それは、言うなれば生ける火山であった。
その者が身じろぎする度、その者が唸る度、大地が揺らぎ、鳴動する。
おお、見よ。
その躯体を。その威容を。そして、それが存在するだけで一帯を蹂躙し尽くす業火を。
その炎をもたらす者こそ、燃ゆる帝竜垓王牙。
生ける炎が大地を灼き、その吐息があまねく生命を消し潰す。君臨せし帝竜は、咆哮とともに首をもたげた。
見よ。地獄はここに在る。
「私はお前たちに死ねと命じているも同然なのだろうな」
イリス・シキモリ(f13325)は、表情ひとつ変えずに猟兵たちへと告げた。
「帝竜だ。名を、垓王牙。火山地帯に潜んでいる」
イリスは手元の端末を操作し、モニターへと情報を映し出す。
帝竜ガイオウガは、火山と同等の巨体をもつ超弩級のオブリビオンだ。その身体は煮えたつマグマの如く赤熱し、その身に蓄えた熱を溶岩や分体存在、あるいは己が眷属である『炎の獣』の形として発露することで周囲一帯を蹂躙する。極めて強力な帝竜である。
「お前たちの任務は、火山地帯へ向かい、奴を殺すことだ」
イリスはシンプルに告げる。
「……敵はお前たちが接近すれば即座にそれを気取り、先手を打って攻撃をしかけてくるだろう。いずれの能力も非常に強力だ。必ず対策して挑め」
無策で突っ込めば、ただでは済まされないだろう。対策した上でも、その凄まじい熱と炎は猟兵たちを苦しめるはずだ。
「敵は巨大で、強い。油断すれば無事では済まないぞ……だが、必ず生きて戻れ。我々猟兵の戦力はここでひとつたりとも失われるわけにはいかない。そしてかなうなら、戦って、勝て」
イリスはそこまで告げると言葉を切り、僅かに瞑目してから静かにグリモアを掲げる。
「……では、行ってこい」
そして、グリモアは輝いた。
無限宇宙人 カノー星人
ごきげんよう、イェーガー。カノー星人です。
このたびも戦乱に乗じての侵略活動を続けさせていただきます。
では、よき地獄を。
このシナリオにはプレイングボーナス要項があります。ご確認ください。
☆プレイングボーナス……『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』。
(帝竜ガイオウガは必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります)
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「帝竜戦役」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります
第1章 ボス戦
『帝竜ガイオウガ』
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POW : 垓王牙炎弾
【全身の火口から吹き出す火山弾】が命中した対象を燃やす。放たれた【『炎の獣』に変身する】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : 垓王牙溶岩流
自身の身体部位ひとつを【大地を消滅させる程の超高熱溶岩流】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ : 垓王牙炎操
レベル×1個の【ガイオウガに似た竜の姿】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
イラスト:阿賀之上
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
バル・マスケレード
死地上等。
吐き捨てた【血反吐】なぞ数え飽きた。
冗談みてェな高熱だが、変化するのが奴の体の一部である以上
「何をしてくるか」さえ分かりゃ対策はいくらでも打てる。
UCによる未来視で行動を見通し、【騎乗】技術を活かして宇宙バイク《メイガス》を駆って先制攻撃を回避。
大地を消滅させる高熱……地形もさぞ変わるだろ。
すなわちその【地形の利用】も適い、機動力に活かせる。
近づくだけでヒリつく熱は【火炎耐性】で堪え、傾斜を活かしてバイクで跳ぶ。
肉体ってのはつくづく脆いが……
テメエも生物である以上、全身を殻にゃ覆えねェだろう?
瞳か、口か、腹か背の隙間か。
変化してない部位に狙い定め、紫煙の銃で早撃ち叩き込んでやらァ!
エメラ・アーヴェスピア
…また環境を激変させそうな帝竜ね…
撃滅しなければ、世界が大変な事になりそう…手を緩める理由はないわね
ドレスベース全力起動…!空に浮く事で溶岩流から離れるわ
下から吹き上げて来る攻撃にさえ気を付ければ、溶岩流は怖くないけれど…
兎に角、回避を徹底するわよ!…炎に焼かれるのは基本的に御免だわ
…今回の戦争でドレスベースを酷使しているからあまりこの展開を続けたくないのよ
そう言う訳だから『蒼穹翔るは我が箒』展開、乗り換えて【操縦】よ
後は【空中戦】で攻撃を回避しつつ要所に砲弾を撃ち込むわ
…溶岩すら凍らせる、特製の魔導冷凍弾をね
…これを本来使う兵器、そろそろ本格的に設計するべきかしら…
※アドリブ・絡み歓迎
灘杜・ころな
(選択UCの影響で人格が女神・天照に変化)
なるほど、大地を消滅させるほどの溶岩流かえ。
じゃが、妾は太陽の女神!
どれほど高熱の溶岩でも、太陽の熱量には及ばぬわ!
太陽の女神の権能をもって耐えてみせるのじゃ!!
(ころな「んきゃああああっ!? 身体は平気でも服が燃えとるやん! 隠してぇ!!」)
……ころなの服は犠牲になったのじゃ。
お主だって自分の全裸の一つや二つであの帝竜を倒せるなら安いものじゃろう!?
(ころな「安ないー! 割に合わん代償やー!!」)
(無視)ガイオウガのあの巨体、外からの攻撃は無駄じゃのう。
服が無くなった分上がった敏捷力を活かし、体内に入って脳や心臓などの重要器官を狙うのじゃ。
イサナ・ノーマンズランド
先制攻撃は激痛耐性、環境耐性でやせ我慢、棺桶を盾代わりに防御。足場が消滅してしまったら、棺桶をサーフボード代わりに翔ぶ。棺桶に満載した重火器類の弾薬を推進剤代わりにしてUCジャックポッド・バラージで消滅した大地を飛び越えてガイオウガに反撃。弾が残っているなら、ありったけの重火器の一斉発射で吹き飛ばし。弾がなかったらジャックケッチで斬りかかるよ。どれだけ頑丈でも装甲の脆い箇所はあるはず。培った戦闘知識を生かして脆い箇所を吹き飛ばし、傷口を抉っちゃおう。
「今まで楽な戦いなんてひとつもなかったよ、たぶん」
「だから今日もおんなじ。いつも通りに一生懸命やるだけだ」
「大きいトカゲがなんだ! 負けないよ!」
アロンソ・ピノ
…あー。
あー。くそみたいな手だが、思いついた。思いついたが、これに間に合うのか……?
あとオレこれ使って生きてられっかな…。
ユーベルコードは秋霧。鉄粉撒いてふんじんばくはつ?させる技だ。
【気合い】【覚悟】【見切り】【早業】【野生の勘】【第六感】【クイックドロウ】【怪力】【武器改造】で先制で溶岩流になってるガイオウガに対して、とにかく素早く反応して抜刀
刀を抜く瞬間に秋霧で刀身が鉄粉になる。
火種?ガイオウガが良く燃えてるべ??んでガイオウガにしこたま爆発してもらう。以上
んで、鉄粉出すのどうしても後出しになって遠くまで飛ばせは出来なそうだしオレも死にかける…以上。…やるしかねえか
―春夏秋冬流、参る。
轟音。
おお、見よ。大地を揺らし、山が動く。
否。山ではない。それは竜だ。
――帝竜、垓王牙。
その存在そのものが災厄であるとすら言える、いわば動く火山。尋常なる生命であれば、その眼前に立つだけで生存を赦されぬ灼熱の生ける炎であった。
「……存在するだけで、環境を激変させるほどの帝竜、ね」
エメラ・アーヴェスピア(f03904)は、その威容を臨む。
「撃滅しなければ、世界が大変な事になりそう……手を緩める理由はないわね」
「つったって、あんなムチャクチャのどうやって相手にすんだよ……」
吼える火口を見上げるアロンソ・ピノ(f07826)は、背筋に怖気が走る思いであった。――敵意を向けられてさえいないにもかかわらず、燃ゆる大地を進むその躯体は凄まじい熱とプレッシャーを放ちながら、『近寄れば死ぬ』と、無言のままに激しく主張する。
「今までだって、楽な戦いなんてひとつもなかったよ、たぶん」
イサナ・ノーマンズランド(f01589)は、背負う棺桶の重さをたしかめながら迫りくる灼熱の威容を仰ぎ見た。
「だから今日もおんなじ。いつも通りに一生懸命やるだけだ」
「……ああ。上等だ」
バル・マスケレード(f10010)もまた、現出せし地獄を眼前にしながら怯むことなく視線を返す。
「死を見た回数なぞ、とっくに数え飽きた」
「せやな……ここでビビっとっても、なんも変わらへん。うちも……やれることをやる!そんだけや!」
決意と共に燃え上がる炎へと対峙する灘杜・ころな(f04167)の身の内で、鼓動が跳ねた。――宿せし神格が、目を覚ます。
「ああ、もう。わかった、わかった……!くそ、やってやろうじゃねえかよ。どうすりゃいいかもわからねえけどさぁ!」
そして、アロンソもまた腹を括る。
――あれほどのものがもしこの大陸から解き放たれるようなことがあれば、どれほどの犠牲が出るかわからない。
敵の強大さは、その姿を目の当たりにしただけのこの時点でも既に理解できている。だが、逃げるわけにはいかない。立ち向かわなければならない。猟兵たちは、それぞれの胸に戦意を燃やし、そして炎へと対峙する。
まず、咆哮が聞こえた。
命の鼓動。敵の気配。猟兵という存在に対する本能的な敵意。それらを察知したガイオウガが、猟兵たちを迎え撃つべく動き出したのである。
「うわ……!なん、だ、ありゃ」
最初に気づいたのは、アロンソだった。
山肌を滑り降りてくる、夕暮れにも似た赤い色彩。陽光にも似たその色は、津波のように押し寄せる。
「なるほど、溶岩流かえ」
垓王牙溶岩流。背負った無数の火口を蕩けさせるように融解させ、その質量をそのままマグマの波としてガイオウガは放ったのである。――大地を灼き潰しながら迫る、それは赤い死の奔流であった。
「妾が前に出て食い止める。少しは時間を稼げよう!皆、備えるのじゃ!」
対し、ころなが――否、正確には彼女ではない。ころなの身の内に宿す人格である天照が顕現したのである。【天照様のイケイケGOGO♪/テンジョウテンゲユイガドクソン】――憑依顕現による疑似神格の降臨だ。その権能は太陽。光と熱を司る者である。
「ええ――あれに呑まれたら無事じゃ済まないわね。兎に角、回避するわよ!」
エメラは背負ったバックパックの動力炉に火を入れる。浮遊型魔導蒸気製兵器固定用装備・ドレスベースが彼女の身体を空中へと押し上げた。
「溶岩の津波たァ冗談みてェな光景だが……」
一方、バルは跨るバイクのエンジンを吹かす。愛機である宇宙バイク《メイガス》が咆哮しながら山肌を走り出した。
「変化するのが奴の体の一部である以上、『何をしてくるか」』さえ分かりゃ対策はいくらでも打てる」
――【《終焉》の終焉/エンディングブレイク】。バルに力を貸す『彼女』の瞳が“終焉”を視る。敵は周囲一帯を丸ごと火の海に沈めて猟兵たちを駆逐する算段だ。地上に逃げ場はない。
「……奴め。徹底的に焼き尽くす気でいやがる」
「とんでもない話だね……」
「飛んで逃げろってことかよ!」
「もう来るぞ!妾が少しはとどめる。お主らははやくなんとかするのじゃ!」
そして、マグマが押し寄せる。岩肌にレッドカーペットを敷くように、大地を赤く染め上げる業火の濁流。
「どれほど高熱の溶岩でも、太陽の熱量には及ばぬわ!女神の権能をもって、耐えてみせるのじゃ……!」
先頭に立つころな/天照はその神気を放出し、簡易的な力場として不可視の力場を構築する。岩壁にぶつかって砕ける波のように、溶岩が爆ぜた。
「ぬう!いかん、服が!」
(んきゃああああっ!?燃えとるやん!隠してぇ!)
