帝竜戦役⑬〜異形の竜を討て!
●終焉の地ベルセルク
植物等の命が在る事もなく荒れ果て大地の傷痕からはマグマが吹き出す荒涼とした大地に一体の竜が在った。
其の姿は正に異形、その全身は鎧の様な形状の鱗に身を包み、その顔はまるで甲冑に身を包んだ魚の様で其の異形の角は大きな鰭の様、ギョロリとした目は前方を見据え、空を飛ぶでもなく二本の爪が生えた足で大地をしっかと踏みしめて立っている。
これだけでも其の異形さは判る物だが其れよりも更に特徴的なのは先に爪が生えたまるで腕の様な形状の翼であろう。
そして、其の異形の竜は愉しそうな声色で周囲を見渡す。
「成程。我が力を前にしても立ち向かうとは例え我が力を前にして負傷したと言えど死する事がないとはいえ其の勇気を認めざるを得ないだろう。だが、ヴァルギリオス様の腹心たる我が力、今までの帝竜共、特に忠義に劣る者共と同じと思ってもらっては困る。そも、奴等、我が君に恐れ多くも蘇らせて頂きながら其れを嘆き自身が倒される事を願うとは不届きにも程が在ろう。あの方の不利益にならないならば我が拳を以って打ち据え喰らい古竜達の如く滅ぼしたのであるが。殺意を押さえるのにも一苦労というものだな。まあ良い。だが、奴らと違い、我が力は純然たる個の力。如何なる攻撃も其の力で以って踏みつぶす暴力よ。貴様等猟兵を相手にしても決して劣る物ではないと知るが良い」
一息であった。
其の異形は愉しそうな声で一息でそう言うと周囲を見渡す。
「さあ、どう来る猟兵達。我、ベルセルクドラゴンの力を以って貴様等猟兵の持つであろう予知能力の英知にたどり着き我が主ヴァルギリオス様へ勝利を齎さんが為に我が身は全力を尽くそう。そう、この世界を我らの者として破壊しつくさんが為にな。我らはヴァルギリオス様がいる限り尽きる事なく産みいずる。つまり、一時の生が終わろうと再び生まれいずるのだ。そう、あの方が滅びる事などない以上、決して其の生が終わる事はないのだ。ならば、貴様等との闘いにより何時の時か解き明かす事も可能となろう。うむ、実に良き今生の目的を得た物だ」
満足そうにそう一息で言い切ると楽しそうに竜は嗤って待つ。
新たな生において得た命題。それのきっかけとなるであろう猟兵達を待って―――。
●グリモアベースにて
「因みに敵の言ってることを纏めると―――。
『自分の力を前に立ち向かうとは死ぬ事がないとはいえ猟兵は勇気がある。
だが、ヴァルギリオスの腹心の自分を舐めて貰っては困る。自分の力は猟兵に決して劣らない。
さあ、戦いだ。
猟兵の持つ予知能力を分析し此の世界を我らの物にする為に。
自分達はヴァルギリオス様が滅びない限り死なない。
ならば、あの方が滅びる事がない以上、我らが完全に死ぬ事などあろう筈もない。
である以上、何れかの生で予知能力の真実を掴めるだろう。
実に良い人生の命題を手に入れたものだ』
って感じなんだなー……」
柴犬を連れたシャーマンズゴースト、水貝雁之助は疲れた様に自分の見た予知の中のベルセルクドラゴンの言葉を通訳する。
「まあ、とはいえ敵の能力は本物。
先ず他の帝竜と同じように先制攻撃を仕掛けてくるんだなー。
其れで敵は三つの形態を使い分けてくるんだけど、どれも純粋に強い能力って感じだから苦戦はしちゃうかもだね」
そう言葉にするが雁之助は集まった猟兵達を見渡し笑う。
「まあ、これまで戦い抜いた皆なら負ける事はないとは思うけどね。
それじゃあ大けがとかはせずに無事に帰ってくるのを待ってるんだなー」
そう言って雁之助は猟兵達を戦場へ送るのであった―――。
久渓洞
こんにちは、或いは初めまして久渓洞です。
今回は依頼に目を通して頂きありがとうございます。
今回の依頼は群竜大陸を支配する帝竜の一柱、ヴァルギリオス直属の腹心にして古竜を滅ぼしたベルセルクドラゴンとなります。
難易度は高いのでご注意ください。
今回の依頼では以下のプレイングボーナスが存在します。
●プレイングボーナス……『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』。
(敵は必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります)
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『帝竜ベルセルクドラゴン』
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POW : ベルセルク・プレデター
【特定の1体に対する『殺意』】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD : ベルセルク・グラップラー
【翼を巨大な腕として使う】事で【四腕格闘形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : ベルセルク・レイジ
全身を【狂える竜のオーラ】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
イラスト:爪尾
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ニィエン・バハムート
纏めても長いですわ…。
先制対策に地面を【怪力】でしっかり【踏みつけ】て敵の攻撃に【カウンター】気味に【衝撃波】とアイテムで強化された電気【属性・マヒ攻撃】を放ち瞬間的にでも敵を怯ませます。敵の攻撃速度に反応しきれるとも限りませんし、もちろん【範囲攻撃】で自分の周囲全体をカバー。ダメージを受けるようでも【激痛耐性】で無理矢理耐え、絶対に大地を踏みしめて立つのだと自分を【鼓舞】します。
隙ができたらUC発動。今度はこっちが【先制攻撃】ですわ!
【封印を解く】ことで真なる竜王(※違います)の力を開放!
全てを滅ぼす力と全てを支える力、どちらが上か勝負!
その新たな生の目的、私が【略奪】して差し上げますの!
●世界魚と狂竜
荒涼とした大地に立つベルセルクドラゴン。
其の眼前に最初に立つは竜の角と羽をもつメガリスボーグの女性、ニィエン・バハムート(竜王のドラゴニアン(自称)・f26511)。
(纏めても長かったですけど、実物はどんな物なんでしょうかね……)
予知ですら酷かったが実物はどうなるか。
そう思いを巡らせていた彼女の姿を確認したベルセルクドラゴンは其の異形の相貌を楽しそうに歪ませて飛んでくる。
「ほう、やってきたか猟兵よ。我らが主の大願成就の為。そして、其の為に貴様らの有する未来予測の力を手に入れる為、貴様等との闘いを今か今かと我は待ち望んでいたぞ!」
異形の翼を腕に変え、ベルセルクドラゴンは荒野を駆けニィエンに向けて其の四つの腕で殴りかかる。
「言葉の洪水は本当に止めて頂けますかしら?!
