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甘味を嫌うはわるいうねうね

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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●そんな日もあったなあ
「来月がそういう季節だから、なのかなあ」
 ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)が何でもない調子で呟く。
「ああ、丁度良かった。もし都合が合うならキマイラフューチャーのとある遺跡に行ってくれないかな。荒ぶる怪人達の姿が見えたんだ」
 集まった猟兵達に、シャチの術士は説明を始める。
「怪人達が出現する未来が見えたのは海辺の遺跡。元々は洋菓子に関係する施設だったみたいで、コンコンすると色々な洋菓子が出て来る。それでまあ、キマイラ達も甘味目当てに来てるんだけどもね」
 それが気に食わないのか、単に人が集まるから引き寄せられたのか。人がいない時間帯に怪人達がその遺跡を占拠してしまったのだとヴィクトルは言う。
「入口に陣取っているのは大量のイソギンチャク怪人で、一体一体はそこまで強くない。だけど数でごり押して来るから囲まれたりしないように立ち回りには必要かもしれないね。そこを突破すると、イソギンチャク怪人達を率いている蛸の足と甲殻類の脚を持つ怪人との戦いになる。電撃や毒で攻撃してくるし、単体でも結構強力だから油断しないようにしてほしい」
 それから、と顎に手を当てヴィクトルは続ける。
「……この怪人達、甘味をやたらと敵視しているみたいなんだ。甘い空気の方なのかもしれないけどまあ、大差はない。色々熱弁してくるかもしれないけどきっちり倒し切ってね。無事勝利したら、遺跡を色々とコンコンして甘味を楽しむのもいいかもしれない」
 まあとにかく、頼んだよ。ヴィクトルはそう話を締め括った。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。

 今回はすとろべりーな二月を前に荒ぶるらぶぶれいかーな海産物系怪人達の撃破、その後に遺跡で甘味巡りを楽しむ事が目的です。
 敵や事件の情報等は以下の通りになります。

●イソギンチャク怪人
 頭部その他がイソギンチャクっぽくなっている怪人です。
 触手やその中の毒針を武器に猟兵達に襲い掛かってきます。
 甘味とかに対する憎しみに溢れていますが、個体能力はそれほどでもありません。

●海神ポセ男
 広い水辺近くに訪れたキマイラ達に変な流行を押し付けようとしてくる怪人。
 今回は甘いお菓子を求めてきた一般人に、塩辛い物を押し付けて強引に流行らせようとしているようです。

●甘味処
 海辺に立つかなり大きな建物。コンコンすると場所に応じた甘味が出てきます。
 洋菓子が種類問わず色々と出てくるようですが、注意深く見ればどんな甘味が出て来るかは予想できるようです。
 指定があり、成功以上であれば(世界観的に問題なければ)リプレイでその洋菓子が出てきます。
 特にNGや指定がない場合はランダムで何らかのお菓子が出てきます。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 集団戦 『イソギンチャク怪人』

POW   :    テンタクル・テンペスト
予め【触手を振り回しておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    ウネウネ・アネモネ
自身の肉体を【ウネウネモード】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    ポイゾナス・ポリプ
【頭部】から【毒針のついた触手】を放ち、【麻痺毒】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アマータ・プリムス
「甘味のためにがんばります」
集団戦は得意分野ですので張り切っていきます。
基本戦術は【武器改造】でトランクをアンプに変形させイーリス・カントゥスと接続【楽器演奏】【歌唱】【範囲攻撃】と歌【属性攻撃】で歌声とギターのサウンドをアンプで増幅させ衝撃波に変えて周囲の怪人を薙ぎ払います。

「今日はロックな気分です。れっつRock 'n' Roll」


接近してくる相手にはトランクを再変形させミサイルの弾幕を放って足止め、そこに衝撃波を浴びせて吹き飛ばします。
「当機のライブの邪魔はさせませんよ」

戦闘開始から終了まで歌い続けます。
※アドリブ、連携歓迎です。


ラコ・ハイドライリス
すず先輩(f02317)とお菓子食べに来たらなんか邪魔なのがいるのきゅー
あれじゃ近づけないのきゅ。せーんぱい!まかせてきゅ

すけさん(UC)にすず先輩の買ってきた変なシュークリームを持たせて気配を消しながら近づいてもらうのきゅ
シュークリームだけ浮いてるみたいになるし敵も気づくに違いないのきゅ
しっかしすけさんは今日も変な服なのきゅー
それどこで買ったの?ウニクロ?

そのまま囮になって、すず先輩の攻撃ラインまで連れてきてきゅ
ちょっとだったらつまみ食いしてもいいのきゅ

敵がすず先輩の攻撃でひるんだらすけさん得意のカポエイラでやっつけちゃってきゅ
「きゅ!甘いものを独り占めしたらお仕置きもやむなしきゅー」


コイスル・スズリズム
こらこらきゅーちゃん(f03765)、遊びじゃなくてお仕事ねっ!?

言葉の後、ツインテールを解いてロング。お仕事モード

でもたくさん遊んで貰えるかもね

敵は数が多いから
正面からではなく
罠を張っておびき寄せる方針

入口から少し離れた場所に二人で潜伏

巻き餌に用意したのは
袖口から出す大量の派手な色したシュークリーム

敵待つ間
すずは『スチームエンジン』をメイスにかけ準備
引き寄せられた敵を力が乗ったそのメイスで攻撃、戦闘開始
一体ずつ二人で集中攻撃

グループ撃破後同じ場所にはとどまらず
違う場所へ潜伏して、を、繰り返す。餌はこっちの物資でもある
ゲリラ戦だね、気長にやろう、きゅーちゃん。

あ、このシュークリームおいしいっ!