だが、太陽神の権能として彼女の身体は熱に耐えてもその衣類まではそうはいかない。これが真なる神格であれば神気による保護や燃えぬ神衣を纏うなどの対策がとれていたのであろうが、残念なことに彼女は人間の器に押し込められた疑似神格である。服の保護まで手が回らないのだ。マグマの熱に耐え切れずたちまち燃え上がり消し炭と化す衣類!露わになるころなの裸身!
「だいじょうぶかな、あれ……!」
しかし、ころな/天照の奮闘が逃れる時間を与えてくれた。イサナは背負った棺桶を叩きながら、サーフボードめいてその上に飛び乗る。がん、ッ!更にもう一度叩く!【とびきりにクールなやり方/ジャックポッド・バラージ】!棺桶――正確にはその内部に重火器類の弾丸をしこたまに内蔵した再殺兵装『カズィクル・ベイ』のスイッチを起動。棺桶から顔を覗かせた重機関銃の砲身が地面に向けて猛烈な勢いで弾丸を吐き出す!反動で空中へと浮き上がるカズィクル・ベイの上に乗りながら、イサナは遠目にガイオウガの姿を見た。
「わかんねぇけど――おっと!」
「乗れ。1人分ならどうにかなる」
「ああ、助かる!」
一方でバルはアロンソを拾い上げ、バイクの後部シートにタンデムする。宇宙バイクの出力であれば、ある程度の空中機動も不可能ではない。溶岩流の中でも沈み切らない大きさの岩塊にいくらか目星をつけていたバルはそのまま機体を駆動させ、溶岩流の波から逃れた。
「みんな、大丈夫かしら?」
第一波は凌ぎ切ったか。溶岩流の熱に泡立つ大地を見下ろしながら、エメラは反撃の準備を開始する。
「あれだけのユーベルコードを使ってきた以上、すぐに次の攻撃には移れないはずよ。あれほどの巨体……動かすだけでも相当にエネルギーを使うはずだもの」
――敵は周囲一帯を押し流すほどの強力なユーベルコードを使った直後だ。大きな動きをするには、多少なりと時間を要するだろう。今が攻め入る好機なのだ。エメラは術式を駆動させ、空中戦闘用のガジェットを召喚する。【蒼穹翔るは我が箒/ブルームオブスカイスクレイパー】。浮遊型魔導蒸気砲を魔法使いの箒のように跨り、態勢を整える。
「あァ――やり返すぞ」
「だね、反撃しよう!大きいトカゲがなんだ!負けないよ!」
「そうじゃな。こっちも妾の服が焼けただけ!犠牲としちゃー安いもんじゃ!」
(うちの身体はそんな安ないー!割に合わん代償やー!!)
そして、猟兵たちはそれぞれの得物に指をかける。――勝機を逃がしては、ならない。
「つっても、あんな奴相手にどうやって……」
しかして、敵は文字通り山ほどの躯体である。まっとうな攻め手では、致命傷まで届けるには苦労するだろう。アロンソは眉根にしわを寄せる。
「――あー……いや」
だが、ここで彼はひらめきを得た。
「どうする」
ハンドルを切り、大地を埋め尽くすマグマ溜まりの中を小島のように突き出た岩塊の足場を渡りながら、バルはアロンソに続きを促す。
「あー。くそみたいな手だが、思いついた。思いついたが」
「……思いついたが?」
「オレ、これ使って生きてられっかな……」
「なら、覚悟だけはしておけ」
エンジン音が響く。バイクの機体が宙を舞い、ガイオウガのもとへと迫った。
「まずはこちらから仕掛けるわ!」
かくして、帝竜のもとへと猟兵たちは至る。先陣を切るのはエメラだ。箒めいて跨る蒸気砲で空を翔ける。彼女が飛ぶのはガイオウガの頭部付近であった。
間近に迫る猟兵たちの気配を気取ってか、ガイオウガが身じろぎした。その体表で、侵入者を阻む抗体の役目を果たすかのように炎が踊る。
「近づくにもあれをどうにかしなくちゃね……」
生ける炎を空中より見下ろしながらエメラは息を吐く。――だが、問題はない。対策はあらかじめ準備してきている。装填。エメラは砲身の先を向け、狙いをつけた。
「……試させてもらうわ。溶岩すら凍らせる、特製の魔導冷凍弾をね!」
そして、砲撃。炸裂!命中したその場所で、爆ぜ散った魔力の光が急激な凍気となって広がった。局所的に発生した極低温の空間が、体表の炎を消し飛ばす!
「よし!」
「今なら――いけるか」
「ああ。先を譲るぞ」
エメラと入れ替わるように、バルのバイクが宙を駆け、ガイオウガの眼前へと飛び出した。――そして、同乗していたアロンソが座席を蹴って跳ぶ!
「テメエの終焉は見えてねえ。行け」
「そりゃ安心だ。……なら、やるしかねえか」
アロンソはガイオウガの鼻先へと飛び込みながら、剣の柄に手をかける。瞬化襲刀。指先がその鯉口を切った。
「――春夏秋冬流、参る」
抜刀。
抜き放つ剣技は、【春夏秋冬流・秋の型 参の太刀 秋霧/ヒトトセリュウ・アキギリ】。それは、自在に変異する瞬化襲刀の特性を巧みに利用し、『刀身を粉塵に変化させ、その粉塵に着火させて爆発を起こす』――という技である。
火種はすぐ目の前にある。飛び切り活きのいい、生ける炎そのものが。
ガイオウガの顔面で、爆炎が爆ぜた。
――ユーベルコードを用いた戦闘においては、属性や特性といったものはしばしば超克される。
『刀で山を斬れるわけがない』『拳で星を砕けるわけがない』。『炎で炎を殺せるわけがない』――それらはすべて、ユーベルコード出力の差において超越することが可能だ。
即ち、アロンソの剣が放った炎は、生ける炎そのものであるガイオウガの顔面を灼き、苦痛の呻き声をあげさせることに成功したのである。
「……効いてる!怯んだわ、今よ!」
指揮を執るようにエメラが声をあげる。――今こそ好機!猟兵たちは更なる追撃をかけるべく、ガイオウガへと迫った!
「オッケー……このまま、動かなくなるまでぶっ放す!」
イサナが再び棺桶を叩いた。重機関銃の砲身から吐き出される大口径弾がガイオウガの顔面めがけて叩き込まれる!――しかし、数秒経過したところで、機関砲の射撃は停止してしまう。弾切れだ。
「……撃ち切っちゃったか!それならこっちだ!」
イサナは棺桶を足場代わりに踏み切って跳躍!抜き放つ処刑斧ジャックケッチ。着地と同時に、イサナは力任せに斧を叩きつけた!ガァンッ!叩き砕いたのはガイオウガの『歯』にあたる部分だ!イサナがたどり着いたのは、ガイオウガの口である!
