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白と紫のメール

#UDCアース #宿敵撃破

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#宿敵撃破


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『ゆかりちゃん ゆかりちゃん あそびましょう』
『ましろちゃん ましろちゃん どこにいるの?
 おしえてちょうだい おむかえにいくわ』

 グリモアベースに呼ばれて行くと、九瀬・夏梅(人間のシーフ・f06453)がパソコンを前に難しい顔をして座っていた。
 睨むような表情に、声をかけづらいとしばし待っていると。
 ようやく夏梅が気付き、よぅ、と軽い挨拶から話を始める。
「学校で邪神復活儀式が行われようとしてる」
 それは、UDC怪物の出現が頻出してきているUDCアース世界の事件。
 高校生の間に広がるある噂が、邪神復活を狙う者に仕組まれたものだという。
 曰く。
 噂にある通りに、パソコンを使った簡単な儀式を行う。
 すると、パソコンの画面から怪異が現れ、儀式を行った人は神隠しにあってしまう。
 でも上手く逃げ出せれば、あり得ない程の幸運を授かることができる。
「危険が伴うからこそ、授かるモノが大きい……だそうだ」
 理解できない、といった表情で告げる夏梅。
 まあ、おまじない好きはどの学校にでもいるだろうし。
 ちょっとしたスリルを求める人も少なくないだろう。
 受験シーズンなこの時期、あやかれるものにはあやかりたい、というのもあるか。
 何はともあれ。高校生達が儀式を行ってしまう前に、神隠しの正体を突き止め、怪異なるものを退治する必要がある。
 そのためには、噂の内容を詳しく知る必要もあるのだが。
「噂は、ちょっと調べればすぐに分かる」
 何故か夏梅は詳しい説明を省いて。
「ああ、もちろん現れる怪異ってのはオブリビオンだ。
 気兼ねなく倒しといてくれ」
 ひらりと手を振り、説明を打ち切ると、再び難しい顔でパソコンに視線を戻した。
「で、コレは何なんだい?」
 ……その一言で猟兵達は理解する。
 夏梅は噂の説明をしなかったのではなく。
 噂の内容を理解できていないのだ、と。


佐和
 こんにちは。サワです。
 夏梅はアックス&ウィザーズ世界の出身です。機械に弱い。

 第1章では噂を調査して儀式を実践。
 第2章・第3章で、現れたオブリビオンとの戦闘となります。

 噂が広がっている某高校には、パソコン室もあります。
 授業がない時間は解放されていて、学生は自由に使える状態です。
 利用率は低いようですが、そこで儀式をする生徒がいるかもしれません。

 それでは、あそびのおさそいを、どうぞ。
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第1章 冒険 『画面からの怪異』

POW   :    儀式を行おうとする高校生を強引に引き止めたり、囮役で自ら儀式を行う

SPD   :    高校生の学校に潜入し情報を集める

WIZ   :    インターネットで更に詳しい情報を集めたり、噂の発生源を突き止める

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

平賀・美汐
怪談の時期にはちょっと早いんじゃない? それも小学生ならともかく高校生がはまるなんて、子供っぽいのね。私の方が大人じゃないかしら?
でもまずは情報を集めなくちゃね。・・・高校生のふりをして入りたいけど、私、高校生には見えないわよねえ・・・。仕方ないわ、高校生のお姉ちゃんのところに用事があって来た小学生のふりをして、高校に入り込みましょ。お弁当を忘れたから届けに来たとか口実をつけて。
それで、お姉ちゃんを探すふりをしながら、教室や中庭なんかで高校生達ので噂話に聞き耳を立てて情報を集めましょ。興味津々なふりをして、噂話してる高校生達に聞いてみてもいいかも。



(「怪談の時期にはちょっと早いんじゃない?」)
 話を聞いた平賀・美汐(幼い探索者・f06401)がまず抱いたのはそんな感想だった。
 確かに、おまじないをした人がいなくなるなんて、怪談でしかない。
 そんなものをやってみようだなんて。
(「それも高校生がはまるなんて……案外、子供っぽいのね。
 私の方が大人じゃないかしら?」)
 年齢的には小学生になる美汐は、楽しそうに友人同士で話す高校生達をそっと眺めながら、某高校の中庭を歩いていく。
(「私、高校生には見えないわよねえ……」)
 本当は、この高校の制服でも着て潜入したかったところだけれども。
 きょろきょろと誰かを探すように辺りを見回して『姉が忘れたお弁当を届けにきた妹』を演じながら、美汐が注意を向けるのは、飛び交う幾つもの会話。
「ねえ、おまじないメールの話、聞いた?」
「聞いた聞いた」
「え? 何それ?」
 そのうちの1つに探していた噂の気配を感じて、美汐はさり気なくその女子高生達の近くで足を止めた。
「おまじないの方法は簡単。パソコンでメールを送るのよ。
 宛先には『紫』ってアドレスでもない漢字を入れる、本当なら送れないメール」
「だけど、そのメールが送れて、しかも返事が届いたら……」
「メールした人が神隠しに遭っちゃうんだって」
「えー。それじゃ、おまじないじゃないじゃない」
「それがね、怪異から逃げられたり、神隠しから帰ってこれたりしたら……
 すっごいいいことがある、っていうのよ! 何が起こるのか気にならない?」
「それは気になるかも」
「どんないいことなのかなぁ」
 耳を傾ける美汐へと、話は弾んで続いて届く。
「そのメールって、本文は何か書くの?」
「うん。決まってるんだよね。
 えーと……何だっけ? 遊ぼうって誘うんだっけ?」
「全部ひらがなだったのは覚えてる」
「ちょっとぉ。肝心なところがボケボケじゃないの」
「だってぇ。気になるけどやってみるほどじゃないかな、って」
「何? やってみたいの?」
「それは、まあ……っていうか、分からない方が気になるわー」
「あー、でもみんな結構知ってる話だからさ、誰かに聞いたらすぐ分かるよ。
 そうだ、みんな知ってるといえばさ、5組のあの話なんだけど……」
 ひとしきり盛り上がってから、話はそこで終わり、次の話題へと移っていく。
 美汐もその場を後にして、他のグループの会話へと聞き耳を立てた。
 だが、タイミングなのか、場所が話題と合わないからか。同じ噂は聞こえなくて。
(「ここではこのくらいかしら」)
 美汐はそろそろかと偵察を切り上げる。
 先ほどの彼女達に聞き込みをしても、あれ以上の話は引き出せないだろうし。
 それに、口実は用意してあるものの、部外者があまり長くは堂々とうろつけない。
「神隠しのメール、ね……」
 小さく呟いた美汐は、高校生達の間を歩いて行った。

