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帝竜戦役⑮〜重力の中心で愛を叫んだ猟兵

#アックス&ウィザーズ #戦争 #帝竜戦役 #群竜大陸

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「皆さん、愛を囁きましょう!」
 プルミエール・ラヴィンス(はじまりは・f04513)は集まった猟兵たちに元気よくそう言った。
 今は帝竜戦役で忙しいのだから、そう言うのは後で……そんな猟兵の視線に、プルミエールは慌てて首を横に振る。
「ち、違います! これも群竜大陸攻略の立派なお仕事です! あのですね、皆さんには岩石回廊という場所を突破して欲しいのです。ここはその名の通り岩石がいっぱい転がってくる峡谷なのですけど、なんとここは重力が通常の数十倍、普通だったら歩くことも出きないような場所となっているのです!」
 確かにそれは大変だが、それと愛と何の関係があるのか。
「で、今回進んでもらう未知の最後には巨大な岩扉があるのですが、この扉、普通の手段では絶対に開きません。どうやって開けるのかといいますと、なんと扉に向かって愛を囁き、それが認められた時だけ扉が開くという仕組みになっているのです。ちなみに愛の囁きは、クサくて笑ってしまうくらいキメキメなのがいいそうです。もちろんその間も岩石は襲ってくるので、重力に耐えながら岩石を避けつつ、かつかっこいい愛の囁きをキメてください!」
 ……もしかしてそれはギャグで言っているのか。だがプルミエールの目は真剣だ。
「ただ、いきなり数十倍の重力に耐えろと言われても難しいでしょう。そこで猟兵特権の発動です。スペースシップワールド謹製、重力トレーニングマシーンを借りてきました! このマシーンの中に入ることで人工的に超重力状態を作り出せますので、是非皆さんこの中で愛のリハーサルに励んでください!」
 こんなことの為に作られた機械ではないのだろうが、猟兵の役に立つならとスペースシップワールド住人は快く貸し出してくれたそうだ。余計なことしやがって。
「あ、もちろんここにもお宝はありますよ。ここのお宝は『へしつぶの種籾』という超重力にも耐える種籾で、お値段は一粒金貨88枚。しかも一粒食べれば10日はお腹が減らないというスーパーフードです。是非持って帰りましょう!」
 確かにそれは魅力的な宝である。一部の猟兵はそれで腹を括ったようだ。
「さあ、それでは皆さん、愛の冒険に、行ってらっしゃいませー!」
 プルミエールは元気よく、猟兵たちを送り出すのであった。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。
 帝竜戦役8本目は重力の中で岩扉に愛を囁くシナリオです。
 今回のプレイングボーナスはこちら。

 『プレイングボーナス……重力異常に耐えられるようなトレーニングを実行してから、回廊に挑戦する』

 人工的に超重力を作り出す機械が用意されていますので、その中で体を鍛えるもよし、恋愛ドラマやhow-to本で勉強するもよし、自由に修行してください。
 トレーニングパートの後に回廊突破パートとなりますので、その両方でどう行動するかを記載しておくとよいと思われます。
 回廊のゴールには岩扉があり、こちらはキメキメな愛の言葉を囁くことで開きます。岩扉は性別はありませんので、男性、女性どちらからの愛も受け入れます。恥も外聞も捨て、思いっきり愛をアピールしてください。
 ここでは一粒で金貨88枚、食べれば10日はお腹が減らない『へしつぶの種籾』という種籾が手に入ります。やっぱりアイテムとしては発行されませんが、持って帰って売るなり食べるなり爺さんの墓の上に捲くなり好きにして下さい。
 最後に、多分皆さん分かっていると思いますがギャグシナリオです。シリアスキャラを壊したくない方はご注意を。
 それでは、皆様の愛をお待ちしております。
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第1章 冒険 『無機物相手に愛を囁く』

POW   :    無理! 物理で破壊……できなかったら、考える……

SPD   :    他に解除法ないのかな? 精神的に辛いけど、台詞は頑張る

WIZ   :    よーしやってやる、覚悟するがいい!

👑3
🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エルザ・メレディウス
...ほかの方は誰も聞いていませんよね?

