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もふもふ・もこもこ・ぬっくぬく!

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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● とにかく大変なんです。
「大変です! 大変なんですよぉ~!!」
 気の抜けるような声がドタバタとグリモアベースの一室に飛び込んでくる。
 みょんみょんとアホ毛を揺らしやって来たのは、グリモア商人もとい、グリモア猟兵フィン・クランケット(蜜柑エルフ・f00295)だった。
 ぱたぱたと手を動かして、頻りに大変さをアピールしている。
「アルダワ魔法学園で、災魔が迷宮から逆侵攻してくるみたいなんですっ」
 地下迷宮アルダワと、そこに封じ込められた災魔ことオブリビオンに対抗するために設立されたアルダワ魔法学園。
 以前は学生たちで抑えることができていたというらしいが、近頃では災魔たちの活性化により学生たちでは歯が立たず、猟兵たちが対処する必要性が増えてきている。
 今回、フィンが予知した事件も、猟兵たちの力が必要なケースだという。

「今回、迷宮を逆侵攻してくる災魔さんなんですが――、オレンジ色で、耳が長くて、それから、ぽよっとしてるんですっ」
 ぐっと握りこぶしを見せて、蜜柑頭のエルフは熱っぽく語る。
 ……目の前に、オレンジ色で、耳が長くて、エルフにしてはちょっとぽよっとしてる風味な生き物がいるのはこの際おいておこう。
 彼女は続ける。
「その名も、モ“フィン”クス!」
 名前にフィンがつく、オレンジ色で(以下略)いるのはこの際二重においておこう。
「普段は大人しくて、ちょっと迷宮攻略に邪魔かなーってぐらいの災魔さんなんですけれど、どうも、今回は集団で上層に上がって来ていてですねぇ。そう、まるで何かに“追い立てられている”みたいな……」
 はてー? と、腕組み首を傾げると、頭のアホ毛もクエスチョンマークに変わる。うねうね。
 それはさておき!
 エルフは、ぴしり、背筋を伸ばすと、今度はずいと身を乗り出して。

「モフィンクスさんたちは、正直に言いますと強くないです! 弱いです! それから、モフモフしていて、かわいいんです! ふかふかもふもふしながら、あっち行っててねーってするぐらいで充分だと思うんですがっ」

 ぴし。真っすぐに立つ人差し指。アホ毛も直立。ぴーん。

「モフィンクスさんたちが逆侵攻した“理由”っ。そちらをしっかり対処していただきたいなと思うのですよぉ。商人的にっ」

 言って、気の抜ける声のエルフは、へにゃりと表情を崩し、
「皆さんなら、きっと大丈夫。信頼していますので、思う存分、もふもふビシバシしてきてくださいねぇ」

 そう言って、笑った――後で、

● 
「あ、そうだそうだっ。そうでした!」
 ぱふん!
 グローブに包まれた手を叩き合わせると、その音も主同様にどこかいら張りがなく。
 まぁ、本人はそんなことちっとも気にする素振りもなく、
「お仕事の後にまたお仕事で申し訳ないのですけれど、アルダワの先生さんからお願いされていたことがありましてぇ」
 てへへと、ほんの少し言いづらそうに頬を掻きながらお願いの上乗せ。
 商人はちょっぴり図々しいのです。
「学園内で飼育している動物さんたちを、別の研究室に移動させるお手伝いをお願いしたいそうなんです」
 結構な数の動物たちの移動。しかも、生き物相手とあらば、人手はあるだけあって困らないということらしい。
 商人は指折り、生き物たちの種類を数えながら、
「うさぎさんや鳥さん、ねずみさんにちょっと大きい子だとわんちゃんなんかもいますけれど、移動のお手伝いや、移動時間中にその子たちが退屈しないようお世話するお仕事ですよぉ」
 みんなとってもいい子たちなのですよぉっと言って、両手を広げた。
 説明は、お仕事というより、お遊びで行くときのような、楽しさいっぱいを表現するように、のびやかーに、ゆるやかーに、明るい声で。

「めいっぱいもふもふ……じゃなくてっ」
 こほん。
「お手伝いしましょうね♪」
 それでも、建前上はお仕事なので。
 エルフの商人は、気恥ずかしさを誤魔化すように、はにかんで笑った。


夜一

 お世話になっております。夜一です。
 フィン・クランケットのイラスト披露も兼ねて、アルダワ魔法学園の事件を出させていただきました。
 だいぶゆるめのお遊びシナリオです。
 ボス戦はやや純戦闘寄りではありますが、なるべくライトな雰囲気で描きたいと思いますので、戦闘はあまり得意じゃないというPCさんも、ぜひどうぞ。

 本シナリオは
 第1章 集団戦
 第2章 ボス戦
 第3章 日常パート
 という構成になっております。
 1章もふもふ、2章でカチコチ、3章でもふもふする予定です。

 どうぞよろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『モフィンクス』

POW   :    モフ~ン
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【気の抜けた鳴き声 】から排出する。失敗すると被害は2倍。
SPD   :    モフ~zzz
【眠気を誘うアクビ 】を聞いて共感した対象全てを治療する。
WIZ   :    モフッ、モフッ(実は今欲しい物)
質問と共に【質問の解答が具現化する靄 】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


【リプレイ執筆は、21日(月)から開始する予定です。
 23日(水)頃までに送信していただいたプレイングでしたら、依頼趣旨にそぐわない場合を除き、全て採用したいと思っております。ご参考まで。】

 猟兵たちが迷宮に足を踏み入れると、中は何やら蒸しており、季節に合わせて冬服で来た猟兵であれば暑いぐらいであった。
 迷宮を進むと、それほど深くならない内にあちこちで一匹二匹、モフィンクスが目に付くようになり、やがて、あちこちにもふもふしたモフィンクス溜まり……いや、モフィンクス団子が散見されるようになる。
 通路にみっちり詰まっている様を見れば、本当にこれは災魔なのだろうかという疑念が沸くほどで、どんくさくも、どこか憎めない愛嬌が感じられる。
 それでもやはり、通路を塞がれるのは、迷宮攻略の邪魔にもなろう。

 排除というと物騒に聞こえるが、追い散らした方が良いに違いはない。
 ということで、猟兵たちは仕事に取り掛かるのだった。

 ……ところで、深層へ進むにつれ、暑さ自体も増していくのは……はて、気のせいだろうか?
【※訂正連絡 大変申し訳ありませんが、プレイングの受付締め切りを22日(火)に修正させていただきます。調整不足申し訳なく。参加自体はまだまだ受け付けておりますので、どうぞご了承ください。】
●マジでもふする5分前
 迷宮に踏み入れてすぐ、天通・ジン(AtoZ・f09859)は自身の持つ【近未来情報端末】を開いた。
 マップの記録と、モフィンクスの移動先を探すためだ。手慣れた様子で端末を操作し、情報を入力していく。
「へえ、それもコンピューターですか?」
 その様子を見て、アイン・ローレンス(気の向くままに・f01107)が左右色違いの目をぱちぱち瞬かせて尋ねた。
 ジンの持つ、スペースシップワールド独自のコンピューターは、アックス&ウィザード出身の彼女だけに限らず物珍しく感じる者は少なくないだろう。
 注目され、ほんの少し得意な気持ちで少年は頷く。
「ああ、俺の世界では一般的な情報端末さ。こうして記録するだけじゃなくて、生態反応を検知するレーダーや地図情報の検索もできるんだぜ」
 さすがに、この迷宮ではその機能は使えないけどねと、軽く肩を竦めて応じる。
 アインはもう一度、へぇと感心したような声を出し、
「そうなんですか。私、コンピューターはてんで分からなくて。便利なんですね」
 と、言った。
「だろ? あ、モフィンクスが隠れられそうなとことか、逃げ込めそうなとこがあったら、皆も教えてくれよな」
 自分の世界の物が褒められて悪い気はしない。
 ジンは、意気揚々とした声で、行動を共にする前後左右の仲間たちに声を掛けるのだった。
 その時、ひょいとジンの背後から顔をのぞかせたのは、黒髪お団子、まんまる眼鏡が特徴的な女性型サイボーグ……トジコ・イリングワース(月下機人・f10408)だ。
「その端末のデータベースには、モフィンクスって登録されてるカ?」
 覗き込んだ表紙にズレた眼鏡を指で押し上げながら、赤い瞳でじぃっとジンを見る。
「モフィンクス。ワタシのデータベースには登録されてない災魔ネ。とても興味深いヨ」
 美人二人に囲まれて、お年頃(彼女募集中17歳男子)としては、嬉しいやら緊張するやら。
「え、えーっと、どうだったかな……」
 思わずしどろもどろになって、情報端末の操作も覚束ない。
 そしてもって、
「美人と聞いちゃ黙っていられないわね!」
 ててーん! 満を持して登場したのは八幡・茜(妖狐の戦巫女・f04526)である。おねーさん、美人発言は地の文ですおねーさん。
 とかそういうのは置いておいて。
 ぴこ、ぴこっと主張するように耳が跳ね、尻尾が揺らめく。
「どんな災魔だろうと敵じゃないわ! 美人のおねーさんに、まっかせっなさい!」
 コンコンっと、片手でキツネを象り、ぱっちりウィンク。
 と思えば、反対側からも、キツネの手……いや、こちらは作り主からすると、狼か。
 伏見川・結杜(傾国舞狼・f08656)が、茜を真似て、にっこり微笑む。
「せやなぁ。情報によると、大人しい子ぉららしいけど、その子たちが危ない目にあっても良くないしなぁ」
 ちゃぁんと、お仕事せなね。そう言って。
 立派な尾っぽは、ゆらーりゆらーり、本人同様おっとりとした風情で左右に揺れる。
「でも、話ではめっちゃもふもふで可愛いって言うてたし、はよ会いたいなぁ」
 マイペースな結杜の発した言葉に反応して、レイブル・クライツァ(白と黒の螺旋・f04529)は金色の瞳をそっと伏せる。
 元よりどこか物憂げさの漂う固い表情が、余計に陰りが増したように映るも……、
「本当に……アルダワって、どうして可愛い敵ばっかり溢れそうになるのかしら……」
 蜜ぷよとか、モフィンクスとか、メカふぐとか。
 考えている内容は、ゆるくてふわふわしていたが。
 可愛いし、シロップを入手できたり、もふもふできたり、ボーナスタイム感あるのも事実なのだが。
「もふ、もふもふ!」
 スキップに近い足取りも軽やかに、ユキノ・サーメッティア(空白・f00911)は歌うように唱える。
「迷宮内でとおせんぼしちゃうなんて、いけない子がいるみたいですね~。これは私たちの力でちょいとどいてもらわなきゃいけませんよね~」
 猟兵だから仕方ありませんよね! と言っているユキノも、心の中では、
(モフモフと聞いたらっ! これはもうモフるしかないでしょう)
 ともふもふを満喫する気満々で。つい表情に出そうになるにやけ笑いを必死で堪えていたりするのだ。
「なぁにがもふもふじゃ」
 きゃあきゃあと賑やかにこやかな女性陣たちがいる一方、作ったような不機嫌な声を出す男の姿あり。
 終夜・嵐吾(灰青・f05366)は、自慢の灰青の毛並みの尾をもっふもっふと自身で確かめながら、後を行く。
「わしのしっぽのほうが、もふもふじゃ!」
 と言うのも、彼が今回この仕事を引き受けたのは、単純に“モフィンクスより自分の毛並みの方が良い”ことを確かめたかったからなのだ。
 大人げないぞ、24歳! イケメンが台無しになるぞ、24歳!
 ふんすふんすと鼻鳴らし、さて目的の災魔はどこぞと琥珀色の目を左右に光らせる。
 そろそろ一匹二匹程度はちらちらいるが、まだ、集団と言うには及ばず……仕事に取り掛かるには、もう少し深く降りる必要がありそうだ。
 そんな見かける姿に、ぴょんぴょん飛び跳ねて喜ぶちっちゃいさんもいる。
「もふもふでかわいいのよ! 冬にぴったりで一匹お持ち帰りしたいのだわ!」
 きゃあきゃあ、お友達になれそうと、ウサコ・ブラック(黒兎狂騒曲・f05324)はモフィンクスを見るたび追いかけそうになって。
 そんなちびっこを見て、目を細めるメイドさんなんかもいたりする。
「この迷宮は時としてこういう長閑な姿も見せるのですね…なごみます」
 銀座・みよし(おやしきのみならいメイド・f00360)が、頬に手を当て、ほわほわと笑む。
「…いえ、和んでばかりもいられぬのでございました! モフィンクスさんたちは追い出さなくてはなりませぬ」
「え……だめ?」
 ショック! ウサコがみよしを振り返り、みよしもそれに気づくと、わたわたと手を振って、
「ああ! いえいえ、まだ、まだ大丈夫でございますよ!」
「ほんと? やったのだわ!」
 わーい。くるくる、その場で回って喜ぶウサコに、また、ほっこりするみよしであった。
 ウサコ同様に、こっそり、狸に似た毛色を持つ妖狐の青年は、ほっと胸を撫でおろした。
(……も……モフィンク、ス……?)
 ターゲットの名前を心中で確認し、その姿をちらりと見る。
 もふーん。
 猟兵たちが近くを歩いても、我動じずとでも言いたげに、その場で箱座りしてぴくりともしない。
 そのゆるさと憎めなさたるや、青年をして可愛いと思わしめるほどであり。
「倒さんで良い、のか……」
 火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)は、追い払うだけで良いという事実に、誰より安心しているのだった。
 皆が浮かれる中、歩きながら、見かけるモフィンクスをチラリチラリと金色の目で威圧しながら、白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)は思う。
(――狩るのはぶっちゃけ容易そうですけども)
 威圧しても分かってるのか分かってないのか、動きやしない隙だらけの毛玉たち。
(かと言ってこんな輩ァ屠りまくった日にゃ超常の猟師・ワイルドハントの名折れっポい気がしなくもなく――)
 まったくもってその通り。
 オブリビオン狩りもこなす猟団『ワイルドハント』の長たる彼含め、集まった猟兵たちが本気を出せば、このフロアのモフィンクスたちなぞは、数時間とせずにろくな抵抗もできずに狩りつくされてしまうこと請け合いで。
 それはさながら、スチーフンイワサザイの如く、呆気なく絶滅してしまうだろう。
 ――災魔なので、その方が良いのでは? という疑問は見なかったことにして。
 もふもふに心捕らわれずに物事を見ている猟兵は、物九郎だけではない。筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)も、ヤドリガミという性質上、もふもふ未体験なこともあって、興味関心は『逆侵攻』そのものにあるようだ。
「災魔の逆侵攻は防がねばならないからな。それにこの暑さは……階を下るごとに増しているが、一体」
 この暑さとモフィンクス逆侵攻の理由究明、それから対処も行わなければならないと、冷静に考えていた。
 その呟きに、アイシア・オブリオン(メタライズ・f05786)も、大好きな相棒【ジョリー・ロジャー】の上から同意して。
「モフィンクス……色々原因は気になるけど、まずは誘導だね」
 がんばろう、と言ったところで、更に下へ降りる階段が目に入った。
 一行は、階段を下り――、

 下った先の入口が、モフィンクスでみっちり詰まっているのを見て、唖然とする。

 モフィンクスの壁である。
 どうやったら、お前たちこんな有様になってしまうのか。
 しかも、モフィンクスたちは抜け出そうと暴れるでもなく、ありのままを受け入れてまったりしている。

「何てことなの、でもオブビリオンは絶対に許さないわ!」
 ハイテンションな声が響いた。
「絶対に、もふもふ、して、もふもふ、なんだから!」
 壁にテンションがあがった茜が、一番槍でモフィンクスウォールに突撃して行った。
 皆の者ー!! 続け続けぇーい!!
●思わぬ強敵
「くっ、何という強さよ……!」
 敵の圧倒的な力に、嵐吾が地に膝ついた。
「終夜さん、大丈夫? しっかりして」
 レイブルが駆け寄り、その背を支える。
「いえ、しかし、これほどまでとは……!」
 アインの額から、汗がつぅと頬へと流れる。
 背は、お日様みたいな匂いがするふっかふかの毛並み。触れれば、手が吸い込まれるような異空間っぷり。
 通常の生物とはやはり異なるのだろう、ボディはぽよんとした不思議な感触で、持ち上げると想像よりもずっと軽く。
 おなかに掛けては綿毛のごとく、繊細かつ滑らかな手触りで。
 マズルと尾は見た目通りに綿のような手にすっぽりと収まる大きさで、気を抜けば思わず握りたくなる手頃さ。
 間違いなく、強敵。
 見た目のゆるさに反して、そのもふ度、決して“緩くない”。
 もふもふガチ勢と言ってもいいだろう。
「い、一体こんなもふもふに、どうやって勝ったら……!」
 ユキノが、その圧に押されてたじろぐ。
 精鋭のもふらーたちが集いし、この依頼と言えど、敗色濃厚か――、

 と言うところに、物九郎がじとーっと白い眼を向けた。
「楽しそっスね、おたくら」

 \\\ た の し い ! ! ///

 全員(心の中は)にっこにこやぞ。

●貴様もゆるふわにしてやろうか
 時間は少し遡り、壁を崩して階下へと突入した猟兵たちが見たのは、見渡す限りのモフィンクスの群れだった。

「はぁ~、めっちゃもふもふな子がおるや~ん♪」
 結杜が歓喜の声を上げる。
 そこには、『災魔ふれあいコーナー』の看板が出せるレベルでモフィンクスたちが、あるいは団子になり、あるいはわちゃわちゃじゃれ合っていた。
 歩く際は気を抜けば、てこてこ歩いて来たモフィンクスをうっかり踏んでしまいかねないほどである。
「めっちゃかわええなぁ~♪ もふもふしてもええんやろうか」
 つんつん。指先で突けば、もふぅ……という得も知れぬ鳴き声が返って来て。
「ここまで抵抗も反抗もしない災魔っていうのも……びっくりだな」
 思い切って、ジンもひょいと抱え上げてみる。
 もふぅ。自分の居心地のいい場所から動かされたことすらも、そんなに意に介してなさそうな毛玉。
「こいつら、よく生きてこれたな……」
 いや、オブリビオンだから生きて来れたって言っていいのか分かんないけど、とさしもの少年も困惑気味に。
「敵意はなさそうなのね! それじゃあ、投げたり叩いたりしなくて良さそうだわ!」
 ウサコがわーいと万歳して喜んだ。発言がちらりと物騒なのはきっと気のせい。
「でも、何かあるかもしれへんしな。用心するに越したことはあらへんよ」
 結杜は、万が一に備えてと、ユーベルコード《右衛門、左衛門おいでませ》を発動し、一対の狛犬を顕現させる。
「気ぃつけなあかんえ?」
「大丈夫なのよ! いざとなったら、びょういんおくりにしちゃうから!」
 ぶんぶん、真っ黒ちっちゃいおててを振り振り、やっぱり物騒なブラックタールのうさぎさんであった。
 頼もしいお返事に、うんうんと人狼は頷きながら、
「でも、出来ればこんなかわええもふもふっ子いじめたくないし、穏便に事が済めばそれでええなぁ♪」
 左右に狛犬引き連れて、カランコロンと、もふりに向かう。
終夜・嵐吾
わしのしっぽのほうが、もふもふじゃ!(はりあいにきた24歳)

……ちょっともふっとしてみんと……わからんよな。
見ただけではわからん。仕方ない、これは必要な、ことなんじゃ!
そう、もふってみんと……わからんからな
しかし、どうあってもわしのしっぽのほうが(もふっ)
(無言でもふもふし続けている)
も、もふもふしとるのなれら……(おもわずゆるむ表情)

はっ、いかん。
いかにもふもふでどんくさそーでちょっと世話焼きたいと思わせる姿しとっても災魔は災魔じゃ。
災魔なんじゃよなぁ(転がして腹を撫でつつ)
……倒さんといかんのか。くっ、こころが、いたい!

