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帝竜戦役㉑〜燃え盛る獣の王

#アックス&ウィザーズ #戦争 #帝竜戦役 #帝竜 #ガイオウガ #群竜大陸

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「次の帝竜がその姿を現したようじゃな」

 ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)は、そう切り出すと厳しい表情のまま続けた。

「敵は帝竜ガイオウガ……垓王牙、と書くらしいのじゃが。赤熱する火山に住んでおるのじゃが、火山と同等の巨体を誇るらしい」

 煮えたぎる溶岩が竜の形をした帝竜だという。全身から溶岩と『炎の獣』を放ち、踏みしめた大地を活発化させるその姿はまさに大地の化身とも言うべきか。火山という自然の脅威一つがそのまま竜の姿を得たような存在だ。

「巨大さはもちろん、この溶岩というのも厄介じゃ。溶岩の中で溶岩と戦う、そうそうない状況じゃろう」

 全身の火口から吹き出す火山弾や大地を消滅させる程の超高熱溶岩流、膨大な数のガイオウガに似た竜の姿を持った炎を操るなど、その姿はまさに意志を持つ火山噴火に等しい。本来であれば自然災害として受け入れるしか無いソレを相手に戦うのだ、生半可な方法では歯が立たない。

「いかにこの、自然災害のようなガイオウガの力に立ち向かうか? 全てはそこにかかっておる。あれだけのサイズとなれば先手を取られるのは必定。だからこそ、対処した上で攻略せねばならん」

 だが、とガングランの表情に絶望はない。

「……今まで戦ってきた帝竜もまた、ガイオウガに勝るとも劣らぬ脅威であったはずだ。それに対処し、戦ってきたおぬしらであればガイオウガ攻略の手段も見いだせるはずじゃ。何より、まだまだ本命である帝竜ヴァルギリオスは先……ここで躓く訳には行かんぞ、皆のもの」


波多野志郎
まさに大地の化身! 波多野志郎です。
今回は灼熱の火山地帯して、帝竜ガイオウガと戦っていただきます。

プレイングボーナスは、『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』というものになります。いかに溶岩と広範囲攻撃に対処するか、ユーベルコードやアイテム、技能の使い方が問われます。



それでは、灼熱の大地でお会いしましょう!
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第1章 ボス戦 『帝竜ガイオウガ』

POW   :    垓王牙炎弾
【全身の火口から吹き出す火山弾】が命中した対象を燃やす。放たれた【『炎の獣』に変身する】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    垓王牙溶岩流
自身の身体部位ひとつを【大地を消滅させる程の超高熱溶岩流】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    垓王牙炎操
レベル×1個の【ガイオウガに似た竜の姿】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。

イラスト:阿賀之上

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ルルチェリア・グレイブキーパー
≪絆≫
アドリブ歓迎

何よあれ?……まるで生きてる火山じゃない!すっごい大きいわ!
帝竜って規格外なのばっかりね……
でも大丈夫、私達ならどんな敵だって倒せるわよ!

それにしても火山地帯なだけあって暑いわね
幽霊の子達にもっと引っ付いて貰おう
この子達、なんだかひんやりしてるのよね

【第六感】と【野生の勘】で敵の放った炎の動きを予測して回避
回避が間に合わなかったら盾で防ぐ
シホが放った煙幕の中に反撃の機会が来るまで【目立たない】様に隠れる

シホのUCで私を強化して貰い
UC【お子様幽霊たちの海賊団】で空飛ぶ海賊船を召喚
さあ、反撃よ!空から一方的に撃ちまくるのよ!
口の中に氷属性の弾をお腹一杯になるまでご馳走するのよ!


シホ・エーデルワイス
≪絆≫
アドリブ歓迎

巨大さと煉獄と形容するに相応しい敵に内心震撼するも
ルルと一緒で<勇気>が湧いてくる

本当に…ルルの言う通り竜の形をした火山ね
規格外過ぎて「竜=爬虫類」の概念が崩れます
ええ
常に強者が勝つとは限らない事を思い知らせましょう!