■訓練
トレーニングマシンを使用。
重力を少しづつ増やしていき、最終的には回廊の【環境耐性】を会得

日常生活→走ったり→岩を避けたりと少しづつ運動強度↑
日常動作の一環として、恋愛映画の鑑賞も

訓練十分、映画の反復も十分と判断したら現地へ

■探索
【地形の活用・地形耐性】を活かして、なるべく安全なルートを
*必要に応じて、UCで重力を緩和

◇扉へ:...あなたの燃えるような情熱的な瞳が、優しく愛を囁く春風のようなその声が...全部、全部大好きなの。もっとあなたと一緒にいたい、あなたを知りたい...。 拒絶されるのがなにより怖い...でもこの想いをあなたに伝えたくて。。。



 エルザ・メレディウス(復讐者・f19492)は一人トレーニングマシンへと入っていった。
 彼女が中で行うのは、まずはごく一般的な日常生活だ。重力に強い特別製の家具を用意し、座ってのあまり体を動かさない娯楽から始めていく。
 それに慣れてからは軽度の運動。まずは歩き、そして走り、飛び跳ねや体操、武器の素振りなど徐々に運動強度を上げていく。
 そしてそれを難なくこなせるようになってからは、本番を想定した岩よけをトレーニングに組み入れた。スペースシップワールド製の機械であるため自然な岩は用意できないが、それと遜色ないレプリカは簡単に準備できる。それを各所から転がし、ぶつからないように避ける訓練だ。通常状態なら難なく避けられる速度であっても、高重力下では話が違う。時に失敗しながらも安定して避けられるようになるまで訓練を重ねていき、それに慣れたらさらに負荷を上げて最初に戻るということを繰り返した。
「……ふぅ、では強度をもう一段階上げて……それから、これをもう一度見ましょう」
 そして体を慣らす最初の段階、ここにはもう一つの重要な訓練が組み込まれていた。それは恋愛映画の反復視聴。演目は情熱的な男性に惹かれる、少し気の弱い女性が出てくるようなもの。主人公を自分に重ね、勇気を出し、困難を越え想いを伝える様子を目に焼き付ける。時に入り込みすぎて僅かに目の端に光るものが出ることもあるが、一人トレーニングを重ねる彼女のそれを見るものは誰もいない。あるいは、他者との連携を好んで行う彼女があえて一人で訓練している理由がそこにあるのかもしれない。
 ともあれ、訓練の結果高重力の環境に体勢を得たエルザは、本番に臨むべく岩石回廊へと赴くのであった。

 そして回廊。機械的な見た目のトレーニングマシン内部と違い、名前の通り岩だらけの曲がりくねった回廊で、そこを巨大岩が容赦なく転がり落ちてくる。
 だがその曲がった道は、時に後ろから来る岩石を防ぐ壁となってもくれるし、高い重力への耐性は安全なルートを見極める余裕をくれた。
 訓練の成果を着実に発揮しながら、エルザは回廊奥へと進んでいく。やがてゴール地点でもある岩扉が遠くに見えた。
「羽のように軽く……空を飛ぶように」
 その瞬間、【アンチグラビティレイン】を発動、重力を遮る雨を降らせて回廊の高重力を中和する。そうして軽くなった体を、雨の中全力で走らせた。
 ああ、そう言えばあの映画の主人公も、最後は雨の中こうして思い人のもとへと走っていた……そう思い出しながら、エルザは扉のもとへとひた走る。
「……ほかの方は誰も聞いていませんよね?」
 訓練からゴールまでたった一人で駆け抜けてきたエルザ。すべてはこの言葉を言うために。勇気を振り絞った、あの主人公のように。
「……あなたの燃えるような情熱的な瞳が、優しく愛を囁く春風のようなその声が……全部、全部大好きなの。もっとあなたと一緒にいたい、あなたを知りたい……拒絶されるのがなにより怖い……でもこの想いをあなたに伝えたくて」
 普段自分を抑えているエルザ。しかし、この想いだけは抑えきれない。重力にも、自分自身にも……!
 エルザの愛の言葉に、扉は重々しく、しかし彼女を受け入れるように大きく開いた。
 エルザはこの状況を見ていたものがいないかもう一度辺りを見回してから、身を任せるように扉の中へ進むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

戦場外院・晶
「……愛とは」
なんでしょう?
分からないから修行します
加算された重力の中を、重りを引き摺って走る……倒れ果てるまで
……愛とは?

縄跳びを致します
単調ながらも酸素が不足する脳内で自問致します
……愛とは?

足を踏み出す……手を差し出す
後ろ回りの宙返り……手を差し出す
想像上の敵手と戯れる鍛練……

愛とは?

