えれば、水の精霊姫が呼応する。
「行っくよー姫ねえさま! ずぶ濡れにしちゃお!」
 頁を舞わせ鋭利な刃を放っていた魔本は一度全ての頁を元に戻し、続いてぱらららと新たな詠唱を始めた。するとじわじわと文字が集まり、インクが浮き上がってくるではないか。滴ったインクで濡れた石の床は、シュゥーと音を立てて溶けている。喰らえばひとたまりもないだろう。
 魔本の詠唱に遅れることほんの1秒以下。召喚に応じた精霊姫は空気中の水分が集め、清浄なる青の竜巻を産み出していた。インクと水、お互いの攻撃手段は同じ分類でも、そこには決定的な違いがある。
「――可哀想だけど、もう読めないようにさせてもらうね。滲んじゃえ!」
 ぶんっ、と杖を振るい花雫が合図を出すと、ほぼ同時に発射された黒と青の激流がぶつかり合う! ぐいぐいと押して、押されて。飛沫は術者にも飛んでくる。それこそが違い。猟兵の元に届くインクは水によって薄まりほぼ効力を失っていたが、魔本のほうはそうもいかない。薄まれば薄まるほど、ふやけて重くなっていく。勢いが徐々に弱まる黒の激流を、青の竜巻が一気に飲みこんだ。
 ぐちゃぐちゃになった本は、もはや本の体裁を保ってはいなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイシア・オブリオン
シュレッダーの腕をブン回して大暴れ……じゃ、まだ足りない。
もう一手打って、戦況を確定させなきゃね!
よーし、ここは一つ援軍といこっか!
コール・ロジャーレギオン!
皆で襲いかかれ!
数には数、仲間が遠慮なく戦えるように、私も自重とかそういうのを投げ捨てていくよ!
いっけえロジャー、あの本棚ごとシュレッダーしちゃえ!


ネラ・イッルジオーネ
本のオブリビオンはすごく燃えやすそうですね。

数が多いのでしたら、こちらも数で応戦するのが有効と思いましたので、他の方の後方から、ユーベルコード「ウィザード・ミサイル」で本の数を減らす事を優先します。

敵の行動に隙があった時や余裕がありましたら、二回攻撃で再度ユーベルコードを撃つ事にしますが、もしも本が近づいてきた時は杖で叩き落とせば良さそうですね。


グウェンドリン・グレンジャー
あー……これが、例の人を食べる本……

ブラッド・ガイストを発動。
(腰から翼状のブレードを生やして)
血の味がしないものは、美味しくない。不味い。
けど、倒さないと……

捨て身の攻撃技能で、ブレードを本そのものに刺してダメージを与えてみる。
相手が魔書の記述を使ってきた場合は、溜めの間に死角に入って暗殺技能で攻撃。

回避は、空中戦技能で上方向に。
空中にいる時狙われたら重力のまま落ちて避ける。

(紙もぐもぐ)
やっぱり、美味しくない……


ディアリス・メランウォロス
いやぁ酷い迷宮だった。先に行った皆よりも遅れをとってしまったがここから挽回させてもらいたいものだね。
敵を攻撃してからの挨拶とさせてもらおう。
皆、加勢させてもらうよ。よろしく頼む。

黒剣でユーベルコードを使用して粉砕していこう。
迷宮が崩れないように叩きつけないとね。

皆の死角やページを開く挙動をしている敵を中心に攻撃していくよ。
敵に隙ができたらそこも狙おうかな、皆の攻撃を邪魔しないならね。

よし、お嬢様へ良い報告ができるように頑張ろう。


リリー・ベネット
やむを得ません。
戦いましょう。

ふむ……敵の攻撃は案外見破りやすいですね。
これなら少し時間をかけても問題はないでしょう、躱しながらガジェットショータイムで召喚した「何か」の使い方を考えます。

……これは、ぬいぐるみ型の蒸気機械?
本体にスイッチは見当たらない……口は開けられる仕組みのようだけど無理矢理開くことはできない……。
きっとどこかにスイッチが……。
! 尻尾に可動性が見られる!
これがトリガーですね!
尻尾を引っ張るとぬいぐるみの口から噴出口が出る仕組み!
敵に向かって突きつけ、更に尻尾を引けば、攻撃できるばす!

これは、火炎放射器だったんですね!

本が相手であれば効果はあるのではないでしょうか?




