帝竜戦役⑦〜沈み込む意識
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蒸気が吹き上がる音と同時に、羽ばたきの音が鳴る。
巨大な6対の翼を優雅に羽ばたかせながら、大地を埋め尽くすほどの魔法蒸気機械郡の中に佇むのは白き羽をもつ帝竜オアニーヴである。
「私が作りし迷宮へと誘われる者たちよ、さぁ、ここへ来たりて我が糧とならん……」
オアニーヴの白い躯体に似合わぬ無骨な黒き仮面から覗く眼光は怪しき光を灯しているのであった。
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グリモアベースはアックス&ウィザーズにて勃発したオブリビオンとの戦争により、平時よりも猟兵たちで溢れかえっていた。
その中に紛れ、エコリアチ・ヤエ(悪魔の囁き・f00287)も行き交う猟兵へと声をかけ、戦力を募っていた。
「誰か帝竜オアニーヴの討伐へと向かってくれるやつはいねぇか」
それは魂喰らいの森や皆殺しの平野を抜けた先、魔法蒸気機械郡の中に存在が確認されている帝竜である。
「戦場は大量の魔法蒸気機械や金属パイプなどで覆われた室内。あまり広々とした感じの場所じゃあねぇし、足元もところどころパイプなんかがはしっているから気をつけたほうが良さそうだ」
その場所でどう戦うかは1つ、重要なポイントとなるだろう。
「戦場の情報と同じく大事なことがもう1つ。やはり敵はかなりの強敵。こちらが先に攻撃をしかけることはまず無理だ。向こうから仕掛けられる攻撃にうまいこと対応する方法を考えてくれ」
一通りの説明を終えたエコリアチは転送ゲートを用意しつつ、話を続ける。
「先の情報とは別に、知っておくと良いかもしれん情報が1つある」
あくまでこの情報は有利になれる可能性があるかもしれない、というだけのことだと前置きを入れる。
「この帝竜オアニーヴは呪われた仮面により洗脳された状態だ」
仮面を破壊したとしても洗脳がとけるということはないだろう。
しかし仮面に抗う元の人格、賢竜オアニーヴとしての意志がほんの少し残っている可能性があるという。
それにより猟兵たちの声掛けが届くのならば、敵の動きを鈍らせることぐらいは可能かもしれないのだ。
「まぁどの程度有効かもわからんことだ。余裕があれば、ってとこだな」
そう告げると、準備ができた猟兵から現場へと送り出し始めるのであった。
鬼騎
戦争シナリオとなります。
洗脳された帝竜オアニーヴの討伐、よろしくお願いします。
プレイングボーナスは以下の通りです。
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プレイングボーナス……『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』
(敵は必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります)
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第1章 ボス戦
『帝竜オアニーヴ』
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POW : 竜操の仮面
【頭部を覆う仮面が邪悪な光を放つ状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : 賢竜オアニーヴのはばたき
【戦意を弱らせる聖なる光】【光輝く爪による引き裂き攻撃】【六翼の羽ばたきが巻き起こす浄化の風】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : ダンジョンメーカー
戦場全体に、【魔導蒸気機械と金属のパイプ群】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
イラスト:otomo
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携OK
洗脳された賢竜ねえ。
まあ、オブリビオンとして出てきた以上は倒すしかないし、
何とかしてみようか。
さて、周りにある金属パイプって魔導蒸気機械に繋がってるんだし、
中を通ってるのは蒸気だよね。
