帝竜戦役㉗〜侵掠すること火の如し
●文明侵略者
ドラゴンテイマーの齎せし帝竜、その名は『ダイウルゴス』。
群竜大陸、文明侵略領域において帝竜『ダイウルゴス』は動きを止めていた。一見不可思議な停止。
「賛成89、反対10、棄権1……」
それはいかなる言葉であったか。
その言葉の意味を理解するものは、この場においてダイウルゴスのみである。ドラゴンテイマーなき今、その言葉の意味を理解できるものは他にいない。
「我等ダイウルゴス文明は、議長『ドラゴンテイマー』と99体の竜の融合体である。現在議長は不在だが、棄権票として処理し、決議に変化は無い」
ダイウルゴスとは、あらゆる物質と融合合体する帝竜である。統一された知性と姿。無数のドラゴンの合体した帝竜である。
故に、その意識の中では行動決定に対する決議が取られるのだ。
「我等はここに、撤退の中止及び猟兵との交戦を選択する」
迫る猟兵たちに対する対応。その決議の結果である。彼らは猟兵と戦うことを決定した。
「ベルセルクドラゴン及びドクター・オロチを除く全ての帝竜は、ヴァルギリオスの死後ならば、我等が文明侵略衝撃波によって我等に融合する事が可能であると考えられる。かの帝竜達は『再孵化』の産物であり、記憶を手放している為だ」
ダイウルゴスの言葉は事実であろう。
その証拠に、これまで猟兵たちが戦ってきた帝竜たちは、その殆どが生前の記憶を無くした状態で戦場へと現れている。
それが一体何を意味するのか。そこまではわからない。わからないが、この帝竜『ダイウルゴス』を放置していては、さらなる脅威となることだけははっきりとわかるのだ。
「故に我等は撤退を中止し、ヴァルギリオスよりも長く生き延びる事を目的と定める。
全ては、グリモアを手にする時の為に……」
●帝竜戦役
ナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)がグリモアベースにて集まってきた猟兵たちを出迎える。
深々と頭を下げることはいつものことだが、彼女の顔は帝竜戦役が始まって以来、何度目かの強張った顔をしていた。
その度に猟兵たちは見事に戦果を上げてきた。いい加減慣れねばならないと思いながらも慣れることは難しいといった顔で彼女は告げる。
「お集まり頂きありがとうございます。文明侵略領域と呼ばれる大地において、帝竜『ダイウルゴス』の存在が確認されました」
このやり取りも、もう何度目であろうか。
猟兵たちは次々と帝竜を打ち破ってきている。それはどれだけ危険かもわからぬオブリビオンであっても、彼らは常に最善最高の戦果を上げている。だからこそ、ナイアルテは不安になる。
次はないのではないか、と。
「今回の帝竜『ダイウルゴス』は自身を一つの文明と称し、周囲のあらゆる存在を同化し『ダイウルゴス文明』の一部に加えていく恐るべき帝竜です。帝竜の例に漏れず、ダイウルゴスもまた、皆さんの先制する力を有しています。これに対する対策と防御を怠らずに挑むことをお願いしています……」
ダイウルゴス。それ事態が文明の一つであるというのだ。俄に信じがたい事実であるが、グリモア猟兵が予知した情報は真なるものであろう。
一つの文明と呼ぶほどの集合体であるというのならば、どれほどの力を持っているのか……。
「はい……まずは、この帝竜は意識の内部での合議制を以て、行動決定をするようなのです。ですので動きが止まるなどのダイウルゴス自身に不利になる行動を敢えて取ることもありますが……その合議が決定した瞬間、ダイウルゴスの身体能力は増大し、手が付けられなくなってしまうことでしょう」
複数の竜が融合合体した結果の合議である。だが、それは不利であればあるほどに、決定後の能力の飛躍もまた凄まじいのだ。
さらにダイウルゴス文明軍と呼ばれる瞳に数字の刻まれた小型ダイウルゴスの群れを召喚することもある。これら一体一体が合体していくことによって、数字が大きくなるほどに強力な個体へと変貌していく。
「また、四肢のどれかから見えざる文明侵略衝撃波を放ち、ダイウルゴスの一部になりたいと望ませることにより、みなさんの動きを一時的にではありますが、封じるユーベルコードも持っているようです」
これまで竜たちが融合合体したのもまた、この文明侵略衝撃波によるものであろう。
これにより、ヴァルギルオス亡き後に残された帝竜たち全てを融合し、さらなる強大な力を手に入れようとしているのだ。
「想像を絶するオブリビオンです……この底知れない目的を持つ帝竜を野放しにしておくわけにはいけません。放置すれば、それだけで脅威的な存在と成ることは明白だからです。危険な敵であることは承知の上です。それでも―――」
それでも、と頭を下げる。
そうやって見送ることしかできない。
強張った顔は、いつものように微笑むことはできない。それでも猟兵たちは征く。それが己たちの使命であると知っているから―――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『帝竜戦役』の戦争シナリオとなります。
文明侵略領域へと進撃し、帝竜『ダイウルゴス』を打倒しましょう。
※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。
プレイングボーナス……『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』
(敵は必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります)
それでは、帝竜戦役を戦い抜く皆さんのキャラクターの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『帝竜ダイウルゴス』
|
POW : ダイウルゴス会議
自身の【体内の無数のダイウルゴスによる合議制】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD : ダイウルゴス文明軍
レベル×1体の、【眼球】に1と刻印された戦闘用【小型ダイウルゴス】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ : 文明侵略衝撃波『フロンティア・ライン』
【四肢のどれか】から【見えざる文明侵略衝撃波】を放ち、【ダイウルゴスの一部になりたいと望ませる事】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:棘ナツ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
天御鏡・百々
ダイウルゴス……
確かかつて異世界の戦争にて
ドラゴンテイマーがそのような名の竜を召喚していたな
帝竜を融合とは、なんとも恐ろしい企てだ
その前に確実に討伐せねばならぬ
危険だが……合議に手間取る隙を突く以外になさそうか
天之浄魔弓(武器:弓)より『清浄の矢』を
頭部目掛けて撃ち込んでやろう
(破魔79、誘導弾20、祈り10、スナイパー10)
攻撃後は本体から放つ光で目潰し10をして
全速力で撤退だ
強化された帝竜と戦う気にはならぬ
防御が必要なら
神通力(武器)による障壁(オーラ防御94)にて守ろう
●神鏡のヤドリガミ
●アドリブ、連携歓迎
●本体の神鏡へのダメージ描写NG
●以前の戦争にてドラゴンテイマーと交戦しました
文明侵略領域……その名が示すは、かの帝竜が、この地に座すためであろう。
帝竜の名は『ダイウルゴス』。ダイウルゴス文明そのものである竜の融合体である。彼らは99の竜の融合体にして、その全てがダイウルゴスそのものである。
「我等ダイウルゴスは決定する。猟兵を迎え撃ち、この場で滅する。全てはグリモアを手にせんため……」
彼らの求めるものがグリモアである以上、猟兵はこれを討ち果たさなければならない。
巨大なる竜が静かに眼下を見据える。その視線の先にあるのは、一人の猟兵の姿。
―――天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)。彼女もまたグリモア猟兵である。
「グリモア……我等が求めるもの。我等は決定しなければならない」
不自然に動きが止まるダイウルゴス。
彼らの内部では、一斉に無数のダイウルゴス自身による合議が始まっているのだ。それは彼らの意思決定をするために必要な合議である。彼らが竜の複合体であるがゆえの弊害であるが、一度合議が決すれば帝竜としての力の飛躍は凄まじいものになるだろう。