 避けて、躱して、また避けて。次から次へと本棚から飛び出してくる魔本の群れを避けながら、対処を考えるリリー・ベネット(人形技師・f00101)。先行組より遅れる事数分。共に迷宮を駆け抜けてきたディアリス・メランウォロス(羅刹の黒騎士・f00545)の豪快な薙払いの影で、ガジェットショータイムを唱える。ポルルルルルン♪と軽快な音を立て呼び出されたそれは、ぬいぐるみ型の蒸気機械。
「使い方がわかりませんね……きっとどこかにスイッチが……」
 あちこち触れて仕組みを解明するまで、まだしばらく時間がかかりそうだ。その間も魔本の猛攻が止む事はない。
 ぬいぐるみと格闘するリリーの盾となるように、ディアリスは複数巻で連携を図る魔本を、黒剣で背後の本棚ごと一刀両断した。迷宮を崩落させぬよう適度に手加減しているものの、戦場である図書広間は大きく揺れる。黒剣を叩きつけた本棚は陥没し、歴史ある書物、あるいは人喰らう魔本は圧殺された。少々ヒヤリとしながらも黒剣をギュッと握り直し、リリーに声をかけてみる。
「そちらはどうだろう」
「ここがこうで……尻尾に可動性が見られる!これがトリガーですね!」
 尻尾を引っ張ると、ぷしゅーっと蒸気が音を立て、ぬいぐるみの口から噴射口らしき機構が現れた!直感的に次の挙動を予測したリリーは、噴射口を魔本に向けて更に尻尾を引く。一気に煙る蒸気、想像以上の業火。蒸気の湿気と全てを燃やし尽くす程の炎で、飛ぶ力を失った魔本達はバタバタと地に落ちていく。それはまるで死ぬ間際の蝶のよう。
「火炎放射器ですね!残りもどんどん燃やしちゃいましょう」
「私もびりびり引き裂いていこう」
 塵紙はよく燃えた。

 壁を背にして、死角を減らす。円筒状の部屋で前だけ見ていれば良いのは、単純ながら有効な戦術だ。魔本はとにかく数が多い。全方位からの攻撃を捌くのは面倒臭いこと極まりない。
「本の魔物ってすごく燃えやすそうですね。こちらも数で応戦しましょう」
 ウィザードロッドで近づいてきた本から叩き落していくネラ・イッルジオーネ(サンツィオーネ・ディ・アニマ・f06949)。遠くで詠唱を始めている魔本はウィザード・ミサイルで的確に撃墜。一度火のついた紙束は狂ったように暴れ、散った火の粉が更に他の本を燃やしていく。
 冷静な状況判断から繰り出される連続技で、たちまち数の有利を失った魔本は逃げるようにして別の標的に向かおうとするが、ネラに背を向けたが最後。
「逃しません。もう一度いきますよ」
 背表紙に追撃の炎塊を飛ばし、飛ぶより早く息の根を止める。周囲を焚書の山を一瞥し、ネラは味方の援護に走った。

 シュレッダーを装着したロジャーは魔本の群れに突っ込み、魔力を放出する隙も与えず塵を生み出していく。集約された知識をも引き裂く剛腕の後方、アイシアも多機能支援バズーカの砲撃で道を切り開いた。
「いっけぇロジャー!あの本棚ごとシュレッダーしちゃえ!」
 自重を投げ捨て身に着けた装備ありったけを展開、操作し、加えてロジャーへの指示もしなければならず非常に忙しい。単独で先行させれば自然とアイシア自身の守りは手薄になる。背後から静かに忍び寄る魔本に気付いた時には、鋭い感覚が体に走る。見れば作業服のわき腹がスッパリと切れていた。この程度で済んだのは、アイシアの経験からくる勘に寄るものだろう。
 バズーカ本体を振り回し、周囲で煩わしく飛ぶ魔本を殴打して身を守る。ロジャーも本棚ごと破壊を進めているが、この程度では、まだ足りない。
「数には数だね。これは援軍が必要か……皆来て!コール・ロジャーレギオン!」
 呼び声に応え、召喚された書型の量産型ジョリー・ロジャー。その数90体。囮としても戦力としても十分な数だ。心強い仲間と共に、アイシアは次の敵に狙いを定める――。

