帝竜戦役㉓〜サブスティテュート
●代用品
蠢く巨大脳髄渦巻く大地に浮かぶのは、緑の粘液体を持つ帝竜。
名を帝竜『ドクター・オロチ」。あらゆる生命体を溶解し取り込む恐るべき粘液を持つ帝竜である。
「ムシュ~、もう来ちゃったか。相変わらず早いなぁ~」
それは帝竜『ドクター・オロチ』の頭部に水晶体と共に生える人型の何かから発せられた声であった。
「せっかく、記憶のバックアップを作っとけば『再孵化』でも記憶ソウシツにならずに済むって、ボクの体で証明したところなのに。ここで死んだら、脳髄で埋め尽くしたこの場所が無駄になっちゃうよ」
その言葉が真実であるのかどうかはわからない。
だが、帝竜ヴァルギリオスが復活させ、『再孵化』させて帝竜の中で、このドクター・オロチだけが生前の記憶を受け継いでるというのであれば、これを放置してはおけない。
「念の為、再孵化完了後に、脳髄内に余ったボクの記憶は消しといたけど、アレがあったらオロチ軍団作れた筈なのに。これ作るのに何万匹殺したっけ。勿体無いなあ……」
もったいない、と口にこぼしながらも、どこかどうでもいいという雰囲気させ纏い、ドクター・オロチは思案するように首をひねる。
「どうにか、再孵化だけは万全な状態で「持ち帰り」たいんだけど、どうなるかなぁ。前回も、やられすぎたせいであんまり持ち帰れなかったし」
前回。
それは過去の猟兵たちとの戦いの場であったスペースシップワールドにおける銀河帝国攻略戦のことを指しているのだろう。
もしも、オブリビオンであるドクター・オロチが記憶を受け継ぐ術と共に『再孵化』の技術まで持ち帰ったのなら……何が起こるか予測もできない。
「……ま、別にいいか。今のボクは帝竜だからね。『オロチのパワーを見せつけてやる!」とかそういうシンプルな動機で戦おーっと。ムシュシュシュシュ……」
不気味なる脳髄牧場で、さらに不気味な笑い声が響き渡るのだった。
●帝竜戦役
グリモアベースに集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるグリモア猟兵の姿があった。
彼女の名前はナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)。帝竜戦役が勃発していこう、何度か同じ顔を見た猟兵もいるかもしれない。
「お集まり頂きありがとうございます。新たなる帝竜の座す大地へと進撃が可能になりました。今回討ち果たすべきは、帝竜『ドクター・オロチ』と呼ばれる帝竜です」
ナイアルテは頷き、猟兵たちの尤もな疑問に応える。
「はい、依然、銀河帝国攻略戦において姿を見せたオブリビオンと同じ名前をしています。関連性があるのかないのかと言われれば、おそらく前者であるのでしょう。ただ、確証としての情報はつかめておりません」
申し訳ありません、とナイアルテは再び頭を下げて猟兵たちに詫びる。もっと精度の高い情報を提供できるのであれば、彼らの負担を減らせるのでるが、彼女の予知にも限界があるのだろう。
「ですが、かの帝竜の能力の断片は掴んでおります。帝竜の例に漏れず、ドクター・オロチもまた皆さんに必ず先制攻撃を仕掛けてきます。これに対する防御と対策……そして、如何に反撃するかが、戦いの推移を決めることでしょう」
ドクター・オロチの先制攻撃はどれも強力なユーベルコードであることは間違いない。
その体を構成する緑色の粘液体。
それが口から放たれることによって、命中した場所を破壊する。それがどれだけ強力な防壁であろうと瞬時に分解してしまうことだろう。
さらに水、火、闇、光、樹、雷、土のうちいずれかの属性を持つ竜を出現させる……つまりはオロチ分体として協力して猟兵へと攻撃を仕掛けてくることもある。
これは呼び出される分体がまだ一体であることが幸いしていることだろう。
「さらに水、火、闇、光、樹、雷、土全ての属性のエネルギー塊を放つ強力な攻撃手段をも有しております。破壊の化身とも言うべき凄まじき力を持つ帝竜です。その言動の掴みどころのなさも不気味です……どんな目論見を持っているかわかりません」
その目論見も探ることは出来ないだろう。苛烈を極める攻撃によって、それを阻むであろうし、容易にあちらの思惑を悟らせるとも思えない。
「ですが、前回もそうであったようにドクター・オロチの目的を阻むためには、これを迅速に討ち果たさねばなりません。厳しい戦いとなりますが、どうか―――」
どうか、と頭を再び下げるナイアルテ。
頭を下げてばかりだと自身も思う。けれど、自身が猟兵のためにできることはこれくらいしかない。
だからこそ、ナイアルテは微笑みを浮かべて猟兵たちを送り出し、無事を祈るのだった―――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『帝竜戦役』の戦争シナリオとなります。
脳髄牧場へと進撃し、帝竜『ドクター・オロチ』を打倒しましょう。
※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。
プレイングボーナス……『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』
(敵は必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります)
それでは、帝竜戦役を戦い抜く皆さんのキャラクターの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『帝竜ドクター・オロチ』
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POW : グリーン・ディザスター
【口から放射される緑の粘液】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : オロチ分体
【水火闇光樹雷土のうち1つの属性を持つ竜】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ : オロチミサイル
レベル×5本の【水火闇光樹雷土の7つの】属性の【エネルギー塊】を放つ。
イラスト:V-7
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
須藤・莉亜
「オロチね。前の戦争の時はしっかり吸えなかったし、今回は是非とも味わいたいところかな。」
敵さんの先制攻撃は、二振りの大鎌と、Ladyと奇剣を持たせた悪魔の見えざる手での迎撃と回避で凌ぐ。ダメージが酷いなら、そこらの脳髄を吸って回復。
凌げたら、UCで無数の蝙蝠に変化。そうだね、群れをいくつかに分けて攻める事にしようか。
陽動用の蝙蝠は敵さんの全方位からひたすら攻撃。回復用の蝙蝠は脳髄から生命力を補給し、常に増援の作成と回復を。
本命の特攻部隊は陽動組達に紛れて、頭にくっついてる人型を狙って行く事にしよう。
「貴方の脳味噌吸ったら、その記憶も僕のモノになるのかな?」
かつてスペースシップワールドにて起こった銀河帝国攻略戦において姿を表したという『ドクター・オロチ』。その姿はあまりにグロテスクであり、不気味な姿をしていた。
シルエットだけ見るのならば、クマ耳フードを被った人型である。だが、その容貌を真正面から捉えた時、その姿はあまりにも生命を冒涜するような姿であった。
フードの中身は脳髄であった。それ以外に耳も、目も、鼻も、口もない。だというのにドクター・オロチは言葉を発する。
それがいかなる理屈によるのかさえもわからぬままに猟兵たちは、帝竜『ドクター・オロチとの対峙を果たさねばならないのだ。
「オロチね。前の戦争の時はしっかり吸えなかったし、今回は是非とも味わいたいところかな」
その緑色の粘液体を持つ帝竜『ドクター・オロチ』を見上げて、須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)は呟く。
味わってみたい。
それは彼の心の奥底に在る強大な吸血衝動を普段抑えているがゆえの反動であった。味方、つまりは猟兵や人間の血を吸わない代わりに敵、オブリビオンの血を吸うのだ。
それは普段抑圧された吸血衝動を癒やす絶好の機会でも在る。
「ムシュシュシュシュ! そんな情熱的に言われてもね~ボクの体液を猟兵に味合わせるのは、嫌だな~」
まあ、それでも、とドクター・オロチは笑う。その緑の粘液体の体の周囲に浮かぶ各属性のエネルギー弾とは言い難い、巨岩の如き塊が莉亜へと放たれる。
