帝竜戦役⑩〜モエて滾らせ! 一撃粉砕!
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「おいお前達、浮遊岩諸島へ行くぞ!」
グリモアベースの一角で海老名・轟(轟く流星・f13159)は猟兵達へ、そう声をかけた。
帝竜ヴァルギリオスとの戦い――『帝竜戦役』の中、轟は猟兵達を浮遊岩諸島へと向かわせようとしている。
浮遊岩諸島は浮遊する巨岩群の密集地。
全ての浮島が独立した生態系を持ち、『王』と呼ばれる1体のオブリビオンが全てを支配しているという。
「そこにいる『王』は『山龍』カルパディア。バカでかい大型ドラゴンのオブリビオンだ」
「バカでかい……」
轟の説明に猟兵達は思わず息を飲む。
馬鹿でかいオブリビオンならば、力も馬鹿でかいのだろう。浮島一つを統べ、王と呼ばれるドラゴンが見掛け倒しの超激弱オブリビオンな訳がないのだから。
「それ倒せるのか?」
不安を隠せない猟兵ひとりが口にしたが、轟はにっと不敵な笑みと共に口を開く。
「普通に挑めばベテラン猟兵でもちと厳しいかもな」
厳しいかもとは言うが、『普通に挑めば』と言うのだから対策があるのだろう。
どうすればいいかと尋ねれば、轟はこう言うのだ。
「浮島にいる奇妙な生物達の支援を得ることができれば『王』との戦いが有利になるぞ!」
「奇妙な生物達とな」
「俺はお前達を浮島に転送するから、生息する奇妙な生物達の支援を得ればいい。そこからドーン! すればいい訳さ」
おっさんはめっちゃ大雑把に言った。
「生息する奇妙な生物達にアプローチして、ドーン! か」
「ああ、ドーン! してこい」
で、どんな方向性でアプローチすべきか。
「なんでもそいつらは二足歩行する猫っぽい生物とのことだ。こいつらを『もえ』させればオッケーって訳さ」
もえ。
「ああ、モエだろうと燃えでもいいし、もえとか萌えでもなんでもオッケーだ。でも子供な生物がいたらマズいから未成年に見せられないようなヤバイヤツとか過激なのはナシだからな!」
なるほど、全年齢対象か。
とりあえず猟兵達は納得してからアピールするためのアレコレも用意した。
「必要なのは気合と根性、あとは勢い! ビシッとキメて思いっきりドーンして来い!」
さてさて『山龍』との戦いの結末や如何に!
カンナミユ
カンナミユです。
帝竜戦役はまだまだ続きますね。
浮遊岩諸島での戦いになりますが、今回のシナリオにはプレイングボーナスがあります。
プレイングボーナス……奇妙な生物達の支援を得る。
それではよろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『『山龍』カルパディア』
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POW : 踏み込み
単純で重い【体重を活かした強烈な踏み込み】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 咆哮
【三つの口】から【広範囲に大音量の咆哮】を放ち、【その衝撃波】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 火炎放射
【三つの首から、広範囲に超高温の炎を吐く事】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
イラスト:小日向 マキナ
👑8
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「アララギ・イチイ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フランチェスカ・ヴァレンタイン
モエ… まあ、機動で魅せる方向であればどうにか?
航空ショーめいたアクロバティックな空中戦闘機動でエントリーと参りましょう
光跡の尾を曳いて、空に複雑な図形を描くように飛び回り、流星ような光の砲撃を山龍へと
時折低空飛行で自身の姿をギャラリーに見せ付けてみたりもしつつ
――あれこれ弾んでいるかとは思いますがまあ、それはいつものことですのでお気になさらず
締めは、機動のついでに張り巡らせておいたUCの不可視の爆導索で山龍を巻き絞めまして
一斉起爆で地上に咲く大花火、というところですかねー?
…さてさて、ご堪能いただけましたでしょうか、と
シーザー・ゴールドマン
・二足歩行する猫っぽい生物
全年齢対象で「もえ」かね。さて……まあ、オーソドックスなもので行こうか。(と『シドンの栄華』の『創造の魔力』で萌え萌えな可愛らしい人形をたくさん作って猫っぽい生物たちにプレゼントして支持をとりつけます)
とは言え、無理をしない程度でお願いしたいね。
・山龍
『シドンの栄華』『破壊の魔力』で強化した特大の真紅の衝撃波で破壊します。(衝撃波×なぎ払い×範囲攻撃×『破壊の魔力』)
敵POWUCに対しては
直感で見切って空高く舞い上がる事で回避します。
(第六感×見切り)→(空中浮遊×念動力×空中戦)
キル・トグ
おっけー完全に理解した!リア獣が爆発だ!お前らが花火になるんだよ!
