帝竜戦役⑦〜賢竜、迷宮に堕在す
●大魔王の仮面
群竜大陸、蒸気魔法迷宮と呼ばれる大地において、白き巨竜は何かに抵抗するように呻いていた。
「テキガクルヨ!テキガクルヨ!」
その白き巨躯、6対の翼を持つ竜の頭には禍々しきオーラを放つ仮面。それがけたたましく叫ぶ。仮面と白き竜は別の存在であることを示すように、そのけたたましい声は他者をおちょくるような片言の言葉を紡ぐのだ。
「黙れ……黙れ『大魔王の仮面』よ!群竜大陸に挑む勇者が現れた以上、貴様の呪いに屈する訳にはいかぬ!」
白き竜、かつての名を『賢竜(ダンジョンメーカー)オアニーヴ』は、その強靭なる意志でもって理性を保っていた。
己の体にまとわりつく呪い。それを一心に振り払わんとしていたのだ。
だが、それも時間の問題である。
「ムリダヨ!ムリダヨ!ナゼナラバ……汝の願いと希望を、この仮面は糧とするからだ竜神山脈の長『賢竜(ダンジョンメーカー)オアニーヴ』といえど、逃れることはできぬ」
その強靭なる意志であっても嘲笑うように仮面が言葉を紡ぐ。
「おのれウームー・ダブルートゥ……封印時に仮面の呪いを受けた私は、このような事態を避ける為に自ら生命を断ったというのに……グアアア、理性が保てぬ……!」
そして、白き竜は堕す。
己の宿命、己の使命、己の願い。
あらゆるものが仮面の呪いによって奪われ、己の存在そのものを奪われていく。
それはかつてアルダワで人類と共に大魔王と戦ったドラゴン達の長の悲運なる最期。
「センノウカンリョウ!…さあ挑戦者共よ、汝らの全てを喰らい、我が糧としよう」
黒き仮面が蠢くように漆黒のオーラを溢れ出させる。
そこにはもはや、叡智と優しさを持つ『賢竜』と称されたオアニーヴの姿はなく、帝竜オアニーヴ……オブリビオンとしての驚異だけが、猟兵たちを待ち受けていた。
●帝竜戦役
帝竜戦役が勃発し、過酷な戦いを繰り広げる猟兵達。そんな彼らの奮闘もあり、2体目の帝竜へと至る道が開けた。
グリモアベースに集まってくる猟兵たちを頭を下げ、出迎えるのはナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860である。
緊張した面持ちであるのは、2体目とは言え強敵である帝竜との戦いに挑む猟兵達の身を案じるからこそ。
「お集まり頂きありがとうございます。2体目の帝竜オアニーヴの待ち受ける蒸気魔法迷宮への道が開かれました」
再孵化を果たした帝竜オアニーヴ。かの帝竜が待ち受けるは蒸気魔法迷宮と呼ばれる大地を埋め尽くすほどの魔法蒸気機械群が広がる迷宮である。
「帝竜オアニーヴ。邪悪な光を放つ仮面で覆われた6対の翼を持つ巨竜です。超攻撃力と超耐久力を併せ持ち、戦意を弱らせる光、光り輝く爪による攻撃、浄化の風などユーベルコードを封じる力をも有しています」
だが、それ以上に驚異であるのが、戦場全体に魔導蒸気機械と金属のパイプ群で出来た迷宮を作り出す能力を持つのである。
進撃が遅れれば、それだけ帝竜ヴァルギリオスの迎撃準備の時間を与えることなる。迅速さが求められる戦いにおいて、これほど厄介な能力もないだろう。
「帝竜と名の付くオブリビオンは、どれも強力な敵です。かの竜の用いる能力はどれも皆さんを苦戦へと導くことでしょう。ですが、これを討たなければ、先に進めません」
そして、帝竜オアニーヴは必ず猟兵の先手を取ってくる。
先制攻撃が約束されたユーベルコードは、猟兵たちを苦しめることだろう。これを如何に防御し、反撃するかが、この戦いにおいては重要となる。
「私には皆さんの敵に対する対処、それができると信じております。今までどれだけの数の敵と戦い、勝ち抜いてきたのか……」
そうナイアルテは信じている。
これまで猟兵たちがどのように戦い、如何なる難敵も打倒してきたことを。
だからこそ、彼女は自身が抱える不安を払拭し、猟兵たちを信じて送り出すのだ。
帝竜戦役、この戦いが一刻も早く終わることを願って―――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『帝竜戦役』の戦争シナリオとなります。
蒸気魔法迷宮へ進撃し、帝竜オアニーヴを打倒しましょう。
※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。
プレイングボーナス……『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』
(敵は必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります)
それでは、帝竜戦役を戦い抜く皆さんのキャラクターの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『帝竜オアニーヴ』
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POW : 竜操の仮面
【頭部を覆う仮面が邪悪な光を放つ状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : 賢竜オアニーヴのはばたき
【戦意を弱らせる聖なる光】【光輝く爪による引き裂き攻撃】【六翼の羽ばたきが巻き起こす浄化の風】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : ダンジョンメーカー
戦場全体に、【魔導蒸気機械と金属のパイプ群】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
イラスト:otomo
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ニコラ・クローディア
帝竜オアニーヴ…否、大魔王ウームー・ダブルートゥ!
竜の誇りを穢した報い、受けて貰うぞ!