生だと余計に煩いですわね!」
だが其の巨躯に似合わぬスピード、剛腕によって放たれた二つの拳をニィエンは地面をしかと踏みしめ双方、両手で受け止める。
流石に帝竜。その威力は絶大で受けた両手は傷付き血が噴出するが其の強い意志で彼女は痛みを抑え込む。
「ほう、我が拳を受け止めきるか!素晴らしい素晴らしいぞ猟兵よ!貴様の様な敵と戦い貴様等猟兵の持つ未来予測の理論を掴み取ろうぞ!」
そう言い募り、ベルセルクドラゴンは空いた翼腕でニィエンに殴りかかろうとするが、ニィエンは其れを赦しはしない。
「ぬぐぐ煩いですわね……っ!……お返し、ですわよっっ!!」
「何ぃ!我が体を吹き飛ばすとはやるではないか猟兵よ。やはり貴様等猟兵との闘いは我に未知を教え我が探求に応えを齎すであろうな!」
絶対に大地を踏みしめて立つのだと倒れはしないと自分を鼓舞し、ニィエンは咆哮。
その咆哮と共に周辺全域に風が巻き起こりベルセルクドラゴンを吹き飛ばし、其れと共に放たれた強力な雷鳴がベルセルクドラゴンを打ち据える。
「しかし、本当にやる物だ。其の姿、ドラゴニアン……いや、違う。其の角と羽は何らかの魔道具か。それと此の水の魔力に満ちた気配、そうか深海人とかいう最近確認された種族だな。其の姿は恐らく攪乱の為の偽装だろうが、我が目、我が感覚は誤魔化せぬぞ!」
「偽装とか失礼な!私は竜王のドラゴニアンですわ!!
『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!』」
叫びと共に世界魚バハムートの世界観測の為の触覚たるニィエンの封印は解かれバハムートの世界を支え続ける圧倒的な膂力を以ってベルセルクドラゴンに殴りかかる。
「全てを滅ぼす力と全てを支える力、どちらが上か勝負ですわ!」
「この膂力!この威力!そうか貴様、世界魚の―――!異界において大地を背に乗せた世界牛を更に其の背に乗せた世界を支える魚、泳ぐ其の其の目を見た者が気絶し三日過ぎて目を覚まして尚目の前にあるのは背びれがあったという巨魚のか―――!くくく、猟兵には斯様な者迄いるとは!面白い面白いぞ!ますます貴様等猟兵に興味がわいてきたと云うものだ!未来予測を除いても貴様等には興味が尽きぬぞ!!」
最初の一撃とは正反対にニィエンの拳を四つの拳で受け止めながらベルセルクドラゴンは嗤ってそう言い募る。
「だから、バハムートは竜王ですわ!!!
もう怒りました!その新たな生の目的、私が略奪して差し上げます!!」
其の叫びと共に更にニィエンの力は増大。
ベルセルクドラゴンは膝をつき……腕ごと殴り飛ばされる―――!
「見事!見事だ!ああ、猟兵達よ貴様等は本当に面白いぞ――――!」
大成功
🔵🔵🔵
シン・バントライン
貴方のお仲間の不甲斐無さを罵倒される事はお勧め致しません。
何故なら数分後にはその言葉、御身へ返ってくるからです。
…しかしまあよく喋る。貴方は一体何をご存知なのでしょう?
知らぬを知れとはよく言ったものだ。滅びが無いというその生命で一体何を知るというのか。
増強された戦闘力は、騎士と蛇竜で挟撃させる事により拡散させる。
第六感と野生の勘で敵の攻撃方向を予測して回避するよう指示。
その隙に自らは攻撃を受けない様敵の死角へ移動。
操るのはオブリビオン。持ち合わせない生命力を吸収など出来ないだろうと予測。
奢りの見える帝竜だ、騎士と蛇竜が倒されたらあの敵は必ず油断をする。その隙をつき死角から剣を投擲。急所を狙う。
ナハト・ダァト
実に貪欲ダ
だガ、そノ欲ハ叶ワ無いト
教エなけれバ
対処方法
トラップツールⅡによる
群龍大陸を浮かび上がらせる石を用いた牢を設計する
目潰し、迷彩、残像、ダッシュを駆使した逃走を行いながら
傷を負った場合は早業、医術による応急処置
牢に使うのに最適な石は
地形の利用、情報収集、世界知識から選び取る
必要数集まったタイミングで
催眠術による言いくるめから
一瞬の隙を設け
不意討ちを混ぜた浮遊石トラップを起動
逃走しながら医術で把握した
帝竜の骨格、筋力から
身動きを封じる位置
力点の作用する支点や
関節の各部に石を集中させる
罠に気を取られた瞬間
ドーピング、限界突破による
ユーベルコードを放つ
ほラ、言ったろウ?
果たセ無イ願望だト
セシリア・サヴェージ
あなたが何度でも蘇るならば帝竜ヴァルギリオスを倒すまでの事。そしてそのために私たちは戦っているのです。
体格、パワー、スピード……全ての要素において私が勝るものはないでしょう。
ですが私には今までに培ってきた経験が、受け継がれてきた暗黒騎士の戦闘技術があります。
記憶なき竜に人々が記憶し伝えてきた技をお見せしましょう!
万一の被弾に備え全身に【オーラ防御】を纏いつつ、攻撃を【武器受け】【見切り】で捌きながら【情報収集】で相手の癖を読みます。
あちらが力一辺倒の竜でないように、こちらも頭を使って戦いましょう。
そうして相手の行動が読めたら【カウンター】のUC【暗黒剣技】を叩き込みます。
●黒衣の男と狂竜
「ああ、本当に未来予測の事を除いても面白い!やはり猟兵達との闘いこそが我が生の命題を為す鍵となろう!」
ニィエンの拳により体の一部を貫かれたベルセルクドラゴンは愉しそうに嗤い続ける。
その姿はまさに狂気としか言いようがなく、その名に相応しき狂態と言えた。
そんなベルセルクドラゴンの眼前に新たに立つ猟兵が一人。
黒衣と覆面に身を包む男、シン・バントライン(逆光の愛・f04752)は剣を構えベルセルクドラゴンの前に立つ。
「貴方のお仲間の不甲斐無さを罵倒される事はお勧め致しません。
何故なら数分後にはその言葉、御身へ返ってくるからです」
ベルセルクドラゴンを挑発するかの様にシンは言葉を紡ぐ。
それに対しベルセルクドラゴンは全身を其の血の如く紅きオーラに身を包み拳を以って応えんとする。
シンは其の高い直感に従いよけようとするがベルセルクドラゴンの拳を避けきる事が出来ず僅かにだが喰らってしまう。
「ぐ…ッ!」
「どうも勘違いして居る様だから訂正しておこう。我は負けた事に怒ってはおらぬ。勝敗は戦場の常、我とて必ず勝利を掴める等という傲慢は抱いておらぬ。寧ろ斯様な傲慢な行い、我が主の名を汚す行いよ。我が怒り殺意を抱きしは奴等が主の温情を頂きながら自ら死を望みし事。忠義すら持たぬ輩に怒りを抱かぬ訳があるわけなかろう!」
ベルセルクドラゴンは増強された身体能力に任せて爪をシンに振るい続ける。
シンは其の攻撃を鋭い感覚を活かして避け続けるが僅かにではあるが徐々に傷が増えていくが其れは己の強い意志で抑えつけ、動きに悪影響を与えさせない。
「成程、誤解をしていた事は謝罪しましょう…しかしまあよく喋る。
貴方は一体何をご存じなのでしょう?
知らぬを知れとはよく言ったものだ。滅びが無いという其の生命で一体何を知るというのか」
「貴様、本当に口が減らぬな……!」
(此処です―――!)
