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バンプ・オブ・ティラノサウルス怪人力士

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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●遠く離れた地で
 鍛え上げられた足が、勢いよくアスファルトを踏みしめる。
 どん、という振動が響いて砂利が跳ね上がった。
「どおりゃあああ!」
 裂帛の気合を発し、仕掛けるのはサイの特徴を備えたキマイラ。
 相手に組み付けば筋肉と筋肉のぶつかり合う音が乾いた音を立てた。
 ここは人類の滅んだ惑星。キマイラフューチャーと呼ばれる世界。サイバーパンクと表現される都市の路上でキマイラが相撲を取る。
 丸太のようにがっしりした四肢のキマイラが渾身の力で相手を押し出そうとするが、それは叶わない。
「なんの!」
 咆哮を思わせる声量で相手が応えた。ティラノサウルスの特徴を頭に宿した怪人は圧倒的な膂力を以ってキマイラの突進を受け止め、さらに両手を回して体を掴み上げたのだ。
「ふん!」
 両足を大きく開いて、重心を低く落とした姿勢から怪人はキマイラを投げ飛ばす。すると、
「うおおー! 怪人すげー!!」
 周囲の、観戦していた他のキマイラたちが声をあげる。すぐそばには固定式カメラが設置され、相撲の一部始終を配信していた。
「どうだ見たかこの怪人の力。さあ俺に挑みたいやつはいるか」
 興奮したキマイラたちがしん、と静まり返る。彼らの足元には相撲に負けて体を休ませるキマイラが何人もいた。彼らはもう既に理解していたのだ、自分たちでは怪人には敵わないと。
 これ以上の挑戦者はいないと悟った怪人は、カメラに向けて右手を伸ばす。足を肩幅に開き、左手は腰に、そして顎をくいと持ち上げる。カメラ映えを意識した絶妙な角度とポーズで、配信を見ているであろう世界中のキマイラへ向けて、言い放つのだった。
「挑戦を待っている」

●グリモアベースにて
「猟兵のみなさん、集まってくださりありがとうございます」
 白い軍服に包んだ少女のヴィル・ロヒカルメ(ヴィーヴル・f00200)はまず初めに挨拶をし、それからええと、と言い淀む。
 この単語を口に出していいのかという逡巡が見て取れた。
「ティラノサウルス怪人力士が現れました」
 ティラノサウルスで、怪人で、力士。
 言葉の示す意味が頭へしっかり浸透するのを待ってから、彼女は説明を続ける。
「場所はキマイラフューチャー。そこでティラノサウルス怪人が事件を起こします」
 キマイラフューチャーと言えば、人類が滅亡したあとの惑星でキマイラ達が楽しく暮らす場所だ。そこでは謎の怪人による襲撃を受けている。もちろん怪人とはそれぞれが何かをモチーフにした頭部を持つオブリビオンの一種だ。ティラノサウルス怪人なのだから、きっと頭部がティラノサウルスなのだろう。
「そのティラノサウルス怪人は、どうやら相撲でキマイラたちを打ち負かすところを配信することで、怪人のすごさを思い知らせているようですね」
 すごさを思い知らせることで具体的にどういうメリットが怪人に生じるかは不明だが、彼らがオブリビオンであることは間違いない。オブリビオンの活動を放置することはできないだろう。
「ですので、逆に打ち負かしてやりましょう!」
 グリモア猟兵は両手をぐっと握りしめた。
「怪人は道端でキマイラたちに挑戦を突きつけていきます。さらに相撲の様子はライブ配信されています」
 つまり通りすがりのふりをすれば怪人に相撲を挑まれるだろうし、そこで勝利すればそのまま猟兵の活躍と怪人の敗北が拡散されるというわけだ。これを利用しない手はない。
 怪人と真っ向から力比べをする、相撲やそれ以外の戦いの技術を利用する、あるいはうまいこと挑発して勝敗を有耶無耶にする方法が思いつけば、試してみてもいいだろう。と、グリモア猟兵はいくつか勝負のアプローチを挙げる。もちろんそれ以外の方法で挑むのも可能だ。
「自分の得意とする相撲で負けたら怪人は恥をかくでしょうし、逃走する可能性もあります。でも追い詰められれば決着を付けられるはずです」
 追跡の方法は色々とあるという。とにかく全力で追いかけるのも、逃走ルートを予想しておくのも手だ。怪人の注意を引くなどといった方法もあるかもしれない。追い詰められれば、そのときが撃破のチャンスだ。
「相手はティラノサウルス怪人。強靭な身体能力が予想されますので、注意してくださいね」
 でも、とグリモア猟兵の少女は姿勢を正す。
「皆さんならきっと勝てます。よろしくお願いします」
 そう言って頭を下げ、説明を締めくくった。


鍼々
 鍼々と申します。よろしくお願いします。
 この依頼は、キマイラフューチャーにおける怪人の討伐依頼となります。
 怪人と相撲勝負をするシーンがありますが、服を脱ぐ必要も廻しを付ける必要もありません。
 また、決着をつけるシーンでは怪人は相撲技のようなユーベルコードを使用してきます。参加される方々がプレイングで希望すれば、ユーベルコードを利用した相撲対決のように描写することが可能です。
 ユーベルコード相撲バトルになります。
 ネタ依頼のように気軽な気持ちでお楽しみください。
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第1章 冒険 『ライバル怪人の挑戦!』

POW   :    勝負を正面から受けて立つ

SPD   :    ワザを編み出す、有利になる情報を掴む

WIZ   :    知恵や口車で勝負自体をうやむやにする

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

オン・スロート
SPDで有利になる情報を掴む。
「雑頭の相手も楽ではないな」
遠巻きから怪人を確認し、カメラの位置、台数を調べる。
位置と数が分かり次第、怪人と相撲する猟兵に伝え、
事故に見せかけてカメラを破壊してしまう事を提案する。
「要するに、すべて台無しにしてしまえばいいのだろう?」


ラニューイ・エタンスラント
へぇ……相撲って言うの。面白そうものやっているじゃない?まぁ、私は見ての通りか弱い少女だから……私が勝ったりしたら、人気が出ちゃうかもね?■主な戦い方としては、血統覚醒を用いて戦闘能力を爆発的に増大させて真正面から戦いを挑みます。



「どうした、いないのか?」
 真新しく舗装された路上に怪人の声が響く。
 格の違いを見せつけた後だ。
 もはやキマイラたちに、自分に挑もうという意思は残っていない。元の目的が示威だったからして、こうなるのは至極当然のこと。怪人は嘆息しながらカメラの回収をしようと一歩踏み出した、そのときだ。
「へぇ…相撲って言うの」
 勝負のあとに不釣り合いな、ひどく可愛らしい声がした。
 じろり。ティラノサウルスの縦に裂けた瞳孔が声の主へ向く。
 たっぷりとした巻き毛のピンク色の髪を揺らし、ラニューイ・エタンスラント(ダンピールの聖者・f05748)が路の中央へと足を進め、立ち止まった。そこはつい先ほどまで土俵とされていた場所だ。
「……」
 怪人の頭部から困惑の色が見て取れる。周囲のキマイラもまた信じられないとばかりに首を振った。まさか、あんなか弱い少女が、怪人に挑むというのか。
 ラニューイは形のよい口元を僅かに緩めて笑う。
「まぁ、私は見ての通りか弱い少女だから」
 続いて紡ぎ出される言葉は。
「勝ったりしたら、人気が出ちゃうかもね?」
 まぎれもない、彼女から怪人に対する挑戦状だった。

 ざわめくキマイラたちに反して、平静を崩さぬものがいる。
 黒で統一された巨躯のウォーマシン。その名はオン・スロート(猛襲猟兵・f01587)という。彼は頑強な外見に反した精緻な動きで土俵の展開を見守るキマイラたちの合間を縫って進む。
「雑頭の相手も楽ではないな」
 零れた言葉に反応を返す者はいない。ただの呟きだ。
 突如、群衆が一斉に声を上げた。見れば土俵でラニューイと怪人が組み合っている。体格差だけを見れば怪人の圧勝だろう。
 そう、体格差だけを見れば。
 組み合いながら膠着する土俵の展開に、群衆がどよめく。オンは土俵から一定の距離を維持したままぐるりと半周した。
 ――南にひとつ。北西にひとつ。
 怪人との力比べに少しずつ交代する少女を見て、キマイラたちが悲鳴を上げた。それでもオンは少女を気に掛けることはない。
 ――あとは東のカメラがひとつ。少し高い位置にあるな。
 土俵を俯瞰して撮影するためなのだろうと、オンは腕を組み、配置の意図を考察する。
 ――これで全部だな。
 土俵を一周し終えたオンは無造作に声をかけた。
「カメラは南に1、北西に1、東のやや上方に1、これで全てだ。要するに、すべて台無しにしてしまえばいいのだろう?」
 怪人と真正面から勝負している少女に。