狐火で追い立てるように。むかってこんもふぃんくすは放置じゃ。




 ……。
 ちらっ。
 …………。
 ちらっ、ちらっ。
 モフィンクスを見てない振りしてチラチラ見る等という「いや、めちゃくちゃ意識してるじゃん」な所作を繰り返している嵐吾が、ついに、モフィンクスに手を伸ばす。
「……ちょっともふっとしてみんと……わからんよな。見ただけではわからん。仕方ない、これは必要な、ことなんじゃ!」
 言い訳の宛先は不明だが、恐る恐る青年の手はオレンジ色に伸ばされる。ええいじれったい。
「そう、もふってみんと……わからんからな。しかし、どうあってもわしのしっぽのほうが」
 言葉の途中で、指先が毛並みに触れた。
 嵐吾の言葉はそこで止まり、瞬きも忘れた様子で一心不乱にモフィンクスをもふり始める。
「も」
 ようやく、思い出したかのように発せられた声は、
「もふもふしとるのなれら……」
 表情同様に、ゆるーんと緩みきっていて。
 また暫くもふもふとモフィンクスと戯れ、時間を吸いに吸われた末に、はっと我に返った。
「わしとしたことが……危うく惑わされそうじゃった。いかにもふもふでどんくさそーでちょっと世話焼きたいと思わせる姿しとっても災魔は災魔じゃ」
 油断してはならん。きっと、眉間と口に力を込める。
『もふぅ……』
 気の抜ける声。人語を介している……らしいのだが、本当かどうか疑わしい。
「災魔なんじゃよなぁ」
 ころんと転がして裏返す。
 完全に無抵抗である。なされるがまま。腹でも背でもプリーズ撫でてと言わんばかり。
「嘘じゃろ」
 本当です。本当に災魔です。
「……倒さんといかんのか。くっ、こころが、いたい!」
 その時、胸を押さえ良心の呵責に苛まれる嵐吾に、救いが差し伸べられた。
「倒さなくても、いいのよ」
 嵐吾が、顔を上げる。
 女は、再び優しく声を掛けた。
「倒さなくても、いいの」
 だって、神の一声っていうかグリモア猟兵が予知してたんだもの。
 レイブルだった。
 淡々と、表情を崩さないまま女は告げる。
「寧ろ、倒してはいけないわ」
「レイブル嬢、うぬ……」
「危なくなったら、私に任せてちょうだい。全力で愛で……いえ、私が引き付けて誘導するから」
「うぬ……」
 その救いの主に、手はもふもふし続けたまま、視線を向けて、嵐吾は思わずこう言った――。

「物凄くてんしょん上がっとるじゃろ?」
「……。そんなことは、」

 多分、ある。

成功 🔵​🔵​🔴​

筧・清史郎
災魔の逆侵攻は防がねばならないな
それにこの暑さは……?
逆侵攻の『理由』究明と対処も行わねばだな

それはそうと、先日「もふもふは正義」だと聞いたが
折角の機会、それを体験させてもらおうかと(微笑み

災魔達をまずは観察
「みっちり詰まっているな」

皆に倣い、もふもふの礼節を弁え(?)もふもふしてみよう
「もふもふ、失礼する」
「これは……良い手触りだな」(もふもふ
「ふむ、全身で堪能するのもまた正義、なのか」(ぽふんっ
存分にもふもふ

その後、もふもふに感謝と敬意を込め
ひよこブレイドの【空華乱墜】で追い散らす

モフィンクスが語りかけてきたら会話を
「モフ、モフモフ」
真摯に向き合えば通じ合えるだろう(微笑み

アドリブ絡み歓迎




「……」
 みちぃっと道を塞いだモフィンクスを見ながら、清史郎は、先日聞いた言葉を思い出す。
 “もふもふは正義”。
 モフィンクスの詰まりを解消しがてら、折角の機会でもある。
 それを体験させてもらおうかという下心がないとは言わず。
 それでも迂闊に手を出さないのは、彼の冷静さ故だろうか。
 まずは一歩引いた位置から、じぃっと紅に青い光走る眼で、モフィンクス達を観察する。
「みっちり詰まっているな」
 見たまんまであるが、この状況は見捨ててもおけまい。
 いざ、解消に参らんとする前に、清史郎は律義にモフィンクスたちに向かって一礼した。
「もふもふ、失礼する」
 何事も礼節を弁えなければならないという生真面目さを発揮しつつ、漸く手を伸ばす。
「これは……良い手触りだな」
 なるほど、これが正義。
 確かに硯箱の姿では、体験できなかった感触だ。
 ヤドリガミとして人の姿を得るまでは感じることができなかった物の一つだろう。
 この感触がやみつきになるかどうかは、まだ判断しかねるが――、
「……楽しい」
 気はする。
 何となく、このもふもふふかふかと弾む手のリズムが、心を浮き立たせてくれるような。
 慎重派の彼でも、この平穏な災魔たちには少しばかり大胆な行動を取っても良いかと思えてしまう。
「ふむ、全身で堪能するのもまた正義、なのか」
 モフィンクスの壁に、抱きつくように両手を広げ、体重を駆ける。
 ふわふわに全身が優しく包み込まれ、ともすればうとうとしてしまいそうだ。
 ちらりと周囲を見れば、まだ皆もふもふタイムの真っ最中らしく。
(なら、俺ももう少しだけ)
 今暫くは、知らなかった楽しみに、身を浸すことにした。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイン・ローレンス
【WIZ】ロープワーク
うわー、ぽよっとしてもふっとしてますね!
私ぽっちゃりとした子大好きなんです…もふって良いですか?
もふもふに始まりもふもふに終わる、最高です。

「友の証」でぽんず(たぬき)とみりん(きつね)にも手伝って貰いましょう。
2体ずつぐらいなら問題無く運べますよね?
…もふもふがもふもふを運んでいるだなんて…可愛いです!
私は「生命の鞭」で何体か纏めて縛ってしまいましょう。
はい、あっち行ってて下さいねー。

え、何ですか?今欲しいものですか?
そうですね。心癒されるもふもふでしょうか!(抱きついて顔を埋めようとする)
こんなに可愛い災魔がいて良いんでしょうか…
ふふ、ぽんずとみりんの方が可愛いですよ




「うわー、ぽよっとしてもふっとしてますね!」
 アインが声を上げて、手をしっかりと胸の前で組み合わせた。
 短い手足に真ん丸ボディ。絶対素早く動けなさそうなこのフォルムがなんともそそる。
「私ぽっちゃりとした子大好きなんです……もふって良いですか?」
 問いかけても、モフィンクスは何も答えないが、無言は肯定の意と見做しても多分大丈夫。
 ということで、アインはモフィンクスを撫で始める。
(もふもふに始まりもふもふに終わる、最高です)
 真ん中がまるっと抜かされた気がするが、仕方ない。
 今アインはもふもふに浸っているのだ。
 そうだ、と、アインは呟いて、ユーベルコード≪友の証≫でぽちゃっとしたたぬきの『ぽんず』と、すらりとしたきつねの『みりん』を召喚した。
 運ぶのを手伝ってもらうその前に――、
 呼び出した二体を、ぎゅーっと抱きしめる。もふもふ。
 モフィンクスにも負けぬ立派な毛並みとふくよかさである。お友達を存分に愛でて、アインは身を離す。
「ぽんず、みりん、この子たちを運ぶのを手伝ってくれますか?」
 問いかければ、絆で結ばれた二体は喜んでと頷いて。
 ありがとうと、アインは微笑み、それぞれに2体ずつのモフィンクスを乗せる。
「……もふもふがもふもふを運んでいるだなんて……可愛いです!」
 きゃーっと黄色い声を上げて。
 更にモフィンクスを積んでモフィンクスピラミッド……というのも可愛いかもと一瞬心が揺れたものの、さすがに土台になっているのが友達なので、我慢我慢。
 自分もモフィンクスを運ぶ準備をする。
 【生命の鞭】をロープの代わりに、手近なモフィンクスたちをぐーるぐーる縛り上げた。
「はい、それじゃあ、あっち行ってて下さいねー」
 もふぅ……と鳴くモフィンクスたちと、二匹の友人を引き連れて、安全そうな場所に連れて行っては離し、また別の場所へ連れて行っては離しを繰り返す。
 その中で、稀に『モフッ、モフッ』と鳴きつつ欲しいものを問いかけるモフィンクスもおり。
 アインは、考えることもなく、にっこり笑うと、
「そうですね。心癒されるもふもふでしょうか!」
 と言って、モフィンクスが靄を放つよりも早く、ぎゅーっと抱きついて頬を摺り寄せる。
「こんなに可愛い災魔がいて良いんでしょうか……」
 しみじみと呟く姿を、これまた可愛らしい二匹が見上げているのに気付いて、精霊術士の女は、優しくモフィンクスを地面に下ろすと、たぬきときつねの頭を優しく撫でた。
「ふふ、大丈夫。ぽんずとみりんの方が可愛いですよ」

成功 🔵​🔵​🔴​

トジコ・イリングワース
モフィンクス。ワタシのデータベースには登録されてない災魔ネ。
追い払う作業しながら観察するアル。

モフィンクスが溜まってお団子になってる所に行っテ、積み重なったのを手で崩していくアル。アクビは効かないわヨ、ワタシサイボーグだかラ、眠らなくても平気だもノ。(もふもふもふ)
モフモフ背中を撫でながらあっち行ってねの催促するけド、動かないモフィンクスはワタシの大熊猫殴打棒で小突いて移動させるワ。ホラホラ。
なあニ、今欲しいモノ?そうネ……アナタたちモフィンクスかしラ。サンプルとして一匹連れて帰りたいのよネ。ダメ?


八幡・茜
何てことなの、でもオブビリオンは絶対に許さないわ!
絶対に、もふもふ、して、もふもふ、なんだから!

通路にみっちり詰まっていたり、壁をみっちり塞いでいたりするモフィンクスが居たらまずは抱えるわ!
それからゆっくりやさしくなでなでして、別の場所に移しつつ私の恐怖を教えてやるのよ!
ふ~、ふかふかしてて持って帰りたい。埋もれたい……はっ?!
この美人のおねーさんを骨抜きにするなんて、やるじゃないの!
なかなかそんな男居ないというのに!

実はほしいもの?
あなたの体よ! 裏返してお腹の部分に顔をつけてすりすりする、そのために、あなたの体が欲しいのよ!
別に一緒に居てほしくなんてないんだから、体だけが目当てなんだから!




 茜とトジコは、迷宮をあちこち回っては、通路に詰まっているモフィンクスや、壁のように積みあがっているモフィンクスたちを見つけては、地面に下ろしてやっていた。
 一体ずつ丁寧に下ろしていく茜と、わりと大雑把に崩していくトジコと、やり方はそれぞれ対照的であったが。
「あなたたち、こんなにゆっくりなのに、どうやって積み重なったのよ?」
 茜がよしよしと頭を撫でると、時折、満足げなもふんという声が聞こえる。
 何となく、茜も上機嫌になって、銀狐の立派なふさふさ尻尾をぱたぱた動かし。
 トジコはトジコで、そんなモフィンクスたちの様子をつぶさに観察していく。
 壁になっている子たちを崩す作業が済むと、茜は両腕にわらわらもふもふと抱きかかえて移動させ、トジコは言葉を掛けて移動を促す。
 モフィンクスたちがなかなか動かなくて、結局は大熊猫殴打棒で小突いて移動させたのだが。
「ホラホラ。動いテ、動いテ」
 安全そうな場所に到着すると、茜は地面に下ろして逃がす前に、
「ふふふ! 見知らぬ場所に連れて来られて、きっと内心おっかなびっくりしてるでしょうね! おねーさんの怖さが分かったかしら?」
 と、モフィンクスたちに知らしめてやるのも忘れない。
 モフィンクスたちに、その恐怖が伝わっているかは謎だけれど。
「アカ様、あんまり怖くない思うヨ」
 トジコも言うが、茜は「そんなことないわよ」と妙に自信満々で。
 二人でわっせほいせと運びながら、腕一杯に抱えていると、どうしても顔とモフィンクスたちの距離は近く、つい顔を埋めることもあり。
 茜は思わず、
「ふ~、ふかふかしてて持って帰りたい。埋もれたい……はっ?!」
 と、素直な欲求を口にして。
「埋もれたイ……かはさておキ、ワタシも持って帰りたいアル」
 サイボーグの身でも、妙に癖になるこの手触り。突っついていたはずのトジコも、もふもふもふもふと、両手でモフィンクスを左右から掴むようにしてもふり。
 トジコの同意に、茜はますます、モフィンクスに頬擦りしながら、
「この美人のおねーさんを骨抜きにするなんて、やるじゃないの! なかなかそんな男居ないというのに!」
 と、モフィンクスの魅惑的もふさを認めさえするのだ。
 だって、本当に気持ちいいものね!
 その時、一匹のモフィンクスが、二人へと質問を投げかける。
 欲しいものはなんだと問うその鳴き声は、モフィンクスの質問の答えを靄として具現化するユーベルコードだ。
 だが、茜もトジコも慌てず、動じず、堂々とその問いに答える。奇遇にも二人の答えは同じだったのだけれど――、
「なあニ、今欲しいモノ? そうネ……アナタたちモフィンクスかしラ」
「実はほしいもの? あなたの体よ!」
 おねーさんの言い方が、致命的にまずい。
 ファッ!? って顔して、一部の男性陣が振り返った。
 トジコは、ちらっとだけ茜を見たけど、何も言わなかった。

「サンプルとして一匹連れて帰りたいのよネ。ダメ?」
 トジコの捕捉に吊られるように、茜も理由を重ねた。
「裏返してお腹の部分に顔をつけてすりすりする、そのために、あなたの体が欲しいのよ!」
 更に付け足す。
「別に一緒に居てほしくなんてないんだから」
「体だけが目当てなんだから!」
 おねーさんの追撃が止まらない。
「だから、「アカ様、その辺りで止めといた方がいい思うヨ」
 最終的に、トジコも見かねてストップをかけた。
 二人の答えを聞いて、モフィンクスはもよもよと弱弱しい靄を放った、が、
 放った靄から、新たなモフィンクスは出て来なかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

白斑・物九郎
●POW
狩るのはぶっちゃけ容易そうですけども
かと言ってこんな輩ァ屠りまくった日にゃ超常の猟師・ワイルドハントの名折れっポい気がしなくもなく――

とりあえず自発的に退くよう働き掛けてみましょっかや

【獣撃身・黒】使用
俺めもでっかい猫に化けて、モフィンクス相手にぼちぼち接近しまさ

モフィンクスの近場で香箱座り
そんでもって軽く昼寝
中途、薄目開けてモフィンクスをチラッチラ見る
「ここは俺のナワバリやぞ。去ねや」ってカンジのオーラを出す

みかんエルフが言ってたトコの「あっち行っててねー」の働き掛けですわ
オラッこれでどうですよオラッ

モフィンクスがどっか行ってくれそうなら、迷宮進むのに邪魔にならなさゲなトコを勧めまさ




 一先ず、狩るのは見送ろうということで、モフィンクスたちに自発的に退くようなムーブを取ってみることにした物九郎は、ユーベルコード≪獣撃身・黒≫で巨大な猫の姿へと変化する。
 本来なら、このまま強烈な一撃をお見舞いするのだが……今回は、この猫の姿になる事そのものが目的だ。
 縦長の瞳孔走る金色の眼をぎらつかせ、特にモフィンクスたちが固まっているポイントを見つけるや、のたりのたりと、威圧感を引き連れて近づいていく。
 そうして、堂々たる風格を見せつけるように、モフィンクスたちのド真ん中に香箱座りでお邪魔して、軽く昼寝し始めた。
 お邪魔が生業の災魔に、お邪魔でもって返す。
 けれど、あからさまではなく、あくまで「俺めは、ただ昼寝しにこのイイ感じのポイントに来ただけですでよ」と言わんばかりの自然体を装って。
 リラックスした昼寝空間には目障りな災魔を、時折チラチラ見ながら、「ここは俺のナワバリやぞ。去ねや」と気配で主張する。
(オラッこれでどうですよオラッ)
 こんなまどろっこしい手で追っ払うのは、元来物九郎の性ではないのだろうが、どっかの蜜柑エルフが言ってたトコをわざわざ守ってくれる辺り、彼も大変律義である。
 ――良いですよ。その調子ですよ、物九郎さん――。
 どっかから、何かアホ毛電波が出ていたかもしれない。
 と、その時、
「めっちゃおっきいもふもふな子がいてはるわ~」
 のんびりとした声がして、物九郎の体に、何かがぎゅむんと抱きつく感触がした。
「他の子ぉらと違う感触やねぇ。でも、これはこれで気持ちええわぁ♪」
 スペースキャット。
 物九郎がフリーズした。
「ん? でも、何か他の子たちと形とかいろいろ違うなぁ?」
 結杜が、一歩、二歩、下がる。
 おっきな猫だと知って、少し考える。
 そういえば、似た色合いの猫ベースのキマイラの猟兵がいたような――……?
「あ、もしかして白斑様?」
 合点が行った様子で、問いかける。物九郎は、無言で肯定し。
 結杜は、やってもうたと微笑みつつも、元々人にくっつくのが大好きな性質だ。恥ずかしがる様子はなくて。
「あかんわ~、おっきいもふもふや~って嬉しくなって、ついやってまいました。堪忍な~?」
 ぱたぱたと手を振って、去って行く結杜を、呆気に取られて見送る物九郎の傍に、モフィンクスがわらわらと集まってくる。
 威圧感が失せたからだろう。
 化け猫は、しばらくじーっと結杜が去った方を見ていたが、集まって来たモフィンクスたちに気づくや否や、
「フシャァーーーー!!!」
 と威嚇し、災魔たちを散らしに掛かった。

成功 🔵​🔵​🔴​

レイブル・クライツァ
アルダワって、どうして可愛い敵ばっかり溢れそうになるのかしら……
もふらないとか、無理。
もふらせて欲しいわもふるのよ(真剣)
撫でたいというか撫でる。
邪魔にならないように誘導でどうにかなるっていう神の一声まで有るのだから、避難誘導並に徹底しちゃうわ。
道を逸れそうな子は何が好物か分からないけど(おやつ袋をひらひら振って)甘いのから辛いのまで取り揃えて、全力で愛でに来たから大丈夫よ?
……群がられそうなら、先陣切って誘導予定先に走るわ。

質問が飛んできたら、敵と言うよりもふり避難誘導に来たわ!とドストレートに告白しつつ
出来れば貴方達が逃げなきゃいけなくなった理由を何とかしたいの、って本題も素直に言うわ。


銀座・みよし
この迷宮は時としてこういう長閑な姿も見せるのですね…なごみます
…いえ、和んでばかりもいられぬのでございました!
モフィンクスさんたちを追い出さなくてはなりませぬ

というわけでして、まずは連れてきてるホルスさんに【先制攻撃】をお願いし、
その後わたくしが後ろで弓を用いて彼の【援護射撃】を行います
連携が大事でございますゆえに!
…まぁ、やってることは彼らにあっちに行っててねってだけなのでございますが

あまりにも動かぬようでしたらユーベルコード使用し、メジェドさんを呼びます
メジェドさんの眼力(見えませんけども!)ならば、モフィンクスたちもしぶしぶながらも動くかもしれませぬ!

