帝竜戦役⑰〜『喪失』を恐れるモノ
●約束の地
「なにも持たなければ失うことを恐れることはありません。誰もいなければ喪うこともありません。皆、常に一人なのです」
美しい草原に佇む一つの影。その周りにいるのは紅く染まった生き物だけ。人の姿は他になく、たった独りでそこにいる。
「平穏とは常に独りでいること……」
失いたくないなら独りでいればいい。それがこのオブリビオンの出した哀しい答え。
●グリモアベースにて
「皆様、新たな戦場が発見されました」
グリモアベースで猟兵たちを出迎えたアマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)の口から語られるのは新たな戦場の発見。
「今回発見されたのは『約束の地』。美しい草原ですが、群竜大陸で最も危険なエリアのひとつです。全ての草花が強烈な『喪失の恐怖』を放ち、それに負けたもの、自らの心にそれがある事を認めないものに寄生し『力ある苗床』とします。出現する敵は全て『苗床化』し凶悪な戦闘力を得ています」
喪失の恐怖。何かを失うかもしれない、失いたくない、そんな感情。この草原の草花はそれを認めぬものを許さない。
「この草花に対抗するには恐怖を認め、それを克服するしかないでしょう。何かを失い、別れるのは辛い事ですが目を背けてはいけないということです」
その恐怖に対抗してこそ活路が開ける。対抗できなければ苗床の一つとなるだけだろう。
「今回の戦場は酷く辛いものになるでしょう。ですが当機は皆様の無事を願っております。どうかご武運を」
こうしてカーテシーと共に猟兵たちの転移が開始された。
灰色幽霊
どうも、灰色幽霊です。
財布とスマホを失くすのが一番怖いです。
といわけで今回は『恐怖』を認め、それを克服することでプレイングボーナスが発生します。何を喪失する恐怖なのか、どうやって対抗するのか、それは皆様それぞれでしょう。思い思いプレイングにお書きください。
今回のドロップアイテムは『約束の花』。触れた者の『思い』を吸収し増幅した上で次に触れた者に感染する、おそるべき『感情汚染植物』です。告白に使えば相手を奴隷化しかねない危険な代物ですが、一房金貨1200枚で売れるそうです。
見つけたら拾ってみてもいいかもしれません。
注意事項などはMSページをご覧ください。
それでは皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『ラグーナ』
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POW : 灼熱の魔法陣
【手の平に書かれた魔方陣から放つ炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【魔方陣の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : 奴隷達よ働きなさい
自身の【血液】を代償に、【洗脳した生物】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【怪力】で戦う。
WIZ : 許さねえぞ!!!
【怒り】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
👑8
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「カナ・リーアス」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
黒髪・名捨
●『喪失の恐怖』
記憶…だな。
…また記憶を失うのは勘弁…あッ(草花に触れて)
オレが本当に恐れている喪失…違う…ただ失うんじゃない?
元の記憶を戻った時…『黒髪・名捨』そのものが『元のオレ』に塗りつぶされて消える…。それが真の恐怖?
いやッ!!
元凶の草花を『踏みつけ』アーラーワルで手を『串刺し』にする。
『激痛耐性』越しに感じるこの痛み。これが今…黒髪・名捨。いつか消えるかもしれないオレだとしても『勇気』を持って今は前に!!
