「帝竜ハントです。例によって最速で行きましょう」
ま、私は今回が初参加ですが、などと織戸・梨夜(ミズ・オルトロスの事件簿・f12976)は独りごちる。
「改めまして、今回の対象は帝竜『ベルセルクドラゴン』です。名は体を表すとはよく言ったもので、バリッバリにキマった感じですよ」
ベルセルク。英語でバーサーカー。日本語に直す場合は大抵「狂戦士」である。
我を忘れて敵味方構わず食らいつく戦士、というのがよくあるイメージだろう。
「……そんな単純な相手なら良かったんですが、そこは流石の帝竜と言ったところでしょうか。どうにも、私たち猟兵の『予知』に目を付けてきたっぽいんですよねえ」
梨夜曰く、ベルセルクドラゴンは確かに狂戦士としての側面を持つ。
だが一方で、敵について徹底的に考え観察し考察し尽くす知将でもあるという。
思考が早すぎて余人の理解が及ばないところも含めて狂戦士ではあるが――。
「自身が猟兵との戦闘経験を積むことで、グリモアを使った予知の構造を解析しようとしています。それをこの戦いにおける最大の目的と定めたようです。万が一、実証に足る考察がヴァルギリオスに伝われば最悪の結果となります」
それは、グリモアという猟兵の持つ優位性を失うことを意味する、と梨夜は真剣な面持ちで告げた。
「なのでなるべく手の内を見せないように速攻……と言いたいところですが、ここもやはり『ベルセルク』を冠するだけはあります。苛烈な攻撃力を持ちますし、先手を取れる可能性も限りなく低いでしょう」
いかにして敵の初手を防ぐか。そしてどのように反撃するか。この戦いはそれが肝要である。
人狼の女はぺこりと丁寧に頭を下げた。
「――ご武運を」
●
予知を担当する後方支援の猟兵と前線に出る猟兵の違いとは何かあの結晶の存在であるしかしながら結晶を所持しながら吾と斬り合った猟兵も存在すれば逆も然りこの差異はどこから来るものかもう少々の試算が必要と吾は愚考するこれは猟兵が吾を滅ぼし尽くすが先か吾の考察が結論を出すのが先かの勝負となった負けられぬ負けてはならぬ吾はどこまでも猛るとも! ヴァルギリオス様のために! そのためならこの命など何度すり潰しても惜しくはない来るがよい猟兵ども貴様らの秘密を暴いて見せようとも!
むらさきぐりこ
(戦争シナリオは)初投稿です。
理性的な狂戦士、いいですよね。めちゃくちゃ好みです。
帝竜『ベルセルクドラゴン』は「必ず先制攻撃してきます」。
これは覆しようがありません。
いかにして相手のユーベルコードを防御し、反撃に転じるかが重要となります。
以上、よろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『帝竜ベルセルクドラゴン』
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POW : ベルセルク・プレデター
【特定の1体に対する『殺意』】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD : ベルセルク・グラップラー
【翼を巨大な腕として使う】事で【四腕格闘形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : ベルセルク・レイジ
全身を【狂える竜のオーラ】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
イラスト:爪尾
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
七瀬・麗治
強敵の気配を察知し、闇人格の「ロード」が現れる。
戦闘バイク『ブレードラプター』に乗って出撃。
敵はまずベルセルクグラップラーで殴りかかってくるだろう。
腕の打撃の他、尾のスイングや顎での噛みつきにも警戒したい。
全速力で運転して回避に専念するが、いずれ追い付かれて殴られるだろう。
その瞬間にスピードを落とし〈武器受け〉〈オーラ防御〉でガードだ。
防御直後【オルタナティブダブル】が発動し、
闇人格ロードがオレの反対側に出現する。
『食らうがいい。これが文明の利器というものだ』
ロードがロケットランチャーをぶっ放したら
〈継戦能力〉〈気合い〉で立ち上がり、反撃だ。
〈生命力吸収〉〈鎧砕き〉で奴の鱗を剣でぶっ叩くぜ!
ぶおん。
剣と魔法の世界にはおよそ不似合いなエンジン音を唸らせて、七瀬・麗治(悪魔騎士・f12192)は走る。
「接敵を確認した臨戦態勢に移行する」
黒い狂竜はその姿を一瞥すると、翼を広げて爪を振りかぶった。それはあたかも四つの腕を持っているかのような立ち姿で、
「受けてみるがよい躱してみるがよい猟兵その実力を吾に見せてみよ!」
――いや、実際に四つの腕による乱舞が麗治に襲いかかる!