(絡み・アドリブOKです




 みよしは、メイド見習いという立場もあるのか、それとも本人の真面目な性格もあるのか、もふのことはさておいて、モフィンクスを誘導すべし! という“お仕事”を果たすべく頑張っていた。
「それではホルスさん、お願いいたします!」
 ビーストマスターでもある彼女は、連れて来ていた隼【ホルスさん】を放ち、モフィンクスたちに先制攻撃を仕掛ける。……もちろん、威嚇だけで実際に傷つけようと言う気はないのだが。
「わたくしも、弓で援護いたします……」
「銀座さん。少し待ってもらえないかしら」
 みよしが弓を番えたそこへ、レイブルがヴェールを棚引かせ、颯爽と声を掛けた。
 弓を下ろして、みよしが振り返る。
「クライツァ様、どうかなさいましたか?」
 わたくしに何か不手際があったのかしらと、やや心配そうにするみよしに、レイブルは静かに首を横に振る。
「威圧行動では、モフィンクスが散り散りに逃げて、うまく誘導できないかも知れないわ。まずは、平和的な手段から試みてみましょう」
 冷静に語る様子には、なるほどと思わせる説得力があった。
 みよしは素直に、頷いて、一度ホルスさんを手元に呼び戻す。
「なるほど……確かにそうかも知れませんね。けれどどうやって」
「これを使いましょう」
 みよしが問いかけを全て口にする前に、レイブルはおやつ袋を取り出して見せる。
 中に入っているのは、甘いのから辛いのまで、多種多様に揃えらえたおやつだ。
「めっちゃ持ってきてますね!?」
 みよしだって、思わずちょっと素が出かけるレベル。
「何が好きなのか分からなかったから……」
 受け答えが絶妙にかみ合っていない。
 何せ、今この美女の脳内を締めているのは「もふらせて欲しいしもふる」と「撫でたいというか撫でる」この二つの念である。
 レイブルは、物凄く真剣にこの依頼に取り組んでいるのだ。
「まずは試してみましょう」
 みよしが見守る中、レイブルは、おやつをひとつ手に取り出してしゃがみ込み、近くのモフィンクスへと差し出す。
 もこもこのマズルでちゃんと嗅覚があるのか分からないが、差し出されたそれを、すんすんと嗅いで、モフィンクスはレイブルの手からおやつを食べた。
 好みの味だったのだろうか、もたもたとした動き、短い手足でレイブルの方へと歩み寄って来る。
「た、食べましたね……」
 レイブルは満足げに頷き、みよしにも同じ餌を手渡した。
「銀座さんも、一緒に誘導しましょう?」
「宜しいのですか?」
 それなら、断る謂れもない。
 みよしもおやつを受け取って、彼女に倣って座って少しずつモフィンクスたちを呼び寄せる。
 一匹が何かおいしいものをもらったらしいことを悟ったのか、近くのモフィンクスたちが二人に向かってのったりのったり歩み寄って来て。
 牛歩同然の歩みなので、多少時間はかかったものの、二人は大量のモフィンクスたちに囲まれることになった。
 撫でても撫でても、撫でてない子が途切れないぐらいに集まった。
 レイブルは胸中大変な満足感に浸り、みよしも何だかんだ、動物っぽいこの災魔をめいっぱいもふもふしたりして。
「では、このままゆっくり誘導いたしましょう」
「ええ、そうね。……私達は、貴方達が逃げなきゃいけなくなった理由を何とかしに来たのよ」
 だから、安心してもふられてね。
 眼差し優しくレイブルが言う横で、みよしがそっと(この方、今、避難誘導よりもふらせてもらうことを優先した……)と心の中でツッコんだ。 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ウサコ・ブラック
【POW】
もふもふでかわいいのよ!冬にぴったりで一匹お持ち帰りしたいのだわ!
え…だめ?

とりあえずモフィンクスさんに敵意がないのであれば、
「優しさ(優しく)」なでなでして、一旦現場から離れてくださーいってお願いするのよ

暴れまわる子がいたら、「怪力」で持ち上げて、現場から無理やりどかさせてもらうのよ!
あんまり暴れまわるようだったら「グラップル」を使ってぶん投げて黙らせるのよー。ユーべルコードは最後の手段ね。

いっぱいモフモフできたら嬉しいわね!


ユキノ・サーメッティア
もふ、もふもふ!
なにか迷宮内で、ちょっととうせんぼしちゃう子が出たみたいで
ちょいとどいてもらいましょうね~(建前)
モフモフらしいですよっ
これはもうモフるしかないでしょう(本音)

今一番欲しい物だって?
そ~れ~は~、もふもふだぁー!
(抱き着いてもふもふもふもふ…)
ぐったりしちゃうほどにもふっちゃって
それを見た別の子が引いちゃってるかもしれんのですー
…引いても【誘惑】や【誘き寄せ】でもふっちゃうけどね!

あぁー、もふもふの誘惑には抗えないのですー




『モフッ、モフッ』
 モフィンクスの問いかけに、
「今一番欲しい物だって?」
 ユキノはふふふと意味深な笑み浮かべ、自分に質問したモフィンクスににじり寄る。
「そ~れ~は~」
 射程範囲に入るや否や、がばーっと勢いよく飛び掛かり、
「もふもふだぁー!」
 捕獲したモフィンクスを抱き抱えると、思う存分にもふもふもふもふ……エンドレスもふもふを敢行した。
 さしもの動じぬ災魔モフィンクスも、ユキノの腕の中でぐったりしていたが、ユキノはそれで逃がしてやるほど甘くはない。
 あっちの子もこっちの子も、自身の誘き寄せる技術でもって引き寄せて、次々にもふもふの餌食にしていく。
「あぁー、もふもふの誘惑には抗えないのですー」
 両手にモフィンクスといった格好で、満足げに呟くユキノの傍では、ウサコもまたもふもふを満喫している最中だった。
 彼女は、もふもふすると同時にモフィンクスの誘導も試みていたが。
「一旦現場から離れてくださーい」
 優しく声を掛けながらの優しいもふもふ。
 けれど、災魔には梨の礫といった様子。抗うわけではないが、従ってくれるわけでもなさそうだ。
「うーん、どうすればいいのかしら」
 ウサコが考え込んでいれば、それを見ていたユキノがウサコに声を掛け。
「私だったら、その子たちを動かせちゃいますよー」
 ウサコが、うさ耳をぴくんと動かした。
「本当ですか?」
「えっへっへー。もちろんだよー」
 言って、ユキノがチッチッチと舌を鳴らして指を動かすと、どうしてだかもそもそユキノへと近づいて行くモフィンクスたち。
 ウサコが真似してみても、なかなか同じようにはいかないのが不思議だけれど……もそもそとユキノの周囲へ集うもふもふを見つめて、ウサコは首を傾げた。
 と、モフィンクスの群れに埋まりそうなユキノを見ていたら、ウサコに妙案が閃いて。
「ユキノさん、もっといっぱい、モフィンクスを集めてもらってもいい?」
 突然の提案に、ユキノは更に集まって来たモフィンクスをもこもこしつつ、目を瞬かせる。
「別にいいけど、どうしてー?」
「ちょっと楽しいことを思いついたの!」
 私もモフィンクスたちを集めて来るから、待っててねー! と言って、場を離れるウサコに、今度はユキノがはてと首を傾げる番だった。

 少しして、怪力を活かしていっぱいモフィンクスの山を積み上げて運んできたウサコが、丁寧にその子たちを地面に下ろした。
 その頃には、ユキノの近くにはまるで絨毯のようにモフィンクスたちが連なっていたが。
「おかえりー?」
「わー! たくさんなの! これなら十分なの!」
 喜ぶウサコと、未だ要領を得ず不思議がるユキノ。
 ウサコは集まったモフィンクスたちをみっちり並べさせると、その上にゆっくり静かに寝転がった。
 もふもふベッドである。
「ぜ、ぜいたく!」
 それを見て、ようやく理解したユキノも、ウサコを真似て寝転がる。
 小柄なウサコとユキノなら、モフィンクスたちを傷つけることも潰すこともなく、時折もふもふ自動で移動していくのが楽しくて、二人はきゃあきゃあ声を上げて楽しんだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

天通・ジン
まず、ダンジョンの構造を把握する。
情報端末を駆使して、【情報収集】だ。
「モフィンクスが隠れられる、逃げ込める場所」はないかな。
暇そうな猟兵が他にもいたら、探すの手伝って欲しい。
いくらデータを使っても、最終的には足で探すから、これはもう【SPD】の管轄のはず。

準備ができたら、モフィンクスたちの前に立ちはだかり、
「ほぅら、怖くない怖くない。安全な場所へ行こうな」
……って感じで、まずモフィンクスの警戒を解いて、安全な場所へ誘導しよう。
【地形の利用】は戦闘の基本。
無暗に殺してまわるなんて、俺はまっぴらごめんだからね

アクビされても大丈夫さ、きっと。俺には【覚悟】があるからな。

アドリブ歓迎


伏見川・結杜
はぁ~、めっちゃもふもふな子がおるや~ん♪
めっちゃかわええなぁ~♪
もふもふしてもええんやろうか。

一応右衛門、左衛門出しておくわ。
何かあるかもしれへんしな。
出来ればこんなかわええもふもふっ子いじめたくなしなぁ。
穏便に事が済めばそれでええしなぁ♪

ひとまず、このもふもふっ子達には別なところに移動してもらおか。
えらいすまんな~。危ないからちょっと別なところに移動しておいてな。
抱き上げて移動させてもらいますわ。
………でもちょっともふもふさせてもらいますわ~♪




「みんな満喫してるなぁ」
 思い思いにもふもふに興じる面々を見て、ジンが言う。
 ジンはもふりもそこそこに、モフィンクスの群れを散らしつつ、周辺の迷宮地図を足で埋め、かなりの範囲の迷宮地図を埋めていたのだ。
 散らしたとき頭の上に一匹モフィンクスが乗っかってたり、小脇に一匹抱えたりしてるけど、まぁ、それは良しとしておこう。
 意外と彼の白基調のパイロットに、オレンジ色が似合っていたりするし、いつものヘルメットの代わりに腕の中にぴったりフィットしている気もする。
「よし、もういいな」
 準備はできたと、ジンはモフィンクスたちの前に躍り出る。
 姿勢を低めに、可能な範囲で対象と目線を近づけ、優しい声で話しかけた。
「ほぅら、怖くない怖くない。安全な場所へ行こうな」
 逆に怪しい。
 二匹連れてるし、もふ攫いって感じがする。
 とはいえ、それで警戒して逃げるほど危機感のあるモフィンクスではないのだが。
「抱き上げて移動させた方が、早いかも知れへんねぇ」
 ひょいと、モフィンクスを抱き上げて、結杜が笑う。
「本当に警戒心がないんだな」
 結杜の腕の中から逃げようともしない様子をまじまじと見て、ジンは頬を掻き、彼女に倣ってもう一匹手近にいたモフィンクスを抱き上げた。
「こういうときに、俺の戦闘機があれば早いんだけど」
 何十匹を一度に運べるからね、と言いながらも、残念ながらその戦闘機は今ここにはなくて。
 結杜は、一体ずつやと時間が掛かるもんねぇと頷いた。
「ひとまず、このもふもふっ子達には別なところに移動してもらおか。移動させる場所、教えてもろてもええ?」
「ああ、もちろん」
 自分と、狛犬たちにもモフィンクスを背に乗っけさせて、少しでも多くの子を移動させようとして。
 ジンも、ちょっと無理してもう2・3匹抱えると、結杜に避難させる場所を示す。
「えらいすまんな~。危ないからちょっと別なところに移動しておいてな」
 子どもをあやすようにモフィンクスに優しい声で語り掛け、ちょっとの間。
「………でもちょっともふもふさせてもらいますわ~♪」
 空けてから、こちょこちょするように、手の中のモフィンクスの毛並みを楽しむ。
 やわやわ、ふわふわ、そしてちょっとぬくとい感触。
 楽しんでいる自分を見ている少年に、結杜は首を傾げた。
「天通様は、もふもふせぇへんの?」
「そういうのは、女の子が好きだよな。俺はあんまり自分からは――わっ!?」
「ほんなら、天通様も、もふもふしたろ~♪」
 言うが早いか、結杜は、ジンの顔に自分が持っていたモフィンクスをもふもふんとくっつけて。
「どう? 気持ちええやろ?」
 笑う少女に、口に毛が入ったと顔顰めつつも、満更でもない少年だったとか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

火狸・さつま
…も…モフィンク、ス…?(可愛い)
倒さんで良い、のか…(安堵)

そいじゃ行こうか
邪魔にならん場所まで


「何があった…?」
などと声掛けながら
時折もふもふ撫で
適当な広めの場所まで
ゆるゆると誘導
歩きたくない子が居れば、よしきたと抱き上げて
もふもふ堪能

流石に1匹では寂しかろうと
数匹ずつ適当な場所へ放牧して歩く
「ここいらで、どうだろうか。原因はちゃんと探ってくるから、安心してな」
撫でながら声を掛けて、別れを惜しみつつ
伝わるかはさておき、もう通路に密集するんじゃないぞと念を押して


モフィンクス達の誘導を終えれば、
何ぞ有りゃ、いつでも迎撃出来るよう注意しつつ
原因探るべく暑さの増す不可解な深層へと更に進む




「何があった……?」
 さつまが、災魔に問いかける。
『もふぅ……』
 日頃、獣の姿で生活しているさつまに、獣でもない癖にシンパシーでも感じているのだろうか。
 モフィンクスが鳴いて答える。
 さつまは頷き返し、一先ずは移動を優先しようと多くは聞かず、モフィンクスたちを邪魔にならない場所へと移動させる。
 自分とはまた違った毛質の手触りに、うん、うん、と一人頷きつつ。
 何匹かのモフィンクスを連れて、さつまは、通り道で見つけておいた広いスペースへとやって来る。 
 その頃には、歩きたくないモフィンクスで腕も背もいっぱいになっていたが。
 それもまた良しという顔で、妖狐の青年は満足げな面持ちで。
 別れるまでにはまだ時間があるかと、座り込んで語り掛ける。
「何か危ない目にあったのか……?」
 シャンプーするときのように、両手でわしゃわしゃと毛をかき混ぜてやると、
『もふぅ……』
 質問への肯定なのか、気持ち良さに零れた鳴き声なのか分からない返事。
 ぷるぷると震えているのを指先で感じれば、そうかとさつまは頷いて、落ち着かせるように一層丁寧にもふもふと撫でる。
 やがて、震えが収まってきたように感じて、さつまはモフィンクスを膝から降りさせた。
 一匹では寂しいだろうと、連れてきた何匹かを、固まり過ぎないように広間のあちこちにばらけさせて。
「ここいらで、どうだろうか。原因はちゃんと探ってくるから、安心してな」
 膝に乗っていた一匹の元へ戻って来ると、優しく声を掛けた。
 今度はモフィンクスも鳴かずに、寝てるのか起きてるのか分からない顔を、さつまに向けるのみで。
 最後にもう一度よしよしと撫ぜて、踵を返す。
 ……と、思いきや、思い出したようにもう一度振り返り、
「もう、通路に密集するんじゃないぞ」
 言い含めて、先へと向かった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイシア・オブリオン
モフィンクス……色々原因は気になるけど、まずは誘導かな。
逃げるのをもふっと、向かってくるのをもふっと。
持ち上げ抱き上げもふもふして、別の方向に誘導していくよ。
そーらそら、こっちはダメだぞ。あっちへ行かないと、こっちにはデカいロジャーがいるからねー。通れないぞー……ってね。

それにしても一体何があったのか……気になるね、もふもふ。




「つーかまーえたーっ」
 アイシアが、もふっとぎゅむっと、両手に抱えられるだけのモフィンクスを抱え込む。
 追いかければ、多少逃げるものもいるが、逃げないものの方が圧倒的に多く、これはこれで捕獲が楽ではある。
 抱えたモフィンクスをもふもふしながら、相棒ロジャーの元へと向かう。
 ロジャーの足元には、逃げ場をなくしてその場に腰を落ち着けたモフィンクスがいて。
 アイシアは、腕の中のモフィンクスをその子たちと一緒にしてやる。
 それから自分は背の高いロジャーをよじ登り、少し屈んだ姿勢にして、再び降り、モフィンクスたちをロジャーの中に放り込んだ。
「こうすれば一気に移動できるよね」
 モフィンクスを潰さないようにしながら、アイシアはロジャーに乗り込んで。
 もふもふで満杯のそこは、まるでもふもふ風呂とでもいうような有様。
 ロジャーが移動で揺れる度に、中のアイシアも、モフィンクスたちも、ころんころん揺れる。
「ふふっ、くすぐったい」
 思わず笑ってしまう。そんな中でもロジャーの操縦を間違えたりはしないのだけれど。

 移動の道すがら、ロジャーで通せんぼしながら、モフィンクスたちを追い立てていけば、アイシアは、何となく違和感を覚える。
 みんなが追い立ててもほとんど動じなかったモフィンクスたちが、ロジャーが追い立てていくと何だか妙に慌てて動く気がするのだ。
「一体何があったんだろ……」
 ロジャーが大きいから怖がっているだけ? それとも――、
「気になるね、ロジャー」
 言って、再びアイシアは、膝に乗っていたモフィンクスをもふもふした。


「何をやっとるんじゃ、なれ」
 もふもふを満喫し終え、狐火で災魔たちを散らしていた嵐吾が、見かけた奇妙な光景に思わず声を掛けた。
 それは、
「いや、どうもモフィンクスたちが話があるようだった故」
 清史郎が正座をしてモフィンクスに向き合って「モフモフ」話しかけている姿であった。
『もふ、もふ……』
「モフ、モフモフ」
 なるほどそうかと、真剣な面持ちで真摯にモフィンクスに向き合っているのが、微笑ましくもあるが、少し面白くもある。
 一通り会話を済ませた後、清史郎は正座を崩して、徐に立ち上がった。
「それで、なんぞ分かったか?」
「ああ、……この先に、何か大きな、恐ろしいものがいるらしい」
 真面目な顔で答える清史郎に、嵐吾があからさま驚きを見せて。
「本当に通じおったのか!?」
「誠心誠意、心を込めて向き合えば、通じ合うものだ」
 言って、清史郎が微笑んだ。

 そんなこんなで、思う存分にもふもふを満喫した一行は、その後も、モフィンクスたちが固まっている場所を崩したり、散らしたりしながら進んで行った。
 迷宮の、更なる深部へ。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『スチームドレイク』

POW   :    スチームフレイム
【口内から射出される「錬金術の炎」 】が命中した対象を燃やす。放たれた【紅蓮の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    頭部連装機関砲
【頭部連装機関砲 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    スチームファイア
レベル×1個の【錬金術 】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアイシア・オブリオンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 【第2章の受付は、当方の都合により、25日8時30分以降からと致します。
  期間が短くて申し訳ありませんが、27日いっぱいぐらいを目安に考えております。
  25日までに追加OPも出しますので、宜しければそちらもプレイングの御参考に。
  どうぞよろしくお願いいたします。】

 モフィンクスのいた階層から二つほど下ったフロアに降り立った猟兵たちは、そこに広がる光景、その異質さに言葉を失った。
 階段は確かに一層分程度でしかなかったはずなのに、そのフロアの天井は悠に建築物5・6階建程の高さがあり、通路の両脇の壁には謎の配管が張り巡らされていた。
 迷宮内は絶えず、グゴングゴンという何かしらの駆動音で満たされ、時折、配管から排出される蒸気の音がそれを遮る。
 通路こそ広いが、雑多に物を寄せ集め、管で無理やりに繋ぎ合わせたような迷宮はどこか窮屈で、

「これは、まるでーー」

 九龍城砦のようだと、誰かが呟いた。
 なるほど、噂に聞くかの魔窟の一部を切り抜き迷宮へと押し込めれば、このように見えるかも知れない。

 迷宮は、その熱と駆動音とで、まるで生き物の肚の中のようであった。
 そしてこの異質は、先刻まで無害な災魔と戯れ解れていた猟兵たちの気持ちを引き締めるのに十分でもあった。
 猟兵たちは慎重に進み、やがてこのフロアの熱、そしてモフィンクスたちが上層へと“逃げなければならなくなった”理由に遭遇する。

 災魔『スチームドレイク』ーー。

 この迷宮を我が物顔で這いずり回る、恐るべき巨大な火龍!
 やつが目指す先はただ一つ。アルダワ地下迷宮の出口、アルダワ魔法学園と、その外の世界だ。それが叶えばどうなるかは、猟兵たちは皆、誰に言われるでもなく知っているはずだろう。

 誰かが壁をちらりと見た。
 配管は足場として用いることができ、立体的に動く助けとなりそうだ。
 うまくすればスチームドレイクの攻撃を回避することや攻撃に用いることができるだろう。
 また、配管には所々に人間の大きさなら潜り込める程度の隙間があり、これもまたスチームドレイクの炎を避けるときに使えそうだ。
 ただしご注意あれ。ここは迷宮。袋小路に追い詰められれば、吐き出される炎から逃れるのは困難となろう。
 熱は体力を奪い、蒸気は時に敵となる。ここは、スチームドレイクの領分なのだ。

 『九龍蒸気迷宮』。
 災炎を撒き散らすこの火龍は、今ここで、何としても止めなければならないーー!!