「よし、では妾も行くとしよう!虎穴にいらずんば虎児を得ずじゃ!」
それに続けてころな/天照が跳んだ。古代闘技パンクラチオンの闘士の如く己が身一つで宙を舞い、ガイオウガの巨体へと立ち向かってゆく!ころな/天照は跳躍の勢いのままガイオウガの顎に取り付いた。
「通るぞ!」
「りょーかい。こっちはまかせて!」
イサナは更に斧を振り回し、全力でガイオウガの歯を叩く。――全身全霊を込めて、可能な限りへし折ってやる。気合とともにイサナは振り抜く!
「……ああ、そっちもココ狙いか」
ころな/天照に一拍遅れてたどり着いたバルが、ガイオウガの口腔内へと飛び込んだ。その手に構えた紫煙銃。そこから更に身体の奥、喉にあたる部位へ狙いを定める。
「うむ。どんな生き物でも身体の内部から攻撃されれば相当なダメージになるはずじゃからな」
「同感だ。肉体ってのはつくづく脆い」
そして、トリガー。バルは紫煙銃の引き金を引く。クイックドロウ。ラピッドファイア!弾幕拡散!内側からガイオウガを破壊するべく、弾丸をばら撒いてゆく!
「さあ、妾の神気をとくと味わうがいい!」
そしてころな/天照はその身体より波動を放つ。神としての力が熱を伴う衝撃として放射され、ガイオウガの内部を満たした。
だが、その一方。
「抑え切れない……!?向こうのパワーが上がっているのについていけてないの?……冷凍弾用の兵器、そろそろ本格的に設計するべきかしら……」
外側においてエメラが冷凍弾で抑えていたガイオウガ体表の炎は、抑え切れなくなるほどに活動を活発化し始めていた。――敵のパワーが、上がりつつある。エメラは違和感と危機感を同時に感じた。背筋に冷たいものが走る感覚に気づく。
「苦しんでる……。いや……怒ってる?」
2本目の歯を砕きながら、エメラと同じくイサナはガイオウガの動きに変化を感じた。――呻く声がする。否、その声は苦悶の呻きではない。蹂躙される怒りから生み出される激憤の唸りだ。
「……また大きな攻撃を仕掛けてくるつもりかもしれないわ。みんな、一旦退くわよ!」
「お、おう……」
エメラはアロンソを回収しながら蒸気砲を操り、戦域から離脱する方向へと舵を切る。
「2人とも!」
「ああ、わかった!退くぞ!」
「もうちょっと痛めつけてやりたかったんじゃがのー!」
その瞬間であった。後部座席にころな/天照を乗せ、バルのバイクがガイオウガの口から飛び出した。すれ違い様、バルが咄嗟に手を伸ばしイサナを回収する。3人乗りは危険運転だが、この場ではそうも言ってはいられまい。直後、開かれたガイオウガの顎から溢れ出したのは先ほど猟兵たちを襲ったのと同じ溶岩流だ!猟兵たちは再び襲い来る灼熱の津波から逃れ、次なる戦いに備えるべく後退する!
この交錯で、ガイオウガは決して無視できないダメージを負ったのは間違いない。
しかし、帝竜の生命は尋常のオブリビオンとは異なり、きわめて強靭だ。――そして、猟兵たちという敵を認識したガイオウガはその炎を更に燃え上がらせ、より苛烈に襲い来るであろう。
――かくして。
ガイオウガとの戦いは、幕を開けたのである。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
黒城・魅夜
ふふ、地獄に住まう王の牙を名乗る龍ですか
では、悪夢より滴り落ちた魔性の牙の鋭さと比べてみるとしましょう
――すなわち、私のね
早業・範囲攻撃・ロープワークで鎖を舞わせ
大地を撃ち砕いて無数の瓦礫を飛ばします
火山弾が燃やすのはあくまで「命中した対象」
ゆえに瓦礫に当たれば瓦礫を燃やすのみ
延焼効果は私に及びません
鎖は同時に風を切って旋風を巻き起こし、火山弾が変じた炎の獣の足止めとなるでしょう
燃え盛る周囲の火炎地獄を環境耐性とオーラ防御で耐えつつ
自在に変幻する私の服を変化させて揺らめく陽炎と同化し
「闇に紛れ」つつ垓王牙に肉薄します
さあ、お約束通り、味合わせてあげましょう
悪夢の滴たるこの私の魔性の牙をね
上野・修介
※アドリブ、連携歓迎
「炎か」
回避は困難だろう。
――呼吸を整え、力を抜き、専心する
――熱はすべて四肢に込め、心は凪の如くに
「上等だ」
端から覚悟済み。
「推して参る」
火山弾は発射口の向きと速度から弾道と着弾時間を予測し、極力回避しつつ最短距離の持てる最速を以て間合いを詰める。
避け切れない時は、廻し受けの要領で中空に気流の渦を作り、更に拳のラッシュを叩き込んで霧散、拡散させることでダメージ軽減を狙う。
叩き込むは一撃――否、二撃
UCは攻撃重視
狙うは心臓部直下。
先ずダッシュで得た勢いをそのままにアッパー。
拳を密着させた状態からそのまま地を踏み込み、得た力を足裏から拳までの全関節を螺旋し増幅し勁を透す。
ウィーリィ・チゥシャン
『炎を制してこそ料理人』、俺の料理の師匠だった人の言葉だ。
流石に火山レベルのを相手するのは初めてだけどさ。
大包丁の峰の【鎧砕き】で岩盤を砕き【地形の利用】で溶岩を噴出させて【物を隠す】で吹き出た溶岩に身を隠して先制攻撃をやりすごす。
そして溶岩と奴が放った炎に紛れて回り込む形で接近し、【限界突破】させたスピードで【料理の鉄刃】を【二回攻撃】で繰り出す事で【衝撃波】をX字状に放ち、奴の纏った炎ごとその身体を切り裂く。
あんたの強さ、忘れないぜ。
ティオレンシア・シーディア
【血反吐】
炎のドラゴンはそりゃいるとは思ってたけれど。
…強力なドラゴンって、どいつもこいつもどうしてこうサイズ感狂ってるのかしらねぇ…
ゴールドシーンにも協力してもらってミッドナイトレースの前面に○火炎耐性のオーラ防御を展開して全速で突撃。火山弾も炎獣もまとめてブッちぎってやりましょ。
こんな見た目でもUFOだもの、熱には元々強いのよぉ?
後の事は気にしなくていいもの、使えるものは洗い浚い使って●重殺を叩き込むわぁ。
刻むルーンはカノ・アンサズ・ベオーク・イサ・エオー・ハガル。
「炎熱」は「聖言」にて「成長」する「氷」に「変化」し、「崩壊」を呼ぶ――自分の炎で、ブッ壊れなさいな。
山が燃える。
帝竜ガイオウガは、大地を砕きながら進み、そして地獄を招く。
見よ。彼の者こそ地獄の竜王。あまねく生命を灼き潰す、炎の化身である。
「ふふ、地獄に住まう王の牙を名乗る龍ですか」
――だが、その威容を見上げながらも、猟兵たちは決して怯むことはない。
黒城・魅夜(f03522)はその口の端に笑みすら浮かべて相対する。
「地獄ねえ……。炎のドラゴンはそりゃいるとは思ってたけれど……」
ティオレンシア・シーディア(f04145)は見上げた竜の巨躯に思わずため息をつく。――文字通り、掛け値なしに『蟻と巨象』の戦いか。
「強力なドラゴンって、どいつもこいつもどうしてこうサイズ感狂ってるのかしらねぇ……」
「……どれにせよ、徹すしかありません」
上野・修介(f13887)は息を吸う。調息の所作。――その拳に意志を載せる。眼前には燃え立つ炎。ただ吐息するだけで肺腑が焼け付くような錯覚に陥るほどだ。だが、その双眸は鋭く竜を見据えていた。
「どれだけ熱く燃えてたって……炎を制してこそ料理人、だ」
ウィーリィ・チゥシャン(f04298)の手には愛用の大包丁。炎を以って生を繋ぐ料理人として、ウィーリィは生ける地獄へと対峙する。思い起こす師の言葉が、彼の背を支えた。
「……流石に火山レベルのを相手するのは初めてだけどさ」
「まあ、なんとかなるわぁ。……気持ちで負けなきゃいいのよぉ」
「ええ。いかな炎を纏おうと、生き物であることには変わりません……。悪夢より滴り落ちた魔性の牙の鋭さと比べてみるとしましょう」
――すなわち、私のね。
魅夜の唇から覗く魔性の証明が。ダンピールの牙が炎を照り返して赤く輝いた。
「上等だ」
修介の瞳孔が細まる。
覚悟はとうに決めてきた。敵がどれほどのものであろうと、彼にとってやることは変わらない。――専心。ただ、拳を以って貫き通す。
「推して参る」
「ああ――いくぜ!」
そして、大地が揺らぐ。
燃ゆる双眸が猟兵たちの存在を捉えたのだ。ガイオウガは身じろぎし、そして迎え撃つ。
爆轟。轟音。業火。爆散。
ガイオウガの全身に並ぶ火口が噴射口となり、一斉に炎弾が放たれた。――空が、赤く染まる。見上げた空を埋め尽くさんばかりに燃え上がる火山弾は弾幕めいて広がりながら火山地帯ごと炎の海に沈めるように降り注ぐ。
【垓王牙炎弾】が、世界を灼いてゆく。
「来たわねぇ」
「ここは任せろ。俺がやるぜ!」
ウィーリィが大包丁を振りかざし、そしてその峰で岩塊を叩いた。砕かれた大地から、噴水めいてマグマが湧き上がる!ウィーリィは吹き上がる溶岩に身を隠すように位置を取り、襲い来る炎弾を遮る壁として利用したのである!