シンの挑発に怒りを抑えきれなかったのだろう。
ベルセルクドラゴンはシンに向けて大振りに爪を振り下ろし―――僅かな動きでシンは其れを回避。
彼の狙い通りに地面の亀裂に爪は突き刺さりベルセルクドラゴンは態勢を崩す。
「ぬぅ……これを狙っていたか猟兵……!感情に囚われ動きし我の未熟さを利用するとは、流石、流石よな!それでこそ戦う甲斐があるというもの!貴様等との闘いはより多くの経験を我に齎してくれる!」
「本当に喋りすぎですねえ……」
危機的な状態でも喋り続けるベルセルクドラゴンに対して呆れた様な言葉をかけながらシンは召喚の文言を唱え、自らに付き従う死霊騎士と蛇竜を召喚する。
「さぁ、行きなさい!」
「ほう死霊の騎士、それに我らと同じ竜か―――!さて、貴様等も猟兵の使役、只の死霊ではあるまい!如何なる強さを見せてくれる!」
喜び勇み騎士と蛇竜を相手に爪を振るい牙でかみ砕かんと戦いだすベルセルクドラゴン。
シンは其れを横目に攻撃を受けない視覚へと移動する。
(狙い通り死霊の持ち合わせない生命力は吸収できない様ですが……)
シンの見守る先でベルセルクドラゴンは蛇竜の骨を、騎士の剣を砕く。
(どんな敵でも眼前の敵を倒せば隙は出来るもの。その一瞬の隙を狙い……)
そして、騎士を蛇竜をベルセルクドラゴンが打ち倒し消滅した瞬間に……シンは剣を投擲。
ベルセルクドラゴンの右目を刺し貫く!
「くかか!かかかかかか!!この一瞬の為だけにあの騎士と蛇竜は在ったか。見事見事!我が隙を突き我が目を奪った貴様の存在、この傷と共に我が脳裏に刻もうぞ―――!」
ベルセルクドラゴンは己が傷を爪で撫で愉しそうにそう嗤い続けたのだった。
●医師と狂竜
「ほう、実に面白いな貴様は。其の姿、確かブラックタールという種族か?中々面白い姿をしているが猟兵ならば見た目で判断するは愚昧に過ぎよう。さあ、貴様は我に何を見せてくれる?未だ貴様等の未来予測の真理の糸口すら掴めぬ、余りの未熟さに殺意すら殺意すら抱く我が身なれど、そんな我にすら貴様等との闘いは何かを齎してくれるのだからな!」
右目を喪い隻眼となったベルセルクドラゴンの前に新たに立つは医神のローブに身を纏いしブックタールの医者、ナハト・ダァト(聖泥・f01760)。
(とりあえず、此の岩は良さそうだネ。
……っと、少し当たってしまったカ、応急処置をしておかないとネ)
彼は己の未熟さ、主の役に立てぬ不甲斐なさ故に抱いた自己への殺意を糧に其の巨躯を更に増大させたベルセルクドラゴンの攻撃を避けながら敵を倒す為の一手の準備を行っていた。
その強靭さ故、幾つかの攻撃も食らっていたが其処は医療の心得、知識を有するナハト。
攻撃を避けながら己の傷に対し空いた触腕を用いて戦闘に問題無い様に処置を施して対処しているのであった。
(しかし、実に貪欲ダ。だガ、そノ欲ハ叶ワ無いト教エなけれバ)
自身に振るわれた爪を大地を駆けて回避しつつ気付かれぬように密かにナハトは足元へ迄伸ばした触腕で手早くツールを目的の石に設置していく。
「ほう、今我が斬り裂いたのは残像か!先程は其の身体能力によって駆けて避け、其の前は我が目を誤魔化す迷彩、更に其の前は我が目を闇によって見えぬようにし闇に紛れて凌ぐ!本当に多様な技を持っていて我を退屈させぬな、貴様は!貴様との闘いを以って我は未来予測の知啓を得るきっかけを得よう!」
実に愉し気に語りながら己に攻撃を仕掛け続けるベルセルクドラゴンにナハトはため息をつきながら其れを避け続けたが『準備』を終えた為に攻めに打って出る。
「やれやれ、本当に煩い事だネ。
……だが、其れは果たセ無イ願望だヨ」
「ほう、何をしてく……っ?!」
嗤いながらナハトへの攻撃を続けていたベルセルクドラゴンだがナハトの言葉と共にその動きを一瞬鈍らせる。
「催眠が効いてくれテ何よりだヨ。
さて、それじゃあ其の動き拘束させテ貰うヨ」
その言葉と共にベルセルクドラゴンの周囲にナハトが仕込んだ布石、ツールを仕込んだ群竜大陸を浮かび上がらせる石が集い始める。
「くっ……何だ此れは体が動かない、だと……?!此れは一体、どういう原理でやっているのだ猟兵よ!」
「簡単な事だヨ。
これでも医術を収めた身、攻撃を避けながら君の骨格、筋力から動きを封じる位置を見切って、力点の作用する支点や関節の各部に石を集中させたのサ」
そうナハトは笑って言うが、其れはとてもではないが簡単な事ではない。
確かに人に限らず、全ての生物は体を動かす際に支点や力点は存在し其処を抑えれば例え竜、ベルセルクドラゴンとて生物であった以上、それは絶対に変わらない。
「だが、此の身、異形たる我から、どうやって動きを封じる事が出来る程完全に体の状態を見切るというのか―――。まして、我が爪牙に晒されながら……!最早、驚嘆という言葉すら我が心の内を表現しえぬ!貴様の様な敵と闘えた事をこそ誇りに思うぞ猟兵!!さあ、此れで終わりではあるまい!今度は何を見せてくれる!!」
「はァ、自分の生命の危機でモ其れとカ君、壊れすぎじゃないかネ?」
そう嗤うベルセルクドラゴンの姿にナハトはため息をつくと自身に薬剤を投与。
己の力、その限界を突破する程の力を一時的に引き出し触腕でベルセルクドラゴンへと殴りかかる。
「『ALHIM GBVR』―――『五ノ叡智・厳正(セフィラ・ゲブラー)』!」
ドゴッ!轟音を立てて其の触腕は粉砕―――。
ベルセルクドラゴンの左肩を砕くのだった。
「ほラ、言ったろウ?果たセ無イ願望だト」
●騎士と狂竜
「あの猟兵の強さ、実に素晴らしき物であった……だが、其れに比べ我は何と不甲斐ない行いをしておったか!己が体の仕組み等、最も理解せねばならぬ物!其れを理解せずに封じ込められる等、主の臣下として余りにも不出来!己に対する殺意が増すという物よ!」
「ふむ、随分と興奮している様ですね。
まあ、此方としては其の方がありがたくはありますが」
左肩をえぐられた状態で己の不甲斐なさに殺意を抱くベルセルクドラゴンの前に新たに立つは黒き鎧に身を包む女騎士、セシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)。
「む、今度は貴様が我と戦う者か。本来ならば筋違いであろうが、我が身の不甲斐なさへの怒り、己が身への殺意、貴様への力と変えて叩きつけようぞ!」
其の姿に気付いたベルセルクドラゴンは更に増した己自身への殺意を力へと変大きく変貌。
セシリアの二倍は軽く超えるであろう鋭い爪を以ってセシリアを斬り裂かんと振り下ろす。
だが、人々を護る為、闇に閉ざされた世界に光を取り戻す為に幾多の戦場を駆けてきた彼女は敵の猛威すら冷静に見据え立ち向かう。
(成程。此の体格、パワー、スピード……全ての要素において私が勝るものはないでしょう……ですが!)
