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快楽を糧に神は蘇る

#UDCアース

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#UDCアース


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 ……を。
 ……っと、……を。
 もっと、我に生け贄を。
 欲望を、そして――快楽を捧げよ。
 渇き飢え、幾ら喰っても満たされぬ我に……貴様の全てを捧げよ。


「皆、UDCアースで邪神が復活しそうなの!手を貸してくれないかしらっ」
 猟兵たちが犇めき合うグリモアベースにて、風雅・ユウリ(f00972)がふわふわしたドレスを靡かせながら駆け、猟兵たちに声をかけて回る。
 暫くして、数人の猟兵がユウリの呼びかけに応じたようで、彼らを集めると深呼吸してから予知した内容を話しだした。
「UDCアース、日本にある都市で邪神の復活の兆しが見えたの」
 その都市は芸術に関する施設が多く建っており、その種類は音楽ホール、演劇ホール、美術館、博物館など多岐にわたる。
 その他にも、年中百貨店や多目的ホールなどで、何かしらの絵画展や芸術品の作品展を開催しているほどだ。
「今回は、どうやら絵画の中に邪神が封じられているものがあって、意図的か偶然かはわからないけれど、それがとある絵画展で展示されてしまっているみたい」
 封じられているとはいえ、そんな絵画を見れば常人であれば、精神に何らかの悪影響を及ぼすことは必至だろう。
「幸い、まだ絵画展自体は始まったばかりみたいで、そこまで影響は出ていないみたいなのだけど……早くなんとかしないと、このままじゃ絵画展に来た人皆が大変なことになっちゃう!」
 同時期に開催している絵画展は数件あり、それぞれが離れた場所にある。
 猟兵たちは自分が得意とする情報収集や調査などの方法で件の絵画展を特定して絵画に対処する必要があるだろう。

「邪神が封印されている絵画は、封印されたままならそのまま回収してUDC組織に預けてしまって大丈夫よ」
 UDC組織は絵画を分析して、その絵画が何処から齎されたのか、誰が絵画展の展示物にさせたのかを調査したいのだという。
「でも、万が一邪神が復活するようなことがあったら……皆の行動にはUDC組織のサポートがあるから、一般人の避難とか記憶関係の対処はUDC組織にお任せして、猟兵の皆は邪神を倒すことに集中してね!」
 邪神が現れたとしても、周りの状況は気にせずに戦って倒して欲しい。
 邪教集団の信者が現れるかもしれないが、その時は信者の扱いをUDC組織に任せるなり、邪神の生け贄になろうとする者を未然に防ぐなり、判断は猟兵たちに任せる。

 そこまで告げると、ユウリは転移の門を開きながら、ふと思い出したように声を上げて猟兵たちを見上げる。
「そうだ。私、予知でその絵画を見たの。詳しい構図とかは覚えていないのだけれど……ええと、あくまで私の感じた印象なのだけどね?」
 転移の準備をしながら、猟兵たちに赤らめた顔を伏せながらもじもじとするユウリだったが、やがてゆっくりと唇を開くと囁くような小さな声で呟く。
「……なんだか、見ていてると、その……」
 言いづらそうにしていたが、ユウリは意を決したように顔を上げる。
「え、えっちな感じだったわっ!……そ、それじゃあ皆、頑張って探してきてね!」
 半ばヤケになったように最後に告げると、ユウリは顔を赤くしたまま猟兵たちを送り出すのだった。


胡蝶
 胡蝶です。
 いかがわしい雰囲気の邪神が復活しそうです。

●補足
 今回のシナリオは『絵画展の場所を探し、絵画を見つけ出す(冒険)』『邪神との戦闘(集団戦)』『邪神との戦闘(ボス戦)』の三本立てとなります。
 展開次第では、ユウリも示唆していましたが、えっちな波動を感じてしまうかもしれません。

 以上、皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『狂気の芸術』

POW   :    美術館などをとにかく巡り絵画展を特定する等

SPD   :    聞き込みや美術商の調査で絵画展を特定する等

WIZ   :    絵画の魔力を辿ったり美術知識で絵画展を特定する等

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シズホ・トヒソズマ
【SPD】
使用技能【動物と話す1鍵開け2忍び足2追跡1ハッキング1早業1】

エッチな怪物とはなんて見過ごせない相手!
現地世界で着用者を探してから調査開始します
……一応そういうの大丈夫な方を探しましょう、はい
いえ決して出たらその受けにいくとかそんなことは…

聞きこみでは【動物と話す】で動物にも聞き込みをして情報を多く集めます

美術商調査では、怪しい美術商を【忍び足・追跡】で気付かれない様尾行
鍵のかかった場所に入ったら【鍵開け】で潜入、【忍び足】で気付かれない様調査します。
怪しそうな端末などがあれば、【ハッキング・早業】で手早く情報を調査します

尾行・潜入以外の移動には加速同調で変形させたバイクを使います


アリス・セカンドカラー
アリスのペット♪で羅針盤の人工未知霊体を召喚。
で、ダウジング(第六感、野生の勘、念動力)で絵画の魔力を辿るわ。
第六感と野生の勘が捉えた魔力を無意識化で反映させた念動力で操る羅針盤の導きに従うわよ。

それにしてもエッチな絵画ねぇ、薄い本描いてるから耐性はあるけど、ここは猫を被ってよくわからない振りで???な態度でいないと。
良識ある大人にバレると色々めんどくさいし、無垢なる幼女を装って終始ほんわか微笑んでいるわ。
ふはは、見ちゃダメされても周囲に薄く展開させた念動力の感覚から第六感にシナスタジアさせて視覚化するのも造作もないわ♪
で……昨今のサブカル文化のがよっぽどアレなのはきっと気のせいね。


魔境日本ェ


峰谷・恵
「これと言った手がかりは絞り込まれた数カ所の美術館くらい。なら総当たり覚悟で行っちゃおう」

【POW】でダンピールの神殺しの力が齎す直感(第六感)を信じて候補に上がった美術館を巡る。他の猟兵と連絡をとって【POW】総当たり組でどこの美術館を回るか手分けする。
絵画を見つけたら他の猟兵とUDCに連絡して回収を頼み、回収に邪魔が入らないよう警戒。

「人の色欲を刺激する邪神ってすっごい嫌な予感がするんだけど…触手とかそういうのが出てきそうで」


四季乃・瑠璃
【ダブル】で分身して二人掛かりで情報収集。

まずはインターネットで確認。
最近の絵画展だと出展してる絵画情報をHPに載せてる事が多いので、そこからそれらしき絵画を出展してる美術館を絞り込むよ。
特に特殊な力(魅力)を持った絵画なら、絵画展の目玉として大きく取り上げられてる可能性高いしね。

その後は目星をつけた絵画展の感想等を挙げてるサイトを幾つか確認。複数の人間が同じ絵画展でユウリと同じ様な感想を挙げてる様なら、十中八九特定できるハズ。
後は実際、現地で搬入された絵画の魔力を辿って絵画に辿り着くよ

瑠璃「これが噂の絵画かな…?」
緋瑪「なんていうか…見てると変な気分になってくるような…?」

※アドリブ歓迎


夜神・静流
邪神の復活を食い止めなければいけませんね。
まずは、どの絵画展にあるのかを特定しましょう。

「えっちな感じ」とやらはよくわかりませんが……(横文字が苦手で初心)
邪悪な物が封じられた物ならば、何らかの邪な気配がするのではないでしょうか。
祈り・第六感・破魔・呪詛耐性あたりの技能と霊符・聖痕・お祓い道具などを使って、絵画の魔力や邪悪な気配、またそれらに影響を受けた人の存在を探り、場所を特定したいと思います。
また、ある程度当たりをつけたり、上手く気配が探れないようなら足で探すのもいいかもしれません。その際はダッシュ技能を使用します。


明智・珠稀
ふ、ふふ。
音楽も好きですが美術も大好きな私です、ふふ。
邪心の封印された絵画…それはとても興味深いですね。
早くその絵画を見つけ、回収いたしましょう。
…どんな素敵な絵画なのか、じぃっくり観たいものですが、ふふ…!
(興奮に頬を染め)

■行動(SPD)
最近始まった絵画展がいくつかあるようですね。
各美術展の開催場所にお電話いたしましょう。【礼儀作法】
絵画展を観た後、頬が赤らんでいる来館者や従業員が居ないか
お伺いしたいものですね。
情報なければ【第六感】の感じる所に直接趣き
絵画を愉しませていただきましょう…!

(他の探索者とも連絡を取れるようにし
 何かあれば情報共有し急行したい)

※アドリブ、絡み大歓迎です!


