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穢れた鐘が鳴り響く

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●それは終焉を告げる
 ――ガロン。ガロン。鐘が鳴る。
 村にただ一つの鐘が鳴る。
 かつて鎮魂と平和を願いつけられた鐘が鳴る。
「あぁ……あぁ……鳴ってしまった。鐘が……」
 だがその音色を聞いた人々は、絶望と共に鐘の音色に立ちすくむ。
 そこにあるのは哀しみと、諦め。
 誰しもが打ちひしがれたような表情で鐘を見る。その先では鐘つき人の少年が歯を食いしばりながら泣いている。
 鐘は来訪を告げる合図だ。それも領主じきじきに来訪してきたということの。
「さぁ、新たな贄を連れていきましょう」
 ふわりと柔らかな笑みを浮かべ、そう宣言するのは1人の女性。自らを神とも自称する、現在のここ一帯の領主である。
 それは異形の僕を連れ、取り決め通り1人の男を馬車へと導いていく。
「いやだっ! 連れていかないで……やめて……父ちゃん……!」
「やめろ、リサ! やめるんだ!」
 追いすがろうとした少女を、幾人もの同世代の子供達が羽交い絞めにする。それがどれだけ残酷なことかを知りつつも、そうするしかないことを知っているから。
 少女の叫びを聞き、領主の女性――ラグナソピアは不思議そうに首を傾げる。
 そして自身に追いすがろうとした少女や、村中の子供達――いや、もはや子供しかいない村の住人達を見渡す。
「どうしてそんな悲しそうな顔をするのです? これで貴方たちは、何も苦労をすることなく生きていくことが出来るのに」
 それはラグナソピアの心からの疑問の声。その言葉に子供達はより深い絶望を抱くことしか出来なかった。
 異形の僕達が、ラグナソピアを守る様にリサ達の前に立ちふさがる。その顔を見たとき、子供達から引きつったような悲鳴が上がった。
「マルク……おじ、さん……」
 鉄の十字にかけられ、体中に寄生し這いまわる触手に包まれた男。その顔は先日まで鐘つき人をしていた人物であった。
 優しく、力も強く、皆から慕われていた男であった。
 そのなれの果てが、リサ達をただ無言で見下ろしている。
「さぁ、行きましょう。もうこの村には用はありません。――では皆様、また鐘の鳴る頃に会いましょう」
 馬車に乗り込むラグナソピアの背後では、石畳に崩れ落ちすすりなく少女の声がむなしく響いていた。
 ――ガロン、ガロン。鐘が鳴る。
 連れていかれた男の、せめてもの安息を願って。

●ただそれは残酷に
「みんな、集まってくれてありがとうッスよ。今回はダークセイヴァーに行ってもらうことになるッス」
 集まった猟兵達に挨拶もそこそこに、露霧・霞(羅刹のビーストマスター・f00597)は説明を始める。それは少し焦りを帯びているようでもあった。
「今から行ってもらう場所周辺は、領主であるラグナソピアという女性に支配されている地域になるッス」
 そしてそのラグナソピアはオブリビオンである、とも一言添えて。
「ラグナソピアは繁栄をもたらす神を自称してるッス。その言葉通りに、支配されている村では冬でも食に困ることはなく、ある意味では繁栄しているとも言えるッスね」
 だがそれはあくまでもラグナソピアの言う繁栄だ。
 そして繁栄には大きな代償があった。
「ラグナソピアはある程度の周期で、村の大人を領主の館へと連れていくッス。一度連れていかれた大人は帰ってくることはないッス。まあ当然ッスよね――全員改造され下僕にされちゃってるッスから」
 ラグナソピアは連れて帰ってきた大人に、とある改造処理を施すらしい。そうすることで命令に忠実な奴隷が出来上がり、それらを働かせることで食に困ることはない……というわけである。
「今ちょうどラグナソピアが1人の男性を館に連れ帰ってきたところッス。その改造を行うために、館の警備がやや手薄になっているらしいッスね。だから今なら館に強襲をかけられるッスよ」
 逆に言えば男を改造している今のタイミングでなければ、強襲をかけられぬほどにラグナソピアの下僕となった者達の数は多いのだ。
「これが簡易ではあるけど館の見取り図になるッス。これがあれば迷うことはないはずッス。ただ……」
 言うべきか迷っている様子の霞であったが、決心したというように口を開く。
「館内で戦うラグナソピアの下僕達は、改造されたとはいえ『生きている』ッス。そこに自由な意思はなく、もう二度と元には戻らない、助けることが出来ない相手ではあるッスけど、『生きている』元村人ッス。だから覚悟のある人達だけ、参加して欲しいッス」
 真剣な口調で言い切った霞は、そうして一度深く頭を下げるのだった。


原人
 どうも、原人です。

 今回はダークセイヴァーのとある領主の館への強襲依頼となっています。
 今回は少々暗い雰囲気の依頼になると思われます。
 ご注意ください。
 1章では館の踏破。
 2章では領主との戦闘となります。
 既に改造された人達を救うことはできません。

 では、頑張ってください。
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第1章 集団戦 『スレイヴ・スクイーザー』

POW   :    テンタクル・スクイーズ
【美味なる極上 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【おぞましくのたうつ肉色の触手】から、高命中力の【感情を吸収する数十本の触腕】を飛ばす。
SPD   :    スラッジ・スキャッター
【全方位に汚濁した粘毒液 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    ブレインウォッシュ・ジャグリング
【幹触手の先端 】から【暗示誘導波】を放ち、【洗脳】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

戦場外院・晶
「心が既に亡いならば、残った肉に何の痛痒が御座いましょうや」

痛むとすれば、未熟なこの心くらいのもの

【生まれながらの光】と【オーラ防御】を纏って突貫で御座います
それしかしません、出来ません

「触手……面妖ですがこれも手なれば、私の専門分野かと」

伸びて来る触手と的確に【手をつなぐ】ことが、私には叶うのです
この身に宿せし【怪力】と【グラップル】技術で、自在に振り回して御覧に入れます

こんな武器を【手】にしたら使わぬ手はありません

「憐れみの持ち合わせは御座いません」

せめて、かつて宿った魂に安らぎ有らんことを【祈り】渾身の【破魔】を込めた拳を放ちましょう

「……かくあれかし」


イデアール・モラクス
フン、人間の魔術改造は私も好むところだが…これはいかんな、美しさが無い。
そもそも善意でやっていますという風なのが気に食わん、悪行は悪意をたっぷりと乗せて為してこそであろう…アーハッハッハ!

・殲滅
「無念だろう、憎いだろう、その怨嗟と哀しみを全て私に捧げるが良い…さすれば暴虐の魔女の名において必ずやラグナソピアへの報いを約束しよう」
『高速詠唱』で唱え『属性攻撃』と『全力魔法』で威力を増したウィザードミサイルの一斉掃射で遠距離から一方的に容赦無く蹂躙殲滅する。
燃え尽き、昇天した魂が残す怨嗟の念を『生命力吸収』でに取り込み、魔力に変換して全てを焼き尽くすまで炎の嵐を巻き起こす。
「ここに契約は成された」


黒川・闇慈
「何をどうやって改造したらこうなるのでしょうねえ……ここのご領主とは美的感覚は相容れないようです」

【行動】
wizで対抗です。どうもこちらの動きを封じてくるようですねえ。
ならば、動きを封じる意味のない戦法で戦いましょうか。
属性攻撃、全力魔法、高速詠唱の技能を活用して、失墜の一撃を使用します。
このUCならば視線を向けるだけで攻撃が可能ですし、相性はいいと思いたいものです。

『天から落ちるは落命の一撃、来たれ暗黒、フォールン・スマイト』

「慈悲の一撃というやつです。さあ、お眠りなさい」



 夜闇が近づいている頃合いであった。
 赤い日差しは徐々に黒へと染まっていき、光が徐々に消えていく。
 ただただ小さな星明りだけが、か細い光となって大地を照らし始めたとき、それは始まった。
 不気味な呻き声を漏らす下僕達が徘徊する領主の館の庭で、それは始まったのだ。
 ――朱の軌跡を描きながら、幾本もの豪炎の矢が飛来する。
『オオオォォォオオオオォ!?』
 身体が、そしてその身に纏う触手が、炎の矢に貫かれ下僕達は叫びの声をあげる。
「フン、優雅さの欠片もない叫びだな。魔術改造をするにしろ、ここまでセンスのないものとは……加えて言うならば、美しさが無い」
 傲岸不遜に、そして大胆不敵に館の敷地に足を踏み入れたのはイデアール・モラクスであった。急ぐでもなく、臆するでもなく、下僕達へと魔力の矢を放ち進んでいく。
『シンニュウ……デキ……ダオ、ス……』
「もう少ししっかりとしゃべったらどうだ? それともそれすらもう出来ないか?」
『ア、ア……――アハハハハハハァ!』
 イデアールの問いかけに返されるのは哄笑。そして歓喜の笑み。
 ここに来て下僕達は皆一様に、恍惚の笑みを浮かべ幸福の感情を露とする。
 自らが幸せであると、強制的に思わされている張り付いたような笑みと共に、身体中の触手がイデアールに向け暗示を飛ばす。

 ――幸福であれ。
 ――歓喜せよ。
 ――全てを委ねよ。

「……気色の悪いことをする」
 頭の中に響く言葉に、イデアールはその優美な顔をしかめる。
 善意を直接脳裏に叩き込まれているような感覚が、イデアールの癇に障る。
 なんなのだ。なんだのだこの。
「取り繕ったような善意は。悪意の伴わぬ悪行など、そこにどれほどの価値がある……!」
 吐き気を催すほどの善意の押し付けに頭の中をかき乱されるイデアールであったが、ふと暗示の声が遠のくのを感じる。
「美しくないというのには同意しますよ。どうやら私もここの領主とは美的感覚が相いれないようです」
「ならば、どんなものが好みなのだ?」
「それは口で説明するものでもないでしょう」
 黒川・闇慈が睨みつけるのは、先ほどまでイデアールへと暗示を飛ばしていた下僕だ。その射抜くような視線を受けた下僕は、即座に地面にめり込む様に闇の力を宿した魔力球に潰される。
『アァ……アアァァァ……』
 潰された下僕の口から嬌声があがる。断末魔の声であるにもかかわらず、その声には塗り込まれた歓喜の感情が籠っている。
「悪趣味な改造です。強制的に幸福感情を絞り出している……といったところでしょうか」
「心すらももう自由ではない、と。なれば、既に心が亡いも同然でしょう。――ここに残った、命のみの肉に何の痛痒が御座いましょうや」
 襲い掛かる触腕を素手でいなしていた戦場外院・晶が、憐れむ様に一度目を伏せる。しかしすぐさま前に向き直り、晶は颯爽とかけていく。
 伸ばされる触手に絡めとられそうになりながら、かわし、いなし、弾き落とし、館前の門を守る下僕へと突貫する。
 下僕もまた襲い掛かる晶に向けて鋭い触手を放つ。それは晶の心臓を狙う一撃である。だが――それこそが晶の求めていた攻撃であった。
「嗚呼……私には叶うのです。こうして、手を繋ぐことが!」
 突き刺さる寸前の触手を両手で強引に握り止め、晶はその勢いのままに下僕を振り回す。晶の駆けてきた勢いと、触手自体の勢いによって宙を舞った下僕は、そのまま背後にあった木製の扉を突き破り沈黙する。
 扉を破壊する轟音により、館内が徐々に侵入者達に気づき始めていく。猟兵達は下僕達が集結する前に先へ――領主の元へと突き進んでいく。
「……あなたは、行かないのですか?」
「そう言うあなたこそ。無茶をしていましたが、まだ大怪我を負ったわけでもないでしょう?」
 駆けていく仲間達を見送りながら、晶はまだ先へ進もうとしていない闇慈へと問いかける。闇慈もまた裂傷の出来た晶の手の平を見やりながら、すぐさま意識を別へと飛ばす。そこには。
『……ァ……ァ……』
 まだ微かに息のある下僕がいる。とはいえもはや攻撃するまでもなく、放っておけば死の床へとつくだろう。
 そんな哀れな存在に、闇慈は再度闇の力を籠め放とうとし――。
『……コロシ、テ……オレ、ト……ヤツヲ……』
 闇慈と晶の身体が息をのむ。それは死にゆく中、混濁する意識の中下僕の――かつて人間であったものの、最後の絞り出した願い。
『ラグ、ナ……ソピ、ア……ヲ……!』
「慈悲の一撃というやつです。……さぁ、もう静かにお眠りなさい」
 確かにその願いは聞き届けた。
 闇慈の闇の力に飲まれ、肺に残った最後の空気を押し吐かされた村人は、そのまま静かに息を引き取った。
 晶が静かに破魔の力の籠った拳で、村人の顔を一度撫でる。せめて、せめて安らぎがあらんことを祈って。
「ここに契約は成された……その最後の願い――この暴虐の魔女の名において、必ずやラグナソピアへの報いとしよう」
 庭の下僕達を排除していたイデアールが、静かに館へと足を踏み入れる。まだこの凄惨なる夜は始まったばかりである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

イサナ・ノーマンズランド
SPDで行動

ユーベルコードで分身。相方が振り回す拷問具で捕まえた【敵を盾にする】ことで毒液を防ぎつつ、ふたりがかりで相手を攪乱。【2回攻撃】で執拗に【傷口をえぐり】確実に戦闘力をそぎ落としていきます。

「これが救いなんて言わない。でも……やらなきゃ、もっと沢山の人が悲しむし、傷つくんだ」
「だからわたしは、胸を張ってひどいことをする! 恨みたきゃ恨め! ぜんぶ受け止めてやる!」
『せめて苦しませず楽に…… おっと悪いな、そーゆーのはオレの専門外だったわ』

その他もろもろ、アドリブで大歓迎です!