敵の動きを見切った彼女は暗黒剣ダークスレイヤーで其の巨大な爪を受けると、刃を傾け其の爪の勢いを逸らして受け流す。
「ぬぅ、こうも見事に我が攻撃を受け流すか。驚嘆に値するぞ猟兵よ!だが、最終的に勝利を掴みしは我であると知れ!」
そう言い更に幾度もベルセルクドラゴンは攻撃してくるがセシリアは其の攻撃全てを見切り、冷静に対処して受け流していく。
「私には今迄に培ってきた経験が、受け継がれてきた暗黒騎士の戦闘技術が在ります。
記憶なき竜に人々が記憶し伝えてきた技をお見せしましょう!」
そう宣言したセシリアにベルセルクドラゴンは嬉しそうに嗤い、其の攻撃は更に勢いを増していく
「素晴らしい、素晴らしいぞ猟兵!!その技量、我が未来予測の原理を知る為の糧と為そうぞ!」
(流石帝竜。私が最初の相手だったなら受け流すのがやっとでしたでしょうね。
ですが―――)
「肩をえぐらていれた所為でしょうね。
左手の方は動きが鈍い……!」
左手の攻撃を受け流すと彼女は其の侭ベルセルクドラゴンに向かい駆けていく。
そして……。
「現世に縋る者よ……我が暗黒剣でお前を在るべき場所へ還そう―――!」
セシリアは己が鎧に宿る『暗黒』の力を開放。
剣を一閃。
『暗黒』の力を己が手の剣に乗せベルセルクドラゴンの左腕を根元から斬り落とす!
「ぐ、がああああああああああ!!!」
「あなたが何度でも蘇るならば帝竜ヴァルギリオスを倒すまでの事。
そしてそのために私たちは戦っているのです」
例え護るべき人々にさえ怖れられ迫害されようとも人々を守る為に戦い抜く騎士は、そう狂竜に対し宣言するのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
七瀬・麗治
※『』内は闇の人格ロードの台詞です
『本当に何もない場所だな、ここは。だが何もないということは、何でも作れるということ。…ここに私の城を築こう。この終焉の地を、わが領土とするのだ』
『ブレードラプター』に乗って出撃。最初の一分間は全速走行で〈運転〉し、回避に専念。だがそのうち追い付かれてぶん殴られるだろうから、その瞬間に〈武器受け〉〈オーラ防御〉でガードだ。殴られ転倒した直後に【オルタナティブダブル】が発動し、闇人格ロードがオレの反対側に出現する。ロードが敵の横っ面めがけてロケットランチャーをぶっ放した瞬間〈激痛耐性〉〈気合い〉で立ち上がり、黒剣による〈生命力吸収〉〈鎧砕き〉で奴の鱗をぶっ叩くぜ!
黒影・兵庫
【蜂皇族】
え?ちょっと何言って...というか早口すぎます!
(「律儀に聞かなくていいのよ」と頭の中の教導虫に諭される)
う、まぁそうですね!せんせー!
じゃあクロリア!踊ろうか!
●防御
クロリアと同じ『ダンス』をしながら『第六感』で敵の攻撃を予知し
クロリアと情報共有しながら、クロリアに注意が向いているときは
{蜂皇の牙}が敵の目に突っ込むよう『念動力』で操作して攻撃の邪魔をし
自分に注意が向いているときは『衝撃波』を使って回避する
●反撃
クロリアのUCで動きが遅くなったのを確認してからUC【蟷螂の鋸】を
発動して伐採兵たちによる回転鋸の一斉射で攻撃を行い、さらに
『衝撃波』を叩きこむ
播州・クロリア
【蜂皇族】
(敵の声を聞き流しながら{メトロノーム・コイン}でコインロールする)
終わりましたか?
では、あにさん
踊りましょうか
(目を閉じ、すっと手を真横にピンと伸ばすと{絢爛の旋律}で『ダンス』を始める)
●防御
『ダンス』をしながら『第六感』で敵の攻撃を予知し
黒影と情報共有しながら、黒影に敵の注意が向いているときは
『怪力』で持ち上げた岩を敵の顔面に向けて投擲することで攻撃の邪魔をし
自分に注意が向いているときは『衝撃波』を使って回避する
●反撃
UC【蠱の宴】を発動し敵の動きを封じた後、黒影に合わせて
『衝撃波』を叩きこむ
●悪魔騎士と狂竜
『本当に何もない場所だな、ここは。だが何もないということは、何でも作れるということ。…ここに私の城を築こう。この終焉の地を、わが領土とするのだ』
終焉の地に現れそう呟くは戦闘用オートバイ、ブレードラプターにまたがるスーツ姿の青年、七瀬・麗治(悪魔騎士・f12192)、いや彼と共にある彼のもう一つの人格ロードであった―――。
麗治は終焉の地に転移した瞬間にブレードラプターを全速力で走らせる。
そして、其れを見たベルセルクドラゴンは己の翼を腕に変え、三本の腕を以って麗治に襲い掛かる。
決死の追走劇の始まりだ。
「ほう、其れはバイクとかいう機械だな。何某かの燃料を以って作動し駆けると聞くが此の形態の我が中々追いつけぬとは大したものよ!」
そう愉快そうに嗤いながらベルセルクドラゴンは地面を駆け三本の腕を器用に用い麗治に襲い掛かる。
(たっく、厄介な速さだな。
此れで腕が完全な状態なら回避に専念した今の状態でも凌ぎきれるかどうかだが―――)
己に振るわれる爪をブレードラプターを傾ける事で避けつつ麗治は敵の状況を分析。
「どうした!お前達猟兵だ。逃げるだけではあるまい!早く貴様が何を以って我を打ち倒さんとするかを見せてみろ!そして、其の経験を以って我は貴様等の未来予測の叡智を得る一歩と為そうぞ!」
(この調子では何れ追いつかれるな。
だが、其の危機はチャンスにもなり得る)
次の一手を想いを巡らせる麗治にベルセルクドラゴンは其の鋭い爪を振り下ろす。
ブレードラプターの向きを急転換。
其の爪を麗治は祭具の魔剣にオーラを纏わせて防ごうとする。
其の威力は高く完全に防ぎきれずに倒れ込む。
だが、其れも麗治の狙い通りであった。
「―――今だっ!」
「何―――っ!此れは―――!!」
『さあ、此れはお返しだ。遠慮せず受け取るが良い―――!』
麗治とベルセルクドラゴンを挟んで反対側にロードが実体化。
手に持つロケットランチャーを撃ち放つ。
「確か多重人格者、人格ごとに別々の特性を有する者達であったか。己とは別の人格を実体化させる事が出来ると聞いたが此れが其れか。成程、面白い、実に面白い特性よ!」
そう嗤いながらロケットランチャーから放たれた弾道を爪で斬り裂いていく。
「どうしたどうした!これだけではあるまい!もっと我にお前たちの強さを見せてみろ!もっと!もっとだ―――!」
「なら見せてやろう!ロードじゃなくて俺がな!」
そう言い放ち傷の痛みを意思で抑え込んだ麗治はロードに意識が向いていたベルセルクドラゴンに接近。
今迄の猟兵達との戦いでベルセルクドラゴンが負った傷が積み重なった箇所を見出し。其処に一撃を叩き込む。
「其の鱗打ち砕かせて貰ったぞ……!」
「ぐっ!見事!見事だぞ剣士よ!苦境に耐え抜き、チャンスがあれば敢えて危険に身を晒し苦境を打開、傷付こうとも立ち上がり道を切り開く!それでこそ猟兵。我が今生の生の命題たるに相応しきもの達よ!」
●比翼の蟲と狂竜
「ほう、今度は二人掛かりか。それも其の姿、兄弟か何かか。ならば其の連携も素晴らしい物であろう。さあ、我にお前達の戦いを見せてみろ。その戦いの経験が我に更なる一歩を齎す事になるであろう!」
「え?ちょっと何言って…というか早口すぎます!」
自身から僅かに離れた二人の猟兵を確認したベルセルクドラゴンが言い放つ言葉の洪水に猟兵の内の一人、黒髪の少年、黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)は戸惑うような表情を浮かべ思わず呟く。
「ほう、我が言葉は聞き取りにくいか。我が主は斯様な事はいってくださらなんだ故に気にして居らなんだが、主の温情に甘え改善せざるは怠惰の極み。己を改善する言葉をくれた事に礼を言うぞ猟兵よ」
兵庫の言葉に愉しそうにそう返すベルセルクドラゴン。
この様に敵の言葉にも反応を返してしまう素直で優しい所は彼の良い所ではあるが流石に今いる場は戦場。
彼の脳内で幼少の頃から彼を母親の様に見守りサポートをしてくれている教導虫、彼曰く「せんせー」からも「律儀に聞かなくていいのよ?」と諭す様に言葉をかけられる。
「う、まぁそうですね!せんせー!
