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帝竜戦役⑨~帝竜ガルシェン

#アックス&ウィザーズ #戦争 #帝竜戦役 #帝竜 #ガルシェン #群竜大陸

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●生々流転沼
 帝竜ガルシェンには、『再孵化』以前の記憶がなかった。
 そのため、何時からこの場所にいるのか分からなかった。
 そして、何故この場所にいるのかも……。
 それでも、今の自分が『存在してはならない』事だけは理解していた。
「わたしは、わたしを殺せない。故に願うのです。自らの死を……。わたしを殺してくれる存在を……。誰でも構いません。この言葉が聞こえるのであれば、いますぐわたしを殺してください」
 それは帝竜ガルシェンの思いであり、願い……。
 自ら命を断つ事が出来ない以上、誰かに頼るしかない。
 だが、帝竜ガルシェンは、この場から動けない。
 そんな事をすれば、意志だけでは抑えきれない破壊の力が暴走し、取り返しのつかない事態を招いてしまうから……。
 それが分かっているため、破壊の力を強い意志で無理やり抑え込み、この地に勇士が訪れるのを待つ事しか出来なかった。

●ガジルからの依頼
「みんなに頼みたい事があるんだよ!」
 ガジル・コリアンダー(キマイラのスカイダンサー・f00907)が真剣な表情を浮かべ、今回の依頼を説明し始めた。
 今回の目的は帝竜ガルシェンの撃破。
 帝竜ガルシェンは『創世巨獣』の異名を持つ何十kmにも及ぶ美しい巨体の帝竜で、絶大な生命力を持ち、体内ではありとあらゆる生命の進化と絶滅が絶えず、繰り返されているらしい。
 しかも、帝竜ガルシェンがいるのは、毒ガスが蔓延する広大な沼沢地の中。
 普段はそこで深い眠りについているものの、心の中では常に死を願っているようだ。
 だからと言って、帝竜ガルシェンが攻撃を仕掛けてこない訳では無い。
 こうしている間も、自分の意志に反して、破壊の力が膨らんでいるため、感情が暴走するのも時間の問題。
 そう言った事も踏まえた上で、帝竜ガルシェンを撃破する事が目的である。


ゆうきつかさ
 この依頼は戦争依頼です。
 基本的には、キャラクターらしさを重視しますので、世界観や設定に問題が無ければ採用していこうと思います。
 また敵は必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります。
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第1章 ボス戦 『帝竜ガルシェン』

POW   :    創世巨獣ガルシェン
【獣の因子】を使用する事で、【巨大な薔薇】を生やした、自身の身長の3倍の【創世巨獣形態】に変身する。
SPD   :    アンチイェーガー・ギガンティス
いま戦っている対象に有効な【猟兵を殺す毒を宿した『新種の巨大生物』】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    防衛捕食細胞の創造
召喚したレベル×1体の【外敵を飲み込み自爆する『巨大スライム』】に【虫を思わせる薄羽】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。

イラスト:桜木バンビ

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

四王天・焔
SPD判定の行動
アドリブや他猟兵との共闘歓迎

■心情
わぁ、巨大なドラゴンだね。
死を願っているのか、それなら可哀そうだけど、焔が手伝ってあげよう。

■先制攻撃対策
新種の巨大生物の召喚か、どんなものなんだろう。
ともあれ、毒に侵されない様に巨大生物の攻撃を【見切り】で避けつつ
【武器受け】や【盾受け】で防御。
毒に罹っても【毒耐性】で耐えるようにするね。

■戦闘
焔は、白狐召還符に【騎乗】して戦うね。
白狐の炎を【属性攻撃】で強化して、帝竜に攻撃するよ。

焔自身も、白狐の上からドラゴンランスで
【ランスチャージ】で突撃していき【串刺し】で一気に倒す様にするね。

「さぁ、死にたい願いは叶えてあげられただろうか?」


死之宮・謡
アドリブ歓迎

体内に自然環境があるとは中々面白い奴だ…
生命を育み見守る力を備えた貴様が自身の死を望むとは…実に興味深く…
同時に下らないなぁ…
生きようと思わぬ命に希望は無い…
生かしてやりたいが…仕方ない、殺してやろう…感謝しろ?