尾守・夜野
胸糞わりぃな
生きている相手には黒剣で切りかかりつつ【吸血・生命力吸収】

倒したのを取り込んで、ゴーレムにする

数が多いなら、その優位を無くせばいい

死者の冒涜と言われようとなんだろうと、生きている今を守るために

…ゴーレムにする時に、見た目の欠損、異形の部分は排除するぜ【変装】
せめてまともな姿で最後ぐれぇは会わせてやりたいし

そんな異形を引き受けるのは俺で十分だ。
ゴーレムにするときに、余ったその不必要なあっちゃならねぇパーツは【謎のパーツ】の部位に纏めとく

共闘は歓迎するぜ


マハティ・キースリング
幼子でなかったのは幸いか
元より汚れ仕事は軍人や戦士の管轄、憂慮せず任せておけばいい

私は隊列後方
殿に立ち、追撃する敵の一掃と進行班の援護射撃を重視

ヴァリアブル・ウェポンは命中と攻撃回数を重視
両腕、肩に複数生み出した砲門の手数
一斉射撃と誘導弾で堅実に減らしていく

絶好のタイミングを見計らった筈だが…それでも数が多いな
群れに対してクラスターマインを射出、広域に小型焼夷弾をバラ撒いて
範囲攻撃と炎上の属性攻撃を仕掛ける

防御は外套の内側に秘めた爆薬を起爆することで行う
兵器の価値は使ってこそ、幾らか破損しても問題はない

手が空いていたら援護射撃もだ、味方を焼くんじゃないぞ


アルトリウス・セレスタイト
ふむ。では荼毘に付してやるとするか

徐に焼尽で掃討に
高速詠唱・全力魔法・2回攻撃・範囲攻撃など駆使して触手を牽制しつつ斬り伏せ焼き払う
幹触手を優先して狙い簡素ながら洗脳への対策にも

圧に抗しきれないと判断したら自身に回廊を行使して適度に距離を取り仕切り直し
その際は攻め手を破天に変更
絶え間なく叩き付け飽和攻撃で圧殺する



 猟兵達は板張りの廊下を走りながら、どこからともなく湧くように襲い掛かってくる下僕達を迎え撃つ。
「ああっ、クソッ! 胸糞わりぃな!」
 忌まわしい暗示を飛ばしてくる触手を黒剣で切り落としながら、尾守・夜野は今なお廊下を塞いでいる下僕達を睨みつける。
 猟兵達を前にした下僕達は、猟兵達を見ているのかもわからぬ定まらない視線を周囲に飛ばしながら、ただただ醜悪で幸福な笑みを顔に張り付けている。
「数が多くて厄介だな……おい、誰か何体か間引けるか!?」
「ふむ、では俺が茶毘に付してやろう」
 夜野の叫びを聞きつけたアルトリウス・セレスタイトが、無造作に下僕の一体に向けて片手をかざす。その瞬間下僕を串刺しにするように剣を象った蒼炎が沸きあがり、下僕を一瞬で燃やし尽くす!
「一体一体は強敵というわけではない。集中して攻撃すればこの通りだ」
 そのまま蒼炎で出来た剣を操り、アルトリウスは周囲の下僕達を牽制し始める。その隙に夜野は一瞬で炭化した下僕へと駆け寄り、その身に宿る刻印でその体の一部を取り込んでいく。
「何をするつもりだ」
「先に全員に謝っておく。文句があるやつは後で俺になんでも言え」
 顔面を蒼白にしながら、まるで吐き気を堪えるかのように呻きつつ、夜野は刻印に力を込めていく。アルトリウスはそんな夜野をかばう様に立ち回りながらも、内心に沸き起こる嫌な予感を拭いきれずにいた。
 心なしか耳や尻尾の獣毛が増した夜野は、絞り出すように両手を突き出す!
「これは――」
「倒した下僕を取り込んで、ゴーレムにした」
 突き出された両手の先で、光と共に召喚されたものがいる。
 それは一見すれば何の変哲もない村人のようにも見え、それは先ほどアルトリウスが消し炭にした下僕から触手を取り除いた姿に瓜二つであった。
「死者の冒涜だって言うならなんとでも言え。俺達は今を守らなきゃならねぇんだ」
「……それがお前の覚悟か」
「ああ」
 かつての人であった頃の姿をしたゴーレムは、これがゴーレムであると言われなければただの村人のように見える。四肢の欠損もなく、生きていた頃はこうなのだっただろうと理解できるほどに。
 ――それは死者を冒涜をあえて行った、夜野の出来る限りの誠意でもあった。
「お前が覚悟の上でその力を使ったというのなら、俺がとやかく言う筋合いはない」
 割り切るように言い放ったアルトリウスに、少しだけ――ほんの少しだけ救われたような気持ちになりながら、夜野は己が内に眠る別人格へゴーレムの操作を託すのだった。
「そのゴーレム、数を増やせるのだろう? ならば下僕の数を減らすのはこちらに任せろ」
「わたしたちが、みんなやっつけるから……!」
 倒した下僕の一部を更に取り込み、次のゴーレムを産みだそうとしている夜野を守るように、イサナ・ノーマンズランドが颯爽と前に飛び出す。
 そして軽やかにステップを踏むように下僕の前へと躍り出ると、突如その姿がブレる。
「キミたちがまだ生きてることは、わたし『たち』は知ってるよ」
『操られるままに、オレたちを襲おうとしてるってこともなぁ!』
 下僕を挟み撃ちにするようにしながら、『2人』になったイサナは叫ぶ。
「これからキミを殺すよ。これが救いなんて言わない」
『言いたいとも思わねぇ!』
『アアァァァァァァァ! イタイイタイイタイイタイキモチイイシヌシヌシヌシヌシアワセェェェェェ!』
 鋼鎖の先につけられたアイアンメイデンが、下僕を飲み込むように収容する。中からは串刺しにされた下僕の、歓喜の絶叫がびりびりとしびれる程に伝わってくる。
「沢山の人を守りたいから――だからわたしは、胸を張ってひどいことをする!」
『恨みたきゃ恨みな! もっともオレは痛くもかゆくもねぇがな!』
 拷問具からの叫びが段々と小さくなっていく。急速に小さくなっていく命の灯火に、2人のイサナは臆することなく断ずる。
「――ぜんぶ、受け止めてやる」
『だからせめて苦しまず楽に……おおっと、悪いな! そーゆーのはオレの専門外だったわ!』
 ――断末魔の声が途絶える。
 一つの命を奪い去ったイサナは、歯を食いしばってその事実を受け入れる。
 例え助けることが出来ないのだとしても。命の重みをかみしめるように。
 ……だがその直後、主人格のイサナが膝をつく。その頬には汚濁した毒液が付着しており、まだまだ生き残りの居る下僕達は、傷ついたイサナの姿に更に歓喜の叫びを漏らしていく。
『てめぇ……!』
「今助ける! しゃがむんだ!」
『あ……? うおっ!?』
 いきり立つ別人格のイサナであったが、突如聞こえた叫びと共に見えた光景に慌ててしゃがみ込む。
 ――次の瞬間、連続する炸裂音と大量の火花が舞い踊る。
 そして続くのは何方力なく倒れる音だ。
「危なかったな」
『今のはてめぇの攻撃も危なかったけどな』
 今にもイサナに襲い掛かろうとしていた下僕を、マハティ・キースリングが体内に抱えた兵器を用いて蜂の巣にしたものの、あわや巻き込まれるところであった別人格のイサナはそっと毒づく。
「なに、これでも絶好のタイミングを見計らった筈だが。――しかし」
 両碗、そして両肩と、体内に内蔵した兵器を露出させながら、マハティはその顔をしかめる。今さっき倒した下僕のすぐ後ろから、また新たな下僕が顔を見せたからだ。
「ここまで数が多いとは。まだ余力はあるか?」
『ある……って言いてぇところだが、少し態勢を整えたくはあるな』
 主人格のイサナを敵の亡骸を使い庇いながら、別人格のイサナが判断する。致命傷ではないものの、一度万全な状態を確保しておきたいのだった。
「毒液だな。……よし――少しでいい! 時間を稼げるか!?」
「……任せろ! ゴーレム達もだいぶ数が増えた。多少は時間が稼げるはずだ!」
 ゴーレム作成に集中していた夜野が、さらに数体増えたゴーレムを操り前に突出させる。下僕達の接近を阻むようにゴーレム達は動き回り、その隙間からやってこようとする下僕にはアルトリウスが蒼炎を操り切り捨てる。
「さてさて……兵器の価値は使ってこそ。大盤振る舞いでいこうか!!!」
 マハティの退けという合図で、猟兵達は一目散に後方へと駆ける。
 妨害がなくなり自由になった下僕達が、マハティへと殺到しようとした瞬間、マハティの身体から幾つもの爆弾群が射出される。そして爆弾群は分離と炸裂を繰り返しながら、下僕達の群れの中心に大量の小型焼夷弾をまき散らす!
「さぁ、今のうちに先へ!」
 突如炎の海に飲まれた下僕達を尻目に、マハティは仲間達に先に行けと合図をする。殿は自分に任せろとでもいうかのように。
 こうして猟兵達は屋敷を進んでいく。手渡された簡易地図に書かれた領主の部屋は2階であった……そこへとたどり着くために、猟兵達は館奥にある階段へと向かうのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

カノ・エクセクオール
◆行動
手薄とは言え、まま独りでの正面突破は無謀かしら
先ずは暗視を頼りに館の様子見ながら潜入を
猟兵さん方の協力を得れるなら嬉しいけど
既に臨戦態勢だったなら加勢をさせて頂くわ

◆戦闘
意思に沿わぬ体…ヤドリガミの素もある意味そう?
ザンネンながらわたくしは覚えてないけれど
無念だろうと、残酷だと、心寄せた所で過去は変えれない
出来るのは不愉快な糸を断ち切る事だけ

邪魔な触手は糸で絡め捕り、炎で炙ってしまいましょう
狙うは鼓動。首でも良い、ナイフが届けば
叶うなら、一思いにと

攻撃には炎の残像や見切りで対抗
早業、2回攻撃を駆使して速さ重視で動く

全てが済めば火で送りましょう
今は先へ往かせてくださいな
新たな犠牲を生む前に


浅葱・シアラ
ひぅ……!
村人を連れて行くラグナソピアも、下僕たちも、怖いよ……
怖いけど……止めなきゃ、やらなきゃ……
ダークセイヴァーでは戯れに命が弄ばれてる……だから、シアたち猟兵が助けなきゃ……!