じゃあクロリア!踊ろうか!」
「あ、終わりましたか?
では、あにさん踊りましょうか」
マイペースにベルセルクドラゴンの言葉を聞き流し、握った手の甲の上に魔道具であるコインを転がす行為、所謂コインロールをやっていた蟲の羽を生やした長身の少女、播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)は兵庫に声をかけられ反応を返す。
そして彼女は目を閉じ、すっと手を真横にピンと伸ばすとダンスを始め、兵庫も其れに合わせ動き始める。
それは【絢爛の旋律】。
蒼天に輝く太陽と陽光に照らされ輝く大地を表現した栄華のリズム―――。
「ほう、踊りか。戦いの場において斯様な行いを為すとは!踊りながらどの様に我の攻撃を避けるつもりだ。そして、其れはどの様な効果を我に齎すのだ!」
その踊りを見たベルセルクドラゴンは翼を腕にし三つの腕で二人に殴りかかる。
だが、二人は其の通常の人よりも強化された感覚によって其の動きを見切って回避。
「クロリア、右から―――!」
「あにさん、左です!」
互いに互いの事を理解しあってるが故に言葉少なにお互いが感じ取った敵の動きを伝えあい、息の合った動きでベルセルクドラゴンの攻撃をさばいていく。
クロリアに攻撃が向かったならば兵庫が蜂皇族の牙から作ったナイフ、鋼鉄をも斬り裂く其れを念動力で動かして敵の残った左目を狙い意識を逸らさせ、そうやって意識がナイフに向いて制御が疎かになった攻撃をクロリアは衝撃波を放って受け流す。
逆に兵庫に攻撃が向かったならばクロリアが其の怪力を活かし大岩をベルセルクドラゴンの顔面目掛け投擲
其の侭喰らえばダメージを受ける為にベルセルクドラゴンは二本の翼腕を大岩を払うのに用いざるを得ず、残った一本の腕のみならば一瞬とはいえ衝撃波を以って攻撃を留めるのも容易。
そして、其の隙に兵庫は敵の攻撃が届かぬ間合いに移動する。
「見事、見事よな―――!互いに互いが太陽であり、同時に太陽に照らされ輝く大地と為るか!実に見事な連携だ!それでこそ猟兵!我が命題と為る者達よ!」
ベルセルクドラゴンがそう口にする様に、二人は互いに互いを補い合い、お互いの力を高めあっていた。
大地が太陽によって輝くように、太陽が大地を輝かせる様に―――兵庫がクロリアを補い高め、クロリアが兵庫を補い高める。
そして、其れは攻めにおいても同様であった。
「楽しんでますか?私は楽しいです。リアです」
「此れは―――呪縛か!我が動きをこうも封じるとはな!」
そのクロリアの詠唱と共に猟兵との闘いを『愉しみ』はしても二人のダンスを感じ取り『楽しみ』はしなかったベルセルクドラゴンの動きは目に見えて鈍り―――。
「今だ!伐採兵の皆さん!一切合切、刈り取っちゃってください!」
兵庫の呼びかけに応え顕れた78体の蟷螂達の回転鋸が一斉にベルセルクドラゴンに襲い掛かる。
「くっ!此れは例え虫であろうと兵としての質が高く且つ此れ程の数が居るならば竜たる我の鱗をこうも刻むか―――!」
そう嗤いながら切り刻まれていくベルセルクドラゴンに対し二人は追撃。
「未だ未だ此れで終わりませんよ!」
「ええ、一気呵成に畳みかけます!」
衝撃波によって切り刻まれた竜鱗を吹き飛ばしベルセルクドラゴンの身を包む強靭な鎧を奪っていく。
「くくく!ははははは!見事な連携、見事な追撃!一人で完成した強さを持つ我ら竜になき強さよ!此れが猟兵か!此れがお前たちの強さか!素晴らしい、本当に素晴らしいな!」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
才堂・紅葉
要は殴り合いで理解したいって事でしょ?
頭が良過ぎるのも困り者ね
先制対策は、【カウンター】で六尺棒を叩き込む。出掛かりを【野生の勘】で【見切り】、三節ギミックで奴の腕よりも長いリーチで攻撃する。重力を乗せた重い一撃だ【怪力、属性攻撃、重量攻撃】
攻撃の成否は問わず、一撃後は即【スライディング】で離脱する
相手の殺意を自身に集める【パフォーマンス】で、召還した火の鳥の存在を【迷彩】したい
「コード・ハイペリア!!」
真の姿の【封印を解き】、紋章を強く輝かせ【グラップル】に応じる
本命は背後からの火の鳥の奇襲。そして自身へと奴を押しこませる事で、【衝撃波ジャンプ】から【気合】の鉄拳でサンドイッチを狙いたい
御形・菘
はっはっは、実に良いキャラではないか!
安心せい、ちゃんと後でセリフには字幕を付けてやろう!
妾も邪神オーラを全身に纏ってガードに回し、更に攻撃を左腕で防御しよう
激痛は我慢、覚悟を決めて耐えきる!
右手を上げ、指を鳴らし、スクリーン! カモン!
はーっはっはっは! 今日も元気かのう皆の衆よ!
此度はゴリゴリの超純戦! さすがの妾もこのままではちょっと厳しいかもしれんな?
だが! 皆の応援があれば一切問題なし!
さあ歓声を! 喝采を! 妾に浴びせてくれ!
誇るがよい、妾に最大最強の奥義を使わせたことを!