ニコラ・クローディア
「ほぉん、これはまた。面白そうな絵じゃないか。邪神さえ封じられてなきゃ、うちに飾るのに1枚欲しいくらいだ…どれ、ちょっとちょっかいかけてみるか」
とはいえ、この状況に適したコードは、ない…仕方ない、足で情報を稼ごう。
POWの高さに由来する体力でひたすら美術館行脚。
その際には【礼儀作法】での挨拶や【世界知識】での事前【情報収集】でなんとか当たりを引きたいものだ。効きそうだったら【誘惑】も悪くないな。幸い【呪詛耐性】もあるからえっちな気分にも抗える、か?
もし怪しい輩がいたら【恐怖を与える】【恫喝】で無理にでも情報を聞きだしてみよう、邪神教団につながっているかもしれない。
アドリブ等歓迎
口調複雑です


八咫烏・文音
フリーライターの文音として各地に聞き込み
(服装も、一般の人に溶け込めるブラウス姿です)
現場となった都市と、そこを彩る芸術についての特集の取材…
と称して、行われている、あるいはその予定の絵画展と、
そこに展示される絵画の情報を集めます
「特集ができたら、この町の為にもなると思いますし、よろしければ、ご協力していただけたらっ。」

集まった情報から、ユウリさんのくれた情報等と照らし合わせて、
件の絵画が展示される現場を特定していきます
「そういえば、あの人が話してた時、顔、赤くしてたような…」

そういった情報と、自分の推測を、他の猟兵に伝えつつ、
皆から受け取った情報も同様に照らし合わせていきます



●捜査は足だ!
「うーん……これと言った手がかりは絞り込まれた数カ所の美術館くらい。なら総当たり覚悟で行っちゃおう」
 まずは街の情報を調べ、現在絵画展を開催している施設を絞り込んだのは峰谷・恵(f03180)。
「そうね、ニコラも体力には自信あるし……実際に行って確かめましょうか」
(こうした状況に適したコードは、ない……仕方ない、足で情報を稼ごう)
 一緒に地図を眺めながら、ニコラ・クローディア(f00091)は恵に同意するように頷くと、2人は早速行動を開始した。

「……ここではなさそうですね」
 最初に二人が足を向けた美術館。
 一先ず入場し、一通りの絵画を鑑賞するが、件の絵画は発見できず、恵は思わずため息をついた。
 ニコラが世界知識による事前の情報収集、恵が直感――第六感によってほんの2件に絞り込んだ場所のうちの一つではあったのだが、現在展示されている名画の中には邪神の気配を感じる絵画は展示されていないようだ。
「うーん、変だな……残り香っていうか、前は在ったみたいな気配は感じるんだけど」
 首をひねりながら呟く恵は、何の変哲もない絵画の前で唸る。
 その言葉にピン、と閃いたのかニコラは近くにいた職員に人当たり良さそうな微笑みを浮かべながら近づく。
「すみません、少しよろしいですか」
 礼儀正しい様子で、職員に幾らか尋ねると、恵の元へ戻る。
「恵の感、合っているかも。元々、展示しようとしてオーナーが『この絵は何か変だ』と展示直前に別のオーナーに売った絵画があったみたいよ」
「へぇ……じゃあもしかして、その絵を買ったオーナーって、もう一つの美術館かな?」
 ニッ、と笑う恵みに、そうみたいね、とニコラが笑うと2人は連れ立って美術館を後にする。
「そういえば……」
 入手した情報を他の猟兵たちへ連絡した後、もう一つの美術館に足早で向かいながら、恵が誰にともなく呟く。
「人の色欲を刺激する邪神ってすっごい嫌な予感がするんだけど……触手とかそういうのが出てきそうで」
 未だ見ぬ邪神が封じられた絵画に、嫌な予感を覚えつつ苦笑するのだった。

●取材と調査、追跡と尾行
「エッチな怪物とはなんて見過ごせない相手……!」
 心を通わせた人物と一つになると、紫色の全身スーツを着用した状態で立ち上がったヒーローマスク――名前はシズホ・トヒソズマ(f04564)という。
 ……なお、彼女の姿は猟兵の力によってこの世界の住民に全く違和感を与えていない。
 路地裏からそっと出てくると、他の猟兵と合流する。
「ええ。それに……邪神の封印された絵画……それはとても興味深いですね。
早くその絵画を見つけ、回収いたしましょう」
 シズホの言葉に同意するように言葉を発したのは明智・珠稀(f00992)であった。
 彼は妖艶にクスリ、と微笑みながら頬に手を当て言葉を続ける。
「……どんな素敵な絵画なのか、じぃっくり観たいものですが、ふふ……」
 珠稀は、興奮したように整った美丈夫の顔を朱に染めながら笑う。
「確かに気になるね」
「うんうん、どんなのかな~☆」
 ユーベルコード『オルタナティブ・ダブル』で分身していた四季乃・瑠璃(f09675)は、仲間と一緒に歩きつつ、別人格の『緋瑪』と話しながら同じ動きで頷く。
「あはは……とにかく、私たちも行動を開始しましょうか」
 ペンとメモ帳を取り出しながら、八咫烏・文音(f06761)は2人に声を掛けると、3人は調査を開始するのだった。

 手始めに、フリーライターを名乗りながら街の観光案内所や官公庁に聞き込みを始めた文音であったが、その手法は効果的であったようだ。
 街の紹介記事の為の取材だ、という体で丁寧に聞き込みをする文音に、担当者は快く取材に応じていた。
 応接間に通され、好意的に迎えられながらも礼儀正しい姿勢のまま応対する。
「特集ができたら、この街の宣伝にもなると思いますし、よろしければ、ご協力していただけたらっ」
「ええ、喜んで。記事、完成したら私たちにも是非読ませてくださいね」
 にこにこと応じるのは観光案内所の女性職員だ。
 文音の隣にいた珠稀が、物腰柔らかな礼儀正しい所作で一礼をしてから口を開く。
「それで、この街と言えばコンサートや美術展が多いと感じているのですが、今回はその中でも絵画展の特集を考えておりまして……」
 取材をするメンバーに扮した珠稀も、文音に合わせるように尋ねていく。
「最近始まった絵画展がいくつかあるようですね。何か見に行かれましたか?……見に行かれたのであれば、何か印象に残った展示などありましたら、教えて頂けると」
 珠稀の問いかけに、何か覚えがあったのか顔を赤らめる職員。
 そんな様子の職員に、2人はハッとして注目する。
 注目されたことで、更に顔を赤くしながら、職員は恥ずかしそうに話しだす。
「あの、大通りで数日前から開催している絵画展に行ってきたんです。テーマはその……確か、異界の神とエロス、だったか……そんな感じで、その中の目玉として展示されていた絵画、でしょうか」
 顔を赤くしたまま応えた職員に、2人は礼を言うとその美術館へと向かう。
「珠稀さんも、さっきの職員さんの反応、見ましたよね?」
「もちろん。……その美術館が、今のところの第一候補となるでしょう」
 文音と珠稀はお互い頷き合いながら、別行動で調査をする猟兵に連絡を入れながら走り出した。

 分身している瑠璃は、二馬力でインターネットで調査を開始する。
「最近の絵画展だと出展してる絵画情報をHPに載せてる事が多いよね」
「確かに~、じゃあそれから調べていって絞り込んでみよっか」
 別人格の『緋瑪』と会話しながら、瑠璃は近くにあったインターネットカフェに入り、パソコンで検索を始める。
(特殊な力……魅力を持った絵画なら、絵画展の目玉として大きく取り上げられてる可能性高いはずだよね)
 カチ、カチとマウスをクリックさせる音が、個室に響き渡る。
 やがて絵画展の検索から何件か目星をつけると、今度はその絵画展の感想等を乗せているサイトやブログを調査する瑠璃。
「複数の人が同じ絵画展で、グリモア猟兵の子が言ってた、えっちな感じ?の感想を言ってる絵画展があったら、それっぽくない?」
「なるほどね――あ、直ぐヒットしたよ~。ここじゃないかな?」
 瑠璃は、分身体が見つけ出した画面を覗くと、載っている絵画展を検索して確認するとパソコンを消して立ち上がる。
「よし、じゃあ向かおうかな」
 その美術館の絵画展がアタリだと確信すると、足早に向かうのだった。

 動物と話せるシズホは、動物と意志疎通して怪しい気配を感じないかと聞き込みをしながら街を歩き、ある美術館の近くに辿り着いていた。
 動物たちによれば、その美術館に、裏口から出入りする人間で変な気配がある者がいるという。
(美術商か何かでしょうか……)
 そう考え裏口に向かうと、動物たちが僅かに騒ぎ出したのに気づき、物陰に潜みながら様子を伺うと、丁度美術商らしき男が現れる。
 動物たちに礼を言い、シズホは忍び足でそっと近づきつつ追跡を開始、尾行を始める。
 美術商は、ひと気のない美術館近くの倉庫へと入っていき、暫くするとまたその倉庫から出ていき美術館へと向かって行った。
 そこまで見届けると、シズホは倉庫へ侵入を試みる。
 鍵開けでロックを解除し、忍び足で慎重に倉庫内に侵入し、目についた機械端末に対し早業でハッキングを仕掛け中の情報を盗み見る。
「……これは。やはり、あの美術館で間違いないようですね」
 その端末内の情報は、美術商と邪神教団の繋がり、そして邪神の封じられた絵画がその美術館に展示されているという証拠に他ならなかった。
 シズホは急いで痕跡を消すと、倉庫を出て美術館へ向かうのだった。

●その魔力を辿って
・アリス・セカンドカラー(f05202)
・夜神・静流(f05903)