「アインちゃんトジコちゃん、遊びに来たでー!」
 迷宮の駆動音を割って、明るい声が響く。それは、本人の言うように『遊びに来た』かのような気楽さ。
 現れたのは灰白黒の三色毛が特徴的なオラトリオの青年、柊・雄鷹(sky jumper・f00985)。そして、その後ろに、
「うわ。何ですかここ、上の階にも増して、蒸し暑いですね」
 と、不愉快そうに眉間に皺を寄せる夏目・晴夜(不夜狼・f00145)の姿があった。
「雄鷹くん、晴夜くん、来てくれたんですね」
 遊びに? と、アインが首を傾げると、雄鷹は笑って手を振って、先の発言を取り消す仕草。
「……嘘嘘!! お助けキャラ雄鷹くんの登場やっ」
「ユタ様ハレ様、お助け感謝アル」
 先にアインと合流していたトジコは、頼もしい援軍の登場に、頷いて二人を迎える。
「んで、敵は――」
 雄鷹が尋ねようとした瞬間、晴夜の獣の耳がピクリと動いて、ある方向を向いた。曲がり角のその先、姿はまだ見えないが、近づいてくる熱と金属同士がぶつかる音……。
「何や、すぐそこにおるんやん」
 それぞれ形の異なる五本のダガー。その内の一本を抜いて、オラトリオの青年は笑みを浮かべた。
 やがて姿を見せた巨大な機械火龍と対峙して、晴夜は夜を思わせる紫を細めて告げる。
「このハレルヤが褒め称えられる足掛かり、そして今回は後に待っているもふもふのため、あなたには早急に倒されてもらいます」
 晴夜の言葉に先に触れあったもふもふモフィンクスの姿を思い出し、敵のみに向ける厳しい瞳を煌めかせアインは続ける。
「もっふり可愛いモフィンクスちゃんたちを虐めていたのはあなたですね? 許しません」
「……は? 何ですか、モフィンクスって。もっふり可愛いって」
 キメたばかりのハレルヤが、アインの言葉に思わずそちらを振り返った。
「モフィンクスは、さっきまでワタシとアイ様がもふったり散らしたりしてた災魔ネ」
 トジコが先ほどまでの任務について、かくかくしかじか、新たに登録されたモフィンクスのデータを交えながら晴夜と雄鷹に説明をする。
「この龍もデータベースに無い子、興味深いけド……観察は無理そうだワ」
 説明を受けて、晴夜がじとりと二人をねめつけた。
「確かに目の前にいる敵も興味深いですけれども……何故もっと早く教えて下さらなかったのですか」
「晴夜くんごめんなさい! これを乗り切れば動物たちが待ってますし、アイス奢るので許して下さい」
 口を尖らせる晴夜の機嫌を直そうと、アインが両手を合わせてそんな提案をして。
 それを見ていた雄鷹も、相棒の肩を軽く叩き、まぁまぁと宥めて笑う。
「ほれほれハレちゃんも! 拗ねてないでガツンガツン行くでっ!」
「別に拗ねてはいませんが、もふり損ねてしまったではないですか」
「安心するアル。この後、もふり放題ネ」
 トジコがスチームで曇った丸眼鏡を拭い、掛け直して言った。
「あいつを倒すのが先だけどネ」

「えっ、さっきまであんなにもふを堪能させておきながら、もふではない、だ、と……」
 ショックを受けているのは、晴夜だけではなかった。琥珀色の目を見開いて、嵐吾は衝撃顕わに敵を見る。
 モフィンクスを凌駕するレベルのもふもふなボスが出てきてくれると期待していたにも関わらず、出て来たボスにはもこもこ毛皮の毛の字もない。
 モクモクはしてたかも知れない。スチーム的な意味で。でも、それは彼の望んでいたものではなく、自慢の尻尾も元気なさげで。
 自分の方がもふもふなことを確かめに来たはずの青年が、もふもふがいなくなった事にショックを受けるその隣で、清史郎はやはり冷静に敵を見据えて呟く。
「モフィンクスから聞いた存在、そして暑さの元凶は、この火龍か」
 詳細までは伝わらなかったが、心は確かに通じていたモフィンクスたち。
 彼らの恐れる災魔とはこの機工龍に違いないと清史郎は確信する。
「成る程、ね……」
 同様に、レイブルも全てを理解したという声で零した。
「もふ共の言う通りじゃったな、あんなデカイのがおるとは」
 こうも蒸していると、自慢のもふもふの毛も湿度でしんなりじゃとぼやきつつ、嵐吾は頬に張り付いた髪の毛を頭を左右に振って払う。
「あつーい! 熱で空気がゆらゆらしてるのよ!」
 スチームドレイクの周囲は、陽炎のように景色が揺らぐ。熱にはそんなに強くないウサコも思わず声を上げ、はーっと息を吐いた。
 物九郎が額に張り付いた白斑の髪の毛を引っぺがして、ピンで留め直した。
「アレだけ熱溜め込んでるってコトは、結構な大火力を積んでるみたいじゃニャーですか」
 仕草は少し“招き猫”のポーズに似ていた。狩りを前にした表情は先ほどよりも楽しげで。
「焼きモフィンクスなんて嫌よ。あの毛並みは癖になる逸品なんだから」
 片やレイブルは、揺るがない顔。真剣なその目は、スチームドレイクから微塵も揺るがず。
「もふもふ感がなくなって残念なのよ」
 しゅんと黒い耳が垂れ下がる。しょげるウサコの横、カランと下駄の音を鳴らし、
「いかつい装甲、余り物の部品を無理やりつなぎ合わせたような体……ふふふ、なんだか浪漫あふれる姿ね、おねーさんこういう子も大好きよ!」
 同じ妖狐でも、嵐吾とはかなりのテンションの高低差。茜がスチームドレイクの姿に声を上げる。
 白銀の尻尾は機嫌よく左右にゆらりゆらりと揺れていて。
「俺も嫌いではないかな――と、よし、この天上の高さなら……」
 天上の高さと通路の幅を目測で計りながら、ジンが茜に同意する。
 最新でも旧式でも、機械というのは、やはり少年の心をくすぐるもので。とは言え、自分の愛機以上に格好いいマシンなんてないわけだが。
「しかし、茜は元気だな」
 マイペースな二人の様子に緊張、仄かに和らいで、清史郎が声を掛ける。
「ふふふ、もちろん! おねーさんはいつでも元気よ!」
 茜は、パチンと明るい青の瞳を片方閉じ応じた。
「でも、どんなにカッコ良くても、悪い子にはおしおきしないといけないわね」
「うむ。もふでもなく、ましてや人害を成す存在ならば、此処で討ち取るのみ」
 鈴の音と鯉口を切る音が重なって。更にそこへと加わる声の、
「迷宮を貴方の私物にされたら堪らないわ。覚悟なさい?」
 三種類の音が、涼やかに響き。
 さつまは青い瞳でただただ、じっとスチームドレイクを見ていた。
 周囲の話、そして目の前の敵の威圧感から、モフィンクスを追い立てたのが誰かは明白だろう。
 だが、どうしても自分の口で問いたかった。
 寡黙な青年は、口を開く。
「モフィンクス達を追いやったのはお前さんか……?」
 機械仕掛けの火龍には、応えるどころか鳴き声すら存在しない。
 だが、問いかけただけで十分だ。さつまは身構える。

 皆の声に吊られるように、少女はぽつり、呟く。
「何となくだけど、あいつは、私じゃなきゃ止められない気がするよ……」
 相棒の操縦フレームを撫で、息を大きく吸い込む。喉が焼けるような熱が肺を満たして、体中を巡る。

「さあ、行くよロジャー! 私たちがあいつを止めるんだ!!」
 アイシアの声に、魔導蒸気機械【ジョリー・ロジャー】は発進した!
天通・ジン
天井は悠に建築物5・6階建程の高さがあるフロア……つまり、飛行機は飛ばせるな!

【経亜空間緊急出動】で地上機を召喚、それに乗り込んで戦うよ。
這いずる火龍を相手にするなら、空から撃ちおろすに如くはない。

飛ばす際は、配管や噴き出る蒸気、熱に注意する。
繊細な操縦で、それらの危険を回避する。
無理に仕留めることは狙わない。
スチームドレイクを追い詰めることを主目的にするよ。
俺が空を制する限り、相手は不利を強いられるからね。

必要なら、戦闘機に誰か一人ぐらいは乗せられるかもしれない。
味方の支援要請には、積極的に応ずる。

アドリブ歓迎


ウサコ・ブラック
あつーい!もふもふ感がなくなって残念なのよ

とりあえずPOWで勝負するのよ!
とにかくスキを見つけて「気合い」「怪力」をのせてにゅういんを叩き込むしかないのよ!
なんか金属っぽいし「鎧砕き」も役に立つといいなーなんて

とりあえずスキを見つけるのが難しいわねー
熱に強いわけではないし…
というわけで誰かがスキを作るか、スキができるまで隠れるのよ!
せっかくなので配管を使わせてもらうのだわ
ブラックスライムだしある程度伸縮できるし、まだ子供だから少しくらい小さくても隠れられるのだわ!

かくれんぼはおまかせなのよーーー


筧・清史郎
嵐吾(f05366)と共に参ろう

モフィンクスから聞いた存在、そして暑さの元凶は、この火龍か
もふでもなく、ましてや人害を成す存在ならば、此処で討ち取るのみ

嵐吾の声に頷き、敵の懐へ入り、命中重視の【桜華葬閃】
「閃き散れ、黄泉桜」
【2回攻撃】で確実に衝撃を重ねていく

火龍の炎は【第六感】や【残像】で【見切り】、
追い詰められぬよう【地形の利用】で配管を足場に、【空中戦】で【カウンター】を見舞おう
多少の炎は【火炎耐性】で耐え、視界阻む蒸気共々【花振舞】で【なぎ払い】
「その程度の炎、桜吹雪で消し飛ばしてみせよう」
嵐吾に背中は任せ、積極的に斬り込む
火龍が弱ってきたら攻撃力重視の【桜華葬閃】で一気に片を付けよう


レイブル・クライツァ
成る程、ね……
焼きモフィンクスなんて嫌よ。あの毛並みは癖になる逸品なんだから(真剣な目で)
別にサウナを迷宮に求めてはいないし、蒸気は身近な物だから
駆除に限るわね。覚悟なさい?
迷宮をスチームドレイクの私物にされたら堪らないわ

配管の隙間の位置取りは、常に逃げ込める場所が近くに有るのを確認しつつ
最悪、火炎耐性ゴリ押しで、燃焼部分を地面に押し付けて消火。
上から頭を狙ってスパン!って出来たら気持ち良さそうだから、巫覡載霊の舞で狙えるならやってみるわ。
可愛い物の脅威には容赦無いのよ、私。
逆に、袋小路に追い詰めてフルボッコする位じゃないと許されない位よ。
この後のお楽しみの為にも、消えて貰うわよ。覚悟なさい?


八幡・茜
いかつい装甲、余り物の部品を無理やりつなぎ合わせたような体
ふふふ、なんだか浪漫あふれる姿ね、おねーさんこういう子も大好きよ!

おねーさんあまり動き回るの得意じゃないから、配管を使って攻撃と回避をするとしようかしら
まずは配管のどことどこが繋がっているかをちゃんと確認しておくわ
他にも同じようなことをやってる人がいたら、情報をすり合わせて素早く正確に
変なところに迷い込みそうな人とかが居たらこっちよー! とか声もかけるわ
それが終わったらあとは、なんか光ってる心臓部とか細い部品の部分とかねらってフォックスファイアで焼くわね!

ふふふ、この美人のおねーさんのフォックスファイアとあなたの炎、どっちが強いかしら!


火狸・さつま
モフィンクス達を追いやったのはお前さんか…?


【POW】
立ち位置や戦況により臨機応変に対応
他の仲間達と声を掛け合い連携をとり立ち向かう


【グラウンドクラッシャー】にて【先制攻撃】狙う


敵からの攻撃は【見切り】にて避けるか【火炎耐性・オーラ防御】にて防ぐ
受けたダメージは【激痛耐性】にて凌ぎつつ攻撃

窮地に陥り、味方共々危ない場合【捨て身の一撃】を繰り出す




「ロジャー、あいつを抑えこめ!」
 アイシアがロジャーを駆り立て、スチームドレイクの抑止に動く。ロジャーの巨体を活かして仲間たちを敵の視界から遮り、自分に注意を引き付けながら、攻撃を繰り返す。
 さつまもまた、先制の一撃を狙い、斧を叩きつける《グラウンドクラッシャー》を見舞う。スチームドレイクの装甲に亀裂が走り、強烈な一撃の余波は迷宮の床にも及んだ。めり込み、走りにくくなった地面はアイシアが敵の足を止めておくのにも役立つだろう。
 ロジャーとさつまに向けて、龍の口内の排出筒から火炎が放出される。
 体の大きなロジャーは避け難く、炎が機体をかすったものの、さしたるダメージではない。
 さつまも、炎を見切って直撃は避けた上、掛かる火の粉もオーラの力で防ぎ、ほとんど無傷のままで安定している。
 その間に猟兵たちは床を蹴り、各方向へと散る。
 配管を足場に火龍の側面、上方、後方等に回り込む者もいれば、配管の隙間に潜り込む者もいる。皆、的を一所に集める危険性は十分に理解している。
 敵が攻撃動作に移るよりも先に、誰と言わず歪に組み上げられた壁を利用して駆けていく。
 物九郎は、《砂嵐の王・単騎行軍(ワイルドハント・エグザイル)》を発動し、自身の体にモザイク状の空間を宿らせると、難なく配管を掴み、高い位置へと移動して。
 ウサコも、ブラックタール特有の柔軟な体と子どもながらの小柄さを活かし、配管の隙間に潜り込む。
(とりあえずスキを見つけるのが難しいわねー)
 攻撃の回避自体はこの方法を用いれば危なげなく行えるだろうが、熱が得意でないウサコは慎重に、まだ攻め時ではないと物陰から敵の様子を伺い覗く。
(ひとまずは、このまま様子を見ましょう。かくれんぼはおまかせなのよーーー)
 配管の陰に浮かぶ白い眼ふたつ。ぱちぱちと鬼さんに見つからないよう、息を潜めて。
 物九郎も、上方から獲物の動きを具に観察して。
 レイブルは配管には登らず、けれど、逃げ込める隙間は確実に確保する立ち回りで堅実に敵から付かず離れずの場所を位置取っていた。
 まずは敵の攻撃の射程外へと移動しながら、茜の視線は絶えず動き、配管の巡らされる形を素早く把握していく。
 同時に、分かる範囲で仲間たちのポジションを確認することも忘れない。
(レイブルさんは大丈夫そうね。それから――ウサコさんもうまく隠れてるみたい! よしよし、みんな優秀ね!)
 そんな中、ふと見れば、一人その場から動かずに残った者がいた。ジンだ。
 茜が手を振って、彼にこちらが安全だと知らせようとすると、ジンはにこりと茜に笑顔を返す。その表情には、大丈夫だという自信が満ちていて。――もちろん、ジンは、策なしで場に留まるようなことはしない。彼もまた手立てを考えていた。
 ジンは情報端末を操作し、時空を隔てた先にいる相棒へと指令を発信する。
「いいぜ、緊急発進だ。来い!」
 彼の言葉に呼応するように、ユーベルコード≪経亜空間緊急出動(アラーム・シュタルト)≫が発動し、揺らめく空間を割いて戦闘機が出現した。
 ジンは素早く乗り込むと、轟音を響かせて機体を空中へと舞い上がらせる。飛び立った直後、ジンがいた場所へと銃弾の雨霰が注いだ。
 少年はひゅうと口笛鳴らすと、マイクのスイッチを入れた。声を仲間たちへと降らせる。
「上空から支援するぜ!」
 その通信とともに、機銃での牽制射撃がスチームドレイク目掛けて発射される。
 仲間には当たらないように配慮された攻撃から、パイロットの腕前が並でない事が知れるだろう。
 機体は一度火龍の上空を通過し、狭い室内、煙る蒸気に細心の注意を払って切り返し、再び上空から掃射して飛んで行く。

「ほう、これは頼もしいのう」
 上空を舞う機体と、火龍を抑え込もうとするロジャーを見遣り、嵐吾は言う。
 負けてはおられぬと、同じ方向に回り込んだ清史郎に視線を合せ、
「わしも援護しよう、清史郎殿、前を頼む」
 簡潔なコンタクト。それで十分と、清史郎は頷き前へと踏み込む。
 正面でないとはいえ、敵も無抵抗ではない。赤金の体を振るい、尾で猟兵たちを弾き飛ばそうと足掻く。
「そうはさせぬよ」
 進路を阻もうとする尾の攻撃を、火球が弾き飛ばす。
 狐火に支援を受けながら、清史郎は素早く身を低くして狙いの反れた尾の攻撃を掻い潜り、巨体の懐へと潜り込んだ。刀の間合いへと入ったならば、外さぬように狙い定めて刀を振るう。
「閃き散れ、黄泉桜」
 蒼が、二度、閃いた。
 桜の舞う様、あるいは文字を綴る様に似た不規則な軌道。大きな体に狭い迷宮では尚のこと避けるのは容易ではない。
 金属同士が触れあって鳴るはずの音は響かなかったにも関わらず、機工龍の胴体には刃の軌跡がしかと刻み付けられ……清史郎の≪桜華葬閃(オウカソウセン)≫の鋭さを物語っていて。
 ガパリ。
 ドレイクの上下の牙が大きく開かれる。口の中に備えられた火炎の噴出孔が清史郎を捉える。
 攻撃に気を緩めることなく、剣士は攻撃を警戒し退く。
 読まれた攻撃は青年に大きなダメージを与えることは叶わず、吐き出された炎の余波すら青年の結った藍髪を焦がす前に、
「わしの狐火の方が凶暴じゃ」
 その炎を打ち払う者に阻まれる。
 嵐吾が、勝ち誇ったように口の端をにっと上げた。

 二人、そして二機が注意を引き付けている隙を見て、ウサコはするると隙間から抜け出すと、機工龍へと走って近づく。
 熱にも怯まぬ心意気で一気に至近の距離まで駆け寄ると、そのままの勢いで《にゅういん》を繰り出す。
 ウサコのふわふわのおててが、その柔らかさと可愛らしさに見合わぬ威力で敵へと打ち込まれる!
 スチームドレイクの分厚い装甲に、くっきりとおてての形が残されて。
 しかし、間髪入れずに火龍の顔はウサコへと向けられる。
 小さなブラックタールに火をつけようと、鎌首が下がり気味に調整されて、いざ炎を吐こうとしたその瞬間――、
「可愛い物の脅威には容赦無いのよ、私」
 レイブルの【白黒】が、黒の少女を助けようと、衝撃波を伴って打ち振るわれる。上から下へと、真っすぐに振り抜かれた一閃は、開かれたその口を再び閉じ直し、攻撃を阻んだ。
「クライツァさん、ありがとうなのよ!」
 ウサコが退いて、安全に攻撃をするために今度は別の死角へと回り込む。
 レイブルは薙刀を優雅に取り回し、攻撃に適した構えに携え直した。
 ロジャーの攻撃に合わせ、その逆側から敵を追い立てるような気迫で薙刀を振るっていく。
「おかえしなのよー!!」
 ウサコが再び拳を振り下ろすと、それに合わせて、後方から放たれた狐火の炎がスチームドレイクの胸部に着弾する。
 放った妖狐は、自身の周囲に狐火を浮かべて、妖しげに微笑浮かべて、
「ふふふ、この美人のおねーさんのフォックスファイアとあなたの炎、どっちが強いかしら!」
 勝負しましょう! と、次の炎を敵へと嗾けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

