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帝竜戦役⑭〜帝竜信仰、古竜骨を纏う

#アックス&ウィザーズ #戦争 #帝竜戦役 #群竜大陸

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●古竜骨
 郡竜大陸、古竜平原。
 かつて一体の帝竜によって滅ぼされし、叡智ある種族「古竜」の巨大な骨が今も残る、紙に包まれた平原。
「これ、我らの信仰を示すに値する戦いである! 我ら帝竜信仰の徒は奮起せよ! 帝竜ヴァルギリオス様の御許に勝利の礎を築くのだ! 」
 平原に広がる巨大な骨の残骸の上にて一際大きく声を張り上げるトカゲの僧侶。
 眼下には同じく帝竜信仰の教徒たちであるトカゲの僧侶たちが、次々と手にした骨で出来た杖を抱えげた。

「いかに猟兵が手強き相手であろうとも、我らには古竜骨がある! 猟兵らのユーベルコードを激減させ、霧散させ、奴らの進撃を押し留めようぞ! 」
 彼らの手にした古竜骨と呼ばれる骨で出来た杖は、如何なる原理であるかはわからぬが、触れたユーベルコードを激減させる。
 それは群体オブリビオンである彼が手にするには、あまりにも強力すぎる力であった。
 もしも、これに対策を打ち出すこともできずに猟兵たちが、これに挑めば痛手を追うことは必至であった。

 だが、それは猟兵が、ただの戦士であったのならの話である。
 グリモア猟兵による予知が、どれだけ強力な装備を持っていようとも得た情報によって、対策を講じさせる。
 それを知らぬ帝竜信仰の僧侶、パストールたちは一気呵成に古竜平原を進撃するのだった―――。

●帝竜戦役
 グリモアベースへと集まってきた猟兵たちに頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)であった。
 彼女は一礼から顔を上げると微笑む。
 現在の帝竜戦役の戦況の推移は予断を許さないとはいえ、どの猟兵も欠けることがなかったからだ。
「お集まり頂きありがとうございます。今回は、古竜平原……古において、帝竜の一体によって絶滅させられた古竜の巨大な骨の残る平原での戦いになります」
 帝竜ベルセルクドラゴン……かの帝竜が一体で叡智ある種族である古竜を滅ぼしたとされる平原での戦闘になる。
 ただ、それだけであれば、群体オブリビオンの数を頼みに押し寄せる軍勢など猟兵たちにとっては侮るわけではないが、苦戦する相手ではないだろう。

「はい、彼の手にした骨で出来た杖……古竜骨と呼ばれる、この平原の名の元になった古竜の骨による不思議な力により、杖の触れたユーベルコードの威力を激減させる装備を手にしています」
 群体オブリビオン全てが古竜骨で出来た杖を装備しているのだという。
 確かに、そんな装備が存在しているのだとすれば、備えなしには猟兵達も苦戦を強いられるだろう。逆に通常のオブリビオンであるとして事に当たれば、苦戦では済まない痛手を負うことにもなったかもしれない。

「ですが、予知によって不意を突かれることはありません。古竜骨はユーベルコードに触れなければ効果を発揮しません。これに対策を打ち出し、戦うことで彼らのアドバンテージは失わせることができます」
 ナイアルテは頷く。触れなければ効果を発揮できないのであれば、触れない、触れさせない。それで群体オブリビオンの利点を潰せる。これさえ守っていれば良いのだ。

「例えば、骨の杖を躱す。放たれるユーベルコードを杖で防がせない、など様々な対策があると思います。皆さんであれば、私に思いつかないような対策も考え出すことができるでしょう」
 群体オブリビオンの名はパストールと呼ばれるトカゲの僧侶のオブリビオンである。
 彼らは無機物を昆虫やトカゲに変えたり、リボンで拘束してきたり、巻き付く炎のカーテンで攻撃してきたりと搦手を多く使ってくるだろう。
 それが集団となれば、これに対する立ち回りも重要となってくることは間違いない。

「この地を滅ぼした帝竜ベルセルクドラゴン……かの帝竜が絶滅させたという叡智の種族、その遺骸を悪用させるわけにはいきません。みなさんの手で、彼らを打倒してください……! 」
 ナイアルテは再び頭を下げて、猟兵たちを送り出す。
 少しだけ胸をなでおろす。戦いに赴けぬ自身であるが、決定的な情報を得ることによって彼らの助けとなれたことに。

 信じた猟兵たちがまた、変わらずに戻ってきてくれることを信じる。
 それしかナイアルテにはできないが、それでも信じることは辞めずに送り出すのだった。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『帝竜戦役』の戦争シナリオとなります。

 古竜平原へ進撃し、集団戦にてパストールを打倒しましょう。

 ※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。

 プレイングボーナス……敵がまとっている「古竜の骨」に触れないよう、間隙を縫う攻撃などの対策を行う。

 ※この戦場で手に入れられる財宝について。
 宝物「古竜の骨」……かつて一体の帝竜によって絶滅させられた、叡智ある種族「古竜」の骨です。ユーベルコードを弱める効果を持ち、小さな骨片で金貨84枚(84万円)の価値があります。

 アイテムとして発行するものではありません。ロールプレイのエッセンスとして扱ってください。

 それでは、帝竜戦役を戦い抜く皆さんのキャラクターの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『パストール』

POW   :    ディス・イリュージョン
自身からレベルm半径内の無機物を【昆虫や爬虫類の幻影】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
SPD   :    ドラゴニック・リボン
【召喚した伸縮自在のリボン】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    ジャッジメント・パヴィリオン
【杖】を向けた対象に、【巻き付く炎のカーテン】でダメージを与える。命中率が高い。

イラスト:小日向 マキナ

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

伊美砂・アクアノート
【SPD 蒼溟香・氷晶夜光】
―――さてさて、信仰を否定するワケではありませんが、その古竜骨で我々を止められるとお思いで? いや、失敬。貴方がたが信じておられる帝竜の強さ!その強靭さ!…我々も知っておりますとも。ええ、ええ!此処に至るまで、何匹もの竜を倒させていただきましたからねェ!
【演技、罠使い、時間稼ぎ】…慇懃無礼に、蜥蜴僧侶を煽るよ。信じる力が、頼りにする武器があるヤツは確かに強いさ。 だから、その杖を使いたくなるだろう? 接近されれば、ショットガンを撃ち、ロープや糸で牽制し、カードやナイフを投擲して攻撃。……さて、どれを「その杖」で防げばいいか判ったかい? 【暗殺、毒使い、だまし討ち】



 帝竜信仰、それはかの帝竜ヴァルギリオスを信奉するトカゲの僧侶たちの広めんとする教えである。
 それが正しいか正しくないかは定かではない。パストールと呼ばれる群体オブリビオンは時に、病に苦しむ村々を秘薬や秘術で救うだろう。その裏に帝竜信仰への洗脳という罠が潜んでいたとしても、人々はそれに縋るほか無い。
 だからこそ、それは許されざる行いであると言えよう。
 他者の苦境に、自身の利を得ようと付け込むのだから。それこそが彼らを群体オブリビオンとせしめている要因である。

 この地において、古の叡智の種族であった古竜たちは滅ぼされた。
 滅ぼされた後に、己たちの遺骸がまさかこのような形で利用されるとは思いもしなかったことだろう。
 その古竜骨と呼ばれる骨片はユーベルコードを激減させる。その効力を知って、帝竜が古竜を滅ぼしたかどうかまではわからない。
 しかし、その骨片は今、猟兵たちのユーベルコードを減じ、彼らを討ち果たそうと振るわれるのだ。

「―――さてさて、信仰を否定するワケではありませんが……」
 伊美砂・アクアノート(さいはての水香・f00329)が一気呵成に古竜平原を駆けるパストールたちの群体の前に躍り出る。
 互いに己達が滅ぼし合う関係にあることは、ひと目見ただけでわかる。オブリビオンは猟兵であると。猟兵はオブリビオンであると。
 猟兵であっても信仰を重んじる気持ちはある。人である以上、信仰を奉じることに悪いと思う気持ちはない。
 だからこそ、伊美砂は言葉をつなぐ。
「その古竜骨で我々を止められるとお思いで?」
 それは、彼らの唯一のアドバンテージ。
 ユーベルコードに触れると、それらを激減させる古竜骨のからくりを理解されているという驚愕。
 何故、というようにパストールたちの瞳が驚愕に変わる。この古竜骨の知識があるのか?いや、アックス&ウィザーズにおいて、その様な知識が広まっていることはない。
 何故なら、パストールたち自身が、信仰を広める傍ら、それらの知識の断片を闇へと葬りさってきたからだ。
「な、何故―――何故それを知っている! これは帝竜ヴァルギリオス様から授かった知恵! それが何故、猟兵に―――」

「いや、失敬。貴方がたが信じておあれる帝竜の強さ! 強靭さ! ……我々も知っておりますとも」
 氷のさらされているかの如き冷たさを放つ微笑みを伊美砂は浮かべる。
 何もかも知っているのだと。お見通しであると。駆ける。パストールたちの動揺を突く。
「ええ、ええ!此処に至るまで、何匹もの竜を倒させていただきましたからねぇ!」
 駆け抜けざまにパストールったちに放つのは、ショットガンリボルバーであるバウロンから放たれた散弾であった。
 それを見て、パストールたちは瞬時に判断したのだろう。
 猟兵は攻撃にユーベルコードを使う。

 ―――しかし、それは固定観念であった。
 杖に散弾が触れた瞬間、その威力は激減する。そのはずだった。古竜の骨片出来た杖は散弾の前に一瞬砕け散る。
「何―――!?」
 それはさらなる動揺を生み出す。何故?ユーベルコードを減ずるはずの効果が発動していない?
 さらに伊美砂が放つのは、ロープダートによる投擲と、杖を絡め取る動きに翻弄される。そのどれもが古竜骨の効果を発動させない。
 ゾーリンゲン・タロットのカードが剃刀の如き鋭利さでもって、杖を持つ手を。タクティカルマチェットは、その杖自体を寸断する。