「さあ、かわいかわいいペット達♪出番よー☆」
 ふわふわとしたわたがしのような雰囲気を持つ少女、アリス・セカンドカラー(f05202)はそう言うと、ユーベルコード『アリスのペット♪』によって胸元に1と刻印された羅針盤の人工未知霊体を召喚し、共にダウジングを始める。
 彼女自身の第六感や野生の感などを駆使し、邪神の魔力を辿ろうとしているのだ。

「邪神の復活を食い止めなければいけませんね。まずは、どの絵画展にあるのかを特定しましょう」
 黒髪の靡かせ、夜神・静流(f05903)は身に纏う和服の襟を正しながら、凛とした雰囲気で呟く。
(邪悪な物が封じられた物ならば、何らかの邪な気配がするのではないでしょうか……)
 祈るように目を閉じると、破魔の力、そして第六感、呪詛への耐性の力に集中する静流。
 浄化の霊符、破邪の聖痕、お祓い道具を手に、意識を極限まで集中させ、邪神の気配やその残滓を探ろうと気を高めていく。
「それにしても……『えっちな感じ』とやらはよくわかりませんが……」
 魔力の気配を探しながら、その感覚は初心らしい静流ではいまいち想像がつかない様子だったようで、困ったように苦笑を浮かべる。
「そうね、わたしもちょっとよくわからなくて……でも、頑張って探しましょう」
 にこっ、と無垢な少女のように微笑みながらその呟きに応えるアリスだったが、彼女は――静流とは少し事情が違った。
(それにしてもエッチな絵画ねぇ、薄い本描いてるから耐性はあるけど、ここは猫を被ってよくわからない振りで『???』な態度でいないとね)
 良識ある大人にバレると色々めんどくさい、という理由で自身のイメージを守りながらほんわかと笑い掛けつつ、アリスも邪神の魔力を追う。
 すると、細い糸のように僅かに異質な――邪神の魔力を探知する二人。
 アリスのペットの羅針盤が、ある方向を指し示し、激しく反応を始める。
 同時に、静流もその気配を察知し、その方角を鋭い目つきで見つめる。
「アリス様、急ぎ向かいましょう!」
(『えっちな感じ』は判らずとも……邪神の気配は見逃しません……!)
 腰を低くし姿勢を整えると、魔力を感じた方向に向かってダッシュで走り出す静流。
「え?あっ、ま、待って……!」
 走り出した静流に一瞬呆気にとられつつも、アリスもその後を追っていく。

●狂気の美術鑑賞
 猟兵たちは、それぞれ得た情報と調査結果を元に同じ美術館へと集まっていた。
 入場すると、邪神の気配がより濃密になる。
 その気配を辿っていくと、一番奥に展示された絵画に辿り着いた。
 UDC組織に依頼し、人払いを済ませると猟兵たちは邪神の封じられた絵画の前に立つ。
 その絵画は、見る前から異質な雰囲気を放っており、一般人であれば近づいただけでも異変を感じ、見てしまえば精神に異変をきたすだろう、と猟兵たちは感じていた。
 具体的にどうなるかと言えば……。

「ほぉん、これはまた。面白そうな絵じゃないか。邪神さえ封じられてなきゃ、うちに飾るのに1枚欲しいくらいだ……どれ、ちょっとちょっかいかけてみるか」
 呪詛耐性のあるニコラが興味深そうに微笑みながら近づいてみると、耐性があるにもかかわらず身体の芯にヒリつくような熱を感じ、思わず足を止める。
(えっちな気分にも抗えるか……と思ったけど、結構クるな……)
 疼く身体を腕で抱き、顔を赤くしながら絵から距離を取るニコラ。
「これが噂の絵画かな…?」
「なんていうか…見てると変な気分になってくるような…?」
 別人格と会話しながら、瑠璃もニコラと似たような感覚に陥ったのか、顔を赤くしながら絵を見ている。
「……み、見ない方がいいよ?」
 顔を赤くしたまま、絵を見ようとしていたアリスに気付くと、目を塞ごうとする瑠璃。
「えー、わたしも見てみたいわ」
 と、目を塞がれて見えないという抗議の言葉を呟くアリス。
(ふはは、見ちゃダメされても周囲に薄く展開させた念動力の感覚から第六感にシナスタジアさせて視覚化するのも造作もないわ♪)
 しかし内心でそんなことを思考しつつその絵画を認識する。
 認識したのは見ているだけで劣情を催す様な蠱惑的な女性の裸体が描かれた絵画。
 モデルは普通の人間のように見えるが、絵画全体から醸し出される雰囲気が人の狂気と性的な欲望を誘うよう。
 絵画に辿り着くまでにすれ違う人間に、顔を赤らめたり様子がおかしい人間が何人かいたが、これの影響だろうと容易に想像できた。
(……昨今のサブカル文化のがよっぽどアレな気もするけど……)
「……魔境日本ェ」
 思わず、素で呟いてしまうアリスなのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『マガツアリス』

POW   :    古き神々の意志
【邪神「第零の蟻」】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
SPD   :    呪われし鉤爪
【異様に膨れた両腕の鉤爪】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    軍隊蟻の行進
いま戦っている対象に有効な【悍ましき妖虫】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 絵画を発見し、UDC組織と一緒に回収を試みる猟兵たちだったが、突然人払いしたはずの展示室に黒服を着た人間が現れる。
「その絵画をどうするおつもりかな、お客様」
 美術館の関係者らしい黒服は、そんな風に尋ねながら猟兵たちに近づいてくる。
「それに、美術品には手を触れてはいけない――鑑賞のマナーだ、守れないならば退場願おう」
 笑いながらそう言うと黒服の姿は変貌し、マガツアリスが出現する。
 マガツアリスはそのまま絵画を守るように、猟兵たちの前に立ちふさがったのだった。
 
 
峰谷・恵
「撃った後だけど、美術品って保険かかってたよね?いや、ボクの武装だと、対多数相手じゃ細かいことは難しいから」

邪神の手先が関係者面しているからちょっと他の展示品巻き込んでもまあいいか、と思いながら敵の撃破に専念。あんまり巻き込むとまずいようならUDC組織の人にほかの美術品避難をお願いする。
マガツアリスが絵画を守る位置に固まっているうちに全射撃武器によるフルバースト・マキシマム(先制攻撃、一斉発射、鎧無視攻撃、鎧砕き、2回攻撃、誘導弾)で敵がなにかする前に一気に削る。
敵の攻撃はダークミストシールド(盾受け)で受け流す。

有効な悍ましき妖虫は(以下R18文章検閲削除)



「……撃った後だけど、美術品って保険かかってたよね?」
 戦闘態勢に入った直後にユーベルコード『フルバースト・マキシマム』を発動させ先制攻撃を繰り出した峰谷・恵(f03180)は、けたたましい銃声が鳴りやみ、束の間の静寂が訪れた展示ホールで、首を傾けながら呟く。
「ほら、ボクの武装だと、……対多数相手じゃ細かいことは難しいから」
 ね?とマガツアリスに同意を求めるように笑い掛ける。
 幸い、猟兵たちがいるフロアに邪神の封印された絵画以外の美術品は展示されておらず、且つその絵画もマガツアリスが盾になるように立ち塞がっていたため、恵の攻撃は美術品は未だ傷つけてはいなかった。

 マガツアリスと呼ばれるオブリビオンは、恵の言葉に反応を示さぬままに邪神「第零の蟻」を自らの背後に召喚する。
 邪神に自らを操らせることにより戦闘能力を向上させる力。
 人形のように操られるままとなったマガツアリスは、接近しながら異様に膨れた両腕の鉤爪を恵に振るう。
「うぉっと!あっぶないなぁ……!」
 再び一斉掃射しようとしていた恵は、振り下ろされる鉤爪を間一髪でダークミストシールドで受け流し、同時に。
「……隙あり、ってね!」
 マガツアリスの懐は目の前。絵画の前に立ったところを狙っていたが、逆に丁度いいと笑って。
 全ての武器を操る指先に意識を集中させると、『フルバースト・マキシマム』を至近距離に自ら飛び込んできた獲物……マガツアリスに、鎧を砕き、その鎧すら無視する威力の、全武装の一斉掃射を放つ――!

