「何をしている!?状況確認急げ!」
ブリッジに、怒号が響き渡る。叫んだとて、どうなるものでは無いのだが。
「左舷にて爆発の模様!死傷者多数!」
「推進システム停止!」
「機関室、連絡取れません!」
次々に表示され、また音声によってもたらされる情報に、ブリッジは埋め尽くされる。
「こんな所でコントロールを失ったら……」
多数の乗客を乗せた宇宙船は、暗く冷たい闇を彷徨う。
「宇宙でも、客船というものは在るのだな」
馮・志廉(千里独行・f04696)は、集った猟兵達に、予知した事件のあらましを語る。
舞台はスペースシップワールド。母星を失い、巨大な宇宙船が大地の代わりを担う世界。
船と船の間を結ぶのも当然宇宙船だが、その内の一隻で、航行中に事故が発生したらしい。
船内で起きた爆発により、エネルギーの伝達系統が損傷し、推進力を失って漂流しているのだ。
今回は、この船内に猟兵達を転移し、救助活動を行う。
「豪華客船と言う訳では無いが、それなりの人数が危険な区域に取り残されている。また、船自体も放置すれば取り返しのつかない所まで流されて行くだろう」
今回救助活動として考えられるのは三つ。
生存者の救助。
宇宙船の修理。
付近の船への救援要請。
船内は爆発で起きた火災も発生しており、そのために閉まった隔壁の奥には、まだ生存者も居るという。
とりあえずでも、船内の安全な場所に移動させなければ、危険だ。
「比較的近い位置に、多くの住民が居る巨大スペースシップがある。とにかく、そこへ避難をさせる」
猟兵達の人数や力のみでは、全てを移す事は難しい。猟兵達が船を修理する事が出来ればスペースシップに向かう事はできる。逆にスペースシップに救援要請して収容して貰うのも良いだろう。
ある程度修理が進めばスペースシップへの通信も復旧するだろうし、単身星の海を越えて直接スペースシップに救援を求めるのも不可能では無い。猟兵ならば。
「しかし、グリモアが示す以上、単純な事故と言う訳ではあるまい」
つまり、オブリビオンの影を感じると言うわけだ。この事故の裏には、銀河帝国が居るのか?
眉間に皺をよせ、十分に気をつけるよう促して志廉は猟兵達を送り出した。
鉄錆
鉄錆と申します。
今回、先ずは漂流する宇宙船に取り残された人々を救助していただく事になります。
生存者の救助では、火災や隔壁等の障害を突破し、生存者を安全な区域まで移動させます。
宇宙船の修理では、エネルギー伝達経路のバイパスを作ったり、通信系統の修理を手伝います。
スペースシップへの救援要請では、何らかの通信や直接スペースシップへ向かう等です。
無論、この事件の裏にはオブリビオンがおり、次章以降では黒幕との戦闘が待っています。
それでは皆様、よろしくお願いいたします。
第1章 冒険
『SOS!宇宙船の生存者を救え!』
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POW : 救助最優先!人を探す
SPD : 宇宙船を修理する
WIZ : 事情を説明して応援を呼ぶ
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ボゴ・ソート
■
対象が物であれ人であれ、極限環境における捜し物は得意だが、人命がかかっている以上は油断は禁物だ。
ワーズギアや観測ユニットをはじめとした様々な装備、そして船内備え付けの消火器、それらひとつひとつに対する指差し確認を終えた俺は、帽子をしっかりと被り直しながら他の猟兵に声を掛ける。
「……ヨシ! みんな、頼りにしてるよ!」
■
【POW】
火災発生箇所へ先行して[火炎耐性]頼りに消火活動をしつつ、[聞き耳][視力][第六感]を使って生存者を探します。
隔壁は、腕っ節の強そうな猟兵さんにお任せします。
また捜索と並行して安全なルートに[フック付きワイヤー]や[レプリカクラフト]でガイドを設置しておきます。
浅杜守・虚露
【POW判定】わしは機械とか小難しいもんはわからん。図体のデカさを利用して人命救助じゃぁ!
とりあえず声を張り上げて生存者を探すぞ。見つけ次第救助、隔壁や崩れた瓦礫は掌で吹っ飛ばして安全な場所まで一直線じゃ。
・・・と言っても流石に動力関係の部分、外壁に面しており脆くなってる部分は流石に避けるがな。急がば回れじゃ。
消火はちょっと持ちの手札が足りんわ。誰か手伝っちゃぁくれんかのう?
