帝竜戦役⑪〜金色に輝き世界を呪うモノ
●グリモアベースにて
「皆様、新たな帝竜が発見されました」
グリモアベースで猟兵たちを出迎えたアマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)は新たな敵の発見を告げる。
「場所は雨となって地上に降り注ぐ無限の瀑布、無限氾濫瀑布。そこで発見されたのは金色飛翔竜と呼ばれる帝竜『女禍』です」
女禍と呼ばれるその竜は未来と命を呪う。不確定要素を嫌い、決定した過去と確定した死を尊ぶ竜。総ての命に対する敵対者だった。
「全長10kmにも及ぶこの竜は。生命体を憎悪し災厄を撒き散らし虐殺しようとしています。ここで倒さなければどれだけの被害が出るかわかりません。全ての命を奪い、その中でも力ある者をオブリビオンにしようとしています」
戦場は水に覆われ、敵は空を翔る。
猟兵たちに有利とは言い難い場所。何も対策をしなければ満足に戦うこともできないだろう。だがそれでもこの敵は倒さなければならない。全ての生きとし生けるモノの為にも。
「命を冒涜する権利など誰にも存在しません。そのことをあの竜にご教授なさってください。未来の素晴らしさ、命の尊さを知る皆様が負ける道理はございません」
これは他でもないアマータ自身の言葉。だがそれはとても当たり前のことだった。
「相手が何者であろうと、どれだけ強大であろうと皆様ならば必ず打ち倒せると当機は信じております。皆様どうかご武運を」
こうしてカーテシーと共に猟兵たちの転移が開始された。
灰色幽霊
どうも、灰色幽霊です。
四度の幹部戦となります。
相手は帝竜『女禍』。
また例の如く今回も『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』ことでプレイングボーナスが発生いたします。帝竜は確実に先制してきますのでどう防ぎ、どう反撃するかをお考え下さい。
そして今回の戦場は水の上。その辺りも考慮してプレイングをお書きください。
今回は幹部戦ですので基本的に『成功』か『大成功』のプレイングのみリプレイを執筆しますのでご了承ください。
その他注意事項などはMSページもご覧ください。
それでは皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『帝竜女禍』
|
POW : 抗体霊波光線
【宝珠から、知性ある生命体全てを殺す光】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : まことのあるじ
【八尾を備えた、物言わぬ妖狐の女性】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ : 災厄の嵐
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ヴィヴ・クロックロック
なにが理解しただ、お前も他の竜みたいに洗脳されてるんじゃないのか?
お前にも生きていた時代があっただろうに…たかが不確定要素の積み重ねに随分こだわるな?
初撃の知性ある生物を殺す光はおやつ精製装置でおやつにして兄弟たちを纏って空に。光はこれで封殺できるがこれでようやく五分。しかしサイズ差があり過ぎる…闇雲な攻撃では通じないと考えるべきだな…
とりあえずは宝玉を潰すか、対処手段がない場合この光は驚異でしかない。
ありったけのダイナマイトを飲み込ませた兄弟の骸装を奴の腕と宝玉の間に設置して自切、私は水の中に逃れて爆破だ!
負けないが勝てない。なんとも歯がゆい…あとは他の連中に任せた!