 無慈悲な恵の一斉掃射がクリーンヒットすると、そのまま絵画の近くまで吹き飛ばされるマガツアリスに、彼女は追撃の準備をしながらアームドフォートの銃口を向けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニコラ・クローディア
「いいとこ、邪神の手足といったところか。退け、貴様らに用はない」
あの姿には見覚えがある、確か邪神の前座になることが多い兵隊蟻みたいな奴らだったか。これを薙ぎ払えば、焦った邪神が出てくるか?
…いや、そういう気分を贄に復活するんだったか?
「どちらにせよ――排除させてもらおう!」
戦闘の基本は「アンフィスバエナ」の槍撃と「バリスティカ」の魔力弾丸。
寄らば切る、寄らねば撃つの精神。
マガツアリスの本体?に接触する機会があれば槍を突き刺し選択UCに合わせ自分も龍詞の雷咆でトリプルブレス。
えっちな気分?
「龍を発情させるとは大したものだが、まだ足りんな!」
戦闘の高揚でごまかして後で発散だ。
アドリブ歓迎
暴龍モード



 倒れたまま朽ちていくマガツアリスを、憤怒の色を灯しながらも冷たく見下す美しい龍人がいた。
 一体が倒れたと同時に、絵画の下からわらわらと犇めき合うように。
 数体のマガツアリスが床から湧き出てくる様を見遣る。
「……いいとこ、邪神の手足といったところか。退け、貴様らに用はない」
 龍暴きドララの素顔を晒しながら、ニコラ・クローディア(f00091)が冷たく囁く。
 ニコラはマガツアリスの姿に見覚えがあった。
 奴らが邪神の前座になることが多い兵隊蟻のごとき存在であるということを、猟兵の経験から判断する。
(……と、すれば。"これ"を薙ぎ払えば、焦った邪神が出てくるか?)
 異様に膨れた両腕の鉤爪を振り翳しながら向かってくるマガツアリスを"これ"と内心で呼称しながら双子竜槍「アンフィスバエナ」を握る手のひらに力を籠め。
(……いや、そういう気分を贄に復活するんだったか?)
 半ば思考の海に浸ったまま、一直線にニコラへ向かってくるマガツアリスに槍を向け、力任せに胴を貫くと口角を上げて微笑む。
「どちらにせよ――排除させてもらおう。……今ここに真の姿を許す――ゆけ、アンフィスバエナ!」
 そう言い放つと同時にユーベルコード『真竜解放「アンフィスバエナ」』が発動し、双槍モードにしたアンフィスバエナの刺突を喰らったマガツアリスの身体は、真の姿となったアンフィスバエナのブレスによって焦がされ、瞬く間に燃え朽ちてゆく。
 無謀にもニコラを襲ったマガツアリスの成れの果てを認識したマガツアリスたちは、一瞬ざわめくものの、今度は3体同時にニコラへ向かってくる。
 ニコラは極めて冷静に、愛槍を振るいながら魔力装弾式拳銃杖「バリスティカ」を構えると、槍術と杖から生み出す魔力の弾丸でマガツアリスを排していく。
 それでも。
 冷静な思考の中に、ふと絵画に魅入られた時の昂揚が浸食して――
「……龍を発情させるとは大したものだが、まだ足りんな!」
 戦いが終わったら発散しよう――などと頭の片隅で思考しながら、ニコラは愛槍と杖を握りしめるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シズホ・トヒソズマ
「そちらこそ、絵画を見れないようにスタッフを配置するなど、運営として基本が成っていないのでは? 見せられないものなど、最初から展示などしないでください。というわけなので、邪魔な方々は掃除させてもらいます!」

アイアンメイデンからくり人形をバイクに変形させて飛び乗り、【操縦1】し展示場内を縦横無尽に疾走し、敵を撃破していきます。
【フェイント1】により急制動や急加速を織り交ぜて翻弄し、死角から一気にバイクで突撃。


最後はバイクのサイドを展開しアイアンメイデンのトゲだらけの腕のような部分を出し、それで集まった敵を一気に挟みこみプレスします
「今回は一応展示場内なので、ミサイルは控えさせてもらいました!」



 時は数刻戻って。
 黒服が鑑賞マナー云々を語った時に、内心で憤りを隠せない人物がいた。
 全身を紫色のスーツに身を包んだヒーローマスク、シズホ・トヒソズマ(f04564)その人であった。
 一先ず、昂った気持ちを抑えるように深呼吸してから、シズホは増えたマガツアリスの集団を睨みつけながら、黒服に言うタイミングを逃した言葉を言い放つ。
「そちらこそ、絵画を見れないようにスタッフを配置するなど、運営として基本が成っていないのでは?見せられないものなど、最初から展示などしないでください!」
 しかし、シズホの恫喝を理解できなかったのか、まるでものともしないという様子でマガツアリスは邪神「第零の蟻」を召喚すると、自分たちを操らせながらシズホに襲い掛かってくる。
「……というわけで、邪魔な方々は掃除させてもらいます!――これこそからくり人形の究極の進化系!私は今こそ、風を掴みます!」
 言葉を続けるように叫ぶと同時に、シズホは自らのユーベルコード『加速同調・疾走人形』を発動させ、アイアンメイデンからくり人形をバイクへと変形させる。
 変形させたバイクに騎乗すると、卓越した操縦技能のもと、巧みにバイクを操り、邪神の絵画の為の広い展示室の中を縦横無尽に疾走してはマガツアリスたちを轢いていく。

「一応展示場内なので、ミサイルは控えさせてもらいました!」
 美術品への配慮をしているのか、銃火器の類を使用せずに、フェイント動作を織り交ぜながらマガツアリスの集団を翻弄させるシズホ。
 徐々に数体を纏めさせるように誘導していくと、バイクのサイドを展開しアイアンメイデンの如く無数の棘を生やした人形の腕を展開させプレスしてしまう。
 その様は、纏まったマガツアリスたちが乙女の腕に抱擁されるような、美しい姿で――
 抱擁解かれた後に残ったのは、全身を貫かれ無数の穴を晒して朽ち果てた蟻の姿だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜神・静流
美術品には手を触れてはいけない――成る程、一理あります。それが通常の絵画ならば……の話ですが。
そもそも悪意を持って邪神が封じられた絵画を展示し、無辜の人々に害を成そうとする者が「まなー」を語るなど言語道断。
悪しき存在は纏めて斬り捨てます。

一ノ太刀・隼を使用。
見切り技能で鉤爪の間合いを見切り、早業・先制攻撃・破魔・衝撃波の技能を使用し、相手の間合いの外から、相手の攻撃よりも速く攻撃します。
相手の攻撃に対しては基本は残像・第六感で回避。
受けざるをえない場合は怪力・武器受け・オーラ防御・呪詛耐性を使用して、武器で受けつつ押し返します。



 ふぅ、と一息吐き出しながらマガツアリスであったものの残骸を踏みしめ、進み出るのは夜神・静流(f05903)だ。
「美術品には手を触れてはいけない――成る程、一理あります。それが通常の絵画ならば……の話ですが」
 腰に下げた愛刀の十六夜、その鯉口をカチリ、カチリと挑発的に鳴らしながらマガツアリスたちを一瞥する。
 そもそも、悪意を以て邪神の封じられた絵画を展示し人々に見せ、無辜の人々に害を成そうとする者たちが"マナー"を語るなど言語道断だと考える静流は、都合の良い時だけマナーと嘯く態度に浅からぬ憤りを覚えていた。

「悪しき存在は――私が纏めて斬り捨てます」
 カチリ。
 歌う様に鳴らした鯉口の声が止む。
 止むのと同時に、群れながら獰猛な鉤爪を振り翳して、美しき剣士を嬲り殺さんとマガツアリスが襲い掛かる。
 ――だが。
 決して、その鉤爪は彼女に届くことも、風を切ることもなく。
 ドサリ、と冷たい床に落下する。
「……一ノ太刀、隼」
 チン、と鍔が鳴る。
 彼女が太刀を鞘に納めた音だ。
 卓越した洞察力でマガツアリスの動きを完全に見切っていた静流は、相手の間合いに呑まれるよりも前にその太刀を振るい、ユーベルコード『一ノ太刀・隼』を発動させ、その神速の抜刀術による衝撃波に破魔の加護を乗せて攻撃を繰り出していたのだ。
 常人にも、邪神にも捕えられぬ――まさに神速の剣戟。
 正面からでは分が悪い、そう判断すれば、今度は四方から彼女を囲むように、同時に襲い掛かるマガツアリス。
 それでも、無駄だと言わんばかりに小さく笑ったのは彼女。
「……学習能力はありそうだが、センスが無い」
 その状況の想定が出来ないと思ったのか?と、マガツアリスは背後から冷たい声を聴いた。
 鋭く研ぎ澄まされた第六感で敵の攻撃を予測していたのか、マガツアリスたちの鉤爪は静流の残像を――空を切って、身体は勢い余って互いにぶつかり合う。
 回避の後、静流は4体纏めて絡まり縺れたマガツアリスたちに、容赦のない一閃を浴びせる。
 それらは死を意識する間も与えられないままに、美しく切断された面より溶けて果ててゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
まぁ、まずは前菜、と。
レビテーションで浮遊移動。
自分にマインドジャックをかけて敵を脳内で萌化したうえでリジュネレーション発動。
攻撃はダイレクトに受けているように見せかけてサイキックヴァンパイアで武器受け。受けた時に攻撃が保有する諸々のエネルギーをエナジードレインしてイーファルニエフィルフィンの糧に。

視線に連動させたインビジブルテンタクルでセクハラ攻撃よー。
あ、雑魚はいくら出しても無駄よー、とエナジードレインの範囲攻撃で召喚された妖虫はぷちぷちするわ。
余裕があれば口付けしながらエナジードレインしたいとこよね、気持ちよく逝かせてあげる♪