火災の中での探索、救助という極限状態において、最も重要なのは冷静さを保つ事である。
ボゴ・ソート(ウォーマシンのシーフ・探索者・f11583)は、その事を十分に理解していた。故に、自らの装備や艦内備え付けの道具の確認を怠る事は無い。
ワークギア……ヨシ。
観測ユニット……ヨシ。
消火器……ヨシ。
一つ一つを指差し、丁寧な確認を終えたポゴは、最後にトレードマークのワークキャップをしっかりと被り直すと、仲間達を振り返る。
「……ヨシ!みんな、頼りにしてるよ!」
「おう!」
猟兵達の声と共に、生存者救助という闘いが始まった。
現在安否が確認されていない乗客等が居ると思われる区域は、延焼を防止するための隔壁が閉じてしまっていた。
「これはちょっと時間がかかるかもね」
「わしに任せい!」
ズン、と大地を踏みしめて現れた、屈強なキマイラの男。浅杜守・虚露(浅間雲山居士・f06081)だ。
「んどらぁ!」
張り手一発、虚露が突き出した掌によって、隔壁がぐにゃりとひしゃげる。彼の最大の持ち味は、その立派な角よりも、肉食獣の如き牙よりも、地道に培われたその相撲だ。
更に何発かくれてやれば完全に吹き飛び、十分な道を確保する事が出来た。
「おおぉい!生きておれば返事をせぇい!」
虚露が大声を張り上げて生存者を探す。しかし、いまだ火災は続いており、流石の大声も十分には届かない。
「それは任せてよ!」
極限状態での探索活動こそポゴの本領。火災耐性を持つ合成樹脂製の皮膚と、先ほどチェックをした消火器で的確に消火活動を行っていく。
そして、観測ユニットに反応が有った。
「こっちか!」
叫ぶやいなや、瓦礫を押し退けながら突き進む虚露。
こう見えて、繊細な機器等は破壊せぬよう上手く合間を縫う、いわば嗅覚も働かせ、より的確なルートを見極めている。
その様子を頼もしく思いつつ、ポゴは切り開かれた道にガイドを設置し、安全な退路を確保していったのだった。
大成功
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峰谷・恵
「宇宙空間でも活動できる体に変えれば熱と低酸素くらいならなんとでもなってね。量産されてないシロモノだけど」
空間活動用改造ナノマシンを服用して宇宙空間でも活動できるようになった体で火災区画に突入(隔壁はロック解除を【ハッキング】で試し、ダメか時間がかかるなら砲撃で強引に破って突入)。
【怪力】で途中の瓦礫などをどかして移動ルート確保し、生存者を見つけたら水で濡らしたマントをかぶせて安全な区画まで案内する(瓦礫に挟まれているなどで動けない場合は【怪力】で助け出して担いで運ぶ。途中で炎が吹き出してきたりしたらダークミストシールドで担いだ要救助者をかばう)
火災区画の要救助者を助け終わるまで救助を繰り返す
レイチェル・ケイトリン
わたしが得意な念動力技能でサイコキネシスをつかって救助するね。
燃えてるものや炎をはなれたところからさわらないでうごかせるのが
わたしのとりえだから。
炎をおしのけてとおれるようにしたり、
あつくなっちゃった隔壁を
さわらないでうごかしてあけたりするよ。
もちろん、そのまえに船の人にいかなきゃいけないところ、
とおらなければならないところ、しっかりおしえてもらうね。
いっしょにいってくれる人ともきちんと協力しないとね。
かえりももちろんサイコキネシスだけど、けがしてて
あるけないひとがいたらやさしくはこぶのもがんばるよ。
わたしの力は心の力。
だれもしんでほしくない、そう想う気持ちがいまのわたしの心だもの。
激しい爆発。誘爆か?いや、峰谷・恵(神葬騎・f03180)のアームドフォートから放たれた砲撃で、次なる隔壁を吹き飛ばしたのだ。
無論、事前に周辺の生体反応を確かめた上で、時間をかけぬ合理的選択と言える。
道々の瓦礫を身軽に躱し、帰り道の邪魔になりそうならば、その見かけからは想像もつかぬ怪力でどかし、速やかに捜索を進めて行く。
そして……いた。煙に巻かれてこそいないが、瓦礫に囲まれた場所に、十数名の乗客が固まっていた。
熱に意識も朦朧とし、とても逃げれぬと諦めかけていたのだ。
「助けに来たよ!」
恵が声をかけ、熱く焼けたパイプをその手でどける。
「ア、アンタ!手が!」
「ナノマシンだよ。熱と低酸素くらいならなんとでもなってね。量産されてないシロモノだけど」
手際よく脱出路を確保すると、我先に抜け出る乗客達。
恵は体力の無い幼子を背中に負うと、水に濡らしたマントをかけてやる。
その子の親と共に脱出しようとした時、新たな爆発が起きた。
背中の子どもは、ダークミストシールドで庇える。しかし、両親までは届かない!
あわやというところで、その爆炎は、更に激しい、目に見えぬ力によって押し戻された。
レイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)のサイコキネシスが、爆発の力を押さえ込んだのだった。
「わたしが、まもるよ」
レイチェルの背後に、ふわりふわりと人一人が浮いている。ここの他で、怪我をして動けなくなっていた人を見つけ、その念動力で浮かせているのだ。
骨折しているらしく、無理に動かすのは難しかったのだが、その繊細な念動力の操作で、負担も少なく救助できている。
レイチェルと恵は、連れ立って救助した人々を先導する。新たに振りかかる瓦礫ははね除け、爆風を押し返し、その念動力をもって、安全が確保された道までを突き進む。
如何に猟兵とは言え、ここまでの力が出るものか?
念動力とは、心の力だ。今のレイチェルの力は全て『だれもしんでほしくない』という一念。
純粋で、一途なその思いに、限界など無い。
成功
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空飛・空牙
SPD判定
「修理しろとはまぁ、簡単に言ってくれるな。宇宙船とか、そもそも乗るのも初めてだ」
けらけら笑いつつ
[情報収集][世界知識]で構造を頭に入れ、
最優先で修理すべきところを[メカニック]として直すか
「その辺の使えそうなもん持って来てくれ」
[地形の利用]で使えそうな残骸からパーツ再利用したり
折れてる部分は[ロープワーク]で固定したり
手持ちのアイテムも駆使して[早業]で作業し、とりあえず動く所までもってくよ
[暗視][聞き耳][第六感]で不具合あるとこ探りながら
最悪[操縦]までこなそうか
「エネルギーって、電力でも良いのかね?」
必要なら抑え目の[属性攻撃]で電力なりエネルギー補給も試そうか
ノイン・フィーバー
行動:SPDにて、宇宙船修理
心情:フフフ。たまには縁の下の力持ちをさせて頂きますよ?