「ダイウルゴス……確かかつて異世界の戦争にてドラゴンテイマーがそのような名の竜を召喚していたな……」
かつての異世界における戦いにおいて、ドラゴンテイマーが呼び出し戦っていた竜の名がそうであるのだ。
その時は攻撃の手段としての召喚であったようだが、百々が今対峙しているダイウルゴスは使役される竜ではない。
確実に自身の意志を持ち、明確なる目的を持って行動している。彼女も予知で見ただろう。
彼らの目的はグリモアである。その過程において、ヴァルギリオスよりも長く存在し、ヴァルギリオス亡き後に帝竜を融合しようと画策しているのだ。
「なんとも恐ろしい企てだ……その前に確実に討伐せねばならぬ」
怖気が走るほどの企てである。狙いがグリモアである以上、それは猟兵にとってはなんとしても死守せねばならぬ。
対峙するダイウルゴスの中での合議は未だ続いている。
「危険だが……合議に手間取る隙を突く以外になさそうか」
意を決する。敵のユーベルコードは確実に猟兵に先制してくる。だが、合議を開始した以上、ここで後手に回ってしまえば、強力な帝竜としての力を振るわれてしまう。
この不自然に停止した状態から、こちらが先手を取る以外に取れる択はなさそうだった。
意を決し、神力によって光の矢をつがえし天之浄魔弓を構える。ぎり、と弦がきしむ音が響く。
百々のユーベルコードが輝くのと、ダイウルゴスの合議が決定するのは同時だった。
「我等グリモアを求める故に、ここにかの猟兵を駆逐する。合議はなされた。疾く、猟兵全てを殲滅する」
翼が広がる。圧倒的なプレッシャー。汗が吹き出しそうになる。だが、彼女のユーベルコードは、輝きを失わない。
彼女の戦う意志が失われ無い限り、失われることはないのだ。
「穢れしその魂、浄化してくれようぞ!」
つがえられた光の矢は、清浄の矢(セイジョウノヤ)。神聖なる祈りを込めた光の矢である。
その一条の光は、百々の指を離れ、過たずに咆哮するダイウルゴスの眉間へと打ち込まれる。
だが、清浄の矢は、肉体を傷つけるものではない。破魔の力宿りし、魂の穢れのみを攻撃する。
魂の穢れとは即ち、我欲。
グリモアを求める心が、己の力の欲するところであるというのなら、その欲望そのものを打ち消さんとするのだ。
「これで―――!」
しかし、咆哮は消えない。破魔の力は確実に届いた。しかし、その魂の汚れは、複合融合存在であるダイウルゴスの魂の一柱の穢れを払ったにすぎないのだ。
みなぎるダイウルゴスの身体能力が百々を襲う。
振りかざされた爪が百々の体を護る神通力通うオーラを引き裂かんとするも、その強き力によって阻まれる。
「我等は求める。グリモア、即ち―――」
その言葉は最期まで響かなかった。百々の本体である破魔の神鏡から放たれた強烈な光が、ダイウルゴスの瞳を焼く。
目潰しの如き光を放ち、百々は全速力で撤退する。
「強化された帝竜と戦う気にはならぬ!」
それは彼女自身が一番良く分かっている。一射は、確実にダイウルゴスの中の一柱の魂を射抜いたのだ。
戦いの狼煙のようにダイウルゴスの吼えたける咆哮を背に百々は、ダイウルゴスの真なる目的……グリモアの危機を感じるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ニィエン・バハムート
帝竜は仰々しい肩書きが好きですわね。挙句の果てには文明?
だったらどこか大河の近くで発展してなさいな!
先制対策に首輪・オーラで強化された電気【属性・マヒ・範囲攻撃】で攻撃してくる敵軍を迎撃します。マヒさせてしまえば合体に移る動きも邪魔できますしね。敵軍全部の動きを止められはしないでしょうが第一波さえ凌げばUC発動。
ソケットによりワイヤー付きの籠手を帝竜本体に【ロープワーク】【念動力】で飛ばし、帝竜に爪を埋め込んだら高速でワイヤーを巻き取り翼の補助による【空中戦】で敵を躱しながら本体に到達します。
そうしたら大地震の【衝撃波】を身体に直接叩き込みます。
高水準な文明ほど、地震1つで壊滅するんですの!!
帝竜『ダイウルゴス』の咆哮が文明侵略領域にほとばしるように響き渡る。
その咆哮はダイウルゴスの本能そのものであったかもしれない。光の矢の一射により、その意識の中に存在する複数のダイウルゴスの一柱の魂の穢れは払われた。
しかし、未だダイウルゴスは健在そのものである。
彼らの目的がグリモアである以上、これ以上の力を融合によって付けさせるわけにはいかない。
「我等は融合する。これは確定である。ベルセルクドラゴン、ドクター・オロチ以外の全ての帝竜はダイウルゴス文明である我等と共に征く」
「帝竜は仰々しい肩書が好きですわね。挙げ句の果てには文明?」
咆哮するダイウルゴスを前にして、些かの怯えもなく臆することなく対峙するのは、ニィエン・バハムート(竜王のドラゴニアン(自称)・f26511)であった。
紫の髪が風になびく姿は、まさに竜王の威厳に満ちていたことだろう。
緑の瞳が輝く。それは己たち猟兵の要であるグリモアを簒奪せんとする不届き者を見逃さぬ鋭き眼光だった。
「だったらどこか大河の近くで発展してなさいな!」
ニィエンが叫ぶ先には、ダイウルゴスの体より召喚されし、小型ダイウルゴスの大群。瞳に数字が刻まれ、その姿はダイウルゴスをスケールダウンしただけであろう。
しかし、その力の漲り様は確かに帝竜としての力そのものであった。
アンドヴァリの首飾り―――それは持ち主のメガリス全ての効果、威力、射程を三倍にする恐るべきメガリスである。その代償は大きいが、ここでニィエンが敗れることがあれば、そもそもが全て台無しになる。
だからこそ、彼女は戦う。
己のバハムートオーラを強化し、電気の属性を帯びた範囲攻撃で己を蹂躙線とする小型ダイウルゴスを迎え撃つのだ。
「さあ―――! いらっしゃいまし! これより先には一歩足りとて征けぬと思いなさい!」
彼女の発電能力が格段に跳ね上がる。放たれる電撃は、周囲を飛ぶ小型ダイウルゴスたちを次々と叩き落としていく。
一撃で霧散させられるとは思っていない。狙いは数字の少ない個体同士での合体を妨げる麻痺を与えることだ。
彼女の電撃であれば、それが可能である。ましてやアンドヴァリの首飾りによって強化された電撃のオーラであるのなら、なおさらだ。
小型ダイウルゴスの群れの第一波をやり過ごしたにすぎない。
だが、ニィエンにとっては、それで十分であった。
「世界を揺るがす竜王の鉄槌!バハムート・デストラクション!」
彼女のユーベルコード、ナマズのグラグラ大地震(ナマズノグラグラダイジシン)が発動する。
それは大地震を起こすという本来であれば空想上の能力を己に付与するユーベルコードである。
今の彼女は大地をも揺らす力を持つ猟兵である。
「私の―――竜王バハムートの力を思い知らせてさしあげますの!」
メガリスソケットに内蔵されたワイヤーに接続された篭手が念動力により、ダイウルゴス本体へと飛ぶ。第一波を防がねばならない理由はこれである。
相手が小回りの効く小型ダイウルゴスであれば、うかつに篭手を飛ばせば叩き落されるのがわかりきっている。
だからこそ、第一波を凌ぎ切る必要があったのだ。
彼女のメガリスの篭手の万物を切り裂く爪がダイウルゴス本体へと食い込む。念動力で操作された爪が深々とアンカーのように固定され、高速でワイヤーを巻取り、翼の補助と共にニィエンを空へと舞い上がらせるのだ。
その彼女の狙いに気がついた小型ダイウルゴスたちが殺到するが、もう遅い。
本体のダイウルゴスは巨大である。確かに文明と称するに値する存在であろう。だが、知るが良い。
「高水準な文明ほど、地震一つで壊滅するんですの!!」
取り付いたダイウルゴスの体にメガリス・ガントレットを装着したニィエンのユーベルコードによって強化された大地震そのものの衝撃波叩き込む。
それは一瞬で全身に伝播し、ダイウルゴスの内部の意識を強烈に殴りつけたような衝撃を与える。
一瞬で彼らの意識は揺さぶられ、保つことのできぬそれらを暗転させる。
ニィエンはそのまま地面へと失墜するダイウルゴスの体を大地へと叩きつけ、竜王バハムートの名を、そして竜王のドラゴニアンとしてにニィエンの名を轟かせるのであった―――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
何やら企んでる様子だね
思い通りにさせる訳にはいかないから
皆と協力して打倒を目指すよ
文明侵略衝撃波か
衝撃波というならば四肢に注目して
石や砂、木や草の動きを見ていれば
