砂で固められた道の両端に長屋が並んでいる。その軒先には様々な種類の店が品物を並べ、或いは客をもてなす席を出していた。傍らの店主が道行く人と話したり、誰にともなく商品の宣伝を繰り広げている。
「やいやいやいやいやい!」
そんな賑やかでありながら一定の秩序を保っていた町に響き渡る怒号。何事かと人々が顔を出せば、倹約を旨とすべきこの時世に、紫の派手な羽織物を肩からかけ、胸元に虎柄の革を巻きつけた男がいるではないか。
「手前の店の田楽、こいつァ何だィ!? 甘ェばっかで塩っけが全然ありゃしねぇ! 餓鬼の菓子じゃねンだぞ!」
「えぇッ!? しかし旦那、田楽ってなぁこういうモンもありますぜ。そりゃ、どこも同じタァ言わねぇが、他の店とそんなに違ェとも……」
「てやんでぇ! 客が不味いっつってんだ! 俺ァ不味い店にゃ金は払わねぇ!」
「あっ、ちょ、ちょっと!」
店主はズカズカと歩き去る男の羽織物を掴んだが、逆に引き倒されてしまう。
「困りますお客さん! 金払ってもらわねぇと……」
「ヘッ。知ったことかよンなもん」
ガハハハハ、と笑いながら男は歩き去っていった。残った田楽屋の客が店主を助け起こすと、辺りを憚る声で互いに囁く。
「厄介だねえ、ありゃ傾奇者って奴だよ……にしてもあの男、確かお武家さんの子供だよなぁ」
「まったくどうしちまったってんだ。あっちもこっちもあんなんばっかじゃねェか。妙なモンが流行っちまってるなぁ……」
場所は変わって、グリモアベース。
「皆、集まってくれてありがとう! これを見てほしいんだ」
UDCアースの学生服を着た少女白神・杏華(普通の女子高生・f02115)は、薄れた色合いの紙を取り出した。その上には墨で何事かつながった漢字とかな字が描かれている。いわゆる、サムライエンパイアにおける瓦版だ。
「近頃の江戸城下にて轟きたる悪名悪事、歌舞伎ならず傾奇者による仕業也。呑めや唄えやの宴はするがその懐から金子が溢れる事はなく、謂れ無き辻斬りに所構わず辻踊り、その所業まさしく悪餓鬼の如し……」
一通り瓦版を音読し、彼女は一旦それをしまった。
「何でも、武家の息子たちがね。『自分たちも戦乱の世に生まれたかった』『武家なのに勉強漬けだ』って、傾奇者になる例が増えてるんだって」
傾奇者とは、そもそもは合戦が盛んだった頃足軽などとして戦っていた身分の低い者たちが、平和になった世の中への反発として略奪や半社会的な行いをするようになったものである。
それがやがて、派手な立ち居振る舞いや徒党を組んでの行動といった様式に纏まっていき、傾奇者という言葉を生み出したのだ。
「つまりはいい所の生まれの子供が、不良になっちゃったっていうお話なんだけど……どうにも、それが突然でね。この傾奇者の発生に、オブリビオンが関わっているらしいんだ」
単なる不良文化の流行ならば猟兵が関わる必要はないが、その裏にオブリビオンの影ありとあっては捨ておくわけにはいかない。
「皆には、まずこの傾奇者たちから情報を集めて、オブリビオンを見つけ倒してもらいたいんだ」
武家の息子の傾奇者たちは、主に商店街に集団で現れる。その後店に入り因縁を付けたり、場合によっては強盗行為を行ったり、またそれらの悪行とは別に道の真ん中で仲間と踊り出したり相撲をとり始めたりするらしい。
その行動原理はUDCアースで言うといわゆるツッパリの不良に似ている。粋でカッコいい事こそが傾奇者にとって重要なことだ。
だから彼らの行動を何らかの形で妨害したり、自宅で泣いている親の姿を思い浮かべさせたりすれば、彼らのやる気もなくなっていくかもしれない。
方法は自由だが、ともかくこれらの不良たちを元に戻してやらねばならない。元はきっといい子たちだったのだから。
「それじゃ、皆頑張ってね! 不良は怖いから気をつけて!」
杏華は頭を下げ、現場に向かう猟兵たちに手を振った。
玄野久三郎
玄野久三郎と申します。オープニングをご覧いただきありがとうございます。
タイトルはヤンキーゴーホームと読みます。原義は別に不良宛の言葉じゃないですけどあまり気にしないでください。
オープニングの通り、ヤンキーになってしまった若者を止めるのが第一章の内容となります。オブリビオンの正体は一体何者なのか……それは事件を追ううちにわかってくるでしょう。
それでは、皆さんの熱いプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『傾くなら傾き通せるか?』
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POW : 痛い目に合わせ反省させる
SPD : 悪事を失敗させ意気を挫く
WIZ : 説得するなどで改心を促す
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
三上・チモシー
あれ、もしかして自分の格好も傾奇者っぽい?
【POW 】
お店に迷惑をかけている傾奇者がいたら近づく
ねぇ、お店の人困ってるよ
白湯でも飲んで落ち着こうよ
話しかけつつ、グラップル、怪力で強制的に店の外へ
その後こちらに突っかかってくるようなら、掴んでいる箇所に怪我しないけど痛い程度に力をこめる
自分も僧なのにこんな格好だから、偉いこと言えないけどさぁ
他人に迷惑かけないって、常識だよね?
そんなことも守れない人には、このまま山に行って修行してもらおうかなぁ?
そうすれば迷惑かけない人になるかなぁ
とりあえず、滝行は基本だよね!
「オゥオゥオゥ! この蕎麦伸びてんじゃねぇか!」
例の傾奇者集団のうち一人が江戸の蕎麦屋に押しかけていた。静かに食事をしていた者たちも皆眉をひそめつつ、絡まれないようにとそちらから視線を逸らす。
「へ、へぇ……いやしかし、お客さん方、その蕎麦八割方食い終わってるようですが……」
「我慢して食ってたが限界ってことだ!」
「そんなぁ……」
と、その時、店主の老人に詰め寄る傾奇者の背をトントンと叩く者があり。それはおおよそ傾奇者と同じような格好をした、着物姿の少年三上・チモシー(くっきーもんすたー・f07057)であった。
「ねぇ、お店の人困ってるよ。白湯でも飲んで落ち着こうよ」
そしてそっと白湯の入った湯呑を差し出す。しかし男は突如差し出された白湯に手を伸ばすことはなく、チモシーを鼻で笑い無視した。
「まったく。自分も僧なのにこんな格好だから、偉いこと言えないけどさぁ……」
すると彼は傾奇者の腕を掴み、店の外に引っ張り出した。予想外の握力と膂力に戸惑い、傾奇者の男は対抗できずに店の外まで連れてこられてしまう。
「なっ、何しやがんだテメ……あ痛てててててて!」
掴まれた腕を振りほどこうとするも、握力を強められると男は力なくその場に跪かされてしまった。恐るべき猟兵の腕力である。
「他人に迷惑かけないって、常識だよね? そんなことも守れない人には、このまま山に行って修行してもらおうかなぁ?」
そう言って、チモシーはそのままズルズルと男を引きずっていく。本当にそのまま山に行き滝行でもやらせてきそうなその勢いに、思わず男も声を上げた。
「ま、待て……待って! わかった! すいませんでした! 止まって! オイって! マジで山まで行くつもりなのか!?」
「神田山まで行くよ」
「歩いて!? 頼む! 頼むから待ってぇ!」
「口答えすると奥州まで行くよ」
その歩みは止まらない。そこには白湯を断られたことへの怒りも多少あったかもしれない。ともかく、もはや誰もその行進を止めることはできなかった。
そして、彼らは城下町を離れていった……。
成功
🔵🔵🔴
ハルピュイア・フォスター
【SPD】アドリブや絡みはOK
一番簡単のは暗殺…えっ今回はダメ…なの?
