5
帝竜戦役㉓〜再臨の大蛇

#アックス&ウィザーズ #戦争 #帝竜戦役 #帝竜 #オロチ #群竜大陸

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アックス&ウィザーズ
🔒
#戦争
🔒
#帝竜戦役
🔒
#帝竜
🔒
#オロチ
🔒
#群竜大陸


0





「この感じ……スペースシップワールドでの戦いの時に現れたと言うドクター・オロチと同一存在か……? いや、そこを追求しても仕方ない……か」
 グリモアベースの片隅で。
 静かに瞑目しながら佇んでいた北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)が、軽く頭を振りながらゆっくりとその双眸を開く。
 蒼穹と化していた瞳が気になったか集まってきていた猟兵達に、優希斗が皆、と静かに呟いた。
「新しい帝竜の存在が発覚したよ。帝竜ドクター・オロチ……ああ、皆の多くはもしかしたら、この名前を聞いたことがあるかも知れないね」
 嘗てスペースシップワールドにて行なわれた銀河帝国攻略戦。
 この中で脳髄で出来ていたオブリビオン、ドクター・オロチと言う名の科学技術総監が、銀河帝国軍にいた事を記憶している者もいるだろう、と優希斗は呟く。
「そのドクター・オロチとの因果関係ははっきりしないけれども。帝竜としてドクター・オロチと言う名の敵の居所が判明した。そんな相手を、当然ながら放置して置く事は出来ない。だから……皆には、この帝竜ドクター・オロチを撃破しに戦場に向かって欲しい」
 ドクター・オロチもまた、帝竜が一頭。
 その戦闘能力は無論、格上となる。
「だからドクター・オロチは、皆よりも先にその特性を存分に生かしたユーベルコードを使用してくる。これに対する対策をしておく必要がある」
 その対策をした上で、ドクター・オロチに如何にユーベルコードを使って戦うかの戦術を練る。
 その戦術を練る事が出来るのは、戦場に出る猟兵達だけだ。
「銀河帝国攻略戦時代より、皆の力は格段に上がっている。だから、もしこの帝竜が、銀河帝国戦に現れたドクター・オロチと同一存在なのだとしても、あの時よりも皆が取ることの出来る札は多い筈だ。だから……俺は信じている」
 戦場にいる帝竜ドクター・オロチを撃退し、猟兵達がグリモアベースに帰還する事を。
「無論、厳しい戦いになるのもまた事実だ。どうか皆、宜しく頼む」
 優希斗のその言葉とほぼ同時に。
 蒼穹の光が猟兵達を包み……そしてグリモアベースから姿を消した。


長野聖夜
 ――神話に語られる蛇の名を持つ竜を撃破せよ。
 いつも大変お世話になっております。
 長野聖夜です。
 有力敵、ドクター・オロチのシナリオをお送り致します。
 今回のプレイングボーナスは下記です。
 ===================
 プレイングボーナス……『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』
 ====================
 帝竜ドクター・オロチは必ず先制攻撃を仕掛けてきます。この先制攻撃に何らかの対策を行なわない場合、まともな戦闘を行う事は出来ません。
 *今回は状況にもよりますが、必要達成数にリプレイが達成した段階で、それ以外のプレイングを却下する可能性がございます。予めご了承下さい。
 連携可否については状況によりますので連携不可の方のみ、プレイングの冒頭に×とご記載下さい。
 リプレイ執筆期間は下記の予定です。
 リプレイ執筆期間:5月19日(火)20時頃~5月20日(水)一杯。
 プレイングはOP公開後より受付致します。

 ――それでは、良き戦いを。
118




第1章 ボス戦 『帝竜ドクター・オロチ』

POW   :    グリーン・ディザスター
【口から放射される緑の粘液】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    オロチ分体
【水火闇光樹雷土のうち1つの属性を持つ竜】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    オロチミサイル
レベル×5本の【水火闇光樹雷土の7つの】属性の【エネルギー塊】を放つ。

イラスト:V-7

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ユーフィ・バウム
×

どのような存在かは分かりませんが、
猟兵として、屠ります!
足場は悪い上に、精神に堪えそう
しかと【踏みつけ】、【狂気耐性】をもって臨みます!

先制攻撃で放射される粘液を【見切り】、回避を試みます
避けきれなければ風の【属性攻撃】を込めた【衝撃波】で
粘液を逸らす
命中はさせないっ
【野生の勘】が危機を教えてくれれば尚良いですね

初撃を凌げれば、【ダッシュ】で接近。
ジグザグに動き、敵の粘液放射の狙いをつけ辛くさせ
迅速に寄ります

接近したならば口の前に立たないように絶えず動き、
【鎧砕き】の剣撃をねじ込んでいきます

敵の消耗が分かれば、オロチの頭部・人型部分に
【ジャンプ】【空中戦】からの
《トランスクラッシュ》ですっ!




「ムシュ〜、もう来ちゃったか。相変わらず早いなぁ〜。流石は猟兵だなぁ~」
 感心しているようでいて、間延びした口調がまるっきりそれを裏切った、帝竜ドクター・オロチの姿を見て。
 最初に到着した猟兵……ユーフィ・バウムが部族に伝わる創世の大剣を叩きなおした蒼穹色の刃先を持つ大型武器、ディアボロスを下段に構えて、澄んだ青き瞳を鋭く細めて見つめている。
「あなたが、帝竜ドクター・オロチですね」
「ムシュ~、そうだよ~、僕が帝竜ドクター・オロチだよ~。ムシュシュシュシュ~!」
 気が抜けそうになる咆哮を上げたドクター・オロチに、ユーフィが頭を横に振る。
「あなたがどの様な存在なのかは分かりません。ですが……あなたはオブリビオン! 猟兵として、わたしは、あなたを屠ります!」
「ムシュ~、良いね、良いね、そういうの! 今の僕は帝竜だからね~、シンプルな戦いが大好きさ~!」
 泥臭い緑色の粘液を口から零しながら、舌を出す帝竜ドクター・オロチ。
 その粘液がぼたり、ぼたり、と何処か凸凹した大地に落ちて大地の表面を溶かすのを見て、キッ、と睨みつける様な眼差しでドクター・オロチを見つめるユーフィ。
 地に根を張る大樹の様にしかと両足を踏ん張って大地に立ち、間延びしながらもちょっとしたことで気が狂ってしまいそうなそんな威圧感に、ギリリと口に含んだ勇気の実を噛み砕き、全身に無限の勇気を漲らせ、失神してしまいそうな威圧感に一人耐えながら。
『ディアボロス』を構え、全身を空色の結界で覆うユーフィに向けて、ドクター・オロチはギャオ~ッ! と聊かわざとらしい咆哮と共に、その口から大地に滴り落ちていた緑色の粘液を放出した。