そもそも動けない宇宙船などただの棺桶ですし、損はないでしょう
行動:
ガジェットショータイムを発動し、大きな工具箱を取り出す。
工具箱から大
きなスパナの形をしたレーザートーチ
大きなスパナの形をした応急修理用エネルギーバイパス
大きなスパナの形をしたスパナ(ただの巨大スパナ)
など取り出し、修理を手伝う
万が一修理を妨害する者や、怪しい者がいたら、工具箱から大きなスパナの形をしたブーメランを投げて攻撃します
「敵、という事でかまいませんね? この工具箱にはスパナが108個ほどありますよ?」
無論愛用のアームズフォートも使います
「修理しろとはまぁ、簡単に言ってくれるな。宇宙船とか、そもそも乗るのも初めてだ」
けらけらと笑いつつ、ブリッジで修理に必要な情報を集めるのは、空飛・空牙(蒼天疾駆の自由人・f04480)。
猟兵達は、このスペースシップワールドでは銀河帝国に抵抗する者達として好意的に受け入れられている。
この船でも、事情を説明すれば、十分な協力を得ることが出来た。
「そもそも動けない宇宙船などただの棺桶です。やってみて損はないでしょう」
そう述べるテレビ……型のヒーローマスク、ノイン・フィーバー(テレビ顔のメカ野郎・f03434)は、得意のガジェットショータイムを使う。
現れたのは、大小さまざまな、大量のスパナ?
「なんだこりゃ?」
「フフフ、使ってみてのお楽しみですよ」
情報収集により、修理が必要な箇所は粗方検討がついた。現在の人員や技術からして、付近のスペースシップに連絡を取るための通信設備の復旧が最適だと判断される。
そうと決まれば、空牙はテキパキと修理作業を開始する。
破損した部品を交換したり、多少無理にでも壊れた部分を繋ぎ合わせたり。メカニック技術も、中々のものだ。
「ノイン!その辺の使えそうなもん持って来てくれ」
ノインから手渡されたのは、先ほどのスパナ。
「おいおい、工具なら俺も持ってるんだよ」
「良く見て下さいよ。これは応急用エネルギーバイパスです。スパナ型の」
「なんだそりゃ……」
言いつつも、利用出来るものはしっかりと利用する空牙。
「あ、それはスパナ型のスパナです!」
そんなこんなで、着実に作業は進む。
そしてようやく、外部との通信が可能なレベルにまで到達した。
しかし、出力が安定しないか?
「それなら……」
空牙の属性魔法によって、一定のエネルギーを供給された通信機は、無事にスペースシップとの通信を成功させたのだった。
喜びに湧くブリッジの中で、縁の下の力持ちとしての作業を完遂したことに満足を覚えるノイン。
スパナを回収していたのだが、有ることに気がついた。
「これはスパナ型の……ブーメランですね」
今必要なガジェットとして、武器が現れた。
それが意味するのは……。
成功
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目面・真
船内で何が起きたかはワカラナイが、捜索に専念しよう。
爆発の原因究明は後回しだ。
人命救助は早いうちに行動する方が生存率が高いのだからな。
笄を使って船内をくまなく探し回ろう。誰かいないか。
まずは船内の安全な場所へ移動してもらう。途中壊れた場所があれば、修理班を呼ぶか、自分の力で何とかなるようなら、力ずくで移動できるようにしよう。
移動時の不測の事態に備えてバトル・インテリジェンスを発動させよう。
避難経路次第で先導や誘導を柔軟に行えるように心がけよう。
この規模の船なら救命艇の備えがありそうだが、ついでに探してみるか。船員に聞いてもイイが。
目面・真(たてよみマジメちゃん・f02854)は、船内を駆ける。
人命救助はスピードこそが命だと、知っているから。
既に猟兵達によって、多数の乗客が救助されているのは、船内での通信で確認している。
だが、まだ残っている可能性は在る。そのため、真は走るのだ。
そこに、新たな通信が入る。
「乗員乗客共に、安否不明だった分の人数は揃っている。もう大丈夫だろう」
それは、船長の声。だが、真は未だに違和感を拭えない。
真は事前に救命艇についても確認していた。その結果、救命艇を備えていた場所は、爆発によって壊滅していたようだ。
通信機も、思ったほどの時間はかからずに復帰したという。
色々と、都合が良いのではないか。納得の行くまで、人命救助は行わなくては。
そして真は、ある部屋にたどり着く。先行して飛ばしていた笄――偵察機に改造された、が、微かな、うめき声のようなものを感じたからだ。
真は『義光』を抜き放ち、その扉を斬り飛ばす。
するとそこには……多数の男がいた。それも、縛り上げられた姿で。
「これは……?」
助け出した男達の話によると、彼らはこの船の護衛を担う鎧装騎兵だという。
皆、何者かの襲撃を受けてその鎧を奪われ、ここに閉じ込められている内に爆発、火災の騒ぎになったのだという。
先ほどの通信では、乗員の人数は揃っていたという。そして、奪われた鎧。
真は、要救助者の捜索に専念した結果、爆発の原因を突き止めてしまったのだった。
成功
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第2章 集団戦
『クローン騎兵』
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POW : ジェノサイダー
【自身の寿命】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【ジェノサイドモード】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD : インペリアル・インテリジェンス