理性と共にかつての叡智も失っているのなら付け込む隙もあるだろうよ
確実に先手を取ってくる程の実力者なら胸を借りるつもりで後手から刺すのみ
「さぁ来い、真なる龍の在り方を刻んでやる」
振りかぶられた爪のギリギリを見切り引きつけて、直撃の寸前に見せるはユーベルコードの高速詠唱
転移座標、指定は自身
自分から自分へ転移する時、オレサマはこの世界から一瞬消える
「存在しないものを傷つけはできまい!」
追撃は光盾で防ぎ、カウンターの一撃はドラゴハウザーに籠めた大魔力射撃
いつかどこかで、仮面なき貴君と相まみえんことを願うよ
アドリブ歓迎
蒸気魔法迷宮の魔導蒸気機械とパイプ群が広がる光景は、アックス&ウィザーズ世界ならざる別の世界の色を見せていたことだろう。
群竜大陸にあって何故……そのような疑問を踏み込んだ猟兵たちは思ったかも知れない。
だが、そんな疑問を感じる間もなく彼らは、このダンジョンメイカーたる帝竜オアニーヴとの戦いに身を投じなければならない。
予兆によって、そのかつての『賢竜』オアニーヴと、その頭部を多いし仮面ウームー・ダブルートゥの存在をする者にとって、オアニーヴを堕した存在へと貶めたことに憤る者たちは少なくなかった。
ニコラ・クローディア(龍師範・f00091)もまた、そのうちの一人であった。ドラゴニアンである彼女にとって、賢竜オアニーヴを帝竜へと貶めた大魔王の仮面の存在は許しがたいものであった。
「帝竜オアニーヴ……否、大魔王ウームー・ダブルートゥ!竜の誇りを穢した報い、受けてて貰うぞ!」
ニコラが対峙するのは、かつてアルダワにありて大魔王と戦いし賢竜であったもの。
だが、彼女が戦うと決めたのは大魔王の仮面ウームー・ダブルートゥである。
「ドウカナ!ドウカナ!……汝ら挑戦者の言う誇り糧とし、我は征く。猟兵よ、疾く汝らを殲滅せん」
対峙する白き6対の翼が輝く。
その光景を見上げれば、その威容の前に戦意が萎えていくのをニコラは感じたかも知れない。
彼女にとって、その眩き白き輝きは戦うということに対しての意欲を奪う光にしか見えなかった。何故戦わなければならないのか。
しかし、彼女の中の何かが言うのだ。
アレは竜ではない。
禍々しきオーラを放つ仮面。あれによって理性と共にかつての叡智もまた失われている。であれば、あれは賢竜ではない。己の力を振り回すことしか知らぬ帝竜でしかない。
歯を食いしばる。彼我の実力差は明確である。確実にこちらの先手を取ってきた。それほどまでの力の差。であるのならば、胸を借りる以外何もない。
「さぁ来い、真なる龍の在り方を刻んでやる」
その白き巨躯がニコラへと襲い来る。一瞬で迫りくる光り輝く爪。絶対不可避の一撃。それを見上げるニコラにはわかってしまった。
あの攻撃は必ず自身の脳天から振り下ろされ、自身を握りつぶすであろうと。
「盾と共に来たる」
光り輝く爪がニコラの頭蓋へと迫り、その華奢な頭を握りつぶそうとして、一瞬彼女の姿が揺らめく。
「―――!?ドウシテカナ!?ドウシテカナ!?……すり抜けた。ではないな。何をした……!」
仮面の奥で瞳が蠢く。
それは握りつぶしたと確信した瞬間に起こった光景。爪がニコラの頭蓋を握りつぶさんとされた時、ニコラの姿が一瞬消えた。そう思った次の瞬間にニコラは何事もなかったかのように無事な姿で現れたのだ。
それは彼女のユーベルコード、光盾突撃(シールドアサルト)。
本来の使い方は、持続時間の短い全方位を守る光の盾と共に、同じ世界にいる任意の味方の元にテレポートするものである。
だが、彼女が今使ったのは、自身を対象にした転移。つまりは、自分から自分へ転移したのだ。
その一瞬、彼女は世界から消える。それを利用し、オアニーヴの爪の一撃から逃れたのだ。
「存在しないものを傷つけはできまい!」
「デタラメ!デタラメ!……だが、一撃をしのいだと言え……!」
さらなる光り輝く爪がニコラを襲う。光の盾で、それを凌ぐ。光の盾が粒子となって砕け散る。
彼女を守る盾は一瞬で失われた。
だが、それでいい。その一瞬でよかったのだ。
彼女の構えた魔力拳銃に込められし純エネルギーの塊が銃口より放たれる。それはオアニーヴの仮面へと向けられていた。
魔力拳銃ドラゴハウザーは、狙う相手を違えない。彼女にとっての敵は、オアニーヴではなく、ウームー・ダブルートゥである。
なれば、その弾丸が向けられるのは大魔王の仮面そのものである。
「戦う相手は間違えない……いつかどこかで仮面無き貴君と相見えんことを願うよ」
引き金が惹かれ、魔力の轟音が響き渡る。
龍の咆哮たる一撃が、仮面へとぶつかり、その巨躯が蒸気魔導機械群へと失墜していく。
その落下の轟音と共に、ニコラは再び帝竜ではない、賢竜としてのオアニーヴとの再会を誓うのであった―――。
大成功
🔵🔵🔵
リネットヒロコ・マギアウィゼルーク
倒さなければならないなら~……
せめてオアニーヴさんは傷付けず、“大魔王”に攻撃しましょう~!
仮面が乗っ取っている=感覚の支配とすれば……
UC発動まではアイテム「スケープシープちゃん」で凌ぎます~
初撃を凌いだら速く動く物……
アイテム「まじかるランチャー」のミサイルで気を引きつつ、
アイテム「わぁぷパンプス」で仮面の上へワープ、
【グリモワール・エッジ】を発動、仮面を魔導書の角でゴツン!
超耐久で傷は付かずとも、痛覚と平衡感覚を直接刺激です~!
動きが鈍ったら、再度「わぁぷパンプス」で距離を取り
ミサイル!ワープ!ゴツン!を延々繰り返してあげますっ!
クラクラと痛みを骸の海へ戻るまで味わってもらいますよっ!
群竜大陸にありて、蒸気魔法迷宮の光景は異様なものであった。
アックス&ウィザーズ世界にあって異色を放つ蒸気魔導機械群は、それを知る者にとってはアルダワの光景を思い起こさせただろう。
そして、それ故に帝竜オアニーヴの姿に違和感を覚えるものもいる。
その額を覆いし黒き仮面。その仮面の放つ禍々しきオーラは、正しく大魔王のもの。大魔王の仮面、ウームー・ダブルートゥ。それこそが賢竜オアニーヴへと呪いを掛け、洗脳し帝竜として戦いに駆り立てているのだ。
「センノウカンリョウ!センノウカンリョウ!……汝らは我が糧。我が喰らうに値する贄であるがゆえ」
白き竜を覆いし大魔王の仮面が邪悪な光を放つ。たちまちに引き上げられるオアニーヴの戦闘力。
大気を震わすほどの圧倒的な戦闘力は、圧力となって対峙する猟兵たちの肌を焼く。
だが、そんな状況であっても惹かぬ者たちが居る。いや、猟兵であれば誰であっても退くことはしないだろう。
何故なら、この戦いの趨勢がアックス&ウィザーズ世界の行く末を決めるのだから。
「倒さなければならないなら~……せめて、オアニーヴさんは傷つけず、“大魔王”に攻撃しましょう~!」
リネットヒロコ・マギアウィゼルーク(【魔導科学者】マギア=ウィゼルーク・リネット・博子・f01528)の酷くのんびりした声が響いた。
だが、博子にとって、それは純然たる決意であった。
白き竜、賢竜オアニーヴ。その伝承はアルダワにも伝わっていることだろう。かつて大魔王へ人間と共に挑んだ賢くも優しき竜。
ならば、博子が戦うべき相手はオアニーヴではなく、大魔王の仮面たるウームー・ダブルートゥである。
彼女の慧眼は、対峙する帝竜オアニーヴの額を覆う大魔王の仮面に見据えられている。
もしも、仮面が乗っ取っている……つまり感覚の支配だとすれば。
その思考は中断される。禍々しい輝き放つ仮面を持つ帝竜オアニーヴの巨躯が、信じられないほどのスピードで彼女めがけて、その爪を振るうのだ。
一瞬の判断で、魔法で作成された羊のぬいぐるみによって爪をガードする。もふっした柔らかそうな盾にもならなそうなぬいぐるみであるが、そこは彼女の魔法理論に不可能はないのだ。
初手を潰したとはいえ、そこから超強化された戦闘力を持つオアニーヴをどう躱すのか。
「早く動くものに反応するようですね~……」
まさに暴走状態のようなオアニーヴの動き。見境のない状態での超強化された戦闘力は、まさにどこに向かうかわからぬ暴れ馬と同じである。
ならば、と彼女が取り出したのは、魔法と科学の技術を合わせて生み出された六連装まじかるランチャー!
