帝竜戦役⑨〜輪廻の果てに待つモノ
●生々流転沼
『わたしを殺してくれる勇士……』
毒ガスの蔓延する広大な沼沢地、そこで生と死を繰り返す巨大な竜。それこそが帝竜ガルシェンであった。
自らの存在に危うさを感じ、それを抑え込もうとしても抗えない。このままでは自らが引き金となり世界を滅ぼしてしまう。
だからこそガルシェンは求める。自らを殺してくれる勇士を。
「わたしは、待っています……」
●グリモアベースにて
「皆様、お疲れ様です。新たな帝竜が発見されました」
グリモアベースで猟兵たちを出迎えたアマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)が新たな帝竜の出現を告げる。
「今回、生々流転沼と名付けられた場所で発見されたのは帝竜ガルシェン。『創世巨獣』の異名を持つ何十kmにも及ぶ巨体の帝竜です。絶大な生命力を持ち、体内ではありとあらゆる生命の進化と絶滅が絶えず繰り返されているとのことです」
生々流転沼、そこは毒ガスこそ蔓延しているが猟兵たちならば少々息苦しい程度で済む。それよりも問題はガルシェン自身の巨大さだろう。サイズの差はそのまま戦闘能力にも如実に表れる。そこが今回の戦いにおいて最も重要な点だった。
そして最後にアマータは一つ情報を付け足す。
「……そして、この帝竜は死を望んでいるらしいのです」
帝竜側の事情は分からない。しかし猟兵たちとしても彼らを倒さなければ先へ進むことはできない。ならばその願いを聞き届けるしかないだろう。世界を破壊させぬためにも。
「今回の相手は途轍もなく巨大。ですが皆様ならば問題ないと当機は信じております。どうかご武運を」
こうしてカーテシーと共に猟兵たちの転移が開始された。
灰色幽霊
どうも、灰色幽霊です。
三度の幹部戦となります。
相手は帝竜『ガルシェン』。
また例の如く今回も『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』ことでプレイングボーナスが発生いたします。帝竜は確実に先制してきますのでどう防ぎ、どう反撃するかをお考え下さい。
今回は幹部戦ですので基本的に『成功』か『大成功』のプレイングのみリプレイを執筆しますのでご了承ください。
その他注意事項などはMSページもご覧ください。
それでは皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『帝竜ガルシェン』
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POW : 創世巨獣ガルシェン
【獣の因子】を使用する事で、【巨大な薔薇】を生やした、自身の身長の3倍の【創世巨獣形態】に変身する。
SPD : アンチイェーガー・ギガンティス
いま戦っている対象に有効な【猟兵を殺す毒を宿した『新種の巨大生物』】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ : 防衛捕食細胞の創造
召喚したレベル×1体の【外敵を飲み込み自爆する『巨大スライム』】に【虫を思わせる薄羽】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
灘杜・ころな
この帝竜は、望んでここに居るわけやないんやね……。
引導を渡したるんも、優しさやろか?
防衛捕食細胞は、それらがうちに到達する前に《降神・天照》を発動出来れば、何とか……!
――自爆は強力じゃが、妾(天照)相手に空を飛ばしたのはまずかったのう。
飛翔する輩は、自分が飛ぶ高さよりも上から攻められれば脆いものじゃ。
彼奴らより上、遥か天より灼熱の巨大光球を降臨させ、自爆前に残らず焼き尽くしてくれるのじゃ!
ガルシェン自身は……面白い、真っ向勝負じゃ。
一度試してみたかったんじゃ……妾の光球は何処まで巨大に出来るかをのう。
限界まで巨大化させた灼熱の光球で、ガルシェンを丸呑みに出来ぬか……試してくれよう!!