【銀河帝国式戦術ドローン】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ : ブラスターレイン
【熱線銃(ブラスター)】を向けた対象に、【連続射撃】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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巨大なスペースシップが、その腹を開く。
通信で救助の要請を受けた客船を収容するために。
その巨大な格納庫と比べては、この客船などちっぽけなものだ。
続々と客船から降りるのは、乗客達。そして乗員達が降り、続いて客船の護衛を担う鎧装騎兵たち。統一された鎧に身を包み、その表情は伺い知れない。
先頭の鎧装騎兵が、格納庫の奥に足を進めようとした時――その前に、猟兵達は立ちはだかった。
同時に、巨大スペースシップの鎧装騎兵達が、乗客達をかばい、速やかに待避して行く。
猟兵達が、通信で事前に連絡していたのだ。船内に、敵が居ると。
そう、全てはこのスペースシップの防衛網を潜り抜けるための、帝国軍による姦計。
まんまとスペースシップには乗り込んだが、計画外の猟兵に見抜かれた訳である。
作戦の失敗を察知した、客船の鎧装騎兵――帝国のクローン騎兵達は、奪っていた鎧をパージし、その本来の姿を現す。
広い格納庫の中で、戦いは始まった。
峰谷・恵
「此処から先は帝国お断りだよ」
クローン騎兵が散開しないうちに全射撃武器によるフルバースト・マキシマム(先制攻撃、一斉発射、鎧無視攻撃、鎧砕き、2回攻撃、誘導弾)を叩き込んでクローン騎兵の数を削る。
敵が散開したら全方位から攻撃されないようコンテナ等の遮蔽物でカバーを取り(戦闘知識、地形の利用)ダークミストシールド(盾受け)とマント、空間活動用改造ナノマシン、喰精紋、コード【神を穿つもの】の4重防具(オーラ防御)で敵の攻撃を防ぎながらMCフォートとアームドフォートで反撃、ひとつずつ確実に敵を倒していく
「格納庫で捕まえられなかったらもっと手こずったかな」
クローン騎兵達の前に立ちはだかる猟兵、恵がアームドフォートを展開すると――。
「此処から先は帝国お断りだよ」
クローン騎兵達の機先を制さんと、全砲門の射線を集中させ、『フルバースト・マキシマム』を叩き込んだ。
中には、虚を突かれて咄嗟に反応出来ぬ騎兵も居る。そういう者は、戦闘の体をなすまでもなく、砲弾に砕かれ、マシンキャノンの弾丸に貫かれ、ブラスターの熱線に焼き切られた。
相当数のクローン騎兵が、この先制攻撃によって斃れたが、仲間の死に全く動じる事無く、彼らは合理的に散開する。そういう感情は、端から奪われて産まれてきたのだ。
「格納庫で捕まえられなかったらもっと手こずったかな」
散開した敵に、この艦内で全方位射撃を行う愚を避け、各個撃破に切り替える恵。
先ずは、囲まれぬようにコンテナに身を隠す。
このままでは勝てぬ。クローン騎兵はどこまでも合理的だ。
ブラスターを鎧に直結して変形させる騎兵。出力を限界まで引き上げ、その威力を高める機構である。無論、無理な高出力化は、その肉体を蝕むのと同義であるが。
恵が隠れるコンテナの正面から、コンテナご当地貫くべく放たれる熱線。
しかし、それでも恵には届かない。四重の守りが、その熱線を霧散させた。
オーバーヒートを起こして放熱のため動けぬクローン騎兵に向けて、無慈悲な弾丸が撃ち込まれた。
大成功
🔵🔵🔵
浅杜守・虚露
「なんとも、クローンというのはゾロゾロと…厄介じゃのう」
そう言って相撲の塵手水の所作からUCを使用し衝撃波を自身を中心に発生させ『来いよ量産野郎!武器なんざ捨ててかかってこい!』と宣言。騎兵の持つブラスターを無力化していこうかの。
わしは相撲・プロレス・喧嘩殺法。何はともあれ無手勝流が好みじゃ。わしのワガママと戦略とは言えん浅知恵に何人かは付き合ってもらおうか!
レイチェル・ケイトリン
念動力と吹き飛ばし技能で刹那の想いをつかってたたかうね。
ほかの猟兵さんたちのうしろにしずかにたって見えない力をはなつよ。
敵は連続攻撃するために銃をその方向に向け続けなきゃいけない。
なら、わたしたちにちかい敵が撃ってくるならふっとばして狙いをはずしてふせぐね。
とおい敵が撃ってくるなら手前の敵をふっとばしてとおい敵の銃にまえからぶっつけてふせぐよ。
かばう技能もつかえるからほかの猟兵さんたちへの攻撃もふせぐね。
1秒間を22分割した時間のなかでうごくわたしの心。
対応速度なら刹那の想いはまけないよっ!
「なんとも、クローンというのはゾロゾロと…厄介じゃのう」
多数のクローン騎兵を前に、虚露はしっかりと腰を落とした蹲踞の姿勢。堂に入ったものである。
パンッ!と柏手を打ち、両手を広げる塵手水の所作と同時に、虚露の周囲に衝撃波が放たれる。
ぐっと身構える騎兵達。だが、衝撃波そのものによるダメージは無い。気を取り直してブラスターを構えるが、既に虚露の術中に居るとは気づかなかった。
「来いよ量産野郎!武器なぞ捨ててかかってこんか!」
何を、と引き金を引こうとした騎兵達に激痛が走る。これこそが虚露のユーベルコードの力。衝撃波を受けた者は、『素手で挑む』というルールを強要されたのだ。
激痛に耐えかねた騎兵は、次々とブラスターを捨てて虚露に素手で襲いかかる。
しかし、素手で虚露にかなう道理があろうか?
