6
そんなシャレは…やめなしゃれ

#キマイラフューチャー

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#キマイラフューチャー


0





「俺、目力あるだろ?マスカラつけてますから!!」
 怪人が叫ぶ。
 キマイラたちの表情が凍りつく。
「俺今日朝食忘れてきちゃってさー、超ショックだぜ!!」
 怪人がまた叫ぶ。
 キマイラたちが数歩引く。
 『新春初笑い 一発芸コンテスト』のステージを占拠した怪人はただひとりテンションが高かった。
「ひぇはははは!どうだ、面白いだろ!?俺のギャグが。さあ、お前らも早くシャレを言いなしゃれ!!なんつってな!」
 怪人の笑いが周辺に響き渡る。しかし彼は気づいていなかった。自身の言うダジャレを面白がっているのが自分だけであることを。そして、周囲は誰ひとりとして笑みを浮かべておらず、空気を凍りつかせていることを。


「自分のダジャレが一番だと自負して止まない怪人が出没したのであります」
 一方、ここはグリモアベース。ノエラ・ビュイヤール(碧水のマジックナイト・f09610)は周囲にいる猟兵たちに説明を始めた。ダジャレ?一部の猟兵たちは小首を傾げた。
「はい、詳しく説明するであります。舞台はキマイラフューチャー。とある街の中心部で『一発芸コンテスト』というイベントが開催されていたのでありますが…」
 ノエラは腕を組んだ。
「そこに乱入した怪人が一発芸のつもりでダジャレを連発し、場を凍りつかせているのであります」
 彼女が言うには、現れた怪人はタコのようなカニのような奇妙な姿をしており、今の所目立った大きな人的被害こそ出ていないが、もしこれが牙を剥いてくるとすれば、その触手やカニ足で攻撃してくることだろう。
 さらに、これまでの目撃情報によれば、この怪人、どうも自分のダジャレが誰のものよりも面白いという想いが強いようで、これまでも色々な場所に乗り込んでは、同じことを繰り返しているとのこと。
「かと言って、単に我々が乗り込んで無理やり止めるというのも、それはそれで雰囲気が良くないであります。せっかくの『新春初笑い』の場が台無しであります」
 怪人のダジャレですでに幾分か台無しになっているというのはまあそのとおりなのでありますが──ノエラはそう言いつつぐっと拳に力を入れた。

「というわけで、怪人より面白いダジャレを弄して対抗しようというのであります!ダジャレ対決であります!」

 怪人より面白いダジャレを弄する。これにより怪人が怒って牙を剥いてくれば、こちらとしても彼を力で制する理由ができる。彼女の思惑はこうだった。
「会場の近くまでは自分が送るであります。このノエラに任せておけば問題なし、ノー・エラーであります!」
 ハッと思いついたように付け加えたノエラの周囲を数秒、猟兵たちの沈黙が包んだ。
「……コホン、というわけで、頑張ってきてほしいであります。期待しているでありますよ」


比留川資源
 こんにちは、比留川です。
 皆様が冒険を楽しめるよう精一杯お手伝いさせて頂きたいと思います。

 ダジャレは好きですか。

 ダジャレ好きの怪人にステージ上で対決を挑んで頂きます。うまく怪人を負かすことができれば、その後は怪人を追い詰め、戦闘、という流れになるかと思います。

 皆様の面白いダジャレ、お待ちしております。
47




第1章 冒険 『アイドル合戦!』

POW   :    力強い動きや熱唱などで、格好よさをアピール

SPD   :    素早い動きや洗練された歌などで、華麗さをアピール

WIZ   :    舞台や衣装、演出などに、工夫を凝らしてみる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

千手院・ソワカ
これは…微笑み力(ぢから)の高まりを感じますの。
きっと猟兵の冒険史上、最もハードな戦いとなりますわ!

くだんの怪人、かなりのやり手ですわね。
え? 場が凍っている? は? なんで?(憤怒)

『ありがたそうな経典』をやおら取り出し、厳かな雰囲気を作ってから戦いに挑みますわ。
笑いにおいて感情の落差やギャップとは重要なファクターですの。

「全く、一人で微笑みダジャレを連発するとは…。御仏が聞いたら"ブッダ"おれますの、HAHAHA!」
「イカがタコつぼに間違えて入って、こう言ったそうですわ。 "くらいけん"。HAHAHA!」
怪人には満面のドヤ顔で格の違いを見せつけてやりますの!



●猟兵の乱入
「ひぇは、ひぇははははははは!お前らなぁにボーっと見てるんだァ、棒みたいにさァ!?」
 『新春初笑い 一発芸コンテスト』のステージ上、タコのような脚をくねらせがら、怪人はヒートアップしていた。一方、彼を除く者たちの周囲は何とも言えぬ空気に包まれ、スタッフは唖然、観客は黙然、その他通行人は冷然として足早にうち過ぎるばかりである。
「そーォか、俺のダジャレをもっと聞きたいんだな!!よォし見てろ、俺のダジャレフォルダが火を噴くぜェ!」
 そうして、怪人が一歩踏み出したのと同時のことだった。
 
「全く、一人で微笑みダジャレを連発するとは…。御仏が聞いたら"ブッダ"おれますの、HAHAHA!」

「ぅおっ」
怪人が声のもとに振り返ると、そこには千手院・ソワカ(破戒僧ガバ勢・f00994)が腕を組み立っていた。乱入者の登場に怪人は一瞬面食らうが、すぐに声のトーンを落とし、数歩歩み寄りながらドスをきかせるかのように発する。
「ほほーォ、仏とブッダを掛けたってわけかァ。悪くねェ、悪くねェが、見たところお前、どっかの尼さんか何かみてェだなァ。お前みたいなのがそういうモンをダジャレにしていいのかァ?」
「ええ、御仏的にもオールオッケーですわ!」
 ソワカがけろりと言ってのける。いいんだ──そう思ったかどうかは定かではないが、怪人は挑発を重ねる。
「仏だけに"ほっとけ"ってかァ。だったらお前、ここにいるヤツらを笑わせるような面白いモンを持ッてるんだろうなァ?」
 その言葉を聞くと、ソワカは懐に手を入れ、巻物のような筒状の紙を取り出す。
「笑いにおいて感情の落差やギャップとは重要なファクターですの」
 空気、感情、言葉。当人が意識するせざるを問わず、それらの間には時にズレが生じる。そしてそのズレこそ笑いを生み出すために大切なものの一つであるというのが彼女の持論のようだ。
 怪人が出方を窺う中、ソワカは紙を両手で広げ、深くゆったりと息を吸い、間をたっぷりと取り、そして──言った。

「イカがタコつぼに間違えて入って、こう言ったそうですわ。"くらいけん"。HAHAHA!」

 ソワカの笑い声が響く。観客側からは、あぁー、という納得の声がぱらぱらと聞こえたような気がした。
 やってやった──ソワカの表情にはそんな台詞の聞こえてきそうな、大いなる自信が零れ落ちそうなほどに満ち溢れていた。
「…あ、あぁ、つぼに入ったから暗いけん、で、くらいけん、クラ…ケン、クラーケンってか!は、ははっ、なかなかやるじゃなイカ、このタコってなァ!」
 彼女のダジャレは、怪人の心を幾分かくすぐったようだ。しかし、怪人はまだ退散するような素振りを見せない。
 果たしてこの後、これを超えるダジャレが猟兵、ないしは怪人から出てくるのだろうか?

成功 🔵​🔵​🔴​

神羅・アマミ
「『その化粧品、どこのメーカー?』SHE SAID」「ついでに夕食逃してYOU SHOCK」
ルーズなパーカー、キャップにグラサン、無駄にゴテゴテした金アクセで登場。
怪人のシャレに被せるように仕掛けるがどうも様子がおかしい…そう!新感覚ラップバトルだ!ブンブンチキブン、ブンチキブン。

「入れるぜフェアリー、合いの手YO!SAY!」「声が小さい、要請YO!SAY!」
観客アゲアゲ、怪人タジタジ。
本当に?

「俺は地元じゃ知られたBUSTA、昼飯たっぷり食ったぜパスタ」「やめとけWANNABE、俺が好きなお餅はワラビ」「キメるぜRHYME、料理に使うはスダチとカボス」
早い段階でネタが尽きてきてすぐ雑になる。



●戻りつつある熱気

 猟兵の乱入で、怪人のペースが一度は断たれたステージ。次いで登場したるは──。
 
「YO、夕食のがして"YOU SHOCK"」

 小柄な身体をリズミカルに左右させ、神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)は作ったような低めの声で開口一番ジャブを入れる。
「んおっ、なんだお前その格好はァ?」
 怪人が呆気に取られるのも無理からぬ話だ。現れた少女が身を包むのはダボっとしたストリートファッション。重そうな金のネックレスを首からさげ、黒いキャップを深くかぶる様は、いかにもなビー・ボーイ、否、ビー・ガールとでも言うべきか。
 
 ──Boom boom kick boom, boom kick boom.──
 
 アマミは怪人と観客が見つめる中、その動きを一層大きくさせながら口でビートを刻みだす。
 
「Chek it out!入れるぜフェアリー、合いの手 YO!SAY! 声が小さい、要請 YO!SAY!」

「お、おい、妖精は"よせ"って…」
 突如起こった自体に、先程まで己のダジャレに酔っていた怪人の声もそのペースに飲まれ、細い声を出すばかり。
「俺は地元じゃ知られたBUSTA、昼飯たっぷり食ったぜパスタ」
「お、ま…」
 止まらぬverse 唯一のheads。
 リリカルsense bro and sis。
 MCアマミのグルーヴを目にした観客の中には小さく頭を振る者も数人ほどだが出てきはじめた。
「やめとけWANNABE、俺が好きなお餅はワラビ」
「ま、待てまてまてまてェ!?それはお前、韻は踏んでるがァダジャレとはちょっと違うんじゃァ…」
「キメるぜRHYME、料理に使うはスダチとカボス」
「聞けェ!?」
「ドゥンッ!」
 M.C.アマミは怪人の言葉も聞かずに、口で刻んでいたビートを締めて決めポーズを取る。そして一秒と経たないうちにスタスタとステージを下りていった。
「いきなり終わるんかィ!!」
 観客の一部も同じことを思ったのか、怪人とシンクロして、支えを外されたように前にのめる動きをする者もいた。
 少女による数分のラップライブが成功だったか否かは意見が分かれるところかもしれない。しかしながら、四つだろうか五つだろうか、観客の中から拍手が聞こえる。凍りついていた空気が、徐々にではあるが、ちょっと元の方向性と異なる気もするが、ほぐれつつある証左であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

須藤・莉亜
「ダジャレで勝負ね、腕がなる」
他の人たちもなかなかのやり手だね…。僕も負けてられない(キリッとした顔)

まずは眷属の蝙蝠を100匹召喚。
「蝙蝠がいっぱいでバッツぐんのかっこよさでしょ?」

そして流れるようにポケットからアルミ缶とミカンを取り出し
「アルミ缶の上にあるミカン」
これでトドメだ・・・。
ダメなら象の装飾が入った草履を怪人に投げつけてやる。
「象のゾウリ…なんちゃって」