白神さんも怒ると怖そう…今回は特別に暗殺なしで行く…よ
基本、迷彩と目立たないを使用して仕方ないから影から優しく辱める
強盗などの犯罪行為をするなら足をフック付きワイヤーで引っ掛けて転ばそう
道の真ん中で邪魔な時は帯布やベルトを切っちゃう
まだ懲りずに犯罪行為をしそうな際は殺気と恐怖を与えるで見えない恐怖を提供
やっぱり悪い子達だから暗殺しちゃ…ダメ?(青空に浮かぶ雲を見ながらグリモアベースにいる白神さんに向けて)
見つかりそうな際はダッシュと逃げ足で一時撤退
商店街の人が困っていたり片付けなどのサポートもしっかり行い井戸端会議で情報入手
その男たちは三人組で歩いていた。肩で風を切るようにして歩く彼らは、ある傘屋に入っていく。……その後ろを尾ける影があった。
影の正体はハルピュイア・フォスター(天獄の凶鳥・f01741)。忍の者に近い性質を持つ暗殺者の少女だ。
(……面倒な)
彼女の本業はあくまでも暗殺だ。気配を断つことは得意で今もそれを活かしているが、それも最終的に暗殺に繋げるための技術。殺さずに留めるのは不慣れだった。
しかし今回は殺害は禁じ手。もどかしい思いとともに、ハルピュイアは男たちを監視する。
「オゥ店主よ。儲かってるかい?」
そのうちの一人がにたりと笑みを浮かべ、店主との距離を詰めた。剣呑な雰囲気を察し、彼女は動いた。店外からワイヤーを飛ばし、彼らの動きを妨害できる位置に張り巡らせたのだ。
「へ、へぇ、まぁ。何か御用で……?」
「オイオイ、客が来たんなら用も何も……なぁ? ヘヘ……あ痛ッ!」
店主に向かってさらに近付こうとした男が、足元のワイヤーに引っかかって転けた。後ろにいた二人はそれを見て笑う。
「何やってんだお前は」
「うるせぇな! チッ……おい店主! 何だこの片付いてねぇ店はよ! 舐めてんのかコラァ!」
男は怒り心頭といった様子で立ち上がるが、再びハルピュイアの操作したワイヤーで転ぶ。同時に彼女が飛ばした斬撃により、その帯布が切断されてしまった。
「ギャハハハ! オイ何してんだよお前は!」
「うぐぐ……クソッ! もういい! 今日は調子が悪ィ!」
散々な目にあった男が袴を押さえながらいそいそと出ていく。二人の男がそれに追従して出て行くと、傘屋には平穏が取り戻された。
「クソ、あの店から頂くつもりだったのによ。出鼻挫かれちまった」
「オイオイ情けねぇぞ。次の店じゃちゃんとしろよな」
「わかってるっつぅの! わかっ……」
男はまだ別の店に被害を出すつもりらしい、とわかるとハルピュイアは影から殺気を飛ばした。それが殺気とわかった訳ではないだろうが、ともかく彼は強い寒気を感じたらしい。言葉が止まり、顔面が青褪める。
「いや、やっぱ今日はダメだ……何か……何かが俺を見ている気がする……!」
「お、オイ? お前おかしいぞ」
意気消沈したようにトボトボと歩いて行く男を見て、ハルピュイアは深いため息を吐いた。そして澄み渡った青空越しに、グリモアベースでのグリモア猟兵の姿を思い浮かべる。
「やっぱり悪い子達だから暗殺しちゃ……ダメ?」
だめだぞ。
成功
🔵🔵🔴
八田・阿須摩
POW
傾奇者が金を払わないと騒ぐ場に行って横槍を入れる
店主、彼は代金が払えないほど懐が寒いんだ
哀れだろう?
可哀想な彼の為に、俺が払うよ
服だって、頑張って自作なんだよな
だからそんなにダサいんだよな
買う金も無いんだものな、仕方ないよな
始終憐れむような視線を傾奇者へ向ける
相手が何を言おうと可哀想な者を見る目は変えず
手を出してきたら即座にその腕を捻り上げ
あぁ可哀相に
勉学もまともに受けられないから、安易に暴力に訴える事しか出来ない矮小な人間にしか育たなかったんだな
人に迷惑かける事しか出来ない腕は要らないね
折ってあげた方が世の為になるかな
(折らずに限界まで捻り上げる)
さて、君は反省できる頭はあるかな?