放たれた事はわかるのかな
できるだけ直撃しないように
空中浮遊やワイヤーガンによる移動で躱し
躱しきれなかった分は呪詛耐性や狂気耐性で抵抗しよう
何よりも邪神と融合して酷い目にあってる最中だからね
これ以上よくわからないものと融合するのは勘弁
必死で抵抗するよ
攻撃を凌いだら女神降臨を使用し
飛行しながら使い魔の石化と
ガトリングガンの射撃で構成する竜達を削っていこう
後に残すと面倒な事をやってくれそうだし
こっそり逃げ出したりしないよう
確実に倒していこう
巨大な帝竜『ダイウルゴス』の体が大地へと失墜し、轟音を響かせる。
大地を揺るがす一撃で持ってなされた、それはダイウルゴスの意識を混濁させるには十分すぎる一撃であった。
「我等はダイウルゴス……我。否。我等はダイウルゴス。全て我等はダイウルゴスである。我等はダイウルゴス文明……」
その衝撃から立ち直るのを待つ猟兵ではなかった。
かの帝竜の目的がグリモアである以上、加減をしていられる相手ではない。グリモアを失えば、猟兵にとって、これ以上ない危機となるからだ。
だからこそ、佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は戦場を駆け抜ける。
「何やら企んでる様子だね。思い通りにさせる訳にはいかないから……皆と協力して打倒する!」
ダイウルゴスの体が持ち直すように空へと浮かぶ。
全ての帝竜は猟兵に先んじる力を持っている。それは確実なる先制攻撃となって猟兵を襲う。
しかも、放たれようとしているのは、四肢のどれかからか放たれるという文明侵略衝撃波。
それは放たれ、衝撃を受けた者にダイウルゴス文明との一体化……つまりは融合を求めさせるユーベルコードである。
一度受けてしまえば、完全なる無防備となって動きを停止せざるを得ないのだ。
「文明侵略衝撃波か……衝撃波というならば!」
四肢のどれかから発せられるのなら、その予備動作もあるはず。さらには目に見えぬ衝撃波をどう避けるのか。
衝撃である以上空気を振動させて進む。そのスピードは凄まじいだろう。だが、確実に光よりは遅い。
ならば、それを見切ることができるが猟兵である。
「我等ダイウルゴス文明なり……我等と共に在りし文明となり、汝らもまた我等と等しき者に……」
ダイウルゴスの巨躯……その両手が掲げられる。両手からか!と晶がワイヤーガンと空中浮遊をあわせた技術で空を舞う。
衝撃波は即座に晶のいた場所を遅い、その空気の波は避けきれぬ攻撃となって彼女を襲う。
圧倒的な意識の濁流。それは流れ込み、晶の意識を乗っ取ろうとするかのように容赦なく雪崩込んでくるのだ。
「―――っ! 誰が……! 僕は、これ以上よくわからないものと融合するのは勘弁!」
彼女は元は男性である。石像に封印された邪神像と遭遇したことにより、邪神の依代となり、融合された結果、邪神本来の姿である少女の姿となってしまったのだ。
幸い人格までは乗っ取られていないが、少女の体に男性の意識があるという奇妙な状態になってしまったのだ。
だからこそ、その意識は必至に抵抗する。今、まさに邪神と融合してひどい目にあっているのだ。意識を保つのは慣れたものであったのかもしれない。
ぎ、と噛み締めた歯がきしむ音がする。
それは以外にもクリアに晶の意識へと入り込んでくる。元より邪神と融合した身である。これしきのことで流されることはないのだ。
「は、ぁ―――! 凌いだ!」
息を吐き出す。だが、その息継ぎすら惜しい。
晶のユーベルコード、女神降臨(ドレスアップ・ガッデス)が発動する。彼女の体を包むのは宵闇の衣の如き可憐なドレス。
魔力の翼が彼女の背に生え、その輝きを放つのは正に女神の降臨そのものである。
「小っ恥ずかしいけど、我慢我慢……! 行くよ!」
彼女は舞い上がる。携行したガトリングガンと使い魔による石化によってダイウルゴスの体は削られていく。
銃撃の攻撃は凄まじくユーベルコードによって強化された弾丸が、その龍鱗を引き剥がさんばかりに凄まじい攻撃速度で持って打ち砕いていく。
「後に残すと面倒なことをやってくれそうだし、こっそり逃げ出したりしないよう確実に倒していこう!」
晶は使い魔と共に周囲を飛び回りながら、次々と石化した部分を弾丸で持って砕いていく。
それは文明と称されるほどに強大なる帝竜の体を次々と消耗させていくのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
テイラー・フィードラ
悪を為すならば、例え強大なる竜であろうと挑まん!
まずは奴からか。四肢のいずれかから衝撃波を放つ、と……なるほど、ダイウルゴス。素晴らしき文明であるな。
そうか、そうか。
ふざけるのも冗談にしろ。
俺は、俺の国を作り出す。貴様の文明に何故染まらなければならん。
我が悲願を貶すならば、其れ相応の報いを受けよ!
己が精神を以って洗脳を振り解いたならば、後は単純。
フォルティ!かの竜に我らが憤怒の一撃を!
フォルティに騎乗し疾走、再度奴が衝撃波を放つ?だがそれも四肢のいずれかであろう。
呪言を圧縮言語による詠唱にて短縮、罪人による秘術を以って四肢を拘束し術を封じさせる!
そして長剣を抜き放ち、激情を込めた一撃を!
強大なる存在であろうとも、たゆまぬ攻撃の波にさらされては消耗していくしかない。猟兵たち一人ひとりの力は帝竜に及ばなくても、一つ一つの力が積み重なっていけば、強大な敵であろうとも討ち果たせる。
それを知る猟兵たちは諦めない。
帝竜『ダイウルゴス』は、消耗した体を空へと舞い上がらせる。
「我等の力を消耗させる……それこそが猟兵の戦略。戦術の一つ一つを積み重ねて戦略と成す力。故に我等はそこに勝機を見出す」
ダイウルゴスの融合した竜たちの意識が決定を下す。
戦術が積み重なり戦略となるのであれば、その戦術を崩す。彼らは、そのユーベルコードの力を過信していた。
文明侵略衝撃波。それこそが帝竜『ダイウルゴス』を文明と称するほどの絶対的な力。
「悪を為すならば、例え強大なる竜であろうと挑まん!」
愛馬である屈強であるフォルティを駆り、この戦場へと駆けつけたのはテイラー・フィードラ(未だ戴冠されぬ者・f23928)である。
空を飛ぶ帝竜『ダイウルゴス』の姿は確かに見上げるほどに荘厳なる存在であったことだろう。
その四肢から放たれる衝撃波は、テイラーの体を余さず打つ。体を駆け巡る文明の衝動。それはダイウルゴス文明と融合したいという思い。
それがどのような文明であるのかはわからない。それはダイウルゴスと融合しなければわからないことだろう。
猟兵であるテイラーにとって、それは―――。
「ダイウルゴス。素晴らしき文明であるな。そうか、そうか」
それは甘美なる誘いであったのかもしれない。文明とは即ち人であり国であり、星である。
己の望むものが、なんであるか。テイラーの心の内側から湧き上がってくるのは、ダイウルゴス文明と同化したいという思い。
しかし、それが偽りであるとテイラーの激情が叫ぶ。燃えたぎるような力が、胸の内に溢れている。それに触れることができるものなど、この世に存在しない。それを掴むことができるのは、テイラーのみである。
「ふざけるのも冗談にしろ」
テイラーのほとばしる激情が、ダイウルゴスの爪が迫らんとした時、発露する。
その黒き瞳が映すのは、ダイウルゴス。
「俺は、俺の国を作り出す。貴様の文明に何故染まらなければならん。我が彼岸を貶すならば、其れ相応の報いを受けよ!」
馬上にて、テイラーの長剣がダイウルゴスの爪を受け止める。屈強なる愛馬の嘶きがテイラーの意識を完全にダイウルゴスから切り離す。
「我等の文明を何故受け入れない。我等と共にあれば、汝の望みもまた―――」
ダイウルゴスの困惑した声が響く。
それは真っ向から文明侵略衝撃波を受けて尚、その力を振り払うテイラーの存在に戸惑っているからだ。
何故染まらぬ。何故望まない。ダイウルゴスの意識の中では困惑が続く。
テイラー自身の燃え上がるように苛烈な情動の前には、その精神を屈するには値しないのだ。
「フォルティ!かの竜に我等が憤怒の一撃を!」
愛馬フォルティが大地を駆け抜ける。目指すのはダイウルゴス。あれなる帝竜を討たねばならない。
文明侵略。それがどれだけの文明を飲み込んできたのかはわからない。だが、その在り様は、到底許容できるものではない。
「文明侵略衝撃波―――放て」
再度、ダイウルゴスが文明侵略衝撃波を放とうと四肢を動かす。だが、それはすでにテイラーにとって一度見たユーベルコードである。
ならば―――!