「きましたねっ……!」
 唾液の様にドクター・オロチの口から粘液が発射されるその瞬間を、青い目を鋭く細めて見つめていたユーフィ。
 両足に集中させていた筋肉と、空色の闘気を両足へと注ぎ込んで加速し、更に下段に構えていた、『ディアボロス』に搭載されていたディアボロスエンジンを起動、ブースター代わりにして最大加速。
 ——ギャリギャリギャリギャリギャリ……!
『ディアボロス』の刃先が大地を切り裂き、気が触れてしまいそうな嫌な音を耳にしながらも、前傾姿勢でユーフィがオロチに突進している。
 と、その途中で。
 ——チリチリチリ。
 首筋が痒くなる様な、そんな感覚が、ユーフィを襲う。
 それは、野生の勘、とでも言うべきもの。
(「粘液の軌道は読み切れても早すぎて避けきれませんかっ! ……ならば!」)
 直感的にその理由を悟り、内心で舌を巻きながら加速していた両足に急ブレーキを掛け、摩擦熱によって赤熱しているディアボロスを撥ね上げるユーフィ。
「命中は……」
 摩擦熱によって生み出された斬撃の軌跡が、大気の一部を割って真空状態になり、そこに鎌鼬を生み出す。
「させませんっ!」
 生み出された鎌鼬が粘液とぶつかり合い、そのまま虚空の彼方へと消失させた。
「あっれ~? やるじゃないか~、ムシュシュシュシュシュシュ~!」
 初撃を躱された事に不快感を催すどころか、愉快そうにくつくつと肩を震わせて笑うドクター・オロチの表情に一瞥もくれずに。
 戦場をジグザグに走り回りながら、ドクター・オロチに肉薄するユーフィ。
 ドクター・オロチがユーフィの緩急つけたジグザグな動きに苛立ったか、口から粘液を飛沫の様にして発射するが、ユーフィはそれを最小限の動きで躱し、また躱し切れないものは空色の結界を瞬間的に練り上げて防御しながら接敵する。
「あなたの好きになんて、させませんっ!」
 勇敢に叫びながら、ユーフィがドクター・オロチの側面を取り、横一文字にディアボロスを一閃。
 ――青空の如き刃が、ドクター・オロチの竜の鱗の表皮に罅を入れる。
「ムシュシュシュシュシュシュ~! 懐に入り込まれちゃったら、粘液吐いたらボクの体が解けちゃうじゃないか~、もう~!」
 ぶつぶつと愚痴りながら、その鍵爪を存分に振るうドクター・オロチ。
 それらの攻撃を紙一重で躱し、或いはその斬撃と奇妙な狂気に調子を狂わせられぬ様気合を入れて耐えながら、幾度目かの斬撃を叩きこみ、程なくして最初の一撃で罅の入った装甲に、『ディアボロス』を食い込ませた。
「へっ?」
 一瞬唖然とした表情になり、動きを止めるドクター・オロチ。
「行きますっ!」
 無論、ユーフィがそんなドクター・オロチに斟酌する筈が無い。
 ドクター・オロチに突き立てたディアボロスを支点に体を旋回させて、ポーン、と自らを放り投げる様に大地を蹴って一気に天空へと上昇する。
 そう……ドクター・オロチの頭部にある人型のその部分、恐らく脳であろう、そこを目掛けて。
『鍛えられた肉体を、めいっぱい叩きこみますっ!』
 叫びと共に、両足の強化や結界に使っていた空色の自らの闘気の全てを豊かな臀部へと集中させるユーフィ。
 そのまま押し込む様にヒップアタックを、その人型部分に叩きつける。
「ぐえええっ~?!」
 強烈なヒップアタックの一撃をそこに喰らい、カエルが潰れた様な声を上げ、激しく目を白黒させるドクター・オロチ。
 そのままぐるん、と空中でバク転して大地に降り立とうとするユーフィを……けれども、ドクター・オロチは許さなかった。
「ムシュシュシュシュ! よ~くも、やってくれたな~! お返しだ~!」
 吠え猛ると共に、逆鱗……それとも翼であろうか?
 6枚3対のそれを、猫が毛を逆立てるかの如く鋭く光らせ、そこから鋭い刃を解き放つドクター・オロチ。
 放たれた金色の刃がユーフィの体を切り裂き、血飛沫が周囲を舞う。
(「ぐっ……最後の最後で油断しましたかっ……! ですが、確かな一撃は加えられた筈です……!」)
 放たれた黄金の刃……衝撃波によって、傷つけられた体を労わる様に大地に着地し、両足に来た強い衝撃に、ユーフィが顔を歪めながらも、確かな手応えを感じて一つ頷く。
 そんなユーフィを、出撃の時と同じ蒼穹の光が包み込み、戦場から離脱させた。

成功 🔵​🔵​🔴​

白石・明日香
皇帝しか殴っていないオレには知ったことじゃねえが、取り敢えず消えろ!
残像で攪乱しながらダッシュで接近、奴の目の前でスタングレネードを炸裂させて目くらまし。狙いをつけづらくなれば上等!
粘液は軌道を見切って躱し、その際体勢を崩さないように空中戦の要領で
バランスを取りながらなおも接近。
間合いに入ったら怪力、2回攻撃、属性攻撃(炎)、鎧無視攻撃で叩き切る!
終われ、脳みそ野郎・・・・




