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何がバレンタインだ!俺を喰え!!

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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●大鍋前
「ぐっ……俺の負けだ」
 一人のキマイラが膝をつき、手にした器を落とす。その正面に立つハート型の頭を持つ怪人は高笑いを上げる。
「私の勝ちだな、一杯も食べられないとは情けない奴よ」
「……いや、なんかクリームでグッチャグチャだったし杯の数ならアンタも同じくら」
 無駄に勝ち誇る怪人に一言突っ込もうとした瞬間、ベチャリとキマイラの足元から水音がなった。何か落としたかと視線を音の方に向けた瞬間、ヒッとその口から恐怖の声が漏れた。
「まだ、喰えるだろう……?」
「喰ってくれよぉ……」
「喰え……喰えよおぉぉ!!」
 それは鍋から這い出てきた白濁の怪人。彼らはすがり付くようにキマイラの足元に群がると、悲鳴を上げながら逃げようとする彼をそのまま鍋の中に引きずり込んでいった。

●グリモアベース
「もし私が食べ物だったら、気持ちはわからなくないけど……」
 どこか困惑した様子を見せながら、アンノット・リアルハート(忘国虚肯のお姫さま・f00851)は猟兵達に予知した事件を語り始める。
「キマイラフューチャーで怪人がおかしなブームを起こそうとしていてね。貴方達には首謀者であるハートブレイク・チョコレート怪人を倒して、事態の収束をお願いしたいの」
 怪人が流行させようとしているのは闇鍋、自分以外には不明な材料を複数人で持ち寄り暗中で調理して食べるという、パーティー的な食事だが……。
「ここに怪人達が変なアレンジを加えてね……プールみたいな大きい鍋を用意して互いに中に入った食材を食べ続ける、そして先に食べられなくなった方の負けっていう勝負要素が入ったの」
 食材は見ている観客が投げ込む形になっており、鍋が空になって引き分けになることはない。観客も参加できるエンターテイメントということで徐々に人気は広がっているらしいが……。
「これ事態の良し悪しはさておき。問題はね、この鍋の中に怪人が入ってるの」
 鍋の中にはチョコレート怪人の配下である売れ残ったクリスマスのケーキ怪人達がばれないように泳いでおり、食材を生クリームで台無しにするばかりか、自分を食べてもらおうと勝負に負けた住民を鍋の中に引きずり込んでいるらしい。
「鍋に引きずり込まれた住人がどうなってるかは不明、少なくとも中にそのまま居るっていうわけじゃないみたい。よって鍋を壊したり、無理矢理怪人を問い詰めるのは危険ね。そこで貴方達にはまず、怪人と接触するために鍋勝負に参加してほしいの」
 そう言いながらアンノットは一枚の地図……ではなく、サイケな色合いをしたポスターを広げる。
 それは現闇鍋チャンピオンとして君臨しているチョコレート怪人に挑戦しよう、という内容のイベントポスター。ここで一気にブームを広げながら被害者を増やすつもりなのだろう。
「鍋の中は怪人のクリームはもちろん、住民達の食材もあって混沌そのものと言っても過言ではないわ。その条件の中で勝つ方法は三つ」
 一つ目は正々堂々正面から勝負を挑む。しかし混沌渦巻く闇鍋の中身は並大抵の食欲では太刀打ちできないだろう、強靭な精神力か胃袋の強さが必要になる
 二つ目は食材を食べられるようにするワザを編み出す、食べ進めるのを有利になる情報を掴むこと。鍋から取り出した食材の再調理は禁止されていない、また意外な食べ合わせが食欲を増進させてくれる可能性もある、その情報を探るのもありだろう。
 三つ目は勝負自体をうやむやにすること、口車を使って戦わずして相手に敗北を認めさせるのだ。しかし相手は怪人、信念を曲げさせるのは簡単にはいかないだろう。
「食べられなかった食材の起こした事件……思うところはあるけど、看過することはできないわ。その怨念を断ち切ってきて!」


マウス富士山
●オープニングを見ていただきありがとうございます。今回マスターを努めさせていただきます、マウス富士山と申します。
 今回はキマイラフューチャー世界。なんだか大変なことになってますが、まずは鍋バトルだ!
 今回のシナリオの最終目標は「チョコレート怪人の撃破」その前段階として「闇(鍋)のバトルを勝利する」というのが第一目標になっています。

 ブームを止め、怪人の計画を食らい付くしてください!
 住民は怪人を倒せば帰ってきます
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第1章 冒険 『闇(鍋)のバトル』

POW   :    勝負を正面から受けて立つ

SPD   :    ワザを編み出す、有利になる情報を掴む

WIZ   :    知恵や口車で勝負自体をうやむやにする

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミーファ・ミーファ
いっぱいの鍋に、いっぱいの食べ物…まさに夢のような世界なのら~。
と、いうわけでミーちゃんは怪人に真っ向から勝負を挑むのら~。てか、鍋の中の物は自由に食べていいんらよね~?!片っ端から食べるのら~(変な食べ物やおいしくない物を食べれば、それなりに文句を言います。言いますが食べるのは止めません。『食べる事』が大好きなので)


大神・狼煙
とりあえず怪人、テメーは終わったらチョコフォンデュの刑だ


食材を無残な姿にした怪人に殺意を抱きつつ、用意するのは小鍋と野外調理キット

鍋の中身を小鍋に移したらオイスターソース、チキンブイヨン、コンソメ、ホワイトソースを加えて煮込む

沸騰する前に火を弱めて軽く黒胡椒を振り、かき混ぜればクリーム煮の完成


生クリームが鍋を残念にするのなら、それを逆手にとってクリームすら飲み込んだ料理にするしかないじゃない!