「枷囚われし懐旧の記憶抱くモノよ。未だ消えぬ事なき知を以て打ち消せ!」
テイラーのユーベルコードによって、悪魔『彼は誰時の罪人』が呼び出される。それは悪魔召喚「彼は誰時の罪人」(デーモンサモン・モーニングスター)である。
呼び出した悪魔による秘術によって、ダイウルゴスの四肢は何処からともなく現れた力によって拘束され、衝撃波を放つことができなくなる。
「四肢のいずれかから放つということは、その全てを封じられれば放つこともできまい!我等が矜持と思いを侵略しようなど―――!」
フォルティが宙を飛ぶ。抜き放たれた長剣に込められし激情はテイラーの思いそのままに、ダイウルゴスの巨躯へと振り下ろされる。
鮮血の如き力の奔流がダイウルゴスの体を切り裂いてほとばしる。
ダイウルゴスは見ただろう。
己たちの掲げる文明など歯牙にも掛けない激烈たる情熱を胸に抱く者の姿を。
そして、それを見上げることしかできぬ己たちの存在を知るのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
グリモアを求めるドラゴンか。災魔の宝石のように貝渡りが目的なのかしら?
何にしろ、放置は出来ないわね。
衝撃波には「範囲攻撃」の「衝撃波」。これで、あたしを襲う文明侵略衝撃波を相殺してみせる!
消しきれずあたしに到達した分は、「オーラ防御」と「呪詛耐性」で耐えてみせるわ。
あたしはあたし。誰かの一部になろうなんて思わない。
浄玻璃紫微宮陣、展開。
竜の巨躯のままじゃ、細い通路を通って脱出することは出来ないわ。細分化して出口を探しに出るといい。
その様子を黒鴉召喚の式で観察しつつ、不動明王火界咒で各個撃破していく。
大軍は分散させて一つずつ潰すのがセオリーよ。
ドラゴンテイマー抜きじゃ、統率なんて出来ないでしょ?
切り裂かれた体躯よりほとばしるのは、力の奔流であった。
元より帝竜『ダイウルゴス』は99の竜の融合体である。己を文明と称するダイウルゴスの強大さは言うまでもない。
だが、その文明を持ってしても侵略できぬものもあるのだ。
「我等はダイウルゴス。揺らがぬ者。我等は侵略する者。全ては我等ダイウルゴスと同化する運命……我等が求めるはグリモア……!」
ダイウルゴスは咆哮する。
激情を知った。それは己だけのものを求める心。だが、複合融合体であるダイウルゴスには終ぞ芽生えることのなかったものである。
「グリモアを求めるドラゴンか。災魔の宝石のように界渡りが目的なのかしら」
村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)は傷に悶えるようにして咆哮迸らせるダイウルゴスを見て、考察を深める。
アルダワ魔法学園の時のようにオブリビオンが求めるものは自由に世界を渡り歩く力であるのかもしれない。
だが、それとグリモアが関連していることはわからないでもない。グリモアが奪われることがあれば、猟兵にとってはこれ以上無い危機である。
「何にしろ、放置は出来ないわね」
帝竜『ダイウルゴス』の咆哮の後に現れるのは、四肢から放たれる文明侵略衝撃波。それは、ダイウルゴスをダイウルゴス文明たらしめるユーベルコードである。
あらゆる文明を、生命体を融合してきたダイウルゴスにとって、このユーベルコードこそが、ダイウルゴスの最大の強みであったのかもしれない。
衝撃波。
音が伝わる波。ならばと、ゆかりが己へと到達せんとする衝撃波へと真っ向からぶつけるのは、己の武器より放つ同じく衝撃波である。
「衝撃波っていうのなら―――! これで打ち消す!」
放たれた衝撃波は、ダイウルゴスの放った文明侵略衝撃波とぶつかる。異なる波長。完全なる波長を合わせるには至らなかったが、ある程度軽減される。
しかし、この衝撃波が少しでもゆかりに届くのであれば、それは体を伝播し、彼女の心に『ダイウルゴス文明と同化したい』という感情を生み出す。
そうなれば、彼女とてダイウルゴス文明に取り込まれるしかない。
「あたしはあたし。誰かの一部になろうなんて思わない」
それは彼女の確固たる意志。
彼女の体を覆うのは意志の力により生み出されたオーラ。それは呪詛の如き文明侵略衝撃波を防ぎきる。
「急急如律令! 天に坐す北辰と傅く二十八の星宿を今この大地に降ろし、星界の彷徨のいや果てに、不浄を清め天の高みへと昇らしめん!」
彼女の紫の瞳が輝く。
それはユーベルコードの輝き。彼女のユーベルコード、浄玻璃紫微宮陣(ジョウハリシビキュウジン)である。
戦場となった文明侵略領域。そこに玄妙な霊気の漂う清浄な星空の破魔結界が張り巡らせる。
それは迷路であり、ダイウルゴスを封じる結界でもあった。
「竜の巨躯のままじゃ、細い通路を通って脱出することは出来ないわ。細分化して出口を探しに出ると良い」
彼女の言葉は、そのまま真実であった。
即座に迷宮に対応したのはダイウルゴスの中の意識が出した合議の結果故だろう。ダイウルゴスの力を削ぎ切ることはできなくても、細分化し、迷宮の外に出ようとする時間は、他の猟兵たちの駆けつける時間、ひいてはダイウルゴスに対する備えを完全にすることができる。
鴉に似た式神により、迷宮内の動向は全てゆかりに筒抜けである。
「我等はこのような迷宮に惑わされることはない。我等はダイウルゴスであればこそ、我等は全てにして一つの存在」
一つしかない出口。
それをダイウルゴスが発見するのも時間の問題であった。
優れた迷宮の利点は、その出口が一つしかないということである。その迷宮の主が思うことはなんであろうか。
出口が一つしか無い。ならば、侵入者が出入りする場所こそが迎え撃つのに最適な場所であるということだ。
「大軍は分散させて一つずつ潰すのがセオリーよ」
迷宮の出口から飛び出してきた細分化されたダイウルゴスを、ゆかりが投げつけた白紙のトランプより噴出する不浄を灼く炎が尽く消耗させていく。
一体一体、各個撃破できればよかったのだろうが、誤算であったのはダイウルゴス事態が一気に出口より次々と絶え間なく脱出してきたことだろう。
全てを焼き切ることはできなかったが、それでもゆかりの放つ計略と炎は、ダイウルゴスに消えぬ炎による消耗を不覚刻み込んだのだった―――!
大成功
🔵🔵🔵
春乃・結希
あなたたちが会議するなら、私もwithと話し合います!
UC発動
空から大剣を召喚します
どうする……?うんうん……なるほど……いい作戦です!
決まりました!結論は……
【どんな相手でも絶対引かない!間合いに入れて、思いっきりぶん殴る!】
『with』と言葉は交わせなくとも
繋がる赤い糸を通じてお互いの想いは確実に伝わります
お互いの隙を埋めつつ確実に接近
十分に距離を詰めたら『with』を突貫させます
『with』が消滅させられそうになったら、最後に思いっきり糸を引いて貰い
その勢いのまま私が全力の一撃を加えます
ありがとう『with』!
