帝竜戦役⑱〜自信過剰の劇作家たち
●プライドの相違?
「腹の虫が収まらないとはこのことですわねぇ…おやおや?皆さんお揃いで。お集まりいただき、感謝の極み。早速ブリーフィングと参りますわぁ…ええい口にするだけで腹の立つ…!!」
いつもより五倍増しでイラつきながら、グリモアが投影した光景を見ていたアリア・フォールフォース(血の色ドレスの悪落ち令嬢・f26991)が気だるげに口を開いた。
「え~、此度の戦場はサウナ珊瑚…高熱を発する特別なサンゴですわ。それが良く生える温泉地帯のようでして…」
口ごもり、胃を決した…と言うよりは、観念したといった風に彼女はため息をつくと、自身が見ていたグリモアの光景を猟兵達に見える位置へと動かした。
「どうやらそこの温泉の一角を根城にしていやがる大昔のどっかの帝国のお貴族の、自称御令嬢たちがですね、どこからか年若い一般的な女の子たちを連れ込んで支配している様ですの」
アリアのグリモアが映し出したのは、豪奢なドレスに身を包んだ若い少女たちが、さもそこが宮廷のパーティ会場だとでもいうかのように踊り、雑談を交わし、あるいは口論している、中々に華やかな光景である。
…その会場が熱気漂う温泉地帯であり、彼らの大半がその湯船に足が…あるいは下半身がどっぷり浸かっている、と言うことを除けば、だが。
「あああああああ恥ずかしい!!貴族ともあろうものが一般人巻き込んでこんなこと心底楽しんでやってるとかほんっと恥ずかしい!!!と言うかあいつら令嬢って言ってる割にはとっくに成人してますわよね!?あーみっともない!!!!!情けない!ですわぁ!!」
頭を抱えて錯乱するアリア。
どうにか周囲の猟兵に諫められ、荒くなった息を整えて説明を再開する。
曰く、ここの温泉の湯船につかった者は、例外なく過剰な【自信】に溢れてくるとのこと。
曰く、今回殲滅しなくてはならないオブリビオンの正体は【古代帝国の魔女、太古の貴族】とのこと。
曰く、さらってきた少女たちを催眠と魔法で悪役令嬢やその引き立て役に仕立て上げ、悪役令嬢とその周囲の人々が織りなす悲劇喜劇(脚本、演出、監督、オブリビオン貴族令嬢たち)を、取り巻き役の御令嬢となって潜んで楽しんでいるとのこと。
なお、彼女たちはオブリビオンとなる前からとっくに成人している。
曰く、彼女達は温泉の効果によって自身の作る劇を最高の傑作だと信じて疑っていないとのこと。
「そして、曰く…催眠を掛けられた一般人たちも、自身が貴族の御令嬢だと疑っていないようですわぁ…それはそれは、自信満々に…!吐き気が、怒りと見苦しさと台無しにされてるドレスたちの無念で吐き気が…!!」
幸い、オブリビオンを倒せば催眠も魔法も解けるようだ。悪役令嬢や貴族令嬢として強化されようと一般人は一般人、猟兵がきちんと対応すれば問題視するほどの戦力ではなく、救出することができれば後々アリアが家に送り返すことになっている。
どうにか絞り出すように伝えるべき相手の要点を伝えた彼女は、くたぁっと持ち込んでいた椅子に崩れ落ちた。
勘当され悪落ち令嬢を自称してはいるが、元はれっきとした魔法使いにして貴族令嬢。
色々と来るものがあるのだろう、怒りとか羞恥とか虚無とか。
「…最後に、あの温泉の効果は猟兵でも例外ではありません。戦場に飛び込めば、貴方達の心に分けもなければ根拠もない自信が湧き上がってくるでしょう…慢心、油断にすら繋がる程に。それは避けられないことです…が、それを抑え込めたのであれば。温泉の持つもう一つの効果により。皆さんの持つ力はこの一時のみ、どんどん跳ね上がっていくことでしょう」
アリアが。
力なくグリモアが開いた扉を指し示す。
「ですからしっかり感情を制御して、可及的速やかにあの恥さらしどもをおぶちのめしくださいまし…!!」
その目はなんかもう霞んで淀んでいた。
とま太郎
戦争シナリオ二本目、だいぶ乗り遅れた感がすごい!
どうもとま太郎です。
温泉を舞台に繰り広げられる自称貴族の御令嬢たちによる戯れを阻止してください。
さて今回の戦場では、アリアお嬢が皆さんに説明したように、温泉に浸かることで皆様の心に特定の感情…この温泉では【自信】が爆発的にこみ上げてきます。
そして、この戦場でのプレイングボーナスは【「爆発的な感情」を発露させた上で、抑え込む】となっており…。
いかに自分に溢れる自信を抑え込めるかが、勝利のカギとなっております。
なお敵は抑え込めなんてしないのでそれはそれは自信満々に襲い掛かってきます。
誘拐され操られる一般的な女の子たちは、保護さえしてもらえれば死んだ目をしてるアリアお嬢が後程家に送り返してくれるので、どうか彼女たちの恥がこれ以上重なる前に助けてあげてください。
それでは皆さん、良い狩りを!