炸裂式の魔力弾頭を打ち放ち、それに気を取られたオアニーヴが魔力が炸裂する爆発に巻き込まれながらも、撃ち落としていく。
大したダメージにはなっていないと確信しながら、博子は彼女の作成した、わぁぷパンプスによって魔法陣の中へと飛び込む。
彼女の視力の範囲で魔法陣を作成し、そこまでワープできるアイテムである。彼女の発明する科学と魔法の複合した技術に不可能など無いのである。
爆風に煽られ、暴れ馬と化したオアニーヴの頭上に魔法陣が生成され、その仮面の上にワープする博子。
「その仮面、砕かせていただきます!せいっ!」
彼女のユーベルコード、グリモワール・エッジが仮面へと炸裂する。それは魔力を込めた魔導書の角を打ち込む一撃。しかし、それは肉体を傷つけるためのものではない。
「超耐久で傷つけることは難しいでしょう~……でも、痛覚と平衡感覚への一撃は~……防ぎようがないですよね~……!直接刺激です~!」
再び、ミサイル。さらにわぁぷパンプスで距離を取ってミサイル!ワープ!ゴツン!その永久コンボのようなコンビネーションに仮面が呻くようにぐらつく。
「ナンダ!ナンダ!……この攻撃、視界が眩む……我が視界が明滅するだと」
何度も何度も行われる執拗なる魔導書の角による攻撃は、空を飛ぶことすらできなくなり、オアニーヴの体をぐらりと傾けさせ、蒸気魔導蒸気群へとオアニーヴの体を失墜させる。
その墜落する轟音を満足気に聞きながら、博子は頷くのだ。
「これが魔法の神秘と~……機械の浪漫です~……!」
大成功
🔵🔵🔵
ソラスティベル・グラスラン
迷宮を作り、大魔王を封じ…人々の力となった竜の長
光栄です…歴史に語られる、伝説に会えるだなんて
けれど、けれど
こんな形での出会いは、望んでいませんでした…ッ!
【盾受け・オーラ防御】で全力で守りを固めます!
理性を失い攻撃は単調となるはず…ですがまともに受けるは危険!
【怪力】で受け【見切り】受け流すことに努めます!
オアニーヴさまの仮面、そこにいるのですね!大魔王!
受け流しつつも前進、【勇気】を出してその豊かな毛に飛びつきます!
ゆっくりと、しかし着実に登り頭部へ
賢竜よ、ご覧あれ
大魔王を打倒し、これから貴方を救う…
『勇者』として磨いた、わたしの力です
【我が名は神鳴るが如く】――――ッ!!!!
語り継がれるはアルダワの優しき賢竜。
それは伝説となって人々の口伝によって紡がれていく。だが、時として過去の化身たるオブリビオンは、その口伝を汚すように蘇る。
群竜大陸の一角、蒸気魔法迷宮は蒸気魔導機械群とパイブが連なる異様なる土地であった。
アックス&ウィザーズにおいて、本来ならば在りえぬ光景。これはまるでアルダワに見られるような光景ではないかと気がつく猟兵もあったことだろう。
白き竜、その6対の翼を持つ嘗て賢竜と呼ばれるオアニーヴの額を覆う大魔王の仮面ウームー・ダブルートゥは禍々しき光を放つ。
それは超強化された戦闘力と耐久力を持つが故の暴走状態である。
「テキダヨ!テキダヨ!……汝ら我が贄ゆえに、疾く我に捕食されし運命なれば」
仮面の放つ禍々しいオーラは、次第に強くなっていく。
その白き巨躯に似合わぬ光は、その仮面の呪いによってこそ、賢竜を帝竜たらしめるものであったのかもしれない。
自ら命を絶ったオアニーヴ。しかし、その呪われし体は過去の化身たるオブリビオンになっても再現されてしまった。
それを憂うのが間違いであるとは誰も言えないだろう。猟兵の一人であるソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)は、かつて在りし賢竜の姿が堕したものと対峙せねばならぬことに慟哭する。
「迷宮を作り、大魔王を封じ……人々の力となった竜の長。光栄です……歴史に語られる伝説に会えるだなんて……」
ソラスティベルの言葉は本心であった。
偉大なる竜を祖に持つ彼女にとって、英雄譚は憧れである。だからこそ、アルダワの地において伝説となっている賢竜オアニーヴは彼女にとって、最も心動かされた伝承であったことだろう。
だからこそ、その憧れまでもがオブリビオンと化していることに衝撃を受けないわけもなかったのだろう。
「けれど、けれど……!こんな形での出会いは望んでいませんでした……ッ!」
超強化されたオアニーヴの鋭い爪の一撃がソラスティベルを襲う。盾をかざし、みなぎる力をオーラに変えて、その攻撃を受ける。
護りを固める。彼女の持てる最大の防御である。だが、その超強化されたオアニーヴの力は伝説に違わぬ膂力。
まともに受けては押し負ける。
だからこそ、踏ん張る。力を込める。彼女の憧れた伝説。その伝説を歪め、汚すはオブリビオンである。
ならば、彼女が今戦う相手はオアニーヴではなく、魔王の仮面ウームー・ダブルートゥ!
「オシツブス!オシツブス!……見事なり、竜の末裔。だが、硬いだけの盾では」
やはり押し負ける。だからこそ、彼女はその強大なる膂力による衝撃を見切って、盾で受け流すのだ。
だが、それだけでは勝てない。負けられないのだ。だから、彼女は前進する。膂力では到底叶わぬだろう。だが、それでも進む。
勝利とは後退した先にはない。常に前進した先に勝利はあるのだから。
「オアニーヴさまの仮面、そこにいるのですね!大魔王!」
ソラスティベルは、その巨躯であるオアニーヴの背に飛びつく。彼女という異物に取り付かれ、身動ぎするように体を揺するオアニーヴ。だが、ソラスティベルは離れない。
ゆっくりとだが、確実に頭部まで登っていく。その巨躯の頭部にて、彼女は宣言する。
「賢竜よ、ご覧あれ。大魔王を打倒し、これから貴女を救う……」
そう、彼女が戦うべきは賢竜オアニーヴではない。この額を覆う仮面、大魔王の仮面たるウームー・ダブルートゥ!
