帝竜戦役⑩〜困ったときの黒藻たち
●グリモアベースにて
「皆様、お疲れ様です。また新たな戦場が発見されました」
グリモアベースで猟兵たちを出迎えたアマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)が新たな戦場の発見を告げる。
「今回発見されたのは浮遊する巨岩群の密集地です。全ての浮島が独立した生態系を持ち、『王』と呼ばれる1体のオブリビオンが全てを支配しています。奇妙な生物達の支援を得られれば、王との戦いが有利になるでしょう」
ここに独立し、他の島との交流もなければ確かにその島独自の生態系が築かれるだろう。
「今回皆様に赴いていただく島にいるのは黒藻と呼ばれる手のひら大の小さな種族の様です。この黒藻は汚れを好み、それを餌にして周囲を綺麗にする働きもの達です。基本的に人懐っこく知能は高くありませんがお願いすれば物資の運搬程度でしたら手伝っていただけると思います。常に群れで生活しているので一匹見つければ大勢の黒藻に会えるでしょう」
幸いなことに血肉を好む王からは見向きもされず、ただ雑用ばかりさせられているらしい。黒藻たちもそれをおかしいとも思わず仕事がもらえて喜んでいる。
「黒藻たちは労働が働くことに喜びを感じますのでなにか手伝いを頼めば喜んで引き受けてくれると思います。ご参考までに覚えていていただけると幸いです」
そして例に及ばずこの戦場にも財宝が眠っている。
「この戦場にある財宝は『天空の冠』と呼ばれ『王』が被っている奇怪な王冠型の宝石です。ひとつ金貨850枚、日本円にして850万円の価値がありますが、精神汚染の恐れがあり売るべきかは分かりませんので価値があるかは何とも言えません」
売って何が起こるかわからない。ここは有効活用できる誰かに譲ったほうがいいかもしれない。
「今回の戦場も一筋縄ではいかないかもしれません。ですが皆様でしたら黒藻たちの手を借りて王を討ってくださると当機は信じております。どうかご武運を」
こうしてカーテシーと共に猟兵たちの転移が開始された。
灰色幽霊
どうも、灰色幽霊です。
まっくろくろすけではありません。黒藻です。
といわけで今回は黒藻たちと共に王と呼ばれるオブリビオンを討伐していただきます。黒藻は頼めば大抵の雑用は喜んで引き受けてくれるでしょう。
今回は奇妙な生物達、つまり黒藻の支援を得ることでプレイングボーナスが発生します。
今回も倒すとドロップアイテムもあるようです。一つしかないので争奪戦になるかもしれません。その場合はプレイングなどを考慮させていただきます。
注意事項などはMSページをご覧ください。
それでは皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『悪逆無道の君臨者』
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POW : モーレ・ド・エンヴィリオ
自身の【今まで喰らった魂】を代償に、【吐瀉した肉を依代とするフレッシュゴーレム】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【怨嗟で炎の如く盛る魂を纏った手足】で戦う。
SPD : ソンゾボルト・ユーゴッド
【意識】を向けた対象に、【召喚した亡者の軍団による包囲攻撃】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ : ソフランテ・ユーゴッド
戦闘用の、自身と同じ強さの【黒き甲冑騎士】と【不死の大魔導士】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ハララァ・ヘッタベッサ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ネージュ・ローラン
なんて愛くるしい姿なのでしょうか。
今のところ危害は加えられていないようですがオブリビオンは早めに排除するべきですね。
せっかくですので黒藻さんには戦闘のお手伝いをお願いしましょう。
オブリビオンから少し離れた位置に陣取り、掌サイズくらいの小石を集めてもらい【彼岸駆け】で魔力を乗せて亡者達を狙撃していきます。
囲まれてしまったら彼らを抱えて空中へ退避し、また別の場所へ移動ですね。
特別丈夫で大きな石は『悪逆無道の君臨者』本人めがけて放ってやりましょう。
モルツクルス・ゼーレヴェックス
「ふむん、手が足りないっすね」
今回の敵は軍団指揮官……対抗するためには
「ちょいとそこな黒藻さん達、手伝ってくれないっすかね」
こっちも軍団作んないとっすね
【金黒明星】
被造物に命を与える力
「オーライ、オーライ、その岩をこっちへ」
「ありがとうございます、次は粘土を掘ってきてほしいっす」
「そのまま支えてて下さいっす、そうそこ」
大軍作ろうと思うと夥しい労力
貧弱魔術師では使いこなせてなかったっすけど
「出来たっす……皆様方、ありがとう。絶対勝って来るっすよ」
感謝と共に出陣、宣戦布告
筋力型、硬度型、知性型とバリエーション豊かな兵隊達を指揮して君臨者に挑む
「あんな気のいい黒藻さん達に悪事の片棒担がせないっすよ」
キル・トグ
働くのがすきなのか!わたしとこいつよりあたまが良さそうじゃないか!わたしは空を駆けあがるのがすきだ!力尽きるまで太陽に向かって駆けてごみのように落ちる!もしこれからわたしたちが落ちたりしたらそのごみを片付けるのを手伝ってくれ!