 ふわりと小柄な体を浮かせながら様子を見ていたのは、サイキッカーでもあるアリス・セカンドカラー(f05202)。
 正視に耐えられない存在である邪神。
 それは、彼女の得意な戦い方の前には少し難があると言っていいだろう。
 ……だが。
 愛らしい瞳を伏せ、暫く念じるように集中した後、瞼を上げて赤い瞳でマガツアリスたちを見つめると、にっこりと可憐に微笑む。
「んー……ええ、大丈夫ね、可愛い可愛い♪」
 サイキックの彼女ならではの技術、マインドジャック――自身の認識を変容させ、敵を彼女の脳内で萌化させたのだ。
 ゆえに、アリスの瞳を通して認識されるマガツアリスたちの姿は、彼女好みの存在となっていた。
「魂まで吸い付くしてあ・げ・る♪」
(まずは前菜、っと♪)
 そういって愛らしい唇を歪ませる微笑みは小悪魔のよう。
 それはマガツアリスたちでさえ何か異様な気配を感じるほどの雰囲気だったのか、耐えられなくなった一体がアリスに、軍隊蟻の悍ましき妖虫を召喚すると共に喰らうが如く牙と爪を剥きながら襲いかかった。
 だが、マガツアリスや幼虫たちの牙は、鉤爪はアリスの白い柔肌まで届かない。
 アリスの纏う禍々しい触手形状のオーラ――サイキックヴァンパイアが、彼女の肌に触れる寸前で、その殺意或る攻撃を受けとめながら。
 ユーベルコード『エナジードレイン』の発動により、サイキックヴァンパイアを向けた対象、すなわちマガツアリスと幼虫たちの、その魔力エネルギーや力のリソースを奪い吸い尽くしてゆく。
 そして奪った力を自らの糧へと昇華させれば、それは相手の力を利用したカウンターのように。
 有象無象に召喚された幼虫たちを、範囲攻撃のエナジードレインでまるで潰すように吸い殺しながら、アリスの脳内では好みの存在として変換されたマガツアリスを、その魔力を吸われて動きが鈍ったところをサイキックヴァンパイアで絡め取り、拘束する。
「セクハラ攻撃、しちゃっても構わないわよね?」
 アリスはそっと囁くと、触手に撫でまわされるその身体を抱き寄せ、彼女自身の認識では好みの存在に映っているマガツアリスの唇を奪う。
 そのまま魔力を吸われ、枯れたように朽ち果てアリスの腕から堕ちていったマガツアリス。

 ――その光景を補正無しで見てしまった猟兵とマガツアリスは、一瞬意識を飛ばしたようだが、それはまた別の話である。

大成功 🔵​🔵​🔵​

明智・珠稀
■心情
ふ、ふふ。これが噂の絵画ですか…確かに素晴らしい裸婦画ですね。
しかしこの視覚以上に内側からゾクゾクする感覚…堪りませんね、ふふ(うっとり)
と、いつまでも観ていたいものですが…
回収の邪魔はご勘弁いただきたいですね、ふふ。

■戦闘
「確かにおっしゃる通りです、美術品に触れるのはマナー違反ですね」
絵画や美術品に攻撃しないよう特に留意。
【血統覚醒】で自身のパワーアップを。

妖艶な表情で【殺気】を纏い
サウンドウェポンの【三味線】で【マヒ攻撃】を
敵の攻撃は【第六感】で回避や、妖刀で【武器受け】

「さぁ、貴女の味を教えて下さい…!」
妖刀で斬撃、隙を付き【吸血】で【生命力吸収】を

※アドリブ、絡み大歓迎です!



(ふ、ふふ。これが噂の絵画ですか…確かに素晴らしい裸婦画ですね……。しかしこの視覚以上に内側からゾクゾクする感覚…堪りませんね、ふふ)
 と、戦闘が始まっているにもかかわらず、明智・珠稀(f00992)恍惚とした笑みを浮かべながら、マガツアリスたちに守られている邪神の封じられた絵画の鑑賞を楽しんでいた。
 仲間がマガツアリスたちとの戦闘を始めれば、さて、と重い腰を上げるように指先で蒼薔薇の首輪をひと撫でしてから吐息を一つ零して。
「いつまでも観ていたいものですが……回収の邪魔はご勘弁いただきたいですね、ふふ」
 悠然と微笑んだまま、ユーベルコード『血統覚醒』を発動させる。
 紫に濡れた瞳は真紅へ変わり、彼は美しく微笑んだままヴァンパイアへと戦闘能力が爆発的に増大した存在へと変身を遂げる。
 毎秒寿命を削るほどの強力なユーベルコードは、彼の身を苛みながらも、確実な力を見せつけるように、その姿は無意識に内からオーラを放っていた。

「確かに先ほどの方がおっしゃる通りです、美術品に触れるのはマナー違反ですね」
 ぞっとするほど美しい顔で、妖艶に微笑む様は、殺気を滲ませても尚洗練されていた。
 艶めいた仕草でサウンドウェポン【三味線】を弾き鳴らせば、その奏でる音色に麻痺したように芯を痺れさせて蹲り悶えるマガツアリスたち。
 危険な音色だ、危険な男だ、と痺れを免れた鉤爪が彼に向かおうとも、研ぎ澄まされた第六感でその蛮行を予測すれば、妖刀【閃天紫花(センテンシケン)】で払うように武器で受け、躱してゆく。

 そうして彼は、三味線に聞き惚れた様に痺れて動けぬマガツアリスに、ゆらりと近づいていく。
 動けぬそれを妖刀で袈裟切りにすれば、人間の血のような液体――マガツアリスの中身が、どろりと溢れて。
 ドサリ、と背中から仰向けに倒れ込むマガツアリスの身体を、彼は抱き寄せるようにその腕で抱き留める。
「さぁ、貴女の味を教えて下さい……!」
 その光景に、珠稀の唇から感極まったかのような声が漏れる。
 同時に、その液体に顔を寄せ――その溢れてゆく生命力を吸収してゆく。

 やがて完全に絶命したマガツアリスと、命を感じられないその身体を床に降ろすと、彼は血のように爛々と輝く真紅の瞳を妖しく煌かせながら、残ったマガツアリスたちへと向け、微笑むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四季乃・瑠璃
緋瑪「別に鑑賞しに来たワケじゃないしね~。回収できないなら爆破しちゃおうか♪」
瑠璃「そもそも、そんなえっちな絵を展示して何考えてるの…」

【ダブル】で常に分身。
本体:緋瑪、分身:瑠璃

最初に閃光仕様のジェノサイドボム(以下ボム)で敵の目晦まし。敵の鉤爪の射程外へ距離を置いた後、二人揃って【鎧砕き】【鎧無視】【範囲攻撃】【2回攻撃】の接触式ボムで敵も軍隊蟻もまとめて爆破。敵の甲殻は【鎧砕き】で粉砕。甲殻の薄そうな部位や頭部を狙い、【クイックドロウ】【2回攻撃】K100による銃撃や建物ごと爆砕する勢いで爆弾の雨を降らせる。

緋瑪「さぁ、爆殺タイムの始まりだよ♪」
瑠璃「やりすぎない様にね」

※アドリブ歓迎



「ふぅん……別に鑑賞しに来たワケじゃないしね~。回収できないなら爆破しちゃおうか♪」
「そもそも、そんなえっちな絵を展示して何考えてるの……」
 声も雰囲気も異なる言葉は、只一人の唇が紡ぐ会話。
 四季乃・瑠璃(f09675)が、現在の小悪魔な性格をした『緋瑪』として、別に控えた人格となっているマイペースな性格の『瑠璃』と会話していたのだ。
 ユーベルコード『オルタナティブ・ダブル』で双子のように分身したまま、彼女たちはお互いで会話を続けていた。

「まぁ、そんなことより……さぁ、爆殺タイムの始まりだよ♪」
「もう……やりすぎない様にね」
 特に強い相手を殺す事に快楽を感じる殺人姫の性質を持つ『緋瑪』の人格の瑠璃が、固まったマガツアリスの群れに向かって閃光仕様のジェノサイド・ボムを生成して起爆させ、目晦ましを仕掛けた。
 突然の閃光に驚き戸惑いながらも、怒りを剥き出しにしてマガツアリスは分身している瑠璃たちへと飛び掛かってくる。

 だが、目が眩んだまま、怒りで滅茶苦茶に鉤爪を振り回すマガツアリスたちに比べ、オルタナティブ・ダブルで分身している瑠璃たちには、まずコンビネーションで分があった。
 その甲殻の防御を無視するように鋭く、更には砕いてしまう様な破壊力を持つ接触式ボムのジェノサイド・ボムを生成すると、次々と起爆させて確実にダメージを与えていく。
 更には、息の合ったコンビネーションで甲殻の薄い頭部や頸椎を狙ってUDC-K100カスタムを撃ち込む。
 それこそ、銃弾の雨を降らせるかのような慈悲鳴きクイックドロウで銃声を派手に奏でてゆく。

「やりすぎちゃったかなぁ」
「やりすぎじゃないかなぁ…」

 暫く鳴り響いていた銃声が止み、銃弾の暴風雨を浴びせられたマガツアリスの様子を伺えば、それは原形も留めないほどの残骸が残るのみ。
 更には、そのマガツアリスの存在していた周辺の床の一部が銃撃により抉り取られていた。
 思わず同時に呟いた瑠璃は、ふと、向けられる別方向に最後に残ったマガツアリスの視線に気付くと――くすりと微笑んで、ステレオのような声で、こう囁いた。