ソラスティベルのユーベルコードが輝く。
それはソラスティベルの勇気の証明である。彼女が至りしは、戦火の最前線。だからこそ、彼女の掲げる蒼雷の戦斧が、その名のとおりに応えるのだ。
「『勇者』として磨いた私の力です!」
ソラスティベルは掲げた大戦斧に集まる蒼雷を纏い、その名を叫ぶのだ。
それこそが大魔王の仮面を砕く一撃であらんとするように―――。
「【我が名は神鳴るが如く】――――ッ!!!!」
蒼雷の一撃は、天を裂き。
まさしく、その名を轟かせたのだった―――!
大成功
🔵🔵🔵
別府・トモエ
「テニスプレイヤー、別府・トモエ見参!」
名乗ると同時に【ジャンプ】で高く飛び上がる【空中戦】
蠢く地表の迷宮を【視力】で【見切る】
「オアニーヴさんの意識を消したのは失敗だったな」
じゃなきゃもっと難しかったろうぜ
「「「「「出口はあっちだ!探せーー!」」」」」
ヒントを元に数十人に分身するテニスで探す
全員【ダッシュ】だ!飛べ!トモエ!
「「「「「見つけたぞ!テニスしろオラァ!」」」」」
有無を言わさず【サーブ先制攻撃】返ってくる打球を【ラケット武器受け】で【カウンター】の【誘導弾】で大魔王仮面を【スナイパー】よ
勿論、数十倍のテニスで時間差で常にな!
「「「「「見さらせ!これが!テニスだぁーーー!!」」」」」
帝竜戦役が勃発し、猟兵たちが対峙した帝竜の数はすでに2体目を迎えていた。
群竜大陸の一角、蒸気魔法迷宮において待ち受ける帝竜の名は、オアニーヴ。かつてアルダワにおいて大魔王と戦いし賢竜オアニーヴである。
だが、その賢竜もまた大魔王の仮面の呪いによって、その自死するしかない運命と共に過去となった。
そのオアニーヴが過去の化身たるオブリビオン……帝竜として蘇ったことは皮肉でしかない。
しかも、嘗てダンジョンメイカーとも呼ばれた、その能力はオブリビオンとなっても健在である。
こうして、群竜大陸の一角であってもアルダワのような魔導蒸気機械群で埋め尽くされるほどである。
「メイキュウコウチクカンリョウ!メイキュウコウチクカンリョウ!……これより此処は蒸気魔法迷宮である。何人たりとて攻略するは能わず」
白き巨躯から聞こえる声。
それはオアニーヴを洗脳せし大魔王の仮面ウームー・ダブルートゥが、オアニーヴの体を操っているからに他ならない。
だからこそ、一刻も早く帝竜と化したオアニーヴを倒し、進まなければならないのだ。
「テニスプレイヤー、別府・トモエ見参!」
そこへ現れたのは、別府・トモエ(ミステニス・f16217)である。その容貌は現代社会であれば見慣れた女性であろう。
だが、このアックス&ウィザーズ世界においては、この魔導蒸気機械と同じく違和感を齎すものであった。
名乗りを上げたのだが、オアニーヴによって生み出された魔導蒸気機械と金属のパイプ群による迷宮に取り込まれてしまった。
これは彼女の不手際ではない。
帝竜たちは、その実力ゆえ、猟兵に対して常に先制攻撃を仕掛けてくる。このユーベルコードに対して、有効な対策を取らねば一方的にやられてしまうのだ。
しかし、彼女はうろたえない。攻撃されるのであれば、躱す、受ける……など、様々な対策を講じなければならない。
彼女が受けたのは迷宮に取り込まれるというユーベルコード。ならば、とトモエは高く飛び上がる。
蠢く地表の迷宮を驚異的な視力で持って、識別する。一瞬でマッピングするのだ。そして、その迷宮のからくりを理解した時、トモエは不敵に笑うのだ。
「オアニーヴさんの意識を消したのは失敗だったな」
そう、彼女は空高く跳躍し見た。
この迷宮の迷図を総て瞬時に記憶し、その特性を理解したのだ。
だからこそ、彼女はこう言うのだ。
「―――じゃなきゃ、もっと難しかったろうぜ」
彼女のユーベルコードが輝く。分身テニス(トモエハテニスヤッテルカラナ)、それは彼女が召喚せし、自分自身のである。それは最早数えるのも億劫になるほどの数であり、彼女にとっては、テニス的にはある意味当たり前の技能である。
そんな事実があるかどうかは、定かではないが―――。
「出口はあっちだ!探せ―――!!!」
トモエの上空から見た迷図のヒント。それを頼りに数十人へと分身を果たしたトモエたちが一斉に駆け出す。
まさに物量作戦である。一人であれば、迷宮から出ることも叶わずに、ずっとさ迷うことしかできなかっただろう。
だが、彼女は己を分身させ一斉に探索させることで、迷宮を踏破したのだ。彼女の言を借りるのだとすれば、オアニーヴの意識を消し去ったのは下策であった。
なぜなら、彼ならば、分身するというユーベルコードに対する対策もまたしっかりと練っていただろうからだ。
総ての分身トモエたちが出口から雪崩れるように飛び出してくる。
「見つけたぞ!テニスしろオラァ!!!!」
まさに悪夢であろう。瞬く間に迷宮は踏破され、そこから雪崩込んでくる山のような猟兵の数。
オアニーヴの仮面がたじろいだ気がした。そこへ有無を言わさずにトモエたちが一斉にサーブする。テニスボールがぶち当たり、跳ね返ってきてもさらに返球し、次々と大魔王の仮面へとぶつけていくのだ。
一撃であればこらえたであろう。だが、帝竜オアニーヴ……いや、大魔王の仮面ウームー・ダブルートゥは、その声を聞いた。
「お前が相手にするのは無数のテニス。……恐れずしてかかってこい!」
それはあまりにも酷な宣言であった。
常に襲うテニスボールの狙撃。それは数十倍もの時間差で常に、大魔王の仮面へと叩きつけられ続ける。
たまらずに後退するも逃げることすらできずに、失墜するしかないのだ。
「見さらせ!これが!テニスだぁ―――!!!!」