「ミッシングリング!われら蝕む黒き日食!」
その脚をふるわせて槍ぶすまを飛び越えろ、この爪ではらえない矢の雨なんてこのからだで受け止めろ。目指すは皇帝、沈みゆく夕日を背負った王だ。
われら王を食らうけもの、その牙は圧政を蝕む毒牙のように。われらは走る、くらき夜へと向かい、王の晩餐に並ぶけものの怒り、前しか知らぬ愚者の叫びを狂王へ。この粗相でどっちにしろ肉は下へ落ちるさ。
●イイヒト
「吾に歯向かうとは身の程を知らぬ輩よ!」
浮遊岩諸島に浮かぶ一つの島。そこに君臨するのは悪逆無道の君臨者。王は自らに従わぬ命を蔑ろに、歯向かうものは血の粛清を以てこの島を支配する。君臨者に従うのは物言わぬ亡者たちの軍勢と側近たる騎士と魔導士。黒藻たちは何も知らず、なにも疑わず王の命に従い雑用を押し付けられてたい。
「殺しても死なぬ奇妙な奴らよ……まぁいい。雑用としては重宝している」
『シゴトハ! シゴトハ!』
「今はない。下がっておれ」
黒藻たちはただ自分に仕事をくれる人についていくだけ。
『シゴトハ! シゴトハ!』
「これは……なんとも愛くるしい姿なのでしょうか」
「働くのがすきなのか! わたしとこいつよりあたまが良さそうじゃないか!」
「こんにちはっす」
もちろん黒藻たちは君臨者にだけ従うのではない。黒藻たちにとっては君臨者は仕事をくれるだけの人。なぜだか他に仕事をくれるヒトがいなくなってしまったからずっとついていっているけれど、他に人がいればそっちにも行く。無論それは猟兵にも。
ネージュ・ローラン(氷雪の綺羅星・f01285)、キル・トグ(青と赤のけものたち・f20328)、モルツクルス・ゼーレヴェックス(素敵魔術師・f10673)の前にも黒藻たちは現れる。久しぶりの知らない人。きっとなにか仕事をくれるだろうと期待して。
「そうだな、わたしたちが落っこちたらそのごみを片付けるのを手伝ってくれ!」
キルという名の少女はそれだけ言うと獣と共に空を駆け上がってしまう。他の猟兵たちの話は聞かず、ただ真っ直ぐと太陽へ向けて。
なぜなら空を駆け上がるのがすきだから。力尽きるまでめいっぱいその足で駆け上がる。
「ミッシングリング! われら蝕む黒き日食!」
その姿はまるで太陽に隠す月の様で。
「……行ってしまいましたね」
「……そうっすね」
あっという間に米粒の様に小さくなってしまったキルたちを見送って、ネージュとモルツクルスは黒藻たちにお仕事の依頼。
「これくらいの小石をたくさん集めてもらえないでしょうか?」
ネージュは身振り手振りで小石の大きさを黒藻たちへと掌サイズの小石の収集をお願いする。
『ワカッタ! ワカッタ!』
そのまま周囲にいた黒藻の何体かがぴょんぴょんと跳ね、石を探しにどこかへ消えていく。
その間にも君臨者は軍備を増やし、騎士と魔導士の率いる部隊がいくつもできつつあった。その様子を魔力で増強した視力で確認したモルツクルスは思案する。ネージュの狙いは既に聞いてはいるがそれだけではまだ足りない。キルたちはおそらく君臨者に奇襲を仕掛けるはず。だがこのままではそれも届くかわからない。
「ふむん、手が足りないっすね」
『テハナイ! テハナイ!』
「あ、いや、黒藻さんたちのことじゃないっす」
今回の敵は数多の軍勢を率いる者。それに対抗するために必要なものは決まっている。
「ちょいとそこな黒藻さん達、手伝ってくれないっすかね」