●戦闘
ブラックガイストを発動。
攻撃を紙一重に『見切り』突き進む。
『封印を解く』とスティンガーでオブビリオンをかみ砕き『捕食』する。
今度は俺がお前に『恐怖を与える』(八つ当たり)
●二度は喪わせぬ
「……また記憶を失うのは勘弁…あッ」
黒髪・名捨(記憶を探して三千里・f27254)は約束の大地に生える草に触れ、喪失の恐怖が内より現れる。名捨が恐れているのは記憶の喪失。だがそれは他の者が思うそれとはほんの少しばかり違った。
「もう既にお前の記憶は喪われているのだろう?」
そう、名捨は既に記憶を失くしている。その上で記憶を探し続けているのが今の名捨。つまり元の記憶が戻れば消えてしまうことが既に決まっているのだ。名捨が感じているのはそのことに対する恐怖。元の自分となった時に黒髪・名捨という存在が消えることへの恐怖だった。
「ならば思い出さなければいい。喪われたものは喪われたままに―――」
「いやッ!」
名捨は足元に生える花を踏みつけ、自らの短槍で手を串刺しにする。痛みには慣れているとはいえ左手を貫く痛みは確かに今ここにある。それこそが黒髪・名捨という名の猟兵が今ここにいるという証だった。
「いつかは消えるオレだとしても! オレはオレの記憶を探す!」
例え自分が消えてしまっても、それでも名捨は自身の記憶が欲しい。どこの誰なのか、何をしていたのか、それを思い出したかった。それが例えどんな記憶であろうとも。
口元を覆う『魔殺の帯』を引きちぎり、露になる裂けた口とその中に隠された『スティンガー』。これもいつからあったのかはわからない。だが今は先へ進むために使う。
「残念だ……」
ラグーナの手の平に描かれた魔法陣から放たれる炎。名捨はそれを紙一重で躱し、ラグーナの元へ。大きく開かれた口でラグーナの肩に喰らいつく。
「今度はお前が恐怖を感じる番だ」
喰らいついた口は肩の肉を食いちぎり、ラグーナへ死の恐怖を刻み付ける。
成功
🔵🔵🔴
レーヌ・ジェルブロワ
アドリブや連携OKです
美しい草原は、歩いていて気持ちのよいものです。故郷には無いが故に、尚更。
本来ならば歓迎すべき草花ですが…此処のは、少々厄介ですね。
『恐怖』…懐かしい感情です。此は、わたしを顕現させるに至った、あの子の感情なのでしょう。母を喪う恐怖…
それでも、あの子は恐怖よりも優しい感情の方が強く、懸命に母の回復を祈った。それ故に命を得たのは、紛れもなくわたしなのですから。
敵にはメイスで殴りかかります。素早さにはあまり自信がありませんので、『ジャッジメント・クルセイド』で指先から光を出して攻撃しながら、陽動を行います。
巨大化した敵には、距離をとってユーベルコードで戦います。
●喪いたくないもの
草原を一人、レーヌ・ジェルブロワ(いやはての白薔薇・f27381)が歩く。故郷にはない美しい草原。例えこの草花が人々を陥れるモノであっても美しさに変わりはない。
「どうして恐怖から生まれたお前がここにいる」
「そう願われたからです」
そう、レーヌがこの世に生を受けたのはとある子の恐怖故だった。床に伏した母を失いたくないという恐怖。怖いからこそ子は母の回復を祈り白い薔薇を贈り続けた。それは確かに恐怖を感じたからかもしれないが同時に子の優しさでもあった。だからレーヌは恐怖だけで生まれたのではなく優しさもその身に宿して生を受けた。
「だから恐怖だけではないのです」
『メイス』を構え、レーヌはラグーナへと迫る。美しい草花を踏んでしまうのは心が痛むがそれでもレーヌはラグーナに証明しなければならなかった。レーヌが恐怖だけではなく、優しさからも生まれたのだと。
「結局は別れることを恐れているのです。別れとは恐怖そのもの……」
「確かに別れは怖いことです。ですがそれは相手を想うからこそ恐怖もそこにあるのです」
レーヌの攻撃がラグーナを掠める。元より武器を使った戦闘が得意ではないレーヌ。これはそれを自覚しているからこその次の一手への布石だった。
「貴女にそれを教えてあげましょう」
その言葉と共に向けられるレーヌの指先。同時に天から光が降り注ぎラグーナを浄化する。それはレーヌの発動した【ジャッジメント・クルセイド】の光だった。
「最初から一人ならば別れなどありはしない……」
「誰かと共にいることで知ることもあるのです」
子が母を想うように、別れとは悲しさだけではない。そこから先に繋がるなにかが必ずある。それを体現するレーヌだからこそラグーナの言い分は認められない。
「恐怖とは乗り越えるためにあるのです」
浄化の光はたった独りの哀しいモノを焼き尽くす。
成功
🔵🔵🔴
弦月・宵
独りになるのは一番怖い。
でも失うのが怖いから、ヒトと知り合うのも…怖い。
よく…よく知ってる感覚だ。
でも、オレは、旅団に来るかと言われたときに嬉しかった
嬉しかったんだ。ここにいるって実感がして、できる事があったら頑張ろうって力が出る
毎日が楽しい!
例えいつかなくなる時が来ても、
ずっと続く保証はないのだとしても、
その時に笑ってさよならが…できるように、大事にする。
自分から手放す事はしない!
戦闘は【UC:ゆるゆら】で、キラキラ光る鉱石を召喚する
日常も宝石も、大事に思うだけ輝くんだよ?