「お~、イタタタタタッ……」
 強烈なヒップアタックで傷ついた人型部分を両腕で摩るドクター・オロチ。
 と……次の青い光を見つけて、摩っていた両手を離して、其方を見る。
「ムシュシュシュシュ~! 次の猟兵が来たか~!」
「ああ? 次だぁ?」
 嫌な笑い声をあげるドクター・オロチを胡散臭そうな視線で見やりながら、白石・明日香がそう呟く。
「そうだよ~、君は二番手だよ~! ムシュシュシュシュ~!」
「……まあ、良いさ。どうせオレは銀河帝国戦では皇帝しか殴ってねぇ。が、まぁ邪魔だからさっさと消えろ!」
 叫びながら懐からいつものスタングレネードを取り出す明日香。
「ムシュシュシュシュ~! 行くよ~!」
 返しながら大地の表面をも簡単に溶かす緑の粘液を吐き出すドクター・オロチ。
 それに対抗するべく、深紅の残像を曳きながら肉薄しようとする明日香。
 狙いを定める暇もなく、粘液を吐き出そうとしたドクター・オロチに向けてスタングレネードを投擲するが……。
 ――パァン!
「ぐあっ?!」
 此処で、思わぬハプニングが起きた。
 投擲したスタングレネードがドクター・オロチに届くよりも前に粘液とぶつかり爆発して、凄まじい光を発したのだ。
「ちっ……!」
「ムシュシュシュシュ~! 運が悪かったね~! それ!」
 閃光でチカチカする目を瞬きながらなんとか肉薄する明日香に向けて、緑の粘液を飛沫の様に飛ばすドクター・オロチ。
 容赦のないそれを辛うじて空中を舞う様にして飛びながら躱し、何とか敵の懐に潜り込みながら、全てを食らうクルースニクと呪剣ルーンブレイドに血の様に赤い焔を纏わせ、焔纏う妖精の様に空中を舞い、全てを食らうクルースニクを上段から振り下ろす明日香。
「燃え尽きろ!」
 しかし、先程の閃光で、目測が狂ったか。
 焔を纏った縦一文字の斬撃はドクター・オロチの表皮を焼くに留まっている。
「くっ……!」
 そのまま呪剣ルーンブレイドを横薙ぎに振るう明日香。
 同じく焔を纏った横一文字の斬撃だったが……それもまた、オロチの装甲を焼くに留まった。
「ムシュシュシュシュ~! ボクを焼き尽くすつもりだったなら、もっと狙いを定めるべきだったねぇ~!」
 炎に体を焼かれながらも、自らの鍵爪を振り下ろすドクター・オロチ。
 振るわれた鍵爪に体を切り裂かれて大地に落下、明日香は辛うじて立ち上がろうとするが……。
「ちっ……!」
 切り裂かれた痛みにまともに動けぬことに気が付き、舌打ちを一つして、明日香は素早くその場を離脱した。

 ――ドクター・オロチに、多少の火傷を負わせるに留まって。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携大歓迎

かつて現れた輩にしては妙だな
まあ、再度骸の海に叩き込むだけだが
…何一つ持ち帰らすかよ

現れる竜の属性か
まあ、順当に俺の弱点はついてくるだろうな

「視力、戦闘知識」で属性竜の登場を確認したら【魂魄解放】発動
攻撃は上空、地上どちらからも警戒し
「ダッシュ、第六感、見切り」+高速移動で気配と殺気を察してジグザグに駆け抜け回避
間に合わなければ「武器受け、オーラ防御」で黒剣で受け流し

オロチ本体まで到達したら背中にフック付きワイヤーを引っかけ
「ロープワーク、クライミング、怪力」で頭までよじ登る
到達したら「2回攻撃、マヒ攻撃、鎧砕き、部位破壊」で、どこかで見た輩を全力で叩き潰す!


ウィリアム・バークリー
あの戦争で骸の海に叩き落としたはずなのに、また蘇ってきましたか、Dr.オロチ。さすがはオブリビオンですね。オブリビオンが討滅しても蘇るのなら、他の世界も心配です。
でも今は、目の前のDr.オロチを改めて討滅しなければ。

今更巨体には驚きません。これまでの帝竜に比べれば可愛いくらいだ。それより高い攻撃力が怖い。
七属性を操るようですが、その中に「氷」は無いようですね。そこを突きましょう。
「全力魔法」の「オーラ防御」氷の「属性攻撃」「盾受け」で、エネルギー塊を受け止め反射する霧氷の渦のレンズを作り、防御します。

その渦に魔法陣を仕込み、Icicle Edgeを「全力魔法」氷の「属性攻撃」「衝撃波」で連射。


司・千尋
連携、アドリブ可

属性が選べる敵とは厄介だな
じっくり観察して見極めてみようか


先制攻撃の分体はなるべく早く倒したい
鳥威で攻撃を防ぎつつ優先的に狙う

攻撃は基本的には『空華乱墜』を使う
範囲内に敵が入ったら即発動
味方がいる場合は当てないように調整
オロチ本体も範囲内に入るように位置調整するが深追いせずダメージ蓄積を狙う


敵の攻撃は細かく分割した鳥威を複数展開し防ぐ
割れてもすぐ次を展開
手数が足りなければ『空華乱墜』や武器で迎撃
間に合わなければ回避

属性があるなら状態異常攻撃もあるかもしれない
回避しやすいように念の為身体から少し離して展開する


持ち帰って何をするのか気になるんだけど、教えてくれないかな?
…まぁ無理か


ヘザー・デストリュクシオン
ぎんがてーこく戦のころはまだ猟兵じゃなかったから知らないの。
ドクター…。
お父さんがガクシャでイシャだったからイシャは嫌いだし、悪いイシャは殺さないと。

敵の攻撃はジャンプやダッシュ、スライディングで素早く避けるの。
避けられなくても動けなくならないように激痛耐性でたえるの。
ジャンプとダッシュで敵の体をのぼるの。
ふり落とされないように敵の体に爪を立てながらのぼって頭まで行ったら、力溜めして目を狙って攻撃力重視のUCで攻撃。
さらに爪のマヒ攻撃で捨て身の一撃を食らわせるの。
わたしがダメでも、これで敵はうまく体が動かなくなるからだれかが殺してくれるの。

殺すのは楽しくない、やっぱり楽しい壊しあいがしたいの。


荒谷・ひかる
・先制攻撃対策
エネルギー塊の七つの属性は、全てわたしと絆を結んだ精霊さんと同じ
つまり精霊さんが宿っているものと見做せる
彼らはわたしを傷つける事を望まない
故に彼らに呼びかけ『鼓舞』することでコントロールを奪う、最悪でも直撃しないよう逸らすくらいは出来る筈
また、オロチの操れない氷の精霊さんの助力を得て氷の壁を作り出し防御

防戦一方と見せかけつつ、反撃は【風の精霊さん】にお願いする
彼らもまたオロチの操れない属性、そして風故に不可視で発見は困難
総勢380体を以てこっそり奴の鼻や口から侵入、体内で鎌鼬や空気爆発による攻撃を仕掛ける

属性の力は、精霊さんの力です。
わたしと精霊さんがいる限り、好きにさせません!


キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

ドクター・オロチ…フン、あの趣味の悪い機械を作った奴か
死んだとは聞いたが…まぁいい、何度でも骸の海に沈めれば済む話だ

ダッシュとジャンプを駆使して緑の粘液を全力で見切って回避
万が一避け切れない時は怪力で付近の壁や大地の一部を引き剥がして盾代わりにする
一瞬の躊躇が死を生む、油断なく見切りを行おう

第三第四のオロチが現れてはたまったものではないな
念入りに破壊してやろう

敵の攻撃の間隙を縫ってUCを発動
宙に浮く複数のナガクニを足場代わりにして頭上のオロチに肉薄
ナガクニでの爆破攻撃を行い、鎖で繋がれたら一気に追撃だ

やれやれ…何を企んでるかは知らんが
一度死んだのならば、大人しくしてほしいものだ


ノイジー・ハムズ
はじめまして、オロチさん!
属性攻撃が得意なんですね!
ならばならば、属性魔法の使い手のノイジーちゃんと勝負です!

粘液は、溶かすのか吸収するのか物理攻撃なのか!
わからない内は、君子危うきに近寄らず☆

粘液は固形物ではない!
ならばならば、どれだけ威力があろうと、力を加えれば変形するということ!
オーラ防御と全力魔法で、粘液を弾け飛ばす障壁を張ります☆

同時並行でブラッドスライム(アイテム)の中に潜ります!
少しの衝撃吸収と、付着を防ぐにはこれが一番☆

ぷあっ!
一度凌いだら、機動力がなく息もできませんので、やめます☆

貴方の使えない属性…風魔法でしょうか!
真・黒風剣!
狂飆で粘液を蹴散らしながら、頭蓋骨をかち割れ☆


大神・零児
なるほど
今度は『龍脈』の力か

対策
鮮血の氣のオーラ防御を纏わせリミッター解除したC-BAに騎乗し各種センサー、戦闘知識、第六感、野性の勘でわずかな事前動作等も情報収集
運転と操縦技術も駆使し残像を使い挙動や攻撃を見切り回避
武器改造済のマルチグレネード使用

火:火炎耐性
水:氷結耐性
樹:環境耐性とナパームグレネードで焼却
土:地形の利用と環境耐性
闇:フラッシュバンと闇に紛れる
光:光を分散させるスモークグレネード
雷:電撃耐性と武器をアースに

距離をある程度つめたら
妖刀『魂喰』の封印を解くことでUC発動

咄嗟の一撃による早業のだまし討ち範囲攻撃でオロチと竜の体内へと入り込み
内部のいたるところから攻撃

アドリブ共闘可


ルード・シリウス
過去に戦争で戦った敵が、今度は帝竜として復活か…
初めて聞く名だが、喰らう敵には変わりはねぇ
それに、何度も復活するならその都度喰らえばいい

外套と靴の能力で気配と音を殺し、同時に残像を囮にしてばら撒き注意を可能な限り惹かせつつ、粘液が吐き出される瞬間と範囲を見切りながら懐へ飛び込む様に接近し回避試みる。いくらコイツ等でもあの粘液を受け止める等は無理だし、直撃を受けるのは以ての外だからな
上手く凌ぎ切れたら、【魂装】発動。武装の真名及び自身の真の姿を開放、これまで喰らってきた敵を憑依して強化、頭部に居るであろう存在目掛け駆け上がり、二刀による連撃で喰らいつく様に斬りつけ、同時に捕食能力で血肉を喰らう




「ムシュシュシュシュ……。ああ、また来たねぇ、猟兵達が」
 目前の毒々しい緑色の帝竜ドクター・オロチを見て、キョトンとした表情で軽く瞬きをするのは、ヘザー・デストリュクシオン。
「ぎんがてーこく戦の頃は、まだ猟兵じゃ無かったから、ドクターなんて知らないの。あなたは誰なの?」
「ドクター・オロチ……フン、あの趣味の悪い機械を作った奴か。あの戦いの時に死んだと聞いていたが」
 ヘザーの問いかけに、キリカ・リクサールが軽く鼻を鳴らしながら答えるのに、そうですね、とウィリアム・バークリーが頷き、溜息を零した。
「あの戦争……銀河帝国攻略戦で骸の海に叩き落とした筈なのに、また蘇ってきたんですね、Dr.オロチ。流石はオブリビオン、と言ったところでしょうか?」
「或いは……今度は『龍脈』の力、かも知れないが」
 ウィリアムの何気ない問いかけに、ポツリと呟くのは大神・零児。
「『龍脈』? 確かに大地に流れてはいますが……それが何か関係が?」
 龍脈を探り当て、大地の精霊達との繋がりを持つ事のあるウィリアムが微かに驚きに目を見開きながら問いかけると、なに、と零児が軽く頭を振った。
「時折見る悪夢で、その様な夢を見たことがあるだけだ」
「……」
 零児の呟きに、思わず目を細めて零児を見やるのは館野・敬輔。
(「こいつもあいつと同じ様なものを見ている、か」)
 最も、彼が時折垣間見るらしい夢と、零児が今呟いた悪夢は、どうにも内容が異なる様ではあるが……。
(「考えても仕方ない、か。そもそも……」)
「嘗て現れた輩にしては妙だしな、こいつも」
 敬輔の呟きに、ドクター・オロチは、ムシュシュシュシュ~と笑っている。
「まあ、どっちでもいいさ。過去の戦争でお前等が戦った敵が、今度は帝竜として復活したのだろうが無かろうが、俺が喰らう敵に変わりはねぇ」
 ルード・シリウスが、暴食剣「神喰」と、呪詛剣「無愧」をダラリと下げる様に持ちながら軽く一蹴すると、そうですね! と周囲を漂っていたノイジー・ハムズが可愛らしいウインクをドクター・オロチに一つ。
「はじめまして、オロチさん! 属性攻撃が得意なんですね! ならばならば、属性魔法の使い手のノイジーちゃん達と勝負です☆」
「そうですね。あなたの様な方に、精霊さん達を好きになんてさせません!」
 ノイジーの呟きに同意する様に決意の眼差しと共に、精霊杖【絆】を両手でしっかと握りしめて構えるのは、荒谷・ひかる。
「どちらにせよ、戦ってみないと分からない相手だな。まあ、自信があるなら、対応はひかる達に任せるさ。存分にやってくれ。援護はする」
 告げながら、じっくりと観察する様にその瞳をドクター・オロチに向け、無数の鳥威をひかるやノイジー、ウィリアムの周囲に展開する司・千尋。
 と、此処で、ふと、何かを思いついたかの様に、千尋がドクター・オロチに一瞥をくれて何気なく問いかけた。
「そう言えばお前、その再孵化を持ち帰って何をする気なんだ? 気になるから教えて貰えないか?」
「ムシュシュシュシュ……。それは、ひ・み・つ、だよ~」
 千尋の問いかけに笑い声を上げるドクター・オロチ。
「まっ、そりゃそうだよな。研究成果を態々教える様な馬鹿なら、こんな苦労をする必要も無いか」
 軽く肩を竦める千尋とは対照的に、敬輔は、ドクター・オロチへと底冷えのする様な光を瞳に称えて、低い声で吐き捨てる様に呟いた。
「……貴様に何一つ持ち帰らせてやるものかよ。また骸の海に叩きこんでやる」
「ムシュシュシュシュ……良い殺気だねぇ~。これはボクも全力出しちゃおうかな~。今のボクは帝竜だしねぇ~。それじゃあ、行くよ! ボクのパワーを見せつけてやる~!」
 ドクター・オロチがそう告げるのとほぼ同時に。
 ドクター・オロチの傍に光輝く一頭の竜が姿を現し更に周囲に、七色の虹の様に輝くエネルギー塊を呼び出し咆哮するドクター・オロチ。
 