目には目を、歯には歯を、銃には銃を。
軍団には軍団を。
『モッテキタ! モッテキタ!』
「ありがとうございます」
黒藻たちが運んできた石がネージュの足元に山の様に積みあがる。どれも大きさはほぼ均一。ネージュの要望通りだった。
「風よ宿れ、敵陣を駆けよ」
その石たちに風精霊の魔力を込めれば石は弾丸へと早変わり。ネージュの指示に従い戦場を飛翔し、亡者たちを撃ち貫く。それがネージュの【彼岸駆け】。亡者たちを黄泉へと再び送り還す風の魔弾。
「オーライ、オーライ、その岩をこっちへ」
ネージュが亡者たちの数を減らしている間にモルツは黒藻たちと共に人形を作り続けていた。
「ありがとうございます、次は粘土を掘ってきてほしいっす」
モルツクルスには被造物に命を与える力、【金黒明星】がある。しかしそれで大軍を作るとなるとまずは多くの兵を作り上げる夥しい労力が必要不可欠。故にモルツクルス一人ではどうしても実現することができなかった。だが今回は黒藻たちがいる。
「そのまま支えてて下さいっす、そうそこ」
黒藻たちと共に力を合わせれば君臨者の軍を迫ることができる。次々と完成していく兵の人形たちを見てモルツクルスはそう確信した。
「ここもちょっと危ないですね……黒藻さん!」
『リョカイ! リョカイ!』
こちらの軍が完成するまでにはまだ時間がかかる。狙撃を繰り返し亡者の数を減らし続ける。だが狙撃という特性上同じ場所に居続ければ場所が特定されてしまう。だからネージュは一定回数の狙撃を行うと黒藻たちを抱えて空を足場にまた別の場所へと移動する。ネージュ一人ならここからまた弾丸となる石を探さねばならないが今回は手伝ってくれる黒藻たちがいる。石に困ることはなかった。
「出来たっす……皆様方、ありがとう。絶対勝って来るっすよ」
『ガンバレ! ガンバレ!』
完成した様々なバリエーションの兵隊たち。そこにモルツクルスが命を吹き込む。敵は目の前に広がる亡者の軍勢。
「あんな気のいい黒藻さん達に悪事の片棒担がせないっすよ」
浮遊する大陸を戦場に、亡者と泥人形の兵隊がぶつかり合う。
眼下で兵たちが戦いを繰り広げる中、空を駆ける黒き獣。
「あれはなんだ! 撃ち落とせ!」
その脚は槍衾を超え、爪は迫る矢の悉くを薙ぎ払う。
一心不乱に王を目指すその様はまさしく王を喰らうけもの。その牙は圧政を蝕む毒牙の様に君臨者を狙う。
「誰かアレを止めろ! 止めるのだ!!!」
王は本能で理解する。アレはいけない。
アレは王の君臨を終わらせるモノ。これまで蹂躙してきたモノたちの怒り。
騎士の剣を飛び越え、魔導士の放つ魔法を躱し、おろかものは王へと辿り着く。
その爪の毒は王の首を飛ばすには至らぬが、それでも深く傷をつける。
―――【空を求める地蟲の足掻き】が絶対なる君臨者を地に堕とす。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
黒髪・名捨
●
また厄介そーなオブビリオンだな。
まー厄介じゃないオブビリオンなんぞ滅多にいないだろーが。
財宝か。オレの記憶には関係なさそうだが、持っていれば知っている奴と会えそうでもあるな。
●黒藻
さて、同じ黒いモン同士だ。仲良くやろうぜ。阿片やるか?
キセルの中の煤やらなんやらの汚れをやったりして仲良くするぜ。
なー、オレらが戦ってる間にアレ(冠)ちょっとあっちにほかしておいてくれねーか?