第1章 集団戦
『貴族令嬢の戯れ』
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POW : 運命の強制力
【(一般人が対象)断罪劇が弱点の無敵化魔法】が命中した対象を爆破し、更に互いを【悪役令嬢(一般人)とその取り巻きロール】で繋ぐ。
SPD : 悪役令嬢と取り巻き
【予め催眠指導した悪役令嬢(一般人)に】【高笑いや悪役ロールをさせることにより】【悪役令嬢とその取り巻きの共鳴効果】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ : 暗躍する令嬢
対象の攻撃を軽減する【舞台を召喚し、偽悪役令嬢や目立たない影】に変身しつつ、【誰にも気づかれない程、高威力の嫌がらせ】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:ゆりちかお
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
護堂・結城
自信を持つことは大事だよなぁ…だが、過ぎた自信は身を亡ぼすぞ?
主に後々の羞恥心とかでな
黒歴史量産する前に倒れとけや
【POW】
氷牙を刀に変化させ【怪力・なぎ払い】で近寄る敵を牽制
【歌唱・大声】に【生命力吸収】をのせて戦場に溢れた感情を喰らう【大食い・範囲攻撃】
自身の過剰な自信をメインに、敵からは冷静にならない程度に加減して吸収だ
「――頭を垂れよ、死はお前の名を呼んでいる」
指定UCを発動、【焼却・属性攻撃】をのせた白き劫火の剣群を召喚
親玉の敵を狙い剣群を投げ込んでは炸裂させて【爆撃・衝撃波】で攻撃だ
「温泉を悪用する奴ぁ…処されても文句は言わせんぞ?」
「自信を持つことは大事だがなぁ…」
ざわざわと、着飾った少女たちの中に現れたのは護堂・結城(雪見九尾・f00944)だ。お湯をかき分け攫われた少女の元へと歩み寄る。
うっすらと怒気を纏っているが、催眠と魔法で自信に溢れた少女達(一部成人女性)はそれに気が付かない。
だが、それに気が付いた…わけではなく、自身が演出している劇を中断させたくない、古代帝国の魔女が、主演に仕立て上げようとしている少女へとこっそり魔法を放ち…無敵の悪役令嬢に変え…爆破。
勇気を巻き込んだ爆風の中から姿を現した今回の悪役令嬢が、結城に指を突き付ける。さぁ、お決まりの流れを始めましょう!
「貴方ねぇ…ここがどういう場所かわかっていらして?不敬ですわよ!!」
「そうですわそうですわ!こちらのお方を何方と心得て」
「ちょっと座れ」
中断入ります。
「えっ…あっ、はい」
悪役令嬢と取り巻きの、十八番(だと自信満々で信じている)お決まりの流れで場を支配しようとした古代の魔女と悪役令嬢、爆発を真正面から受けたにもかかわらず真顔で目をかっぴらいて温泉に刀を深々と突き立てている結城の迫力に思わず正座。
「あの、これ肩まで使ってしまうんですが」
「温泉だろ、肩まで浸かれ。…で、だ。あのなお嬢さん達よ、過ぎた自信てぇのは、身を亡ぼすぞ?主に後々の羞恥心とかでな…悪いことは言わねぇから、ここらで納め解け、な?」
よく通る声で、滾々と、周囲の少女達にも聞こえるように話す結城。
その淡々とした説教が効いたのか…次第に悪役令嬢役だった少女から自身が薄れていき、平謝りを繰り返すようになっていく…否、結城が食らっているのだ、彼女たちの自信を。彼自身に溢れそうになっている自信を。
その結果が、彼の周囲で心が折れたのか、あるいは羞恥に絶望したのか、崩れ落ち死屍累々の有様を見せる少女たちと、すっかり回復しきった結城の姿であった。
「な……納得いきませんわぁ!!」
だがしかし、いまだ折れてない御令嬢(成人女性)が一人。
「皆さん、このような男の言葉に惑わされてはいけませんわ!私たちは由緒ある貴族の御令嬢ですわよ!?これじゃ脚本が台無しですわ!!」
「ゆるして…ゆるして…」
「むり…もうむりだって…」
だがしかし全く言葉が響いていない!そして。
「ほう…お前か、主犯は」
「あっ」
立ち上がってしまった取り巻き令嬢…この舞台の監督である古代の魔女、失言に今更気が付き、結城の方を振り返ると…。
