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帝竜戦役⑮〜重い峡谷で穴を掘る

#アックス&ウィザーズ #戦争 #帝竜戦役 #群竜大陸

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 体が重い、装備が重い、空気すら重く感じる。
 飛べず、歩くことすら難しい。
 更に岩まで降ってくる。その重さも増えているなんて想像したくもない。
 土を掘るのだってめっちゃ大変なのだ。


「えー……群竜大陸の中にですねー……岩石回廊という場所がありましてー……」
 寧宮・澪がグリモアベースで猟兵へ声をかける。
 岩石回廊──そこは、重力異常が発生している狭く入り組んだ峡谷。普段の数十倍もの重力負荷で飛ぶことはできず、歩いて行くしかないのだがかなり困難である。更に上から巨岩がでたらめに降ってくるという。
 それらの障害を乗り越えて進む必要があるのだ。
「まず、そうですねー……この重力負荷でも耐えられるよな、トレーニングして挑むのが、いいかと思います」
 体を馴らしてから挑めば、猟兵である皆なら適応も難しくないだろうから。自分で考えて実行してきてもいいし、澪が借りたキマイラフューチャーの施設に行って訓練してもいい。
 重力を増やしたその施設では、道幅の狭い、入り組んだ迷路を設置し、上から大きなボールをランダムで転がして来るよう設定した。
 ここを突破してくれば、だいぶ慣れることができると思われる。
「で、現場なんですがー……どうも、途中に掘りかけの、トンネルがあるみたいですー」
 何者かが手で掘っていたと思われる未完成のトンネルだ。もしもこれを完成させれれば、少しだけでもショートカットになるかもしれない。
 岩を避けながら進んで、更に常よりも重い身体や道具を使ってトンネルを掘るのは厳しいかもしれないが、できたらやってみてほしい。後々に楽になるだろうから。
「あと、ここにはですねー……とても栄養価の高い、種籾があります」
 へしつぶの種籾と呼ばれるそれは、高重力下でも破壊されなかった、頑丈さを持つ。生育に尋常でない時間がかかるが、育てた米は、一粒で成人男性が10日間過ごせる栄養価を持つのだ。種籾一粒で金貨88枚(88万円)の価値があるし、飢饉などの備えにいいだろう。
「重い、重い場所ですがー……どうか、力を貸してくださいー。よろしく、お願いしますー……」
 そう澪は、頭を下げて。重力がより強い峡谷へと道を紡ぐのだった。


霧野

 トンネル完成にレッツゴー。
 よろしくお願いします、霧野です。

●プレイングボーナスについて
 このシナリオには下記のプレイングボーナスがあります。
 ====================
 プレイングボーナス……重力異常に耐えられるようなトレーニングを実行してから、回廊に挑戦する。)
 ====================

●シナリオについて
 一章:重力負荷の高い狭い峡谷を、ランダムに降ってくる岩を捌きながら進み、掘りかけのトンネルを完成させてください。
 冒険です。

 ※この戦場で手に入れられる財宝
 宝物「へしつぶの種籾」……高重力下でも破壊されなかった、頑丈な種籾です。生育に尋常でない時間がかかりますが、育てた米は、一粒で成人男性が10日間過ごせる栄養価を持ちます。種籾一粒で金貨88枚(88万円)の価値があります。

●複数人で参加される方へ
 どなたかとご一緒に参加される場合、プレイングに「お相手の呼び名(ID)」を。
 グループ参加を希望の場合は【グループ名】を最初に参加した章にご記入いただけると、助かります。

●アドリブ・絡みの有無について
 割とアドリブ入れることがあります。
 以下の記号を文頭に入れていただければ、絡まなかったり、アドリブ入れなかったりさせていただきます。
 ◎ アドリブ・絡み歓迎。
 △ アドリブ歓迎・絡みNG。
 × アドリブNG・絡みNG。
 〆 負傷OK。
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第1章 冒険 『手掘りの隧道』