●王
アーラーワルを『槍投げ』して冠を頭から叩き落すぞ。
運搬ヨロ。
さて、怒ってんなー。ほらいいもんやるぜ。スタングレネードを投げつけて『目潰し』してひるんだすきに一撃必殺。捨て身の一撃でその面ぶん殴ってやるよ。
アリス・セカンドカラー
おまかせプレイング。お好きなように。
『天空の冠』ね、精神汚染するなんて濃厚な呪詛(エナジー)が籠っていそうでおいしそうね☆
そう、エナジーは私の糧だ、怨嗟の炎も魂も私にはおやつ程度のものでしかないわね。
それで、黒藻にお手伝いを頼めばいいのね。それじゃお掃除を頼みましょうか、染みだした過去のお掃除を。大丈夫、その為の技能は私が“貸して”あげるわ♪
エナジードレイン(大食い/捕食/盗み攻撃/催眠術/誘惑/吸収属性攻撃)でナニもかも、身も心も魂すらも奪い尽くしてあげる♡それは限界突破した意識を飛ばし(気絶攻撃)腰が抜ける(マヒ攻撃)程の快楽属性攻撃としてその身を蹂躙するでしょう。
極上の最期を貴女に……♪
フランチェスカ・ヴァレンタイン
せっかくですから、メンテナンスついでに黒藻たちには武装をお掃除していただきましょうかね?
気持ちだけでも稼働効率が上がれば十分助かりますし、と
準備が万端整いましたら、空中戦闘機動で王サマへ強襲を仕掛けると致しましょう
砲撃でフレッシュゴーレムを撃ち抜きつつ、ヒット&アウェイで切り込みと離脱を繰り返しまして
可能なら依代となる吐瀉物を片っ端から焼夷弾頭の爆撃で灼き払ってしまいましょうか
機を見て全武装をリミッター解除、ダメ押しにUCを発動して畳み掛けます…!
「あまり気は進みませんが、是非もありません。コード・ブレイカー、ドライブ――!」
あら…? 出力がいつもより… あとで追加のお礼をしませんと、ね
シーザー・ゴールドマン
ふむ、黒藻か。様々な場所で喜ばれそうな種族だね。
今から少し派手に汚れると思うのでね、掃除を頼んでも良いかね?
王
『ウルクの黎明』を発動。オド(オーラ防御)を活性化して戦闘態勢へ。
剛柔自在な剣術でオーラセイバーを振るい、また、衝撃波や魔法攻撃(属性攻撃)など遠距離攻撃も織り交ぜて戦います。
大技は超音速の低空飛行で間合いを詰め、すれ違いざまのオーラセイバーによる一閃。
敵の攻撃は基本的には直感(第六感×見切り)で見切って回避からのカウンター。
敵powucは肉を吐瀉した端から綺麗に掃除してくれる様に黒藻にたのんでおきます。その際は勿論、猛攻などで気を引き、黒藻に被害がいかない様に配慮。
卜一・アンリ
黒藻さんは沢山いるのね?お仕事二つ、引き受けて下さる?
一つは人間大の形に集まってもらい私の帽子と服を着せ、銃を持たせて敵の目の前へ。即席の案山子役よ。
今まで従順な者たちがいきなり銃口を向ければ逆徒として対応しないわけもないでしょう。
もう一つは、敵の意識が案山子に向いた一瞬を【見切り】奇襲するまで私を包んで隠す役よ。
…下着姿だからそのまま服の代わりになってね。
ゴーレムを繰り出したなら【強制改心刀】で怨嗟を断ち切り無力化。
敵も斬りつければ戦意ぐらいは削れるかしら。他にも猟兵はいるのだし物理的な攻撃は任せましょう。
財宝には興味ないけれど。
…黒藻さんたち。良ければ私と一緒に来る?
【共闘・アドリブ歓迎】
ロア・メギドレクス
――王が君臨しているというのなら、余が簒奪しよう
聞くがいい暴君よ。余こそかつて星を支配せし王竜が化身、メギドラウディウス・レックスが化身であるぞ!
剥き出しの敵意を叩きつけ、正面から戦いを挑もう!
呼ばれた肉のゴーレムどもに相対しよう
肉を引き裂き殺し尽くすのであれば余の得意分野だ。――咆哮《レイジングロア》にて威圧し、その魂に【恐怖を与える】。怯えた獲物を狩るのは容易い。余のメギドランスにて貫き、屠る!