(アドリブ連携歓迎です)
神宮寺・絵里香
●心情
・デカいな。それだけで対処が面倒だ。まあいい、やれることはやるさ。雨冠乃巫女、絵里香。参る。
●先制対策
・敵のUCは指定した敵への攻撃。水の中に潜ってやり過ごしす(地形の利用)。敵の攻撃は戦闘知識と第六感で攻撃場所を予想して見切って躱し、躱しきれないならば水属性のオーラと激痛耐性で凌ぐ。水中戦技能を駆使してこっそりと動く
●戦闘
・UCを凌いだならば高速詠唱からのUC。空気中の水蒸気含めありとあらゆる水を足場にして移動。目標は大きな目。薙刀に雷属性と麻痺の力を宿らせて、目を串刺しにして、電気を流し目つぶしを行う。無駄にデカい敵だ、切った張ったでは表皮を引っ掻くだけ。主要な臓器を潰し有利を狙う
七那原・望
この竜は自ら望んでそう在るのですね。それならいくらか倒しやすいのです。
セプテットとオラトリオの【一斉発射】で牽制しつつスケルツァンドに【騎乗】。相手ユーベルコードの範囲外へ逃げます。
【オーラ防御】も駆使して攻撃を避けつつ、【スナイパー】のように【全力魔法】で遠くから狙い撃ちます。
とはいえ、これで倒しきれれば良いのですけど。万が一の場合に備えて【覚悟】は必要ですよね……
もしもこれ以上は敵ユーベルコードの範囲外に逃げ切れないと判断したら【果実堕天・ウィッシーズグリムリーパー】で敵ユーベルコードの対象外……知性なき存在へと成り果てます。
【第六感】と【野生の勘】に全てを委ね、敵の【蹂躙】を。
雛月・朔
(ヤドリガミ本体の器物の桐箪笥のまま戦場に)
武器:ヤドリガミの念動力
いやいやいや、人がいてこそわれわれヤドリガミが生まれるのですから、そんなこと言われては止めるほかないじゃないですか。
こんなにも毎日が楽しい世界に私が生まれた過去には感謝はしますけど、なにが起こるかわからない未来を奪われるなんてごめんです、なのでもう一度骸の海にお帰りください破滅願望者さん。
先制攻撃対策に器物のヤドリガミのまま戦場に、そして念動力で器物を宙に浮かせて戦場へ向かいます。たぶん、器物のままなら無機物なので女媧の生命体を滅ぼす攻撃の効果が及ばないのではないかと。
敵の攻撃を凌いだらこちらも攻撃、呪詛を貯めUCを唱えます。
ユウ・タイタニア
【心境】
「すごく強い、すごくでかい、すごい竜帝だ!」
これだけでかいと、あっしらフェアリーの立場ないっすねー。
【行動】
ネメシスに『騎乗』突撃っす
ネメシスに移動は任せてドラゴンスケイルシールドを構えて『盾受け』で攻撃を受け止めるっす。
痛いし怖いっすけど…攻撃の瞬間こそ最大の攻撃のチャンっす!!
あっしは今『限界突破』するっす。
『カウンター』+『捨て身の一撃』を乗せたあっし最大のタイタニアスラッシュっす!!
なにが10kmっすか!!このまま二枚におろしてやるッす!!
いけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!
セゲル・スヴェアボルグ
海上だろうが空中だろうが、俺の庭みたいなもんだ。
飛べるのはドラゴンだけじゃない。
……まぁ、俺も似たようなもんだが細けぇことは気にすんな。
さて、範囲攻撃とは言えど光線は光線だ。
水中にいれば狙って当てるのは至難の業だ。
指定するにしても、明確に視認できなけりゃ厳しいだろう。
最悪、射程外まで潜ってもいいしな。
光線がやんだら、UCを使って一気に突っ込むぞ。
鎧は光を反射するように鏡面加工でも施しておくか。
仮に光線が飛んできても、俺自身に触れなけりゃ何の問題もないな。
そのまま勢いに任せて衝突し、あとは槍やら斧やら重さに任せて叩き込むぞ。
フランチェスカ・ヴァレンタイン
宝珠の光は飛翔ビットを盾として多層の遮蔽物に
更に煙幕弾を前方に炸裂させることで防御膜としましょう
ビットにはそのまま煙幕越しの砲撃を指示、女禍にこちらの位置情報を誤認させつつ空中戦機動で上方の空域へ
乱れ撃たれる砲撃におびき寄せられて無防備なその頭上へ、最大戦速で急降下して斧槍を振り下ろして差し上げましょう
その後は海面近くまで抜け、頭上の女禍へ全砲門をロック
UCの仮想砲身を最大展開、増幅器とした飛翔ビットをその延長上に環状に連ねて配置
ではどうぞ存分に、召しあがれ?
「グラビトン――エクス、ブラスタァァァッッ!!」
確定したものであるからこそ、”変化を続けることができる”ものには最終的に敗けるのですよ?