的が大きくなるなら好都合だ
浮雲で機動力と行動範囲を確保
増大して大振りになりそうな攻撃は徹底して避けつつ、
隙をうかがうよ!
●それは知っている
「……」
弦月・宵(マヨイゴ・f05409)はラグーナの言葉を聞いて昔を思い出していた。
独りになるのは怖い。だが失いたくないから誰かと知り合うのも怖い。その感覚を宵もよく知っていた。
かつて自身の家を、家族を失い独りぼっちになった。そこからまた失うのが怖くなり独りで生きていた。
「失うのが怖いのなら誰とも関わらなければいい……」
確かに誰とも関わらなければ失うこともないだろう。
「でも!」
だが宵は失う恐ろしさより素晴らしいものを知った。
「オレは一緒にって誘われたとき、嬉しかったんだ。ここにいるって実感がして、できる事があったら頑張ろうって力が出る」
それは猟兵として共に居るものたちの言葉。ずっと独りだった宵に声を掛けてくれたかけがえのない仲間たち。彼らのためならば宵はもっと頑張れる。そう思っていた。
「今は毎日が楽しい!」
「その楽しさはいつまでも続かない……いつかそれを失うときがくる」
そう、猟兵は常に命を賭けて戦っている。昨日隣にいた人が明日にはいなくなっているかもしれない。
「そうかもしれない……きっとそうなんだろう。でも……例えいつかなくなる時が来ても、ずっと続く保証はないのだとしても、その時に笑ってさよならが…できるように、大事にする。自分から手放す事はしない!」
それが今、宵が抱く決意。いつかなくなってしまうとしても無くなるまで大切にする。
「日常も宝石も、大事に思うだけで輝くんだよ?」
【ゆるりらゆらりや】により、召喚される宝石たち。その輝きも日常の輝きも、どちらも尊いものだと宵は知った。だからそれを護るために立ち上がるのだ。
「オレはそんな輝きを護る」
放たれた鉱物の結晶が煌びやかな輝きを放ち、独りぼっちのオブリビオンを貫いた。
成功
🔵🔵🔴
ノネ・ェメ
戦わず、戦わせない事を信条とするわたしにとっては、何よりもその可能性を失いたくない。
戦いを終わらす為に戦ったり、他に仕方がなくて戦ったり。そういった人は、無条件に制止を訴えるわたしを、呆れや憤りの目で見るかもしれない。怖いよ、そんなのやだなって気持ちはあるもん。
ましてや、存在するだけで悪影響を及ぼすオブリビオンは、倒す以外の解決なんて無い……。
そんなのさ。
そんなのわかんないんだよ? UDC-Pって存在も確認されてる。もうどんなオブリビオンがいるかはかわからないから。
それは希望。その可能性は失わない。
戦いの制止を訴え、止まらない者の動きを抑えます。
●自分の気持ち
「どうして戦うの?」
「哀しみをこれ以上広げないために……」
ノネ・ェメ(ο・f15208)の抱く疑問。何故猟兵とオブリビオンは戦わなければいけなのか。戦わず、戦わせない事を信条とするノネにとってはそこがずっと疑問だった。戦わなくてすむなら絶対その方がいい。そうノネは信じている。
だが大多数の猟兵はそう思っていない。何かを救うために、戦いを終わらせるために、仕方がなく、様々な理由で猟兵たちは戦っている。そんな彼らからすればノネの言葉は綺麗事でしかなく、ノネを見る視線には様々な感情が宿る。
それはいつだってノネにとって恐怖の塊だった。
―――オブリビオンは存在するだけで周囲に悪影響を及ぼし、倒す以外の解決なんてない。
それがこれまでの常識。だが、今は違う。悪影響を及ぼさないオブリビオンも確認はされている。もうどんなオブリビオンがいるかは誰にもわからない。わからないということは希望。可能性は0ではない。
「あなたとわたしが戦う理由なんてある?」
「お前が恐怖を抱かぬのなら」
「わたしはずっと怖いよ。こうやって可能性が失われるのがいつも怖い」
それこそがノネが抱き続ける恐怖。可能性を喪失すること。その怖さはずっとノネに付き纏っていた。
「あなたと戦うことがわたしの恐怖。だから戦うのは止めよう?」
だから今はその可能性を護るためここにいる。
「―――」
もしもラグーナがただのオブリビオンだったのならノネの声も届いたかもしれない。だが、今のラグーナは苗床に成り果てたオブリビオン。その身に宿る草花のため、恐怖を煽るためにラグーナは自らの意思と関係なく動き出す。
「……どうして」
戦いの制止を望むノネの声はラグーナに届いたが止められなかった。しかしノネはそれでもあきらめない。ノネの【〝音憩〟】により流れ出す数多の音色。
戦いの制止を願う歌。それが戦場に響く限りここに争いは起こらない。
成功
🔵🔵🔴
トール・テスカコアトル
「……」
あれ、無い?