われら空から堕ちようと片割れを手放さぬけもの!このきょうだいあいは燃え上っているぜ!立ちふさがる険しい山をとびこえる程!
「沈む夕日に打ち上げ花火!ゴールデン・ドーンに誉あれ!」
わたしたちこののきずなは導火線さ、おっきな花火を打ち上げる真っ赤に燃える絆なんだ。山の上から見る花火はきれいだろうか。とおくから響く音にこのこえとこころで応えよう。
空にはけた血潮に夕日を撫でて。山えぐる夕日の輝きをもういちど。われらの吠え声峰に木霊する力のうた。その牙にはるか遠き響きをのせて穿ちとれ。
燃える花火に負けない一度きりの輝きを叩き込め。
草野・千秋
ええと、奇妙な生き物の力を借りつつ
王に勝っていけばいいのですか
ちょっと猫ちゃんっぽいんですね
好きなもの……ええっ萌えとか出しちゃっていいんです!?
僕が想像してるのって大抵ちょっと、死語な言い回しをすればチョメチョメ
うーん!全年齢対象にしましょう
歌唱、楽器演奏、UC【Fabulous Fabula】を使用
味方を強化するとともに歌詞を広げるように歌う
僕がUDCアースでやっている歌の生放送は
ラブソングなオリジナル曲もやっています
片想いだけど想っているだけで幸せな歌とか
両想いになれて幸せすぎてふわふわしちゃうやつとか
禁断の恋に身を焦がし悶える歌とか
山龍は怪力+2回攻撃でフィニッシュ!
ネージュ・ローラン
『もえ』とは何でしょうか。
よくわかりませんが頑張ります。
『もえ』といえば炎かなと思い、熱く燃える炎をイメージした舞を見せてみましょう。
あれ?違いました?
慌てて今度は萌木を表現してみたり、涙目で右往左往しながらアピールします。
戦闘は三つの首からの炎が厄介そうですね。
【天乞いの舞】によって周囲に一時的に雨を降らせましょう。
まるで今のわたしの心情のようですが、これで少しは火炎放射の威力も落ちるでしょうか。
あとは接近してその首を蹴飛ばしてやりましょう。
若干ヤケクソ気味に攻撃します。
モルツクルス・ゼーレヴェックス
モエさせる、なるほど、スピーチっすね
心を燃やすことが出来れば勝ちとは景気がいいことっす
「この島の住民諸君!勇敢にして平和を愛する同士諸君!是非とも自分の話を聞いてほしいっす!」
自分が偉くなったと強烈に思い込んで【演技】自信こそが要っす
「あれなる山龍は諸君等の支配者に相応しいっすか!?……否!あれなる山龍は諸君等に恵みをもたらしてくれるっすか!?……否!」
闘争心、革命にはそれが必要っす
「では、諸君等はあれなる山龍を愛しているっすか!?」
無論、そんな訳あるまい
「よろしい!ならば反逆っす!そして!強いたげられてきた貴殿方を思えば!」
【自在太陽】【全力魔法】
「完膚なきまでに勝つ!自分に続けぇーー!!」
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猟兵達は浮遊岩諸島に点在する一つの浮島へ転送された。
雄大な風景が広がる島を一望していると、ここに凶悪なオブリビオンがいるとは到底思えない。
だが、この浮島を『王』と呼ばれるオブリビオンが支配しているのは確かなのである。
「『もえ』とは何でしょうか」
「モエ……。まあ、機動で魅せる方向であればどうにか?」
ネージュ・ローラン(氷雪の綺羅星・f01285)とフランチェスカ・ヴァレンタイン(九天華めき舞い穿つもの・f04189)は歩きながら言葉を交わす。
浮島に生息する奇妙な生物達の支援を得ればいいとグリモア猟兵は言っていたが、その方法は生物達を『もえ』させる事。
しかもどのような『もえ』を求められているのかが分からなく、とりあえずなんでもオッケーじゃないかという大雑把極まりない『もえ』である。
シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は聞いた説明を元に準備を済ませており、モルツクルス・ゼーレヴェックス(素敵魔術師・f10673)も気合十分。
「おっけー完全に理解した! リア獣が爆発だ!」
キル・トグ(青と赤のけものたち・f20328)も完全に理解していた。
リア充……いや、リア獣死すべし慈悲はない。爆発四散の運命である。
「ええと、奇妙な生き物の力を借りつつ、王に勝っていけばいいのですか」