●命あるが故に抗う者たち
『世界の終焉をここに。知性があるが故に汝らは苦悩する。命があるが故に汝らは苦悶する。汝らの過ちを今終わらせよう』
無限氾濫瀑布に君臨する一体の帝竜。女禍と呼ばれるその竜はありとあらゆる生命体を憎み、生きとし生けるモノ全てに嫌悪する。この相手を止めなければ世界は滅びてしまうだろう。そう断言できるほどの圧倒的なまでに自分たちとは違うモノ。それこそが今、猟兵たちの前に立ち塞がるものの正体だった。
飛翔する女禍と地上に降り注ぐ無限の瀑布。地に足つかぬこの場所で戦うには2つの方法しかない。すなわち空か水の中か。
『さらばだ、猟兵たち。オブリビオンとなりてまた会おう』
女禍が両の手に持つ宝珠から放たれる光。それは触れた知性ある生命体全てを問答無用で抹殺する災いの光。その効果は猟兵たちですら例外ではない。
セゲル・スヴェアボルグ(豪放磊落・f00533)と神宮寺・絵里香(雨冠乃巫女・f03667)は転移完了と共に水の中へと潜る。例えどんな効果があろうと光線は光線。水の中では減衰するしかない。水の中奥深くに潜る2人。光はそこまで届くことはない。
もちろん回避のために空を選んだ猟兵たちもいる。
七那原・望(封印されし果実・f04836)は純白の翼を宿す荘厳な姿の宇宙バイク『奏空・スケルツァンド』に跨り光から逃げる。
ヴィヴ・クロックロック(世界を救う音(自称)・f04080)も【骸装変異】で死を纏い、全身を4体の実験動物ゾンビのパーツを繋いだモノで覆うことで空を飛ぶ。
ユウ・タイタニア(フェアリーの竜騎士・f03116)もまた相棒のドラゴンランス『ドラゴンランス:ネメシス』に跨り光を避ける。
フランチェスカ・ヴァレンタイン(九天華めき舞い穿つもの・f04189)も自らの翼と共に各部のバーニアを吹かし、空中戦機動で光を翻弄する。
しかし、女禍があの光を放つ限り猟兵たちは防戦一方であり、うかつに攻撃することもできない。
ヴィヴは自身の周囲の光線を取り込み『光子変換式多目的携帯おやつ精製装置』でおやつに変えて防ぐがそれは一時しのぎにしかならない。ユウも『ドラゴンスケイルシールド』でその光線を何とか防ぐがその威力を防ぐことで手一杯。反撃には移れそうにない。フランチェスカも自身の機鳳型の可変飛翔ビット『アルバサーラ・クィンティア』を展開し、周囲の味方を護りながら躱し続けることしかできていない。
あの光こそが女禍を生命の天敵とし、猟兵たちにとって最大のカウンターとなっていた。
『汝らはここで終わる。それは確定事項だ』
「いやいやいや、人がいてこそわれわれヤドリガミが生まれるのですから、そんなこと言われては止めるほかないじゃないですか」
そんな中、現れたのは一つの桐箪笥。否、雛月・朔(たんすのおばけ・f01179)だった。ヤドリガミである朔は自らの本体である桐箪笥のまま、自身を念動力で浮かしていた。それがどれほど危険な行為かは朔自身が最もよく知っている。しかし現状を打開するためにその身に宿る命を賭けるしかなかった。
「こんなにも毎日が楽しい世界に私が生まれた過去には感謝はしますけど、なにが起こるかわからない未来を奪われるなんてごめんです、なのでもう一度骸の海にお帰りください破滅願望者さん」
『真っ先に死にたいようだな!』
宝珠から溢れる光、それが朔へと集中する。もちろん他の猟兵を狙うものが無くなったわけではない。その中の何割かが朔へと向いた。
『消えよ!』
今の朔は桐箪笥。命こそ宿っているが生命体ではない。故に女禍の【抗体霊波光線】はただの光線でしかない。そう、命を奪う効果を発揮せずともアレは光線であり兵器だった。
「澄み渡る、空へ手招く―――」
光は朔である桐箪笥の表面を焦がし、熱していく。それでも朔はその身に宿る呪詛をため続ける。全てはこれからの未来を護るために。そのためならばこの身体を張ることも厭わない。