炎は聖銃を<早業で氷&幻惑属性攻撃の精霊弾を撃って迎撃し
着弾時に発生する目潰しの水蒸気煙幕で目立たない状態になり時間稼ぎ>

溶岩地帯は<火炎・環境・地形耐性のオーラ防御>

ルルが危なければ<かばう>
私の負傷はUCで霊体になる為問題無し

準備完了後
【霊装】でルルに憑依

憑依中は氷<属性攻撃の能力を付与し
第六感と聞き耳で敵の様子を情報収集し学習力で分析
適時助言しルルを鼓舞>


ベアータ・ベルトット
バレッタと

火山弾に炎の獣か…やれやれ、暑苦しい上に喰い出が無さそうな事ね
バレッタが展開した障壁術式に守られている間に、血肉を補給。餓獣機関の機能を活性化させておく
サンキューねバレッタ。それじゃ、反撃といこうかしら
帝竜目指し、ブーストダッシュで駆ける

そっちが炎の獣を嗾けるなら、こっちは水の獣で迎え撃つまで
機腕からBrutal Fluidを大量放出して消火
なおも耐えたら液を剣状に硬化させて完全に消し去ってやる

体勢を崩させる為、敵の脚部を狙って機腕銃の弾丸を乱れ撃ち
へぇ…その拳イケてんじゃないのバレッタ。さぁ、同時に決めるわよ
眼帯を取り去り、BEAを発動
敵の腹を目掛けて、獣の舌を叩きつけてやるわ!


バレッタ・カノン
ベアータと

ベアータが補給をしている間「障壁術式内蔵ユニット」の【オーラ防御】で初撃の火山弾と火炎を防ぐ
奴の火炎攻撃は長くなるかもしれない
「ホムンクルス」を命の代替に消費して生命力を温存し耐える

ベアータ!まだか!?
あまり長くはもたないぞ!!

敵の攻撃の隙を見てUC鉄拳制裁で落下した火山弾を腕に装着
自動車ではないが十分な質量と強度はあるだろう
ベアータと共に一気に敵へ接近

火山弾で質量を増大させた拳で【怪力】の一撃を与える
タイミングはベアータのUCと同時だ
皮の薄そうな腹を狙う

攻撃後は速やかに離脱
離脱しつつ腕に装着した火山弾を解除
さらに火山弾をダメ押しで【投擲】

土産だ
とっておけ

掛け合い等のアドリブ大歓迎


烏丸・都留
SPDアドリブ共闘OK

「恒星上でも活動可能だけど魔法的耐熱強化も必要かしら……」

UCで機動力70倍、攻撃回数9倍強化、自分や味方攻撃時完全治癒

基本は多数のクラスタードデコイ等の陽動迎撃
リレイで任意装備の効果範囲延長
其れ等を隠蔽状態CIC内で超遠隔から管理運用

多数のアサルトユニット
αの超遠距離からの狙撃で防御能力弱体化
βの魔法で耐熱超強化及び援護や防御、結界
γの隠密攻撃や支援


UC対抗:
多数のガードユニットやアイテールの護衛隊で、攻撃を全て攻性防御/防護

器物能力と複数魔杖機型アサルトユニットβでの結界能力:リストリクション・フィールドで、戦闘範囲内の任意対象のエネルギーを減殺する結界を形成弱体化


草野・千秋
まるで火山みたいなエネルギーの塊ですね
なんという大きさ、なんという巨悪でしょう
今までこの竜は数多くの命を屠ってきたのでしょうね
ですがこの戦ではそんなこと許しはしない!

溶岩は空中戦、UC【Fly me to the Moon】で撹乱しつつ飛び交い避けて
第六感、戦闘知識、視力で見切り回避
盾受けと武器改造で氷の属性攻撃を付与したヒーローソードで武器受け
武器受けしている間はなんとしてでも怪力で踏みとどまる

敵攻撃の第一波が静まったようなら攻勢に転ずる
武器改造、属性攻撃でまた氷を付与し
怪力、2回攻撃で一気に攻撃を斬り伏せ叩き込む
攻撃が当たるようなら武器受け、盾受け、激痛耐性で耐える


天道・あや
相手は自然災害のような存在。……火山だからって訳じゃないけど、……燃えてきた!あたしの想いが災害の中でも突き通せるか、試してみたくなってきた!というわけで、帝竜さん!勝負!!