「――ヒィィィッ!?」
湯船を煮立たせかねない、劫火の剣を無数に従えた結城の姿。
「――頭を垂れよ、死はお前の名を呼んでいる」
剣群が、古代の魔女へと殺到。魔女はなりふり構わず逃げ出そうと。
「ちょ…ドレスが、ドレスが重いんだけど!?」
「いや、着たまま湯につかってたらそりゃ重くなるだろ…いいから、さっさと、死ね」
剣群が命中、炸裂、命中、炸裂、命中、炸裂…すべての剣群が投げ込まれた後には、古代の魔女の、ドレスの切れ端一つ残っていなかった。
「温泉を悪用する奴ぁ…処されても文句は言わせんぞ?」
催眠から目覚めた少女たちがこの言葉を胸に刻んだのは、言うまでもなかったのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ベール・ヌイ
自信か…あるといいね
ヌイは基本自信なんてない
腕力もない、武術もない、ないないづくし。せいぜい料理が得意なだけ、でもプロには負ける
温泉につかって、自信にあふれても、何かがヌイを止める
【不死鳥召喚】を起動
痛みが思い出させる、ヌイは弱い狐だと。だから捨身でがむしゃらにやるしかないと
その思いが、肥大化する自信に蓋をする
「フェニクス、燃やそうか」
地獄の炎よ、貴族令嬢に、周囲を巻き込んで
癒やしの炎よ、連れ去られた一般人に、癒やし尽くせ
断罪劇をはじめようか
アドリブ協力など歓迎です
宮落・ライア
つまりー…ボク達が機械仕掛けの神様役だな?
幕を降ろすための都合の良い神様!
あーっはっはっはっはっはっはっは!!
……はぁ。元からテンション高いし自身を持って
突っ込むボクは一体どの辺りに感情を置けばよいのだよ。
ふむ………まぁいっか!
とりあえず、『殺せる(慢心)』ではなく『殺す(殺意)』
で取り組めばよいな!相手が取り巻きとは言え悪役令嬢なら問題ないしな!
野性の勘と見切りで第三者で楽しんでそうなのを発見する。
あとは友のうらみぃぃぃ!とかいいながら取り巻きのオブリビオンに向かって突進して刀で突き刺す。
劇っぽく死ねるんだから本望でしょ?
「自信か…あるといいね」
温泉を舞台に変え繰り広げられる、悪役令嬢とその取り巻きによる、平民(役)の女の子への丁々発止の…一言一句台本通りの大問答。
そんな中にいつの間にか佇んでいた白髪の女の子、ベール・ヌイ(桃から産まれぬ狐姫・f07989)。
「あら迷子?まったく、汚らわしい平民が紛れ込んでますわよ?!」
「嫌ですわ!」
「嫌ですわ!!」
「衛兵、衛兵!!」
台本にない登場人物に、影に扮していた四人の古代の魔女が、取り巻き令嬢に扮してベールを自らの舞台から退けようとする。
衛兵役など準備していないが…今この温泉は彼女達の監督する舞台、その指先から放たれる魔法の嫌がらせの力を使えば、それぐらいのアドリブは可能なのだろう。
「幕を降ろすための都合の良い神様参上!!」
降ってきた宮落・ライア(ノゾム者・f05053)の剣の一振りで台無しにされたが。
「やぁ!ここの監督さんはどなただい?機械仕掛けの神様役が到着したよ!」
「え…あのちょ、唐突に無礼すぎるというか…え、あの、役?」
突然のエントリーに悪役令嬢も平民の女の子も目を白黒させる。
「あああああ貴族令嬢様侯爵令嬢様ぁ!!このような下賤な者たちは私たちにお任せくださいませ、さぁさぁあの平民に鉄槌を!!…あれ?」
これに青ざめたのは古代の魔女達だ。舞台を台無しにさせるかと強引に軌道修正を…と思いきや肝心の主演の姿がない。
「…ヌイは基本自信なんてない。腕力もない、武術もない、ないないづくし。せいぜい料理が得意なだけ、でもプロには負ける…ヌイには、自信を持てるものなんて、何もない…この温泉に浸かっていても、僕の自信はどこかで止められる」
「あのっそんなに自分を卑下してはいけませんわ?料理が得意って言えるならそれはすごいことですわ!ねっ?!ですからその見るからに痛そうな何かをやめなさいって、ね!?」
「慰めちゃってるぅ!?」
暗く、憂いを帯びたベールの、ちりちりと炎を纏い肌を焦がす衝撃的かつ悲痛な姿に庇護欲を掻き立てられたのか、主演の悪役令嬢も平民役もみんなしてベールの周りに集まり、彼女を笑顔にしようとしていた。先のアリアの衝撃も相まって何なら催眠も解けかけている。