「主……この天ぷらはなんだ!」
ある屋台にて、天ぷらをひとくち食べた男が怒り気味で店主に呼びかけた。その出で立ちはまさしく傾奇者、派手な革を着物に括りつけて鮮やかな色彩を店に添えている。
「何だと言いますと……」
「衣がゴワついて食えたもんじゃねぇ! こんなもんで金を取ろうったってそうはいかねぇぞ!」
と言いつつ男はもう一口天ぷらを食べる。
「そいつぁ困りますよお客さん! いくらお侍さんでも、そういう筋は通して貰わねぇと……」
「あぁん!? なかなか食い下がるじゃねぇかコラ!」
「まぁ、待ちなさい」
あわや刃傷沙汰か、というその瞬間、二人に割って入ったのは八田・阿須摩(放浪八咫烏・f02534)である。
「店主、彼は代金が払えないほど懐が寒いんだ。哀れだろう? 可哀想な彼の為に、俺が払うよ」
明日摩は懐に手を入れ、財布を取り出す。傾奇者の男はポカンとしていたが、やがて周囲からの憐れみや嘲笑の視線が強まってくると顔を怒りで赤く染めた。
「んなわっけねぇだろうが! 俺だって金くらいなぁ!」
「服だって、頑張って自作なんだよな。だからそんなにダサいんだよな……。買う金も無いんだものな、仕方ないよな」
肩を叩いてうんうんと頷く明日摩。なるほど、と納得するような顔の店主。さらに赤みが増す傾奇者。
「これは洒落でやってんだああああ!」
辛抱たまらず彼は明日摩に掴みかかった。しかし所詮は素人の技量、明日摩は男の手首を掴むとそれを掴んで捻り上げる。
「いでででででで!」
「あぁ可哀相に……。勉学もまともに受けられないから、安易に暴力に訴える事しか出来ない矮小な人間にしか育たなかったんだな。人に迷惑かける事しか出来ない腕は要らないね? 折ってあげた方が世の為になるかな」
「ぐっ……違ぇ……! 勉学ならさんざん受けてきたんだよ……ウンザリするくらいに……!」
ここに来て、男は今までに見せなかった悔しげな感情を見せた。明日摩は捻りをやや緩め尋ねる。
「だったら一体なぜこんなことをしてるんだい?」
「お、俺は……俺は……あの坊さんと話して……それで……?」
彼は混乱したように記憶を確かめているようだ。しかし、これは収穫だ。裏に潜む何者かの影を捉えたようだ。明日摩はこの話を他の猟兵にも話しておこうと決意し、男の腕を一旦解放した。
「さて、君は反省できる頭はあるかな?」
「お、俺は……は、反省します……」
傾奇者は項垂れ、大人しく店主に金を払った。
大成功
🔵🔵🔵
エスタシュ・ロックドア
あー、俺にも似たような頃あったわ
徒党組んで悪さした訳じゃねぇが
ま、俺が一つ相手してやりゃぁ連中もスッキリすっかぁね
傾奇者連中が暴れてるところにシンディーちゃんで乗り付けるぜ
排気孔から火吹かせていつもよりエンジン音大きめでな
なおミュージックホーンは無ぇ
「おう手前ぇら、最近調子こいてるらしいじゃねぇか」
【恫喝】込みで肩に担いだ鉄塊剣フリントを軽くとんとんやりながら絡むわ
連中がノッて来たらバイクから降りて羅刹旋風で威嚇
それでも来るようなら大した根性だ
【怪力】【吹き飛ばし】【グラップル】で死なねぇ様に痛めつける
改心したら?
ダメ押しの天下自在符チラつかせてから連中の人生相談でもすっか
※アドリブ、絡み歓迎
ピオニー・アルムガルト
行動【POW】
平和を享受できないって、贅沢なないもの強請りよね…。
自由は良いが悪い事は悪いと道徳と合わせて理解させてあげないと!
私が悪い事をしたら母が捕まえに来て殴られ、さあ逃げろと放されて逃げたらまた捕まえられて殴られて…ふふ、あれは心が折れそうになったわ…(遠い目。
大怪我をしない内にあの頃は若気の至りだったと思い出になるように私の胸を貸してあげるからドンと来なさい!肉体言語で更生させてあげる!と胸襟を開いてあげるわ。
なに?胸が無いって!?ちょっと本気で片っ端からぶん投げてやるわよ!
まあこの怒りはオブリビオンにぶつけてあげるから情報を渡せば手加減で許してあげましょうかね?
「あー、俺にも似たような頃あったわ……徒党組んで悪さした訳じゃねぇが」
「あら、そうなの? 案外みんなそういう経験ってあるのね」
エスタシュ・ロックドア(ブレイジングオービット・f01818)とピオニー・アルムガルト(ランブリング・f07501)はたまたま現地で合流し、件の傾奇者たちを探していた。二人はエスタシュの持つ大型バイク「シンディーちゃん」に乗っている。
「ピオニーにはなかったのか? 親に反発する時期とか」
「あぁ……私が悪い事をしたら母が捕まえに来て殴られ、さあ逃げろと放されて逃げたらまた捕まえられて殴られて……ふふ、あれは心が折れそうになったわ……」
ピオニーは遠い目で過去の壮絶な経験を語る。それがいかなる教育環境だったのかは謎だが、ともかく……スパルタだったようだ。
「あ、あー。おっと、ありゃいかにもって連中じゃないか」
前方にいたのは四人組の男だ。それぞれが派手な衣装を身に着け、一人の中年の男を囲んでいるようだ。
「ホントは持ってるんだろ!? 出せよオラ!」
「跳ねてみろその場で! ほーれ見ろ、銭の音がチャリンチャリンと鳴っていやがるぜ」
「これは根付の音ですぅ……!」
「……おい、何の音だ?」
地に響くようなエンジン音が近づいてくると、彼らはエスタシュとピオニーに目を向ける。エスタシュはバイクから降りると、鉄の塊のような大剣を軽々と持ち上げ肩に乗せる。
「おう手前ぇら、最近調子こいてるらしいじゃねぇか」
「大怪我をしない内にあの頃は若気の至りだったと思い出になるように私の胸を貸してあげるからドンと来なさい! 肉体言語で更生させてあげる!」
「くっ……胸も無ぇのになんの真似だ!」
「オイ!!」
問答無用でピオニーは殴りかかった。グーで戦おうとするウィザードにエスタシュも続く。本来ならば反撃に徹するつもりだったが、状況が状況だ。
決着がつくのにそう時間はかからなかった。男たちはそれぞれ地面に転がり、鼻血などを出してはいるが全員無事だ。
「うぅ、くそ……お前らなにもんだ……?」
「おっと、申し遅れたな。俺はこういうもんだ」
エスタシュは天下自在符を男たちに見せた。すると彼らは憎々しげな表情を驚愕で固め、その場に平伏した。
「すっ、すいませんでした!」
「まったく。私への暴言も詫びなさい」
「す、すいませんでした……?」
どこか釈然としなそうな発音の男に一発平手打ちを見舞い、改めてピオニーは彼らに問いかける。
「で、あなたたちがこんな事やってるきっかけは何なの?」
「ええと……何だっけ?」
「一週間くらい前だったか……俺らはちょっと茶屋に行ったんだけど……」
彼らもやはり記憶が曖昧らしい。思ったほどの情報は得られなかったが、ともあれ彼らを正気に戻すことには成功したようだ。
「これに懲りて、あんま人に迷惑かけるのはやめろよな。傾くにしてももっと方法があんだろ」
「うっ……すいません」
「人の胸がないとか適当言うのもやめなさいね」
「いやそれは事実……」
再び平手打ちの音が鳴り響いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
遠呂智・景明
「戦乱の世に生まれたかった、か。甘っちょろいこと抜かすガキ共だな」