大抵の味はこれでごまかせるはず


問題は食材の方

何が投げ込まれているか分からないが、食べ物であればクリーム煮で対応

食べられない物が出てきたら怪人に押し付けて

「お前チャンピオンなんだろ?手本として食えよ」



「わぁ~!いっぱいの鍋に、いっぱいの食べ物…まさに夢のような世界なのら~」
「おっとお嬢さん気を付けて、中には怪人が潜んでいるらしいので」
 キラキラした瞳で巨大な土鍋を見つめるミーファ・ミーファ(大食い妖精・f04191)と、そんな彼女を朗らかな瞳で見つめる大神・狼煙(コーヒー味・f06108)。二人は多くの歓声に見守られながら、チョコレート怪人と相対する。
「……タッグマッチだ、まさか断るとは言わないよな?」
「くくっ、無論だ」
 眼鏡のブリッジを押し上げ睨む狼煙に対し、チョコレート怪人は不敵な笑いを返す。その隣にはいつの間にかケーキ怪人が鎮座している。
 一触即発の空気の中、戦いの火蓋が切って落とされた。

「いっただっきま~す」
 鍋の中身を山盛りに持ったミーファは、頂点にあるマンガ肉から勢いよくかぶり付く。フェアリーの小さな体躯からすると食材一つでも並みの大盛り料理を越えるサイズだが、そんなことお構い無しに彼女は次々と食べ進めていく。
「うーん、ちょっと変な味?でもこれくらいならぜんぜんイケるのら」
 鍋の中は何やら溶けた生クリームやらスポンジケーキやらが浮かんでおり、ミーファが盛った食材にもそれらはしっかり纏わりついているのだが、彼女は特に気にしていない様子で口の端についたクリームを舐めとる。
 そんな様子を何故か恍惚とした表情で見つめていた狼煙だったが、ハッと我に返ると素早く野外調理キットを広げ、持参した小鍋に鍋の中身を一部移した。生クリームが食材をダメにするなら、それを逆手にとった調理をすれば良い。
 小鍋に各種調味料を加え再び煮込み、黒胡椒を始めとしたスパイスを入れてクリーム特有の匂いを打ち消す。後はそれを丁寧に混ぜれば、狼煙特性クリーム煮の完成だ。
「わぁ~美味しそう!少し食べてもいい?」
「おっとミーファさん。ええ、構いませんよ」
 自分の料理を美味しそうに食べるミーファを尊いものを見る目で眺めつつ、狼煙は再び鍋の中身を掬い上げる。
 ゴロリと、両手で抱き抱えるようなサイズの巨大なサンタのマジパンが出てきた。
 ちらりと横目で相手の方を見ると、ない。確かにケーキ怪人の頭にあったはずのサンタが、消滅している。つまりこの目の前にあるものは……。
「チャンピオン、異物混入してるぞ」
「いーやー?それは食べられる食材だなぁ?喰えないならお前の敗けだぞぉ?」
 挑発するチョコレート怪人の前に、同じサイズのトナカイのマジパンがゴトリと置かれる。
「…………」
 見ている。随分と頭の寂しくなったケーキ怪人が、右目と左目を別々に動かして狼煙とチョコレート怪人を同時に見ている。

「ちょっと固いけど、食べられなくはないのら」
 クリスマスケー、という書きかけのダイイングメッセージを残して倒れ伏す二人の隣で、ミーファは巨大なマジパンを黙々と食べ続けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