 波の音が聞こえるくらいにその遺跡は海の近くにあった。
 その入り口に海からそのままはい出てきたような姿の怪人がうじゃうじゃと犇めき、周囲を見張っている。
「なんか邪魔なのがいるのきゅー。あれじゃ近づけないのきゅ」
 魔法学園の先輩とお菓子を食べに来たラコ・ハイドライリス(たゆたうもの・f03765)だが、その入口に陣取っている大量のうねうね達を見て不服そうな表情になる。
「こらこらきゅーちゃん、遊びじゃなくてお仕事ねっ!?」
 フリーダムな後輩を窘めつつ、金のツインテールを解いて仕事モードへと気分を切り替えるのはコイスル・スズリズム(人間のシンフォニア・f02317)。
「……でもたくさん遊んで貰えるかもね」
 立ちはだかる怪人の数は多い。怪人退治を遊びと捉えるなら、満足できる位には相手に困らないだろう。
「せーんぱい! まかせてきゅ!」
 自信満々なラッコの後輩を見て微笑ましい気分になりつつ、コイスルは袖口に手をやる。
「これを使うわ」
 彼女が取り出したのは派手な色をしたシュークリーム。それも大量にだ。その一つをラコが受け取ると、何もない空中で手放す。
 重力に引かれて潰れ――はしない。ラコの放った透明ラッコがシュークリームを背に乗せていたからだ。
「それじゃすけさん、気配を消して近づいてきゅ!」
 びしっと透明ラッコに指示を出すと、シュークリームだけがふよふよ浮いて移動を始める。
 真っ向勝負は危険、そう判断した二人は罠を張った上で、囮を使って誘き寄せる作戦を試みる。
 怪人が陣取る入口から少し離れた大きな岩の影に隠れたラコとコイスルの二人は、そんなすけさんの様子を見ていた。その間にコイスルはメイスに蒸気機関を装着、一気に仕留める為の準備を整える。
(「しっかしすけさんは今日も変な服なのきゅー……」)
 透明だからといって変な格好をしているすけさんの姿、けれどラコにはどんな姿か分かるのでそんなことを考えてしまう。
 そして入口にすけさんが近づくと、怪人達がようやく気付く。そしてその触手を振り回し、派手な色のシュークリームを叩き潰そうと駆け寄ってくる。
 かかった、そう判断したラコは戻るよう合図すると、シュークリームを背に乗せた透明ラッコは反転して主の元へと戻り始める。
 通常のラッコは余り歩かない動物だが、すけさんは頑張って主の指示に従って怪人達をおびき寄せている。目指すラインは先輩の備えている攻撃ライン。
 ただ一つ、計算違いだったのは――
「……ちょっと多い、かも?」
 コイスルの顔に一筋の汗が伝う。
 誘き寄せは成功したのだが、一体や二体ではなく十体近くが一斉に押し寄せてきたのは少々計算違い。一体を二人がかりで仕留めていく作戦だったが、これでは逆に数を頼りに潰されてしまうかもしれない。
 いきなりピンチに陥った二人。けれど、
「甘味のためにがんばります」
 横合いから突如放たれた衝撃波が怪人達を海へと吹き飛ばす。
 黒の外套を羽織ったヴィクトリアンメイド服姿のアマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)にとっては集団戦こそ得意分野。
 蒸気機関式ギター型マイク『イーリス・カントゥス』に鋼糸接続を張り、アンプへと変形させた銀色のトランクを模したガジェットを接続し、演奏を開始する。その楽器演奏と歌唱の技術、さらにそれを増幅させるギターとアンプにより生じた衝撃波は、勝手に動く甘味を叩き潰そうと視野が狭まっていた怪人達を纏めて吹き飛ばしたのだ。
 範囲攻撃ではあるが、完全には吹き飛ばしきれなかった怪人も数体。体勢を立て直そうとした怪人が頭部から毒針付きの触手をアマータへと放とうとする。けれど、その直前にメイスで頭をぶん殴られ吹き飛ばされる。意識を刈り取るその一撃に加え、顔面にすけさんの後ろ脚が華麗にめり込み海へと蹴り飛ばされた。
「きゅ! 甘いものを独り占めしたらお仕置きもやむなしきゅー」
 ざぱーんと上がる水飛沫を背に、ラコは緑の瞳を輝かせて得意げな表情。
「一旦離れよう、きゅーちゃん!」
 コイスルがそう言葉をかけ、遺跡の入り口の反対へと駆け出す。そんな先輩の姿にあいさー、とすけさんを抱え、走りだした。

 それから数分、アマータは一人移動しながら演奏を続けていた。
「今日はロックな気分です。れっつRock 'n' Roll」
 ミレナリィドールの女は淡々と表情を変えず、けれども熱を込めて演奏を続ける。その音に釣られてやってきた怪人達は衝撃波で吹き飛ばされ、それに耐えきった怪人はアマータを止めようと接近してくるが、
「当機のライブの邪魔はさせませんよ」
 アンプを更に変形させ、ミサイルの弾幕で足止めをする。さらに横合いから飛び出してきたラコのすけさんのカポエイラの蹴り、そしてメイスを器用に振り回すコイスルが時間を稼ぐと、再び変形したギターの演奏による衝撃波が怪人達を戦闘不能へと追いやった。
 周囲の怪人を一掃したアマータは再び歩き始める。全ては遺跡の甘味のために。
「あ、このシュークリームおいしいっ!」
 その間にコイスルは囮として準備していたシュークリームの一つをぱくり。口に広がる甘味は中々に美味。ラコの近くにもクリームがほんの少し浮かんでいる。透明だけれども、すけさんの表情もきっと隣にいる主と同じく緩んでいるのだろう。
 ラコとコイスルの作戦はゲリラ戦。想定とは違う形にはなったけれども、堅実に遺跡入り口からイソギンチャク怪人達を引きはがし、その数を減らしていっている。
「気長にやろう、きゅーちゃん」
「頑張るっきゅ!」
 先輩の言葉に、元気に答える後輩。二人の表情は明るく疲れを感じさせない。
 休憩を終えた学生二人は、怪人達を突破するために再び行動を開始した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アンジェリカ・クリエムヒルト
甘味は乙女を幸せにする大事な大事なツール。それを台無しにするなど許せません。私も甘味を愛する一人の少女として、お力添えしましょう。
ルーンブレードを構え、イソギンチャク怪人と対峙します。
あ、駄目。生理的に受け付けませんわ、特にあの触手。なんであんなに気持ち悪いんですの!
でも甘味のためです、我慢我慢。
ウネウネする気持ち悪いのをルーンブレードで切り払いつつ距離を詰めます。
頃合いを見てユーベルコード『ルーンブレイド・ブルーゲイル』を発動、剣に風を纏わりつかせ、「風よ、蒼き疾風よ、我が刃となれ!」と叫んで、一刀両断に致しますわ。