かつて刀として戦乱を戦いぬき、今の平穏を気に入ってるものとして、その言葉はいただけない。
拳をパキパキとならし悪行に走る者達を優先して軽く懲らしめる。
「戦に出たかった、そりゃ気持ちは分かる。強さを証明してぇ、男だもんなそれもわかる」
そう笑いかけるがその瞳は笑っていない。
「だがよぉ、他人様に迷惑かけて、弱いやつから搾取する、なんざ武士の風上にも置けねぇよなぁ!!」
【殺気】を込め怒鳴りつける。
それが、最も許せないことだから。
「さて、落ち着いたとこで聞かせてもらうぞ。」
「お前らがそうなってる原因ってやつを」
努めて優しく声をかける。
「戦乱の世に生まれたかった、か。甘っちょろいこと抜かすガキ共だな」
実際の戦場を刀として駆け、魂を得るに至った『大蛇切 景明』――否、遠呂智・景明(大蛇殺しのヤドリガミ・f00220)からすれば、彼らの主張はさぞ甘いものに映っただろう。
そんな彼の目の前に現れたのは、今まさに強盗か恐喝かを行ってきたらしい傾奇者の三人組の集団だった。片手に戦利品とでも言いたげに銭を持ち、悠々と歩いてくる。
「お前らが近頃町を騒がせてるっていう連中だな」
「あ? 何だお前……」
男たちは、景明が帯刀していると見るやそれぞれ刀に手をかけた。一方で、彼は自らの刀に手を触れることもなく、ただ拳をパキパキと鳴らすのみ。
「戦に出たかった、そりゃ気持ちは分かる。強さを証明してぇ、男だもんなそれもわかる」
そう言って笑うが、すでに景明の放つ気配は和やかなそれではない。何かを察し、傾奇者たちは刀を抜いた。
「だがよぉ、他人様に迷惑かけて、弱いやつから搾取する、なんざ武士の風上にも置けねぇよなぁ!!」
景明がそう怒鳴ると、周囲の空気が震えた。その声に打ち据えられた男たちは半ば戦意喪失していたが、仲間といる以上ここで引き下がるわけにもいかない。彼らは上段に構え、彼を取り囲んだ。
「くっ……うるせぇ! 覚悟!」
景明は振り下ろされた刀を、半歩退いて避ける。続いて腕を伸ばしてその刀の持ち手を掴み、親指を逆方向に曲げた。
たまらず刀を落とした男の体を引き寄せる。すると二人は刀を振るうことを躊躇した。そんな傾奇者たちに捕らえた男を投げつけ、まとめて彼らを地面に倒す。
「うおぉっ!?」
「くそっ……つ、強ぇ……」
刀を抜くこともなく、人数の有利も役に立たない。そんな相手にこれ以上戦いを挑むほど彼らも愚かではなかった。全員が刀を捨て、その場にしゃがみ込む。
「さて、落ち着いたとこで聞かせてもらうぞ。お前らがそうなってる原因ってやつを……そんでその後で、その金は返しに行くぞ」
景明は優しい声色で男たちの前に腰を下ろした。それは出来の悪い子供を躾ける大人のようで、まさしく本来あるべき武士の姿だった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『一服している暇はない。』
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POW : 店の手伝いをして情報を集める。
SPD : 客として店に入り情報を集める。
WIZ : 茶屋を訪れる客に聞き込みをする。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
傾奇者たちを懲らしめた後で猟兵たちが耳にしたのは『坊主』『茶屋』というキーワードだった。
どうやら彼ら自身、そこで何があったのかの記憶は定かではないらしい。しかし、その茶屋で何かが起きて、彼らを傾奇者の道に走らせたのだ。
彼らが訪れたという共通の茶屋の名は「興亡茶屋」。街はずれにあり、なかなかに繁盛している店のようだ。茅葺屋根の小屋はおおよそ十四畳ほどの広さで、小屋の外には二つ三つほど赤い布をかけられた縁台が置かれている。
一見すればそれはただの茶屋だ。だが、ここに必ずオブリビオンの手がかりが眠っている……!
三上・チモシー
山からただいまー
お腹すいちゃった
【SPD】
ごめんくださーい
お茶くださいな。あとお団子とか、食べる物たくさん!
まだかなまだかなーとそわそわキョロキョロしつつ、店内や店員、お客さんの様子を観察
お客さんとは軽く世間話でもしてみようかな
注文したものは当然、全部食べるよ
大食いで目立っちゃったら、適当に言い訳
自分、お寺に住んでるから、普段はあんまりこういうの食べる機会無いんだーとかなんとか
あ、お金はちゃんと持ってるよ
チモシーは山から帰ってきていた。その手に傾奇者の男の姿はないことから、その男が解放されたのだとわかる。どこで解放されたのかはわからないが……。
そんな彼は件の興亡茶屋に訪れていた。開け放しの入り口を入ると、木綿の着物を着た茶屋娘が出迎える。
「いらっしゃいませ。何頼まれます?」
「お茶くださいな。あとお団子とか、食べる物たくさん!」
「あら、元気のいい……はい、わかりました」
少し微笑んで、店員が暖簾の奥に入っていく。暖簾の向こう側は見えないが、おそらく茶を沸かしたり淹れたりする場所であろう。店員が二、三名、そこを行き来するのが見えた。
店内は賑わっているが落ち着いた雰囲気で、入り口から暖簾に繋がる一本の通路があり、その左右に段差がある。段差の上には畳が敷かれちゃぶ台が置かれている。基本的にはこの左右の空間で茶を飲んだりして寛ぐようだ。
そわそわと団子を待つチモシーを見て、隣のちゃぶ台で座布団に座っていた老人が手付かずの団子を一本差し出してきた。
「待ってる間、これ食べるかい?」
「いいの? ありがとう!」
彼は快くそれを受け取り一口食べた。なんてことのない、普通の団子だ。やや甘い味が口に広がる。
「お爺さんはよくこの店に来るの?」
団子を食べつつ、チモシーは情報収集をそれとなく開始した。まずは世間話から情報を探るつもりだ。
「ああ、まぁ、週に一度や二度かな。ここの団子はいいぞ。後を引く味だよ」
「へぇー……!」
チモシーの目が輝く。どちらかと言うと団子の方に興味を惹かれたようだ。
やがて暖簾を潜り、お盆に茶と団子を乗せた娘が再び現れる。割と山積みにされていた。
「おぉ……いただきます!」
チモシーは運ばれた団子を次々に食べた。餡子の塗られた団子や三色団子、塩味のあるみたらし団子などなど……それらを茶で流し込む。
その味はたしかに平凡だが後を引く。少なくとも団子や茶に何かが混入されているということはなく、単なる茶と団子だ。
「おかわりください!」
「よく食うねぇ……育ち盛りってやつかねぇ」
「あー……自分、お寺に住んでるから、普段はあんまりこういうの食べる機会無いんだー! あはは」
適当に言い訳を挟みつつ、団子を頬張る。その場に流れる空気は弛緩し、茶屋自体にオブリビオンの影は感じられなかった。
成功
🔵🔵🔴
遠呂智・景明
アドリブ、絡み歓迎
SPD
さて、鬼が出るか蛇が出るか。蛇の方がやりやすいんだが。
客に紛れ込みつつ店内へ。
【迷彩】【忍び足】【目立たなさ】を用いて出来るだけ目立たないように、【コミュ力】【礼儀作法】でほかの客や店員の話を聞く。
また、些細なことも見逃さないように【見切り】。
記憶を失うような何かがあったってことは、催眠かなんかか?