「信じる力が、頼りにする武器があるヤツは確かに強いさ。だから、その杖を使いたくなるだろう? ……どれを杖で防げばいいかわからなかっただろう?」
 伊美砂は笑う。
 信仰を否定しない。だが、その信仰が正しいとも肯定もしない。
 彼女の攻撃は全て、ユーベルコードを介しない攻撃だった。パストールたちは、その全てがユーベルコードに依る攻撃を警戒したいた。
 だからこそ、後手に回ったのだ。
「これで、ユーベルコードを激減させる厄介な装備は全て……却説、残念ながら、同じ空間に存在する時点で君は私の術中だよ」
 彼女のユーベルコードが発動する。
 名を、蒼溟香・氷晶夜光(ソウメイコウ・ヒョウショウヤコウ)。それは彼女の身に纏う毒香水、その効力を最大限に引き上げるもの。
 幸いに、彼女以外にこの周辺にはまだ猟兵はいない。巻き込む心配がない。

 彼女の身に纏うは、さいはての水香。
 
「さあ、最果てまでの駄賃だよ。存分に味わって殉教するといい―――」
 だが、その言葉はパストールたちには届かなかった。
 彼女の最終武装。その甘き凶器の前に、次々と彼らは屠られていったのだから―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

戦場外院・晶
お任せ下さいナイアルテ様……私の【手】をご覧に入れましょう

「戦場外院・晶と申します……ふふ、パストール皆様方、よしなに」
言うや否や駆け出しましょう
オーラ防御で身を固めて凌ぎながら近づく……それしか出来ない私です
「奥義……」

【不生】

杖を持つその手には骨を纏えぬが道理、其所に打撃を叩き込んで……
「捕まえました……ふふふ」

【手をつなぐ】

何を隠そうこの私、この技術を一番に磨いております物好きでして
骨を避けて手をつなぐくらいは夕餉前の朝餉前
そして鍛えぬいた怪力もって姿勢を崩し……投げる
脳天から落とせば骨の上からでも堪えましょう
「あらあら……困りましたね?……ふふ」

周囲の攻撃は手中の骨人形で防いで……遊ぶ



 信仰の光というものは、容易には消えない。
 それは口伝で伝わり、形のないものであるがゆえに他者から見れば容易く移ろう物に見えることだろう。
 だが、語るものが在れば、どの様な形であっても世界に残るということだ。形を変え、意味を変え、それでもなお人と人との間に紡がれていく。その連綿たる連なりの先に己がいるのだと自覚さえすれば、その信仰の徒はこころ満たされることだろう。
 帝竜信仰とは即ち、そういうものである。パストール、オブリビオンであるトカゲの僧侶たちは、己が信じ、奉じる信仰を掲げ進む。
 古代の叡智の種族である「古竜」であっても、一体の帝竜の前に屈するのだ。それも尽くを滅ぼされ、今はこの古竜平原に遺骸を晒すのみ。
 さらに言えば、己帯の掲げる杖もまた、その名残である。ユーベルコードを減ずる力。これさえあれば、猟兵の扱うユーベルコードと言えど威力を、効果を減ずるほか無い。

「戦場外院・晶と申します……ふふ、パストール皆様方、よしなに」
 故に、目の前にゆらりと現れたるは、尼僧が一人、戦場外院・晶(強く握れば、彼女は笑う・f09489)。微笑む姿は、正しく信仰の人であったことだろう。
 彼女は微笑む。送り出したグリモア猟兵の言葉を思い出す。猟兵には様々な者がいる。経歴も、過去も、姿も、能力も……そのどれもが千差万別であり、同じものがない。
 だからこそ、猟兵たちは統率ではなく個としての戦力として立ち向かう。
 もうすでに晶は駆け出している。パストールたちが古竜骨でできた杖を構える。必ず、猟兵はユーベルコードを使う。
 それは群体オブリビオンとしての本能であったのかもしれない。

 事実、晶はユーベルコードを発動していた。彼女の赤い瞳が輝く。
 パストールたちが向けた杖からは、彼女に絡みつかんとする炎のカーテンが放たれようとして―――。
「奥義……」
 パストールたちのユーベルコードが発動しようとする刹那、その間合いに踏み込んだ晶の手刀が古竜骨の杖を持つ手を打つ。
 強かに打ち付けられた古竜骨の杖を取り落したパストールは一瞬何が起こったのかわからなかった。
 何かされた、という事実すら自覚できぬままに。
「不生」
 奥義・不生(オウギ・イカサズ)。それは彼女のユーベルコードである。ユーベルコードを減ずる杖があるというのなら、その杖を持つ手までは覆えず。故に、ユーベルコードの発生する瞬間を乱す打撃であるユーベルコードの前には、尽くが無意味であろう。

「捕まえました……ふふふ」
 その微笑みは菩薩のごとく。されど、パストールの一体と晶は手をつないでいた。それは友好の証でもあり、友愛の心を示すものであったかもしれない。
 だが、何故手を繋がれたのか。
 いつのまに?己が手にしていた杖はどこに、と思った瞬間、視界に治めた晶の体が逆転する。否。己が逆さまに―――。

 鈍い音がする。
 それは晶が手をつないだパストールを脳天から大地へと叩き落とした音。一瞬の攻防。それはもはやユーベルコードと言っても差し支えないほどの絶技。
 足を払うでもなく、ただ己の怪力でもってパストールの姿勢を崩し、頭から投げ落としただけに過ぎない。
 それをこともなげに為し得るだけの技量が彼女にはあった。
 手を繋ぐ。
 それを技術と呼ぶ晶にとって、この研鑽は今や彼女の最大の武器と言っても過言ではなかった。

「我らが信仰の火を絶やすな―――!」
 パストールたちが一斉に炎のカーテンを解き放つ。だが、もう遅い。
「あらあら……困りましたね? ……ふふ」
 周囲から放たれた躱すことすらできぬであろう炎のカーテンの殺到。しかし、それもまたユーベルコードである。ならば、彼女の手にした古竜骨の杖……それは彼女が手刀にて叩き落としたものである。
 オーラによって身を守られた上、彼女の手には古竜骨の杖。激減された力はオーラの前には尽く霧散するが理。

「それでは、参ります。少々手遊び……願いましょう?」
 パストールたちは、その微笑みの前に後ずさる。しかし、もう遅い。遅すぎた。たおやかなる指が、パストールたちの手を次々とつなぐ。
 それは自然なる仕草。
 だが、次の瞬間には鈍い音が次々と響き渡る。その周辺にいたパストールたちが物言わぬ骸と成り果て、骸の海へと還るのに、そう時間はかからなかった。
 晶はその中心に立ち、己が信ずる信仰に祈りを捧げるのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
ユーベルコードを激減する性質ですか……非常に厄介ですが、帝竜達がこれを利用しないのは自らの力への絶対的な信頼からか、あるいは私たちが侵攻を仕掛けたために準備が整っていないのか。
いずれにせよ、この場は制圧するに越したことはありませんね。

幻影と分かっていても鬱陶しい……!
狙撃手としての『視力』と『第六感』で敵の位置を把握しフィンブルヴェトの射撃とナイフの投擲で牽制、幻影に紛れて接近され杖で触れられるのを防ぎつつ、敵の位置を把握します。

敵集団の位置を把握したなら【褪せぬ氷晶】を。視認できないほど透き通った氷の槍を作り出し、敵集団へ放ちます。
そもそも見えなければ、防ぐこともできないでしょう。



 ユーベルコードを減ずる力。それは如何なる理屈でもって、そのようなことが可能になるのかは判明していない。
 しかし、古において、この郡竜大陸の一角である古竜平原に住まう叡智の種族「古竜」たちの遺骸である古竜骨は、その骨片であったとしてもユーベルコードの効果を激減させるのだ。
 それは恐るべき力であり、如何な猟兵であったとしても、古竜骨の前にはユーベルコードは減じ、それを持つパストールたちに苦戦を強いられることになっただろう。
 だが、猟兵たちは唯の戦士ではない。
 世界に選ばれし戦士であると同時に、予知より得た情報を元に対策を講じることのできる戦術を取ることもできる戦士でもある。それ故にこれまでも猟兵たちはありとあらゆるオブリビオンたちを打倒せしめてきたのだ。

「ユーベルコードを激減する性質ですか……非常に厄介ですが、帝竜達がこれを利用しないのは、自らの力への絶対的な信頼からか、あるいは私達が侵攻を仕掛けたために準備が整っていないのか……」
 セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は思考する。思考を止めてはならない。考えることをやめてはならない。思考の停止とは即ち、停滞である。
 それは狩人である彼女にとって、あってはならぬことである。
 齎された情報は有限であるが、情報から導き出される真実は無限である。枝葉のように、あちらこちらに伸びていき、予想もしない事実を導き出す。

「いずれにせよ、この場は制圧するに越したことはありませんね」
 セルマが対峙するのは群体オブリビオン、パストール。帝竜を信奉せし、トカゲの僧侶たちである。
 彼らが一様に手にした古竜骨の杖は、ユーベルコードを激減させる。それを知っているからこそ、彼女は対策を講じる。一つの情報から得られることは多い。
 彼女は戦場となった古竜平原を駆ける。
 彼女に追いすがろうとするパストールたちがはなった昆虫や爬虫類の幻影たちは、あまりにも鬱陶しい。
 数が多いということは、それだけで狙撃手である彼女の視界を覆い、判断を鈍らせる。だが、彼女の類まれなる視力と、第六感とも言うべき感覚の前では、それも徒労に終わる。
 手にしたマスケット銃、フィンブルヴェトから放たれる弾丸は、牽制である。

「追い込め! 我らが信仰の前に猟兵を屈服させるのだ!」
 パストールたちは勢いづいて彼女を追い込む。
 それがセルマによっての策であるとも気が付かず、かといって、彼女が何をしようともユーベルコードである以上、彼らには古竜骨の杖という利があるのだ。
 何も恐れる必要はないと、パストール達が意気揚々と密集したのをセルマは見逃さなかった。

「ユーベルコードを減ずる古竜骨の杖……確かに強力な力です……ですが、こういうのはどうでしょうか?」
 彼女のユーベルコード、褪せぬ氷晶(アセヌヒョウショウ)が発動する。
 それは恐らく、この世で最も美しく透明なる氷の槍。パストールたちの頭上にて形成されたそれは、視認すらできぬ槍。
 何を言っているのだと、パストールたちの訝しむ表情は彼女の手が振り下ろされた瞬間、見えぬほどに透き通った氷の槍によって穿たれた。

 如何に古竜骨の持つ、ユーベルコードを激減させる力が強力であったとしても、それに触れなければ古竜骨の力は発揮されない。
「そもそも見えなければ、防ぐこともできないでしょう」
 セルマは思考する。
 それは止まらぬ思考。彼女の頭は常に動き続け、平行的に物事を捉え続ける。だからこそ、一つの情報……グリモア猟兵から齎された古竜骨の性質から、即座に、この戦いの流れを組み上げたのだ。
 如何なる幻影も、如何なる力も。
 彼女の思考を止めぬ歩みの前には全てが踏破されるだけの障害に過ぎないのだ―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