「はあっ!」
 裂帛の気合と共に、ルーンをあしらった魔法剣を構えたアンジェリカ・クリエムヒルト(純白の魔法剣士・f09434)が怪人達に切り込む。
 甘味は乙女を幸せにする大事な大事なツール、そう考える彼女はそれを台無しにしようとする怪人共の所業を許したりはできない。甘味を愛する一人の少女として、この遺跡を解放するためにその刃を振るうのだ。
 刃はイソギンチャク怪人の腕に受け止められるが、すかさず引いて別の角度から斬りつけ、そのまま走り抜ける。
 勿論、怪人も黙って受けているわけではない。触手を振り回すことで戦闘力を高めアンジェリカに襲い掛かってくるが、その挙動は見切り易いものとなっており、うねうね蠢くそれをアンジェリカは容易に魔法剣で受けて切り払い、回避する。
(「あ、駄目。生理的に受け付けませんわ」)
 けれど精神的には少々来るものもあるようだ。特に触手。どうにも気持ち悪いがこの戦いは甘味の為と我慢。
 切り払われ体勢を崩した怪人の隙を見逃さず、アンジェリカは刃に風を集中させて刃をより鋭利なものとすると、
「風よ、蒼き疾風よ、我が刃となれ!」
 叫びと共に一閃。触手をぶち当て防ごうとしたイソギンチャク怪人をそのガード事一刀両断に切り捨てる。
 けれど、まだ怪人達の壁は厚い。うにょうにょと触手を蠢かせこちらに敵意を向けて来る様に金髪碧眼の魔法騎士はうんざりしつつもその刃を振るい、次の標的へと斬りかかるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シオン・ハートブレイク
【SPD】主体で戦闘。
蝶ヶ崎・羊(伽藍堂の歌箱・f01975。呼び方はヒツジちゃん。お名前はヨウちゃんだけどね)、蓮・紅雪(新雪・f04969。呼び方はレンちゃん)と一緒に参戦。

私アサシンタイプだし集団戦も一騎打ちも真っ当なのは苦手なのよね。
今回は折角皆で行けるから、サポートに徹しましょうか。

私は相手の死角から咎力封じで片っ端から縛っていって、動きを止めたところを仲間にトドメ刺してもらう感じ。
みんなは私の事見失わないようにね? 折角一緒に来たんだし!

二人は旅団の仲間だけどまだ壁ある感じ。
まー私こういう性格だし? その辺あんまり気にしないけどね。
戦いを通して仲良くなる系のスタイル。熱いわね!


蝶ヶ崎・羊
シオンさん(f04237)と紅雪さん(f04969)と共に戦闘させていただきます ワタシはシオンさんが裏打ちしやすいようジャッジメント・クルセイドや【全力魔法】をわざと目立つようにして敵に撃ちます。『此方に目を向けなければ光に飲まれてしまいますよ?』回避された敵はシオンさんと紅雪さんにお任せしましょう。縛り上げた敵は反撃しないように【二回攻撃】しておきますね。敵の攻撃を【見切り】つつお二人と連携がとれるよう戦況を見つつ戦闘します仲良さげに声かけとかしてる感じでお願いいたします


蓮・紅雪
旅団の仲間と初の共闘…少し緊張するわね。でも楽しみましょう。終わったら甘いお菓子が食べられるのだから。

羊が遠距離の魔法攻撃をしていくだろうから、私は接近戦で戦うわ。【妖剣解放】で高速移動しつつ、敵の意識がシオンにいかないように立ち回りましょう。斬撃による衝撃波で縛られた敵もまとめて斬り倒すわ。
あとは声を掛け合って連携出来ると良いわね。



 猟兵達の攻勢で随分と数を減らした怪人達だが、それでもまだ防衛網を突破するには数が多い。
 遺跡へと甘味を求める者達、甘味そのものに憎しみを滾らせる怪人たちは実際の人数以上に厄介なのかもしれない。
 新たに戦場に三人の猟兵が現れる。
 その一人、蝶ヶ崎・羊(伽藍堂の歌箱・f01975)が穏やかな所作で詠唱を始め、その指先を怪人へと向けると天より降り注ぐ光が示された一帯を灼く。
 全力を注いだそれの威力は相当なもの。そして羊はすぐさま次の詠唱に入る。
 これを連発されれば、ただでさえ削られている防衛網が致命的に崩されてしまう。そう判断した怪人達は羊を止めようと即座に殺到する。
 けれど、羊は動じない。
 彼の前に少々緊張した面持ちの羅刹の少女が立ちはだかる。その身に妖刀の怨念を纏った彼女、蓮・紅雪(新雪・f04969)は刀を振るい怪人たちを迎撃するが、全身の弾力を増してぐにゃりとゴムのように撓んだ怪人の腕に勢いを殺される。
 勢いを挫かれた紅雪の横を二体の怪人がすり抜けその触手を振るおうとし――怪人達の意識の外から高速の為の器具が放たれ、その手足を縛り砂の上に転がした。
「任せて」
 静かな紅雪の声。それと同時、縛られ地面に転がった怪人達に衝撃波が襲い掛かる。全身を拘束された怪人達には、紅雪の刀より放たれる強烈な衝撃波から逃れる術などなかった。
「ヒツジちゃんレンちゃんナイス」
「ヨウ、ですよ。シオンさんも結構なお手前で」
 咎力封じを放った褐色の肌のエルフ、シオン・ハートブレイク(はぐれエルフ・f04237)の気怠げな言葉に羊は普段通り穏やかに返す。
「……次が来るわ」
 後方の仲間達の様子に安堵しつつ、紅雪は次の敵達を視界に捉え、その進行を防がんと刀を構える。