白斑・物九郎
●SPD
結構な大火力を積んでるみたいじゃニャーですか

となりゃ回避一択ですわ
そのヘンの【地形を利用】、遮蔽に使って火線を掻い潜るなり、距離を置いて隠れ潜んで敵攻勢が落ち着くのを待ってみるなり

【砂嵐の王・単騎行軍】!
腕でも脚でもニュッと伸ばして、高所の配管に取り付いて昇ったりするのも適宜視野に入れますわ

敵に地形を駆使されて追い詰められやしないかっていう懸念?
そこは、敵が追い込み猟っポい動きに入ってたりしないか【野生の勘】で察して立ち回りまさ

隙を突いて両腕伸ばして敵頭部をホールドに掛かる【グラップル(怪力込)】
その状態から腕を超弾力で「戻して」、ドタマにドロップキックブチ込んでやりますわ(気絶攻撃)




 猟兵たちの連携に、敵の注意が向いている今ならばと、物九郎も動く。
 自在に伸縮する体を活かし、敵の後ろ上方の天井へと移動すると、その位置からギュンと高速で両腕を伸ばし、巨大なその頭部を抱え込む。
 力で抑え込みながら、続けて伸ばしたままの腕を再び高速で、今度は元の長さに戻しに掛かれば、自然、体は天井を離れてロケットのような勢いでスチームドレイクへと突っ込んでいく形となって。
「このまま、ドタマにブチ込んでやりまさァ!!」
 両足揃えて、敵の頭部を意識諸共蹴り飛ばさんとするが――、抑え込まれた龍の頭が、ギチギチと音を立てて無理やりに側面を向ける。龍の側頭部――備えられているのは機関砲だ。
「チィッ……構うもんですかよ!!」
 空中での方向転換は難しい。発射直後なら、足を伸ばして体を引き戻す事もできただろうが――物九郎は敵の挙動の読み違いに一瞬は顔を顰めるも、それで一々取り乱すようなタマではない。ブチ殺せりゃいいんスよ、ブチ殺せりゃと、益々伸縮を速めて加速する。
 絡まった腕で精密に狙いを定められないとはいえ、何発もの弾が物九郎の体にめり込んで。
 けれど、一撃の重さならば、
「ウラァッ!!!!」
 この大砲の如き一撃とは比べようもない。
 火龍に一撃喰らわせ、そのまま、物九郎は地面に落ちる。
 すぐに起き上がり、口の中の血と一緒に、歯で受け止めた銃弾を地面に吐き出す。
「クッソマズいモン喰らわせてんじゃニャーっスよ」
 ついでに、不機嫌な悪態も吐いた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​



「ロジャー、がんばって!!」
 傷ついた物九郎を見て、アイシアがロジャーに声援を送る。けれど、重量の差もあり完全に抑え込むにはそろそろ限界が近い。
 顔を顰め、已む無くアイシアは一時スチームドレイクから距離を離す。
柊・雄鷹
【サイハテ】と一緒に参戦!
【POW】アインちゃんトジコちゃん、遊びに来たでー!
…嘘嘘!!お助けキャラ雄鷹くんの登場やっ
ほれほれハレちゃんも!拗ねてないでガツンガツン行くでっ!

めっちゃあれやな、皆もっふもふの技やない?
ってことで、ワイも『御鳥番衆』使わせてもらおかっ!
ワイの故郷の精霊たちや、派手に暴れて来い!!!
視界を埋めて攻撃してる間に、ダガーちゃんも【投擲】して攻撃
5本もあるんや、遠慮せず喰らっとけ!

女の子が攻撃されそうになったら【かばう】
だってほら、ワイは男の子やからっ
アイスはワイが買うたるから、
アインちゃんトジコちゃん何食べるか決めときー
あ、ハレちゃんに買う金はないからな


アイン・ローレンス
【サイハテ】と
【POW】
もっふり可愛いモフィンクスちゃんたちを虐めていたのはあなたですね? 許しません
晴夜くんごめんなさい!これを乗り切れば動物たちが待ってますし、アイス奢るので許して下さい
まあ雄鷹くんイケメンさん!では遠慮なくかばって貰いますね
なんて可愛いパンダちゃんたち…トジコちゃんあとでもふもふさせて下さい

「友の現身」でメープル(ツキノワグマ)にも手伝って貰いましょう
背中合わせに発動し、敵を挟み込む様に位置取り
「生命の鞭」で私は尻尾を、メープルは頭を縛り付けます
ついでに【属性攻撃】氷を纏わせ口を凍らせてみましょうか
このまま引っ張って…継ぎ目を晒しなさい
炎は【属性攻撃】氷の魔法で相殺を狙う


夏目・晴夜
【サイハテ】
アインさんやトジコさんのお手伝いに参上です

……は?何ですか、モフィンクスって。もっふり可愛いって
確かに目の前にいる敵も興味深いですけれども
何故もっと早く教えて下さらなかったのですか
別に拗ねてはいませんが、もふり損ねてしまったではないですか

私はアイスはいりません
代わりにアインさんは後でこのハレルヤの事を褒めて下さい
あと、トジコさんはパンダ撫でさせて下さい

【妖剣解放】の高速移動や衝撃波を活かし、
露わになった継ぎ目や剥き出しの配線を全力で斬って参ります
強固な部位は【鎧砕き】で砕いたり、【傷口をえぐる】でグリっと壊したく

いや、私のはもふもふ要素は皆無のガチ技なんですが
え、あーそっちの意味で


トジコ・イリングワース
【サイハテ】の皆様と一緒ヨ。
【WIZ】ユタ様ハレ様、お助け感謝アル。アイ様とも合流できたし心強いわネ。この龍もデータベースに無い子、興味深いけド……観察は無理そうだワ。 

大きな龍だし「来来熊猫」でパンダ達にも手伝って貰うワ。敵の身体押さえつけながら攻撃に参加するよう指示しましョ。ワタシは頭の辺りを【衝撃波】を込めた武器で殴打殴打。頭部連装機関砲、破壊出来ればいいけド。

ユタ様の鳥、アイ様の熊、ワタシのパンダ……モフモフネ。ハレ様も耳と尻尾があるからモフモフアルヨ。



「大丈夫。私が代わります」
 女の柔らかな声がアイシアに向けられ、アインが躍り出る。
 ≪友の現身(トモノウツシミ)≫で背中合わせに召喚した巨大なツキノワグマ『メープル』がその動きを追従し、アインがぐるりと火龍の後方へと回り込めば、挟み撃ちの形となった。
 ヒュンと熱風を切る音が二重に走り、アインとメープル、両の【生命の鞭】がスチームドレイクの尾と頭を捕縛し、抑え込む。
 氷の属性を宿らせた鞭は、尾と口を凍りつかせ、炎を封じ……少女とクマはジリジリと鞭を手繰りながら、後ろへと下がる。
「継ぎ目を晒しなさい」
 抗えど、徐々に、徐々に……ゆっくりとその体は直線へと引き延ばされて、鎧めいた装甲部の隙間から、脆い関節部が覗く。
 その隙を見逃す所以はなく、【サイハテ】の面々は一声攻撃を仕掛ける。
 身軽な動きで飛び込んだのは晴夜。《妖剣解放》により妖剣【悪食】の怨念を身に纏い、目にも止まらぬ素早さで次々に機械の配線や継ぎ目を斬り刻んでいく。
 硬い装甲、重要そうな配線。とにかく破壊を重視した攻撃にさしもの機工龍も苦痛を顕わにする。
 その抵抗は一層強まり、体が伸び切る前にアインとメープルの足が止まった。膠着状態に陥りかけたその時、トジコがユーべルコード《来来熊猫(ライライシォンマオ)》でパンダの群れを招来する。
「カワイコチャン達、お仕事ヨ。アイ様たちのお手伝いしなさイ」
 命じられたパンダたちは、スチームドラゴンへと走り寄り、体のあちこちに取り付いて、その体を引っ張りながら爪と牙で攻撃する。
 トジコは頭の側に回り、【大熊猫殴打棒】を振るって敵の機関砲を破壊できないかと打撃を加える。
「なんて可愛いパンダちゃんたち……トジコちゃんあとでもふもふさせて下さい」
 スチームドラゴンには効かなかったが、もう一つの武器である謎の愛らしさはアインに直撃していた。
 思わず鞭を持つ手が緩んでしまい兼ねなかったが、エルフの女はちゃんと耐えた。えらい。
 クマにパンダと召喚された動物たちを見て雄鷹が気づく。
「めっちゃあれやな、皆もっふもふの技やない? そんなら、ワイも『御鳥番衆』使わせてもらおかっ!」
 波に乗らずにおられるかいと、雄鷹は虚空へと号令を放つ。
 《御鳥番衆(オトリバンシュウ)》と呼ばれる燕や雀、鴉に鳩、そして鶏と……総勢で95羽にもなる鳥の精霊たちが一挙に呼び出された。
「派手に暴れて来い!!!」
 雄鷹の言葉が言い終わる前に、精霊たちは火龍を啄んで、蹴って、上へ下への大騒ぎ。
「ユタ様の鳥、アイ様の熊、ワタシのパンダ……モフモフネ」
 トジコが言うと、一旦後ろへと退いてきた晴夜が訝しげな声を出す。
「いや、私のはもふもふ要素は皆無のガチ技なんですが」
 寿命も削ってるんですが。とまでは言わなかったが、少なくとも彼を取り囲む色濃い怨念の気配は、もふもふというゆるふわ感では包容できまい。
 けれど、トジコは気にする風でもなく、
「ハレ様も耳と尻尾があるからモフモフアルヨ」
 言われて、晴夜の視線が上へと向かう。無意識に、獣の耳がぴこぴこ動いた。
「え、あーそっちの意味で」
 等と、二人が緩い遣り取りをしている内にも、
「5本もあるんや、遠慮せず喰らっとけ!」
 雄鷹は自作のダガーを次々に放つ。様々な見た目のダガーが晴夜の攻撃した傷痕に突き刺さり、【ホークダガー】が最も脆い頭部との連結部に突き立つと、火龍は大きく体を捩じらせた。
 激しい音を立てスチームドレイクの排気孔から蒸気が噴出され、同時に現れた幾つもの火球が手当たり次第に放たれる。
 これ以上は危険かと、アインは素早く判断して鞭を緩め、距離を取った。
 幸い、錬金術で生み出された炎は見当外れの方向へと向かい、誰にも被弾することはなかったが、
「アインちゃん、トジコちゃん、危なくなったら、ワイの後ろに隠れるんやで」
 雄鷹が女性陣にそう声を掛けると、アインは嬉しげに声を弾ませた。
「まあ雄鷹くんイケメンさん! では、万一のときは遠慮なくかばって貰いますね」
 強かなエルフの言葉に、雄鷹は歯を見せ、にかり笑って頷いた。
「もちろんや! だってほら、ワイは男の子やからっ」
 女の子守るんは役目やし。
 青年は、背中の大きな翼を、仲間を守るように広げてみせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

終夜・嵐吾
清史郎殿(f00502)と協力しつつ
他にも協力できる猟兵がおったら

えっ、さっきまであんなにもふを堪能させておきながら、もふではない、だ、と…
しかし、もふ共の言う通りじゃったな、あんなデカイのがおるとは。

わしは援護しよう、清史郎殿、前を頼む
あれが放ってきた炎弾は、わしの炎で打ち消してみせよう
憂いなく、その刃奮ってきておくれ

攻撃は後ろから、狐火で援護するように。
錬金術の炎に重ねて打ち消していこう。わしの狐火の方が凶暴じゃ。

この蒸気はちと厄介じゃな。視界とられんようにせんと。
あとうっかり――うっかり追い込まれんように。
追い込まれたら、逆に正面から撃ちあって、その身の上を通り抜けよう。




 装甲は傷つき、管を切断され到着する先を失った蒸気は勢いも弱くシューっと垂れ流すままに。
 火龍のどこもかしこもが、動く度に悲鳴のようにギイギイと軋んでいた。
 猟兵たちの誰もが、決着は間近であると確信していて。
 されど、侮ってはならない。手負いほど厄介なものはないのだ。それが獣であれ、機械仕掛けの災魔であれ――。
 ガガガと不気味な音を立てて、スチームドレイクの体に痙攣のような振動が広がる。
 物九郎の尾が緊張に動きを止める。
(コイツぁ――)
「!? 何か変だ!! 皆、気をつけろ!!」
 上空から見ていたジンも、すかさず警告を放った。
 異変を感じた猟兵たちは距離を取ろうとするが――、途端、凄まじい勢いでスチームドレイクが走り出す!
 ダメージ過剰による暴走だ!!
「嵐吾!!」
 清史郎が叫ぶ。不運にもスチームドレイクの暴走する先に立っていた嵐吾が、真っ向から追いかけられる形となってしまって。後方、迫りくる龍を気にしながら走っていたせいか、視界を遮る噴き出す蒸気に、迷宮の横道に入ればそこは……、
「しまった。迂闊じゃった」
 行き止まりだ。仕方あるまいと、嵐吾は巨大な敵に向き直る。
「仕方あるまい……のう、勝負じゃ」
 轟音を立て、自身を押し潰さんばかりの勢いで来る機工龍に、嵐吾は狐火で応戦する。龍も、走りながら錬金術による火の弾を繰り出す、文字通りの打ち合いとなって。
 龍の手当たり次第に放たれたファイアボールが、壁の配管を直撃する。衝撃で管が破れ、蒸気が勢いよく噴出した。
(今じゃ!!)
 先ほど自身に仇成した蒸気を、今度は目晦ましに利用して配管を足場に跳躍する。
 しかし、目晦ましの蒸気を割って、迫る光が見て取れた。次第に鮮明になる熱と赤。敵の炎であることは疑いようもなく。咄嗟、新たな狐火で相殺しようとするも、
(ちと間に合わぬか……!)
 嵐吾が痛みを覚悟した瞬間、龍のものとは異なる轟音が響き渡り、嵐吾の体が重力を失ったようにふわりと軽くなった。同時に、蒸気がさぱと斬り裂かれ、薄布を剥いだように視界が開ける。
 そこにいたのは――、
「ジン殿! 清史郎殿! アイシア殿!」
「ギリギリセーフってね」
 空中で嵐吾の体を捕まえたジンが、彼を機体へと引き上げる。
 暴走したスチームドレイクは、アイシアとロジャーが再び抑え込みに掛かっており、仲間へと迫る炎を蒸気ごと斬り裂いたのは、薙刀に持ち替えた清史郎だ。
「この程度の炎、桜吹雪で消し飛ばしてみせよう」
 火の粉と桜が入り交じり、やがて火の粉はその勢いを失い、花のみが残った。
 そして、地面へと向かうそのままの勢いで、薙刀を振るい、反撃の一太刀を龍へと見舞う。
「すまぬ、清史郎殿。ジン殿。アイシア殿も、恩に着るぞ」
「いや、大事なくて何よりだ」
 ジンの戦闘機を駆り、スチームドレイクの後ろへと嵐吾を下ろした。
 袋小路に追い詰めたはずが、回り込まれれば今度は反対に自身が袋の鼠となった龍を、猟兵たちが取り囲む。
「ようもやってくれたな。今度はこちらの番じゃ」
 嵐吾が残るたった一つの狐火を、しかと狙いを定め龍の頭へと放つ。
 火炎は竜の瞳に当たり、その顔のフレームを歪な形へと変形させ。
 逃れようにも最早逃れることはできない。ロジャーを振り払う力も、龍には残っておらず。

苦戦 🔵​🔴​🔴​


「さぁ、この後のお楽しみの為にも、消えて貰うわよ。覚悟なさい?」
 レイブルがこれ以上の言葉は無用と、薙刀の一撃で、龍の下顎を切り落とした。
「もうひと頑張りや、行くで!」
「ええ、これが終わったら、もふもふとアイスです!」
「データももう十分だしネ」
「ええ、それでは」
 【サイハテ】の四人も、息の合った連携で敵の機動力を殺ぎ、頭部連装機関砲を破壊する。
「いきなり走っちゃ危ないでしょー!」
 足止めされている今が好機と、ウサコはぷんすか怒った声で言って、龍の駆動輪を殴って歪ませた。
 残る逆の車も、さつまの斧が粉砕する。
「モフィンクスたちを虐めた分のツケ……きっちり払ってもらうぞ」
 普段はぼんやりとした表情も、今はその眼光鋭く刃物のように光らせてさつまは静かに宣告し。
「やっぱり、おねーさんの炎が一枚上手だったみたいね!」
 茜は嬉しそうに声を弾ませ、残る炎を全て使って、敵の弱った箇所を焼き落としていく。
「テメエにゃさっきの“借り”がありますでね」
 じわりじわりと、その色合いが反転しているのは気のせいだろうか。
 物九郎は、張り付いた天井でぐぐいと体を引いて力を溜め込み、天井を蹴るに合せて一気にその力を放つ。
 再び弾丸のように突き進む物九郎を、しかし、龍は今は阻む手段を失っている。
 ガァンと派手な音を立てて、頭と頭がぶつかり合う。 
「ハッ」
 火花も散ったのではないかという衝撃。龍の燃える目が、明滅を繰り返す様を見て、物九郎は、笑った。

「ザマァ」
アイシア・オブリオン
さて、私がやるべきは皆のサポートだね。
ロジャーの巨体を活かして、皆がより良く動けるサポートをするよ。
さあ、いくいよロジャー。あいつを抑えこめ!
殴って蹴って、他の立体的に動く仲間達から気を逸らせていくよ。
そうすれば、皆が自由に戦えるはず……だけど。
ただの囮と思うなよ。ロジャー、フルパワーだ!
フルパワー・ロジャーパンチでアイツをスクラップに変えてやるんだ!




「ロジャー、行けるかい?」
 これまでサポートに徹していたアイシアが、相棒に静かに声を掛ける。
 返事はない……が、彼女には分かる。彼女にしか、分からない。
 だが、確かに相棒は言っている。「行こう」と――!!
「うん、行こう。これが決着だよ」

「ロジャー、フルパワーだ!」
 エネルギーが収束する音は、最初は大きく、やがて凝縮されたエネルギーを表すように、小さく、細くなっていく。けれど、その音が途切れることはない。限界まで引き絞った弓のように、キリキリと微かな音を立てて。
 少女と、その巨大な相棒、二人の力を乗せて――アイシアがそのエネルギーを解き放てと、声の限りに叫んだ!!
「フルパワー・ロジャーパンチでアイツをスクラップに変えてやれ!!!」
 剛腕が唸る。
 全力全霊を込めて放たれた拳は、真っすぐに敵の顔を捉え、寸分と逸れることはない。
 激しい音と衝撃が、迷宮内の蒸気を隅々まで震わせた。機工龍は顔面を割り砕かれ、その胸部に輝いていた動力炉も光を失って沈黙する。
 稼働する蒸気迷宮は、変わらず駆動音を放っていたが、その中で最も大きな蒸気音を立てていたこのフロアの主、《スチームドレイク》は、その稼働を停止した。



 さて依頼は終了し、こんな不快指数の高い場所からはすわ帰れとばかりに、猟兵たちは引き上げる。
 とはいえ、まだ仕事は一つ残っているのだけれど。

 帰りの階段を上りながら、雄鷹が大きく腕を上に向けて伸びをした。
「あー……つっかれたなぁ。そや、アイスはワイが買うたるから、アインちゃんトジコちゃん何食べるか決めときー」
 言って、思い出したように付け足す。
「あ、ハレちゃんに買う金はないからな」
 晴夜はじとりと雄鷹を一瞥し、ふいと顔を反らした。
「私はアイスはいりません。代わりにアインさんは後でこのハレルヤの事を褒めて下さい」
 はーい、分かりましたとアインが笑い、了承を得られたのに気を良くした晴夜は、戦闘の最中にアインがトジコに言っていたことを思い出し、更にお願いを重ねた。
「あと、トジコさんはパンダ撫でさせて下さい」
「いいヨ」
 トジコが間髪入れずに頷いた。
「学園に戻ったら、パンダでも犬でも猫でも撫で放題ヨ」

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『もふもふなお手伝い』

POW   :    動物をたくさん運ぶ等、力仕事でできるお世話

SPD   :    ブラッシング等、自分の器用さ・技量を活かしたお世話

WIZ   :    動物に関する知識等を活かしたお世話やアドバイス

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 【第3章の受付は、2月1日8時30分以降からと致します。
  どうぞよろしくお願いいたします。】
八幡・茜
ふふふ、動物さんたちと触れ合う絶好の機会ね!
この美人のおねーさんが面倒を見てあげるんだから、動物たちもきっと幸せよね!