「壊せばいいって?」
 娘は答えた。
 彼女は土俵の外まで押し出されつつあった。敗北が訪れるだろう数秒後の光景を見たくないとキマイラたちが一斉に顔を手で覆う。
 だから気付かない、少女の涼しげな表情に。
 気づいているのは怪人だけだ。
「――お前!」
 カメラに何をするつもりだと怪人は吠える。
「それを壊せばただでは済まさないぞ!」
 腕を組んだまま佇む黒い大男に牙を剥いた。だがオンがそれに反応を返すことはない。試合の決着がつかぬうちは手出し無用とばかりに。
「それならこうしましょう」
 オンの提案に対して、ラニューイからの提案。
 彼女の紫の瞳が突如赤く染まる。体中を巡る血が力となって彼女の存在を昇華してゆく。そう、ヴァイパイアとして!
「ぬ、おおおお!?」
 土俵の際まで押し込み勝利を確信していた怪人が、少女の爆発的に膨れ上がった力によって押し返される。驚いたのは怪人だけではない。少女が怪我をしないことだけを願っていたキマイラたちは、突然の逆転に目を白黒させる。
「こうして…」
 ラニューイはやがて両手で怪人の体を持ち上げる。両足から地面から離れて顔が真っ青になる怪人に、容赦はない。
 体を持ち上げ、片足の踏み込みと共に道路を踏み砕き、さらに常識外れの膂力を以ってティラノサウルスを帯びた体を東へ投げ飛ばしてしまうのだ!
 ビルの壁面に取り付けられていたカメラは、怪人の体によって粉々に押しつぶされ破片をまき散らした。
「事故に見せかけて壊すのはどう?」
 瞳の色が深紅から紫へ。纏う雰囲気を戻しながら僅かに悪戯な表情を浮かべたラニューイに、オンは、
「オレは最初からそう提案してたんだ」
 と肩をすくめるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フィン・クランケット
相撲を。(相撲を。)
はっ。いけないいけない。思わず真顔になっちゃいましたよぉ……!
いや、でも、これは猟兵として見逃してはいけない……いけないんですよね?

うう、がんばりましょう。

と言っても、私、相撲なんて取ったことありませんし、ええと、そうだっ!
情報とか集めるのは得意ですよぉっ。
なんたって商人ですし! えへんっ。
というわけで、後から来る方々のために有利になる情報を探りましょう。
キマイラさんたちから目撃情報や相撲情報を聞いたりしてみますねぇ~。
ふんふん、なるほど?
力仕事は、他の猟兵さんたちにガツーンとおまかせしちゃいますっ。てへ。
皆さん、おしごとですよぉ。
がんばれ、がんばれっ。(にこやかに応援)



時は少しさかのぼる。
 突然土俵に現れた少女を見守るキマイラの群れの中に、蜜柑色の髪を揺らすエルフがいた。
 えっこれ相撲しなきゃいけないんですか。
「と言っても、私、相撲なんて取ったことありませんし…」
 グリモア猟兵から話を聞かされた時、思わず真顔になってしまったほどだ。でもこんな事件だろうと猟兵として見逃してはいけないと、自分を鼓舞してここまでやってきたのだ。
 とはいえ、できないものはできない。できることをやっていくしかない。
「そうだ、情報とか集めるのは得意ですよぉっ」
 誰ともなしにアピールする。一番アピールしたいのは自分自身にかもしれなかった。だって相撲しないで済むもん。
「あのー…ちょっと怪人について教えてもらえますでしょうか?」
 己の仕事を定めたフィンはさっそくそばのキマイラへ話を聞くのだった。

 そして気が付いたらキマイラと一緒にラニューイを応援していた。
「……はっ!?」
 いけないいけない。後から来る方々のために有利になる情報を探るつもりだったのだ。いつの間にか怪人に土俵際まで追いつめられた少女を応援してしまったが、本来の仕事はティラノサウルス怪人の分析なのである。
 だから力仕事は、他の猟兵さんたちにガツーンとおまかせしちゃいますっ!
「がんばれー、女の子がんばれー!」
「がんばれ、がんばれっ!」
 それでもいつのまにか周囲に流されて一緒に応援してしまいそうになるのだが。
「がんばれー…じゃなくて、もうちょっとお話し聞かせてください」

 
 はぁー、どっこいしょ。
 フィンは外見に似合わない声を吐きながらしゃがみ込む。歩きにくい人混みで聞きまわったおかげで足が疲れた。
 その間に怪人がビルへ投げ飛ばされるなどのアクシデントがあったが、収穫は確かにあったと思う。
 フィンは腕を組みながら、頭のなかでキマイラたちから聞いた話を統合していった。
「ふんふん、なるほど?」
 怪人の戦い方。動き。そして振る舞い。パターン化して行動の原因を推測すると見えてくるものがある。
「なるほど、あの怪人はつまり……」
 ぴこーん。
 フィンは目を輝かせながらピンと人差し指を立てた。
「―――頭が、重いんですね!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​


「うぐ、お…!」
 ビルへと叩きつけられ、地面に落ちたティラノサウルス怪人が立ち上がる。
 地面を踏みしめた足が、がきりと音を鳴らした。きっとカメラの破片でもあったのだろう。
「きさま…!」
 ティラノサウルスを模した頭部、その眼窩に激しい怒りが滲む。彼にとってもっとも腹立たしいことは相撲に負けたことでなく、カメラを破壊されたことでもなく、土俵を囲むキマイラたちに、さらに配信を見ているであろうキマイラたちに、この怪人の敗北する様を見せつけられたことだった。
「ただでは済まさんぞ…! もう一度勝負だ!」
 怪人は肩を怒らせながら猟兵へと近づき、そして指を突きつけながら再戦を申し込んだのだ。
雷陣・通
次は俺だな!
父ちゃんが言っていたぜ!
本当に強い奴は目立つことを好まないってな!
つまりアンタはそういう事だ、違うというなら……俺のライトニングな挑戦を受けてみろ!

SPDを活かして、相手の動きを翻弄するように攻めていきます
具体的には土俵際に追い詰められた時や投げられた時にスカイステッパーで連続ジャンプから相手を飛び越えるように後ろを取り、そこから一気に押し出します

これぞ、相撲四十八手の一つ八艘飛び(ライトニングエイトボードステップワーク)
どうだ? ライトニングだろう?



「なら次は俺だな!」
 新たに飛び出す姿は身長139.8cmの小柄な少年。小学5年生の雷陣・通(ライトニングキッド・f03680)だ。
「いいだろう。勝負!」
 対して怪人は新しい対戦者の体格など気にせず土俵で構える。直前にか弱い少女に投げ飛ばされたばかりだ、少年相手に油断するなどどうしてできよう。
「父ちゃんが言っていたぜ! 本当に強いやつは目立つことを好まないってな!」
 ティラノサウルス怪人に激昂する様子はない。むしろ鼻で笑い、己が体の大きさを強調して両手を広げる。
「それはお前の父親が臆病者だからだ」
「なんだと!」
 たとえ怪人に挑発の意志がなくとも、カチンとくるのが通だ。武者修行をすると言って姿を消した父親を求めて、異世界まで探しにやってきたほどの少年である。父親を臆病者と言われて反応せずにいられるだろう。
「違う!」
「違わん」
 言葉は交わらない。理解も同意もない。お互いに譲れぬ思いがあるのだろう、ならば。
「違わないというなら……俺のライトニングな挑戦を受けてみろ!」
「いいだろう、勝負で白黒つけてやる!」
 ここに猟兵と怪人の相撲勝負、第二回が始まった。

 初手、怪人の突進。怪人は膂力と長い手足を十全に生かして通に仕掛ける。
 対して、通の回り込み。通は素早さと小柄な体を生かし、怪人に捕まらぬよう目まぐるしく位置を変える。
 互角に立ち回り翻弄し続ける通だが、怪人の表情に焦りはない。むしろ通の素早さを前に余裕さえ浮かべていた。
 怪人は通の素早さに翻弄されながらも、巨躯を利用して壁のようにゆっくりと、通の移動経路を潰していったのだ。
「これで終わりだ!」
 怪人は追い詰められた通へ両手を振り下ろす。勝利を確信した一撃。
「それはどうかな!」
 そのとき、通は確かな勝算を以って跳躍した。一度の跳躍で怪人の胸の高さまで。そして二度目の跳躍で怪人の頭の高さまで。
「なんだと!?」
 三度目の跳躍で頭を飛び越え、四度目の跳躍で背後へ回る。
「お前、頭が重いんだってな!」
 さらに五度目と六度目。通は勢いを付けて背後から相手の頭に脚を掛け、そのまま土俵の外へと押し出すのだ!
 これぞ相撲四十八手の一つ。八艘飛び(ライトニングエイトボードステップワーク)である!
「うおおおお!?」
 通へと覆いかぶさろうと前傾姿勢をとっていた怪人は、そのまま背後から後頭部を押されバランスを崩し、ついに土俵の外へと叩き伏せられたのだ。
「どうだ? ライトニングだろう?」
 最後の七度目の跳躍。土俵の中心へと降り立ち、通は誇らしげに拳を掲げるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『怪人を追え!』