「はじめまして、戦場外院・晶と申します」
先ずは挨拶です
……私にとっての、愛とは
「手をつなぐことです」
殺し合ったあらゆる方々との熱い思い出が甦る
この手を通して思いよ届け
やはり開けられることが前提である扉には「取っ手」があるもの
触れ合う箇所から私の熱が向こうに伝わり、あちらの感触が私の火照りを冷ます
「きもちぃ」


夢ヶ枝・るこる
■方針
・【POW】使用
・アド/絡◎

■行動
こ、これはまた、厄介ですねぇ。
何とか考えてみましょうかぁ。

●訓練
突破の方法は検討出来ておりますから、問題は『愛の言葉』ですねぇ。
正直なところ疎いですが、確か『女神様の過去の使徒』の中に、その様なジャンルが得意だった方がいらしたと思いますので、其方の資料を読み進めてみましょうかぁ。

●回廊
【遍界招】を使用し『高重力環境』の適応力を強化する『防護服』を着用し、種籾を捜索しつつ進みますねぇ。
【翳華】等で見られる通り、『重力』は女神様の象徴される御力の範囲ですから、当然想定されている『環境』ですので。
『愛の言葉』はただ一言、「傍らに在ることをお許し下さいませ」と。


御形・菘
告白シチュといえば、どんな状況でも素敵にキメんとな
超重力に耐えるのは大前提! その上でどこまで魅せるかよ
妾にとって相手は眼前の扉だけではない!
画面越しの視聴者を全員オトすぐらいのつもりで!

はっはっは、扉よ、妾の告白を承諾してもらおうか
答えは「はい」か「イエス」で答えてくれ
大切なのはただ一つ、妾がお主に、惚れたという事実よ
な~に、まだその気がなくとも心配ない!
これから身も心も妾のモノにしてやるからのう?(顎クイ)

岩石? そんなもの背景演出!
いや重力はしんどいし、当たれば痛いが、相手から目を逸らすなどNG!
耐えて、問題が無いように見せるとも
カメラ映りを予め計算し尽くしてきた、妾の本気をとくと見よ!


子犬丸・陽菜
愛ね…ぇ、好きって言われたいの?
あたしこんなんだから普通じゃないよ?
すごく痛くて重い愛だと思うけど、いい?
あ、でも痛みを分かち合うという意味ではお似合いかも?

とりあえずトレーニングするよ。
超重力で動けなくなる、耐えるというのならまぁ、あたしの場合能力的にお腹とか内臓を重点的に鍛える!
仰向けに寝て超重力を受け続けます。
内臓を潰されながら依代の宝珠を中をかき回すとかやばい拷問にも程があるけど!
(めっちゃ苦しめてOKです、むしろどんとこい)

ふふ、ねぇ、一緒に苦しみましょ?
痛みも喜びも分かち合って、ね?
ほら、あたしの中から聞こえる音、愛の証だから(ぐちゃ、ぐちゃ)
気味が悪い?
愛の形なんて人それぞれ!



「……愛とは」
何でしょう? 戦場外院・晶(強く握れば、彼女は笑う・f09489)は、呟いてから心の中でそう続ける。
 分からない。分からないのだから修行をする。
「愛ねぇ……好きって言われたいの? あたしこんなんだから普通じゃないよ?」
 子犬丸・陽菜(倒錯の聖女・f24580)は自分が愛を表現する形を思い浮かべた。それが一般的な基準で言えば普通ではないのは分かっている。だが、自分らしい愛を囁くと言うのなら、それを突き詰めるほかあるまい。
「こ、これはまた、厄介ですねぇ。何とか考えてみましょうかぁ」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は率直に、今回の依頼の大変さに声を上げる。何しろただ重力に耐えるだけでも大変なのに、その中で愛の囁きまでしなければならないのだ。色々な面で普段の戦いとは違う能力が要求されるのは間違いなく、その厄介さは推して知るべし、であった。
 そんな中、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は重力や扉そのものよりも、もっと別のものへの対策を重視していた。
「超重力に耐えるのは大前提! その上でどこまで魅せるかよ。妾にとって相手は眼前の扉だけではない! 画面越しの視聴者を全員オトすぐらいのつもりで!」
 配信者である菘にとっては愛の告白とは眼前の相手だけの心を奪うものではない。見ているもの全てが自分に言われたと錯覚するほどの圧倒的影響力がなければならないのだ。ましてや重力に潰されるなどもっての外。
 というわけで、女性猟兵四人の体重力訓練が始まるのであった。