それはまるで、横綱に稽古を願う新弟子といった様相。もっとも、稽古と違うのは、なぎ倒された騎兵は、二度と立ち上がる事が無い、と言うことだ。
無論、武器を捨てぬクローン騎兵達も居る。戦場で武器を捨てるというのは、決して簡単に守れるルールではない。
致命傷にはならぬと判断し、強引にでも銃撃を行おうとする者もいた。
まさに引き金を引き金をした時、彼らは目に見えぬ力に弾き飛ばされた。
それは、クローン騎兵達と、虚露を挟んで反対側。しずかに立ち、念動力を放つレイチェルによってもたらされたものだった。
当然ではあるが、銃と言うものは、攻撃する相手を銃口で捕捉する必要がある。ブラスターも、その例に漏れるものではない。
とは言え、ブラスターで相手を狙う時間など一瞬に過ぎない。その一瞬にそれを認識して妨害する事などできるのか?
レイチェルならできる。今のレイチェルは、一秒間を更に二十二に分けた時間を生きている。
極限まで高められた集中力の中、むしろ時間的余裕すら持ちながら、敵の位置関係、攻撃を仕掛ける順番等を見極めて行く。
こうなれば、後は一つ弾き出してやれば――。
真っ先に構えた騎兵を弾き飛ばすと、更にその奥の騎兵にぶつかる。更にその騎兵がもたれかかって狙いが乱れ……。
ドミノを崩すように、一瞬の内にクローン騎兵達はなぎ倒されたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ルノーン・プライジエ
[アドリブ・連携は大歓迎]
事前連絡の通りですね。
ですがここを抜かれてしまうと結局被害が出るので意味がないのですが。
乗客の安全確保の為さっさとクローン兵達を一掃しましょう。
私とアウスグスで銃撃を行い敵の数を減らします。
私は【視力】で敵戦力の要を狙い【範囲攻撃】【一斉発射】で攻撃を行います。
アウスグスは【援護射撃】【スナイパー】で各個撃破を狙ってもらいますか。
敵が怯み、動きが停滞すれば、私が吶喊し格闘攻撃を仕掛けます。
【怪力】【グラップル】で暴れましょう。
反撃は【盾受け】【カウンター】で往なして
隙のある輩はレルの餌食です。【力溜め】【鎧砕き】で粉砕です。
もしもの時は強化合体をしますか。暴れますよ!
「事前連絡の通りですね」
ルノーン・プライジエ(魔改造好きの骨董マシン・f03967)は、救助に当たっていた猟兵達の通信を受け、スペースシップで敵を待ち構えていた。
水際で捕捉できたのは、猟兵達の活躍によるものだ。が、ここを突破されてしまっては元も子もない。
ルノーンは己の子機とも言える多脚戦車『アウスグス』と並び、何とかスペースシップの深部を目指そうとするクローン騎兵を迎え撃つ。
高速で接近する騎兵達に対し、ルノーンはその左腕『ガウヘズ』に装着された重機関砲をばらまく。この弾幕には、彼らの装甲も頼りないものだ。
迂回して、上方に躍り出た騎兵。複数方向からの攻撃であれば……という目論みも、アウスグスに搭載された『ガウスデル』による正確なヘッドショットに砕かれた。
これほど正確な位置把握は、ルノーンのカメラが捉えた映像をアウスグスと共有し、多角的に捉えるからこそだろう。
このままでは突破出来ぬと見たクローン騎兵達は、一時引く判断を下す。ここは一気に勝負を仕掛ける。
「強化合体!」
「了解。バスターアーマー・プロトコル開始します」
普段は無邪気なアウスグスも、戦闘となれば冷徹そのもの。
一つの巨大な機体と化した二体は、撤退で戦列の乱れたクローン騎兵達を蹂躙したのだ。
成功
🔵🔵🔴
ボゴ・ソート
お揃いの熱線銃と戦闘服を身に着けるのは、これまたお揃いの体格をしたクローン達である。
実に強そうだ。
可能ならば、肩を並べて帝国と戦いたかったが。
「無理だね。少なくとも今は」
俺は気を取り直し、愛用のフック付きワイヤーへと手を伸ばす。
■
フック付きワイヤーを使った[盗み攻撃]で熱線銃を奪い取り、身体のサイズ差が原因で、引き金に指をかけることすらできないことを確認します。
その後は「これ返すよ」と熱線銃を持ち主へ全力で投げつけると同時に[ダッシュ]で近付いて[シーブズ・ギャンビット]で攻撃します。
ポゴは、激しい戦闘の中でも整然と並ぶクローン騎兵達の姿を見やる。
統一された規格のブラスター。細部に至るまで寸分違わぬ鎧。その体格までも、全てが揃っている、意思を持たぬクローン。
ポゴはその姿に、少々複雑な思いを抱いていた。
出来ることならば、彼らと肩を並べて共に帝国と戦いたい。しかし……。
「無理だね。少なくとも今は」
ポゴはその巨体に似合わぬ敏捷性で、騎兵達の射撃を躱して行く。
簡単には当てることが出来ないと判断した騎兵が、何事か通信を始める。すると、クローン騎兵達の頭上に、一体のドローンが現れた。
ドローンが出現してから、明らかに射撃の制度が上がっている。これは帝国の戦術ドローンであり、上空から戦況を分析し、クローン騎兵達を操ることで最も効率的な戦闘を可能にするのだ。
だが、感知能力ではポゴも負けてはいない。熱線を潜り抜け、フック付ロープを飛ばすと、ギリギリで熱線をすり抜けて、騎兵が持つブラスターを奪う。
素早く手元に引き寄せると、射撃姿勢。
ブラスターの発射が来るか?回避姿勢を取る騎兵達だったが――来ない。
ドローンは常識的な分析をし過ぎていた。ポゴの体躯は、スペースノイドとしては、規格外に大きい。引き金に指をかけることすら出来ぬ。
ポゴは少しだけ寂しそうに笑うと、上空の戦術ドローンに、ブラスターを投げつけた。
「これ返すよ」
激しく衝突したブラスターに、バランスを失い墜落するドローン。
一瞬、統制を失った隙を逃さず、『シーブズ・ギャンビット』ですれ違うや、バタバタとクローン騎兵達は倒れた。
成功
🔵🔵🔴
目面・真
随分あっさりと白状しちゃったね。