なら、パイプを破壊して蒸気を噴き出させようか。
濃い蒸気が充満したら聖なる光は遮られるし、
噴き出す蒸気で浄化の風も散らされるだろうし。
後は爪で攻撃してきた所を避けて、【飛天襲爪】で思い切り蹴って攻撃するよ。
んー、蒸気が充満してたら速く動く物だって見えないだろうし、
この環境ってどちらかといえば自分に不利な環境だと思うんだけど。
もしかして、自分が倒されやすいようにわざとやってるのかな。
ときおり室内に張り巡らされたパイプから蒸気が吹き出す音が響く。
そこに別の物音が鳴り、帝竜オアニーヴは伏せていた頭を上げる。
音が鳴った先、部屋の隅にいる己よりも小さき者を見据えた。
「来たか挑戦者よ……」
「挑戦者かぁ。まぁアンタがそう思うならそうなんじゃないかねぇ」
帝竜オアニーヴが声をかけた相手、ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)はのらりくらりとそう応える。
洗脳された賢竜。
ペトニアロトゥシカはその状態が気にならない訳ではない。
しかしオブリビオンとしてこの世に出てきてしまった以上、倒すしかない相手。
いまこの場においてはただ戦うのみである。
両者は互いの出方を伺い、じりじりとにじり寄っていく。
「仕掛けては来ぬのか挑戦者よ」
オアニーヴはクツクツと喉を鳴らしながら翼を広げ、ペトニアロトゥシカのことを虫ケラを見るかのように見下す。
その態度はとても元が賢竜と呼ばれた者とは思えぬものであった。
「さあどうだろうねぇ。アンタはあたしが先に仕掛けることを許してくれるのかい?」
「クハハ、許すわけがない。だが一瞬で喰ろうてしまうのも面白みに欠ける、そう思うただけだ。では遊びはここまでだ」
オアニーヴの瞳が仮面の奥で怪しく光ると、広げた翼を大きく羽ばたかせ襲いくる。
その巨体、そして決して広くはない室内でありながら驚異的なスピードで肉薄してくるオアニーヴ。
「さあ喰らわれるが良い!」
光と風を放ち、その爪でペトニアロトゥシカを引き裂こうと振りかぶる。
だがその動きこそがペトニアロトゥシカの狙いたかったタイミング。
それはオアニーヴがペトニアロトゥシカの元に到達する直前のこと。
「そう上手く行くとは限らないよねぇ」
ペトニアロトゥシカは近くをはしるパイプへ手にする蛮族の戦斧を力の限り叩きつけたのである。
「ぬぅ!?」
破壊されたパイプからは中を巡っていた蒸気が噴き出し、オアニーヴとペトニアロトゥシカの視界を一気に白く染め上げた。
「蒸気のおかげで聖なる光も浄化の風も届かないよねぇ」
当たれば驚異となる攻撃も当たらねばどうということはない。
さらにはこの蒸気、人間サイズのペトニアロトゥシカの姿は隠れやすく、巨体を持つオアニーヴは隠れきれないものでもあった。
「さぁて、まずは一撃といこうかねぇ」
「――っ!!」
気がつけばオアニーヴの眼前にはペトニアロトゥシカの姿。
ペトニアロトゥシカの下半身はバネの効く生物の脚となり、増した跳躍力によって一気に距離を詰めたのである。
「ちぃ!!」
咄嗟に爪で反撃を行おうとするオアニーヴ。
しかしそのような雑な行動をペトニアロトゥシカは簡単に見切り、体をひねることでオアニーヴの攻撃を回避。
ペトニアロトゥシカはそのまま回転する勢いでオアニーヴの首めがけ強烈な蹴りを叩き込んだ。
「ぐぅう!」
「随分と簡単にやられてくれるよねぇ。もしかしてわざと手を抜いてるとかかい?」
よろめくオアニーヴを見てふとそのようなことを考える。
この環境はどちらかといえば自らの不利を招くものだと思えるのだ。
「ま、考えたところで真相はわからないか」
ペトニアロトゥシカはオアニーヴが態勢を整え直す前にと、今いる位置からは退避するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ニコラ・クローディア
賢竜オアニーヴ、貴方に届かずとも、ニコラは声を張り上げるわ
貴方の抵抗のお陰でニコラたちは最悪の一歩前に間に合ったと!
感謝を示すためにできるのは意志無き竜へと堕した貴方を討ち果たす事
困難でも、やってみせる!
ユーベルコードを封じられては抗うのも難しい
なら、3つの戒めのうち1つでも避けるのが重要ね
転移座標指定…自分自身
身体の動きから見切りやすい『爪』が振るわれたタイミングで光盾突撃!