 重力の中、重りを持って走る晶。それは実際の重量以上に重りが体の負担となり、あっという間にスタミナを奪い去っていく。そして走り始めてから程なく、晶は倒れ込んでしまう。そして浮かぶ言葉。
 ……愛とは。
 さらに少し休んで今度は縄跳びを始める晶。その下にあるのは滑り止めマット……などではなく、あろうことか陽菜の腹部。
「あたしの場合能力的にお腹とか内臓を重点的に鍛える!」
 そんな決意のもと、晶と陽菜の協力トレーニングが始まった。
 単調に、しかし淀みなく飛び跳ねる晶。一跳ねごとにどすどすと陽菜の腹に晶の足が埋まる。仰向けに寝て超重力を受ける陽菜の腹に、さらに連続で晶の体重がかかった。だが陽菜はそれだけでなく、依代の宝珠をかき回して己の腹にさらなる苦痛を与えていく。
「やばい拷問にも程があるけど……!」
 だが、きつければきついほど力が高まる陽菜には、これが最高のトレーニング。苦痛と共に重力耐性が付いていくのを実感し、陽菜はさらに己の中をかき回す。
 そして超重力下、飛び跳ね続けた晶も酸素が不足する脳内で自問した……愛とは?
 そんな壮絶なトレーニングの隣では、るこるがトレーニングに励んでいた。るこるが注力するのは、重力耐性よりも愛の囁きの方。
「正直なところ疎いですが、確か『女神様の過去の使徒』の中に、その様なジャンルが得意だった方がいらしたと思いますので……」
 そう言って、多数の資料を読み込むるこる。
「はっはっは、勉強ならば妾も付き合おう。どれ、これを見るがよい!」
 そう言って菘が様々なジャンルの恋愛動画を差し出す。純愛、悲恋、ドロドロ、果ては各種禁断の愛など多種多様な愛がそこには描かれていた。ただしいずれもキマイラフューチャー産なので、そこまでえげつなく重いものはないが。
「はあ、なるほど……色々あるのですねぇ」
 そう言って素直にそれらを学ぶるこる。
 大きな動きがない分一見楽そうに見えるが、ここは重力トレーニングマシンの中。ただ座っているだけでも体に強烈な負荷がかかり、体が押し潰されそうになるのだ。その中で見ている者から知識を得るため、クリアな頭と意識を保たねばならない。
 動かないという苦行を重ねながら、るこると菘は本番に備えた訓練を重ねるのであった。

 そして本番、岩石回廊。
 やはり徹底的に鍛えこんだかいあってか、回廊を進むことは彼女たちにとって左程苦戦するものではなかった。
 内臓をかき回してこない岩石など陽菜にとっては苦痛にもならないし、晶はその力で岩石を握って止め、そのまま放り投げることすら出来る代物。菘がモニターを展開し視聴者に岩石回廊の解説をする後ろで、るこるは【豊乳女神の加護・遍界招】を発動、重力に適応し種籾を拾って歩く余裕さえ見せていた。
 そして辿り着いた、最後の岩扉。
 道を進むことは互いに協力できるが、岩扉はそれぞれが挑まなくてはならない。
 まず最初に出たのは晶であった。
 踏み出しては手を差し出し、宙返りしては手を差し出し、想像上の敵と戦っては自問した、愛とはの問い。
 彼女が出した答え、それは「手をつなぐこと」であった。
 あらゆる思い出を込め、この手を通して思いよ届け。
 そうして差し出された手は暖かく、冷たい岩肌と触れ合って熱を交換する。
「きもちぃ」
 その温度の交わりを一言声に、晶は扉に愛を囁いた。
 次に出たのはるこる。
 女神の使途として、出しゃばった真似は出来ない。だから、伝えるのはやはりたった一言。豊かな体を扉に添えて。
「傍らに在ることをお許し下さいませ」
 その体に合わぬ控えめで静かな愛が、扉に囁かれた。
 そしてここからは打って変わって、激しい愛のターン。
 菘が堂々と扉の前に進み出る。その周りには超重力にも耐えるカメラとモニターが完備だ。
「はっはっは、扉よ、妾の告白を承諾してもらおうか。答えは「はい」か「イエス」で答えてくれ。大切なのはただ一つ、妾がお主に、惚れたという事実よ。な~に、まだその気がなくとも心配ない! これから身も心も妾のモノにしてやるからのう?」
 邪神を名乗るにふさわしい、まさに堂々たる愛の告白であった。さらには扉の出っ張りに指をかけ、顎クイの披露も忘れない。周囲のモニターには『はい』と『イエス』の弾幕が絶え間なく流れ続けている。
 後ろから岩石がぶつかってくるが、そんなものはただの背景演出に過ぎない。愛の告白中目を放すなどあってはならぬNGだ。
 すべてはカメラ移りの為に……邪神の本気の愛が、扉と視聴者たちに叩きつけられた。
 そしてトリを務めるのは陽菜。
「ふふ、ねぇ、一緒に苦しみましょ? 痛みも喜びも分かち合って、ね? ほら、あたしの中から聞こえる音、愛の証だから」
 そう言う陽菜の腹部からは、確かにぐちゃぐちゃという音が聞こえる。【知られざる枷】の力で内臓をかき回される苦痛は、まさに陽菜しかなし得ない唯一無二の自己証明。その唯一の苦痛を共有できること、陽菜にとってこれ以上の愛の形はありえなかった。
「気味が悪い? 愛の形なんて人それぞれ!」
 その声と共にぐぢゅっ! と激しい音が腹から聞こえ、陽菜がえずくように頬を膨らませた。
 その壮絶な姿が伝わったのか、岩扉は轟音を上げながら開いた。彼女たちからの愛を受け入れた、そういうことだろう。
「はっはっは! ようやく素直になったかこの扉めが! では皆の者、また次回!」
 菘の高笑いに導かれるように、四人は扉の中へと入っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ケイ・エルビス
★トレーニング
重力マシーンでダンベルやスクワットしながら
気恥ずかしくて観れてなかった人気ラブロマンス映画を寝落ちするまで
連続視聴しまくって参考にしてみる