敵から放たれる炎、…避けるのは全部は無理かもだけど、でも!軌道を読めば、そこそこ、避けられる筈!【見切り】ながら【ダッシュ、足場習熟】で避けて、そして帝竜へと突っ込んでいく!

途中、追ってきたり、避けられない炎が来ても、止まらず、突っ込む!ここで怖じ気ちゃったら……何も出来ないから!【激痛耐性、火炎耐性、限界突破】

そして接近出来たら【ジャンプ】!

帝竜ガイオウガ!これが、あたしの想いの乗った、重い一撃だ!【鎧砕き、属性攻撃雷】


黒鋼・ひらり
あぁもぉ!こんな地形じゃ周囲に磁性体もなさそうだわあいつ自身も磁力あんまり効かなさそうだわでうっとおしいわね!

ま、ぼやいても仕方ない…自前でやりくりするしかないか…
斧槍や投剣を『武器庫』から次々転送し火山弾を迎撃、遠間から撃ち落とせない分は鋼鉄板を遮るようにして転送し盾にしたり、鋼鉄板そのものを足場にギミックシューズの跳躍で避ける
命中すると燃えるって事は直に触るのは拙い…兎に角直撃だけは避けるわ

武器に当たった分の『炎の獣』は生まれるだろうけど、直接燃やされない限り問題ない…炎は、磁力の影響を受ける!
初撃さえ凌げばこちらの番…磁力展開し炎の獣を吹き散らしつつ突撃
UC…渾身の鎖鉄球でぶっ潰すわよ!


御剣・刀也
炎そのものみたいな竜だな
だが形を成している以上、斬れない相手じゃない
お前の炎が俺の闘志を焼き尽くすかどうか、一つ勝負と行こうか

垓王牙炎弾は、全身の至る所から発射されるので、第六感、見切り、残像で避けつつ、勇気で恐れず、ダッシュで飛び込んで、捨て身の一撃で斬り捨てる
途中、自分に被弾しそうな火山弾は武器受けで獅子吼で斬り捨てるか、弾きながら、一気に間合いを詰める
火口の近くだと、打ち出した際の溶岩などでダメージを食らうと思うで、なるべく火口から離れたところを狙う
「ははは!炎の竜に恥じない名前だな!俺の闘志を焼き尽くせるもんなら、焼き尽くしてみろ!」


霑国・永一
生きる活性火山、大地そのもの。喩えるものが絶大なものばかりになるなぁ。
自然という天災に真っ向から挑むのは俺の好みじゃあないな。そんな訳だから任せるよ、《俺》
『うるせぇよ!壊し甲斐あるもんなら全部俺様にやらせろやッ!』

先制攻撃に対し、UC使用可能なら狂気の戦鬼での高速移動での退避、衝撃波をぶつけての相殺、衝撃波で溶岩流の通り道を作って逸らすなどで迫りくる溶岩流に対処をする。使用不可であれば、障害物を盾に出来るような逃げ道で退避していく

無論その後はなるべく敵の上の位置を取るように意識し、衝撃波を腹などやわらかそうな場所を狙って撃ち込みまくる
『イヤッホーーゥ!熱すぎてたまんねーな!ハハハハッ!』


黒城・魅夜
ふふ、牙の王ですか、面白い
私もまたダンピールとして牙には多少の自負があります
では王様とやらにこの牙、味わっていただきましょうか

火山弾は命中した対象を燃やすもの
ならば早業・範囲攻撃で大地を砕き無数の瓦礫を舞い上がらせましょう
そう、火山弾が最初に命中するのはその瓦礫
その時点でもう炎上能力は使ってしまうのですから私に被害は及びません
もっとも炎上せずとも物理的に押しつぶされる危険はありますから
見切りと第六感で回避しつつオーラを張って軌道を逸らします
炎の獣たちは誘惑・精神攻撃を使い残像へ誘導しましょう