私は別に動物の知識とかないし
せっかくだからフィンさんも誘いつつ、移動中のわんこさんが暇にならないように面倒を見るわね!
はー、あなたの毛並みはなかなかいいわね。ずっとモフモフしてられるわ って
わんこさんをぎゅーっとしてぎゅーーーっとして、もふもふしてすりすりして愛情たっぷりに接するわ!
ふふふ、こんなに私から愛されるなんて、あなたは幸せ者よ?

そんなことは無いと思うのだけれど、万が一わんこさんが私から逃げてしまったら、泣きながらフィンさんをもちもちするわね! わんこさんと同じように!


終夜・嵐吾
清史郎殿(f00502)ともふもふ……ではなく手伝いも。
フィンの嬢ちゃんも自分に素直に……もふるがよい!
そしてわしもちょっと動物と話せるようにしてきた。これで問題ない!

……わしのしっぽをゆらゆらするとなにやらじゃれつかれておる気配が。
むむ、まぁよいが。よいが……手元でわんころもふもふしつつまぁじゃれあって遊んでやるが良いか。
おう、そうか。ここを撫でて欲しいのか、よーしよーし、どうじゃどうじゃー、ここかー?
……まって、せーしろーどの、まって。なんでなれがじゃれついとるん?
あ、ぶらっしんぐ? ふふ、そうじゃろそうじゃろ(どやぁ)
嬢ちゃんもブラッシングしてもええんじゃよ?(しっぽゆらゆら)


筧・清史郎
嵐吾(f05366)と、フィンも一緒に

俺は嵐吾とフィンと、動物さんの世話をしよう
ふわふわな犬さんを抱き抱え、まずは挨拶と会話を
「俺は筧・清史郎という。……ふむ、ポチというのか。今日の調子はどうだ?」
「鼻がやや乾き気味か。こまめに水分を取ってみては」
そしてもふもふ、順に動物さんをブラッシングしよう
会話を交わしつつ、優しく丁寧にな

しかし……嵐吾の尻尾も気になるところ
動物さんがじゃれる気持ちも分かるな
……ならば
「失礼する」(嵐吾の尻尾もふもふもふ)
「これは……極上のもふもふだな」
もふもふの礼に、嵐吾の尻尾も優しくブラッシングするとしよう(微笑み
嵐吾の尻尾をもふもふブラッシング、フィンも一緒にどうだ?


ユニ・エクスマキナ
わぁぁ、いろんな動物さんたちがいっぱいいるのねー!
もふもふ?……もふもふ???
やったことないから、よくわかんないのね……。
一番近くにいるウサギさん?抱っこしてみよっと……
え?うそ?いやー、暴れないでっ!?逃げるのダメなのねー!!??(追いかけまわして)
はぁ、はぁ、やっと捕まえた……
で、このこはこの後どうすれば……(抱えたまま茫然)
は!困った時は助けてもらう!誰か……っ(きょろきょろ)
フィンちゃん……っ、このこは、どうすれば……。
もふもふしたいけど、どうすればいいのか……(べそべそ)
おぉぉ、これがもふもふ……!この感触がもふもふ……!
新しい経験はいつでもいいものなのね……っ!
ユニ、感動なのねー!




「わぁぁ、いろんな動物さんたちがいっぱいいるのねー!」
 高く、可愛らしい声が部屋の入口から響く。
 ユニ・エクスマキナ(ハローワールド・f04544)は、両方の手で頬っぺたを押さえ、赤いおめめをキラキラと輝かせた。
 あっちを見ても、こっちを見ても、どっちを見ても動物さんたちでいっぱいだ。
 一匹二匹が集まっているところは見たことがあっても、これほど多種多様な動物が一所に集まっているのを見るのは初めてで。戯れたことはなくても、何だか心が躍ってしまう。
「さぁ! 皆さん、元気にもふ、こほん、お手伝いしてくださいねぇ~♪」
 思わず脱力してしまうような、能天気な声は、高いせいなのか何故だかやたらとよく通る。フィンが、るんるんと声同様の浮かれた足取りで猟兵たちに声を掛けた。
「ふふふ、動物さんたちと触れ合う絶好の機会ね!」
 先陣を切って部屋の中へと入って来たのは、御存知美人のおねーさん。茜だ。
 優雅にふさふささらさらの尻尾を揺らしながら、部屋の中央で仁王立ちして周囲を見渡した。
「この美人のおねーさんが面倒を見てあげるんだから、動物たちもきっと幸せよね!」
「茜さん、やる気満々って感じですねぇ」
 その姿をほのほのと和みながら、フィンが眺める。
「ふふふ。おねーさんは、もふもふ可愛い子も大好きなのよ!」
 応じて、ぱちんっ。茜は片目を閉じながら、人差し指一本天高く突き立てた。
「ということで、みんな! おねーさんのところに集まりなさーい!」
 茜が呼びかけると、わんわんきゃんきゃん、集まってくる動物たち。その中に、おや、殊に大きな影ひとつ――?
「フィンさんもおねーさんと遊びたいの?」
 この指とまれに抜け抜けと集まった商人に、茜が目をぱちくりさせる。
「えへへ。なんちゃってぇ」
 指を立てられるとつい止まっちゃう、なんて笑って誤魔化すエルフに、茜はいつもの自信に満ちた笑みを顔に戻して。
「いいわ! フィンさんも一緒にもふもふしてあげる!」
 大きな尻尾を左右に揺らした。

「うむ。わしも清史郎殿ともふもふ……ではなく手伝わせてもらおうかの」
 続き、部屋へ入って来た嵐吾の言葉を、エルフの長耳が耳ざとく拾う。蜜柑エルフは、くすくす笑って、青年に揶揄うような視線向けた。
「あらまっ。嵐吾さん、本音が漏れちゃってますよぅ?」
「ええい、言葉の綾というやつじゃ! フィンの嬢ちゃんも自分に素直に……もふるがよい!」
 アハハと笑いながら了解ですと敬礼する姿に、まったく……と口尖らせた後で、改めて嵐吾は動物たちに向き合った。
 既に彼の足元には、遊んでもらえることを期待した犬が二匹ほど集まっている。たしたしと、前足で青年を急かしながら、尻尾をふりふり、期待に輝く目で見上げてくる。
「随分と人懐こいな。ここの動物さんたちは」
 清史郎も、自身の足元に寄って来た真っ白な毛並みの小さなわんこの頭に手を伸ばす。ちょっと癖のある毛並みのその子は、撫でられるとくすぐったそうに目を細め、頭を清史郎の手に押し付けた。
「生徒が飼育しとる動物たちらしいからのう。可愛がられとるんじゃろ」
 嵐吾は、ふんすと意気込んで、どかりとその場に座った。
 動物と話せるよう磨いてきたスキルもあり、準備は万端だ。
「チチチ。怖くないぞ。ほれほれ、近う寄れ」
『おにしゃん、あそんでくれるのー?』
 足元にいた中型犬程の大きさの、どこか和犬的な毛並み、顔つきの犬がその手に招かれる。
 ほ! と、嵐吾の狐の耳が弾んだ。
「のうのう! 聞いたか、清史郎殿! わんころと話せたぞ!!」
「ああ。これで円滑な交流が図れるな」
 清史郎は微笑みながら、丁寧に頷き返した。
 なお、この二十代前半の青年二人組は、どちらも動物と話すスキルを習得している。とっても動物さんとのコミュニケーションが得意な成人男性ズなのだ。
 嵐吾の青灰色の尾が、主人の心を反映してか、知らず知らずの内にゆらんゆらん揺れる。
 大きな猫じゃらしならぬ犬じゃらしの登場に、そこらにいたわんこたちも喜んで、わちゃわちゃとじゃれに来たりなんかして。
 自身の尻尾が遊び道具になっている気配を感じながらも、まぁ、よいが……と遊ばれるままに、妖狐はとりあえず目の前に来た犬をあやしにかかる。
「おう、そうか。ここを撫でて欲しいのか、よーしよーし、どうじゃどうじゃー、ここかー」
 片や、ヤドリガミの青年はしゃがみ込んで足元の白い小型犬を抱き抱えると、真っすぐに目線を合せて語り掛ける。
「俺は筧・清史郎という。名前を聞いても良いか?」
 舌を出していた犬は、青年の言葉に反応し、キャンキャンと高い鳴き声で答えた。
 周囲からはただの鳴き声にしか聞こえないその声も、青年にはちゃんとその意味が通じる。犬は元気にこう名乗った。
『ポチー! ぼくポチだよー!!』
「……ふむ、ポチというのか。今日の調子はどうだ?」
 挨拶が済めば、清史郎は自身の膝にポチを乗せ、その毛並みを櫛で梳かし始める。毛足は程々、ちょっと絡まりがちな毛を優しく……引っ張らないよう丁寧に。
『たのしい!!』
「そうか。それは何よりだ」
 無邪気な言葉に、清史郎は思わずくすくす笑ってしまって。
『あ。でもねでもね! ちょっとだけ熱い気がするよ!』
 ポチの答えに、清史郎は一旦、笑いを収める。ふむと唸ると、
「失礼する」
 言って、白わんこの黒い鼻をひたりと触れる。
「鼻がやや乾き気味か。こまめに水分を取ってみては」
『お水かー』
「うむ、水だ」
 わかった! と、素直に言うポチは、ブラッシングが一通り終わると、すっくと立ちあがった。振り返り、青年に告げる。 
『ぼく、お水飲んでくるね!!』
 きりっ。まるで冒険に旅立つかのようなポチ。
 彼を見送る清史郎の視界に、もっふもっふと揺れる巨大なものが映り込んだ。
 先ほどから、視界に入っては気になっていたもの……そう、嵐吾の尻尾である。ふよんふよんと規則的な動きを繰り返すそれを見ていると、動物でなくとも引き付けられる何かがあって。
 清史郎は動物たちに分け入って、小さな声で「失礼する」と断ると、嵐吾の尻尾を一心にもふもふし始めた。

 もふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふ。

「これは……極上のもふもふだな」
 青年は手を止めることなく、呟いた。


「はー、あなたの毛並みはなかなかいいわね」
 移動待ちのわんこの背に頬寄せて、茜がうっとりとした声で言う。
 ずっとモフモフしてられるわとの言葉どおり、飽く事なく、背を撫でたり仰向けになって見せられた腹を撫でたり。
 黄金色した長い毛を持つ大型犬は、日ごろから生徒たちによく毛並みの手入れをしてもらっているのだろう。何度茜の細い指でさらさらと掻き揚げても、絡まる事なく滑らかで。
 満足感に、笑みが深まる。
 愛情持って育てられてることが分かるのは、お手伝いに来ただけの自分ではあるが、どこか嬉しい。可愛がり、可愛がられる関係に喜びを感じるのは、人に好意的な者が多い妖狐という自分の種族柄かも知れない。
 青い目を慈しむように細めて、犬の顎の下をくすぐる。
 むふん、と、満足げにその手に重みを掛けてくるわんこを見て、茜はうずうず湧き上がる気持ちが堪えられず、
「あーっ! もうっ、本当に可愛いわね!!」
 ぎゅーっと抱きしめる。
 熱い抱擁に、わんこも満更嫌ではなさそうな態度だった。……ここまでは。
「ふふふ、こんなに私から愛されるなんて、あなたは幸せ者よ?」
 抑えきれない愛情に、おねーさんは猟兵の力をもってますます強く、力いっぱいに、ぎゅーーーっとわんこを抱きしめる。
 愛情たっぷり。パワーもたっぷりな抱擁であった。
 次第にわんこが苦しげにきゅぅんと鳴き始め、
「? ん、どうしたの?」
 それに気づいた茜が、腕を緩めた瞬間に、するりと抜け出して逃げて行って……。
「あっ! ちょっと、どこいくの!? おねーさんを置いて行かないで!?」
 様子を見ていた他のわんこたちも、しばらくおねーさんを警戒していたとか。

 大人たちが三者三様に満喫している隣、左右をきょろきょろと見回す少女の姿。
 先ほど、見たこともないような大勢の動物たちに囲まれ顔を輝かせていたユニは、今は困ったような表情で首を傾げていた。
(もふもふ? ……もふもふ???)
 皆が口々に言う『もふもふ』についての知識が、電脳世界の少女にはあまりなくて。
 周囲の皆がやっているように、動物と触れ合うことを言うのだろうけれど、動物自体にもあまり親しくしたことがない少女にとって、生き物との交流はほんの少しばかり勇気のいることでもあった。
(よく分からないけど、とりあえずやってみるのね……!)
 何事もチャレンジ! 好奇心旺盛さを味方につけて、いざとばかり、最も近くにいたうさぎさんを捕まえようと手を伸ばす。
 人に慣れたうさぎは大人しく、上手く捕まえられたと思い、ユニは一時笑顔になりかける、が――。
「え?うそ?いやー、暴れないでっ!?」
 抱き方が悪かったのだろう。収まったはずのうさぎは、じたばたぴょんぴょんとユニの腕の中で暴れ、その手を振り解くと大急ぎで逃げようとぴょんこぴょんこ跳ねていく。
「逃げるのダメなのねー!!??」
 少女も慌てて追いかける。
 ユニとうさぎが、アルダワの国のアリスを繰り広げ数分。
「はぁ、はぁ、やっと捕まえた……」
 ようやくの思いで隅っこに逃げ込んだうさぎを飛びついて抱きかかえた時には、息も上がっていて。けれど、ここでまたしても途方に暮れる。捕まえたはいいものの、この後の流れ、もふもふの作法をユニは知らない。
 あわわと慌てふためいて、どうしたものかとそわそわ歩き回り始める。困ったときには、誰かに助けてもらうのがいいと思いながら、誰に助けを求めたものかと赤色が迷子になっていれば――目に入ったのはやたらと目立つオレンジ髪。
 そうだ、この依頼の予知担当者であるグリモア猟兵ならと、蜜柑にも縋る思いで駆け寄って。
「フィンちゃん……っ、このこは、どうすれば……」
 少女は、腕に抱えたうさぎが逃げ出さないようしっかりと抱き留めたまま、エルフにうさぎを見せる。当てにしたはずの商人の目が、きょとーっと瞬くのを見て、説明をつぎ足す。
「もふもふしたいけど、どうすればいいのか……」
 なーるほど! それでようやく理解した商人が、ぽんと手を打つ仕草。
 然程背丈の変わらぬ少女に、ほんの少しだけ身を縮め、視線を合せた。
「ユニさん、泣かないでください」
 困惑にべそ掻く少女の肩に優しく手を置き、エルフはそっとある一角を示す。
「いいですか、あれが、“もふもふ”のお手本です」
 指し示した先。そこには、――大人二人組(一人は現在警戒態勢を取られているものとする)が相好を崩して動物たちと戯れる姿があった。

 すごい えがおだ。

「……あれが」
「そう、あれです」
 フィンが神妙に頷く。つられてユニも真剣な顔つきになって頷き返した。
「ということで、ユニさん! ここは先人の皆さんに倣いましょうっ」
 ここにはもふもふの達人たちがいっぱいですから! と拳握って言うや、エルフは少女の背を押して、三人の場所へと向かう。到着と同時、底抜けに明るい声で、
「はいは~い、皆さん、もふもふ初チャレンジのユニさんも、お仲間に入れてくーだーさい♪」
 ちょっぴり緊張するユニと、にこにこ顔のエルフが輪に飛び込んむと、動物と遊んでいた三人は、ぴたと手を止め注目する。
 けれど、沈黙は一瞬で、すぐにまた和気藹々と場が盛り上がる。
「何じゃ。ユニの嬢ちゃんはもふもふしたことがないのか! それなら、目いっぱい楽しまんとのう」
「そうなんですよぉ~。初めてさんはドキドキですからねぇ。ぜひ! 先輩の皆さんに、もふもふの極意を手ほどきしてもらえたらぁっと思いましてぇ」
 両手をぱちんと合わせて、エルフが言えば、先輩という言葉が何か心に響いたのだろう。嵐吾が、おう! 先輩のわしに任せいとドヤった。
「ふふふ、モフモフのことなら、このおねーさんも教えてあげるわ」
 ふおんふおん。揺れる茜の銀尻尾に合わせて、ユニの瞳も行き来する。
 茜がちょいちょいとユニを手招きする。とことこと少女が近づけば、静かに座るように言って。膝の上に優しくうさぎを置くように示す。
「可愛くても、力いっぱいぎゅーっとしちゃだめよ? 優しく、ゆっくりこう……」
 茜が先にうさぎの撫で方を示してみせた。ユニは、じっとそれを見て、同じ手つきになるよう、そっとうさぎの背に触れて。
「優しく、ゆっくり……」
 うさぎがたしたしと動きそうになる。また逃げられちゃう!? と、緊張するユニだったが、うさぎは今度は逃げようとはせず。むしろ、ユニの膝の上の、据わり心地の良い場所を探し当てると、座り込んで、気持ちよさそうに口をもにゅもにゅと動かした。
 緊張していたときには気付かなかった、うさぎの体温が、おひざに、指先に伝わって。ユニの目が、きらりと輝く。
 短いけれど、つやつやと柔らかな毛並み。胸のあたりはまた違った手触りで、ふかふかとたんぽぽの綿毛のようだ。
「おぉぉ」
 ユニの唇から、思わず声が漏れる。
「これがもふもふ……! この感触がもふもふ……!」
 手触りだけではない、温度や生き物の様子、愛らしさと尊さ。それをひっくるめたものがもふもふなのだと、電脳の少女は理解する。この新しい出会いは、少女の心を揺さぶるのに十分で。
「新しい経験はいつでもいいものなのね……っ! ユニ、感動なのねー!」
 先ほどまでの緊張も忘れ、満面の笑みで動物を愛でる少女を微笑ましく見詰める清四郎も、今回の依頼で災魔と戯れたことが初めてのもふ体験であったことを思い、何となく親近感を覚えていた。
「俺も今回の依頼が初めてのもふもふだったが……本当に、今まで知らなかった経験に出会えるというのは嬉しいものだ」
 言って、嵐吾の尾をもふっていた(※今までずっともふっていました)手を止める。夢中でうさぎを撫でるユニに声を掛け、
「嵐吾の尻尾も極上だからな。ユニも後で触ってみるといい」
 と勧めれば、ここにきて初めて尻尾をもふられていたことに気付いた嵐吾が、勢いよく後ろを振り返った。
「? ……まって、せーしろーどの、まって。なんでなれがじゃれついとるん?」
 わんこだと思っとった。解せぬ。青年の頬に、そんな文字が浮かぶ。
 もう一人の青年は微笑みを絶やさず、マイペースに手にしたブラシで妖狐の尾っぽを梳き始めた。
「気にするな、嵐吾。極上を満喫させてもらった礼に、梳かせてもらおう」
「あ、ぶらっしんぐ? ふふ、そうじゃろそうじゃろ」
 ブラッシングに話が飛び、理由を尋ねていたことも忘れ、上機嫌になる嵐吾に、商人エルフがちょr……こほん、無邪気ですねぇと頬緩める。
「茜も。それにフィンも、一緒にどうだ?」
「うむ! 嬢ちゃんたちもブラッシングしてもええんじゃよ?」
「あっ。それじゃあ、私やりたいです~」
 はいはい! と遠慮なしに、フィンが挙手した。
 それを見ていた茜が、ぴかりと目を輝かせると、フィンに飛びついて。
「じゃあ、おねーさんはフィンさんをもちもちするわ!」
 ほっぺたへと手を伸ばす。エルフが叫んだ。
「わ、私、そんなにもちもちしてません~っ!!」

 しかし、そのほっぺた(ぜいにく)は事実もちもちだったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雨霧・結
【サイハテ】の仲間と

戦闘お疲れ様!私も別件で用事がなければ手伝えたのになぁ…残念
ええと、ハレルヤさんの尻尾が大活躍だったの???土産話に興味津々
皆さん戦いでお疲れでしょ?もふもふで癒やされてね?
さ、重い物運んだり力仕事はお任せてちょーだい!率先して荷物運びを
というのも動物は好きだけど扱いに自信がないので見る専門
ハムスターが回し車回してるのとか延々と見てれるわ…あ、ズンドコ仕事しますよっ!
雄鷹さん、トジコさん私あっちの持ちま……パンダねこっ!?!?え、ちょっ、写真撮らせて!
わぁ、さすがもふもふスペシャリストアインさんっ、とろとろの動物可愛い…
おっきい動物に顔を埋めるのってロマンよね!分かる…!