群竜大陸の空に、テニスコールが鳴り止まないのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
レナーテ・フレンベルク
◎アドリブ連携歓迎
……これは、また神々しい竜が出て来たわね
私はともかく、ヒルデがあの光の力を受けたら
浄化されてしまわないかしら……? 少し心配ね
■戦闘
不思議な光景……
だけど、いくら頑強で複雑な迷宮でも死霊達を
閉じ込めるなんて事は不可能よ
障壁にしていた死霊達を解放、迷宮の壁をすり抜けて
探索させる事で出口までの最短ルートを見つけるわ
帝竜との戦いになったら、【UC】で集めた死霊達で
大盾を生成してヒルデに装備
盾が放つ【呪詛】で光の力を相殺して攻撃を防ぎつつ
タイミングを見計らって【カウンター】で
強烈な【シールドバッシュ】を放ち、
隙が出来たら即座に大盾を大剣に再形成、頭部を狙って
渾身の一撃を叩き込ませるわ
蒸気魔法迷宮、それはアックス&ウィザーズ世界の群竜大陸にあって浮いた場所であったかもしれない。
その魔導蒸気機械群は、猟兵であれば存在を知るアルダワのものと酷似していたからである。
そして、対峙する帝竜オアニーヴは、かつてアルダワにおいて賢竜オアニーヴとして人間と共に大魔王と戦ったという経緯がある。だが、大魔王の仮面により掛けられた呪いによって、今は帝竜オアニーヴとしてオブリビオンへと堕しているのだ。
かの白き竜の巨躯は、その6対の翼も相まって光り輝く姿を神々しいものと思わせたかもしれない。
だが、その額覆う大魔王の仮面ウームー・ダブルートゥの放つ禍々しきオーラは、その存在が正しくオブリビオンであることを知らしめていた。
「ジュウリンセヨ!ジュウリンセヨ!……汝らは討ち果たすべき敵にして贄である。尽く討ち果たし、我が前に躯を晒すがいい」
そして、その白き竜、オアニーヴと対峙するは白き華美なる衣装に身を包みし、レナーテ・フレンベルク(幽玄のフロイライン・f25873)である。
戦場へと巨躯たるヒルデと共に降り立った彼女は、オアニーヴの姿に感嘆の声を上げる。
「……これは、また神々しい竜が出てきたわね。私はともかく、ヒルデがあの光を受けたら浄化されてしまわないかしら……?少し心配ね」
だが、その心配は杞憂に終わる。
一瞬でオアニーヴが放つユーベルコードによってレナーテとヒルデは、魔導蒸気機械と金属のパイプ群ひしめく迷宮へと閉じ込められてしまう。
その光景に彼女はまず、驚く。
「不思議な光景……」
それは驚愕ではなかった。驚嘆であった。
様々な世界を見てみたいと願う彼女にとって、アックス&ウィザーズ世界におけるアルダワの魔導蒸気が合わさった光景というのは、不思議なものであったのだろう。
迷宮に閉じ込められたというのに、レナーテは少しも慌てなかった。
彼女は障壁としていた死霊たちを開放し、迷宮の壁をすり抜けて探索させる。
「だけど、いくら頑強で複雑な迷宮でも死霊達を閉じ込めるなんてことは不可能よ」
そう、この迷宮において死霊たちの存在は考慮されていない。これがもし、オアニーヴの意識を大魔王の仮面ウームー・ダブルートゥが残していたのなら、死霊に対する対抗策も用意されていたのだろう。
だが、その賢竜たるオアニーヴの意識を完全に消し去ったことは、下策であったのだ。ここにきて強力なユーベルコードに対する穴をレナーテは突いたのだから。
死霊たちが戻ってくる。ご苦労さま、とレナーテは労いつつも、出口までの最短ルートを歩く。
息を振り乱して進むなど、淑女たる彼女のすることではない。日傘をくるりと回しながら、優雅に迷宮の出口へと向かうのだ。
「―――ヒルデ」
彼女の唇が玲瓏なる声によって従者たる巨躯ヒルデへと命ずる。
「マタヒトリシマツシタ!マタヒトリシマツシタ!……他愛なし」
帝竜オアニーヴは今しがた迷宮へと落としたレナーテへの感心を失い、他の戦場へと飛び立とうとしていた。
だが、それは完全なる慢心であった。油断と言っても良い。迷宮に背を向けた瞬間、迷宮の出口から飛び出したのは巨躯にして、幽玄のフロイラインの従者、ヒルデの姿だった。
それに続く死霊たちが一斉に集まり、変化し武具へと変性する。それは呪詛放つ大盾。ヒルデはそれを構え持つと、一瞬で宙を舞う。
「ケイコク!ケイコク!……なんだ、これは?最速で出てきたというのか、我が迷宮から―――!」
飛び出したヒルデに気がついたオアニーヴは光り輝く爪でもってヒルデを引き裂かんとする。
しかし、浄化する風放つ翼よりも先に迎撃を以て、敵を打倒しようとしたウームー・ダブルートゥの意志は、またも下策を打つ。
そう、ヒルデが死霊の集合体である巨躯であるというのなら、浄化の光によって鎮圧すればよかったのだ。
だが、それをしなかった。敵は打倒するもの、という認識を改められなかった。
それが敗因である。
「やりなさい、ヒルデ」
迷宮の出口でレナーテがパイプを手頃な腰掛けにして、宙を舞うヒルデへと命ずるのだ。
轟音が響き、オアニーヴの仮面へと大盾が叩きつけられる。たまらずに空中で体制を崩すオアニーヴへと大盾が変じ、再形成によって生み出された大剣が大魔王の仮面であるウームー・ダブルートゥを狙う。
すまじい音がして、大剣による一撃を受けた仮面にひびが入る。その一撃で持って、オアニーヴは地上へと失墜し、さらなる轟音が響き渡らせるのだった。
「融魂の秘術(ブラスフェミー・シュミート)……我が従者の一撃、如何だったかしら?」
大成功
🔵🔵🔵
天御鏡・百々
あれが大魔王の残滓か
人々を傷つけぬために自死を選んだオアニ―ヴの気高き意思を愚弄するヴァルギリオスも、そもそもの原因たる魔王の残滓の仮面も、許せるものではないな