それは7つの属性をそれぞれに持っているが故に、相殺が難しい。
だからこそ、悪魔の見えざる手―――契約者を護る透明な悪魔の両腕が奇剣、極無を掴み、さらに自身は二対の大鎌を構える。
どうあがいても、あのエネルギー塊は防御を突き破ってくるだろう。さらに相殺させようと属性を合わせようとしている内に、相反する属性で持って対処してくる。
そんな選択肢を迫る攻撃だと判じた瞬間、莉亜へと目掛けてエネルギーの塊……闇の属性塊が堕ちてくる。
まさにそれは総表現するしかないほどの一撃。大鎌によって耐え、それでも体がきしむ。
「ムシュシュシュシュ! それそれ~!」
哄笑が聞こえる。血が足りないと頭のどこかで何かが叫ぶような気がした。次々と落ちてくるエネルギー塊。
それは相殺しながらも、それでも圧倒的なエネルギーで莉亜の体を押しつぶさんとせまるのだ。
「ぐ―――……」
体がきしむ。血を吸って回復を……そう思うも、目の前に広がるのは脳髄牧場と呼ばれる所以たる脳髄ばかりである。
果たしてこれに血が通っているだろうか。だが、ここで血を補給しないことにはしのげない。
一瞬の判断だった。悪魔の見えざる手に防御を任せ、莉亜は脳髄へとかぶりつく。血を、吸う。体に力がみなぎる。だが、決して美味であるとは言えない。
「あんま大した味じゃないね……期待して損した」
味に反してみなぎる力。
彼の瞳が輝く。それはエネルギー塊を凌ぎきり、しかし、さらなる第二波を放とうとするドクター・オロチを見据えるのだ。
「血も肉も全部、僕のモノ……悪いけれど、全部頂くよ」
彼のユーベルコード、暴食蝙蝠(グラトニーファングズ)によって、莉亜の全身が無数の蝙蝠へと変化する。
さらに周囲は濃霧が立ち込める。視界を遮り、ドクター・オロチがさらに笑う。
「ムシュシュシュシュ!大口叩いたけれど、逃げの一手かな~?」
ドクター・オロチは、そう判断した。
無数の蝙蝠に体を分けたということは、この場を離脱しようということだ。だが、それは間違いである。
攻めに転じるためにいつだって、彼は戦う。己の身がどんなものであるのか、正しく理解するからこそ、この戦法を取る。
ドクター・オロチの全方位から襲う蝙蝠の群れ。エネルギー塊が放たれるも、それら全てが、蝙蝠と化した体には無意味なのだ。
無敵の蝙蝠は、二手に分かれていた。
一つの群れはドクター・オロチの巨躯をこの場に押し止めるように襲いかかり、もうひとつの群れは脳髄牧場の脳髄から生命力を補給しつづけ、蝙蝠の群れを増幅させるように生み出していくのだ。
そして、さらに本命としての特攻部隊となった蝙蝠の群れが、ドクター・オロチの頭部に生えるような水晶体に囲まれた人型へと迫る。
「ムシュ? ああ、なるほど~陽動と増産、そして本命の特攻か~。考えたね~」
どこか他人事のような声色でドクター・オロチは、特攻部隊から莉亜の人型へと姿を変じたそれを見上げる。
手にしているのは、二対の白と黒の大鎌。それは、かの帝竜の血を啜らんと、妖しく輝く。
「貴方の脳味噌吸ったら、その記憶も僕のモノになるのかな?」
莉亜の言葉にドクター・オロチは答えない。気味の悪い笑い声を上げるだけである。
ま、いいや。どうせまずそうだし。
二対の大鎌がドクター・オロチの頭部に生えた人型を袈裟懸けに切り裂き、その緑の粘液を宙へと飛び散らせ、莉亜は再び蝙蝠へと姿を変化させ、口直しを求めて飛ぶのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
セルマ・エンフィールド
あるいは倒してもまた蘇るのかもしれませんが……ならば完全に滅ぶまで殺し続けるだけです。
属性の種類がこれならば火以外の全てに氷の弾丸は通りそうですね。
フィンブルヴェトを手にオロチ本体の緑の粘液を氷の弾丸で凍てつかせて防ぎ、分身も爪などを氷の弾丸で狙い凍てつかせることでダメージにはならずとも攻撃を妨害、時間稼ぎしながら攻撃を見切り避けます。
火属性には凍結は効果が薄いでしょうが氷で火を弱めることはできますし私自身も炎に強い、時間稼ぎをするには問題はありません。
準備が整ったら【ニヴルヘイム】を。半径80mを凍てつかせる冷気で分身を凍てつかせ、絶対零度の弾丸でオロチの粘液の体を凍結させ撃ち砕きます。
過去の化身たるオブリビオン。
それは骸の海より染み出した過去の集積たる怪物そのものである。時間は消費され、過去となり、骸の海へと流れ行く。
だからこそ、その存在はある意味で不滅であるのかもしれない。
「ムシュシュ! 猟兵の存在はやっぱり厄介だよね~。ちょっとでも隙を見せたら、これだもの~」
帝竜『ドクター・オロチ』は、その頭部に生やした水晶体に囲まれし、異形なるオブリビオンの姿を猟兵へと晒していた。
その姿は、かつてのスペースシップワールドにて確認されたオブリビオンと似通っていた。
袈裟懸けに切り裂かれた傷口からは、緑色の粘液が滴り落ちている。それが彼の血液であるのかどうかわからない。
だが、その血液はいかなる生命体をも溶解せしめる危険な体液そのものでる。
「いくら再孵化したからって言って、別に弱くなってるわけじゃないんだよ~キミたち猟兵に、帝竜ドクター・オロチは倒せるかな~?」
哄笑が響き渡る。それはあらゆる生命体を冒涜するが如き言葉だった。
「あるいは倒しても、また蘇るのかもしれませんが……」
セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)の青い瞳が、ドクター・オロチの姿を捉える。
スペースシップワールドでもそうであったように、此処で倒したとしても、また別の世界で姿を現す可能性だってある。
「……ならば、完全に滅ぶまで殺し続けるだけです」
その手にしたマスケット銃、フィンブルヴェトを携え、脳髄牧場の不気味なる光景を走り抜けるセルマ。
それを追うように、ドクター・オロチから分体が生まれる。その身にまとったオーラは火の属性であった。
まるでセルマのことを狙い撃ちにしたかのような属性選択。何故、と思うまもなくオロチ分体がセルマへと迫る。
「どうやら、キミにはこの属性が相性良いみたいだね~ムシュシュシュシュ!」
ドクター・オロチの気味の悪い笑い声が響く。耳障りな声だ。ざらつくヤスリのような感触の声。
それはあらゆる生命を冒涜してきたからこその声色であると言えるのかもしれなかった。
「……それで」
だからなんだというのだ。構えたマスケット銃フィンブルヴェトから放たれる氷の弾丸は、分体オロチの爪を凍てつかせる。
炎の属性と氷の属性。相性が悪いということは致命的であった。爪を氷が覆ったと思った瞬間に、即座に溶け落ちていく。
「無駄無駄~ムシュシュ! 狙い撃ちした属性なんだから、そんなの効くわけないんだよ~? ね? 諦めよ?」
その言葉に耳を貸すことなど必要ないと言わんばかりにセルマは分体へと氷の弾丸を打ち放ち続ける。
凍結し、再び熱せられ溶けていく氷。
だが、フィンブルヴェトから放たれる弾丸が回数を重ねることご、氷結する規模が大きくなっていく。
「炎を凍てつかせることのできる氷がないとでも……?何度も蘇ったとしても、それを知ることができなければ、私の敵ではありません」
一発目の弾丸によって凍結した爪。それを溶かし、気化してしまう前に二撃目を放ち、一発目の溶けた氷まで再び凍結させているのだ。
ただの時間稼ぎにすぎない。
それはドクター・オロチもわかっていることだろう。このままジリ貧になり、セルマはオロチ分体の爪の餌食になるしかない。
「時間稼ぎばっかりじゃ、やられちゃうだけだよ~? 強がりはよしなって~ムシュシュ!」
だが、次の瞬間、ドクター・オロチの哄笑が凍りつく気配がした。
それは尋常鳴らざるユーベルコードの輝きを目にしたからだろう。その輝きの主は此処に。
セルマ・エンフィールドのユーベルコードの輝きは、眩く脳髄牧場を照らし出す。
「私が限界を迎えるのが先か、あなたが斃れるのが先か……勝負といきましょうか」
見上げたセルマの瞳が輝く。それは己の身体能力を増強し、自身の周囲を絶対零度の冷気で覆うユーベルコード、ニヴルヘイム。
オロチ分体の爪がセルマを襲う。
その振り下ろされる様子を、セルマは時が止まるのではと思うほどの超強化された感覚の中で見上げていた。
「―――遅い」
彼女の領域に侵犯せし、火を纏うオロチ分体をセルマの纏う冷気が一瞬で凍結せしめる。
そして、知るが良い。
この世界には猛る炎ですら、凍結させる絶対零度の魔弾が存在することを!