●不敵な一撃
 一発芸コンテスト会場のステージ上、タコ足の怪人は言う。
「なんだったんだ一体ィ。華麗に登場して俺を越えそうなインパクトを…。華麗、カレーだけに、"なん"だったんだァ?」
 猟兵たちの登場に動揺を見せるが、それでもダジャレを繰り出すことは忘れない。一方、観客の中にも同じく動揺する者が多かったが、猟兵が乱入する前の極めて冷めていたた視線はかなり和らいでいるように見えた。
 
 そして、続いての挑戦者が、緩々とした足取りでふらりふらり登場する。
「ダジャレで勝負ね、腕がなる」
 須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)はいかにも舞台映えしそうな長身と、血の通いを感じさせない生白い肌の持ち主だった。
「あん?お前もなんだ?ダジャレをキメに来たのかァ?」
「うん、他の人たちを見て、僕も負けてられないと思ってね…」
 莉亜は俯き加減のまま怪人を覗き上げて答えると、ふふ、と小さな笑いを添えた。
「ほォ、だがお前、見るからに頼りなさそうな顔してるなァ。大丈夫かァ?俺は怪人だぜェ?九字でも切って追い払うつもりかァ?『臨、兵、闘、者、"怪、人"、列、在、前』とか言ってさァ」
 先程までと比べて分かる者が限られそうなダジャレで挑発を仕掛ける怪人に対し、色の白い青年は口角を上げ、両手を天に掲げた。すると。
 バサッ、バササッ。
 どこかで翼が風を切る音がしたかと思えば、その音の数は急激に増える。一つ二つが十重二十重になり、一呼吸ほどの時が経った頃には、すぐには数えきれないほどのコウモリがステージの上空を覆うように集まっていた。それを見る観客たちには、驚く者が、恐れる者が、場を離れる者があった。
「なっ、何を…?」
 突如広がった不穏な状況に、さすがの怪人も身を構えるばかり。血に飢えたコウモリたちが不吉な鳴き声を上げる。初笑いのためのステージが、この街中が、惨憺たる血の舞台に変貌を遂げるのだろうか。
 用意が整ったと判断したのか、莉亜は両手を下ろし、不敵な笑みを浮かべた。
 そうして発した言葉は。

「コウモリがいっぱい…"バッツ"ぐんのかっこよさでしょ?」

 沈黙、数秒。そして、一部の観客からは『あぁー』という声。
 コウモリ、つまりbatが何匹も…batsである。
 獲物を探すように力強く飛び回っていたコウモリたちが、へろへろと力なく落ちては異なる空間へと消えていく。おそらく、そのいずれもが全く同じ心境であったことだろう──『それを言うためだけに呼ばれたの!?』という。

 莉亜は余りに激しく変化する展開に混乱した怪人に歩み寄ると、腰のポケットから一つの缶を取り出し、怪人の足元に置いた。そしてもう一方のポケットからミカンを取り出し乗せると、怪人の目の前に顔を近づけた。
 
「…アルミ缶の上にあるミカン」

 それだけ呟くと、莉亜は怪人を背に静かに歩き出し、何かを怪人に向けて放り上げる。とっさに怪人が受け止ったそれは草履だった。象のマークがあしらわれていた草履だ。
「象のゾウリ…なんちゃって」
 彼の一つの勝負は、その小さな一言をもって仕舞いとなった。

 なお観客のウケは、そこそこであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ナズヴィ・ピャー
ふむ…駄洒落ですか

●スタイリッシュに駄洒落
「博士」が謎データを追加していましたが、まさかこんな所で役立つとは…
データ名:パフォーマンスと催眠術…恥ずかしさ耐性…?

データ読み込み…起動

・バックスライドでステージに入場
裏に落ちてたお手玉(大量)でしばしジャグリングを披露
データによるとジャグリングと語りで視線と思考を誘導するとか何とか
…催眠術とやらは凄いんですね

はいどうも、ナズヴィです
これから「皆さん」に「笑い」が「止まらなくなる」駄洒落を一つ…

問:ターンを連続で決めようとして転ぶ妖怪は何か
答:たんたんころりん

なるほど…耐性が必要になるわけですね
一つ、と言ったし一発屋と言うことで退場しましょう



●新たなる喜劇

 次々と乱入しては個性的で鮮烈なダジャレを叩きつけていく猟兵たち。しかしながら、怪人はいまだ退く様子を見せない。そんな彼の前に、また新たな猟兵が現れる。ぴょんとステージ上に飛び乗ったのは。
「はいどうも、ナズヴィです」
 小柄なミレナリィドールの少女、ナズヴィ・ピャー(不忠犬ナズ公・f03881)は抑揚のない声で名乗りを上げ観客席を正面にし、ステージを見上げる観客たちを端から端へと眺める。すると。
 
(データ読み込み、起動──)
 思考回路に伝わる信号を受け、彼女は小さな片手に収まるほどの大きさの球をいくつか取り出す。青、赤、黄、色とりどりの球。何が始まるのかと全ての者が見守る中、ナズヴィはそのうちの一個を小さく放り上げた。その球が彼女の頭上を右から左へ越えようとしたところで、その動きを追わせるように別の球を放り上げる。そうして、同じインターバルで一個、また一個。いつしか全ての球が乱れなく同じ軌道を描いて舞い、元の手に帰っては再び飛び出す、動く芸術がそこに存在していた。
「…はい」
 ナズヴィは表情を変えぬまま、時にはピストンのように交互に真上に、時には8の字を描くように、そして時には噴水のように中央から分かれるように両端へ、色とりどりの球を両手で器用に操る。機械人形なるがゆえの精密で危なげのないパフォーマンスに、観客席からもおおっ、と声が上がる。ほとんど全ての観客が、怪人よりも、隣の少女が操る球に釘づけになっていた。
「ははァん、確かに見事なジャグリングだがしかし、それで俺を超えられるなんて思っちゃァいないだろうなァ?どんな芸も、ダジャレの前には無力だァ。俺の素晴らしいダジャレで、お前を手玉に取ってやるぜェ?ジャグリングだけになァ」
「では…」
 怪人の挑発を聞いているようないないような態度のナズヴィが、再び平たい調子で口を開く。
(観客の視線固定レベルしきい値到達、フェーズ移行準備、オーバーラップ──)
「これから『皆さん』に『笑い』が『止まらなくなる』駄洒落を一つ…」
 そう言うと彼女は、弄んでいた球の一つ大きく高く頬り上げるとほぼ同時に身を水平に一つ回転させ、舞っていた球たちを全て両手に収めた。なびいた銀髪が落ちついた頃、発した言葉は。

「ターンを連続で決めようとして転ぶ妖怪は何か。…たんたんころりん」

 静かな観客席から、ふふっ、と数人の小さな笑い声が漏れる。
 それから数秒の後。どうですか、と言わんばかりにナズヴィが怪人のほうを見遣る。
「ほ…ほォ、ターン、ターン、ころりんってかァ…。ま、まあまあのダジャレだが、俺のダジャレのほうがまァだ面白いってやつだァなァ。ほら早く次の手を出せよォ。それでも今の反動でこれ以上手が…"ハンド"が出せなくなったってかァ?」
 怪人が二度目の挑発にかかる。いまだ懲りない彼に、観客もいよいよ呆れの感情を隠せなくなってくる。
 が、そこへナズヴィは一言。
(では…一発屋と言うことで退場しましょう)
「…まあ今日のところはこれで勘弁しておいてあげます」
 その瞬間、観客、スタッフ、そして怪人までもが一斉に足を滑らせ、転倒したのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

大豪傑・麗刃
何もしなくても世の中に自然と笑いと振りまいてしまう(そして自分には精神的ダメージが行く)わたしとしては、笑いに一番大事なものがあると思うのだ。

それは気合い!
なんとしても笑わそうという気合いなのだ!

ダジャレ単発で思考停止している時点でお前の笑いはもう死んでいる!
わたしが笑いのなんたるかを見せてやるのだ!

わたしがやるとクラシカルなダジャレもこうなるのだ。

(ジェスチャー付きで)

ふとんが!

ふとんが!

ふとんがッッッ

ふっと……

……

ばないのだ。

ふとんが!!

ふとんが!!!!

ふとんがッッッ!!!!!!

ふっとッッッ

……

ばないのだ。

(数回続く。そして突然)

ふっとんだッッッ
(そして自分も吹っ飛ぶ、爆発付き)



●鮮烈なる個性
「ほ、本当に何なんだあいつらァ…ああァもう!誰だ次の相手はァ!?」
「麗ちゃんがお相手するのだ」
 少し前の盛大な転倒から立ち直るも、猟兵たちの多彩な攻めに半ば自棄になりだした怪人の呼びかけに即座に応じたのは、大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)。着流しにトラックジャケットという出で立ち、その顔も、三白眼にギザ歯と、先の四人と比較してもとりわけ異彩を強く放っている。
「れいちゃんだァ?なァんか女みたィな名前だなァお前。そうやって意気"がーる"のも今のうちだぜェ?女だけになァ」
 ふんと鼻を鳴らす怪人に、麗刃は片手をバッと前に出す。
「怪人よ!笑いに大切なもの…それは気合い!そう!なんとしても笑わそうという気合いなのだ!」
「気合いィ?」
「ダジャレ単発で思考停止している時点でお前の笑いはもう死んでいる!わたしが笑いのなんたるかを見せてやるのだ!」
「おっ、なッ、俺の笑いが死んでいるだとォ!?よォくも言いやがったなァ!!オーケィ…そこまで言うからには、分かってんだろうなァ!」
 挑発はよほど有効だったらしく、怪人はここにきてついにいきり立った。一触即発に見えるこの状態に、肝を縮ませる観客も多数。

 しかし麗刃は動じず、両手を腰にして言うのだった。
「いいか、刮目して見るのだ。わたしがやるとクラシカルなダジャレもこうなるのだ」
 と、一つ大きく息を吸った麗刃は──
「ふとんが!」
 そう叫びながら、両の足を広げ腰を低く落とし、両の脇を締めて拳を作った!
「ふとんがッッッ」
 さらには、右膝を上げて片脚で立つと同時に、両手で大きく右向きにCの字を作る!
「ふっとぉぉぉ……」
 そして足はそのままに両手を顔の下で交差させ、正面を向いたまま円を描くように顔を動かしながら溜めを作る!
 奇妙なポージングにぽかんとする怪人と観客。しかし彼らにも、次に来る語は容易に予想できた。そう、「ふとんが」で始まるダジャレといえば、あれしかない。
 が、それまでのダイナミックな動きから一転、麗刃は直立の姿勢に戻ってぽつりと発した。
「…ばないのだ」
 彼を除くその場にいた全員が、怪人までもが、前にのめった。

「待てコラァ!そんなんでこの俺によく…」
「ふとんが!!」
 怪人のツッコミを遮り、麗刃は叫びながら片脚を引いて身を後ろに反らせ、頭上で両手を合わせる!
「ふとんがッッッ!!!!!!」
 そして荒ぶる鷹のポーズ!
「ふっとぉぉぉぉッッッ」
 また再び円を描くように顔を動かし溜めを作ると、やはり直立の姿勢に戻ってぽつり。
「…ばないのだ」

「だからなんだそれ!なんなんだそれェ!?俺をバカにしてるのかァ!?」
「ふとんが!!!」
「もうええっちゅうんじゃァおィ!?」
 二度の肩透かしを喰らった怪人はいよいよ食って掛からんばかりに麗刃に近寄る。と、次の瞬間。

「ふっとんだッッッ!!!!!」
「おわァ!?」
 麗刃の足元から突風が起こり、彼をそのまま遠く高く吹き飛ばした。
 身体を張ってインパクトあるオチをつけた彼の行く先を見て、怪人と観客はただただ困惑するばかりであった。そして、怪人はこの時、着実に猟兵たちの作戦にはまり始めていることにいまだ気づいていなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

中村・裕美
華麗になぞかけ
主人格は人見知りなので、副人格のシルヴァーナに出てもらう
「言葉遊びは趣きがあってこそですわ」

おっとりとしたお嬢様の雰囲気で怪人の勢いをいなす感じで語りかけ
「怪人さん、そろそろ自分が『掃除したての排水溝』と気付いたのではなくて?」「どちらも『つまらない』ですわ」
「あそこの『白猫のキマイラさん』みたいなことも言われたことないでしょう」「つまりは『おもしろい』ですわ」
「本当に『ポイの破れた金魚すくい』みたいな方ですわ。これ、わかった方いらっしゃいますの?」「そう、『すくいようがない』ですわ」
と、客いじりを交えて怪人をディスりまくる。場合によっては【傷口をえぐる】?