自分から自分へ転移する間、ニコラはこの世界から消える
無いものを引き裂けはしないわよね?
そして空ぶった爪を光盾で抑え込み、少しでも動きを止めればドラゴハウザーを連射!
仮面を砕き、少しでも声が届く可能性を高める!
アドリブ歓迎
「賢竜オアニーヴ!!」
声を張り上げ帝竜オアニーヴに呼びかけるのはニコラ・クローディア(龍師範・f00091)である。
堂々とした佇まいでオアニーヴの正面へと立ち塞がる。
「……新たな挑戦者が我が糧になりに来たか」
威嚇するような唸り声を上げ、ニコラを見下ろす。
洗脳されているせいだろうか、オアニーヴの様子からは賢竜と呼ばれた利発な様子を受け取ることは出来ない。
あるいはもう既にオアニーヴではない何かに成り下がってしまっているかもしれない。
それでもニコラは語りかけ続ける。
「貴方の抵抗のお陰で最悪の状況にはならなかったわ!」
己の命を断つという重い決断を選び、その肉体をそのまま明け渡すことがなかったオアニーヴ。
今現在は大魔王の呪いの仮面により猟兵の敵として相対してしまっている。
しかしその抵抗があったからこそ、理性を崩され暴れまわる前段階で猟兵たちがこの場に駆けつけることができたのである。
「だからこそ。どんなに困難だとしてもニコラは貴方への感謝を示さねばならない」
「ごちゃごちゃと……やかましいっ……ォオオオ!!」
オアニーヴは大きく吠えるとその場で空へと浮き、ニコラに向かい飛び込んでくる。
その動きは荒々しく知性を欠くものであった。
(「これならっ――!」)
理性を失っている影響か、それともニコラの言葉が少しでも届いている証拠なのか。
本能のまま向かい来るオアニーヴの動きは単純で、見切りやすい。
ニコラは己の身にオーラを纏い、オアニーヴから放たれる聖なる光と浄化の風を耐え忍び事を起こすタイミングをはかる。
「オォオ!」
狙いすますはオアニーヴがその爪でニコラを引き裂くため大きく腕を振り上げた時。
その腕が振り払われ爪が直撃する直前、ニコラはユーベルコードを発動する。
「なっ!?」
オアニーヴの爪はただ空を切り、そのまま振り切られてしまう。
その場に居ないのであればどこに逃げたのか。
反射的に辺りを見渡すオアニーヴ。
「どこだ!」
だが突如、オアニーヴの体に鈍痛が走る。
それはニコラが立っていた場所に叩きつけていた空振った腕。
鈍痛の原因はニコラが操る光の盾を腕へと突撃させ、抑え込んだことによるもの。
「自分から自分への転移。刹那の間、ニコラはこの世界から存在が消える」
ユーベルコードのシールドアサルトを利用した強引な回避方法。
だが確実に敵の攻撃を回避し、こちらの攻撃のための隙を作り出す。
「意志なき竜を討ち果たす。それこそがニコラが出来る最大限の感謝の印よ」
魔力拳銃ドラゴハウザー.50を構え、トリガーを引き、ニコラの魔力を変換したエネルギー弾が撃ち出される。
数発撃ち出された弾丸はオアニーヴの仮面へと寸分違わず直撃し、仮面へと大きくヒビを入れた。
あと少し攻撃を加えれば呪いの仮面は破壊されることだろう。
「……フン、そのような所に当たろうとも痛くも痒くもないが?」
大方狙いを外したのだろうとたかをくくるオアニーヴ。
光の盾の維持が解かれたため、態勢を整えるため一度後退をする。
しかしニコラはオアニーヴが攻撃の意図を思い違いをしていることを告げる。
「いいえ問題ないわ。これは少しでも声が届く可能性を高めるための布石だもの」
下準備は整った。
この後に続く猟兵たちが居ることを確信してるニコラはオアニーヴに対し、不敵な笑みを向けるのであった。
成功
🔵🔵🔴
リネットヒロコ・マギアウィゼルーク
過去へ還すことが救済になると信じましょう……
オアニーヴさんと魔法機械について語らいたかったです……
UC発動まではアイテム「スケープシープちゃん」で凌ぎます~
周辺は蒸気機械だらけ、“無機物”はたっぷりですね~!