一駒・丈一
UCを無効化する骨の杖、か。
厄介だが興味深いな。逆にこの状況を活用できないものか…。

ならば…まずは初撃については、
平原の草むらに身を隠した状態でUC【静寂なる雷】を発動させ、
装備の杭で敵一体の頭を射抜く。不意打でのヘッドショットであれば、骨の影響は受けまい。

その後は、倒した一体の亡骸に【早業】にて一気に間合いを詰めたのち、
亡骸の元に転がる「古竜の骨の杖」を回収する。
そして、回収した杖で、残りの敵から飛んでくるUCの効果を減衰させる。
こうして一回UCを受けて減衰させ、直後に敵に隙が生じた瞬間に刀による一閃を食らわせよう。

戦闘後は、敵から奪った「古竜の骨」をそのまま持ち帰らせてもらおう。



 古竜平原は、その名の通りかつて古の叡智の種族たる「古竜」住まう大地であった。
 だが、帝竜ベルセルクドラゴン、たった一体によって鏖殺され、絶滅させられてしまう。その遺骸たる巨大な骨が連なる平原にて、群体オブリビオンであるパストールが猟兵を迎え撃とうとしていた。
 その手に在るは、古竜の遺骸より簒奪せし、古竜骨で出来た杖。
 古竜骨は、その特性故にユーベルコードの威力、効果を激減させる。故に、猟兵との戦いにおいて、これほどのアドバンテージを得る装備もない。
 必ず猟兵たちはユーベルコードを駆使して戦う。それはオブリビオンである彼らにとっては、絶対である。猟兵とはただならぬ戦士であるが故に、ユーベルコードを封じられれば、群体であるパストールたちであっても痛手を追わせることができよう。

 だが、一つ掛け間違えていたとすれば、グリモア猟兵による予知の情報であろう。
 この古竜平原に姿を表した猟兵達はすでに、その古竜骨の杖に依る力を理解していたのだ。
「ユーベルコードを無効化する骨の杖、か。厄介だが、興味深いな」
 逆にこの状況を活用できないものか。そう考えるのは、一駒・丈一(金眼の・f01005)である。
 このアックス&ウィザーズにおいて彼の容貌は奇異なる存在に映ったことだろう。猟兵とはそういうものである。世界の垣根を超えて戦いに挑む者たち。
 そんな彼らにとって、たった一つ齎された情報が、どれだけ厄介な能力を持つ敵の装備であろうと、即座に対策をそれぞれが講じるのだ。

「ならば……」
 平原の草むらに身を隠す。
 パストールたちは、既に猟兵がこの地へと折りたったことを察知し、警戒しているようだが、初手を譲る気なのだろう。
 なぜなら、彼らの手には古竜骨の杖がある。これがある以上、どれだけ先手を取られようとユーベルコードを減じ、カウンターを叩き込むことができるからだ。

 しかしながら、それは悪手である。
 不意に放たれたるは、一撃に置いてパストールの頭蓋を打ち貫く贖罪の道標と呼ばれる数々の偉人や罪人の贖罪に用いられたとされる磔の杭。
 静寂なる雷(セイジャクナルイカズチ)……彼のユーベルコードにて、一瞬で放たれれば、それは手にした杖を構える間もなく、パストールの一体を絶命せしめるのだ。
「悪いな。正面切って挑む程でも無かったのでね」
 丈一が駆ける。サムライエンパイア世界独自の染め物である小袖。それをUDCアースの衣装に設えたワイシャツにエルフの技術で作られたロングコートをはためかせて、平原を疾駆する。

 不意を打つ攻撃に動揺するパストールたちを尻目に、杭によって穿たれ、斃れたパストールの亡骸から古竜骨の杖を奪い取る。
 体制を立て直したパストールたちから放たれる丈一を締め上げようとする伸縮自在たるリボン。
 しかし、それもまたユーベルコードであるのなら!
「こういうことも容易いということだな」
 掲げた杖に触れたリボンが即座にもろく、崩れ去っていく。または効力を失い、地面へと失墜するのだ。
 なるほど、と丈一は頷く。これほどの力があるとわかれば、これを頼りに思考を放棄するのもうなずける。
 だからこそ、そこが付け入る隙である。減じたユーベルコードをかいくぐり、手にした介錯刀を振るう。
 数々の偉人たちの血を吸ったであろう、すでに魔剣とも言うべき刀が閃く度にパストールたちが次々と絶命し、骸の海へと還っていく。

「もっとよく考えるべきであったな……力を手にしたのなら、それを使うのではなく、活かしてみるのが知性というものだろう」
 それは講釈でもなんでもない、事実であった。
 丈一がパストールの一群を切り捨てるのに、そう時間はかからなかった。全てのパストールたちを骸の海へと還すと、手にした古竜骨の杖をみつめる。
 幾度化のユーベルコードを減ずるにあたって、崩れかけていたが、小さな骨片となってもまだ、ユーベルコードを減ずる力は健在であった。

 興味深い……その言葉だけが、古竜平原に響くのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルテネス・エストレア
星紡の魔法を織り成すけれど、今回は撃ち方に工夫が必要ね
魔弾を針の形状にして連射しましょう
杖の隙間から確実に攻撃出来るよう【全力魔法】でひとつひとつの魔弾の軌道をコントロールするわ
これは誰の目にも触れない小さな小さな星
あなたの物語を穿つ星を此処に

相手の攻撃に対しては【全力魔法】で自分の周囲に風の結界を展開して対応するわ
これは鎌風、何ものをも切り裂く鎌鼬
『わたし』を繋ぐことの出来るリボンはこの世に唯ひとつだけなの
それ以外は、要らないわ

それにしても厄介な物質ね
……少し持ち帰って、詳しく調べてみようかしら



 かつて在りし「古竜」。
 古代の叡智の種族と呼ばれた彼らが一体の帝竜によって滅ぼされたという事実は驚嘆に値するものであったかもしれない。
 何故なら、滅ぼされた古竜たちの遺骸は、未だこの古竜平原の大地に巨大な骨として残っている上に、その骨片一つであってもユーベルコードの威力や効力を激減させる力を持っているからだ。
 そのユーベルコードを減ずる力が、オブリビオンに利用されるというのは、皮肉でしかなかった。
 群体オブリビオンであるパストール……帝竜を信奉し、その教えを広めようとするトカゲの僧侶たちである。彼らの手には古竜骨で出来た杖。
 如何なるユーベルコードも、その杖に触れれば、たちまちに激減し、猟兵たちを苦しめたことだろう。

 だが、それは知らなければの話である。
 すでに猟兵たちは、その情報を得て、各々に対策を講じているのだ。脅威であるのは、グリモア猟兵の予知ではなく、それにより齎された情報で数々の対策を打ち出す猟兵たちの思考そのものである。
「今回は撃ち方に工夫が必要ね……」
 ルテネス・エストレア(Estrellita・f16335)もまた、古竜平原へと降り立った猟兵の一人である。
 彼女はパストールの群体とすでに接触していた。囲まれているというのが正しかった。彼女が古竜平原に降り立った時、すでに他の猟兵たちの存在を知ったパストールたちによって警戒されてしまっていたのだ。
 だが、彼女は何も臆するものはないとユーベルコード、星紡(ステリーナ)を発動する。

「これは誰の目にも触れない小さな小さな星……」
 彼女の周囲に生み出される星色の魔弾の数々。それは圧倒的な数ではあった。しかし、パストールたちは杖を構えて不敵に笑む。
 彼らにとってユーベルコードに依る攻撃は、古竜骨によって大きく減ずることができるのだ。ルテネスが即座にユーベルコードを発動したということは、この後大きく反撃できる機会を彼女自身が作り出したに過ぎない。
 慌てることはなにもないと、杖を前面に押し出し、彼女の包囲を狭める。

 しかし、それは計算違いである。
 ルテネスのユーベルコードによって生まれた魔弾は次々とその姿を針のように細く、小さな姿へと圧縮される。
 それは確かに存在する魔弾ではあったが、あまりにも小さく凝縮された針の星々は、パストールたちの瞳には消えたように映っただろう。
「あなたの物語を穿つ星を此処に……」
 ルテネスの魔法が、全ての魔弾のコントロールを掌握する。
 一瞬で放たれたる見えぬ流星群は、次々とパストールの構える杖をすり抜け、彼らの肉体を突き穿つ。
 驚愕に見開かれたパストールの瞳には、流れ星の如き魔弾は映らなかったことだろう。

「これは鎌風、何ものをも切り裂く鎌鼬……」
 残ったパストールたちが伸縮自在たるリボンを放ち、ルテネスを締め上げようとするも、それは遅きに失する行いであった。
 彼女の周囲に渦巻く風の結界は、伸びてきたリボン全てを切り裂く。
「『わたし』をつなぐことの出来るリボンはこの世に唯ひとつだけなの。それ以外は、要らないわ」
 それは拒絶の言葉。
 彼女の体に触れることの出来たリボンは一つの例外もなく風の結界によって阻まれ霧散していく。
 彼女の珊瑚の瞳が残ったパストールたちを捉える。
 たおやかな指が掲げられ、その尽くを見えぬ流星の魔弾が打ち貫き、霧散させていく。
 骸の海へと、群体すべてのパストールを還した後、古竜骨の骨片を拾い上げ、ルテネスは呟く。

「それにしても厄介な物質ね……少し持ち帰って、詳しく調べてみようかしら」
 古代の叡智の種族『古竜』。それが如何なる存在であったのか知る術はわからない。だが、それでもルテネスは滅ぼされし種族に思いを馳せる。
 この力の一端を解明できれば、他の猟兵達の戦いにも大きく進展があるかもしれない。

 群竜大陸の一角、古竜平原に吹く清廉なる風がルテネスの長い髪をさらうようになびかせるのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

一郷・亞衿
近づきさえすれば攻撃は通り易そうだけど……さて。
まずは接近する隙を作りたいな。その過程で一体以上頭数減らせれば尚良し。

『ザ・シング』で敵の偽物を召喚して、敵集団に紛れ込ませよう。
敵があたしや他の猟兵を狙ったら、その隙をついて背後から偽物の<だまし討ち>!敵が装備してる古竜の骨製の物は杖だけだし、致命打を狙えるんじゃないかな?
仲間だと思ってた奴が突然異形の怪物に姿を変じさせたら、周囲の奴らも動揺するはず──隣にいるのは本当に己の味方なのか、ってね。