アゲて限界を超えた今の妾の左腕の一撃は、神も魔王も星すらもブチ砕く!
正々堂々、真正面からボコり倒してくれよう!
●工作員と狂竜
「左手と右目をなくし更に全身大けがをしている。
そんな状態で愉しそうに嗤うとか本当にベルセルクという名前通りって所かしら?」
「くかかかかか!何を言うかと思えば、貴様等猟兵の未来予測を知る為という命題もあれど我は竜ぞ?戦いを愉しまずして如何する!強き戦士たる貴様等猟兵との闘いならば猶更に、だ!とはいえ、貴様等猟兵との闘いにより未来予測の理を掴むという目的は忘れるつもりはないがな!」
呆れた様にそういう才堂・紅葉(お嬢・f08859)の言葉に対しベルセルクドラゴンは愉しそうにそう返す。
「要は殴り合いで理解したいってことでしょ?
頭が良いとそんな風になっちゃうのだったら頭が良すぎるのも困りものね」
「くははは!我は頭がよくはないさ。何故ならば此れ程に素晴らしき戦いを経ながら未だ貴様等猟兵の未来予測。其の理を掴む切っ掛けすら得ておらぬ故!己が愚昧さ、弱さに殺意を抱く程よ!」
そう言いながら其の巨躯でベルセルクドラゴンは紅葉に殴りかかる。
だが、歴戦の工作員でありUDC傭兵隊の育ちである彼女にとって此の程度、よける事など造作もない。
「くかかか!流石、流石だぞ猟兵よ!例え傷付いたとしても此の我の攻撃を斯様に見事に避け続けるとは!見事としか言いようがないわ!」
「本当に洪水の様に言葉を投げかけてくるわねっ!」
流れるように己に殴りかかってくるベルセルクドラゴンに対し紅葉は其の長年の工作員としての経験から来る勘を活かし攻撃が己に放たれる瞬間に合わせて六尺棒を叩きつける。
「ぬぅ!此れは三節棍とやらか!それにこの攻撃の重さ、重力を操っているな!」
本来ならばリーチの関係上、腕位にしか届かなかったであろう六尺棒は三つに分割。
三つの棒が鎖で繋がった、所謂三節棍状態となってベルセルクドラゴンの腕よりも長いリーチとなった其れは重力を操作する魔法によって凶悪な迄に重い一撃と化しベルセルクドラゴンを討ち、膝をつかせる事に成功する。
「ぐ、ぐぅ……!」
「さあ、どうしたのかしら!貴方がその調子では貴方の主であるヴァルギリオスの名を卑しめる事になるわよ?私の様な非力な女の攻撃に膝をつく者を腹心としている、なんて言われてしまうでしょうね!」
気取られぬ様に地面にリボンを仕込むと紅葉は一旦、距離を取りベルセルクドラゴンを誘う様に挑発。
「我だけならば兎も角、主の名は―――!主を侮辱する事は絶対に許さぬ!主だけは絶対に、絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に――――!!!」
ベルセルクドラゴンは其の名の如く、狂ったように叫びながら紅葉に向かい駆け出し爪を幾度となく振り下ろす。
「凄まじい忠誠心ですね!……コード、ハイぺリア!!」
「ぬうううう!我が爪牙を受け止める……だと?!よもやよもやよもやだ!其の細身に斯様な力を宿らせているとは!!」
真なる姿の封印を解き両手に紋章を輝かせた彼女は其の連撃を受け止め捌き打ち据え続ける。
身体能力の高さだけではない、その若さで幾百、幾千の戦場を駆けた彼女の経験に裏付けされた技量からなる神業であった。
そして、彼女は工作員としての無数の経験から只己の身体能力と技量だけに任せて攻撃を受け止めるだけ等という真似をする事はない。
「何か良く分んないけど吹き飛ばしなさい、迦楼羅王―――!!」
『―――――――ッッ!!』
「ぐ、ぐぅ…此れは……っ!」
その言葉に応じ紅葉が地面に仕込んでいたリボンは其の本来の姿、破邪の神鳥、迦楼羅王へと変貌。
ベルセルクドラゴンの背後から突撃し紅葉に向けて押し込ませ態勢を崩させる。
「さあ、此れを喰らって貰いますよ―――!」
紅葉はベルセルクドラゴンに向けて高く、早く跳躍。
其の気合を込めた拳でベルセルクドラゴンを迦楼羅王と挟みこむ様に叩き込み其の右肩を打ち砕く!
「くくく、かかかか!見事だ猟兵よ!我に気取らせずして兵を仕込み挟撃するか!見事見事よ―――!!」
●邪神系配信者と狂竜
「はっはっは、実に良いキャラではないか!
安心せい、ちゃんと後でセリフには字幕をつけてやろう!」
そう言いながらベルセルクドラゴンの前に立つは蛇の如き下半身、幾多の角と蝙蝠の羽を有する邪神系配信者たる女性、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)。
「其の姿は確かキマイラという種族だな。未だ未だ我は倒れる訳にはいかぬ!さあ、貴様の力を我に示せ!より多くの猟兵との闘い、その経験こそが我に未来予測の真理を齎すのだから―――!我が主の為、戦いを戦いを戦いを戦いを戦いを戦いを戦いを戦いを戦いを戦いを戦いを戦いを戦いを戦いを……戦いを我に――――!!」
そう狂ったように言い募るベルセルクドラゴンの全身を禍々しいオーラが包み其の身に負った傷を考えれば有りえない程に速く、そして強力な一撃を菘へと放つ。
「痛…っ!痛いではないか!
我が邪神オーラを纏わせた左腕でも此れ程の痛みを感じるとは!
良いキャラして居る上に強いとか貴様……楽し過ぎるぞ!」
其の攻撃を菘は己の体を守る鎧でもあるオーラを全て集中させた左腕で受け止める。
その威力は凄まじく、受け止めた左腕は血が噴き出、激痛が菘を襲うが彼女も其れは覚悟の上。
生配信視聴者としての矜持と意思の力で無理やりに痛みを抑え込む。
そして、其の侭、抑え込んでいた彼女は空いた右手をあげ指を鳴らす。
「スクリーン!カモン!」
その言葉と共に空中に無数の空中ディスプレイが出現。
其処には「お、何だ何だ?あ、菘さんの配信か!」「ワイルドハントの高笑い担当!それも相手はめっちゃ凶悪そうな竜じゃねえか!」「此れは女房を質に入れても観なければいけない一戦!俺女房居ないけどな!」「草。涙吹けよ」等と此の一戦を見ているだろう誰かのコメントが浮かんでは消えていく。
「ぬう、此れは一体何だ?猟兵よ、お前は何をするつもりだ!我を混乱させるなどという事が目的ではあるまい!?」
その光景にベルセルクドラゴンは混乱。
菘に対し問い詰める。
「はーっはっはっは!見ていれば分かる!さあ、今日も元気かのう皆の衆よ!
此度はゴリゴリの超純戦!
さすがの妾もこのままではちょっと厳しいかもしれんな?」
そうベルセルクドラゴンの腕を左手で無理やりに抑え込みながら菘が嘯けば「おおう?!あの菘さんがそういうとかすっげえやばい状況って事か?!」「そういや、この時期、戦争が起きる頃合いだったっけか……」等と空に浮かぶ画面にコメントが流れていく。
そんな風に不安がるコメントが浮かぶ中、菘は彼等の不安を吹き飛ばす様に笑ってこう宣言した。
「だが! 皆の応援があれば一切問題なし!