POW   :    掘って掘って掘りまくる

SPD   :    落盤防止措置を講じる

WIZ   :    精霊さんとかに頑張ってもらう

👑3
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミルケン・ピーチ
◎〆

褐色肌ボディのアカリで行くっす

まずはトレーニングっすね
重力施設のなかを突破していくっす
その際は【サーバントオブザピーチ】を発動、手を猿のものに変えていくっす
そしてあえて腕を上げ、特に負荷をかけながら歩いていくっす
転がってくるボールも手を使って防いだり殴ったりで対処
とにかく徹底的に腕を鍛えます
迷路を抜ける頃にはニホンザルくらいだった手がゴリラ級にパワーアップ!
…してるといいっす

本番でもサーバントオブザピーチを使い、鍛えた猿腕の【怪力】を使ってトンネルを掘っていくっす
元々猿の握力は凄いらしいので、鍛えたことでさらに効率アップ!
メスゴリラは誉め言葉っす!

種籾も見つけたら拾って帰るっす


薙沢・歌織
重力トレーニングは澪さんから迷路をお借りします。【ロープワーク】でボールを【捕縛】して止めたり、壁に引っかけて自分をフック側に引き寄せるなどして進みます。アルダワの地下迷宮でも、このような仕掛けはしばしば見ますね…!

それでは、掘り進めに着手します。土砂崩れや落石事故に巻き込まれないよう、付近の地層を【世界知識・地形の利用】で調査。
UC【手助けする徘徊犬達】を発動して会話、トンネル掘りを要請。私はミラージュオーブの光を【視力】技能として扱いトンネルを照らし、巨岩を地霊盾で【盾受け】し犬さん達を守り、岩が進行の邪魔ならオーブの雷【属性攻撃】で破砕。
空腹時はお弁当を食べ、犬さん達には肉を用意します。


ミラリア・レリクストゥラ
途中に…?そんな環境で一体誰が…

【WIZ】◎

トレーニングは…私では無意味でしょう、【宝石の体】ですし。
身体が重く、指一本動かせない…災魔にそんな状況へと追い込まれた事はありますから、どういった物かは知っています。少なくとも、パニックにはなりません。

…とはいえ、足場を作って移動する形は折角のトンネルを潰しかねませんし…
ここは、別な唄…皆が辛い状況でも【鼓舞】できる、【彼方へと繋がる希望】を唄いましょう!



(―しくじりました…唄いながらの行軍、唄の効果でなんとか這わずに動けるとは言え私の比重は普通の人の3.6倍!
 おーもーいぃぃぃ…いえ旅慣れた私が弱音を吐く訳には…せめてトンネルまでは追随を…!―)




 ミラリア・レリクストゥラ(目覚めの唄の尖晶石・f21929)は考える。
(トレーニングは……私では無意味でしょう)
 宝石の体では訓練の恩恵が受けれない。更に以前、災魔の攻撃で精神的にも物理的にも重みを感じて動かない、という状況の経験はあるのだ。行かなくてもパニックになることもないだろう。
 なのでミラリアは、トレーニングの勧めを断って岩石回廊へ転移した。

 転移した直後からかかる重力は、通常空間から移動した分差異があってミラリアでもかなり辛く感じる。けれどもなんとか進めそうだ。
 さて楽に進めるように土を操って足場を作って進めば、せっかくのトンネルを潰してしまう恐れもある。皆が辛くとも鼓舞できるよう、彼方へと繋がる希望を歌って補助しながら進むのがいい。そう思い、彼女は体を震わせて歌いながら進んでいく。
 その中でふと、トンネルについて考える。
(こんな環境の途中に……? 一体誰が……)
 昔は住人がいたのか、勇者達の誰かが試みたのか。オブリビオンが掘ったのかもしれない。
 実際に見てみたらわかるかもしれない。ミラリアは足をとにかく進めることにしたのだった。


 ミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)は訓練施設をいそいそと進む。
 入り口に入ったときから手を器用に扱う猿のものに変化させ、常に腕を上に上げて負荷を強めて鍛えようとしながら。
 普通の重力下でも腕を上げっぱなしというのはかなり辛い。重力負荷が高まるここでは尚更だ。
 ふさふさのニホンザルの腕を高く掲げて、道幅の狭い迷路を進んでいけば、ランダムにボールが転がってくる。重力が強まった分、速さは変わらずともぶつかった衝撃は強いだろう。
「せいっ!」
 そんなボールのど真ん中へとミルケンは上げていた腕を振り、ボールを殴り飛ばす。たとえ普段より重くとも豪腕は健在だ、ボールは別の方向に飛んでいき、ミルケンはまた腕を高々と上げて進んでいく。
 徐々に重くなる体に慣れながら進んでゴールする頃には、ニホンザルだった腕がゴリラくらいにパワーアップした気分になった。

 薙沢・歌織(聖痕宿す魔法学園生・f26562)はロープを手に持ちながら迷路を進む。
 普段手にするよりもその重さはより重たく感じる。先端の魔導蒸気機械すらより強くロープを下へ下へと引いてくるようだ。
 徐々に強くなる重力に耐えながら歩いていくと上からごろんと音を立ててボールが転がってきた。
(アルダワの地下迷宮でも、このような仕掛けはしばしば見ますね……!)
 歌織は普段と違う感覚に負けぬようにしっかりとロープを振るい、勢い良く壁の上部へ引っ掛けて体を引き上げる。
 足元をごろごろとボールが通り過ぎたのを確認してから床へ。降りる動作も普段より強く引かれているようだ。
 先に進めば進むほど重く、地面へと引かれていく体の動かし方を考え、慣らし。時折ランダムに転がってくるボールをロープでうまく捌きつつ、無事ゴールまで到達した。


 体を慣らしたミルケンと歌織が転移した峡谷は、確かに重い。急に通常の空間からここに来れば辛さはいや増すだろう。
 けれども体を慣らしてからきたことで、たしかにこの環境に適応していた。最初の辛さよりは楽に先にすすめるようになっていく。
 ミルケンは狭い峡谷を駆ける。重い体の動かし方にも慣れて、向かい来る巨岩も殴り飛ばして順調に進む。
 歌織も狭い道を駆け抜ける。重いロープの扱いにも慣れた、迫る岩を横の岸壁にフックを引っ掛け、自身を引き上げれば簡単に避けることができる。それでも避けきれないものは大盾で弾いた。

(──しくじりました……)
 どんどん先に進む二人達の後を追うミラリアは後悔していた。
 腕が重い、足が重い。体を支える背筋が、頭を支える首が重い。
 彼女の体の特性がここで牙を剥く。そう、宝石であるが故に硬いし呼吸も必要としないが──比重が普通の人より重い。なんと3.6倍だ。
 重い体が重い状態、しかも体を振動させて唄い、ランダムに転がってきた巨岩へ対処をしながら、という行軍はかなり辛い。
(おーもーいぃぃぃ……)
 罪悪感で重かった時より精神的な負担は軽い。けれど歩かなくてはならないし、岩に対処する必要もあるこの状況は地味に辛い。
 けれどその歌のおかげで這うことなく歩いて隘路を進むことはできている。一歩一歩確実に進んでいる。
 旅慣れた身であるのだ、弱音を吐いてはいられない。
(……せめてトンネルまでは追随を……!)
 他の猟兵の歩みを支援しながら、重い体を何とか動かして、ミラリアは何とか先に歩いていくのだった。