 ――どうやら総力戦の準備は、ドクター・オロチも万端だった様だ。


(「ちっ。やっぱり俺……俺『達』の弱点を突く竜を用意してきたか」)
 黒剣の刀身を赤黒く光り輝かせ、その全身に白い靄を纏いながら。
 現れた眩く光り輝く竜……それは、『亡者』の魂と共に戦い、『吸血鬼になる可能性』を秘めていた敬輔の中にある復讐という『闇』と対極にある『光』属性の竜。
 その光の竜に鋭く睨みを利かせるは、妖刀「魂喰」を青眼に構え、『魂喰』に魂を食われつつある修羅が纏う鮮血の氣を纏い、獣型機械獣、C-BA Mk=5をバイクへと変形させてそれに跨がる零児と、この場に居る全ての猟兵達を守る様に無数の鳥威を盾の様に周囲に展開する千尋。
 光竜が咆哮し、敬輔達に向かって体当たりしようとするのとほぼ同時に、ドクター・オロチの周囲に展開された7つの属性のエネルギー塊が無数に現れ、ノイジー達を撃ち抜かんと一斉射出。
 千尋の鳥威によってそれらの光弾と竜の突進の勢いが僅かに削がれたその隙をついて、ウィリアムが、ひゅん、と空中に半円を描き出す様に左手を振るい、ひかるが、精霊杖【絆】を握りしめたまま、祈る様にギュッ、と強く目を瞑る。
「今更巨体には驚きません。寧ろこれまでの帝竜に比べれば可愛い方……!」
「あなたに、水火闇光樹雷土……わたしと絆を結んだ精霊さん達と同じ力を持つその精霊さん達を、自由になんてさせません! 精霊さん、お願いします! ドクター・オロチさんに悪用されている皆を助けてあげて下さい!」
「……Icicle Mist!」
 半円を描いたウィリアムの目前に展開されたのは、半透明の渦の様な霧氷のレンズ。
 一方、ひかるの鼓舞に答えた精霊さん達もまた、掃射された無数の七属性のエネルギー塊に飛びつく様に戦場を駆け抜けていく。
 ひかるの呼び出した精霊さん達とぶつかり合い、瞬く間に爆ぜていく無数の光弾と、霧氷の渦のレンズが、放たれた無数のエネルギー塊とぶつかり合い、爆ぜて消え、その勢いを衰えさせていく。
 激しい弾幕の応酬を潜り抜ける様に、光竜が駆けて此方に急迫するのに合わせる様に敬輔と零児が散開するのに合わせて、千尋が雲散霧消した鳥威を左手に持つ本体、結詞で操って分解し、再び無数の壁とさせて弾幕の応酬を潜り抜けてきた七属性のエネルギー塊の残滓を抑え込みながら、右人差し指をオロチへと突き出し、告げる。
「敬輔、零児は散開して、左右から攻撃を。光竜、お前は……『落ちろ』」
 千尋のその、呟きと共に。
 敬輔と零児、其々についていた暁・宵と、其々に持たせていた月烏と鴗鳥が巨大化し、暁が青白く光る刃による斬撃で光竜の体を切り刻み、更に宵が巨大な鴗鳥で、光竜をボコボコと殴り続けてその動きを鈍らせる。
 光竜が暁と宵の攻撃を受けて負傷を負いながら、尾を、そしてその背の翼を打ち振るい、光線を放射して襲い掛かった。
 左翼から飛び込んだ敬輔に向けて振るわれた巨大な尾を、敬輔は戦場を高速でジグザグに駆け抜け紙一重で躱し、時に白い靄から漆黒の帳の様に張られた結界を生み出して辛うじて受け止め、被害を最小限に留めている。
 右翼から半包囲陣形を作る様に回り込んでいた零児は、無数の漆黒の残像を生み出しながらリミッターを解除し、エンジンが激しい唸り声を上げるC-BAのサーモセンサーで放射された光線の軌道を読んで小刻みにグリップさせたり、その場でターンさせると言ったトリッキーな動きで攪乱しながら、マルチグレネードユニットを構えていた。
「行くぞ」
 告げながら、マルチグレネードユニットのグリップを引く零児。
 かちり、と零児の意志に応じる様に一発のグレネードが撃ち出され、それが光竜の放った光線に当たって爆ぜ、モクモクと光を分散させるスモークが焚かれ、その勢いを殺していた。
「俺達がこの光竜の相手をしている間に……行け、お前達!」
 零児の叫びに応じる様に。
 幻影の外套で周囲に溶け込む様に姿を消し、音無しの靴で無音でルードが周囲の遮蔽物で自らの存在を隠匿しながら接近し。
 ノイジーが翼で風の様に舞い、ヘザーが兎人特有のジャンプ力を生かして戦場を飛び跳ね。
 キリカが前傾姿勢になって紫電の様に戦場を駆け抜け、ドクター・オロチに対峙しようとした、正にその時。
 ドクター・オロチは、その大きな顎を開いて、戦場全体を覆い尽くさんばかりの緑の粘液を、飛沫の如く解き放っていた。


