帝竜戦役⑦〜洗脳されし賢竜
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アックス&ウィザーズで『帝竜戦役』が開戦して数日。
大地を埋め尽くすほどの魔法蒸気機械群の中へと突入していく猟兵達。
そこで、彼らは2体目の帝竜の姿を確認することになる。
「テキガクルヨ! テキガクルヨ!」
「黙れ……黙れ『大魔王の仮面』よ! 群竜大陸に挑む勇者が現れた以上、貴様の呪いに屈する訳にはいかぬ!」
どうやら、白い巨躯の竜が黒き仮面に力を押さえつけられているようだ。
この白い竜はかつてアルダワ魔法学園において、人類と共に大魔王と戦ったドラゴンの長であった。
『賢竜オアニーヴ』と呼ばれ、叡智と優しさ溢れるドラゴンであったのだが……。
「ムリダヨ! ムリダヨ! ナゼナラバ……汝の願いと希望を、この仮面は糧とするからだ。竜神山脈の長『賢竜ダンジョンメーカーオアニーヴ』といえど、逃れる事はできぬ」
「おのれウームー・ダブルートゥ……封印時に仮面の呪いを受けた私は、このような事態を避ける為に自ら命を断ったというのに……」
苦しむ賢竜。やがて、その意識は徐々に消え去り……。
「センノウカンリョウ!」
不気味な仮面の両目が怪しく煌めき始める。
帝竜となり果てたオアニーヴは必ず先制攻撃を仕掛けてくる。
予め、相手のユーベルコードに対抗する術を用意しておけば、戦いが有利になるはずだ。
オアニーヴは持ち前の竜の力を使って襲い掛かった相手のユーベルコードを封じてしまう他、憑りつく仮面が放つ邪悪な光によって能力を著しく高めて襲ってきたりすることがある。
また、魔導蒸気機械と金属のパイプ群に相手を閉じ込めてしまうこともある。
迷宮の出口は1つしかなく、素早く突破せねば、余計な体力気力を削がれてしまう。手早く脱出してオアニーヴと対したい。
駆けつけてくる猟兵達。
その姿を認めたオアニーヴは大きな白い翼を広げて。
「……さあ、挑戦者共よ。汝らの全てを喰らい、我が糧としよう」
賢竜……いや、帝竜となり果てた白き竜は、挑戦者である猟兵達へと襲い掛かってきたのだった。
なちゅい
猟兵の皆様、こんにちは。なちゅいです。
当シナリオを目にしていただき、ありがとうございます。
アックス&ウィザーズ、戦争シナリオへの参加を願います。
『帝竜戦役』、及びダンジョンマップについては以下のURLのページをご参照くださいませ。
(https://tw6.jp/custom_event/form/9?access_token=96bbdc8dfe6a2d72)
こちらのシナリオは1章構成ボス戦シナリオ、帝竜オアニーヴの討伐を願います。
帝竜オアニーヴは必ず先制攻撃してきますので、いかに防御して反撃するかといった『敵のユーベルコードへの対処法を編み出す』ことが重要です。
敵のユーベルコードの対処法があれば、プレイングボーナスが付きますので、そちらを踏まえてプレイングを手掛けていただければと思います。
●執筆予定
現状は8日夜以降の執筆を予定しています。8日朝8時半までにプレイングを頂けますと幸いです。その後はできる範囲で採用させていただきます。
なお、断章執筆の予定はございません。
シナリオの運営状況はマイページ、またはツイッターでお知らせいたします。
それでは、行ってらっしゃいませ。
第1章 ボス戦
『帝竜オアニーヴ』
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POW : 竜操の仮面
【頭部を覆う仮面が邪悪な光を放つ状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : 賢竜オアニーヴのはばたき
【戦意を弱らせる聖なる光】【光輝く爪による引き裂き攻撃】【六翼の羽ばたきが巻き起こす浄化の風】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : ダンジョンメーカー
戦場全体に、【魔導蒸気機械と金属のパイプ群】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
イラスト:otomo
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アリスティアー・ツーハンドソード
【剣姫】
外道が、嫌な記憶を思い出せる相手だ
力を貸そうお姫様、王子とのコラボレーションだ
アンノットの放った囮を守るために【ブレイクミラー・ホッパーション】を敵の道中に展開、反発力で敵の身体を抑えて『逃げ足』を助ける
時間を稼いでいる間に選択UCを発動
望まぬ戦いを強制されるその怒り、僕が代わりに報復してやろう!
このUCは相手の敵の防御を貫く必要はなく体内に直接刃を発生させる、内側から刃で肉体を固定してやればさすがに傷付くし動きも鈍くなるだろう
それは無論オアニーヴの体内だけではなく、悪趣味な仮面の内側にもだ!
カウンターが決まったら残った【ブレイクミラー】を使ってアンノットと共に素早く離脱しよう
アンノット・リアルハート
【剣姫】
竜を殺す気はなかったけど……これは別ね!