成功 🔵​🔵​🔴​

楠瀬・亜夜
オブリビオンの仕業と分かっていても
こういった類の噂はワクワクするものですね

【SPD】
利用者の少ないパソコン室……
儀式を試すには丁度良すぎる場所ですね
こっそり侵入してみましょうか

パソコン室に誰もいなければ適当なパソコンを起動し
噂を軽く検索してみましょう。
【聞き耳】を駆使しつつ捜査を行い
誰かパソコン室に来る気配があれば身を隠し
その人がなにをするかこっそり見学させて頂きます。



「オブリビオンの仕業と分かっていても、こういった類の噂はワクワクするものですね」
 くすくすと小さく笑いながら、楠瀬・亜夜(追憶の断片・f03907)は薄暗い中でキーボードを叩いていく。
 そこは某高校のパソコン室。
 休み時間ゆえに授業はなく、休み時間だからと来る生徒もいない。
 校舎の端にあり、窓の外は裏山という、どこか不便な立地のせいもあるのだろうか。
 他に誰も居ない部屋で、亜夜の操るパソコンの音だけが響いていた。
 人目のなさは、部外者たる亜夜が侵入するのにも好都合だったが。
「儀式を試すにも丁度良すぎる場所ですね」
 そんな感想も抱きながら、画面を注視する。
 そこには、亜夜の操作に応えて、検索結果が並んでいる。
 すなわち、パソコンで怪異を呼び込む儀式の詳細。
『宛先:紫 本文:ゆかりちゃん ゆかりちゃん 遊びましょ でメールを送る』
『メールはパソコンで送らないと駄目だって聞いた』
『ひらがなで送らないとゆかりちゃんは読めないんだって』
『テスト前だから幸運欲しい!』
『ちょっとゆかりちゃんと遊んでくる』
『これおまじないなの? それとも怪談話?』
『ゆかりちゃん ゆかりちゃん あそびましょ』
『送ったけど宛先不明で返ってきた』
『パソコン持ってない人、学校にあるよ。オススメ?』
『返事が返ってきたら逃げろ! ってことか?』
『隣のクラスの奴が、やってみるって言ってから学校休んでるんだけどもしかして』
 軽く検索をかけただけでこの情報量である。
 ざっと流し読みをしながら、亜夜は必要な情報を摘み取って。
 ふと、足音を聞き取り、とっさに机の影へと身を潜めた。
 がらっとパソコン室の扉が開き、蛍光灯のスイッチが押されて。
「ほら、開いてるだろ」
「本当だ。知らなかった」
「まあ、大抵の奴は使わねぇからな」
 響いたのは男子高校生らしき2人の声。
 だが、警戒する亜夜を余所に、2人はパソコン室に入ることすらなく、すぐに明かりを消して踵を返す。
「じゃ、放課後にやってみようぜ」
「おー。また後でな」
 そんな声が閉まる扉の向こうに消えた。
 遠ざかる足音が聞こえなくなるのを待ってから、亜夜はゆっくり身を起こして。
「放課後、ですか……」
 静かに呟くと、パソコンが並ぶ薄暗い教室をじっと眺めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイン・ローレンス
【SPD】
これは所謂「都市伝説」というものでしょうか。
学生たちが興味を持つのも仕方ないですね、私もこういう話嫌いではないです。
しかし危険な物とあっては放置は出来ません。

私は教育実習生として学校に潜入です。
スーツをきっちり着こなして、どこからどう見ても先生でしょう!
身長が高校生より低いって?
…目線が近いと親近感がわいて色々と聞けるかもって寸法です…。

おまじないや噂といえばやはり女の子たちが強いですよね。
携帯を弄っているグループに直撃です。
この学校で流行っているおまじないについて聞きたいのですが、
神隠しから逃れたら幸運になれるとか、色が関係あるとか…
私も興味があるんです。色々とお話しませんか?



「こんにちは。ちょっとお話、いいですか?
 この学校で流行っているおまじないについて聞きたいのですが」
 アイン・ローレンス(気の向くままに・f01107)は、携帯電話を弄っていた女子高生のグループに声をかける。
 不思議そうに顔を上げた彼女達が見たのは、スーツをきっちりと着こなして、穏やかに笑いかけるアインの姿。
「えっと……誰?」
「私は、今度この学校に来ることになった教育実習生です」
「え? 先生?」
「ちっちゃーい。カワイイ!」
 大人びた雰囲気を纏いながらも女子高生達より背の低いアインは、嘘の設定を疑われることなく、むしろ親し気に受け入れられた。
(「目線が近いのは、親近感が得られるからいいのです。いいのです……」)
 第一印象はばっちりと手ごたえを感じる中で、こっそりと哀しみが混じる。
 それを振り払うようにアインは笑顔を保って。
「神隠しから逃れたら幸運になれるとか、色が関係あるとか……
 私も興味があるんです。色々とお話しませんか?」
「いいよー」
 あっさりと女子高生達は頷いて、噂を語り出した。
「パソコンからメールを送るんだよね。ゆかりちゃんに」
「そうそう。あそびましょう、って」
「ゆかりちゃんは行方不明になった女の子なんだって」
「確か、小学生だよね。1年生」
「メールでゆかりちゃんを見つけよう、って話なのかな?」
「あれ? 見つかったからメールするんじゃなかったっけ?」
「えー、それは知らなーい」
「それで、ゆかりちゃんから返事が来たら成功だって」
「何か、メール送った人は、ましろちゃん、って呼ばれるんでしょ?」
「紫と白って、色合わせ? 変なとこ拘ってる話だよね」
 次から次へと出てくる情報は、アインが既に聞いたものもあれば、初めて聞くものもあり、楽し気に笑って見せながらも、聞き逃さないようにと注意を重ねる。
(「これは所謂『都市伝説』というものでしょうか」)
 その合間に、アインはふと、気付く。
(「学生たちが興味を持つのも仕方ないですね。私もこういう話嫌いではないです」)
 女子高生達は、アインに説明するというよりも、仲間と噂話をすることそのものを楽しんでいるのだ、と。
 この噂は、楽しい時間を共有するための話題の1つ。
(「とはいえ、危険な物とあっては放置は出来ません」)
 わいわいと盛り上がっていく女子高生達を眺めながら、アインは事件解決への決意を秘めて、穏やかに微笑んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

巵子・めあり
神隠しかぁ……経験者が語って聞かせてあげよっかな
その末路と成れの果てを

放課後にパソコン室へ
男子二名が儀式を始めようとする所にがらり、と突入

ねぇ?知ってる?
ウワサの続き。その末路

眼帯越しに得体の知れぬ【視力(めぢから)】の圧をかけながら

上手く逃げられなかった人はどうなったと思う?
怪異に捕まった人はね……奪われるんだよ

ぎょろり、と。眼帯越しにナニカが蠢き
ばきべき、と。マスク越しにナニカが裂けて

奪われたヒトはね
怪異と同じモノに成り果てちゃうんだ


ほら?……こんな風に、ね?