いざと言う時のために刀は抜けるようにしつつ店内を探り続けさせてもらおうか。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか。蛇の方がやりやすいんだが」
景明は客に紛れ込み店内に入る。その気配は完全に掻き消えており、茶屋娘は彼に挨拶も視線も送らない。彼がしばらく座っていると、ようやく一人がそれに気付き注文を聞いた。
とりあえずの注文だけを行うと、景明は再び周囲を見回した。そして、彼らの行う会話に集中する。
「この間、お隣の裕次郎さんがねぇ……」
「へぇ、彼も隅に置けねぇ……」
ほとんどが世間話や取るに足らない内容だ。そして彼は、その世間を騒がせる話題について耳にする。
「そういや聞いたかい? 近頃の傾奇者たちの騒動。あの中にお武家さんとこの息子さんが紛れてるらしいねぇ」
「オイオイ、アンタ知らんのかい? アリャ紛れてるどこじゃない、全員そういう身分の者だって話だぜ。何人かはここで見たことあるよ」
(この話は……当たりか)
景明は奥から出された茶を啜りつつ、噂話を繰り広げる男女に注目した。同時に、その話に注目しているような誰かがいないだろうかとも周囲を見る。
「……で、この店で見た時はそんな事する奴にゃ見えなかったねぇ。お坊さんと真剣に話してるだけだったよ」
「お坊さんというと……あぁ、常連のあの人かい? 今は見えてないようだねぇ」
どうやらかなり絞り込めたらしい。若者たちはその坊主とやらと何かを話したことで狂った行動に走ったのだ。そして、坊主はどうやらこの店によく来ているらしい。
「やっぱ……催眠術かなんかか」
景明は茶を飲み干す。姿と気配を隠し、その坊主が現れるまで待つことにした。
大成功
🔵🔵🔵
ピオニー・アルムガルト
行動【SPD】
私は武家の息子に扮して店の中の情報を集めるわよ。
見た目が怪しまれるといけないので、着物を着て頭巾で耳を隠し、尻尾は腰巻に見立てればそこそこな感じになるんじゃないかしらね。胸は小さいから特に何もしなくても…くっ、それは置いといて(尾を引いているわね…)。
あとはサムライエンパイアの言葉で世の不満を言えばOKね。
『働きたくないでござる』
ん?なにか違うような…イントネーションがちょっと違ったのかしら。
まあ【魅了】で武家の息子達を集め世の不満を言いながらも情報収集に怪しい奴探しね。怪しい奴などいたら【追跡】で後を調べてみようと思うわ。
騒乱の種を撒く奴はしっかり探し出して成敗しなくちゃね。
ピオニーは頭巾で耳を隠し、尻尾を腰巻きに見立て和服姿で刀とともに現場に現れた。それは武家の息子への変装である。
「胸は……そのままでいいわね……くっ」
……ともかく変装を終えた彼女は茶屋に入店した。茶屋娘が彼女を案内し、席に座らせる。
「ご注文は?」
「んー、お茶で。ハァー」
これみよがしに溜息を吐きつつ注文。何か悩んでいるといかにも言いたげなそんな雰囲気を察し、店員は内心汗をかきつつ、とりあえずお茶をピオニーに差し出す。
「ありがとう。あぁー、働きたくないでござる」
周囲からぬるく冷ややかな視線が彼女に向けられる。何か間違ったかもしれない、と頭巾で隠した耳が僅かにモゴモゴ動く。
「ええと……お武家さんの息子さん? ですか?」
「そうよ……じゃない、そうだ。俺は武家の息子なんだが、普通に城とかで地味に働くのが馬鹿らしく思えてきてな。あー、戦の腕だったらなー。強いんだけどなー。働きたくないでござるなー」
酒でも入っているようなダルダルしたその空気感に、周りで聞く人々の思いは一つになった。「これは面倒なやつだから、話せる人に任せよう」。茶屋娘が頬に汗をかきつつ切り出す。
「そ、そういえば、同じような悩みを持ってる人が以前もいましたよ。その時はその場にいたお坊さんに悩みを聞いてもらってたっけな!」
「お、おうそうだな。彼がいれば大丈夫だろう、話を聞いてくれるはずだ。今日はまだいないのか?」
「お、俺呼んでくるぜ。多分来てくれるだろう」
ピオニー扮する武家の息子の絶妙に絡みたくない感じが功を奏し、客の一人がバタバタと外に出て行った。件の坊主を呼んでくるらしい。それはオブリビオンの疑いが極めて強い存在だ。
(うまく行ったわね。しかし……そんなに嫌がられるものかしら……)
釈然としないものを感じながら、ピオニーはちゃぶ台に突っ伏し世への不満をブツブツと言い続けた。
大成功
🔵🔵🔵
八田・阿須摩
SPD
町外れの、茶屋
辿り着くまで時間がかかった…疲れた…
陽が落ちる前に辿り着けて良かった
お茶と団子をお願いしようかな
店に居る客や店員を眺めながらどんな客層が多いか観察する
店員に最近どんな客が多いか聞いてみるのも手かな
後は、お坊さんが居るならそれとなく近くで動向を探るかな
話が出来るなら話をしてみよう
お坊さんなら悩みを聞いて貰えそうだし
俺の悩みは目的地に辿り着く事が困難な事なんだ
食いついて来ないなら
やりたい事が制限あって中々出来ないって事を相談してみよう
坊さんが傾奇者達をけしかけることになった切欠みたいな説法をし始めたらこっちのものだよね
話に食いついた振りで色々話を聞き出そう
「あぁ……はぁ……ここが茶屋か……疲れた……」
阿須摩は息を切らして茶屋に辿り着いた。街外れに来るまで時間がかかってしまったが、どうにか陽の落ちる前に辿り着けたようだ。
「頼もう。お茶と団子をお願いするよ」
「はい。少々お待ちください」
彼は座布団に座ると息を整える。近くにいた茶屋娘を捕まえ、近頃の客層を尋ねてみることにした。
「この店は……結構街の外れにあるが、儲かってるかい?」
「え? あぁ、はい。贔屓にして頂いてますね」
「そうなんだね。例えばどんなお客さんが最近来るんだい?」
「最近は何かとお武家さんの息子さんとかが来ますね。それと、相談に乗ってくれるお坊さん。あ、ほら。噂をすれば……」
茶屋娘が店の入口を見ると、背の高い袈裟を着た男が立っている。それを見た瞬間、阿須摩は察した。オブリビオンだ。
「……俺も、ちょっと相談したいことがあるんだ。ちょっと聞いてくるよ」
「え? あ、は、はい。どうぞ……?」
彼は入り口に佇む男に近付く。男――オブリビオンもちらりと阿須摩を睨む。
「お坊さん。何でも悩み相談をしてくれるらしいね。聞いてもらいたいことがあるんだが」
「……拙僧は、そのような大層なことなどした覚えはない。だが悩みを聞く程度のことはできよう」
会話自体は和やかであるものの、両者の間には明確な敵意が渦巻いていた。周囲の客も剣呑な雰囲気を感じてか、遠巻きにそれを見ている。