待ってなさい、助けてあげる
基本的にアリスティアーを装備して行動
【メタルハート・ベーゼン】を自動『操縦』させて竜の意識を向けさせる囮にする、【ブラスト・チャージャー】も使って全速力で『時間稼ぎ』
その間にアリスティアーが敵の体内に剣を設置して相手の動きが鈍ったらベーゼンをこちらに向かわせて、『早業』『カウンター』『スナイパー』で投擲した槍を正面からぶつけて選択UCを発動
相手が突っ込んでくる勢いを上乗せしてやればこっちの攻撃も通るでしょう、衝撃で内部の両手剣が砕ければそれだけ傷口を広げられる
魔王はもう死んだわ、安心して眠りなさい
木霊・ウタ
心情
仮面に操られているのか
そんな理不尽
見逃せるかっての
オアニーヴを助けようぜ(ぐっ
迷路
体の地獄の炎の揺らめきから
空気の動きを察知
更にUC発動
対象はオアニーヴな
へへ
戦闘でこれ使うのは初めてだぜ
これで出口まで一直線だぜ
待ってろ
必ず助け出してやるからな
戦闘
噴出する炎を爆炎として跳躍
地獄の炎纏う焔摩天で属性攻撃
仮面だけを狙って薙ぎ払う
敵の攻撃は爆炎の急加速で軌道を変えて躱す
間に合わなければ炎の壁を張りつつ武器受け
当然、仲間も庇うぜ
アウレリア・ウィスタリア
ダンジョンメーカー
アルダワの迷宮のようですね
ですが、出口のある迷路なら問題ありません
魔銃を放ち音を聴きましょう
音の反響を聞き耳で確認し出口を探します
【空想音盤:希望】を発動
音の反響を頼りに最高速で迷路を駆け抜けます
脱出したなら破魔の光を振り撒きつつ
勢いを殺さず敵に、敵の仮面に接近します
大魔王の仮面、賢竜を、彼の希望を汚すなんて
そんな暴挙は赦さない
鞭剣で敵を牽制しつつ
リミッター解除した魔銃へ魔力を込めて
必殺の呪殺弾を仮面に放つ
仮面だけ砕くのは無理だってわかってる
けど、せめて賢竜の誇りは取り戻してあげたい
アドリブ歓迎
ソラスティベル・グラスラン
オアニーヴさま、こんな形でお会いすることになるなんて…!
貴方の物語を知っています、勇者に憧れる上で当然です!
なのに、なのに一言も言葉を交わせないなんて!
【盾受け・オーラ防御】で全力で守りを固めます!
理性を失い攻撃は単調となるはず…ですがまともに受けるは危険!
【怪力】で受け【見切り】受け流すことに努めます!
オアニーヴさまの仮面、そこにいるのですね!大魔王!!
受け流しつつも前進、【勇気】を出してその豊かな毛に飛びつきます!
ゆっくりと、しかし着実に登り頭部へ
オアニーヴさま…ご安心ください、大魔王は既に倒しました
その力を、貴女にも見てほしかったんです
【我が名は神鳴るが如く】――――ッ!!!!
別府・トモエ
「大魔王じゃぁ!大魔王だろ、大魔王だろお前!テニスしろおらぁん!」
と、叫びつつも即座に【ジャンプ】して【空中戦】パワーで出来るだけ高く飛ぶ
地表の蒸気機械から迷路を造ってくるってわかってるんだぜ
「見切ってやんよぉ!」
上空からこっち向けて構成される様子を【視力】で【見切る】
「イクぜ無数の私!分身するテニスを見せてやる!」
そっちだって賢竜さんとやらとダブルスなんだこっちだって分身するよ
見切っヒントを元に皆で出口を探すよ【ダッシュ】で探す
「「「「「見つけたぁ!」」」」」
さぁさ、ようやく試合開始です
【サーブ先制攻撃】と【ショット誘導弾】
反撃は【ラケット武器受け】から【カウンター】
「……まだまだだね!」
尾崎・ナオ
連携アドリブ大歓迎☆
ケラケラと挑発しつつ、全力で馬鹿にする発言をしながら敵の前に。
「大きなドラゴンが洗脳されてるって聞いて! まじだー、あはは、やっぱ頭はトカゲと一緒?」
「ナオちゃんのように美人で可愛くて有能でないと、洗脳されちゃうんですね。かわいそ☆」
一言目からUC発動中。
爆発的に増大させたスピードと反応速度で、敵の攻撃を回避。
第六感で爪の動き、早業でパイプ掴んでパルクールで移動。
ナオちゃんの真の姿は猫。バランス感覚はバッチリですよぉ。
UCスピードそのままに、早業53/クイックドロウ192!
弾薬も拳銃も沢山ありますよぅ!
他の猟兵いたらサポートしあげよう~。
全力可愛いナオちゃんに感謝してよね!
ナハト・ダァト
永久ニ智恵ヲ蓄えタ賢竜、カ
操られテいル以上、確かメられ無イのガ。残念だヨ
竜操の仮面発動後
理性が無い状態を利用した攪乱を行う
技能
全身を発光させて目眩しを行う目潰し
視界をぼやけさせた後は、残像を生み出しながらダッシュと早業で高速移動
視界が回復する度、目潰しを繰り返し
徐々に迷彩を強めていく事で、残像と本物を錯覚させていく
思考が摩耗し、手当り次第な攻撃を繰り出し始めたらユーベルコードが当たる距離まで近づく
そして、本体と入れ替わった残像の迷彩を解き
残像へ意識が向いた瞬間に
早業、ダッシュでだまし討ちの攻撃を繰り出す
攻撃の威力と速度は
限界突破、ドーピング、捨て身の一撃で最大まで高める
そノ仮面ガ、仇ニなったネ
黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流
アルダワの魔王戦思い出すな。さてどの魔王だったかな。
UC炎陽の炎を一点に集中させ、迷路の壁を溶かし抜ける。
数以上に制圧射撃の勢いを利用させれば、金谷子神の炎なら溶かす事も可能なはず。
また溶かせなくとも伽羅の水流をぶつければ金属は脆くなるのでは。
迷路を抜けたら存在感を消し、標的とならないように目立たず敵に接近し、攻撃。攻撃にはすべてマヒ攻撃を乗せた暗殺を仕込む。
攻撃は第六感による見切りで回避を試みるが、回避しきれないものは本体である黒鵺で武器受けしカウンターを叩き込む。
それでも喰らってしまうものはオーラ防御で軽減、かつ激痛耐性でもって戦闘継続を行う。
リネットヒロコ・マギアウィゼルーク
帝竜は『界渡る者』だったと聞きますから~
大魔王の干渉も頷けますが~……
正しい智慧を乗っ取って悪用なんて絶対頷けませんっ!!
巨大ガジェット『ガジェッテスト・ギガンティア』に
搭乗した状態で挑みます~。(※全身絵有)
こちらのUC発動まではアイテム「スケープシープちゃん」で凌ぎまして~
アイテム「ぐるぐるくん」(眼鏡)の透過スキャナ+熱源探知で敵の位置を探ったら、
【ギガント・ガジェット・インパクト】を使用します~!