POW   :    とにかく全力で追いかける

SPD   :    ルートを読んで事前に罠を仕掛けておく

WIZ   :    話しかけて注意をひく

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

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 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「そうか貴様ら、猟兵か!」
 二度に渡って体を土に付けられたティラノサウルス怪人が吠える。
 怪人の言い当てた正体に、相撲勝負を見守っていたキマイラが色めき立った。
「猟兵? 猟兵なの!?」
「まじで! 握手して!!」
 キマイラたちの反応には無理もない。キマイラフューチャーにおける猟兵たちの認識は『怪人をやっつけるめちゃくちゃカッコいいヒーロー』である。どうしてそのように認識されているかは、この場にいる猟兵ならばよくわかるだろう。ほかならぬ当事者なのだから。
 それが、怪人にとっては忌々しい。
 怪人のすごさを、キマイラとの格の違いを思い知らせようと活動しているのが、猟兵の活躍の宣伝に塗り替えられてしまっている。
「こうなったら…」
 苦虫を噛み潰した表情。そこからこぼれた呟きに、猟兵たちが反応する。
 逃げる気だ。
「ウオオォ――ッ!」
 大声を上げて怪人は走り出す。真新しく舗装された道を、サイバーパンクの街並みを、けたたましく走り抜ける。道行くキマイラたちがぎょっとした表情を浮かべるが、怪人は見向きもしない。
「追いかけるぞ!」
 傭兵の誰かが声を張り上げた。追跡の始まりだ。
 すると、ガラン!と耳障りな音が傭兵を襲った。
 怪人によってねじ切られた看板が投げつけられたのだ。
 どうやらあちらも追いかけられることは織り込み済み。大人しく逃げるつもりはないようだ。
 ならば妨害を掻い潜りながら追いかけるしかない。
ラニューイ・エタンスラント
は?逃がす訳ないでしょ。血統覚醒を再び使用して全速力で追いかけるわ。ついでに投げつけられた看板は怪人の進路を塞ぐように投げ返しておくわ。他の妨害が来ようが、全部薙ぎ払って踏み潰して全力で追いかけていくわよ。



「うわあああ!」
 キマイラの悲鳴が響く。原因は留め具を力任せにねじ切られた看板だ。大人2人分に相当する質量が怪人に投げられ宙を舞う。ゆるい弧を描きながら猟兵たちの元へ落ちてゆく。
「は?」
 それを一歩前に出たラニューイ・エタンスラント(ダンピールの聖者・f05748)が一蹴した。彼女の紫色だった眼が、いまは赤い。深紅の宝石が爛々と輝く。
 自身の体重の何倍もある看板を彼女は掴んだ。ヴァンパイアのその凄まじい握力によって指が鋼鉄に食い込んでいた。
「逃がす訳ないでしょ」
 そのまま強引に振りかぶる。投げ返すその狙いは怪人…のやや前方。進路を塞ぐ軌道。
 やがて人外の膂力で投射された看板が直線状に飛び、怪人の走り込もうとした路地を横切り壁に突き刺さる。
「ぬお!」
 ならばと怪人は足を止め看板を投げ返そうとするが、壁に深く突き刺さって引き抜けない。
 悪態をつきながら跳躍し、次は大きな車道に飛び出る。目当ては小型な電波塔、突進で根元からへし折って、後続の猟兵に向けて倒れるよう仕向けたのだ。
 往来のキマイラが悲鳴を上げながら逃げまとった。電波塔は大きい、黒塗りの円柱型でおよそ高さは10mを越える。倒れたときの恐怖は看板の比ではなく、キマイラは下敷きにならないよう避難するのに必死だ。この混乱もまた怪人の妨害のうちかもしれない。
 が。
 そんな小細工など、圧倒的な力の前には無意味であることを思い知らせるものがいた。
 ラニューイである。
「こんなもの!」
 彼女の無造作な腕の一振りで、倒れ込んできた電波塔が弾け飛ぶ。路面を著しく傷つけたであろう黒塗りの巨大質量は、接地する直前に無数の破片へと分解されたのだ。
 続いて飛来してくる宣伝用ドローンも、モニュメントも、その全てが猟兵へと命中する寸前に粉砕されてゆく。
 彼我の差は、まだ縮まらない。
 しかし決して、離さない。
「あのねーちゃんすげーッ!」
「いまの見た? こう、こう…ドーン!みたいな!」
「モノリスがワンパンなの超笑う」
 いつしか怪人と猟兵の追走劇は、屋内に避難したキマイラたちのイベントとなっていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ナナ・モーリオン
スモウ?は見た感じボクには無理そうだったけど。追いかけっこなら任せて。
(コードの大狼に乗り込んで)行こう。狩りの時間だよ。逃げるトカゲを追いかけないと。

大きい道は逃げ道がいっぱい。狭い裏路地に誘い込むの。
そっちに誘導するように、跳び回って、回り込んで。
でっかい身体。狭い道だと動きづらいでしょ?
まぁ、それはこの子も同じだけど……追いかけてるのはボクたちだけじゃないし。
淘汰する側じゃなくて、逃げて、追われて、追い詰められて、淘汰される側の気分……味わってみると、いいんじゃないかな。



「……」
 銀髪が、黒い狼の背で揺れる。
 ユーベルコードによって呼び出された黒炎の身体を持つ大狼。その背に跨る幼い少女。
 名はナナ・モーリオン(スケープドール的なモノ(本人談)・f05812)という。
 彼女の紫の瞳が向く先には、大通りを駆ける恐竜の怪人の姿がある。追いかける猟兵も見えるが追い詰める決定打に欠けているようだ。
「大きい道は逃げ道がいっぱい。狭い裏路地に誘い込むの」
 蕾のような唇が言葉を紡ぐ。
 言葉の通り、大通りを直線に走る怪人に追いつくのは難しいところがあるだろう。道路脇に設置された豊富な機器が、そして道を行き交う無関係なキマイラたちが、怪人にとって追跡を妨害する潤沢なリソースとなってしまっている。また、直線状の広大なスペースは怪人がその身体能力を発揮するのにふさわしい環境なのだろう。相撲勝負に敗北した怪人だが、長距離走では一歩も引けを取らない。
 だから、狭い路地に誘い込む必要がある。
「行こう」
 少女は大狼の耳に唇を寄せる。
「狩りの時間だよ。逃げるトカゲを追いかけないと」
 路上を疾駆する狼が小さく頷いた。

 前傾姿勢のまま車道をひた走る怪人が、後方を確認する。
「!」
 するとそこに、弾丸めいた速度で突っ込んでくる黒い狼が見えた。
 このままでは接触する。危険を察知した怪人は少女の駆る狼の軌道から逃れるため進路を左に曲げる。そうなれば車道から出て歩道へと進入することになるがやむを得ない。とはいえ接触して噛みつかれるよりはマシだ。
 次に電波塔の破片が飛来する。後続の猟兵の誰かが投げたのだろう、これを怪人は走りながら左へステップして回避する。
 直後。
「なんだと!」
 少女と黒狼が横合いからさらに突っ込んできて、怪人の体は歩道から路地へと弾き飛ばされた。

 薄暗い裏路地にがらがらと空容器が転がる。続いて恐竜の体の怪人までも。
「くそ…!」
「でっかい身体。狭い道だと動きづらいでしょ?」
 急いで体を起こす怪人はそこでようやく、黒狼に跨る少女をまじまじと見た。
 随分と幼い娘だ。年のころは6歳程度だろうか、どこか意識を浮遊させつつあるような口調で、話を続ける。
「淘汰する側じゃなくて、逃げて、追われて、追い詰められて、淘汰される側の気分……」
 それを。
「味わってみると、いいんじゃないかな」

成功 🔵​🔵​🔴​


「舐めるなァ!!」
 怪人が怒号を上げた。
 ナナの言葉のなかに、どこか引っかかる部分があったのかもしれない。あるいは狭い路地へ叩きこまれたことが気に入らなかったのかもしれない。ただ怒気を発するだけの彼からは、怒りの原因など伺えない。
 怪人は怒りに身を任せ、すぐそばに設置されていた無人販売機を両手で掴み上げる。
「オオアアアァッ!!」
 さらに猟兵めがけて投げつける。雑な投擲ゆえに動かなくとも当たることはないが、壁に打ち当たった販売機はひしゃげて破片をまき散らし、周囲の窓を割っていく。
 破片の降り注ぐ裏路地。
 一度怒りを発散した怪人は再び逃走の姿勢を見せた。
 まず初めに跳躍。割れた窓ガラスの枠に脚を掛けて皿に跳躍。
 やがて平ビルの屋上へと到達すると、再び走り始めるのだった。

 すぐ追いかけ始めようとする猟兵に、別の猟兵が声をかける。
「まって」
 逃走を再開した怪人の走る方角。そして最初に怪人が走りだした方角が、同じだ。
「もしかしたら、どこかを目指してるのかもしれない」
ミコトメモリ・メイクメモリア
「キミ、キミ、あまり迷惑をかけながら逃げ回るのは、関心しないな」

ユーベルコードの力で、予めばらまいておいた「記憶の欠片」へワープを繰り返して、相手の移動先へ先回り。
進行方向にボクという「敵」がいることを見せて、怪人が逃げるルートを誘導していくよ。

この世界の人たちにとっては、ボク達の戦いはエンタメみたいなものなんだっけ?
だったら、見物してる人たちが見やすい、大通りまで導いてあげようか。
ああ、ちゃんと避難はしておいてね? 危ないからさ!