「俺の悩みは目的地に辿り着く事が困難な事なんだ。ある事件を追っていてね、それを起こした奴を探したいんだが……それがどこにいるのかわからない」
「ふむ……道とは目的地を目指す故遠く長く見えるもの。歩き続けることに注力すれば、千里の道も遠からぬ。何より――」
男は持っていた錫杖を突然阿須摩に向けて振り下ろした。彼はそれを避け、刀に手をかける。
「――お主の目的地は最早目の前にあろう?」
僧は。オブリビオンは、猟兵に対し武器を構えた。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『仮面の武僧』
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POW : 末世読経
予め【読経を行う】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD : 狛犬噛み
自身の身体部位ひとつを【狛犬】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ : 金剛力士の招来
戦闘用の、自身と同じ強さの【金剛力士(阿形)】と【金剛力士(吽形)】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「戦を知らぬ未熟者 転じ転じて傾奇者
穢れを知らぬ眼差しも 夢を写せばうつけ者!」
僧は足をダンと踏み鳴らす。舞を舞うように錫杖を回し、もう一度、強く地面を蹴る。
「されど元より鳶の子 役に立たぬは必定か……。引き寄せたるは天下自在 嗚呼是全く無価値に候……」
錫杖を地面に突く。再びドン、と大音声が鳴り響く。唄を歌うような語り口でしばし語っていた僧は動きを止めると、懐から仮面を取り出しそれを着ける。
「猟兵だな」
一際低い声でそう呟いたかと思うと、彼は錫杖で近くにあったちゃぶ台を叩き壊した。いよいよもって危険な空気を感じた客達が慌てて入り口から逃げていく。
「イヤァーーッ!」
再び錫杖を振り回す。その武器はおおよそ茶屋内のどこにでも届くだろう。猟兵たちは隠れる場所の少ない狭所での戦闘を余儀なくされる……!
エスタシュ・ロックドア
はっ、そんなうつけだか鳶だかにしか声を掛けなかったのがいけねぇんだぜ
俺に声をかけてくれりゃ良かったのによぉ
……ま、俺ぁたかがカラス、だがな
さて、十王サマの御前に引っ立てるまでもねぇ
俺が六道最下、地獄道への直行便だ
燃えろ。
隠れるまでもねぇ、正面からぶちあたるぜ
『ブレイズフレイム』発動
【範囲攻撃】で敵を炎にまく
それ以外を燃やさないように気を付けてな、茶屋が燃えたら面倒だ
そっから【怪力】【鎧砕き】のフリントでぶった斬る
……茶屋ごと斬ったらすまん、弁償はする
攻撃喰らったらその傷から『ブレイズフレイム』追加だ
至近距離で燃えやがれ
三上・チモシー
現世の苦しみを和らげるのは僧侶の役目
でも、それで他人に迷惑をかける輩が増えるなんて言語道断
っていうか、どうせお前がなんか教唆したんでしょ
自分は破戒無慙な破戒僧だけど、間違った救済を見過ごすことなんてできない
【POW】で勝負
読経した後の動作には注意してできるだけ攻撃を避け、敵が武器を振った直後の隙などを活かして接近
1回2回攻撃が当たるのは覚悟の上。なんとしてでも直接殴る
最接近できたらグラップルで掴みかかり、怪力を乗せて確実に【灰燼拳】を当てる
他の猟兵の攻撃の妨げにならないよう気をつける
可能なら連携も
「現世の苦しみを和らげるのは僧侶の役目。でも、それで他人に迷惑をかける輩が増えるなんて言語道断! っていうか、どうせお前がなんか教唆したんでしょ!」
「フン。某かの幸福は他者の不幸。餓鬼共の愉しみが他者とぶつかった、それだけの事よ」
チモシーは僧に話しかけつつ、その隙を伺っていた。しかし敵はなかなか隙を見せず、また仮面の影響によりその視線も伺えない。
戦いにおいて視線が意味するものは大きい。どこを狙っているか、どこが死角であるのか。視界を狭めるという弱点はあるが、仮面のメリットは近距離戦で特に大きくなる。
そして、予備動作を廃した動きで僧が錫杖を振るった。チモシーにとってそれは回避するのが精一杯で、その隙を突きに行くことは難しい。
「はっ、そんなうつけだか鳶だかにしか声を掛けなかったのがいけねぇんだぜ。俺に声をかけてくれりゃ良かったのによぉ」
「笑止。汝ら猟兵と我らは不倶戴天の敵よ」
「はっ。そりゃ違いねぇ……なっ!」
エスタシュは薄く笑い、その右腕を裂いて現れる炎を男の周囲に撒いた。火種もないというのに地面が燃え、やがてそれが男の袈裟や店の畳にも燃え移っていく。
「さて、てめぇは十王サマの御前に引っ立てるまでもねぇ。俺が六道最下、地獄道への直行便だ……燃えろ」
「地獄道……か。ふ……温し。温し、温し!」
火で焼かれれば動かざるを得ない。そうすれば隙も生まれるだろう……そう読んだエスタシュだったが、しかし男はその場を動かない。
「一切衆生煩惱油故不入涅槃!」
そのまま男は炎の中で読経を始めた。それは単に熱さに耐えるため無心になろうとする試みではない。経を読み進めるにつれ、彼の発する圧力に重みが増してゆくのだ。
「させるかよ!」
こうなればもはやこちらから攻めざるを得ない。エスタシュは大剣フリントを振りかぶり、怪僧を真っ二つにしようと斬りつけた。
「カァァッ!」
男は右手の錫杖でそれを辛うじて受け止める。だがこれで、武器は塞がった。左手側から攻めるのはチモシーだ。
「行っくよ〜!」
チモシーはその拳を男に叩きこもうと走る。狙うは肋。人体の骨を砕きやすい地点。あと二歩、踏み込めば叩き込める……その瞬間、僧は左手の手刀を彼に振り下ろした。
「イヤァーーッ!」
「おわっと!?」
鎖骨を狙ったその一撃を、チモシーは両腕で防がざるを得なかった。そのまま万力のように力を込める男を前にして、思うように身動きが取れない。
「イヤァッ!」
続けざまに男はフリントと拮抗させていた錫杖をずらし、エスタシュの体勢を崩させる。杖を引き戻し、彼の喉元にその先端の刃を突き刺した。
「ぐっ……!」
僧はそれを見て、彼の一時的な無力化を確信しただろう。少なくとも数秒は攻撃は来ない、と。男はチモシーの側に注力しようとエスタシュに背を向けた。
「どっち向いてやがる。火炙りの追加だぜ」
傷つけられたエスタシュの喉元から、再び勢い良く地獄の炎が吹き荒れた!