「あーっはっはっはっはっはっはっは!!なんだこれ僕の出番なさそうだね!!都合の良い神様なんていらなかったんだ!ハッピーエーンド!!」
その様子を見て痛快だ、とばかりに高笑いするライア。
「いやいやいや、困ります!?私たちが求めているのはこういうなんか三流じみたハッピーエンドでは…あっつ!?ちょ、あっつ!?なんなんですのあの子、なんで燃えてるんですの!?」
ベールの炎が広がり、思わず取り巻き令嬢が顔を顰める。
「なんでってそりゃ、僕らが猟兵だからかな?」
答えたのは、彼女の横でいまだ笑っているライア。
「あーそうですかそうですか猟兵ですか…はい?あの、いまなんて…」
「ん~…だから」
ヒュン!風を斬って、ライアの刀が振るわれる。
それだけで、取り巻き令嬢の首が一つ、落ちた。
「猟兵だよ。お前たちを殺しに来た、猟兵」
残った三人の取り巻き令嬢が戦闘態勢に移るが…追撃の一閃で、更に取り巻き令嬢の首が一つ、湯に落ちて温泉を赤く染める。
「まったく困ったよ…もうどのあたりに感情を置けば!って感じだからさ、悩んで悩んで…お前たちを殺すのに集中することにしたんだ」
アリアは参戦の時点で、殺意によって自信を捻じ伏せ、感覚をいつも以上に研ぎ澄まし…敵を捕らえ、時を窺っていた。
「でも人が多くて、巻き込まないためにはどうすれば~って思ってたんだけどね」
「!?しまった役者たちが!!」
ちらりと、アリアが目配せする。その視線の先に気が付き、取り巻き令嬢が振り向き…一人が、吹きあがった炎で消滅させられた。
「フェニクス、燃やそうか」
轟々と、渦巻く癒しの炎を翼として広げ、攫われた少女達を癒し、その道を遮るは不死なる悪魔。
ベールを灼き痛みを与え続け、その力を蓄えていた悪魔フェニックスは、契約者から捧げられた血肉を代価にその力を存分に発揮する。
不条理な魔法の舞台が、地獄の炎によって焼き尽くされる。
その様は、まさしく地獄の断罪劇…残ったのは真っ赤に染まった温泉。
残された魔女は、ただ一人。
「こんな…こんなことでは、終わりません、やり直しを…そうです立て直しを!!」
まだなんとかなる。
わけもない自信を胸に逃げ出そうとしたその横腹に。
「「友のうらみぃぃぃ!…こんなかんじかな?」
ライアの刀が、深々と突き刺さった。
「な…え、あ?」
「劇っぽく死ねるんだから、本望でしょ?…あんたの劇は、もう終わりなんだから」
刀を抜き、血糊を払ってライアが言う。
その視線の先には、魔法の催眠から目覚めた少女達の感謝と感激によってもみくちゃにされるベールの姿があるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
クシナ・イリオム
アドリブ歓迎
そういえば、猟兵になってから結構経つけど…
銀河皇帝も殺したし、ドン・フリーダムも信長も殺した。
なんだかんだ私も強くなってるのかもなぁ…。
よし、じゃあいい感じに自信が出てきたところで
【死心にて穿つ者】で感情を封印。
小さい体を生かして令嬢の群れの中に潜り込み、オブリビオンのみを【暗殺】
…これはこうやって精神的な振れで任務を失敗しないためのUCだからね。
敵の驕りで任務を成功させたことは何度かあるし…味方の怯えで死人が出たことはそれ以上にあるからね。
ほら、あんたたちもアリアが迎えに来るから早く帰ったほうがいいよ。
…「あの時の自分は驕り高ぶっていた」なんて考えられるうちに、ね。
蛇塚・レモン
確かに、この温泉はかつてない全能感をあたいに与えてくれる……
うん、まぁ? あたいにはリアル神様を2柱も宿しているし?
貴族令嬢だか馬の骨だか知らないけど、あたいの敵じゃないよねっ?
敵を見ていたら思い出す。
人のふり見て、我がふり直せ。
うわ、あたいもあんな感じに見えてたのかな?
う~ん、痛々しい……
結論、ヒトは自信があっても謙虚に生きる事が大事だよねっ!
過ぎたる『自信』は『驕り』に変わるって、蛇神様が言ってたっ!
とりま、蛇神様の眼力で釘付けにしちゃうよっ
UCも禁止されるから舞台も変身も無効だよっ!
ライムの魂魄を宿した蛇腹剣で範囲攻撃
炎の大斬撃で捨て身の一撃+なぎ払い+衝撃波!
勿論、珊瑚も回収だよっ!