 最初は、ただ切れた感覚しか認識できなかった。続いて鈍くじわじわと傷口から血が染みる。ここで漸く、グウェンドリン・グレンジャーは自らの身体に起った事を理解した。魔本は猟兵の知識を食べようと、刃で細切れにしようとしている。そうして弱ったところを、骨まで残さず平らげる気なのだと。
 腕をじんわりと濡らす鮮血をグウェンドリンは指でなぞり、自らの血を味わう。
「血の味がしないものは、美味しくない。あなた達に血はあるの?」
 言い終わるより先に、グウェンドリンの身体はメキメキと音を立て、腰から翼状のブレードを生やし殺戮捕食態へと覚醒する。禍々しさと戦闘力を増した自身を武器に、群れの中に捨て身の突撃をしていけば、ブレードを突き刺した部分からインクの血をまき散らしビクビクと震え動かなくなる魔本。接近されてはひとたまりもないと読んだ一冊が、遠方より魔書の記述を探しだす。紙の本であるがゆえに、一発で目的の頁を開けない。それが仇となり。
「隙あり……」
 腰を低く屈め死角に入り、勢いをつけて跳ね表紙を切りつける。目的の頁を開くことも出来ず、魔本は息絶えた。


 ネラとリリーの火を受けて、本棚はじわじわと炎の強さを増していった。広がる延焼に耐えきれず、本棚から抜けて逃げ惑う小説、絵本、辞典、歴史書、参考書、図鑑、その他諸々書籍。炙り出されたものから一冊ずつ粉砕し、切り捨て、貫いて頭数を減らしていけば、一冊の力は猟兵に遠く及ばない魔本に勝ち目はない。ここまでくれば量産型ロジャーの方が余程多く、強く見える。
 現状を死書累々と表現すれば良いだろうか。かつて読まれ人々に知識を与え続け、最期には知識に呑まれた魔力と叡智の集合体は、最早古紙にも出せない状態に成り果てていた。
「大方片付いたでしょうか」
「もうこいつらは紙くず同然だね。私達の勝利だよ!」
 ネラの問いかけにアイシアが元気よく答える。やがて炎は静まり、熱がひくと共に訪れる静寂。安堵するリリーたちの横でもしゃもしゃとただの散り紙となった本を食べてみるグウェンドリン。当たり前ではあるが食用ではない。
「やっぱり、おいしくない……」
「そうでしょうとも」
 すかさずつっこむディアリス。二人のやりとりに、誰からともなく笑みが零れる。そんな和やかな雰囲気も束の間の事、迷宮全体が哭いているかの如き轟音が鳴り響く!
「本命が来たようですね。やむを得ません、戦いましょう」
 ゴゴゴゴと響く振動が止んだ。どこから来る?身を寄せ合い警戒する猟兵達……そして気付いた。敵は視界の先でなく。
「上ッ!」
 天井を破り現れた黄金の竜が、空気を凍らせる。この正念場を、彼らは如何にして潜り抜けるのか――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『錬金術ドラゴン』

POW   :    無敵の黄金
全身を【黄金に輝く石像】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    ドラゴンブレス
【炎・氷・雷・毒などのブレス】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    アルケミックスラッシュ
【爪による斬撃】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に錬金術の魔法陣を刻み】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:V-7

👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


金色の巨体に邪紫の翼、意思を持たぬ石の心臓を携え、図書広間に降り立つドラゴン。虚空を見つめる宝石の双眸は迷宮の灯りを反射し瞬いたように感じる。実際はただそこに嵌め込まれているだけなのに。
 オオオオォォォ! と鼓膜が破れるのではという凄まじい咆哮をあげ、猟兵達に牙を剥いた。

 君達は動き回るのになんら支障はないこの図書広間で戦ってもいいし、迷宮の通路に誘き出し罠にかけてもいい。
 目的はこのドラゴンを倒し、宝などないと証明する事だ!
アイシア・オブリオン
ドラゴン……! でも負けないよ! ロジャー、皆! あいつをやっつけよう!
まずは武装の換装! コール・スペシャツパーツ!
あのドラゴンに有効な武装と合体し直すよ、ロジャー!
準備が出来たらドラゴンを迎え撃たなきゃね。
まずはロジャーの巨体を活かして格闘戦を挑むよ。
私だけが戦ってるんじゃない、ロジャーで取っ組み合えば、仲間が手痛い一撃を加えるチャンスだって増えるよね。
さあ、いくよロジャー! アイツに隙を作るんだ!