●神の鉄槌
毒ガスの蔓延する広大な沼沢地、そこには一体の帝竜が眠っていた。一人そこで生と死を繰り返す巨大な影、それこそが帝竜ガルシェン。竜はいつからかここにいて、自身がここに居てはいけないモノだと理解していた。
「この帝竜は、望んでここに居るわけやないんやね……」
戦う意思はない。しかし誰かが足を踏み入れれば身体は防衛本能が動かし、その誰かを攻撃してしまう。自らが望まずとも帝竜は生き長らえ、いつか世界を破壊してしまうだろう。
だから―――猟兵が引導を渡す。竜の本心はわからない。だが倒さなければ先へは進めないから。
灘杜・ころな(鉄壁スカートのひもろぎJK・f04167)の接近を感じ取ったガルシェンの身体は防衛捕食細胞が動き出す。巨大なスライムの様な細胞に虫を思わせる薄羽が生え、数多の軍勢となりころなへ殺到する。
「間に合って……っ!」
そしてころなを伴って自爆する防衛捕食細胞。しかし爆炎が晴れたその場所にころなの姿は存在しなかった。
「――自爆は強力じゃが、妾相手に空を飛ばしたのはまずかったのう」
間一髪のところでころなが発動した【降神・天照】。神を降し今のころなは太陽を司る女神天照の化身となった。天照は防衛捕食細胞たちを軽く飛び越えさらに上へ。遥か天より女神がスライムたちを見下ろす。
「飛翔する輩は、自分が飛ぶ高さよりも上から攻められれば脆いものじゃ」
その言葉と共に作り上げるのは灼熱の巨大光球。天より降臨する太陽の如き神の鉄槌が防衛捕食細胞の集団を飲み込み一つ残らず焼き払う。
「次はお主じゃ」
今動かぬガルシェンへ天照は限界まで光球を巨大化させその巨躯を飲み込まんと力を振るう。それは先ほどよりも数段大きく、まさしく地上に堕ちた太陽だった。
陽は堕ち、創生の巨獣はその業火に焼かれていく。
成功
🔵🔵🔴
月凪・ハルマ
そっちの事情は知らないが……
こっちも退く訳にはいかないんでね
お望み通り、骸の海に還してみせよう
◆SPD
しかし本体もデカけりゃ、呼び出す生物もデカいときた
……周囲に被害が出るような状況でなくてよかったね
だが巨大だという事は、相応に死角も大きくなるって事だ
なら動向を観察(【情報収集】)して動きを【見切り】、
【迷彩】【忍び足】も駆使して常に死角に入りながら戦おう
敵からの攻撃は【残像】【武器受け】【第六感】で回避
死角から【武器改造】で爆破機能を付与した手裏剣を投擲しつつ
隙を見て【破天剛砕錨】使用、更に【早業】でエンジンを起動して
【捨て身の一撃】をガルシェンに叩き込む
※アドリブ・連携歓迎
セレヴィス・デュラクシード
巨体過ぎて戦う方法に困ってたんだけど、オヤツ食べてたら閃いちゃったんだよね~(悪戯を思い付き試したくて仕方のない顔
このUCはこんな使い方も出来たんだよっ!
■行動/SPD戦
・【指定UC】にて帝竜ガルシェンの姿をした自分を思い浮かべる
・戦うのはUCで出たボク(偽ガルシェン)、先制して対ボク用に出されたギガンティスの特性なんて偽ガルシェンには効かないんだから!
・踏み潰しちゃえ!……あ、火とか吹けないのかな?