マスクをゆっくりと外し
大きく裂けた口を見せつけ……

って、あ。ここからが語りたい所だったのにー!
ま、儀式の阻止はできたし良しとするべし



「おい、早くしろよ」
「待てって。古いパソコンだから、起動が遅いんだよ」
 パソコン室で、男子高生2人のひそひそ声が聞こえる。
 別に放課後の使用が禁じられているわけでもなく、明かりも点けていて、こそこそする必要も意味もないのだが、何となく彼らの挙動は落ち着かない。
 それもそのはず。
 彼らは最近噂のメールを送ろうとしていたのだから。
 だが、その時。
 がらり。
 やたら大きく感じる音を立てて、パソコン室の扉が開かれる。
「……っ!?」
 驚いて振り向く2人に、巵子・めあり(口無・目有・f12616)はゆっくり語りかけた。
「ねぇ? 知ってる? ウワサの続き。その末路」
 黒いセーラー服に黒タイツ、黒い眼帯、黒いマスク。
 2つに結わいた赤い髪を揺らして。
 眼帯のない赤い左目だけで笑いかけて。
「上手く逃げられなかった人はどうなったと思う?」
 眼帯越しに、得体の知れぬ視線を向けると。
「怪異に捕まった人はね……奪われるんだよ」
 黒いマスクの下で、ばきべき、とナニカが裂ける音がした。
「奪われたヒトはね、怪異と同じモノに成り果てちゃうんだ」
 黒い眼帯の下で、ぎょろり、とナニカが蠢くように盛り上がった。
「ほら?
 ……こんな風に、ね?」
 そしてめありは、黒いマスクをゆっくりと外す。
 その下から現れた艶やかな唇が開かれて。
 開かれて。開かれて。
 頬まで裂いたように、大きく開かれて。
「う、うわああぁぁぁぁ!?」
 男子高生達は悲鳴を上げて必死に逃げ出して行った。
 後には、パソコンの画面が静かに輝くのみ。
「あ。ここからが語りたい所だったのにー!」
 その背中を見送って、めありは心底残念そうにぼやく。
 それでも、目的である、儀式の阻止はできたから。
 付け直したマスクの下で、大きな口が満足そうに、にたり、と笑った。

成功 🔵​🔵​🔴​

柊木・ましろ
怪異はゆかりちゃんとましろちゃんを探してるのかな。
全部怪異だったりして。なんてねー。

※カスミ・アナスタシア同行
【POW】
つまり、アドレスが紫で「ゆかりちゃん ゆかりちゃん あそびましょ」でメールを送ればいいんだよね?らくしょーらくしょー♪

「ゆかりちゃんに関しては情報が集まってるみたいだけど、ましろちゃんって何だろうね。ましろとおんなじ名前だから、ちょっと気になっちゃうよねー」
「ゆかりちゃん、ゆかりちゃん……と……」
「なんだかよくわからないけど、これでいいのかな?」

のほほんとしながら、放課後のPC室でメールを送信。
先に誰かが来ていたり、誰かが来る様子が見られれば、UCを使用して追い返す。


カスミ・アナスタシア
ゆかりちゃん、って名前は聞いたことあるけど……まさか、ね。

柊木・ましろ同行
【POW】
あんまり余裕こいて痛い目見ないようにしときなさいよ、まったく。
とにかくわかってる情報を頼りに、メールを送ってみましょう。

「確かに、出てくるのはゆかりちゃんの話ばかりね……」
(……ましろちゃん、ねぇ。別に変わった名前じゃないけど、そんなにありふれた名前かしら……)
「さて、どう来るかしらね」

ましろと反対に、警戒しながら儀式を行う。
誰かが来ていたり、来た場合はましろに対応を任せて儀式を続行。
ただし一般人がその場に居合わせる場合は、いなくなるまで儀式を完了しない。もしくは危険の及ばないようにする。

※アドリブ歓迎です



 亜夜が察知した新たな犠牲者はぬめりが防ぎ。
 美汐やアイン達の調査で儀式の情報も揃った。
「つまり、メールを送ればいいんだよね? らくしょーらくしょー♪」
 パソコン室で男子高生が起動してくれたパソコンの前に座り、柊木・ましろ(ミューズの描く奇跡・f03701)はメールソフトの操作を始める。
「あんまり余裕こいて痛い目見ないようにしときなさいよ、まったく」
 カスミ・アナスタシア(碧き魔女の系譜・f01691)はお気楽な様子に釘を刺しながら、ましろの分まで警戒するように画面をじっと見つめていた。
 事件解決のために、囮となって怪異を呼び出す。
 そのためにましろがキーボードを打つ音が、パソコン室に響いていく。
「ゆかりちゃんに関しては情報が集まってるみたいだけど」
 準備を進めながらも、ましろは首を傾げて見せて。
「ましろちゃんって何だろうね。
 ましろとおんなじ名前だから、ちょっと気になっちゃうよねー」
「確かに、出てくるのはゆかりちゃんの話ばかりね……」
 言われてカスミは改めて集められた情報を見直す。
 名前だけしかでてこない、もう1人の女の子。
(「ましろちゃん、ねぇ」)
 その名を呟く度に、目の前にいる同名の友人にどうしても意識は向いてしまう。
(「別に変わった名前じゃないけど、そんなにありふれた名前かしら……」)
 考えすぎかとも思うけれども、どこか心の隅がぞわりとする。
(「……まさか、ね」)
 その不快感を振り払うかのように首を振って、金の髪を揺らしていると。
「怪異はゆかりちゃんとましろちゃんを探してるのかな。
 全部怪異だったりして。なんてねー」
 当のましろはのほほんと文章を打ち終わっていた。
「なんだかよくわからないけど、これでいいのかな?」

『ゆかりちゃん ゆかりちゃん あそびましょう』

 ましろが見せた画面からカスミは内容を確認すると、ややあって、頷いてみせる。
「送信ーっと」
「さて、どう来るかしらね」
 送られるはずのないメール。
 だが、送信不可のエラーメッセージは表示されず。
 代わりに1通のメールが届く。
「開けるよ?」
 一応声をかけてから、ましろが操作すると。

『ましろちゃん ましろちゃん どこにいるの?
 おしえてちょうだい おむかえにいくわ』

「わー。本当にましろにお返事が来たみたい」
「この『ましろちゃん』はましろのことじゃないわよ」
 呑気に喜ぶましろへ、警戒も露わに言い放つカスミ。
 そのはずだと言い聞かせるような響きも含まれていたが。
 どうする? と問う視線に、少し逡巡しつつもカスミはまた頷いた。
 頷き返したましろは、ひらがなだけで簡潔にこの場所を説明するメールを送る。
 そして再び届く、メール。