アイテム「わぁぷパンプス」で距離を取り
【魔糖式物質変換】を発動
蒸気機械を『水飴』に変えて“大魔王”を絡めとります~
速く動く物を無差別攻撃、ですから水飴の動きに注意を向けてもらいましょう~
オアニーヴさん!今から動きを止めます!
攻撃を弱められますかっ!
水飴で敵の全身、仮面以外をを包み込んで動きを止めたら
アイテム「ガトリングレネード」で連射爆撃です~!
洗脳が解けなくともせめて、極力仮面を狙います
蒸気が時折噴き出す魔法蒸気機械郡の中に座する帝竜オアニーヴ。
その白き躯体に不釣り合いな黒き仮面はひび割れ、すでに猟兵との戦闘が行われていることが伺える。
「オアニーヴさんと魔法機械について語らいたかったです……」
リネットヒロコ・マギアウィゼルーク(【魔導科学者】マギア=ウィゼルーク・リネット・博子・f01528)は周囲に散らばる魔法蒸気機械たちを見渡しながらそう呟く。
魔導科学万有論の研究を続けるリネットヒロコにとって、洗脳される前のオアニーヴはさぞ知的好奇心を満たしてくれる相手であったことだろう。
しかし今や眼前に相見えているオアニーヴはリネットヒロコと語り合うことはない。
「挑戦者……いや、猟兵よ。何故我に大人しく喰われぬのだ」
自害という一番の抵抗を見せたはずのオアニーヴの口から放たれたとは思えぬ発言にリネットヒロコは首を振り、眼鏡の奥からオアニーヴを見据えた。
「過去へ還すことが救済になると信じ、戦いましょう……」
リネットヒロコが何やら行動を始めたのを察知し、オアニーヴは低い唸り声を上げる。
同時にひび割れた仮面は禍々しい気配を帯びていく。
「グ、ォオオオ……!!」
それは苦しみにも似た咆哮。
邪悪な光により完全に理性を無くしたオアニーヴはそのまま真っすぐリネットヒロコへと攻撃をしかけに飛び込んでくる。
「はーい、出番ですよ〜」
リネットヒロコが取り出したのは魔法で作られた可愛らしい羊のぬいぐるみ『スケープシープちゃん』である。
後先考えずに突っ込んできたオアニーヴに軽く放り投げるだけで、そのもふっとした体が敵の攻撃を防ぎ、オアニーヴの軌道を変える。
リネットヒロコは己にオアニーヴの意識が向いていないうちに、こっそりと出現させた魔法円に飛び込み死角へと回り込む。
「オアニーヴさん、今からあなたの動きを止めます! まだ終わってはいません、諦めずに最後まで一緒に戦いましょう!」
理性を失い、動くものを無差別で攻撃している今、オアニーヴが振り返ることは無い。
だがそれでもリネットヒロコは残る賢竜の意識に望みをかけ声を張り上げた。
リネットヒロコが発動する力は魔糖式物質変換。
周囲に散らばる無機物、つまりは蒸気機械を甘い水飴に変えて操る術。
水飴と化した物質は急速にオアニーヴに向かう。
水飴は鞭のようにしなり水飴に向け攻撃を仕掛けてくるオアニーヴを次々と絡め取り動きを封じ込めていく。
「今のあなたはもはや大魔王と言っても過言ではありませんね〜。少しでも元のオアニーヴさんへと戻っていただける可能性を信じてその仮面、破壊します〜!」
リネットヒロコが狙うは仮面のみ。
オアニーヴの体を傷つけぬよう仮面以外は水飴でしっかりと包み込み、構えるのは魔導機構内蔵蒸気式回転多銃身擲弾砲、つまりはガトリングレネードである。
少々過剰気味なそのガトリンググレネードの威力。
しかし今は仮面以外傷つける心配はない。
遠慮なく放たれる連続射撃はすべて仮面へと集中し、オアニーヴの顔面でグレネード弾が炸裂していく。
「ガアアアッ!」
リネットヒロコが放った弾丸の嵐が静まると、顔を覆っていた仮面は半分以上が破壊され剥がれ落ちた状態となっていることが確認された。
「ゥォオオオオ!!!!」
凄まじい咆哮とともに水飴の拘束から力づくで逃れるオアニーヴ。
「ここらが引き時ですね〜」
仮面を破壊するまでの間拘束ができたのは声掛けが効いていた証拠なのか。
目的を達成したリネットヒロコは一旦この場から退避するのであった。
成功
🔵🔵🔴
ニコラ・クローディア
迷宮展開!?