内蔵したアイテム「マジェット・ガジェット・ブースター」で加速しつつ、
ユーベルコードを打ち砕く必殺パンチで迷宮を貫き、“大魔王”まで一直線に突進、
にっくき仮面に智慧の拳を叩き込んであげますっ!
アリス・フェアリィハート
アドリブや連携も歓迎
オアニーヴさん…
もとはお優しいドラゴンさん
だったんですね…
『もう…元には戻れないのでしょうか…』
【WIZ】
先制攻撃は
自身のバディペットの
『リリー』と『キティ』を
【動物と話す】と【動物使い】で偵察して貰い
自身も【第六感】【情報収集】で
手早く道を探りつつ
蒸気等は
こちらのUCを
迷路を吹き抜ける様に発動し
可能な限り対処
ペット達と共に走り抜けます
対処成功後
自身の魔鍵
『クイーンオブハートキー』での【破魔】を込めた
【精神攻撃】での
【衝撃波】【誘導弾】【全力魔法】等
精神魔法で攻撃
敵の攻撃は
【第六感】【見切り】【残像】【オーラ防御】で防御・回避
『元に戻せないのなら…せめて…傷つけない様に…』
ニコラ・クローディア
帝竜オアニーヴ、その命と共にこの迷宮もらい受ける!
素早く動く相手を己の意志と関係なく無差別に攻撃する、か
まさに呪いだな
「たかが仮面如きに意志を奪われるとは、それでも竜か!」
侮るわけではない、ただ同種として敬えるはずの竜がこうも手籠めにされていることが残念で痛ましい
ならば死による開放を与えるが龍たるオレサマの役目だ
「さぁ、来い。早いのが好きなんだろう?」
龍翼でオアニーヴの頭の高さを飛び回り挑発(存在感・誘惑)
こちらを殴ってきたら…
「そこだっ!」
被弾上等のカウンター
オーラ防御と激痛耐性で耐え抜き、掴むのはオアニーヴの仮面
数十トンを振り回す我が怪力で首をへし折るつもりでブン回す!
アドリブ・連携歓迎
エルザ・メレディウス
・仲間の方との連携時は【集団戦術】を使用して、連携の質を高めます
もともとは賢竜と呼ばれていた敵...そんな敵を斬るのにはためらいはあります
でも、これが唯一の彼を救う方法なら。
せめて尊厳を保った死を...
■POWを使用します
・相手の先制攻撃対策について:【残像】を複数作って、高速移動させながら相手の的になるように、敵の攻撃を【誘惑】します。
UC:影の追跡者も適宜使用して、相手の動き監視しながら、私は相手の死角を【地形の活用】を活かしてゆっくりと敵へ接近していきます
・相手に近づいたら、チャンスを待ちます。まずは、剣刃一閃を使用...その後、白王煉獄で大ダメージを狙います
春乃・結希
勇者と一緒に魔王と戦って、アルダワのために自ら命を…凄い覚悟です
それを洗脳するあなたは何というか…すごくムカつきます!
『with』と共にある限り、私の勝利への意志は揺るがない【勇気】
どんな相手だろうと引いたりしない【覚悟】
だって私は最強だから!
両掌から『with』の重みを感じる事で光に対抗
【怪力】で振るう『with』で爪を受け止める【武器受け】
オアニーブさん、少しだけ待っててね
直ぐに解放してあげるから…!
UC発動
どんな向かい風にも立ち向かう意志を込めた羽撃き
スピードと反応速度で爪を受け流し
怒りを込めた一撃を仮面へ叩き付ける
あなたはの本体はアルダワで骸の海に還しました
この世界からも消えてください
ヴィヴ・クロックロック
美しい毛並みだ。正直言うとあの無粋な仮面が無い時に逢いたかったところだ…偉大な竜よ。…………と言ってももはや聞こえもしない、か。
仮面からの光で強化されるなら話が早い。このお菓子精製装置で光を美味なるおやつに変換してしまおうか。まあ随時発行してるだろうから一瞬しか弱体はしないだろうがそれで充分。兄弟たちを纏って一気に突撃、骨を集めて巨大な屍の槍を形成してその純白の毛並み突き破り喉元を朱に染めてやろう!その後ダイナマイトに火をつけて兄弟たちに埋め込んだら私は離脱。派手に吹き飛べ魔王の仮面!
(アドリブ協調歓迎です)
中村・裕美
「……賢竜……ここの世界の竜ではないのかしら?」
色々詳しい話を聞きたいところだけど、倒すしか無いのよね
とりあえず、敵の攻撃は前衛で体を張ってくれる人に任せ、こちらは電脳魔術でオアニーヴに【早業】で電脳魔術による【ハッキング】【精神攻撃】を仕掛け、洗脳されて封じられてしまったオアニーヴの意識の【封印を解く】
「……抗いなさい賢竜。……そうすれば……私達が……楽にしてあげる」
理性を取り戻させれば、敵の攻撃の手も緩まるかもしれない
「……本当はもっと……スマートな救済方法があれば……よかったけど」
攻撃は【ドラゴニックエンド】でドラゴンランスを投げ、【串刺し】後に召喚した黒竜で攻撃を加える
ディール・コルメ
【戦月】
病原が判ってる分、ちょっと歯痒さはあれど
戦場に情け容赦は不要ってね
ははっ!言ってくれるじゃないか、ユア!
んじゃ――手術を始めようかァ!
移動が取り柄でも
防御が全く出来ないワケじゃあない
ココがアタシの拠点
生命を救う戦場はココに在るってなァ!
UC:タンクキャバリア、発動
先制攻撃の標的になる様にキューを操縦
全方位に【オーラ防御】展開、最大出力で防御を
【限界突破】【リミッター解除】も乗せて
全力で【武器受け】【拠点防御】してみせるさ
隙間を縫って
出来る限り仮面を狙って砲撃も仕掛けてみるかね
賢竜としての意識があったなら、気付いたかもしれない
ま、気付いた時にはもう手遅れだろうよ
――やっちまいな、ユア
月守・ユア
【戦月】
オアニーヴはこの戦いを望んでないんだね?