間合いを詰めてUCを発動
牙を叩きこみ魂ごと撃ち抜きます
先ほどお約束した私の牙の味、いかがですか?ふふふ


忠海・雷火
弾の軌道は放物線とみて、着弾予想地点を避け移動。利用出来る岩場等があれば、必要な際に盾として使う
炎獣が来る迄に可能な限りの死霊を召喚
動きは概ね姿に準ずると推定。対人外型の戦闘知識で、動きを見切り回避や武器受け。間に合わない時は死霊を盾に凌ぐ
獣が集まり空間が過密になれば、周囲の獣の脚を薙払い
動きを鈍らせた上で、他の獣にとっても邪魔になるよう位置を調整
それらの行動を繰り返し、隙を見て突破
ダメージは火炎・激痛耐性で軽減

垓王牙の足指に対しUC発動、内から破壊
無事な方の脚へ体重を掛けようとした所を見計らい、その脚の膝へ再度UCを使用する二回攻撃
これだけ体勢を崩せば、他の猟兵にとっても大きな隙になるだろう


篝・倫太郎
【華禱】
※他の猟兵との共闘歓迎

圧倒的な力を持つ敵なんてな
これまでの戦争で散々出逢ってきたしな
いつも通り、行こう

先制対応
環境耐性で戦場の環境には対応
視力を用いた見切りと残像で
着弾の直前に退いて直撃は避ける
余波はオーラ防御で防ぎ
炎に対しては火炎耐性と激痛耐性で凌ぐ
以降の攻撃にも同様に対処

先制を防いだら反撃と行こうじゃねぇの
防御力強化に篝火使用

華焔刀で敵の攻撃はなぎ払い、可能なら受け流す
攻撃には常に鎧無視攻撃と生命力吸収を乗せてく
戦闘中の敵の動きは常に注意し
攻撃の癖がある場合は周囲に注意喚起と情報共有

出来るだけ派手に立ち回って陽動

焔は焼き尽くすだけじゃなく
浄化と昇華も得意とするんだぜ?
覚えとくと良い


月舘・夜彦
【華禱】
※他の猟兵との共闘可

王の名を持つ竜となれば一筋縄ではいきません
ですが私達もただオブリビオンと戦ってきたのではなく
様々な世界で、多種多様の力を持つ者と戦ってきた
今こそ積み上げた経験を活かす時です

先制対応
視力にて周囲の地形を確認して情報収集
壁になる岩があれば活かし割れた地形は避ける
倫太郎殿と情報共有し配置に注意

火山弾は視力にて大きさ、落下速度を確認
鎧無視にて火山弾を斬った後、鎧砕きにて砕き
炎の獣を作らせないよう衝撃波となぎ払いにて火を払う
巨大なものは衝撃波にて軌道を逸らし残像・見切りより躱す

先制攻撃後は速やかに敵に接近
早業の抜刀術『静風』、2回攻撃・鎧砕きにて反撃
生命力吸収も併せ体力を回復



●垓王牙

 遠く、地響きが聞こえる。いくつもの火山が遠くに覗く灼熱の荒野――そのはずだった。しかし、その火山の一つが明確な意志を持って動いているのをその地を訪れた猟兵達は目撃した。

「何よあれ? ……まるで生きてる火山じゃない! すっごい大きいわ!」

 ルルチェリア・グレイブキーパー(墓守のルル・f09202)の驚きの声は、その光景を見た者の想いを代弁していた。身震いしてしまうのも、あまりの熱さに幽霊の子達に引っ付いてもらって冷えすぎただけではないはずだ。

 帝竜ガイオウガ――その巨大さを前に、ルルチェリアの隣でシホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)も息を飲む。

「本当に……ルルの言う通り竜の形をした火山ね。規格外過ぎて「竜=爬虫類」の概念が崩れます」
「帝竜って規格外なのばっかりね……でも大丈夫、私達ならどんな敵だって倒せるわよ!」
「ええ。常に強者が勝つとは限らない事を思い知らせましょう!」

 そんな二人のやり取りを聞きながら、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)も華焔刀 [ 凪 ]を肩に担ぐように構え、笑った。仲間にも気負いはない、その事がわかったからだ。

「圧倒的な力を持つ敵なんてな、これまでの戦争で散々出逢ってきたしな。いつも通り、行こう」
「ええ、確かに王の名を持つ竜となれば一筋縄ではいきません。ですが私達もただオブリビオンと戦ってきたのではなく、様々な世界で、多種多様の力を持つ者と戦ってきた。今こそ積み上げた経験を活かす時です」