 ひかるとウィリアムによって抑え込まれ、千尋によってその攻撃を防がれても尚、降り注ぐ七属性のエネルギー塊の群れの中を苦も無く泳ぎ回る様に戦場を駆けていくキリカ達。
「やはり来るか」
 前傾姿勢で紫色の残像を曳きながら戦場を駆け抜けていたキリカが、タッチスクリーン型のマッキナ・シトロンが集積してきた、ヴェートマ・ノクテルトの回線を通じて自らの脳へと伝達されてきた情報を思考で解析しながら、空中から飛ぶ様に前進していたヘザーとノイジーに呼びかける。
「空中・地上全体を覆いつくしかねない程に危険な粘液だ。ヘザー、ノイジー、十分に気を付けろ」
「分かったなの」
 キリカの呼び掛けにヘザーが頷きながら、内心で、ドクター、と呟いている。
(「お父さんがガクシャでイシャだったからイシャは嫌いだし、悪いイシャは殺さないと、なの」)
 思い出されるのは、体の彼方此方に刻み込まれた痛みの記憶と、あの男の怒鳴り声……否、罵声。
 当たり前の様に行われていた虐待の事を思い出し、全身が総毛立ち、それすらもドクター・オロチへの殺意に変えて、キリカからの呼び掛けに応じる様に空中でトンボ返りを打って粘液をよけ、大地に降り立つヘザー。
 そのヘザーの大地に降り立った一瞬の硬直を狙ってかドクター・オロチの粘液がヘザーを襲うが……。
「粘液は、溶かすのか、吸収するのか物理攻撃なのか! 分からないうちは、君子危うきに近寄らず☆ ですよね!」
 同じく完全によけきれないと判断し、スクレットコートの腕部アームギアに嵌め込まれた高性能CPUをフル起動させて地面に拳を叩きつけ、砕かれた大地によって形成された大地の盾で身を守ったキリカに、お礼代わりにパチリとウインクし、自らの桃色の髪を結うリボンの風の精霊達の魔力で飛行能力を高めたノイジーが、クルン、クルンとジェットコースタの円輪の様な魔法陣を描き、ウィリアムとひかるとの弾幕の応酬によって発覚したドクター・オロチが使えない属性……風の属性を円輪に籠めた、着地した瞬間を狙われたヘザーを守る結界を構築する。
「これは、粘液を弾き跳ばす障壁です☆」
 告げながらひょい、とノイジーは赤いスライムの様な使い魔、ブラッドスライムに潜り込んだ。
「少しの衝撃吸収と、付着を防ぐにはこれが一番、ですからね☆」
 と、ノイジーが言い残した、その刹那。
 ――パァン!
 ノイジーの張り巡らした風の結界とキリカの大地を削り取った岩石の盾に粘液が着弾し、そのまま破砕。
 融解された岩石の盾の向こうからすかさずキリカが飛び出し、ヘザーもまた、ピョン、ピョン、と兎の様に軽快なステップを踏みながら前進する。
「全く……一瞬の躊躇が死を生みそうな状況とは、正にこの事だな」
 呟きながらこの生死を掛けたやり取りを愉快がり、くつくつと肩を震わせ口元に鱶の笑みを浮かべるキリカの呟きに、ん~、とヘザーが軽く小首を傾げた。
「わたしは、殺すのは楽しくない。やっぱり楽しい壊しあいがしたいのね」
 猫兎の衣装によるへそ出しルック。
 その腹部の辺りに刻まれている痛々しい傷跡を見ながらキリカが小さく呟く。
「楽しい壊しあい、か……」
 自分とヘザーが其々に『戦い』に求める何かは、上手く言葉にすることは出来ないが、微妙に歪で、異なっているのでは無いだろうか。
 そこにヘザーの中の何かの歪みを感じて、キリカが微かに目を細めた。
『キャハハハハハッ!』
 そんなキリカの懸念を吹き飛ばそうとするかの様に。
 見た目愛らしい人形だが、底の見えない闇の様な眼光が穿かれたオペラマスクと全身を錆びついた刃で覆った不気味な人形、デゼス・ポアが、少女とも老婆ともつかない笑い声をあげる。
 それが誰に対してのものかは、分からなかったけれど。
 ――と、そこで。
「……ぷあっ!」
 ひょこっ! と言った様子で、ブラッドスライムの中からノイジーが顔を出して息を吐き、ふう、と額に噴き出た汗を可愛らしく拭う。
「やっぱりこれで一度凌いだら、機動力もないですし、息もできなくなりますもんね。次は、やめます☆」
「ムシュシュシュシュ~! ボクの本気の第一波が全部凌がれるなんて~! やっぱり数の暴力って怖いなぁ~」
 口調こそ間延びしていたが、ドクター・オロチのその声には、僅かな怒りが含まれていた。
(「あいつらが注意を引き付けてくれたか……お陰様で、がら空きだな」)
 残像を曳くまでもなく。
 音もなく遮蔽物に隠れ、気配を殺して移動していたルードが……その姓であるシリウス……獲物を狙う猟犬の様に、ドクター・オロチの背後で息を殺して状況を観察し……獲物を喰らうことの出来る瞬間が訪れるその時を、虎視眈々と、狙っていた。