しかし……かの竜を救う手立てはない
なれば、せめて安らかに眠らせてやろうぞ
迷宮に囚われることは避けられぬか
しかし、この絡繰り仕掛けの迷宮であれば……
『神は万物に宿る』を使用し、迷宮内の機械を付喪神に変えてやろう
さすれば道もできるし、付喪神たちは迷路を探索する手助けとなるはずだ
早々に迷路を脱出し
天之浄魔弓(武器:弓)から放つ光の矢にて
あの邪悪な仮面を射抜いてやろう
(破魔79、誘導弾17、スナイパー5)
●神鏡のヤドリガミ
●アドリブ、連携歓迎
アックス&ウィザーズ世界において、群竜大陸はまさにヴァルギリオスと勇者が激突し、相打ちとなった大地である。
だが、そんな大地にあって異質な雰囲気を放つ大地があった。それは、蒸気魔法迷宮であるこの地である。
魔導蒸気機械郡が大地を埋め尽くし、そこで待ち受けるは帝竜オアニーヴ。
その名はアルダワにおいて賢竜オアニーヴとして知られるものである。かつて大魔王と戦いし、優しくも賢き竜オアニーヴ。
だが、その最期は凄絶なるものであった。大魔王の仮面たるウームー・ダブルートゥの呪いによって体を乗っ取られんとし、それを防ぐために自死した最期。
過去の化身、オブリビオンとして、その姿が再現されたのは皮肉というほか無い。
だからこそ、猟兵は対峙する帝竜たるオアニーヴを倒さなければならない。
そう決意し、天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)は、その白き巨躯を見上げる。
「あれが大魔王の残滓か」
見上げる白き竜の6対の翼の神々しくも美しい姿は見惚れるものであったかもしれない。だが、その神々しい姿も、その額を覆う禍々しきオーラを放つ大魔王の仮面が損なう。
それがどうにも許せないと感じるのは百々だけではなかったことだろう。
「人々を傷つけぬために自死を選んだオアニーヴの気高き意志を愚弄するヴァルギリオスも、そもそもの原因たる魔王の残滓の仮面も、許せるものではないな」
「リョウヘイ!リョウヘイ!テキ!テキ!……汝ら猟兵は、我が宿敵。我が贄。我が怨敵である。故に、汝らを滅ぼし、この世界をも滅ぼす……」
そのオアニーヴの言葉はもはや、賢竜ではなく、帝竜としてのオアニーヴの言葉であった。もっといえば、その体を操る大魔王の仮面ウームー・ダブルートゥの言葉でもあった。
だからこそ、百々は歯噛みする。
「しかし……かの竜を救う手立てはない。なれば、せめて安からに眠らせてやろうぞ」
瞬時に百々を囲う大迷宮。やはり、と百々は息を吐き出す。かの帝竜たちは常に猟兵の先手を獲ることができる。
こうして百々を迷宮へと引きずり込んだのは、恐らく時間を稼ぐためであろう。直接戦うことも考えたのだろうが、それよりも猟兵である百々を迷宮にて消耗させたほうが、ヴァルギリオス他、帝竜たちの迎撃準備の時を稼ぐには効率的だと考えたのかも知れない。
だが、どこまで言ってもそれは、大魔王の仮面ウームー・ダブルートゥの考えである。浅慮と言っても良い。
「やはり迷宮にとらわれることは避けられぬか……しかし、このからくり仕掛けの迷宮であれば……」
そうウームー・ダブルートゥは賢竜ではない。もしも、賢竜オアニーヴの意識を少しでも残していたのならば、警告したことであろう。
下策であると。
「さあ、我が同胞達よ。この場のみではあるが、我が神通力を分け与えん」
彼女のユーベルコード、神は万物に宿る(カミハバンブツニヤドル)が発動する。それは、彼女の周辺に在る無機物を付喪神へと変ずる力。
付喪神へと変じた魔導蒸気機械郡は、彼女に従うのだ。そうなれば、迷宮を構成していた障害である機械郡たちは退けられ、付喪神となった彼らは迷宮を探索する手助けをしてくれる。
それはあっという間の出来事だった。百々にとってはあまりにも容易い迷宮踏破。
なぜなら、彼女が神通力を分け与え、迷宮を案内した付喪神たちは最短ルートで迷宮を踏破させてくれたのだ。
「残念だったな、ウームー・ダブルートゥ!お前の策はあまりにも打ち破るに容易い!」
出口から一瞬で飛び出すと、百々は神力による光の矢を、つがえた天之浄魔弓から撃ち放つ。
その一撃は狙いを過たず。
狙うは帝竜オアニーヴの額覆う仮面―――ウームー・ダブルートゥ!
光の矢は一瞬で、大魔王の仮面へと突き刺さる。その痛みに悶え狂うようにオアニーヴの体が空中で身動ぎする。
「一撃で……とは行かなかったか。だが、それでもオアニーヴ、かの白き竜を呪いから解き放たねばならぬ。気高き竜の意志を愚弄した罪、その仮面で持って贖え!」
さらなる光の矢が大魔王の仮面を狙い、徐々にひび割れていく。
その巨躯を失墜させ、呪いからオアニーヴを解き放つまで、百々の戦いは続くのだった―――。
大成功
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ニィエン・バハムート
先制対策で地面(床)に【怪力】を込めた籠手による攻撃を叩きつけながらメガリスからの【衝撃波】を放ち地面(床)を吹っ飛ばします。その吹き飛ばしを盾にしながら万物を切り裂く爪で地面を【トンネル掘り】し、怪力まかせに【高速泳法】で光も風も届かない地中まで一度退避。
掘り起こされる前にこちらのUC発動。大地震により迷宮各所を【部位破壊】してこの厄介な迷宮をぶっ潰します。
そして迷宮の崩壊まではいかずとも異変に乗じて衝撃波を放ち自らの身を瓦礫等から守りながら翼を使用して【空中戦】!
帝竜の頭上まで飛び仮面を【踏みつけ】るように蹴りつけ大地震の力を直接叩き込みます。
これで私は大魔王を足蹴にした最強の竜王ですの!