ニコラ・クローディア
脱出パックを届けに戻っていたら遅れたが、なぁに、真打は遅れて登場だ!
錬金術で生成された紛い物のドラゴンなんぞが、調子に乗るんじゃあないよ!
「せめて人語を獲得してから出直すことだなぁ、オブリビオン!」
ドラゴニアン・チェインで互いを接続し、その鎖を用いた三次元機動で翻弄しつつ【グラップル】で白兵攻撃。【マヒ攻撃】も乗せてドラゴンの動きを縛ることを目標に貫手などで【串刺し】にしたり【勇気】でもって多少の無茶は貫き通してみせる。
攻撃の主力ではなく、最前線での囮と相手へのデバフが主目的。
アドリブ、他猟兵との絡み歓迎



迷える生徒立ちの為、探索中に見つけた脱出パックを届けに入口まで戻っていたニコラ・クローディアは、響く咆哮を頼りに迷宮を駆け抜け図書広間に漸く到着した。眼前に広がる本の残骸と、目に痛いほどの輝きを放つドラゴン。その容貌を鼻で笑い、堂々と啖呵を切っていく。
「煩い! せめて人語を獲得してから出直すことだなぁ、オブリビオン!」
 広い空間を活かし、縦横奥行を隈なく移動し翻弄すれば、黄金竜はあらゆる攻撃から身を守る為に全身を黄金の石像に変える。全く動けない事以外、無敵の要塞のようにも思えるが……。
 一方のアイシア・オブリオン。短期間で数々の迷宮を駆け抜けた彼女にとって、番人たるドラゴンと対峙するのも初めてではない。この窮地を脱する方法を、頭の中で既に思い描いていた。魔本を散り散りにしたロジャーの武装を換装し、対ドラゴン兵器を召喚する。
「金といえば柔らかい、だったらコレだね! コール・スペシャルパーツ!」
 錬成陣がロジャーを中心にして床から浮かび上がり、腕には新たに大鎚が装着された。単純ながらも高い攻撃力を持つそれは、小細工なしの現在のロジャー最大火力を引き出せる装備。ドラゴンの正面をとり迎え撃つ。
「いっけぇロジャー!」
 鎚をわざとらしく大きく振い、黄金竜に危機感と逃げる余裕を与えれば、予測通り石像化を解き回避を目論む。その愚直さに思わず笑ってしまいたくなるニコラ。所詮は紛い物の竜、本物とは格が違うのだ。既に足元にはニコラの放ったドラゴンオーラを纏う鎖が配置され、金の露出を待つばかり。ロジャーの鎚に釘付けでは、絡めとらんとするドラゴニック・チェインに気付けるわけもなく。石像化を解き後退しようとした身体は身動きがとれず、そのままロジャーの腕鎚が脳天を直撃した! 派手な打音と土埃をあげ、床にめり込む巨体。歪む造形に勝利の片鱗を見たニコラは、続けざまに鉤爪に仕込んだ麻痺毒を食らわせようと近づく。あと一歩と迫ったその時、地面から強烈なブレスが吐きだされ二人の間を掠めた! 炎と水を煮詰めたような死の熱線は、無差別に周囲に当たり部屋の崩壊を進めてゆく。この図書広間があとどれだけ持つか。ごしごしと頬の熱を拭い、黄金竜を睨みつける。
「調子に乗るんじゃあないよ!」
「この程度じゃ負けないよ! 今度はもっと強烈な一撃をお見舞いしてやるんだ!」
 ロジャーの体を組みつかせ再び身動きを封じようと試みるアイシアと、グラップルによる白兵戦で後続を守るニコラ。隙さえ作れたならチャンスはあると、名も知らぬ猟犬との共闘で感じた二人は、どちらが言いだすわけでもなく黄金竜の手足を、口を、翼を絡め取っていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

グウェンドリン・グレンジャー
ドラゴン!……でも、可食部はない、と認識
きっと歯が欠ける。永久歯は……大事
(結局紙は飲み込んだ)

私は図書広間で戦う
さっきも本気、だったけど……もっと、本気でいく
(真の姿:目が赤く、翼がより大きく鋭くなり)