敵達に隙が出来次第、接近戦を仕掛けるよ。
金属バットを用いた純粋打撃なら威力減衰させられることも無いと思うし、杖を叩いて手から取り落とさせるのを狙おう。



 過去の化身たるオブリビオンにとって、唯一の天敵が猟兵という存在である。それ故に、オブリビオンは猟兵を見た瞬間に、その知識なくとも本能的に察するのだ。
 あれが己の敵であると。
 群体オブリビオンであるパストールは、帝竜信仰を奉じるトカゲの僧侶である。
 その行いの全てが帝竜ヴァルギリオスのためであり、病に冒された村々を秘術や秘薬にて救うことはあっても、それは帝竜信仰への洗脳の一環なのである。
 彼らが手にした杖は、古竜骨……かつて、この郡竜大陸にあって、古代の叡智ある種族として存在した「古竜」の遺骸の一部である。
 驚くべきことに古竜骨は、触れたユーベルコードの効力や威力を著しく減ずることができるのだ。
 これによりパストールたちは、猟兵たちに先んじるアドバンテージを得たに等しい。だが、それは猟兵がただの戦士であったのなら、という話である。

「近づきさえすれば攻撃は通り易そうだけど……さて」
 一郷・亞衿(奇譚綴り・f00351)は首をかしげる。考える。それは、グリモア猟兵によってもたらされた情報の一片から彼女が導き出す古竜骨への対策である。
 うん、と彼女は頷く。
 すでに仕込みは済んだ。ならば、彼女は彼女のできることをこなすだけである。

 彼女は一切の躊躇もなく群体オブリビオンであるパストールたちの前に姿を現す。
「亞衿でーす……って名乗っても、わかんないかな?」
 かつて動画配信者をしていた経験もあってか、亞衿の人の目を集める技術は確かなものであったのだろう。パストールたちの一群が現れた猟兵に対して、身構えた。
 あきらかに猟兵である。敵。敵である。
 彼女がこの地に降り立つまでに、他の猟兵達も同じくパストールたちと交戦したのだろう。ユーベルコードを減ずる杖があるが故に、これまで後の先を狙いすぎて、打倒されてきたのだ。

 だからこそ、彼らは最早、猟兵に何かをさせるよりも早く、彼らを倒すことをキメていた。手にした杖から放たれるは、炎のカーテン。
 それは亞衿を絡め取り、彼女の身を焼き尽くさんと迫ろうとして、背後からの一撃によって中断された。
「な―――っ!?何をする、我らは同胞であ―――!?」
 ごっ!と派手な音がして、パストールたちの背後から襲いかかったのは、群体であるオブリビオンのパストールそのもの。
 彼らは失念していたのだ。何故、己たちが先手を取れると思っていたのか。それは猟兵が後手に回ったのではない。すでに先手を打っていたからだ。

「そうそう、そういうこと。ほら―――隣に立っている“それ”は、本当にお前の仲間か?」
 亞衿のユーベルコード、ザ・シングは、その効果を正しく発動した後であった。
 ユーベルコードによって生み出されたパストールの偽物を、すでに群体に忍び込ませていたのだ。
 それは彼女の言葉と相まってパストールたちの間に疑心暗鬼という精神的動揺を引き起こす。
 パストールたちは、どれもが、己の隣にいる味方であるはずであったオブリビオンが、偽物であるのではないかという楔を打ち込まれた状態に陥ってしまう。
 本当に、隣に在るものは自身の味方なのか。

「はい、隙あり」
 灰色の狐しっぽのストラップのついた金属バットで以て、亞衿は前方からパストールの頭蓋を割る。
 精神的動揺を引き起こされたパストールにとって、その一撃は完全なる不意打ちと同じである。崩れ落ちるパストール。背後からは己と同じ姿をした偽物が襲い来る。
 前方も、後方も、そのどちらにも対応できないパストールたちの運命は、もはや決まっていた。

 そして、この偽物が紛れ込んでいる、という事実は精神的動揺がなければ、己たちが手にした古竜骨の杖を互いに触れさせることによって解決できる問題であった。
 だが、それは恐慌にも近い動揺を与えられた彼らには思いつくこともなく、亞衿が振るうバットによって杖を叩き落され、為すすべもなく打倒されていくのだった。
「……案外脆かった的な?やっぱりオブリビオンでも精神的な脆さも、信仰じゃ救えなかったようだねー」
 ふぅ、と一息をつく亞衿の傍には一体のパストール。それは彼女が事前にユーベルコードによって生み出し、パストールの一群に紛れ込ませていた個体だ。
 それを解除する。役目を終え、霧散するパストールの偽物。

「ほんと、どれが本当か見分けがつかないもんだよねー?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

緋月・透乃
帝竜に滅ぼされた古竜がいたっぽい平原ねぇ。そいつらも強かったのかな?オブリビオンとして復活しているのなら戦ってみたいものだね。

敵の持っている骨の杖にユーベルコードが触ると威力が激減するってことは、もしかしたら敵はユーベルコードを防ぐことに必要以上に拘っていたりしないかな?そこをついてみよう。
作戦は単純に杖で防がせるために火迅滅墜焼で炎を纏った万能手斧を敵へ投げつつ接近する。手斧を防ごうとすると他の箇所への守りはガラ空きになると思われるから、そこへ怪力だけで振った重戦斧【緋月】での攻撃を食らわせる!これでいくよ!
力ずくの攻撃のためにユーベルコードを利用する、と。



 強者を求める心は、常に世界のどこかに存在している。
 それは猟兵であっても、オブリビオンであっても変わらぬものであるのかもしれない。強者との戦いに喜びを見出し、それと戦うことに意義を持つ。
 そんな強靭なる魂は、この帝竜戦役の戦いの場となった郡竜大陸にて、さらなる強者を求めたのかも知れない。
 古竜平原。そこはかつて、叡智の種族と呼ばれし「古竜」が存在していた平原である。だが、すでに帝竜の一体であるベルセルクドラゴンによって彼らは滅ぼされており、平原に残る巨大な骨は、彼らの遺骸である。
「帝竜に滅ぼされた古竜がいたっぽい平原ねぇ。そいつらも強かったのかな?オブリビオンとして復活しているのなら戦ってみたいものだね」
 緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)が、まるで準備体操のように伸びをしながら呟く。

 彼女にとっても強者とは求めるものであり、戦うのならば強者との戦いのほうがいと思っているのだ。
 だからこそ、今対峙する群体オブリビオンであるパストールたちは、強者であるか否か、それだけが彼女の関心事であった。
 すでに彼女はパストールの持つ古竜骨で出来た杖がユーベルコードを激減させる能力をい持っていることを知っている。
「我らの信仰の妨げとなる猟兵―――! 我らの力を思い知るが良い!」
 彼らの放った無機物を昆虫や爬虫類の幻影へと変えるユーベルコードを躱しながら、透乃は考える。
 パストールは群体である。
 数で猟兵を圧倒しようとするのは当然であるし、ユーベルコードを減ずる力を持つ杖を必ず使う。
 こちらを圧倒できる力を持った者がすることは、それに固執するということだ。持てば必ず使いたくなる。強力な力とはそういうものだ。

 だからこそ、彼女の撃ち出した作戦は単純であった。
「燃え上がれ私の魂!あいつの全てを焼き尽くせー!桃火の一撃、火迅滅墜焼!!」
 彼女のユーベルコード、火迅滅墜焼(ヒジンメッツイショウ)が発動する。それは彼女の武器である万能手斧へと桃色の炎をまとわせ、その細腕からは考えられぬ膂力によって投げつけるのだ。
 投げつけられた炎を纏いし手斧は、パストールの掲げた古竜骨の杖に当たり、炎が霧散する。
 ユーベルコードの効果が霧散するように激減されたのだ。ニヤリと笑うパストールたち。対する透乃にはすでにユーベルコードの効果を喪っている。
 あとは己たちが蹂躙するだけである……そうほくそ笑んだ瞬間、彼女はユーベルコードの発動とともにパストールの一群へと駆け込んでいた。
 手にした重戦斧、緋月を横薙ぎに震えば、一瞬でパストールの胴が寸断される。

「勝ったって思った瞬間がさ!一番の隙だよね!」
 がら空きの胴に戦斧を振るうのは、簡単なことだった。杖によって彼女のユーベルコードを防ぐことばかりにかまけていた報いである。
 彼女にとってユーベルコードはただの手段である。ただ、力づくの一撃のために、猟兵最大の武器であるユーベルコードを布石にしたのだ。
 それはオブリビオンには思いもよらぬ戦法であった。故に、完全に虚を突かれたパストールたちは、透乃の振るう戦斧の前に薙ぎ払われ、霧散していくしかない。

「ば、ばかな―――! ユーベルコードは封じたはずなのに、まだこんな力が―――!?」
 パストールたちは驚愕し、散り散りに逃げようとする。
 だが、それを許す透乃ではない。逃げるのでは戦いにならない。どうせ骸の海へと還るしかないというのなら、真っ向から戦って―――。

「どうせなら、楽しく戦おうよ!ねぇ!」
 彼女の振るう重戦斧は、その尽くでパストールたちを一撃のもとに屠りさり、一群が霧散する頃、漸く彼女にとっての腹八分目が満たされたのであった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクトリア・アイニッヒ
叡智ある古の古竜達。そんな彼らの亡骸を、この様に…。
死者の霊を弄ぶような所業を許す訳には行きません。
主よ。この悪しき行いに、報いの光を…!

今回の戦い、最大の警戒点は古竜の骨で出来た敵の杖。
その効果は厄介ですが…防げる範囲は、そう広い範囲では無いはず。
ならば、私がするべきは…。

UC【神威の光剣】を使用。
主への祈りの言葉と共に、無尽蔵に具現化された光剣で攻撃を試みます。
物量攻撃で敵の対処能力を飽和させ、隙が生じれば本命の一撃を。
飛来する無数の光剣。それを杖だけで捌けるとは思えませんからね。

当然妨害はあるでしょう。
炎のカーテンは、聖気(オーラ防御)で防ぎます。
…その信仰という悪意、灼き祓います!