これが2人の、絆の一撃です!【重量攻撃】【鎧無視攻撃】
猟兵たちの攻撃は、文明そのものである帝竜『ダイウルゴス』を確実に消耗させていた。
炎に巻かれるように空へと逃れるダイウルゴス。その巨躯に刻まれた消耗の痕は、複数の竜の融合体であるダイウルゴスにとって合議を開かねばならぬほどの事態であった。
合議制を取るがゆえの弊害である。それは合議の間、ダイウルゴスは不自然ながらも停止しなければならない。
それゆえに合議が決した後のダイウルゴスの能力は飛躍的に跳ね上がる。
「我等ダイウルゴスは今一度、合議する。果たして猟兵と交戦するのが最適であるのかどうか。我等は侮ったわけではない。帝竜そのものに猟兵単体が敵うものではない。何故、我等はこうまで追い詰められる」
それは彼らが他者を侵略し、同化するがゆえに決定的に得られぬ回答であった。
見上げる帝竜の体は大きい。
だが恐れる理由にはなっていない。春乃・結希(withと歩む旅人・f24164)は見上げながらもどこか達観していたのかもしれない。
何故なら、彼女の傍には大剣である『with』があるからだ。
「あなたたちが会議するなら、私もwithと話し合います!」
張り合ったのだろうか。いや、単純なことであったのかもしれない。最愛なる人と共に在りたいと願うのは、彼女にとって至極当然のことであるからだ。
ユーベルコードに願うのは、with、お願い。一緒に……戦って!(サイキョウノコイビト)という思い。
彼女の小指に紡がれるのは絶対に切れない焔の糸。
その糸がつながる先にあるのは、『with』。それこそが彼女の恋人である。彼女がともにあると強く思う自己暗示は、ユーベルコードによって結実する。
「どうする……?うんうん……なるほど……良い作戦です!」
彼女の言葉は大剣『with』と確かな会話を育んでいる。それが自己暗示だとしても、生まれる力があるのならば、それは確かなものである。
だからこそ、大剣『with』の姿は大剣を携える影となって、彼女の隣に在るのだ。
「決まりました! 結論は……!」
「我等は決定する。合議により……」
その言葉は結希とダイウルゴス、同時に出た言葉であった。
「猟兵は殲滅する。取り込むことなく、全てを滅ぼし尽くし、グリモアを得る」
「どんな相手でも絶対退かない!間合いに入れて、思いっきりぶん殴る!」
両者の言葉は、言葉の字面は違ったとしてもも同じことであった。他者が相容れぬのであれば、自身が退くことはない。押し通る。
ダイウルゴスの巨躯が空を舞う。目掛けて飛ぶのは結希。まずはこの猟兵から殲滅戦と巨大なる爪を振るう。
だが、その爪は大剣を携えし影によって阻まれる。
彼女と『with』は言葉を交わせなくても、つながる赤い糸を通じてお互いの想いは確実に伝わるのだ。
互いの位置を入れ替え、立ち代わり、隙を無くしてく動きはお互いのことをパートナーであると信じているからこそできる動きであった。
影が大剣を振るう。突貫するようにダイウルゴスの巨躯へと迫る。だが、ダイウルゴスの爪が影をなぎ払い、その姿が消えて行こうとする瞬間、影が引っ張るのは結希と繋がった赤い糸。
それはどんなことがあっても途切れることのない絶対なる運命。
力強く引っ張られた結希は、体ごとダイウルゴスへと突進する。
「ありがとう『with』!」
その勢いのままに結希は、大剣『with』を上段に掲げる。勢いのままに彼女は大剣を振るうだろう。それは彼女の全力の一撃である。相手がどんなものであっても構わない。
それに恐れをなすことはない。恐怖はない。怯えもない。なぜなら―――。
「これが二人の、絆の一撃です!」
そう、二人の間を別つに値するものなど存在しないのだから。
放たれた一撃はダイウルゴスの龍鱗を砕き、深々と二人の一撃を刻み込むのだった―――!
大成功
🔵🔵🔵
ケルスティン・フレデリクション
…グリモアを手に入れたらどうするんだろう。グリモアベースに来ちゃうのかな…
それは、…止めなきゃいけない、ね
先制攻撃には【ひかりのまもり】を使うよ。
すべての攻撃から、皆を守る無敵の光の壁を作るね
【属性攻撃】【全力魔法】【範囲攻撃】
は氷の精霊のルルと一緒に。
おねがい、ルル。お手伝いしてね
氷の雨を振らせて、敵を怯ませるよ。
大きな氷の槍も、降らせるね
皆を守るために、いっぱいいっぱい頑張るよ!
帝竜『ダイウルゴス』は疑問に満ちあふれていた。
合議制によって成り立つ意識の中で、それぞれのダイウルゴスたちが困惑する。猟兵たちの個々の能力は帝竜よりも下回っているはずだ。
だというのに、ダイウルゴスの攻撃は防がれ、対策を打たれている。なぜか―――。それはもうわかっている。
「我等ダイウルゴスは決議する。やはりグリモアである。かの魔石の力である。我等文明侵略であるダイウルゴスが、ここまで対処されるのはグリモア故である」
刻まれた傷は深々とダイウルゴスの体を蝕んでいる。龍鱗など意にも解さぬ攻撃は、確実に帝竜『ダイウルゴス』を消耗させていた。
合議の決を取る。けれど、その間にも猟兵たちは迫っている。急がねば。合議は成った。咆哮するダイウルゴスは、今こそグリモアを得んがために、飛躍した戦闘力のままに対する猟兵へと振るわんと飛翔するのだった。
「……グリモアを手に入れたらどうするんだろう。グリモアベースに来ちゃうのかな……?」
不安そうな顔を浮かべてしまうのは、ケルスティン・フレデリクション(始まりノオト・f23272)である。
引っ込み思案で人見知りである彼女が、こうして戦いの場に現れたのは、ひとえにアックス&ウィザーズ世界の人々のためである。
彼女が戦う理由はいつだって、誰かのためである。それが聖者たる彼女の本質なのかもしれなかった。
「それは……止めなきゃいけない、ね」
彼女の決心は固い。彼女の傍を舞う白き小鳥の精霊ルルが迫りくるダイウルゴスを見据え警告の如く鳴く。
「ルル、わかっているの。ぜったいぜったい護るの」
彼女の瞳に怯えはない。彼女が怯えるのは他者の傷。己ができることを、為すべきときに為すことができるように。
だから、彼女の小さな体を蹂躙せんと振るわれる爪が眼前に迫っても尚、その瞳が揺らぐことはなかった。
その瞳の輝きこそがユーベルコードの輝き。
「きらめき、まもって!」
彼女のユーベルコード、ひかりのまもり(ヒカリノマモリ)によって生み出されるのは無敵の盾。
彼女の想像から創造されし、絶対無敵の盾である。ダイウルゴスの爪が盾とぶつかる。通常の盾であればひしゃげたであろう一撃も、ケルスティンの想いの前には霞む。
彼女は創造した。想像した。すべての攻撃から、皆を護る無敵の光の壁を。
故にユーベルコードは応えるのだ。彼女の想像に疑念が生まれぬ限り。彼女の決意にゆらぎが無い限り。
生み出された光の盾の壁をダイウルゴスが超えることはできないのだ。
「おねがい、ルル。お手伝いしてね」
白き小鳥の精霊ルルが、ぴ!と鳴く。小さくても彼女と同じく誰かを護るために戦うことのできる力。
氷の精霊の力を借りて、ケルスティンが放つのは全力の氷魔法。
空に浮かぶは氷の雨の如き氷槍。礫の如き氷と共に一斉にダイウルゴスの体へと降り注ぐ。
頭上より迫りくる氷塊のごとき属性魔法はダイウルゴスの体を強かに打ち付け続ける。
眼前には光の盾の壁。頭上よりは雨の如き氷の魔法の打撃。
強化されたはずの身体能力であっても怯まざるを得ない波状攻撃の前にダイウルゴスは、己たちの決した合議の結果を揺るがされる。
何故ここまで戦える?
何故?何故?何故?
それはダイウルゴスが侵略者であるが故に同一の存在で在り続け、他者を同化することしかしなかったからこそ、終ぞ得ることの出来なかった想いである。
ケルスティンは、その小さな体に抱き続けている想いである。
「皆を護るために、いっぱいいっぱい頑張るのよ!」
誰かのために戦えること。
誰かのために身を挺することができること。彼女の胸に在るのは、他者のための想い。
だからこそ、彼女はダイウルゴスという存在に立ち向かうことができるのだ―――!