こちらが後手を強いられる以上時間稼ぎには最適のUCね
けれどわざわざ距離を取るのは追い詰められたと自白したようなもの
逃がしはしない!
息を大きく吸い込み
「賢竜オアニーヴ!貴方が望むのは誉れある死?それとも穢されし生?」
放つは雷咆を応用し魔力を込めた龍詞の叫び=全力魔法+力溜め
音と魔力の反響から迷宮構造を把握=情報収集
欠片でも賢竜の意識があれば龍詞を解して応える筈
応えがなくとも、ニコラの存在に逃げか迎撃は見せるはず
どちらにせよ、居場所を探るには十分な何かが得られる一手よ
居場所が判れば真の姿を取りつつ急行し龍詞の雷咆を浴びせる
クラウディウス氏族の雷が肉と魂を清め屠らんことを!
アドリブ歓迎
帝竜オアニーヴの咆哮が轟く中、未だグリモアベースまで待避せず居残り続ける猟兵が1人。
ニコラ・クローディア(龍師範・f00091)である。
確実にオアニーヴを倒すため、仮面が破壊された今どう攻め込んでいくかが課題である。
だがその時、突如鳴り響く地響きとともに室内に散乱していた魔法蒸気機械と、壁や床を走る金属パイプが意志を持ったかのように動き始めた。
「この期に及んで迷宮を展開するつもり!?」
仮面の力により理性を亡くし暴走するオアニーヴだが、生命の危機を感じたのか本能的に身を守る行動に出たのだ。
それは室内全体に機会とパイプで構成された迷路の構築。
狭い通路に閉じ込められたニコラは周囲を見渡し、現状を把握する。
「時間稼ぎには最適ね……でもこれは追い詰められていると自白しているも同然」
ならばさらに追い詰めるべく今取れる最適解は自然と導き出される。
「賢竜オアニーヴ!!」
大きく息を吸い込み、迷路外まで聞こえる声量でオアニーヴの意識へ、あるいは魂へと語りかける。
「貴方が望むのは誉れある死? それとも穢されし生? どちらか選びなさい!」
それはただの言霊ではない。
龍独自の詞により紡がれる魔力を帯びた特殊な叫び。
その音と魔力は狭い通路を反響し迷路内を端から端まで通り抜け、その反響からニコラの現在地点を割り出すことが可能となる。
「出口はそこね」
今の状態のオアニーヴが龍詞を解するかはわからない。
だが欠片でも賢竜としての意識が残っていればニコラが出口に辿り着くまでの間にこの場から逃走せず踏みとどまっていてくれるはず。
出口はわかった。
あとはそこめがけ迷路を突破するのみだ。
ニコラは真の姿を開放し、己の身体能力を増加させる。
体内に溜め込んでいる魔力は雷電となりニコラの体外へと纏わり付き、迷路の中で派手な音を奏でその存在を主張する。
猛スピードで通路を突進していくニコラは曲がり角をその強靭な羽や爪で己の体を弾き返し上下左右構うことなく、ただひたすらに出口へと向かう。
出口が近づくにつれはっきりとする迷路外の音から察するに、オアニーヴは己が作った迷路に対し無作為に攻撃を仕掛けているようであった。
「クラウディウス氏族の雷が――」
正面には迷路の出口。
そして音から予測するにオアニーヴの位置はここを出てすぐ右側だろう。
迷路を突破するまでの間溜め込んだニコラの魔力はその体内で急速に膨れ上がり、纏う雷電はすべて口腔内へと集約される。
「肉と魂を清め屠らんことを!!」
迷路の出口を突破すると同時に羽の鉤爪で地面へとしがみつき、無理やり体をその場へと留めて同時に撃つは口腔内から解き放つ強力な電撃の光線。