嵐のように降り注ぐ攻撃を、麗治は華麗なハンドル捌きで躱していく。
翼が頬を掠め、ヒュウ、と思わず息が漏れた。
腕、爪、翼、拳、噛みつき。ベルセルクドラゴンは、自身のあらゆる部位を致死性の武器として使いこなしている。まさしく狂戦士の名に恥じない戦い方であった。
「どうした逃げるだけか猟兵その絡繰は張りぼてかこの程度はまだ準備運動である! 戦いを侮辱するというのであれば疾く失せよそれとも吾の思考を警戒する故かその動きは笑止そのような小細工を弄して勝てる身ではないと知れ」
ぶおん、と。
不意打ち気味に振るわれた尻尾が、愛機ブレードラプターの進路を塞ぐように飛んでくる。
「――嗚呼そうか貴様『結晶持ち』だな?」
これは躱しようがない。交通事故現場を思い出す。順当に行けば、コンマ秒の後には大破した愛機と地面を滑る真っ赤なスイカ。
しかし麗治は冷静であった。
「だとしたら、どうする」
ブレーキを握り締めつつハンドルを切る。さながらバットのフルスイングのように、車体をドリフトさせて尻尾目がけて滑らせる。
「うおおおお!」
「小癪しかし興味深い愉快な戦法!」
尻尾とバイクが反発する。麗治はオーラに気迫を乗せ、吹っ飛ばされないように耐える。結果、ざざざと後ろに滑りながら斜めに構える形になる。
「――好機!」
しかしそれはバイクの勢いを失った致命的な隙である。ベルセルクドラゴンがそれを逃すはずもなく腕を振り上げ、
『食らうがいい』
爆音。
がら空きの後頭部に、強烈な爆風が炸裂した。
『これが、文明の利器というものだ』
ロケットランチャーを構えた麗治の別人格――『ロード』がそこにいた。
「クハハハハハ愉快愉快分身とはなんとも奇怪な戦法を採るか猟兵やはり貴様らは興味深い!」
「さっきからぺらぺらとやかましい」
哄笑する狂竜に吐き捨てると、麗治は反撃を開始する。
まずは、今負った傷の回復からだ。その体力、吸収させて貰わねば。
大成功
🔵🔵🔵
中條・竜矢
【SPD判定】(絡み、アドリブOK)
必ず先手を取ってくる上に予知の解析を狙ってくるか、本当に厄介だな!
だが、どうにか倒すしかない。
相手の攻撃を武器受けで可能な限り軽減する。それでも喰らうダメージは激痛耐性で耐える。
隙を突いてユーベルコードを使用。上がったスピードと腕のブレードを駆使して相手と切り結ぶ。攻撃の度に生命力吸収で回復しながら戦えばまだ長く戦えるだろう。
こちらの命も情報もお前にくれてやるものはない!ここで倒れろ!(全身の刃を生かして正面から相手の体を貫こうと飛び込む)
ベルセルクドラゴンの四腕攻撃は、まさしく狂戦士の乱舞と言ってよい。
神速の攻撃によって空気は歪み、地は割れ、余人の付けいる隙を与えない檻のようでもあった。
「本当に厄介だな!」
攻撃を捌きながら中條・竜矢(変化する竜騎士・f03331)は毒づく。
先手を取れない上に、この攻撃力とスピード。さらには何のきっかけでグリモアの情報を掴まれるかが分からず、迂闊な行動が出来ないと来る。
手にした黒剣が爪とぶつかって火花を散らす。――『なんとかぎりぎり』凌げている状況だ。
つまり、既にジリ貧である。
「惰弱貧弱手ぬるいぞ猟兵その程度か同胞のようで非なる者よその程度では吾に立ちふさがる資格もない!」
「ぐあっ!」
武器を弾かれると同時に、敵の尻尾が腹部に叩き込まれた。たまらず竜矢は十数メートル吹き飛ばされる。
常人、いや猟兵だとしても間違いなく即死級の一撃である。
だが。
「――黒剣よ、この身と一つになれ……!」
地面を転がりながらも、竜矢は歯を食いしばりながら立ち上がる。そして全身の甲羅を愛用の黒剣へと変貌させていく。
「刃となって、すべてを切り裂け!」
そして弾丸のごとく飛び込む。先ほどまでとは圧倒的に違う速さで、狂竜の懐へ切り込んでいく。
「興味深い吾と同じ秘術かいや同型の異なる技と言うことかすなわち各人ごとに多彩な技を使うように見えてその源流は同じものと推測が出来る」
目を爛々と輝かせるベルセルクドラゴンに、竜矢は吼えた。
「こちらの命も情報もくれてやるものか! ここで倒れろ!」
黒い刃が黒い竜の身体を刻む。その度、命が竜矢に流れ込む。
成功
🔵🔵🔴
ナイ・デス
同じオブリビオンと、何度か戦ったことが、あっても
オブリビオン側は、それを記憶していない
同じ過去からの、再スタートだから
……何が言いたいか、というと
殺しておけば、大丈夫。そう、信じて。殺します!