ニギ=アラが無い?
「どこ?どこに!?」
探さないと!
焦燥がトールを縛る……此処でラグーナを倒さなきゃいけないのは分かってる
けど、あの石がないとトールはダメなんだ
「トールは……トールは……」
いつの間にかニギ=アラに頼り切ってた
「無い……見つからない……ぅぅ」
どうしよう
素のトールは臆病、泣き虫、役立たず
「逃げた方がまし……」
力の喪失――
「……でも」
逃げない、逃げたくない
「と、トール体は丈夫だしっ」
だって此処で逃げたら嘘になる
選んでくれた、期待を裏切っちゃう
「見ててねニギ=アラ……変身、なんてね」
不思議だ、石がないのに体が軽い……ほんとは変身出来てるみたい
「必殺!ブレイブパンチ!」
●勇気さえあれば
「……」
トール・テスカコアトル(ブレイブトール・f13707)は転移を終えて、違和感を覚える。ぽっかりと心に穴が開き、大切な物が無くなってしまったような感覚。
「どこ? どこに!?」
気がつけば肌身離さず持っていたはずの『一つの石「ニギ=アラ」』が無くなっていた。周囲を見渡してもそれらしいモノは落ちていない。焦燥がトールを縛り付ける。目の前のラグーナと戦わなければいけないことはわかっている。だが、そのためにもあの意思がなければトールは戦えない。
「トールは……トールは……」
いつの間にかトールはあの石に頼り切っていた。
「無い……見つからない……ぅぅ」
あの石がなければただのトールは臆病で、泣き虫で、役立たず。これではラグーナを倒せるはずがない。
「逃げたほうがまし……」
「戦いが怖いのならば最初から戦わなければいい……」
本当にそうだろうか? 逃げたほうがまし? 戦うのが怖いなら戦わない方がいい?
「……でも」
すぐにでも逃げ出しそうな震える脚に活を入れ、トールはラグーナへと向き直す。
「と、トール身体は丈夫だしっ」
ここで恐怖に負けて逃げればきっと全部が嘘になってしまう。石が選んでくれたこと、その肩にかかる期待が全て嘘に。
「見ててねニギ=アラ……変身、なんてね」
その手にまだ石はない。だから本当の変身はできないけどその言葉は勇気をくれる。
―――まるで本当に変身できているかのように。
「必殺! ブレイブパンチ!」
トールの拳がラグーナへと叩き込まれる。
その拳はいつの間にかスーツに覆われていた。石はなくなったのではなく、トール自身がそう思い込んでいただけ。勇気を出せばいつだって石はそこに在る。
少女の手には再び神秘の結晶が握られていた。
大成功
🔵🔵🔵
宮落・ライア
何を失うのが怖い?友?時間?力?
ボクは……。
私は、人としての感情。人間性を失うのが怖い。
誰かを思う心。誰かに思われていると感じる心。
それを失うのが怖い。だって、それを失くしてしまったらきっと私は
怪物になってしまうから。
だから、私は口にする。
私は人間だ。私は普通の人間だって。
それを口にするのをやめてしまったら、自分に言い聞かせる事をやめたら
きっと怪物に向かってしまうから。
まだ、私はそれを口に出来る。これからもそれを口にする。
失いたくないから。それを失うのが怖いから。
魔法陣から放たれる炎は大剣を怪力で投げて相殺。
ダッシュで一気に近づき袈裟切りにする
●私は○○だから
「お前は何を失うのが怖い……」
「ボクは……」
宮落・ライア(ノゾム者・f05053)が失くしたくないモノ。
それは共に歩む友でも、これまで歩んできた、これから歩む時間でも、今この身に宿る力でもない。人としての感情。人間性を失うことがライアにとっては最も恐ろしい事だった。
誰かを想う心。誰かに思われていると感じる心。それを失うのが怖い。きっとその心がないモノは怪物と呼ばれるのだろう。
「心を失いたくないのなら心を無くせばいい。最初からなければそこに恐怖はない」
本当にそうだろうか? それでいいのだろうか? それがライアのノゾムモノなのだろうか?