六道銭・千里
零、シャオと連携

零が相手から賛同を得たら
UCにてUDC影鰐を召喚(可能なら村雨、一反木綿も)
よし、しばらく分の食費は浮かせられるな

賛同したんはそっちやからな否とは言わせへんで
俺自身は食べれそうなものを少し、それ以外をUDC達に食べて貰うわ

っても生クリームはやっぱキツイから
シャオに押し付けるわ。いっぱい食べて大きくなり…

●影鰐&一反木綿
言葉なし

村雨
一人称-わし 二人称-呼び捨て ~のう等お婆ちゃん口調


天星・零
シャオさん、千里さんと参加

『複数参加は見た所大丈夫なようですね。では、複数参加でもよろしいでしょうか?』

一礼して、微笑みを崩さず

相手の賛同次第UC発動
ディミオスに敵を見下ろす巨躯を活かして食べて貰う

可能なら他UC発動ウェビル、アッシュも参戦

『誰も複数「人」なんて言ってませんよ?貴方は賛同しましたよね?』

ディミオスはシャオが観客に見えない位置に立つ

食べられないものはオブリビオンへ

ディミオスの口調
私+貴様、お前、零のことは名前で-だ、だよな、だろう?と女王様らしい喋り方

ウェビル
一人称、二人称、語尾常に変わるのでお任せ

アッシュ
アッシュ+貴様、お前(零だけは名前)-だ、だにゃ、だぞ。『な』の発音がにゃ


シャオ・フィルナート
零、千里と連携
呼び方→苗字+さん

零が敵の言質を取り次第
★蒼笛で動物達を呼び出し
更にUC発動
ご飯だって…一緒に、食べよう…?
動物は友達と言い張る

隙を見て右目を★死星眼に覚醒させ
敵に【催眠】でちゃんと食べてる幻覚を見せる
実際は極度の少食のため
ディミオスの影になるように動物達と並び
誤魔化すために適度にもぐもぐしつつ
美味しい、害のないものは殆どを動物達やライオンへ

好きなもの…分担して、ね
ほら、お魚あるよ…

生クリームが毒になる子には注意して
自分やUCが食べる食材の上にクリームを落としてからあげる

クリームならそう満腹にはならないしね…

※味に無関心
不味い物、ゲテモノ系は積極的に引き受ける
(触手すら食べる子)



「ま、まさかの裏切りにあったが……この程度で倒れはしない!次の挑戦者はいるか!?」
「では、再び複数参加でもよろしいでしょうか?」
 立ち上がったチョコレート怪人に対し、にこやかな笑顔を向けながら天星・零(多重人格の霊園の管理人・f02413)が六道銭・千里(六道陰陽師・f05038)とシャオ・フィルナート(悪魔に魅入られし者・f00507)の二人の仲間と共に立ちはだかる。
「いいだろう、ただしこちらも二人増援を入れるぞ」
「まあ、そらそうやろうなあ……シャオもそれでええよな?」
「……ああ、文句はない」
 頷くシャオとその頭を期待してるで、とワシワシ撫でる千里の二人を見つつ、零はチョコレート怪人に向き直る。
「こちらの士気は充分ですが、そちらは大丈夫ですか?」
「ふん、子供が……あまり舐めるなよ」
 静かに火花を散らしながら、鍋バトルの火蓋が切って落とされた。

(ふん、数で攻めれば勝てると思ったか……)
 巨大な鍋へと向かう三人を見ながら、チョコレート怪人はほくそ笑む。先程は不覚をとったが、正面からあの闇鍋と相対した場合甘ったるい生クリームと出汁の不協和音が最大の難関となる。
 見たところ調理セットの類いは持っていない、一口食べればたちまち食欲が……。
「おいで、僕のお友達。首狩りの女王が求めるのは汝の首と血なり……」
 突然会場に響いた零の詠唱に怪人が首を傾げると同時に、巨大な人型が鍋の前に降臨する。
「……このような低俗な場に私を呼び出すとは」
「まあまあディミオス、人助けだと思って」
 零の言葉に首狩りの女王ディミオスはふん、と鼻を鳴らすと迷いなく鍋の中に手を突っ込み豪快に食材を口の中に流し込んでいく。さながら怪獣映画のような光景に観客達も大盛り上がりだ。
「待て待て待て!それは反則だろう!?」
「反則じゃない……俺達はちゃんと食べている……」
「いや、さすがにそれは無理があ」
「俺達は、ちゃんと、食べている……」
 怪人が文句を付けようとした瞬間、シャオの右目が金色に輝く。その視線を正面から受けた怪人はそうかな……そうかも……と言いながらフラフラと自分の席に戻っていった。
「先にムチャクチャやったのは向こうやからなあ。こんくらいのことに否とは言わせへんで」
 ユーベルコード隠形で召喚した影鰐に鍋の具材を流し込みながら、千里はやれやれと息を吐く。鍋の中身は食べられる食材も多いが、同じような割合でやけに大きいイチゴや巨大なマジパンのサンタやらが混ざっており、無駄に想像力をかき立てられる。
「シャオさん、お友達の分取っておきましたよ」
「うん……ありがとう……天星さん」
 零からいくつかの器を受け取ったシャオは、それをディミオスの影に置くと懐から銀色の篠笛を取り出す。
「皆、ご飯だって……一緒に、食べよう……?」
 笛の音色が会場に鳴り響くとどこからともかく動物達が集まり、同時に召喚した黄金のライオンを含めたシャオの友達も食事に加わる。
「おっと、これは食べられませんね。千里さんお願いします」
「これ……見たことない食材……六道銭さんお願い」
「おお来い来い!食費が浮くから大助かりや!」
 もはや鍋バトルではなく、ただの闇鍋パーティーに近い状態だが、鍋を囲む三人の回りには暖かな雰囲気が満ち溢れていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アポリー・ウィートフィールド
闇鍋か。食べ物を玩具にするようで我としてはあまり好ましくない文化ではあるが……怪人の狼藉を止めるためなら致し方ない。我が食欲が正面から受け止めてみせよう。
というわけで基本的には出たものをそのまま食べる、ただひたすらに食べる。強いて言うならば、できるだけ巨大な食材を狙う。あわよくばクリスマスケーキ怪人そのものを引き揚げ、そのまま喰らうことを狙ってな。
ハズレでも構わんが、食材が巨大ならその分味が中まで浸透してないであろうから、多少はマシな味のはずだ。どのみち、我に好き嫌いなどないがな。