外では自前のトラックを長時間押し続け
愛の台詞を色々叫びながら練習しておくぜ


★回廊突破
普段から運び屋の仕事で鍛えてるし
トレーニングで仕上がったからこれくらいワケないぜ!
重力に耐えながら転がってくる岩石を
気合、野生の勘、足場習熟、ダッシュ、ジャンプ、クライミングで避け突破

扉に向かい
「朝起きた時、君が隣にいてくれたら毎日幸せなんだ。結婚しよう!」 
情熱的に飾らない演技でストレートに愛を大声で叫び開ける

種籾も宝探しでハートと一緒に盗ませてもらうぜ



 ケイ・エルビス(ミッドナイト・ラン・f06706)はトレーニングマシン内に様々な物品を持ち込んでいた。
 その中でまず彼が手に取ったのはダンベルだ。片手で持てるサイズのそれは、一般人のエクササイズならともかく猟兵が鍛錬に使うにはいささか軽すぎるように見える。
 しかしそれはあくまで普通の状況ならばの話。重力が数十倍となるマシンの中では、それは持っているだけで骨がきしむほどの超重量の不可となる。
 それを装備してのダンベル上げやスクワットは、超重力への耐性を得るための有効な特訓となり得るだろう。
 さらにケイは片手で小さなリモコンを操作した。するとマシーン内に備え付けられたモニターが点灯。そこに何かの映像が映し出される。
 そこに映し出されたのは、少し前に流行した大人気のラブロマンス映画。
「正直気恥ずかしくて見れてなかったんだよな……」
 決して嫌いではないし興味もあったが、いかんせん男の自意識というものがどうしても邪魔をしてしまう。だが今は折よく近くに他人がいないし、猟兵の役目という大義名分もある。
 トレーニングで体を追い込みながら、限界を迎えるまで映画を連続視聴。背中のかゆくなるイチャイチャシーンも思わず目を背けたくなるラブラブシーンも、依頼達成の名のもと一瞬たりと見逃すことなく意識を集中して鑑賞する。
 時計の針が何週もし、疲労と睡魔が意識を奪うまでケイのトレーニングは続いた。
 さらに目が覚めてからは、外に出て愛用のトラックを押す筋トレだ。それもただのトレーニングではない。押しながら愛の言葉を大声で叫び、実勢に備えて愛の訓練も同時進行で行うのだ。
 叫ぶ言葉は恋愛映画で勉強済み。それを大声で叫びながら、ケイのハードトレーニングは続くのであった。

 準備万端整っていよいよ本番。
 回廊の道は険しいが、普段から配達で鍛えており、さらにはトレーニングも積んだケイにとってはさほど困難な道ではなかった。
「これくらいワケないぜ!」
 何しろとんでもないところが配達先に指定される事だってあるのだ。超重力をものともせず飛んで走って崖を登り、襲い来る岩石を鋭く勘を働かせて気合で避ける。
 そもそも守るべき荷物を持っていないのだ。それに比べればすでに慣らした超重力などどれほどの障害となろう。
 いや、荷物は持っているといえば持っていたか。その荷物を携え、ケイは岩扉のもとへたどり着いた。
「朝起きた時、君が隣にいてくれたら毎日幸せなんだ。結婚しよう!」
 飾らない、ストレートで情熱的な言葉が岩扉に届けられる。それは気風のいい大空の運び屋からの、特別な愛のお届けであった。
 男の愛を受け入れたか、岩扉がゆっくりと開きケイを迎え入れた。その扉をくぐろうとしたとき、ケイは足元に落ちている小さな粒に気が付く。
「おっと、こいつもハートと一緒に盗ませてもらうぜ」
 落ちていたへしつぶの種籾を拾い上げ、今日だけは盗人となった配達人は扉の奥へ進んでいくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェイク・リー
※アリス、エルーゼ、華澄と行動