『ましろちゃん ましろちゃん ゆかりちゃんたちがいくから まっててね』

「……来るって」
「それはそれは」
 カスミは、改めて周囲を見やる。
 パソコンがずらりと並ぶ部屋には、猟兵以外誰もおらず。
 下校時刻前だから校内に生徒はいるだろうが、辺鄙なここまで来る様子はない。
 窓の外は鬱蒼とした裏山で、ここにも人の気配はないが。
 1階ゆえ、窓からの出入りも容易いだろう。
(「どこから来る?」)
 入口の扉を、暗い窓を、出入りできる場所を油断なく見据えていると。
 ずるり。
 小さな子供の手が。
 パソコンの画面から生えてきた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『ゆかりちゃん』

POW   :    「ただいま」「おかあさん、おとうさん」
戦闘用の、自身と同じ強さの【母親の様な物体 】と【父親の様な物体】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    「どうしてそんなへんなかおでわたしをみるの?」
【炎上し始める捜索願いからの飛び火 】が命中した対象を燃やす。放たれた【無慈悲な】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    「ひどいよ、ひどいよ、ひどいよ」
【嗚咽を零した後、劈く様な叫声 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ましろちゃん、ましろちゃん」
「むかえにきたよ」
「おかえり、ましろちゃん」
「ただいま、ましろちゃん」
 ずるり、ずるりと。
 パソコン画面から次々と現れるのは、ランドセルを背負った少女。
 だがその容姿はどれも皆全く同じで。
 その顔は、行方を捜すちらしで覆われていた。
 奇異な姿は、紛れもなく、オブリビオン。過去たる骸の海から染み出たモノ。
「ゆかりちゃんといっしょにかえろう」
 無貌の少女達は揃って猟兵達へと手を伸ばす。
平賀・美汐
で、出たー。ほ、ほんとに、出た(滝汗)。(実は美汐は幽霊とかお化けが怖いです)
でも、よく見たら幽霊とかお化けとかじゃなくてオブリビオンじゃない。
これが怪異の正体なのね、それなら遠慮なく斬れるわ。覚悟しなさい!
ユーベルコード『シーヴズ・ギャンビット』でオブリビオンを斬りつけてまわるわ。相手が小学生に見えても油断しないで、私はヒットアンドアウェイに徹するの。私はパソコン室の狭い空間や障害物(机、椅子、パソコン)を上手く利用して、SPDでオブリビオンを翻弄してあげる。
攫った人たちをどこにやったか教えてもらうわ!


楠瀬・亜夜
怪異の正体はこの子……という訳ですか?
ともかく今はこの場を乗り切らねば……

身を隠していた物陰から飛び出し
他の猟兵達の援護を行っていきます。
【援護射撃】による銃撃と【knife vision】で
展開したナイフによる斬撃で味方の支援を行います。
【先制攻撃】で攻撃を先に潰せればいいのですが……

ゆかりちゃん……とやらが絶境による無差別攻撃を
繰り出して来たら物陰で身を守り被害を最低限に抑えられる
ように行動しましょう。

しかしやはりオブリビオンという相手は厄介なものですね
こんなの……戦いにくいに決まってるじゃないですか……!まったく……!



「で、出たー。ほ、ほんとに、出た」
 パソコンから現れた怪異に、平賀・美汐(f06401)は思わず悲鳴を上げていた。
 実はお化けとかが苦手だったりする美汐。子供っぽいとか怪談の時期には早いとか言ってたのはどうやら強がりでもあったようです。
「怪異の正体はこの子……という訳ですか?」
 慌てる美汐の傍で、身を潜めていた机の影から立ち上がった楠瀬・亜夜(f03907)は、変わらず冷静に少女達を見据える。
 1人、また1人と増える奇怪なゆかりちゃんは、うち3人が、机の間を縫ってこちらへと向かってきていた。
「ともかく今はこの場を乗り切らねば……」
 愛用の拳銃を静かに構える亜夜。
 そして美汐は、ようやく気付く。
「よ、よく見たらオブリビオンじゃない。
 それなら遠慮なく斬れるわ。覚悟しなさい!」
 幽霊の正体見たり枯れ尾花、とでも言うべきか。
 タガーを手にした美汐は、強気に手前のゆかりちゃんへと斬りかかった。
 一撃を加えるや否や、素早く退き空いたその空間に、亜夜の銃撃が飛び込んで。
 あっさりと1人が倒れ伏す。
「ましろちゃん、どうして?」
「どうしてそんなへんなかおでわたしをみるの?」
 だが残る2人の周囲に無慈悲な炎が巻き起こり、机や椅子を盾にもして油断なく避ける美汐を追いかけていった。
 亜夜もまた物影に身を潜ませて炎を回避しながら、手にナイフを握り締める。
「やはりオブリビオンという相手は厄介なものですね」
「いたいのはいやだよ」
「こわいよ。かえろうよ」
「こんなの……戦いにくいに決まってるじゃないですか! まったく……!」
 ゆかりちゃんの顔を覆うチラシに描かれた眩い笑顔に、小学生らしい幼い体格に、求めるように伸ばされる小さな手に、奥歯を噛んで藍色の瞳を微かに顰めながら。
 手にしたナイフを増やしていく。
 ずらりと展開された21本のナイフは、物影から飛び出した亜夜の周囲で、その切っ先を全てゆかりちゃん達に向けた。
「夢か現か幻か、その身で味わって頂きましょう」
 飛び行くナイフは次々と、小柄な身体を切り裂いて。
「いたいよ。こわいよ」
「はやくかえろう」
「そうやって攫った人たちをどこにやったの!?」
 室内という狭い空間を逆に利用した美汐が、ゆかりちゃんの横から斬りつける。
「ましろちゃん、ましろちゃん」
「いっしょにかえろう」
 声は返るけれども問いかけへの答えはない。
 亜夜の援護を受けて、美汐は再びゆかりちゃんへと向かった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

柊木・ましろ
怪異がゆかりちゃんとましろちゃんを探してたんじゃなくて、
ゆかりちゃんって怪異がましろちゃんを探してたんだね。

※カスミ・アナスタシア同行
【祈り20】【勇気7】【覚悟2】
還してあげなきゃ。例えまた何度此方に来ようとも。
あなたの居場所は、ここじゃないから。

「ゆかりちゃん……ましろは、ここにいるよ」
「だからね、もう安心していいんだよ」
「大丈夫、大丈夫。もう怖いものなんて無いんだよ」
「だからね――もう、おやすみなさい」

UCを発動。
女神というよりは、母親のように優しく、そして深い愛情を持って抱き締める。
致命傷でなければ、攻撃を受けてもそのまま抱き締め続ける。

※アドリブは歓迎です


カスミ・アナスタシア
ゆかりちゃんの正体は予想通りだったけど……。
本当にこれで終わりなのかしら……?