 月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)も、いつも通りの穏やかな表情でうなずいた。このアックス&ウィザーズにおける帝竜戦役だけではない、いくつもの世界を渡り歩き戦ってきた自覚と経験が彼等に教えてくれるのだ。

 自分達は強くなっている――もはや、あの帝竜でさえ刃の届かない相手ではない、と。

 ――オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ、オオン……。

 ガイオウガの咆哮が、山鳴りのように響く。こちらに気付いたのだろう、その灼熱の視線が自分達に注がれるのを感じて黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)が微笑んだ。

「ふふ、牙の王ですか、面白い。私もまたダンピールとして牙には多少の自負があります。では王様とやらにこの牙、味わっていただきましょうか」

 その時だ、ドォ!! と帝竜ガイオウガのいる方向で爆音が轟いた。その全身の火口から、白熱色の軌跡がいくつも打ち上げられる――垓王牙炎弾による、火山弾が一斉に吹き出した。光景――いや、風景と言うべきか。火山噴火という圧倒的自然災害が巻き起こったのだ。

 自身が立つ大地さえ揺るがすガイオウガの力の一端を目の前に、しかし草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)は怯まずに言った。

「まるで火山みたいなエネルギーの塊ですね。なんという大きさ、なんという巨悪でしょう。今までこの竜は数多くの命を屠ってきたのでしょうね、ですがこの戦ではそんなこと許しはしない!」
「炎そのものみたいな竜だな。だが形を成している以上、斬れない相手じゃない。お前の炎が俺の闘志を焼き尽くすかどうか、一つ勝負と行こうか」

 獅子吼を抜き、御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は見上げる。ボッボッボッ、と空を覆う赤黒い暗雲を撃ち抜き落下してくる火山弾が、戦いの始まりを高らかに告げた。

●まさに自然に立ち向かうがごとく

「恒星上でも活動可能だけど魔法的耐熱強化も必要かしら……」

 烏丸・都留(ヤドリガミの傭兵メディック・f12904)の呟きは、その規模の凄まじさを言い表していた。宇宙を渡るために製造された生体型宇宙戦艦の烏丸型強襲揚陸艦二番艦鶴丸――現在の全長10325m、全幅1015m〜1715m、全高1120mというその規格外のサイズを誇る宇宙渡る船でさえ、帝竜ガイオウガの生み出す環境を生温いなど言えなかった。

「あぁもぉ! こんな地形じゃ周囲に磁性体もなさそうだわあいつ自身も磁力あんまり効かなさそうだわでうっとおしいわね!」

 磁力操作を誇る黒鋼・ひらり(鐵の彗星・f18062)も、そう忌々しげに呟く。磁力の弱点の一つは、熱だ。この火山の中のような熱は磁力にとっては、まさに致命的と言えた。
「クラスタード・デコイ展開。アサルトユニットβ結界展開」
「障壁展開」

 都留の命令と共にアサルトユニットβが魔法結界を、バレッタ・カノン(バレットガール・f11818)が障壁術式内蔵ユニットによってオーラによる障壁を展開した。落ちてきた火山弾が、結界と障壁を打つ。まるで上から踏みつけられたような衝撃、内蔵ユニットが悲鳴を上げるのを感じながら、バレッタは振り返らずに言った。

「ベアータ! まだか!? あまり長くはもたないぞ!!」
「サンキューねバレッタ。それじゃ、反撃といこうかしら」

 その背後で血肉を補給して、餓獣機関BB10を起動させたベアータ・ベルトット(餓獣機関BB10・f05212)が駆け出した。体を揺するガイオウガはすぐ近くに見えるが、実際はかなり遠い。このままでは、圧倒的火力と射程距離で圧倒されるだけだ。

「火山弾に炎の獣か…やれやれ、暑苦しい上に喰い出が無さそうな事ね」

 結界と障壁で崩れた火山弾から、炎の獣達がその姿を現す。ベアータは即座に機腕からBrutal Fluidを大量放出した。ジュ! と火勢が押し返されるが、炎の獣のいくつかが消えるだけで、多くが強引に突破する。

「相手は自然災害のような存在。……火山だからって訳じゃないけど、……燃えてきた! あたしの想いが災害の中でも突き通せるか、試してみたくなってきた! というわけで、帝竜さん! 勝負!!」

 その炎の獣達を跳躍一番飛び越えたのは、天道・あや(未来照らす一番星!・f12190)だ。真っ直ぐとガイオウガへと――その疾走は、止まらない!