なら…この戦いから早く出してあげないとだ
人の為に死んだ優しい龍の眠りを返してあげよう
今日はそういう手術だ、ディールさん♪
・オーラ防御
月魄幻影の煙を僕らの身を守るように舞わせる
ディールさんの防御と重ねて二重の盾に!
・呪花と月鬼に武器を換え
相棒が敵を引きつけてる隙に
戦車を踏み台にして高く跳ぶ
こんにちは
そして
サヨナラ
哀れな戦いは終いにしよう
歌唱
聲放ち龍の耳に届けば命を削る呪詛と成り
精神攻撃で蹂躙
UCを刃に乗せて
生命力吸収する捨て身の一撃
傷口をえぐり、龍の命を喰らう
命、もらうよ
きっと願いと共に未来へ運ぶから
今度こそ眠ろう、オアニーヴ
優しく美しい白の龍
●
アックス&ウィザーズ、群竜大陸にある蒸気魔法迷宮。
その中を進む猟兵達は、この迷宮を作り出した白い巨躯のドラゴンと相まみえる。
その顔は怪しい仮面に覆われており、見た目とは異なる異質なオーラがその全身からは漂っている。
「オアニーヴさま、こんな形でお会いすることになるなんて……!」
賢竜オアニーヴと呼ばれたその竜の成れの果てに、オレンジの角、翼、尻尾を生やした人派ドラゴニアン、ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)は衝撃を隠せない。
「貴方の物語を知っています、勇者に憧れる上で当然です!」
それなのに、オアニーヴ自身と一言も言葉も交わすことができぬこの状況はソラスティベルにとってはあまりにも切ない。
「仮面に操られているのか」
地獄化した右半身を持つ木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)が怪訝そうに目の前の状況を確認する。
「オアニーヴさん……。もとは、お優しいドラゴンさんだったんですね……」
その事実を再確認し、水色のエプロンドレスを着用した金髪オラトリオ、アリス・フェアリィハート(不思議の国の天司姫アリス・f01939)も表情を陰らせて。
「もう……元には戻れないのでしょうか……」
本来は慈愛に溢れる竜だったという話もある。
だが、仮面から除く視線からは一切そうした感情を感じさせない。
「勇者と一緒に魔王と戦って、アルダワのために自ら命を……凄い覚悟です」
自由を愛するお嬢様風の根無し草、春乃・結希(withと歩む旅人・f24164)も目の前で起こっているその状況を受け入れられず。
「それを洗脳するあなたは何というか……すごくムカつきます!」
「いくら汝が我に怒りを覚えようが、もはやオアニーヴの体を乗っ取った事実は変わらぬ」
感情を感じさせぬ冷ややかな言葉で、オアニーヴは結希へと言葉を返す。
顔に装着した仮面がその体を完全にのっとってしまっており、賢竜としての一面はまるで感じさせぬ状態だ。
「アルダワの魔王戦思い出すな。さてどの魔王だったかな」
暗殺者用のナイフを本体とするヤドリガミ、黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)は事前情報を合わせて思い出す。
『テキガクルヨ! テキガクルヨ!』
『おのれウームー・ダブルートゥ……』
事前の予知情報で見えたという賢竜と仮面の会話。
『ウームー・ダブルートゥ』というのは、大魔王の最終形態であったはず。
ただ、その仮面の口調は、第一形態『アウルム・アンティーカ』の上の頭を思わせた。
「正直言うと、あの無粋な仮面が無い時に逢いたかったところだ……」
それはさておき、眼鏡着用の緑髪女性、ヴィヴ・クロックロック(世界を救う音(自称)・f04080)は、オアニーヴの美しい毛並みに着目してから、改めて全身を見回す。
「偉大な竜よ。…………と言ってももはや聞こえもしない、か」
「その通りだ」
オアニーヴの体を我が物とし、帝竜としてこの場に君臨する仮面がそれを認めた。
「永久ニ智恵ヲ蓄えタ賢竜、カ」
全身をローブで覆う人型のブラックタール、ナハト・ダァト(聖泥・f01760)は一言呟き、本当に賢竜であるのか、そして、その智恵について直接確認できないことを残念がる。
「色々詳しい話を聞きたいところだけど、倒すしか無いのよね」
ぐるぐる眼鏡をかけた長い黒髪少女、中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)は、例えばこの賢竜がアックス&ウィザーズの竜ではないのかと尋ねたかったようだが。
「帝竜は『界渡る者』だったと聞きますから~、大魔王の干渉も頷けますが~……」
こちらもぐるぐる眼鏡着用、長い緑髪のエルフ女性、リネットヒロコ・マギアウィゼルーク(【魔導科学者】マギア=ウィゼルーク・リネット・博子・f01528)が納得させるような一言を裕美にかけて。
「正しい智慧を乗っ取って悪用なんて、絶対頷けませんっ!!」
リネットヒロコは巨大ガジェット【ガジェッテスト・ギガンティア】を呼び寄せ、それに搭乗して敵の出方を窺う。
傍には、【剣姫】の2人……正確には1人と1本の姿もあって。
王子を自称する両手剣、アリスティアー・ツーハンドソード(王子気取りの両手剣・f19551)は露骨に嫌悪感を示して。
「外道が、嫌な記憶を思い出せる相手だ」
「竜を殺す気はなかったけど……これは別ね!」
某国王女の現身であるアンノット・リアルハート(忘国虚肯のお姫さま・f00851)も仮面に捕らわれたドラゴンを見過ごせずにいる。
「待ってなさい、助けてあげる」
「力を貸そうお姫様、王子とのコラボレーションだ」