「それは違う。心を失いたくないんじゃない。私は人間でいたいんだ」
だからライアは自分に言い聞かせるように自分は人間だと言い続ける。それを口にするのを止めてしまったらきっと戻れない怪物への道を進んでしまうから。
それを言い続けられる今はまだ自分が人間だと自覚できる。これからもそう言い続ける。心を失いたくないから。人間であることを失うのが怖いから。
まだこれから先も人間として歩んでいきたいから。
「心を無くせばそんな事も思うことも無くなる」
向けられたラグーナの手の平から放たれる炎。それは真っ直ぐにライアへと迫る。
確かに心を無くせば今感じている恐怖はなくなるかもしれない。だがそれはもうライアのノゾムモノではない。
「そんなことを思うから人間なんだ!」
火球へライアはその手に握る『骨肉の剣』を投げつけ相殺し、その爆発に紛れライアは一気にラグーナの懐へと潜り込む。
「恐怖を抱いているから私は人間だ。まだ私は人間だ!」
振り下ろされた刀の一刀がラグーナを袈裟に斬り捨てる。自らがノゾム者であるために。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
『喪失』の恐怖
敵と戦う際、民間人を守り救助する際、己が判断を誤り『命』を失ってしまうのではないかという『それ』
己の責任で自らが破壊されることは潔く認めても、他者の命の喪失は騎士として悔やみに悔やみきれません
それを恐れ、電子頭脳の裡で状況の最適解を永遠に模索し続ける程に…
いいえ、状況は待ちはしません
対処すべきは己が裡でなく、目の前の現実に
最適解を求め続ける電子演算を切り上げ、己の騎士道に従いただ前へ
それに、ここには心強い味方が大勢いるではありませんか
UCで向上した機動力と●防具改造で耐熱処理を施した盾で仲間を●かばい、敵の挙動を分析
見出した隙にこちらからの剣盾での反撃を差し込み味方の攻勢に繋げ
●騎士としての矜持
「失うのが怖いのなら最初から戦わなければいい」
「……」
トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)の抱き続ける恐怖、それは無関係な人々を戦いに巻き込みその命を奪ってしまうかもしれないこと。己の判断ミスで罪もない無関係な人が命を落とす、その恐怖と常に戦いながらトリテレイアは戦場に立っていた。
戦闘で自分自身が傷つくことは自らの責任であり、潔く認めることができる。だが自分以外の誰かが傷つき、命を落とすことは騎士として悔やみに悔やみきれない。どうすればそうならないのか、どうすれば全ての人を守れるのか。それをトリテレイアは電子頭脳の裡で状況の最適解を永遠に模索し続ける。
確かにラグーナの言葉通り戦場に立たなければそんなことは考えなくてもいいだろう。
だが、トリテレイアが戦場に立たなければ代わり誰かが戦場に立つ。もしかしたら誰も戦場に立たないかもしれない。
それだけは絶対に避けなければならない。自らだけが責任から逃れるなどあってはならない。
「いいえ」
いつだって対処すべきは己が裡でなく、目の前の現実にある。
トリテレイアは最適解を求め続ける電子演算を切り上げて己の騎士道に従い、ただ前を向く。
「私には心強い味方が大勢います」
トリテレイアは独りではない。自らの役割を全うすれば味方がその後ろで助けてくれる。
脚部のスラスターから放たれる推進剤。トリテレイアの役割とは戦場の最前線でその大きな機体を使い、仲間たちを護ること。仲間を護れば仲間たちがまた別の誰かを救ってくれる。だからトリテレイアは進んで自らの機体を盾にする。
「独りではできないことも誰かがいれば成し遂げられるのです」
勇猛なる騎士の突撃が孤独を歩む哀しきモノを追い詰める。
大成功
🔵🔵🔵
御影・葵
私は過去に両親を失った、家族の温もりが心の拠り所だった私は荒れた時期を経て生き別れの姉様の存在を知った
失った温もりは帰っては来ない……だが、私は期待をし姉様を探し出した
そして私は新しい温もりを手に入れたのだ、コレを再度失う事には耐えられないだろうな
であれば、私はあらゆる害から姉様を護る盾として生きて行く
臆する事などありえない、私が臆したら誰が姉様の盾になる?