「そういえば、猟兵になってから結構経つけど…」
ちゃぷん、と温泉に浸かりながら、クシナ・イリオム(元・イリオム教団9班第4暗殺妖精・f00920)は湯の温かさに瞑目し、考えを巡らせる。
「銀河皇帝も殺したし、ドン・フリーダムも信長も殺した。なんだかんだ私も強くなってるのかもなぁ…」
「…確かに自信に溢れるみたいね…」
応えたのは、同じく湯の温かさに身を任せている蛇塚・レモン(白き蛇神オロチヒメの黄金に輝く愛娘・f05152)。
「う~ん、この温泉はかつてない全能感をあたいに与えてくれる……あれ見てなければなんだけどね」
ちゃぷちゃぷ。のんびり湯に浸りつつ、二人が観劇しているのは、温泉を舞台に繰り広げられる、悪役お嬢様による嫌がらせと、嫌がらせ相手である少女からの怒涛の猛反撃。
古代の魔女扮する取り巻き令嬢によって、もっと良いものができる!と何度もリセットされているようだ。
「…自信と言うか、元気が有り余っているようにも見えるね…」
湯から浮かんできたクシナが呟く。
「だよねぇ…リアル神様を2柱も宿しているし?貴族令嬢だか馬の骨だか知らないけど、あたいの敵じゃないよねっ?って、さっきまで思ってたんだけどさ」
人のふり見て、我がふり直せ。
あれは、ない。
「うわ…いやほんとさ、あたいもあんな感じに見えてたのかな?」
「まぁね」
即答であった。
「早くない!?ひどくない!?」
「ひどく、ない…そろそろいいかな」
それまで温泉で蕩けていた表情を、クシナは瞬時に引き締める。
「ん~?なんか蛇神様が、あんまり見ない方がいいって言ってる…!?」
イリオム教団。彼女が属していた組織の秘術。湯船につかる前に、口元に仕込んでいた丸薬を一気に噛み潰し飲み込む。
脊髄を直接凍らされたような寒気と共に、クシナの感情が、自信が次々封じられていく。
「ちょ…今なんかまずいの飲んでたよね!?ね!?」
クシナの呼気からわずかに漏れ出る薬の匂いと、無表情故に気が付かれない変貌をレモンが感じ取り、止めに入るが…そのころにはクシナはすでに温泉の中に沈み、音もなく舞台へと潜航していた。
「……よしっ!!」
それを追いかけるように、レモンは念動力で自らを浮かし、舞台に乗り込むのだった。
「はいはいはーい、皆ちゅうもーく!!」
言い合いを繰り返してはリセットされる部隊の真ん中に、空を飛んでやってきたレモン、突然の割り込みに舞台は騒然、魔法で操られ台本通りに動いている悪役令嬢たちはアドリブを聞かせられず、温泉の中に用意された舞台中央に居座るレモンに言われた通り注目するのみ。
「えーと…さっきからこの劇見てたけど、結論、ヒトは自信があっても謙虚に生きる事が大事だよねっ!過ぎたる『自信』は『驕り』に変わるって、蛇神様が言ってたっ!」
「えっ…劇?あの、貴方はいったい…」
見かねた古代の魔女…取り巻き令嬢が声を掛けようとして。
「つまり…うん、見ていてすっごく、痛々しい!!」
グッサァ!!
そんな擬音が蛇神様には聞こえた気がした。
「あっ…純真な意見が心に来る…オブラートに、オブラートと言うものにですね…」
「もっと…もっといい劇が作れるはずなのに…なぜ、なぜ…これは素晴らしいのに…なぜ…」
崩れ落ちる令嬢達。それは制作陣である取り巻き令嬢も、役者にされている令嬢たちも、皆等しく崩れ落ちている。
その上で、温泉で仁王立ちをしながらも、輝く魔方陣を背負うレモンから目を離せない。
「…ん?温泉!?あれっ!?」
誰かが気付いた時にはもう遅い。
「というわけで…蛇神様、おねがーい!!」
魔方陣から姿を現していた蛇神の零体、強大な力を持つ蛇の神の視線が、呪いが、舞台を支配し…消滅させていたのだ。
一人また一人と、操られていた女の子たちが正気を取り戻す中、取り巻き令嬢がレモンを始末しようと動き始め、レモンもまた
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ナイ・デス
……オブリビオン化で、歪んでしまった、と思いたい、ですね
元の過去は、その、酷くないって?
……でも今、痛々しいのは、変わらない、ですか
せめて早く楽にしてあげるのが、情け、というものか、にゃあ
と。実はいい人の可能性を、内心自信満々に考え
聞いてた温泉効果で今の頭はと、抑えて
切り替え、危険なことを
私なら、大丈夫……!でも、間違えたら、大変
ミスは、ダメ。だから、慎重に!と、感情抑え
【範囲攻撃】『生命力吸収光』発動
一般人がまず、意識を失うように【生命力吸収】して
【念動力で空中浮遊】温泉に頭から沈み、死んでしまわないようしつつ
抑えることで、加減上手くなり
オブリビオンだけを、消滅までするよう、吸収し尽くす!