●崩れる矜持

「へ、変な奴だったぜェ…。気合いだなんだと言って、あっという間に飛んでいっちまった。もっとこう、わ"きあい"あいといこうぜェ、なァ?」
 突飛な芸やオチで、当初の威勢を大きく削がれたダジャレ怪人。が、ステージ上がさも自分のものであるかのように居座っていることにいまだ変わりはなかった。
 そこへ優雅に躍り出た六人目の猟兵は。
「では、次はわたくしが参りますわね」
 中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)だ。普段は内気な彼女も、今はステージ上。はきはきとした別の人格が現れているのだ。複数の人格を持ち、自由に操ることのできる種族なればこそである。
「おやァ?さっきまでの奴らとは打って変わってずいぶんまともそうな奴だなァ?"ま、とも"あれ、お前もダジャレを披露するんだよなァ?」
「えぇ。言葉遊びは趣きがあってこそですわ」
 裕美、もとい、人格"シルヴィアーナ"としての裕美が髪を揺らす。怪人を目の前に、恐れどころか嫌悪すら微塵も見せない。かなりの余裕だ。
「はーン、趣きねェ…そいつァ同意しなくもないが、"どうい"うダジャレでそいつを証明するつもりだァ?」
 怪人に問われると、少女はふっと小さく微笑み、腕を組んだ。

「怪人さん、そろそろ自分が『掃除したての排水溝』と気付いたのではなくて?」
 怪人に仕掛ける裕美。自身が聞いたこともない表現に怪人は頭をひねった。
「掃除したての排水溝ォ?そりゃどういうこったァ?」
 裕美は怪人の様子を見、にやりと口角を上げて放った。
「どちらも『つまらない』ですわ」
「つまッ…!?」
 鼻の頭を殴られたような感覚が怪人を襲う。同時に観客席から、納得の声が大きく上がった。
「こ、ここ、こいつダジャレで俺を…俺をつまらないと…」
 猟兵が乱入して以来の衝撃に、怪人の思考がは千々に乱れる。

 裕美は観客を一つ見る。その中にある影を確認すると、それを指さしながら追い打ちとばかりに続ける。
「あそこの『白猫のキマイラさん』みたいなことも言われたことないでしょう」
「し、白猫みたいなァ?」
 対する怪人は、彼女が指した先を探した。そこには、尻尾の白い猫のような部位を持つ観客の姿。
「つまりは『おもしろい』こと、ですわ」
「んがッ…!?!?」
 胸を締め上げられたような感覚が怪人の息を詰まらせる。ぱらぱらと、手を叩く音が聞こえてくる。

 そしてとどめとばかりに、裕美は三つ目の謎かけを提示した。
「本当に『ポイの破れた金魚すくい』みたいな方ですわ。これ、わかった方いらっしゃいますの?」
 三つ目は観客席に問いかける。ある者はうんうんと頷き、ある者は首を傾げ、またある者は何が来るかと期待に目を見開いていた。
「ぽ、ポイの破れた、き、金魚、すくいだとォ?」
 少女は言葉も切れ切れな怪人をびしと指し、冷ややかな視線と共に一言。
「そう、『すくいようがない』ですわ」
「んなぁーっ!?!?!?」
 脳天を雷撃が走ったような感覚が怪人を仰け反らせる。同時に今日一番の歓声と拍手が巻き起こった。観客が猟兵側へと一気になびいた証だ。

「な、なな…ななななっ…」
 軽妙なる連撃を受け、怪人の矜持は今やヒビの入った硝子のごとく。濁流渦巻く彼の意識は優雅にステージ袖に去っていく裕美に向く余裕などなく、しばらく同じ言葉を繰り返すのがやっとであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ポーラリア・ベル
うずうず
あーん!しんぼーたまらないー!



トリニティ取りに行っていい?ええん?はーん素敵ー!
水の魔纏ってかえりみず!場を冷やしてクールが来ーる!
ステージでスッテー!ジーっと見て、特攻とっことこー!
皆ー!合いの手の入れて愛乗ってー!

一番とかダジャレじゃなくてのったものがカッチ勝ちなの!
皆も一緒に寒さで安眠なー!
リズムに乗ってお送リズム!

駄洒落でだーっとじゃれるのよー!(抱き着きに)
怪人さんって異界人!?
タコでカニなの?どっち?タコかに?
フォルダがあるの?それで穴を掘ーる(ホール)だー!
春は遥か先!冬の浮ィンターなトークを遠ークまで!
ファイアで煮込んだ麩はいいやー!
(嬉しそうにネタを売れっしー!)



●ダジャレに大切なものは

 痛烈なる現実を謎かけという形で突きつけられた怪人は、悔しさに小さく身を震わせていた。
「く、く、くそォ、俺をコケにしやがってェ…。だがァ、俺にはまだ披露していないダジャレがたくさんあるんだァ…!」
「だったらあたしと勝負しましょうよー!」
「あん?だ、誰だァ?どこにいるんだァ?」
 どこからか聞こえてくる少女の声。しかし周囲を見回してもその姿は見えない。それもそのはずだ。ポーラリア・ベル(フェアリーのマジックナイト・f06947)は、怪人の頭上をひらひらと舞っていたからだ。
「お、お前ももしかしてあいつらの仲間なのかァ?俺は奴らに散々言われてちょっと本気モードなんだぜェ?"もーど"うしようもなくイラついてるんだァ。お前を相手に今度こそ、今度こそ俺のダジャレが一番だってことを見せつけてやるかんなァ!」
 怪人が声のトーンを落として言う。しかし、そこには焦りも間違いなく見えていた。

「あーん!しんぼーたまらないー!」
 怪人を前にして、ポーラリアの中に欲求が湧き上がってくる。

「いくわよー!トリニティエンハンス!トリニティ取りに行っていい?ええん?はーん素敵ー!」
「それがどうしたァ!何を強化したかはしらねェが、お前が俺に土下座するのは"今日か"明日かァ!?」
「水の魔纏ってかえりみず!場を冷やしてクールが来ーる!ステージでスッテー!ジーっと見て、特攻とっことこー!」
「水がなんだァ!"うぉーた"まらんってかァ!?特攻する奴ァほっとこうゥ!」
 ポーラリアのまくし立てるようなダジャレのラッシュに、対抗してダジャレを繰り出す怪人。いよいよもって、それまではほぼ一方的であったダジャレ披露のステージが熱いダジャレバトルの応酬の場へと変貌を遂げた。テンポの良い掛け合いに、観客も食い入るように勝負の行方を見守っている。いや、観客だけではない、この『初笑い 一発芸コンテスト』で怪人に端に追いやられたスタッフさえもが、目の前に形成された言葉のエンターテインメントにただただ夢中であった。

「皆ー!合いの手の入れて愛乗ってー!一番とかダジャレじゃなくてのったものがカッチ勝ちなの!皆も一緒に寒さで安眠なー!リズムに乗ってお送リズム!」
「いいやダジャレに大事なのはリズムよりも自信だァ!ノリだけじゃマ"ジしん"どいんだぜェ!」
「ダジャレでだーっとじゃれるのよー!怪人さんって異界人!?タコでカニなの?どっち?タコかに?」
「うるさい俺は怪人だァ!タコでもあるしカニでもある!そこんとこお手やわら"かに"!ってなァ」
 ダンスのような軽やかな動きで、怪人を弄るポーラリア。そんな弄りにも粘り強くダジャレで返す怪人。が、ポーラリアの猛攻は止まらなかった。
「フォルダがあるの?それで穴を掘ーるだー!春は遥か先!冬の浮ィンターなトークを遠くまで!」
「掘る…といったらシャベルだろォ?そんなに早口でしゃべるなよォ!えー…っと、春といったらスプリングだなァ?プリンでも食って待ってるんだなァ!」
「ファイアで煮込んだ麩はいいやー!嬉しそうにネタを売れっしー!」
「えーと、ファイアー、火か…ひ、ひ……く、くそォ!」
 先に流れを止めてしまった怪人がカニのような腕をがくりと下ろす。ダジャレ勝負における、彼の明確な敗北であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サフィザード・シャハルヴァーニー
だ、ダジャレですか。ちょっと緊張しますが、が、頑張ってみます!
怪人さん、面白くなくても、その…怒らないでくださいね?

(持ってきたコリアンダーを取り出し)
「こ、これなんだー?コリアンダー、なんちゃって…。コリアンダー、これなんだー、みたいな」

きっと、これだけじゃ受けないと思うので、もう1段階…。
コリアンダーって、別名をパクチーって言うんですよね。
「い、今のダジャレは無かったことに、ぱくち(白紙)に戻してくださーいっ!」

あわわわ、大勢の前でダジャレを言うなんて初めてなので恥ずかしいです!
言うだけ言ったら、さっさと退くことにいたします!