攻撃に対し、全力で後ろに【怪力ジャンプ】
攻撃に自ら【吹き飛ばし】されて、軽減を
【覚悟、激痛耐性、継戦能力】そうして、耐えて。反撃の斬撃を、と
そう動いて、仕留める為にもう一撃と、帝竜動いたとこで
【念動力】で、即座に自身の脳を破壊
『フェイタルムーブ』
現れるのは早口ドラゴンの死角、舌の上
【鎧無視攻撃】手首足首からの刃で【串刺し生命力吸収】舌を刺し力奪って痺れたように鈍らせて
【トンネル掘り】喉奥向かって斬り進む!
オブリビオンとは、過去そのものである。
一度倒したからといって完全に滅することはほとんどない。やがては再度染み出てくる。
同じ過去が、再び。
それはすなわち。
「殺しておけば、大丈夫」
『今という未来の記憶は持ち越せない』ということだ。
「そう、信じて――殺します!」
ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は疾駆する。
「いかにも道理この吾を殺せばあるいは吾の思考検証考察は塵芥となるやもしれぬ試行する価値はあろう猟兵しかしならばどうするこの戦力差を!」
竜の巨体から繰り出される嵐のような暴力が、人間と比較しても小柄なナイの身体を襲う。暴走したトラックが子猫を轢くかのような状況だ。
ぽおん、とナイは呆気なく吹っ飛ばされる。当然の結果――いや。
「小癪小癪小癪!」
「……ッ」
手ごたえが軽い、と狂竜は即座に判断した。ナイは攻撃に合わせて『自分から後ろに飛んだ』。そうして衝撃を殺しにかかったのだ。
実際、その目論見はある程度成功した。致命傷は避けられたと言っていい。
だが。
「見誤ったな彼我の戦力差を自身へのダメージを次は避けられまい躱させぬ仕留めてみせよう」
ナイは武器を構えるも、反撃に転じるだけの余裕が既に見えない。ベルセルクドラゴンはそれを確信し、しかし慢心ないよう爪と翼を広げ、
「、は?」
目の前の光景に、一瞬理解が追いつかなかった。
ぱぁんと、ナイの頭部が勝手にはじけたからである。
さしもの狂竜も、これには高速思考を停止せざるを得なかった。
ミリ秒のラグ。
『フェイタルムーブ』
誤差に等しいその時間が、致命的だった。
『新生した』ナイがドラゴンの口腔内に現れる。そして一切の躊躇なく、その舌を串刺しにした。
声にならない悲鳴が反響する。それでもナイは怯まず容赦なく喉元へ斬り込んでいく。
それは、『死ぬことが出来ない』かりそめの肉体だからこそ可能な荒業だった。
大成功
🔵🔵🔵
レオンハルト・ヴァイスレーベ
ヴォルクルス(f22576)と。
・心情
…カダスフィアと戦えなかった無念はここで晴らす!
王国奪還の前哨戦だ。全力で行くぞ!
・行動
(予めリミッター解除をした後)
味方をかばう盾役に徹する。
敵の先制攻撃に対しUCを使用。
他の攻撃に対しては、
オーラ防御やかばうを駆使して守りに徹する。
(人を惹きつける様な、澄んだ鈴の音の声で)
「ボクが皆の盾になります!その間に奴を-!」
(防御時、誓いの剣を眼前に翳しつつ)
「ボクは進む-“救世”の道を…。ここで倒れる訳にはいかないんだ!」
反撃可能なら、武器受けからのカウンターと、
勇気を奮って捨て身の一撃。
-やるだけの事はしました。皆様、どうか…勝利を!
ヴォルクルス・ブラックエッジ
レオンハルト(f23015)と
相方のUC発動後に突撃<先制対策
「…行くぞ、相棒」<左手をかざす
『あいよ!オイラ達の本気見せてやろうぜ!』<槍変化
その後、黒剣と竜槍を手に突撃
-アイツが作った隙、無駄にはしない!<突撃時の心の声
・行動
2回攻撃、生命力吸収、呪詛、鎧無視攻撃でダメージを重ねる
(一点を集中して傷を作る)
敵の反撃にはそれぞれの【~耐性】とオーラ防御で耐える
頃合いを見計らってから傷を串刺して、UC発動
『喰らえ!オイラの全開パワー!!』<発動時のファングの台詞
倒せなかったら後退
ファング『…チッ、やっぱりダメかぁ!』
「仕方ない、引くぞ!」
-やるだけの事はやった。気が引けるが後は任せたぞ!