※柊木・ましろ同行
【全力魔法21】【高速詠唱20】【属性攻撃10】
全く無茶して。……周りも止まってるのかしら?
まあいいわ、まとめて消し炭にしてあげる。

「ふん、僥倖よましろ。誉めてあげるわ」
「いちいち癇に障る連中ね。その姿も、その声も」
「本物はもっと辛かった筈よ。もっと怖かった筈よ」
「偽者は本物になれない。だから、消えなさい」

動きの止まった相手にUCを叩き込む。
炎の槍を射出するフレイムランス。
高温の爆炎砲撃、エクスプロージョンバスター。
対象だけを正確に襲う太陽風を模したプラズマ波、ディザスターフレア。

※アドリブ歓迎です



「僥倖よ、ましろ。誉めてあげるわ」
 カスミ・アナスタシア(f01691)は4人のゆかりちゃん達と対峙して不敵に笑う。
 行方不明になっていた少女のオブリビオン・ゆかりちゃん。
 本当に行方不明になったのか、本当に帰って来たのか、本当に存在したのか。
 何もかもが不確かな、無謀の少女達。
「ましろちゃん、みつけたよ」
「むかえにきたよ」
「そっかー。怪異がゆかりちゃんとましろちゃんを探してたんじゃなくて、ゆかりちゃんって怪異がましろちゃんを探してたんだね」
 そんなゆかりちゃんの様子に、柊木・ましろ(f03701)は納得したように頷いた。
 ゆかりちゃんが呼ぶ名前はましろと同じものだけれども。
 伸ばされる手はましろにだけでなく、カスミにも、他の皆にも向いていて。
 目に映る全ての存在を『ましろちゃん』と呼んでいることは明らかだった。
「ましろちゃん、いっしょにかえろう」
「はやくかえろう」
「いちいち癇に障る連中ね。その姿も、その声も」
 苛立ちを隠さず、カスミはゆかりちゃん達を睨み付けるけれども。
 穏やかに微笑んだましろは、1歩、2歩と1人のゆかりちゃんに歩み寄る。
「ゆかりちゃん……ましろは、ここにいるよ」
 そっと伸ばされた腕は、ゆかりちゃんへと大きく広げられ。
「だからね、もう安心していいんだよ」
 優しくゆかりちゃんを迎え入れると。
「大丈夫、大丈夫。もう怖いものなんて無いんだよ」
 自身の存在を伝えるように、母親を思わせる深い愛情で満ちた抱擁で包み込む。
「だからね……もう、おやすみなさい」
 そして、ましろの全身から淡い光が放たれたと思うと、抱いたゆかりちゃんの、そして他の3人のゆかりちゃん達の動きが止まった。
 それを見届けたカスミは、大きく安堵の息を吐いて。
「全く無茶して。
 ……まあいいわ、まとめて消し炭にしてあげる」
 ましろをゆかりちゃんから引き離すと、高速詠唱で3つの魔法を紡ぎ出した。
 射出された炎の槍がゆかりちゃん達を貫き。
 高温の爆炎砲撃がゆかりちゃん達を包み込んで。
「あついよ。いたいよ」
「ましろちゃん、こわいよ」
「本物はもっと辛かった筈よ。もっと怖かった筈よ」
 苦しみを見せるゆかりちゃん達に、カスミはきっぱりと言い放つ。
 受け入れたましろとは逆に、突き放すように。
「偽者は本物になれない。だから、消えなさい」
 でも、冷たい言葉の奥に、ましろと同じ優しさを宿して。
 太陽風を模したプラズマ波が、ゆかりちゃん達だけを襲い、消し去った。
 苦しみも哀しみも全てを終わらせるかのように。
「ゆかりちゃん……」
 消えた少女達の名を、ましろが小さく呟く。
 カスミは、ふん、と顔を背けて。
(「本当にこれで終わりなのかしら……?」)
 治まらない心の騒めきに、口元を厳しく結んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

巵子・めあり
私はまっくろなんですけどー?
てかさーゆかりちゃんがちょーっと多過ぎない!?

パソコン室は狭いしPCが邪魔で動きづらいしわりと不利
それとさー?オブリビオンとはいえ小学生を『口無』でぱっくんは……その。絵面的にアレっしょ?
猟兵の皆も女子ばっかだしね!

ま。ここは『目有』でー
私のめぢからを見せつけてやるべさ

眼帯をぺろんとめくり、ぎょろりと蠢く目玉に似た得体の知れぬナニカを晒し
『視殺』でパパとママっぽいのごと周囲のPCを【視力】で次々とぶっ飛ばす
目で潰す。これがホントの【目潰し】ってワケよ

場が開ければ他の皆もだーいぶ戦いやすくなるじゃん?
ゆかりちゃんが沸くPCの画面も割れれば完璧だーけーどー……はてさて


アイン・ローレンス
【WIZ】見切り、全力魔法、属性攻撃、範囲攻撃、2回攻撃

これは…まるでホラー映画のようです。
学生たちが見たら、逃げ切る以前に気を失って即刻捕まってしまいそうですよね。
面白半分で行ったら取り返しの付かないことになった、では可哀想です。
ここはあなたたちの来る場所ではありません。あるべき場所へおかえりなさい。

「エレメンタル・ファンタジア:氷の豪雨」
ふふ、ひょうやあられなんて可愛いものではありませんよ?
上から降り注ぐ氷柱にどこまで耐えられますか?