・力を溜めて、思いっきり、本物ガルシェンの頭目掛けて鉤爪の一撃を
「「にゃははは~♪さぁ、怪獣大決戦だよっ!(本物は偽ガルシェンの頭の上で腕を組み仁王立ち」」※声ハモる
う…酔ったかも、気持ち悪(蒼白
ペイン・フィン
……難儀な存在、だね
自分は、ペイン・フィン
指潰しのヤドリガミにして、怨念喰らい
この体も又、怨念を力にしているよ……
さて
自分に有効な毒、となると、恐らく扱われるのは"浄化"の毒
怨念を浄化する聖なる毒
だからこそ、対応できるけどね
世界知識、情報収集を中心に
聞き耳、視力、第六感で感覚強化
見切り、残像で回避に集中
……多少喰らっても、構わない
コードさえ使えれば、それで良い
コードを使用、"浄化"属性になる
本当は、真の姿で使わないと危ないけど……
強化したスピードで速攻
扱うのは焼き鏝"ジョン・フット"
浄化の力を宿した、魂を解放する炎で焼こう
何度も生きて、何度も死ぬのは、辛いよね
だからどうか、安らかに……
●巨獣降臨
業火に焼かれたことでガルシェンの防衛捕食細胞は活動を停止した。しばらく休めば回復もするのだろうが少なくともこの戦闘中は無理だろう。代わりに生み出され、猟兵たちの前に立ち塞がるのはアンチイェーガー・ギガンティス。猟兵を殺すためだけに造られた巨人だった。本体であるガルシェンの10分の1程度の大きさではあるがそれでもその身体は数kmに及ぶ。それが次々と生み出され、生々流転沼は巨人の軍団で埋め尽くされる。
「そっちの事情は知らないが……こっちも退く訳にはいかないんでね」
「……難儀な存在、だね」
「ふっふっふ」
月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)、ペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)、セレヴィス・デュラクシード(複製サレシ幻想ノ狐姫・f04842)はガルシェンと矛を交える前にこの巨人の軍勢を相手取らねばならなかった。
そして巨人たちはただ大きなだけではない。
「―――ッ!」
巨人の振るう拳を避けたペインが違和感に気づく。傍を通っただけでわかる。巨人には浄化の力が宿っている。つまり怨念を喰らい糧とするペインにとっては天敵とも呼べる相手。同じくハルマも巨人の索敵能力に舌を巻いていた。
「自分たち用に、調整されているね」
「とはいえ手がないわけじゃない」
ひとまずハルマとペインは回避に専念し巨人の動きを観察する。こちらに対応するために生み出された巨人だとしてもどこかに付け入る隙は存在する。
「ふっふっふ! 見るがいい! ボクのとっておき!」
しかしそんな2人を尻目にセレヴィスは堂々と巨人たちの前に姿を現した。よく考えなくても巨人の軍勢相手にセレヴィス一人で立ち向かえるはずがない。セレヴィス自身は知る由もないが巨人たちは電子の存在をも消し去るウィルスを身体に仕込まれている。
だがそれでもセレヴィスにはとっておきの秘策があった。
「出でよ! ボクガルシェン!」
ユーベルコ―ド【狐の威を借る狐】は本来セレヴィス自身を召喚し、共に戦わせるモノ。だが今回呼び出すのはガルシェンの姿形をしらもう一人のセレヴィス。少々反則気味ではあるが自己の定義があいまいなバーチャルキャラクターのセレヴィスだからこそできた荒業だろう。
現れたのはまさしくもう一体のガルシェン。巨人たちの10倍近い巨躯を持つ竜。もしここ以外の場所で召喚をしたら周囲の被害は途轍もないものになっていただろう。
「「にゃははは~♪さぁ、怪獣大決戦だよっ!」」
本体はボクガルシェンの頭の上で腕を組み仁王立ち。まさしく今ここに怪獣大決戦が―――始まらなかった。
確かに巨人よりもセレヴィスの化けたガルシェンの方がサイズは大きい。しかしそれはあくまでセレヴィスの想像で生み出したガルシェンに過ぎない。身体だけ似ていたとしてもその生態までは模倣できていなかった。
つまり巨人を生み出す機能などは備わっていなかったのだ。
サイズが大きくとも巨人たちの数は10を優に超す。囲まれてしまえば劣勢になるのは火を見るよりも明らかだった。
「が、頑張るんだよ!」
鉤爪は尾を駆使して巨人たちへと対抗するが多勢に無勢。ボクガルシェンとセレヴィスは徐々に追い詰められていく。
しかしそれは意図せずともいい囮になっていた。