その熱風に押される形で僧は前に二歩ほどよろめく。そして、その二歩はチモシーが詰めたかった二歩であり、男が離しておきたかった距離である。
「今度こそ食らわせる!」
チモシーは男の胸元を掴んで逃げられなくしてから、その心臓部に拳を叩き込んだ。
「グアァーーッ!」
男は吹き飛ばされ、そこにあったちゃぶ台が破壊される。受けたダメージはそう軽いものではないだろう。……僧はゆっくりと立ち上がり、再び無言で錫杖を構えた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
遠呂智・景明
アドリブ、他者との連携絡み歓迎
上等だコラ。狭い方がやりやすいっての!
【風林火陰山雷 火の如く】を発動。
【ダッシュ】【地形の利用】【フェイント】【残像】を用いて高速で部屋の中の壁や床を縦横無尽に駆け巡る。
この身に纏った炎は伊達じゃねぇぞ!駆け巡りつつ【見切り】で敵の隙を見つけて【2回攻撃】による連撃を放つ。息付く暇さえ与えねぇよ!
平和を享受してる連中を唆して戦場に向かわせようたぁ言語道断。てめぇの説法に聞く価値はねぇ。
だからここで俺らがてめぇを始末する。
「ふん、上等だコラ。狭い方がやりやすいっての! ――侵略すること火の如く。燃え盛る炎の如き一撃を見せてやるよ」
景明の両肩より火柱が上がる。それは不死鳥の翼のようであり、事実それは相応の機動力を彼に与えていた。
炎の揺らめきを残し、彼の姿が掻き消える。鉄と鉄、刀と錫杖がぶつかり合う音が響く。炎を纏った刀はその錫杖を熱し、それを持つ僧の手を灼く。
「ヌゥ……!」
「平和を享受してる連中を唆して戦場に向かわせようたぁ言語道断。てめぇの説法に聞く価値はねぇ……だから、ここで俺らがてめぇを始末する」
「できるものかな。この私を!」
錫杖で刀を止めつつ、男は蹴りを放つ。その足先はいつの間にやら狛犬の頭へと変じており、景明の懐に牙を剥いた。
景明は鍔迫り合いしていた錫杖を軽く弾き、その場から後ろに下がる。狛犬による攻撃を回避すると、彼の身に纏った炎がさらに燃え上がった。
炎がますます激しく揺れ動き、同時に彼の輪郭が蜃気楼のようにブレる。相手の視認を揺らがせた後、景明は壁に天井にと縦横無尽に駆け回った。
男は仮面をつけている。それ故、視界が常に狭くなっている。その男に対し、自身の位置を掴ませぬ高速移動は非常に効果的であったといえよう。僧は景明を見失い、そして彼から放たれる炎の斬撃に対しても対応が後手になったのだ。
「チィッ!」
八方から放たれる斬撃を次々に錫杖で弾く僧ではあったが、それは自らの近くに来たものを反射的に対処しているに過ぎない。肝心の景明の本体への警戒は無に等しくなっていた。
その頃合いに放たれたのは、壁を蹴って勢いをつけての刺突。これも反応の遅れた僧はついに防御をし損じた。錫杖をすり抜け、その刀が彼の右肩深くに突き刺さる。
「グワッ!」
それは武器を握る要であり、攻撃と防御に必須な部位である。肩を穿ったことが彼に与えたダメージは非常に大きい。
「さぁ、年貢の納め時だぜ」
「……笑止! 我が力、未だ翳りなし!」
僧は左手で刀を掴むと、一息でそれを無理やり引き抜く。その刀を握る景明ごとそれを放り投げると、遅れて右肩の傷口から血が迸り、茶屋の畳を赤く染めた。
大成功
🔵🔵🔵
ピオニー・アルムガルト
ちょっとお店の中が壊れるのはいただけない。
お店が壊れてこんな美味しいお団子を食べれなくなったら、みんな悲しいでしょ?(私、このお団子頼んだっけ?まあいいか!)
目標は短期決戦か店外に戦いの場を移そうと努力するわよ。
【地形の利用】【ダッシュ】で仮面の武僧の背後を取る。見た感じかなりの手練れ、簡単にはいかないと思うけど【戦闘知識】【情報収集】も活用していくわ。
背後に回れたら敵を煽りながら店外へ。そこからは苦労した分、技能てんこ盛りでウィーザード・ミサイルを撃ち込んでやるわ!
自分の価値は自分で決めるものよ。勝手に貴方の基準で無価値とか決めないで貰えるかしら?