そして【王は此処に在りて】、黒藻どもに仕事を申し付けてくれよう。そこな肉の残骸を片付けておくがいい。余のもとに下るのであれば、いくらでも王命を下してやる
さあ、君臨者よ
その命。余の牙にて刈り取ろう
トリシュ・リグヴェーダ
「やー、働き者さん。トリシュに感情はありませんが、この黒藻には近しいものを覚えます。願わくば、トリシュもそうありたいのな」
挨拶代わりに【掃除】で集めた汚れを渡し親睦を図る
「たーんとお食べ。食べたらトリシュのお手伝い、お願いしますです」
黒藻に依頼するのは自分の搬送
UC中は身動きが取れなくなるため、黒藻に運んでもらう算段
黒藻にトリシュを味方の盾にするようお願いし、最終的には敵の呼びだした亡者や他の攻撃の全てを自分が受けた上で跳ね返し、数で押しつぶす
「道具は使い方ひとつで化けるもの、です。見向きもしない愚王に使役されて、この子達かわいそう、な」
トリシュもまた道具、報酬は欲しがりません
連携アドリブ歓迎
●アリガト
「おのれ……おのれ、おのれおのれぇぇぇぇぇえええ!!!」
軍勢は軍勢に潰され、側近である騎士と魔導士もこの忌まわしき傷のせいでもう呼べぬ。君臨者はまさしく地に堕ちた。
だがそれでも王は未だ王。自らがこれまでに喰らった命を代償に、吐き出した肉を依り代とするフレッシュゴーレムたちを生み出し続ける。それはまさしく君臨者がこれまで行った所業の証。ここで命を奪われたモノはその死すらも王に徴収される。
「また厄介そーなオブビリオンだな」
「厄介じゃないオブリビオンなんてそうはいないでしょう」
黒髪・名捨(記憶を探して三千里・f27254)とアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の魔少女・f05202)は王の狂行を眺めながらそんな事を呟いた。
「ふむ、君たちが黒藻か。今から少し派手に汚れると思うのでね、掃除を頼んでも良いかね?」
『オッケー! オッケー!』
「それならわたしも」
「私もお願いするわ」
シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)、フランチェスカ・ヴァレンタイン(九天華めき舞い穿つもの・f04189)、卜一・アンリ(今も帰らぬ大正桜のアリス・f23623)は猟兵たちの周囲に集まった黒藻たちにお願いをいくつかそれぞれお願いする。黒藻はもちろんそれを快く引き受け猟兵たちは動き出す。
もう既に黒藻たちの中で猟兵たちはいろんなお仕事をくれるイイヒトたちだった。
死体の片づけだけではなくいろんな楽しい仕事をくれる。
亡者の軍勢は既に消えたが肉人形の軍勢はまだ続々と生み出されている。それを超えなければ君臨者に辿り着くことはできない。
「邪魔だァ!!!」
肉を掻き分け進む猟兵たちの先頭にいたのはロア・メギドレクス(獄竜暴君・f00398)。自らを王者として律しているロアにとって君臨者は許すことができない相手だった。かつても今も、ロアにとって肉を引き裂き殺し尽くすことは得意分野。立ちはだかる肉人形の悉くを薙ぎ倒し前進し続ける。
「こっちの王サマもこえーなー」
「味方でいる分には心強い」
その後を続く名捨とシーザーもまた、迫る肉人形を斬り捨て続く。
だが肉人形はその程度では止まらない。肉片と化してもその一片でも残っていれば集まり、再び立ち上がる。
「黒藻!」
「全部綺麗にしてくれるとありがたい」
『アイアイ! アイアイ!』
ロアとシーザーの言葉で黒藻たちは動き出す。周囲に散らばった肉片を抱え、それを何処かへ持っていく。辺りにこびりついた血痕はその身体で吸い上げ餌とする。そうすることで肉片の再生を止めていた。
「グルァァァアアア!!!」
ロアの咆哮に怯む肉人形たち。王とはだ誰よりも前で誰よりもその威光を知らしめるものである。【王は此処に在りて】黒藻たちを従え進軍する。