●舞台上の危機は

「うぐぐぐゥ…」
 自身がそれまで矜持として築いていたものが、音を立てて一気に崩潰する。突如始まったダジャレの応酬で決定的な負けを喫した怪人は、今や、混沌とする感情を飲み込もうとただただ唸るばかりだった。一方、ステージの下にある観客は今や、この一連のアクシデントが起こる前の温度を取り戻し、怪人の動向を、次なる登壇者が出現するかを、しきりに語りあっていた。

 そんな中、サフィザード・シャハルヴァーニー(エルフの精霊術士・f01934)がそっと怪人の前に現れる。
「ちょっと緊張しますが…私も頑張ってみます」
 この少々内気な褐色の肌の持ち主は遠慮がちに、このダジャレ披露の場に加えさせてほしい旨を迂遠に表明した。怪人は声を方を向くが、今の彼にはそれに対して挑発をもって応じるような向こう意気はほとんど無かった。
「え?あ…あァ、お前もダジャレを言いに来たのかァ?」
「はい、お、面白くなくても、その…怒らないでくださいね?」
「いいから、早く言ってみろォ?」
 怪人の応答を待って、サフィザードは観客席近くに歩み寄り、上がりそうになる自分をなんとか落ち着かせつつ、袖から一束の植物を取り出して恐る恐る掲げる。
「こ、これなんだー?」
 サフィザードの見せた植物は、茎は細く、幼い手の形にも似た小さな青々とした葉をつけていた。何の葉だろう?観客たちが首を傾げるのを確認すると、彼女はその植物の匂いを嗅ぐように鼻に近づける仕草をしてから言った。

「コリアンダー…なんちゃって。コリアンダー、これなんだー、みたいな…」

 語尾を濁したサフィザードは、言ってしまったという事実に顔をぽっと赤く染め、目を泳がせた。すると。
「ひゅー」
「頑張れー」
 笑いこそまばらではあったが、その初々しさ覚束なさに冷やかしや応援の声を上げる観客があった。怪人に対しては無かった反応だった。
「な…ッ、お、お前ら…」
 脚も肩も震える怪人に構わず、サフィザードは観客の声に思わず、顔を隠すように手をひらひらとさせ。

「い、今のダジャレは無かったことに…"ぱくち"に戻してくださーいっ!……パクチーだけに」

 コリアンダーの別名を利用し、それと「白紙」とを掛けたダジャレを添えた。
「おぉー」
「かぁわいいー」
 誰もが先のネタ一つで終わるかと思っていた矢先の不意打ちに、またサフィザードの純情そうな仕草と声に、観客は不思議な盛り上がりを見せる。

「お、お、お…お前らァーっ!!」
 怪人が声を上げ、観客、そしてサフィザードの視線が彼に集まった。いよいよ耐えかねたのか、そのタコ脚がびし、びしと激しく床を叩いている。
「お前らァ…俺のダジャレを差し置いてェ…。くそォーっ!もういいよォ!俺は帰るかんなァ!!」
 そう言い残すと、高く飛び上がり、ステージの看板を越え、空を泳ぐようにして逃げていった。かくして『新春初笑い 一発芸コンテスト』会場を半ば乗っ取りかけていた危機は去ったのだった。
 しかし、危機は去れどもいまだ消えず。猟兵たちの認識は一つだった。ここで追わなければ、この事件はいつまでも終わることはないと。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『恐怖、雪の中の怪人!』

POW   :    とにかく気合と体力で冬山を踏破する。根性!!

SPD   :    吹雪や雪崩をスキーを使って華麗にかわし、スマートに冬山を踏破する

WIZ   :    炬燵やファンヒーターを魔改造して自走化。冬山を踏破する! あったかーい

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 逃げた怪人を追う猟兵たち。その足は街を抜け、いつしか山の見える牧歌的な平原に差し掛かっていた。そこで彼らを驚くべき光景が迎える。
 なんと、山、そしてその周辺を暴風雪が吹きすさび、そこだけ季節が真っ直ぐ切り取られたかのようにくっきりと白く染まっていた。単なる天候によるものとして片付けるには、やけに不自然であった。もしや、あのダジャレ怪人によるものだろうか。そんな予感が猟兵たちの頭をよぎっていた。
 いずれにしても、怪人がここを越えた先のどこかにいることには間違いない。
神羅・アマミ
「ヘッ、嘘くせー!たかが寒いギャグで本当に物理的に冷却されるわけが……な、なぁ、嘘じゃろ……?」
幻覚や幻影によるギミックとたかをくくって裸一貫(勿論比喩的な意味で)、暴風雪の中に飛び込んで行く。
多分どうにもならない。

「そ、そう、妾は盾……無垢なる人々を守る最強の守護者!こんなところで野垂れ死ぬわけにはいかんのじゃよー!」
雑な理念と無謀な行動がたまたまコード『緞帳』の発動に繋がり、彼女の身体能力を極限まで高めていく!
それでも多分どうにもならない。

「き、聞こえてるんじゃろ怪人ー!君のシャレ、す、すごく面白かったですよ?出てきて話し合おうじゃないか!君のギャグ、もう一度聞きたいなぁー!?」
情けない。



●往かねばならぬ

 灰白色の空が広がっていた。
 叩きつけるような粒雪が視界を遮り、押さえつけるような横風が音を阻む。奥には辛うじてカーテンのように日の差す筋も見えるが、それも芯を震わせるような冷たく白い城を越えねばならないという現実を一層強く認識させる以上の役目を果たしていなかった。
「ヘッ、嘘くせー!たかが寒いギャグで本当に物理的に冷却されるわけが…」
 強気にそんなことを言っていたアマミも、その領域にひとたび入れば、凍てつく空気の前に声のトーンを緩めざるを得なかった。
「…な、なぁ、嘘じゃろ……?」
 先のコンテストでは軽妙なラップで怪人を圧倒した彼女も、容赦の無い風雪に包まれる今は同じようなことをする余裕もない。彼女のつけた足跡は瞬き一つ二つの間に吹き浚われ、彼女の吐く白い息は寸秒のうちに押し流される。初めはしゃんしゃんと歩いていたものの、三分の一も過ぎた頃にはすでに足取り重く、時に爪先が雪を引きずるほどであった。
 行くは過酷、帰るは厳酷。ならば、行かねばならない。この向こうに怪人がいるのだ。それに。
「そ、そう、妾は盾……無垢なる人々を守る最強の守護者!こんなところで野垂れ死ぬわけにはいかんのじゃよー!」
 そう叫んだ瞬間、不退転の決意が見えない熱となり、アマミの全身を駆け巡る。それは、寒さと疲れの感覚をも遮断させ、しおれかけた当初の気合いに一気に息を吹き込むこととなった。
「おりゃあーーーー!!」
 アマミは、さながら壁を打ち破ろうとするような勢いでさらなる白魔の中に飛び込んでいった。我武者羅に雪を蹴って、走り、飛び、登る。押し、掻き、駆け降りる。色と動きを失ったかのような世界の中、ただ一つの小さな羅刹の影が、列車のように激しく、まっすぐ突き進んでいた。
 
 が、それにもやがては燃料切れの時が近づく。すぐ前方に元の季節との境目が見えた頃には、アマミの感じる寒さもほとんど元に戻りかけ、その勇気もくしゃっと萎れ始めていた。
「ひぃ、ひぃ…」
 ゴールが近いという安心感が、却って疲労を著しく増大させる。スパートをかけるランナーにも似た乱れた体勢で、彼女はひたすら光を目指した。
「き、聞こえてるんじゃろ怪人ー!君のシャレ、す、すごく面白かったですよ?出てきて話し合おうじゃないか!君のギャグ、もう一度聞きたいなぁー!?」
 半ば自棄のようにもなりながら、近くにいるかもまだ知れぬ怪人に呼びかける。それに意味があるかなどどうでもよかった。叫ばなければやっていられなかったのだ。
 そして、アマミは服を湿らせながらもついに灰白色の世界から脱し、元の穏やかな気候が包む場所を数歩進んだ頃だったか、いよいよへたり込むと、しばらくの間生きている実感を味わっていたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

大豪傑・麗刃
まーダジャレ怪人が作ったものだったらたいした距離じゃあないと思うのだ。
なら普段着でも何も問題ないのだ!!
突撃!!

(ちょっと入ってすぐ退却。そりゃもう壮絶な顔で)

ざぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ

……
やっぱり準備は必要だよね。うん。

ということで。
防寒具よし!
カイロよし!
かんじきよし!

では今度こそ突撃!!



●芸は身を

 「準備は十年、成功は五分」とは誰の言葉であったろうか。過酷な環境に臨むならば、万全に万全、周到に周到を重ねた準備をすべきであるというというのはもはや論をまたない。ましてや、予測不能な自然が相手であればなおさらである。自然は油断した者を等しく、悪意なく、容赦なく呑み込む。
 
 切り出されたような白い景色を前に、麗刃は腕を組んでいた。一歩跨げば暗い極寒の世界。横に薙ぐような風雪が、次なる来訪者を待っていた。
「まーダジャレ怪人が作ったものだったらたいした距離じゃあないと思うのだ。」
 麗刃は楽観的な言葉を放った。その姿は、先ほどの街中でのものと変わらぬ着流しにトラックジャケットという身なり。
「なら普段着でも何も問題ないのだ!!」
 そう、大豪傑家の血脈の守護者たる歴代当主の中でも指折りの「変人」である彼の前には、目の前の試練すら一笑に付される程度のものでしかなかったのだ!先の怪人とのダジャレ対決でも、自信と勢いで見る者に強烈なインパクトを与え、華麗にステージを去って行ったのである。当然、この眼前に待つ白い魔物も、同じように勢いで華麗に突破することだろう。そんな彼にとって、慣れない防寒具などといったものは却って重量を増やし、機動性を落としてしまう。今の彼の装備は、鮮やかに切り抜ける自信があるからこその、考え抜かれたものであったのだ。彼には、大豪傑・麗刃には、常識も自然の猛威すらも通用しないのだ!
「んでは、突撃!!」
 腕を大きく振り、胸を大きく張り、勇ましく歩み出す麗刃。二歩、三歩と進んだ頃には、彼はすっかり白く冷たい風に包まれた。そしてあっという間に──。
 
 踵を返して元の場所に戻ってきた。
「ざぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ…」
 歯をカタカタと鳴らしながら、数秒前の彼とは別人のような青い顔で全身を細かく震わせる麗刃。彼の風上側の身体には雪が薄く着いていた。いかに変人との呼び声高き彼といえども、異常な寒さばかりはどうにもならなかったのだ。
「やっぱり準備は必要だよね。うん」
 麗刃は誰に向けるでもなく小さく呟いた。と。
「ということで!」
 この変わり身の早さである。彼は瞬く間に新たな装備に身を包んだ。
「防寒具よし!カイロよし!かんじきよし!これでパーフェクトなのだ」
 両手を腰にやる麗刃。そして先の寸劇いや突入の影響で、やけに身体がぽっぽと暖かく、エネルギーが湧き上がってくるように感じられた。これにより、一度は吹雪に浚われた彼の自信が再び大きく膨らんだ。これならば、いける、
「では今度こそ突撃!!」
 麗刃は再び大きく歩き出した。二歩、三歩。今度は引き返さず、ずんずんと進む。膝まで呑み込まんとする雪を踏みしめ、奥へ行くことを阻まんとする風にも負けず、彼はしっかり、けれども朗らかに歩き続けた。少し登って、また下る。たいした距離ではない、そう楽観していた彼だったが──いや実際には、決して短い行程ではなかったわけだが──みなぎるエネルギーと彼のポジティブさは、そんな中での時間の経過を忘れさせたようだ。
 そして、ついに極寒の地を突破すると、麗刃は全身を竜巻のように大きく震わせ、着いた雪をきれいに払い飛ばした。

成功 🔵​🔵​🔴​

ポーラリア・ベル
わぁぁ、スノーですのー!
あたしここお家にしていい?だめ?オウチ!
あの怪人さんとは強敵(おともだち)になれそう
お手手握って追ってって、また勝負しましょうぶ!