使用するユーベルコードは「地獄蝶」
仲間が敵の攻撃を受ける際に素早く間に入って仲間達の前に立って皆を守るよ……!
怖いけど、シアにはちゃんと心強い味方がいるから
お父さんから受け取った、うちに眠る黄金の地獄
それを蝶の形に変えて、相手のユーベルコードがこちらに向かう時にはなって相殺するよ
シアは死んでも、死なない。仲間も死なせない。
蝶が死んでもまた美しく蘇るように、シアは、あなたに屈しない!


シェルツァ・アースハーバード
元村人。ですが、このままではもっと多くの犠牲が出ます。
せめてこの姿から私達が解放してあげないと。
私には……それ位しか出来ません。
言葉が通じるのなら、せめて、村は今も無事であると伝えましょう。

【POW】
触手を一本一本切り離してはキリがありません。
迫る触手は切り裂きつつ、本体を狙います。留まっていては捕まってしまいますから、払い抜けるように。
レギーナを基本として、叩き潰すならクレアーレ、切り裂くなら無銘・焔裂を使いましょう。
トリニティ・エンハンスで炎属性を籠めます。効果的でないなら風、氷と試します。

精神攻撃の類を使うのでしょうか。
捕まってしまったら心を強く持たなければ。
勇気を出して立ち向かいます。



「止まって!」
 階段にさしかかろうというところで、カノ・エクセクオールが仲間達へと警告する。薄暗い階段の中には、何体もの下僕達が道を封鎖するように配置されていた。
「厳重ね。正面突破は……無謀かしら」
「いえ、ですが2階に行くためにはここを通る必要があります。多少強引にでも――行きましょう!」
 魔法剣レギーナに手をかけながら、シェルツァ・アースハーバードがそう決断する。どの道ここを通らない手はないのである。ならば……出し惜しみをしている場合ではないだろう。
「先頭は私が! 援護をお願いします!」
 シェルツァが階段の前へと身を晒す。レギーナに炎の力が宿り、一番前にいる下僕が一刀のもとに斬り捨てられる。空いた階段のスペースへ、すぐさまシェルツァは身を滑り込ませる。
 だが焼け焦げる下僕の臭いに顔をしかめるシェルツァの身体を、他の下僕達が放つ触手が絡めとる。赤く生々しい肉の色をした触手に絡めとられたシェルツァは、自らの中から幸福感が一瞬で湧き上がるのと、それを抜き取られていくような感覚を得る。
「これは――感情を……吸って……ッ」
「それ以上は……させないからっ……!」
 自らの感情をかき回され、湧き上がる幸福感に忘我となるのを耐えていたシェルツァの触手へと、小さな羽を羽ばたかせ舞い降りた浅葱・シアラが放つ黄金の蝶が纏わりつく。美しくも妖しげな地獄蝶達の力によって触手は振りほどかれ、解放されたシェルツァは正気を取り戻すように頭を振るう。
「村人達は、ずっとこんな触手に苛まれて……!」
 作り物の幸福感となすすべなく奪われる気持ち。それを短時間でありながらも体験したシェルツァの心に、怒りの灯火がともる。
「今……解放してあげます!」
 レギーナを鞘にしまったシェルツァが手にしたのは、大剣クレアーレ。決して階段という限られたスペースで使いやすい武器ではないが、あの悪辣な触手の根本を叩き潰すためにはレギーナでは足りない。
「触手の動きをとめるわ。その間に……!」
 カノの手首の装飾から紅の鋼糸が解けるように舞う。炎を纏った魔糸は音もなく触手を絡めとると、静かにそのおぞましい肉を焼き締め付ける。
「はあああぁぁぁ!」
 触手ごと本体を叩き潰すように、シェルツァが下僕を立ち割る。
 一歩。また一歩と階段をのぼり始める一行に、下僕達はただ不気味な笑みと奇声をあげながら迎え撃つばかり。
「……怖い……怖いよ」
 地獄蝶で粘毒液を防ぎながら、シアラが怯えたように声を震わせる。シアラにとって、歓喜のままにシェルツァに両断されていく下僕達の姿は、ただ醜悪なだけの化け物よりも恐ろしく見えた。
「どうして……どうして……みんな笑ってるの!? 本当は……本当は辛いはずなのに!」
 わかりきった答えだと思いながらも、シアラは叫ばずにはいられなかった。辛いという感情すら奪われ、ただ幸福という感情を胸に命令を聞くだけの化け物に変えられた村人達。
「しっかりなさい」
「……でもっ!」
 感情を発露させるシアラを、カノが窘めるように見つめる。
「無念だろうと、残酷だと心寄せた所で……彼らがもう助からないという事実は変わらないのよ。変えられてしまった、過去は変えられないの」
 自身の言葉自体を残酷なものだと理解しながらも、カノは小さな仲間の少女へと語りかける。
「わたくし達に出来るのは、この不愉快な糸を断ち切ることだけ――彼らを解放してあげられるのは、わたくし達だけなのよ」
 だから、とカノは鋼糸で絡めとった下僕の一体を引き寄せるようにしながら、自身もその下僕へと跳躍する。
 その手に握られているのは――1本の小さなナイフ。
 血を糧に色づき輝く、小さな刃。
 それを下僕の胸へと突きたてる。
『アァ……アアアァァ……』
 幸福のままに息絶えていく下僕の顔が、一瞬だけ歪む。
 それは作り物の幸福ではなく……解放された喜びの笑みであったような気がして。
「今は先へ。新たな犠牲を生む前に」
「……うん、わかったよ。……シアは……死んでも死なない。仲間も、死なせない。これ以上の犠牲は、出させない!」
 下僕の返り血を浴びるカノが、壮絶な覚悟を抱いていることを理解したシアラはそう決心する。
「さあ、行きましょう! この階段をのぼりきれば、領主の部屋はもうすぐです!」
 自らの身体程もある大剣を振り回しながら、下僕達を振り落とすようにシェルツァが階段を駆け上る。
 決戦の時は、刻一刻と近づいてきている。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

フェム・ポー
……ああ、かわいそう、かわいそうねぇ。
ごめんなさいねぇ。フェムにはぁ、あなた達の事ぉ……『救ってあげ』る事しかできないわぁ。

改造された人たちの前に出て、呼びかけるわぁ。
もうそんな姿でぇ、痛むこともぉ、苦しむこともぉ、悲しむこともぉ、ないのよぉ? みんな、みんな、フェムのところに帰っておいでぇ?(技能:誘惑にて、解放を望む様に誘導、魅了する)

解放を望んだ相手にはぁ、『永劫の神子』(数メートルもある巨大な未分化に近い姿ので黒い光を帯びた胎児の様な異形)の力でぇ、痛みもぉ、苦しみもぉ、悲しみもない永遠の安らぎへぇ、誘ってあげるわぁ。(技能:生命吸収)
……こんなこと、早く、終わらせてしまいましょぉ?


ヴィクティム・ウィンターミュート
ハッ!繁栄をもたらす神様とは大きく出たもんだ。自分が絶対的な強者と信じて疑わないクソ野郎の間違いだろ?弱者に犠牲を強いる繁栄は案外脆いもんだ。ジャイアントキリングのプロ、データシーフのArseneが叩き潰してやる。

【ダッシュ】で距離を詰めて。範囲攻撃のヴォイドでまとめて消し飛ばしてやる。もちろん味方は巻き込まないようにだが。
奴らの攻撃は【見切り】で予備動作を察知して、【早業】で相手よりも早く動き、ヴォイドで攻撃ごと消し飛ばす。

…ひでえもんだ。玩具にされた成れの果て。もはやどうすることもできねえなら、せめて楽には逝かせてやるよ。安心しろ、俺の葬儀は優しいからよ。
電子の海の向こうで、寝ててくれよ


ロベリア・エカルラート
●心情
ふふっ、残酷とは言うけど、生贄を差し出せば他のオブリビオンからも襲われないし、食料にも困らない……

「ある意味、キッチリと等価交換と言えるんじゃない?」

他に手段が無いとは言え、村も村で恩恵が無いわけじゃないし、そっちに関しては私は特に言うことは無いかな

まあでも……
オブリビオンが人を支配してるってだけで気に食わないんで、今回も遠慮なく叩き潰させてもらうよ

●戦闘
咎力封じで能力を封じてから、接近戦で剣をつかって攻撃するよ
「ま、キミ達がどんな気持ちでそんな姿にされたのかは知らないけど、安心していいいよ」
「もう、何もしなくていい」

ま、生贄には思う所あるけど、顔には出さないように


※アドリブ、共闘歓迎



 階段をのぼりきった猟兵達は、そのまま最後の廊下を走る。
 ここに来て下僕達の数が減る。どうやら多くの下僕達は1階や階段に配置されていたらしく、2階にいる下僕は少ないようであった。
 だが――それもある1か所を除いてだ。
 領主の部屋前。
 その扉を守るように、下僕達が布陣する。
「うーっし、この先がクソ野郎のいる部屋か。悪いがそこを退けてもらうぜ」
 言うが早いか、ヴィクティム・ウィンターミュートは扉を守る下僕達に駆け寄ると、デバイスにプログラムを走らせる。
 ――無差別攻撃プログラム『Void』起動。
 ヴィクティムの身体を中心に、下僕達の身体が、触手が、データ化し消去されていく。
『カラダ……キエル……ナゼ……フシギ、フシギ』
 自分たちの身体がデータと化して消えていくのを笑いながら見つめる下僕達であったが、そこに自分達が『死んでいく』という恐怖は欠片もなく。
 幸福のままに数体の下僕がデータ化されこの世から消去される。
「……ひでえもんだ。自分が死んでいくことすらまともに理解出来てねえ。――っいってぇ!」
 データ化から免れた下僕達の毒液をかわしつつ、飛散した一部を浴びたヴィクティムが歯を食いしばる。
 しかしヴィクティムが歯を食いしばるのは痛みだけが原因では決してない。かつては互いに笑いあったであろう仲間達が目の前で消えてなお、特段の反応すら示すことなく笑うだけの下僕達の姿に、憐れみを感じたからだ。
「せめて、楽に逝かせてやるよ。――このデータシーフ、Arseneがな!」
 端役にすぎない自分に出来る、最大限の口約束だ。そうヴィクティムは拗れた笑みを浮かべる。
(「残酷、か。だが等価交換が行われているのだとすれば、それは必ずしも残酷といえるかな」)
 剣に触れながら口には出さずそう考えるのは、ロベリア・エカルラートである。
 ラグナソピアが行う治世に問題が多いことは確かだ。生贄の強制という部分等、正義感に溢れるもの達が聞けば眉を顰めるものもおれば、激昂するものもいるだろうことは理解はできる。
 ただしその結果残された者たちが、他のオブリビオンに襲われることもなく、そして食料に困ることもないという、庇護下におかれていることもまた確かだと思えるのだ。
 感情という部分を取り払ってみるならば、そこに至るまでの道筋が少し違うだけ――とも言える。
「とはいえ、気に食わないというのも叩き潰すには十分な理由かな」
 手枷や猿轡といった拘束具を手近な下僕に投げ放ちながら、ロベリアは思考を中断する。結局のところどれだけ共感や理解できる場所があったとして、オブリビオンの支配という根底が気に入らなければ、道筋がどうだろうが結果は同じなのだ。
 だからロベリアはその一太刀をもって、動きを鈍くした下僕を切り捨て言い放つのだ。
「もう、何もしなくていい」
 そこに下僕達への同情や憐れみはない。ただ今から自分が行うことの、行程の一つをこなしたというだけのことなのだから。
 毒液の舞い散る戦場にその身をおき、時折その身を毒に焼かれながらもロベリアは『処理』していくのだった。
 そしてそんなロベリアと対照的であったのがフェム・ポーである。
「……ああ。かわいそう……かわいそうねぇ……ごめんなさいねぇ……」
 うわ言のように下僕達を憐れみ、哀しむ。下僕達の姿に心を砕く。
 そして下僕達の近くを飛び回りながら、フェムは笑うのだ。
「もうそんな姿でぇ、痛むこともぉ、苦しむこともぉ、悲しむこともぉ、ないのよぉ?」
 下僕達を思い慈しむ姿は、まるでフェムには幸福に笑う下僕達の真の姿が見えているかのようでもあった。
 だがもしもこの時の姿を、もっと多くの人間が見ていたとしたらこう語る者も居たことだろう。
「だからぁ……フェムがぁ、救ってあげるぅ。フェムのところに帰っておいでぇ?」
 魅了し自身を見つめる者たちに向けて、フェムは力を振るう。それは癒しとは真逆の破壊の力。召喚された異形の胎児が、触腕で下僕達を取り込んでいく。
 救いを口にしながら救いが破綻している――まるでフェムは壊れているかのようだと。
 取り込まれていく下僕達の姿を宙に浮き見下ろし、『救われて』いった姿を笑みをたたえて見送った姿を見たならば、きっと。
「……さぁ、こんなことぉ、早く終わらせてしまいましょぉ?」
「残すはこの部屋の中だけ、か。さぁて……自惚れた神様は、楽には逝かせてやらねぇからな――っと!」
 扉前の下僕達を排除したヴィクティムが、木製の厚く上等な扉を蹴破るように開く。
「あら、乱暴なお客様ね」
 振り返ったラグナソピアは、何事もないかのように小さく微笑んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