大成功
🔵🔵🔵
ジョルジオ・サニーウィッキー
アドリブ歓迎
ったく、前に見た顔に良く出くわすねぇこの頃は…
ヨソ様の世界に首突っ込むもんじゃないぜ。それが世界を滅ぼすってんなら尚更!
見えない波に盾受けの姿勢をとる。その効果は防げやしないだろうが…コミュ力で国と世界を渡り歩いた根なし草のジョルジオさんを懐柔する気かぁ?甘い甘い!
軽口の裏で強く強く祈りを念じる。神へ…そして今は亡きこの世界の親友へ―
戦争での妙な裏仕事も、グリモアを手にしようってのも…大元は世界の滅亡が目的だろ?
そんなもの…どうあったって迎合は出来ないんだよなぁ!!
この世界(ばしょ)は、誰にも壊させん!
顕現を願う、守護神の槍よ!
侵略に相応しき報復を、悪しき帝竜へと突き立て給え!
「ったく、前に見た顔に良く出くわすねぇ、この頃は……」
ジョルジオ・サニーウィッキー(日向に歩く破顔・f15126)は呆れた顔で、光の壁と氷の雨にさらされる帝竜『ダイウルゴス』の姿を見上げていた。
彼もまた数々の世界を渡り歩いてきた猟兵である。依然の戦いで見たオブリビオンの姿があると思えば、流石に辟易するであろう。
ダイウルゴスは氷の雨から逃れるように飛翔する。ジョルジオに気がついた。わかりやすく攻撃の標的を自身へと変更したのだ。
「ヨソ様の世界に首を突っ込むもんじゃないぜ。それが世界を滅ぼすってんなら尚更!」
竜の白鱗たる盾を構える。ジョルジオもまた、かの帝竜が放つ文明侵略衝撃波の脅威に対する対策を講じてきている。
盾で受け止めるだけでは、その効果を防げないこともわかっている。だが、それでもジョルジオには漲る自身があった。
衝撃波が体を打つ。それは白鱗の盾を持ってして減ずることはできても、完全に遮断することは出来なかった。
「我等はダイウルゴス。我等は文明そのもの。我等こそが文明の先駆者であり、開拓者である。我等と共に進むことこそが生命体の至高たる願望」
その言葉はジョルジオの心のなかに入り込んでくる。それは、その文明と同化することこそが至高であるとジョルジオの心理を懐柔しようとするかのような響きがあった。
それは甘美な誘いであったのかもしれない。文明と同化するということは、文明が滅びぬ限り永遠とも言える時間を生きることができることに他ならない。
「コミュ力で国と世界を渡り歩いた根なし草のジョルジオさんを懐柔する気かぁ?甘い!甘い!」
ジョルジオは、その誘いの言葉に軽口で返す。
それは拒絶であった。だが、その言葉の裏にあるのは、強き祈りであった。
神への祈り。それがあった。強く強く念じることによって、彼の祈りは昇華されることだろう。
だが、それ以上にジョルジオの心を締めるのは、今は亡きこの世界の親友への祈りだった。
それはダイウルゴス文明の甘美なる誘い全てが無意味に思えるほどの、強く想い。
「戦争での妙な裏仕事も、グリモアを手にしようってのも……大元は世界の滅亡が目的だろ?」
その声は静かだった。声色はあまりにも湖面を思わせるほどに静謐そのもの。だが、その身の内側から溢れる物は違う。
ジョルジオが思い浮かべるのは、この世界。アックス&ウィザーズで出会った親友の姿。ダイウルゴスは、それすらも同化しようと言うのだ。
これは、この想いはジョルジオだけが抱くことのできる想いだ。
「そんなもの……どうあったって迎合は出来ないんだよなぁ!!この世界(ばしょ)は、誰にも壊させん!」
その思いはユーベルコードの輝きとなって顕現する。
守護神の正当防衛(ガーディアンズ・リトリビューション)。それは構えし白鱗の盾が向く敵。この世界の敵であるダイウルゴスへと向けられていた。
「顕現を願う、守護神の槍よ!」
ジョルジオの周りに召喚された光の槍。その穂先は一斉にダイウルゴスへと向けられていた。
かの敵を許してはおけない。
己と他者が違うからこそ、抱ける想いを一蹴する帝竜『ダイウルゴス』を許してはおけぬ。
光の槍が空へと浮かび上がる。それは報復の一撃である。
「侵略に相応しき報復を、悪しき帝竜へと突き立て給え!」
剣を向けた瞬間、光の槍が一斉に宙を駆ける。光の槍は過たず次々とダイウルゴスの巨躯へと突き刺さり、その身を砕く。
空中で穿たれ続けるダイウルゴスの絶叫の咆哮が響き渡り、ジョルジオは険しき顔を破顔させる。
「其は言われた。「貴様が打った盾は我が身。その暴虐の愚、確と心得よ」ってな!」
大成功
🔵🔵🔵
フェルト・フィルファーデン
……そう。アナタ、ドラゴンテイマーと共にいた……
あの時のわたしの実力では敵わなかった相手。ええ、リベンジといきましょうか!
ねえ、アナタ達の議長が今どうしてるか、知りたくない?
せっかくだからお得意の合議で知るか決めたらどうかしら?
ええ、その間待っててあげるわ?……(なんて、嘘だけれど。
UC発動。速攻かつ密かに針を飛ばしナノマシンを注入。機械を植え付け電波で侵す。【先制攻撃、早業】)
これで合議が纏まる事は無い。相手が敵に見えてる合議なんて成立しないものね?
隙は出来た。わたしの騎士人形よ!その首を一閃の元に斬り裂いて!(力溜め、薙ぎ払い】
特別に教えてあげる。アナタ達の議長は、とっくに猟兵が葬ったわ。
光の槍に貫かれて絶叫する帝竜『ダイウルゴス』。大地を震わさんばかりの咆哮は、それだけダイウルゴスが被った消耗の度合いの酷さであろう。
ダイウルゴスは文明であると己を称する。それはダイウルゴスが数々の文明を侵略し、取り込み、己のものとしてきたからである。
その融合故に、その身に宿る意識が合議を取ることによって、全ての行動に決定を下すのだ。
「我等ダイウルゴス。我等ダイウルゴス文明こそが、生命体全ての道標にして到達点であり、最前線である」
それは己が文明であるという誇りであったのかもしれない。
だが、過ぎたればそれは傲慢にしかならぬことを知らないだけのことである。
「……そう。アナタ、ドラゴンテイマーと共にいた……あの時のわたしの実力では敵わなかった相手。ええ、リベンジといきましょうか!」
フェルト・フィルファーデン(糸遣いの煌燿戦姫・f01031)のフェアリーの小さな体が空に舞う。かつて戦ったドラゴンテイマー。それに敵わなかったという過去は変えられない。
変えられないが乗り越えることはできる。皮肉なものではある。かつて戦った者が召喚せしダイウルゴス。
そのダイウルゴスとまたこうして相まみえることがあるとは思いもしなかったことだろう。だからこそ、リベンジの機会が訪れたことを喜ぶべきだろうか。
「ねえ、アナタ達の議長が今どうしてるか、知りたくない?せっかくだからお得意の合議で知るか決めたらどうかしら?ええ、その間待っててあげるわ?」
その言葉はダイウルゴスにとっては、不可解な言葉であった。
議長であるドラゴンテイマーは欠席している。今は居ない。帝竜として存在しているダイウルゴスにとって、その存在は無きものである。
「我等はダイウルゴス。我等に抗うは無意味と知れ。我等は文明であるが故に個である猟兵とは次元が違う。故に―――」
ダイウルゴスの中で合議が始まる。それは本来99の内包せし竜と議長であるドラゴンテイマーによって決を取る合議制。
だからこそ、フェルトの問いかけは議題に登る。何故ドラゴンテイマーは現れないのかと。
その合議の間、ダイウルゴスは動きを止める。
それは戦いのさなかにあっては決定的な隙となるのだが、一度合議が決定すれば、ダイウルゴスは脅威的な身体能力であって対峙するものを圧倒するのだ。
だからこそ、フェルトは見逃さない。その決定的な隙は、フェルトにとっては最大の一撃を放つ好機なのだから。
「悪いわね、こっちも手段を選んでられないのよ」
彼女のユーベルコードが発動する。Crack-confusion(デンシノキカイヨクルワセマドワセハメツヲモタラセ)、それは極小の針を放つユーベルコードである。
ダイウルゴスの体へと刺さり、そこから送り込まれたナノマシンがダイウルゴスの体内へと侵入する。
ナノマシンは電波発生機だ。その電波は味方を敵と誤って認識させる怪電波を発する。
故に、今ダイウルゴスの中では味方であるはずの99の竜たちそれぞれが、己の敵対者と認識してしまい、合議が纏まらないのである。
「これで合議がまとまることはない。相手が敵に見えてる合議なんて成立しないものね?」
そう、自身の中で合議を取るということは、賛成と反対が生じること。だが、そこに自身に敵意あるものがいるのだとしたら……。
それは疑心暗鬼を生み出し、あらゆる決定に不足が生じる。それこそがフェルトが求めた決定的な隙である。
「隙は出来た。わたしの騎士人形よ!その首を一閃の元に切り裂いて!」
左人差し指がダイウルゴスを指し示す。その先に繋がれた騎士の絡繰り人形が大剣を携え、帝竜『ダイウルゴス』の首元を切り裂く。
ダイウルゴスはユーベルコードを発現させることなく、その首元を一閃させられ、痛みに悶えるように身を捩るのだった。
「特別に教えてあげる。アナタ達の議長は、とっくに猟兵が葬ったわ」
それは混乱の最中にあるダイウルゴスの意識の中で強く響き、さらなる意識の混乱を齎すのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
この帝竜の首魁は異世界で交戦したドラゴンテイマー…両者が揃っていた場合を考えれば此度の邂逅は好機
ドクターオロチの復活という前例がある以上、合流の可能性は少しでも減らさなくては
…御伽の騎士はもう少し純粋な義憤で竜に挑むのでしょうね!