その威力で辺りが一瞬白く包まれ、電撃が止めば消え去った迷路と、直撃を受け室内の壁へと激突し呻くオアニーヴの姿。
「ォ……ォオ……」
「くっ、倒しきれないかっ……!」
ニコラの強力な攻撃をもってしても、仕留めきるには未だオアニーヴに蓄積されたダメージが少なかったようだ。
しかしオアニーヴのその体が限界が近いことは明白だろう。
オアニーヴに感謝を示すために。
猟兵たちには、あともうひと踏ん張りを要求されるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ラティナ・ドラッケンリット
竜の恐ろしさは突き詰めれば
その力を高い知性をもって振るうことだ
賢竜が仮面に洗脳されているなら好機といえる
それでも帝竜の圧倒的力を侮りはしないがな
UC発動の予備動作を見切り
初撃を魔法蒸気機械の陰に飛び込むことで全力回避する
一度敵の視界から逃れたら
守護者『しょこら』、豆の木の種
穿竜槍『たると』、屠竜刀『まかろん』
龍鞭鈎縄『ちゅろす』を投擲し囮にしながら
断山戦斧『しゅとれん』の間合いまで駆け抜ける
室内であれば飛んで高度を上げられはすまい
『しゅとれん』が届く距離まで踏み込めたら
あとは全身全霊を込めたUCの一撃を叩き込む
「この一撃で終わらせてやる。グラウンドクラッシャー!」
ニコラ・クローディア
流石は賢竜、肉体の強度も相当だな
こちらも魔術を連発して限界
残るリソースから「シグニチャー・スペルブックの幻影魔術1回分」を残して肉体強化へ
本来なら数あってこその幻影だが、今のオレサマにはこれが限界か
「拙い策を披露するのは申し訳なさすら感じるが…謝罪は素顔の貴君と見える時まで取り置かせてくれ。行け、幻影よ!」
幻影を素早く直進させ気を引き、自身は横合いから強襲
賢竜と称された者がこんな児戯に釣られてしまうのを見るのは業腹だが…
顔から仮面を毟り取るつもりで龍爪を喰いこませ掴み、首を折るよう投げる
賢竜の頭脳を穢すようで中枢破壊はしたくなかったが、これが最も安らかに死を与える方法だ
仕方あるまい
アドリブ歓迎
「オォオォオオオォォォオオ!!」
ラティナ・ドラッケンリット(ビキニアーマー道の冒険者・f04425)は広いとは言えない室内で獣のように咆哮を上げる帝竜オアニーヴを見る。
仮面は破壊され、白き羽根に覆われた体も血やすずや油など、戦闘と周囲の魔法蒸気機械による汚れで黒ずんでいた。
「侮りはしないが……」
竜の恐ろしさは突き詰めればその強靭な体と合わせ、高い知性をもつこと。
だが目の前で吠え、暴れる竜は洗脳され理性を失っており、賢竜としての面影はない。
「これでは竜として恐れを抱くのも難しいものだな」
「だが流石は賢竜といった所か。肉体の強度は相当なようだぞ」
ラティナの隣に立つは真の姿のニコラ・クローディア(龍師範・f00091)である。
先程全力の攻撃をもってしても倒しきれなかったオアニーヴを見やる。
幾度も戦い続けているニコラは既に限界が近い。
それでもなおオアニーヴの前に立ちはだかるのは強い想いがあるからこそ。
いましがたこの場に到着したラティナと、戦い続けてきたニコラ。
今ある余力、そして以前共闘した経験から両者がどう動くかは必然的に決まっていく。
2人はそれぞれの役割に向け動き始めた。
「拙い策だが、今の状態ならば問題なかろう。行けオレサマの幻影よ!」