侵蝕の「呪詛」を籠めた黒炎(全力魔法・属性攻撃)を放って初撃
黒雷でスライム共を足止め・誘爆狙い
その後フィニッシュとして【黒キ柱】を発動して
スライムの生き残りと一緒にガルシェンを穴だらけにしてくれよう

アディオス、竜帝…


夜叉ヶ池・鴉暁
生まれなおしたのに死にたいの?難儀だねぇ。(自死を願う心境がよく分からない)

巨大化したガルシェンの死角になりそうな足元、腹側近くに、一気に飛び込む。(怪力、ダッシュ)

それから、大太刀「雷鶴」にUCの効果を乗せて手近な脚の一本にでも斬りかかろうかな。元から大きいのがさらに大きくなってるんじゃ、手持ちの刃じゃ首を刈れそうにないし…。体勢崩しから。
もちろん、刈れそうなら刈らせてもらうけど。


青葉・まどか
己の在り方に疑問を抱く、帝竜ガルシェン。
色々と聞いてみたい事があるけれど……それが聞けるような状況じゃないんだよね。
違う形で出会えれば交流できたのかな?そんなことも考えてしまうけど……うん、私に出来る事は望みをかなえてあげる事だけ、その命を奪うよ。

敵の【先制攻撃】は防げない
召喚されたスライムの動きを【集団戦術】で【見切り】、周囲の【地形の利用】してフック付きワイヤーを駆使して【早業】のワイヤーアクションによる立体機動で回避。
何とか攻撃を凌いだら、こっちの番だよ。
『破魔焔』発動
召喚されたスライム共々、帝竜ガルシェンに【範囲攻撃・鎧無視攻撃・2回攻撃】で炎の嵐の様に攻撃するよ!


ベイメリア・ミハイロフ
なんという大きさでございましょう…
わたくしの行動など、全く通用しないように感じます
更に大きくなられてはどうにもしようがございません
できることならば、鎧無視攻撃にて体内に向かって
もしくは体内に入り込み、攻撃を仕掛けたく存じます

毒耐性を活用しつつ
薔薇の花びらとオーラ防御で防御しながら
特にスライムには激痛耐性も用いながら空中浮遊・空中戦にて対応
攻撃時は範囲攻撃、早業・高速詠唱からの2回攻撃を試みます

しかしながら、かの方が望まぬ破壊をすることなく
我々と共に生き延びる道はないのでございましょうか
ああ、主よ、お導きください…

※共闘できます際には連携を意識
可能であれば生まれながらの光にてお仲間さまを癒したく


メイスン・ドットハック
【SPD】【絆】
とんでもなくでかい帝竜じゃのー
苦しんでるなら介錯も必要じゃのー。エーミィは前に出過ぎんようにのー

先制対策
電脳魔術による自身とエーミィのホログラムデコイを大量発生させて目眩し
さらにエーミィの起こす波に巻き込まれないように立ち回り、レーザー砲ユニットで牽制射撃しながらギガンティスの接近阻止

先制後は二足歩行戦車KIYOMORIを呼び出し、搭乗
UC「汝は元素、その鎖を断ち切ろう」を発動して、ガルシェンとギガンティスの身体情報を解析し、ガンシェンの身体を融解させる毒ガスをミサイルに搭載し、ギガンティスを崩壊させる毒ガスをエーミィのガトリング弾に搭載する
そしてガルシェンに一斉砲撃


エィミー・ロストリンク
【SPD】【絆】
見たことないくらいおっきい!
でも苦しんでるだね?
わかってるよー、メイスンお義姉ちゃん!