 そして交戦は続く。
「……止め切れない、避けて」
 二体の怪人達を食い止めつつ、怪人達の後ろから新たに伸ばされた触手を察した紅雪が羊に注意を促す。
「ワタシは大丈夫です、紅雪さんは前を」
 ギリギリの距離から不意に伸ばされた毒針付きの怪人の触手、けれど紅雪とシオンが上手く羊に向かう数を減らしているため回避の余裕がある。見切った羊は牡牛の表紙の魔導書を叩きつけ回避、触手を向けた怪人へと指先を向け光を降り注がせ、同時に彼の派手な攻撃に身を隠しながらシオンが放つ枷は、怪人の踏み出す足を縛り、触手を上手く振り回せないように拘束する。
 彼女の得意とするのは暗殺、集団戦も真っ当な一騎打ちも苦手である。だから、皆で来たのならサポートに徹すると決めていた。
 数を減らし、或いは攻めあぐねる怪人達に、怨念を纏い加速した紅雪が高速で切り込む。
 それはシオンと羊への注意を少しでも逸らすため。
 仲間達との初の共闘、どうしても緊張するのは仕方がないことだが、戦いが続けばそれも解れ、鋭い攻撃を繰り出せるようになる。
 横薙ぎに振るわれた刀に数本触手を切り飛ばされながらも怪人は反撃、薙がれた触手をバックステップで回避。
 入れ違いに飛んできた拘束器具が怪人達に喰らいつき、さらに空から降り注ぐ光が縛り上げられたものも巻き込み怪人達を撃ち抜く。
「此方に目を向けなければ光に飲まれてしまいますよ?」
 穏やかに微笑む羊、けれどその攻撃は容赦なく次々と繰り出されていく。
 羊が大規模な魔法でなぎ払い、それを食い止めようとする怪人を紅雪が押し留める。
 そして二人に気を取られている所に手枷や猿轡、拘束する為のロープを放ち動きを縛り付け怪人達の思うような動きをさせないシオン。
 日の浅い仲とは思えない程に連携の取れた三人の戦いは、徐々に怪人達の防衛網に綻びを生み出していく。
「みんなは私の事見失わないようにね? 折角一緒に来たんだし!」
「見失ったりしないわ。初の共闘ですもの」
 じゃれるようなシオンの軽口に対して紅雪は無表情に、けれど少し高揚した声で返す。
「楽しみましょう、終わったら甘いお菓子が食べられるのだから」
 けれど、誰でも初めてはあるもの。ならばせめて楽しもうと、そう紅雪は戦いの後に思いを馳せつつ刀を振るっていく。
 同じ旅団の仲間になって日は浅く、まだ壁があるようにシオンは思う。けれども戦いを通して仲良くなる、というのも世の中にはあるもので、
(「……熱いわね!」)
 そんなことを考えつつ、けれど気怠げな雰囲気のままに。シオンは次の標的を見定め的確に敵を拘束していく。
 そして、猟兵達の連携は怪人達を後退させ。気づけば一点に密集した状態へと追いやっていき、
「ここ、ですね」
 緑の瞳を細め、標的を見定め。全力を込めた羊のジャッジメント・クルセイド。光の薄れた先には完全に崩れ去った怪人達の防衛網。
「さあ、元凶を討ちましょうか」
 少しだけ雰囲気を緩ませ、羊が仲間達を見やる。
 この先にいるオブリビオンを撃破するために、猟兵達は扉の内へと歩みを進めていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『海神ポセ男』

POW   :    ヒッポカムポスわっしょい
自身の身長の2倍の【金色のたてがみをもつ海馬の引く馬車 】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
SPD   :    クロノス激おこ
【触手の先】を向けた対象に、【麻痺状態にする電撃】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    アムピトリテさまさま
【毒を持つ蟹足】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はレド・ダークライトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●怪人、海神?
 怪人達の防衛網を突破した猟兵達が目にしたものは天井の高い遺跡の空間。現代地球を知っている者ならショッピングモールを連想しただろう。
 そんな広間の中央、かつては水を湛えていただろう枯れた噴水の像の上に立ち、謎のナマモノが悔しさを全身でアピールしつつ、何ごとかを主張していた。
「ええいどいつもこいつも根性が足らん! こんなに海が近いのに甘味に頭をやられた奴らに揃いも揃って倒されるとは!」
 海の幸を食え! 海水を飲め! 甘い物など消えろ!
「甘い恋人なんぞよりも塩辛い物との友誼を深めるのだ!」
 なんか話通じそうにない、そんな風に思った猟兵もいるかもしれない。ついでに相手はオブリビオン、背中に生やした甲殻類の脚はわさわさと蠢き蛸のモノになっている脚も同じくうごうごしている。
 この甘味の敵を放置していては、オブリビオンであることを差し引いても酷い事になること間違いなしであろう。
「むっ! 塩の敵め、その身体を塩漬けにして流行の礎にしてやろう!」
 ようやく猟兵達に気づいたオブリビオン『海神ポセ男』は振り向き、敵意を隠すことなく向けて来る。
 その敵意を真っ向から受けても猟兵達は動じない。ただ人々の為に、甘味の為もちょっぴり、そしてこの遺跡を取り戻す為に塩推しのナマモノに立ち向かっていくのだ。
アマータ・プリムス
塩味と甘味はバランスですよ
双方どっちも必要ですが塩味だけを押し付けてくるこのナマモノにはお灸を据えてあげましょう
スイーツの前のいい運動です

今回は人形のネロを使い正面から攻撃を仕掛けるように【フェイント】をかけてUC使い【目立たない】よう鋼糸を遠回りさせナマモノの背後から【だまし撃ち】で相手の拘束を試みる
「捕獲完了。あとはどう料理するかですね。当機のおすすめは姿焼きです」

拘束に成功したらトランクを【武器改造】で重火器に変形させ追撃
【敵を盾にする】要領でナマモノを他の方が攻撃しやすい位置に誘導します
「―――スイーツのための礎となりなさい」

※アドリブ、連携歓迎です


アンジェリカ・クリエムヒルト
あなたは間違っています。
海の幸も、塩も素晴らしいものです。しかし何よりも甘味こそ究極、甘味こそ至高! 甘味こそが皆を笑顔にするのです!
そう言い放ち、ルーンブレイドを海神に向けます。
「aria,whis,plea,desire・・・」呪文を詠唱し、ユーベルコード『ウィザード・ミサイル』を発動させ、数多の炎の矢を四方八方から浴びせますわ。
それにしてもあのイソギンチャクの親玉ですわね、あの気持ち悪い触手は。・・・え? あれ足ですの? ま、まぁいいですわ。私の精神衛生のためにこんがり焼かれて下さい。
まったく。甘味で口直しをしたいですわ。