「さて、反撃開始です……! 行きますよ……!」
 ウィリアムが呟きながら、バッ、と両掌を宙に浮かぶ弾幕を躱した無数の霧氷の渦のレンズへと突きつける。
 精霊さん達を鼓舞し、弾幕の威力を削いだひかるもまた、精霊杖『絆』を高々と掲げた。
「お願いします……風の精霊さんっ!」
 ひかるの祈りを受けた、総勢380体の風の精霊さん達が、そのまま周囲の空気に溶け込む様に姿を消して、オロチに向かって猛進し。
「Icicle Edge!」
 ウィリアムの叫びと同時に、霧氷の渦のレンズに刻み込まれた青と若緑色の結界が一斉に青く煌めき、全部で365本の氷柱の槍が、ドクター・オロチを貫かんと驟雨の如く放たれる。
 一方で光竜は、千尋の展開した暁の月烏の蒼白き一閃と、宵の鴗鳥による何度目かの殴打で傾ぎ、そこに敬輔がすかさず斬撃の衝撃波を叩きつけてその装甲を砕かれ。
「さて……『「魂喰」、体は預けたぞ』」
 零児がそう告げると、ほぼ同時に。
 零児の全身とC-BA……自らの装備の全てを血の霧へと変えて、敬輔達によって切り開かれた光竜の隙間に潜り込み、内側から『魂喰』でその肉体を切り裂き、パァン! と光竜を破裂させていた。
 血霧の儘にするりとオロチに向かって肉薄する零児に追随する様に超高速で敬輔が戦場を疾駆し、巨大化した烏喙を千尋が懐から抜いて構えながら、自らもすり足でするり、するりと前進を開始。
「次の援軍を呼ばれるよりも前に、撃破してやりたいものだな」
「そうだな。流石に同じ竜を呼び出されると面倒だ」
 千尋の呟きに敬輔が軽く頷きながら、オロチの本体に肉薄して側面に回りながらすかさず籠手に仕込んでいたフック付きワイヤーを準備する。
 その間に365本の怒涛の氷柱の槍による目晦まし件、援護射撃によってその身の装甲を貫かれ、思わずその場で蹈鞴を踏んだオロチに向かってキリカ、ノイジー、ヘザーが3方向から、チャンスと睨んだルードが、ドクター・オロチの後背から其々の得物で以て一斉に襲い掛かった。
『兎の脚力、なめちゃダメなの!』
 最初に動いたのは、白猫の爪を氷柱の槍によって穿たれた装甲に突き立てたヘザー。
 敬輔もまた、フック付きワイヤーをドクター・オロチに引っ掛けて、ロープ・クライミングの要領で一気に戦場を疾駆してその体に飛びつこうとしている。
 ドクター・オロチが自分に飛びつこうとする敬輔とヘザーを、その鉤爪で捉えようとするが。
『これが、俺達の渇望』
 低く唸る様な呟くルードの呪詛と共に、暴食剣「神喰」の漆黒の刀身に、怪しく輝く真紅の宝石、『捕食の血核』が瞳の様にギョロリとその姿を晒して、闇と血の綯い交ぜになった『真名開放形態』へと変貌し。
『ソシテ、我等ガ憎悪ト狂気』
 続けられた呪詛に、呪詛剣「無愧」が凶獣ベルセルクの如き、漆黒の獣の気配を帯びた、全てを切り刻む封じ込められた邪精の呪詛を纏った『真名開放形態』の、おぞましき『闇』の本性を露わにし。
『捕食者の如く、尽くを暴食し、暴君ノ如ク尽クヲ鏖殺シ、一つ余さず蹂躙シ尽クソウ…ッ』
 そして、幻影の外套と呪錬戦衣が吹き飛び、その全身に刻み込まれた漆黒の呪印、獣の烙印が、愉悦を上げるかの様に、禍々しい闇の輝きを発している。
 ――ドクン、ドクン。
 ルードの第二の心臓とも言うべき、暴食の血核の鼓動が激しくなり、ルードが抱く全ての感情……身に余るほどの狂気や憎悪の全てさえも、飢餓の欲求……捕食衝動へと変えて、只獲物を喰らう事にのみ愉悦を感じる、飽くなき暴食の化身が姿を現す。
 ――ガイオウガや、プラチナ、ベルセルク、女禍、ガルシェン、オアニーヴ、カダスフィア等帝竜達や……嘗ての戦争の中で戦ったアルダワの魔王……他にも数多の喰らい飲み干し尽くしてきた、敵の力の全てを、全身に憑依させて。
『喰ラウゾ……!』
 呟きと共に、暴食剣「神喰」をその背に突き立て、その震えを縫い止めるルード。
 そのままその背を足場とし、ルードが一気に頭頂部に向かって駆け上がる。
 暴食剣『神喰』に貫かれた痛みを払拭するかの如く、体を滅茶苦茶に振るい、張り付いたルードや敬輔、ヘザー達を振り落とそうとするドクター・オロチだったが……。
「馬鹿め……隙ありだ」
 何処かサディスティックな笑みを浮かべてキリカが呟きながら、腰に帯びたナガクニを抜き放ち天空へと放り投げた。
 瞬間、ナガクニが無数に分裂。
 それは……刀身に混ぜられた嘗て地震を引き起こし、日本に甚大な被害を被らせた神の骨が幾重にも分かれたが故であろうか。
 その無数のナガクニの全てが刀身にキリカの髪と同じ紫の雷を纏い、銃弾の様にドクター・オロチの全身に突き刺さっていく。
「フシュシュシュシュシュ……シュシュッ?」
 突き立っては爆発、突き立っては爆発するそれにヘザー達を振り落とすのを阻止されている間に、爆発によって穿たれた体の隙間からするりと入り込む、血の霧と化した、零児。
 そのまま血の霧と化して体内で『魂喰』が暴風と化して、その様々な内臓器官をズタズタに切り裂いていく。
「ゲッ……ゲボガハァっ?!」
 内側から内臓を掻き毟られ、臓腑を焼かれるその痛みに、口をあんぐりと開けて、緑色の粘液を、ボタ、ボタと口を開いて零すドクター・オロチ。
 その口の中から……するりと、380体の風の精霊さん達が潜り込んだ。
「今です、風の精霊さん、かき回しちゃって下さい!」
 ひかるの鼓舞に応じる様に『風』の紋章が淡い輝きを発し、その輝きに共鳴する様にドクター・オロチの体内に侵入した風の精霊さん達が、鎌鼬現象を起こして、零児が切り、抉ったその内臓器官を更に切り裂き、時に、肺や心臓の上で空気爆発を起こして、ドクター・オロチを体内から崩壊させていく。