「失礼。ポスターを見て挑戦に来たのだが、よろしいだろうか?」
 ハッとチョコレート怪人が我に帰ると、そこには黒いボディに真っ赤な目をしたキマイラアポリー・ウィートフィールド(暴食のイナゴ男・f03529)が佇んでいた。
「ほう、たった一人で挑んでくるとは舐められたものだ……仲間を呼んでもいいんだぞぉ?」
「構わん、挑ませてもらおう」
 ここに来て一対一の真剣勝負、二人の間だけでなく会場全体にも緊張が走る。立て続けの勝負で枯渇した食材を補充し、静かに煮込まれていた鍋の蓋が湯気を立てて開いた瞬間、二人のフードファイターは同時に動き出した。
「ぬんっ!」
 アポリーが鍋から掬い上げたのはカボチャ、重さ1190キログラム、大柄なアポリーとほぼ同じ大きさというビッグサイズ!皮が厚すぎて食えないんじゃないのか、そもそも食用なのかソレなど疑問が浮かぶが、蝗の戦士はなんの迷いも躊躇もなくカボチャにかぶり付いた。
 カボチャを抱えたまま直接かじりつく豪快な食べ方。しかし黄色い実や種、それらを包む皮の一欠片も口から漏れることはなく、全て胃の中へと吸収されていく。食べ物の一片も無駄にしない、大食漢なりの礼儀を持った食べ方だ。
 その姿に観客達は大盛上がりを見せるが、チョコレート怪人は不敵な笑みを浮かべていた。
(バカめ、その中にはケーキ怪人が隠れている……あいつらの妨害を受けて倒れるといい!)
 クククと怪人が悪い笑顔を浮かべる先でアポリーはカボチャを食べ続け、みるみる内に巨大なカボチャは彼の中に納められていく。そして最後の一欠片を食べると、彼は観客席に向けて両手を掲げ自らの健在をアピールした。
「……あれ?」
 居たよね?確かあの中に怪人が居たよね?頭上にはてなマークを浮かべる怪人だったが、その前に立ったアポリーは口の端に付いた真っ白なクリームを拭いながら彼に宣言した。
「先程から箸が進んでいないようだが、限界か?」
 小細工は通用しない、正面からの真っ向勝負。食うものである蝗と食われるものであるチョコレート、ぶつかり合えばどちらが勝利するかは言うまでもない。
 キマイラ達の歓声が飛び交う中、新たな闇鍋チャンピオンがここに誕生した。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『売れ残ったクリスマスのケーキ怪人』

POW   :    恨みのローソク
【ケーキの飾りのロウソク 】が命中した対象を燃やす。放たれた【赤い】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    ふかふかボディ
自身の肉体を【スポンジケーキ 】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    生クリームブラスト
【両掌 】から【生クリーム】を放ち、【ベトベト感】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「お、おのれ貴様ら……」
 限界まで膨らんだ腹を重そう支えながら立ち上がったチョコレート怪人は怒りで更にひび割れを大きくすると、左手を高々と掲げる。
「来い、ケーキ共!こいつらはお前たちを食べてくれるぞ!」
 その掛け声とともに指を鳴らすと、鍋の中から無数の売れ残ったクリスマスのケーキ怪人が沸き出してくる。鍋で煮込まれた少しだけとろけた彼らの姿はさながらゾンビの大軍のようなありさまだ。
「俺たちを食べてくれるのか……?」
「頼む、食ってくれぇ……」
「食えよぉぉ!!」
 ゾンビが動く死体ならば、この場にいる彼らも食品としては似たようなものだ。現世に残った怨念を、ここで断ち切れ!
アポリー・ウィートフィールド
さて、前菜は終わり、ここからは鍋のメイン具材、メインディッシュのお出ましというわけだな。良かろう。喰われることが汝らにとっての救済になるならば、我にとってこれほど好ましい相手はいない。我が腹の中で安らかに眠るが良い。
とはいえ我の口は一つ、ケーキは沢山ある。此処は我が分身、【貪食の黒き靄】の蟲達にも馳走するとしよう。蟲で迎撃して包囲されないようにしながら、グルメツール『ブラックジャック』と噛みつきを駆使し、蟲と連携して捕食していくとしよう。


ミーファ・ミーファ
さて、それじゃお言葉に甘えて……いただきますなのら~♪うん、ケーキだから『甘えて』でいいのらよね~?
でも、こいつら、あんまり美味しくなさそうなのらよね~。なんかいろいろ混じってるらし…これはカレーが混じってるのらね~、微妙なのら~。こっちはお饅頭…これはありかな~?他にはどんなのがあるんだろ~?食べるのが楽しみなのら~~。
(と言いながら片端から食べて退治します。美味しくなくても、『美味しくない』と言いながら平気で食べます。肉が混じってればパワーアップします)