重力、引き込もうとする力に対抗する術を教える。
分り易く言うなら空中浮遊の応用、引力を緩和させるというもの。
緩和させるのが限界らしい。

リミッター解除や限界突破で魔力を高めて岩扉に魔術的ハッキングする。
根本的原理と言える魔力の流れ、文字の解読と書き換えは機械と同じ。
無防備になるので援護は三人任せ。
魔力溜めを行いつつ原理の解析、最終的に近づくだけで開く様に書き換えを狙う。
最悪、溜めた魔力を一気に放出してショートさせて破壊も考えている。

絡み・アドリブOK


アリス・スラクシナ
※エルーゼ、華澄、ジェイクと行動

「応用か」
言われた通り空中浮遊の応用で重力訓練を行う。
だが動くにはまだ足りない。何かあるはず。
万有引力の理があると聞いて重力とは何なのかを考える。
引き寄せる力であるなら引き離す力を生み出し対抗するしかないのか。

落ちてくる岩石を何とか破壊する必要がある。
属性攻撃で岩石の軌道をずらし、援護する。
武器はまともに使えるか分らんからな。

絡み・アドリブOK


エルーゼ・フーシェン
※アリス、華澄、ジェイクと行動

空中浮遊の応用をすればいいのよね。
話聞く限りじゃ重力操作系っぽいからうまく扱えば何とか切り抜けられそうかな。
アリスたちの話を参考にすれば。

属性攻撃で岩石の軌道を逸らすのね。
華澄のサポートを行いながらなんとかするわ。

絡み・アドリブOK


藤宮・華澄
※アリス、エルーゼ、ジェイクと行動

空中浮遊の応用で重力に対抗する。
アリスの話では引き込む力とは反対の離す力をイメージすればいいとの事で。
とにかくやってみます。なにもしないよりは……。

属性攻撃だけではなくオーラ防御も駆使して何とかします。
地形耐性もありますし……。

絡み・アドリブOK



「重力というのは下に引き込もうとする力だ。それを意識して対策すりゃいい」
 トレーニングマシンの中、ジェイク・リー(影の護り手・f24231)は重力への対応策を、理論的な面から説明する。普通なら分かっていたところで逃れられるものではないのだが、そこは猟兵。そういったものへ対応する手段も持っており、理屈が分かればより効率的にそれを使うことができる。
「分り易く言うなら空中浮遊の応用、引力を緩和させるというもの」
 そう言ってジェイクは、念動力で自分を浮かせて飛ばす技の応用で、重力に抗意味を軽くして見せる。
「応用か」
 アリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)は応用、という言葉を反芻した後、言われた通りその力での訓練を開始した。
 ずっしりとのしかかる重力を浮遊する力で遮断し体を軽くするが、それだけではまだ動けない。
「何かあるはず……」
 何が足りないのか、アリスは動けない状態で冷静に頭を働かせる。
 万有引力の理の名を思い、重力とは何なのかを考える。先のジェイクの言葉では引っ張る力……やはり彼のやっていたように、引き離す力で対抗すればよいのか。
 そう考えアリスは自身に重力に対抗する浮遊の力を纏い、結果見事動くことに成功した。
「空中浮遊の応用をすればいいのよね。話聞く限りじゃ重力操作系っぽいからうまく扱えば何とか切り抜けられそうかな」
 エルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)は普段から宙を舞い、踊るような戦いを得意としている。二人の話と様子を参考に、自身もその力を働かせてみた。
 普段の戦闘はその身のこなしを主に使っており、浮遊する力は補助的に使って浮いている形になっていることが多い。今はそれを逆転させ、浮くことを主眼に据えて力を巡らせる。
 アリスとジェイクが既に手本を見せていたこともあり、エルーゼは容易に超重力の枷から解き放たれ、その場で自在に動くようになれた。もともとの身の軽さもあり、重さの遮断から自由に動けるようになるまでの時間は二人よりも早いくらいであった。
 いっぽう、苦戦するのは藤宮・華澄(戦医師・f17614)だ。
 後方支援に回り、激しく動くよりは冷静に状況を見つめ、少ない行動で的確にアシストをすることを得意とする彼女にとって移動技の応用というのはいささか慣れない行動だ。
「アリスの話では引き込む力とは反対の離す力をイメージすればいいとの事で……」
 アリスの解説を思い出しながら、自分にかかってくる重力と反対方向に力が働くようにイメージする。が、少しずつ動くことは出来るが、中々自由には動けなかった。
「完全に遮断しようと思うな。緩和させるのが限界らしい」
 その様子にジェイクがアドバイスを出す。別にこの重力下で飛び回れなどと言われているわけではない、動けるようになりさえすればいいのだ。
 その言葉を受け、華澄はあらためて力を巡らせる。それは全身を支え、動けるようになる程度に重力に逆らう支えとなった。これなら普段と変わらない程度に動ける……そう確信し、華澄はジェイクに笑顔を向けた。
「よし、出来たならいくぞ」
 全員が動いたのを確認し、四人はマシンを出て岩石回廊へ向かうのであった。