「―――荒涼の月」
紡ぎあげられた呪詛は天候すらも操る。ここで天候は変わり、降り注ぐのは瀑布の水ではなくもっと強く、硬く、大きなもの。本来であればこんな場所にあるはずがないものである。
『因果を捻じ曲げたな! 汝らはそうやって簡単に未来を変える!』
「言ったでしょう。未来は何が起こるかわからない、って」
総ての呪詛を込め【背天ノ呪詛・『冬月』】を放った朔はもはや自分を支えるほどの念動力すら絞り出せない。桐箪笥が壊れなかったのも単なる偶然。あとほんの少しでもアレを呼び出すのが遅かったら高級桐箪笥に見事な穴が開いていただろう。
『天より降り注ぐ岩! その程度で我は止められん!』
女禍の放つ光が朔の引き寄せた隕石へと集中する。今度はいくつかではなくその総てが。そうでもしなければ自らの体長と同じサイズを誇る隕石を止めることはできないのだろう。収束した光の束が隕石の中心へと突き刺さる。
桐箪笥が水へと落ちる。その様を空にいる猟兵も水にいる猟兵も見届ける。
「……あとは頼みましたよ」
力なく水面に浮かぶ桐箪笥。その呟きは誰に向けられたものなのか。空にいる猟兵たちは距離が離れすぎて聞こえていないだろう。だが水は音をよく通す。振動となり遥か彼方までもその声は聞こえるのだ。
「……馬鹿が」
「行くのか?」
「―――ああ、馬鹿に頼まれたからな!」
「では俺も行こう」
そして水中から入れ替わるように2人の猟兵が飛び出した。
セゲルは【強襲 セシ鎧冑】を発動し、その身を重厚な鎧で包み込み、ユーベルコ―ドにより得られる自らの重量に比例した戦闘能力の増強と音速を優に超える飛翔能力。その力を以てセゲルは一本の矢となり空を翔け上がる。
「大いなる水を司る白蛇の名の下に、水よ我が支配下となれ」
絵里香に空を翔る力はない。だが雨冠乃巫女たるその身はありとあらゆる水を自在に操る。ここは瀑布。つまり空気中のどこにでも水は存在する。それを足場に絵里香は空を駆ける。
同時に絵里香は下に溜まった水も空気中に存在する水も全てを操りこの戦場に霧を呼ぶ。相手が放つ光線もこれで威力は減衰する上に標的の狙いをつけづらくなる。だがこれはそれだけの意味ではなかった。
「動きましたわ」
巨大な敵と戦う上での問題点。それは戦場が広くなりすぎること。10kmにも及ぶ女禍が相手では誰がどこにいて何をしているのか、それを完璧に把握することは難しい。朔の隕石の様に目立つ行動でもなければそれに気づくことすらできない。だからこそ絵里香は霧を生んだ。戦場が下から霧に包まれていけば誰かが動き出したことは一目瞭然。霧は空を舞う猟兵たちへの合図でもあった。
動き出した2人に合わせ、フランチェスカも煙幕弾を掃射し周囲を煙で包み込む。光が隕石へと向かっている今は最高の反撃チャンス。おそらくこれ以上の好機は存在しないだろう。そう察しているからこそ空にいる猟兵たちも皆動き出していた。
「だめ、近づけない!」
望は女禍の持つ右の宝珠を破壊しようと試みるが溢れ出す光の前に攻撃の間合いまで近づくことができずにいた。光が狙うのは頭上の隕石なのだがそれでも少なくない光が宝珠の周りには飛び交っている。あれを超え、宝珠を破壊するには望自身も覚悟を決めるしかなかった。
「わたしは……あっぁぁぁああっ……!」
これまでの攻防からもあの光が知性なき者に対してはただの光線でしかないことはわかっている。だから望はここで知性を捨て、堕天する。【果実堕天・ウィッシーズグリムリーパー】、それは相手と繋がることで痛覚を共有し自我を犠牲に周囲に存在する全てを無差別に攻撃するもの。これを使う可能性があるからこそ望は一人で宝珠の破壊を買って出た。周りに味方がいないのなら加減はいらない。
望の身体から溢れ出る影の触手が宝珠から溢れ出る光を貪り食う。それでも消しきれない光が望の身体を焼き焦がすが知性のない今の望には関係がない。それどころか痛覚を共有したことにより、その痛みは女禍にも及ぶ。