マスケット銃フィンブルヴェトより放たれるは、今までの氷の弾丸とは別物の―――絶対零度の冷気宿す魔弾である。
凍結したオロチ分体を打ち貫く魔弾。
それは粉々に砕け散り、貫かれるままに本体である帝竜ドクター・オロチの巨躯を瞬間凍結させる。
全てを溶解させる緑の粘液が凍りつき、身じろぎした瞬間に、竜の外殻がひび割れていく。
セルマの一撃は、オロチの体に癒えぬ裂傷を与えたのだ。
「―――言ったでしょう。炎を凍てつかせることのできる氷……それが私の魔弾です」
大成功
🔵🔵🔵
天御鏡・百々
ドクター・オロチだと!?
銀河帝国攻略戦にて討ち果した筈の奴が何故ここに…
何やら怪しげな企てもしている様子
討伐してその企みもろとも潰してくれよう
『オロチミサイル』は
神通力(武器)による障壁(オーラ防御94)で防御するぞ
長くは持たぬとしても、ユーベルコード発動の時間が稼げれば良い
そして『天神の威光』を発動だ
時間制限はあるが、これで強化した障壁ならば十分耐えられるはず
そして天之浄魔弓(武器:弓)にて
頭部を狙って光の矢で撃ち抜いてくれる!
(破魔79、誘導弾20、スナイパー10)
●神鏡のヤドリガミ
●アドリブ、連携歓迎
●以前の戦争にてオロチとは直接戦ってはいませんが、グリモア猟兵として戦場へ案内しています
その姿、その声、その纏う雰囲気。
そして何よりも、あらゆる生命を軽んずる性根を彼女は知っている。天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)は知っているのだ。
「ドクター・オロチだと!?銀河帝国攻略戦にて討ち果たした筈の奴が何故ここに……」
それは驚愕の事態だった。百々もまたグリモア猟兵として、かの戦いにおいて、ドクター・オロチを討ち果たさんとする猟兵たちを送り出したことがある。
だからこそ、その姿を目にした瞬間に、彼女は看破する。
「何やら怪しげな企てもしている様子……討伐して、その企みもろとも潰してくれよう」
それを見下ろすのは帝竜『ドクター・オロチ』である。緑色の粘液体で構成される体は、凍結による攻撃で外殻がひび割れている。
頭部に生えるようにして存在している、かつて知ったドクター・オロチと同じ容貌を見間違えるはずがない。
あの様な醜悪な、不気味な存在を見間違えるはずがない。
「ムシュシュシュシュ! 流石に猟兵たちも戦い慣れてきているようだね~でも、帝竜オロチであるボクのちからにはまだまだ及ばないよ~?」
それは哄笑であった。
全ての生命体をあざ笑うが如き哄笑。ドクター・オロチの周囲に浮かぶは、7つの属性のエネルギー塊。
それはもはやミサイルと言って良いものではなかった。エネルギー質量だけでいうのであれば、山のような威容を誇っていた。
放つ、というよりは、落とす。
エネルギーの塊が百々を目掛けて降りかかる。それを見据え、引き下がらぬは百々の覚悟の現れである。
彼女の身に宿す神々の力の一端。
「我とて猟兵! その傲慢なる力を受けきってこそ猟兵であるぞ!」
神通力がオーラとなりて、障壁として展開される。轟音が響き、障壁とエネルギー塊がぶつかる。
それは凄まじく、障壁に護られていなければ吹き飛ばされ兼ねないほどの衝撃が百々の周囲に荒れ狂う。
脳髄牧場と呼ばれた脳髄蠢く大地が揺れ、あちらこちらに引きちぎれた脳髄が飛び散る。
惨憺たる光景である。このような非道が許されて良いのか。
生命を冒涜し、弄ぶ。
かのオブリビオンは、それを理解した上で尚、狂気をはらむ残虐性でもって益だけを追求するのだ。
合理性、その言葉を他者を虐げるために振りかざす。
「それはどうにも気に入らぬ―――!」
百々の障壁がひび割れていく。
時間の問題だと、ドクター・オロチは哄笑する。嘲笑っている。無駄な抵抗であると。
だが、百々の瞳は光を失わない。くじけるものではないのだ。
「我が神よ、その御力を分け与えたまえ」
ひび割れていく障壁の中で、百々のユーベルコードは祈りと共に主神との繋がりを増強させる。
それは、天神の威光(テンジンノイコウ)。彼女の全ての力は、今この瞬間により数段に跳ね上がる。
エネルギー塊を障壁が押し返す。それは彼女の強化されたオーラによって発揮された力で、その強力な攻撃を防ぎきったのだ。
霧散するエネルギー塊。そのエネルギーの残滓が雨のようにキラキラと輝きながら降りしきる中、百々が構えていたのは、神力による光の矢を番えた、天之浄魔弓。
「我は汝を狙うぞ、ドクター・オロチ―――」
それは宣告。
神弓がきしむ。つがえられた光矢は、放たれる瞬間だけが視認できた一瞬であった。
「ムシュ―――ッ!?」
煌めいたと思った瞬間、その光の矢はドクター・オロチの頭部……本体であろう水晶に囲まれた人型の頭蓋を吹き飛ばしていた。
遅れて衝撃波が、その巨躯を揺らす。放った百々は、その一撃で相当な消耗を受けてしまった。
だが、構える。二射目―――!
「我はわかっておるぞ、ドクター・オロチ! 汝の絶命はまだであろう!」
「ムシュシュシュシュ! よくわかったねぇ!」
吹き飛ばしたはずの頭蓋が一瞬で復元される。だが、放たれた二撃目は再び頭部を狙う。
ごぱ!とすさまじい音を立て、防御しようとした腕ごと貫いて、再びドクター・オロチの人型の頭を吹き飛ばす。
「―――……ムシュシュ!頭は再生するのが大変だからさ~!」
再び再生する頭。
だが、それは確実にドクター・オロチの力を削いでいる。再生の速度が落ちているのだ。
それを確認して、百々は離脱していく。
なぜなら、ユーベルコードの力は凄まじいが、それ故に時間制限もまた設けられているのだ。
此処にいては、後続の猟兵たちに迷惑がかかる。そう判断して百々は後退していく……目には見えないが、確かな手応えを感じながら、百々は安全圏にて、膝を付き昏睡状態へと陥る。
けれど、何の心配もしていない。続き猟兵たちが、かの帝竜ドクター・オロチを討ち果たすと信じているからだ―――。
大成功
🔵🔵🔵
セレシェイラ・フロレセール
アレを放置してはいけないと、わたしの中で警笛が鳴っている
えー何あの攻撃!
あんなの有りなの?