―――こりゃ、狭い路地に追い込むのは危険かな?
 怪人を追う猟兵のひとり、オレンジ色の瞳を持つ娘は路地の合間から屋上を見てひとり考える。
 いまのところ怪人が走る場所はビルの屋上だ。屋上から屋上へと飛び移ってゆく。
 一番最初に怪人が逃走した方角も南。それからずっと南下してきて路地に追い込まれ、屋上に出てなお目指す方角も南。
 ――南には何があるんだろうね。
 ミコトメモリ・メイクメモリア(ポンコツプリンセス・f00040)はそこで思考を中断した。そろそろ怪人の姿を見失いそうだ。
 そこでミコトメモリは何かを取り出す。よく観察すればどこかの景色が映っているように見えるかもしれない。他の猟兵に伺い知れない、ミコトメモリのみが原理を知る小さなピース。位置情報の記憶の欠片。
 途端、欠片に指先で触れた少女の姿は虚空に掻き消えて。
 そして屋上を走る怪人の目の前に出現した。
「ぬおお!?」
 驚き慌てて少女を避ける怪人。その拍子でティラノサウルスの巨躯に触れた直方形の空調設備が転がり屋上から落下した。ビルの真下からキマイラの驚いた声があがる。
「ねえ、キミ」
「知るか!」
 ミコトメモリの呼びかけを怪人は聞こうとしない。無視して再び南へ走り出す。
 するとどういうことだろう。話しかけていた彼女の姿がふつりと消えた。
「キミ、あまり迷惑をかけながら逃げ回るのは、関心しないな」
 そして、怪人の向かう先に再び現れる。
「な、なんだ…!?」
「ボクの名前が知りたいのかい?」
 ぬかせ、一瞬呆気にとられた怪人は悪態をついて気を取り直し、少女を無視して逃走の再開をする。だが、すぐに同じ展開が繰り返されてしまう。
 何度も。何度も。
 怪人が逃げようとする先に、たちまち少女が先回りする。
 にこにことほほえむミコトメモリの、後ろに組んだ手の中には記憶の欠片がある。それは彼女がグリモア猟兵として持つ力の一端なのだ。
 狼狽して立ち止まってしまう怪人へ笑顔を見せつけながら、彼女は大通りの様子をそっと横目に見る。
 ――うん。キマイラたちの避難は済んでいるね。
 他の猟兵が手を回してくれたのだろう、屋上から見える範囲にキマイラの通行人の姿はない。逆に建物の中からこちらの様子をじっと眺める姿なら、そこかしこに見られる。
 ――この世界の人たちにとっては、ボク達の戦いはエンタメみたいなものなんだっけ?
「これでどうかな」
 再び彼女の姿が掻き消えた。次に現れる場所は怪人の目と鼻の先だ。
「ぬおおお!?」
 これまで逃走先に先回りするだけだった猟兵が、突然方針を変えて接近してきた。それだけで怪人の警戒度は跳ね上がり、屋上から大通りへ飛び降りるのだった。
「よしよし」
 屋上にはただひとり、満足げに腕を組んだ姫が残った。

成功 🔵​🔵​🔴​

石動・劒
POW
おう、ティラノサウルスだかティーレックスだか相手に切った貼ったは初めてだから大歓迎……はあっ!?野郎逃げやがった!?
くっそ敵前逃亡は俺の故郷じゃ死罪だぞ死罪!聞いてるのかオイ!止まって俺と勝負しろよ!斬り結……んじゃいけねえか、とにかく相撲でもなんでも良いから俺と死合おうぜ、なあオイ!
普通に追って容易に追い付ける相手でもねえことは確かだ。ここは回りに気を付けつつキマイラのいないような人気の少ない開けた場所で、「徒刃鳴」の衝撃波で野郎を足止めしながら追い縋るぜ!
オラオラァ、避けねえと痛いぜぇ!避けたら避けたで俺との距離が縮むんだけどな!
あっ、ヤバ、なんか壊した。後で弁償しねえと……。



「おう」
 年の頃は十代の半ばだろうか、着物を臙脂色のマントで包んだ青年が大通りから見上げて声を出す。
 視線の先には、ビルの屋上から飛び降りた怪人がいる。怪人はそのまま南へ…つまり自分の立つ方角まで走り出した。
 石動・劒(剣華・f06408)は顎を撫でながら満足げに頷く。
 このまますぐに接敵できるだろう。恐竜の力を宿した怪人を斬ればどういった心地になるだろうか。期待に胸が膨らんだ。
 やがて劒と迫りくる怪人がいよいよ接触しようというとき、彼は声をかける。
「歓迎するぜ。ティラノサウルスだかティーレックスだか相手に、切った貼ったは初めてだ」
 二人の視線が合った。
 劒は剣の柄に手を掛ける。
 怪人はさらに加速する。
「―――…」
 両者、静かに息を吐き。
 やがて、影が交差した。

「はあっ!?野郎逃げやがった!?」
 悠然と駆けてゆく怪人の背中を信じられないという顔で振り向いた。
 逃げられた。
 それはもう見事なスルーだった。
「くっそ敵前逃亡は俺の故郷じゃ死罪だぞ死罪!」
 剣を抜き、片手に持ちながら全力で追いかけて怪人の背を非難する。
「聞いてるのかオイ!」
 聞いてない。
「止まって俺と勝負しろよ!」
 止まらない。
「とにかく相撲でもなんでも良いから俺と死合おうぜ、なあオイ!」
 振り向きもしない。
 怪人の塩対応と、抜き身の剣を片手に追いかける猟兵にキマイラたちはむしろ大いに盛り上がる。
「やべー!通り魔だやべー!」
「あの猟兵ちょーこえー!」
 能天気なキマイラたちにむしろ腹が立った。立つのだがただ走っていては埒が明かない。普通に追って容易に追い付ける相手じゃないことは確かだと、怪人を評価していた。
 走りながら呼吸を整え、雑念を払う。キマイラたちは皆、建物に避難していて、遠慮なく剣を振るえる環境だ。
 劒は剣を振りかぶった。
 誰がどう考えても剣の長さでは怪人の背には届かないという距離で、真横に一閃した。
「咲いて、散れ」
 放たれる一閃。それは確かに怪人まで届かない。しかし忘れてはいけない、猟兵とは埒外の存在なのだ。猟犬の一閃は常識を凌駕する。
 剣によって生み出される衝撃が波となり、やがてそれは軌跡を拡大する刃となり、目標へ襲い掛かるのだ。
「なんだと!?」
 怪人が咄嗟に振り向き、体を捻りながらのステップで回避する。
「ようやくこっちを向いたな?」
 剣を振り抜いた姿勢で劒が追い縋れば、僅かに両者の差が縮んでいる。
 剣鬼のユーベルコード、徒刃鳴。再び放てばさらに差が縮む。
「オラオラァ、避けねえと痛いぜぇ!避けたら避けたで俺との距離が縮むんだけどな!」
 調子づいた劒は同じ技を連発する。だんだんと着実に追い詰めていく感覚に口角が持ち上がる。
 そしてさらにもう一発。距離を大きく縮めてやると気合を入れた一撃を放つと。
「あっ、ヤバ、なんか壊した」
 弁償、という単語がよぎった。

成功 🔵​🔵​🔴​

白斑・物九郎
「逃げる獲物に追う猟師
オゥケィ、ワイルドハントの始まりっスよ
俺めを差し置いてオブリビオン風情が配信キメて高再生数ですとかよ?
身の程思い知らせてやりますわ!」


●SPD
野生の勘コミで敵を追走

UCを「当てて致傷する」ではなく「周囲の視覚情報をグチャグチャにし、次の逃走経路を得辛くさせる」目的で運用
先回りが成功したら、腕を宙へ一振り・砂嵐(モザイク)を喚起
敵前方・進行方向上をUCで扇状に広く薙ぐ