「塩味と甘味はバランスですよ」
 アマータが塩を推すナマモノの言を切り捨てる。甘味も塩味もどちらも必要なもの。塩の大切さは彼女も分かっているけれど、それのみをこのナマモノは押し付けてくる。それも甘味を否定しながら。
「お灸を据えて差し上げましょう」
 鋼糸で人形を立ち上げながら彼女は言う。この遺跡のスイーツ、それを食す前のいい運動だと、その無表情の内に思考して。
「あなたは間違っています」
 さらにアンジェリカも怪人を真っ向から否定する。
「何を! 塩味を否定するかお前は!」
「確かに海の幸も、塩も素晴らしいものです」
 なら、と言いかけたオブリビオンの言葉を、アンジェリカは手を前に出し首を振って遮る。
「しかし何よりも甘味こそ究極、甘味こそ至高! 甘味こそが皆を笑顔にするのです!」
 そう言い放ったアンジェリカはルーンブレイドを海神に向けて詠唱を開始する。
「させるか!」
 オブリビオンはそれを止めんと速やかに行動を開始、蛸足をバネのようにし急加速、その背の毒のある甲殻類の脚で貫こうとする。
 そこにアマータの人形、ネロ・フラテールが切り込み妨害。怪人の突撃の勢いを殺す。即座に怪人は蟹の脚を近くの人形に向けるがアマータが鋼糸を繰ると人形は後退。
「aria, whis, plea, desire……」
 その間もアンジェリカの詠唱は続く。再びアンジェリカへと突撃しようとする怪人にネロが再加速し突撃、
「二度も受けるか!」
 けれど怪人はそれを背の甲殻類の脚で迎撃せんとしていた。ネロが近づきタイミングを合わせ脚が伸ばされ――脚が届かない、ギリギリの距離でネロは急停止、フェイントだ。
「――観劇の最中はお静かに。カーテンコールはまだ先です」
 空振りして僅かに体勢を崩した怪人の背から鋼糸が飛び掛かる。人形を繰るアマータがネロの為に割いているのは数本、残る指から伸びた鋼糸はこの瞬間に利用するために目立たないように遠回りさせていたのだ。鋼糸はナマモノの背後からぐるぐると巻きつきその動きを一時制止させる。
「捕獲完了。あとはどう料理するかですね。当機のおすすめは姿焼きです」
 アマータがちらりと背後を見ると詠唱を完了したアンジェリカ。それを確認したメイドは鋼糸を引っ張りつつ広間の中央へ怪人を引きずり移動する。
「私の精神衛生のためにこんがり焼かれて下さい」
 広間の中央、遮蔽のない四方八方から火焔の魔法の矢が一斉に襲い掛かる。もがき逃れようとするがアマータの鋼糸の拘束は万全、回避も防御も出来ず直撃を受ける。
「――スイーツのための礎となりなさい」
 さらにアマータが桃の瞳を少し細め、銀色のトランクを変形させた重火器を構え、追撃を仕掛ける。
 けれど、
「焼かれるかぁっ!」
 怪人は蟹の足を滅茶苦茶に振り回す。縛り付ける鋼糸を手繰り寄せ、逆にアマータを引き寄せようとする。射程に引き寄せられる前にテンションを緩めて解いたミレナリィドールのメイドが黒の外套を翻し人形のネロと共にアンジェリカの近くまで後退すると、怪人は蛸足を全身に巻き付け燃え広がった炎を消火しようとする。
「それにしてもあのイソギンチャクの親玉ですわね、あの気持ち悪い触手は」
 アンジェリカが怪人の下半身に蠢くうねうねに対し、生理的な嫌悪感を声に滲ませつつ呟く。
「いえ、あれは足ですね」
「……え? あれ、足ですの?」
 アマータの冷静な指摘にアンジェリカはまじまじと敵を見つめる。言われてみれば確かに触手とは異なっている。
「ま、まぁいいですわ! ……まったく。戦いが終わったら甘味で口直しをしたいですわ」
 そうこう話しているうちに怪人は消火を完了。火傷痕はそこかしこにみられるけれども流石はオブリビオン、まだまだ倒れそうにない。
 けれど、確かに消耗はしている。ならばやれない事はないはずだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シオン・ハートブレイク
【SPD】主体で戦闘。
蝶ヶ崎・羊(f01975。呼び方はヒツジちゃん。お名前はヨウちゃんだけどね)、蓮・紅雪(f04969。呼び方はレンちゃん)と一緒。
レンちゃんのおっきい攻撃を当てることを目標に!

ヒツジちゃんが防御してくれてるから、私はシーブズ・ギャンビットで相手の気を逸らしていきましょう。
んー……(着ているセーターワンピースを脱ぎ捨てて、下着姿……つっても戦闘用の色気の欠片もない奴だけど)で戦いましょうか。
え? 公序良俗? いやわかるけど。
ユーベル・コードの効果が、脱げば脱ぐほど早くなるっつーから。ね?

レンちゃん、しっかり当ててね!
ヒツジちゃん、あとでお金とるからそれでチャラよ!


蝶ヶ崎・羊
前回同様シオンさん(f04237)と紅雪さん(f04969)に同行します
今回はお二人のサポート役。紅雪さんにくる攻撃を【ミレナリオ・リフレクション】を使用して相殺
似て非なる者だと思いますが、この敵の攻撃は前に見たことある…賭けですね
自分の攻撃は【見切り】で回避し、二人が攻撃を叩き込みやすいよう鎌鼬で【二回攻撃】して隙を作る
『確か甘味が強調されるのでしたね?軟体動物の滑りは塩を揉み込めば取れると聞きますので、滑りをおとせば更に食べやすくなると思いますよ。』と紅雪に同意
『戦闘の為とは言え、じ、女性が肌を見せるものではありません。風邪ひきますよ!』人形なので赤面はしないが見ないように敵に集中する


蓮・紅雪
同行者:蝶ヶ崎・羊(f01975)、シオン・ハートブレイク(f04237)

今回は後衛として【リザレクト・オブリビオン】で呼び出した死霊騎士と死霊蛇竜たちを操って戦うわ。
操っている間は無防備だし戦えないけれど、シオンの遊撃と羊の支援を信頼しているから問題ないわね。
(シオンがユーベルコード使用のために脱ぐが、同性とは言え顔を赤らめる)シオン、早く終わらせて服を着りゅのよ(焦ってカミカミ)