言いつつ草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)は何かが動いているのを見つけ――、
「「「にゃーん!」」」
浮島に生息する奇妙な生物は、確かに二足歩行の猫っぽかった。
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真っ黒、ハチワレ、サビ猫ちゃんからキジトラにゃんこ。真っ白や真っ黒、ふわふわにゃんこも完備されている。
「ちょっと猫ちゃんっぽいんですね」
近づきながら千秋が手を振るとこちらに興味を持ったのか、しっぽを揺らしてにゃんこ達はトコトコと近づいてくる。
ぷにぷに肉球も愛らしい生物達は大きくなく、確かに二足歩行の猫っぽい。
子猫と思しき小柄なにゃんこが近づいてきたので、シーザーはすと片膝をつくと子猫へ人形をプレゼント。
「にゃんっ?」
「ああ、君へのプレゼントだ。君達にもあげよう」
「にゃー!」
「にゃにゃー!」
『創造の魔力』を駆使して作った人形たちは猫たちに大好評。
「ここにいる『王』との戦いには君達が必要なんだ。力を貸してくれないか?」
自分と同じくらい大きな人形を抱きかかえる子猫は愛らしく、大人猫達の反応も上々のようだ。
求められた握手に応え握る手から、じわりと何かを受け取ったような気がした。どう表現するべきかは難しい。だが、これは今回の戦いを優位になる力に違いない。
人形を次々手渡していると、千秋が奏でる音楽が聞こえてくる。
千秋にとっての萌えはちょっぴりアダルトな大人向けであったようだが、人形を抱える子猫たちを前にオトナな萌えは刺激が強すぎた。
そんな訳でチョイスされたのは音楽活動で培った能力、という訳である。
しゃらん……。
銀糸がなびき、ヴェールが揺れる。
激しく動くネージュが見せているのは熱く燃える炎をイメージした舞。
燃え上がる炎は猫達の中にある炎を燃え上がらせ、打って変わって見せた若々しく風に揺れる萌木の舞や涙目で右往左往するさまに猫達は心を打たれたようだ。
――しゃん。
猫達からの拍手喝采を浴びる中、ふと見上げるとフランチェスカの姿が上空にあった。
光跡の尾を曳き、空に複雑な図形を描くように飛び回りながら見下ろすと、猫達が興味津々でこちらを見ているではないか。
上空からひらりと手を振るが、ここはひとつサービスも。
「いくよ!」
ぐんと急降下し、低空飛行。猫達ギャラリーへと手を振るとぽよん。あれこれ弾んでいるとは思いますが。
「それはいつものことですのでお気になさらず」
翼人――フェザーフォルクである戦淑女はふたたび空を舞い、遠くからやってくるソレに緑の双眸を細め。
「来たよ!」
仲間たちの表情は一気に戦いへ挑むそれへと変わる。
ずん……ずん……。
地響きをと轟かせ、『王』がその姿を現したのだ。
険しい山を背に持つ『山龍』カルパディア。
アアアアアアアアアアアアア……!!!
体にびりびりと響く低い咆哮に猟兵達は臆することなく武器を取り身構えた。
「危ないからここにいるんだ」
頷く子猫たちの声援を背にシーザーは地を蹴り駆け抜ける。体が軽い。これも猫達の支援の力だろうか。
一気に駆け抜け――来る!!
ずう、ん!!!
深紅のスーツはだんと空高く舞い上がった。
「猫達の支援もありますが、気を付けてくださいませ」
「ああ」
お返しとばかりに流星ような光の砲撃を山のように放つフランチェスカと言葉を交わし、シーザーは構えた。
さて、猫達からの支援はどれ程か。
山龍は巨大な足を上げ――地が歪むのを上空から再び眺め。
「私に勝てるかね?」
ドオオォオオンン!!
生み出された特大の真紅の衝撃波は巨山の一角を打ち砕いた。
ギャアアアァァアアアァ!!
がらがらと崩れ落ちる岩は竜の背から地面に転がり落ちる。予想以上の破壊力だが、猫達の支援だけではなく千秋の支援もあったからだ。
火炎放射をひらりひらりと交わしながら千秋が紡ぐのはラブソング。
片想いだけど想っているだけで幸せな歌や両想いになれて幸せすぎてふわふわしちゃうやつや禁断の恋に身を焦がし悶える歌。
そんなメロディが仲間達をも強くしたのだ。
「この一撃をくらえ……!!」
断罪戦士ダムナーティオーは連撃を叩きつけた。
ゴオオオオオオォォォォォ!!!