『「最後は、あなたたちだけね」』

大成功 🔵​🔵​🔵​

八咫烏・文音
流石にこっそりいただいて依頼完了、とはいきませんね…

エレクトロレギオン達と波状攻撃!
レギオン達は前と両側面を包囲するように攻めさせ、
私は真上は背後から、ダガーを使った攻撃を狙っていきます。

私もレギオン達も、狙われた際は強引すぎる攻撃はせず、回避重視!
狙われてないグループは攻撃に回ります
私が狙われた場合は、回避重視しつつ、狙えそうな隙があったら攻撃も狙います。

各種攻撃、特に【悍ましき妖虫】が出てきた時は警戒!
場合によってはレギオン達に妖虫を引き付けるようにさせます。

何とか勝利できたら、何か出てくるかも?と警戒しながら絵を回収。
見てたらいけない気持ちになっちゃいそうだけど…何とか我慢できたらっ。



(流石にこっそりいただいて依頼完了、とはいきませんね……)
 八咫烏・文音(f06761)は、残りわずかとなったマガツアリスたちが、なおも守り続けている邪神の封じられた絵画を、ちらりと見遣ってから溜息を吐いた。
「……ならば、仕方がありませんね」
 観念したような呟きと共に、文音はユーベルコード『エレクトロレギオン』で計60体の小型の戦闘用機械兵器を召喚すると、諸刃の短剣を構え、駆け出す。

 文音はエレクトロレギオンに、マガツアリスたちの正面、そして両サイドから包囲するようにと指示を出すと、高く跳び上がりマガツアリスたちから視線を切る。
 わらわらとマガツアリスたちの足元へ押し寄せ、撃ち、斬り、叩きと様々に機械的に攻撃を仕掛けるエレクトロレギオンに翻弄されながらも、一撃で消滅するとわかれば我武者羅に鉤爪を振るって、まとわりつくエレクトロレギオンを排除しようと躍起になる。
 しかし払っても払っても、回避重視と召喚した文音に命じられていた兵隊はひらりと避けて、群がり続ける。
 そんな、数の減らないエレクトロレギオンにキリが無いと、マガツアリスたちも対抗するように軍隊蟻の悍ましき妖虫を召喚し、エレクトロレギオンにぶつけて掃討しようとしていた、その時だった。
 マガツアリスたちの敗因は、文音の召喚したエレクトロレギオンに、まんまと注意を惹かれてしまい――いつの間にか視界から消えていた文音の存在を、一瞬でも意識の外にしてしまったことだろう。
「……背中がお留守なんだよ、あなたたち」
 文音の囁きは、マガツアリスには届かなかった。
 文音が囁く前に、彼女の諸刃のダガーはマガツアリスの首を刎ねてしまっていたから。
 暗殺者の如く気配を悟られる事無く、マガツアリスの真後ろ、背中をとった文音は、鮮やかなダガー捌きで、ほぼ一撃で悟られる事無く残ったマガツアリスたちの首と胴を、永遠に別れさせたのだった。

 汚れたダガーを拭ってから仕舞うと、守るモノのいなくなった絵画に再び視線を向ける。
(見てたらイケナイ気持ちになっちゃいそうだけど……何とか我慢できたらっ……)
 回収もしなければ、という意識からか、そんなふうに考えていたのだが、いざ目を向ければその描かれた人の世に存在してはならぬ妖しい魅力に獲り付かれてしまいそうな感覚に、思わず可愛らしい顔を赤く染めて、目を逸らしてしまうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『残響の女神』

POW   :    信者の供物
自身の装備武器に【生贄になった者の身体部位の一部 】を搭載し、破壊力を増加する。
SPD   :    叫ぶ
【絶叫 】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
WIZ   :    凝視
小さな【狂気 】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【トラウマに応じてダメージを与える空間】で、いつでも外に出られる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナハト・ダァトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 Ahhhhhh……………

 猟兵たちは、耳から脳へと……蕩けるような歌声を聴いた気がした。
 それは気のせいではない。
 近くに控えていたUDC組織の部隊員が、頭を両手で抱えて悶え出したのだ。
 逃れ遅れ、恍惚の表情を浮かべ、口を開き涎を垂れ流したまま失神する部隊員たち。

「Ahhhh………Laaaaaa……」

 脳を揺さぶる様な透き通った声色は、猟兵たちの精神さえ恍惚に侵そうと、――狂わせてしまおうとする暴力的なまでの魅力があった。
 そしてその歌声は――絵画の中から発せられているのだ!

 猟兵たちは急いで絵画を破壊しようと――したときには、もう遅かった。

 ずる。ずるる。

 絵画の中から、白く美しい女性の細指が伸ばされ、額縁にかかる。
 そのまま、絵画に描かれていた裸婦――いや、邪神『残響の女神』がこの世界へと封印を破って顕現したのだ!
 この邪神を外に解き放っては、いけない。
 猟兵たちは、精神を侵すような狂気の魅力に抗いながら、邪神へ刃を向けるのだった。
峰谷・恵
「これが神。ああ、確かにこれは…どんな手を使ってでも殺したくなる」

初めて邪神と対面したことで自分を生み出した、神を滅ぼす実験を続ける狂人にいくらかの共感を覚える。
MCフォートの弾幕で牽制しながら邪神に殺意を向け天の過ちを発動、邪神に凝縮した神殺しの力を叩きつける。
弾幕と天の過ちで邪神を削り、隙を見て一気に踏み込んで(見切り、ダッシュ)遅すぎた収穫期を邪神に突き刺し(怪力、鎧無視攻撃、鎧砕き、2回攻撃、傷口を抉る、串刺し)、蒼き宇宙で増幅した神殺しの力を遅すぎた収穫期を通して送り込み、邪神の体内に直接天の過ちを叩き込む(呪詛、恐怖を与える、生命力吸収)

「消えろ、世界の異物…!」



「――これが、神。ああ、確かにこれは……どんな手を使ってでも殺したくなる」
 峰谷・恵(f03180)は、初めて邪神という存在と対面したことにより、自身を生み出した"神を滅ぼす実験を続ける狂人"――その存在に対して、幾らかの共感を覚えていた。
「Ahhhhhhh……」
「煩い……消えろ、世界の異物」
 マシンキャノン仕様のアームドフォート、MCフォートから撃ち出される弾丸で弾幕を張り、邪神を牽制する恵。
 ――ぶぞり。
 邪神の身体が、嫌な肉質音を立てて、膨張する。
 ぼこり、ぶぞり、邪神の身体に蜘蛛のように左右3対の腕が生える。
 恐らくは封印中に獲得していた信者の供物だろうか、生々しい肉の腕が、筋繊維のように編まれて腕を形成していた。
 その様を、MCフォートで形成されゆく弾幕の奥で控えながら目の当たりにした恵の、邪神に対する"殺意"は一気に鋭さを増した。
「――その身に刻め、天の過ち」
 ユーベルコード『天の過ち』は、彼女が殺意を向けた邪神に、神殺しの力を以て放たれた。
 弾幕を形成する弾丸の殺傷力が跳ねあがり、邪神の肉を削いでいく。
「……まだ、終わったと思うな」
 無数の弾丸は、邪神の眼を眩ませる前座となって。彼女は一気に踏み込むと、邪神の懐に入り込む。
 ダンピールの神殺しの力を効率良く発現させる、神への殺意を鋳込まれた剣型兵装――遅すぎた収穫期と銘打つルーンソードで、その無用に生えた腕を、その怪力と鋭さで斬り飛ばし、更に神殺しの力を増幅する対神礼装となる宝石の力を、ルーンソードに乗せて、生命力を吸収する呪詛を乗せたままその胴体に突き刺す。
「Gaaaaaaaaa!!」
 突き刺した剣から送り込まれる力に、与えられたダメージよりも本能的に恐怖を感じた邪神が、腕を滅茶苦茶に振り回して悶える。
 素早く距離をとった恵から、後ずさりしながら、邪神は更に絶叫するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四季乃・瑠璃
【ダブル】で分身。
本体:緋瑪、瑠璃:分身、翡翠:人形

切り札の一つ、シスターズ起動。第三人格の翡翠と三人で【クイックドロウ】【2回攻撃】K100で正面と左右から頭部や腕部を狙い連続で銃撃。同時に【範囲攻撃】接触式ジェノサイドボム(以下ボム)で美術館を倒壊させる勢いで三人がかりで爆撃。

その後、更に切り札、ジェノサイドボムを上回るジェノサイドノヴァを起動。瑠璃と緋瑪の二人で【力溜め】魔力をチャージ。翡翠が時間を稼ぎ、超火力で女神を殲滅するよ。

緋瑪「わたし達は二人で一人の殺人姫♪」
瑠璃「だけど姉妹は二人だけじゃない」
翡翠「貴女に私達三人殺す事ができるかな?」
三人「「「さぁ、殺戮の時間だよ(♪)」」」