強大な敵を前に嘆くわたし
嘆く『わたし』を『わたし』で慰めるために、ここはひとつ防御の魔法を綴ろう
魔力を込めた桜の硝子ペンで描くは桜の魔法陣
これは慰めの桜
怖いね、あの攻撃は
相手に畏怖する度に、わたしを慰めるための魔法陣はより強固なものとなる
攻撃の一手を今此処に
キミの終焉を以て世界の慰めとしよう
世界を慰めるための力を此処に結ぼう
花を咲かせるように、綴る魔法は炎の竜巻
開花の時は今
コントロールなんて出来てない、わたしの最大の魔法だけど
多少暴走したとしても構わないよね
脳髄牧場と呼ばれた戦場に閃光が走る。
それは帝竜『ドクター・オロチ』の頭部を吹き飛ばした。しかし、緑色の粘液体で構成された体は再生していく。
だが、放たれた二射によって打ち貫かれた体は、一度目以上の再生の速さではない。
「ムシュシュシュシュ!やっぱり猟兵のちからはすごいね~! でも限界があるんだから~」
ずるん、とドクター・オロチの頭部から再び生え出る水晶に囲まれし、脳髄の頭を持つ人型。
それはこの脳髄牧場の主であり、かつてスペースシップワールドにて勃発した銀河帝国攻略戦の最中に姿を見せたドクター・オロチと同じ姿をしていた。
アレを放置してはいけないと、わたし―――セレシェイラ・フロレセール(桜綴・f25838)の中で警笛が鳴っている。
それはもはや本能に近いものであったのだろう。薄桜色をした柔らかな髪がなびく。桜色の瞳が、その脳髄の頭を見据える。
何故であるかはわからない。
だが、心の内より生じるものにヤドリガミであるセレシェイラは迷わない。
「ムシュシュシュ! たまた猟兵~! 本当に驚くべき速さで湧き出てくるね~!」
ドクター・オロチの体から吐き出される7つのエネルギー塊。
それぞれが異なる属性を持つ圧倒的な力の塊である。それを掲げ、眼前に立つ桜人であるセレシェイラへと落とす。
その攻撃は絶対なる先制である。その光景はまるで夢を見ているかのような……それこそ、悪夢のような光景であった。
「えー何あの攻撃! あんなの有りなの?」
強大なる敵の攻撃を前に嘆くわたし。それは絶望的なまでの圧倒的なエネルギーの塊を前にしての絶望であったかもしれない。
だからこそ、桜を綴る『わたし』がいる。
綴られるは防御の魔法。魔力を込めた桜の硝子ペンが宙に描くは桜の魔法陣。
重ね、重ねられ、それは慰めの桜となって強大な魔法陣と成る。
「怖いね、あの攻撃は」
それはただの事実であったかもしれない。声が震える。体が震える。それでも目の前に広がった魔法陣は、わたしの怯えを、畏怖を、拭おうとより強固になっていく。
魔法陣がひび割れる。
その度に声が上がりそうになる。けれど、何も心配することはないというように、魔法陣は再び桜色の輝く。砕けていく魔法陣の欠片でさえ、桜の花びらのように宙に舞っては消えていく。
それは慰めの桜。
『わたし』がわたしにできるひとつのこと。
「ムシュシュ! しぶといね~! 7つの属性全てを叩き込んだはずなのだけど~!」
その魔法陣の強固さにドクター・オロチは首をかしげる。元来防げるはずはないのだが、と。
だが、それは彼がオブリビオンであるが故に切り捨てたもの。何度でも蘇るが故に、無くしたもの。
それは畏怖である。
セレシェイラのたおやかな指が桜の硝子ペンを握る。
「攻撃の一手を今此処に」
なぞる宙へ描かれるは、花綴(フルレゾン)。ユーベルコードが桜色に輝く。
「キミの終焉を以て世界の慰めとしよう。世界を慰めるための力を此処に結ぼう。花を咲かせるように、綴ろう」
彼女が綴るは、花の魔法。炎の竜巻が突如として脳髄牧場にて巻き起こり、帝竜『ドクター・オロチ』の巨躯を巻き込んでいく。
緑色の粘液が蒸発していくほどの高温に巻き込まれながら、ドクター・オロチの奇妙な笑い声が響き渡る。
だが、それをセレシェイラは聞いていなかった。
意味がない。アレの言葉には意味があるようで、意味がない。それを考えるのは、今はやめる。
今は、花を咲かせることだけに集中する。
コントロールなどできない。セレシェイラ最大の魔法は、コントロールができるほど優しいものではない。
苛烈を極め、炎の竜巻は今、暴走の最高潮へと至り……
「開花の時は今」
彼女の桜色の瞳に映った炎の竜巻は、一本の幹となる。中心に存在した帝竜の体を焦がしながら、枝を伸ばす炎。
暴走した魔法が、霧散した瞬間、炎の火花は炎雷と共に桜の花びらのように煌々と群竜大陸の空を桜吹雪でもって明るく照らし出したのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
備傘・剱
異世界からの出向って奴か
でも、竜なら…
こいつの肉、美味いかな?
青龍撃とオーラ防御、発動!
ディザスター
体制を崩してる状態をわざと作って、放たれたら、水弾ぶつけて中和する
弱まれば、オーラ防御であとは防げるだろう
分体
現れた奴を高速移動と爪による鎧無視攻撃で動き出す前に破壊する
ミサイル
高速移動で回避しつつ、衝撃波、呪殺弾、誘導弾の弾幕で迎撃する
攻撃をかわしたら、接近して鎧無視攻撃と零距離射撃を合わせた全兵装による二回攻撃と盗み攻撃でこいつの肉をえぐり取ってやる
同郷のよしみって奴だ、こいつの肉を食べるのは故郷に戻って、だな
敵とは言え、消費されるのなら生まれた所がいいだろうぜ
アドリブ、絡み、好きにしてくれ
炎の花が咲く。
脳髄牧場の上空を明るく照らす炎は、帝竜『ドクター・オロチ』の体を散々に焼き焦がした。
龍鱗無き体躯に纏うのは緑色の粘液体。それはあらゆる生命体を溶解せしめる死の粘液。このオロチの体を作り上げるために、ドクター・オロチはどれだけの実験を繰り返したのだろう。
そこにまともな倫理観は存在していない。あるのはただの合理性のみである。狂気と合理性は紙一重であったのかもしれない。
だが、その合理性は安々と狂気の側へと境界線を超える。
「あ~……もう、本当にヤになっちゃうな~! せっかくこさえた帝竜の体がボロボロじゃないか~!」
ドクター・オロチの体……帝竜の頭部に生える水晶体に囲まれた人型が忌々しげに焦げ付いた粘液を払い落とすように身動ぎする。
「ムシュシュシュ! でもだからって、簡単には逃してくれないんだろうな~」
そのとおりである。
「異世界からの出向ってやつか。でも、竜なら……こいつの肉、美味いかな?」
そう、見上げるのは備傘・剱(絶路・f01759)である。帝竜である以上、ドクター・オロチの存在もまた竜である。
ならば、とその肉を、血肉を、と思ってしまうのは彼にとっては当然のことであったのかもしれない。
「や~、流石に悪食が過ぎないかな~? ムシュシュシュ! 止めはしないけど、自己責任でお願いするよ~! 後でクレーム入れても無駄だからね~! ムシュシュシュ!」
ドクター・オロチの哄笑が響き渡ると同時に、現れるのオロチ分体。それは雷の属性を纏いしオロチそのもの。
だが、剱は即座に動いていた。ユーベルコードが発動した瞬間に駆け出す。彼の体にはオーラがまとわれ、すでにユーベルコード、青龍撃(バレットスピーディング)が発動している。
空気中の水分が凝固し、形成された青龍の爪と牙を身に纏うのだ。その駆け出すスピードは、人智を超えた足である。人型をしていながら、その駆け抜ける姿は人ではない。
「天よ、祝え!青龍、ここに降臨せり!踊り奏でよ、爪牙、嵐の如く!」
発動と共に動き出す。
必ず先制攻撃を加えてくるというのなら、後の先を取る。オロチ分体から放たれた雷撃が剱を狙う。
しかし、圧倒的な速度で駆け抜ける彼にとって、その攻撃は躱すことすら値しない攻撃であった。