『何っ!?』
身体全身の焼けるような痛みに女禍はここで初めて猟兵たちの反撃に気づく。だが隕石を破壊せねばこのまま終わる。あと少し、あと少し耐えれば隕石は光に貫かれる。この痛みの原因を取り除くのはその後でいい。
その考えが女禍を敗北へと誘う過ち。
時は少し遡り、望が右の宝珠へ突貫を仕掛けるタイミング。そこでヴィヴもまた左の宝珠を狙い突撃を仕掛けていた。
「頼むぞ、兄弟たち」
その身に纏う兄弟の骸装へ『徳用ダイナマイト』を飲み込ませ、勢いそのままにヴィヴは骸装をパージする。もちろんこんなことをすればヴィヴ自身に空を翔ける術がない以上その身体は落下する。女禍の言動に違和感を覚えるが正直なところ知ったことではない。ヴィヴは今生きているのだから。たかが不確定要素の積み重ねなど意に介さない。
「お前にも生きていた時代があっただろうに……たかが不確定要素の積み重ねに随分こだわるな?」
身体は落下を続け、水面は目前に迫るがこれでいい。放たれた骸装は女禍の手と宝珠の間へ滑り込む。それと同時にヴィヴ自身の身体は着水し、流れて来た桐箪笥へとしがみつく。
「負けないが勝てない。なんとも歯がゆい……」
「あとは他の人に任せましょう」
「ああ、あとは他の連中に任せた!」
ここで時は今と交わる。
女禍の放つ光が遂に隕石を貫き爆散させる。そのまま光は忌まわしくもこの身を苛む痛みを生み出す猟兵へと向かう。
―――はずだった。
その瞬間に左の手で起こる爆発。それは宝珠を握る左手の指を吹き飛ばし、宝珠を水の中へ。本来放たれるはずだった光は放たれることなく水底へと沈む。
本来であれば自らの手に乗る異物の存在に気づけていただろう。だが女禍は今、身体中を焼かれる痛みに苛まれている。そのせいで自らの掌の上に乗る米粒の様な違和感に気がつかなかった。そして攻撃はこれだけでは終わらない。
左手が吹き飛ばされ、動きの止まった一瞬を見逃さず望の影の刃が右の手を狙う。それは女禍の手首をを切断し、最後の力を振り絞り零れ落ちた宝珠を粉々に斬り刻む。全身が焼かれる痛みと両の手が無くなる痛み。知性を無くしたとはいえ望の身体は限界を超えていた。
跨る『奏空・スケルツァンド』から力なく堕ち、望もまた水の中へ。
『グァァァァオオオオオ!!!』
両の手が無くなった女禍はその痛みに声を上げる。耳を裂くようなその絶叫の中、一人の勇者が空を翔ける。
「すごく強い、すごくでかい、すごい竜帝だ! だからあっしがアナタを超える!」
女禍からすればフェアリーであるユウなど米粒以下の存在だろう。だからどうした。それでもユウは戦う者であり今こうしてここにいる。
「あっしの必殺技を食らうっす!!」
その手に携えた『ルーンソード』を掲げ、ユウはタイタニア流剣術奥義【タイタニアスラッシュ】を女禍へと放つ。それはただの斬撃だがただの斬撃ではない。ユウの過去これまでの総てが込められた一太刀。例え相手がどれだけ強大であろうとその刃は決して折れず、曲がらず、全力を以てそれを討つ。
「いけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」
相棒と共に竜騎士は空を翔け、金色の竜を斬り進む。
何が起きているのか女禍は理解できない。視界は霧と煙幕で阻害され、身体は焼ける痛みと切り裂かれる痛みが奔り続ける。両の腕は疾うに無く。わかるのは今自分が追い詰められているということだけだった。
「お前さんはこの世界の真なる主なんてもんじゃなかったってわけだ」
そんな女禍の顎を下から突き上げる衝撃。それは水面から飛び立ったセゲルが加速を利用し体当たりを仕掛けただけのこと。だがその衝撃は女禍の頭部を大きく揺らし、正常な思考を奪う。
「雨冠乃巫女、絵里香。参る」
霧を駆け上がり、絵里香は白蛇の意匠がついた薙刀『叢雲』を振るう。狙うのは大層目立つ頭部の一つ目。硬く殻に閉ざされたそれを雷を纏う薙刀の連撃で斬り削る。