クトゥルティア・ドラグノフ
※アドリブ共闘大歓迎
自信かぁ
大切だけど、ありすぎると困るなあ
どんな気分になるのか、ちょっと依頼とか関係なしに興味がある
なんでもできる気がするよぉ!
フォーミュラ?父さん? 余裕余裕!
私に倒せない敵はいなぁい!
…スッゴいそう言い出したいし、実際ちょっと漏れかけてるけどさ
これ口にしたら、死霊となって私を監視している父さんに殺されると思うんだ
父さんに見られているという恐怖で、この過剰な自信を抑え込むよ
令嬢さん、正直言って貴女のお芝居最高にダサいよ
百点満点中0点な出来だよ
みたいに煽れば、自信過剰な状態な今なら簡単に食いついてくると思うんだ
ならあとは叩き斬るだけだ
UCで波状攻撃、なます斬りにしてあげるよ!
「……オブリビオン化で、歪んでしまった、と思いたい、ですね」
眼前の光景に、希望的観測を述べているのはナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)だ。
温泉に浸かる彼の前で繰り広げられているのは、孤高の悪役令嬢と、選ばれた平民の少女との一進一退の大舌戦。
主演である悪役令嬢はまさしく自分は貴族の令嬢だと信じて疑わず、古代の魔女扮する取り巻き令嬢は、そんな彼女の自信をキープする為に、強く厳しく、かつての貴族としての経験を熱血指導で叩き込んでは、舞台をリセット。
ナイが見ていた短時間の間だけでも、十回は修正、魔法でリセットからのやり直しが行われている。
「元は…悪い人じゃない、かも、しれない…かも?」
「いや、めっちゃ疑問形だよねそれ…どこからそんな自信がって、いやこのお湯のせいだね…」
もしかしたら、良い人だったのかも。
そんなナイの思いに答えたのは、同じく劇を見物する羽目になっていたクトゥルティア・ドラグノフ(無垢なる月光・f14438)。
湯に入っていない彼女だからこそ、ナイの根拠のない自信に気付いた。
その上で、ちょっと試しに、と気づかないうちに自身が湧いてきていたことに気が付いたナイを尻目に、ちゃぷんとクトゥルティアも温泉に浸かってみる。興味があるんだもん、仕方がないよね!
途端に、彼女に湧き上がる自信。
今なら、なんでもできる気がするよぉ!フォーミュラ?父さん? 余裕余裕!
「 私に倒せない敵はいなぁい!……ひぃい!?」
背筋めっちゃぞくっとした。
「…これ以上口にしたら、絶対殺されるね、あたし」
背後からものすごい視線を感じ、湯に浸かっているはずなのに震えが止まらない彼女は、その恐怖によって自信を抑え込むことに成功した。
巻き添えで寒気を感じたナイは、湯煙の中にものすごい目をしている半透明の男性を見た気がしたが、気にしないことにした。
「…これが、自信……うん、気を付けないと。切り替えないと」
せめて痛みなく、自分ならばそれができる。
そう考えていた自分の慢心を、頭を振って霧散させる。
「ミスは、ダメ…確実に、倒さないと…だって」
自分の考えを口に出し、戒めようとするナイ。
ちょうどそのタイミングで、取り巻き令嬢が再び監督として指導を入れようとして…。
「だって、見ていてすっごく痛々しいから…」
空気が、凍った。
「せめて、早く楽に…あ、ダメだ、これは慢心、慎重に行かないと…」
「うわー、刺さってる、めっちゃ刺さってるよあれ。めっちゃ聞こえてるよあれ」
取り巻き令嬢達、温泉に波紋が広がるぐらいに震えております。
「まぁ…確かにあれじゃ百点満点中0点な出来…むしろ、もう評価範囲外なぐらいかな?こう…コテコテすぎるっていうか」
キッ!と擬音が付きそうなぐらい目を吊り上げ視線を鋭くした、顔を真っ赤にした取り巻き令嬢がようやく二人に振り替える。
「貴方達!さっきからこの子たちのお芝居を好き勝手に言ってくれてますけどねぇ!」
「いや、正直言って貴女のお芝居最高にダサいよ」
「ゴペッ」
取り巻き令嬢、喀血。
「もっとわかりやすく言うね?貴方の!お芝居が!最高にダサい。貴方だけで百点減点、もう古すぎて全てがダサい」
「あの、その辺で…でも、ダメージ受けてるし、むしろいいのかな…」
取り巻き令嬢、戦闘前からもうすでに死屍累々。
「ひ、膝が…膝が笑っていますわ…あ、貴方達に私たちのロイヤリティでセレブリティな演技の何が分かると」
「いや、一般の人が楽しめないとだめでしょ」
「あふん」
戦わずして一人消滅したぞ。
「お、おんのれぇ…あら?ちょっと、本当に膝が笑って仕方がないんですが…」
「私なんて腰が…あれ?やだまだ私たちそんな歳では…あっ」
さらに一人消滅した。
「ちょっとぉ!?口舌の刃だけでいくら何でもそこまでダメージを…うん?」
視線を上げれば、ほんわかと、光を放ちながら、念動力で劇の中断によって気絶している一般少女達を安全な場所に浮かび上がらせているナイがいる。
優しい光、思わず暖かくなるような光。
そう、それは真綿で首を締めるかのように、緩やかに、安らかに何かを吸い上げているかのような…。
「お前かぁぁぁ!!あ、あら、あらら?!」
気づいた時には時すでに遅し。
その体から放たれる光で、そっと取り巻き令嬢…古代の魔女たちの生命力を吸い上げていたナイ。
もはや取り巻き令嬢に扮する魔力もない干物と化した魔女達は、ナイに飛び掛かろうとして、お湯でびっしゃびしゃになったドレスに足を取られて顔面からお湯にダイブ!