 しばし岩を跳ね除け進めばぽっかりと口を開けていた。これが依頼にあったトンネルだろう。
 歌織はまずは地層を調べる。土砂崩れや落石事故に巻き込まれぬように調査しておくのだ。
 超重力で圧縮された土はほぼ岩のようなもの。固めずともぼろぼろになることはないだろう。柔軟性は無いので、崩れるときは一気に崩れる。けれどきちんと補強しておけば崩落しにくいとも言える。
 ミラージュオーブを浮かべ、灯りにし。歌織はドッグ・レンジャーズを呼び出した。
「すみません、少しばかり力を貸して頂けますか?」
 せっせせっせと彼らはツルハシを手に持って、硬い岩をコンコンカンカン、と砕いていく。レンジャーズが砕けない硬い岩は、歌織がオーブの雷で砕いていく。
 お腹が空いたらお弁当を食べるのだ、と鼓舞し合いながら。
「掘るっすよー! どんどん行くっす!」
 ミルケンは横に並んで、わっしわっしと再び猿の腕に変えた自身の手でトンネルの壁を掘っていく。
 元々ミルキングアームで剛力を出せるが、そこにプラスされた猿の握力は強い。種族にもよるが自分の10倍の重量を引くことができるほどのものもいるという。
 人間に例えれば50kgの人が500kgの荷物を引っ張るようなもの。
 更に超重力下で鍛えたことで、更に筋肉が発達、効率よく固く圧縮された土を握っては掘っていく。岩だって握りつぶしてしまえるのだ。
 その姿はまさにメスゴリラ(褒め言葉)のように雄々しく美しい。
 きちんと道中で拾った種籾を懐に、がりごりと掘り進んでいった。
 そしてその場に響くミラリアの歌が、皆の穴掘りを応援していたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

フォルク・リア
◎〆

「俺自身は短い時間訓練をしたからと言って
それに耐えられるだけの筋力が得られる素質はないけど。
対策を練るには行っておいた方がいいか。」

キマイラフューチャーの施設へ行き
グラビティテンペストを使って重力の軽減対策の訓練を行う。
周辺の物を微粒子に変換して自分の周りに漂わせて
重力を軽減し降ってくる岩の勢いも殺すか岩自体も微粒子に変える。
重力の発生具合を調整して回廊を抜けるまで
魔力が持つ様に訓練しておく。

回廊では訓練の通りにグラビティテンペストを使用。
トンネルに入ったら良く方向を確認しながら
重力を操って岩を削って掘り進む。
重力異常の影響で崩れ易い事も想定し
掘削すると同時に落石、落盤には十分注意。


国栖ヶ谷・鈴鹿


【SPD】

【特訓🏋️‍♂️】
キマフュの特訓施設!楽しそうだなぁ、ぼくも特訓受けていくね!
本番同様に、ジャーン!『異郷ニ咲ク雛罌粟』、ぼくの好きなデザイナーの人に作ってもらったお気に入りのビキニアーマー!これとUCを組み合わせて、特訓しちゃおう!

【本番】
UCで強化する技能は『怪力』『見切り』『ダッシュ』『トンネル掘り』の4つ!岩は見切りとダッシュでかわして、怪力で動けるように、後気になるのはトンネルだね、折角ショートカットできるならやっていって損はないかな!
お気に入りの衣装だから、やる気も十分!活躍しちゃうよ!

種籾は見つけたら持ち帰ろうね、何かきっと役に立つと思うし、育ててみようかな?


エルザ・メレディウス
アドリブ〇
連携〇

◆訓練
高重力における【環境耐性】を得ることが出来るように、用意して頂いた施設を利用致します
訓練の時から【地形の利用】を活用して迷路を進んだり、歩行や日常生活を無理なく行えるように訓練を施して、高重力を想定した【地形耐性】や【足場の熟練】【トンネル掘り】の技術を体得します