あれこれ考えるこの身が恨めしい…
●礼儀作法で一礼し
帝竜ダイウルゴス、騎士として討ち取らせていただきます
いざ、勝負!
と、真正面から突撃
合議決定し動き出す挙動を●見切り格納銃器での●スナイパー●だまし討ち●目潰し
攻撃の際の合議決定の材料となった情報が誤りだと気付かせ隙や挙動の乱れを突き攻撃回避
UCで背中に飛び移り対処に更なる混乱を引き起こしながら●怪力の剣で翼を切断します
首元を絡繰り騎士人形の大剣によって切り裂かれた帝竜『ダイウルゴス』は混乱の極みにあった。
告げられた言葉。それは議長たるドラゴンテイマーがすでに猟兵によって討たれているという事実。だが、合議は止まらない。どれだけ混乱に陥れられようとも、この合議は決しなければならない。
文明が終わってしまう。ダイウルゴス文明という侵略文明が滅びてしまう。
「それだけは避けねばならない。我等は決する。我等は議長なくとも決する。我等の合議は絶対である」
意識は未だ混乱の最中にある。だが、目の前に迫る猟兵の波状攻撃とも言うべき襲来は続く。
文明は護らねばならない。これはダイウルゴス文明の主題である―――!
「この帝竜の首魁は異世界で交戦したドラゴンテイマー……両者が揃っていた場合を考えれば、此度の邂逅は好機」
だが、そうはならなかった。主従両者が揃うことはなかったのである。この強力なる帝竜『ダイウルゴス』を打つ絶好の好機と捉えるべきである。
「ドクター・オロチの復活という全霊がある以上、合流の可能性は少しでも減らさなくては……」
そこまで考えて、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は僅かに嘆息したような雰囲気を醸し出した。
思索は忌避すべきことではない。だが、彼の記憶回路に残る騎士たちの姿は、トリテレイアのやっていることとは離れているような気がしてならないのだ。
「……御伽の騎士はもう少し純粋な義憤で竜に挑むのでしょうね!あれこれ考えるこの身が恨めしい……」
しかし、その思索があればこそ救える生命もあるのだ。
ダイウルゴスの止まっていた動きが変わる。彼らの中で合議は決したのだろう。
「我等は決定する。猟兵との交戦の継続を。我等の議長無くとも我等は文明を死守する。逃走しても猟兵は我等を逃さぬだろう。故に我等は猟兵を尽く討ち果たす」
それが合議の結果だった。
身体能力の飛躍したダイウルゴスが、迫る猟兵であるトリテレイアへと飛翔する。
「帝竜ダイウルゴス、騎士として討ち取らせていただきます。……いざ、勝負!」
それは儀礼的な意味合いもあったのだろう。
これが騎士との一騎打ちであるのであれば、正しき作法であったのかもしれない。だが、トリテレイアにとって、騎士同士の戦いというのは多くはない。
オブリビオンであるダイウルゴスを前にして、その正面からの突撃は愚策に思えたかも知れない。
事実、ダイウルゴスもそう評した。だが、その飛翔の瞬間を狙いすましたかのようにトリテレイアの肩部格納銃器が展開され、だまし討のごとく放たれた火器の弾丸がダイウルゴスの眼球を狙ったのだ。
「―――!?」
それは困惑であった。得られた情報全てが混乱に満ちていく。正面突撃を仕掛けてくるはずであったのに、それがない。
ましてや火器を用いるなど。だが、そんな混乱は合議ですら覆せない。挙動が乱れる。爪を振りかざしたところでトリテレイアを捉えることは出来ない。
「騎士の戦法ではありませんが…不意を討たせて頂きました。卑怯と罵られますまい」
即座に両腰部稼働装甲格納型 ワイヤー制御隠し腕 (ワイヤード・サブ・アーム)を展開する。
放たれた有線式隠し腕が動揺するダイウルゴスの背中へと張り付くと、ワイヤーが巻き取られるままにトリテレイアの体を翼の根本まで運ぶ。
手にした剣を怪力とともに振るう。それは一撃で持ってダイウルゴスの翼をもぎ取らんばかりの一撃。
「この厄介な翼を手折らせていただきます―――!」
片翼を喪ったダイウルゴスの体が傾ぐ。空中で態勢が崩れ、地に失墜するのは必定。だが、それでもトリテレイアの行動は止まらない。
もう片翼にもまた剣を振るう。その一撃は、再び翼をもぎ取るが如く、ダイウルゴスの翼を両翼とも損失させ、大地へと叩きつけられる前に隠し腕を飛ばし離脱する。
「どれだけの意識が合議を決定しようとも、単一の意識で決められぬのであれば、それだけ隙が生まれるというもの……ましてや、誤った情報を流し込まれた体には、それすらもわからないことでしょうが」
トリテレイアはもぎ取った翼を投げ捨て、ダイウルゴスへの癒えぬ傷を刻み込んだのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
ナイ・デス
グリモアを手に入れて、何をするのか……
わからない、ですが。世界の滅びに繋がるような、何か、なのでしょうね
フォーミュラより先に、倒し切りましょう
召喚された軍見据え【覚悟】決め
『イグニッション』
先に攻撃されても【激痛耐性】本体無事なら、再生する。気にせず
数が多くても、どれだけ強くても……『勇気』で、攻める!