「生きる活性火山、大地そのもの。喩えるものが絶大なものばかりになるなぁ。自然という天災に真っ向から挑むのは俺の好みじゃあないな。そんな訳だから任せるよ、《俺》」

 ため息混じりに、霑国・永一(盗みの名SAN値・f01542)が俯く。炎の獣の一体が、永一に牙を剥いた。食らいつく、その寸前で――ドン! と炎の獣が砕け散った。

『うるせぇよ! 壊し甲斐あるもんなら全部俺様にやらせろやッ!』

 盗み纏う狂気の戦鬼(スチールオウガ)、粗暴な戦闘狂の人格が高速移動によって生み出した衝撃波が炎の獣達を粉砕していく。形のないものなど、盗む価値さえない――ただ、喜々として破壊するのみだ。

「ま、ぼやいても仕方ない……自前でやりくりするしかないか……」

 ひらりが、兵装転送機構【MAGIC BOX】から転送した投剣【アステロイズ】を投擲し、今だ降り注ごうとしていた火山弾を打ち砕く。火山弾の雨に傘代わりに鋼鉄板『グレートウォール』を構えて、ひらりも走り出した。

「頼む」

 忠海・雷火(襲の氷炎・f03441)が呼び出した死霊と共に、駆け出した。距離、角度、描く放射線――それらを計算すれば、比較的安全なルートを割り出す事は不可能ではない。不可能ではないが、それを可能にしたのは事前に予測して準備を整えていたからこそだ。

 それでも、全てを回避はできない。迫る炎の獣達を死霊とブラック・オパールが抑え、その隙に雷火の銘なき刀が獣達を薙ぎ払っていく。

「ははっ! 雑魚とはいえ、斬り甲斐は少しはあるか!」

 そして、獅子吼を振るい刀也を駆ける。肺を焼きそうなほどの熱気が、今はいっそ心地が良い。それよりも熱く滾る強敵を前にした興奮があるからだ。

「ルル」
「うん」

 【聖銃】ピアと【聖銃】トリップの十字を描くマズルフラッシュ。シホが落ちてくる火山弾を撃ち落とし、背中合わせでルルチェリアはうなずく。距離がまだありすぎる、二人は互いの死角を補完しあいながら岩陰に隠れて先へと進んだ。

「――ッ」

 鋭い呼気と共に、魅夜は先端に鈎の付いた鎖で地面を砕く! そして生まれた瓦礫を念動力で飛ばし、降ってくる火山弾を迎撃していった。

「ふふ、遅いですよ」

 着弾と共に現れるはずの炎の獣は、瓦礫に当たって生まれ空中から落ちてくる。降りてくる頃には、魅夜はそこにはいない。確実かつ、正確に――時折前に降りてくる獣を鎖によって振り払いながら魅夜は走る。

「倫太郎殿」
「おうよ!」

 夜禱の斬撃で火山弾を鋭く切り裂いた夜彦に答え、倫太郎が華焔刀で炎を振り払った。炎の獣が生まれるよりも早く夜彦が破壊し、倫太郎が更に道を切り払っていく。指示も視線をあわせる必要もない、相手の気配が動くのを感じれば阿吽の呼吸で合わせて先へと進むのみだ。

「あの夜空へ、今!」

 Fly me to the Moonによって千秋が飛び立つ! 落ちる流星と昇る流星、千秋はmurus lamentariusによって火山弾を受け止め、冷気を帯びたgladius damanatoriusによって生まれた炎の獣を断ち切った。

「アサルトユニットα、一斉掃射」

 そして、地上と空で先へ進む仲間の援護も兼ねて、都留はアサルトユニットα達のよる狙撃をガイオウガへと放っていく。着弾しているのだろう、爆発が見えない程の遠くでガイオウガが身をゆすり動き始めた。