冬告げるベルをベルトに並べると
トリニティ・エンハンスで冬山を通りに行ってぃきます。
風で不向きな吹雪を逸らしたり
追い風のつおい風に布広げ、雪にとらわれぬの。

下り坂は水の魔力を纏い氷の玉状に凍ってガールが転ガール
止まったら炎の魔力で溶かし動きを速メルトします。
凄く楽しそう。

余裕があれば事前に1章の観客に(後で聞けるだけお願い聞くからと)
強力に協力要請。フェアリーランドに入ってもらい
道中で雪と水の魔力で作った氷像やタライ等も入れます。



●再会を求めて

「わぁぁ、スノーですのー!」
 怪人を追ってきたポーラリアは目の前に控える雪景色に目を輝かせた。確かに、雪景色であることに変わりはないのだが、風は激しく、空は暗い。人も家も見えない。外から閉ざされた世の果てを思わせるような世界は、依然として大きな音を立てて行く手を阻んでいる。
「あたしここお家にしていい?だめ?オウチ!」
 誰に向けてだろうか、ダジャレを交えながら無邪気に言う。いくらキマイラフューチャーの世界といえども、暴風雪の中はいささか暮らしにくそうであるが、雪の世界を故郷に持つ彼女にとってはこの気候も、空のひと時の気まぐれとして済ませることができるものなのだろうか。

 冷たく白い塵巻く砂漠の中にあってなお、ポーラリアは至って楽しげであった。発動した風の魔力により、彼女の周囲に限ってではあるが、吹き荒ぶ風をいくらか和らげていたためだ。強い風さえどうにかできれば、雪が好きな彼女にとって寒さはさほど気にならない様子だ。
「風で不向きな吹雪を逸らしたり 追い風のつおい風に布広げ 雪にとらわれぬの♪」
 ポーラリアはフェアリーならではの軽快なフットワークで、ひらひら、ぴょんぴょんと跳ねるように雪の丘を渡っていく。時に小さな手で積もる雪をすくい、ぱっと放り上げる。花火のように一瞬空中で広がる雪はすぐに風に流されてしまうが、彼女は一切気にしなかった。
「氷の玉状に凍ってガールが転ガール 止まったら炎の魔力で溶かし動きを速メルトしましょ♪」
 ダジャレを交えた言葉を即興の歌に乗せ、自由に、磊落に舞う。時に風に乗る雪と追いかけっこをしながら、おおらかに先を目指す。どんな自然も、彼女にかかれば途端に歌劇の舞台となる。地も雪も風も、ポーラリアを引き立てるための共演者だ。観客こそいるわけではないが、彼女は一切気にしなかった。

 切り取られた雪の世界の終わりがすぐ近くに見え、ポーラリアはダジャレ怪人のことに意識を引き戻された。そう、当初の目的はあの怪人を倒すことである。
「あの怪人さんとは強敵(おともだち)になれそう!」
 街中のコンテストでも軽快なダジャレの応酬で怪人と好勝負を繰り広げた彼女は、彼をいつしかオブリビオンとしてだけでなく好敵手としても捉えていたようだ。道中の歌を頭の中で反芻し、改めて怪人の相手として足るべしと確信したのか、ポーラリアは一層目を輝かせる。
「お手手握って追ってって、また勝負しましょうぶ!」
 そう言いながら、白の世界と緑の世界の境界を再び越えると、青々とした草の上にひらり、とんと両足を着ける。怪人の居場所は、もうそう遠くなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

千手院・ソワカ
ダジャレ大会のあとに…凍える雪山? は、なんで? 温まったはずでは?
解せませぬが、ともかく怪人を追いかけねば。

「護摩行はやった事ありますけど…これはクッソ激烈に寒いですのーッ!」
 やべぇよやべぇよ…ですの。とりあえず念仏を唱えながら突き進みますわ。ご存じありませんの? 坊主は念仏を唱えれば大抵の場合無敵なのですわ!

我が装備、「多目的網代バイザー」で熱源を頼りに進みますの。流石に怪人も自身の熱までは消せないでしょうし。
くだんの怪人を見つけた暁には「このバイザーでばいばいさ(゛)あ」!

……。失礼しました、激熱ソワカと字幕が出てしまいました。



●心頭滅却

 容赦なく荒れる世界を前にし、ソワカは眉を歪めて不機嫌そうに放った。
「は、なんで?温まったはずでは?」
 おかしい、先のコンテストでは痛快なダジャレを放って場を沸かせたはず。それなのになぜ、こんな極寒の地が存在しているのか。本来ならば、常夏の楽園にでもなっているべきなのに。彼女はそんなことを思ったのだろうか。残念ながら、ここは会場のあった街中からは程遠い場所。彼女のダジャレによって生まれた熱は──実際に発生したか否かはひとまず議論の余地があるとして──ここまで届かなかったようだ。
 しかし、愚痴を述べても仕方がない。怪人がこの向こうに逃げたのだ。追わなければならないという事実が、一歩、また一歩と、猛吹雪の中に踏み入る決意をソワカに固めさせた。

灰白色の世界は新たな来訪者を叩きつけるような風雪をもって迎え入れた。
「ご、護摩行はやった事ありますけど…これはクッソ激烈に寒いですのーッ!」
 早くもガタガタと震えながらソワカは叫ぶ。激しい風が目を撫でつけ、雪が肩へ足へとしがみついてくる。さらに解けた雪が湿りとなって体感の温度を下げ、追い打ちをかけるように風が吹き付ける。いくら僧であるとはいえども、寒いものはやはり寒いのだ。
「やべぇよやべぇよ…ですの。ええい、かくなる上は…」
 身体の芯から冷やされかけ、声まで震え始めた彼女は、ついに手を合わせ、ぶつぶつと何かを唱えながら歩きだした。
「……」
 それは、破戒僧たるソワカのみが解するであろう難解な言葉だった。低く這うような声で、ひたすら唱え続けた。坊主は念仏を唱えればだいたい無敵、というのは彼女の持論。なるほど『心頭滅却すれば火もまた涼し』とは確かに有名な言葉であるが…。
 それから百を数えないうちのことだった。唱えた言葉の効果か、はたまた身体が慣れたのか、ソワカは寒さを感じなくなったように思えた。ほら見たことか、と誰に向けるでもなく得意げな表情を作ると、網代笠のような装置を頭に着けた。これぞ、彼女の装備の一つ「多目的網代バイザー」だ。彼女によれば、このバイザーには、対象が発する熱源を可視化する機能を持つという、これにより、怪人の具体的な所在を暴いてしまおうというわけである。
 ソワカは端末を凝視する。すると、ほぼ正面、山の向こうにほんの小さなの点のような反応を示した。この時点では正体までは分からない。しかし、ソワカはもはや勝利を確信したかのように、るんるんと歩いていく。
「怪人よ、待ってろですの。見つけた暁には、このバイザーでばいばいさーあ!」
 高まる期待に、ダジャレも軽やかに出る。

 その後も、時に悟りの言葉を唱えながら歩き続けたソワカはこの白く染まる過酷な地を抜け出した。
「はあぁあーーー…」
 元の気温が包む頃、彼女は雪をどっさりと頭に盛り、腕や手の平を擦り続けていた。つまるところ、寒かったようである。
 バイザーの反応は未だ先を示す。結局、怪人のものだったか、あるいは前を行く猟兵のものだったのかも分からなかったが、あの白い試練を突破したことに変わりはない。ソワカは溶けた雪水を髪の先からはたはたと滴らせながら、先へと進んでいった。

成功 🔵​🔵​🔴​

中村・裕美
WIZ
「お寒いのを実際に表現するとは恐れ入りましたわ。しかも、ここを渡りきったってことは滑るのも得意ということですわね。まあ、どうしましょう?」
色々と思案した後
「裕美なら何とかしてくれますわね。」
と、主人格に丸投げ
「……勝手なことを…言ってくれる」
だが、第一章で自分の代わりに頑張ってくれて仕方ないので、とりあえずコタツを魔改造して走破することにする。
更に100体近くのエレクトロレギオンを召喚して周囲を偵察【情報収集】し、最適ルートを割り出して進む。
「…コタツとときまして…『スーパーで買っていたものをコンビニで買う』ととく…そのこころは……どちらも『あっ、たかい』」
ちょっと言ってて恥ずかしくなる



●用意は周到に

 吹雪は今も魔物のように激しく音を立てて荒れ狂う。風の重圧、雪の散弾、厚い雲は陽の光を遮り、切り裂くような寒さが感覚を鈍らせる。魔物はあらゆる力をもってして、猟兵たちを先へ行かせまじとしていた。
「まあ、どうしましょう?」
 街中でも辛辣なダジャレによって怪人の心を深く深く抉った裕美、もとい、シルヴァーナとしての裕美は、激しい吹雪模様を前に足を止めた。
「お寒いのを実際に表現するとは恐れ入りましたわ。しかも、ここを渡りきったってことは滑るのも得意ということですわね」
 その舌は街を抜け出しても健在だ。しかしながら、目の前に待つ光景を見ては、それだけではどうにもならないらしいことは理解しているようだ。
「けれども、雪をかぶって歩いていくような趣味はわたくしにはありませんし」
 シルヴァーナは少しの間考えていたが、上手い策は浮かんでこない。渡らねばならないが、雪に濡れたくも凍えたくもない。ただそれだけだった。そして、彼女が導いた答えは。
「裕美なら何とかしてくれますわね。では、そちらにお任せしますわ」
 主人格たる裕美への一任だった。それまで伸ばしていた背筋が、息を吐き切ったかのように丸まる。
「……勝手なことを…言ってくれる」
 細々とした声で裕美が既に引っ込んだシルヴァーナに対して呟く。彼女が自分に何を期待しているのかおおよそ察しがついたが、それにしたって少々強引ではないか。とはいえ、先の怪人との対決で大健闘を見せたのは事実彼女なのだ。ここで再び任せてしまうのも主人格としての面目が立たない。
 
「……あっち側に渡りやすい最短ルート…探してきて」
 裕美の前にずらり、彼女の膝ほどの大きさの機械兵器が列をなす。そして、裕美の指示を受けた彼らの半数がまず一斉に猛吹雪の中に駆け込んでいく。機械とだけあって、寒さには強いようだった。
 一方、裕美は別の作業に取り掛かっていた。目の前にあるのは、コタツ。これを駆動装置を取り付けたキャタピラに乗せ、上部を防寒・雪避け仕様に。電脳魔術士である彼女にとって、それらは然して苦でなかった。
「…完成。」
 恐らく一般的な日常生活ではおおよそ使用する機会のなさそうな魔改造コタツがそこにはあった。少しばかりシュールな見た目であるが、寒さ対策は万全だ。

 探索のために先行した部隊のことを思い出し、そろそろ頃合いだろうかと、コタツに腰を沈めた。残った機械兵器たちはそれを見て、先行部隊からの信号を元に雪の中へ進行していく。それを追うように速度を出す裕美のコタツ。暖かい。時に大きな揺れはあるが、それを除けば至って快適だ。あとは、前を行く兵器たちを見失いように追従するだけだ。
「…コタツとかけまして…『スーパーで買っていたものをコンビニで買う』ととく…」
 と、裕美は突然思いついたように零した。
「そのこころは……どちらも『あっ、たかい』」
 それは謎かけであった。先の街中でのシルヴァーナを真似たのだろうか。しかし、急に湧き上がった恥ずかしさのあまり、誰も見ていないのに思わず顔の前で手をぱらぱらと振ってしまう。機械兵器たちにそれが聞こえていたかどうか、また、ウケたかどうかは定かではないが、とにもかくにも、裕美を乗せたコタツはゴロゴロと音を立てながら順調に吹雪の中を進んでいくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リヴェンティア・モーヴェマーレ
[Wiz]【アドリブ歓迎です】

ダジャレ…滑っタら冬になるノですネ…
ビックリです…

流石にこれは私も寒い…ノで何とかしたい気持ち…
(せっせと防寒対策&ゴーグルを付けて突貫)
ハムちゃんとチンチラちゃんも一緒に…え…寒いからイヤでスか?
そデすか…なら暖かい乗り物作りましょうカ…?
ドテラ猫号なんて名前の走る炬燵デす!
え?今度は名前がダメでスか…!?こ…困りましタ…
(ハムちゃん達の行動はお任せします)