Mode:Mórríganと空中戦を使い、上方向の死角に回って暗殺と捨て身の一撃で攻撃
無敵の黄金を使っている場合は鎧無視攻撃も乗せる

アルケミックスラッシュが失敗していて、錬金術の魔法陣が地形に刻まれていている場合は
Ebony Featherで一部傷つけて効果が減衰しないか確認

私……は、これ以上任務継続、困難
なので、皆の勝ち筋を、今のうちに、見つけておく……


ディアリス・メランウォロス
中々大きな敵が現れたね、ここの主かな?
何にせよこのままでは済ましてくれそうにないね、それでは…ドラゴン退治だ。
引き続き黒剣で叩き斬る方向で行こうと思うけど後衛にいる皆に攻撃が向かないように動かないとね。
黄金に輝いてる時は危なそうだから近寄らずに観察しようかな。
魔法陣に立とうとしたら攻撃して気を逸らさせようと思うよ。

宝石のような部分もあるし、砕ける時はさぞ美しいだろうね。
 



ごくり。魔本の本文を咀嚼し、飲みこんだグウェンドリン。現れたドラゴンにさして驚いた様子もなく、じっくりと観察してみる。生憎と食べられそうなところは見当たらない。
「……可食部なし。齧ったらきっと欠ける……永久歯は……大事」
 本来のドラゴンであればステーキに煮込みと美味しく調理も出来たかもしれないが、残念なことに偽の金で造られた体はどうやっても無機質なままだ。残念そうに溜息をつき、興味をなくしたグウェンドリンは真の姿を開放した。瞬きの間に金から赤に変わった瞳は、燃え盛る炎か、あるいは渦巻く鮮血か。腰から生えた翼はより鋭利さを増し、自身を包み込む程に大きくなる。刻印は闇より濃く光り、戦闘力が向上したのは誰の目から見ても明らかだ。もちろん対峙する敵もそれは感じ取っている。先制を成功させた猟犬の鎖と鎚腕で、よろめく巨体。倒れ込まれてはひとたまりもないと、空中を蹴り、見えない足場を翔ける。
「刻印限定解除……今から私は凶鳥になる」
 真の姿の開放によって増強された脚力は、ドラゴンの背後を狙うには過剰すぎる力。Mode:Mórríganで空中を回転、ステップ、急降下。位置を調整し死角を取る。鍛えられた暗殺技能をブレードに乗せ致命傷を狙うが、何しろこの巨体、一撃で刈り取るには大きすぎる!力任せに拘束を振りほどき、黄金竜は鉤爪をグウェンドリンに振り下ろした。

ガキィィン!!

 金属のぶつかりあう音が図書広間中に反響する。鉤爪はグウェンドリンと黄金竜の間に割って入ったディアリスの黒剣に受け止められた。しばしの鍔迫り合い。競り負けるわけにはいかないと、ギュッと強く柄を握り、弾くように軌道を逸らせば、流された鉤爪は地を抉り黄金竜の破壊力を見せつける。
「このままでは済ましてくれそうにないね。では……ドラゴン退治だ」
 豪快な剣戟で黒剣を振るうディアリス。動きはただ斬るのではなく、叩き斬るもの。潰し、ねじ伏せる力強い一撃。砕ける時はさぞ美しいのだろうと、仄かに期待しながら少しずつ壊していく。
 黄金竜も黙ってやられはしない。その重量に見合わぬ動きで宙に浮いたかと思えば、身体を石像に変え圧殺を狙ってくる。ドシンと地を揺らし着地すれば、途端展開する錬金陣。目に痛い光線を放ち、黄金竜は自らの能力を増強する。鍍金の鎧を無視すべく放ったグウェンドリンの黒き羽根Ebony Featherが錬金陣を削るも、石像化を解いた黄金竜は既に固さと速さを兼ね備えていた。
 羽根の斜線上を抜けて回り込むディアリスの後ろには、まだ戦える猟兵がいる。真の力によって疲労の蓄積されたグウェンドリンを気遣えば、状況に似合わないぼんやりとした返事を返された。
「私は……これ以上任務継続、困難。でも、勝ち筋は、見つけた」
「教えてくれるかい?白と黒のお嬢さん」
「……尻尾の付け根、もうヒビが入ってる。そこを狙えば……」
 再び振るわれる黄金竜の鉤爪を受け流し、教えられた箇所を確認してみれば確かにそこには大きな亀裂が走っていた。
「なるほど。ありがとう、狙ってみるよ。あなたは少し下がっていて」
 ディアリスの進言に無言で頷き、場外に離脱するグウェンドリン。彼女の脱出を見届け、忠義の黒騎士は黄金竜の尾に向けて斬り込んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リリー・ベネット
遅れてしまいました。
助太刀します!