 ――Gaaaaaa!!
 怒りと、僅かでも感じた恐怖という感情を、叫ぶことによって抑えようとしているかのように、邪神は吼える。
「あっれー?もしかして怒ってのかな?」
「そうかもねー。じゃあ、私たちもそろそろ本気、出しちゃおっか☆」
 別人格の『緋瑪』を宿した四季乃・瑠璃(f09675)が、『瑠璃』の人格と会話しながら笑いあうと、せーの、と息を合わせた双子のように懐からからくり人形を出現させる。
 憑依型自立人形・シスターズと銘ある、瑠璃と寸分違わぬ容姿を持つ愛らしい少女の姿をしたからくり人形は、まるで生きているかのように自立し、ユーベルコード『オルタナティブ・ダブル』で更に分身した瑠璃たちと並べば、まるで三つ子の姉妹のようだ。
「わたし達は二人で一人の殺人姫♪」
「だけど姉妹は二人だけじゃない」
「貴女に私達三人殺す事ができるかな?」
 瑠璃はの別人格同士の『緋瑪』と、そして第三人格の『翡翠』と3人で会話しながら、くすくすと笑って、ジェノサイド・ボムとUDC-K100カスタムを構えて。
「さぁ、殺戮の時間だよ♪」
 殺意を向けられた邪神は、瑠璃のステレオのように三重に重なった声が、聞こえた気がした。

 3体の瑠璃、分身、人形のコンビネーションは実に熟練していた。
 正面、そして左右から邪神を包囲すると、UDC-K100カスタムで頭部や腕部を狙い撃ちし、同時にジェノサイド・ボムを接触式にしてタイミングを合わせて邪神に投げつけ、範囲攻撃で爆殺を試みる。
 激しい銃撃音と爆発音の後、辺りは白煙に包まれ、束の間の静寂が訪れる――が、瑠璃たちは追撃の準備を始めていた。
 ジェノサイド・ボムを放った次の瞬間から、切り札と成る武器の使用の為に力を溜めていたのだ。
 やがて白煙が晴れ、身体を複数の腕で抱く様に防御姿勢をとる邪神の姿が現れる。
 それと同時に、瑠璃はジェノサイド・ノヴァと呼ぶ、絶大な破壊力を誇る魔力爆弾を邪神に向かって容赦なく放つ。

 建物すら吹き飛ばしてしまう様な猛攻を一身に受けた邪神は、防御姿勢のままその白い肢体をボロボロに焼かれ立ち尽くすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
逃げ遅れて失神してるUDC部隊員を念動力で引き寄せてワンダフォーランドに回収して安全を確保。まぁ、ちょっと嗜好が腐るかもだけど。

自身にマインドジャックで萌化脳内変換。モン娘っていいわよね☆
現実との解離が激しいと負荷が大きくなって血涙流れてくるけど無問題無問題。
ああ、範囲攻撃でマインドジャックの対象を広げて精神攻撃から味方を護るわ。あ、こっちは支配権握ることで防御するだけで怪しい妄想は流さないから安心して?

さて、生贄にされた者達を人工未知霊体として召喚するわ。
さぁ、復讐の刻は来たれり、その怨念を呪詛となし彼の邪神を根の国へと
引き摺り込みなさい。



「あらあら、皆さん大丈夫?」
 激しい戦闘の火蓋が落とされてはいるものの、邪神の出現で失神しているUDC組織の部隊員に、心配そうに声を掛けるのはアリス・セカンドカラー(f05202)だ。
 サイキックの彼女は念動力を駆使して、一先ず安全な位置まで隊員たちを運び避難させると、さて、と邪神との戦闘の間合いまで戻ってくる。

「ん~~……うん、モン娘っていいわよね☆」
 じーっと邪神を見つめていたアリスが、不意にそんな風に呟いて、うっとりとした表情を浮かべる。
 サイキックによるモノか自身の才によるものか、自身の認識を変化させ、邪神を萌化させて自分好みの姿に見えるようにしているようだ。
 現実との解離が激しいと負荷が大きくなって血涙が流れてしまうことがあるようだが、なんとかギリギリ持ちこたえているのか目は充血するに留まっていた。
 更に、ユーベルコード『マインドジャック』を発動させると、催眠及び誘惑属性を伴う脳をハッキングし支配権盗み攻撃する念動力を邪神に向けて放つ。
「――?!YaaaaMeeee……!??!!」
 思考や認識を、アリスの脳ハッキング……もといマインドジャックにより浸食された邪神は、まるで正気度が削れていく恐怖に苛まれるかのような顔を浮かべてもがき苦しむ。
 その一連の攻撃を見ていた猟兵たちも、思わず後ずさる。
 邪神が未だ悶え苦しんでいるのを横目に見てから、猟兵の反応に気付いたアリスは愛らしく猟兵たちに微笑みかける。
「あなた達も、いかが?ああ、怪しい妄想は流さないから安心して?」
 アリスの勧めに、反射的にぶんぶんと首を振る猟兵たち。
「精神攻撃からの防御だって出来るのに」 邪神へのマインドジャックの手を緩めずに、猟兵たちに笑って、残念ね、と告げると、邪神に向き直る。
 マインドジャックで、邪神自身が生け贄として喰らっただろう者たちが現れるよう認識浸食させながら、微笑むアリス。
「さぁ、復讐の刻は来たれり、その怨念を呪詛となし彼の邪神を根の国へと引き摺り込みなさい」
 その可憐な唇で歌うような囁きと同時に、生け贄に復讐させるかのように邪神の精神の中を恐怖で侵してゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜神・静流
●心情
悪しき人外の者を討ち滅ぼすのが私の使命。出て来るならば直接斬り捨てるのみ。

●方針
破魔技能は常時使用。基本的に相手の動きを妨害し、仲間の猟兵やUDC部隊員を助ける事を重視。

●行動
まずは霊符やお祓い道具を使って絵から出て来ようとする敵の動きを封じようと思います。早業・投擲・先制攻撃の技能を使用。
続けて四ノ太刀・氷雨による凍結で更に動きを封じた上で、刀による直接攻撃を仕掛けます。こちらは早業・属性攻撃・範囲攻撃・2回攻撃を使用。

敵の精神攻撃に対しては呪詛耐性や恥ずかしさ耐性、オーラ防御で対応。

「卑猥な……悪しき妖というだけでも万死に値するというのに」
精神攻撃に対しては怒りを露わにする。


明智・珠稀
■心境
ふ、ふふ。絵の中からおいでいただけるとは…!
しかし貴女は絵の中こそ相応しいようです。お戻り願いましょう…!

■戦闘
「歌ならば私も負けませんよ…!皆様に力を…!」
サウンドウェポンの【三味線】にてUC【サウンド・オブ・パワー】で戦力の増強
また、己の声に耳を傾け、相手の声を聞かぬように集中

ある程度サウンドウェポンで攻撃を加えたら
「他の美術品に手をかけるつもりはありませんが、貴女は特別です…!」
妖刀に持ち替え、斬撃
敵の攻撃には【武器受け】
また【残像】が出る程に素早く動き【鎧砕き】するほど
力一杯に刀を振り下ろす。

「私の中で忘れられない、心に残る名画になりましたよ…!」

※アドリブ、絡み大歓迎です!



 悶え苦しみ、頭を掻き毟る様に複数の腕を動かしながら蠢く邪神に、夜神・静流(f05903)は静かに見定めるような眼差しを送っていた。
 静流は、邪神が絵画から出てくる瞬間、現界を抑えようと祓い道具や霊符の力を行使したものの、あと一瞬叶わず――それは間に合わなかったのだった。
(悪しき人外の者を討ち滅ぼすのが私の使命。……出て来るならば直接斬り捨てるのみ)
 元来、絵画の封印にて現世に姿を現さなかったとしても……その影響自体が外へ出て来ていたも同然だったため、見逃す道理もなかったのではあるが。
 退魔の剣士の末裔である静流。
 穏やかな淑女然とした美しい顔が――魔を裁く冷徹な処刑人としての顔へ、移る。
 その身に、魂に刻まれた破魔の能力を発揮させながら、帯刀した刀の柄に手をかけた。

「ふ、ふふ。絵の中からおいでいただけるとは……!」
 胸の内から湧き上がる感情が抑えきれない様子の明智・珠稀(f00992)が、そんな静流の隣で声を漏らして笑う。
 微笑む姿も嫣然とした美青年は、仲間の猟兵たちの攻撃で傷だらけになった肢体を抱く邪神の姿を存分に眺めながら、唇を歪める。
「しかし貴女は……絵の中こそ、相応しいようです。お戻り願いましょう……!」
 サウンドウェポンの【三味線】を構えながら、謳う様に囁く。
 囁かれれば、男女問わず籠絡されてしまいそうな甘い声を邪神に向けながら、彼の指先は三味線の弦に触れる。