意気揚々と【剣姫】の2人が飛び出すと。
「そんな理不尽、見逃せるかっての。オアニーヴを助けようぜ」
ウタも拳を強く握り、別方向へと動き出していた。
「もともとは賢竜と呼ばれていた敵……」
しかし、ややマイペースさも感じさせる黒髪セミロングの女性、エルザ・メレディウス(復讐者・f19492)はそんな敵を切るのに躊躇いも見せていたのだが。
「でも、これが唯一の彼を救う方法なら。せめて尊厳を保った死を……」
それがオアニーヴの為だと割り切り、エルザはこの場の猟兵と【集団戦術】によって協力体制を取って刀を構えて飛び出す。
「……さあ、挑戦者共よ。汝らの全てを喰らい、我が糧としよう」
敵は……帝竜オアニーヴは悠然とした態度で、攻撃態勢を取る。
そして、【戦月】の2人も、始まる戦いに身を投じて。
「病原が判ってる分、ちょっと歯痒さはあれど、戦場に情け容赦は不要ってね」
男性のような服装をしたセイレーンの医者、ディール・コルメ(淀澱・f26390)が戦意を高めると。
「オアニーヴはこの戦いを望んでないんだね? なら……この戦いから早く出してあげないとだ」
月神祀る月守の番人の女性、月守・ユア(月夜ノ死告者・f19326)は確認を取ってから力強く語る。
「人の為に死んだ優しい龍の眠りを返してあげよう。今日はそういう手術だ、ディールさん♪」
そんな相方の言葉に、ディールは微笑んで。
「ははっ! 言ってくれるじゃないか、ユア! んじゃ――手術を始めようかァ!」
テンション高く帝竜オアニーヴへと向かっていくのである。
●
まずは大きく翼を羽ばたかせてくる帝竜。
それは元々から、賢竜オアニーヴが持っていた力を、仮面が使っている状況だ。
「大きなドラゴンが洗脳されてるって聞いて! まじだー、あはは、やっぱ頭はトカゲと一緒?」
それを受けるべく、猫のような横髪の非常に長い黒髪の女性、尾崎・ナオ(ウザイは褒め言葉・f14041)がケラケラと笑って相手を煽る。
「ナオちゃんのように美人で可愛くて有能でないと、洗脳されちゃうんですね。かわいそ☆」
帝竜を馬鹿にするような発言を続け、ナオは自画自賛することで爆発的に自らのスピードと反応速度を高め、戦意を弱らせる聖なる光や羽ばたきによって巻き起こる浄化の風を避けていく。
第六感で相手の光り輝く爪を避け、早業で周囲のパイプを使み、パルクールの要領で周囲を移動する。
「ナオちゃんの真の姿は猫。バランス感覚はバッチリですよぉ」
「まあ、よい……」
どのみち、1人では何もできないと踏んだオアニーヴは次に結希へと狙いを定め、戦意を弱らせようとして。
「『with』と共にある限り、私の勝利への意志は揺るがない」
結希は強い【勇気】を抱き、この戦いに臨む。
そして、相棒である漆黒の大剣『with』を構え、更なる帝竜が発する聖なる光を、決して退かぬ【覚悟】で受け止めて。
「だって、私は最強だから!」
さらに襲い来る攻撃を、結希は【怪力】で大剣『with』を振るって受け止めてしまう。
「まだ、この力を掌握出来てしないのか……」
ならばと、オアニーヴは次にダンジョンメーカーを使い、魔導蒸気機械と金属のパイプ群を生み出してくる。
「魔導蒸気機械と金属のパイプ群……アルダワの迷宮のようですね」
黒猫の仮面で顔を隠す、アウレリア・ウィスタリア(憂愛ラピス・ラズリ・f00068)は、問題ないと判断してその迷宮の踏破にと動く。
魔銃『ヴィスカム-sigel-』を発砲した彼女その反響音を【聞き耳】で確認し、出口を探す。
「こちらですね」
ある程度把握したアウレリアは、ユーベルコード【空想音盤:希望】を発動させて花嫁姿の天騎士に変身し、オラトリオの翼を羽ばたかせて迷宮を突き進む。
その迷宮には他にも数人の猟兵が閉じ込められていて。
「大魔王じゃぁ!」
筋金入りのテニスフリークである別府・トモエ(ミステニス・f16217)は、ドラゴン相手であろうともぶれることなく、テニスの相手を所望していた。
「大魔王だろ、大魔王だろお前! テニスしろおらぁん!」
トモエは即座に【ジャンプ】し、【空中戦】パワーでできるだけ高く跳ぶ。
「見切ってやんよぉ!」
迷宮は地表の蒸気機械で作られている。
上空から彼女は【視力】を活かし、迷宮の構造を【見切ろう】】として。
「イクぜ無数の私! 分身するテニスを見せてやる!」
後は、【分身テニス】によって自らの分身を生み出すトモエは、賢竜と仮面がダブルスを行っているからというテニス理論を展開しつつ、見切ったヒントを元に【ダッシュ】して周辺の仲間出口を探す。
周辺にいた1人であるアリスは、バディペットである『リリー』と『キティ』に話しかけて。
「宜しくお願いしますね」
2体に【話しかけ】、【動物使い】の能力で偵察を託したアリスは、自らも【第六感】と【情報収集】で手早く道を探る。
蒸気などが異常をもたらす危険も示唆したアリスは迷路を吹き抜けるようにとユーベルコード【フラワリーズ・フェイトストーム】を発動させ、可能な限り対処しつつ2体のバディペットと駆け抜けていく。
律儀に迷宮の踏破を行うメンバーも多いが、強引な手段で突破を試みる猟兵の姿もちらほら。
「炎よ、すべてをなぎ払え!」
瑞樹は迷宮の壁となっている蒸気機械へと70以上展開した【炎陽】の炎を一点に集中させることで、その壁を溶かして迷宮を抜ける。
さすがに迷宮の壁は固く、なかなか破壊するとはいかないが、瑞樹は【制圧射撃】の勢いも利用して。
「金谷子神の炎なら溶かす事も可能なはず」
合わせて、水神の竜『伽羅』を呼んで水竜を浴びせかけ、迷宮の壁である金属をもろくしてから壁を高熱で溶かす。