雛菊・璃奈
「貴方達を助ける事はできない…間に合わなくて、ごめんなさい…」
「せめて、安らかに…。貴方達の無念や怨念は、わたしが引き受ける…」

館の見取り図から最短距離で改造を施している部屋へ向かう。…改造されてしまった人は助けられないけど、まだ改造される前なら…。

狐九屠雛を周囲に展開。【なぎ払い】【衝撃波】【2回攻撃】黒桜で呪力の衝撃波を放出。立ち塞がる敵をなぎ払い、敵の体勢を崩したところで狐九屠雛で凍てつかせ、粉砕する。
敵の攻撃は触腕や毒液は【見切り】で回避したり、狐九屠雛で凍らせて粉砕…。誘導波は…【オーラ防御】で耐えるしかないかな…?

「ラグナソピア…貴女は許さない…」

※アドリブ等歓迎


アリア・ティアラリード
「……」

目前に広がる光景
それはアリアの忌まわしい過去その物だった
かつて暗黒面に堕ち、袂を別けた父の残した忌まわしい遺産

ダークセイヴァーの支配者階級に求められるまま
犠牲者を取り込み十年、百年経とうと決して殺す事なく
美味なる感情エネルギー苦痛や快楽を搾り取り続ける
『感情を生産する機械』へと変えるおぞましい魔法生物

いつもの朗らかで明るいアリアの表情はそこになく、ただ悲痛な顔で
激しく攻撃してくる触手を、撒き散らされる毒液を気にせず
犠牲者を【優しく】抱きしめ【無稽剣】で永遠の苦痛から解放して…

「…ごめんなさい。 でも、私にはこうする事しか…」

涙と共に父の犯した過ちを清算するという【覚悟】で歩みを進めます



「今日は来客の予定はなかったはずですけれど。大事な用があったことですし」
「あっ、た……?」
 頬に手をあてそう呟くラグナソピアの言葉に、雛菊・璃奈は身を固くする。
 ――それでは。
 ――それではまるで。
 ――既にその用が終わってしまっているかのようではないか!
 悪い予感が璃奈の脳裏をめぐり、頬を一筋の汗が伝う。
 喉はカラカラに乾き、現実を直視することを拒む。
 だって……嗚呼、だって。
 ラグナソピアの後ろの机に横たわった、あの1体の下僕はいったい何なのだ……!
「ええ、私の用事も終わりました。ちょうど新たな使用人も出来たことですし、彼にあなた達の相手をしてもらいましょう。――さあ、立ち上がりなさい」
 横たわっていた下僕が触手を操り立ち上がる。
 まだ人から改造されたところだからか、今まで交戦した下僕達に比べ顔色がよく、それでいて今までの下僕と同じく張り付いたような笑みを浮かべた男。
 璃奈は足元が急に崩れ去ったような、そんな錯覚すら覚えた。
「ラグナ、ソピア……!」
「ふふ、いい出来でしょう? あんなに幸せそうに笑って。きっととっても働いてくれるわ」
 呪詛を放たんばかりに睨みつける視線を受けながら、ラグナソピアは嬉しそうに笑う。そればかりか――。
「それにしても随分使用人達が減ってしまったようですね。これはもう子供であっても使用人にするしかありませんか……」
「貴女、どこまで――許さない……!」
「ダメですよ。よそ見をしては」
 冷気をまとう炎を呼び出し、呪槍でラグナソピアを突き殺そうとした璃奈の矛先を、邪魔するように下僕の触手が薙ぐ。
 全身を支配する歓喜の感情に彩られた下僕を前にして、璃奈は絶望と落胆に打ち震えていた。
「ごめん、なさい……間に合わなくて、ごめんなさい……」
 無意識に言葉が漏れる。
 だがそんな言葉も、もはや下僕には何の意味も持たない。
「…………」
 そしてそんな光景を険しい表情で眺めていたのが、アリア・ティアラリードであった。
 ここにたどりつくまでに見た、犠牲者達の凄惨な様子を思い出す。
 それはかつて――そう、かつて決別したはずの過去。
 袂を分けた父の残した、負の遺産。
 犠牲者を取り込み、十年や百年経とうと殺すことなく、感情をエネルギーとして搾り取り続ける悪魔のような所業。
 『感情を生産する機械』へと作り変えてしまうおぞましい魔法生物。
 それが、下僕達の正体であった。
 ……振りきれたと思っていた。だが忌まわしい過去はこうしてまた追いかけてきた。
 璃奈と対峙している男の顔を見る。
 かつてはただの村人として生を謳歌していたであろう男の顔を。
 作り変えられてしまった醜い笑みが、とうに焼き捨てたはずの忌まわしい過去の記憶と重なる。
 そこまで考えたとき、アリアはもう動き出す自分の身体を止めることはできなかった。
 下僕と化した男の触手や毒液を避けることすらせず。
 驚き静止の声を投げかける璃奈の声を聞き届けることもなく。
 無防備にその身を晒しながら、アリアはそっと……ただただ優しく、下僕と化した男を抱きしめた。
「いけないっ、離れて――!」
 璃奈の叫びが遠くに聞こえるようだと、アリアはそう感じた。
 顔をあげれば、そこにはもう人でなくなった男の笑みがある。
 だから――。
「……ごめんなさい」
 謝罪の言葉を契機に、無手であったアリアの手に光で出来た剣が出現する。
 本来鮮やかなピンク色をしている剣の輝きは、この場に限っては黒く染まっている。アリアの心を映す鏡であるかのように。
 そして抱きしめていた腕をそっと上にあげ、なぞる様に静かに男の首をかき切ったのだった。
「でも、今の私にはこうすることしか……」
 湧き出す男の血を浴びながら、アリアは涙を流す。
 涙は血と混ざりあい、まるでアリアが血の涙を流しているかのようであった。
「はぁ……困りましたね。折角の新しい使用人まで、壊されてしまいましたか」
「壊す……命をまるで、玩具みたいに……!」
 吠える璃奈を値踏みするように、ラグナソピアは不躾な視線を送る。
 そしてまるで妙案を思いついたとでもいうように、嬉しそうに手を合わせるのだった。
「そうだ、あなた達でまた使用人を作ればいいんだわ。きっと今まで以上のものが出来るに違いない」
 そう神を自称する化け物は、猟兵達へと自ら対峙したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『繁栄の代行者・ラグナソピア』

POW   :    繁栄の時、来たれり
【周囲を鼓舞し能力を引き出す声援】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
SPD   :    栄耀の時、来たれり
【正】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【光輪】から、高命中力の【限界を超えて能力を引き出す光】を飛ばす。
WIZ   :    最盛の時、来たれり
【死亡させた人々】の霊を召喚する。これは【自身が創造した肉体】や【他者に憑依する事】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はリーヴァルディ・カーライルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

イサナ・ノーマンズランド
POWを使用

鉄の乙女で捕獲した【敵を盾に】しながら振り回して周囲の敵をまとめて【なぎ払い】、或いはロケットランチャーで【範囲攻撃】して【吹き飛ばし】つつ、ラグナソピアに肉薄。ユーベルコードを叩き込んで、敵の強化を阻止しつつ【恐怖を与える】。それまでに負うダメージは拷問具から【吸血】、【生命力吸収】して補いつつ、【激痛耐性】と【毒耐性】で頑張って我慢する。

『さあ、今度はてめェが一方的に蹂躙される恐ろしさを、教えてやろう』
『魔女狩りの時間だ。もっと良い歌を歌わせてやる』
「よくわからないけど、キミはぜったいにゆるさない。謝ったってもう遅い……! たくさんひどいことを、してやる」

アドリブ歓迎です。


尾守・夜野
戦闘前に
ゴーレムで損傷が激しいのを
周りに肉片落ちてねぇなら、imitation mimesis使って【俺】の一部で治して、
戦禍に巻き込まねぇ所に移動させ、解除する
こんな事に巻き込んじまった詫だ
せめて元の姿で家に返してやんよ!

そしてボスに対して
「はんっ!
これが配下を減らされたお前へのハンデって奴だ…
そして、ハンデは終わりだ!」

真の姿… 身体中から黒剣が飛び出てるちょっとあちこち継ぎ接ぎな姿に変わり切りかかる

鼓舞するのに対しては
すげぇ苛つくセリフだが、こっちに倒される為に煽ってきてると無理やり解釈
んで強化が受けられるようなら…周りに対しても翻訳()してやんよ!

ついでだ!
呪詛と生命力吸収と吸血!


アルトリウス・セレスタイト
まあ動くな

始動は密やかに隅の方から
目標の行動の起こりを静止で拘束

以後自身の存在が発覚するまで隠密したまま行動
初期と同様のタイミングで拘束を試み味方への被害軽減を重視
覚られなければ最後まで継続

気取られたら即崩壊で攻撃
視覚効果を伴わない攻撃で虚を突いて機を握らせない
この際は意図的に見下すような視線で煽り、静止での拘束と合わせ怒りと焦りを誘って思考の柔軟さを奪いに
時折崩壊での攻撃も交え心構えもさせないように