先制対策
絆律鍵ロスト・リンクを起動して、メガリスを同時混合発動
海乙女のワンピースから海水を放出して、ラクチェの要石で鉄の水へと変化させて操作し防御壁を構築
さらに深海の魔女のタコ墨を自身とメイスンにも塗布することで、毒に対する耐性を大幅に上げて攻撃対策とする

先制後はUC「失われた絆を繋ぐ姫君」を発動させてオルトロスの威力・射程を大幅に強化
さらにメイスンの毒ガス魔法弾をギガンティスに対して集中砲火・一点集中で一気に掃討する

わたしが道を作るよー! 皆、やっちゃってー!

アドリブ絡みOK


アウル・トールフォレスト
(※好きにお任せします)
そうなんだね
もう、自分で終わることも出来ないくらいに、大きくなりすぎたんだね

それなら、いいよ。わたしもわかった
今すぐにでも、殺してあげるから
ちょっと、我慢しててね?

先制攻撃には防御をとって
オーラを展開して、巨大化からの衝撃に備えるよ

重要なのは、耐えきった後
わたし自身を、爆発させる時
【開花の時は来たれり、我は天地囲う世界樹なり】
「神体」にへと変貌して、肉体を拡大させ続けながら相手の前に立つ

わたしは終わりの世界樹。宙にも届く破滅の大樹
…一つ間違えれば、あなたと同じになるもの
だから、わかるの
あなたの憂いが、痛いほどに

終わらせましょう
そして、一緒に、静かに眠りましょう


セレヴィス・デュラクシード
巨体過ぎて戦う方法に困ってたんだけど、オヤツ食べてたら閃いちゃったんだよね~(悪戯を思い付き試したくて仕方のない顔
このUCはこんな使い方も出来たんだよっ!

■行動/SPD戦
・【指定UC】にて帝竜ガルシェンの姿をした自分を思い浮かべる
・戦うのはUCで出たボク(偽ガルシェン)、先制して対ボク用に出されたギガンティスの特性なんて偽ガルシェンには効かないんだから!
・踏み潰しちゃえ!……あ、火とか吹けないのかな?
・力を溜めて、思いっきり、本物ガルシェンの頭目掛けて鉤爪の一撃を

「「にゃははは~♪さぁ、怪獣大決戦だよっ!(本物は偽ガルシェンの頭の上で腕を組み仁王立ち」」※声ハモる

う…酔ったかも、気持ち悪(蒼白


ルード・シリウス
外套と靴の能力で気配と音を殺し、残像を囮にしながら攻撃の瞬間と軌道を見切り、掻い潜る様に回避し、或いは神喰と無愧の二刀で攻撃に合わせて受け流す様に防御し、凌ぎながら迫ると同時に駆け上がる機を伺う
上手く凌ぎ切り機が来れば、一気に背の上へと駆け上がりながら【魂装】発動
武装の真名及び自身の真の姿を開放し、嘗て喰らった敵を憑依し自身の強化
二刀による連撃と捕食能力を以て帝竜の内側へ、掘り進む様に斬り、喰らいながら突き進む。内包する数多の命をその総てを喰い尽くす為に