ドラゴンも大分弱ってきたようですね。
私は人形のアントワネットとフランソワーズと戦います。
輝いている時は様子見、広範囲の無差別攻撃の際は「怪力」で人形を引き寄せ逃げます。
アントワネットを前線に出し、「フェイント」でフランソワーズで攻撃しましょう。
ユーベルコード「歌う人型機械人形」の斧槍で力を増幅させて攻撃です!

……仲間のおかげで敵の弱みも見つけられたようですね。
そこを叩いていきましょう!

「アントワネット、フランソワーズ……行きますよ!」

ここでケリをつけましょう!



再び迷宮を揺らす咆哮。巨躯から金箔を零し、メッキの禿た爪で猟兵達をえぐり殺さんと襲いかかる。後方より状況を分析していたリリーは、その動きが緩慢になっていると見極めた。ほんの少し、しかしそれが命取りになると知っている。だからこそ敵が次にとる行動も予測できた。
「アントワネット、フランソワーズ……いきますよ!」
 リリー自身の手で組み上げた二体の機械人形で黄金竜を引き付け、タイミングを計りフェイントを仕掛ける。宙を舞うフランソワーズと、並び立つアントワネット。人形の体一つ分アントワネットが前に出れば、鉤爪の軌道は想定通り横に薙ぎ払われる。裾を捕えた凶刃が服を引き裂かんとするが、そうはさせない。聞こえるか聞こえないか、ともすれば二体にだけ聞こえる詠唱を紡ぐリリーと、命を受け取る人形。いつの間にかフランソワーズの手には漆黒の斧槍が握られていた。ぐい、と糸を引く動作でリリーが狙いを絞り、動作に合わせフランソワーズの両腕が振り下ろされる!
 金の腕に深く食い込む斧槍。赤い血潮は出ない、代わりに流れ出るのは水銀の血。錬金術に使われるという有名な素材だ。
 黄金竜は右腕を、更には先程見つかった敵自身にも気付かれていないだろう尻尾のヒビを受け、勢いこそあるが満身創痍状態。
「ドラゴンも大分弱ってきたようですね」
 生の天秤は、こちらに傾きはじめた。次の猟兵で、トドメをどうか。それがせめてもの慈悲だと……そう感じたのは一体だぁれ?

成功 🔵​🔵​🔴​

ニコラ・クローディア
「オレサマの真の力、その一端を開示してやろう……!」
言葉とともに真の姿、つまりはドラゴニアンを越え、竜としての己の姿を開示する。竜派とも人派とも言えない異形の姿。手指は完全に竜のソレと化して鱗を纏い、頭部にも4本の角が生えて瞳は爬虫類に近い形になる。
「尻尾のほうがもう限界らしいなぁ?」
これまでの【グラップル】に加えて【カウンター】で手数を稼ぎ【高速詠唱】した魔術による【2回攻撃】【スナイパー】も追加。多少の反撃は【激痛耐性】でスルー。
怯む様子があれば使い魔の双子竜を召喚し槍に変じさせてのドラゴニック・エンドを叩き込む。
きっちり決まれば槍が直撃した箇所を双子竜が攻撃して止めをさしてくれるはず!


鳴宮・匡
っと、遅れたかな
ま、許してくれ、その分の仕事はするさ

拳銃での狙撃でダメージを与えていくよ
狙う箇所は既に傷のある部位
……尾の付け根、ね。そこが一番わかりやすいかな
他は狙えるなら眼あたり
わかりやすく軟らかくて、ダメージを入れやすいからな
視界も奪えるし、悪いことはないだろ