「さて、メインディッシュのお出ましというわけだな」
 鍋から溢れるケーキ怪人達を見て、アポリーは腕を鳴らす。戦闘用のナイフとフォークであるグルメツール【ブラックジャック】を持ち、既に臨戦態勢は整っている。
「でも、こいつら、あんまり美味しくなさそうなのらよね~。なんかいろいろ混じってるらし……」
 一方怪人達の姿を見て少しだけ不満そうなミーファの言葉を聞いて、アポリーはゆっくりと首を左右に振る。
「確かに、彼らは恨みのあまり本来の自分を見失ってしまっている。ゆえに喰われることを望み、それが救済となるのならば、我はそれに応えよう」
「ん~?救済とかはよくわからないけど、大丈夫ら!食べることは楽しみなのら~!」
 両手で握り拳を作ってやる気充分と言った様子のミーファを見て小さく頷いた後、アポリーは改めてケーキ怪人達に向き直る。
「全ての生きとし生けるもの、そして全ての食料に感謝の意を!」
「いただきますなのら~♪」
 挨拶と共に、二人の猟兵はケーキ怪人の群れへと飛び込んでいった。

「このスパイシ~な感じは……カレー?ちょっと微妙なのら~」
 そんな事を言いながらも手早く怪人を一体完食したミーファは迫り来る怪人の手をヒラリと躱す、よく見れば口の端にはカレーの具材である豚肉の欠片が。【フードファイト・ワイルドモード】、その効果を受けたミーファは並みの怪人では歯が立たないケーキ怪人の身体に軽々と齧り付いた。
「ん!こっちはお饅頭……これはありかもしれないのら~」
 次々と感想を述べながらケーキ怪人を食べていくミーファを見て、残りの怪人達のローソクに火が灯る。何故あいつは食べられてるのに俺は食べられないのだ!?同じクリスマスケーキなのに!?
 恨みのままに怪人達が飾りのロウソクを引抜きミーファに投げつけようとした瞬間、その身体が黒い霧に包まれた。
「我も彼女も口は一つしか持ち合わせていないのでな。すまないが、彼らに馳走させてもらう」
 霧の正体、それはアポリーの【貪食の黒き靄】によって召喚された異形の蟲の群れ。それに覆われたケーキ怪人達はロウソクも残さず消滅する。その状況を呆然と眺めていた一体のケーキ怪人の前に、ナイフとフォークを構えたアポリーが歩み寄る。
「さあ、我が腹の中で安らかに眠るが良い」
 それは滅びを呼ぶ死神か、迎えに来た天使か。自分でも理解できない涙を流したケーキ怪人は暖かな密室へと飲み込まれていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

天星・零
シャオさん、千里さんと連携




『調理ですか‥そうですねぇ。あっ、それなら折角のパフォーマンスですし‥良い考えがあります』

『超お手軽白い怪人リサイクルクッキング〜(雑)』

夕夜「ちょっと待てぇぇ!!?」

悪ノリしつつクッキング番組のように解説しながら戦う
深層心理内で別人格の夕夜はツッコミ担当


普通のカットサイズに斬り刻む
切るのはUC【首狩り女王の死刑執行】

戦闘には変わりないので万が一のことがないよう【第六感】を働かせ、戦闘においても【フェイント】も入れる

加熱は千里に任せる

『作っては見たもののまだ足りませんね‥何が足りないんでしょ‥』

可能ならちらっとチョコレート怪人の方を見て微笑む

キャラの口調はステシ参照


シャオ・フィルナート
零、千里と連携
呼び方→苗字+さん

ケーキ…溶けてる…
食べ難いし…美味しくなさそう…
調理し直してもいい?
ん……アイスケーキ、とか

まずは…もっと、細かくしなきゃね…
一口サイズと普通のカットサイズ、どっちが好み…?
隙あらば【暗殺】技術の素早さで苺回収

更に★氷麗ノ剣で放出した水とUCで
敵ごと巻き込む巨大な氷の渦潮で足元に器作り
ついでにその縁部分をぐるっと氷の【属性攻撃】で壁状に補強して型のような形に

加熱して溶かし直したら
自作の型が熱で溶けきる前にUCで氷の竜巻を発生させ急速冷凍
…ちょっと、やり過ぎた?
(風で巻き上げられ中に凍って前衛的な感じになるケーキ)

…細かくしようと思ったけど…
このままでもいいかな…


六道銭・千里
シャオ、零と連携

その前にクリスマスから1か月経つけど腐ってへんよなぁ…

シャオの提案に ん?アイスケーキと相槌

その後は零の番組進行に乗る感じでボケる
「アイスケーキとのことやけど、シェフはどういう作り方でいくんや?」
「おぉ!首狩りの女王によって食べやすいサイズに!」

加熱の時は任せえ
霊符に【属性攻撃:炎】で美味しくこんがりジューシーにってな
【誘導弾】で渦を巻く動きでちゃんと全方位から均等にや!