逃亡を図る・押し返されそうなど必要と感じた時は全力魔法と高速詠唱を駆使してより強固に拘束
それまでと同様と思っていれば行動を潰せるはず



「俺達を使用人に……か。なぁ、これが何かわかるか?」
 付き従っていたゴーレムを示しながら、そのうちの損傷の大きいもの数体へと夜野は肉片を飛ばす。全身を襲う気怠さに耐えながら、肉片により元の姿――ラグナソピアに改造される前の姿へと癒していく夜野に向け、ラグナソピアは嬉しそうに手を叩く。
「ええ、ええ! もちろんですとも! 随分とその子たちは働いてくれましたからね」
 無邪気とすらいえる笑みを浮かべるその在り様に、夜野は反吐が出ると毒づきながら部屋の外へと癒したゴーレム達を退避させる。
「あら? その子達をどこへやるのかしら。また改造すれば働いてくれそうなのに」
「させるかよ。……アイツらはせめて家に帰してやんだよ。お前をぶちのめすのに、これぐらいのハンデがあってちょうどいいだろ?」
「ふふっ。可愛らしいことをいうのねあなた。人が神にたてついて勝てる道理があるかしら」
 あくまでも余裕を保ち続ける姿に埒が明かないと、夜野は自身の身体に力を込める。部屋の外でゴーレム達が骸に戻る感覚と共に、己の存在が変質していくのを感じる――身体中からは無数の漆黒の刃が突き出し、生物としては歪な継ぎ接ぎの真なる姿が露呈する。
「さぁ……やろうじゃねぇか」
 口から呪詛の息を垂れ流し、黒い少年は獰猛に笑う。それは今までに溜まった鬱憤を晴らすかのようでもあった。
「まあまあ! あなたとても面白いことが出来るのね! それなら私も力を見せてあげなければいけませんね」
 異形と化した夜野の姿にもひるむことなく、ラグナソピアは嬉しそうに手を合わせ祈りをささげる。そして次の瞬間、部屋の壁が崩落し周囲から木乃伊のような者たちが姿を現す。
「この子達はね、頑張りの足りなかった子達なの。皆が頑張ってたのに、休憩して『動かなくなってしまった』の。だからこうして――追加のお仕事をあげないと」
 何故ラグナソピアが新たな村人を贄として求めていたのか。
 要約するならば、かけた分の『補充』ということなのであった。
 働かされ。
 働かされ。
 感情を吸い取られ続け息絶えた搾りかす。
 それらを更に酷使するラグナソピアに、猟兵達は吐き気すら覚える。
「いいかげんに、しなよ……!」
 木乃伊達と戦闘を始めた夜野を眺めながら、イサナは怒りに震える。
 まだ幼さの残るイサナには、この木乃伊達がどういったものであるのか、完全な理解までは追い付かない。だが……ラグナソピアによってあらゆるものを冒涜されたものであるということは、感覚でわかる。
「やろう。もうぜったいにゆるさない」
『ああ、いいぜ! 派手に魔女狩りといこうじゃねぇか! 蹂躙される恐ろしさ、教えてやろうぜ』
 2人のイサナが共に前に飛び出す。木乃伊の内の1体を鉄の乙女内に収容し、2人がかりで鋼鎖を振り回し薙ぎ払っていく。
「乱暴ですね。ですがその程度で私を傷つけられると思わないでください」
 ラグナソピアへと鉄の塊が飛ぶ。だが肉薄する鋼鉄の塊に怯えた様子すら見せず、肉薄する凶器はその寸前で受け止められる。
 受け止めたのは――枯れ木のような木乃伊の1体。
「ふふ。いい子ですね。死後も私に仕えてくれる。繁栄のために働くあなた達を、私はいつまでも愛してあげましょう」
 限界を超え身体中をきしませながら、木乃伊達はただただラグナソピアの為に働く。
 死後すらも安らかに眠ることはできず、木乃伊達はその身のすべてを犠牲にして戦う。
 ――ふざけるな。
 猟兵達の口から、自然にその言葉が零れ落ちる。
 彼らはただ生きていたかっただけのはずだ。
 神を自称するこんな化け物の為に……こんな化け物に薄っぺらい愛を囁かれるために生きていたのではない……!
 誰もがこの現状を打破する力に飢えていた。
 誰もがこの現状を突破する隙を見計らっていた。
 そしてその瞬間は唐突にやってくる。
「……あ、ら? 何か、おかしいわね」
 不快そうにラグナソピアがその整った顔を歪める。上手く体を動かせない、そういったジェスチャーっも付けながら。
 それに合わせるように、木乃伊達の動きが鈍くなる。
(「本体に連動している、ということか」)
 戦闘の行われている場所から少し離れるように潜んでいたアルトリウスが、静かにラグナソピアを睨みつけていた。
 身体から力が抜けていくような感覚を覚えながら、アルトリウスは瞬きすらも忘れてラグナソピアを睨み続ける。
 それは不可視の鎖の力らを持って、ラグナソピアの動きを阻害し続けているからだ。
 一挙一動をするごとに、アルトリウスの体内の力は削がれていく。
 ラグナソピア自身の強大な力に、すぐにでも拘束は解かれてしまうかもしれない。
 現に拘束は成功していても、その代償というように力を抜き取られていく感覚に、立つことすらままならない。残った壁に手をつきながら座り込まないようにするのが手いっぱいだ。
 だがそれでも決して自由にはさせぬと、アルトリウスはより強固に鎖の強度をあげていく。
(「いつまでもつかは分からん――上手くやれ」)
 今すぐにでも倒れてしまいそうな錯覚に襲われながら、寡黙な男は静かな戦いを続けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アリア・ティアラリード
優美な見た目と恐ろしい威圧感を放つラグナソピアとをもって対峙します

「それは、暗黒面に堕ちた父の遺産なんです。すぐ放棄して下さい」

日頃の柔和で朗らかな令嬢然とした表情はそこになく
悲壮とも言える【覚悟】を込めた瞳で彼女を見ると、握るフォースセイバーが
一層眩しく、激しく脈動しアリアの決意を受けて膨れ上がって!

初手から全力!出し惜しみなしです!
極限までフォースを練り込み、体の外に溢れ出す程の【力溜め】から
【捨て身の一撃】の覚悟で《虹色飛翔七連剣》!私の最大奥義!
我が身を全く厭わぬ全力攻撃はラグナソピアであっても【恐怖を与える】かも知れません

「させません、これ以上『お父様の遺産』で非道を行うのは…っ!」


黒川・闇慈
「ご領主、あなたは繁栄の神だそうですが……神というのはいつも何かに反逆されるのが世の常というものですよ……クックック」

【行動】
さてさて、相手も死霊を召喚するようですし、こちらも死霊で殴り合いと参りましょうか。
呪詛、高速詠唱の技能を活用してユーベルコードを使用しますよ。がしゃどくろの召喚です。
周囲の雑魚は呪爪で薙ぎ払い、ラグナソピアには呪力砲撃をお見舞いしましょうか。

『怨敵呪殺、皆敵鏖殺、急急如律令』
「まるで死霊のバーゲンセールですねえ……クックック」

【連携・アドリブ歓迎です】


浅葱・シアラ
ひぅっ……見つけた……怖くても、惑っても、迷っても……
あなたは絶対許さないよ……ラグナソピア!
命は玩具じゃない、人々はあなたの所有物じゃない
あなたは……敵だ!
本当の笑顔を取り戻すの……笑うことしかできなくなった人形じゃなくて、本当に笑って欲しいの……人々に。だから……!


使うユーベルコードは「胡蝶閃」
お母さんからもらった胡蝶の閃光
今回も、シアを守ってくれるから……
技能【地形の利用】【迷彩】【目立たない】で隠れて、ラグナソピアに攻撃のチャンスができたら
技能【全力魔法】と【高速詠唱】で何度も胡蝶閃を放ってラグナソピアを攻撃しながら脱力させていくよ


負けない……命の重さを思い知るんだ!



 動きを拘束されながらも、ラグナソピアの顔に焦りはない。
 何故ならどれだけの阻害を受けようとも、まだ依然としてラグナソピアへは一度も刃が届いていないからだ。
「――えっ」
 だからこそラグナソピアの頬から血がはじけ飛んだ時、繁栄をもたらす神は初めて間抜けな声を漏らす。
 突如鋭い刃で裂かれたように、ラグナソピアの頬に一筋の傷が刻まれる。
「ひぅっ……」
 小さく息をのむような声が聞こえる。その声の元に視線をやれば、シアラが泣きそうな顔を怒りに塗り替え、小さな手を突き出している。
「絶対に……許さないよ……命は、玩具じゃない……!」
 刻まれた傷は決して大きなものではない。だが小さな少女の小さな一撃は、ラグナソピアの顔から笑みを消し飛ばすには十分な威力を秘めていた。
「私に……あくまでもたてつくというのですね」
「人は……村人さん達は……シア達は……あなたの所有物じゃない!」
「言いたいことは――それだけですか!?」
 シアラの手から無数の蝶が舞い踊る。一匹一匹が鋭い刃の一撃となる羽ばたきを、ラグナソピアは初めて怒りを示しながら迎え撃つ。
 アルトリウスの不可視の鎖が引きちぎられ、動きに精彩が戻った木乃伊達がその身を犠牲にしながらシアラを鷲掴みにする。握り潰されそうな圧迫感に、シアラの顔が真っ赤に染まる。
「……離、してっ!」
「もうお遊びは終わりにしましょう。あなた達には真の喜びと繁栄を教えてあげなければいけません」
「いいえ、そんな機会は二度ときません」
 シアラを掴む木乃伊を切り飛ばしながら、アリアが躍り出る。
 手に握られた光剣は、アリアの決意を受けて暴走するかのように激しく光を放っている。
「敢えてあなたに勧告します。あの触手達は――父の残した負の遺産。すぐ放棄してください」
「あらあら。あの魔道具を作ったのはあなたのお父様でしたか。それはそれは、感謝してもし足りませんね――ですが今この場では感謝を伝えられません。少し待っていただいても?」
「あくまでも放棄をするつもりはない、と?」
「放棄する理由がありませんもの」
 話になるとは思っていなかった。だがその返答にアリアは落胆する。
 今は道を違えたとはいえ、かつて慕っていた『お父様の遺産』が、どれだけの哀しみをこれからも作っていくのかを想像して。
 そしてそれを悪用する者達はきっと、口を揃え手放そうとはしないだろう。
 このラグナソピアと同じように。
 だからせめて、今この場の悲劇だけは断ち切らなくてはならない。
「それなら――力づくで止めるまでです!」
 手にした光剣が暴れるように更に光を増していく。
 アリアの所持するフォースセイバーは7本。それぞれ7色の輝きで敵を裂く必殺の武器である。
 チカチカと切り替わる様に7色の輝きが明滅し、それらは虹の輝きへと織りなし部屋中を染めていく。
「はあああぁぁぁぁぁ!」
「これは――不味いですね……!」
 何体もの木乃伊を重ね合わせ盾にするラグナソピアへ、アリアは全力をこめて腕を振り下ろす!
 まるで虹をかけるかのように広がった7色の光は、ラグナソピアと木乃伊達に向けて殺到しその身体を焼き切っていく!
「はぁ……はぁ……はぁ……」
 荒い息を吐くアリアの前で、右半身を光に焼かれたラグナソピアが忌々し気に歯噛みする。
「――危うく切り殺されるところでしたね。ですが……守りを捨てた代償も受けたようですね」
「アリアっ!?」
 シアラの悲痛な声が部屋に響き渡る。
 アリアの上半身には木乃伊からの痛々しいほどの掻き傷が刻まれている。斬られる咄嗟の間で、ラグナソピアが命じたものだ。
 ……そのせいで必殺の太刀筋が、少し逸れてしまった。
「その傷では剣を振るうのは辛いでしょう。下がっていてください」
 闇慈の声と共に、アリアの身体が宙を浮く。
「これ、は……一体」
「あちらも木乃伊というのであれば、こちらも死霊といきましょう。『怨敵呪殺、皆敵鏖殺、急急如律令』――まるで死霊のバーゲンセールですねぇ」
 喉の奥でクックッと鳴らすように笑いながら、闇慈はゆっくりと前に進み出る。
 アリアの身体を摘まみ上げた大きな骸骨――闇慈の使役するがしゃどくろが、アリアを安全な場所まで逃がす。そしてその巨体を揺らしながら、ガチガチガチと歯をかみ合わせ笑うのだ。
「いつの世も神というものは反逆されるもの。あなたが神を自称するというのなら、これは必然であり世の常というものですよ」
「けれど脆弱な人間に神を殺すことが出来るかしら? 英雄気取りは蛮勇のままに死に絶えるのが物語のセオリーよ」
「蛮勇かどうかは……試してみるとしましょうか!」
 数を減らした木乃伊達を薙ぎ払い、がしゃどくろが暴れ狂う。
 相手が疲れも痛みも知らぬ死者だというのならば、それを迎え撃つのも死者の役目であるとでもいうかのように。
「さぁ、力比べといきましょう。神との力比べ……魔術の粋を凝らし、華々しく打ち破ってみせましょう」
 自身の負ける姿など欠片も想像していないかのように、闇慈はまた暗鬱にクックッと笑うのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ヴィクティム・ウィンターミュート
ハッ!ようやく顔を見れたぜクソ野郎。薄ら寒い「繁栄」とやらは今日で終わりだ。自分の生き方を強制された繁栄に、未来なんかねーんだよ。どんなに苦しかろうが、テメエの脚で立つしかねえのさ。

奴は手駒を召喚してそいつを強化する戦い方っぽいな。
なら、手駒を潰す。一回は見に徹して、再度使い始めたらユーベルコードでそいつを封じてやる。
解析が済むまでは戦って【時間稼ぎ】をしつつ、【早業】と【情報収集】で相手のユーベルコードを解析。終えたら【見切り】で発動タイミングを察知し、【盗み】で使用権限を奪い、掻き消す