さて、何処を壊せば死ぬんだろうな
意識的に庇う部位はないか?
逆に、無意識に守ろうとする箇所でも構わない
小さな違和感も見逃さずに弱点を探るよ

弱そうな所を見つけたらすかさず狙撃
全神経を集中させて撃ち抜くぜ

……うん、でかい的でも殺せるな
この感覚を忘れずにものにしよう

◆真の姿
外見は変わらず
目が微かに青色を帯びる



なんと哀れな姿だろう。竜の矜持を持つ『本物』として、偽の黄金『竜』にはいっそ怒りすら覚えるニコラだった。竜ならば弱みを見せてはならぬ、誇り高き我らが種族に、かような紛い物は必要ない! 無意識に口角があがり、強者の笑みを浮かべる。このドラゴンにもなりきれぬ者に、最後に見せてやろうと思った。竜とは何か、その意味を。
「オレサマの真の力、その一端を開示してやろう……!」
 冥土の土産だと言わんばかりに竜の力を開放したニコラは、メキメキと音を立て異形の姿に変わってゆく。白魚のような手指には鱗を纏い、柔灰の髪を掻き分け4本の角が伸びる。爬虫類を思わせる瞳を湛え、素早く黄金竜に詰め寄った。狙いはもちろん、尾。
「尻尾のほうがもう限界らしいなぁ?」
 叩き付け、薙ぎ払い、ブレス。手負いの獣が攻撃的になるのと同じく、黄金竜もまた荒々しく連撃を繰り出す。躱す事もせず真正面からそれを受け止めた。衝撃を吸収する動きで黄金竜を懐まで引き入れたら、金腕を土台にして振りかぶり、強烈なカウンターを決める。そのまま弾けるように後ろへ跳躍し、着地するより早く高速詠唱からの二回攻撃で追い詰めてゆく。炎の矢は黄金に深々と突き刺さり、オオォォォと叫び声を上げのたうち回った。
 巨体が暴れ図書広間の壁や天井が崩れていく。このフロアもそう長く持たない。本棚がニコラと黄金竜の間に倒れ込み、両者の間合いが崩れる。中距離ならばお互いとれる行動は限られる中、ニコラの後方から何か――、三発の弾丸が飛び出した。弾丸は本棚に当たると炸裂し、障害物を破壊する。

 舞い上がる土埃と紙屑に紛れ、足音もなくニコラの隣に立つ匡。彼もまた真の姿を開放していた。姿かたちは変わらず、ただ瞳に青を溶かしている。
「……遅い」
「はは。ま、許してくれ。その分の仕事はするさ」
「当たり前だ」
 構えたまま軽口を叩きあい調子を確かめたら、もう負ける要素は何もない。どちらからともなく背を預け、視界が戻るのを待つ。しばしの静寂の後、先に動いたのは黄金竜。ヒュウッと息を飲む音。自らを焼く炎を消すと同時に、対象を凍てつかせる氷の吐息を極太のビームのように収束させ吐き出した。音と傭兵としての戦闘知識から、匡は横に転がり、ニコラは直前で見切り飛翔で回避する。ブレスは縦に横に、鞭のように暴れまわって規則性は見当たらない。が、来る方角は分かっている。吐きだされるブレスから位置を割り出し、二人はは二手に分かれた。こうも視界が悪くては黄金竜も猟兵を視認できない。足音を立てないよう、ニコラは静かに尾側に回り込んだ。前方には匡、尾を任せ一点だけに狙いをつける。
 やがて開ける視界。黄金竜と向かい合った匡は、冷静に、冷徹に、FMG-738の引き金を引いた。軌道は真っ直に、鈍く輝く金の眼を射抜く。今までの咆哮とは違う、耳を劈く金切声を上げ後退する黄金竜。槍に変じた双子竜を持つニコラが待ち構えているとも知らずに。
 見えなければ避ける事も出来ない。魂の篭もったドラゴニック・エンドが直撃した黄金竜の尾は、ピキキッと音を立て切断、粉砕された。より一層唸る、吼える。竜の威厳などそこになく、壊れた錬金品と成り果てて。片目から水銀の血を流す姿に確かな手ごたえを感じていた匡は、ついに慈悲を与える。
「見えた。そこだな」
 地上から放たれた銃弾は黄金竜の胸を貫き、頭まで到達した。詰まった弾丸は熟れすぎた果実のように頭を割り吹き飛ばす! 粉々に砕かれた頭部は黄金の欠片となってフロアに散らばった。やがて秘術の力を失った仮初の金は、ただの土塊に戻っていく。


 猟兵達は見事、地下迷宮に潜む災魔を討ち取った。しかし、黄金竜はほんの序の口。この迷宮からの挨拶に過ぎない。奥深くにはまだ見ぬ冒険が待ち受けているのだから――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2018年12月29日


挿絵イラスト