何とかハムちゃん達の機嫌を取って
さぁ行きまショ!
ダジャレ言ったら自分も言いたくなって出て来てくれたりしませんかね?
えっと…
(ハムちゃんにハムを食べさせて
は…ハムスターがハム吸った…!な…なんちゃって…(顔覆い



●ひたすら前へ

 猟兵たちはダジャレ怪人を追い、次々と荒々しい吹雪模様の地を越え、その先を目指す。怪人がこの向こう側に逃げたとの情報は、リヴェンティア・モーヴェマーレ(血も骨も、灰すら残さず・f00299)の耳にも届いていた。
「ダジャレ…滑っタら冬になるノですネ…ビックリです…」
 リヴェンティアは目の前の景色を見て小さく驚いた。ネタというものに興味があるという彼女にとって、それがスベるとどうなるかということについては特に大きな関心の対象の一つらしい。もっとも、直面しているこの異常な光景が本当に怪人のダジャレによるものであるということをはっきりと断言できる者は、少なくとも今の彼女の周囲にはいないのだけれども。

 さて、そんなリヴェンティアは、ジャケットにパンツ、ニット帽にゴーグルと防雪・防寒対策バッチリ。まるでウインタースポーツでもしそうな出で立ちだ。当然である。肌の大きく露出した普段のボディースーツで吹雪の中に飛び込もうものならば、本人どころか、周囲の者まで見ただけでも凍えてしまう。
「さ、ハムちゃんとチンチラちゃんも一緒に」
 彼女には今回随伴者たちがいた。彼女の呼ぶ通り、ハムスターとチンチラである。が、両者は彼女が差し出す手に対して首を激しく左右に振り続けるばかり。理由はすぐに察しがついた。
「寒いからイヤでスか?…そデすか…なら暖かい乗り物作りましょうカ…?」
 リヴェンティアの提案に、ハムスターとチンチラの首が今度は上下に力強く動く。なにとぞ、是が非でも、そうしてくれ。さもなくば凍ってしまう!そんな主張が容易に見て取れる。
 メカニックとしての機能も備えたリヴェンティアにとって、彼らの望む乗り物を組み立てることくらいはお手の物だった。あっという間に出来上がった乗り物は、一見コタツに車輪と雪よけを取り付けたようなシンプルなもの。それでも、これを見たハムスターとチンチラは手をちょんちょんと叩く。どうやら気に入ってくれたようだ。
「じゃーン!ドテラ猫号なんて名前の走る炬燵デす!」
 が、リヴェンティアが名前まで披露したところで、この小さな二匹は揃って後ろに倒れ転がった。
「え、名前ダメでスか…!?」
 かくして、すったもんだがあったものの、小さな二匹、そしてリヴェンティアを乗せたコタツは、雪をしっかりと踏みつけながら動き出した。

 がたがたと音を立てて暴風雪の中をひた走る『ドテラ猫号』もとい、リヴェンティアの出したいくつかの候補より選ばれた『プティット・マーベラス号』は、滞りなく山を越え、下りの道を滑り降りる。外の景色は相変わらずだが、今のところはアクシデントもなく、快調だ。
「うーン、それにしても怪人さんいないでスね…。ダジャレ言ったら自分も言いたくなっテ出て来てくれたりしませんかネ?」
 リヴェンティアは道中の食料として持っていた薄切りのハムをちぎり、目の前のハムスターに差し出した。普段餌としては見かけない薄ピンク色の物体に一度首をかしげたが、やがてゆっくりと口を近づけ、頬に詰めた。その時、彼女の脳裏にある一言がよぎる。
「は…ハムスターがハム吸った…!な…なんちゃって…」
 ぷすん。コタツの中の温度が何故か急激に下がった気がしたかと思えば、突然、車輪の動きが止まった。
「あ、あれ…?」
 リヴェンティアを2つの小さな、涼しい視線が突き刺す。思わず恥ずかしくなった彼女は小さくなりながら、この偶発的な不調を調査し、プティット・マーベラス号は数分のうちに再び動き出した。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『海神ポセ男』

POW   :    ヒッポカムポスわっしょい
自身の身長の2倍の【金色のたてがみをもつ海馬の引く馬車 】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
SPD   :    クロノス激おこ
【触手の先】を向けた対象に、【麻痺状態にする電撃】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    アムピトリテさまさま
【毒を持つ蟹足】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はレド・ダークライトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●再会

 街を抜け、荒れ狂う雪景色をも抜けた先の眼下には、入り江のような浜が広がっていた。
 そして、そこにいたのは。

「お、お前らァ!?追っかけてきやがったのかァ!?」
 街でのコンテスト会場を占領し、極めてつまらないダジャレによって会場を白けさせた、青いタコ足の怪人だ。ダジャレ勝負で完膚無きまでにやられたがために捨て鉢になるまま飛び出してきたせいなのか、どうやら猟兵たちが追いかけてくるとは思わなかったようだ。

 が、間もなく落ち着きを取り戻すと、会場でも見せなかった悪意に満ちた表情を顕にし、蟹足のような数本の腕をキシキシと鳴らし始めた。
「お前らの…お前らのせいで、俺のプライドはズタズタなんだよなァ。俺はもーゥ怒ったぜェ?ここには観客もなーんもいないからなァ。周りを気にせず思いっきりやれるなァ…どちらかがくたばるまでなァ!!」
 猟兵とダジャレ怪人との本気の戦いが、今、幕を開けた。
神羅・アマミ
じゃかーしー!
こちとら死んだ爺ちゃんがお花畑の川向うで手ェ振る光景見せられたんじゃよー!
実は既に今もう渡った後なんじゃないかとヒヤヒヤしたわ!

あの寒すぎる(物理)ダジャレを発する口を真っ先に封じてやりたいところじゃが、手足多すぎるじゃろあやつ。
ごはんを食べる時とか箸と茶碗をどれで持つか混乱せんのじゃろか…
い…いかん!まだ意識が混濁し朦朧としとるぞ!ゆ、ゆるせねー!

厄介なのは麻痺電撃を放つ触手じゃろなー。
そこで数には数で対抗じゃ!
コード『特機』を発動し、自身は回避を念頭に置きつつビットでじわじわと切り刻んでくれようぞ!
触手の能力や機動性を削ぎ、他の猟兵のサポートに繋がれば幸いじゃ。
妾は盾キャラ!



●機先

「じゃかーしー!」
 岩崖がぐるりと囲む入り江、その石れきの浜の上、明確な害意を向ける怪人に対して真っ先に啖呵を切ったのはアマミであった。
「こちとら死んだ爺ちゃんがお花畑の川向うで手ェ振る光景見せられたんじゃよー!実は既に今もう渡った後なんじゃないかとヒヤヒヤしたわ!」
 つい先ほどまで極寒の中にあったアマミ、死線をさまよいかけたあの感覚、痛切な記憶が、一瞬彼女に身震いをさせる。
「ひぇはッ、そうかそうかァ、そいつァご苦労なこったなァ。それなら俺がここで直々にその川とやらに渡らせてやってもいいんだぜェ?川だけに、かわりになァ」
「たわけが!」
 怪人の挑発にぴしゃりと返す。両者いまだ手を出しあわず、互いの出方をうかがう。
(それにしてもあの怪人、手足多すぎるじゃろ…。ごはんを食べる時とか箸と茶碗をどれで持つか混乱せんのじゃろか…)
 ふと、そんな軽い冗談を思い浮かべてしまった己の頭をこつんとやるアマミ。と、これを隙と見た怪人は、その持つ全てのタコ足をアマミのほうへと向けた。
「まずはこいつを喰らえェ!!」
 怪人の叫びが響いた瞬間、アマミの周囲に現れたのは鋭利にして直線的な刃の群れ。それらは互いの柄を接ぎ合わせ、彼女の正面を覆うようにして大きな風車を形成した。一方、怪人の足から放たれるは電撃の群れ。軌道を変えず、アマミ目がけてまっすぐ襲い掛かるそれを、刃の風車が阻んだ。
「なにィ!?」
 隙を突いたはずであった先制攻撃を防がれた怪人の顔が驚愕に歪む。
「ふふ、数には数で対抗じゃ!」
 電撃をすっかり防いだ刃は回転を止める。その全ての柄尻に「1」の文字が皓々と光り浮かんでいた。
「今度はこちらの番じゃ。行けぃ!」
 アマミは手を怪人に向けて突き出す。それに呼応するようにして、刃たちはまっすぐ素早く飛んでいく。対して、守りの体勢を取ろうとする怪人。まっすぐならば、あれほどの小さな刃ならば、こちらだって防げる。
 すると、刃の群れは突如軌道を変え、互いを合体させた。合体のたびに浮かぶ数字を「1」から「2」に変え、「2」から「4」に変えたそれは、5本ほどの大きな刃となって怪人を襲う。
「いぎッ!」
 怪人の身の芯をかすめるようにして飛び交った刃は、彼の蟹のような腕の1本を切り落とすと、アマミの元へと帰り、再び分解しては音を立てて大きな風車を形成した。
「ふふ、どうじゃ、これぞ我が『特機』じゃ」
「こ、このォ…」
 出端を挫かれた形となった怪人は、額にしわを寄せ、歯を軋ませた。

成功 🔵​🔵​🔴​

千手院・ソワカ
なんと…観客がいなければ何をしても良いと!? なんと愚かな。
「喝ーーッ!! 芸事で気を抜くとは笑止千万!! 常日頃から舞台を想定して立ち振る舞わぬダジャレ家が大成するはずもなし!」

【真の姿】を解放:輝くエネルギーラインが体中に走った千手観音風の姿。身長3mを超える仏罰形態に変わる。ユーベルコード『逆仏契』を使い更に後光も背負う。
「御仏が瞬きで目を閉じている間に終わらせますの…。逆仏契ッ!!!」

攻撃回数重視の『我は号する済度の一撃』で叩き潰して差し上げますわ。正々堂々、ダジャレと共にね!
「その程度の覚悟でシャレの道に進むのは、やめなしゃれですのーッ!!」