お前が自らの死を願うのなら、望みを叶えてやる
だから代わりに…お前の血肉とお前を含む宿す数多の魂を寄越せ
この先戦うであろう強敵を喰らう為に…っ



●生々流転沼
「わぁ、巨大なドラゴンだね」
 四王天・焔(妖の薔薇・f04438)は毒ガスが蔓延する広大な沼沢地に眠る帝竜ガルシェンを、仲間達と共に見上げていた。
 それはまるで、毒の沼に咲く蓮の花。
 周囲の毒々しい雰囲気に反して、帝竜ガルシェンは、とても美しかった。
「体内に自然環境があるとは中々面白い奴だ……。生命を育み見守る力を備えた貴様が自身の死を望むとは……実に興味深く……同時に下らないなぁ……」
 死之宮・謡(狂魔王・f13193)が帝竜ガルシェンの体内で蠢く生命体を見つめ、複雑な気持ちになった。
 おそらく、それは帝竜ガルシェンが望んだ事ではない。
 気がついた時には、そういう状況になっていた。
 そう考えるのが妥当に思えるほど、帝竜ガルシェンの体内には、沢山の生命体が存在しているようだった。
「生まれなおしたのに死にたいの? ……難儀だねぇ」
 夜叉ヶ池・鴉暁(ぬくたにの里の若君・f22209)が、不思議そうにしながらボソリと呟いた。
 鴉暁には自死を願う心境が、よく分からない。
 それ故に、帝竜ガルシェンが、どのような考えで自らの死を望むのか、まったく想像する事が出来なかった。
「つまり自分で終わることも出来ないくらいに、大きくなりすぎたって事かな」
 アウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)が何やら察した様子で、帝竜ガルシェンを見上げた。
 帝竜ガルシェンは未だに眠っているものの、何か悪い夢を見ているのか、とても苦しそうにしていた。
「……とは言え、わたくしの行動など、全く通用しないように感じますね。更に大きくなられてはどうにもしようがございません」
 ベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)が帝竜ガルシェンを見つめ、困った様子で溜息を漏らした。
 帝竜ガルシェン自身は自らの死を望んでいるものの、その気持ちに反して肉体に宿った生命体達が、猟兵達を警戒しているようだった。
 いまのところ、それらの生命体に動きはないものの、帝竜ガルシェンが傷つくような事があれば、迷わず攻撃を仕掛けてきそうな感じであった。
「だったら、任せて! 巨体過ぎて戦う方法に困ってたんだけど、オヤツ食べてたら閃いちゃったんだよね~」
 セレヴィス・デュラクシード(複製サレシ幻想ノ狐姫・f04842)がウズウズした様子で、ベイメリアに対して答えを返した。
 どうやら、何か悪戯を思いついたらしく、試したくて仕方がないようである。
「色々と聞いてみたい事があるけれど……それが聞けるような状況じゃないんだよね。違う形で出会えれば交流できたのかな……と思うけど。私に出来る事は望みをかなえてあげる事だけ。だから……その命を奪うよ!」
 青葉・まどか(玄鳥・f06729)が覚悟を決めた様子で、帝竜ガルシェンの前に陣取った。
「わたしを殺しに来たのですね。この、わたしを……。さあ、早く……わたしを殺してください。すべてが手遅れになる前に……。これ以上、悲劇を生み出さないために……」
 そんな中、帝竜ガルシェンがゆっくりと目を覚まし、祈るような表情を浮かべて、猟兵達に語り掛けた。
 その言葉に偽りはないようだが、肉体に宿った生命体達は、帝竜ガルシェンと考えが異なっているらしく、猟兵達を威嚇するようにして、唸り声を上げていた。
「お前が自らの死を願うのなら、望みを叶えてやる。だから代わりに……お前の血肉とお前を含む宿す数多の魂を寄越せ。この先、戦うであろう強敵を喰らう為にっ!」
 その願いを叶えるため、ルード・シリウス(暴食せし黒の凶戦士・f12362)がキッパリと言い放った。
 だが、帝竜ガルシェンに驚きはない。
 むしろ好都合とばかりに目を細めた。
「まあ、苦しんでるなら介錯も必要じゃのー。エーミィは前に出過ぎんようにのー」
 メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)が、警告混じりに呟いた。
「わかってるよー、メイスンお義姉ちゃん! 早く苦しみから解放してあげないとね!」
 そう言ってエィミー・ロストリンク(再臨せし絆の乙女・f26184)が間合いを取りつつ、帝竜ガルシェンに攻撃を仕掛けるタイミングを窺うのであった。