甘味は塩気があるものと食べると美味しいわよね?
あの蛸足はぶつ切りにして焼いたら食べられるかしら……。



「甘味は塩気があるものと食べると美味しいわよね?」
 あの蛸足はぶつ切りにして焼いたら食べられるかしら、と紅雪が何気ない調子で口にする。
「確か甘味が強調されるのでしたね? 軟体動物の滑りは塩を揉み込めば取れると聞きますので、滑りをおとせば更に食べやすくなると思いますよ」
 羊も軟体動物についての知識を喋りつつ、怪人の様子を観察する。実際に食べはしないけれども、焼かれた怪人から漂う匂いからそんな話になってしまう。
「さあ、いくわ」
 けれどそんな話はまた後で。淡々とした紅雪の言葉と同時に彼女の両側に影が二つ、現れる。死霊騎士と死霊蛇竜、彼女に召喚されたそれらは主の命令通りに怪人に突撃し、喰らいつかんとする。
 それらを蟹の脚を器用に動かし受け止めた怪人の周囲を鋭い疾風が吹き抜けると、蛸足が二度切り裂かれる。羊の鎌鼬による風の刃だ。
 さらに騎士を受け止めている蟹の足、それを怪人の背に回ったシオンの両刃のダガーが素早く斬りつけ、切り返しの刃が脚の節目を切り離す。
「自慢の脚が! これでも食らえ!」
 怪人がシオンに蛸足を向けると電撃が奔る。その電撃は攻撃直後に横に跳躍していたシオンを捉えられず空を切る。
「速い……ならば!」
 ナマモノの視線が紅雪に向けられる。死霊達を操っている彼女は身動きが取れない。狙い易いと判断してその蛸足からは想像できない速さで距離を詰める。
 オブリビオンが目前に近づき圧が高まる。けれど紅雪は微動だにしない。なぜなら、
「ワタシがいますよ」
 怪人と紅雪の間に割り込んだ羊がユーベルコードを発動する。先程の交戦を見ていた彼は蟹の足を召喚、怪人の蟹足の軌道を見切り、鏡合わせに操りそれを無効化した。
(「上手くいきましたね」)
 別物ではあろうが、以前似たようなユーベルコードを見ていた事もある。賭けではあったが、怪人の攻撃を完全相殺できたことによるアドバンテージは大きい。
 一瞬の空白の間に騎士と蛇竜が左右に分かれて怪人を挟撃、息のあった連携攻撃に、怪人は何とかその蟹と蛸の足を器用に操って食い止める。
「ほら、こっちも忘れないでよ」
 シオンが振るうダガーは抜け目なく素早く怪人に傷を刻み付ける。
 紅雪の傍には羊がいて、彼女を守っている。ならばシオンがやるのは速度を活かしかき回すことだ。
 今回の三人の作戦は紅雪の操る死霊達の攻撃を当てること。けれど、召喚している間は紅雪は戦えず、さらに傷を負ってしまえば死霊達は消えてしまう。
 二人に対する信頼、それがあるからこそ戦場で無防備になるこのユーベルコードを心置きなく使えるのだ。
「調子に……乗るな!」
 ちくちく傷を重ねられている怪人が怒りと共に蛸足をシオンへと向け、放たれた電撃がシオンの肌を掠める。電撃耐性の効果で麻痺して行動不能、という事態は避けられたが、怪人の目も彼女の速度に徐々に慣れてきたのか追いつき始めている。
「んー……もうちょっと速度上げるか」
 突如シオンが上着を脱ぎ捨て、軽く跳ねる。褐色の肌は健康的で、戦闘用の色気もない下着だけれども、直に見る側にとってはちょっと刺激的で。
「戦闘の為とは言え、じ、女性が肌を見せるものではありません。風邪ひきますよ!」
 ミレナリィドールなので、羊の色白の頬は赤くなったりはしない。しないけれども、その口調は慌てている。
「え?  公序良俗?  いやわかるけど脱げば脱ぐほど早くなるっつーから」
 ね? とシオン自身は気にしていない様子。そういう効果なのだから、見た目よりも実利が大事とでも言いたげだ。
「……シオン、早く終わらせて服を着りゅのよ」
 雪白の頬をほんのり朱に染め、紅雪が言う。同性ではあるけれどそれをいきなり見てしまい噛んでいるのはご愛敬。
「ヒツジちゃん、あとでお金とるからそれでチャラよ!」
 からかうように笑うシオンはさらに速度を上げ、瞬時にナマモノに飛び込みダガーを振るって蛸足を切断する。
「もう、見ませんから!」
 シオンのからかいに、羊は彼女をできるだけ見ないようにしつつ怪人へと意識を集中、鎌鼬の引き金を引き怪人の動きを妨げる。
「レンちゃん、しっかり当ててね!」
 シオンの声に頷く紅雪。仲間達が作った絶好のタイミング、それを見逃すことなく死霊騎士を突撃させ、怪人の体を激しく弾き飛ばす。さらにその先に待ち構えさせていた死霊蛇竜が口を開くと、怪人の首筋に喰らいつき、それを喰いちぎる。さしものオブリビオンもこれで限界だ。
「おのれ……甘味派に敗れるとは……だが塩は不滅……」
 そこまで言うと、がくりと力を失った。

 蠢く蛸の足も蟹の脚も、その動きを止めた事を猟兵達は確認する。
 そして、勝利に沸き立った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『甘味巡りコンコンコン』