訓練では少し無理をしながら、じっくり高重力を身に染みこませるように
回廊を十分に進めると判断したら、体力を回復して探索へ

■探索:POWを使用します
【地形の利用】を活かして、目的地まで効率よく進んみます。その後は訓練を活かして、【トンネル彫り】を行います

連携時は、【集団戦術】を心がけて、全員で効率の良い探索を




「俺自身は短い時間訓練をしたからと言って、それに耐えられるだけの筋力が得られる素質はないけど」
 そう呟きながらもキマイラフューチャーへと移動するのはフォルク・リア(黄泉への導・f05375)。彼の体躯で短期間のトレーニングで急に筋力や体力を爆発的に増強すことは難しい。
 けれど体感すること、経験は力になる。
「対策を練るには行っておいた方がいいか」
 体の重さを軽減する魔術、実際の体感、魔力の消費、踏破に必要な魔力量。
 そういった対策を練るために、フォルクは重力が強まる迷路へと足を進めた。
 迷路に入って早速、フォルクは付近の壁を重力や斥力を操る微粒子に変換する。ザラリザラリと崩れた壁が細かい粒子となってフォルクの周りに浮かび上がった。
 それらの粒子が押しつぶそうとする重力を軽減し、フォルクが行動するのに支障ないほどに保つ。
 まずはほぼ普段と変わらないくらいに。徐々に軽減を少なくし、動ける限界を見極める。
 限界よりは余裕のある程度に軽減量を調整し、その場合の魔力の消費量を計りながら、フォルクは先へと進む。
 魔力切れを起こさず、かつ自身が支障なく活動できるくらい。更にはトンネル掘り用に魔力、体力をある程度保てるほどに、微粒子による軽減具合を、魔力の消費具合を調整していく。
 たまに転がってくるボールも微粒子に変えて、フォルクは重力トレーニングをこなすのだった。

「キマフュの特訓施設! 楽しそうだなぁ、ぼくも特訓受けていくね!」
 うきうきと国栖ヶ谷・鈴鹿(未来派芸術家&天才パテシエイル・f23254)が、ひらり着替えたその姿はお気に入りのビキニアーマー。
「ジャーン! 『異郷ニ咲ク雛罌粟』!」
 半年も前から憧れていたデザイナーの手によるもので、ビキニアーマーといえども可愛らしく仕立てられた。
 フリルを備えたウェイトレス風の布地多めのトップに、頭には大きなひなげしの花を飾り。シンプルなデザインのアンダーはちょっぴり後ろに流れるチュールを引いて、足を覆うブーツもシンプルに。右腕にはひなげしの花をもしたリボンのブレスレット。更に後光と耳と背中を隠す尻尾をも活かし、視線を上半身に集めるデザインだ。
 超高精度技能再現化装置で着替えることで、より技能を強めて、本番同様の装いで迷路へと駆け込んだ。
 先に進めば進むほどに重力が増していく。ランダムで転がってくるボールもあって、それなりに難易度が高いが、今の鈴鹿には敵ではないのだった。

 エルザ・メレディウス(復讐者・f19492)もまた、高重力における環境に慣れるよう訓練に励んでいた。
「高重力下の環境に耐えられるよう、訓練しなくては」
 進めば進むほど重くなる体でまずはゆっくり歩く。馴染んできたら、少し駆け足で。ランダムに配置された壁の窪みに手や足をかけて登る訓練もして、体を重力下に馴染ませる。
 更に動作に負荷をかけ、普段と変わる感覚を、重さを身に染み込ませながら、迷路を進む。
 時折転がってくるボールは他のところより狭い通路を利用する。ぶつからぬようにタイミングを見はからい、その通路に入ってやり過ごす。進めば現れる障害となる狭い段差を飛び越え、進路を阻害する低い壁を登って超えていく。
 トンネル掘りの練習用に設置された土の山もしっかりと掘って、現地で必要となる技術の体得も忘れない。
 歩行や日常生活、更にはトンネル掘りも無理なく行えるようになり、回廊を十分に進めると判断するまで、エルザは鍛錬しながら迷路を抜けていくのだった。