「あのケーキ溶けてる……食べ難いし…美味しくなさそう…調理し直してもいい?」
「調理ですか‥そうですねぇ。あっ、それなら折角のパフォーマンスですし‥良い考えがあります」



「はい、超お手軽白い怪人リサイクルクッキング〜(雑)」
『ちょっと待てぇぇ!!?』
 なんだか向こうの方でシリアスな空気が流れてる一方、こちらは実にキマイラフューチャー的なノリが流れていた。零、千里、シャオ、そして零の中に居るもう一つの人格である夕夜の3.5人は怪人達を前にどこからか取り出したエプロンを身につけて何やら始めるようだ。
「調理の前に腐ってる可能性あるやろ、クリスマスから1か月経ってんね?」
「いや、イケるでしょう。多分」
『多分言うなよ!?お前腹壊したらこっちにも被害来るんだからな!?』
 千里の冷静なツッコミに笑顔を崩さない零と深層心理で喚く夕夜の隣で、何かに気づいたようにシャオがあっ、と声を上げる。
「アイスケーキ……熱した後冷ませば固まるし、形も整えられる…悪い部分も無くせそう……どう?」
「ん?アイスケーキ……まあイケるか?アイスに消費期限はないって言うしな」
「ではそれで行きましょう。デッドオアアライブ」
『何がだ!?何が死ぬんだオイ!?』
 心の底で叫んでも、現実の世界には聞こえない。夕夜のツッコミは無視させる形で無情にも三人の調理ショーは幕を上げる。
「ではシェフ、アイスケーキとのことやけど、どういう作り方でいくんや?」
「そうですね、原材料が大きいのでまずは小さくカットしましょう……来て、ディミオス!」
『やめろ!友達を馬鹿な企画に巻き込むのはやめろ!?』
 再び召喚されたディミオスに、まだ逃げていなかった観客は大盛上がり。歓声に迎え入れられ心なしかディミオスも満足げだ……多分。
 ケーキ怪人達も突然表れた巨大な異形に一瞬たじろぐが、すぐに自分達を食べさせようと突撃を開始した……が、さすがにリーチの差がありすぎた。鎌の一振りでケーキと身体が綺麗に切り離され、返しの刃でさらに細かく分けられていく。
「おぉ!首狩りの女王によって食べやすいサイズに!」
『正気か!?下手なスラッシャー映画よりエグいことしてるぞアレ!?』
 まあ怪人達の身体はまだワタワタ動いてるの大丈夫だろう。そんなことより、半透明の【氷麗ノ剣】を構えたシャオがカットされたケーキ達に接近し改めてその大きさを確認する。
「もっと、細かくしなきゃね…」
 その言葉と共に振るわれた剣によりケーキは更に細かく、一口サイズまでカットされる。同時に素早い手付きで元々ケーキに乗っていた苺を回収……どうやら痛んではなさそうだ。
「凍てつけ…absolute zero!」
 カットとトッピングノ回収をこなしたシャオは更にユーベルコードで氷の型を作り出し、その中にケーキを入れていく。
「六道銭さん……」
「あいよ任せえ!」
 シャオの言葉に千里は複数の護符を放つと、それは型の周りを渦を巻くように動き、一斉に火を吹いた。その熱で中のケーキが溶け始め、型の中に液体が満たされていく。
「こんだけ火を通せば食えるやろ、仕上げや!」
 再びシャオのユーベルコードが発動し、型の中から竜巻が立ち上る。そしてそれは美しい渦を描きながら、そのまま空中で凍り付いた。
「シェフ、これで完成でええんか?」
「はい。怪人の竜巻風アイスケーキ、これにて完成です」
『前衛的過ぎるだろ!?どう食うんだアレ!?』
「また細かくしようと思ったけど……このままでいいかな……」
 食べ物というよりは芸術品のようなアイスケーキを前にして一つの影がこっそり会場から抜けだそうとした所で、零の笑顔がその影に向けられた。
「作っては見たもののまだ足りませんね……何が足りないんでしょう?」
 影……チョコレート怪人は、その笑顔を見て、自分が逃げられないことを悟った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ハートブレイク・チョコレート怪人』

POW   :    ジェラシックフレイム
【チョコレートの頭部から噴き出す嫉妬の炎 】が命中した対象を燃やす。放たれた【嫉妬の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    センチメンタル・ギリチョコワールド
戦闘中に食べた【義理チョコ 】の量と質に応じて【過去の悲しみを糧として】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    ジェラシック・ラブイーター
【嫉妬 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【とろけるチョコの塊】から、高命中力の【愛を食らう触手】を飛ばす。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠滝舘・穂刈です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「なるほど、確かに貴様たちは調理技術も卓越した消化能力も持っているようだ……だが!」
 ハートブレイク・チョコレート怪人の顔のヒビが大きくなり、その身体が嫉妬の黒いオーラに包まれる。どうやら戦闘形態に移行したようだ。
「俺は食われん!何故なら俺は渡されなかった、貰えなかったチョコレート達の代弁者!横から現れた貴様らなどに食われてたまるものかよぉ!!」
 ここに来て被食拒否である。しかもまだバレンタイン本番でもないのにこの恨みの力、相当長い年月溜め込んでいたらしい。
 これが最後の戦いだ。ケーキ怪人の思いを利用した罪、ここで贖わせろ!
六道銭・千里
零、シャオと連携
前回と同じ番組進行に乗る感じでボケ

零の提案に
なるほどアイスチョコケーキか、もうじきバレンタインやし丁度ええんちゃう?