「ガッ……ボッ……ゲェェェェェェッ!?」
 抵抗しようのない体内からの攻撃だけにドクター・オロチが苦しげに喘ぎ、嘆いているその間に。
 ――ルードが。
 ――ヘザーが。
 ――敬輔が。
 その体を渡り歩いて頭頂部へと達し、更に……。
 ナガクニを爆発させることで自らとドクター・オロチを紫電の鎖で繋ぎ止めたキリカと、風のリボンに残された風の魔力を掻き集めて空中を飛翔したノイジーもまた、頭頂部へと辿り着いていた。
「お、おのれ~っ!」
 体を内側から破壊され忌々しげに呻くドクター・オロチ。
 再び周囲に七属性のエネルギー弾と新たな光竜を召喚しようとするがその時には。
「流石に同じ手を何度もやらせるわけには行かないな」
「ええ……Ice Brand!」
 千尋が手の中に構えていた巨大化した烏喙を投擲しながら呟くと、ウィリアムが頷き、ひゅっ、と両手を振り上げながら剣の様な紋様を描き出す。
 その紋様に応じる様に、Icicle Edgeを召喚した霧氷のレンズが融合し、一本の鋭利な氷の剣となって解き放たれた。
 放たれた烏喙と氷の剣が、ドクター・オロチの右目に突き刺さる。
「ガァハァァァ?!」
 絶叫し、顔を仰け反らせたドクター・オロチの左目に向かって、グッ、と全身に力を込めたヘザーが、ピョン、と大地を蹴り、同時に、その両足を正しく兎の脚へと変化させた。
「兎の脚力で、残った片目を潰してあげるの!」
 更なる高みへと兎の脚力で跳躍したヘザーが、大気との摩擦熱で服を焼かれ、その身を火傷させながらも容赦の無い蹴りを左目に叩き込み、続けざまに白猫の爪を伸長し、その脳髄まで届く程の勢いで、左目に深々と食い込ませていく。
 ――ビチャッ……ビチャッ……!
 涙の様に緑色の液体がその目から止め止め無く零れ落ちるドクター・オロチ。
 その上体内では零児とひかるに加勢する道を選んだ380体の風の精霊さん達が縦横無尽に暴れ回り、まともな反撃を行うことも出来ず、同時に、全身に凄まじい麻痺毒が回り始めて呂律すら回らなくなり始めている。
「フ……シュシュ……?」
 笑い声とも泣き声ともつかぬ其れを上げるドクター・オロチのその隙を見逃さず。
「何処かで見覚えのあるその輩を、全力で叩き潰す!」
 敬輔が赤黒く光り輝く刀身を持つ黒剣を振り下ろして頭部に突き立て、そのままギャリギャリと嫌な音と共に斬撃を繰り出して弧を描いた衝撃波を解き放ち、恐らく本体とでも言うべき、少し罅の入った、水晶化している様に見える脳髄に斬撃の刃を繰り出して。
「ソレデハ、喰ラヲウ」
 真名を開放した『神喰』と『無愧』を敬輔の衝撃波によって更に砕かれたその水晶に向けてルードが十文字に振るい、『神喰』の真名を開放し剥き出しになった『捕食の血核』と、自らの第二の心臓である『暴食の血核』の力を完全に解放して、その血肉を啜り、喰らう様に切り裂き、飲み干していく。
 ――その渇いた飢餓への衝動を満たす、獣の様に。
 ルードの攻撃により、砂の様に崩れ落ち始めたその水晶体と、溶け崩れる様に無造作に放射される緑の粘液を、闇と風の暴走する魔力を取り込み、漆黒に塗り潰された、大魔剣『ホープ・テンペスト』から巻き起こる狂飆で吹き飛ばしながら、ノイジーが緩い感じに、パチリ、とウインクを一つ。
「真・黒風剣! 頭蓋骨を、かち割っちゃえ☆」
 叫びと共に袈裟に大魔剣『ホープ・テンペスト』が纏った漆黒の風の刃を叩き込むノイジー。
 水晶体を喰らい飲み干したルードと、敵の頭部に強かな斬撃を与えた敬輔、その左目を潰し、全身に麻痺毒を撒散らしたヘザーが其々に素早くその場を離脱するや否や、漆黒の暴風を伴った風の刃が、斜めにその頭蓋骨と脳髄を叩き割る。
 頭部を失い、既に勝敗が決し、残されたその腐肉に対して……キリカが、口元に鮫の笑みを浮かべた。
「安心しろ。第三、第四のオロチが現れては、たまったものではないからな。更に念入りに破壊してやる」
 そう告げて。
 無数のナガクニの爆発によって繋がれた紫電の鎖で全身を締め上げられたドクター・オロチの体へと、パチン、と指を一つ鳴らすキリカ。
 指が鳴る音と共に、残された全部位を縛り上げていた紫電の鎖に凄まじい電流が走り、頭部を失い、内部からその体を食い荒らされても尚、その場に存在していたドクター・オロチの肉体とその生命力を紫電の鎖が喰らい、蝕み、そしてドクター・オロチの生命活動を完全に停止させていく。
 ふわり、と血霧と化していた零児が姿を現し、何気なく後ろを振り返ってみれば、ドクター・オロチは、灰一つ残らず存在そのものが消滅させられていた。
 オブリビオンの生命を蝕み、消滅させる神の力の残滓を持つ紫電の鎖を用いたキリカの腰まで届く程の長髪を、風が浚っていく。
 その涼風の意外な程の心地よさに軽く息をつきながら、ふう、と額を拭い、キリカが呟く。
「全く……何を企んでいるかは知らんが。一度死んだのならば、永遠に大人しくしていて欲しいものだ」
 キリカのその呟きに、存分にドクター・オロチの血肉と魂を喰らい、新たな自らの力へと結実させたルードが、愉快そうに鼻を鳴らした。
「まっ、何度でも復活するなら、その都度喰らってやれば良い。ただ……それだけだろ」
「……ああ。何度でも、骸の海へ送り返してやるだけさ」
 ペロリ、と舌舐めずりをしながら答えるルードに同意する様に、酷薄にも聞こえる声音で、敬輔が静かに首肯した。

 ――帝竜ドクター・オロチ。討伐……完了。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月20日


挿絵イラスト