 それは、まさに自然に立ち向かうがごとく帝竜ガイオウガへと猟兵達は挑んでいった……。

●自然を制す者達

 ――オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ、オオン……。

 近づけば、その咆哮はもはや衝撃そのものだ。ビリビリと震える大気。腹の底まで響く声。

「色々と遠近感がおかしくなる」
「いやー、これただの山だよね! もうどこがどこの部位かわからないや!」

 呆れ半分の雷火の呟きに、いっそ開き直ったようにあやが笑う。距離が百メートルを切れば、もう全体像など把握できなかった。それほど巨大で、そのガイオウガの巨躯から流れる溶岩流も灼熱の川にしか見えない。

 この火山をいかに切り崩すか、その決め手に欠けていた。

『ハーハハハハハハハ! 昇るか、いっそ昇ってやっか!?』
「いっそその方が速いかもなぁ」

 哄笑する永一に、刀也もその選択肢を考え始めたその頃だ。ゴウン! とガイオウガの近くで轟音が轟いた――そこにいたのは、鉄拳制裁(バルクスマッシュ)によって落下した火山弾を腕に装着したバレッタだった。

「自動車ではないが十分な質量と強度はあるだろう」
「へぇ……その拳イケてんじゃないのバレッタ。さぁ、同時に決めるわよ」

 バレッタとベアータが、同時に駆け出す。その意図に気付いて、雷火も走り出した。

「なるほど、私も乗る」

 ガガガガガガガガガガガガガガッ! とベアータの機腕銃の弾丸がガイオウガの脚に着弾していく。その弾丸に合わせ、雷火がガイオウガの足の指へ刻印を向けた。

「我が身に宿る餓犬よ。血道を辿り、内より喰い散らせ」

 連結召喚・餓犬之蝕――雷火の刻印から放たれた術式誘導用の血針が指へ命中。しばし後、内側からガリガリガリガリガリ!! と刻印内UDCが敵体内へ転移し、喰い破る!

 ――オオオ、オオオオオオオオオオオオオオ――!

 その時、初めてガイオウガの巨体が揺らいだ。駄目押しとばかりに、永一が跳んだ。

『イヤッホーーゥ! 熱すぎてたまんねーな! ハハハハッ!』

 衝撃波が、ガイオウガの腹部を抉っていく。グラリ、とガイオウガの巨体が傾くと、バレッタとベアータが同時に動いた。

「餌食と為れ」

 ベアータのBugbear's Eye A-type(バグベアズ・アイ)によって右眼の特殊義眼から伸ばす命喰らう獣の舌が腹部を喰らい、バレッタの火山岩の拳が豪快に殴打する! ズン……! とガイオウガの巨体が地面に倒れ――その瞬間、バレッタが火山弾を振りかぶった。

「土産だ、とっておけ」

 ドォ! と割れた腹部に火山弾が投げ込まれ、血の代わりに溶岩が溢れ出す。ガイオウガが地震を起こしながら起き上がろうとする刹那、ルルチェリアとシホが岩陰で唱えた。

「ロイヤル・ルルチェリア号発進よ! キリキリ働きなさい!」
「この身は剣、この身は鎧、この身は翼、あなたに祝福を」

 ルルチェリアのお子様幽霊たちの海賊団(ゴーストキッズパイレーツ)がラッパの音を響かせ、シホの【霊装】高潔なる勇気の聖霊(レイソウ・エーデルワイスノセイレイ)によってオラトリオの翼を広げ飛び立った。まさに二人の力を合わせて喚び出した、空飛ぶ翼に祝福されし海賊船だ。