「さあ……、痛みを、終わらせるよ」
「……よし」
巨人たちの動きを見切ったハルマとペインは遂に攻勢へと移る。
ペインは【輝きはまるで星のように】を発動することで自らの属性を反転させ、怨念を喰らうモノではなく存在を浄化し魂を開放する聖浄なモノへと作り変える。本来であれば真の姿を開放したときに使用するユーベルコ―ドであり通常時の使用は負担も大きいがこれで巨人たちの浄化の毒は無効化することができる。
ハルマもまた大型のチェーンアンカーを引きずり出し肩に担ぐ。大きなものには大きな得物で対抗する。
巨人たちがセレヴィスたちを狙っている今こそ絶好の好機だった。
「うおお~!」
セレヴィスたちの攻撃を逃れた巨人をペインとハルマが追撃する。サイズの差は確かに脅威ではあるがたかが数km程度ならば2人で狙えば造作もない。四肢を破壊し、落ちてくる頭を砕く。ただそれだけの作業の繰り返しで巨人たちはみるみるその数を減らしていく。
だが巨人たちを生み出しているガルシェン本体を止めなければ無尽蔵に生まれ続ける。今は猟兵たちに優勢だがそれも時間の問題だろう。粗方の巨人を倒し終えたそのタイミングで猟兵たちは賭けに出る。
「いっけー!」
セレヴィスとボクガルシェンが向かうのは本物のガルシェンの元。何も考えずただ真っ直ぐと突き進む。道中にいる巨人たちを撥ね飛ばし。
それは事故と言えるレベルではなかった。2体の巨獣が衝突した衝撃で大地が揺れる。
「う……酔ったかも、気持ち悪」
ここまでされてはガルシェン自身の防衛本能が黙っていない。一時的に巨人の生成をストップし、自らの敵を確認する。だが本来の敵は自身にぶつかったモノではなく、その陰に隠れる小さき者たち。
「伊達に大仰な名前を付けてる訳じゃあないんだな、コレが!」
「何度も生きて、何度も死ぬのは、辛いよね。だからどうか、安らかに……」
【破天剛砕錨】の力で巨大化させた『破砕錨・天墜』を担ぐハルマと『焼き鏝"ジョン・フット"』を構えるペイン。
巨大な錨の一撃がその巨躯を揺らし、魂を開放する焔が焼き焦がす。
大成功
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死之宮・謡
アドリブ歓迎
貴様は死にたい、私は殺したい。利害の一致か…
まぁ私はこれでも貴様にそれなりの親近感を覚えているんだ…
さぁ…殺るか…
・POW
闇呪宝玉をパルチザンに変え、膨大な「呪詛」と雷(属性攻撃)を纏わせ戦闘態勢
貴様は死ぬために生き続け…
(巨躯に圧殺されたところで)
~【既死廻生】~
私は殺すために生き続けよう
貴様を殺すまで何度でも甦ってやろう
▼
UCで相手を殺せるまで甦り続ける
巨躯を更に巨大化させようが延々と強化復活を繰り返し只管攻撃
相手UCへの対処:後出しでUCによる無限強化での超越
アウル・トールフォレスト
(※好きにお任せします)
すごく大きい…
これはわたしも全力を出さないとね
それに
彼、とても辛そうだから
先制攻撃には耐える
オーラを展開して、出来る限り衝撃に備える
負傷は免れない、毒もわたしを蝕むだろう。けど大丈夫
重要なのは、その後なのだから
【開花の時は来たれり、我は天地囲う世界樹なり】
「神体」に変貌して、傷も毒も生物さえも届かない程に肉体を無限に拡げていく
わたしの相手は、本当に意味であなただけになる
そしてわたしは終わりの世界樹。世界の最後に聳え立つ大樹
あなたにとっての、きっと天敵になれる
わかるよ
ずるいよね
でもごめんね、他に思いつかなかったの
わたしは終わらせたいだけ。似ている彼を見過ごせなかった
だから
フランチェスカ・ヴァレンタイン
これだけ極端にサイズ差があるとなると… さて、生半可な攻撃じゃ徹りませんよねえ
巨獣形態の攻撃を空中戦機動の急加減速で躱しながら、打開策など探りましょうか
爆撃の弾幕で目を眩まし、他の方とも連携して切り込む隙を伺います
機を見てUCを背面に展開、無数の光焔の槍が羽ばたきと共に弧を描いて前方へ
それらが互いに衝突し、絡み合いながら集束していき――顕れるのは、渦巻く光焔が象る極めて長大な突撃騎槍
「参ります…! 葬送の浄炎代わりに、どうぞ召し、上が――れッ!!」
最大戦速でのランスチャージで穿ち、内部へと抉り込んだ光焔の大騎槍を急速離脱と同時に炸裂させ
お望み通りその巨体、跡形もなく灼き尽くして差し上げます…!