●帝竜ガルシェン
「さあ、早く……わたしを……。わたしが……わたしであるうちに……」
 帝竜ガルシェンが苦しそうにしながら、激しく息を吐き捨てた。
「しかしながら、かの方が望まぬ破壊をすることなく、我々と共に生き延びる道はないのでございましょうか?」
 ベイメリアが複雑な気持ちになりつつ、帝竜ガルシェンを見上げた。
 だが、帝竜ガルシェンの体内では、何らかの変化が起こっているらしく、話し合っている時間はないようだった。
「残念だが、その道は閉ざされている。そもそも生きようと思わぬ、命に希望は無い……。生かしてやりたいが……仕方ない。だから、殺してやろう。……感謝しろ?」
 謡が帝竜ガルシェンをジロリと睨み、侵蝕の『呪詛』を籠めた黒炎を放った。
 その途端、帝竜ガルシェンの体内から、外敵を飲み込み自爆する巨大スライムが姿を現すと、虫を思わせる薄羽を生やして飛び立ち、身代わりになった。
「早く……わたしを殺してください……。もう、わたしが……わたしでいられる時間は、わずか……。そうなってしまうと……、彼らを抑える事が出来なくなってしまいます……」
 帝竜ガルシェンが瞳を潤ませ、願いの言葉を吐き捨てた。
 その気持ちに反して、巨大スライムがブスブスと煙を上げ、耳障りな羽音を響かせながら、大きく口を開けて猟兵達に飛び掛かった。
「やれるだけの事は、やってみるけど……」
 その攻撃から避けるようにして、まどかがフック付きのワイヤーを帝竜ガルシェンの身体に引っ掛け、まるで舞うようにしながら、一気に距離を縮めていった。
「……とは言え、もう限界だろう。我慢をするな、解放しろ。例え、何が出てこようとも、俺が全て……喰らってやる!」
 その間に、ルードが残像を囮にしながら、巨大スライムが攻撃を仕掛けるのと同時に軌道を見切り、掻い潜るようにして回避すると、帝竜ガルシェンの身体に降り立った。
「今度は、こっちの番だよ」
 それと同時に、まどかが【破魔焔(ホムラ)】を仕掛け、破魔の力を宿した炎の嵐で巨大スライムを攻撃した。
 その影響で巨大スライムの身体がボロボロになり、身体の一部がドロリと溶けて広がった。
「さあ、終わりにしよう。二度と蘇る事がないように……」
 続いて、謡が【闇之秘術・葬ルハ黒キ柱(ソレハマルデアクムノヨウナ)】を発動させ、天から黒い『闇』の柱を幾つも降らせた。
 地上に落下した黒い『闇』の柱は、次々と巨大スライムや、帝竜ガルシェンの身体に突き刺さり、触れた部分ごと消失させた。
 その影響で巨大スライムが黒い『闇』の柱と共に消え去り、帝竜ガルシェンも原型を留めぬほどズタボロになった。
「……ああ、主よ。お導きください……」
 その隙をつくようにして、ベイメリアが帝竜ガルシェンの身体に開いた穴から体内に入り込み、【Judgment arrow(ジャッジメントアロー)】を発動させた。
 次の瞬間、あらゆる装甲や防御をも貫く炎、氷、雷属性を宿した光の矢を放たれ、帝竜ガルシェンの体内に棲みついていた生命体が、悲鳴を上げる間もなく倒れていった。
「……まるで別世界だな。だが、お前達が外に出る事はない。宿主もろとも喰らってやる……」
 それに合わせて、ルードが帝竜ガルシェンの体内で【魂装・神魔喰ライシ暴食ノ暴君(リンケージ・タイラント)】を発動させ、暴食剣「神喰」と呪詛剣「無愧」を真名開放形態に変形すると、真の姿を解放した。
 それと同時に、捕食衝動の理性侵食を代償にして、嘗て喰らった敵を憑依すると、体内を掘り進むようにして斬り掛かり、帝竜ガルシェンの肉体だけでなく、幾多の数の生命体を喰らっていった。
「これで、安心して……眠る事が……出来る……」
 帝竜ガルシェンがホッとした様子で、ゆっくりと目を閉じた。
 後は、ただ死を待つのみ。
 未来永劫に続くと思われた苦しみから、ようやく解放される。