「丁度いいですね――それを使わせてもらいましょう!」
続けて魅夜は鎖を放つ。呪いと絆の縛鎖はウィーリィの砕いた岩塊を更に粉砕し拡散!礫として撒き散らす。降下する炎弾の群れにぶち当て、炎を止めるための簡易的な防壁としたのだ。尚も続く炎弾の雨を、2人は砕いた岩塊と溶岩の防壁で防ぎつつ反撃の機会を探る。
「少し隙ができたわねぇ。――それじゃ、こっちも行こうかしらぁ」
『ぴきゅ』
「はい。行きましょう」
その一方、ティオレンシアはバイクに跨り猟兵たちを見下ろすガイオウガの巨体を見据えた。胸ポケットに差し込んだペンの先端で、鉱物生命体が光りながら彼女に力を渡す。その隣で、修介もまた間合いを詰めるべく決意を固めていた。
「乗ってく?」
「……では、途中まで」
『きゅ』
修介はティオレンシアの愛機ミッドナイトレースの後部にタンデムし、視線を前へと向ける。ヴォン。エンジンが唸り、機体が加速を始めた。ヒーローズアースの宇宙文明由来であるこのマシンは空中機動も自在だ。発進する機体が炎の中を走り出す!
「ゴールドシーン!力借りるわよぉ!」
『ぴきゅ!』
前方に障壁展開。ティオレンシアは胸ポケットの鉱物生命からエネルギーを借り上げながら、機体前方にオーラ障壁を構築する。そのまま加速!
――だが!
「グル、オオオオッ!」
「垓王牙ヨ!垓王牙ヨ!」
「我等ガ命ヲ捧ゲン!」
降り注ぐ火山弾の数が、ここにきて激減した。しかし、その代わりに燃え上がる炎は咆哮しながらカタチを変じはじめたのだ。腕が伸びる。脚が伸びる。四肢を得た炎は獣の貌をかたちづくり、そして炎獣《イフリート》として顕現を始める。
「……きましたよ」
「突っ切るわぁ。このまままとめてブッちぎってやりましょ。しっかりつかまっててねぇ!」
――ティオレンシアは強引に突き抜ける方針をとった。エンジンの鼓動が更に高まり、加速!炎の獣を躱しながら、修介を乗せながらミッドナイトレースが奔る。
「火種が切れたみたいだな。新しいのはもう飛んでこないみたいだ」
「その代わりに動物園ですね。それでは、躱していきましょう」
その一方で、ウィーリィと魅夜も前進を始める。
「滅ベッ!」
だが、その道を塞ぐように炎獣たちが襲い掛かった!
「そうはいくか!料理人が火で死ぬかよ!」
ウィーリィは大鍋をかざして迎え撃った。炎獣の激突を押しとどめる。シールドバッシュめいて押し込みながら、放つ大包丁で炎を裂いて更に前進!猟兵たちを見下ろすガイオウガの威容を目指す。
「ヌウウ……オノレ猟兵ッ!」
「ふふ……捉えられますか?」
風切り音!魅夜の鎖が風を巻き起こす。炎を吹き消すばかりの旋風が獣たちを怯ませた。その一瞬に魅夜は姿を変える。星よ瞬くな。揺らめく陽炎に重なるように闇に紛れる衣を纏い、消えた気配で獣の視線より逃れながら更に竜のもとへ向かった。
「オオオオッ!」
猛火!炎を纏い、獣が道を遮るようにティオレンシアの進路へと飛び出した。巧みなハンドル捌きで辛くも躱すが、ガイオウガに近づくほどに敵の襲撃は苛烈になっている。オーラ防壁はもはや限界だ。今の交錯も、完全に躱しきることはできず頬に炎の爪痕をつけられていた。
「もうちょっとなんだけど――」
「グルルアアッ!」
「では、そろそろ俺は降りましょう。――先にどうぞ」
更なる襲撃を前にして、ここで修介が立つ。タンデムシートから飛び出して、向かい来る炎獣へと真正面から拳を叩き込んだ。
「――シッ!」
「ゴボッ」
霧散!修介はそのままの勢いで岩肌の上を転がりながら受け身を取り、更に態勢を立て直すと鋭い回し蹴りで続けざまにもう一体炎獣を叩き潰す。
「それじゃ、先にいってるわよぉ」
「はい。すぐに行きます」
――そして炎獣の群れを抜け、猟兵たちはガイオウガの御許へと至る。
先陣を切ってたどり着いたティオレンシアは、リボルバーに弾丸を装填する。
コルトSAAカスタム、オブシディアン。数多の戦場をティオレンシアと共に越えてきた相棒である。そこに込める弾丸は、ルーンの刻印を刻み込む術式弾。ティオレンシアはその筒先をガイオウガの躯体へと向ける。
「ようやくここまできたわぁ……。じゃ、後の事は気にしなくていいわねぇ。使えるものは洗い浚い使って――」
照星の先に捉えたのは、ガイオウガの胸郭である。心臓めいて拍動するその場所を、ティオレンシアは視た。
「仕留めるとしましょうか」
トリガー。続けて射撃。射撃。射撃射撃!弾頭に刻まれたルーンの印が光を放つ。カノ/灯火・炎熱。アンサズ/神・聖言。ベオーク/再生・成長。イサ/氷。エオー/進歩・変化。ハガル/破壊・崩壊。計6発の弾丸がガイオウガの胸元へと吸い込まれるように飛んでゆく。
――そして着弾!爆ぜる弾頭。刻まれたルーン魔術の光が次々と煌めく!
「『炎熱』は『聖言』にて『成長』する『氷』に『変化』し、『崩壊』を呼ぶ――」
6つのルーンが繋がり重なり合い、そして術式は完成する。ガイオウガの胸部に灯る炎が渦を巻き、そして反転するように熱を失い始めた。
【重殺/エクステンド】。ユーベルコードによって膨れ上がったルーン魔術の光は、ガイオウガの身体を蝕む氷塊としてその胸に生まれ、そして崩壊を呼ぶ。
ガイオウガは、苦悶するように身を捩った。――山の如き巨体が揺らぎ、大地が震える。
そして、その胸が爆ぜた。ルーン魔術に蝕まれた身体の一部を切り離すように、崩壊する胸郭をパージしたのだ。血を流すように身の内からマグマを撒き散らしながら、ガイオウガが呻く。
「切り離した……術式が全身に回る前に剥がしたのねぇ」
「――コレ以上ハサセヌゾ!」
急襲!これ以上ガイオウガを傷つけさせまいと、駆け付けた炎獣がティオレンシアへと襲い掛かったのだ。ティオレンシアは咄嗟に躱しながら45口径弾で応戦!
「くッ……!」
「危ねえッ!」
斬ッ!大包丁が閃く!ウィーリィだ。炎獣の包囲を抜け、ここにたどり着いたのである。ティオレンシアを襲撃していた炎獣を、一刀のもとに切り伏せる。
「しかし、ガイオウガ……近くで見ると本当にデカいな……」
「……だけど、付け入る隙はあるはずですよ。――ほら。あそことか」
続けて到着した魅夜が、ガイオウガの姿を見上げた。崩壊したその胸郭部は、内側に流れるマグマの体液を晒している。
「なら――貫こう」
ざり、ッ。砂利を踏みしめて修介もまたガイオウガの目前に至る。これで全員がガイオウガを間合いに捉えたこととなる。猟兵たちは視線を上げ、そしてあらためて帝竜へと対峙した。
すぅ――。修介は息を吸い込み、そして、静かに吐き出した。
――呼吸を整え、力を抜き、専心する。
――熱はすべて四肢に込め、心は凪の如くに。
その拳に力を込める。呼吸を整え、意識を集中。その拳に熱を帯び、その胸に意志を通す。――【拳は手を以て放つに非ず】。
「は、ッ!」
修介は走った。助走をつけるように力強い足取りで大地を蹴立て、そして加速する。――踏み切る勢いで、跳躍。その身体が宙を舞う。
「――シッ!」
矢弾のように激しく加速しながら飛び出した修介は、その勢いを拳に乗せながらガイオウガの胸郭へと叩きつける!
打突、ッ!一撃の重さに、山が揺らいだ。
ユーベルコードを用いた戦闘とは、そこに込めた意志の力――すなわちユーベルコード出力がものを言う。
であるが故に、如何なる巨躯であろうとも。如何なる鋼であろうとも。ユーベルコード出力が届くのであれば、貫けるのだ。
「はあ、ッ!!」
追撃ッ!空中で更に姿勢制御する修介はその全身で螺旋を描くように身を繰り、そして拳を叩き込む!発勁めいた技術をその肉体に乗せ、拳にてその意志を徹す!