無様に咽ながら起き上がると、そこには…美しく、それこそ舞台に映えそうな剣を無数に従えたクトゥルティアがすでにスタンバイ済み。
「…う、美しいですわね…?」
「ありがとう!じゃ、なます切りにしてあげるね!」
バラバラ解体ショー、始まるよー。
「まってまってまってせめて消滅にしていぃぃぃやぁぁぁ!?」
ナイが少女達を避難させ終えて戻ってきたころには、ここの湯船は真っ赤に染まっていたのでした。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(連携・アドリブ可)
「慢心、ダメ、絶対」
■作戦
弟と自信が無い部分を指摘し合って自信満々の気持ちを抑える
■行動
フリルが可愛い水着姿で温泉へ。足湯風に浸かってみる
「なんだかどんなことでも出来そうね」
あの目の前で繰り広げられる三文芝居なんか一撃で木っ端みじんにできるかも。
全く負ける気がしないわ。
でも事前に弟と考えたメモを読みあう約束だったわ。
「フォルセティ。女の子みたいでとっても可愛いわね」
・・・
実際に自信がない部分を指摘されると凹むわね。
でもこれでちょっとだけあふれる自信を抑えられるかも。
貴族令嬢の戯れに向き直ってフォーカスでロックオン。
【バベルの光】を撃ち落とす
フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【WIZ】 (連携・アドリブ可)
「フィオ姉ちゃん、それ呪文か何か?」
【行動】
セーラー姿の水着で温泉へ。足湯みたいで気持ちいいや
温泉に浸かると自信が溢れてくる感じだね
「ボクの力があればオブリビオンなんて一撃だよ」
でも予め用意したメモを読み上げる約束だった。うわー、これ読むの?
「フィオ姉ちゃんはつるぺた! まな板、洗濯板ー」
これって傷口をえぐる感じだよね。あとで絶対怒られるよ
そしてボクは女の子じゃないよー。男だよ!
ちょっぴり意気消沈。でも自信満々の気持ちが抑えられるかも?