ニコラが手にするシグニチャー・スペルブックが自動で開き、ニコラの声に反応し龍詞で綴られた呪文が浮き上がり発動する。
その呪文はニコラの姿を模した幻影一体を作り出す。
本来ならば複数体用意してこそ効果が見込める幻影魔術。
しかし今のニコラにはここまでの戦闘で使用した魔術と、肉体強化に力を回す関係上、幻影魔術一回分の魔力を使うのが限度である。
本人が拙い策だと言うだけあり、幻影はオアニーヴの眼前をただ素早く横断する。
それでも今のオアニーヴはその動きにつられ、ただ本能的に幻影を追いかけ、攻撃しようとするのである。
「囮があるだけで予想より遥かに楽になりそうだっ!」
最初はまず敵の攻撃を全力回避しなければと考えていたラティナだが、ニコラの幻影による誘導のお陰でその必要はなくなった。
ならば後はただ前へと進み、オアニーヴとの距離を詰めるのみ。
走り込んでくるラティナに気づいたオアニーヴは幻影からラティナへとターゲットを移すが、想定内の行動である。
ラティナは円盤状の形をした盾、守護者『しょこら』を横投げし、同時に豆の木の種を放り投げる。
オアニーヴの視線はラティナより早く飛んでくるしょこらに誘導され、それを叩き落とせば次には急速に育ち伸びてくる豆の木に視線が移る。
「謝罪は素顔の貴君と見える時まで取り置かせてもらわねばならんな」
ニコラは賢竜と称された者がこんな単純な児戯につられている様を見るのは業腹でしかたがない。
そしてこのような状況でしか倒せなかったことを、いずれ相見える素顔の賢竜オアニーヴに謝罪を入れなくてはと考える。
「賢竜オアニーヴか。賢竜とであれば再び戦うのも良さそうだ」
強き竜と対峙することはドラッケンリット一族としての誉れ。
そしてラティナ本人としても望むべき事。
できるならば洗脳も暴走もしていない、賢き白羽の竜と出会えることを祈り。
まずはこの場の操られしオアニーヴを倒し尽くさねばならない。
ラティナはオアニーヴへと向かう足を止めることなく、タイミングを見計らい先と同様に穿竜槍『たると』、屠竜刀『まかろん』、龍鞭鈎縄『ちゅろす』を次々と投擲する。
ラティナの鍛えられた腕力でオアニーヴの眼前を飛び去る武器はラティナ本人からオアニーヴの注意を逸す役割を存分に発揮する。
ラティナが最後の攻撃の間合いへと足を踏み入れる直前。
そのタイミングを見計らいオアニーヴに飛びかかるのはニコラである。
「賢竜の頭脳を穢すようだが――致し方なし!」
「ガァッ!?」
わずかに残る仮面めがけ毟り取るかのような動きで龍爪を顔面に喰いこませ、そのままラティナに向けて放り投げる。
頭部周辺を攻撃し中枢を破壊してしまうのは気が引ける。
だが素早く、安らかに死を与えるための確実な方法は限られているのだ。
ラティナと、ニコラから放り投げられたオアニーヴ。
その互いに向かう勢いをそのままに、ラティナは竜の鱗を砕き肉を断ち切るために鍛造されし断山戦斧『しゅとれん』を振り上げる。
「この一撃で終わらせてやる! グラウンドクラッシャー!!」
オアニーヴの首を上から下へと、全身全霊を込めたユーベルコードの一撃が直撃。
ラティナの磨き上げられた業をもって一刀両断され、オアニーヴの首は刎ねられる。
どさりと床へ転がり落ちるオアニーヴの遺体を見れば、長き戦いが終わったことを実感するのであった。
大成功
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