「そうだ――どれだけ大きくても、強くてもッ!」
打突の反動で離脱する修介と入れ替わるように、ウィーリィが飛び込んだ!その手に握る大包丁は、ウィーリィの炎と燃える料理人としての魂の証だ。ガイオウガの存在圧にも怯むことなく間合いを詰めるウィーリィは、接近と共にガイオウガの胸郭めがけて大包丁を振り下ろす!【料理の鉄刃/ブレイドワーク・オブ・アイアンシェフ】!
「研ぎ澄まされた刃と技に、料理出来ないものはない!」
斬撃ッ!ウィーリィの大包丁がガイオウガの胸部へ深々と傷を刻み込む。苦悶するようにガイオウガが低く唸りながら身を捩った。
「さあ、最後は私の番ですよ――」
そして、黒翼が燃ゆる空を舞う。魅夜は炎を躱しながらガイオウガへと取り付く。鋼は魂に口づける。放った縛鎖をガイオウガの体表の岩肌に巻き付けて姿勢を保持すると、その身体に流れる熱へと触れた。
「さあ、お約束通り、味合わせてあげましょう――悪夢の滴たるこの私の魔性の牙をね」
【飾り立てよその魂、優美なる牙の傷をもって/ファング・オブ・デスライト】。魔性の力を魅夜は振るう。突き立てる牙を通して、魅夜はガイオウガの魂へと喰らいついた。
魔性の牙は、魂を砕く。
その瞬間――山が震える。炎が揺れる。それはオブリビオンとしての存在核に触れられたガイオウガの悲鳴であった。
「垓王牙!垓王牙ヨ!」
「猟兵!猟兵!オノレ猟兵!」
「コレ以上、垓王牙ニ触レルコトヲ許スナ!」
それと同時に、周囲一帯に展開していた炎の獣たちが咆哮した。――王たるガイオウガのあげる叫びが、その眷属たちを呼んだのだ。そして獣たちはすぐさま結集を開始する。
「まずいわねぇ。このままだと囲まれるわよぉ」
「やべーな……。ここは一回戻るしかないぞ!」
「そうですね……手傷は負わせたはずです。あと一押し、でしょうか」
「まずは一度退きましょう。俺が道を開きます」
十分な戦果は得た。結集しつつある炎獣たちを相手取るには少々疲弊しすぎている。――猟兵たちは冷静に状況を判断して、離脱の選択肢をとった。
ガイオウガに刻まれた傷は、もはやその巨躯をもってしても無視できない重大なダメージとして積み重なっていた。
致命傷にこそ届いてはいないが、しかし、間もなくその命まで牙は届くだろう。
燃ゆる山において、帝竜との戦いは続く。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
ミスト・ペルメオス
【SPD】
まるで火山地帯そのもの、か…。
愛機たる機械鎧(人型機動兵器)を駆って参戦。
マシンヘルム等を介して念動力を活用、機体をフルコントロール。
スラスターを駆使して飛翔、空中戦を挑む。
あの熱量…足が鈍ればそこまでだ。
より高く、速く。機体と自身の負荷限界を見極めながら全力で戦闘機動を行い、損傷や致命傷の回避に努める。
機を見て可変速ビームキャノンで応射しつつ、【シュラウド・ジャンプドライブ】も行使。
離れた空間を繋ぐサイキック・ゲートを展開、機体ごと長距離を瞬間移動することもあれば――
ゲートへと砲撃を撃ち込み、敵の死角に展開したもう一方のゲートからの不意打ちも試みる!
※他の方との共闘等、歓迎です
アイ・リスパー
ルンバさんと
「これがガイオウガ……
ルンバさん、こちらの戦闘準備が整うまで、防御をお願いできますか!?」
ルンバさんに守ってもらっている間に【夏の夜の夢】で機動戦車オベイロンと小型宇宙戦艦ティターニアを召喚。
二体が合体したパワードスーツを装着し、戦闘準備完了です!
「ありがとうございます、ルンバさん!
今度はこちらが敵の相手をします!」
パワードスーツの全身からマルチミサイルランチャーとロケットランチャーを一斉発射。援護射撃で火山弾や炎の獣を迎撃します。
「トドメは合わせていきましょう、ルンバさん!
荷電粒子砲、フルチャージ!」
ルンバさんの攻撃に合わせ、全力の荷電粒子砲を放つのでした。
ルンバ・ダイソン
●アイ・リスパーと行動
「任せておけ。何があっても食い止める。帝竜ガイオウガ!守護神の名が伊達ではないことを教えてやろう!」
アイさんを庇うように仁王立ちし、ユーベルコードの盾と超重装甲で敵の攻撃を防御。うおおおっ!機械である俺は多少傷ついた所で修復が効く!腕がちぎれようとも俺より後ろには通さんぞ!
敵の先制攻撃を凌いだ後は全身の銃火器を撃ちまくり、アイさんを援護射撃する。敵の本体に隙が出来たら右腕のビームキャノンをフルパワーで発射だ!
ヴィクティム・ウィンターミュート
やれやれ、嫌になるような戦力差だぜ
ウィズワームの相手ってだけでもしんどいのによ
…ちょいとばかし、強い札を切るしかねえか
勝利はすべてに優先される
たとえ生命が削れ、人間性を喪失するとしてもな
まず開幕、【ダッシュ】だ
逃げながら奴のニューロンに【ハッキング】を仕掛け、短時間の思考盗聴
炎を動かしてるのが奴なら、奴の思考を見ておけば避けやすい
【地形の利用】もしつつ、こっちの手札が切れるまで【時間稼ぎ】
よし、もういけるな
『Void Hex』──生命と人間性は捧げられた
残りの自分に向けられた炎を消失させる
迎撃を消滅させながら真っ直ぐ向かい、目か胸のコアらしきものを狙う
ナイフ、ショットガン、全て使ってぶち抜く
グウェンドリン・グレンジャー
(腰からクランケヴァッフェの翼を生やして)
当たったら、焼鳥。でも、私は、征かなくちゃ
怯えてなんか、いられない
(空中戦で飛翔し、念動力で加速ブースト。第六感を働かせ、己を狙う炎の竜は残像で惑わせ回避。負傷は激痛耐性で処理)
……っ、熱っ
髪、肉、焦げた。でも、大丈夫
こんなの、心臓が止まっちゃう恐怖……に、比べたら、全然
お願い……私の心の、側面……飛んで!モリガン!
私から、生じた……勝利の女神、力を貸して
顕現した、モリガンの、黒翼の羽ばたき……へ、属性攻撃、炎を打ち消す、烈風を込める
私自身……の、クランケヴァッフェの、羽ばたきにも、風属性を込めて、念動力で集束させ、ガイオウガ、狙う
その炎、これまでよ
咆哮が聞こえた。
既に猟兵たちと幾度かの交錯を経て、ガイオウガは重篤なダメージを負っている。
――それはすなわち、間もなく致命傷に届く、ということだ。
しかし、それは同時に今のガイオウガと戦うことは、非常に危険であるということを意味していた。
手負いの獣は、無傷のそれよりも獰猛なのである。
「これがガイオウガ……」
アイ・リスパー(f07909)は、その威容を仰ぎ見た。
生ける炎。動く火山。世界を燃やす竜の王。――傷を負って尚、その姿は圧倒的な存在感を以て猟兵たちを威圧する。
「ルンバさん、こちらの戦闘準備が整うまで、防御をお願いできますか!?」
「任せておけ。何があっても食い止める」
ルンバ・ダイソン(f13195)は自身の体内に流れるエネルギー残存量を確認した。戦いに備えてじゅうぶんな量を補充してある。各機関部や電脳の状態も良い。万全の態勢を整えて、彼はここに立っている。――否、万全を期さなければ、帝竜を相手取ることは不可能だ。数多の戦いを経てここに立つ彼は、それを知っている。
「やれやれ、とんでもない相手だ。しかも嫌になるような戦力差だぜ」
戦場に立つヴィクティム・ウィンターミュート(f01172)は電脳デバイスに神経を接続し、遠景に見えるガイオウガの姿を捉えた。映像解析――既に敵の体表や周囲一帯には炎獣《イフリート》たちが展開し、猟兵たちの接近を拒んでいる。
「ウィズワームの相手ってだけでもしんどいのによ」
「……あの山、ぜんぶが、私たちの……敵?」
ぼやいたヴィクティムの後ろから、グウェンドリン・グレンジャー(f00712)が顔を出した。
その視線の先では、炎の群れを率いるようにガイオウガが動き出している。――こちらへ仕掛けてくるつもりか。
「――聞こえますか。こちらブラックバード」
その時である。猟兵たちのもとへと通信が届いた。数秒遅れて、空を翔ける翼の影。鎧装ブラックバード。そしてそれを駆るミスト・ペルメオス(f05377)である。
「これより対竜戦闘機動に入ります」
「そいつはジャストタイミング。ちょうど乾杯の時間だぜ」
「そのようだな――。来るぞ!」
ルンバの視覚センサーが異常値を検知した。ガイオウガは猟兵たちの立つ場所へと前進しながら、炎を放ち始めたのだ。紅蓮が噴き出す。世界を赤く染め上げながら、死をもたらす業火を撒き散らし、迫り来る!