 そう思って深い眠りにつこうとした瞬間、体内から飛び出したのは、猟兵を殺す毒を宿した『新種の巨大生物(通称ギガンティス)』であった。
 それは帝竜ガルシェンと、よく似ていたものの、本物と比べて目つきが禍々しく、全身に殺気が溢れており、全体的にトゲトゲしい感じであった。
「まさに悪意の塊って感じの姿だね。実際に、そうだったりするのかな? とにかく、ここで負ける訳にはいかないね!」
 焔が【白狐召還符(サモン・フォックス)】を発動させ、蒼い狐火を吐く白狐】を召喚すると、勢いよく飛び乗って間合いを取った。
「……!」
 すぐさま、ギガンティスが唸り声を響かせ、真っ黒な毒のブレスを吐き捨てた。
 その毒は少し触れただけでもジュッと音を立て、身体の中に染み込んでいくほどの強力なモノ。
 それが原因で、だんだん気分が悪くなってきたものの、毒耐性があるおかげで、何とか耐える事が出来た。
「何だか殺す気満々だねー。でも、死にたくないから抵抗するよー」
 そんな中、エィミーが絆律鍵ロスト・リンクを起動し、メガリスを同時混合で発動させ、海乙女のワンピースから海水を放出すると、それをラクチェの要石で鉄のような硬度の水に変え、毒のブレスを防ぐ防御壁を構築した。
 さらに深海の魔女のタコ墨を、自身とメイスンにも塗布することで、毒に対する耐性を大幅に上げた。
「殺しに来たはずが、殺されたのでは、笑い話にもならないからのー」
 それに合わせて、メイスンが電脳魔術によって、自身とエーミィのホログラムデコイを大量発生させ、浮遊追尾型電脳レーザー砲ユニットで牽制射撃する事で、ギガンティスの接近を拒んだ。
「毒のブレスなんて、偽ガルシェンには効かないんだから!」
 その間に、セレヴィスが【狐の威を借る狐(モウヒトリノジブン)】を発動させ、帝竜ガルシェンの姿をした自分自身を思い浮かべた。
 次の瞬間、帝竜ガルシェンを模したセレヴィス(偽ガルシェン)が現れ、ギガンティスの前に立ちはだかった。
 偽ガルシェンは本物と比べて、元気で可愛らしく、巨大でありながら、元気よく飛び跳ねそうなほど生き生きとしていた。
「……!」
 その途端、ギガンティスが毒のブレスを吐きかけてきたものの、偽ガルシェンが真っ白なブレスで、それに対抗ッ!
 あっと言う間に、どす黒く染まった大地が塗り替えられ、真っ白なブレスを浴びたギガンティスが苦しそうに悲鳴を上げた。
「「にゃははは~♪ さぁ、怪獣大決戦だよっ!」」
 セレヴィスが偽ガルシェンの頭上で、仁王立ちをしながら腕組みをすると、声をハモらせ高笑いを響かせた。
「……!」
 その事に腹を立てたギガンティスが、偽ガルシェンに攻撃を仕掛け、近距離から毒のブレスを吐きかけた。
 しかし、偽ガルシェンはユーベルコードによって作られた存在であって、猟兵ではない。
 故に、毒のブレスをいくら受けても、まったく影響が出ておらず、圧倒的な力でギガンティスを黙らせた。
「わたし達が道を作るよー! だから、皆やっちゃってー!」
 その隙をつくようにして、エィミーが【失われた絆を繋ぐ姫君(プリンセス・オブ・ロストリンク)】を発動させ、「Black・Breaker」オルトロスの威力・射程を大幅に強化した。
 それに合わせて、メイスンが【汝は元素、その鎖を断ち切ろう(デオキシリボ・アシッド)】を発動させ、帝竜ガルシェンとギガンティスの身体情報を解析すると、帝竜ガルシェンのガンシェンの身体を融解させる毒ガスをミサイルに搭載した。
「それじゃ、いまのうちにドラゴンを攻撃するよ!」
 その間に、焔が白狐の炎を属性攻撃で強化すると、ドラゴンランス【フローレ】を構え、ランスチャージで突撃していき、帝竜ガルシェンの身体を串刺しにした。
「クッ……、早く……わたしを……手遅れになる前に……」
 その痛みに耐えながら、帝竜ガルシェンが今にも消えそうな声で呟いた。