 迷路を抜ければ、また各々転移していく。
 今度は重力が、巨岩が押し寄せてくる狭い峡谷、岩石回廊。
 フォルクは周りの岩を微粒子に変化させて、先程訓練したとおりに重力の軽減を維持。峡谷を抜ける方角を見極めて、迷いそうになる入り組んだ道を最短経路を導きながら進んでいった。
 重力の押し寄せる隘路を鈴鹿はやる気たっぷりで駆け抜ける。
 キマイラフューチャーでの慣らし訓練により、重力下を怪力で進み、ランダムに転がってくる岩を見切りとダッシュで進むことができている。
 途中で種籾も見つかり、戻ったら何かきっと役に立つとはず、と育てる気も満々だ。
 少し休憩したエルザも、改めて回廊へと赴く。
 先程馴染んだ体の動きはエルザの意思どおりに動く。
 細い隘路を最小限の身の動きで進む。転がってくる岩はより狭くなった場を利用し、周りの壁を盾にして、その陰で屈むことで体力の消費を抑えてやり過ごす。
 進めないような狭い場所も壁を蹴って上の広い部分へと迂回して乗り越えた。


 猟兵達が峡谷をスムーズに進めば、その先にぽっかりと開いた穴が見えてきた。
 これが話にあったトンネルだろう。
 トンネルの中ではエルザがより効率良く進められるよう、自ら前に出て掘りながらも体調・疲労の管理や、交代、進捗の管理など指揮を取った。
 ただでさえ重労働のトンネル掘りだ、意識しておいたほうがこしたことはない。そこはエルザの経験を元に仲間の様子をきちんと把握している。
 時折休養を勧め、慣れぬ超重力下の環境も彼女の指揮で効率良く進むトンネル掘り。エルザももちろん、自分の手でも掘りすすめる。
 フォルクは最短で進める方角を定め、そちらの方向へとトンネルの壁を崩す。固く圧縮された土や岩は固く、簡単に崩れないように見えるが、この環境ではより重力もかかる。それ故に落石や落盤すれば被害も大きいだろう。
 そうならぬように地層や地質を見定めて、崩さぬように削りたくない部分は斥力で支え、その中で崩す部分でより効果的に崩せるよう計算して重力を操っていく。
 空気がこもらぬように換気用の穴を所々に、かつ崩落しないように計算しながらトンネルを掘っていく。
「折角ショートカットできるならやっていって損はないかな!」
 鈴鹿は辺りに生えている木や蔦を怪力で倒し、資材へと変えていく。トンネル掘りの技能を活かして落盤防止に支柱を立てて補強し、要所要所に天井を支えるように、筏も組んでおくのだ。
「お気に入りの衣装だから、やる気も十分! 活躍しちゃうよ!」
 重労働のトンネル掘りだってこのスーツなら楽しくできる。
 大きな花やチュールが揺れる衣装は鈴鹿の心を浮き立たせ、高密度の植物の伐採も、普段より重い資材を運ぶ重さも、苦では無くしてくれる。
 せっせせっせと3人は、トンネルを順調に掘り進めたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アリス・イングランギニョル
◎〆

いやいや、こういう重労働とかトレーニングとか明らかにボク向きではないと思うのだけれど
……と、否定するのは簡単だけれどボクは閃きました
別にボクが動かなくてもいいじゃね、と

さぁさ仕事の時間だぜ、トランプ兵諸君!
呼ぶのは総勢41体のトランプ兵
手に持つ装備はツルハシにシャベル等等の穴掘り仕様

そして、ボクは彼らの内の何人かに担いで移動させてもらおう
施設でのトレーニングはボクを安全快適に運ぶやり方に、作業と見張りに分かれて突然の落石へ対処する作業手順
疲れ知らず(ということにした)トランプ兵諸君ならばどんな重力もトレーニングもばっちこいって寸法さ

さて、ボクはのんびり読書を進めるので頑張ってくれたまえよ?