夏目・晴夜
【サイハテ】の皆様と

我々に掛かれば撃破も朝飯前ですね
結さんにも見て頂きたかったです、このハレルヤの素晴らしき攻撃と尻尾……尻尾?
いやそんな立派なサムズアップを披露されましても
もっと他にも褒めるところあるでしょう、ほら

まあいいです、全力でもふもふタイムと参りますか
指が命かつ器用さの化身ともいえる人形遣いのお世話を舐めないで下さい

という事で、撫でます
とりあえず撫でます
マッサージと称してクソ適当に撫でます
完全にフィーリングですが、アニマル同士ですし良い感じになるでしょう多分
私がこんなにも真面目に仕事をしているのですから、お運び勢もズンドコ働いて下さいよ

あ、トジコさん。約束してたパンダ撫でさせて下さい


柊・雄鷹
【サイハテ】と!
アインちゃんハレちゃんトジコちゃん!戦闘お疲れ様やでー!
結ちゃんもいらっしゃい、迷わず来れて安心したわ
全力でもふもふしつつ、ワイの活躍、しっかり聞いてやー!
よぉ分からんけど、アインちゃんハレちゃんのテクニック凄いな…!
動物たちが満足そう通り越して、既に解けてまいそうなリラックス具合や!
ワイは【POW】活かして動物運ぼかっ! トジコちゃーん、手伝うでー!!
この蕩け切った動物たちなら、暴れず連れて行けそうや
うおー!!もっちもちー!うぉー!ふわっふわー!!!
…大型動物のお腹に、顔埋めるのってやりたぁならんか?
ワイはやりたい!!いざっ!!!パンダちゃん!!


アイン・ローレンス
【サイハテ】と
【SPD】
晴夜くん雄鷹くんトジコちゃん大活躍でしたね!
素敵なお姿を間近で見られて心臓が張り裂けそうです
晴夜くんの素早いながらも重たい攻撃の数々
そしてもっふりとした尻尾最高でした(サムズアップ)最高でした!
結くんも来てくれて百人力ですね
もふもふタイム全力で行きましょう!

動物たちはマッサージで大人しくさせましょうか
ビーストマスターのお世話、舐めないで下さいませ
頭を撫で、前足の付け根から背骨にそって撫でるようにマッサージ
ひっくり返しお腹を撫でそのままマッサージ
ここが良いですか?ふふ、私も気持ちいいです!
大人しくなったらかごへと繰り返し
お腹に顔は夢ですよ! ね、ねこパンダ!わー(ダイブ)


トジコ・イリングワース
【サイハテ】の皆様ト。
熊・鳥・パンダ・狼、それにスチームドラゴン。蒸気と動物が入り乱れる熱いバトルだったワ。 

さテ、お手伝いの時間ネ。ユタ様もユイ様も力持ちで頼もしいアル。ワタシもカゴに入った小さな動物を運ぶ仕事しましョ、抱えきれない子はパンダ達に運ぶの手伝って貰うワ……少し積み過ぎたかしラ?(パンダの背中に猫をぽんぽん乗せて首傾げ)
アイ様ハレ様、器用ネ。その子たちとっても嬉しそうヨ。お手伝いが終わったら約束通りパンダ触るヨロシ、お腹でも背中でもダイブオーケーヨ(サムズアップ)




「戦闘お疲れ様!」
 動物たちのお引越し準備という名のもふもふパーティが開かれている教室前。戦闘を終えて戻って来た【サイハテ】の面々を迎えたのは、同じく旅団の仲間である雨霧・結(雪の足音・f06365)だった。
「結ちゃんいらっしゃい、迷わず来れて安心したわ」
 雄鷹が、よっと手をあげて応じる。続けて、後ろを振り返ると、一緒に戦を終えた面々に向けて、
「アインちゃんハレちゃんトジコちゃんも! 戦闘お疲れ様やでー!」
 ダンジョンを抜け、地上階に戻って来てようやく人心地ついたメンバーは、口々に労いの挨拶を交わす。
 みんなの言葉をにこにこしながら聞いていた結だったが、合間に少し残念そうな表情もちらりと覗く。今日の仕事は動物たちの御世話ということで、いつも持っている甘いお菓子をお留守番させてきたという寂しさもあるけれど、それ以上に自分もみんなと一緒に戦えたら良かったのにと、眉尻落として。
 隠した耳と尾っぽが出ていたら、それはきっとしゅんと垂れていたに違いない。
 結のそんな様子に気付いた雄鷹が明るい声で、
「まぁまぁ、結ちゃん、そんな顔せんと。土産話やったら山ほど持って帰ってきたから、ワイの活躍、しっかり聞いてやー!」
 そう言って。結も、ぱっと表情切り替えて、皆の土産話に興味津々と身を乗り出した。アインが頷き、左右色違いの目を閉じて先ほどまでの戦いを思い出しながら。
「晴夜くん雄鷹くんトジコちゃん、みんな大活躍でしたね!」
「熊・鳥・パンダ・狼、それにスチームドラゴン。蒸気と動物が入り乱れる熱いバトルだったワ」
 興奮したアインの声と対象的に淡々とした声で応じるのはトジコだ。アインが身振り手振りを交えつつ、臨場感満載の語り口で説明すれば、トジコはデータや具体的な状況や情報を交えてそれを補強していく。
「本当に……素敵なお姿を間近で見られて心臓が張り裂けそうでした」
 ほうと息を吐き、うっとりとアインが語り終える。
 その熱の籠りようは、結もついつい、ごくりと息を飲んで聞き入るほどで。
「すごい戦いだったのねぇ」
 盛りだくさんのお土産に、結が目をぱちぱち瞬かせた。

「まぁ。ですが、我々に掛かれば撃破も朝飯前ですね」
 そんな結を横目に、晴夜はいつもの通り、自信満々に。それが当然だとばかりに、言ってのける。
 雄鷹が、ハレちゃんは相変わらずやなぁと笑うのも聞かぬ振りして、晴夜は続ける。
「ええ、晴夜くんの素早いながらも重たい攻撃の数々。蝶のように舞い、蜂のように刺すとはあのことで」
 アインが褒めると、晴夜の尻尾がふふりと左右に揺らいだ。うんと胸を張って自分でもアピールを欠かすまいと、言葉を続ける。
「結さんにも見て頂きたかったです、このハレルヤの素晴らしき攻撃と」
「そしてもっふりとした尻尾」
「尻尾……尻尾?」
 突然割って入られて、ついつい吊られた晴夜が、怪訝な紫色をアインに向ける。目を閉じ、その視線に気づいていないアインは、晴夜の疑問の声に応えずに、
「最高でした」
 しみじみ言った後、ぱちと目を開く。今度は、晴夜としっかり目線を合せた後で、
「最高でした!」
 ぐっと力強く親指を立ててみせ。
「いやそんな立派なサムズアップを披露されましても。もっと他にも褒めるところあるでしょう、ほら」
 促し、その返答の“他の褒めるところ”が出される前に、結が首を傾げて、
「ええと、ハレルヤさんの尻尾が大活躍だったの???」
 情報が混ざった結果を確認する。晴夜がむぅと口を歪めた。
「ほら、結さんが誤解しているじゃないですか」
 てへぺろして視線を逸らすアインと、彼女をねめつける晴夜の遣り取りを見て、結はくすくす笑いながら、再び仲間たちを労った。
「皆さん戦いでお疲れでしょ? もふもふで癒やされてね?」
 力仕事は私が引き受けるから、と、細腕見せる結に、雄鷹も並び。
「おっと、力仕事ならワイもおるでー!」
 鶴の一声ならぬ鷹の一声。全員が仕事、そしてもふもふに取り掛かり始めた。

「よーしよし。ここが良いですか?」
 アインが、くすぐるように犬の耳の後ろを掻く。
 それから、足の付け根や背を丁寧に丁寧に、解すようにマッサージしていくと、最初は元気満々に遊ぼうとしていた動物たちも次第にうっとりと目を閉じ、気持ちよさそうに微睡始める。その様子に、湖と樹木の色を湛えた目がそっと細められて。
「ふふ、私も気持ちいいです」
 サブジョンにビーストマスターを持つ彼女にとって、動物たちと心を通わせることは日常茶飯事。それこそ朝飯前というもので。その扱いも手慣れたもの。うさぎ、鳥、ねずみ、ねこ……動物に合わせて、撫でる手つきや場所を細やかに変え、あっという間に骨抜きにしていく。
 結は、ふわぁと感嘆の息を漏らしてそれを見守った。
「わぁ、さすがもふもふスペシャリストアインさんっ、とろとろの動物可愛い……」
「ふふ、動物はみんなお友達ですから。結さんは撫でないのですか?」
 アインが首傾げると、結は困ったような顔で曖昧な笑みを浮かべる。
「んー……ええ、私は荷物運びがあるし、こっちを頑張るわ!」
 動物は好きな結だが、動物たちの扱いに関してはあまり自信がない、とは言わないけれど、今回は自分の代わりに上手に動物たちを扱ってくれる人たちがいるから、それで十分だと思おうと。
 ちらりと、アインともう一人、動物の扱いに長けた人狼の少年を見る。
 晴夜は、アインとは違いその手つきは動物たちの気持ちいい場所を知っているという風ではない。マッサージしている風でもなく、ぱっと見、ただ普通に撫でているだけのような手つきである。
 けれど、もふもふを持つ彼に分かる何かしらのツボが感じ取れるのだろう。動物たちは、その手に体を預けて気持ちよさげに目を閉じていく。
「ハレちゃんのそれは、マッサージなん?」
「マッサージですよ。どこからどう見てもマッサージでしょう」
 雄鷹の問いに、しれっと晴夜は肯定を返した。
「アイ様ハレ様、器用ネ。その子たちとっても嬉しそうヨ」
 トジコが言って、自分の足元にいた転寝うさぎをモフィンクスの時と同じように両手で挟んでもこもこ、もふもふ、ふかふかする。二人には及ばないが、いい感じにもふもふできて、トジコは満足そうに頷き、うさぎをケージの中に入れて運ぶ準備。
 アインと晴夜、二人がせっせと眠らせた動物たちを籠に優しく入れていく。抱えて籠に寝かせるついでに、もふもふを堪能することを忘れずに。
「それはもう!ビーストマスターのお世話、舐めないでくださいませ」
「指が命かつ器用さの化身ともいえる人形遣いのお世話を舐めないで下さい」
 見事にハモった二人の声の圧に気圧されて、雄鷹が荷物を運ぶ途中に立ち止まる。
「よぉ分からんけど、アインちゃんハレちゃんのテクニック凄いな……!」
 たれアニマルと化した動物たちの姿はいっそ戦慄すら覚える。温泉上がりのじいちゃんばあちゃんもこんなに蕩けへんで等と軽口めかす。
 トジコは、小動物の入った軽いケージを幾つか積み上げ、よいしょと持ち上げた。籠のバランス、自分の力や体格から、落とさず運べる適切な数を算出し、安定した動作で効率的に動物たちを移動させていく。
 晴夜が、雄鷹をじろりと見る。
「私がこんなにも真面目に仕事をしているのですから、お運び勢もズンドコ働いて下さいよ」
 ぎく、としたのは雄鷹と、それから滑車を只管走るハムスターを見ていた結だ。滑車によじ登って、一生懸命にぱたぱた走る姿についつい目を取られてしまって、無心で眺めてしまっていたのだ。
「……あ、ズンドコ仕事しますよっ!」
 我に返り答えると、結の声にびっくりしたハムスターが足を滑車に取られて、輪と一緒にぐるぐる回った。それはそれで愛らしい様ではあるが、ごめんねとケージ越しに撫でて、結は仕事に戻る。
「トジコちゃーん、手伝うでー!!」
 雄鷹もトジコを振り返り、わざと大きく声を張り上げた。
「アリガト。ユタ様もユイ様も力持ちで頼もしいアル」
 二人に荷物を預けると、トジコは先の戦いでも活躍したユーベルコード《来来熊猫(ライライシォンマオ)》で、再び巨大なパンダたちを呼び出した。
「今は暴れちゃだめヨ」
 本来なら凶暴なパンダたちをそう言い含めて、トジコはその背中にごろごろ喉を鳴らして眠るねこたちをぽんぽんと積み上げていく。
「……少し積み過ぎたかしラ?」
 あっという間に、パンダwithねこ山(群れ)ができあがった。
「あ、トジコさん。約束してたパンダ撫でさせて下さい」
 それを見て思い出したと晴夜が言うと、トジコが人差し指と親指で円をつくって、OKサインを出した。
「お手伝いが終わったら約束通りパンダ触るヨロシ」
 まずは仕事を終わらせてからねと、その律義さは、サイボーグゆえか、それとも彼女自身の元々の性格なのか、表情を崩さずに答え。
「雄鷹さん、トジコさん私あっちの持ちま……パンダねこっ!?!?」
 荷物を持とうとしていた結が、振り返り驚きに思わず大声を張り上げた。
「え、ちょっ、写真撮らせて! って、ああ! 両手が塞がってて……!!」
 スマホが取り出せない! と、慌てふためく結に、トジコが言う。
「仕事終わりまで帰らせないカラ、安心するアル」
「これは、一気に仕事を片付けなくちゃいけませんね……!」
「ほんまやな! ぱぱーっと片付けたろ!!」
 パンダねこの出現により、サイハテ一行のやる気に火がついて。怒涛の勢いでお手伝いは進められたとか。

 無事に仕事が一段落して、一息入れた五人は、お楽しみのパンダもふもふタイムに突入する。
「お腹でも背中でもダイブオーケーヨ」
 無表情のまま、トジコがそう許可を出せば、他の面々はどう飛び掛かろうとかとパンダたちと睨めっこ。そんな中、雄鷹が、至極真面目な顔でぽつりと呟いた。
「……大型動物のお腹に、顔埋めるのってやりたぁならんか?」
「お腹に顔は夢ですよ!」
 アインがその言葉に力強く同意を示し、結も、
「おっきい動物に顔を埋めるのってロマンよね! 分かる……!」
 パンダと、まだ部屋に残っていた幾匹かのねこの集合写真を無事に写真に収め、にこにこと顔を緩ませながら頷いた。
「分かりますが……本当にやるんですか?」
 晴夜は他の二人に比べると、ややつれない素振りをしながらも、皆を伺うようにちらちらと盗み見るように視線を巡らせる。
「ワイはやりたい!!」
 きりっと顔を引き締めると、「いざっ!!! パンダちゃん!!」の掛け声も勇ましく、雄鷹はパンダに向かって飛び掛かる。
「ね、ねこパンダ! わー!!」
 遅れを取るな続けと、アインも飛びつく。巨大な毛並みに、全身がもふりと埋まって。しかもパンダたちは一人につき一匹しがみつけるだけの数召喚されているのだから、贅沢極まりない。
「うおー!! もっちもちー!」
「もちもちですね!」
「うぉー! ふわっふわー!!!」
「ふわふわですね!!」
 雄鷹とアインの歓声が交互に積み重なる。パンダを所望していた晴夜は、冷静を装って走っていった二人の後を悠々と歩いてパンダに近づく。
 まずは先に自分で言ったとおり、一通り撫でてみて。ちらり、ちらりと左右の大興奮な二人を見遣る。人狼の尾が、パタパタ。小さくこっそりと揺れた。こほんと、誰に向けたか咳払いし、
「仕方ありませんね。お二人がそんなに喜ぶ程のもふもふ。このハレルヤも、後学のために試してみないわけにはいきませんね」
「そんなこと言うて、ハレちゃんも素直に飛び込んだらええのに」
 ニシシと歯を見せる雄鷹に、威嚇ひとつ向けて。晴夜もまた、パンダの胸に飛び込んだ。
「む……これは、なかなか……」
 柔らかいだけではない。どこか野性味を感じさせるコシのある毛並み。さらさらとは言わないが、その包容力はこの場のどの動物よりも秀でていると思わせるもので。温かな動物の体温も合わさり、反対にこちらが眠くなってしまいそうですらある。
「ええよなぁ、パンダ……」
 恍惚とした声で雄鷹が言い、
「いいですよねぇ、パンダ……」
 アインもまた、同じ気持ちをありありと表した声で呟く。

「ユイ様は、パンダもふもふ行かないノ?」
 そんな皆の様子を、遠くから写真に収めていた結に、トジコが声を掛けた。
「私は、あんまり動物の扱いがうまくないから……」
 気が引けたように言う結に、トジコは、首を振って。
「大丈夫。ウチのカワイコちゃんたち、そんなにヤワじゃないヨ」
 そもそも、ユーベルコードなのだからと、パンダのうちの一頭を呼び、結の前へと立たせ、じぃっと結の行動を見守る。視線に、もぞもぞと、指と指を遊ばせていた結だったが、それじゃあちょっとだけ、と、意を決してパンダに近づき、
「し、失礼します……!」
 挨拶ひとつ。ぽふと、その胸に頬っぺたをくっつけた。
 それから数秒とせずに、ぱっと身を離す。もういいノ? と問うトジコに、結はこくりと頷いて、サイボーグの少女に向き直った。
 たった一瞬。されど一瞬。
 ほっぺに残る感触は、思わず青年の頬を緩めて。
「ありがとう。トジコさん」
 結がお礼を言うと、トジコは表情を変えず、ピースサインをつくり結に向けた。
「無問題ネ。ミンナもふもふで幸せヨ」

「二人とも、はよこっち来ぃや! 一緒にもふもふしようやー!」
「そうですよ。お二人とも。そんなところで突っ立っていては勿体ないでしょう」
 雄鷹と晴夜の声。
 そして、
「パンダをベッドに、ねこふとんなんて……ああ、なんて夢のような……!!」
 アインが新たなもふり方を発見をすれば、一同は自分もやるとわあわあ声を上げてはしゃぎ。
 仲間たちに呼ばれ、二人はみんなの傍へと向かってその笑い声に加わる。

 「みんな幸せ」というその言葉は、まったくもってそのとおりなのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

天通・ジン
動物の世話はできないし、別に器用だったり、何かテクニックを覚えてるわけではない。
……うーん、役立たずかも。

でも、折角なら何か手伝おう。
力仕事がいいかな。とりあえず動物を運ぶお手伝いをしよう。
室内で戦闘機は動かせない。
両手で抱えて、あるいはケージを持って、ゆっくりと。
あ、運ぶときは丁寧に運ぶよ。
そういうのは、精密機械を運ぶからか癖なんだ。