「……!」
 それに気づいたギガンティスが偽ガルシェンを払い除け、焔の行く手を阻もうとした。
「敵を前にして背を向けるとは、随分と余裕があるようじゃのう」
 即座にメイスンがO-Ⅶ型機動強襲用二足歩行戦車「KIYOMORI」に乗り込み、ギガンティスに攻撃を仕掛けていった。
 それと同時に、エィミーがオルトロスをぶっ放し、ガトリング弾に搭載した毒ガスで、ギガンティスの肉体を崩壊させた。
「……!?」
 その現実を受け入れる事が出来ぬまま、ギガンティスが断末魔を響かせ、崩れ落ちるようにして、肉の塊と化した。
 それと同時に、メイスンが一斉にミサイルを撃ち込み、帝竜ガルシェンの肉体を融解させる毒ガスを発生させた。
「はやく……わたしを……はやく……ぐわあああああああああ!」
 その毒ガスに包まれて、帝竜ガルシェンの肉体が融解を始めたものの、獣の因子が暴走し、巨大な薔薇が花開いた。
 その影響で、原型を留めぬほど肉体が変化しており、まったく別の生命体が誕生したような感じになっていた。
 それが原因で、帝竜ガルシェンだったモノの意識も薄れ始めており、体内に残っていた生命体も獣の因子に取り込まれ、奇妙な姿になりながら肉体の一部と化していた。
「……まったく困った死にたがりだねぇ」
 その間に鴉暁が帝竜ガルシェンの死角に回り込み、一気に間合いを詰めて、醜く膨らんだ腹部を斬り裂いた。
 その拍子に、大量の胃液が噴き出し、鼻につくニオイが辺りに漂ったものの、獣の因子の影響で周囲の肉体が歪むようにして変化を起こし、あっと言う間に傷口が塞がれた。
「これは随分と殺し甲斐がありそうだね。いいよ、何度再生したところで、必ず殺してあげるから……」
 それでも怯む事なく、アウルがオーラ防御を展開しながら、帝竜ガルシェンに迫っていった。
「はやく……殺して……ころして……ころ……して……」
 その気持ちに反して帝竜ガルシェンの身体から生えた無数の触手が、鞭の如くしなりながら、アウルめがけて振り下ろされた。
 それは帝竜ガルシェンの意志ではなかったものの、宿主を守るべく全力を尽くしており、まるで母を護る子のように見えた。
「そう言われても、ここまで抵抗させると、殺すのも難儀だね。まあ、殺す事を引き受けた以上、途中で投げ出すつもりはないけど……」
 鴉暁が大太刀「雷鶴」に【剣刃一閃】の効果を乗せ、帝竜ガルシェンの触手を斬って、斬って、斬りまくった。
 そのたび、傷ついた部分が歪な形で修復され、巨大な薔薇の花が真っ赤に染まっていった。
「わたしは終わりの世界樹。宙にも届く破滅の大樹……一つ間違えれば、あなたと同じになるもの。だから、わかるの。あなたの憂いが、痛いほどに……。ここですべてを終わりにしましょう。そして、一緒に、静かに眠りましょう」
 次の瞬間、アウルが【開花の時は来たれり、我は天地囲う世界樹なり(アヌンナキ・ウブシュウキンナ)】を発動させ、星を侵食し、限界無く拡張し続ける『神体』に変化すると、帝竜ガルシェンに攻撃を仕掛けていった。
「わたしは……わたしは……わた……し……は……」
 それに抵抗するようにして、帝竜ガルシェンだったモノがアウルに攻撃を仕掛けたものの、肉体が限界に達して悲鳴を上げ、大量の血が噴水の如く噴き出した。
 それでも、帝竜ガルシェンだったモノが、暴走気味に攻撃を繰り出し、アウルをむりやり捻じ伏せようとした。
 しかし、アウルはまったく怯んでおらず、肉体を拡大させながら、帝竜ガルシェンだったモノを取り込む勢いで圧し潰した。
「――あ――ぁ――a――A――iyA――AAAAAAAAAA!!!」
 そして、その戦いに勝利したアウルが、ケモノの如く咆哮を上げるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月10日


挿絵イラスト