「嵐の王、改め『砂嵐の王(ワイルドハント)』
ココは俺めの狩猟場
おたくにとっちゃ屠殺場」

モザイク空間の只中に立ち己を強化状態に
敵の威圧を図る
敵がモザイク空間から離脱しようとしたら組み付き系のグラップルで捕捉せん



「逃げる獲物に追う猟師」
 ひとりの青年が大通りに佇む。通りに沿って真っ直ぐ南下してゆく怪人の進行方向に、浅黒い肌のキマイラがいた。
 すわ避難しそびれたキマイラかと、建物のなかのキマイラたちがこっちへ来いと呼びかけてくる。が、青年がそれに応える様子はない。
「オゥケィ、ワイルドハントの始まりっスよ」
 彼の名は白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)。キマイラの猟兵だった。
「俺めを差し置いてオブリビオン風情が配信キメて高再生数ですとかよ? 身の程思い知らせてやりますわ!」
 左の掌に右拳を打ち込んで、口元を歪める。
 やがて通りを一直線に走る怪人の姿が近づく。キマイラの存在に気付き、即座にそれが猟兵であると看過した怪人は走り幅跳びの要領で素早くジャンプ。ホログラム宣伝用のドローンを掴み、素早く投射する。
 二人の様子を見守る無数のキマイラたちが悲鳴を上げた。
 対する物九郎。勘によって既に怪人の出方を予測していた。ひらりと体を捻り、ドローンを回避する。
 キマイラたちの歓声を迎え。次に始まるのは怪人と猟兵の並走だ。
「やはりお前も猟兵か!」
 おう、と袖を巻くりながら答える物九郎。刻印を宿した左腕が宙へ振られる。
 ざり、ざりざり。
「嵐の王、改め『砂嵐の王(ワイルドハント)』」
 ざりざりざり、ざー。
 その光景をひとはなんと例えるだろう。爆発的に増殖する細菌、あるいは石の投げ込まれた池の波紋、またはプールに零されたバケツ一杯の絵具。
 不穏さを醸し出して、空間へ白黒の砂嵐が染み出てゆく。
「なんか出したぞ!」
「なんだあれ、モザイク?」
 ビルから顔を出す観客が色めき立った。
「オイラ見たことあるよ、通信障害でホログラムが安定しないときによく似てる!」
 観戦するキマイラの言葉はあながち間違いでもない。物九郎が生み出したそれは言うなれば白黒の砂嵐状モザイク。色彩や輪郭の狂ったモザイクの空間が周囲を塗りつぶしていたのだ。
「ッ!?」
 これにはティラノサウルス怪人とて足を止めざるを得ない。正体不明の謎の空間に飲み込まれては、無視するわけにはいかなくなったのだ。
 物九郎から離れるように、かつモザイクの範囲から出ようと怪人は跳ぶ。するとたちまちグラップルで組み付き、決して逃さないのが物九郎だ。
 怪人の表情に焦りが浮かぶ。この男、先ほどより明らかに身体能力が向上していると。
 原因があるとすれば、このモザイクの仕業に違いない。
「これはなんだ!」
「ココは俺めの狩猟場、そんでおたくにとっちゃ屠殺場さァ」
 怪人は物九郎の体を引き剥がそうとするが、びくともしない。それどころかモザイクはさらに周囲を侵食していき、猟兵の纏うプレッシャーを増してゆく。
 ついに長い逃走劇も終わりだ、そう誰もが思った。
 だが。
「いいや」
 怪人は静かに首を振った。そして物九郎の後方へ視線を向けて言葉をつづけた。
「ここが俺の目的地だ」
 向けられた言葉に怪訝な顔で物九郎はモザイクを解除する。だんだんと輪郭を取り戻してゆくその先には、白亜の壁と薄緑色の屋根を持つ大きな建物。
「サイバーパンク国技センター…!」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ティラノサウルス怪人』

POW   :    ザウルスモード
【巨大なティラノザウルス】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    ティラノクロー
【鋭く長い爪】による素早い一撃を放つ。また、【装甲をパージする】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    学説バリエーション
対象の攻撃を軽減する【羽毛モード】に変身しつつ、【体から生えた鋭く尖った針のような羽毛】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


サイバーパンク国技センター。
 それは俗称であるが、正式な名前を誰も知らないため、キマイラの間ではサイバーパンク国技センターで定着している。
 観覧席は1階部分およそ10500席、バーチャル観覧用設備多数、配信機材完備。かつて多くの力士が競ったであろう、相撲の聖地がそこにある。
 目当てのセンターへたどり着いたティラノサウルス怪人は、続々と追い付いてくる猟兵に向いて口を開いた。
「本当の相撲を見せてやろう」
 ババーンと白磁の扉を開けて見せれば、その奥に見えるのがホールの中心で盛り上がったステージ。土俵。
 行司の衣装をまとった全自動はっきょいロボが、ネオプラスチック製の黒塗りの軍配を構え、力士の勝負をいまかいまかと待ち受ける。
「もはやキマイラへの示威もない」
 怪人は悠然とした足取りで通路を歩く。
「お前たちへの恨みもない」
 やがて土俵へとのぼり、四股を踏む。
 重心を落とし、足を開きそして構え、手を膝頭に置き、左右の足を交互に高く持ち上げて、力を込めて地を踏む。それは邪気を払う儀式。ティラノサウルス怪人もまた力士の端くれならば、その儀式によってセンター内部の穢れが悉く払われ、清浄な空気が満ちた。
 怪人は続いて塵を切る。
「キマイラたちとの相撲では叶わなかった、全力の激突を俺は望む」
 全自動はっきょいロボの目に光が宿った。
 猟兵と怪人の決戦がいま、幕を開ける。
オン・スロート
遅れて現場に到着。
POW行動。

「無差別攻撃には無差別攻撃だ。こちらも同様の手を取らせてもらおう。」
即座にベルセルクトリガーを発動させ、オン・スロートは暴走し始める。
ティラノサウルス怪人をアサルトウェポンで殴りつけるようにしてから至近距離で発砲。
そののちに、超重装甲の重さを生かした殴る蹴る、足を踏みつけるなどのラフファイトで至近距離のドツキ合いを敢行する。
「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」


ラニューイ・エタンスラント
全力で、ねぇ?なら、こっちは武器込みだけど構わないわよね?といいつつ聖霊剣グロワール・リュミエールを呼び出して、ユーベルコードを使用するわ。相手も同じ系統のユーベルコードだったと思うけど、なら我慢比べよね?



サイバーパンク国技センターの観覧席はいまや無数のキマイラたちに埋められていた。サイリウムを振って推しを応援するものや、配信機材を持ち込んでいるものがいる。ちょうどライブ配信サイトでは『猟兵VS怪人』なるタグの配信が再生数を爆発させていた。
 土俵の中央。巨躯の男が息を吐く。煙に似た白い靄が溢れて、戦場の空気に砕けて消えた。
 同じく土俵の上。鮮やかに咲くアザレアピンクの花。か細い身体に尋常ならざる力を宿した娘がうっすら口元を弧にする。
「全力で、ねぇ?」
 確かにそう言ったわよねと念を押す。
「なら、こっちは武器込みだけど構わないわよね?」
 ラニューイ・エタンスラント(ダンピールの聖者・f05748)の意思が一振りの剣を望む。すると彼女の手に収まるのは精霊の属性を宿す魔法剣だ。光の精霊に最も祝福された剣は、まさに聖剣と呼ぶにふさわしい刃を持つ。
「……」
 怪人が示すのは無言の肯定。腰を落とし、大きく息を吸って全身をわななかせれば、やがて全身に変化が現れた。
 ラニューイにもまた変化が起きた。手の聖剣が光の祝福を溢れさせ、ラニューイの体を包んだのだ。
『ゴオアアァァァァァァッ!』
 咆哮が轟く。ティラノサウルスの頭部から発生した爆音に、席のキマイラたちが一斉に縮こまる。怪人など猟兵の引き立て役にすぎないと楽観していたものたちが、しんと静まり返った。このとき彼らは思い知らされたのだ。骸の海から蘇った彼らオブリビオンの、生命体としての格の違いを。
 怪人の輪郭がざわざわと抽象化し、次々と孵化してゆく。現れる羽毛は鳥獣のそれとはかけ離れた、鋭く尖った針のようなそれ。全身に殺意を纏わせた怪人の咆哮は、キマイラフューチャーの獣たちを恐怖の奥底に叩き落とすのだ。
『我が身に宿りし聖なる輝きよ』
 だがそこに、ひとつの澄んだ声が響く。
『夜を斬りさく剣となれ!』
 暗闇に閉ざされたキマイラたちを、一条の光となって照らす声。その主は輝きを脱ぎ捨てて、騎士然とした姿を現した。聖剣を持ち、光に祝福された騎士ならば、即ち聖騎士に他ならない。
「うわーー!!」
「かっこいいぜねーちゃん!」
 再びセンターが歓声に包まれた。極彩色のサイリウムが踊って猟兵を応援する。
 片や全身を鋭い羽毛で覆った怪人。片やダンピールの聖騎士。
 両者は瞬時に互いのユーベルコードが同系統のものと察知し、我慢比べを予感した。
『八卦良い』
 全自動はっきょいロボが軍配を翳す。
『――残った!』
 瞬間。光が迸った。