「チッ、硬いな」
数多の傷が刻まれるが殻は容易く突破はできない。あと数十合かと絵里香が読みが導き出すがそれは外れる結果になった。
「それなら任せろ―――破ァァッ!!!」
それはただ単純な一撃。『錨斧【イースヴィーグ】』の重さと自身の力に任せた一撃は絵里香の技巧を凝らしたそれとは違うが今この場で欲するものを持っていた。
叩き込まれた斧は女禍の瞳を覆う殻を突き破り、その眼球に深々と突き刺さる。
「こいつも喰らえ」
そこへ続けざまに差し込まれる絵里香の薙刀。女禍の瞳は貫かれ、雷で焼かれたことで完全にその機能を停止する。
「あとはこいつの表皮を引っ掻くだけだ」
「応よ!」
絵里香は女禍の身体へ飛び移ると両手に剣を携えその身体を切り刻んでいく。
セゲルもそれに追従する様に重厚なその一撃で女禍の表皮を叩き斬る。
腕もなく、瞳も奪われ、全身を抉られる女禍にできることは最早暴れ、のたうちまわることだけだった。しかしそれで振り払われる猟兵はなく、傷はただ増えるばかり。視覚がつぶされた以上あてにできるのはかすかに残る触覚のみ。猟兵たちからの攻撃に反応して身体を動かすのが精いっぱいの抵抗だった。
だから攻撃をせず、必殺の備えをする者に気がつかない。
フランチェスカは既に女禍本体への攻撃を切り上げ、水面で最後の一手に備えていた。
重力子で構成された仮想砲身を最大展開、狙うのはもちろん頭上の女禍。先ほどまで陽動に使っていたビットで環を作り、を射線上に配置することで砲身を超え増幅器として配置する。
攻撃のタイミングは3人の猟兵が駆け抜けた瞬間。その時を待ちフランチェスカの指はトリガーに掛けられる。
『悍ましい生命ガァァアアアア!!!!』
女禍のその叫びが仲間たちの攻撃が終わったことを告げる。
「確定したものであるからこそ、変化を続けることができるものには最終的に敗けるのですよ? ―――ではどうぞ存分に、召しあがれ?」
引き金が引かれ、放たれる極大化した対艦砲撃が如き一射。その一撃を防ぐ手立ても時間も何もかもが存在しない女禍はただその砲撃で撃ち抜かれる。
不確定なイマを紡ぎあげた猟兵たちに過去に固執する女禍は敗北する。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
黒玻璃・ミコ
※スライム形態
◆行動
古代中国の竜種と名を同じくする様ですが子細は構いません
我が糧として喰らえれば良いのです
此度は荒れ狂う瀑布
水中戦や空中戦の心得がある私でも常ならば至難な戦場
ならば身体を笹の葉の舟の様に変化させ大海の嵐に身を任せましょう
仮に見付かろうとも重要な臓器は体内で位置をずらしているので致命的な一撃だけは避けられます
既に脳内麻薬を過剰分泌させ痛覚は麻痺させました、身体の半分でも残れば充分
後は我が領域である【黄衣の都市】を顕現させて足場とします
正気を揺さぶるこの環境で災厄の嵐を制御出来ますか?
僅かな間隙に我が魔槍を全身全霊を振り絞った念動力で放ちましょう
※他猟兵との連携、アドリブ歓迎
秋月・信子
・SPD
未来の素晴らしさ、命の尊さ
ええ、その通りです
オブリビオンにお説教をしないといけませんね
アサルトバニー、反重力デバイス作動
これで【空中戦】【水上機動】が可能となりました
攻撃は、パワードスーツで高められた力で【見切り】ながら重力の足場を【ジャンプ】して頭部のある上空まで登り上がります
ターゲット確認、帝竜女禍と…女性?
あの妖狐があれを操っているのですか?
そうなら…影よ、銃となり敵を狙ってください
投影するは【破魔】と【呪殺】の力を有する弾丸を交互に装填したボルトアクションライフル
並びに、竜殺しの概念を付与させた【属性攻撃】、魔弾『ドラゴンブレイカー』をイメージ
この世界の人の命を、奪わせません!