時間はオマエ達に味方をしてくれそうもナイだろうから、その判断は正しいよ。
とは言え、ヤツ等との撃ち合いはこっちにとって都合が悪いね。
一般市民を背にしてやれるコトではナイ。
ちょうど今、アームドフォートの整備の都合で、こっちは砲撃ができないんだ。
ヤツ等のブラスターの射線が背後の市民と交差しない方向から斬り込むしかなさそうだ。
ダッシュと残像で一気に間合いを詰める。できるはず。こればかりは自分を信じるしかナイか。行くぞ。
間合いを消したら、至近からの斬撃、剣刃一閃で片を付けてやる。
どれだけ超人的なジェノサイドモードであろうとも、そんなモノ真っ二つに離れ離れにしてやるさ。
ノイン・フィーバー
初手で前のプレイングで取り出したスパナ型ブーメランでけん制。
そのままアームズフォートで射撃し戦闘へ。基本的には周りの猟兵の援護を行う。
足元に転がってるクローン兵達が奪った鎧でガードしたり、鎧の武装をアームズフォートで攻撃して爆発させたりしてみる。
敵を1箇所に固めるように射撃で誘導。
うまく集まれば、
「中々に考えられた手管でしたね。素直に賞賛しましょう。それに際して、つまらないものですがお納めください」
と、アームズフォートを展開し、フルバーストマキシマムで蹂躙。
目論みが失敗したと判断するや、即座に戦闘に方針を切り替えたのは敵ながら正しい判断か。
そんな事を考えつつ、真は走る。クローン騎兵達の射線を乱し、避難する一般市民を巻き込まぬためだ。
ちょうど己のアームドフォートは整備のため使えない。足で撹乱し、接近して――ただ一つ頼むのは、この大太刀だ。
やれるか。
やれる。
やるしか……ナイ。
残像も見えるほどの速度で騎兵達との間合いを詰める真。多少撃たれた所で、斬るのみ。
真に照準を合わせた騎兵達のブラスターを、高速で飛来した何かが弾いて行った。何か?スパナ……いや、スパナ型のブーメランだ。
もちろん、ノインが放ったもの。
「援護しますよ!」
真が斬り込めるよう、ノインは的確に援護射撃を行う。接近戦に持ち込んだのを見届けると、今度は援護に入ろうとした騎兵の一団に視線を向ける。
彼らを狙うかと思いきや、ノインが狙ったのはその前方。
砲撃は外れか?いや、彼が狙ったのは、その地面に転がっていた、客船付き鎧装騎兵が身に付けていた装備品。
アームドフォートの砲撃はそのブラスターを直撃し、暴走したエネルギーが爆発、クローン騎兵達を包む。完全に一団の足を止めたノインは、全身の砲門を彼らに向ける。この角度なら、スペースシップへの影響は最小限だ。
「中々に考えられた手管でしたね。素直に賞賛しましょう。それに際して、つまらないものですがお納めください」
一斉に放たれた『粗品』が、彼らを蹂躙した。
一気に斬り込む事に成功した真は、次々とクローン騎兵を斬り倒す。本来の戦闘距離を潰された騎兵は、なすすべも無い。こうなれば、出来ることは限られる。
最後尾に位置していた騎兵が、ジェノサイドモードを起動し、暴走的な火力を用意する。つまり、味方ごと真を焼き尽くすつもりだ。
己をも焼き尽くす勢いで、ブラスターは放たれる。
次々と騎兵を貫き、熱線が真に迫る。
だがこれも――斬る。
その大太刀『義光』を正面に立て、飛翔用スラスターを吹かして突貫。
圧し斬るように熱線を切り裂き、その勢いのまますれ違えば、クローン騎兵は、縦に二つ。
大成功
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第3章 ボス戦
『帝国騎士』
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POW : インペリアルブレイド
【念動力を宿した「飛ぶ斬撃」】が命中した対象を爆破し、更に互いを【念動力の鎖】で繋ぐ。
SPD : ダークフォースバリア
自身に【鮮血の如きオーラ】をまとい、高速移動と【赤黒い電撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : インペリアルフラッグ
【念動力で形成した帝国の旗】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を『帝国の領土』であると見る者に認識させ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
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クローン騎兵達は、猟兵達の活躍によって、壊滅した。
だが、まだだ。
客船の中から姿を現す、黒い影。
それは、かつて銀河を支配した帝国の、力の象徴。
全宇宙を恐怖させた、剣技と念動力。
クローン騎兵は、スペースシップを効率的に破壊するための駒に過ぎない。
究極的には、自分が全て破壊すれば事足りるのだ。
ヴゥン、と独特の音を響かせてフォースセイバーを振るう。
『帝国騎士』が、泰然自若と猟兵達を見据えた。
峰谷・恵
「出し惜しめる相手でもないか」
血統覚醒を使用して戦う。連携アドリブOK
引き出したヴァンパイアの力をこめたMCフォートの弾幕を浴びせて回避なり防御なりを迫り、相手の動きを限定したところにヴァンパイアの力を乗せたアームドフォートの砲撃を叩き込む(砲撃一発ではどうにもならなくとも砲撃を当ててひるませれば他の猟兵が仕掛ける隙が作れる)。
敵の攻撃は4重防具でも防ぎきれないと判断して回避。敵がインペリアルフラッグで領土主張したらヴァンパイアの力をのせたダークミストシールドを叩きつけて帝国旗を破壊、敵の領土主張に対抗する。
「領主ごっこは吸血ゾンビお得意の遊び、お前たちだけができるわけじゃない」
目面・真
ずいぶん素直に出てきたね。
だが、あのクローン達と違って、あまりにも無策過ぎやしないかな?