 故国を持つ者にとって、死せる者の遺骸を弄ぶ行為は、最も怒りを買う行為である。それは己が喪ったものを想起させるからかもしれないし、己の心に抱く人道に悖る行為であるからでもあったのかもしれない。
 郡竜大陸の一角、古竜平原。その地にはかつて在りし、叡智の種族「古竜」の遺骸である巨大なる骨が散在していた。
 それはたった一体の帝竜により絶滅させられた古竜たちの悲哀を彼女、ヴィクトリア・アイニッヒ(陽光の信徒・f00408)が感じるには十分過ぎる光景であった。
 彼女もまた故国をオブリビオンによって滅ぼされし者。弱者を守りたいと願う彼女にとって、この凄惨たる惨劇の痕は耐え難い苦痛となって襲ったのかも知れない。
「叡智ある古の古竜達。そんな彼らの亡骸を、この様に……」
 斧槍を持つ手が震える。それは怒りに震えていたのかも知れない。

「我らが奉ずる帝竜の思し召しなれば! 古竜が滅ぶのは必定! 我らが帝竜ヴァルギリオス様のお力である!」
 群体オブリビオンであるパストールが掲げる古竜骨の杖。
 それはユーベルコードの効力、威力を激減させる恐るべき力を持つ杖である。彼らはそれを己たちの賜った力だというのだ。
「死者の霊を弄ぶような所業を許すわけにはいきません。主よ。この悪しき行いに、報いの光を……!」
 ヴィクトリアの首から掛けられた太陽の紋章が光を受けてきらめく。
 それは彼女の信仰と、パストールたちの信仰の戦いの開始を告げる光であった。

「主の威光よ、悪意を祓い給え! ──『神威の光剣』よ!」
 彼女のユーベルコード、神威の光剣(ラ・スパーダ・ディ・マエスタ)が発動する。
 虚空より現れしは、太陽神の威光を具現化したかのような無数の光剣。それはヴィクトリアの頭上の空を埋め尽くさんばかりの光剣。
 太陽の光が遍く全てを照らすように、その光剣の大群は、パストール達の瞳をくらませるほどであった。
 だが、彼らにとって、あれもまたユーベルコード。そうである以上恐れるわけはなかったのだが……

「如何にユーベルコードを激減させる古竜の骨であろうと!その杖に触れなければ、防げるものではないはず。ならば、私がするべきは……!」
 彼女の祈りは、彼女の奉ずる太陽神へんと捧げられる。無尽蔵とも言うべき光剣たちが雨のようにパストールたちに降り注ぐ。
 彼女の狙いは、物量攻撃である。
 如何に古竜骨の杖がユーベルコードを激減させる脅威なる力を持っていようとも、それを扱えるパストールたちが持つ杖は、一度に全てを防げるものではない。

 だからこそ、彼女は数で押す。一撃が無理であるのなら、二撃。二撃が無理であるのなら、さらに数十、数百の剣撃で持ってこれを打倒するのだ。
 パストールたちは次々と杖でもって光剣を霧散させる。
「ばかな―――! こんな一度に、大量の光剣を操るなど―――!」
 次々とパストールたちが四肢を光剣で刺し貫かれ、動きを封じられていく。
 その決定的な隙に疾駆し、ヴィクトリアは斧槍を振るう。
 その銘は『太陽の誇り』。
 彼女の持つ太陽への祈りと誇りは、彼女の限界を飛び越えていく。猟兵とはそういう存在である。
 常に己の限界を超えて、誰かのために戦える者にこそ―――。

「正しき信仰とは、宿るものなのです―――!」
 炎のカーテンが彼女を捉えようとする。だが、それは彼女を捉えるには能いしない。光り輝く聖気が彼女を守る。
 彼女の亡き者を想う心は、パストール達を次々となぎ払い、光剣と共に戦場を駆け巡る。

「……その信仰という悪意、灼き祓います!」
 ヴィクトリアの誇り高き一撃の元に、パストールの一群は遍く全てを骸の海へと還されることになるのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ツェリスカ・ディートリッヒ
相手は術士か。殴り合いに持ち込めばこちらに分があろう。
坊主は坊主らしく、神殿に籠もっていれば痛い目に遭わずに済んだろうに。

普段なら遠距離から魔術で攻めるところだが、相殺されるリスクが大きいな。
「エッケザックスの栞」を大剣形態に変え、ダッシュで距離を詰めよう。
敵が呼び出す幻影は大剣を怪力で振り回してなぎ払い、範囲攻撃で一掃する。
順当に考えれば、相手はこちらの剣を杖で受けようとするはずだ。
そこで義足を武器改造で形状変化させ、至近距離から『突如たる結末』を本体に叩き込む。
不意さえ突ければ、流石にこれを杖では受け切れまい。
あとは一匹ずつ、確実に急所を串刺しにして始末していくだけだ。



 アックス&ウィザーズ世界において、郡竜大陸の一角、古竜平原は巨大なる骨が存在する大地であった。
 かつて帝竜ベルセルクドラゴンによって滅ぼされた、古の叡智の種族「古竜」。彼らの遺骸がそこかしこに点在しているのだ。
 何故彼らが帝竜によって滅ぼされなければならなかったのかはわからない。未だ不明であるが、一つ分かっていることがある。
 この古竜たちの遺骸である骨片は、ただそれがユーベルコードに触れるだけで、その効力、威力を著しく激減させる能力を持つ。
 それに目をつけたのはオブリビオンである。群体オブリビオン、パストール。帝竜信仰を奉ずるトカゲの僧侶たちである。
 彼らは古竜骨の杖を一様に手にし、猟兵を古竜平原にて迎え撃つのだ。

 猟兵は世界に選ばれた存在である。
 彼らを猟兵足らしめているのは、ユーベルコードである。彼らが使うユーベルコードは強力無比であるが故に、これを最大の武器とする。
 ならば、これを打ち破ることができれば、彼らの利点は失われ、撃破するは容易い。そう考えるのはパストールたちである。

 その前提が元から大きく崩れているということに気がつけぬまま、彼らは圧倒的な力を持つ猟兵と対峙している。
 ツェリスカ・ディートリッヒ(熔熱界の主・f06873)……美しき猟兵の姿が、パストールの前にあった。
「坊主は坊主らしく、神殿に籠もっていれば痛い目に合わずに済んだろうに」
 彼女はため息をつく。
 相手は術士かと。ならば殴り合いに持ち込めばいい。簡単なことだ。だというのに、目の前のパストールたちは血気盛んにまくしたてるのだ。
 これに溜息がでないで何が出るというのだ。
「ほざけ! 猟兵! 我らが帝竜ヴァルギリオス様より賜り、杖にて汝らを滅すのだ!」
 パストールたちが一斉に無機物を昆虫や爬虫類の幻影へと変え、これによってツェリスカを襲う。
 それでも彼女は臆することなく、戦場を疾駆する。
 手にした世界の書たる魔導書の栞を引き抜く。それは一瞬で身の丈ほどの巨大な黒剣へと変ずる。
 名をエッケザックス。
 一瞬で距離を詰め、呼び出された幻影を大剣を振るい薙ぎ払う。
 その膂力でもって振り払われた幻影たちが霧散するも、次々とツェリスカを襲うように発動する群体であるパストール達のユーベルコード。
「―――坊主には、こういう術が似合いであるが! 幻影程度で余を討とうなど!」

 振るった大剣を杖で受け止めるパストールに迫るツェリスカが美しくも獰猛に笑う。それは、彼女自身が己の美に対する絶対なる自信を持つからこその、凄絶なる笑み。
「だがな―――与えられた力で討てる程、余は甘くはないぞ!」
 彼女のユーベルコード、突如たる結末(フォルシュトレッカー)によって、義足が変ずる。
 パイルバンカーへと変じた彼女の義足から放たれる一撃は、杖でもってユーベルコードを防ごうとも、大剣を防いでいるせいで防御が間に合わない。
「フェーゲフォイア展開。これは前触れなく終止符を穿つもの」
 義足から轟音が鳴り響く。それは終止符を穿つ音。
 パストールの一体が打ち貫かれ、崩れ落ちる。だが、すでにそこにはツェリスカの姿はない。

「さあ、余を討たんとする者はかまえよ! これより汝らを穿つ一撃は、疾く骸の海へと霧散せしめる必定の一撃である!」
 その言葉は唯の宣言であった。
 ツェリスカが戦場となった草原を駆ける。
 メガリスで強化されたフェーゲフォイアが、彼女の体を再び地獄の炎を纏い舞い踊らせる。
 白き髪が風になびき、打ち放たれるパイルバンカーの轟音が鳴り響く。

 轟音が響く度にパストールが一体、一体、と霧散していく。
 まさに終止符。
 ツェリスカの綺羅星の如き眩くも美しき舞が終幕を迎える頃、パストールの一群は全て骸の海へと還されるのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
この夥しい古竜骨、確かに貴方達が信奉する帝竜を力の一端が伺い知れます
しかし、だからと言ってA&Wで『今』を生きる人々の為に退くなど騎士として有るまじき行為
…押し通らせていただきます

幻影で惑わそうと無駄な事
センサーでの●情報収集は真と偽、実体と影を●見切るは容易、目潰しも通用しませんよ
さあ、その杖を構えなさい

此方の得手は『待ち』のスタイル
敵集団から繰り出される杖をUCの予測演算と戦闘技術で躱しながら、相手に気取られぬように行動を誘導
迂闊な攻めを誘い、その瞬間に杖の持ち手を剣で●武器落とし

何が起こったか把握する前に返す刃か●怪力で振るう大盾殴打で止め

私のUCが何だったのか、見切れましたか?