叫声を見切るのは少し難しそうですね…
嗚咽が聞こえたら「雷の突風」
雷鳴と風向きで少しでも拡散出来たら良いのですが

※ゆかりちゃんが増えるようならパソコンを先に潰す



「ましろちゃん、ましろちゃん」
「私はまっくろなんですけどー?」
 無作為な呼びかけに、巵子・めあり(f12616)はおどけたように答える。
 笑う口は黒いマスクに、楽しむ瞳の片方は黒い眼帯に隠され。
 セーラー服もタイツも黒い、その姿は確かにまっくろちゃんではありますが。
「てかさー、ゆかりちゃんがちょーっと多過ぎない!?」
 パソコン画面からまた1人、増えるゆかりちゃんにさすがに苦笑が零れた。
「これは……まるでホラー映画のようです」
 アイン・ローレンス(f01107)も眉を潜めて、そっと入口の扉を見やる。
 学生達が見たら、逃げ切る以前に気を失い、即刻捕まってしまいそうで。
 先ほどの男子高生のような面白半分で対峙すれば、取り返しのつかないことになってしまっていただろうと思う。
 そんな可哀想なことにならないためにも。
 アインの周囲に幾つもの氷が作り出されていく。
「ふふ、ひょうやあられなんて可愛いものではありませんよ?」
 氷の数は減ることなく、1つ1つがどんどん大きくなり。
「上から降り注ぐ氷柱にどこまで耐えられますか?」
 豪雨となってゆかりちゃん達へと降り注ぐ。
「ひどいよ、ひどいよ、ひどいよ」
 血塗れのゆかりちゃん達から非難の声と共に嗚咽が零れたのを聞いたアインは、とっさに雷の突風を操り。
 耳をつんざく絶叫が、雷鳴と強風の中で響き渡った。
 完全には相殺できなかったものの、拡散で多少はダメージが緩和できたかとほっとしながら、だが油断なくアインが見据える先で、ゆかりちゃん達はまた声を紡ぐ。
「ただいま、おかあさん」
「ただいま、おとうさん」
 ゆかりちゃん達を守るように現れたのは大人の男女。
 その姿もまた、ゆかりちゃん達と同様にどこか朧気で顔を持たず。
 それでも両親らしく、子供に害を成すものを排除しようと向かってきた。
「さ。私のめぢからを見せつけてやるべさ」
 言ってアインの前に立ったのはめあり。
 左の赤瞳でにやりと笑い。
 右目を隠すように覆っていた黒い眼帯を、無造作にぺろんと捲り上げる。
 ぎょろりと蠢いたのは目玉。いや、目玉に似た得体の知れぬ、ナニカ。
 晒されたナニカは、目玉のように大人達へと視力を向けて。
 一気にぶっ飛ばした。
「目で潰す。これがホントの【目潰し】ってワケよ」
 右目と融合したUDC(アンディファインド・クリーチャー)である『目有』。
(「オブリビオンとはいえ小学生を『口無』でぱっくんは……絵面的にアレっしょ?」)
 男子高生を脅かすために見せた、大きく裂けた口は黒いマスクで隠したまま。
 その能力の片割れを見せつけて、めありは自身の左目で笑う。
 力はゆかりちゃん達にも向かい、大人の姿が消え失せて。
 ついでに、パソコン画面も潰して、新たなゆかりちゃんが現れるのも防ぐ。
「ましろちゃん、いっしょにかえろうよ」
「ゆかりちゃんといっしょに、おかあさんのところにかえろう」
「おとうさんのところにかえろう」
 その場に残った3人のゆかりちゃん達は、傷ついた帽子の下で呻き、破れたシャツから伸びる血濡れた手をめありに向け、ゆっくりと近づいてくる。
 眼帯を戻しためありはその様子をじっと見て。
 1歩下がると入れ替わるように、アインが緑の茂る杖を掲げて告げた。
「ここはあなたたちの来る場所ではありません」
 再び生み出される、氷の豪雨。
「あるべき場所へおかえりなさい」
 幾本もの氷柱に貫かれ、ゆかりちゃんは1人、また1人と姿を消す。
「ましろちゃ……」
 そして。
 静けさの中に、壊れたパソコン画面だけが、残った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ナレノハテ』

POW   :    悪イ子ニハオ仕置キ
【人形の指先 】が命中した対象を切断する。
SPD   :    ママノ言ウコトヲ聞キナサイ
見えない【魔力糸 】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
WIZ   :    アノ子ノ待ツ夜ニ
【巨大な白銀の魔力弾 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【周辺の天候を猛吹雪にして】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠柊木・ましろです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 その場にいた全てのゆかりちゃんが消え、パソコン室に元の静寂が戻る。
 猟兵達が少し気を緩めかけた、その時。
「……ユカリ」
 ゆかりちゃんを呼ぶ、無機質な声が響いた。
「ユカリ、ユカリ。ママノ良イ子」
 振り向いた先、パソコン室の奥に、いつの間にか2人の大人がいた。
 男性の影に女性が隠れるようにして。
 いや、男性の人形を、後ろの女性が糸で操って、立つ。
「ユカリハドコ?」
 長い長い髪と長い長いスカートを揺らし、女性の瞳がぎょろりと見開かれる。
 辺りを見回す仕草は、子供を探すかのようで。
「マシロハドコ?」
 獲物を探すかのようだった。
平賀・美汐
あれが怪異の親玉ね。オブリビオンとはいえ見た目が同年代の女の子を斬るなんて、後味悪い思いをよくもさせてくれたわね。
絶対に許さないんだから。
とにかく懐に入り込みたいわね。距離を開けると操り人形の方に分がありそうだし。
「おいで、もう一人の私!」
ユーベルコード『コード・レプリカ』で【もう一人の私】よ呼び出して、二手に分かれてちょこまかと動き回って、操り人形と操ってる女の隙を作るわ。隙ができたら操り人形と女の間、操り糸に接近して斬りつけて、操り糸を切断してやる。
とにかく、本体を攻撃しやすいようにしましょ。


巵子・めあり
出たなー猟兵じゃないましろちゃんって振り返れば

???

あっれ違った?ママさんが元凶っつーこと?

首を傾げながらもマスクを外し

ま。それは後でー
さっきお預けさせちゃったもんね
さ、たーんと喰べな『口無』

ばきべきと大きく大きく口が裂けて
人形の指先ごとぱっくん

ごめんねー?切れてるどころか裂けてるんだよなー

そのまま人形をばりぼりと喰いちぎり喰いらげちゃえ
『口無』は【大食い】さん。たくさん喰べないとすーぐご機嫌斜めなのがね

戦いの後はごきゅごきゅとトマト(血液)ジュースで【吸血】
ぷはー。結局さーましろちゃんて何だったんだろ?
さっきのゆかりちゃんのママっしょ?

……もーワケ分からぬっす!すっごい気になるんですけどー!


柊木・ましろ
…パパ?ママ?…なんでこんなところに…?

※カスミ同行・一人称がましろ→私

「違うよ…パパとママだよ…!」

ずっと待ってたんだもん。
雪の降る日はお外に出ちゃダメって。あの日だって言いつけ守って、ずっと良い子にして待ってたんだよ!

「どうして…帰ってきてくれなかったの…?」

私はもう、いらない子なの…?

「ねえ、私ね、お友達が出来たんだよ。初めてのお友達だったの。すごく嬉しかったの」

だから。

「大好きなカスミちゃんを傷付けるなら、誰だって絶対に許さないんだから!!」

UC
HL→聖なる一筋の光
PS→足下から硝子の剣山
SC→膨大な光の魔力で呑み込む
※最初は錯乱気味。カスミが攻撃されてようやく我に返る。
※アドリブ歓迎


カスミ・アナスタシア
待ちなさいましろ!そいつは「敵」よ!