■POW
積極的に攻め注意を引く
【指天殺】で鋭く指を突き心臓を抉り出しにかかる
あくまで注意を引くのが目的、何時でも姉と敵の間に割り込み左手の鉄扇で【武器受け・かばう】用意をしておく
※セレヴィスとの共闘を希望
ポツポツ淡々と喋る、姉には丁寧口調
セレヴィス・デュラクシード
ボクの恐れている事は一人になる事
ボクはこの世界に勝手に作り出されて一人だった、ボクはソレに耐えられず妹のアオイちゃんを巻き込みボクと同じ方法で呼び出した
ボクはアオイちゃんと別れるのが怖い
一人が怖い
ボクは自分の不安定な所、弱点なんて承知してるよ、既に孤独に負けてるからね
だからボクは死んでもアオイちゃんを守るんだ
死ぬ時は一緒、置いて行かれたら追いかける……その覚悟こそがボクの武器
邪魔するヤツは絶対に許さないんだよ
■POW行動
【真千里狐跳ね】にて身体強化後に蹴撃中心の格闘戦を仕掛ける
周囲を素早く駆け【=ダッシュ・ジャンプ】隙を窺う
敵の手の動きに注意【=見切り】しつつ距離を詰める
※御影・葵と共闘を希望
●死すら二人を分かたれず
「別れが怖いのなら共にいなければいいだろう」
セレヴィス・デュラクシード(複製サレシ幻想ノ狐姫・f04842)と御影・葵(護法の戦姫・f11377)は2人とも再び独りになることを恐れている。かつて分かたれた2人はこうして今共にいる。だからこそ再び離れ離れになることを2人は恐れている。
かつて一度は失われた家族のぬくもり。それが何の因果か偶然か再び巡り合えたのだからそれを護るために2人は全力を賭ける。別れは確かに恐い。だが独りでは堪え切れない孤独も2人なら耐えられる。別れも2人なら抗える。
だから2人は死んでも姉/妹を護ると心に誓った。例え死が2人を分かつとしても置いて逝かれたのなら追いかける。その覚悟こそが2人の武器。
「別れは怖い。だが一人はもっと嫌だ」
「ボクはず~っとアオイちゃんと一緒にいるんだよ!」
別れと孤独の恐怖よりもずっと大切な物がここにはあった。
「別れは必ずやって来る……それを今教えてやろう」
ラグーナの翳す手に描かれた魔法陣。そこから産み出される数多の炎が2人を狙う。
「姉様」
「うん!」
葵が前に立ち、迫りくる炎を『黒鉄扇『狐之窓』』で振り払う。その隙にセレヴィスは【真千里狐跳ね】を使用し、その身体をノイズに侵された碧眼九尾狐耳へと変貌させる。断片的に引き出された真の姿で増大した身体能力を活かし、ラグーナへ高速で接近する。
葵は前方から、セレヴィスは周囲を素早く移動しながらラグーナを追い詰めていく。
「……此処か?」
【指天殺】による葵の鋭い指の突きがラグーナの胸元を掠める。間一髪で避けるラグーナだがその直後にセレヴィスの蹴りが迫る。
姉妹の連携を独りしかいないラグーナが防ぎきることは不可能だった。徐々に追い詰められ、その身体に傷が刻まれていく。
「……なぜそうまでして足掻く」
「私は新しい温もりを手に入れたのだ、コレを再度失う事には耐えられない。だから全力で護る」
「もう独りは嫌なんだよ!」
手にしたぬくもりを守り抜くことを諦めたラグーナと諦めないセレヴィスと葵。差はそこだったのかもしれない。
諦めてしまったから、もう失いたくないと折れてしまったから苗床へと成り果てラグーナ。
諦めず、もう一度逢いたいと足掻き続けた末に再会し関係を護り続けるセレヴィスと葵。
そんな些細な差がこうして今決定的な違いとなって現れる。恐怖を克服する心の強さ。それがあるかどうかで道は分かたれたのだろう。
「せいっ!」
「ハッ!」
遂にセレヴィスの蹴りと葵の貫手がラグーナを捉える。炎を生み出し続けたその手は落ち、身体から力が抜けていく。
「私を倒したところでいずれ別れは訪れる……心しておくんだな……」
最後にそんな言葉を投げかけ、ラグーナの身体は塵となって消える。
こうして猟兵たちは恐怖を乗り越え、激しさを増す戦場へと向かう。その心に覚悟を抱いて。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