 古竜平原に残る巨大な骨。
 それは此の地にあった古の叡智の種族「古竜」の遺骸である。これを為したのは、たったい一体の帝竜である。
 名を帝竜ベルセルクドラゴン。その圧倒的な力の前に如何に叡智の種族であったとしても、滅びを回避することなどできなかったのだろう。
 故に今も郡竜大陸の一角にて、その巨大なる遺骸だけが残り続けているのである。
 その惨劇の痕は、帝竜たるヴァルギリオスの持つ力の強大さを示す。それによって帝竜を奉じる信仰を持つパストールと呼ばれる、トカゲの僧侶たちは一気呵成に古竜平原へと集まってきていたのだ。

 それと対峙するは、機械じかけの騎士、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)である。
 彼のアイセンサーに映る古竜平原の光景は、確かに彼の言葉に偽りがないことを裏付ける。
「この夥しい古竜骨、確かに貴方達が信奉する帝竜の力の一端が伺いしれます。しかし、だからと言ってアックス&ウィザーズで『今』を生きる人々の為に退くなど騎士として有るまじき行為」
 彼の記憶回路の中に残ったデータが言うのだ。
 己が守るべきものを。己が掲げなければならぬ矜持を。
 それ故に彼は宣言するのだ。力強く、その騎士たる矜持を持って!
「……押し通らせて頂きます」

 その言葉がきっかけとなって、パストールたちから放たれる無機物を昆虫や爬虫類の幻影へと変えるユーベルコード。
 一斉に放たれた幻影は、トリテレイアの巨躯を取り巻き、彼の視界を塞ぎ混乱へと導こうとする。
 だが、幻影の奥でトリテレイアのアイセンサーが輝く。
「幻影で惑わそうと無駄な事」
 彼の体はウォーマシンの機械のものである。これが生身であったのならば、この幻影もまた効果的であったのかも知れない。
 だが、彼のセンサーに捉えられる情報は、真と偽、実体と影を見極めることは容易いものである。
 どれだけこちらのアイセンサーを潰そうとしようとも、無意味である。
「さあ、その杖を構えなさい」

「なにを! 我らの帝竜ヴァルギリオス様から賜り力を愚弄するか!」
 パストールたちの瞳が怒りに燃える。
 杖を構え、トリテレイアへと襲いかかろうと飛びかかる。それはどこか、彼ららしからぬ行動であったのかもしれない。
 すでにそれはトリテレイアの発動したユーベルコードの渦中にあった。
「操り糸はありませんが、鋼の人形劇を披露させて頂きます」
 その言葉は、何を意味するのか。
 己という鋼の人形のことを指すのか。その言葉を理解するには、パストールたちの行動はあまりにも浅はかであった。
 ユーベルコードを減ずる古竜骨の力は、それに触れなければ発動しない。
 だが、トリテレイアのユーベルコードは、その超常の領域にまで到達した予測演算と戦闘技術によって、さらなる昇華を見せる。
 杖の一撃を躱す。
 うかつな攻めを誘ったのは、すでにトリテレイアのユーベルコードの最中に取り込まれたがゆえ。
 返す剣によって、パストールたちの杖を尽く叩き落として見せる。
「ぐが―――!? な、なにが―――!?」
 その言葉は長く続かない。続かせない。
 何が起こったのかを理解させるまでの時間さえ惜しい。一瞬でトリテレイアの剣がパストールの体を貫き、手にした大盾が別個体のパストールの頭蓋を潰す。

 一瞬の出来事であった。
「あ―――」
 それが群体オブリビオンであるパストールたちの発した言葉の最期であった。
 鋼鉄の騎士が戦場を疾駆する度に、剣と盾による剣撃と殴打によって尽く骸の海へと還されるパストール達。
 その無産していく姿にトリテレイアは、剣と盾を構えて言い放つのだ。

「私のユーベルコードが何だったのか、見切れましたか?」
 高度に発達した予測演算と戦闘技術。それは最早、未来改変と言ってもいいほどのユーベルコードであったのかもしれなかった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

祇条・結月
竜に仕える神官だからトカゲ人間、って感じか
ファンタジーラノベみたい……なんて軽口はここまで
行こう。できることを、しに行く

【覚悟】を決めて敵の集団へ踏み込む
足を止めないで走って乱戦に持ち込むよ
その恰好や、体形じゃそうそう小回りは利かないでしょ?
この状況なら単騎は武器だ

落ち着いて、常に相対するのは一人ずつの状況を作って咎人の鍵の一撃で打倒していく
取り囲まれそうになったら【敵を盾にする】ように回り込んだり、【ロープワーク】で銀糸を操って敵を転ばせたりして、敵が迂闊に攻撃できない状況をつくるよ

その乱戦中に【目立たない】ように不可視の梟たちを放していって、杖を避けた不意打ちでさらに敵を減らしていくね



 帝竜信仰を奉じるパストールと呼ばれるトカゲの僧侶たちは、郡竜大陸の一角、古竜平原へと集結しつつあった。
 この巨大なる骨が散在する平原こそ彼らが帝竜を奉じる強大なる力を示す存在である。かつて此の地にありながら、帝竜が一体ベルセルクドラゴンによって滅ぼされた叡智の種族「古竜」。
 彼らの遺骸こそが、この巨大なる骨である。そして、パストールたちが持つ杖。それもまた古竜骨と呼ばれるユーベルコードの効果、威力を激減せしめる効果を持つ骨片によって作られている。
 これにより、猟兵の強きユーベルコードも、その効力を失い、数で利するパストールたちが猟兵たちを内畠さんとしていたのだ。
 もしも、猟兵たちにグリモア猟兵に依る情報がなければ、それもまた現実のものとなったであろう。
 だが、そうはならない。
 グリモア猟兵が齎すのは、ただの情報の一片である。ただそれだけでは情報に過ぎず、敵を討つには値しない。
 真に猟兵の持つ力の脅威は、ユーベルコードでもなければ、予知によって齎された情報でもない。

「竜に使える神官だからトカゲ人間、って感じか。ファンタジーラノベみたい……なんて軽口はここまで」
 祇条・結月(キーメイカー・f02067)が平原に集結したパストールの一群と対峙して思わず感想を漏らしてしまう。
 アックス&ウィザーズや他の世界であれば、珍しくないのかもしれないが、それでも見慣れないと感じる者だっている。けれど、戸惑うには戦場という場所はあまりにも余裕がない。
「行こう。できることを、しに行く」
 結月の体が平原を駆ける。
 もう彼の心は覚悟を決めていた。情報どおりであれば、攻撃に使うユーベルコードはパストールの持つ古竜骨で出来た杖によって、激減されてしまう。
 だからこそ、彼の心は覚悟を決めたのだ。踏み込んだ一群の中で彼は足を止めない。
 駆ける。駆ける。
 対峙するパストールたちの姿や格好を見ればわかる。あれらは集団にあって固まっているからこそ強みのある敵だ。
「この状況なら、単騎は武器だ!」

 まさに集団を引っ掻き回すように結月は立ち回る。
 次々と彼を捉えようと伸縮自在たるリボンが飛び、彼の足を、手を捉えようと乱れ飛ぶ。
 それを次々と回避しながら、乱戦へと持ち込むのだ。
 取り囲まれそうに成れば、パストールの別個体を壁に……盾にするように回り込む。
「一体一ならさ!負けはしないんだよ!」
 彼の手にした銀の鍵が変ずる。鍵の形から、咎人の鍵と呼ばれる魔鍵……いや、魔剣と呼ぶに相応しき形態を手に、パストールへと振るう。
 そう、彼はユーベルコードを攻撃に転じない。杖で減ずるというのなら、通常の攻撃で戦う。その立ち回りだ。
 だが、その戦い方は、どうあがいても多数対一の戦いにおいて、数で押されてしまう。

「囲め―――! 囲んでしまえば、如何に猟兵といえど」
 パストールたちが一斉に動こうとすればするほどに結月の動きは冴え渡る。どう動いても、どう封じようと、尽くがかわされ、いなされてしまう。
「何故だ? 何故あの猟兵は我らの攻撃がわかるのだ?」
 困惑と動揺がパストールたちを包んでいく。そう、結月はユーベルコードを攻撃へと転用しない。
 ならば、何故。この不可思議な状況にパストールたちは気がつけない。
 この戦場の遥か上空にてつぶさに戦いの様子を観察するものがあった。

 それは、忍び寄る者(コタンコロカムイ)。結月のユーベルコードによって生み出された不可視の影の梟。それが上空から群体オブリビオンであるパストールたちの行動を随時、結月へと送り続けているのだ。
「油断大敵……なんて、ね」
 複数の梟たちが合体し、杖の攻撃を避けた結月の背後から一直線にパストールたちへと飛びかかる。
 これこそが、結月の覚悟。
 ユーベルコードなしに敵郡へと飛び込む勇気である。

 次々と結月と呼び出した梟たちによってパストールたちを骸の海へと還していく。
 そう、猟兵の最も脅威であるとする力は、ユーベルコードではない。
 彼らの意志と知恵だ。
 最大の力が封じられたというのなら、それ以外を駆使して戦う。それができるからこそ、彼らは猟兵足らしめられるのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェルト・フィルファーデン
帝竜を崇めて、骨に縋って、そんな事で猟兵を倒せると本気で思っているの?……なんて、聞くだけ無駄よね。……邪魔をするなら、容赦はしないわよ。

触れたユーベルコードを弱める力……ねぇ。ならば、認識出来ないUCに、触れるすべはあるのかしら?
わたしのUCは電脳ウイルス。周囲の対象を眠らせ傀儡と化す技よ。
もちろん何の専門知識の無い者に見える事は無い。だったら触れる事も不可能!!
後は操られていない敵からの攻撃を、操った者達の杖で弱らせ打ち消して
その隙に騎士人形の弓矢で急所を射抜き、仕留めるわ。(スナイパー】

世界のため、未来のため、希望のため、全てを救うために、こんなところで立ち止まるわけにはいかないのよ。



 アックス&ウィザーズにおいて帝竜信仰とは、邪教の一つであったことだろう。
 パストールとは、トカゲの僧侶である。時には病に苦しむ村々を秘術や秘薬で救うこともあった。
 だが、それは帝竜信仰への洗脳の一端であり、彼らが立ち寄った村々は次々と帝竜信仰へと取り込まれていった。決して、人のためではなく、彼らの信じる帝竜のために行うのである。
「我らが帝竜ヴァルギリオス様から賜った古竜骨の杖! これにより猟兵を討ち果たし、手ヴァルギリオス様への勝利を確実のものとせん! 我らこそが帝竜ヴァルギリオス様の唯一にして絶対の信徒であると証明してみせよう!」
 古竜平原へと集まった群体オブリビオンであるパストールたちは、一斉に手にした杖を掲げて、気勢を上げる。

 だが、そんな彼らに対峙する者があった。
「帝竜を崇めて、骨に縋って、そんなことで猟兵を倒せると本気で思っているの?……なんて、聞くだけ無駄よね」
 フェルト・フィルファーデン(糸遣いの煌燿戦姫・f01031)のその小さき姿が空に舞う。
 フェアリーである彼女の姿は、パストールたちにとっては小さき妖精の如き存在であったが、無視出来ない存在であった。
 オブリビオンである彼らにとって猟兵とは天敵であり、倒すべき敵である。さらに帝竜ヴァルギリオスの計画を打ち破らんとする怨敵でもあった。