多少骨ではあるが、そうして壁に穴を空けた瑞樹は次なる壁の突破を目指す。
こちらは、『スケープシープちゃん』で身を守っていたリネットヒロコ。
彼女は自身が装着している眼鏡『瓶底眼鏡型多機能デバイス ぐるぐるくん』の透過スキャナと熱源感知を活かし、オアニーヴの位置を確認して。
「悪しき過去を打ち砕くぅ~! 魔導と科学の必殺拳っ!」
彼女はユーベルコードで作られた壁を自らのユーベルコードで打ち砕き、迷宮の突破をはかっていく。
そして、ウタは自らの半身となっている地獄の炎の揺らめきによって空気の流れを察知して。
「影の追跡者(シャドウチェイサー)……対象はオアニーヴな」
戦闘でこのユーベルコードを使うのは初めてというウタ。
これを使い、ウタは出口まで一直線で蒸気機械とパイプの迷宮の突破を目指す。
「待ってろ。必ず助け出してやるからな」
その最中、彼は意識のない賢竜の救出を誓っていた。
うまく敵のユーベルコードを避けていた猟兵もこの場には多く、直接オアニーヴと対峙して攻撃に乗り出すメンバーも。
「帝竜オアニーヴ、その命と共にこの迷宮もらい受ける!」
美少女に擬態した人派ドラゴニアン、ニコラ・クローディア(龍師範・f00091)が相手に言い放つと、帝竜は仮面から邪悪な光を発して力を高めていく。
すかさず、相手の状態を察したナハトが全身を発光させる。
「…………!!」
そうして、彼は相手の目を眩ませ、しばしの間【目を潰していた】。
完全に視界を塞ぐとはいかないが、それでも敵の狙いを十分ブレさせはできるはずだ。
「素早く動く相手を己の意志と関係なく無差別に攻撃する、か。まさに呪いだな」
それがユーベルコード【竜操の仮面】であると、ニコラは察して。
「たかが仮面如きに意志を奪われるとは、それでも竜か!」
ニコラは決して、目の前の竜を侮っているわけではない。
同種として敬えるはずの竜がこうも手籠めにされている事実が残念であり、痛ましく感じていたのだ。
「ならば、死による開放を与えるが龍たるオレサマの役目だ」
龍翼を使い、ニコラは【存在感】と【誘惑】を合わせて相手に自らをアピールし、この場を飛び回り始める。
「さぁ、来い。早いのが好きなんだろう?」
「…………」
すでに、ユーベルコードの影響で理性をなくしていた帝竜は翼を羽ばたかせ、ニコラを追い始める。
ただ、相手が追う対象は彼女だけではなく、この場にいる猟兵全てへと光り輝く爪で強襲していく。
「全力で守りを固めます!」
ソラスティベルは『スチームシールド』を構えた上で【オーラ防御】を展開し、全力で守りを固めていく。
突撃してくる敵の動きを察し、ソラスティベルは正面から受けずに身をそらす。
「理性を失い攻撃は単調となるはず……ですがまともに受けるは危険!」
彼女は【怪力】を活かして【盾で受ける】も、しっかりと【見切って】その攻撃を受け流していた。
続き、理性なく襲い来る帝竜は【戦月】ペアを狙う。
戦車乗りでもあるディールは移動が取り柄であっても、防御ができないわけではないと主張して。
「ココがアタシの拠点。生命を救う戦場はココに在るってなァ!」
ディールが使う【タンクキャバリア】は彼女の改造戦車『機動力特化型:キュー』の【装甲】を強化してくれる。
加え、ユアが【オーラ防御】を……『月魄幻影』の煙で自分達の身を守るように包み込む。
これで、2人分の防御が展開され、2重の盾となるとユアは胸を張る。
向かい来る巨体に対し、ディールも『キュー』の周囲に『オーラ防御』を展開し、最大出力で防御を固める。
やすやす竜の爪で引き裂かれてはたまらない。
ディールはありったけの技能を駆使して装甲に【限界突破】と【リミッター解除】ものせ、全力で【戦車の力を発揮させて相手の攻撃を受け止める】。
そうして、しばしの間【拠点防御】を行い、ディールはこの場を持たせる。
幸いにも、この場には猟兵は数多くおり、数度であれば問題なく戦車『キュー』の装甲は持ってくれるだろう。
その間に、ユアは武器を2本の刃、『呪花』と『月鬼』に持ち替え、自らの攻撃が最大限に発揮できるチャンスを待つ。
帝竜は【剣姫】の2人の方にも飛んでくる。
アンノットは相棒であるアリスティアーを装備し、この場の対処に当たる。
魔法の箒『メタルハート・ベーゼン』を自動【操縦】させ、加えて『ブラスト・チャージャー』で加速させることで、アンノットは素早く動く囮とする。
さらにアリスティアーがその囮を守る為、『ブレイクミラー・ホッパーション』を60枚ほど帝竜の進路上へと展開していく。
その鏡は割れることで強力な反発力を生む。
それによって敵の体を抑えるのがアリスティアーの狙いだ。
アンノットが全速力で魔法の箒を機動出せ、そのの【逃げ足】をアリスティアーが助けることで【時間稼ぎ】。攻撃態勢を整えるくらいならできるはずだ。
あちらこちらへとただ動くものを追尾する帝竜。
その勢いと攻撃力は恐ろしいが、まずは相手の先手を凌がねばならない。
エルザはその対策として【残像】を複数創り出し、高速移動させながら相手の的となるよう敵の攻撃を【誘惑】させる。
これだけの仲間達が周囲に展開していることもあり、1人1人が代わる代わる対処に当たるだけでもかなり楽になる。そうした【集団戦術】の一手として【残像】は役立ってくれるはずだ。
エルザは【影の追跡者】も呼び出して相手の動きを監視し、【周囲の蒸気機械やパイプを使って身を隠しつつ】、ゆっくりと帝竜に接近を試みる。
最初に光を発していたナハトも【残像】を生み出し、【ダッシュ】と【早業】で【高速移動】する。