「お願いします、ルンバさん!」
「ああ!」
先ず、猟兵たちのもとへと到達したのは炎弾の雨であった。空を埋め尽くさんばかりの炎が降り注ぐ。
「帝竜ガイオウガ!守護神の名が伊達ではないことを教えてやろう!」
ルンバが一歩進み出て、最前線に立つ。その身に宿す機能を最大出力で起動した。【守護神の盾/イージス】。内燃機関のジェネレータ出力全てをバリアの構築へと回し、展開した光の防壁が襲い来る炎を押しとどめる!
「そのままお願いします、ルンバさん!――コール!オベイロン!ティターニア!」
前衛としてルンバが炎を抑える間、アイが亜空間ストレージへと接続し格納したマシンへと信号を送る。空間のゲートを開き、2台のマシンが飛び出した!
【夏の夜の夢/ナイト・ドリーム】――それはアイの呼び出した2台のマシンを合体させることで、戦闘用パワードアーマーを組み上げる戦闘コードである!
「フォーメーション・ミッドサマー!」
2台のマシンが合体する!アイを中心として組み上がる、鋼の巨体。カメラワークが切り替わり、脚・腕・肩・胸・頭部の順でアップになる!
「ビルドアップ!フェアリーズアーマー!」
最後にアイはカメラ目線でポーズを決めて見得を切った。
「ひゅう。向こうは派手にやるじゃねーか。――こっちもちょいとばかし強い札を切るとしよう」
一方でヴィクティムはルンバのバリアの庇護下から外れながら、向かい来る敵の姿へと向けて走り始める。そこはさながら地獄であった。膨大な熱に融解する大地。マグマの上を我が物顔で闊歩する炎獣。常人であればそこに立つだけで命が潰える濃密な熱の領域だ。その中をヴィクティムはすり抜けて、ガイオウガ本体への間合いを詰める。その体内で動き出すエンハンサーがヴィクティムの脳と神経系を活性化させた。同時にデバイスを起こし操作パネルを叩く。既に状況は動き出している。ヴィクティムは棋譜を進めるべくして手を打ってゆく。
「覗かせてもらうぜ、ウィズワーム――てめえの頭ン中をな」
ブレインハック!脳機能掌握ツールを通じてヴィクティムはガイオウガの精神に接続した。――同時にその思考を分析する。電気信号に変換した思考をパターン化し分析。解析可能なデータへと置換しながら、その攻撃の矛先を読む。それは即ち放たれる炎弾や分体ガイオウガの戦闘機動予測だ。
「よし――読めた!データ送るぞ、受け取れ!」
更にヴィクティムは解析した攻撃パターンデータを送信。データリンクし、共有する。
「ありがとうございます!――く、ッ!」
ミストはコクピットのコンソールを叩き、受け取ったデータを展開。敵の攻撃パターンデータを機体の端末へと読み込ませながら操縦桿を押し込み、素早い機動で炎を躱す。――だが、物量が多い。ミストは巧みな操縦技術で回避機動をとるが、僅かに躱しきれず機体のモニターにアラートメッセージがポップする。受け取ったデータで補正できたのが助けになった。想定よりもダメージは軽微だ。戦闘継続は可能。
「この熱量……足が鈍ればそこまでだ」
しかし、いずれの攻撃も直撃を受けたらブラックバードの装甲とて無事では済むまい。ミストは機体の出力を上昇させながら、炎の弾幕の先に揺らめくガイオウガの威容を見据える。
「すごい、熱……。当たったら、焼鳥」
同様に、空中を舞って追い縋る炎から逃れ続けるのはグウェンである。羽ばたく翼に念動力での加速を乗せ、襲い来る炎を躱しながら攻めいるタイミングを伺う。
「征かなくちゃ――怯えてなんか、いられない」
「GAAAAAAAAAAA!」
「っ、熱っ……!」
グウェンを襲う炎は、竜のかたちをしていた。ガイオウガのカタチによく似た姿。【垓王牙炎操】の生み出す分体ガイオウガの群れだ。グウェンはその追跡から逃れつつ、クランケヴァッフェから羽の刃を射出してその接近を押しとどめる。
「GAAAAAAAGH!」
「こんなの、心臓が止まっちゃう恐怖……に、比べたら、全然」
「大丈夫か!」
だがその時である。地上から放たれた砲弾が分体ガイオウガを叩き、爆発に巻き込み消滅させた。ルンバの対艦砲による援護射撃である!
「一度こっちに戻ってください!合流して動きましょう!」
続けて戦場にミサイルの閃光が走る。フェアリーズアーマーからの射撃支援だ。アイはアーマー内のディスプレイ越しに戦場に展開した炎獣たちの姿を確認しつつロックオン。ミサイルランチャーの一斉射撃で反撃を開始していた。
「あり、がと……助かる」
グウェンは一旦降下して2人に合流。ルンバとアイに同道しながらガイオウガの眼前へと詰めてゆく。
そして、大地が鳴動する。
――猟兵たちを見下ろすガイオウガのその双眸には、明らかな殺気の光が灯っていた。
これまでの交錯で深手を負わされたガイオウガは、目の前に在る猟兵たちを完全に脅威として認識していたのだ。その唸る声には、明らかな怒りと殺意がこもっていた。
「……よう、来てやったぜ。ウィズワーム」
ヴィクティムはその口の端に挑発的な笑みを乗せ、獣のように笑いながら帝竜を睨めつける。
「目標捕捉……撃破目標、帝竜ガイオウガ!」
ガイオウガの頭上で、鋼の翼が舞う。――ブラックバードだ。炎獣やマグマ砲の迎撃を越え、その躯体はガイオウガを有効射程へと捉えていた。
迎え撃つ、とばかりに、ガイオウガは吼えた。大気が震え、山が揺れる。ガイオウガの体表から再び吹き上がる炎。放射される業火が猟兵たちへと襲い掛かる。
「ああ――ああ。こいつはすげえ。最悪だ。マジでビビっちまうくらいにな」
その獄炎がヴィクティムを捉え、殺到する。膨大な熱量が頬を撫ぜ、死を招く地獄の風がヴィクティムを抱擁した。
「だからこそ、勝たなきゃならねえ――そうだ。勝利はすべてに優先される」
たとえ生命が削れ、人間性を喪失するとしても。――炎がヴィクティムを呑み込もうとしたその時だ。
そこに、虚無が訪れた。
【Forbidden Code『Void Hex』/キョムヨリウマレシノロイ】。――ヴィクティム・ウィンターミュートの身体の内には、あまねく存在を無へと帰す虚無/ヴォイドが巣食っている。
その禁忌はすべてを滅する。ヴィクティムを中心として膨れ上がった虚空は、彼を喰らおうと迫りつつあった炎を逆に食い尽くし、消滅させたのである。
「――生命と人間性は捧げられた」
「……あれも、虚?」
グウェンはそこに現出した虚無を見つめながら、短く呟いた。彼女の身の内で、“虚”が蠢く。
「うん――わかってる。だから、お願い。もうひとりの、私……」
グウェンがランプをかざす。青白く光るその中から、ふわりと影が浮かび上がった。――翼もつ女のかたちをした、グウェンの中にいる悪魔。【側面顕現『モリガン』/アルターエゴ・モリガン】の姿が、ここに顕現する。
「やろう、モリガン……。あの炎を、消す」
顕現したモリガンと共にグウェンが宙を舞う。Imaginary Shadow!翼から生じた黒い影が蝶のかたちを成してはばたき、風と共に燃え上がるガイオウガの炎へと叩きつける。爆ぜる影が炎を消し潰し、無へと帰してゆく!
「全テ、虚無ニ……、ッ!」
「そう……ぜんぶ、消えて」
ヴィクティムとグウェンは『虚』を繰り、ガイオウガの放つ迎撃の炎は発現する虚の力に呑まれ次々に消滅してゆく!炎弾や分体ガイオウガさえもその力の前に消し潰され、迎撃の手が滞った!
「今が好機……ですね、ルンバさん!」
「ああ!一気に仕掛けるぞ、アイさん!」
それは即ち、最大の好機ということだ。ルンバとアイのフェアリーズアーマーは搭載したすべての火器をフルオープン!ジェネレータ出力を最大限にまで高め、ありったけの火力を叩きつける!
「こちらもいきます――全部、叩き込む!」
同時にミストがトリガーを絞る。ジェネレイター出力上昇。可変速ビームキャノンへとエネルギーを注ぎ込み、そして照準!砲身に灯す光。射撃!放たれるエネルギーの奔流がガイオウガに浴びせられた。爆発!ガイオウガの顔面で光が爆ぜる!身じろぎするガイオウガ。再び大地が揺れ動く。
「まだです……ゲート展開!」
更にミストは機体の出力を上昇させた。【シュラウド・ジャンプドライブ】の駆動!空間を繋ぐゲートを構築し、機体を飛び込ませる。ブラックバードが現れたのは、ガイオウガの背面だ。ミストは再びビームキャノンを叩き込み、更にもう一度ゲートを展開。短距離ワープを繰り返し、ガイオウガの周囲を飛び回るように現れては消えながらその全身に幾度もビーム砲撃を叩き込んでゆく!
「トドメは合わせていきましょう、ルンバさん!荷電粒子砲、フルチャージ!」
「了解した!こちらもフルパワーだ!」
「こい、つも……もっていけッ!」
「モリガン――飛んで!」
そして、畳みかけるようにルンバとアイが光を放つ!最大出力の粒子砲とビームキャノンが重なりながらガイオウガへと叩きつけられた!ヴィクティムが散弾銃を向け、グウェンのモリガンが翼を開いてガイオウガへと激突する!