「やー、働き者さん。トリシュに感情はありませんが、この黒藻には近しいものを覚えます。願わくば、トリシュもそうありたいのな」
『ヤー! ヤー!』
「あの……」
トリシュ・リグヴェーダ(知恵の刃・f18752)はフランチェスカの武装に取り付き、その整備をする黒藻たちに語りかける。
「たーんとお食べ。食べたらトリシュのお手伝い、お願いしますです」
ここに来るまでに集めたごみや汚れを黒藻たちに渡し、トリシュは親睦を深めていく。黒藻たちもこれまでの戦いで汚れ、傷ついたフランチェスカの武装を綺麗に磨き、一生懸命汚れを落とす。
「お手伝いしてくれるです?」
『リョカイ! リョカイ!』
「それではトリシュをあの王様のところまで運んでほしいのです」
トリシュはユーベルコ―ドを使っている間身動きが取れなくなる。そこで黒藻たちに自分を運んでもらうつもりだった。それならば身動きが取れなくなったとしてもあの君臨者の元へ辿り着くことができる。
黒藻たちはトリシュの頼みを承諾し、もじもぞとトリシュの下へ潜り込む。そのままみんなで担ぎ上げ、神輿のようにトリシュを運ぶ。安全第一、敵がいないルートを静かに通って。
そんな中、アンリは猟兵たちの中でただ一人単独行動を行っていた。物陰に身を潜め、狙うのは君臨者のいる玉座。
ロアたち3人は中央から肉人形たちを倒しながら君臨者を目指す。トリシュとフランチェスカ、アリスは後方で待機して君臨者を狙うタイミングを窺っている。
アンリは何をしているかというと。
「それじゃ、お願いね。黒藻さんたち」
『アイヨ! アイヨ!』
黒藻たちに集まってもらい、組体操の様に人間の形を作ってもらっていた。そこに自身の服着せて銃を持たせて出来上がったのは即席の案山子。黒藻たちはふらふらしながらも立ち上がり、銃を握るとそれを空へと向ける。
銃声に反応し、肉人形たちが振り向くが同時にその動きが止まる。肉に反応するゴーレムだが生き物としての肉を持たない黒藻の集合体にどう反応すればいいか判断がつかず、その処理は一時保留となる。その瞬間を狙い物陰から飛び出し繰り出されるアンリの一刀。【強制改心刀】が肉人形に宿る怨嗟を断ち斬りその身体をただの肉塊に変える。
「ちょっと変な感じだけど動きやすいわね……」
服を黒藻たちに貸しているはずのアンリが今何を着ているのか。それは黒藻たちだった。人型を作った時と同じように黒藻たちは薄く広がり、アンリの身体に纏わりついていた。遠目から見れば黒いボディスーツに見えないこともないだろう。アンリはそのまま黒藻人形と共に再び身を隠し、徐々に玉座へと近づいていく。
「……黒藻さんたち。よければこの後も私と一緒に来る?」
『ナヤミチュ! ナヤミチュ!』
「何故だ。何故まだ奴らは吾に逆らう! 何故まだ生きている!!!」
戦況は控えめに見ても君臨者側の劣勢。
際限なく生み出される肉人形たちも猟兵たちにそれを上回る速度で倒されている。このままでは猟兵たちがこの玉座に辿り着くのも時間の問題だろう。
「殺せ! 殺すのだァァァ!!!」
それは知るものが見れば子どもの癇癪にしか見えなかった。
「―――そろそろだな」
既に視界へ写る範囲まで近づいていたロアはそんな君臨者の焦りを肌で感じ取っていた。同じ王であるが故に。
「あいよー、王サマ」
名捨の手から放られたそれは君臨者の前まで転がっていく。
「な―――」
その瞬間、激しい閃光と音に包まれる君臨者。名捨の投げた『スタングレネード』は王の目と耳を奪う。
「合図、でしょうね」
「ええ、そうね」
「では行ってまいります」
黒藻たちによる武装の整備も終わり、フランチェスカの準備は万端に整っていた。そこへ上がる攻撃の合図。戦淑女は全速を以て戦場を駆け抜ける。
いつもより滑らかな空中戦機動。眼下に進行する肉人形たちも砲撃で撃ち抜き、飛び散る肉片も焼夷弾頭で焼き払い進む。それに追従する様に空を飛ぶもう一つの影。シーザーも【ウルクの黎明】を発動し自身を真紅のオーラで纏い、肉人形を超えて王へと迫る。