※ましろ同行

分かってる。分かってるわ…何回アンタに写真見せられたと思ってるのよ。
何回…アンタが一人で泣いてるとこ見てきたと思ってるのよ…!

「敵と味方の区別もつかないようなら引っ込んでなさい!邪魔よ!」

だからこいつはアタシが片付けてあげる。アンタの手を汚させやしないわ。

「…こんなヘマするなんて…ざまぁないわね…」
「まったく、お姫様の目覚めが遅すぎて、先に物語が終わっちゃうかと思ったわ」
「良いわましろ、合わせなさい!」

UC
DH→極小のブラックホールで引きつける
SC→呪いの鎖で縛る
OBG→血に飢えた漆黒の魔獣を召喚する

※言い合い中に被ダメージ
※アドリブ歓迎


アイン・ローレンス
【POW】見切り、2回攻撃、属性攻撃、範囲攻撃

あなたですね?ユカリちゃんにこんなことをさせたのは
オブリビオンとは言え小さい子どもを傷付けるのは気分の良い物ではありませんでしたよ
本物の母親だか家族ごっこだかは知りませんが、憂さ晴らしさせて頂きますので
覚悟は良いですね?

「友の現身」でメープル(ツキノワグマ)にも手伝って貰います
横並びに敵へと一直線
敵の攻撃はエルフの運動神経と【見切り】で避けてみせましょう
隠し持っていた「護りの短剣」に風属性を纏わせ切りかかります
短いナイフ?いいえ攻撃範囲に切れ味は抜群です
人形を操る糸か人形の指先を落とせれば戦いが楽になるでしょうか
そのまま女の腕や手を狙って一突き


楠瀬・亜夜
こっちが元凶……という訳ですかね?
こうなった経緯とかその他諸々興味そそられる訳ですが
今はそこの所をグッと堪えて目の前の敵を倒さないとですね

相手は所謂人形遣い、という事でしょうか
ならば隙を突いて懐に飛び込んでみるのも手でしょうかね
【shadow hearts】を発動し、影蝙蝠を召喚して
相手の意識をそちらに向かせるように陽動して貰います。

相手の注意がこちらから逸れると同時に【ダッシュ】で一気に
距離を詰めナイフで素早く攻撃を加えます。
相手が態勢を崩していれば連撃、そうでなければ一旦距離を取り
【援護射撃】【クイックドロウ】で味方の支援を行いますね。