●芸の神髄とは

 蟹のような腕を一つ切り落とされても、怪人は意外なほどに消耗を見せなかった。
「げひっ、お前らがマジなのはよォく分かったぜェ。だったらこちらとしてもシャレは抜きでやっていいよなァ。観客もいないし、ここは俺の庭だしなァ」
 観客もいないし──その言葉に、ソワカはついに堪りかねた。
「喝ーーッ!!」
 怪人を指さし、ぴしゃりと放つ。
「芸事で気を抜くとは笑止千万!!常日頃から舞台を想定して立ち振る舞わぬダジャレ家が大成するはずもなし!」
 それまでの彼女からは想像しえない剣幕もって、怪人を厳しく責めつけた。対する怪人は一瞬怯むが、彼女の激高に応じるようにして声を荒らげた。
「黙れ黙れェ!!お前らさえあの舞台に割って入ってこなければァ、あと少しで俺のダジャレが大爆笑を誘ったんだァ!!入ってきたのはお前らだろうがァ!!そんなお前らがさァ!よくも気を抜くとかさァ!!あああああァ!!!」
 感情の昂った怪人は金属の裂けるような高い咆哮と共に、馬車を召喚した。突如現れた、どす黒く、半馬にして半魚の異様な容貌の馬が一つ禍々しくいななく。怪人がその馬の引く車に飛び乗ると、前足で地を掻き始めた。
「是非に及ばず、ですの」
 その様子を見ていたソワカは小さく呟くと、拳にくっと力を込めた。瞬間、ソワカの身が突然膨張し、呼吸一つの間におおよそ倍もの体長の千手観音に姿を変えていた。血管のように複雑に走るエネルギーの線が鼓動の如く規則的に光る。
「御仏が瞬きで目を閉じている間に終わらせますの…」
 神性を増したソワカの声が残響する。その身の丈は、異様な馬車に乗った怪人をも凌いでいた。
「う、うるせェ!やってやるァーッ!!」
 怪人を乗せた馬は前足を強く蹴り出した。あっという間にスピードの乗った馬車が、巨大化したソワカ目がけて走る。
「ぎゃーてー、ぎゃーてー、はらぎゃてぃ!はらそーぎゃーてーぼじそわか!!」
そのソワカは、数倍、数十倍に増えた腕を引き、馬車を迎え撃つ形で前に突き出した。
「その程度の覚悟でシャレの道に進むのは、やめなしゃれですのーッ!!」
 叫びと共に、いくつもの拳が馬を、怪人を捉えた。
「あげげげえェ!?」
 馬車は吹き飛び、そこから投げ出された怪人を追い打ちのように拳が襲い掛かる。
 やがて、捨てられた玩具のように地に身を叩きつけた怪人。ソワカの攻撃は彼の身にいくつもの痣を残した。
「けへっ…やるなァ。だが、まァだ終わらねェぞォ」
 有効打を与えられたように見えた怪人がふらり立ち上がる。その表情には、一層の怒りが込められていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

大豪傑・麗刃
あの吹雪の原因はおまえか!
どうやったかはわからないけど、吹雪を起こすとはあやしいやつなのだ!
わたしもよくあやしいあやしい言われるけど、ここまでではないのだ!

それはともかく!
よくもわたしをこごえさせてくれたのだ!

わたしは怒ったのだー!!

(スーパー変態人発動)

これだけ光ってれば寒いダジャレもまったく怖くないのだ!

あとは右手に刀と脇差(と呼ぶにはちょっと大きすぎる剣)を両方握り、左手には斧を持ち、斬って斬って斬りまくるだけなのだ!
海馬の馬車だろうが電撃だろうが蟹足だろうがみんな斬れば解決なのだ!

海神というより怪人なのだ!
灰燼とキスでもすればいいのだ!



●慣らせば、見及ぶ

「あの吹雪の原因はおまえか!どうやったかはわからないけど、吹雪を起こすとはあやしいやつなのだ!」
 次いで怪人に対して息巻くのは麗刃だった。先の暴風雪をなんとか越えた彼であったが、その腹には常ならざる憤りを抱いていた。
「へはッ…それがどうしたァ?そう言うお前らこそ、よォくあんなひっどいところ越せたよなァ?他人のこと言えるかなァ?けへへッ」
「わたしもよくあやしいあやしい言われるけど、ここまでではないのだ!」
「なんだとォ?」
 怪人の挑発を認めつつも、麗刃はさらりと返す。が、もはや彼の溜飲を下げるにはそれも一切効果をなさなかった。
「それはともかく!よくもわたしをこごえさせてくれたのだ!わたしは怒ったのだー!!ハァァァァァ!!」
 麗刃が雄叫びを上げた。と同時にその足元から突風が巻き起こり、怪人は腕で顔を守った。そして、その腕を下げた頃には、麗刃の周囲を黄金色のオーラが包み、その髪も逆立っていた。怒りのパワーによって、スーパー変態人(スーパーレイクン)に変貌を遂げたのだ。
「な、なんだァお前ェ…?」
「ふっふっふ、これだけ光ってれば寒いダジャレもまったく怖くないのだ!さあ、かかってくるといいのだ!」
 武人の血が疼いた。麗刃は刀と大脇差を片手で器用に握り、もう一方の手には斧を構えた。相手が多数の腕を持つならば、こちらも負けぬ。
「えぇィ!その言葉ァ、飲みこむんじゃないよォーーッ!!」
 怪人が再び馬車に飛び乗ると、今度は間髪入れずに突進を仕掛けた。猛スピードで迫る馬を正面に、麗刃は目を光らせた。
「ふっ、見切ったりなのだ!」
 戦闘力を高めた麗刃にとって、この瞬間は時がゆっくり流れているように感じた。怪人を引きつけた彼はくるり、コマのように素早く身をひとつ回してかわすと、今度はその慣性力をもって、斧、そして2本の刀を一息に振り下ろした。麗刃の目の前を横切るように空振った馬を斧が、怪人を刀が捉える。半馬半魚の獣は見事に両断されて霧と消え、怪人はバランスを崩した馬車から投げ出された。辛うじて着地すると、彼はようやく、その腕の半数、足の数本が切り落とされていたことに気が付いた。
「ぎぇァッ!?いでででェ!?」
 さしもの怪人も痛みに顔を歪ませた。一方、あの早業の繰り出した側は至って涼しい顔だ。風貌もテンションも常人離れした男、大豪傑・麗刃、武人の血脈を受け継ぐその腕は確かだった。
「海神というより怪人なのだ!"灰燼"とキスでもすればいいのだ!」
「なァにィ…?俺はもとから怪人だァ…"はい"そうですかとやられないんだァ…!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

中村・裕美
「……」
ポセ男に対面したものの、喋ることもないのでコタツに入ってお茶をすすっている。
「…私の仕事は…『彼女』を連れてくればおしまい。……多少の時間稼ぎくらいは…するけど」
と、会話でポセ男の気を引き、【時間稼ぎ】しているところで【オルタナティブ・ダブル】で呼び出してあるシルヴァーナで背後から【だまし討ち】
「お待たせいたしましたわ。周りを気にせず戦えるというのはわたくしも同感ですわ」
惨殺ナイフを相手に突き立てる
「複数の魚介類の混ざった怪人さんってどんな色の血なのかしら?わたくし、気になって気になって仕方ありませんでしたの」
そのまま猟奇的な笑みで電撃に耐えつつ【傷口をえぐる】

観客には見せられないよ!



●屈辱と意地

「……ふぅ」
 と、ひとつ息を吐いたのは裕美だ。彼女が雪模様を越えるために使用したコタツにゆったりと腰まで埋まり、茶をすすっていた。
「…おいお前ェ…そんなところにいてずいぶん余裕そうだなァ?」
 怪人は裕美のもとへとにじり寄る。怪人はこの顔をよく覚えていた。街のコンテスト会場で、散々なまでに自分を卑しめてくれた顔だ。それゆえに、彼女への怒りはひときわ強かった。
「…私の仕事は…『彼女』を連れてくればおしまい。……多少の時間稼ぎくらいは…するけど」
「あァン?なんか分からんがァ、たしかお前だったよなァ?つまらないだの救いようがないだの言ってくれたのはさァ!」
「……」
 あくまで我関せずを貫く裕美の態度に、怪人は沸点に至りかけていた、
「このガキゃァ…俺をどこまでもバカにしやがってェ…!いいぜェ、ここは誰もいないんだァ、好きなだけ…いぎっ!?」
 突然、怪人の背に激痛が走る。
「お待たせいたしましたわ。周りを気にせず戦えるというのはわたくしも同感ですわ」
 そこには、なんともう一人の裕美が、惨殺ナイフを突き立てていた。この高家めいた口調。そう、これこそがシルヴァーナの人格宿る裕美であり、正面にいた裕美が分身を生み出していたのだ。
「複数の魚介類の混ざった怪人さんってどんな色の血なのかしら?わたくし、気になって気になって仕方ありませんでしたの」
 ひとつ手に力を込めれば、刃がずるりと入る。シルヴァーナはその感触を楽しむかのように、無邪気な調子で、けれども猟奇的な言葉を投げかけた。
「ぐぅッ…おのれェェ…バカにしやがってェーーッ!!」
 しかし、怪人もやられてばかりではいなかった。とうとう爆発した怪人は、その足に帯びた電気を至近距離でシルヴァーナにぶつけた。
「ぎはははは!ぎーはははは!」
「ふふふふ…アッハハハハハ!!」
 ナイフの痛みに耐えながら電撃を繰り出し続ける怪人。そして電撃をもろに受けながらナイフをさらに強く突き立てるシルヴァーナ。その両者が、互いを掻き消さんばかりにしばらく高笑いを響かせていた。その頃、本物の裕美は数歩離れ、電撃が及ばぬよう身を護っていた。
 根競べは、およそ一服の間続いたろうか。
「ぎはは、は…ぐッ!小生意気なァ!」
 怪人は電撃の放出をやめ、タコ足を使ってシルヴァーナを突き飛ばした。惨殺ナイフの刃を伝って柄から滴り落ちた血は薄青く、シルヴァーナの足元にいくつかの染みを作った。
「くっ…あらあら、どうしました?私はまだこの通りですわよ?」
 うそぶくシルヴァーナ。その服は所々焼け焦げ、うっすらと消耗の色が見て取れた。だが、それは怪人の側とて同じであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ポーラリア・ベル
本気のダジャレ勝負だね!
海神な怪人さんと回線繋いで二回戦開戦なっきゃー!?
触手が飛んでショックっしゅ!毒が来るっぽいズン!?
海馬がでっかいば!

攻撃が直撃しそうならあたしは
フェアリーランドの壺の中にすポット入るよ!
中でルーンソードに炎のトリニティを得んハンス
サイコキャノンに弾として装填しそうてん。

壺を壊そうとするか覗き込むかしたら飛び出て
ルーンを包ーんだルーンソードを弾とした
サイコキャノンのサイコーの一撃を壺から、撃つぼー!
マスカラ付けたお目目を気アイで狙いマスカラー!

炎の閃光でフラフラッシュしたら
懐に飛び込みサイキックブラストで止まりなサイキック!
お耳にダジャレでダーッとジャレるのよー!