もっと面倒なコトを起こせたはずだが。今出てきたそこは一体何だ?
こんな揺さぶりが効けば始末がイイんだがな。言うだけ言ってみようか。
その客船の中には爆発物があったはずだ。それで目的が果たせただろうに。
チャンスは一瞬。隙を逃さずに斬り込むぞ。まったく、こんな時に砲撃が使えないなんて、運がイイのか悪いのか。
ヤツの放つインペリアルブレイドは厄介だ。斬り合いの中から活路を見出すしか、オレがヤツに勝つ見込みはナイ。
ヤツの斬撃の爆発には要注意だな。だが、それがチャンスでもある。爆発後の剣刃一閃で一発勝負だ。
レイチェル・ケイトリン
念動力、それは心の力。
帝国騎士にも心、想いがある、それはもうしってるの。
なら、わたしの想いもいっしょ。
帝国騎士のすべてをわたしの心で切り裂くよ。
わたしの念動力と吹き飛ばし技能のサイコエッジをつかって
敵を切り裂きふっとばすの。
旗が出たら旗を切り裂き、鎖が伸びたら鎖を切り裂き、
斬撃を飛ぶなら斬撃をふっとばし、オーラをまとうならオーラを切り裂く。
ほかの猟兵さんもかばう技能で含めてね。
人を踏みにじる「祖国への想い」なんか尊重しない。
そんな想いで人を縛らせたり、傷つけさせたりもしない。
オーラで身を包むことも許さない。
その決意の心がこの刃。
全宇宙を恐怖させた?
だから全宇宙の人々にきらわれてほろんだんだよ。
ボゴ・ソート
フォースセイバーこそはスペースシップワールドが生んだ最も美しい武器のひとつである。
あれを見ろ! 堕ちた騎士の手の中にあっても、輝きは少しも損なわれていない。
しかし、猟兵とオブリビオンの戦いは美しさで決まるわけではないし、多くの人間の命が掛かっている以上、俺たち猟兵は負けるわけにはいかないのだ。
■
[レプリカクラフト]で作った、自身の全身が隠れる巨大サイズの粗悪な盾を前に押し出しながら[ダッシュ]で近付きます。
上手く近付くことが出来たらそのまま体当たりを狙ったり、パルクールみたいに盾を飛び越えてダガーで襲い掛かります。
ノイン・フィーバー
心情:
本命ですか。
なるほど、小手先ではどうにかなりそうにはありませんが……アナタ相手でなければ小手先は案外有用かもしれませんよ?
行動:
基本的に援護に回る。
アームズフォートで援護し、相手の攻撃を邪魔したり、身をもってカバーリングに入ります。
パントマイムじみた挙動で相手を惑わしながら、時には派手に吹っ飛んだり。被弾時には顔面の画面に「アウチ!」とか表示します。
インペリアルフラッグが既に立っている状況で相手が決め技を撃とうと言う時、フルバーストマキシマム発動。
「騒ぎを起こした、お代払って頂きますヨ!」
敵を狙っていると見せかけ、本命は周囲にあるであろう帝国旗。
「急激に力を失う隙、確かに頂きましタ」
「ずいぶん素直に出てきたね。だが、あのクローン達と違って、あまりにも無策過ぎやしないかな?」
大太刀を握り直した真が、あまりにも余裕綽々で現れる帝国騎士に探りを入れる。だが、対する返答も特に動じた様子も無い。
「この私が乗り込む事が出来たのだ。火薬の様に優しい手段を取る必要は無かろう」
そう言うと、帝国騎士は左手を振るう。ボゥ、と赤く輝く軌跡を描いたかと思えば、それは真に向けて放たれる。
すんでの所で飛びすさり、改めて距離を計り直そうとする真。しかし、その目に映ったのは、禍々しく輝く旗。『インペリアルフラッグ』だ。
今は安全な位置まで避難した一般市民達に動揺が走る。直接は知らずとも、脳裏に深く刻み込まれた、銀河帝国の恐怖。
表情こそ窺い知れぬが、帝国騎士は嘲笑うかの様にフォースセイバーを一振り。今この船は、帝国の領土だ。
その余裕を砕かんと、砲弾、弾丸の雨が降り注いだ。恵とノインのアームドフォートによる弾幕だ。
帝国騎士が左手を前につき出すと、目に見えぬ壁が現れたかの様に、弾幕がその力を失う。
「出し惜しめる相手でもないか」
インペリアルフラッグの力もあり、帝国騎士は力を増している様子。恵は、忌まわしく思うその力を解放する。
その瞳が紅く輝いたかと思うと、彼女のアームドフォートから放たれる弾丸もまた力を増す。
念動力のみでは防げぬと見た帝国騎士が、鮮血の如きオーラを纏い高速で動く。その移動に巻き込まれたノインがくるくると廻った。その画面には、『アウチ!』。
帝国騎士が走る先に、ボゴが居た。
ボゴは、うっとりとするように帝国騎士に……いや、その手のフォースセイバーに見蕩れていた。
どんな外道の手にあろうとも、些かもその美しさは損なわれるものでは無いのだ。
しかし……だからと言って、奴の手にかかって良いと言う訳ではない。猟兵が破れれば、この船に乗る数多の命が失われるのだ。
ボゴの目の前に、巨大な盾が現れる。お世辞にも成功な出来栄えとは言えないそれは、ボゴが『レプリカクラフト』で作り出したもの。
見栄えがどうあれ、盾としての機能を果たせばそれで良い。
盾を正面に立て、ボゴはそのまま帝国騎士に正面から体当たりをしかける。
しかし、帝国騎士の念動力にその勢いは止められ、逆に盾は弾き飛ばされてしまう。ボゴもまた、弾き飛ばされた……?