「来たか! 猟兵……! 我らが奉じるヴァルギリオス様の邪魔はさせぬ!」
 パストールたちが一斉に炎のカーテンをフェルトに放つ。それは彼女の小さな体を絡め取り、燃やし尽くそうと迫るのだ。
 だが、彼女の小さな体を捉えるのには、あまりに攻撃が大雑把すぎた。
「……邪魔をするなら、容赦はしないわよ」
 フェルトは、炎を躱しながら、グリモア猟兵から得ていた情報を思い出す。
 あの古竜骨で出来た杖。
 あれこそが、今回の戦いの鍵である。あの杖に触れたユーベルコードは、その力を大きく減ずる。だからこそ、彼らは杖の力に頼り、数でフェルトを圧しようとしているのだ。

 だが、彼女に取っては何の問題もない。
「さあ、眠りに堕ちて。わたしの意のままに動きなさい?」
 彼女のユーベルコード、Sleep-marionette(デンシノドクヨムシバミアヤツリカイライトカセ)が発動する。
 それは一瞬で事を済ませた。
 唐突にパストールの一体が、味方であるはずのパストールを炎のカーテンで攻撃したのだ。
 燃え盛るパストールの体。それに気がついた他のパストールたちが困惑するも、フェルトに操られたパストールは次々とユーベルコードで攻撃しはじまる。
 だが、それも互いに古竜骨の杖を持つがゆえに、泥仕合のようになっていく。

「わたしのユーベルコードは電脳ウィルス。もちろん、何の専門知識のない者に見えることはない。だったら、触れることも不可能よね!!」
 そう彼女のユーベルードはウィルスによって意識を掌握し、傀儡と化すものである。それはいくらユーベルコードの効果を減ずる力をもつ古竜骨であっても、杖という形を取っている以上防ぎようがない。
 混乱に陥るパストールの群体を前に、フェルトは弓矢を扱う女性型絡繰人形を操り、矢を放つ。

 それは過たずにパストールたちの急所を貫いていく。傀儡としたパストールの持つ古竜骨の杖にて、他のパストールたちのユーベルコードは効果を激減させられ、混乱する彼らは次々とフェルトの操る騎士人形たちに討たれていく。
 フェルトにとって当然の結果であった。

「世界のため、未来のため、希望のため、全てを救うために、こんなところで立ち止まるわけにはいかないのよ」
 そう、彼女たちの双肩にアックス&ウィザーズの命運が掛かっているのだ。
 帝竜ヴァルギリオスへと至る道は未だ開かれず。けれど、確実にかの帝竜の喉元へと猟兵は迫っている。
 ここで立ち止まっては、何も為し得ない。何も救えない。
 だからこそ、フェルトは古竜平原を征くのだ―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
帝竜信仰と言いつつ、ただ強いものに阿るだけの淫祠邪教。ここで全て殲滅させてもらうわ。

古竜の骨は、ユーベルコードの力だけを減衰させるのね。なら、普通の術式で行けばすむこと。

飛鉢法で宙を舞い、彼らの頭上から、「魔力溜め」「全力魔法」「範囲攻撃」火の「属性攻撃」で、炎の雨を降らせましょう。止まない雨の如く、全て燃え尽きるまで。
逃げ出そうとする僧侶には、「破魔」の力を帯びた「衝撃波」でとどめを刺す。

仕上げに偶神兵装『鎧装豪腕』を顕現。その巨腕でトカゲどもを「なぎ払い」なさい!

念のため、愛奴召喚でエルフのクノイチを呼び出して、敵が逃げていく方向を塞がせるわ。体術で相手をしてあげて。杖には触れないように。



 あまねく全てを救うものこそが、信仰であるというのならば、群体オブリビオンであるパストールが信奉する帝竜信仰はどうであっただろうか。
 己の利益とするために他者を救い、引き込む。それは果たして本当に信仰と呼べるものであったのだろうか
 群竜大陸の一角たる古竜平原において、帝竜信仰を奉じるトカゲの僧侶たちであるパストールたちは集結していた。
 己たちの信じるものに捧ぐ勝利のため、この古竜平原にて帝竜ベルセルクドラゴンによって滅ぼされた叡智の種族「古竜」の骨片によって生み出された杖を掲げるのだ。
 古竜骨は、それがユーベルコードに触れた瞬間、そのユーベルコードの威力、効力を激減させるのだ。
 それは恐るべき力であり、もしも、なんの情報もなしに挑めば手痛い攻撃となって猟兵たちを苦しめたことだろう。
「帝竜信仰と言いつつ、ただ強いものに阿るだけの淫祠邪教。ここで全て殲滅させてもらうわ」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)が華麗な戦巫女の盛装へと変身し、空を舞う。
 それは彼女のユーベルコード、飛鉢法(ヒハツホウ)による物である。

 古竜骨はユーベルコードの力だけを減衰するのなら、彼女は普通の術式で戦うだけのことである。
 それに飛鉢法にて空を舞うのであれば、パストールたちの持つ古竜骨の杖によるユーベルコードを減衰させる力は及ばない。
「見上げるだけ、見上げていなさい……!」
 パストールたちの放った炎のカーテンが、ゆかりを追うように空を駆けるが、あまりにも遅かった。
 すでに彼女の魔力は溜め込まれており、空より放つ全力魔法は強大なる魔力によって範囲をパストールたちをそっくり包み込むほどに広がっていたのだ。

 奇しくも、彼女の放つ炎の雨は、パストールたちの扱う炎のカーテンと同じ属性。その炎の雨が降り注ぐ中にあって炎のカーテンなど物ともせずに彼らを焼き尽くす。
 全て燃え尽きるまで止むことのない雨のようにゆかりの放った全力魔法は、パストールたちを散り散りに逃げ惑わせるのだ。
 そんな彼らを逃すゆかりではない。破魔の力を帯びた衝撃波がトドメとばかりに内放たれるのだ。

「偶神兵装『鎧装豪腕』、顕現!」
 ゆかりの呪符より姿を表した浮遊する一対に篭手型式神が姿を表す。
 それは仕上げとも言うべき巨腕であった。もはや、追撃すらも生温い。徹底的な殲滅が幕を上げる。
 巨腕によって薙ぎ払われ、散り散りとなった者たちは呼び出したエルフのクノイチによって各個撃破されていく。
 それは圧倒的な力の差であった。

 どれだけ古竜骨の骨片にユーベルコードを減衰させる強大な力があろうとも、それに縋るだけのものに猟兵を打ち倒すだけの力は無いのだ。
 それを思い知らせるように、ゆかりの華麗なる戦巫女の盛装が宙に舞い続けるのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リミティア・スカイクラッド
何を崇拝するのも自由ですが、こちらも退くわけにはいきません
その遺骨を置いて、道を開けてもらいます

古竜骨の杖が厄介なら、それを使えないようにしましょう
風神の靴による「空中戦」で立体的に敵の攻撃を躱しながら
「高速詠唱」でUCを発動します

宝石剣を無数の茨に変えて、敵群の手足を縛り上げるように拘束
杖を向け、触れられない状態にすればこちらのものです
動きが止まった者から薔薇の花びらによる追い打ちを

拘束攻撃を免れた者は仲間の拘束を古竜骨で解こうとするでしょう
その隙をついて急降下し、風を纏った蹴りをお見舞いします
ここがあなたたちの祈りの終焉です

古竜の骨は拾っていきましょう
売るつもりはありませんが、供養のために



 郡竜大陸の一角である古竜平原。
 その平原に集結するのは、帝竜信仰を奉じるトカゲの僧侶……パストールである。彼らは群体オブリビオンであり、彼らの手に持つ古竜骨で出来た杖はユーベルコードの効力、威力を激減させる力があるのだ。
 それはかつて此の地に在りし、古の叡智の種族「古竜」の遺骸によるものである。
 これほどの力を持ちながらも、彼らを一体で滅ぼした帝竜ベルセルクドラゴンのちからの凄まじさは、彼らパストールたちが帝竜信仰を奉ずるには値する事実であったのかも知れない。

「何を崇拝するのも自由ですが、こちらも退くわけにはいきません」
 リミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は、古竜平原へと舞い降りた。彼女の瞳は決意に彩ろられていた。
 その青い瞳に映るのは、パストールたちの手にある古竜骨の杖。帝竜が蹂躙せし、古竜たちの亡骸より齎されし力。
「その遺骨を置いて、道を開けてもらいます」

 その宣言にパストールたちは口々に言葉を紡ぐ代わりに、炎のカーテンを現出させ、リミティアを襲う。
 炎のカーテンは風神の靴によって、大気を踏んで踊るように空を翔ける彼女を捉えようと伸ばされるが、『風に乗りて歩むもの』であるリミティアに追いすがる術はない。
 古竜骨の杖が厄介であり、それを使えないようにと彼女は空を舞い、杖の届かぬ空中にて、彼女のユーベルコード、魔女の薔薇(マギア・ローズ)を発動させる。
 それは彼女の持つ宝石剣、赤き宝石のエリクシルを無数の茨に変え、一斉にパストールたちの体を縛り上げるように拘束させる。
 だが、それだけでは杖に触れられてしまえば、霧散してしまうだろう。
 だからこそ手足を拘束し、杖の向きを茨によって強制的に変えてしまえば、効力を発することもできないだろう。

「……エリクシルよ咲き誇れ、汝の敵はここにいる」
 さらに彼女のユーベルコードによって変じたエリクシルが無数の薔薇の花弁となって、拘束されたパストールたちを追い打ちし、骸の海へと還していく。
 だが、運良く茨の拘束を逃れた者がいる。
 古竜骨の杖を茨へと向ける。仲間を助け出そうとしていたのかもしれないし、己一人ではリミティアに勝てぬ故の打算であったのかもしれない。

 どちらにしても、彼女を前にして群体オブリビオンが取れる選択肢は多くない。どちらかを選べと言われ、どちらが賢いのかと問われれば、彼女から逃げることであっただろう。
 だが、その択もまた失われる。
「道を開けてもらいます……とは言いましたが、逃がすとはまでは言っていません」
 風纏う風神の靴のまま、高き空中からリミティアの蹴りが急降下と共にパストールの体を穿つ。
 その一撃は圧倒的な一撃であり、地面を割るほどの衝撃が古竜平原へと響き渡る。それは、この一帯のパストールたち全てを骸の海へと還した証となった。