POW   :    目に付く場所をとにかくコンコン。スタンダードなスイーツが出るかも。

SPD   :    色んな場所を素早くコンコン。ちょっと珍しいスイーツが出るかも。

WIZ   :    色々な人や動画を当たってリサーチした上でコンコン。高級なスイーツが出るかも。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●洋菓子の遺跡にて
 オブリビオンを撃破した猟兵達は、占領されていた遺跡をざっくりと調査する。
 どうやら怪人達は破壊活動まではしていなかったようで、手近な場所をコンコンすると問題なくお菓子が出てきた。
 遺跡の内部はどこか御伽噺のような雰囲気の内装になっており、五階に分かれている。下層ではビスケットやクッキーなどの固い菓子、上層ではケーキやシュークリームといった柔らかい洋菓子が出てくる傾向があるようだ。それぞれの階でもいくつか部屋があり、部屋の中でコンコンすると部屋の入口に張り付けられたプレートに描かれた菓子が出てくるようになっていた。ただ、一部はプレートが掠れていて何が描かれているのか分からない部屋もある。
 ともあれ、オブリビオンから取り戻したこの遺跡。どのように菓子を楽しむかは猟兵次第だ。
アンジェリカ・クリエムヒルト
古今東西の甘味、どれも美味しそうですこと。
でも私のお気に入りはフルーツパフェ。フルーツパフェっぽいプレートを探して回りますわ。この階層のプレートからWIZで類推して、あの辺りにあるのでしょうか?
ああ、見つけました! 愛しのフルーツパフェ。生クリームと新鮮なフルーツとアイスクリームの絶妙なハーモニー。中でもこの苺のパフェが美味そうですわ。逸る気持ちを抑えつつ、ゆっくりコンコン。
ああ、たまりません。この一杯のために化け物退治を頑張ったと言っても過言ではありませんわ。
淑女らしくスプーンを器用に操り、こぼさないように、そして残さないように、心行くまで堪能します。ついつい頬が緩んでしまいますね。



 遺跡の四階層目を歩くのはアンジェリカ。左右には様々なお菓子の絵が描かれた扉。
 どれもこれも美味しそうで後ろ髪を引かれる思いではあるけれど、アンジェリカはお気に入り一つを目指して歩き続ける。周辺の絵の傾向からある程度の場所の目星は付けていたけれど、誘惑は中々に強い。
 それでも何とか振り切り、探った先にようやく見つけた細長い逆三角に何やら乗せた絵が並ぶ一角。
「ああ、見つけました! おそらくこの部屋ですわね」
 扉の群の一つ、少し軋む扉を開き、それっぽい壁の出っ張りをゆっくりコンコンする。すると、望みの洋菓子が彼女の前に現れる。
 ふわっふわの白雪と瑞々しい果物の層が透明なグラスの側面から見え、その土台の上に色とりどりの果物が乗せられたそれは、愛しのフルーツパフェ。中央に鎮座するイチゴの赤はアイスの白に映え、アンジェリカの胸を高鳴らせる。
 部屋にあったテーブル席に座り、逸やる気持ちを抑えそっとスプーンを差し入れ、一口。口の中に広がるのは見事に調和のとれた甘味と酸味。
(「ああ、たまりません。この一杯のために化け物退治を頑張ったと言っても過言ではありませんわ」)
 生理的に無理な触手や怪人達を切り払ってきた口直しには十分過ぎる。
 がっつかず、淑女らしく器用にスプーンを動かし一口一口味わい堪能し、そして最後には綺麗に完食されたグラスが一つ。ふう、と一息ついたアンジェリカの頬は、求めた甘味を味わい尽くした幸福感に緩んでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アマータ・プリムス
無事に戦闘も終わりましたのでれっつすいーつ。楽しんでいきましょう

当機の好きなチーズケーキが出そうなところをコンコンと
ベーシックなベイクドやレア、スフレはもちろん変わり種のチーズケーキも一切れずつ堪能します

ケーキだけでは飽きがくるのでそれに合う紅茶を淹れましょう
テーブルにつき並べられたチーズケーキたちと紅茶を片手に至福のひと時を堪能します
「たまには当機にもご褒美があってもいいですよね」

人形なので量やカロリーなどは気にせず出てきたもの全て味わい片付けてから帰路につきます


※アドリブ、絡み歓迎です



 一方で、三層を歩くのはヴィクトリアンメイド服姿のアマータ。既に何部屋か巡り、コンコンした彼女が手にもつトレイには洋菓子、具体的には様々なチーズケーキが一切れずつ乗せられていた。
 よく見る事もあるベイクドやレアは勿論のこと、スフレや表面を細かなクルミやクッキーで覆ったズイバックチーズケーキ、網目状のパイ生地も奇麗なセルニックと変わり種も数多い。
 チーズケーキ好きな彼女も満足できる位にコンコンしたら、次はそれを食す時。適当にテーブルのある部屋に入ると、ティーセットをトランクより取り出し、紅茶を淹れてカップに注ぐ。紅茶の香りが部屋を満たし、テーブルの上にケーキを並べて準備は完了。まずはレア、フォークがしっとりとした生地に沈み込み、分割。口に運ぶと上品な甘みがアマータの口に広がった。
(「たまには当機にもご褒美があってもいいですよね」)
 それもこれも、オブリビオンを無事退治したご褒美だ。さらに彼女はベイクド、スフレと一切れずつ味わいながらフォークを動かしていく。合間に紅茶を挟んみ、様々なチーズケーキを味わえるこの時間は至福のひと時。量やカロリーも人形の彼女は気にするつもりもない。一口一口、しっかりと味わい気づけばテーブルの上のお皿は奇麗になっていた。至福の時間を味わった彼女はティーセットと皿を片付け、帰路へとついた。
 その表情は無表情、けれどもどこか満足して穏やかそうだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蝶ヶ崎・羊
シオンさん(f04237)と紅雪さん(f04969)と同行します
『さて…後は楽しい発掘探検だけですね。』
オレは水着は無いのでシャツを脱いで腕まくりするだけにします
『二人共お似合いですよ』

出てきたもので二人が怪我しないよう下層のファーストコンコンします
『ふふ、ポケットを叩くとビスケットが…おお、これは凄いですね』
『ええ、是非上に行きましょう』とビスケットを大事そうに持ちながら返答 『これが…アラモードですか?』
シオンのコンコン結果を見て
『ふふ、ここでティータイムといきましょうか
因みに珈琲もございますよ』
視線に頷き紅茶をいれるの準備をしましょう
やはり取るのですね…不可抗力…いえ、見たのは事実です…


シオン・ハートブレイク
ヒツジちゃん(f01975)、レンちゃん(f04969)と。
海辺だし水着着てきたけど。
ヒツジちゃん、レンちゃん。私達お友達よね?
友達が一人で浮かないように、どっちか、または両方水着になれ(命令形)。
下層は様子見。二人ともよく受けいれられるわね……。
上層に至ってようやく踏ん切りがついてプリンアラモードを出現させるに至る。いや至るて。出るかこんなん!出てるけど!遺跡ってすごいなーってメルヘンに感動できる年でもないわ!?どうすんのよこれ!(食べてるレンちゃん見て)
……喜んでんなら、いいけど。かわいい。うん。