分体へと距離を詰めると、その体を爪と牙でもって駆け上がりながら、ずたずたに切り裂いていく。どれだけその体が硬かろうが、彼の纏う青龍の爪と牙の前には無意味である。
「動き出す前に仕留めれば―――!」
分体を躱し、駆け抜ける。本体たる帝竜は、数多の猟兵たちの攻撃を受けて消耗している。
ここで追い打ちを駆けなければ、ドクター・オロチは何をしでかすかわからない。
フック状に歪曲したハンマーが投擲され、フォトンガントレットが精神力を続復させる。手にした不思議な光を湛えた短刀が瞬時にドクター・オロチの体をくり抜くようにして、抉るのだ。
「同郷のよしみってやつだ、こいつの肉を食べるのは故郷に戻って、だな」
敵とはいえ、消費されるのなら生まれた所がいいだろう。そんなことを思いながら、
大成功
🔵🔵🔵
剱は再び、帝竜『ドクター・オロチ』の体をくり抜き抉る。
その攻撃に帝竜の体はのたうち回るのだが、ムシュシュシュ!と、おかしそうに笑うドクター・オロチの哄笑だけが、脳髄牧場にて響きわたるのだった―――。
メンカル・プルモーサ
…ふぅん…あのドクターオロチが何故、と思ったけど記憶を保存していたと…
…それならこちらもシンプルにまた打ち倒して骸の海に帰せばいいね…
…さて、オロチパワーを見せつけてくる見たいだけど…
…オロチミサイルのエネルギー塊に対しては属性に対応した障壁を遅発連動術式【クロノス】により多重展開…
それこそ、そのパワーだけで叩き付けてきた方が対処は難しかった…
…そして障壁で時間を稼いでいる間に【竜屠る英雄の詩】を発動…装備武器に竜殺しの概念を付与…
…そう、そちらが帝竜の力を振るうのであれば…こちらは竜殺しの力を使う…
…術式銃【アヌエヌエ】にて帝竜オロチの頭上にある水晶にある人型を狙って連射…仕留める…よ
帝竜『ドクター・オロチ』は、数多くの猟兵の攻撃によって消耗を強いられていた。全ての生命を溶解せしめる緑色の粘液体は炎によって焦がされ、あるいは肉体そのものをえぐり取られている。
明らかに再生の力が落ちてきている。だが、それでもなお、帝竜の頭部に生えた水晶体に囲われた人型は笑う。
「ムシュシュシュ! やるね~! でもねオロチパワーはまだまだ健在なんだよ~!」
再び展開される7つの属性によるエネルギー塊が空に浮かぶ。
圧倒的な力の奔流。それはもう弾ですらない。もはや塊であり、その一つ一つが当たれば、それだけで致命傷になりかねないほどの威力を秘めていた。
これだけの力を残しているからこその余裕。
その哄笑は、どれだけ猟兵が来ても無駄だと言うかのようだった。
「……ふぅん……あのドクター・オロチが何故、と思ったけど記憶を保存していたと……それならこちらもシンプルにまた打倒して骸の海に還せばいいわね……」
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は見上げる。彼女の瞳が見据える帝竜は、彼女にとって恐れるに足る存在ではなかった。
何度も蘇ってくるのであれば、何度でも打ち倒せばいい。たった一つのシンプルなやり方である。
遅発連動術式、クロノスによって7つの属性に合わせた魔法障壁が多重に展開される。
対応した属性に合わせた魔法障壁が尽くエネルギー塊を防ぐ。魔法障壁が持たぬと悟れば、即座に遅発連動術式が補強するように発動され、エネルギー塊の荒れ狂う奔流を全て防ぎ切るのだ。
「……さて、オロチパワーを見せつけるみたいだけど……」
そこそこ頭が廻るのが致命的だったようね、とメンカルは呟く。まだ力押しで来たほうが、ドクター・オロチにとって勝算はあった、と彼女は分析していた。
冷静に、ただ客観的に見れば、帝竜の力を全面に押し出してくればよかったのだ。
下手に属性だなんだと策を講じるから、逆張りをされる。そういう存在が猟兵にいるということを考えていない。
「猟兵が尊ぶのは速度……だから、準備もなにもないと思っていたのでしょうけど」
生憎と、こちらは敵ユーベルコードの情報を得ている。
その時点で帝竜であるドクター・オロチに残された手は力押しだけなのだ。
「厄討つ譚歌よ、応じよ、宿れ。汝は鏖殺、汝は屠龍。魔女が望むは災厄断ち切る英傑の業」
もう十分に時間は稼いだ。
もはや、論ずるに値せず。彼女のユーベルコード、竜屠る英雄の詩(ドラゴンスレイヤーズ・バラッド)が発動する。
それは竜殺しの概念術式。
ドクター・オロチが帝竜であるというのならば、この概念の前には屈するほかない。どれだけ自身が、そういう存在ではないとしたとしても、その体を構成しているのは、間違いなく『竜』である。
ならば、そこに一切の理不尽はなく。ただ、純然たる事実がある―――。
「そう、そちらが帝竜の力を振るうのであれば……こちらは竜殺しの力を使う」
術式銃アヌエヌエを構える。狙うは東武の水晶に囲まれし人型。
この弾丸は数多の竜を屠りし魔弾。
敵対者が竜である以上、この概念の前には全て避けられぬもの。
「ムシュシュシュ……ムシュ!?」
自身を狙う銃口。
それに気がついたドクター・オロチの判断は、すでに遅かった。
放たれた竜殺しの弾丸が脳髄の頭を持つ人型を打ち貫く。腕が吹き飛び、哄笑は絶叫に変わる。
連射で放たれた弾丸は、違わず腕と胴を撃ち貫く。今までであれば、外面を取り繕うように即座に再生したであろう体は、竜殺しの概念の込められた弾丸による傷を覆えない。
「何故、と思っているようだけれど……考えればわかることでしょう?ド クター・オロチ。あなたが誇らしげに帝竜のパワーを、なんて言うからよ?」
そう、それはただの事実であり、結果である。
メンカルの放った銃弾は、ただの銃弾にあらず。これまでも、これからも竜たる全ての生命を脅かす概念付与されし弾丸となって、人々の敵を打ち貫いて行くことだろう―――。
大成功
🔵🔵🔵
シキ・ジルモント
◆SPD
脳髄牧場なんて物を用意してまで何を企んでいるのか知らないが…
どうせろくでもない事だろう
宇宙バイクに騎乗する
敵にうかつに攻撃させない為、召喚された竜とオロチの間を縫うように移動
一方に狙われたらもう一方の体を盾に、『運転』技術を駆使して横合いや腹下へ回り込む
何度か躱した後、バランスを崩した風でも装って止まってみせる
攻撃してきたらユーベルコードを発動
スピードを増強したバイクを急発進させ、その場を離れて回避する
攻撃後の油断の中で急にスピードを上げれば、一瞬こちらを見失うはずだ
その隙に竜を銃で撃ち落とす(『スナイパー』)
落とした竜を足場にバイクでジャンプしてオロチへ接近、銃弾を可能な限り撃ち込む
帝竜『ドクター・オロチ』の哄笑は、すでに絶叫に変わっていた。
猟兵たちの姿が、それぞれ違うように。彼らの持つ攻撃手段も様々なものである。だからこそ、オブリビオンである帝竜たちにとって猟兵の攻撃は防ぐことが困難になる。
どれだけ猟兵を狙い撃ちにしたユーベルコードを放とうとも、即座にそれに対応してくるのだ。
先制する力を持っていたとしても、それに対処が可能な者たちに対して、いかなる策を講じることができようか。
「ムシュシュシュ……これだから、猟兵ってやつらは、とりとめがなくって、一貫性がないんだから……! 嫌になってしまうよ~!」
ドクター・オロチの水晶体に囲まれた本体が攻撃によって欠損した片腕を忌々しげに抑える。
蘇ることが前提である以上、痛みは重要なものではない。痛みは遮断できる。だからこそ、死を恐れない。
ならば何を恐れるというのか。
それは、損失である。記憶のバックアップを取る、異なる世界で得た技術を持ち帰る。それができぬことが、ドクター・オロチの恐れることである。
「脳髄牧場なんて物を用意してまで何を企んでいるのか知らないが……」
シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は、宇宙バイクを駆り、巨大な脳髄が蠢く大地の空を飛ぶ。
眼下に広がる光景は目を覆いたく成るような惨憺たる情景であった。
だが、それでもシキは冷静であった。
「どうせ碌でもないことだろう」
考えたところで無意味である。眼下に広がる脳髄が何を意味するのか、何を成すのか。そんなことはもう関係がない。
彼が対峙するのはオブリビオンである。帝竜などと呼び名が変わっていようとも、成すべきことはかわらないのだ。
「ムシュシュシュシュ! 碌でもないことをするのがボクらってわけさ~! よくわかってるじゃないか~!」
ドクター・オロチの哄笑が勢いを取り戻す。傷を受けても尚、余力があるのだ。呼び出されたオロチ分体が宇宙バイクを駆るシキを挟み込むようにして迫る。
それでもなお、シキは冷静さを欠かない。いつだってそうだ。冷静さを喪ったものから死んでいく。
だからこそ、どれだけ境地に陥ろうとも、冷静さだけは常に心のなかに。
オロチの巨躯の間をすり抜けるようにして宇宙バイクが駆け抜ける。腋を、胴の下を。時にはオロチと分体とを盾にするようにして飛ぶのだ。
「逃げ回っているだけじゃないか~! ムシュシュシュ!」
ぐらりと、と宇宙バイクの態勢が崩れる。それを見逃すほどドクター・オロチは、戦いの駆け引きに長けたモノではない。それがブラフであると見抜くことができない。
だからこそ、喜び勇んで手を伸ばすのだ。それが伸ばすことによって己に与える打撃へと変わる罠であるとも知らずに。
「……わかりやすいほどに引っかかるな」
シキのユーベルコード、ゴッドスピードライドが発動し、彼の宇宙バイクが変形する。それは宇宙バイクの速度を一瞬で跳ね上げさせる。
挟撃せんと迫るオロチと分体から振り下ろされる爪を掻い潜る。
それはあまりの速度に一瞬で姿を消したかのような光景であった。困惑するドクター・オロチの哄笑が止まる。
周囲を見回しても、シキの姿は捉えられない。
「油断……やはり戦闘者ではないな、ドクター・オロチ」
シキの体と宇宙バイクは、ドクター・オロチの遥か頭上に飛び上がっていた。構えたハンドガン、シロガネの銃口がオロチ分体を捉え上空からの銃撃によって、その体を失墜させる。
轟音が遅れて響き渡り、その分体の上を滑走路代わりにして宇宙バイクと共にシキが飛び上がる。まるで狙い済ましたかのような、鮮やかな攻撃と回避の連携であった。
「その経験の甘さが命取りだ―――」
空中から放たれるハンドガンからの銃弾が、帝竜ドクター・オロチの巨躯へとありったけ打ち込まれ続け、その銃声はありとあらゆる箇所を貫き破壊せしめたのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
ニィエン・バハムート
だから!純粋なドラゴンが少ないんですのよ!!
先制対策にソケットの【ロープワーク】で籠手をワイヤーロケットパンチの如く飛ばし私に攻撃してくる分隊の身体に巻きつけ、その身体を【怪力】まかせに引っ張り攻撃を抑えます。抑えきれなくても力の流れに逆らわず翼による【空中戦】技能で体制を安定させ吹き飛ばされないようにします。敵の属性は火なら鮫魔術による水【属性攻撃】で防ぎ、雷は同じく雷【属性攻撃】で多少相殺しつつ【激痛耐性】で我慢。土も激痛耐性で。それ以外なら電撃による【マヒ攻撃】でマヒさせます。
反撃できればUC発動。いい加減慣れてきた【封印を解く】作業の後、純粋な力で【蹂躙】してあげますの!知らない人!!
「だから!純粋なドラゴンが少ないんですのよ!!」
その叫びは群竜大陸の一角である脳髄牧場に響き渡った。ニィエン・バハムート(竜王のドラゴニアン(自称)・f26511)にとって、帝竜戦役とは竜種との戦いである。
それ故に帝竜と呼び称されるオブリビオンに対する抱いたイメージというものがあったのかもしれない。
だが、ここに来て帝竜として再孵化を果たしたオブリビオンは、様々な姿形を持っていた。
姿形だけであるのなら、竜に見えなくもない。だが、帝竜『ドクター・オロチ』はどうだ。ドラゴンと呼べるのは皮だけである。
その頭部に生えた水晶体に囲まれた人型。脳髄の頭を持つ人型は、あまりにも気味が悪い存在だった。
「ムシュシュシュシュ! 純粋な竜って言われてもね~ボクは帝竜として再孵化したわけだし? ボクのせいじゃないよ~」
脳髄の頭をした人型が笑う。
その気味の悪い笑い声は、いささか勢いを衰えさせていた。
それもそうだろう。数々の猟兵たちからの攻撃を受けて、消耗しているのだ。緑の粘液体で構成された体は、ところどころ銃撃の痕が今もダメージとして残っているのだ。
動けぬほどに消耗した帝竜『ドクター・オロチ』から放たれるのは、土属性のオロチ分体。属性を選んで分体として出現させることができるが故に、ニィエンへの決め打ちとして土属性を選んだのだ。
「ムシュシュシュシュ……悪いんだけど、今は傷の再生に忙しいから、それに相手しもらってよ~」
オロチ分体がニィエンへと襲いかかる。
ここで傷の再生を行わせる時間を与えては、これまでの猟兵たちの攻撃が無駄になってしまう。急がなければ、とニィエンが脳髄牧場の大地を駆ける。
義肢へと仕込まれたメガリスソケットに収納されし、ワイヤーと接続した篭手がまさにロケットパンチの如くオロチ分体へと放たれる。
「そっちがその気であるというのなら―――!」
それは攻撃ではなかった。オロチ分体、その巨躯へと篭手に接続されたワイヤーが絡まるように巻きつけられる。
それだけであるのなら、分体の行動を制限するための拘束であったことだろう。事実、ワイヤーによる拘束によってオロチ分体は身動きが取ることができなくなる。
しかし、ニィエンが吠えた。
それは彼女の持つ怪力の如き膂力で持って、オロチ分体の体を引きずり落としたのだ。
凄まじい轟音がして、オロチ分体がニィエンに大地へと引きずり降ろされる。脳髄牧場に溢れた脳髄の上へと堕ち、その脳髄を飛び散らせる。
「あ~……もったいない……ムシュ!?」
その様子を見ていたドクター・オロチの声がこわばる。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!」
ニィエンの咆哮は未だに続いていた。
オロチ分体を引きずり下ろしても尚、その咆哮は止まらぬ。それはユーベルコードの咆哮。
真なる世界魚(ニィエン・バハムート)。
それは世界を自らの体で支え続ける世界魚バハムートの圧倒的膂力を封印の解かれしニィエンの体へと宿す力。
引きずり下ろした反動そのままにニィエンの体がドクター・オロチの巨躯へと取り付く。
ぞわりと無いはずの肌が泡立つ感覚を感じたことだろう。
圧倒的膂力。それは単純にして唯一の力。
「純粋な力で蹂躙してあげますの!知らない人!!」
ニィエンの咆哮は終わらない。
彼女の圧倒的膂力は、帝竜たるドクター・オロチの巨躯をいとも簡単に大地へと引きずり下ろし、それだけでは飽きたらぬというように尾を掴み振り回しては、大地へと強かに打ち付ける。
だが、それで終わらない。
封印の解かれたメガリスの出力が上がる。その膂力の赴くままに、ニィエンの蹂躙は続く。
脳髄牧場と呼ばれた脳髄埋め尽くす大地は今、ドクター・オロチの巨躯を鈍器のごとく振り回すニィエンによって全てが破壊されてしまうのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
漆島・昂一
アドリブ連携歓迎
ゾンビみてぇに復活しやがって…
正体の真偽はこの際置く。また湧いたなら、また潰しきるまでだ…!