「出たなー。猟兵じゃないましろちゃん」
 無機質な声に振り向いた巵子・めあり(f12616)はにやりと笑う。
 噂話はゆかりちゃんとましろちゃんのもの。
 そして、ゆかりちゃんを倒したなら、次に現れるのはましろちゃんだろうと思っていためありだったけれども。
「あっれ違った?」
 パソコン室の奥に立つのは大人の男女。
 どう見ても、ましろちゃん、という呼び名と合わない。
「こっちが元凶……という訳ですかね?」
「あれが怪異の親玉なのは間違いないよね」
 とりあえず、確かなことを確認する楠瀬・亜夜(f03907)と平賀・美汐(f06401)に、アイン・ローレンス(f01107)も頷いて見せるけれども。
「ユカリハドコ?」
「ゆかりちゃんの母親? それとも家族ごっこでしょうか?」
 訝し気に眉を潜めて、女性を見やる。
 悩むのは、先ほどの戦いでゆかりちゃんの前に現れた大人を見ていたから。
 おかあさんおとうさんと呼ばれていたそれは、今目の前にいるオブリビオンとは別の姿を持っていて、ゆかりちゃんを両親のように守っていた。
「さっきのがゆかりちゃんのママっしょ? じゃあ、コレは?
 ……もー、ワケ分からぬっす!」
 頭を抱えるめありにアインも困惑するしかない。
 猟兵達の間に疑問符が増えていく中で。
 だが、答えを知る者も猟兵達の中に、いた。
「マシロハドコ?」
「……パパ? ママ?
 なんでこんなところに……?」
 オブリビオンに名前を呼ばれた柊木・ましろ(f03701)が呆然と呟く。
 人形の男性と、それを後ろで操る女性を見て。
 ふらりと足を踏み出し、近寄ろうとするその腕を、カスミ・アナスタシア(f01691)が強く引き止めた。
「待ちなさいましろ! そいつは『敵』よ!」
「違うよ……私のパパとママだよ……」
「分かってる。分かってるわ……何回アンタに写真見せられたと思ってるのよ。
 何回……アンタが1人で泣いてるとこ見てきたと思ってるのよ!」
 ましろの両腕を掴んで押し留めるカスミが、辛く苦しい悲鳴のような声をかける。
 心の奥底にずっとあった嫌な感覚の正体を知って。
 こんな予感、当たらなければよかったのにとすら思いながら。
「私、ずっと待ってたんだもん。雪の降る日はお外に出ちゃダメって言いつけも守って、あの日だってずっと良い子にして待ってたんだよ!」
 でもましろは、そんなカスミの腕を振りほどこうともがき。
「どうして……帰ってきてくれなかったの……?」
「ましろ……」
「私はもう、いらない子なの……?」
「ましろ!」
 つい先ほどまで見せていた元気な明るい笑顔を失くして。
 友人の呼びかけすら届かずに、ただただ、ましろは両親の姿をした者達を見つめる。
 悔しそうな悲しそうな、複雑な表情を見せたカスミは。
「敵と味方の区別もつかないようなら引っ込んでなさい! 邪魔よ!」
 力いっぱいましろを突き飛ばし、拒絶の言葉と共に、大きく後ろへと下がらせた。
 だが、カスミの胸中にある怒りは、ましろへではなく。
(「こいつはアタシが片付けてあげる。アンタの手を汚させやしないわ」)
 真っ直ぐにオブリビオンへと向かっていく。
 亜夜はそんなカスミの隣へと並び立ち。
「こうなった経緯とかその他諸々、興味そそられる訳ですが。
 今は目の前の敵を倒さないとですね」
 さらりと好奇心を見せつつも、心強い言葉を添える。
「来たれ我が眷属 具現せよ我が心」
 そして、亜夜の求めに応じて現れるは、影の蝙蝠。
 翼を広げ飛び行く蝙蝠が女性の気を引き、操る男性の人形が動かされた、その隙を狙ってカスミの魔法が飛来する。
「ユカリハママノ言ウコトヲ聞ク、良イ子ナノニ」
 だが女性は、人形を盾にして凌ぎ、ぎょろりと見開いた瞳をカスミに向けて。
「マシロハ悪イ子。悪イ子ニハ、オ仕置キシナイト」
 盾から攻撃へと動きを変えた人形の手が、カスミへと鋭く振り下ろされた。
 スーツのような黒い服に覆われた男性の腕が、鮮血に赤く染まっていく。
 そこに割り込んだめありは、カスミを庇うようにしながら攻撃を仕掛け。
「んー? 結局ましろちゃんは『ましろちゃん』なの?」
 ちらりと肩越しに、力なく座るましろを見て首を傾げる。
「ゆかりちゃんは妹ちゃん?」
「ましろにそんな妹いないわ」
 断言するカスミに、亜夜はふと思いを巡らせた。
 ……オブリビオンとは、骸の海から染み出た過去。
 つまりこの相手は、柊木・ましろの過去であり、今は亡きましろの両親の過去……そのナレノハテなのだろう。
 しかし、ナレノハテは、カスミを『マシロ』と呼んだ。
 ゆかりちゃんが目の前の全ての人をそう呼んだのと同じように。
 恐らく、ナレノハテにましろの両親としての記憶はほとんどないのだろう。
 だが、この憶測が正しいのかは、きっと誰にも分からない。
 アインも同様の思考を巡らせ、だからこそ、確かな部分へと怒りを見せる。
「あなたですね? ゆかりちゃんにあんなことをさせたのは」
 ナレノハテは、ゆかりちゃんを『ユカリ』と呼んだ。
 自身の望み通りに動く『良イ子』だから、都合よく娘のように扱い。
 オブリビオンだから、『マシロ』ではないと区別して。
 手駒として、配下として、利用した。
「オブリビオンとはいえ見た目が同年代の女の子を斬るなんて、後味悪い思いをよくもさせてくれたわね」
 美汐も口を揃え、ナレノハテを真っ直ぐに睨み据える。
「絶対に許さないんだから!」
 言って駆け出す美汐の隣に、もうひとりの美汐が現れた。
 2人の美汐はちょこまかと動き回り、ナレノハテを翻弄して。
「メープル、手伝ってください」
 そこに、自身の倍はありそうな巨大なツキノワグマと共にアインが飛び込んでいく。
 腰の後ろから護りの短剣を引き抜いて、風を纏わせれば。
 ツキノワグマの手にも、その巨体に似合う風の大剣が生み出された。
 切りかかるエルフとクマを追いかけるようにめありも離していた間を詰めると。
「分からぬワケごと喰いらげちゃえ」
 ずらしたのは、黒いマスク。
 現れたのは、ばきべきと大きく大きく開く口。
「さっきお預けさせちゃったもんね。さ、たーんと喰べな『口無』」
 アインの風の剣で糸を切られた人形の指先を、ぱっくんと喰らって笑う。
 皆に続けと影蝙蝠が舞い、カスミも飛び込んでいくけれども。
「マシロ。ママノ言ウコトヲ聞キナサイ」
 無機質な声に、ナレノハテを取り囲んでいた皆が一斉に切り裂かれた。
 攻撃は何も見えなかった。
 だが、鋭く細い糸のような何かが、無数の傷を刻み込んでいく。
 腕を脚を、それぞれに赤く染め上げる皆の中で。
 それまでの負傷も重なったカスミは、さすがに膝を折る。
「……こんなヘマするなんて……ざまぁないわね……」
 自嘲気味に呟いた、そこへ。
「カスミちゃん!」
 待ち望んでいた声が、響いた。
 心配そうに涙を滲ませた瞳に、だがしっかりとカスミの姿を映し。
 過去ではなく、今をしっかりと歩いてくる、大切な友。
「まったく、お姫様の目覚めが遅すぎて、先に物語が終わっちゃうかと思ったわ」
 何度も名を呼ぶましろに、カスミは苦笑と共に立ち上がった。
「良いわましろ、合わせなさい!」
 そして2人の呪文詠唱が、歌うように重なり合う。
 その様子を見た亜夜は、小さく微笑み頷いて。
「相手は所謂人形遣い。ならば……」
 改めてナレノハテを見据えると、影の蝙蝠が舞い上がった。
 女性の視界を奪うかのように、惑わせるように、蝙蝠が黒く埋め尽くし。
 その隙に亜夜は懐に飛び込むと、素早くナイフを振るい、一撃だけを加える。
 そしてすぐに離脱して、銃を構えたところで。
「おいで、もう1人の私!」
 2人の美汐が入れ替わるように向かい、女性と男性との間に割り込んだ。
 男性の人形に繋がる操り糸を狙って、1人が右を1人が左を断ち切っていく。
 動きに気付いてか、美汐へと人形の腕が振り上げられて。
「ごめんねー? 切れてるどころか裂けてるんだよなー」
 軽い口調で笑っためありが、そのまま普通ではあり得ない大口を開けた。
 大食いの『口無』は、大きな獲物に機嫌をよくしたかのように、ばりぼりと男性の人形を喰べ尽くそうとしていく。
 それを阻止せんと、女性が腕を伸ばすけれども。
 アインとメープルの振るう風の剣が、手を腕を貫き止めた。
「今です!」
 響くアインの声に、亜夜の援護射撃を受けた美汐とめありが大きく後ろに飛び離れ。
 杖と十字架を揃えたカスミとましろの連続魔法が放たれる。
「呑まれろ、ダークホール!」
「浄化せよ、ホーリーライト!」
「連鎖する嘆きの楔――スクリームチェイン!」
「目映き断罪の剣――プリズムソード!」
 その、最中。
 身体の大半を喰われた人形に。魔法に捕らわれ呻く女性に。
「……ねえ、パパ。ママ」
 ましろは優しい声で話しかけた。
「私ね、お友達が出来たんだよ。
 初めてのお友達だったの。すごく嬉しかったの」
 周囲はナレノハテの反撃で猛吹雪となり、暗い雪景色となっていく。
 両親が帰ってこなかった、あの雪の日のように。
 それでも今のましろには、隣に居てくれる大切な温もりがある。
 だから、と瞳に力を込めて。
 ましろは、両親の姿をしたオブリビオンを、真っ直ぐに見据える。
「大好きなカスミちゃんを傷付けるなら、誰だって絶対に許さないんだから!」
 そしてましろは。
 迷いなく、カスミと共に最後の言葉を唱えた。
「漆黒の魔獣、血塗られし原罪の牙――オメガブラッディガイスト!」
「無数の煌めき、此方に集いて悪を滅ぼせ――シャインクルセイド!」
 聖なる光は全てを飲み込み、部屋中を眩く満たしていく。
 雪も。ナレノハテも。
 最期へ小さく呟いたましろの言葉も一緒に。
 そして光は、飲み込んだものもろとも消えてゆき。
 元通りに戻ったパソコン室の沈黙の中で、めありはトマトジュースを取り出すと、無言のまま飲み干した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月28日
宿敵 『ナレノハテ』 を撃破!


挿絵イラスト