 ――オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ……。

 ガイオウガが、翼を広げて頭上を取った海賊船にその口を開く。垓王牙炎操――炎の吐息を放とうとした口へ、ルルチェリアは待ってましたと号令した。

「さあ、反撃よ! 空から一方的に撃ちまくるのよ! 口の中に氷属性の弾をお腹一杯になるまでご馳走するのよ!」
『あいあいさー!』

 子供の幽霊達が撃ち込むカルバリン砲に、憑依したシホがルルチェリアを鼓舞する。

『効いてるわ、撃ち続けて』
「もちろん!」

 撃ち込まれながら、強引にガイオウガが立ち上がる。幽霊船を尾で叩き落とそうとするが、それを都留のクラスタード・デコイの牽制が許さない。

「今よ」

 都留の呟きに、ステルスアサルトユニットΓに乗って隠密しながら頭上を取った刀也が言い放った。

「ははは! 炎の竜に恥じない名前だな! 俺の闘志を焼き尽くせるもんなら、焼き尽くしてみろ!」

 ステルスアサルトユニットΓから、刀也が飛び降りる。大上段に振りかぶった獅子吼に全身全霊を乗せ、牙の王と修羅が同時に吼えた。

 ――オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
「この切っ先に一擲をなして乾坤を賭せん!!」

 刀也の雲耀の太刀の一閃が、ガイオウガの眉間を切り裂く! ドォ……! と吹き上がる溶岩、大きくのけぞったガイオウガの足元へひらりが駆け込んだ。

「さんざんやってくれたわね、こっちの番よ!」

 炎が裂かれ、ひらりの前に『道』が生まれる。炎とは分子の加速状態が巻き起こす熱源が根本にある――それは磁力の操作の範囲内だ。だからこそ渾身の磁力で道を切り開き、ひらりは渾身を持って巨大鉄球【グレートコメット】をガイオウガの足へと投げつけた。

 その着弾と同時、足元の地面が砕け散る! ひらりのグラウンドクラッシャーによる一撃に、ガイオウガが再び巨体を傾け――。

「倒れ、ろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 ヒュオ!! と上空から高速で舞い降りた千秋のgladius damanatoriusによる十字斬りが、ガイオウガを地面へと叩きつける! それでもなおもがくガイオウガは、尾を振り上げた。それだけで小さな丘に匹敵するサイズだ――尾を薙ぎ払い、猟兵達を牽制しようというのだろう。しかし、その尾が戻ってくる前に倫太郎が動いていた。

「祓い、喰らい、砕く、カミの力」

 倫太郎の篝火による災魔を祓う焔の神力が、尾を絡め取る。炎と焔、絡み合うように尾を抑え――そこに一瞬の停滞を生む。

「やれ!」
「狙うは、刹那」

 尾の動きが止まるのは一瞬。しかし、一瞬で十分だった。夜彦の抜刀術『静風』による増強された戦闘能力を増した居合一閃が、ガイオウガの尾を斬り飛ばす! そして、宙を舞った尾が、焔によって浄化されかき消えていった。それを見届け、倫太郎が囁く。

「焔は焼き尽くすだけじゃなく、浄化と昇華も得意とするんだぜ? 覚えとくと良い」

 尾による反撃が、封じられた。あやはジャンプ一番、ガイオウガの真上へ跳んだ。

「帝竜ガイオウガ! これが、あたしの想いの乗った、重い一撃だ!」

 あやの跳躍からの急降下パンチが、ガイオウガに突き刺さる。バキ、バキバキバキ……! とあやの一撃によって度重なる攻撃にもろくなっていたガイオウガの岩の外皮を砕いていき――ドン! と大きな噴火となって溶岩が吹き出した。

 ――お、おお、おおおおおおおおおおおおおおお、お……。

 溶岩から吹き出す炎が、ガイオウガに似た竜の姿となってもがく。その炎の竜へ、魅夜が迫った。

「穿ち抜け無情の牙、身も心も運命さえも貫き通す欲望の輝きよ」

 魅夜の肉体と魂の双方を穿ち破壊する牙による一撃が、炎の竜ごとガイオウガへ食らいつく。内側から砕けていく牙の名を持つ帝竜へ、魅夜は微笑んだ。

「先ほどお約束した私の牙の味、いかがですか? ふふふ」

 答えはない。しかし、それこそが答えとなる。ガイオウガの熱を帯びていた体が、黒く黒く染まっていく。それは溶岩が冷えて固まっていくのによく似ていた。

 帝竜ガイオウガ、生きた活火山が死火山へと変わっていく。それは、彼等が自然を制した、戦いの終わりを意味していた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月20日


挿絵イラスト