・成功したら
「さあさあ出番だぜ主役ども!フェイクだらけの幸福に幕を下ろしな!お膳立ては端役に任せておけ!」


フェム・ポー
うふふ。残念だわぁ。もっと、もっと、フェムの手でぇ、『救って』あげたかったのにぃ……だってこんなに『喜ばしい』お仕事ぉ、フェムみたいな淫売にこそぉ、お似合いでしょぉ? 本当に、残念だわぁ。

あとはぁ、あの白くて輝かしいカミサマをぉ……地べたに這いつくばらせてぇ、無惨に踏みにじってあげればおしまいねぇ?
哀れな子羊ちゃん達からたくさんの供物を頂いてしまったからぁ、その分でぇ、UCを使ってぇ、闇の光を纏った人間大の姿に変身するわねぇ。
魔力の鎖と闇の光でぇ、カミサマが塵芥に返るまでぇ、生命吸収させてもらうわねぇ。
亡霊達もぉ、フェムに引き寄せてぇ(誘惑)、同じように全部吸い尽くして『救って』あげるわぁ。


ロベリア・エカルラート
いやあ、思ったよりいい性格してるねぇ、この神サマは
叩き潰し甲斐があって何よりだ

「ま、今回は正直私が手を出すまでもなさそうだね。怪我人が出ないようだけ気をつけよう」

あっちからこれだけ煽ってくれるなら、他の人が直接始末するでしょ

私はシンフォニック・キュアで味方を回復
歌うのは理不尽な敵への怒り。
間違いなく共感は得られるだろうね

「味方の援護が得意なのはアンタだけじゃないってことだね」
「さて、いくらでも手下を出してきなよ。私が居る限りこっちの仲間は倒れないからさ」



 木乃伊をなぎ倒すように暴れるがしゃどくろを眺めながら、ラグナソピアは思案する。
(「……気に入りませんが、こちらが押されてきていますね。こちらも出来る限りの戦力を放出するしかありませんか。非常用の労働力だったのですが」)
 館内に隠した木乃伊達を呼び寄せるべくラグナソピアは祈りを込める。
 ――だが。
「どうして。……どうしてあの子たちが来ないの!?」
「ハッ、いい顔じゃねぇか! ――その顔が見たかったぜ」
 焦りを見せ始めたラグナソピアを笑い飛ばし、ヴィクティムは満足気に力を振り撒く。
 それは一種のジャマーのようなものであった。ラグナソピアの祈りを阻害し、眠りについている魂を呼び起こさせないための。
 その名をAttack Program『Hijack』。
 穢れた祈りを食い破り、死者の安らぎを守るウィルスプログラムだ。
「もうお前にこれ以上の援軍は来ねえ! 俺が来させやしねえ!」
「神の御業を邪魔するなど、不敬が過ぎるのではないですか!」
 そこからは力と力のぶつかり合いである。
 再度のラグナソピアの祈りを、ヴィクティムはその全身全霊をかけて邪魔をする。
 突破され破壊されたウィルスプログラムの残滓が、はじけ飛ぶように散っていく。それはテクスチャが砕け剥がれるように宙に舞い、そのたびにヴィクティムの身体は重石でものせられているかのように、鈍重にそして摩耗していく。
「ちっ、端役に出来るのはここまでか。おい主役ども! ここまで膳立てしてやったんだ、決める用意ぐらい出来てんだろうな!」
「うふふ。それじゃあとっておきので『救って』あげないとぉ……たぁっぷり、楽しみましょぉ?」
 暗く輝く、闇の光を纏いながらフェムが飛ぶ。
 次第にその身体は大きく、大きく――通常の人間ほどの大きさにまでなると、ラグナソピアに抱きつくようにして、闇の力を纏わせる。
「くっ……なんですか、この、穢れた力は……! 力が、抜ける」
「穢れだなんてひどいわぁ。あなたをぉ、『救って』くれる、とっても素晴らしい力なのにぃ」
 魔力を帯びた鎖を巻きつけながら、フェムは笑う。ラグナソピアから奪い続けている生命力で、その羽は暗い輝きすら帯びている。
「黙りなさいっ!」
「あんっ。強引ねぇ」
 木乃伊を使い無理やり引きはがし、そのままフェムの身体を組み敷かせる。奪われた命の輝きに、ラグナソピアは肩で息をしながら残り少なくなった木乃伊達に自らを警護させる。
「どうしたのぉ? あれだけ強がっていたのにぃ、そんなに怯えちゃってぇ。フェム一人を組み敷くのにぃ、わざわざ残り少ない木乃伊まで使ってぇ」
「けれど、おかげでもう動くことも出来ないでしょう?」
「それはぁ、どうかしらぁ」
 床に顔を押し付けられながら、フェムはくすくすと笑い声をあげる。いつ命を奪われてもおかしくない状況で、楽し気に笑うフェムにラグナソピアはイカレたものでも見るようにしながら離れていく。
「臆病なのねぇ」
「あまり無茶をするものではないよ」
 押さえつけていた木乃伊が崩れ落ちる。フェムの身体に触れるだけで、力を吸われ存在を削られていたからだ。
 呆れたようにフェムを見下ろしながら、ロベリアは身体に触れないように注意しつつ外傷を確認する。
「あらぁ、そうかしらぁ」
「その力も随分無茶をしているように思うのだけどね。まあいいさ――私は私のやることをやろう。怪我人を出さないことが今回の役割さ」
 軽く一度咳払いをし、ロベリアは静かに歌を紡ぎ始める。
 それは抑圧された人々の、悲しみと怒りの歌。
 理不尽に奪われ、なじられ、なすすべもなかった人々の心を歌った詩。
 徐々に曲調は激しく怨嗟の声をあげ始める。死んでいった者達の心を代弁するような、激しい激しい怒りの言葉。
 そしてその曲に合わせるように、傷ついた仲間達の傷が癒えていく――まるで怒りが力を与えているかのように。
「厄介な力を使うのですね」
「味方の援護が得意なのは、アンタだけじゃないってことだね」
「ならばその援護を断ち切ればいいだけのこと。そうでしょう?」
 不敵に笑うロベリアに対して、ラグナソピアは力を振り絞る様に命令を下す。それは様々な阻害を跳ねのけ、ロベリアの足元から新たな木乃伊が出現するという形で現れる!
「……! まだこんなところにも!」
「さぁ、こんな状況でもあなたは歌えるのかしら」
 しがみつく様にして現れた木乃伊と苦闘するロベリアの様子に、ラグナソピアはそう笑うのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

イデアール・モラクス
ほぅ、お前がラグナソピアか…なるほど悪くない、美味そうな身体をしているじゃないか。
お前が人々をそうしてきたように、今度は私がお前で遊んでやる。

・行動
「死んでいった連中との契約もあるからなぁ、簡単に死ねると思うなよ!」
『高速詠唱』『全力魔法』で色欲の触手を大量に召喚、ラグナソピアを絡めて拘束し快楽を与えながら動きを封じる。
「さぁ、蹂躙の時間だ!」
他の猟兵達にチャンス到来を告げ、私も煉獄の大鎌を手に攻撃に参加。
「痛いか?それともこういうので気持ちよくなるタイプかぁ?
アーハッハッハ!」
大鎌の切っ先を突き刺して『串刺し』にして『傷口を抉り』ながら、首筋に噛み付いて『吸血』し『生命力を奪い』尽くす。


雛菊・璃奈
貴女は神なんかじゃない…人の命を弄ぶ悪魔だよ…。貴女に繁栄なんて与えない…貴女にあるのは呪いと破滅だけ…!

【unlimited】を限界まで【呪詛】を織り込んで展開…!
九尾凶太刀に同じく限界まで【呪詛】を込め【2回攻撃】【衝撃波】を放ち接近…。立ち塞がる召喚霊は【衝撃波】で【なぎ払い】。至近距離から凶太刀による斬撃と【unlimited】の一斉掃射を叩き込む…!一度で倒せなければ何度でも【unlimited】を叩き込んで絶対に討ち滅ぼす…!

多くの人達の命を好き勝手に弄んだ貴女だけは絶対に許さない…!
魂の一片すらも残さない…!神をも殺す呪詛の魔剣…!魂までも朽ち果てろ…!

※アドリブ歓迎


シェルツァ・アースハーバード
……人の命を物のように扱う者は程度が知れてますね。
ですが、その思い上がりもここまでです。
これ以上はやらませまん。村の人達の無念、私達がここで晴らしますので!

【万色纏う無双武装】を使います。
あらゆるエレメントを同時に扱う、魔法剣の奥義。
貴方には勿体無いでしょうけど。これが私の決意です。絶対に止めて見せます!

死して尚人々をこき使うなんて、何処まで腐っているのか……!
誰が喜んで貴方の使用人になどなるものですか。ああ、決して貴方の為じゃない!
私が。私達が……全部助けます!

しかし、こう何度も召還されては。
やはり私が先頭に立って路を切り開きましょう。
皆さんも不意を付いてラグナソピアへ攻撃をお願いしますね。



「……ふぅ。これ以上はもう打ち止め、ここに留まるのも危険かもしれませんね」
「ほう、逃げられるとでも思っているのか?」
 ロベリアにけしかけた木乃伊が本当に最後の追加であったのか、ラグナソピアはそっと窓へと近づいていく。それを呼び止めたのはイデアールであった。
「逆に問いましょう。止めることが出来るのですか?」
「愚問だな。止められぬ道理がない」
 イデアールが指を鳴らすと、窓を塞ぐように小さな無数の魔法陣が浮かび上がる。
 魔法陣からはぬめりを帯びた淫靡な触手がいくつも飛び出し、窓から逃げ出そうとしていたラグナソピアの身体を拘束する。
「なっ、逃げ道が……! は、離しなさいっ!」
 細い手足や清廉な衣服に、穢れた触手が這いまわる。それは無遠慮にラグナソピアの全身を抱えると、もう手放さぬというかのように魔法陣の方へとその華奢な身体を引き寄せていく。
「ははっ! いい恰好じゃないか。死んでいった連中との契約もある――簡単に死ねると思うなよ!」
 四肢を拘束され、触手に嬲られ動きをとめているラグナソピアの姿に、イデアールは哄笑を浴びせかける。神だと自称していたものも、こうなってしまえば哀れなものだというように。
 忌々し気なラグナソピアの視線を浴びながら、イデアールは上機嫌に触手を操る。その悔し気な感情すらも、この魔女にとっては悦楽のスパイスにしかならない。
「さぁ、蹂躙の時間だ! お前達もそろそろ出番だぞ?」
 自身の得物である大鎌を虚空から取り出し、イデアールは背後を振り返る。そこにはラグナソピアに引導を渡すべく、力を溜めていた者たちが居た。
「ようやくこの時が来ました。村の人達の無念、晴らしてみせます」
「貴女は決して神なんかじゃない。繁栄なんて、与えない……貴女のような人の命を弄ぶ悪魔には……!」
 残る木乃伊を切り裂きながら、シェルツァと璃奈がラグナソピアへと駆け寄っていく。
「今私が出来る全力を。この一撃にのせて」
 シェルツァの手にしているレギーナに、三種の魔力が宿り融合していく。
 ――炎。
 ――水。
 ――風。
 本来ならば混ざり合うことのない3つの力が、レギーナの刀身を染めていく。
 膨大な力に剣を握るシェルツァの両手が震え、暴発しそうな力の制御で身体中の気力と魔力が吸い上げられていく。
 それらを歯を食いしばりながら耐え、シェルツァは一太刀の元に全魔力を解放する!
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁ”!!!」
 身体を魔力の刃に両断され、ラグナソピアが想像もつかぬような叫びをあげる。
 拘束する触手を引きちぎる様に暴れ、全身を引き裂かれながらも自身に残された力を暴走させながら!
「これが、今の私の限界です……! だから、お願いします!」
 持てる力を使い果たし、シェルツァは剣を支えに立つのがやっとというような様子である。だが、まだラグナソピアは生きている。だから――引導を渡さなければならない。
「貴方だけは、絶対に許さない……! 魂の一欠片すら、残さない!」
 修羅のごとき怒りの表情を浮かべた璃奈が、腰の妖刀へと手を這わせる。
 赤黒き呪いを限界までため込んだ九尾乃凶太刀を引き抜きながら、璃奈は更に魔剣を召喚する。
 それは異様な光景であった。
 璃奈の周囲を、決して清廉とは言えぬ呪いを帯びた刀剣が飛びまわる。
 自身すらもその周囲の呪いに飲み込まれそうな危うさを見せながらも、璃奈は一刀にすべてをかけるべく精神を研ぎ澄ます。
 その璃奈の意思に導かれてか、抑えきれぬ呪怨と怨嗟を漏らし空気を穢しながら、宙を舞う魔の刀剣はラグナソピアへと狙いをつける。
「果ての無い呪怨にのまれ――」
 魅入られた人々を堕落させ死へと追いやる穢れた凶刃を周囲に纏わせ、璃奈は手にした妖刀を振りかぶる!
 袈裟掛けにはしった一閃はラグナソピアの半身を断ち切り、更に餓えた野犬のように呪剣達が命の残滓すらも残さぬとその身体を刈り取っていく。
「魂までも、朽ち果てろ……!」
 血を払うように九尾乃凶太刀を一度振り、璃奈はその凶刃を納刀する。
 主人が死んだからだろう、最後まで残っていた木乃伊の残党が乾いた音を立てながら床へと崩れ落ちる。
 戦いの終わりを悟った猟兵達は、皆それぞれに構えを解く。
「やりましたね」
「ええ、これでもう生きていることはないはずよ」
 共にラグナソピアへの止めを刺したシェルツァが、剣を支えにしながら璃奈へと笑いかける。
 始終険しい表情を浮かべていた璃奈は、そこで初めて穏やかな笑みを浮かべるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『誰が為に鐘は鳴る』