あれだけデカイと溶かすんも大変そうやしな…
ってことで麺棒(銭貫文棒)で叩いて突いて砕くことで【鎧砕き】
溶かしやすくするための前準備

更に前に出て気を引いて時間を稼ぐことで凍結しやすいようにな

シャオに渡されたら、いや、こんなでっかいん丸々は困るわって真顔で対応


義理チョコを食べだしたら腹部を狙って突き攻撃
あんまり食べたら溶かしたとき色んなチョコ味混ざって不味そうやん?


天星・零
千里さん、シャオさんと連携


『ふふ‥やっぱり仲間外れは良くないですよね。なので‥アイスチョコレートケーキにすればもっと美味しくなると思うんですよ』


前章に引き続きクッキングタイム
夕夜はツッコミ役
零は解説
戦法は前章と同じ

『ふふ、まずは材料を黙らせ‥もとい凍らせましょう。』

シャオに凍結をお願いする

UCを発動鎖で動きを封じる
武器のグレイヴ・ロウやØ
マフェッドスレッドで敵を攻撃しつつ
ディミオスも鎌での攻撃を行う

味方にも注視しアシストをする等臨機応変に

万が一に備え【第六感】を働かせる
【呪詛】や毒を用いて相手を鈍らせる


キャラ口調はステシ参照
オブリビオンの口調は前章と同じ

シャオと千里の絡み合いは微笑ましく見てる


シャオ・フィルナート
零、千里と連携
呼び方→苗字+さん

アイスチョコ…それなら、美味しそう…
ん…冷やすのなら、任せて…
★氷麗ノ剣で水流を獲物に飛び掛かる獣の如く勢いで
敵の顔面?チョコ?に突っ込ませ
直後に氷の【属性攻撃】で冷却狙い

…動かないでよ…めんどくさい…
あぁ……わかった
鬼ごっこ、だね?

【暗殺】で敵の背後や懐への潜り込み
UCの氷の竜巻でしつこく追いかけて冷凍保存狙い
敵の技は手足の動きを【見切る】事で極力回避

嫉妬とか、ばれんたいん?とか
よくわからないけど…
食べてほしいわけじゃないの…?
今食べないと…腐るよ?
渡されたいの…?

チョコ怪人さんをスッと千里の方に押し
…渡した。これでいい?
ダメ?
…わがまま



「ふふ…やっぱり仲間外れは良くないですよね。それに、アイスチョコレートケーキにすればもっと美味しくなると思うんですよ」
「なるほどアイスチョコケーキ、もうじきバレンタインやし凝った贈り物ってのもええんちゃう?」
「アイスチョコ…それなら、美味しそう…」
 零、シャオ、千里の三人は竜巻型のアイスケーキを背後にジリジリとチョコレート怪人との距離を詰める。向こうは既に戦闘モードだが、その程度で怯むようならば猟兵などやっていない。
「では、お二人の同意を得られたところで……」


「はい、超お手軽怪人リサイクルクッキング〜(第二回)」
『またやんのか!?』
 チョコアイスケーキとか言ってた時点で嫌な予感はしていたが、悪夢の再演である。正直夕夜はさっさっと終わらせて帰りたいが身体は二人共通で一つ、帰れない。再び始まった魔のお料理教室に会場は盛り上がり、怪人は恐怖で縮み上がる。
「ではシェフ、今回の調理方法はどんなもので?」
「さっきと同じです、以上」
『雑っつ!?』
「そうだ、食われる側の気持ちも考えろ!」
 さらっと会話に入り込んだ怪人に一瞬同意しそうになる夕夜だったが、零の方はにこやかな笑顔を浮かべながら怪人に向き直る。
「ふふ、まずは材料を黙らせ‥もとい凍らせましょう」
「『どっちが悪役だ!?』」
 ツッコミが重なった。多分怪人の意見に同意するのはこれが最初で最後……に、したい。
「ん…冷やすのなら、任せて…」
 その叫びは無視して、氷麗ノ剣の構えたシャオが怪人に向かって突撃する……が。
「馬鹿め、一度見た攻撃が通じるかよ!」
 水流からの凍結、先程も行った必殺のコンボだ。しかし単体の戦闘力でケーキ怪人を上回るチョコレート怪人は水流を見切ると軽々とした動きで躱す。
「動かないでよ…めんどくさい…」
『おい、ついに面倒臭いって言葉が出たぞ。戦闘中なのに』
「そうですね、確かに面倒臭い……ので、止めてしまいましょう」
 その言葉と共に、控えていたディミオスが鎖を放つ。しかしその攻撃すらも回避した怪人はバク天をしながら出口へと逃走する。
「くはは、このまま逃げ切ってくれr」
「そういやデカいチョコって一度砕いて溶けやすくするんやったか」
 その声と共に、千里はチョコレート怪人の後頭部に冥銭を束ねた武器、【銭貫文棒】を叩き付ける。元からあった罅とは別に放射線状の罅が頭部に入ると同時に、せっかく距離を取ったシャオに向かって吹っ飛ばされる。
 更に周囲を氷の竜巻に囲まれ、足元と頭上にはディミオスの武器が待ち構えている。そこで気付いた、怪人は攻撃を躱したのではなくわざと回避をさせて次の攻撃に当たるように動かされたのだと。
 怪人の脳裏に走馬灯が浮かぶ中、放たれた水の奔流がチョコレート怪人を包み込んだ。