テラ・ウィンディア
大きいな
まるで世界のようだ
あんたはきっとそんな存在だったんだろうよ
世界を生み世界を背負う
なら…世界を滅ぼすなんてあり方は…そんな風になってまでも尚拒絶したくなるのだろう
ならば…止めるのみ!
対POW
【属性攻撃】
炎を全身に付与
【空中戦】で飛び上がり巨体全体を見据え
その上でその脈動と動きから【戦闘知識】も利用して弱点ともいえる場所の把握に努める
猛攻に対しては【見切り・第六感・残像】で可能な限り回避して致命だけは避ける
槍で【串刺し】
只の攻撃では届きはしないだろう
ならば世界さえ破壊するとされた星々の一撃を以て応ずるのみ!
超上空まで飛び上がり
メテオブラスト!
【踏みつけ】で破壊力を増強させ叩き込む!!
●ソレは生き続け死に続ける
猟兵たちの攻撃に晒され遂にその巨体は動き出す。否、正確に言えば動かされる。その身に宿る数多の獣の因子が暴走し、背に咲き誇る巨大な薔薇。帝竜はかつての姿へと回帰する。その名は創世巨獣ガルシェン。竜を超え、世界を作るとされた獣である。その巨大な身体はさらに大きく。実に3倍、全長は数字にして100kmに到達しようとしていた。
「貴様は死にたい、私は殺したい。利害の一致か……」
「彼、とても辛そう」
「大きいですわね」
「まるで世界みたいだ」
死之宮・謡(狂魔王・f13193)とアウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)の抱く感情は親近感。2人はどこかガルシェンに親しみを覚えていた。謡は死に続け生き続けるその様に。アウルは大きく、どこか悲しいその姿に。ベクトルは違えど2人の抱く感情はとてもよく似ていた。だからこそ今のガルシェンを見過ごせず早く楽にしてあげたかった。
フランチェスカ・ヴァレンタイン(九天華めき舞い穿つもの・f04189)とテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)はどちらかと言えばこの竜を憐れんでいた。かつて生きていた頃のこの竜はもっと優しい存在だったのだろう。だからこそ世界を滅ぼす今の在り方を拒絶している。ならばその意を汲むのが今できる最善。
それぞれの思いを胸に猟兵たちは帝竜と呼ばれるモノの前に立つ。
―――巨獣の前に立ちはだかる猟兵たちに暴虐の嵐が吹き荒れる。
それはただ巨獣が手を振るっただけ。それだけで戦場には耐えがたいほどの突風が舞う。巨獣はその身に似合わぬ速度で腕を振るい、猟兵たちを薙ぎ払った。
回避に成功したのはフランチェスカとテラの2人。アウルは辛うじて防御に成功した。しかし謡は直撃した腕と衝撃により身体がバラバラになってその命を散らす。この状況を見ていた者がいれば違和感にも気づいたのだろう。謡は攻撃を防ぐ素振りすら見せずに巨獣の腕に薙ぎ払われた。
『案ずるな』
「!?」
護れなかったと落胆するアウルの耳に聞こえる謡の声。確かに謡は死んだはず。あの攻撃の直撃を受け、身体がバラバラになるところを見たのだから。しかしこれは確かに謡の声。謡はその命を落とした。だがそれは終わりではない。謡は【既死廻生】の力で死の底から蘇りその身体は再構成される。死ぬために生き続けるガルシェンを殺すため謡はいつまでも生き続ける。
「貴様を殺すまで何度でも甦ってやろう」
蘇る謡を見てアウルは安堵する。生きていたからではない。これならばアウルも力を使っても大丈夫そうだから。
「――あ――ぁ――a――A――iyA――AAAAAAAAAA!!!」
【開花の時は来たれり、我は天地囲う世界樹なり】、それはアウルを神体へと変貌させるユーベルコ―ド。この状態になったアウルは星を侵し、限界無くその肉体を拡げていく。毒も、傷も、何もかもが意味をなさない巨大なナニカへと変わっていく。近くにいる謡を巻き込んでしまうことが心配だったが謡なら心配いらないだろう。