POW   :    周囲のひとたちを励ます

SPD   :    何の為の鐘か村人に尋ねる

WIZ   :    静かに祈りを捧げる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 戦いを終えた猟兵達は、その足で領地である村にやってきていた。
 領主を討伐したことを村人である子供たちに告げるが、子供達の表情は暗い。
 命の安心が出来たとはいえ、既に連れて行かれた人々はもう帰ってくることがないのだから。
 村人達はただただ鐘を鳴らす。
 ――ガロン。ガロン。と。
イデアール・モラクス
フン、どいつも辛気臭い顔をしている…どうしたって何も戻らぬというのに、馬鹿共め…。

・行動
村の周囲に獣や魔を寄せ付けぬ為の魔術結界を張り巡らしておこう、どれだけ持つかは分からんが…ガキ共はひと時は守ってくれよう。
「キッカケと運に恵まれれば無力な子供とて生き延びる事は出来る…かつての私のように」
それが終わったら罪深き接吻を行使して修道女達を呼び出し、死者達の墓を作り祈りを捧げる…罪に塗れた淫らな修道女とて本質は神に仕える女達、多少は慰めになるだろう。
「契約は果たした…死者達よ、全ての無念と苦痛から解放され静かに眠るがいい。
いつか輪廻の先で、お前達が平穏に暮らせる事を祈っているぞ」


尾守・夜野
WIZ判定

…村人に相談してせめて死んだ奴をこの地に返してやりてぇんだが平気かを聞く

平気ならまず、俺らオルタナティブダブル使い…別人格の俺と二人で館に行き、戦闘があってあぶねぇから仏さんを外に連れ出す

その上でどうしようもねぇのは覆いをかけて、少し合わせるに忍びないのは別人格用の化粧品借りて死に化粧を施す

村に戻り、手伝いを頼む

連れて帰ってきたらここの埋葬の流儀に合わせ必要な物を集めてくる

早めに対処しねぇと、この地に疫病が流行るからな

これで死者の眠りを妨げた事の償いになるとは思わんが、今を生きる者達にとっての救いにはなるだろう

祈るのは全てが終わってからだ

あまり、必要な所以外は喋らんがアドリブは歓迎だ


フェム・ポー
(魔力を編んで小さな妖精の修道女姿に戻り)
失われたものはぁ、戻ってはこないけどぉ。
まずはぁ、失われてしまった人たちへのぉ、
お祈りをしなくてはねぇ?
正しき本当の主の下でぇ、その魂の安寧を祈りましょぉ。

(そして、残された子供たちへと目をやって)
(あの子達には頼れる大人も無く、これからもたくさんの痛みと、苦しみと、悲しみが待ち受けている。それでも、『人』であるなら、それと向き合って生きていかなくてはいけない。今はまだ、ワタシの『救済』は必要ない……でも、もしも、それらと向き合うことが出来なくなってしまったら、その時は……)
……今はただぁ、あなた達の安寧を祈ってぇ、お歌を歌いましょぉ。



 子供達のすすりなく声があちらこちらから聞こえる。
 それはこれから2度目の別れが始まろうとしているからであった。
「…………」
 やるせない思いを胸に抱きながら、夜野は子供達の背を見つめる。
 子供達の了承を得て、館に残っていた死者達を村へと連れて帰ってきたのだが、その多くは戦闘で大きく傷ついていたり、ラグナソピアの酷使や木乃伊化していたせいで元の風貌が分からなかったり――子供達に会わせることのできる遺骸はごく一部であった。
 それでもまだ一部の者にはせめて死化粧を施し、対面させてやることも出来た。
 自分達に出来ることはすべてやった。それは頭では理解できている。
 だがもしも。
 もしも。
 そう考えてしまう自分が居ることにいら立ちを感じる。
 何もできていなかったのじゃないかだなんて、そんな馬鹿なことすら脳裏をよぎる。
 避けえぬ悲劇を救うことなど、神ならぬ身では叶うはずもない。
 ……皮肉にも今回の事件の加害者は神を自称するものであった。神の身であったとしても、代償なしには村一つ救うことすらできなかったともいえる。
 身元を判別できず、誰かわからぬ遺骸は村の外れの墓地横で火葬されることとなっている。
 次々に燃えていく遺骸を見つめ、嗚咽を漏らす少年の頭を撫でる。
 記憶が確かであれば、この少年の親はもう身元が分からず、最後の別れすらも出来なかったはずだ。
「フン、どいつも辛気臭い顔をしおって……」
「おい、そういう言い方は」
 イデアールの物言いに夜野は子供をかばう様にしながら噛みつくように咎める。
 だがイデアールはそれを視線で一蹴し、自らの召喚した修道女達を使役し、火の消えた遺骨を墓へと運ばせていく。呼び出されたのは淫欲という罪と業に塗れた者達ではあったが、手慣れた様子で次から次へと骨を埋葬していく。
「別れとはキッカケだ。いつまでも惜しむものではない。……この村の現状、わからぬとは言わさん」
「…………それは」
 子供だけが残されたこの村で、子供達がこの先も生きていけるかどうかは、子供達次第である。いつまでも悲しんでいる暇など、この子達には残されていないのである。
「簡易ではあるが結界ははった。だがそれだけでは足りんだろうよ。ガキ共が生き延びるには、キッカケと運に恵まれねばならん。……かつての私のように」
 泣く子供の前にしゃがみ、イデアールは子供に視線を合わせる。
 涙の溜まった瞳を、赤い瞳が射貫く。
「運をつかみ取るのは、自分の力だ。運を手繰り寄せるだけの力をつけろ」
 それだけを言い残し、イデアールはそっとその場を去っていく。
「契約は果たした、死者達よ。全ての無念と苦痛から解放され、静かに眠るがいい。そして――」
 小さく笑みを浮かべたイデアールは、誰にも聞き咎めぬような声で何事かを呟くのだった。
「なあ、兄ちゃん」
「どうした?」
 まだ小さくしゃくりあげながら、少年は夜野を見上げる。そこには小さな光が宿っており。
「俺……頑張るよ。友達と、力合わせてさ」
「そっか、そうだな」
「兄ちゃんだろ? 皆のこと、連れて帰ってきてくれたのさ」
「…………ああ」
「ありがとな」
 掠れるような小さな声で礼を告げた少年は、そういって埋葬されていく墓の方へと走っていった。
「ああ……くそ――」
 その言葉だけで、少し心が晴れている自分に呆れと気恥ずかしさを感じる。
 ……何もできていなかったわけじゃなかった。
 それを少年が教えてくれた。
 だから、自分が祈りをささげるのにはまだ早い。
 それは全てが終わってからでも遅くはない。
「さぁ、みんなぁ……手をあわせてぇ」
 埋葬された墓の前で、フェムが集まっていた子供達に祈りを促す。
「……何に祈ればいいの?」
「主の下へ、よぉ」
「でも、神ってあいつじゃないか……!」
 歯を噛みしめ怒りに震える子供の頭を、フェムは小さな小さな手で撫でる。
「違うわぁ」
 子供達にとって、神とは自分達を虐げ管理するだけの存在であった。それでは祈りをささげる先など、あろうはずもない。
「祈りはぁ……本当の主の下と、失われてしまった人たちへと、捧げましょぉ」
 虐げる神ではなく、優しく受け入れ庇護してくれる神へと、死者が至れるように――。
「魂の安寧を、ねぇ」
 この子達にとって、もはや頼れるものなどない。
 自分達も元の世界へと戻らなければならない。
 だからこそ、悲しみと向き合うための術を知らなくてはならない。
 潰れてしまわぬように。
 フェムが『救済』しなくてはならぬように。
「心はきっと、届くわぁ……さぁ、お歌を歌いましょぉ」
「私……歌なんて知らない……」
「大丈夫よぉ。フェムが教えてあげるわぁ」
 一小節ずつ、フェムは子供達が真似できるように歌を口ずさむ。それは次第に子供達の拙くも真摯な歌声に塗り替えられていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒川・闇慈
「私はそう宗教に熱心ではありませんが……神ではなく死者達へ祈るとしましょう」

【行動】
wizで行動。
静かに亡くなった人々の冥福を祈りましょうか。死者に供える花の一つも摘んでおきましょう。本職ではありませんし、念仏や聖句は他の方に任せます。
まあ、残った村の子供達に一声かけるくらいはいいでしょう。
「どうぞあなた達は健やかにお過ごしなさい。それが、逝ってしまった大人達の願いでしょうから」


「私は魔術の徒ですし、死霊も使役しますが……無辜の人々に手はかけませんとも。オブリビオンというのは美学に欠けていますねえ」
今くらいは、笑うのを自重しておきます。

【アドリブ・組み合わせ歓迎】


アリア・ティアラリード
遠くで鳴る鐘の音を聞きながら
猟兵達から報告を受けて泣き崩れる子供達の姿を遠くから見るアリア
どうする事もできない、どうする事もできなかった
神を僭称するオブリビオンを倒した事により、被害を拡散することは防げても
子供達の親を、知人を連れて帰ることは出来なかったのだから

村の隅で花を摘む。一つ、二つと摘んでいき、小さな花束を作ると
出来たばかりの犠牲者達の墓に備えて
ふいに吹いた風が、アリアの金髪を舞い上げる

自分の無力さと悔しさ
村人や子供達への申し訳なさ
そして袂を分けた、暗黒面に堕ちた父親への憤りが

「もうこれ以上…繰り返させません……」

溢れた涙が花びらと共に、淀んだ空へ舞っていった。
【WIZ 連携歓迎】


浅葱・シアラ
……鐘は、鳴り続けるんだね……。
この鐘は誰がための鐘かな……。
わからないけど……シアたちにできること、きっと、あるはずだよね……。


【WIZ】で判定
使うユーベルコードは「紫光蝶」

静かに【祈り】を捧げるよ……
亡くなった命は、魂は……戻ってこない、から……
だから涙を流してしまっても、悲しくなっても、前に進むために……
死んでしまった人達のためまで、生きるために……