これが、ここでぶつけられる最大火力だ。猟兵たちの全力の攻勢に、ガイオウガの外殻が爆ぜた。
――悲鳴をあげるかのように、ガイオウガが身を震わせる。爆炎の中に唸り声が響いた。
「……やったか!」
「いえ、まだです!」
しかし。
立ち上る煙の中から、その身体を半壊させたガイオウガが姿を現す。――帝竜は、未だ健在だ。深手を負いながらも、地獄の王は立ち続けている!
「ぐ……はあ、はあ……ッ」
「そろそろ……こっちも、限界」
だが、ここで猟兵たちは後退を余儀なくされる。虚無の力に生命を蝕まれるヴィクティムに、これ以上の戦闘継続は負担が大きすぎる。ブラックバードやフェアリーズアーマーの残弾と残存エネルギーも限界値が見えていた。
「あと一歩というところで……!」
「皆さん、ブラックバードに掴まってください。ジャンプドライブで離脱します!」
ミストは猟兵たちのもとへ飛来し、ブラックバードで回収する。そのまま開いたサイキックゲートの中へと飛び込み、戦域を離脱した。
――その滅びは、既に見えていた。
ガイオウガの躯体は既に全身がひび割れ、半ば崩壊しかけている。
次の一手が、最後となるだろう。
だが――それでも未だ帝竜はここに在り、炎の中に立ち続ける。止めの一撃を刺すのは、容易なことではないだろう。
かくして戦いは、終局へと向かう。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
リゥ・ズゥ
炎の、竜。リゥ・ズゥより、ずっと、強く、大きい、怪物。
その炎、その生命。喰らい、取り込めば、リゥ・ズゥは、もっと、強く、なれる。
いく、ぞ……!
「第六感」「野生の勘」で攻撃を察知、「視力」で「見切り」、「早業」で体を変形させることで最小限の動きで躱しガイオウガの至近まで「ダッシュ」。
どうしても躱せない時は「火炎耐性」「激痛耐性」で強引に突き抜ける。
先制攻撃を凌ぎ切ったらUCで巨大化し周りも己も省みぬ「捨て身の一撃」でガイオウガへと渾身の「カウンター」を叩き込む。
リゥ・ズゥは、竜より、弱い。だが、リゥ・ズゥは、竜を、超える。
ガイオウガ。お前の血、お前の炎、お前の、生命。リゥ・ズゥへ、寄越せ……!
エル・クーゴー
【ワイルドハント】
●POW
スサノオの積極戦闘態勢を観測しました
レアです
スサノオのインファイト・レンジ到達まで【援護射撃】を
また、敵性の完全沈黙まで――ワイルドハントを開始します
●対先制
・【空中戦】用バーニア展開
・強噴射(吹き飛ばし)で大きく後退、火山弾の放物線軌道の観測時間を引き延ばし回避率増を期す
・二門一対(2回攻撃)アームドフォートより、スサノオの突貫に【援護射撃】を展開
・スサノオに迫る火山弾の内、スサノオの機動を特に妨げる射線にあるものを空中高くの時点で狙撃(スナイパー)する
●【嵐の王・空中行軍】発動
・最大戦速&全武装解放(リミッター解除)
・大怪獣戦争に適宜航空火力支援を(砲撃&爆撃)
スサノオ・アルマ
【ワイルドハント】
なんだかね
きみが気になるんだ
エル
ぼくはまっすぐ行くから
あれと一緒にうっていいよ
ここは大地の力があふれてる
ぼくも利用しようかな
ぼくは死なない
焼かれ、噛まれ、削られても死なない
だからぼくが動かなくなるまで
きみを焼き、噛み砕き、削りつくすよ
ぼくがきみの地獄だ
※戦法
全速力でガイオウガへ接近
火山弾の直撃に注意し、弾道を見て都度避ける
発生する炎の獣は相手にしない
地面に弾着した弾が獣になる前に、そして追いつかれないよう走り抜ける
敵との密着、火口のない位置が目標地点
火山弾が意味をなさない超至近距離でインファイトを仕掛ける
火山サイズ相手に真正面から挑み、原始的に立ち回る
怪獣大戦争だ!
【血反吐】
荒谷・ひかる
・対先制攻撃
炎の精霊さんと風の精霊さんにお願いし、周辺で燃えている炎をより強く燃え上がらせてもらう
目的は燃焼反応の加速による酸素の消費……空気中の相対的な酸素濃度の急激な低下
燃焼の三要素(熱・燃料・酸素)のうち一つでも欠ければ、炎はその存在を維持できなくなるはず
それによりわたし自身が窒息しないよう、酸素ボンベを携帯しておく
また水の精霊さんに頼んで全身を濡らし、熱ダメージも最低限に
凌いだら【武装憑依・闇の精霊さん】発動
精霊銃「THE EARTH」よりマイクロブラックホール弾を発射し、炎の獣諸共ガイオウガの巨体を圧し潰す
どれだけの巨体であろうとも……超重力からは逃れられません!
轟音。
吠える。吠える。叫ぶ。叫ぶ。その躯体が咆哮する度に、大地が震えた。
「敵性体……攻撃目標、個体名『ガイオウガ』。目視にて捉えました。同時に熱源の活性化を確認」
エル・クーゴー(f04770)の視覚センサーは、咆哮せし炎の王の姿を視る。サーマルモニターに表示されるのは凄まじい高熱の反応。そこに広がる炎の地獄は、尋常の生命であればとうに致死域を上回る死の世界であった。
「いたね」
白く揺らめく炎が岩肌を踏みしめた。スサノオ・アルマ(f16425)は、遠く燃え上がる竜の姿を望む。
「じゃあ、あいにいこう」
「お、お」
漆黒の躯体が、そこに並んだ。リゥ・ズゥ(f00303)は戦闘形態を維持しながら、その視線の先に満ちる獄炎に対峙した。
「炎の、竜。リゥ・ズゥより、ずっと、強く、大きい、怪物」
「さすがに大き過ぎませんか、あれは」
荒谷・ひかる(f07833)は術式を繰る。手にした紋章が淡く光った。炎と風の精霊たちの助力を得て、簡易的な遮熱防壁を張る。
「大きい、が……その炎、その生命。喰らい、取り込めば、リゥ・ズゥは、もっと、強く、なれる」
リゥ・ズゥの視線の先で、炎が爆ぜた。火山弾の砲撃が始まったのだ。大気を焦がして空を灼き、炎の雨が天を満たす。
「敵性体、攻撃を開始しました。迎撃を提案します」
「ええ。行きましょう、みなさん!」
「うん。……いこう」
白炎が揺らめいた。
狼のかたちをもつ炎の神格が、その双眸に確かな意志を宿す。
「エル。ぼくはまっすぐ行くから、あれと一緒にうっていいよ」
「リゥ・ズゥ、も……、いく、ぞ……!」
「了解しました。スサノオ及びリゥ・ズゥを前衛とした戦術プランの提案と認識し、受諾。スサノオ及びリゥ・ズゥのインファイト・レンジ到達まで火力支援を。また、敵性の完全沈黙まで――ワイルドハントを開始します。ひかる、支援を頼みました」
「わかりました。わたしも援護に入ります」
かくして、狩猟は始まる。
「赦スナ」
「猟兵ドモヲ、垓王牙二近ヅケルナ!」
「殺セ!」
「GAAAAAAAA!!」
戦場へと駆け出したスサノオとリズ・ズゥを、炎獣《イフリート》の群れが出迎えた。分体ガイオウガもまた炎の顎門を開き、猟兵たちへと襲いかかる。
「とおして」
「オオ、オッ!」
スサノオは炎獣の間をすり抜けるように、身を低くしながら素早く駆けた。リゥ・ズゥもまたブラックタール特有の変幻自在の身体を伸縮させながら獣たちの爪を躱し、前へと進んでゆく。
「進マセルモノカ、ッ!」
業火!咆哮とともに炎獣の中でもひときわ大きい個体が猟兵たちの道を阻む。空を焦がすような黒き炎を牙としながら、その獣は跳んだ。
「――敵性体、《タイプ:イフリート》確認。ターゲット、インサイト。火力支援を開始します」
だが、その炎を弾丸が撃ち抜く。エルの援護射撃だ。バーニアを展開し高高度の空中に位置取ったエルは、眼下の炎獣たちを照準器の中に捕捉した。アームドフォートより展開したアンチマテリアライフルから大口径弾頭をぶち込んでやる。続けて二射、三射!黒い炎獣は二射目を躱すが、別の炎獣に命中し爆ぜる。続けて射撃。銃口が吼える度に獣が爆ぜて散った。
「熱源接近。回避機動」
ここでエルは側面にバーニアを噴かして滑るように機動する。炎弾の接近を感知したのだ。回避機動。1秒前までエルのいた空間を炎弾が通過する。エルは油断なく周囲の熱源反応を探知しながら、再びライフルの筒先を地上の炎獣たちへと向けた。
「グオ……!」
「怯ムナ!俺達ハガイオウガノ血肉ナリ!」
支援射撃の弾頭に炎獣たちが次々に爆ぜる中、黒い炎の牙もつ獣が咆哮しながら牙を剥く。素早く跳んだ黒牙の炎獣がリゥ・ズゥへと喰らいついた。
「こい、つ……!強い……!」
リゥ・ズゥの躯体が炎の牙に打ち合う。だが敵のパワーは他の炎獣に比しても強大だ。凄まじい膂力!食らいついた牙の熱に耐え切れず、リゥ・ズゥの腕が砕け散る!