燃える。
山龍の炎が燃え上がる。
もえ――そう、燃えである。
「この島の住民諸君! 勇敢にして平和を愛する同士諸君! 是非とも自分の話を聞いてほしいっす!」
襲い掛かる炎をかいくぐり、モルツクルスの声が響き轟く。
モエさせる。それは、スピーチ。心を燃やすことが出来れば勝ちとは景気がいい事。
必要なのは自信。自分が偉くなったという強烈な思い込みを胸にモルツクルスは更に声を上げる。
「あれなる山龍は諸君等の支配者に相応しいっすか!? ……否! あれなる山龍は諸君等に恵みをもたらしてくれるっすか!? ……否!」
オーバーリアクション気味に腕を振り上げ声を張り、ばさりと翼を広げて炎を超え、闘争心、革命にはそれが必要だと訴えた。
力強い声は生物達の心、魂をも震わせるには十分だった。
「では、諸君等はあれなる山龍を愛しているっすか!?」
無論、そんな訳あるまい。
声なき声を聞き、両腕を広げ、背は闘争の炎を燃え滾らせる。
「よろしい! ならば反逆っす! そして! 強いたげられてきた貴殿方を思えば!」
機は熟した。
戦うならば、今この時――!
「完膚なきまでに勝つ! 自分に続けぇーー!!」
ニャアアアアアアアアアー!!!
吐き出される炎と闘争の炎が打ち合い、
「さあリア獣が爆発だ! お前らが花火になるんだよ!」
颯爽とキルが飛び出した。
「われら空から堕ちようと片割れを手放さぬけもの! このきょうだいあいは燃え上っているぜ! 立ちふさがる険しい山をとびこえる程!」
グルオオオオオオォォォォォ!!
衝撃波に体が言うことを聞かなくとも、もえあがるきょうだいあいの炎がある限り、どこまでも戦い抜ける筈。
「わたしたちこののきずなは導火線さ、おっきな花火を打ち上げる真っ赤に燃える絆なんだ。山の上から見る花火はきれいだろうか。とおくから響く音にこのこえとこころで応えよう」
再びの衝撃波。だがキルは耐えた。
じり……。
響く衝撃波にキルは耐えぬき、背から聞こえる声に耳を傾ける。
猟兵達へと向けられるのは猫達の声。
「にゃー!」
「にゃんにゃにゃー!」
「にゃにゃー!!」
――ああ、空を仰ぐ猫達の鳴き声は猟兵達の力となり降り注ぐ。
「なんとも厄介な攻撃ですね」
三つ首からの火炎攻撃を舞うようにひらりひらりとかわしていたネージュだったが、ふとした瞬間に髪を一房焦がしてしまった。
これではせっかくの銀糸が台無しである。
「……では」
静かに構えなおすとシルクベールを翻し、
「雨よ風よ、ここに来たりて戦場を書き換えよ」
ネージュの体は空中を駆けた。
ダイナミックな舞は蒼天に雨の天幕をかけ、降り注ぐ雫は火炎の勢いを殺す。
髪を湿らせるそれはまるでネージュの心情のよう。ぽたりと雫が落ちる前髪を払い、つかつか山龍の元まで接近し、
「よくも私の髪を焦がしてくれましたね」
ばきぃいいっ!!!!
ギャアアアアアアアアアアアアア!!!!!
いろいろな効果が上乗せされた強烈な蹴りは首をへし折った。
どうやらめちゃくちゃ効果が上乗せされていたようだ。
猟兵達の内から沸き上がる力は尋常ではなく、攻撃一つで山龍の背を削り、肉を断った。
モルツクルスが操る炎は肉を焦がし、攻撃を見切り瞬間の隙を見逃さなかったシーザーは山々を衝撃波で破壊しつくした。
千秋のサポートは仲間達を一歩、また一歩と戦いを有利に進ませ、ヤケに近いネージュの蹴りによって山龍は甚大ではないダメージを負う。
攻撃を続けるフランチェスカは上空を駆けながら最後の一撃への段取りも忘れない。
「空にはけた血潮に夕日を撫でて。山えぐる夕日の輝きをもういちど。われらの吠え声峰に木霊する力のうた。その牙にはるか遠き響きをのせて穿ちとれ。燃える花火に負けない一度きりの輝きを叩き込め」
リア獣を爆破べくキルは着々と準備を進め。
――遂に。
「制御は少々手間ですけれど、と。――アンカービット、射出……!」
「沈む夕日に打ち上げ花火! ゴールデン・ドーンに誉あれ!」
ドドドドドドドドドドドドド……ズガアアアアアアァァァァンンンン!!!
キルとフランチェスカによって彩られるのは地上に咲く大花火!
ギャアアアァァァアアア!!!!!!
「……さてさて、ご堪能いただけましたでしょうか、と」
上空から戦淑女が見下ろせば、猫達が大きく手を振っていた。
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浮島を支配する『王』は遂に倒れた。
「にゃー!」
「にゃーにゃー!」
「にゃーん!!」
遠くで応援していた生物達は皆大喜び。
嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ねる猫もいれば、拍手したり躍る猫もいる。
これでもう苦しい思いをする事もないだろう。
戦いが終われば後は戻るだけ。
惜しむように見送る猫たちを背に猟兵達はグリモアベースへと戻っていくのだった。
大成功
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