「こっちだ!」
盾を吹き飛ばして油断したそこ頭上に、ボゴは居た。盾を駆け登り、吹き飛ばされる前に空中に躍り出ていたのだ。
ボゴのダガーが帝国騎士の肩を斬り裂いた。
素早く距離を取るボゴを追い、電撃を放つ帝国騎士。
しかし、その電撃は、もう一つの強い力によって斬り裂かれる。レイチェルの『サイコエッジ』だ。
念動力は想いの力。
帝国騎士の念動力が、オブリビオンなりの心に、想いに支えられている様に、レイチェルにも想いがある。
帝国騎士の想いを、その全てを、レイチェルの想いが斬り裂くのだ。
念動力を凝縮し、鋭く研ぎ澄まされた見えない刃が、帝国騎士を襲う。
フォースセイバーで迎え撃つ帝国騎士だったが、刃を合わせる寸前にサイコエッジは分裂。無数の刃となって放たれ、帝国騎士が纏う鮮血の如きオーラをズタズタに裂いた。
オーラを消された事に動揺を見せる帝国騎士。その正面に、ノインが現れる。
「騒ぎを起こした、お代払って頂きますヨ!」
「それは効かぬ!」
先程と同じく、自らの前に念動力の壁を作る帝国騎士。しかし、ノインの狙いは別だ。真の狙いは、『インペリアルフラッグ』。
ノインの全火力をもって、帝国の旗を消し飛ばさんと打ち続ける。
「くっ!?」
慌てて旗を守りに下がるが、もう遅い。
同時に旗を狙っていた恵のダークミストシールドも叩きつけられ、ついにインペリアルフラッグは消滅する。
「領主ごっこは吸血ゾンビお得意の遊び、お前たちだけができるわけじゃない」
今この時より、領土は解放されたのだ。
旗を失うと言うことは、心の支えを失う事であり、特に精神力に大きく左右される念動力にとっては、大きな損失と言える。
「急激に力を失う隙、確かに頂きましタ」
その隙を逃がすまいと、真が一気に間合いを詰めて斬りかかる。
しかし、未だにその剣技は健在。慌てずに斬り結び、一気に飛びすさる。それは、帝国騎士の得意技の間合い。
『インペリアルブレイド』の飛ぶ斬撃が真を襲う!
大太刀で受けると、その念動力が激しい爆発を起こす。その効果は、爆発のみではない。真と帝国騎士を、念動力の鎖が繋ぐのだ。
止めをささんと、煙の中から真を引きずり出そうと鎖を引く帝国騎士。だが、あまりにも軽い?
真は、その爆発こそが隙と狙っていたのだ。帝国騎士の虚を突くには、ここしか無い。
再び飛び込む真。しかし流石は帝国騎士、ギリギリで受けると、更に距離を取ろうと下がる。これでは先程と同じか?
否。鎖がある。鎖で繋がっているのは、真だけでは無いのだ。
捕らえられたのは、どちらだ?
ダン、と鎖ごと踏みしめると、それ以上下がれなくなった帝国騎士がバランスを崩す。
その不利を悟り、鎖を消し去る前に、真は大太刀を振るい、フォースセイバーを持つ右腕を斬り落としていた。
「バカな……銀河を恐怖させた、この私が!?」
「だから、みんなにきらわれたんでしょう」
そして、ほろびた。
帝国への想い、その誇りは解るが、他者を踏みにじる想い等、許されるものではない。
レイチェルの前に、見えない刃が形作られる。
気づけば、帝国騎士は気圧されて後ろに一歩、二歩。
三歩目で、ドンと壁にぶつかった。それは、ボゴが作り出した巨大な盾。
逃げ場は無い。
放たれた念動力の刃が、帝国騎士の首を落としていた。
かくして、帝国騎士によるスペースシップ陥落の姦計は阻止された。
猟兵達の活躍で、その犠牲となる者も最小限に抑えられた。
帝国が如何に強大でも、所詮は過去に縛られた存在。
未来を、自由を求める力には及ばぬのだ。
大成功
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