 オン・スロート(猛襲猟兵・f01587)がセンターに到着したとき、まず初めに目まぐるしく飛び回る光が見えた。やがて緑色の視覚センサーが光を精確に捉えると、人型をしているのがわかる。それが怪人相手に相撲勝負をした娘だと理解した。
 狭い土俵の上を一体のオブリビオンと一人の猟兵が目まぐるしく動き、立ち位置を変え、時には交差し、激突する。そのたびに光の余波が火花のように降り注ぐが、観客に影響はないようだ。
 状況は悪そうだな。
 ウォーマシンが土俵へ歩を勧めながら静かに観察する。
 周囲のキマイラは初めに振っていたであろう、サイリウムを硬く手に持ち、不安げな視線を土俵の猟兵に注ぐ。応援していた声は既に縋りつくような悲鳴に変わった。
 両者が同じ系統のユーベルコードを使用し、耐久勝負となった。と、黒で統一された体を土俵に近づけながら静かに考察する。さすがオブリビオンと言うべきか、その耐久力は一人の猟兵を大きく上回る。耐久勝負では厳しいようだ。
 現に聖騎士の動きは精彩を欠き、しかし羽毛の怪人はさらにギアを上げてゆく。
「お前の全力、見せてもらった!」
 怪人がいよいよ巨大なティラノサウルスへと変身し、ラニューイへ王手を掛けた。巨木めいた後ろ足が聖騎士を踏み潰さんと踏み下ろされる。そこで彼は介入を始めた。
 凄まじい音と衝撃が会場を駆け巡った。
 振り下ろされた脚が齎した衝撃はいかほどだろう。地震を起こして余りある力が込められていたに違いない。
「お前の考えは正しい」
 身長282.6cmに及ぶ巨躯のウォーマシンが受け止めていなければ、土俵の一角が崩れていたかもしれない。
「重装甲、重火力。それこそが戦の本尊だ」
 ティラノサウルスの脚を両手で受け止めたまま、彼の体が組み変わる。
 より重く、より硬く。オン・スロートの何より重視する要素が体に備わる。
 脚を力任せに押し上げれば、驚愕に染まるティラノサウルスの顔が見えた。
「少し下がれ。ここから先は、危ない」
 背の娘に声を駆け、男はさらなる力を得るため、静かに理性を手放した。

 さて『Onslaught』とは突撃、猛攻を意味する単語だ。そんな単語を名前に使用するウォーマシンの、戦いはいかほどか。
 それは連続する凄まじい振動に悲鳴を上げる施設が物語る。
「ゴアアアアアッ!!」
「GAAAAAAAAAAAA!!」
 巨大質量を振り回す暴力装置と化した怪人をウォーマシン・オンスロートは装甲を以って受け止め、アサルトウェポンで殴りつける。肉を打つ鈍い音と金属の甲高い音が同時に響き、すかさず至近距離で発砲。
 ティラノサウルスもまた桁違いの生命力で全て受けきり、前足を突き出した。
 超重装甲の拳が迎え撃つ。
 交差する肉と鋼の暴力、破壊が施設を何度も揺らした。
 観覧席のキマイラたちはもはや応援どころではない。ただ頭を抑えて縮こまり、彼らの凄まじい力の余波が己の身に降りかからないことをただ願う。一方で画面ひとつ跨いだ先の、配信視聴者たちはさながら怪獣と鉄人の大決戦とも呼ぶべき戦いに歓喜のコメントを降らしていた。
『オンスロート!オンスロート!』
『そこだぶっ飛ばせ!』
『俺たちの怪人絶対殺すマシーン!』
 さらにはウォーマシンの足がティラノサウルスの足を踏みつけ固定し、全質量を乗せた渾身の右ストレートを放てば、コメントは一気に沸き立った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ナナ・モーリオン
あぁ、そうか…そうだね。
あなたも、この子たちと一緒だったんだね。
淘汰されるのが認められなくて、抗ってる側。
ごめんね、気付いてあげられなくって。そう言うことなら、ちゃんと受け止めるから。

この子が。(怨念の獣(えっ))
というわけで、この子にスモウを取らせるよ。
大丈夫大丈夫(動物と話す)。
いけるいけるいい子いい子何とかなる何とかなる(騎乗(?))。
しろ(呪詛)。



『グオオオオオオオ!』
 ティラノサウルス怪人の咆哮が響き渡った。
 観覧席のキマイラたちは一斉に恐怖する。猟兵との激しい戦闘を経ても凄まじい暴力を誇示し続ける怪人に息を呑んだのだ。
 果たして一体誰がこの荒ぶる怪人を鎮めることができるのか。目を瞑り耳を塞ぐキマイラたちは猟兵に祈りながら、どこかで諦めを抱き始める。この怪人には誰も勝てないのかもしれないと。
 怪人は再び吠える。誰も己に勝てるわけがないと、怒りを、力を声に乗せて。
「あぁ、そうか…」
 ただ、観覧席にいたナナ・モーリオン(スケープドール的なモノ(本人談)・f05812)にはそれが慟哭のように聞こえた。
 悲しみの感情と、抗う意志と、やり場のない憎しみがこもった、悲痛な叫び。
 あの路地裏で怪人を追いかけたとき、己の言葉に突如怒り出した様子を見て、ずっと考えていたのだ。その答えがいまようやくわかった。
「あなたも、この子たちと一緒だったんだね」
 目を伏せると、その先に体を丸める黒炎の身体があった。
 彼女のユーベルコードによって呼び出され、付き従う黒の大狼。怨念の獣。
 紫水晶の瞳は、獣たちの感情を透かし見る。淘汰されるのが認められなくて、抗うこころ。もし怪人も同じ感情を持つのならば。
 受け止めてあげたい。
「ごめんね、すぐに気付いてあげられなくって」
 少女が観覧席から立ち上がり、一歩。土俵へと足を進める。また一歩。
 するとそばのキマイラがぎょっとしながら顔を向けた。まるで怪人へ挑戦するかのような行動に、正気なのかと視線で問うようだった。
「そう言うことなら、ちゃんと受け止めるから」
 黒炎の狼が立ち上がった。ナナの前を静かに歩く。
「この子が」
 えって表情で狼が振り向いた。
 周囲のキマイラたちも10人くらいナナを見た。
 無論、ナナの視線の先には黒炎の狼しかない。つまり『この子』に該当するのはひとつしかない。
 首を振って抗議する狼に大丈夫大丈夫と返す。
「いけるいける」
 むりむり。狼は控訴する。
「いい子いい子何とかなる何とかなる」
 ナナは控訴を棄却し、さらになし崩し的にその背へ跨った。
「しろ」
 ダメ押しの命令。ついに狼は情けなく鳴いて承服した。

 全自動はっきょいロボが軍配を動かした。
 ぴくりと怪人が反応する。見れば土俵へ近づく黒い炎の塊があるではないか。
「……」
 怪人の眉が訝し気に歪むが、やがて黒炎の正体が背に童女を乗せた大狼と知れば、次は敵意に引き締まる。
「新しい猟兵か」
 忘れもしない。大通りを駆けたときに己を路地へ叩き込んだ奴だ。
 踏みつぶしてやると息巻いたそのとき、全自動はっきょいロボが新しい挙動を見せる。
『ひがしぃ、ティラノサウルス怪人~』
 呼出しだ。なぜ今になって、と湧き上がった疑問が狼の姿によって解決した。
『にしぃ、怨念の獣~』
 全てを諦め現実を受け入れた目の大狼が二本の後ろ足で立ち上がり、なんと多少歪ながらも相撲の構えをとりはじめたのだ。
「おまえ、まさか…」
 俺と相撲をするつもりなのか。言葉にならなかった質問へ、背後の童女が首肯した。
『八卦良い』
 口元がにいと笑みを形作った。
 全自動はっきょいロボが軍配を翳す。
『――残った!』
 怪人の全ての装甲が一斉にはじけ飛ぶ。
 その下から現れるのは半裸。廻しのみを着用した姿。
 やがて怪人の爪が閃き、怨念の獣が牙を向き、両者は凄まじい速さで激突した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ロア・メギドレクス
余が相手になってやろう。帝竜の眷属よ。
余の名はロア。最古にして最強の万竜を統べる王である!

ふ。余を矮躯と見て侮っているな?不敬である!
……ならば示そう。余の姿を。化身法にて余の力の一端をここへ降ろすぞ。
そうだ。余こそ獣脚類王竜目、メギドラウディウス・レックス!その化身であるぞ!頭が高い!

「スモー」であろう。案ずるな。余は王であるが故に大抵の物事は知り、嗜んでいる。……さあ、東西恐竜合戦であるぞ!キマイラフューチャーの臣民たちよ、刮目して見よ!
正面から単純な打ち合いではおそらく不利。余は工夫を凝らす。足回りと体捌き。そして体重移動だ。スモウの真髄は、体格差を覆す技術である!さあ、敗北の味を知れ!