だから全力で力を振るえる。
「さて、わたしたちはわたしたちにできることを致しましょう」
「おう!」
空へ逃れたフランチェスカとテラは眼下の様子を観察しながら機を伺う。この圧倒的なサイズ差の前には生半可な攻撃は意味を為さない。しかしできることはあるはず。相手が生物である以上、急所は存在する。そして地上で戦う2人のサポートもできる。2人は空を駆け、縦横無尽に巨獣を翻弄する。
「その程度か」
地上では空からのサポートを受け、謡が巨獣を翻弄していた。『闇呪宝玉シュヴェルツェ』をパルチザンへと変え、膨大な呪詛と雷を纏わせ振るう。防御など一切考えていないその攻撃はサイズの差など物ともせず巨獣の肉体を抉っていく。例え反撃が来ようとその身で受け止め、死した後強化されまた蘇る。死を超越した戦いの輪廻はまだ終わらない。
「AAAAAAAAA―――」
既にアウルの肉体はガルシェンと同じサイズまで拡がっていた。ガルシェンの動きはアウルに阻まれ攻撃どころか移動することすら敵わない。アウル自身は攻撃などせずにガルシェンを抑え込むだけだがアウルの存在そのものがガルシェンから生命力を奪い取っていた。アウルの本質は終わりの世界樹。世界が終わるその時に聳え立つ大樹。だからこそ世界を内包するガルシェンに触れているだけでその養分を根こそぎ奪い取ってしまう。まさしく天敵である。
殺しても死なぬなど卑怯かもしれない。
触れるだけで吸い尽くすのはずるいかもしれない。
しかし2人はそれ以外に思いつかなかった。自分と似ているこの巨獣を終わらせる方法が。
「―――頃合いでしょうか?」
目晦ましの爆撃を放つフランチェスカは巨獣の再生能力が落ちていることに気がついた。絶え間ない謡の猛攻によるものなのか、それともアウルが生命力を吸い尽くしたからなのかはわからない。しかし傷を受けても即座に回復していた再生能力はもはやなく、ガルシェンの身体には数多の傷が刻まれていた。
「やるのかっ!?」
「ええ、やりましょう」
今ならばこの巨獣を仕留めることができる。フランチェスカは【九天に舞い 灼き穿つもの】を背面に展開。現れた無数の光焔の槍が羽ばたきと共に弧を描いて前方へと収束する。それは互いに衝突し、絡み合いながら一つの影を作り出す。―――顕れるのは渦巻く光焔が象る極めて長大な突撃騎槍。創生の獣を終焉へと導く槍だった。
「後は手筈通りに。参ります…! 葬送の浄炎代わりに、どうぞ召し、上が――れッ!!」
全身のスラスターとバーニアを吹かし、フランチェスカは巨獣へと突貫する。無防備な巨獣の背に突き立てられた長大な突撃騎槍は深々とガルシェンの内部まで突き刺さる。
「今です!」
「星よ…世界よ……流星の力を我が身に宿せ……!今こそ我が身、一筋の流星とならん…メテオ・ブラスト……受けろぉ!!!」
そしてその槍を目掛けて炸裂するテラの【メテオ・ブラスト】。隕石の如き踵落としで槍はさらに奥へと突き刺さる。
―――足りない。
しかしその槍はまだガルシェンを生と死の輪廻から解き放つだけの威力が足りていなかった。そう直感したアウルは自らの手が灼けることも厭わずに槍をさらに奥深くへと押し込んでいく。
「面白い! これで終わりだッ!」
それを見た謡も握るパルチザンを投擲し、光焔の突撃騎槍へと叩き込む。
テラとフランチェスカの離脱と同時にガルシェンの内部で炸裂する光焔と黒雷の嵐。それはガルシェンの中に存在する流転する生命の悉くを焼き殺し、妬き尽くす。
巡る命の輪廻から解放された創生の巨獣は力なく大地へ倒れこみ、その身体を塵へと変えていく。
猟兵たちは死を望む巨獣を打ち倒し、ここに生々流転沼の戦いは終結した。
総てを終えた生々流転沼。そこに残っていたのは一輪の小さな薔薇の花。
大成功
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