「このままオブリビオンをやっつけちゃえ」
貴族令嬢の戯れ達に対して(全力魔法)でカラミダド・メテオーロだよ
「慢心、ダメ、絶対」
「フィオ姉ちゃん、それ呪文か何か?」
弟、フォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)が、姉であるフィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)の何処か堂々とした宣言に突っ込みを入れる。
「そんなところよ。だから、わざわざ水着で来てるんだもの」
「水着でおかしいって言うのも変だけどね…礼服着たままよりかはまし、なのかなぁ」
ここでも温泉の中に創り出された舞台で、悪役令嬢が周囲の女の子を虐めるシーンを切り取った劇が、監督の自信ある気まぐれと根性論で何度も執り行われていた。
なお、温泉を足湯のように楽しんでいるこの姉妹…もとい姉弟、二人とも水着である。
姉がフリルたっぷりの水着で、弟の方がセーラー服の水着だ。古代の魔女が主演、助演候補にチェックを入れていた。
どうやらフィオリナに策戦がある様子だが…。
「そう、この作戦があれば、あんな三門芝居ちょろいもんよ…いや、この策に頼らなくても、一撃で木っ端微塵にできるのでは…?いやいや、それどころか私の頭脳と力があればどこまでだっていけるのでは…?」
「フィオ姉ちゃん、慢心してるよ。今すっごく慢心してますって顔してるよ」
斯く言うフォルセティも、僕の力があればオブリビオンなんて一撃だよといった自信が胸の内から溢れてきていたが、溢れる通り越して口からだだ洩れてる姉の姿にどうにか自信を飲み込んだ模様。
「ほら、最初に約束したでしょ…」
「…あら、そうだったわね。まぁ必要ないとは思うけど…」
二人そろって、傍らに置いていたメモをそれぞれ交換して広げる。
「うわー…これ読むの?」
と、弟は顔を顰め。
「へぇ、確かに」
姉は納得の表情。せーの、で息を合わせて。
「フィオ姉ちゃんはつるぺた! まな板、洗濯板ー…えーと、すっごくまな板!!」
「フォルセティ。女の子みたいでとっても可愛いわね…ちょっと待った、最後のやつは書いてないわよ付け足したわね!?」
「えーとぉ…つい。ほら、フィオ姉ちゃんの自信すごかったし」
ギャースカギャースカ。
そう、フィオリナが立てた作戦とは、お互いの自信が無い部分を各々書き出し、指摘し合って自信満々の気持ちを抑えると言うもの。
実際、姉は気にしてることを面と向かって言われて凹んでいるうえに、後半のアドリブへの怒りも相まってさっきまで漲っていた自信が吹き飛んでいる。
人、これを爆風消火と言うとか言わないとか。
一方弟の方も、姉の傷口をアドリブ込みでグイっと抉ったもんだから、あとが怖くて怖くて溜まったものではない。どんな自身も姉の説教を考えればあっという間に萎えると言うものである。
それに。
「ボクは女の子じゃないよー。男だよ!」
「「ばかなぁっ!!!??」」
ひっそり、スカウト(強制)の為に聞き耳を立てていた取り巻き令嬢達が崩れ落ちた。
「いやいやいや…嘘でしょう、嘘でしょう、この私の目利きが…」
「私なんて妹の方を主演に一本頭の中で書きあがっていたのですけれど…」
「男に、男に負けた…」
銘々、フォルセティの衝撃的?な告白…本人からしたら当然の事を言ったまでなのだが…に、高まっていた自身に少なくないダメージを受けていた。優雅どこ行った。
「………それはそれで」
変な方向に目覚めてる御令嬢もいた。
「はいうちの弟を変な目で見ないでくださーい」
「せめて弟さんにっ!?」
もっとも、目覚めた直後に、いい笑顔の姉の警告と共にノータイムで降ってきた光の柱に貫かれて消滅したようだが。
「えっ…えっ、嘘、敵でしたの!?ちょっとやだまだお色直しが!?」
「ちょっともう、あんなかわいい子が相手ならメイクもしっかりやりなおしましたのに…ええいこうなったら催眠で…!」
「主演候補の弟さんだけでも確保を!!」
まさかの観客が猟兵であることに今更気が付いた取り巻き令嬢達。
大慌てで魔法の杖やら扇子やらを取り出し、フィオリナが空から降り注がせる光の柱を必死に避ながら姉弟に向ける。
催眠魔法による捕縛対象がフォルセティの方が多いことに姉の笑顔がさらにすごいことになるが、弟、全力でこれをスルー。
「……あら?さっきまで晴れていたのに急に影が…それになんだか妙に熱く…」
メイクが落ちてきている令嬢たちがつい上を見上げる。
ここで説明しておくと、女の子顔であるフォルセティ、先のメモにわざわざ書きだした点からも察せられると思うが、女の子と間違われるのはしっかり気にしているのである。
つまり何が言いたいかと言うと。
「やっつけちゃえー」
「……はっ…えっ、ええええ!?」
フォルセティ、怒っていた。
自信を鎮めたことで跳ねあがる力、それを魔力に変え解き放ち…いつもより気持ち数倍のサイズで召喚した灼熱の巨大隕石が、いつのまにか古代の魔女達の真上に振ってきていた。
「あの、これは…さすがに規模が…逃げ場が…」
「やっつけちゃえー」
「こ、交渉を、交渉の席を!!」
「…やっつけて」
取り巻き令嬢たちが、ようやく失言に気付いたところで、巨大隕石が落下。
哀れ…でもなんでもなく、魔女達は舞台ごと温泉の湯の中に沈んだのであった。
●
猟兵達の活躍により、このあたり一帯を根城にしていた自称貴族令嬢たちは討ち果たされた。
攫われた少女たちは無事救出され、猟兵に感謝を述べ、親元へと返されることとなった。
…なお、これは余談だが。
攫われた女の子の中に、舞台役者を目指し始めた子もいるらしく、その子から噂が広まり、役者の卵や、ベテランの脚本家が、自らの慢心を諫めるためにあえてこの温泉にやってくるようになり、この温泉は芸能人の修行の湯として有名になったのでした。
大成功
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