●本気の勝負

「怪人さん!本気のダジャレ勝負だね!」
 いよいよ消耗の色が見えてきた怪人の頭上を小さなポーラリアが飛び回る。街のコンテストではこの怪人と掛け合いのようなダジャレ勝負を繰り広げ、明確に負けを認めさせた彼女であったが、山を越えて所在を突き止めた今、怪人との勝負を再び申し込んだ。
「あァ…?お前も確かあんときにいたチビだったなァ。だが俺は今最高に怒ってるんでなァ、今はそんな場合じゃ…」
「海神な怪人さん!回線繋いで二回戦開戦よ!さあ!怪人さん!」
 跳ねのけようとした怪人に構わず、子のようにせっつくポーラリア。この怪人ともう一度ダジャレ勝負がしたい。このためにあの雪山を越えてきたのだ。ここまで来ておいてダジャレ勝負をしないなど、彼女が納得するはずがなかい。
「んがァーッ!!やかましいィ!!あァもうやぶれかぶれだァ!ひねり潰してやるゥ!!」
 絶えず騒ぐ声に堪え切れず、髪を振り乱しながら了承する怪人。ここに、ダジャレ勝負の第二ラウンドが幕を開けた。
 
 目を輝かせたポーラリアは怪人の頭上から離れ、正面に移動した。
「触手が飛んでショックっしゅ!それとも、毒が来るっぽいズン!?海馬がでっかいば!」
「売られた勝負なら相手が牛でも"買う"ぜェ!この俺の毒で孤独に沈めェ!」
 ポーラリアの挑発に応じるように、怪人はダジャレを込めた叫びで青い蟹足を突き出す。毒の蟹足はポーラリアをわずかに掠めた。
「わぁ危ない!壺の中にすポット入るよ!」
 ひらり身を翻した彼女は、小さな壺の中に飛び込む。ことん、と地に着く小さな壺。それを見た怪人はそれに向かって得意げに言葉を放った。
「一回だけ避けられたところでお前は所詮"一介"のフェアリーだァ!そん中に入りゃァお前はまな板の上の鯛!安全だと思うなめで"たい"奴めがァ!」
「大丈夫!マスカラ付けたお目目を気アイで狙いマスカラー!」
 壺の中からポーラリアの声が響く。窮鼠の強がりか、はたまたこれも作戦の一つか。
「"アイ"にく、俺はもうツボの目の前だぜェ!こうなりゃ俺の思う"つぼ"だァ!」
 怪人が蟹の腕を振りかぶる。と、その瞬間、壺の中から弾丸のように飛び出したポーラリア、その小さな腕にはサイコキャノンを構えていた。
「サイコキャノンのサイコーの一撃を壺の上から、撃つぼー!」
 直線的な炎の光芒が怪人を飲みこむ。火を湛えたルーンソードの力が、サイコキャノンによって増幅し、一気に放たれたのだ。
「げべべばッ!?」
 直撃を受けた怪人から海水の匂いが一層濃く漂う。放たれた光の跡には、全身を焦がした怪人の姿があった。。
「くそォ、くそォ…」
「どうかしら!?炎の閃光でフラフラッシュ!?」
 ダジャレの口が止まったのは怪人だった。かくして、ポーラリアは二度のダジャレ勝負を制する形となった。
 
 だが、いくつかの腕も足も失い、全身を焦がされてなお、怪人は地に膝をつけずに佇んでいた。もはや、彼を動かすものはその意地と気力ばかりであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

姫鶴・小夜
やれやれ、最後の悪足掻きとはこの事じゃな。居合わせたのも何かの縁じゃ。後腐れなく葬ってくれようぞ

「場を凍らせるダジャレもまたある種の一芸と考えればそれもまたよし、ではあったがの」

薙刀である備州兼光を構えて突っ込むぞ。ダジャレ使いだけに突っ込ませてもらうぞ。敵の攻撃は技能【残像】を使って回避かもしくは【盾受け】を使って受け止める。
間合いに入ったらユーベルコードの「剣刃一閃」でぶった切ってくれよう。
そこから【2回攻撃】を使って返す刃でもう一撃見舞ってやろうぞ。

「海神だかなんだか知らんがタコかカニかサメか分からぬ混じった姿、体、その全てを削ぎ落としてくれよう。跡には何が残るかのう?」



●万里一空、剣刃一閃

 怪人との戦いは依然として続いていた。日は既に西に傾きだし、大地にもたらす白い光を薄く橙に染め始めていた。
「やれやれ、最後の悪足掻きとはこの事じゃな」
 猟兵たちの猛攻に姫鶴・小夜(麗刀姫鶴・f11358)も続かんと挑発をぶつける。
「な、なんだとォ?俺はまだ終わらんかんなァ…!」
 既にいつ倒れるとも分からないほど全身に傷を受けているにも関わらず、怪人の負けじ魂はいまだ衰えていなかった。
「場を凍らせるダジャレもまたある種の一芸と考えればそれもまたよし、ではあったがの」
「お前ェ…俺のダジャレは場を凍らせるようなもんじゃねェ!」
 本心か否か、ささやかな情けの言葉を怪人にかける小夜だったが、その怪人は相も変わらず威勢のいい言葉を投げ返す。苦し紛れなのか、あるいは真に理解していないためのものなのか。彼の恫喝にも至って冷静な小夜は、眉間を押さえて一つ息を吐く。口だけで攻めていてもきりがない、そう思い直した彼女は、薙刀を構える。
「ま、居合わせたのも何かの縁じゃ。後腐れなく葬ってくれようぞ」
「言わせておけばこォのガキゃァ…葬るのは俺のほうだァーッ!!」
 怒りの炎を一層強めた怪人は前に一つ跳躍すると、足を鞭のように振るわせ、すでに引き手のない馬車を渾身の力で蹴り出した。重心も定まらないまま、馬車は暴れるように廻転しながら小夜を目がけて襲い掛かり、腰構えの小夜のあった地点に荒々しい音を立てて叩きつけられた。石礫が弾け上がり、地が抉れたのを見届けた怪人だったが、既にそこには小夜がいないことをすぐに察した。それは、彼の足元、懐近くに在った。
「ダジャレ使いだけに、突っ込ませてもらうぞ」
 太刀としての意識が、そして武人としての血が、残像を生み出すほどの素早さを小夜に与えていたのだ。小夜は飛び上がりながら薙刀を振り上げると、数本あった怪人の左腕を切り落とし、刃を返して落下した頃には、今度は右腕のほとんどをも切り落としていた。
「どうじゃ。海神だかなんだか知らんが、わしがもう一つ本気を出せば、タコかカニかサメか分からぬ混じった姿、体、その全てを削ぎ落としてくれよう。跡には何が残るかのう?」
 小夜は怪人の背後で薙刀を立て、追い打ちを掛けるように挑発した。
「くそォッ…!!俺は、俺はァ…」
 右の一本を残して悉く失った腕の口から薄青い血がはたはたと滴り、怪人の動きが鈍った。今や彼に残されたのは、その腕と、幾つかのタコ足、そして痛覚を麻痺させるほどに燃え上がった根性だけであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リヴェンティア・モーヴェマーレ
アドリブ大歓迎

タコ…でス…
あ、でも思っていたよりカッコいい気がするかもしれない気持ち
っとと…そんな事言ってる場合ではありませんね…

目には目を…
タコにはうちのチンチラの藍ちゃんを…!
おいでませ!藍ちゃん!
ご飯の時間デーす!

Wonderful Rushを使用し、チンチラの藍ちゃんを召喚デす!
タコなんて食べちゃってください
シャレを言う暇なんてあげませン
あ、デモ…マヒ状態になるみたいなのデ、気を付けてくださイ!
他の参加者さんと協力が出来るなら協力

後方で情報収集しながら藍ちゃんに指示を出しつつ超応援でス!
ハッキングで弱点もないか調査
あればソコを狙いますネ

無事に戦闘が終わったら藍ちゃんに手当とご褒美です♪



●乾坤一擲、そして

 もはや大勢は決しかけていた。攻撃する術の多くを失い、何人もの猟兵たちによる手痛い攻撃を受けたダジャレ怪人は、口数も減り、鬼気迫るような目を彼らに向けていた。
「タコ…でス…。あ、でも思っていたよりカッコいい気がするかもしれない気持ち…」
 あの暴風雪を越えて駆けつけ、ようやく怪人の姿を目にすることとなったリヴェンティアは、素直な印象を一つこぼした。乱れた青白い髪、いまだ全身から湧き出る闘争心。それは、少しばかり彼女の心を動かしかけたようだが、怪人は怪人、すぐに戦闘の真っただ中であるという事実に意識を引き戻された。
「っとと…そんな事言ってる場合ではありませんね…。ダジャレ怪人さん、覚悟デすよ!」
「ひ、ひぇはははァ…さァ、来るならいつでも来いよォ。受け止めてやるからさァ…」
 最後の抵抗か、リヴェンティアに気づいた怪人はよろよろとタコ足を彼女に向けた。
「目には目を!タコにはチンチラを!でス!おいでませ!藍ちゃん!ご飯の時間デーす!」
 リヴェンティアが怪人の方向へ手を出す。と、次の瞬間、地響きと共に大きな──成人ほどはある体長の──チンチラが現れ、怪人に向かって一気に駆け出した。
「ははァ、そうだァ…来いよォラァァァァ!!」
 怪人は咆哮しながら足を前に突き出した。持てる全ての力を解放するかのように張り上げた声が入り江に響き渡った。
 しかし、電撃が出ない。どれほど待っても、彼の足から電撃が放たれなかった。彼はすでに力をすっかり消耗していたのだ。それを忘れさせるほどに、怪人の執念は強く、激しく、鋼の鎧のごとく彼の気力を強固に支えていたのだ。
「くそォ、こんな時にィィ!!」
「藍ちゃん!足でス!足を狙うのデスよー!」
 リヴェンティアが叫んだ。あの足を封じてしまえば、怪人はどうにもならなくなる。そう判断した彼女の指示であった。
「ああああァ!!受け止めてやるァァァ!!!」
 迫りくる大動物に最後の咆哮をぶつける怪人。そして──
「げばァッ…!……」
 突進を足元から受けた勢いで、構えていたタコ足の先が逸れた。ようやっと繰り出した小さな細い電撃が上空に放たれ、残響もなく消えていった。チンチラはそのまま怪人のタコ足数本を一口で噛み千切り、駆け抜けていった。

 ふつ、と糸の切れたような感覚が、怪人の身から力を一瞬にして奪い、ダジャレ怪人はとうとう仰向けに倒れた。彼の意地という名の炎は、ついに消えたのだった。


●怪人を待つ末路

「ひぇは、はははァ…」
 怪人は、倒れたまま笑い出した。既に起き上がる力もないらしく、残ったわずかなタコ足も、ぴくりともしなかった。
「この数日でェここまで笑ったのは初めてだったなァ…。お前らさァ、本当ひどいよなァ。笑かしてやるつもりが、俺の方がァこんなに…笑かされるとかさァ…」
猟兵たちが見つめる中、怪人はゆっくりと言葉をつなげる。
「もうわかったよォ…殴り合いに関しちゃァ、お前らの勝ちってことにしとくからさァ。…でもお前らなァ。どんなに殴り合いで負けようがなァ、俺のダジャレが一番なんだ…俺のダジャレがなァ」
 手足を、体力を、そしてそれらを支えた気力を奪われてもなお、ダジャレ怪人の芯は、現に笑いを取ることができたかどうかは関係なく、彼のダジャレが至高であると自負するその芯は、揺るがなかった。この戦いで彼をもっとも突き動かしていたのは、もしかするとこれだったのかもしれない。
「もしまた俺に掛かってきたかったらァ…続きは地獄でやろうよなァ。だからお前らァ、必ず地獄へ落ちて来いよなァ?…俺はそんときまで、地獄の鬼とか悪魔にダジャレ聞かせながら待ってるからさァ」
 本気か冗談か、冥土での約束を交わそうとする怪人。その呼吸はすでに浅くなっていた。
「ひぇはは…地獄に行く前ぐらい、好きに喋らせてくれたっていいだろォ?…地獄だけに、"減る"もんじゃなし、ってなァ…」
 ダジャレを添えた怪人はついに自爆し、炎と煙に包まれて跡形もなく消えていった。かくして猟兵たちは、一つの仕事にまた決着をつけたのだった。

 入り江に静寂が戻る。そして、猟兵たちの呼吸も整った頃、丘の上から水が染み出し、さらさらと流れてきた。彼らが越えてきた雪景色のあった方角からだ。水は浜の窪みに湛えられ、穏やかな、ごく小さな川となり、いつしか海へと流れ出るほどまでになった。そんな、まるで小さな春を思わせるかのような光景を見届け、猟兵たちは入り江を後にしたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月08日
宿敵 『海神ポセ男』 を撃破!


挿絵イラスト