帝竜オアニーヴは、嘗て賢竜オアニーヴと呼ばれし竜であった。
アルダワにおいて、人々と共に大魔王と戦いし竜の長であったのだ。賢竜とはダンジョンメイカーの名を意味する。
だが、その優しくも賢き竜であるオアニーヴの最期は凄絶なものであった。大魔王の仮面ウームー・ダブルートゥの呪いによって、オアニーヴは洗脳されんとし、そして自死を選んだ。
過去の化身、オブリビオンとして彼が蘇ったことは皮肉であった。彼の呪いに対抗しようとする気高き意志も、オブリビオンによって再現された呪いにより蝕まれるのである。
「タタカエ!タタカエ!……我らが道を阻むものであるというのならば、猟兵であろうと滅するのみ」
白き竜が咆哮する。その額を覆いし禍々しきオーラを放つ大魔王の仮面の傀儡となり、猟兵たちを迎え撃つのだ。
それと対峙した瞬間、ニィエン・バハムート(竜王のドラゴニアン(自称)・f26511)の判断は早かった。
どのような対策をこうじようとも、帝竜は猟兵たちに先制攻撃をくわえることができる。
その神速たる攻撃に防御を講じなければ、一方的にやられるだけだと理解していたからだ。
即座に己の篭手を、その膂力で持って床に叩きつける。さらにメガリスからの衝撃波によって、地面を吹き飛ばす。それは瓦礫ではあるが、彼女を戦意を弱らせる聖なる光から守るには十分な盾であった。
「まだ!これからですわ!」
彼女の腕はメガリスそのものである。それは万物を切り裂く鋭利なる爪。さらにその爪で持って地面を穴をうがつ。
怪力に任せた海をゆく海中生物のように地中へと潜り込んだのは、聖なる光から逃れるためであった。
「カイヒ!カイヒ!……地中まで逃げおおせたか」
風をも届かぬ地中であれば、オアニーヴの先制攻撃は肩透かしを喰らったも同然であった。
「ホリオコセ!ホリオコセ!……ならば、地中より引きずり出すのみ」
ニィエンが地中に潜むのであればと、オアニーヴの巨躯が空高く舞い上がり、急降下する。
それは質量と速度をかけ合わせた爪に依る一撃で地中に逃げ込んだニィエンを掘り起こし、握りつぶさんとする行動であった。ニィエンにとってみれば、初撃を躱した以上、オアニーヴがそう行動することは、予想の範囲であった。
故に―――。
「世界を揺るがす竜王の鉄槌!バハムート・デストラクション!」
彼女は地中にて己のユーベルコード、ナマズのグラグラ大地震(ナマズノグラグラダイジシン)を発動させる。それは鯰の持つ第自身を起こすという、本来であれば空想上の能力を強化再現するユーベルコード。
その大揺れは、地中であってすら彼女の頭上の迷宮を破壊することは容易かったことであった。
それにたたらを踏んだオアニーヴへと地中より飛び出したニィエンが、空に舞う。
「さあ、参りますわよ!帝竜オアニーヴ……いえ、大魔王の仮面ウームー・ダブルートゥ!!」
その空を舞うニィエンは、オアニーヴの巨躯よりもさらに高く舞い上がるのだった。
そんな彼女の姿を見上げるオアニーヴの額覆いし大魔王の仮面が驚愕に瞳を蠢かせる。それを見下ろし、ニィエンは高らかに笑う。
不敵なる笑みを浮かべたまま、その仮面へと叩きつけられるは、大地震の力が込められた踵落とし!
仮面がひしゃげる音がして、その鯰が大地を揺らす強大なエネルギーを叩き込み、その巨躯を崩れた迷宮へと失墜させる。
勝利宣言のようにニィエンの高らかな声が響き渡る―――。
「これで私は大魔王を足蹴にした最強の竜王ですの―――!」
大成功
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マックス・アーキボルト
連携アドリブ歓迎
こんな呪いを賢竜に残してたのか…しかもこの世界に出現して!
止めなきゃ!賢竜を大魔王の呪縛から解き放つんだ!
光る仮面が変化させた凶暴な状態の攻撃は、右グローブの〈念動力〉と〈メカニック・地形の利用〉で周囲の蒸気機械の駆動を早めることで攻撃を逸らすよ!
これで攻撃の機会が上手く作れる筈…
狙いはあの仮面への集中攻撃!
ダッシュで帝竜へ駆け出し、反応して攻撃してきた瞬間を見切り、ジャンプ!
【選択UC】を零距離射撃で打ち付ける!!
たとえ傷つき倒れるのが賢竜もろともだとしても…大魔王!
オアニーヴを苦しめるお前は許さないっ!!
賢竜オアニーヴの姿は、その額を覆う禍々しいオーラによって、帝竜足らしめられていたのかも知れない。
それは大魔王の呪いである。大魔王の仮面ウームー・ダブルートゥの呪いによって、アルダワにおける大魔王と戦っていたオアニーヴは、自死を選ばざるを得なかった。
仮面の呪いにより、己が洗脳され、その爪を、牙を、彼が守ろうとした人々に振るうのを恐れたからである。
そんな彼の決死の自死も、大魔王の仮面の呪いと共にオブリビオンとして蘇ってしまう。それは彼が恐れたことの再現であった。
だからこそ、猟兵は彼を止めなければならない。
そう決意して対峙するのは、かの白き竜が守ったアルダワより来訪せしマックス・アーキボルト(ブラスハート・マクスウェル・f10252)である。
魔導蒸気機械人形である彼に取って、大魔王の仮面ウームー・ダブルートゥの所業は許されざるものであった。
「こんな呪いを賢竜に残していたのか……しかも、この世界に出現して!」
その憤りは最もなことであっただろう。
他者を思いやって、自身の生命すら顧みずに自死を選んだ尊き竜。その白き竜の気高き意志ですら平気で汚す大魔王の仮面の所業に怒りを顕にする。
「止めなきゃ!賢竜を大魔王の呪縛から解き放つんだ!」
マックスは駆け出す。かの大魔王の暴虐を止めなければならない。それは一刻も早く成したい。
何故なら、呪いに依るとは言え、その体を使われ、人々を苦しめるような行いを白き竜であるオアニーヴにさせるわけにはいかないからだ。
しかし、そんなマックスの思いを嘲笑うかのように、大魔王の仮面が禍々しく光り輝く。
「フカノウ!フカノウ!……小さきものよ、それは己の生命を我が贄とすると知れ」
禍々しき光は帝竜オアニーヴの体に超強化された戦闘力と超耐久を齎す。だが、完全なる力の開放は、暴れ馬の如き暴走状態へと導く。
その羽根は一瞬で巨躯をマックスへと弾丸のように飛び込み、強大な爪を振り下ろす。
「―――グッ!」
マックスのグローブガジェットが念動力によって、尋常鳴らざる膂力によって放たれた一撃を受け止める。
だが、その一撃はあまりにも重い。自身の体が軋む音を聞いた。一撃で破砕しなかったのは、奇跡であったかもしれない。
グローブガジェット、精霊の見えざる手による念動力と魔術によって、周囲の蒸気機械の駆動を早めることによって、変幻する地形を利用して、なんとかオアニーヴの攻撃をいなすことができたが、完全に自身の右腕の関節駆動が怪しい音を響かせる。
またあの攻撃を受けて、同じことができるとはとても思えなかった。
―――だからなんだというのだ。
マックスの無限魔心炉が燃える。マキナ・エンジンと呼ばれるマックスの胸に宿る炉心が燃える。
だからなんだというのだと。己はアレが許せないと思った。あの大魔王の仮面。心優しくも賢き竜。
傷つけられる人々を減らそうとした優しさを汚した呪い。それが許せない。
ならば、己がすべきことは、たった一つである。そのために、この炉心(こころ)は燃えているのだから―――。
「マキナエンジン出力全開!エネルギー充填!限界・圧縮ッ!!」
炉心が燃える。己の心を燃やして、溢れ出る激情がマックスの体を駆け巡る。極限まで圧縮された魔力が左腕に装備されたスチーム・アームキャノンへと収束していく。
きっと放てば、砲門は使い物にならなくなってしまうかもしれない。かまうものかと、己を鼓舞する。
迸るエネルギーと共にマックスの体が駆ける。素早く動くものに反応するオアニーヴの体から放たれる爪の一撃を見切り、跳躍する。
眼前にあるは、大魔王の仮面。お前か、とねめつける。
「例え、傷つき倒れるのが賢竜諸共だとしても……大魔王!オアニーヴを苦しめるお前は許さないっ!!」
ごん!とスチーム・アームキャノンの砲門が大魔王の仮面ウームー・ダブルートゥへと突きつけられる。
零距離。この距離ならば避けられまい―――!