●金色に輝き世界を呪うモノ
女禍と呼ばれたオブリビオンはもはや消滅を待つだけとなった。
身体に傷のない場所を探す方が難しく、瞳からは血の涙を流し、宝珠を握っていた両の腕は何処にもない。
しかしそれでもまだ世界を呪うことを止めはしない。
『あ、アア、AAAAAAAAA!!!』
その妄執だけが女禍を動かす。身体が動かぬのならば動かすものを呼び出せばいい。突如として現れた八本の尾を持つ妖狐がその指先から何かを伸ばし、女禍の全身へと括り付ける。それにより動けぬほどの傷を負った女禍が再び動き出す。
命を奪う手段は光線だけではない。命は自然の災害で容易く失われるものでもある。
故に女禍が呼び出すのは己が意思を体現する嵐。荒れ狂う怒りの如き嵐が無限氾濫瀑布を包みこむ。
「これは少々面倒ですねー」
「ですがこれを超えてあのオブリビオンにお説教をしないといけません」
嵐の中で女禍と対峙するのは黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)と秋月・信子(魔弾の射手・f00732)の2人。この荒れ狂う嵐の中では空を飛ぶこともできないだろう。飛べばたちまち吹き荒れる風の餌食となり、雷に打たれ戦闘の続行は難しくなる。
「私が止めますから後は頼みます」
「……なにか策が?」
ミコはスライム状の身体を活かし、ぷかぷかと水に浮く。信子もまた身に纏うパワードスーツ『アサルトバニー』の反重力デバイスを起動し浮上する。波にさらわれぬ様にするのが精いっぱいの現状。信子はミコの策に賭けるしかなかった。
「まぁ見ていてください」
それだけ言うとミコは嵐に揺れる波に身を任せゆらゆらと進んでいく。
もちろんそんなミコが狙われないはずもなく、降り注ぐ雷や雹がミコの身体を貫いていく。しかし脳内麻薬の過剰分泌で痛覚を麻痺させたミコはどれだけ自分の身体が削れようとも無視をして波に揺られ続ける。目指すのは女禍の足元。その直下。
其処に辿り着くころミコの身体は既に半分以上が削られていた。内部の臓器は移動させ、致命傷は避けているとはいえその有り様は何とも痛ましい。だが女禍の直下へ辿り着くことができればミコにとっては十分だった。
「いあいあはすたあ…………あいあいはすたあ!」
祝詞と共に天に現れる魔女の同朋の証である黄の印をした幻影。それにより顕れるのは非ユークリッド幾何学的巨石建造物群の廃都【黄衣の都市】だった。都市が現れ存在しなかった足場が形成される。だがそれだけではない。この都市は内部に存在するモノ全ての正気を揺さぶる。それは目が見えぬモノでも関係ない。瞳が潰れ、目に見えぬ狂気に侵される女禍の精神で災厄の嵐を制御することは不可能だった。
「今です!」
嵐が止み、信子の行く手を阻むモノは消えた。都市の狂気も信子が足を踏み入れた一瞬だけミコの手で中和される。廃都の建物を駆け上がり、信子が目指すのは女禍の頭部が存在する上空。
「ターゲット確認、帝竜女禍と……女性?」
ここで初めて信子は今の女禍を操るモノの存在を目視する。状況から察するにあの何者かが女禍を操っていることは確か。
ならば狙う的はただ一つ。
【影の模造品】により信子の手に握られる『ボルトアクションライフル』と全く同じ姿形をした黒塗りの銃器たちが信子の背後に現れる。それらは破魔と呪殺の弾丸が込められ信子の背後で隊列を組み、引き金が引かれるその時を待つ。
信子の持つライフルに込められるのはまた別の弾丸。竜殺しの概念が付与された特性の魔弾ドラゴンブレイカーがその弾倉に込められていた。
銃口が狙うのは帝竜を操るモノ。スコープ越しに視えるその頭部を狙い、撃鉄は落ちる。
「この世界の人の命を、奪わせません!」
放たれた弾丸は寸分の狂いもなく女禍の背後に佇む妖狐の額に吸い込まれる。続けざまに放たれた破魔と呪詛の弾丸がそのまま妖狐の身体を貫いていく。
銃弾の雨に晒された妖狐の身体はまるで最初から存在しなかったかのように消滅し、操り手のいなくなった竜は重力に引かれ落下する。
既に息絶えていたその身体は水面と衝突することなく塵となり消え去った。
猟兵たちは生命を憎む帝竜を打ち倒し、ここに無限氾濫瀑布の戦いは終結した。
未来の可能性は無限大。世界を呪う怨嗟はもう存在しない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