「グア……!」
「コノママ……死ヌガイイ!」
「そうは……させません!」
「……ムウ!」
黒き牙の炎獣が更なる追撃をリゥ・ズゥへと押し込もうとした、その時である。不意に、風が吹き荒れた。
「炎精さん!風精さん!」
ひかるの援護である。精霊術士の力をもって、彼女はこの地に満ちる精霊力と交信する。願い、そして命じるのは周囲一帯の空間における燃焼反応の激化と、大気の操作による空間遮断だ。
「炎をその身体とする以上……燃えることができなければ!」
彼女の狙いは、指定した空間内の酸素量を減少させ、燃焼という科学現象によって生まれる炎の勢いを弱体化させることであった。
――その存在核はユーベルコードに由来するとはいえ、炎獣たちを構成するものは間違いなく炎だ。遮断されたその空間において、炎獣たちの力はたしかに奪われる。
「ナニ……!コレハ……!?」
「オ、オオッ!」
その身に宿す炎が力を失い始めたことに戸惑う黒い炎獣は、そこに致命的な隙を作り出してしまった。――リゥ・ズゥは、それを逃さない。蕾が開くように身体を開き、食虫植物めいてリゥ・ズゥは炎獣を喰らう。
「グア……、ッ!ガ、ガイオウガ、ヨ……!」
「お前の味、悪く、ない」
その炎を貪り、己が血肉へと変えながら。リゥ・ズゥは身体を立て直し、ガイオウガの威容へと再び対峙した。
「やっとあえたね」
そして、スサノオはその眼前に至る。
「なんだかね。きみが気になるんだ」
まるで、旧知の友へと呼びかけるかのように。スサノオはガイオウガへと向き合う。
轟音。
ガイオウガは、敵意を乗せた咆哮をもって返答した。
「ここは、大地の力があふれてるんだね」
だが、構わずスサノオは進む。
――そして。
「ぼくも利用しようかな」
白炎が、燃え上がる。
「スサノオの積極戦闘態勢を観測しました――レアです」
前衛がガイオウガのもとへとたどり着いた状況を確認したエルは、ブースターを噴かして敵のもとへと向かう。
「……あの姿も、貴重ですね」
そして、そこに彼女が見たのは――山脈にも匹敵する巨体をもつガイオウガと。その躯体へ飛びかかる“同等のサイズまで巨大化した”スサノオの姿であった。
【神威】。神としての権能のすべてを、スサノオはここに解放する。気脈に触れ、畏れに触れ、大地(ガイア)のパワーを吸い上げ、その身をガイオウガに匹敵する神体へと至らせる。白炎を纏う爪が、ガイオウガの表皮に傷を刻んだ。
ガイオウガが咆哮し、振り回した頭部をスサノオへとぶつける。白炎を散らしながら、山肌の上にスサノオが倒れた。だが、すぐさま態勢を立て直す。
再び咆哮。大地を揺るがす声とともに、開かれたガイオウガの顎門の中へ熱と光が満ちた。
「オオ、オオオオッ!」
だが、その顎を拳が打ち上げる。――リゥ・ズゥだ。その躯体は平常時の彼を大きく上回る。
「リゥ・ズゥは、竜より、弱い……だが、リゥ・ズゥは、竜を、超える」
【見下ろすカイブツ】。敵の血肉を取り込み、自らの力とするリゥ・ズゥのユーベルコードだ。黒い炎獣を取り込んだその身体は、その拳先をガイオウガに届けるまでに肥大化している。
「その、生命……リゥ・ズゥが、喰らう」
リゥ・ズゥの拳打は、ガイオウガの顔に上を向かせる。獣の顎から放たれた熱線は、ただ空だけを赤く染め上げた。――取り付いたリゥ・ズゥはそのまま腕をガイオウガの身体へと繋ぎ、その熱と炎を吸い上げる。その力を奪い、己がものとしてその身に取り込みながら、漆黒の躯体を更に巨大化させてゆく!
「オオオオオオオオオ、ッ!」
更なる巨大化に至ったリゥ・ズゥの体躯は、ガイオウガと正面から打ち合えるだけのサイズをもつ。固く握り込んだその拳を、リゥ・ズゥはガイオウガの脳天に叩きつけた!激突!轟音!その衝撃にガイオウガが怯む。リゥ・ズゥは更にその腕に螺旋を描いた。ブラックタール特有の可塑性の身体をドリルめいて回転させながらその外殻を削る!
――しかし、ガイオウガは咆哮と共に前進した。その凄まじい質量とパワーが、リゥ・ズゥを跳ね除ける。山を揺るがし、リゥ・ズゥがダウンした。
「ああ」
それと入れ替わるように、再び白炎が舞う。スサノオが再びガイオウガへと喰らいついた。――身を震わせてガイオウガが打ち払う。大地に叩きつけられるスサノオに向けて、ガイオウガは更に炎を吐き出し、業火を浴びせた。赤と白の炎が交錯し、互いに喰らい合うように混ざり、弾け、そして離れる。
「ぼくは、死なない」
だが、スサノオは立ち上がる。削られた白炎の身体を再び燃え上がらせ、狼の躯体を再構築。そして怯むことなくガイオウガへと仕掛ける。
ぶつかり合うたびに熱風が吹き荒れ、山が揺れて大地が割れる。黒の躯体と白き炎が、赤き燃え上がる地獄の化身と幾度もぶつかり合う。それはまるで、神話に語られる巨神の戦乱であった。
「大怪獣戦争、ですね」
「戦いの規模がとんでもないですよ……!?」
その一方、ひかるとエルは巨神の戦いを仰ぎつつ、武装を展開する。――質量差は、まっとうな戦いにおいては絶対的な戦力の違いになりうる。しかし、ことユーベルコード戦闘においては、それは覆せぬものではない。それを理解しているが故に、2人もまた退くことなく戦場に立ち続けている。
「撤退の許可は下りません。いきましょう、ひかる」
エルは起動した火器管制システムをアームドフォートにリンクさせ、持ちうる限りの火器をセットアップ。――ターゲット、ロックオン。狙う箇所は、砕けたガイオウガの胸郭内に光る心臓部。推進剤の燃える軌跡を残しながら、エルは再び空中へと舞い上がった。
「逃げる気なんかもとからありませんよ!――はい、いきます!」
ひかるもまた、その手に銃を握る。精霊銃ジアース。その銃身に、ひかるは意志を載せる。【武装憑依・闇の精霊さん/アームドポゼッション・ダークエレメンタル】。そこに宿すのは闇の精霊力。重力制御のチカラ!
「闇の力の神髄、お見せします……!」
トリガー。銃口から、凝縮された精霊力が噴出した。光を吸い込む黒の精霊力が収縮しながらガイオウガの躯体へと撃ち込まれる――命中!極小のブラックホールがガイオウガの身体へと叩き込まれ、そこに異常重力が生まれる!
ずし、ん――。
――地響き!火山と同等以上の質量をもつ巨躯が、極大重力によって沈み込んだ。衝撃に山脈が揺れる!
「敵性体の拘束を確認。高出力空戦モードに移行――」
そして、エルは展開した武装に火を入れる。
アンチマテリアルライフル。機関砲。ブラスター。全ての武具に熱を帯び、ウェポンエンジンが唸りをあげた。【嵐の王・空中行軍/ワイルドハント・エグザイル】。放たれた全ての火器が吼え猛り、鋼鉄の嵐がガイオウガの心臓を叩く。
弾丸が爆ぜる。ガイオウガが苦悶するように叫び、外殻が砕けた。頭部を構成していた岩肌が崩れ落ち、燃ゆる双眸が溶け落ちる。それでも尚滅びに至らぬガイオウガが、悲鳴めいた咆哮をあげる。
「これで……いけるはずです!リゥ・ズゥさん!スサノオさん!」
「戦術プラン、最終段階に移行します。――最後は、任せました」
「ああ……おまえ、の、負け、だ。ガイオウガ」
「――これで、おわりだね」
そして、その眼前にリゥ・ズゥとスサノオが立つ。
――それでも尚、地獄の主は。生ける炎は。燃ゆる帝竜は。その全身に敵意と憎悪を滾らせながら、燃ゆる双眸で猟兵たちを睨んだ。
スサノオの身体がほどけるように、白炎が広がる。燃え盛る獄炎を抱擁するように、その炎がガイオウガの身体を包み込んだ。
「ぼくが――きみの地獄だ」
――崩壊するガイオウガの内部で、その心臓部たる『炉』が露出する。
「ガイオウガ。お前の血、お前の炎、お前の、生命。リゥ・ズゥへ、寄越せ……!」
そして――リゥ・ズゥの腕が、その心臓を貫いた。
その存在核を砕かれ、猟兵たちとの戦いによって遂にその命を潰えた帝竜ガイオウガは骸の海へと還る。
鳴動しながら崩壊するその躯体が灰となって山津波のように山脈へと広がり――そして、燃え尽きた。
かくして、戦いは決着する。
即ち――――帝竜ガイオウガは、ここに灼滅された。
成功
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