八田・阿須摩
あーあ
ったく、茶屋は和気藹々と甘味と茶を楽しむ所だ
暴れる場所じゃあ無い
何を引き寄せたかったか知らないが、その縁、断ち切ってあげよう
錫杖を持つ腕、読経する喉元を中心に狙う
それから足
どれも決定打にならずとも読経や攻撃の邪魔にはなるからね
読経する間も金剛力士を喚ぶ暇も与える気は無いよ
錫杖は注視して避けるか刀で受け止める
狛犬は問答無用で斬り捨てる
心は痛いが治療されると此方が困るんだ
客や店員に被害が及ばぬように庇う事も忘れない様
立ち回る
奥に行くか、できれば外へ逃げて欲しい所だな
…巻き込んで済まない
他の猟兵の邪魔はせぬよう
連携出来るようならする
一人で勝てる相手じゃないし
戦闘が終わったら茶屋の片付けしないと
ハルピュイア・フォスター
アドリブや絡みはOK
こちらにも悪い子がいました、こっちは暗殺暗殺しちゃっても良いよね…うるさいし…。
隠れる場所の少ないけど迷彩と目立たないで相手から視認を難しく
また牽制や仲間のフォローはフック付きワイヤーで行う
昔のわたしと似てるかも知れないけど…貴方の幸福を食べても文句はないよね…。
敵が仲間を攻撃中に殺気と恐怖を与えるで一瞬でも躊躇したら儲けモノ
基本はヒット&アウェイで攻撃、隙が出来たならLast memoryと鎧無視攻撃の合わせ技で暗殺
危険な反撃は逃げ足とダッシュの併用で回避も忘れずに
ところで茶屋の修理…誰がするの…ぁお茶とお団子1つ下さい。
続く戦いによって茶屋の内部はすでに荒れ果てていた。無事なちゃぶ台は二、三台といったところで、畳や天井の木組みは炎で煤け、辺りに血液が飛び散っている。
「あーあ……ったく、茶屋は和気藹々と甘味と茶を楽しむ所だ。暴れる場所じゃあ無い」
「まったくよ。お店が壊れてこんな美味しいお団子を食べれなくなったら、みんな悲しいでしょ?」
恐らく彼女が注文したわけではない団子をムシャムシャ食べつつ、ピオニーは僧に抗議した。僧は右肩をしばし左手で押さえていたが、やがてそこから流れ出る血液が止まると再び両手で錫杖を構えた。
ピオニーは攻めあぐねていた。彼女の用いる魔法では攻撃範囲が広くなり、周囲の猟兵を巻き込んでしまいかねないためだ。しかし彼女のいる位置は店の奥側。外に出るためには僧の後ろに回らなければならない。
「何を引き寄せたかったか知らないが、その縁、断ち切ってあげよう」
阿須摩はピオニーに一瞬目配せすると、僧の眼前に迫った。すかさず僧が彼を錫杖で打ち据えようとするが、右切り上げの刃でそれに応じる。再び鉄と鉄が激しくぶつかり合う。
先程からの攻撃を防御し続けたことが災いしたか、或いは阿須摩の刀『卯ノ花』が纏うユーベルコード由来の力を受けてか、僧の錫杖に亀裂が入る。
阿須摩はそのまま姿勢を急に下げ、足払いを放つ。僧は高く跳んでこれを回避し、逆に彼の首筋めがけて空中で蹴りを入れようとした。
しかし、それは叶わない。彼の足には細いワイヤーが巻きつき、一瞬その動きを抑えたためだ。その隙に阿須摩は体勢を立て直すと、片足を取られたままの僧に袈裟斬りに刀を振り下ろす。
「小癪!」
僧は全力で地面を蹴りつけてワイヤーを無理に引き千切ると、再び錫杖で阿須摩の刀を防いだ。亀裂がますます大きくなる。
錫杖に防がれた刀を滑らせるようにして、阿須摩は僧の首に向けて刺突。これに対し僧は錫杖をさらに体の上に持ち上げ、その刀の軌道を喉元から肩口にずらした。
「厄介だな……疲れるし、やっぱり一人で勝てる相手じゃなさそうだ」
そう、一人で彼に立ち向かい、そして勝つのは容易ではないだろう。それだけの使い手だ。だが、彼ら猟兵は一人ではない。
「今のうちっ!」
二人の斬り合いが一旦の硬直状態に入った瞬間、ピオニーは姿勢を低くして走った。目指すは茶屋の外。遠慮なく魔法を叩き込める場所だ。
「逃がすと思うてか。イヤァァーーッ!」
僧は錫杖から左手を離すと、それを彼女に向けた。その指が牙となり、手の甲が獣の頭となる。その手は狛犬の頭に変じただけでなく、ひとりでに伸びていく。意志を持つ獣のように暴れ狂い、ピオニーに食いつこうとする。
「くっ!」
阿須摩は刀を引き戻すが、今から狛犬を斬るのでは一手遅い。走るピオニーの足に犬の牙が食らいつく――その直前、再び細いワイヤーが雁字搦めにその頭を拘束した。
これにより、一手は埋まった。阿須摩は全力で狛犬の頭を斬り落とす。鮮血が舞い、僧は左手首から先を失った。
「……鼠が……いるようだな……」
ともかくも、ピオニーは無事に僧の横を通りぬけ屋外に出た。
「ふぅ、危ない危ない。さて、貴方! さっき無価値がどうこう言ってたけど、自分の価値は自分で決めるものよ。勝手に貴方の基準で無価値とか決めないで貰えるかしら?
さぁ、いつまでもお得意の店壊してないで出てきなさいよ。表に出ろ! って奴ね!」
「フ……よかろう」
僧はゆっくりと阿須摩に背を向け、屋外のピオニーを睨む。が、その足は前に出ることなく、彼はその場に膝を着き左手で地面を叩いた。
「ただし、表に出るのは我の化身よ」
すると茶屋の入り口に、阿吽の金剛力士像が出現した。それらは非常に優れた耐久力を持つ動く石像である。像は両者とも、同時にピオニーに向かって走っていく。
「ふん。二体いるなら二倍お見舞いしてやるわよ!」
彼女が杖を掲げると、炎を纏う矢が無数に力士像目掛けて射出される。石像は腕を交差してその火矢の嵐を耐えるが、その歩みを止めさせられ、そして受けた傷が徐々に増えていく。
矢を撃ち尽くした頃、力士像は腕が欠け、羽衣が欠け、腰部分が欠けていた。もはやほとんど動くこともままならない、次のウィザード・ミサイルで完全に壊すことができるだろう。ピオニーは次の詠唱を始める。
「随分あっちにご執心じゃないか?」
だが、第二波を待つまでもない。屋内の阿須摩は僧の背後を取っている。その背を斬り付けると、ユーベルコードの効果が消え、二体の力士像は消滅した。
「フ……貴様の攻撃は元より承知の上よ!」
僧は膝をついた状態から前方に向かって跳んだ。純粋な脚力のみで、彼は一息に屋外のピオニーの眼前まで迫る。その左手には錫杖、そして彼女は未だ詠唱中。その頭蓋を砕くべく、男は錫杖を振るう。
「ようやく……出てきてくれた……」
僧による突撃を見越して動いていたのはハルピュイアだ。先程まで姿を隠し、屋外からワイヤーによる防御と牽制を行っていた彼女は、敵が外に出てきたことで、ようやく彼女の攻撃――暗殺の射程距離に入ったのだ。
「忍……か……!」
「あなたの夢をいただきます」
完全なる死角。完全なる油断。ピオニーを仕留め切れると僧がその気を緩ませた瞬間。ハルピュイアは彼の延髄に、月虹の瞬きを突き立てた。
「ぐぐ……が……」
骨がゴキリと折れ、僧が白目を剥く。いかにオブリビオンであろうとも、その構造は人間。耐えられるはずもない。
「フ……フ……猟兵……見事……なり!」
僧は息絶えた。そこには彼なりに猟兵を認め、戦った矜持があったのだろう。恨み言の一つも言うことなく、死んでいった。
「昔のわたしと似てるかも知れないけど……貴方の幸福を食べても文句はないよね……」
「いやー、ビビったわ。でもまぁ一件落着ね」
「うん……ところで茶屋の修理……誰がするの……? ぁ、お茶とお団子1つ下さい」
「そりゃ君……俺らでやるしかないよね。お茶と団子はその後だ」
「えぇ……」
乗り気でないハルピュイアを差し置いて、阿須摩とピオニーは荒れに荒れてしまった茶屋の片付けを開始した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