さあ歓声を! 喝采を! 妾に浴びせてくれ!」
その言葉に応えるようにディスプレイに無数の応援の言葉が浮かんでは消えていく。
「頑張れ菘さん!」「ワイルドハントは、猟兵はどんな敵にだって負けねえからな!」「俺等の世界を救ってくれた様に其の世界も救ってやってくれ!いや、何処の世界か知らねえけど」「菘さんかっけえ!」
そんな言葉が浮かぶ度、彼女の周りに光が集い彼女の体を覆っていく。
「くっ!此れは・・・我が右手を抑え込む力が増していく、だと?!何という力だ!此れは知らぬ!我が知らぬ力だ!くははははは!……其の力、もっと見せるが良い!」
そう言いながらベルセルクドラゴンは狂笑。
自分の右手を抑え込む菘の手を振り払い一旦距離をとると跳躍。
菘をかみ砕こうと襲い掛かる。
だが、其れを菘は落ち着いた表情で一瞥。
「誇るがよい、妾に最大最強の奥義を使わせたことを!
アゲて限界を超えた今の妾の左腕の一撃は、神も魔王も星すらもブチ砕く!
正々堂々、真正面からボコり倒してくれよう!」
「ぐっ、ガアアアア!」
菘は拳を一閃。
その拳はベルセルクドラゴンの牙を打ち砕き―――天空高く吹き飛ばす!
「おっと、やりすぎてしまったか。ま、皆の声援を受けた妾は最強故よ。貴様も強かったぞ?聞いてはおらぬじゃろうが、な」
そういって空を見上げる菘の周りのディスプレイには「すげええええええええええ!!」「酷いいじめを見た」「声援を受けた猟兵は最強だからね、仕方ない」等と彼女を称える言葉が浮かんでは消えていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ナイ・デス
レオレガリスが座していた、迷宮の主、としては
暴力では倒せない者がいると、教えたくなる、ですね
にゃんて
さて……黙って、もらいましょうか
【勇気】を胸に
敵が実は小竜、でやりたい事できないと困るので
UC『勇者理論』も使う
サイズ、戦闘能力、スピード、反応速度が増大しての先制攻撃を
鎧と首輪で増幅した【怪力と念動力にオーラ防御】で【かばい】受け
自ら【ジャンプ吹き飛ばし】され軽減狙い
【覚悟、激痛耐性、継戦能力、視力】致命傷負いながら確り、視て
勇気で、そこ、へ!
『フェイタルムーブ』
元の体が吹き飛ぶのと、同時
敵の死角、口の中へと現れて
【鎧無視攻撃トンネル掘り】切り裂き【生命力吸収】しながら奥へ
まだ、喋れますか?
●勇者の友と狂竜
「くくくくっ!あーはっはっは!あれだ、あれこそが我が求めし猟兵の未来予測の原理を掴む切っ掛けになる代物だ!ならば次なる猟兵との闘いで此の確信を更に深めていこうぞ!なあに我が力を以ってすれば不可能はない!」
吹き飛ばされ叩きのめされながらベルセルクドラゴンは愉しそうに嗤い語る。
「レオレガリスが座していた、迷宮の主、としては暴力では倒せない者がいると、教えたくなる、ですね、にゃんて」
そう言葉にしベルセルクドラゴンの前に立つは少女の様な可憐な外見の少年、ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)。
彼は彼が傍らで誰よりも其の勇姿を見続けてきた少女の様に勇気を胸に敵をより強靭にすると判っていながら敢えて二つのユーベルコードを用いて闘いに挑む。
「来たか猟兵よ―――!さあ、我が確信を真なる物にする為に我に戦いを!一心不乱な大戦を我に齎すのだ!!」
己自身への殺意を糧に其の体躯を巨大化、身体能力を強化し更に翼を翼腕に変えベルセルクドラゴンはナイに襲い掛かる。
「さあ、どの様な力を魅せてくれる―――!お前達猟兵の力をどの様に!!」
「むぅ、本当にうるさいです、ね」
巨大化した体躯による一撃は只でさえ凶悪な威力を以って襲い掛かってくるというのに其れが翼腕を含め三本。
其の力は凶悪でナイを容赦なく追い詰めていく。
(ここ迄は、狙い通り、ですね)
己が纏いし鎧と首輪により増幅した念動力によって敵の態勢を僅かにでも崩す事で攻撃の威力を弱め、其の攻撃を怪力とオーラの盾によって攻撃を防ぎながらナイは冷静に敵の動きを観察。
時には自ら後ろに跳躍し吹き飛ばされる事で敵の攻撃の威力を殺し、時には致命傷に等しい傷を負いながらも勇者の友としての覚悟と強い意志を以って痛みを押し殺し耐えていく。
「さあ、どんなものを魅せてくれるのだ!さあ!さあ!さあ!」
「さて……黙って、もらいましょうか。
『私はここにいて、ここにはいない』勇気で、そこ、へ!」
ナイに向かい三本の腕が容赦なく叩きつけられナイの体を打ち砕く。
そして、彼の体が吹き飛ぶのと、同時。
「ぐ、があああああああああああああああああ!!!」
ベルセルクドラゴンの口から大量の血が噴き出、彼は膝をついて倒れ伏す。
【フェイタルムーブ】、ヤドリガミであるナイの仮初の肉体が瀕死になって破棄されると同時に敵の死角に新たな肉体を出現させる技によってナイはベルセルクドラゴンの口内に出現。
「勇気で攻め、気合で守り、根性で進む……一部の隙も無い、完璧な作戦、です……!」
そう勇気を奮い立て己の力を強化しながらナイはベルセルクドラゴンの体の中を内側から斬り裂き、其の命を吸収しながら奥へ奥へと進んでいく。
例え仮初の肉体と言えど痛みはあるだろう。
それでも勇気を胸に敢えて茨の道を選んだ彼の一手は狂いし竜を打ち倒していく。
「まだ、喋れますか?」
ベルセルクドラゴンの体内を掘り抜き体外に脱出したナイは血を吐き倒れるベルセルクドラゴンを一瞥。
そう呟くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
緋翠・華乃音
どうやら舌だけじゃなく頭もよく回るらしいな。
だが優れた個体一つで何もかも打開出来るほど戦場は甘くない。
それをまた一つ学習すると良い。
まあ、お前が思っている以上に猟兵から学べる事は多いだろうよ。
スピードや反応速度が増大したと言えど、振るわれるのは腕に過ぎない。
故に何らかの超常現象を繰り出す訳でもなく、急に巨大化する訳でもなく、もちろん速度が光速に至る訳でもない。
物理法則に縛られた行動を見切れない道理はないんだよ。
視線や体幹、呼吸やリズム、筋肉や骨格の動き、一挙手一投足に至るまで全てを“見切り”一手目を躱す。
最初を読み切ればこちらもユーベルコードが使用出来る。
回避が前提になれば反撃もまた容易い。
●星視と狂竜
「ぐ、がが……未だ…未だだ……我は主の為に猟兵の力の真理を……!」
「随分とボロボロだな……。
舌だけでなく頭もよく回っていたみたいだが、其れも今は見る影も、っていう所か」