ある程度時間が経てば、相手の視界も回復していく。
そこでナハトは再び至近で光を放って相手の【目を潰す】。
徐々に【迷彩】を強め、彼は残像と本物を錯覚させようとしていた。
また、この場には、敵の状態に着目した手を打つ者も。
「仮面からの光で強化されるなら話が早い」
ヴィヴが取り出したのは、『光子変換式多目的携帯おやつ精製装置』。
周囲の願望と光を取り込み、食料を精製するという画期的なアイテムである。
随時発光していることもあり、弱体化はさほど長くはもたないとヴィヴも見ていたが、それで十分。
相手がこちらに飛んできたタイミングを見て、ヴィヴは早速装置を起動させる。
すると、この場に出てくる多数のおやつ。
帝竜が少しでも弱体化すれば、ヴィヴは【骸装変異】でその身を覆い、一気に突撃していく。
その骸装は、4体の実験動物ゾンビのパーツを繋いだモノ。
ヴィヴは『骨を集めて巨大な屍の槍を形成』し、相手の喉元へと鋭いひと突きを喰らわせる。
その周囲が朱く染まると、ようやくユーベルコードが解け、帝竜は我を取り戻す……。
「なるほど、さすがは猟兵」
いや、その意識は残念ながら、仮面のままのようだ。
そんな戦線の状況を目にしながら、裕美は電脳魔術を展開し、オアニーヴへと【早業】で【精神攻撃】による【ハッキング】を仕掛けて。
洗脳されて封じられてしまったオアニーヴの意識の【封印を解く】のが裕美の狙いだ。
「……抗いなさい賢竜。……そうすれば……私達が……楽にしてあげる」
そんな一縷の願いを込め、裕美はさらにハッキングを進めていくのである。
●
程なく、蒸気機械とパイプの迷宮に閉ざされていたメンバー達が姿を現す。
「「「「「見つけたぁ!」」」」」
いの一番に飛び出してきたトモエはようやく帝竜と試合ができると『ラケット』を握る。
さすがに相手にテニスのラケットもボールの用意もないが、トモエは問答無用でサーブ先制。
ものすごい速さで動きを止めた帝竜オアニーヴ目がけ、トモエはショット【誘導弾】を放つ。
「くっ……」
相手も光を発してくるが、トモエはそれを【『ラケット』で受け止めて】から更なるテニスボールを【カウンター】として撃ち込む。
「……まだまだだね!」
「弾薬も拳銃も沢山ありますよぅ!」
続けざまに、ナオが多数の『拳銃』や『重火器』から【素早く】弾丸を掃射していく。
止まぬ弾丸の雨に、さすがの帝竜もすぐには動けずにいた。
「サポートしあげよう~。全力可愛いナオちゃんに感謝してよね!」
オアニーヴの体を気遣うメンバーもいはしたが、この場は倒すことが先決。オブリビオンとなった相手は、残念ながら討伐する他ないのだ。
「元に戻せないのなら……せめて……傷つけない様に……」
さすがに、全ての猟兵の作戦を止めるのは難しく、すでにその体に傷も刻まれてはいたが、アリス自身はできるだけ傷つけないようにと魔鍵『クイーンオブハートキー』で【破魔】の力を込めた【精神攻撃】を繰り出す。
【全力】で放たれたアリスの一撃は【誘導】性能付きの【衝撃波】となり、帝竜の体を巣食う仮面の体力を削いでいく。
だが、帝竜の翼を羽ばたかせて反撃を繰り出し、勢いよく風を巻き起こして反撃を行う。
【直感】でそれが来ることを【見切った】アリスが【残像】を伴い、【オーラ】で身を包んでダメージを最小限に食い止めようとする間に、迷宮を破壊したリネットヒロコが現れて。
「智慧の拳を叩き込んであげますっ!」
狙うは、相手の顔面の仮面だ。
加速した彼女は大魔王の仮面を狙い、必殺パンチを打ち込む。
だが、一撃では壊れてくれぬその仮面。
小さく呻いた帝竜が聖なる光を発し、攻め来る猟兵の勢いを削ごうとしてくる。
その間に、【存在感】を消していた瑞樹が【目立たない】ように接敵し、両手の刃『胡』、『黒鵺』に【マヒ】の一撃を乗せて帝竜の身体に刃を刻み、突き入れる。
「こんな攻撃で、我は……」
素早く振るわれる光輝く爪。
瑞樹は【第六感】で空中を薙ぎ払った一撃を【見切って】みせたが、完全には回避できず服を破かれてしまう。
それでも、彼はただやられはせず、【ヤドリガミである自らの本体『黒鵺』で相手の攻撃を受け止め】、しっかりと【カウンター】の一撃を叩き込んでいく。
「う、うう……」
どことなく苦しそうにも見えるオアニーヴの姿。
「少しだけ待っててね。直ぐに解放してあげるから……!」
結希は仮面を狙って何か策を立てていたが、彼女の他にも仮面だけを狙おうとする猟兵は多い。
ウタも仮面だけを狙うが、帝竜の猛攻もあって爆炎の急加速で軌道を変えての回避を続け、なかなか攻撃の機会が得られない。
その時、ヴィヴがダイナマイトに火を点け、屍である兄弟達へと埋め込んでから離脱する。
「派手に吹き飛べ、魔王の仮面!」
次の瞬間、帝竜の頭を大爆発が巻き起こる。
大きく仰け反った帝竜だが、健在の仮面から放たれる光はまだ消えていない。
放たれる光をウタが炎の壁を展開して受け止め、【地獄の炎を纏わせた】『焔摩天』を仮面へと叩きつける。
帝竜の態勢は崩れたまま。そこにアウレリアが追撃をかける。
「大魔王の仮面、賢竜を、彼の希望を汚すなんて、そんな暴挙は赦さない」
彼女は鞭剣状をした『ソード・グレイプニル-thorn-』で一度仮面へと切りこむ。
(「仮面だけ砕くのは無理だってわかってる。けど、せめて賢竜の誇りは取り戻してあげたい」)
【リミッター解除】した『ヴィスカム-sigel-』に魔力と自らの想いを籠め、必殺の呪殺弾を撃ち込んでいく。