「うん、いいエナジー」
アリスはフランチェスカの飛び立った後、ただ一人後方に残っていた。それは戦闘に参加しないからではなく、その逆。戦闘に参加させるためにここに残っていた。この戦場に満ちる怨嗟も魂も、全てを吸収しアリスは己の糧とする。そしてその高まった力は今だけ貸し出される。
「それじゃ、お掃除をお願いするわね。黒藻」
本来黒藻たちは戦闘できるほどの力を持っていない。彼らにできるのは身体より重いものを運ぶことと汚れを吸い取り綺麗にすることだけ。だがアリスの【GET A GLORY】により譲渡されたエナジードレインの能力は黒藻が本来持つ汚れを吸い取る力と合わさり十分戦闘で活躍できるだけの力になった。
アリスはその力をこの戦場にいる総ての黒藻へと貸し出した。
そこからはもう一方的な蹂躙に近かった。
肉人形たちはその身に宿る怨嗟も全て黒藻たちに吸い尽くされ無効化される。数で劣る猟兵たちにすら劣勢だった肉人形たちが強化された黒藻も相手にできるはずはなく。染みを消すかのように戦場に蔓延る肉人形たちはその姿を消していく。
「ハァァ!」
「シィッ!」
君臨者へ飛来し、振るわれる斧槍と剣。その攻撃は君臨者自身の手で受け止められるが、再び猟兵たちの牙が王へと届いということに他ならない。視界が未だ奪われている君臨者にできたのはその腕を盾に猟兵たちの攻撃を防ぐことだけ。
「き、さまらァァァァァ!!!!」
そのまま君臨者は玉座を引き抜くと、技もなにもなくただ力任せにそれを振り回す。近づくなと暴れる子どもの様に。
その間も口からは吐瀉物が溢れ続け、肉人形が生み出される。
「黒藻ー」
「タテ! タテ!」
肉人形の振るう腕。それを突如横から現れた黒藻の構えるトリシュが受け止める。【二律背反の破壊/創造】、このユーベルコ―ドを使う間トリシュは動けない。だが黒藻に運んでもらい、肉人形の攻撃を受けたことで発動の条件は満たされる。トリシュの額に第三の瞳が現れ開眼する。
「道具は使い方ひとつで化けるもの、です。見向きもしない愚王に使役されて、この子達かわいそう、な」
「道具はただ吾に従っていればいいのだ!!! 道具の分際で吾に歯向かうな黒藻ォ!!!」
「だからお前は余たちに負けるのだ」
黒藻たちが君臨者の足を抑え、そこから内に宿る魂を吸っていく。
トリシュに支配権を奪われた肉人形たちが君臨者の腕を捕らえる。
それは配下たちの反逆。君臨者が王たる時の終わりを告げる。
シーザーの『オーラセイバー』が君臨者の両腕を斬り落とす。
「これで終わりだよ」
「コード・ブレイカー、ドライブ――」
フランチェスカの武装が各部から雷光を迸らせ光焔を噴く。その姿は時代の終焉を告げる戦淑女。
「その命。余たちの牙にて刈り取ろう」
振るわれる斧槍の一撃が王の首を撥ね飛ばし、ここに王の治世は幕を閉じる。
「おっと」
そこへ名捨が短槍を投げ、君臨者の頭部に座していた王冠を弾き飛ばす。黒藻たちはそれを回収すると猟兵たちの元へ。
『アリガト! アリガト!』
「余はいらん。汝らがもっているがよい」
「そうですね。それがいいでしょう」
「プレゼン、ト?」
猟兵たちはこの場所の王ではない。王冠は必要ないだろう。それは黒藻たちのもの。
結局のところ黒藻たちは君臨者を悪だと認識もしていないし、猟兵たちを正しいとも思っていない。
黒藻たちにとって大切なのは仕事をくれるかくれないか。だからあまり仕事くれない君臨者より新しい仕事をくれる猟兵を手伝ったのだ。長く共にいた君臨者はそんな事すら知らなかった。それが敗北の理由だろう。
『マタネ! マタネ!』
黒藻たちに見送られ、猟兵たちは浮島を後にする。
大成功
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