 珠稀は三味線を弾き鳴らしながらユーベルコード『サウンド・オブ・パワー』を発動させ、その旋律に合わせて美しい歌声を奏でる。
「これは……素晴らしい歌声ですね。――ありがとうございます、珠稀様」
 ほぅ、と感嘆の呟きを漏らしながら、そのユーベルコードの効果か自身に力が漲るを感じた静流は、微笑み礼を言ってから、ふっと瞼を閉じ、己の剣技に集中する。
 瞬間、彼女の携えた刀、その刀身が冷気を纏い始める。
「我が剣は氷。……凍りつけ――四ノ太刀・氷雨!」
 言い放つと共に、ユーベルコード『四ノ太刀・氷雨』が発動し、冷気を纏わせた刀で邪神へと斬りかかる。
 その斬撃と同時に空気も凍るような吹雪を放ち、邪神を氷の檻に閉じ込めるかのように凍結させ、その動きを封じる。
「Aaaaaaa……!!」
 白い肢体は、遠目では観測しにくいが、内部から凍り始めているのか肌の表面に霜が張っている。
 静流は動けぬ邪神に、そのまま目にも止まらぬ速さで十六夜、白夜で連続で斬りかかる。
 裂ける傷口からは、血も噴出さぬ程凍っている邪神は、為すがままに刻まれ――る、だけでは終わらない。
「Aaaa……Laaaaaa……」
「……!いけない、気を付けて……!」
 その狂気を孕む声に逸早く気付いた珠稀が、仲間に注意を呼びかけながら、その狂気を聴かぬように己の歌声に集中し、『サウンド・オブ・パワー』を発動し続ける。
 一方、至近距離で邪神の狂気に当てられた静流は、耐性があるものの防御が一瞬間に合わず、剣戟を一旦止めて体勢を立て直しながら頭を軽く振って。
「卑猥な……悪しき妖というだけでも万死に値するというのに」
 怒りを露わにした、赤く燃えるような瞳を邪神に向け、静流は再び冷気を纏う刀を邪神に振るう。
「他の美術品に手をかけるつもりはありませんが、貴女は特別です……!」
 昂揚する仲間に当てられたのか、珠稀も武器を妖刀に持ち替えると、戦場を駆け出す。
 滅茶苦茶に振られる邪神の腕を刀で受け流しながら、間合いへ食らいつく様に足を止めずに近づき、残像が現れるほどの速さで、防御を崩す一撃を浴びせる珠流。
 ガードの為に突き出していた邪神の腕が、筋繊維が解れる様に信者の供物ごと崩壊していく。
「私の中で忘れられない、心に残る名画になりましたよ…!」
 くく、と笑みを抑え切れない様子のまま、珠稀は妖艶に邪神に囁くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ニコラ・クローディア
「漸く本命のお出ましか――絵で邪神を封じ込めていたわけだ。先人の知恵には頭が下がるねぇ、全く」
おどけた様子を取りながら対峙。ほかの猟兵との戦闘を観察するなどで【情報収集】し【戦闘知識】で能力を推測。その間は【激痛耐性】【呪詛耐性】を生かして前衛を務めよう。
「この技術をフィードバックできれば面白いのだが…そうも言ってられんな」
銃器へ持ち替え。こういう時のための「ティヴェロン」だ。
選択UCの術式をティヴェロンの弾丸に封入。【全力魔法】【2回攻撃】で【援護射撃】を装いながら【一斉発射】しよう。【スナイパー】で確実に当てるとも。着弾と共にブレスがの発動だ。
これでどうだ?
アドリブ・連携歓迎


八咫烏・文音
んぅ…これは、うかうかしてたらまずいことになります、ね…
と、いけない気持ちや身体のうずうずに耐えながら戦闘!

一度捕まったらいろんな意味で大変になりそうですし、
シーブズ・ギャンビットで回避と攻撃を両立させながら攻めていきます。
時間をかけすぎるとまずそうなので、可能ならば隙を見て次々と切り込んでいきます!

加速(服を脱ぐ)のは、最後の押し込みや、
これ以上攻撃喰らうとやばくて、必死に回避する時に!

敵の凝視にはしっかり抵抗!
いやらしいおしおきされた時のトラウマ(?)空間とか、
かなーりヤバイですし…

何とか勝利できたら、取材した事を纏めて売り込みに…
…まだいけないのが心にも身体にも残ってるかも、ですけど…



「漸く本命のお出ましか――絵で邪神を封じ込めていたわけだ。先人の知恵には頭が下がるねぇ、全く」
 激痛耐性と呪詛耐性を活用しながら前衛で猟兵たちの盾と成り、攻撃を防いでいたニコラ・クローディア(f00091)が、静かに口を開く。
 盾に徹する間に、仲間の猟兵と邪神の攻撃を観察し、収集した情報を戦闘知識を生かして分析していたニコラは、仲間たちの攻撃で邪神が怯るんだタイミングで、武器を持ち替える。
「この技術をフィードバックできれば面白いのだが……そうも言ってられんな」
 ニコラはおどけた様子を取りながら、改めて邪神と対峙すると、自動詠唱式魔術銃杖「ティヴェロン」を構える。

(んぅ……これは、うかうかしてたらまずいことになります、ね……)
 存在自体が呪詛を自動で放ったままのような状態の邪神を前に、余裕のあるニコラとは対照的に、いけない気持ちや身体のうずうずに耐えながらといった様子で短剣を構えているのは八咫烏・文音(f06761)だった。
 赤い顔を浮かべ、火照る身体を片腕で抱きながら立つ彼女の姿に、仲間の猟兵も思わずごくりと生唾飲み込む音を鳴らしてしまうほど。
(……捕まってしまうと色々大変なことになりそうですね……!)
 ふ、と呼吸を整えると、文音は走り出す。
 ユーベルコード『シーブズ・ギャンビット』を発動させ、走る速度を上げながらダガーによる素早い一撃を邪神に喰らわせる。
 その小柄な体を薙ぐように払われる邪神の腕を紙一重で回避しつつ、一撃、また一撃と刃を振るい、白い肢体に傷跡を刻みつけていく。
 回避重視でじっくりと時間をかけて……と、いう方法も考えたものの、昂る身体を思えば最良とは思えず、ならばと隙を見て可能な限り斬撃を続ける。

 苛烈に斬りかかる文音を横目に、ニコラも負けてはいられないとティヴェロンを邪神に向ける。
 ユーベルコード製の術式をティヴェロンの弾丸に封入すると、仲間の攻撃に合わせた援護射撃を装いながら、全力魔法を二連攻撃で、一斉に発射させる。
 ニコラの持つ卓越したスナイパー技能は、狙いを外すことなく全弾を邪神に命中させる。
「――我が龍詞は雷を編む」
 着弾を確認し、にぃっと笑って唇を開くと、その奥には魔法陣が展開されている。
 彼女のユーベルコード『龍詞の雷咆』が正しく発動し、ニコラの口腔内に展開した魔法陣から、龍詞の咆哮と共に雷撃を放つ。
 雷撃が直撃した邪神は、その胸を撃ち抜かれた上に全身を雷撃に侵され、その痺れで動きを封じられる。
 同時に、風穴の開いた胸への焼けつく痛みと、肌を刺す様な痺れる痛みに苦痛に顔を歪ませる。
「これで、どうだ?」
「Guaaaaaa!!」
 けほん、と小さく咳払いしながら口を閉じて、ニコラは疫痛に身悶える邪神を見遣るのだった。

「これで……終わらせましょう!」
 ニコラの雷撃で感電し、動けずにいる邪神に、あと一押しだと直感すると、文音は上着を脱ぎ、身軽になると更にスピードを上げて斬りかかる。
 しかし、最後の足掻きとばかりに邪神の凝視が文音を襲った。
「――ッ!!」
 一瞬、邪神と目が合う。
 その瞳の中に映る自分の姿、そして過去のトラウマに囚われそうになり――
「……っ、させない!」
 事前に凝視の攻撃を想定していたためか、直ぐに抵抗して捕らわれかけたその空間から意識を戻す。
(このまま捕らわれちゃったら、かなーりヤバイですし……)
 それでも、一瞬触れてしまったいやらしいおしおきなどをされたトラウマに、顔を赤くさせながら、ぎゅっと短剣を握り直して力を込めると、最大スピードで邪神の首を刎ね飛ばし、その息の根を完全に止めるのだった。

 首を刎ねられた邪神は、サラサラと軽い灰のように朽ち果てていく。
 同時に封印されていた絵画は、真っ白なキャンパスがそこに存在するのみとなっていた。
「サンプルの一つでもあればと思ったのだけれど……残念、もう何も感じないわね」
 邪神封印に興味があったニコラは、完全にその気配が失せた絵画を眺めると、残念そうに溜息を吐く。
 トドメを刺した短剣を仕舞った文音は、絵画について調査……もとい取材した内容を、どこかに売り込みに行こう、と意気込んでいた。
 愛らしい顔が赤く染まり、瞳も潤んだままの文音に、周りの人間が気付いたかどうかは……また別の話である。


 こうして、一柱の邪神とその眷属は猟兵の手によって倒された。
 件の美術館は、UDC組織によって修復され、美術館や絵画を所有していた邪教集団の信者たちもUDC組織によって拘束され、現在はその美術館は別の絵画展を開催している。
 絵画に影響されて身体が昂った人間たちは、気付かないままその効力は失われ、再び平凡な日常を過ごすことだろう。
 こうして、絵画に封印された邪神による事件は幕を閉じたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月28日


挿絵イラスト