飛ばしてくる粘液は〈地形・狂気耐性、踏みつけ〉で脳髄に足を取られる事なく見切りをつけて回避
この手のゲテモノ相手が今の職業なんでな…だからここに居るんだが!
【選択UC】のカードを使用、ドでかい帝竜の図体へマーカーセット!
脳髄を踏みしめ、帝竜へと飛びかかる!
頭のオロチ目掛けてでも良いんだが…ここは竜の体を削る事が優先だ!
SSWでもここでも…度を越したろくでも無え事繰り返しやがって!省みるって事しねぇのか!?
すくすくと育てた脳髄に…竜ごと体液ブチ撒けて逝け脳みそ野郎ォ!!
帝竜『ドクター・オロチ』の体は、脳髄牧場と呼ばれた脳髄溢れれう大地にて強かに打ち付けられ、その大地の崩壊を招いていた。
溢れ、蠢いていた脳髄は尽くが猟兵の一人の圧倒的な膂力によってずたずたに潰され、脳髄があちこちに飛び散る惨憺たる状況へと変わっていた。
それでもなお、帝竜たる力所以であろうか、ドクター・オロチの巨躯は再び空へと舞い上がる。
「ムシュシュ、ほんとデタラメなことばっかりやってくるんだから、猟兵ってやつは……!」
数多の猟兵たちによって傷つけられた体は再生が追いついていないのだろう。緑の粘液体もまた焦げ付き、その体を覆うことはできなくなっている。
しかし、まだ猟兵たちの追撃は止まない。どれだけいるというのだとドクター・オロチは、心底げんなりしたことだろう。
いや、それは銀河帝国攻略戦においても同じことであったかもしれない。
「ゾンビみてぇに復活しやがって……正体の真偽はこの際置く。また湧いたのなら、また潰し切るまでだ……!」
漆島・昂一(/邪神結合外殻システム『ABYSS』・f12856)は、その身に湧き上がる狂おしいほどの怒りに支配されていた。
彼は『面倒』を忌み嫌う。彼の怒りの矛先は、まさにそれだけだ。だからこそ、その身を焦がさんばかりの怒りが彼の原動力とナリ得るのだ。
「いやぁ、どっちかっていうと猟兵……キミたちも大概だと思うけどね~ムシュシュ!」
帝竜『ドクター・オロチ』の口蓋が開き、そこから放たれる緑色の粘液体が昴一へと放たれる。
その粘液の正体を昴一は知っている。すでにグリモア猟兵から聞いたとおりだ。どんなものでも溶解し、破壊する緑の粘液体。
それは絶対に受けてはならぬ攻撃である。受ければ最期、どんな装甲であろうと溶かし、その体をも蝕む。
「くっそ面倒な攻撃ばかりしてきやがってよぉ!」
脳髄飛び散った大地を踏みつけ、一瞬でその場から走り出す昴一。踏みつける度に脳髄の嫌な感触が足から伝わってくる。
常人であれば、それだけで発狂しかねないほどの惨状。だが、昴一は躊躇わない。飛び散る飛沫そのものな緑の粘液を一滴もかぶらずに、脳髄溢れる大地を疾駆する。
「この手のゲテモノ相手が今の職業なんでな……だからこここに居るんだが!」
全ての粘液を躱し続ける。
雨の如き緑の粘液が一滴でもかかってしまえば、彼の装甲そのものがないものと同様に破壊される。
だからこそ、昴一の感情を苛立つ。面倒が過ぎると。
「そのクソでけぇ図体は飾りみてぇだなぁ! おい!」
手にしたカードを使用する。放たれるは呪詛のマーカー。放たれし呪詛は帝竜『ドクター・オロチ』の巨躯を蝕み、その動きを止める。
身じろぎしようとすれば、呪詛が体を蝕むのだ。時間稼ぎにしか過ぎぬ攻撃。これが彼のユーベルコードである。
「ムシュシュシュ! 動きを止めるだけのユーベルコードが!」
ドクター・オロチは哄笑する。動きを止めるだけでは、この帝竜たる体に傷をつけることは敵わない。
だが、そう……このユーベルコードが動きを止めるだけではない。
『〈Un-Difine's Close……承認〉』
AI・ニミュエの音声が響き渡る。昴一が脳髄を踏みしめ、空高く舞い上がる。その青いアイセンサーが輝く。
「スペースシップワールドでもここでも……度を越したろくでも無え事繰り返しやがって!省みるってことしねぇのか!?」
「省みたからこそ、反省点じゃないなかな? ボクはボクなりにキミたちに対策したはずなんだけどねぇ~?どうしてかな、いつも先回りされちゃうんだよね~」
それは慢心であったことだろう。
呪詛で動きを封じた後の攻撃。それはただの一撃だと思ったのだろう。だからこそ、それは驕りであったのだ。
「すくすく育てた脳髄に……竜ごと体液ブチ撒けて逝け! 脳みそ野郎ォ!! ……ズェリャアアアッッッ!!!!」
その一撃はまさに削岩機そのものであった。
黒水纏った昴一の蹴撃は、ドリルの如き超高速の飛び蹴り。それこそが、彼のユーベルコードである。
―――SPIRAL PERIOD:U・D・C(スパイラルピリオド・アンディファインズ・クローズ)。
その一撃は帝竜たるドクター・オロチのオロチ体の尽くを削り、その緑の粘液体で構成された体をずたずたに引き裂き、その粘液を脳髄牧場へと飛び散らせながら失墜させた。
轟音と共に昴一の体が安全圏へと飛び退る。
「―――じゃあな、脳みそ野郎。その面、次見せた時も同じ様にブチのめしてやるからよ……覚悟しとんくだなぁ!」
大成功
🔵🔵🔵
明石・真多子
うわ!でっかーい!!
おまけにたこにも…じゃなかった、いかにも怪しいこと呟いてるし軟体魔忍としては捨て置けないね!
強敵だしまずは弱点を様子見…したいけど向こうが許してくれなそうだね。
ちょっと骨が折れそうだ(アタシ骨無い)けど、『タコスミデコイ』を沢山撒いて攻撃の大半をおびき寄せておこうかな!
あれだけ大きければ、『タコの保護色能力』で墨色に迷彩したアタシとデコイの見分けなんてつかないだろうしね!
ふぅ~流石にこれ以上は一人で捌ききれないかな。次は無さそうだしこっちも奥の手を使わせてもらうよ!
【軟体忍法袋叩きの術】!手の空いてる同僚みんなで袋叩きだ!
蛸に烏賊に海星に海月に海鼠…数には数でやり返せー!