 そして本番、元々能力の高い一行は、重力下での動き方の練習をしたこともあり、容易に岩扉までたどり着く。
 愛の言葉を囁かなければ開かない岩扉に、まず歩み寄ったのはジェイクだ。ある意味最もそのイメージから遠い彼が一体どんな言葉を囁くのか……
「じゃあ、後ろは任せるぜ」
 そう言ってジェイクは扉に手を当て、自身の魔力をその扉とリンクさせた。
 なんとジェイクは扉を正攻法で開けるのではなく、魔術的な装置の一種であると踏んで魔力によるハッキングを敢行、無理やり開けてしまう手段を選んだのだ。
 自身のリミッターを解除し極限まで魔力を高めるジェイク。無防備なその背中を、他の三人が守る。
「武器が重いな……仕方ない、こちらでいくか」
 アリスは風の属性を込めた拳で岩石を殴りつけ、その軌道を逸らした。エルーゼもそれに倣い、岩石を蹴り飛ばして道から外れた場所に転がしていく。
「私も何とか……」
 華澄は前に出て、土の属性を操って地形を操作し、岩石を横にずらしていく。だが、間に合わず地形を乗り越えてきてしまうものもあり、それらはオーラを展開して何とかダメージを軽減した。
「ちょっと、まだなの?」
 エルーゼがジェイクに声をかける。
 ジェイクは魔術を言語として理解、それを改ざんし勝手に開くよう書き換えようとしているが、やはり魔法の本場アックス&ウィザーズの遺構、そう簡単にいじれるものではなかった。さらにそれに集中するあまり重力に耐える方に回せる力は減り、体はどんどん重くなっていく。
 彼を護衛する三人も、対抗するトレーニングを積んだとはいえ重力に曝され続けているのだ、その体力はどんどんと奪われてた。
「これは……きついな……」
「やば、もう持たないかも……」
「ジェイクさん……!」
 三人の顔に脂汗が浮かび、その動きが徐々に鈍っていく。もうこれ以上はもたない……
「よし、いけるぞ!」
 ジェイクの声と共に扉がゆっくりと開き、四人は最後の力を振り絞ってそこに飛び込む。
 なんとか扉をすり抜けた四人だが、その後ろで岩扉は一瞬で締まってしまった。試しに華澄が扉に触れてみるが、もう開く様子はない。
「ち……丁寧に作ってありやがるぜ」
 恐らくどこかに修復のための予備システムがあるのだろう、データサーバーなどでよく使われる手が魔術的に構築されているのだ。
「ま、そんなうまい話はないってことね」
 エルーゼが肩をすくめていう。
 結果的に正攻法より早く済んだとも言えず、疲労も余計に溜まってしまった。だがとにかく突破だけは間違いなくできたとし、四人は先へと進むのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

薬師神・悟郎
【珍味】

クロウは可笑しなことを言う
これは貴方の得意分野だろう?(催眠術)

俺の彼女が世界一なのは自明の理で公然たる事実
故に岩扉をその彼女と思い込めば、口説くのも当然のこと!
「そうだろう、クロウ!?」
異論は聞かん

今日の貴方はいつもと違うな
黙り決め込むところも可愛いが、でもそのままでは可哀想だ
貴方の美しさが霞んでしまうからね

押して攻める口説き文句の数々に、本当に彼女を相手にしている気持ちになってくるが、クロウの言葉に思わずはっとする
大人の色気溢れるその姿はまるで…
「エロは偉大…!」
クロウに適正があると巻き込んだ俺の目に狂いはなかった

ところで、何でクロウはあんなに疲れた顔をしてるんだろうな?


杜鬼・クロウ
【珍味】
アドリブ◎
ツッコミ担当
宝は貰えれば貰う

悟郎、お前何故俺を此処に連れてきた?
行く相手間違ってねェか
ウッ…得意分野ダッタワー(催眠かかるフリ
圧が強ェよ!