「ここがあなたたちの祈りの終焉です」
 帝竜を信奉する信仰は、此処で潰える。それは、リミティアたち猟兵が成したことであった。
 リミティアは消滅したオブリビオンであるパストールたちが手にしていた古竜骨の骨片を一つずつ拾い集めていく。
 それは確かに売れば高額な金額となるだろう。

 だが、彼女にとって、それは重要なことではない。
 彼女にとって、骨片を集めることは弔いである。かつて此の地において滅ぼされた古竜。彼らを慰めることになるかどうかもわからない。
 けれど、そうしなければならない。
 そう強く想うのだ。

 時にその想いこそが、慰めを越えて何かの力を生み出すのかもしれない。
 ただ、心のままにリミティアは砕けた骨片を拾い上げ、まとめて供養し、滅びし種族へ想いを馳せるのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガルディエ・ワールレイド
帝竜が強大であるからと言って、その信徒が強大とは限らない。
その辺をわかってないと滑稽だぜ。
今のお前は虎の威を借りる狐だ。
いや、竜の威を借りるトカゲというべきか。

◆戦闘
【竜覚】を使用。知覚や第六感と言った能力を強化して、命中や回避力を上昇。
その上で、敵の攻撃を回避しつつ、骨の杖に触れずに敵を狙うぜ。
一応、杖以外に骨防具を着ていないかにも注意する。

武装は《怪力/2回攻撃》を活かす魔槍斧ジレイザと魔剣レギアの二刀流
敵UCのリボンは《念動力》での防御と、《見切り》回避を組み合わせて対処。
武器には《雷の属性攻撃》を付与、電流で敵を痺れさせて動きが鈍れば、骨への対処も更に容易になるだろう。



 帝竜ヴァルギリオス。その力は絶大であると言えよう。
 オブリビオン・フォーミュラであることは言わずと知れたことであるが、かの帝竜の腹心たる帝竜ベルセルクドラゴンもまた、絶大なる力を持つオブリビオンである。
 此の地、古竜平原に横たわる巨大な骨。
 それはかつて在りし古の叡智の種族「古竜」の遺骸である。これらは全てたった1体の帝竜ベルセルクドラゴンによって齎された虐殺の痕なのである。

 それ故に、この強大すぎる力の前に侵攻を芽生えさせたのが、パストールと呼ばれるトカゲの僧侶たちである。
 彼らは帝竜ヴァルギリオスから古竜骨で出来た杖を掲げ、ここ古竜平原にて猟兵を迎え撃つのだ。
「我らが手には帝竜ヴァルギリオス様より賜りし、古竜骨がある! これがあれば、猟兵なにするものぞ! 我らこそがヴァルギリオス様に勝利を捧げる徒である」
 そう、古竜骨は触れたユーベルコードの効力、威力を激減させる力を持つ。
 それ故に、その存在を知らずに戦いを挑めば、手痛い敗北を喫してしまうこともありえたかもしれない。
 だが、猟兵たちには、予知に依る情報より、すでにそれらに対する対策を各々が講じてきているのだ。

「帝竜が強大であるからと言って、その信徒が強大とは限らない。その辺をくぁってないと滑稽だぜ」
 ガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)の声が響き渡る。
 パストールたちが、ガルディエの姿を捉えた瞬間、収縮自在なリボンが宙に舞う。それらは彼の手足を拘束しようと一斉に放たれるも、捉えることは叶わなかった。
 ガルディエの念動力でリボンをそらし、軌道を見きった上で最小の動きで躱しきったのだ。
「今のお前たちは虎の威を借る狐だ。いや、竜の威を借りるトカゲというべきか」
 その言葉にパストールたちは激昂する。
 確かに、古竜骨の力は帝竜であるヴァルギリオスから送られたものである。だが、それは己たちへの侮辱に他ならない。
 いかな猟兵と言えど、数と古竜骨の力でもって圧せぬ相手ではない。

「非戦闘系の権能は制御が苦手なんだが……やるしかねぇか……言ってもわからねぇ連中は、もう黙らす以外にねぇ……!」
 彼のユーベルコード、竜覚(ドラゴニック・センス)が発動する。彼の持つ第六感とも言うべき感覚や、視力が何十倍にも跳ね上がる。
 どれだけの攻撃が彼を襲おうと、今やそれは何の問題にもなりはしない。
 手にした魔槍斧ジレイザと魔剣レギアのニ刀は、有り余る膂力によって、パストールたちの体を薙ぎ払っていく。

「その程度の攻撃で―――!」
 ガルディエの体が古竜平原を疾駆する。二つの武器、ジレイザとレギアに流れ込むは雷の力。
 雷撃纏う魔剣が閃き、槍斧が振るわれる度に旋風のようにパストールたちが吹き飛ばされていく。
 古竜骨の杖が一度も彼の体を掠めることなく、全てのパストールたちがなぎ倒されていく。

「これが、誰の力も借りない。阿ることもしない。たった一つの己の力だ!」
 その力は、もはや暴風と言ってもよかった。彼らの奉じる帝竜の力、それに勝るとも劣らぬ力は、竜の威を借りるトカゲたちを、圧倒し続けたのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月宮・ユイ
※ヤドリガミ

強大な力に神を見る、
わからない考えではないのだけれど…
「敵対する以上容赦はしません
◇竜騎士団
地にもUC阻害の骨がある為、空飛ぶ船を母艦に召喚。
肌覆う○オーラに○破魔付与し悪しき影響へ耐性強化。
○呪詛製呪殺弾生成、加え○念動付与し誘導弾化。
スナイパーライフル型『ステラ』
○情報収集+第六感+学習力
高い情報処理能力活かし、母艦より敵の動き見切り狙い撃つ
距離とり遠距離から射撃○捕食:生命力吸収

竜騎士も銃撃中心。
騎竜に○属性風付与、風操らせ空中戦での飛翔力向上と
風纏わせ護りとしつつ足止め、体勢崩しや吹き飛ばし距離確保
敵強みは骨でのUC減衰だが、生憎と弾や風は非UC製
「強みを知れば対処可能です



 帝竜戦役もまた、さらなる推移を見せていた。
 猟兵たちの進撃はとどまるところを知らず、郡竜大陸にあっても尚、その進撃に速度は収まることがなかった。
 すでに帝竜たちも、その尽くを討ち果たし進む。古竜平原もまたそのうちの一つであった。
 此の地はかつて、帝竜の1体であるベルセルクドラゴンによって滅ぼされた古の叡智の種族「古竜」たちの遺骸が散在する大地である。
 此の地において、猟兵たちを押し留めようとするオブリビオンの一群があった。それはパストールと呼ばれる帝竜を信仰するトカゲの僧侶たちである。
 彼らの手にした杖は、一様にユーベルコードの効力、威力を触れただけで減ずることができるという古竜骨によって出来ていた。
 これはグリモア猟兵の予知によって齎された情報である。もしも、この情報がなければ、猟兵たちは尽くユーベルコードを減衰させられ、苦戦を強いられたことだろう。

「強大な力に神を見る、わからない考えではないのだけれど……敵対する以上容赦はしません」
 月宮・ユイ(月城・f02933)は古竜平原に立ち、パストールたちの一群と対峙していた。
 これまで多くの猟兵たちの活躍により、この古竜平原に集結したパストールたちは尽くが粉砕されてきた。
 もはや、この一群が最後である。容赦はしないと決めた以上、ユイは即座に判断を決する。
「来たれ、竜騎士…」
 彼女のユーベルコード、共鳴体召喚術『竜騎士団』(ドラゴン・ネスト)が発動する。共鳴し、保管庫との接続を果たす。そこに格納されし、空飛ぶ船……機動戦闘母艦をを召喚したのだ。
 その巨大な母艦に搭載されているのは、竜騎士と、彼らが駆る騎竜である。

「もはや我らのみこそが、帝竜ヴァルギリオス様への信仰を奉ずる最後のパストール! ここに来て我らが戦わねば、猟兵を止められぬ! 小娘一人に遅れを取るわけには―――」
 だが、その言葉は最後まで紡がれなかった。
 その宙に浮かぶ機動戦闘母艦から排出される騎竜駆りし、竜騎士たちの威容に言葉を失う。
 それを呼び出したのはユイ本人ではあるが、彼女の力量によって搭載される騎士たちの数は優に百を越えていた。
 空を埋め尽くす圧倒的な数。
 群体オブリビオンが猟兵に対して、利するは数の差である。だが、それがここに覆された。
 いかにユーベルコードを減ずる力をもつ古竜骨であったとしても、此の数をさばくことは不可能である。

「……では、参ります」
 ユイもまた手にしたのはスナイパーライフル型へと姿を変ずる星剣ステラ。
 パストールたちの強みは、ユーベルコード減衰と、数。ならば、遠く放たれた場所から攻撃を一方的に与え続ければいい。
 彼女の体が機動母艦のカタパルトへと降り立ち、スナイパーライフルを構える。

「こんな―――……こんな場所で我らが信仰が屈するというのか―――!? 我らが―――!」
 パストールたちは最早見上げることしかできない。
 空より一斉に銃口を構えるユイと竜騎士たち。その光景は絶望の空であった。
 からん、と手にした古竜骨の杖が落ちる音がした。降伏は無意味である。もしも、これが逆の立場であったとしても、同じことであっただろう。
「―――放て」
 トリガーを引く音が、古龍平原に響き渡り、轟音じみたライフルから放たれる銃声が圧倒的な弾丸の雨となってパストールたちの一群を蹂躙した。
 すでに決着はついたが、1体たりとて逃すわけにはいかない。
 蹂躙とも言うべき斉射のあと、そこに残されていたのは、古竜骨の杖の残骸のみ。
「強みを知れば対処可能です……私達猟兵の力を侮りましたね……強き力は常に慢心を生む……私もまた肝に銘じなければなりませんね」

 ユイは静かに機動母艦から舞い降り、その砕け散った古竜骨を拾い上げる。
 ユーベルコードを減衰させる力。
 これほどの力を持つ者たちであっても、帝竜ベルセルクドラゴン、たった1体によって滅ぼされた。
 かの帝竜の腹心であっても、この異常なる戦闘力。
 これから待ち受けるオブリビオン・フォーミュラであるヴァルギリオスとの戦いに向けて、ユイは古竜平原に横たわる古竜たちの亡骸を背に歩みを進めるのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月12日


挿絵イラスト