紫光蝶を呼び出して、一緒に祈りを捧げるよ
きっと、この紫色の光も蝶も……死者を安らかな眠りに、天国に、導いてくれるはずだから……。



 別れと鎮魂の歌を歌う子供達を眺めていたアリアは、村人達の埋葬された墓へと小さな花束を供える。
 店に売っているような華美なものではなく、村はずれの野草を集めてきた素朴なものではあったが、それが今アリアの出来る精一杯の手向けであった。
「これも共に供えてもらっても?」
「……ええ」
 そこに小さな花を数輪手にした闇慈が、アリアの供えた花の隣に自らも花を置く。
「何も、聞かないのですね」
「今は死者達へ祈りをささげる時間ですから」
 共に戦った仲間である。アリアがラグナソピアが村人達に使ったものと関係していることは、既に闇慈も知っているだろう。
 けれど闇慈はそれに追及することもなく、ただ静かに祈りを捧げている。
「私は、自分の無力さが悔しいです」
 だからこそ、アリアは返答を期待することなく独白する。
 事件の遠因となってしまった父への怒りを。
 犠牲となった村人や、その子供達への申し訳なさを。
 なによりも、止めることのできなかった自らの力の無さを。
「もう、これ以上……繰り返させません……」
 血を吐くような思いで、アリアの瞳から一筋の涙が流れる。
「私はね」
 いつの間にか祈りを終えていた闇慈が、村人達の眠る墓をただ見つめながら静かに口を開く。そんな闇慈に、アリアは涙に濡れる瞳を向ける。
「魔術の徒です。探究者、とも言うべきでしょうか。その道程には幾つもの道があり、それこそ今回のような手法もある。戦いで使役したように死霊を使うことだって、ね。けれど――」
 また新たな墓穴が掘られ、そこに何人分もの骨が埋められていく。一人一人を丁寧に埋葬していくような余裕など、この村にはありはしなかった。
「無辜の人々に手はかけませんとも。例えその手段を手に入れたとしてもね。手段があるのと、それを使うこと、それは違うでしょう?」
「…………」
「ラグナソピアが如何様にしてあの技術を得たのかはわかりません。ですが、その技術を悪用すると決めたのはラグナソピアです」
 新たな墓の前でまた、子供達が泣いている。闇慈は怖がらせぬよう静かに子供達のもとへと歩いて行く。
「慰めて、くださっているのかしら?」
「さぁ、どうとっていただいても――ですが、ええ」
 膝を折り、闇慈は子供達の頭を優しく撫でる。
「どうぞ、あなた達は健やかにお過ごしなさい。それが、逝ってしまった大人達の願いでしょうから」
 語るべきことは語ったと、闇慈は墓地から去っていく。
 ――ガロン。ガロン。鐘が鳴る。
「……あっ。すごい、蝶が――」
 鐘に合わせるように墓地を紫に輝く蝶が一斉に飛び回り、そして空へと舞い消えていく。
 死者の魂をそっと連れていくように、蝶の群れは優しい光の鱗粉を残して空へ、空へ。
 まるでその蝶に導かれるように、アリアの流した涙もいつしか消えていた。
「蝶、綺麗……」
「ひうっ……良かった……」
 呼び出した蝶の群れを操りながら、幾人かの子供達が空を見上げ泣くことを忘れていることに、シアラは安堵する。
 ――ガロン。ガロン。鐘が鳴る。
 だからこそ少しでも見るものの心が安らぐようにと、祈りを込めてシアラはより多くの蝶達を手繰る。鐘の音色に合わせるように。
 亡くなった人々はもう戻ってくることはない。その悲しみが癒えるまでには、長い長い時間が必要だろう。
 けれど前に進まなくてはいけない。下を見るのではなく、上を向いて歩いて行かなければならないのだ。
 その指標になることが出来ればいいと、シアラは思う。
「ねぇ、キミ」
「ひぅっ……! な、何?」
「あ、ご、ごめん。脅かそうと思ったんじゃないんだ」
 歳の頃合いは同じぐらいだろうか。突然少年からかけられた声に、シアラは驚き思わず木陰へと身を隠してしまう。
 少年は少しばつの悪いような表情を浮かべ、シアラもまた少し気まずそうに曖昧な笑みを浮かべる。
「あの蝶、とっても綺麗だよね」
「う……うん」
「キミの羽と同じ紫の翅」
 少年はそう言って今も空を舞う紫光蝶の群れを仰ぎ見る。シアラもまた、釣られるように空へと視線をやる。
「きっと父さんや、母さんも、あの蝶達が連れていってくれるよね」
「…………」
「あの、さ」
 少年自身は、シアラがあの蝶達を操っていると気づいていたわけではないだろう。
 だがそれでも、同じ紫の羽を持つシアラに自らの思いを託したかったのかもしれない。
「キミに言ってもしょうがないのかもしれない。でも――父さんと母さんを、よろしく」
「……うん」
 シアラは小さく頷き、少年の思いを受け取る。
 本当に魂を導けるのかはわからない。気休めでしかないのかもしれない。
 それでも、本当にそうだったらいいなと、そう思いを込め更に蝶達を呼び出していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
…ハァ、人を励ますってのは苦手なんだがな。とはいえ、倒しましたはい終わりじゃ後味も悪いしなぁ。しゃーねえ…やってはみるか。

死はある意味、希望だ。誰かの犠牲で、これまでアンタ達は生活を保障されてきた。そして今回も、失うものは多かったけどよ…アンタらは生きてる。
死んでいった者達が残してくれた希望だ。

だから、死をひとしきり悲しんだら、未来の話をしようや。決して無駄にするな。死者の残した意志を活かせ。悔いて、また未来に歩き出せるのは…生きてる人間にしかできない、特権なんだぜ。

…なんて、説教臭くなったな。あーやめやめ、こんなんガラじゃねーや。
おら、さっきの戦いの負傷者いるか?治療してやっから診せてみろよ


シェルツァ・アースハーバード
もうこの村は恐怖に怯える必要はないでしょう。
ですが、どうしても失った人達の命は帰ってこないものです。

私に出来るのは、その人達が安らかに祈る事だけ。
村の為とはいえあんな望まない事をされて。
意識が無かっただけ幸いだったかもしれませんが……私達は。
変わり果ててしまったとはいえ、斬ってしまったのですから。
村は守りました。どうか。安らかに。

元気の無い子供達に、私の持ち物であるホシイモの醤油バター焼きでもあげてみましょうか。
美味しいものを食べて、ほんの少しでも元気が出れば良いのですが。
辛い顔を見ると、私も辛いので。



 空を行く蝶の群れを眺めていたシェルツァは、少し思い悩む様に自らの手へと視線を落とす。
「ふぅ……やりきれませんね」
 手に残る肉を断つ感覚。
 脳裏に焼き付いた最後まで笑みを浮かべた村人達の顔。
 正常な意識を奪われていたとはいえ、村人達に最後の止めを刺したのは自分達だ。
 あんな状態であったとはいえ、生きている村人達を――殺したのだ。
「せめて、どうか安らかにと願うのは傲慢でしょうか」
「……ハァ。慰める側がしょぼくれてんじゃねぇよ」
 辛気臭い顔をするな、とヴィクティムはシェルツァの顔を呆れたように見下ろす。
「いいか。そこのガキ共も聞いとけ。……死ってのはある意味、希望だ。誰かの犠牲でこの村は……これまでのアンタ達は生活を保障されてきた」
 犠牲、という言葉にシェルツァは身を固くする。
「失うものは多かったけどよ、今アンタらは生きてる。それは死んでいった者達が残してくれた希望だ」
「けれど、村人達を死なせたのは――」
「勘違いしてんじゃねぇ!」
 シェルツァの自責の言葉をヴィクティムは一喝する。そこから先を言わせるものかと。
「もう助けることは出来ねぇってのは、誰もが分かってんだろうが! 誰かがやらなきゃならなかったことをやったんだ。自分で死ぬことも出来ずに、望まねぇことをやらされてた連中に、死っていう希望を与えてやれたんだろうが!」
 シェルツァは思い出す。領主の館の庭で、最初に交戦した下僕の最後の言葉を。
 殺してくれという、悲痛な願いを。
「落ち込むなとは言わねぇ。悲しむなとも言わねぇ。だがその死をひとしきり悲しんだら、未来の話をしようや。死んでいったやつらが最後に残していった希望を、無駄にするな」
 そこまで言い終えると、ヴィクティムは今更ながらに居心地悪そうに頭をかきながら、周囲を見渡す。そして柄でもない自分の台詞を思い返しながら、誤魔化すように『怪我人を治療してくる』とその場から去っていく。
「はぁ……年下の子にああまで言われると、別の意味でへこんでしまいますね」
 だが、そうだ。いつまでも振り返っていても仕方がないのだ。
 だから、未来を見よう。
 大きく深呼吸をし、気分を切り替える。そうすればやるべきことが浮かんでくる。
 まずは――。
「お腹が空いては元気も出ませんね。どうです? ホシイモの醤油バター焼き、食べますか?」
 荷物を下ろし、その中から取り出すのは愛用している携帯食料である。冷めていても美味しく、いつも持ち歩いている食べ物の包みを子供達に配っていく。
 そして安心させるように自分がまずひと齧り。
「うん。甘くて、香ばしくて……元気の出る味です」
 シェルツァの笑みにつられるように、子供達がホシイモにかぶりつく。まだすぐに元気にとはいかないかもしれない。けれどこうして、未来へと歩き出すことはできる。
 その一歩になることが出来ればいいと、口いっぱいにホシイモを頬張る子供達を見ながらシェルツァは思うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

イサナ・ノーマンズランド
POWにて

【物を隠す】技術を応用するように死者の埋葬を手伝った後、領主の館を爆薬などで【破壊工作】して景気よく【吹き飛ばし】、せめてもの弔いの花火と、空に向けての弔銃を捧げる。

「……あんまり役には立てなかったし」
「うまいなぐさめの言葉もおもいうかばないけど」
「まもりたかったら、たたかえ……なんてあんちょくには言えないし」
「それでも、あきらめないでほしいんだ。ごうまんな物言いかもしれないけど」
「……せめて、オブリビオンを一匹でも多く、倒すから。壊すことしか知らない、わたしでもそれぐらいはできるんだ」

アドリブ歓迎です。



 そして村人達の遺骸を全て運び出した領主の館に、イサナは一人戻ってきていた。
 館の内部には今後子供達の手助けになるようなものも残っておらず、あるのは下僕として大人達が酷使されていたという記憶だけ。
 だからこそ、イサナは最後の作業を行うのだ。
「……あんまり、役に立てなかったし」
 仲間達がいれば、そんなことはないと否定するであろう言葉を呟きながら、イサナは館のあちこちに仕掛けを施していく。
「みんなに、うまいなぐさめの言葉もおもいうかばないけど」
 今はただ一人だからこそ、言葉がどんどんとこぼれ出す。
「それでも、あきらめないでほしいんだ。ごうまんな物言いかもしれないけど」
 村に戻ったときに、自身と同じぐらいの子供達に伝えたい言葉がある。それを少しずつ吟味しながら、イサナはそっと館を後にする。
 嫌な記憶を忘れられるように。歩き去るイサナの背後で、館が爆音と共に崩壊していく。仕掛けられた爆薬が次から次に誘爆するように炸裂し、惨劇の行われていた舞台は見る影もなく潰えていく。
 そしてそれを合図に、イサナは最後にハンドガンを空へ向け構える。
 中には火薬だけが詰まった弾丸がこめられている。
 ――引き金を引くのは3度。
 短い炸裂音が、タァン、タァン、タァンと響き、それを弔いとする。
「……せめて、これからもオブリビオンを一匹でも多く、倒すから」
 だから安らかに眠れと、イサナはようやく安らかな眠りにつくことが出来たであろう、亡き者達に告げる。
 そしてイサナは自然と早足で、村へと帰っていく。
 拙くとも、自分の言葉を伝えたい。
 歳の近い自分だからこそ、わかることもある。
 その思いを、未来に進みだした子供達へ。

 ――ガロン。ガロン。鐘が鳴る。
 村中に鳴り響く鐘の音。遠くからは建物の崩れる音と、小さな破裂音が3度。 
 暫くして駆けてくる子供の姿。
 ――ガロン。ガロン。鐘が鳴る。
 もうこの鐘は絶望を呼ぶ鐘ではない。
 新たな未来に進みだしたことを、知らせる音色。
 ――ガロン。ガロン。鐘が鳴る。
 この先には多くの困難があるだろう。
 けれどそれと同じだけの、幸せもあるはずだ。
 ――ガロン。ガロン。鐘が鳴る。
 この村に希望よ、あれ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月28日
宿敵 『繁栄の代行者・ラグナソピア』 を撃破!


挿絵イラスト