「嫉妬とか、ばれんたいん?とか
よくわからないけど…食べてほしいわけじゃないの…?今食べないと…腐るよ?」
 その言葉に反論するようにガダガタと震える怪人の氷像を見て、シャオは少しだけ考え込んで……すぐ何か閃いたように手を叩くと氷像を押して、スッと千里の側に持っていく。
「はい、渡した……これでいい?」
「俺かい!?いや、こんなでっかいん丸々は困るわ」
 千里の言葉を肯定するようにガタガタと震える氷像。
「むぅ……わがまま」
「待ってそれ俺も含まれとる?……まあほら、丸々が嫌なだけやって。シェフ、仕上げ頼むで」
 千里は渡された氷像を再び滑らせ、今度は零の元へ。彼はやってきた氷像を微笑みながら迎え、ディミオスが鎌の持ち手で勢いよく上空へ弾き上げた。
 空中で三回転半程した怪人がアイスケーキの天辺に突き刺さったのを確認すると、零は咳払いを一つして観客達の方を向いた。
「怪人の丸ごとチョコアイスケーキ、これにて完成です!」
『仕上げってなんだぁ!?』
 深層心理から響くツッコミを軽く流しながら、三人はキマイラ達の拍手歓声に包まれるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アポリー・ウィートフィールド
チョコレートに生まれながら喰われることを拒むか……ならば汝に残された選択肢は一つ、骸の海に還ることだけだ!

嫉妬の炎を警戒しつつグルメツール『ブラックジャック』でヒットアンドアウェイ。攻撃を躱しつつ少しずつ敵にダメージを与えるように立ち回る。大きな隙を見せたら【終止符穿つ黄金の脚】を叩き込み、内部から爆発させる!それほど大きなヒビのある顔、内部からの衝撃には耐えられまい!



「し、死ぬかと思った……」
 どうにかして氷を割り、自由の身となったチョコレート怪人の前に、黒い影が立ち塞がる。
「最後に問いたい。先程のケーキ怪人のような思いを、汝は本当に持っていないというのか」
 その問いかけを行ったのはアポリー・ウィートフィールド、思えばこの男とは奇妙な因縁がある。もしかすると彼との出会いは、チョコレート怪人の運命だったのかもしれない。
「持たないさ、何故なら俺はただの食い物じゃない……バレンタインチョコだからな!」
「……ならば汝に残された選択肢は一つ、骸の海に還ることだけだ!」
 突如として雷鳴が響き渡り、アイスケーキの上に二つの影を作る。片方は両手に巨大なナイフとフォークを、片方はその頭に嫉妬の炎を、互いに獲物を構えた二人はわずかな静寂の後、ほとんど同時に動き出した。
 噴出した嫉妬の炎がナイフを燃やし、フォークによる一撃が怪人の身体を掠める。……外した!そう確信した怪人が嫉妬の炎をアポリー本人に向けて放った瞬間、その巨体が消えた。
 驚きの声を上げる間もなく、炎を纏ったナイフが怪人の足元から振り上げられる。不意を付かれた怪人は頭部に一直線の傷を付けられ、大きくよろめいた。
 何か特別な技を使ったわけではない、アポリーは攻撃を避けるために深く屈んだだけだ。しかし蝗の形質を深く受けたアポリーは、ほとんど地面に這いつくばるような姿勢からでも強靭な四肢を利用して跳ね起きることができる!
「この輝きは生命の祈り、汝に仇なす世界の宣告!《終止符穿つ黄金の脚》!」
 先に振り上げたナイフによって怯んだ怪人の顔面に、跳躍と共に放たれた蹴りが突き刺さる。断末魔と共にアイスケーキから落下したチョコレート怪人は、地面にぶつかると同時に巨大な火柱を上げた。
「還れ、骸の海へ……!」
 その炎に照らされながら、蝗の猟兵は静かに戦いの終わりを告げた。


●エピローグ
 引きずり込まれた住人達は無事救助された。鍋の中は一種の異空間となっており、怪人達が倒されたことでその効果がなくなったのだ。
 闇鍋は怪人の起こしたブームとは違い、勝負は関係なく皆で楽しんで囲むものとしてキマイラフューチャーに密かに残った。勿論鍋に入れるのは食べられる食材のみだ。
 闇鍋という環境を利用してケーキ怪人は自らを食べてもらおうとした、しかし彼らを利用していたチョコレート怪人は食べられるつもりもないのに何故このような事件を起こしたのだろうか?
 ある猟兵は思う。もしかすると奴はチャンピオン……誰かに見られる立場になりたかったのではないかと、たがそれを証明する手段は既に残されていない。
 この世には多くの食材がある、そしてそれは多くの生命から作られている。それを蔑ろにしてしまった時、再びケーキ怪人とチョコレート怪人は姿を現すのかもしれない。
 そのこと忘れないためにも感謝を示すのだ、両手を合わせて、いただきますと。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月29日


挿絵イラスト