上野・修介

「なるほど。超重力に対抗するためのトレーニングか」

鍛錬は日々行っており、その中には加重トレーニングも当然含まれている。
しかし超重力下での鍛錬は経験がない。

正直、結構楽しみである。

・鍛錬
折角なので『借りた施設』を利用。
超重力に慣れると共に、スタミナ増強と、トンネルの掘削作業なるので低酸素状態(運動時にマスクを着用)にも慣れておく。

・掘削
UCは防御重視。

スポーツドリンクを用意し、意識的に水分を補給するよう心掛ける。
事前に掘り進める方向と距離を確認。【情報収集+見切り】
なるべく最短距離を進むよう定める。

またある程度の感覚で休憩を取り、進捗状況を確認。

降ってくる岩は拳【グラップル+戦闘知識】で対処。


戦場外院・晶

「では御言葉に甘えまして、施設を貸して頂きますわね?」
折角ですもの、楽しませていただきます……まるでテーマパークに来たみたいで、テンション上がります
「……」
走ってみます……しっくりこない
「……」
シャドーボクシング……馴染まず
「もっと重力を高めて頂けますか?」
数十倍の重力下、結跏趺坐にて、只管祈る……これです
この環境に慣れるにはまず、日常をなぞる必要がありました……さあ、参りましょうか

「灰燼拳」
スコップが重い?
重機が自重で潰れてしまう?
そんな時のために人間には両の拳が備わっているではありませんか
「灰燼拳」
戦うのも好きですが、壊す事はもっと好きな私です……テンション、上がってしまいます




「いやいや、こういう重労働とかトレーニングとか明らかにボク向きではないと思うのだけれど」
 アリス・イングランギニョル(グランギニョルの書き手・f03145)は極度の引きこもりだ。普通の運動ですら億劫であるのに、重力が重い場所なんてより億劫であるのは自明だ。更に頭脳派な彼女に、肉体を鍛えるトレーニングや、トンネル掘りという労働には向いていない。
 等々、自身の特性や理由をつけて否定するのはとても簡単だ。しかしここでアリスに閃きが走る。
(別にボクが動かなくてもいいんじゃね?)
 そう、アリスには頼れる手足がいるじゃないか。
「さぁさ仕事の時間だぜ、トランプ兵諸君!」
 アリスの声に会わせてトランプ兵が現れる。ズラリ並んだ41の兵士が持つのは、剣や槍ではなくツルハシにシャベル。そしてクッションだ。
 隘路で互いを阻害しないように一列に並ぶ。進む道中の見張り、落石に対応する兵士、前後に組み合わせた腕にクッションを乗せてアリスを快適に運ぶ係。分担を決めて、迷路のトレーニングに挑んでいく。
 疲れ知らずのトランプ兵ならどんな重力もトレーニングもこなすのだから。
「さて、ボクはのんびり読書を進めるので頑張ってくれたまえよ?」
 クッションに埋もれて運ばれる彼女は知らない。歩くのも苦労する重力下では、本を読むのも苦労するということを。運ばれていくのにも体力がいることを。
 一応、迷路を進むうちに無事慣れていった。

 上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)は頷く。
「なるほど。超重力に対抗するためのトレーニングか」
 無論彼とて日々訓練を絶やしてはいない。その中にはあえて重りをつけて動く加重トレーニングだってある。けれどしかし超重力下での鍛錬は経験がなかったのだ。
 どのような負荷がかかるだろうか、どう動きが阻害され、対処する必要があるのか。拳を、脚を振るうときの勢い、負荷。衣類や装備の重さですら変わってくる。もちろんそういう要素も考慮しなくてはいけないのだ。
 依頼のためとは言えども、それらを考えるだけで結構楽しみであった。
 修介は気密性の高いマスクを着用し、迷路に挑む。あえて呼吸を制限することで低酸素状態を作り出し、スタミナ増強と掘削作業と言う重労働に耐えるのが目的だ。
 進めば進むほどに重くなる体を動かし、時折不定期に転がってくるボールの重心、動きを見て、的確に掴んでは投げ返し。
 超重力下での体の動かし方を体に、筋肉や神経に染み込ませていく。