彼のユーベルコード、極魔導式:爆心穿杭(マキシマムコード・レイジングパルスバンカー)が放たれる。
膨大なる魔力の圧縮から開放され放たれる一撃は、その巨躯を蒸気魔法迷宮へと叩きつけて尚、大きな衝撃を伴って群竜大陸に余波を放った。
その一撃はマックスの怒りそのものであった。
彼の炉心は未だ燃えている。帝竜戦役は未だ終わりを見せず、また、オアニーヴのような存在がまだいるのかもしれないと思えば、思うほどに……そのこころは燃え盛るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
エルザ・メレディウス
*台詞のアドリブやご一緒される方との連携など大歓迎です
...あなたの呪い...私の剣で払わせて頂きます
■POWを使用します
・相手の先手に対しては、まずは超攻撃を避けなければね。
【残像】を使用して相手の攻撃をそちらに向かうように【誘惑】致します。
私は、【地形の利用】を上手く活かして...物陰に隠れながら相手へ接近致します
・攻撃の間合いに入ったら、UC:ローマンレギオンを使用して、数の多さで相手の超耐久力に対抗いたします。【集団戦術】を心がけて、私はまずは召喚した戦士たちの指揮を行います。その後、状況をみながら、タイミングを逃さずに、私も剣をその手に白王煉獄で敵へ攻撃いたします
それは大魔王の仮面による呪いであった。
それは己に自死を決意させるほどの呪いであった。
なぜならば、己の爪と牙は人々を守るためのものであったからだ。この爪と牙とが、守るべきであった者たちに振るわれることこそ、己の危惧するものであった。
だからこそ、己は自死を選んだ。
―――だと言うのに、己は間違ったのかも知れない。
大魔王の仮面ウームー・ダブルートゥはけたたましく笑う。嗤う。嘲笑う。
「ムダダヨ!ムダダヨ!……汝の願いは、それが故に我が糧になりて、己の爪を振るわんとする」
その願い、思い、何もかもを嘲笑うのは、大魔王の仮面。それは賢竜であったオアニーヴをして破ることのできなかった呪い。
そして今、自死した後にオブリビオンとして再現されたのは、己と、己を苛む呪い。それはかつてオアニーヴが危惧したものの再現であった。
最悪の形で成った再現に嘆く時間すらなかった。
だからこそ、猟兵は疾く動いたのだ。
その呪いを解くことは能わず。ならば、疾く、オアニーヴを開放せねばと。この戦場にある誰もが、大魔王の仮面たるウームー・ダブルートゥばかりを狙っていた。
誰もがオアニーヴの体を傷つけようとしなかった。
エルザ・メレディウス(復讐者・f19492)は、静かに言葉を紡ぐ。必要以上の言葉は、洗脳されたオアニーヴには届かないと知っていたから。
「……あなたの呪い……私の剣で払わせて頂きます」
その言葉は静かに。けれど、確実に剣を、かの大魔王の仮面へと突きつけると宣告したのだった。
帝竜オアニーヴの仮面が禍々しく光り輝く。それは仮面の呪いによって得られる超戦闘能力と超耐久力。
エルザが目を目を見開いた瞬間、オアニーヴの巨躯は彼我の距離を一瞬で縮めていた。ごう、と轟音響いて、その爪がエルザへと振り下ろされる。
だが、それは彼女の残像である。初撃を必ず外さねばならない。それはグリモア猟兵からの情報通りであった。
帝竜は、猟兵に対して必ず先手を獲る。先制攻撃を与えてくることは確実であり、これを如何に躱すかが問題であったのだ。
だからこそ、エルザは己の残像を囮として初撃を見事に躱しきっていた。
「卑怯……とはおっしゃいませんよね……他人の体を奪うことによって戦うあなた……ウームー・ダブルートゥ」
「ザンゾウ!ザンゾウ!……小癪な真似をする」
だが、その戦闘力に翳りはみえない。さらに問題なのは、強化された超耐久力である。これを超えなければ、帝竜を倒すことはできない。
「なれば……数に頼りましょう。ケントゥリオのもとに...ここに」
彼女のユーベルコード、ローマンレギオンにより、掲げられた御印のもとに集うは古代の戦士たち。
一斉にオアニーヴに襲いかかる古代の戦士たちは、一撃で消滅するとはいえ、超耐久力を削るには問題ないようだった。
集団戦を指揮し、エルザは戦場を駆ける。
その巨躯を空より引きずり下ろすは不可能に近いだろう。ならば、己が行くしかあるまい。
「容易であるとは思っていませんでしたが……ですが、私の剣は誓ったのです」
そう、その呪いを払うと。
手にした剣に纏うは炎。彼女のユーベルコードが輝く。それは白王煉獄(ハクオウレンゴク)。その一撃は、過たずに仮面を打ち砕かんとする。
駆ける。駆ける。古代の戦士たちは皆、一撃のもとに消え失せていく。何も無駄にはさせはしない。
そのために彼女の剣はあるのだから。
「参ります―――」
すでに数々の猟兵たちとの戦いによって戦場である迷宮はあちらこちらが、瓦解していたり、大地がめくれ上がるようにして崩壊していた。
その一角、空へと突き出した瓦礫の上を疾駆する。助走、カタパルト、様々な言葉が頭をよぎる。
打算ではなかった。計算ではなかった。成功するかしないか、失敗するかもしれない。そんな考えはエルザの中にはなかった。
あったのは、オアニーヴを呪いから解き放つことだけ。それが仮初に為し得たことであったとしても構わない。
過去の化身であるオブリビオンは再び蘇る。だが、エルザが、猟兵たちがオアニーヴを呪いから解き放ったということもまた、過去になる。
「だとすれば、その過去もまた再現されるでしょう。解けぬ呪いはない、と―――」
瓦礫から飛び出すエルザが宙に舞う。
眼前には大魔王の仮面ウームー・ダブルートゥのひび割れ、穿たれた仮面。それは数多の猟兵達の思いそのもの。
だからこそ、エルザは炎纏いし剣を振るう。
―――その刃は罪を断ち切り、その炎は魂を浄化する。
炎の一閃は、思いを載せて放たれる。
砕け散った仮面と共に帝竜オアニーヴの体は崩れ去っていく。骸の海へと還っていくのだろう。
それを見送ることしかできない。
だが、エルザは前に進む。
帝竜戦役は続く。そして、オアニーヴを振り返ることは、彼自身も望まぬことであろう。
かつて在りし、優しくも賢き白き竜への手向けは、そうすることでしか成せぬのだから―――。
大成功
🔵🔵🔵