他に何か手伝えそうなことがあれば、もちろん喜んで助ける。
声をかけられたらもちろん、困ってそうな人がいたら積極的に。
なあ、手伝えることない?ってな。

アドリブ歓迎だよ




 動物たちを眺めて、ジンは腕を組み考える。
 改めて思えば、パイロット業一辺倒だった少年だ。動物たちの世話と言われても、飼っていたこともなければ、そもそも触れ合う機会だって多くはなかった。何せ、出身は自然の残らぬ宇宙空間の船なのだ。
(……うーん、役立たずかも)
 だからといって、手伝いを頼まれた以上、そのまま帰るわけにもいくまいと、できる範囲で何かを考える。動物を宥めたり、あやしたりはできなくとも、単純な肉体労働。物を運ぶのならできるかと、方針を固めた。
(戦闘機に乗せれたら、あっという間なんだけどな)
 さすがに室内、学園の校舎内をかっ飛ばすわけにもいくまい。
 想像すれば楽しそうな気は……まぁ、しなくもないが。

「なあ、手伝えることない?」
 少年は、他の専攻の学生や、あるいは手伝い来ている猟兵へ、指示やお願いを出している学生に声を掛けると、運んで良いケージのある場所と運ぶ場所を聞いて、情報端末に入力する。
 オートナビゲーションの機能を作動させてから、言われたケージをいくつか抱え、丁寧に運び始める。
 なるべく、中の生き物たちに振動やストレスがないように慎重に。
 パイロットとは言え、自身の戦闘機の清掃や簡単なメンテナンスをすることもある彼は体力もそこそこある。宇宙空間とはいえ、高速で走る戦闘機を繰ったときに生じる負荷に耐えるだけの筋力だって、それなりのものだ。
 スペースシップワールドの、誰かが歌っていた歌を口ずさみながら、初めての歩く校舎を迷うことなく進んでいく。
 途中、鳥かごを抱えて、右往左往する学生の姿が目に入った。お手伝いで、比較的アルダワ魔法学園に来て日が浅いのだろう。道に迷ってしまっているようだ。
 少年は、軽い足取りで迷子に近づき、声を掛ける。
「や。もしかして、道に迷ったのか?」
 振り返ったぶかぶかの学園制服に身を包んだ少女は、申し訳なさそうに頷いた。
「やっぱり。良かったら、俺が案内しようか? 多分、行き先は同じだと思うし。ここの生徒じゃないけど、ルートはちゃんと把握してるからさ」
 ぱっと顔を輝かせ、そうしてもらえると助かると、少女は頭を下げた。下げた頭が、彼女自身が持つ鳥かごにカシャンとぶつかって、弾みで格子が開いた。閉め方が緩かったのだろう。少女が慌てる。
 籠から飛び出した鳥は、優雅にぐるりと旋回すると、少年の栗色の頭に停まって、一声高く鳴いた。少年のパイロットスーツに似た、赤・青・白の羽を持つオウムは、少年の頭の上で自分の居場所はここだと言わんばかりで。
 早くオウムを回収しようと慌てる少女の様子と、頭の上にオウムが止まっているという事実が何となく面白く、ジンは吹き出す。
「いいよ。逃げる気はなさそうだし、このまま連れて行こう」
 途中、逃げたらそのときはそのときでまた考えようと少年は歩き出す。少年が何度か往復する間も、オウムは、肩に、腕にと居場所を変えつつ、一緒についてきたのだとか。

「あ、お前ツメは立てるなよ? そんな簡単に破れたりはしないけどさ」
 なんて声が時折聞こえ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

白斑・物九郎
●POW
動物の移動の手伝いィ?
はん、なんだって俺めがンなコトしなくちゃいけないんですよ!

通った後にゃペンペン草も残さねえ、野生を忘れた畜生共とあっちゃ尚のこと、嵐の軍勢の王たるこの俺めが(ネコ科系にすごいまとわり付かれる)


……。
終わった後にゃメシでも出るんでしょうわな?(手伝う)


こいつらひょっとして俺めのコトを同族の類と勘違いでもしてるんスか?
(猫尻尾をユラユラさせながら動物ズを先導)

オラッ、そこのちっちゃいガキ
何勝手に列から離れようとしてるんですかよ(抱えて戻って来る)
コラッ、そこのでっかいの
寝るなら目的地に着いてからにしなさいや(野生の勘で汲み取る力をブーストした「動物と話す」で説得する)




 動物とケージで溢れかえる部屋。教室内が最もよく見渡せる荷物の空き箱が積み上げられたその天辺。
 高みを陣取り崩した胡坐。立てた片膝、頬杖ついて、不機嫌に尻尾を揺らす猫がいた。

 ひと狩りすんで、はい終わりとはならないのが今回の仕事だ。疲れた体に鞭打って、今度は動物の世話だとは……獲物の狩りを領分とする物九郎にとっては、まったくもって不本意な依頼内容である。
(はん、なんだって俺めがンなコトしなくちゃいけないんですよ!)
 心で悪態を吐く。故に、常にも増して不機嫌なのだ。
 ……いや、実際には、“不機嫌を装っている”部分もあるのかも知れないが。
 金目がじろり。忙しなくあちこちへ行き来する人々を追う。
 いつまでも天辺を占領していても仕方あるまいと、身軽に飛び降りた。下駄が鳴る。

 とはいえ、猟兵たちには仕事を選ぶ権利があるのだから、今となっては帰ろうと思えば帰っても構わないわけで。物九郎は内心ぶつぶつ言いながら、教室を横切り出入り口へと向かう。
(通った後にゃペンペン草も残さねえ、野生を忘れた畜生共とあっちゃ尚のこと、嵐の軍勢の王たるこの俺めが――)
 ペンペン草は残らないが、物九郎の後ろに猫の列ができた。

 振り返る。
 飛び掛かられる。

「ンのっ! テメエらひょっとして俺めのコトを同族の類と勘違いでもしてるんスか?」
 大量の猫責めに遭いながら、顔面に張り付いたサバトラの猫を引っぺがし、じとと目線を合せる。
 彼と同じく金目の猫は、屈託なくニャンと鳴いた。『親分!』と言っているようだ。
「……」
 別に帰っても構わない。
 けれど、それをしないのが、彼の彼たる所以でもある。旅団『ワイルドハント』の猟長は、空気の読めない輩ではない。
 仕方にゃーと息吐いて、剥がしたサバトラぺいっと放った。見事な着地はさすが猫。
(終わった後にゃメシでも出るんでしょうわな?)
 多分出るだろう。恐らく出るだろう。
 そう自分に言い聞かせ、作業を手伝うことにした。何のかんの、頼まれると見捨てておけない気質なのである。
 それが証拠に――、
「オラッ、そこのちっちゃいガキ」
 ヒュバッと振り向き、移動の列から逸れ始めた子猫を目ざとく見つけるや、持ち前の素早さの賜物か。
「何勝手に列から離れようとしてるんですかよ」
 一瞬にして子猫を小脇に抱え、列に戻す。
 やれやれ、これで事は済んだかと思いきや。はたまた、もう数歩行けば、
「コラッ、そこのでっかいの。寝るなら目的地に着いてからにしなさいや」
 居眠りを始めるでぶっちょの白猫なんかもいたりして、猫語ネゴシエーションの必要に駆られる等、猫のキマイラたる物九郎以上に、この猫たちは自由奔放。人の言う事など聞きやしない。
 散々、そっちは違う。鳥を追いかけるな。とてんやわんやしたり、何か腹立つ挙動の黒斑猫に煽られたりだのし終えれば、狩りの時よりよっぽど気を揉む疲れ具合で。少年猫は、心底から、
(もう、ぜってェ手伝わねェ……!!)
 と想いながら、尻尾を揺らしたのだとか。

 なお、手伝いの後、メシの催促を掛けに言ったら「え、出ませんよ?」って笑顔で言われたらしいのは、また別の話。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウサコ・ブラック
とりあえず冷たい飲み物とかアイスくださいなのよ!
フードファイターの「大食い」力は子供だってすごいんだから!

さてさて動物さんと楽しく遊んじゃうのだわー
何して遊ぼうかしらね?とりあえず私は力こそパワーって感じで、まだまだ元気元気なのよ!

とりあえず、「動物を話す」を使って動物さんが何をやりたいか聞くのよ…
もし、「いっぱい遊びたい!」って子がいたら遊んであげるのよ!
ちなみに、私が遊びたいのは熊さんとか、でっかい動物とお相撲したいのよね
最後まで「怪力」お世話になるのよ!




「とりあえず冷たい飲み物とかアイスくださいなのよ!」
 教室に飛び込んで開口一番、ウサコが頼む。
 さすがにアイスはなかったが、スチームドラゴンの熱気のせいか、魔法学園校舎内も少し蒸していたこともあり、冷たい飲み物の準備はあった。ひゃくぱーせんとりんごじゅーすをくぴくぴ飲んで、ぽかぽかしていた体を冷ます。
「おかわりください!」
 けれど、一杯では足りず、二杯三杯と飲み干して――結局紙パック3本分を一人であっという間に空にしてしまった。よく飲むねと学生から声を掛けられ、ウサコは白い目をぴょこと細める。
「フードファイターの「大食い」力は子供だってすごいんだから!」
 えっへん。胸張って。
 実のところ、三本ぐらいでは全然足りないのであるが、そこはそれ。お手伝いに来ている身であるし、ウサコはちゃんと我慢のできるいいこなのである。
 水分を取って人心地ついたウサコは、今度は子どもらしく遊びの時間に取り掛かる。
 ぴょんぴょん弾みながら、辺りを見渡して、何して遊ぼうかしらねと考えながら。
「まだまだ元気元気! だから、たくさん遊んでくれる子がいたらいいけど……」
 熊さんとかいたら、お相撲とって遊べるかもと期待していたが、学校で飼育している動物たちだ。残念ながらそこまで大きな動物はいないらしい。一番大きくても大型犬ぐらいだろうか。
 それでも、何かに捕まり立ちすれば、ウサコの身長よりもずっと高い。
 犬さんと遊ぶのもいいわね! というのも候補にしながら、一先ず、動物さんたちに話を聞いて回る。

「あなたは、何がしたいの?」
『遊ぼう! 遊ぼう!』
『おなかすいたのー』
『ボール遊びがいいなぁ』

 口々に希望を挙げる動物たちの要望を、一つ一つ丁寧に聞いて、ウサコは再び胸を張った。ぽこんと、その胸元を丸い手で叩き。
「私におまかせなのよ!」
 その言葉通り、動物たちと追いかけっこしたり、ボールで遊んだり、ウサコの要望のお相撲もちょっぴりさせてもらったりもして。一通り遊び終われば、元気がまだまだ残っているウサコと、たくさん遊んでもらって大満足で床に寝転がる動物たちの姿が残る。
「うーん。動物さんたちも、そろそろお疲れなのかしら?」
 ちょっぴり残念がるウサコだったが、そのとき、ピンと閃きが舞い降りて来た。

 疲れた動物たちを、ゆっくりケージに入れると、校舎の天井に届くぐらいぽんぽん高く積み上げ、持ち前の怪力を活かして難なく移動先の教室へと運び始める。
 ブラックタール特有の柔らかなボディは、ぐらぐら不安定になるのではないかと思いきや、衝撃を吸収するのだろうか。かなり安定した歩みっぷりだ。
「まだまだ、五往復はいけるわね!!」
 すれ違う学生たちの度肝を抜かれた視線を浴びながら、ウサコはむふーっと満足げに言うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユキノ・サーメッティア
わーい!
もふもふ、もこもこがたっくさーん!

沢山運んじゃいましょうねー
一匹づつ、両腕に抱えながら運ぶ
(運んでるついでにもっふもふーっと堪能)

そうそう、近づいて逃げたりしないよう
【誘惑】や【誘き寄せ】で動物の方から近づいてもらおう




「わーい! もふもふ、もこもこがたっくさーん!」
 早速、手近なところにいた猫とうさぎを両脇に抱えて、ユキノが黄色い歓声をあげる。
 ぎゅっと抱き寄せ、もふっと頬っぺたにくっつけ、自分で自分をもふもふでサンドしては満足そうに頬を緩めた。

「沢山運んじゃいましょうねー」
 弾む声同様、足取りも陽気で軽やかに。ケージに入れずに直接抱えて運ぶのは、何と言ってもお手伝いの最中でも、余さずもふもふを満喫するためだ。
(うーん、役得役得♪)
 ふかふか、ぬくぬく。
 動物たちの待機部屋は、生き物の密集度合いでほかほかしていたが、廊下に出るとさすがにひんやりとしていて、両脇のもこもこなぬくもりが一段とありがたく感じられる。
 移動先の教室につくと、もう終点かーと、残念に思いはするものの、またダッシュで引き返して、新たなもふもふを抱えて運びにかかる。
 繰り返し繰り返し、飽く事なくもふもふを満喫しつつ仕事をこなすユキノの姿は、誰の目に見ても真面目で勤勉そのもの。
 大きい子から、小さい子まで、もふもふであれば分け隔てなく丁寧に運んでいく。

 何往復目であったろうか。
 ふと見ると、移動を待つ動物たちの中に、ケージの隙間に隠れてふるふると震えている猫がいることに、ユキノは気づいた。
(ん~? 怖がってる……?)
 ユキノは、地面に伏せるような姿勢で隙間を覗き込み、そーっとケージ同士の隙間に腕を差し入れた。
 細い、少女の腕が近づくと、猫は一層奥へと身を縮め。
「チチチ。怖くないですよ~」
 語り掛けながら、ユキノは持ち前の生き物を惹きつける力で、辛抱強く相手から近づいてくるのを待った。
 やがて、猫のざらりとした舌がユキノの指に触れて。ユキノの手に、ぽふと、肉球の当たる感触。
「! 今だ、確保ー!!」
 機を逃すことなく、ユキノは猫を隙間から引っ張って外へと連れ出した。
 暴れる前に、ぎゅーっと抱きしめ、頬擦りをする。
「はいはい。お引越し先でなら、隠れても大丈夫だから、少しの間だけがまんしててくださいねー?」
 虚を突かれた行動に暴れるタイミングと逃げ込む場所を失った猫は、ユキノの服にぎゅうっとしがみ付き。
 もう一度ふふっと笑いを零すと、ユキノは新たなもふもふを連れ、再び廊下へと飛び出すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイブル・クライツァ
動物達のお世話…観察して、感情表現の勉強にもなるわね。
お手伝い、張り切って頑張るわ

鳥は温度変化に敏感で、真似して喋る子も居るのよね。
清潔も大切だから、鳥籠のお掃除の手伝いを(手を差しのべ外へ誘導)おいで、おいで
(突っつかれたり爪を立てられたり。けど激痛耐性持ちで無表情)普段と違う人だから、驚かせてしまったかしら?
襲ったりしないわ。ほら(餌箱に補充をして)お水も今から取り替えるわね。
…あら、貴方の羽根は凄くふわっとしてるのね。
ん、貴方の鳴き声はとてもリズムが心地好くて好きよ。

一段落ついたら、ちょっと休憩を挟んで…あら?(肩か膝に乗った子をじーっと見て)扉、閉め忘れていたのね。一緒に戻ってくれる?




 無表情な女が、動物たちと彼らの面倒を見る人々の様子をじーっと見詰めていた。
 獣も人も、皆一様に楽し気で、けれど一人として感情の表し方は同じではない。戦いの最中ではゆっくり見る時間が得られなかった様々な表情と動きを、今ならじっくり見ることができるだろう。
(勉強になるわね)
 胸中、独り言を呟いて、レイブルは何とはなしの戯れに、両の人差し指で自分の唇の端を、くいと押し上げてみた。人形の表情は笑顔には程遠く。鏡で見ずとも、それは自分自身で心得ている。
(張り切って、頑張りましょう)
 口元から指を離し、レイブルはお手伝いを始める。

 教室内には多くの種類の動物がいたが、レイブルが世話に取り掛かったのは、鳥類だ。手のひらに2・3羽まとめて乗せられそうな小鳥もいれば、亜熱帯を思わせる色鮮やかな羽根を持つ鳥、猛禽に、尾や頭の飾り羽が見事にたなびく鳥と、一口に鳥と言っても、その種類だけでも両手の指では足りない程の種類が集められていた。
 鳴き声も然り。可愛らしいものから、けたたましく喚き散らすもの、学生が仕込んだのだろう『コンニチハ』『アリガトウ』『サヨウナラ』等、人の言葉を真似て喋るものと声が溢れかえるな騒ぎだ。
 レイブルは、静かなところを好む質ではあるが、だからと言って動物たちのこの賑やかな鳴き声に不快を感じるわけでもない。
 自身の知る情報に合った鳥達の姿を確認すると、その鳥達がストレスを感じないように配慮しながら、汚れた鳥籠の清掃を進めていく。
 小鳥の鳥籠の清掃が済み、今度は隼の立派な鳥籠に近づくと格子扉を慎重に開け、黒手袋に包まれた手を差し入れた。
「おいで、おいで」
 驚かせないように囁き声で声を掛けるも、そも本来は気性の荒い鳥である。ケーっと甲高い鳴き声と共に、レイブルの指を啄んだ。
「普段と違う人だから、驚かせてしまったかしら?」
 きっと普通の学生ならば、激しい痛みに手を引き戻していたところだろう。
 けれど、レイブルは表情一つ、脂汗ひとつも浮かべずに、淡々と首を傾げるのみで。手を引き戻すどころか、作業を止める気配もない。
「襲ったりしないわ。ほら」
 言うと、餌を籠の中へと入れ、「お水も今から取り替えるわね」と極自然に作業をこなしていく。見知らぬ人物に興奮していた隼も、日頃されている世話と同じであることと時間を経る内に気分が落ち着いたのだろう。やがて大人しく、クルクルと上機嫌に喉を鳴らし始めた。
「……」
 レイブルは少し考えて、先ほど中に置いた餌を手に乗せて、手ずから食べないだろうかと試みてみた。ダメで元々とは思いながら、そのままぴたりと動きを止めて暫し……、少し不思議そうにレイブルと餌とを見比べていた隼が、レイブルの腕に乗り移ると、ぱくっと餌に。餌だけに、食いついた。
「貴方の羽根、滑らかね。綺麗だわ」
 もう片手で、そっとなぞる程度に背中を撫でると、扉をきちんと閉じ、簡単な傷の処置を済ませて、レイブルは次の檻へと向かう。
「……あら、貴方の羽根は、凄くふわっとしているのね」
「ん、貴方の鳴き声はとてもリズムが心地好くて好きよ」
 出会う鳥一羽一羽に声を掛け、几帳面な手つきで行けば――時間はそれなりに掛かったが、粗方の鳥籠の清掃が終わる。
 さすがにこれだけの量をこなすとなると、猟兵、ドールの女であっても、集中力が切れかけてくるのは仕方がないことだろう。けれど作業はもう一息。これが済めば、鳥達は新しく気持ちのいい棲み処で過ごせるようになるのだと、作業再開の前に暫しの小休憩を取ろうと用意されていた椅子に腰かけると……、
「……あら?」
 黒いスカートに包まれた膝の上、ちょんと乗っかったのは、モノトーンの女とは対照的な明るい空色の鳥。この子は、さっき見たはずと、記憶に残る鳥籠の方へ視線を向ける。
 キィキィと、幽かに扉が揺れていた。
「扉、閉め忘れていたのね」
 集中力が切れたからだろう。小さな失敗、出て来た鳥をチチチと呼んで、指に停め。
「一緒に戻ってくれる?」
 レイブルに応えるように、小鳥がピチと鳴き。ありがとうと呟くと、女は立ち上がり、鳥籠の方へ……。

 パタンと、籠の閉まる音は、本を閉じる音に似て――、

 だから、もふもふと火龍とお手伝いの話は、これでおしまい。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月05日
宿敵 『スチームドレイク』 を撃破!


挿絵イラスト