緑色の粘液体で構成された帝竜『ドクター・オロチ』の巨躯が脳髄牧場と呼ばれた大地へと失墜する。
その体の尽くが、削岩機で削り取られたかのような傷を負っていた。だが、そんな状態になっても尚、未だにドクター・オロチは骸の海へと還らない。
呆れるほどの耐久力。いや、生き汚さとでもいうべきだろうか。
「ムシュ、ムシュシュシュシュ……何万体って殺してきちゃったからねぇ……それだけの代償は支払ったつもりだし!」
未だ余力があったのだろう。削り取られた巨躯を取り繕うように帝竜の体が復元されていく。
だが、それはただ、外側を取り繕っただけに過ぎない。確実に消耗しきっているのだ。
「うわ! でっかーい!!」
その巨躯を見上げるのは、明石・真多子(軟体魔忍マダコ・f00079)である。彼女にとって、自身よりも巨躯であるオブリビオンを何度も見てきたことだろう。
だが、ドクター・オロチの姿は彼女にとっては、なんだか既視感を覚えたのだ。
「おまけにたこにも……じゃなかった、イカにも怪しいこと呟いてるし、軟体魔忍としては捨て置け無いね!」
真多子の軟体魔忍としての使命感が燃える。
これ以上、アックス&ウィザーズ世界の人々が帝竜に苦しめられるのを見てはいられない。オブリビオン退治もまた軟体魔忍に課せられた使命である。
まずは様子見……しようにも、ドクター・オロチの巨躯から生み出される7つの属性を持つエネルギー塊が空に浮かぶ様子を見て真多子は考えを改める。
弱点を探るには先制攻撃によって時間を浪費させられるだけだ。
「ちょっと骨が折れそうだけど!」
アタシに骨無いけどね!と真多子から放たれるタコスミデイが霧状に墨を周囲に散布する。
ぶしゅ、ぶしゅ!と彼女の副腕から放たれる墨は霧状に展開され、目くらましとなる。これだけの囮を散布すれば、あの巨躯である上に蛸の保護色能力を持つ真多子を捉えることは難しいだろう。
墨色の変化した真多子がエネルギーの塊が大地へとぶつかり、力の奔流を衝撃波として放たれ続ける大地をかいくぐって、帝竜へと迫る。
爆発が響き、帝竜から放たれるエネルギーは尽く真多子を捉えることはできない。
しかし、それでも圧倒的なエネルギーである。
衝撃波だけでも躱すのに苦労してしまう。これ以上は彼女の体力がジリジリとけずられてしまうだけだ。
「ふぅ~流石にこれ以上は一人で捌ききれないかな。次はなさそうだし、こっちも奥の手を使わせてもらうよ!」
彼女のユーベルコード、軟体忍法袋叩きの術(ドタバタコンボ)が発動する。
真多子はまさに今、軟体魔忍としての使命感に打ち震えていた。護らなければならない。忍びであるからこそ、影から人々の安寧を護らなければならない。
そのために己もまた軟体魔忍として、猟兵としてオブリビオンと戦い続けているのだから。
「蛸に烏賊に海星に海月に海鼠……みんな!いくよ!」
次々と現れるは、軟体魔忍の忍者仲間たち。それぞれ特徴を持った仲間たちと共に帝竜の巨躯へと飛びかかるのだ。
「数には数でやり返せー!」
一斉に攻撃し、その攻撃が帝竜の体をあらゆる方向から攻め立てていく。イカスミ、タコスミ、ヒトデの針にくらげの毒針、なまこの棘皮によって、帝竜の体は今やただのサンドバックと同じであった。
「軟体忍法、袋叩きの術!これがアタシ達のフルコース、たっぷり味わってね!」
真多子と仲間の軟体魔忍たちのフルコースは、まだまだ始まったばかりだった―――!
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
復活の理由を考えても今は詮無きこと
己が故郷を多くの方に救われた者として、SSWでの暗躍をこの地でも繰り返させはしません
大地を●騎乗した機械馬で疾走
蠢く巨大脳髄は不気味ですが、その動きを●情報収集することで挙動を●見切り的を絞らせず攻撃も防ぐ障害物としましょう(●地形の利用)
着弾すれば溶解・破壊されるでしょうが退避する時間が稼げる筈
反撃は機械馬のスラスターも併用し地上でUC起動
粘液をバリアで●武器受け●盾受けし突き破り
水晶に身体を●串刺し
貴方は覚えていないかもしれませんが…
元同僚の白騎士、黒騎士、そして銀河皇帝の元へ再び還ってもらいます
●怪力の剣で身体を斬り捨て竜の脳天を大盾殴打で叩き割り
脳髄牧場と呼ばれた脳髄溢れる大地は、もはや崩壊へと進んでいた。
猟兵たちの攻撃は、まさに驚天動地の戦いぶりそのものだったのだ。帝竜『ドクター・オロチ』の目論見がなんであったのか、今や知る術はない。
だが、この大地をこのままに残していおくことは、後々の禍根へと繋がりかねない。猟兵たちの戦いは、まさに最終局面を迎えようとしていた。
「ムシュシュ……まさかここまでボロボロされるとはね~……明らかにこちらの攻撃を知っている対策のとり方……おかしいなぁ」
ドクター・オロチもまた全ての猟兵に対して先んじる力を持つ帝竜であった。だが、そのユーベルコードの尽くが対策され、防御され、かわされてきた。
それがグリモア猟兵の予知が齎した情報であるとは未だ理解していないのかもしれない。
故に、帝竜である『ドクター・オロチ』は、この経験を持ち帰らなければならない。しかし、その記憶のバックアップである脳髄の大地は猟兵たちによって破壊、蹂躙されつくしていた。
そして、眼前に最期の猟兵が立ち塞がる。
機械の騎士。
―――トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)。その鋼鉄の騎士道を記憶回路の刻みし者である。
「復活の理由を考えても今は詮無きこと。己が故郷を多くの方に救われた者として、スペースシップワールドでの暗躍をこの地でも繰り返させはしません」
ロシナンテⅡ、その名を冠する機械馬と共にトリテレイアは脳髄の大地を疾走する。蠢く巨大脳髄は、もはや他の猟兵達によってグズグズにされてしまっているが、それでもなお不気味さを放っている。
「ムシュシュシュ。あの世界のことを言っているのかな~? 暗躍っていうほどのものでもないけれど、あの世界では色々得るものもあったしね~」
帝竜の口蓋が開き、そこから放たれる緑色の粘液が雨のごとくトリテレイアを襲う。
それは一滴でもかぶれば、あらゆるものを溶解し、破壊するグリーン・ディザスターと呼ばれる恐るべき粘液である。
「その粘液……! 受ける訳には参りません!」
すでに対策は得ている。トリテレイアのアイセンサーが輝く。あらゆる状況、その数値を読み取り、彼の演算装置が熱を帯びる。
機械馬ロシナンテⅡが嘶くように見を震わせると、四足の安定した機動でもって粘液を躱していく。
まるでステップを踏むように、機人馬一体となりて、その粘液を尽く躱すのだ。
「暴れ馬ならぬ暴れ槍ですが……御してみせましょう」
構えるは艦船強襲用超大型突撃機械槍(ロケットブースターランス・ウォーマシンカスタム)。その巨大なる機械槍の切っ先に展開されるは、傘状のバリア。
ロシナンテⅡの強力あればこそ、この武装の威力は倍増する。スラスターが噴き出す。それは一瞬で、帝竜『ドクター・オロチ』と彼我の距離を詰める。
「ムシュ―――!?」
瞬き……いや、脳髄の頭たる人型には瞳はない。だが、一瞬の視界の暗転の後に、トリテレイアの体はすでに眼前へと迫っていた。
それは驚愕たる事実。脳が、現実を受け入れられぬときに起こる齟齬。
「貴方は覚えていないかもしれませんが……」
突撃機械槍が帝竜『ドクター・オロチ』の頭部に生える人型を貫く。胴を穿ち、破壊せしめる。ずらりと引き抜いた剣を怪力のままに振るい、人型の体を一刀両断の元に霧散させる。
「元同僚の白騎士、黒騎士……そして銀河肯定の元へ再び還ってもらいます」
その言葉はドクター・オロチへと届くことはなかった。何故なら、そのままトリテレイアの大盾が帝竜たる竜の脳天を叩き割るように打ち付けられ、叩き割られた頭蓋と共に脳髄溢れる大地へと叩き落とす。
その殴打の一撃でもって、ここに帝竜『ドクター・オロチ』はようやくにして、その体を霧散させていく。
最期の一撃、その瞬間にあざ笑うかのような笑い声が聞こえたような気がした。
それはまたいつの日にか蘇り、猟兵たちの前に姿を現すかのしれないドクター・オロチの底知れない不気味さを印象づけたかもしれない。
―――だが、それでも猟兵たちは立ち止まることはしない。
何度でも。
そう、何度でも蘇る過去の化身たるオブリビオンの凶行を食い止めるのが、世界に選ばれし戦士である猟兵である、この身であるのだから!
大成功
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