度重なる猟兵達の攻撃によってかなり亀裂は入ってきているが、仮面はその形を保ったままだ。
「マ……まだやられはせぬ」
そこで、ニコラが再度敵の視界に入るよう龍翼で飛び回って。
「さぁ、来い。早いのが好きなんだろう?」
「グ……」
仮面は2度、【竜操の仮面】を使おうとはしない。
賢竜はその叡智こそが優れたドラゴンである。
それなのに、理性を失わせてしなうユーベルコードなど、握手でしかないと仮面も悟ったのだろう。
仮面は明らかに判断力を失ってきている。
なんとか賢竜の身体で効果的な攻撃をと策を巡らすが、それより早く猟兵達が攻撃を繰り出す。
「そこだっ!」
相手よりも早くニコラは【カウンター】を叩き込み、ヒビの入った仮面をつかみ取る。
「我が爪、汝を捉えたり」
ニコラは【龍握撃】を使い、帝竜の体を持ちあげる。
彼女は【怪力】でオアニーヴの首をへし折る勢いで、その巨体を大きくブン回す。
やがて、ニコラが帝竜の体を地面へと叩きつけると、すかさずチャンスと判断したエルザが『サムライブレイド』の刃を横薙ぎに一閃させる。
続けざまにエルザは刃に炎を纏わせ、態勢を崩したままの敵の仮面に斬撃を加える。
「グ、グアッ……!」
もはや、仮面本来の声を隠そうともしない。
呻く敵へ、本体と残像を使い分けていたナハトが残像の【迷彩】を解く。
相手がそちらに意識が向いた瞬間、ナハトは【早業】、【ダッシュ】、【だまし討ち】と速度を活かした連撃を喰らわせて。
「そノ仮面ガ、仇ニなったネ」
速度だけでなく、【限界突破】に【ドーピング】、【捨て身の一撃】とできる限り威力を高めて至近から【触腕】を叩き込んでいった。
「マダダ、マダダヨ……!」
声を漏らす仮面だが、オアニーヴの身体の主導権はまだこいつにある。
抵抗を続ける敵は翼を羽ばたかせるが、ディールが操る戦車『キュー』は多少のことではビクともしない。
ディールは仮面を狙って砲撃を行う。
「賢竜としての意識があったなら……。ま、気づいたときにはもう手遅れだろうよ」
ダメージの蓄積もそうだが、それだけでなく、相棒の為の牽制射撃も兼ねて。
――やっちまいな、ユア。
『キュー』を踏み台にして高く跳ぶユア。
――こんにちは、そして、サヨナラ。
ユアはこの哀れなる戦いを仕舞いにすべく、まずは聲を放つ。
それが龍の耳に届けば、命を削る呪詛となり、【精神攻撃】で相手追い詰める。
――その命、もらうよ。きっと願いと共に未来へ運ぶから。
両手の刃に命喰らう呪いを乗せたユアは、仲間のつけた傷を抉って。
――今度こそ眠ろう、オアニーヴ。
――優しく美しい白の龍。
オアニーヴ自身は眠りを望んでいる。
「オイ、マダダ、コレカラダゾ!」
徐々にその動きに精細さがなくなり、仮面は激しく抵抗する。
その時、突然、帝竜が苦しみだす。
「……ナンダト!?」
どうやら、裕美のハッキングが功を奏したようだ。
まだ、表面に賢竜の意識は出てきていないが、僅かでも抵抗してくれているのであれば、猟兵にとってプラスになる。
「……本当はもっと……スマートな救済方法があれば……よかったけど」
「…………の、うちに」
そんな声が猟兵達に聞こえたような気がして。
「オアニーヴさまの仮面、そこにいるのですね! 大魔王!!」
最後まで、オアニーヴとの会話を諦めぬソラスティベルは、仮面の奇襲に注意しながらも、【勇気】を出してその豊かな毛に飛びつき、ゆっくりと頭部を目指す。
「望まぬ戦いを強制されるその怒り、僕が代わりに報復してやろう!」
アリスティアーがオアニーヴの体内、そして、悪趣味な仮面の内側へと無数の両手剣を生み出し、固定する。
体の制御が徐々にできなくなってきていた仮面は、オアニーヴが僅かに体を動かしたことで、その身が切り裂かれる痛みを共有することになる。
「グガアアッ!!」
「ベーゼン!」
そこで、アンノットが周囲を飛び回らせていた魔法の箒を向かわせ、【早業】で投げつけた槍『ノイギーア・シャッテン』を【狙い通り】に投げつける。
相手が動いていることも想定していたが、動きを止めたのであれば好都合と、アンノットは槍を竜の姿へと変え、一気に帝竜の体を蹂躙する。
「魔王はもう死んだわ、安心して眠りなさい」
優しくアンノットが一声かけると、アリスティアーが先程の鏡の破片を使って衝撃を和らげつつ、この場から離脱する。
ただ、それでもなお、仮面が耐え続けているのを見て、頭部へとたどり着いたソラスティベルが呼びかける。
「オアニーヴさま……ご安心ください、大魔王は既に倒しました」
その力を、直に見てほしかった。
ソラスティベルはそんな思いを込め、『蒼雷を纏う大斧』を振り上げる。
同時に、焔の翼を広げた結希もやってくる。
「あなたはの本体はアルダワで骸の海に還しました」
スピードと反応速度で、彼女は最後のあがきともいえる爪を受け流して。
「この世界からも消えてください」
「【我が名は神鳴るが如く】――――ッ!!!!」
怒りを込めた一撃を、思いの丈を込めたソラスティベルの一撃と共にぶつけていく。
ガアアァァ……ッ!!
激しい衝撃がぶつかり、魔王の仮面が砕け散る。
それと同時に、オアニーヴの身体も光に包まれて。
その口が小さく何かを告げ、賢竜はこの場から消え去ってしまう。
それぞれ思うことがありながらも、猟兵達は姿を消した賢竜の跡を見つめて。
人一倍、オアニーヴとの邂逅に心躍らせていたソラスティベルは、嗚咽を漏らしながらしばらくその場に蹲っていたのだった。
大成功
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