猟兵の度重なる猛攻により、趨勢が傾き始める。圧倒的な戦力差から、光明が見えてくる程度にまで。
その逆境に――狂竜は、吼えた。
「クハハハハハ愉快愉快血が滾る面白い嗚呼認めよう貴様らは戦うに相応しい戦士である!」
血を吐き散らしながら、それでも戦場そのものを楽しんでいる。まさしく狂戦士であった。
そして、ベルセルクドラゴンは戦い方を変える。翼を下ろし、四腕の構えを解く。
刹那。
――ずん。
尋常ではない殺気が、猟兵たちを容赦なく叩き付けた。耐性が無ければそれだけでショック死しかねない程の圧!
「耐えてみろ猟兵!」
爪が振り上げられる。愚直なまでの、しかし亜光速の一撃が落ちてくる。
いかな鍛え上げた猟兵といえど、直撃すれば無事では済まないことは誰の目にも明らかであり。
「はあああああああッ!」
それを、真白の盾が真正面から受け止めた。
いや、彼は盾を装備してはいない。その身体と鎧に託した無敵城塞の概念を以て、度を超した暴力から仲間を護る。
レオンハルト・ヴァイスレーベ(白の従騎士・f23015)によって、敵の初撃は確かに防がれた。
「――行くぞ、相棒」
『あいよ! オイラたちの本気、見せてやろうぜ!』
その影から、するりと漆黒の槍が現れる。
大技の代償として、相手は多大な隙を晒している。
――アイツの作った隙、無駄にはしない!
ヴォルクルス・ブラックエッジ(黒鴉の黒竜騎士・f22576)は、敵の腕の付け根を狙って槍を突き立てた。
「よくぞ凌ぎきった我が全霊そうでなくてはな猟兵吾も昂ぶっておる!」
哄笑しながら、ベルセルクドラゴンはとっさにヴォルクルスへと翼で斬りかかる。
「させるか!」
そこにレオンハルトはすかさず割って入る。白刃と黒刃が火花を散らした。
「ボクが皆の盾になります! その間に奴を――!」
レオンハルトの鈴の音のように澄んだ声が周りに響く。
対照的に、狂竜の重苦しくまとわりつく漆黒の声が答えた。
「面白い貴様は盾役に徹すると言うかなるほど戦術としては道理よな!」
攻撃を受け流すレオンハルトの脳裏によぎるのは、かつての苦い記憶だ。故郷を無くしたこと、己の無力を嘆いたこと――帝竜カダスフィアに一矢報いることが出来なかったこと。
怒りをぶつける相手が違う? そうかもしれない。これは八つ当たりと言えるのかもしれない。だが。
復讐すべき相手はオブリビオンという総体であり、そも目の前の竜はこの世界を蹂躙しようとしている悪性だ。
「ボクは進む――“救世”の道を……! ここで倒れる訳にはいかないんだ!」
ならば、一人の猟兵として成すべきことを成すのみ。レオンハルトは真白の剣を突きつけて高らかに宣言した。
「……よく言った」
ひらりと敵の尻尾を躱しながら、ヴォルクルスは独り言つ。恐らくは誰にも聞こえないだろう。
いかにレオンハルトが引きつけているとはいえ、それで他の猟兵から意識を切ってくれるほどぬるい相手ではない。決定的な隙を見いだせずにいた。
それでも、隙がないわけではない。
ヴォルクルスは関節部分を狙い続ける。決定打とは言わないまでも、地道にダメージを蓄積させていく。
「小癪小癪小癪!」
不意に竜の爪がヴォルクルスに向けて振るわれた。無視できなくなったということだろう。
ヴォルクルスは回避動作に入る。爪をレオンハルトが受け止める。
――ここが潮目だ。
一撃。ヴォルクルスは白銀の槍を積み重ねた傷へと突き立てた。
瞬間。
『喰らえ! オイラの全開パワー!!』
槍が小竜ファングへと変化し、さらにその傷を抉り取る!
「ウオオオオオオオオ!」
これにはさしものベルセルクドラゴンも吼えた。
しかし。
『……チッ、やっぱりダメかぁ!』
ファングがぼやく。手ごたえはあった。だがまだ打倒には至らない。
「仕方ない、引くぞ!」
「……はいっ!」
珍しいヴォルクルスの大声に、レオンハルトは素直に頷いた。
「やれるだけの事はやりました。皆様、どうか……勝利を!」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