突如始まった相撲勝負に観客が色めいた。
 命のやり取りでなく、純粋な力と技を競い合う神事。見るものに恐怖でなく、感動を齎すもの。それが相撲だ。
 やがて全自動はっきょいロボが再び軍配を動かした。
 見れば土俵のすぐ下に小柄な影がある。
『にしぃ、ロア・メギドレクス~』
 10歳ほどに見える少年だ。土俵に登りながら浮かべる表情は大胆不敵。足を開き、腕を組んで怪人へと投げかける視線は、見上げていながらも見下ろしているような、不思議な自信と気迫があった。
「余が相手になってやろう。帝竜の眷属よ」
 少年の声で、見た目に相応しい尊大な言葉が放たれた。
「余の名はロア。最古にして最強の万竜を統べる王である!」
「そのナリで王を名乗るか!」
 怪人の嘲りを含んだ台詞に、ロアは八重歯を見せつけて鼻で笑う。不敬であると鋭い声を飛ばす、そして。
「余を矮躯と見て侮っているな?」
 怪人は答えない。ただ無言の肯定を返す。
 ロアは再び鼻を鳴らした。
「……ならば示そう。余の姿を。化身法にて余の力の一端をここへ降ろすぞ」
「いいだろう。見せてみろ、お前の力を!」
 怪人が吠える。廻しのみだった怪人の体はたちまち変化を現し、ティラノサウルスの巨体へと変貌してゆく。廻しをしたティラノサウルス。すなわちティラノサウルス大関だ。
 ロアも負けてはいない。バキバキと骨の軋む音を鳴らせばたちまち現れるのは古の竜の力。キマイラフューチャーとは異なる世界の、その古代における万竜の王。
「余こそ獣脚類王竜目、メギドラウディウス・レックス!その化身であるぞ!頭が高い!」
 土俵にて開催される東西恐竜合戦にキマイラたちが湧きたった。あるものは拍手し、あるものは立ち上がる。サイリウムがチャンバラのように振り回される。当然ながら配信画面の向こう側も大量のアクセスとコメント投下に遭いひとつの実況板がお亡くなりになった。
『改め』
 全自動はっきょいロボが呼出しを繰り返す。
『ひがしぃ、ティラノサウルス~』
『にしぃ、メギドラウディウス・レックス~』
 やがて両者が構えをとる。それぞれが恐竜の王という自負を背負って、互いを睨み付ける。
『八卦良い、残った!』

 初めにティラノサウルスが駆けた。理性のすべてを捨て去り、突進力に特化して襲い掛かる。
 それをメギドラウディウス・レックスは先読みして回り込む。正面から単純な打ち合いでは不利と判断したためだ。
 レックスは無防備な横っ腹を晒したティラノサウルスへぐっと加速し突進を敢行。崩れたバランスを踏ん張り持ち直すところに、巧みな足捌きから尾の一撃を顔面へ叩きつけた。
 レックスは不利を悟り、その上で工夫を凝らす。足回りと体捌き。そして体重移動。相撲の神髄とは体格差を覆す技術であると!
 彼は王であるが故に大抵の物事は知り、そして嗜んでいるのだ。
 負けじと巨大な牙で噛みつこうとしてくるティラノサウルスの顎に頭突きを見舞い、怯ませた。
「さあ、敗北の味を知れ!」
 最後にレックスが飛び掛かれば、ついにティラノサウルスの巨体が土俵の上で倒れたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

白斑・物九郎
「土俵の上で待ち受けられちまった日にゃ最早策の打ちようもありませんわな
あそこだきゃどうやったって小細工の持ち込めない場所ですからな

オゥケィ、テメエはココで狩る

その土俵
誰の狩場なのか白黒はっきり付けようじゃニャーですか」


●POW
前口上でいざ正面対決って感じを出した癖に、しかししっかり悪知恵持参
即ち「がっぷり四つと見せ掛けて前腕や掌の内側でガチキマイラ発動」

取組中、己の腕・体表にライオンの咬合力をちょいちょいこっそり発現
敵の体表に触れただけで「まわしを取られているでもないのにまわしを取られているかのようなホールド感」を感じさせ、真っ当な相撲に慣れた手合いをこそ混乱させる狙いの悪辣な取り口で投げ狙い



『にしぃ、白斑・物九郎~』
 呼出しが掛かる。
 その青年、黒髪に浅黒い肌を持った猫のキマイラだ。
 土俵に登れば、観覧席から囁き声が漏れる。曰く、生配信で見たことがあると。猟兵であることを知っていると。怪人を倒す様子を配信するキマイラであると。自分も動画にいいねしたことがあると。
「……」
 青年は甚平のゆるい袖で腕を組みながら、怪人をねめつける。
「土俵の上で待ち受けられちまった日にゃ最早策の打ちようもありませんわな」
 策とは、彼らがサイバーパンク国技センターへたどり着くまでに繰り広げた逃走劇で、物九郎が使用したモザイクのことだろうか。
 空間をモザイクで浸食しあらゆる形状を抽象化、かつそのモザイク内部において自身を強化するちから。それを彼は使用できないと言った、理由とは。
「ここだきゃ、どうやったって小細工の持ち込めない場所ですからな」
 彼なりに土俵という場を尊重しているのだろう。
 その様子に対し、怪人は重々しく頷いた。
 幾人もの猟兵と勝負し、地に付けられたとしても未だ怪人は健在だ。さすがはオブリビオンである。
 だが細かく見れば怪人の肉体には細かい罅が入っていることがわかる。負荷の大きいユーベルコードの度重なる運用。さらに猟兵たちから受けたダメージ。土俵に立つ怪人はいまだ健在であるものの、限界が訪れるのはそう遠くない未来である。
 物九郎は話を続けた。
「その土俵」
 猫の眼光が怪人を貫く。
「誰の狩場なのか白黒はっきり付けようじゃニャーですか」
 軍配が振るわれる。全自動はっきょいロボが開始を告げる。
『八卦良い、残った!』

 今度は、猟兵と怪人の組み合う展開となった。
 足を肩幅に開いて重心を落とした姿勢。怪人にとってはこれまで何度も取ってきた姿勢だが、猟兵にとってはどうか。怪人から見るかぎりでは己ほどではない。
 堅実に攻め勝つまでと、廻しを掴もうと伸びてきたもの躯折るの腕を弾き、反対に服を掴もうとして。
「……!?」
 そこで怪人は小さな違和感に気付く。
 物九郎の腕を弾いた瞬間、奇妙な引っかかりがあった。
「お前――」
 何か。何かを仕掛けられている。怪人の表情を見て察したのだろう、物九郎は悪辣で意味深な笑みを浮かべた。
 怪人は眉を顰めながら取組を続けて違和感を探る。例えば猟兵の体に触れた際、何か『捕まれているような』感覚を覚える。その根拠は猟兵が身を引いたとき、体の接触している部分に引っ張られるような力が掛かるのだ。また、接触部には鋭い歯で噛みつかれたような感覚もあった。
 怪人の脳裏に悪い予感と、疑問が無数に浮かんでは消えてゆく。
 果たしてその疑問が晴れたのは、物九郎が一気に仕掛けた瞬間だった。
「そ、それは!」
 僅かな一瞬、物九郎の腕に『歯が』見えた。
 それが何なのか、怪人が気付いたとき彼の中であらゆる事象が電撃的に繋がり、疑問が霧散する。
 猟兵の前腕や掌の内側、つまり怪人にとって見えない位置に物九郎はガチキマイラを発動させていたのだ。そして怪人が彼と触れた場所にも発動し、その顎によって怪人に噛みついていたのである。
 とはいえ、ただ浅く噛みつくだけではまるでダメージにはならない。物九郎の狙いはこの次にあった。
 お互いに相手を投げ飛ばそうと伸ばした腕が交差する。
 その瞬間に物九郎はガチキマイラを発動。相手の腕と密着した部位にライオンの頭部を現出させ、噛みつきによってがっちりとホールド。
 すかさず腕の振り上げで怪人のバランスを崩し、押し出し、右脚で軸足を刈り取れば。
 そこに完成するのは、変則大外刈り!
「おお、おおおおぉぉ!?」
 視界が急速に傾いた怪人は、接地の瞬間まで信じられないといった表情を浮かべた。
 どおん、と土俵を鳴らしながら倒れる怪人が見上げた猟兵の姿は。
 親指を立て、真下へと降ろす青年。
「オゥケィ、テメエはココで『狩った』」
 勝利宣言をしてセンター中の観覧席を沸かせる物九郎だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雷陣・通
父ちゃんから聞いたことがある、国技館は相撲の聖地と
その聖地でお前が……貴方がそのように振る舞うのなら、俺も一人の空手家として未熟なれど、お前と戦う

土俵を叩けばまわしが出てくるのがキマイラフューチャー
まわし姿で相撲チャレンジだ!

がっぷり四つから回り込んでの上手投げ。パワーで負けて投げられるならそこでスカイステッパー
「どっせい!! 俺のライトニング相撲はまだ終わっちゃいない!」
 残像を応用して懐に飛び込めば、後は全力押し出しフルパワー!

相撲でいう電車道!(ライトニングトレインロード!!)