【念動力】で【空中浮遊】して
宇宙服から光を噴いて自身【吹き飛ばし】『空中戦ダッシュ』
『野生の勘で見切り』避け
黒剣鎧で『オーラ防御かばい』受け
【カウンター鎧無視攻撃】手足の刃『怪力』刺して【生命力吸収継戦能力】
倒し、疲労も肉体も回復して次へ
合体されても、全身の光で包んで螺旋回転『トンネル掘り』貫く
数多の猟兵達の攻撃によって両翼までももがれた帝竜『ダイウルゴス』の体は大地に失墜した。
それは大地に轟音と共に震撼させる。これだけの攻撃を受けておなお、ダイウルゴスは骸の海へと還らない。それが帝竜としての力の現れであるというのなら、凄まじき力であると言わざるを得ない。
そして、そのおぞましい執念で追う猟兵の要であるグリモア。それを求める執念深さは、一体何処から来るというのか。
「グリモアを手に入れて、何をするのか……わからない、ですが。世界の滅びにつながるような、何か、なのでしょうね」
ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)の心に去来するのは形容し難い感情であった。世界の滅び。それが何を意味するのか。
それはアックス&ウィザーズ世界だけではない、数多の世界の崩壊にもつながることであろう。
だからこそ―――。
「オブリビオン・フォーミュラより先に、倒しきりましょう」
ナイの赤き瞳が決意を湛えた瞬間、大地に失墜したダイウルゴスの体より放たれたのは小型ダイウルゴス。瞳に1と数字の刻まれた小型サイズのダイウルゴスたちが群れをなして、ナイへと迫っているのだ。
その数の多さは大軍と言ってもいいほどであった。
あれほどの数……だが、ナイの決意は揺らがない。覚悟を決める。
「イグニッション」
その赤き瞳の輝きは、ユーベルコードの輝きである。エクストリガー【ディリゲント】(エクステンドオーブ)、彼の持つ力が増幅されていく。彼の持つ防具全てとの融合であり、彼自身がヤドリガミであるからこそできる業である。
迫る小型ダイウルゴスたち。
彼らは数でナイを圧倒する。牙が、爪が、彼の小さな体を傷つけていく。
もがれる、裂かれる……けれど、彼は気にしない。再生できるから。
それでも、彼ではない誰かが気にしてしまうから、無理はできない。
―――けれど、それでも。いつもそう思うだけで心に力が湧く。
「数が多くても、どれだけ強くても……『勇気』で攻める!」
ナイの体が念動力によって空へと上がる。彼と融合せし宇宙服から光が噴き出して、自身を吹き飛ばすように宙を駆け抜ける。
小型ダイウルゴスたちの攻撃は、野生の如き勘の冴えどころである。あらゆる攻撃を躱し、それでも数で圧する小型ダイウルゴスの爪と牙はナイの体を捉える。
すぐに変じた黒剣鎧より発せられるオーラ防御と黒剣によって攻撃を防ぎながら飛ぶ。
「我等はダイウルゴス。小さきものよ、何故―――」
ダイウルゴスの問いかけは無意味である。どれだけ言葉を紡ごうとも、この身には無意味である。
ナイの心に届くのはいつだって。
手足の刃が小型ダイウルゴスの体へと突き立てられる。啜るように生命力を吸収しては、疲労も体も回復する。
空を飛ぶ。次へ、次へ。戦う。そうすることで救われる誰かがいるのであれば、この身はそのためにあるのだから。
だから、何も怖くない。ヤドリガミたる己の体は、本体さえ無事であれば再生が効く。
吹き飛ばされても、瞬時に得た生命力で再生する。戦う。そう心に決めたのだから、それを貫く。
小型ダイウルゴスたちが次々と連なって合体していく。その姿はダイウルゴスそのものと言っても良い。
怯むことはない。そんな感情は『勇気』で蹴り飛ばす。
「私は、死なない。ではなく、死ねない」
全身が光で包み込まれる。死ねるわけがない。彼の『となり』にいる者のために。光と一体となったナイの体が螺旋回転を描き、削岩機の如き力で合体小型ダイウルゴスへと突撃し、その身を穿ち、空へと光を放つ。
それはナイの魂の輝き。
今此処に在るという、鮮烈なる生命の輝きを群竜大陸の空へと輝かせるのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
アシェラ・ヘリオース
漁夫の利狙いとは良い戦略だ
それが見透かされない場合はだがな!
正面に立ちはだかる敵首魁は敵として認めるが、この者の性根は認め難い
ここに打倒しよう
先制への対策は一撃離脱だ
議決が出る前に最強の一撃を加えたい
【空中浮遊、念動力】で高速飛翔し、衝撃波や小型の竜は鋭利な機動の【空中戦】で回避及び赤光の剣や盾を用いてやり過ごす【二回攻撃、盾受け、オーラ防御】
豊富な【戦闘知識】で議会中枢を目指し、収束した赤光を連弾して道を拓こう【砲撃、乱れ撃ち、誘導弾】
「議決などさせん!!」
議会中枢を見据え即【ランスチャージ】
【絶・破天槍】を食い込ませると同時に、臨界出力で【吹き飛ばし】を狙う
後は爆発に【迷彩】し離脱しよう
両翼はもがれ、体躯は傷だらけ。さらには分身である小型ダイウルゴスの大群すらも喪ってしまった。
帝竜『ダイウルゴス』はうろたえていた。何故こうなってしまったのか。合議で決定した事柄であった。
帝竜ヴァルギリオスよりも長く存在し、ベルセルクドラゴン、ドクター・オロチ以外全ての帝竜を融合し、グリモアを手に入れる。
それを決定する合議は成ったのだ。賛成多数であった。何故なら、それが一番勝算の高い方法だったからだ。
だが、結果はどうだ。前哨戦である猟兵達との戦いですら、この有様である。何故だ。何故だ。どこで駆け間違ってしまったのだ。
帝竜『ダイウルゴス』は咆哮する。
「合議である。今一度合議を―――」
「漁夫の利狙いとは良い戦略だ」
その声は、ダイウルゴスをして、かの帝竜の内部にある意識を止めさせた。
アシェラ・ヘリオース(ダークフォースナイト・f13819)……銀髪たなびかせて、ゆっくりと歩む猟兵の声であった。
それは称賛する言葉であったが、何一つ結果を残していない者への叱責の声色をも帯びていたことだろう。
彼女の歩みはゆっくりとしたものだ。まるで何かを採点するかのようにアシェラの瞳が帝竜『ダイウルゴス』の眼前へと迫る。
「それが見透かされてない場合はだがな!」
アシェラの声は怒気をはらんでいた。猟兵より正面に立ちはだかる敵首魁たるヴァルギリオスは敵として認めるであろう。
だが、帝竜『ダイウルゴス』の性根は認めがたい。此処に打倒しなければならない。
「我等ダイウルゴス文明が間違っていたと?我等の合議の議決が誤っていたと?それを認めろというのか?」
翼をもがれた巨躯が体をもたげる。それは文明と称する己への侮辱そのものであった。我等は間違えない。違えない。
あらゆるものを同化してきた。あらゆる文明を侵略してきた。だからこその、この力である。
これが間違っているわけがない。
だが、すでに帝竜『ダイウルゴス』は間違えている。
最初の選択を間違っているのだ。帝竜として猟兵と相対し、交戦する。その決議事態が、そもそもの発端である。
漁夫の利を得ようとするのであれば、ヴァルギリオスよりも長く存在しようとするのであれば。
―――猟兵とは戦ってはならなかったのだ。
逃げに徹していればよかったのだ。なまじ力を持つがゆえの傲慢と慢心。それがダイウルゴスの決定的な間違い。
ダイウルゴスの眼前でアシェラの体が念動力によって空中へと舞い上がる。衝撃波を生むほどの高速で飛翔したアシェラを襲うのは衝撃波や小型ダイウルゴスたちの残滓。
だが、彼女のダークフォースソードの赤光によって阻まれる。小型ダイウルゴスたちは乱れ撃たれる赤光の前に霧散し、消え堕ちていく。
その輝きを背に追いながら、アシェラは空を飛ぶ。
「議決などさせん!!」
見据えるのは、ダイウルゴス文明の中枢たる頭蓋。
手にするは、絶・破天槍(フェイタリティ・ブラストスピア)。己に残存する全フォースを籠めた破天槍。アシェラ自身のフォース全てをつぎ込んだ赤き槍は、頭蓋へと過たず叩き込まれる。
だが、それでも頭蓋は固く頭蓋を割ったに過ぎない。
「黒気収束臨界突破……破天が一槍をここに示さん!!」
臨界出力を超えた、万象を刺し穿つ一撃が炸裂する。その赤き輝きは、ダイウルゴスの体を突き抜け、融合した99の竜たちの尽くを刺し穿ち骸の海へと還す必殺。
あらゆる理を超えた一撃は、文明そのものであるダイウルゴスを刺し穿ち、その体を霧散させる。
臨界を迎えたフォースが凄まじい爆風となって、文明侵略領域へと大穴を穿つ。
その中心に降り立ったアシェラは静かに自分たち猟兵の、ダイウルゴス文明との戦いにおける勝利を確信したのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