あ、ヒツジちゃん。このカッコさっきまでの下着姿と布面積大して変わらないし、後で金取るから


蓮・紅雪
同行者:蝶ヶ崎・羊(f01975)、シオン・ハートブレイク(f04237)

とても可愛らしい建物ね。……え、水着になるの?
わ、わたしは恥ずかしから無理よ(と言ってるうちにシオンに着せられ撃沈)羊見ないで(と恥ずかしがる)

下層で羊がコンコンしたビスケットを食べるわ。シオンは食べないの?おいしいわよ?
(上層でシオンのコンコンを見守り)プリンアラモード……?実物は初めてみたわ。おいしい……すごい(珍しく目を輝かせてうっとりする)
おいしい紅茶もほしいわね(羊に視線を送る)

この部屋は何かしら?
(掠れたプレートの部屋でコンコン。3人でわぁわぁしながら親睦を深められれば。ギャグOK、アドリブ歓迎)



「さて……後は楽しい発掘探検だけですね」
 オブリビオンを撃破した羊は一息つき、ゆっくりと遺跡の内部を見渡しながら紅雪とシオンの三人で歩いていた。
「とても可愛らしい建物ね」
 遺跡の内装を見て紅雪はそう口にする。確かに洋菓子が出て来るにはうってつけ、そんな雰囲気の装飾がそこかしこにあり、言ってしまえば少々少女趣味。
 そしてシオンは少々考え込んでいた。海辺が近い、つまりは水着と準備してきた格好、だけれどもこの遺跡の中で格好は少々――
「……ヒツジちゃん、レンちゃん。私達お友達よね?」
「? ええ、そうですが」
 突然のシオンの問いに、何を今更といった風に二人は答える。
「友達が一人で浮かないように、どっちか、または両方水着になれ、というかする」
 命令形。有無を言わせぬシオンの圧力に思わず二人は後ずさる。
「……え、水着になるの? わ、わたしは恥ずかしから無理……」
 慌てつつも拒もうとした紅雪ではあったが、シオンに腕を掴まれ手近な部屋に引っ張り込まれると、一分もしないうちに水着姿に着替えさせられ扉から出てきた。
「二人共お似合いですよ」
 出てきた二人に穏やかに言う羊の姿はシャツを脱いで腕まくりをしただけの姿。水着はなかったのでこれが精一杯。少々不服そうながらもシオンも納得のようだ。
「……羊見ないで」
 ぷいと羊から顔を逸らす紅雪。布面積が急に減った恥ずかしさ、そして少し紅が差した頬を見せたくないから。
「あ、ヒツジちゃん。このカッコさっきまでの下着姿と布面積大して変わらないし、後で金取るから」
 ちゃっかりしているシオンであった。
「やはり取るのですね……不可抗力、いえ、見たのは事実です……」
 きっちり忘れていなかったシオンの言葉に少々羊は残念顔。

 それはさておいて。
「折角ですし、最初はこの部屋にしましょうか」
 先程着替えに入った部屋、三人がその部屋に入ると意味深な出っ張りが壁の中央に鎮座していた。慎重に羊が出っ張りをコンコン。出て来た物は奇麗な袋に包まれた何枚かのビスケット。
「ふふ、ポケットを叩くとビスケットが……おお、これは凄いですね」
 怪我してしまうようなものが出て来ないか心配していたが、それは杞憂だったようだ。特に変な所はない事を確認し、紅雪へとその袋の閉じ口を開いて差し出す。
「シオンは食べないの? おいしいわよ?」
 差し出された袋から一枚取り出し齧りつつ、紅雪が尋ねる。
「二人ともよく受けいれられるわね……」
 キマイラフューチャーの日常的な光景ではあるけれども、まだ少々シオンには受け入れ辛い。
「次は何があるかしら。私もコンコンしてみたいわ」
「ええ、是非上に行きましょう」
 ビスケットの袋を大事に持ち、羊が同意、そして三人は上層へと歩みを進める。
「この部屋は何かしら?」
 掠れた絵の扉を見つけ、紅雪が扉を開く。そしてコンコン、と壁の凹んだ部分を叩くと出てきたのはシュークリーム。けれど手に持った感触は普通のものより少々重みがあり、冷たい。
「シューアイス……かしら」
 こういったものまで出て来るとは、とこの世界でのコンコンの何でもありさに少々好奇心が刺激されてくる。
 とりあえずその部屋を出て、近くにあった部屋の扉をシオンが開く。開いた部屋は窓のある部屋、外には鮮やかな海の青が広がっていて。
「やっと踏ん切りがつきましたか」
 積極性を見せるシオンに、羊が微笑ましそうな表情で眺める。
「いや、出るかこんなん!」
 そう言いつつシオンがコンコン、すっと壁からお出しされるプリン・アラモード。
「これは……アラモードですか?」
「プリンアラモード……? 実物は初めてみたわ」
 シオンの成果に紅雪の目が輝く。
「出てるけど! いやどうすんのよこれ!」
 遺跡ってすごい、そうメルヘンに感動できる年でもないからか、自分で食べるには少々抵抗もあるシオン。
「あっ、それじゃ頂きます」
「レンちゃん!? いや、いいけどさ」
 興味津々な紅雪に、シオンがそのプリンアラモードを渡す。
「おいしい……すごい」
 スプーンで掬い、口にしたその甘味に紅雪の表情はうっとりと、とても幸せそう。
(「……喜んでんなら、いいけど。かわいい。うん」)
「おいしい紅茶もほしいわね」
 ちらりと羊を見る紅雪。
「ふふ、ここでティータイムといきましょうか。紅雪は紅茶ですね」
 因みに珈琲もございますよ、と羊が珈琲と紅茶のセットを取り出し二人に笑む。
 そしてその海の見える部屋で、羊の準備した珈琲と紅茶、そしてシューアイスやプリン・アラモード、ビスケットといった遺跡での戦利品を楽しみつつ、三人の穏やかな時間は流れていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月01日
宿敵 『海神ポセ男』 を撃破!


挿絵イラスト