…愛を囁くのに予行練習なんざ要らねェ
本番の一度きり
こういうのは勝手に溢れてくるモンだろうが

悟郎も道連れにし筋トレ
扉の前へ
重力に逆らい回避か岩を剣で叩き割る

お前そんなコトいつも恋人に言ってンの!?
ヤベェ…甘
完璧だし腹一杯だわ
やっぱ俺言う必要なくね?
仕方ねェ
オニーサンが手本見せるか

お前は俺に抉じ開けられるのが好きなのか?ン?
全部委ねちまえよ
どろっどろに溶かしてヤっから(腰に響く低音イケボ+壁ドン

扉開けるだけで疲れたわ悟郎の所為だかンな!(耳赤い



 次に重力トレーニングマシンに入ってきたのは、二人の男猟兵。一人は楽しげだが、もう一人はどこか不機嫌な表情だ。
「悟郎、お前何故俺を此処に連れてきた?」
 杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)は隣にいる薬師神・悟郎(夜に囁く蝙蝠・f19225)を睨みつけて言う。それに対し悟郎は余裕たっぷりの表情で答えた。
「クロウは可笑しなことを言う。これは貴方の得意分野だろう?」
 そういって悟郎はずいっとクロウに顔を近づける。
「俺の彼女が世界一なのは自明の理で公然たる事実。故に岩扉をその彼女と思い込めば、口説くのも当然のこと!」
 力強く言う悟郎。顔が近い。クロウに何かの圧力がかかる程だ。具体的に言うと催眠術がかかりそうな程。
「そうだろう、クロウ!?」
「ウッ……得意分野ダッタワー」
 あっさりと催眠に落ちるクロウ。棒読みだったり目にちゃんと光があったり『圧が強ェよ!』という呟きが聞こえたりしたのは気のせいだということにしておこう。
 そのまま早速回廊へ向かおうとする悟郎を押し止め、しっかり筋トレを始めるクロウ。きちんと悟郎用のトレーニング器具を用意しているあたりは彼の面倒見の良さ、兄貴気質の表れか。
 そのまるで催眠にかかっているとは思えない気配りのもと悟郎も筋トレを終え、今度こそと岩石回廊へ向かうのであった。

 そして本番、岩石回廊。
 トレーニングの成果か、クロウが前に立って岩を叩き切り、二人は難なく進んでいく。そしてその後ろで、自分が出るまでもないとばかりに笑みを浮かべる悟郎。しかしその手は油断なく忍刀にかけられており、緊急時にはすぐさま抜き放てる構えを崩していなかった。
 そうして危なげなく岩扉の前に立った二人は、まず悟郎の方から扉に歩み寄った。
「今日の貴方はいつもと違うな。黙り決め込むところも可愛いが、でもそのままでは可哀想だ。貴方の美しさが霞んでしまうからね」
 ぴたりと閉ざされたまま動かない相手を、その様子さえほめながら愛を囁く。しかし、やはりそのままではいけないと、自らに開いた美しい姿を見せて欲しいと望む姿は、相手の魅力を引き出さんとする愛の手管であった。
「お前そんなコトいつも恋人に言ってンの!? ヤベェ…甘。完璧だし腹一杯だわ、やっぱ俺言う必要なくね?」
 クロウの言葉に思わずはっと我に返る悟郎。思わずのめり込みすぎて本当に彼女に言っているような気になっていた。頭を軽く左右に振ると、調子を取り戻して告げる。
「さあ、次はクロウの番だ」
 その言葉にクロウは少し渋る様子を見せたが、やがて覚悟を決めたように扉に近づく。
「仕方ねェ。オニーサンが手本見せるか」
 そうして扉にドン! とやや乱暴に手をつくクロウ。
「お前は俺に抉じ開けられるのが好きなのか? ン? 全部委ねちまえよ。どろっどろに溶かしてヤっから」
 腰に響くような低音イケボが扉に迫る。そこで浮かべる笑みはまさに肉食獣の如きそれ。本能に訴えるような言葉選びと共に壁ドンしながらその顔を近づけられれば、食べられて本望、何もかも奪われたい……そんな気を起こさずにはいられないだろう。
 その大人の色気溢れる姿は傍から見ている悟郎にさえ響く。
「エロは偉大……!」
 クロウを選んだ自分の目に狂いはなかったと、悟郎は内心で快哉を叫ぶのであった。
 甘さと優しさあふれる悟郎と、荒々しく奪い去らんばかりのクロウ、二つの愛の囁きの前に、今日一番の勢いでずぱーん! と扉が開いた。
 それはもうどうぞお通りくださいいやむしろ何度でも来てくださいと言わんばかりの開きぶりで、お代替わりと言わんばかりに見えやすいところに種籾まで落ちている。実際今のボイスを録音してUDCアース辺りで売ればその手の女性に相当売れるのではないだろうか……二人の言葉はそれくらいのものであった。
 落ちている種籾をひったくるように拾い、クロウは奥へと進んでいく。
「扉開けるだけで疲れたわ悟郎の所為だかンな!」
 怒ったようにいうクロウの耳は何故だか真っ赤だ。
「ところで、何でクロウはあんなに疲れた顔をしてるんだろうな?」
 悟郎は分かっているのかいないのか、種籾をしまい微笑みながら彼の後に続くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月20日


挿絵イラスト