「では御言葉に甘えまして、施設を貸して頂きますわね?」
 そう言って微笑んだまま戦場外院・晶(強く握れば、彼女は笑う・f09489)は迷路に入る。奥に行けば行くほど重力が重くなる迷路はテーマパークのようなもので、静かに晶もテンションが上がっていた。折角だ、堪能しようではないか。
 まずは走る。
「……」
 確かに体は重い。先に進めば進むほど重くなる。しかししっくりこない。
「……」
 立ち止まり、シャドーボクシングをしてみる。馴染まず。転がってきたボールも殴り返すが、どうにも違和感が残る。確かに重力下に慣れるために来たのだ、しっくりこないのは当たり前だが余りに違和感がひどい。
(もっと重力の高まる場所に)
 出口付近、最高に重力のかかる場所まで歩いてきてもやはり──足りない。
「もっと重力を高めて頂けますか?」
 施設の係員に頼んで、迷路から少し離れたスペースで重力を高めてもらう。今にも潰されそうな重みの中、じわじわと腕を組み、足を組み。結跏趺坐にて視線を落としただただひたすらに祈る。
(……これです)
 得心を得た。常とは違う環境に慣れるためには日常の所作をなぞる必要があったのだ。
 数十分祈り続け、晶は立ち上がる。もう超重力にも違和感を感じない。
「さあ、参りましょうか」


 狭い峡谷を猟兵達はかけてゆく。
「せいっ!」
 修介はランダムに転がる巨石の動きを見切り、掴みやすい部分を見極める。伸ばした手でしっかりと握り、転がる勢いすら利用して自身の進路から投げ飛ばした。
 投げ飛ばせないような巨岩に関しては拳で叩いて重心をずらし、進路も変えて回避する。
 重たい体でもトレーニングで慣れた今なら負けることなく、その脚は止まらずに峡谷を駆け抜ける。
 晶もまた、超重力に慣らした体で楚々と法衣を翻し走る。転がる巨岩も関係ない、近くまで来たときに拳で迎え撃って砕けばいいだけの話だ。
 アリスを運ぶトランプ兵も、読書をするアリスを大きく揺らすことなく連携で巨岩もく峡谷も超えていく。

 修介は一度脱力したあと、呼吸を整える。あえて体の使い方を意識することで体の機能を向上させるのだ。
 掘り進めたい、峡谷を抜ける方向と距離を確認しながら
 なるべく最短距離を進むよう、他の猟兵とも協力して掘りすすめる。
 疲労が溜まれば無理はしない。動くことで消費したカロリーや水分、ミネラルなどを、こまめにスポーツドリンクで補給しながら休憩する。そうすることでより効率良く掘り進められるのだ。
 その度に進捗を確認し、確実に進んでいることにやる気を漲らせる。
「灰燼拳」
 豪、と音を立てて晶の拳がトンネルの奥の壁にめり込む。ビシビシと壁がひび割れる。
「灰燼拳」
 続けてもう一発。
 高速の拳がヒビを広げ、岩肌のような土を砕いていく。
 スコップが重いなんて関係ない。重機がその重みで潰れようが関係ない。
 道具が、機械が、使えないなら──。
 己の両の拳があるじゃないか。
(テンション、上がってしまいます)
 食べることも寝ることも好きだ。戦うのも好きだ。けれどそれ以上に、壊すことが好きなのだ。
 思う存分、壊せる状況に晶の拳は止まらない。トンネルの奥をどんどん打ち壊して行くのだった。
 さて、アリスとトランプ兵はというと。
「……」
 本の世界に没頭するアリスを運びながら岩を避け、トンネルへと辿り着いたトランプ兵。アリスを運ぶ担当以外がザックザクと大まかに砕かれた岩や土を運びやすく砕いて、出てきた土を掘って運び出す。
 疲れ知らずの彼らがいるのだ、他の猟兵が多少休憩しても作業は順調に進んでいく。
 無論アリスは好きなだけ読書に没頭できた。ページをめくる動きも重力の影響を受けるが、慣れてしまえば気にならない。

 そしてとうとう最後の壁が崩れ、光が見えた。
 穴を広げ、外へ踏み出せば体がとても軽い。
 猟兵達はトンネルを掘りぬき、岩石回廊を無事に抜けたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年05月14日


挿絵イラスト