そう言いながら倒れ伏すベルセルクドラゴンの前に立つは緋翠・華乃音(終ノ蝶・f03169)。
彼は冷徹にベルセルクドラゴンを見据えると立ち上がり自らに襲い掛かる其の腕を視線や体幹、荒々しく乱れた呼吸、ボロボロになった筋肉や骨格の動き、一挙手一投足に迄見切って其の攻撃をかわす。
(スピードや反応速度が増大したと言えど、振るわれるのは腕に過ぎない。
故に何らかの超常現象を繰り出す訳でもなく、急に巨大化する訳でもなく、もちろん速度が光速に至る訳でもない)
「ならば―――物理法則に縛られた行動を見切れぬ道理はないだろう」
「グ……がぁっ!!」
己の攻撃を軽々と避ける華乃音に二撃目を加えようと更に腕を振るうが其れを赦す程、華乃音は甘くはない。
「此れが最適解だ」
そう嘯いて次々と放たれる攻撃を軽々と避け、お返しとばかりに攻撃を返していく。
「優れた個体一つで何もかも打開出来るほど戦場は甘くない。
それをまた一つ学習すると良いさ」
「ぐ、この我が―――諦めぬ、あきらめはせぬぞ!!」
最早、戦場は華乃音の独壇場。
攻撃のたびに与えられる反撃によりベルセルクドラゴンの体はボロボロになり最早すぐに倒れそうなまでに弱っていた。
「まあ、お前が思っている以上に猟兵から学べることは多いだろうよ」
そう嘯きながら冷徹にベルセルクドラゴンを見据え打ち据えていく華乃音。
彼の動きは的確で美しく其の名の通り華の様ですらあった。
「そうだ……我は学ぶのだ―――!我が主の勝利の為に!我が主が此の世界を支配する為に!主の主の主の主の主の主の主の主の主の主の為に――――!!」
己が主への忠義に狂い三つの腕を執拗に振るい続けるが狂い振るわれる攻撃が華乃音に触れる事等あろう筈もない。
狂乱の竜はただただ攻撃にさらされ傷付いていくのみであった。
大成功
🔵🔵🔵
エミリロット・エカルネージュ
●SPD:対策
『先制攻撃』で低空スレズレを『空中戦』で駆けながら『第六感』で『見切り』
『オーラ防御』と『属性攻撃(爆弾)』を込めた爆発する実体『残像』を設置しながら回避
落ち着きが無いのは、UCにも現れてるよね?
それだけ早ければ
小回りに融通は効かないし筈
実体『残像』も『時間稼ぎ』の障害物としてある程度機能する筈
隙を見つけて『早業』でUC発動
エカルドのサーチモードで『情報収集』しつつ『残像』で撹乱しつつ防御の脆い所に『怪力』を込めた『鎧無視攻撃』の『グラップル』を『2回攻撃』で相手の速さを利用し『カウンター』気味にすれ違い様にシャオロン(麺棒モード)で叩き込み続けるよ
※アドリブ絡み掛け合い大歓迎
●ヒーローと狂竜
「未だ…未だだ……主のじょうりのだめに猟兵の未来予測の真理を……!」
「いいや、貴方は其れを掴む事は出来ない。ボクが貴方を倒すからね」
そうベルセルクドラゴンに言い放ったのは赤毛のファードラゴン型ドラゴニアンの少女、エミリロット・エカルネージュ(この竜派少女、餃心拳継承者にしてギョウザライダー・f21989)。
「ぐぬ……来たか猟兵……!どごだ…どごにい゛る゛……っ!ぞごがぁ……っ!」
ナイの手により体の内部を徹底的に破壊され、更に間を置かずに華乃音に打ちのめされたからだろう。
其の声色は枯れ果てて最早言葉の体を為すのがやっとの有様であった。
(左腕と右目はなくて右肩の動きも鈍いし胸の辺りの鱗は剥がれ落ち、牙は砕け血がだらだらと口から流れてる。
凄いボロボロだね。けど油断は禁物、だね)
だが、それでもベルセルクドラゴンはエミリロットの姿を認めると立ち上がり、己の翼を腕へと変じさせ彼女へと爪を振るう。
「此の世界の為にも容赦はしないよっ!」
「容赦ぜんのは我のぜりふだっ!!」
ベルセルクドラゴンの爪が低空スレスレに駆けるエミリロットに迫るも彼女は其の直感で動きを見切り僅かな動きで回避。
「我はしねぬ゛!死ねぬのだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
「其の傷でもこんなに早いのは凄いね。
でも、速いからこそ小回りは効かない様だけど!」
ただ主に勝利を齎す為に未来予測の真理を掴む為に。
ベルセルクドラゴンは三本の腕で必死にエミリロットに追いすがるが彼女は其の全ての動きを見切り回避。
そして、漸くベルセルクドラゴンの爪が命中したと思えば―――
「其れは残像だよ!」
「ぐ、がああああ……!!」
エミリロットによってベルセルクドラゴンを攪乱する為に幾つも生み出された実態を有する残像であり、其れに込められた力によって攻撃の瞬間に爆発していく。
そして、其れによって生じた隙をエミリロットは見逃さない!
「この瞬間、待ってたよ!
『Dumpling System!』『True Form Revolution!』……変身!」
その言葉と共に彼女の全身を光が包み込み、光が収まった時、金と赤の鎧に身を包んだヒーローが爆誕する。
「――ギョウザライダー・エカルド、サーチモード!!」
「ぐ、があああああああああああ!!!」
最早、言葉を投げかける労力すら惜しいと残像の爆弾の中を突き進みながら叫びと共にエミリロット、否エカルドに向かうベルセルクドラゴン。
だがエカルドは其の動きを冷静に分析。
幾つも生じさせた残像によって目測を誤らさせ攪乱。
ベルセルクドラゴンが残像に向かい爪を振り下ろした瞬間にベルセルクドラゴンに向かい駆け、すれ違い様に相棒の小龍、シャオロンが変じた麺棒を叩き込む。
「先ずは左胸―――!」
「ぐ、があああああ!!」
麗治が黒剣によって打ち砕き、兵庫とクロリアによって切り刻まれた竜鱗の中でも最も深い傷を負った左胸を。
「次は右肩―――!」
「ぐぁぁぁっ!!」
紅葉によって打ち砕かれた右肩を。
「左肩――――!」
「ガアアア!!」
ナハトにより砕かれセシリアによって根本から断ち切られた左肩の傷口を。
「此れがトドメだよ―――!」
そう言ってシャオロンを地面に突き立ててしならせる事で棒高跳びの様にし天空に跳躍。
「ギョウザァキイィィッッック!!」
其の侭、ベルセルクドラゴンの腹に流星の様な蹴りを叩き込む。
「あ゛る゛じのだめに……未来予測を……ヴぁるぎりおす様……」
「最後迄主の為に、か……貴方の其の忠義は忘れないよ」
腹を貫かれ倒れ伏したベルセルクドラゴンを一瞥したエミリロットは変身を解除。
そう呟くと戦場を後にするのであった。
猟兵の手で倒された狂いし竜の躯を残して―――
大成功
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