どうだ!!
これでも、まだやるなら……いくらでも相手になってやる!!



ぺきり。
 小さな音が鳴った。それは怪人の体から聞こえる、限界の足音だ。使う力には大きなリスクを孕んだものがあり、度重なる酷使に肉体が軋んでいるのだ。
 しかし怪人はいまだ倒れない。土俵の上で猟兵の挑戦を待つ。
「父ちゃんから聞いたことがある、国技館は相撲の聖地と」
 やがてひとりの挑戦者が現れた。背の丈140cmの、小さな少年。いまこの瞬間に土俵のそばに立っていなければ、誰も猟兵であると気付かないだろう、少年。
 彼が土俵を小さく叩くと、ひらりとはためく一枚の白い布。
「その聖地でお前が……貴方がそのように振る舞うのなら」
 幅45cmにして長さ3.6mに及ぶサイバーパンク綿100%の生地。
「俺も一人の空手家として未熟なれど、貴方と戦う」
 それは、廻しという。
『にしぃ、雷陣・通~』
 全自動はっきょいロボが呼出しを掛ける。
 雷陣・通(ライトニングキッド・f03680)の体はたちまち、きらきらとした光に包まれて、やがて廻しのみを着用した姿をセンターに披露した。キマイラたちに驚く様子はない。土俵を叩けばすぐに力士姿になれる、ゼロタイムラグマワシフィッティングサービスによるものだと皆が理解しているからだ。相撲の聖地、サイバーパンク国技センターは老若男女どなたでもお気軽に相撲を楽しめるサービスを各種取り揃えております。
『見合って見合って』
 軍配が二人のあいだに掛けられた。次にこれが動けばたちまち勝負が始まる。二人の廻し姿、少年と怪人の視線が交差した。
『八卦良い、残った!』

 瞬時、両者が四つに組み合った。お互いの手が廻しへと伸ばされ掴む。体格差は一目瞭然。小学生相応の身長しかない通に対して怪人の背は2mを越える。通が狙うのは上手投げだが、重心をしっかり落とした怪人の体はまるで根でも生えているように微動だにしない。体重も筋肉量も桁違いで、誰の目から見ても通の劣勢は明らかだ。
 観覧席のキマイラたちが固唾を呑んで見守るなか、ついに試合が大きく動く。
「ぬるい!」
 ティラノサウルスの頭部が吠えた。全身の筋肉を膨れさせて通の廻しを持ち上げる。無慈悲な投げが襲う。
「!」
 奇しくも怪人の狙いは通が仕掛けようとした上手投げだった。体を捻りながらの体重移動。小学生力士は回転運動を加えられ自重を支えられなくなり、投げ飛ばされて土俵の体を打ち付けた。
 かに見えた。
「どっせい!!」
 少年の足が宙を蹴っていた。怪人とキマイラたちが表情を変える。少年は怪人の手から脱しながら体が横に傾いた姿勢のまま宙を駆け巡り、まるでコマ送りのように空を走る残像がその場に並んだ。
「俺のライトニング相撲はまだ終わっちゃいない!」
 まさに電光石火の立ち回り。少年は背後を取る。
「なんだと!?」
 怪人が振り向くより早く、キマイラたちが歓声をあげるより早く。懐に飛び込んだ通がフルパワーで押し出す。
「電車道(ライトニングトレインロード)!!」
「おおおお!!」
 怪人の脚の爪が土俵を引っ掻きながら後退して、しかし何とか持ちこたえる。不安定な姿勢へ奇襲をかけたことによりギリギリまで追いつめたが、踏ん張られてしまえばパワー勝負に逆戻りだ。ここで一気に決めるしか勝機はない。
 通は目を閉じ歯を食いしばる。
「がんばれー! 」
「そのまま押し込め!」
「勝って!」
 キマイラたちが立ち上がる。声を張り上げる。腕を振る。全員が通の勝利を望んだ。勝負俵を踏む怪人へ、あと一歩を求めた。
 そのときだった。ふと通の脳裏にかつての父の言葉が去来したのだ。
 ――相手の土俵で勝ってこそ、一人前だ。
 自分は一人前に近づけているだろうか。求める父親の姿を正しく追えているだろうか。少年の目がカッと開く。赤髪にぱちりと雷が走って消える。
 やがてセンター中の応援が最高潮に達したとき、怪人の脚が勝負俵を越えた。
 勝負あり。
「どうだ、これでもまだやるなら……いくらでも相手になってやる」
 困憊した体、荒い息で、倒れた怪人にそれだけを振り絞った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雷陣・通
ソンキョの姿勢で懸賞金を受け取り、そして怪人力士を見る。

もう一戦するなら相手になってやる。
でも……もし……違うというなら、俺は彼に付き合うべきだと思う。
そう、断髪式に。

紋付き袴で座ってるであろう関取の後ろに立ち、最後問いかける。
「もう良いのかい、関取」
誰かが引退するって言うのは敵でも寂しいもんだ
でも……でも!
ここでちゃんと送り出さないと、父ちゃんに笑われちまう!!

だからやるよ
「ライトニング断髪!」

手刀を振るい、髷を落とす。
あんたがこれで満足だったのなら、俺は嬉しい。



怪人は最早限界だった。全身を這う罅がいよいよ大きくなり、ぱきりと膝にひときわ大きなものが走ると、自重を支えられず土俵へ手をついた。勝敗は決したのだと、観覧席の誰もが理解した。キマイラたちが立ち上がって歓声をあげる。猟兵たちの活躍を称える。
 己の敗北を喜ぶ声に包まれて、怪人は何を思うのか。
 いまだ土俵の上に立つ少年、雷陣・通(ライトニングキッド・f03680)は膝を折り立てながら腰を落として蹲踞する。ネオプラスチック製の黒塗りの軍配に賞金を乗せ、全自動はっきょいロボが通へ差し出した。少年は手刀を作って左、右、中の順で空を切り、恭しく受け取った。賞金とはキマイラフューチャークレジットである。サイバーパンク国技センターの門から出てすぐにあるドーナツの鳴る木から、通常ランダムでドーナツが排出されるところを、なんとチョコスプレーの乗ったドーナツが一度だけ確定で出るというすごいクレジットなのだ。キマイラキッズ垂涎の一品である。それを見た観客がさらに歓声を上げた。
 通は受け取ったものを廻しに挟み、怪人に向く。
「もう一戦するなら相手になってやる」
 途端、観覧席が静かになった。皆が一様に戸惑いの表情を浮かべる。この先の展開が予想できないのだ。まさかあの猟兵の少年は再び怪人と勝負するつもりなのだろうか。
 怪人は応えない。ひび割れた膝に手を置いて沈黙する。
「でも」
 再度通が口を開くと会場がしんと静まり返った。
「もし……違うというなら」
 彼は怪人に付き合うべきだと思った。
 そう、断髪式に!

 土俵に赤いシートが敷かれ、大きな椅子が設置される。椅子に腰かけるのは紋付き袴姿の怪人だ。その背後には通が立ち、そして三宝を捧げ持つ全自動はっきょいロボがいた。
 通常、断髪式とは力士の関係者が並んでひとはさみずつ入れていくものだ。しかしティラノサウルス怪人に親方はいない。後援者もいない。彼は孤独だった。その代わりに、全力でぶつかり合った猟兵がいた。
「もう良いのかい、関取」
 最後の問いかけだ。
「ああ」
 全自動はっきょいロボの持つ三宝には、鋏が乗っている。だが、通はそれを手で断って、やがて利き腕で手刀を作った。
「もう、膝がな…」
 怪人のぽつりと言った言葉に、俯きたくなる。怪我を理由に引退する力士は決して少なくない。誰かが引退するというのは寂しいものだ。敵であったとしても。
 でも、でも。
「……!」
 溢れんばかりの感傷が目元に浮かんで、手の甲で拭った。
 ――ここでちゃんと送り出さないと、父ちゃんに笑われちまう!
 手刀を作ったまま、空いた片手で怪人の頭上、虚空を掴んだ。
 ティラノサウルス怪人に髷はない。繰り返すが、ティラノサウルス怪人に髷はない。しかし観覧席のキマイラたちはどよめく。
「髷が…見える!」
「なんかだんだん見えてきた!」
「ついに切るのか…髷を!」
 ノリの良い連中だった。波紋のように、怪人の相撲界引退を惜しむ声が広がる。
 通は一度、大きく息を吸って、吐いた。
「やるよ」
 手刀が雷を帯びる。
「…ライトニング断髪!」
 やがて手が怪人の頭上を通り抜けた。何かを切る音が、聞こえたような気がした。
 怪人は静かに立ち上がる。軋む足を奮い立たせて、せめてこのときばかりはと体を支えさせた。ティラノサウルスの目が観覧席を眺めて、やがて振り返り通を見て。
 口元を微かに緩ませて。
 そして爆発した。

 あんたがこれで満足だったのなら、俺は嬉しい。
 猟兵は目を伏せた。そこに静寂だけが残った。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2018年12月31日


挿絵イラスト