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豆と麦と鬼退治

#サムライエンパイア

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●食べたい
「きな粉が食べたい。あと白米に飽いたから麦も」
 それが切っ掛けであった。オブリビオンの姫君は、配下達に大豆と麦の名産地を調べさせる。そして見つかったのが――。
「なるほど、ご苦労。今すぐ食べに参りましょう」
 オブリビオンの姫君は上品な笑みを零し、立ち上がった。姫君が行くことはない、自分達が、と申し出る配下達を鎮める。
「今すぐ口にしたいの」
 だから、この姫が自ら出向くことを――この手で殺されることを、光栄に思いなさい。今を生きる民等よ。

「なんだあれは」
「鬼だ! 鬼が来た!」
 平和な村で、異常に気付いた数人が豆と農具を持って、無数の鬼と対峙する。
「とりあえず豆を投げろ!」
 豆をぶつけられた鬼の動きが鈍る。――効いている? だが多勢に無勢。このままでは、命尽き、村が蹂躙されるのは目に見えている。
「ああ、誰か……」

●麦と大豆
 グリモア猟兵であるスウィートドール・シュガー(甘言・f00081)は、グリモアベースに何人かの猟兵を見つけ、慌てた様子で駆け寄った。
「とても大変なのよ。サムライエンパイアの世界でね、オブリビオンが村を襲うの。数はいっぱい!」
 村を襲うオブリビオンは棍棒鬼の群れ。その棍棒鬼には主がいる。それがオブリビオンの姫君だと、一気に続けた。
「彼女が今回の総大将、麦ときな粉が食べたくて村を襲うみたい」
 この姫君はあまり表舞台には出てこないオブリビオンなのだが、きな粉と麦が食べた過ぎて前線に出てきてしまったらしい。
 主である姫君を倒したら、今後このような事件は減るだろう。しかし棍棒鬼を倒さなければ、姫君には辿り着けない。それほどまでに棍棒鬼は多い。
 まずは軽く棍棒鬼の数を減らす事が先決だ。できれば全滅がベスト。次々と情報をあげていき、スウィートドールは少し息を吐く。
「このオブリビオン達から、村を守って」
 ぎゅう、と。自身の手を強く握りながら、訴える。――できれば、村に被害を出さないで欲しい。
 幸い、村は山に囲まれており、近くに川もある為、オブリビオンが来る方向は一か所。比較的に守りやすい。
 そう言いつつも焦りが見えるグリモア猟兵に、猟兵の一人が問いかければ、俯き呟く。
「……オブリビオンが、もう村のすぐ傍まで迫っているの」
 異常に気付いた村の力自慢が、豆を撒いたり、農具で応戦して棍棒鬼の足止めをしている。無謀だが、それしか手が無かったのだ。
 それを聞いた猟兵の何人かが、素早く身支度を整える。スウィートドールはその様を、縋るように見つめる。
「お願いね、お願いね。村を守って。民を、建物を、田畑を、みんなを、守って」
 あなた達――猟兵が承諾すると、スウィートドールは硬く握っていた手を緩めた。
「麦焦がしときな粉が……麦と大豆が、とても美味しいところなのよ」
 きっと無事に退治が終わったら、ご馳走してくれるわ。節分の豆撒きにも参加できると思うの。
「着いたらすぐ戦闘になるのよ。鬼退治、よろしくね」
 申し訳なさそうに告げるスウィートドール。
 猟兵達はそれぞれの思いを抱いて、オブリビオンを倒しに、村を守りに立ち上がった。


飛鳥湊
 初めまして、もしくはお世話になっております。飛鳥湊と申します。
 今回はオブリビオンの侵略から村を守ってください。鬼退治だ!
 OPでも触れましたが、着いてすぐに戦闘となる為、村での事前準備は出来ません。

 現在数人の力自慢が鬼と対峙中ですが、猟兵が到着次第指示に従い、後退します。
 救った後は御馳走と豆撒きが待ってます。是非、麦と大豆がおいしい村を救ってくださいませ!

 三章からのご参加も歓迎しております。沢山食べて、豆を投げるのです。スウィートドールは、呼ばれなければ出てきません。

●補足
 麦焦がしは、はったい粉とも呼ばれ、落雁などに使われます。ほろほろでうまい。
 麦の加工品は麦焼酎以外ならある。麦焼酎の作り方を教えれば、名産の仲間入りすることでしょう。
 きな粉はご存知、大豆を炒って挽いたものです。大体きな粉があればどうにかなる。
 大豆加工品なら大体この村にある。枝豆もある。節分用に沢山の炒り大豆が手作業で量産されている。
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第1章 集団戦 『棍棒鬼』

POW   :    鬼の金棒
単純で重い【金棒】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    怨念疾駆
自身の肉体を【怨念の塊】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    死武者の助太刀
【落ち武者】の霊を召喚する。これは【刀】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●鬼、来りて
「くそ! 鬼が多すぎる!」
 村の力自慢達は豆を投げ、鍬を振るう。それは畑を耕す為ではなく、敵を追い払うためだ。
 大きな町や藩主に応援を頼みたいが、そこまで自分達が持つとは思えない。このままではみんな死んでしまう。
「誰か、誰か助けを! 子供や老人は避難の準備だ……!」
 悲痛な叫びが響き渡る。助けを――猟兵達の到着を、彼らは待っていた。
シン・ドレッドノート
鬼退治ですね。サクッと倒して、本命の姫様のご尊顔を拝見いたしましょう。

とにかく急いで村人が戦っている場所に駆け付けましょう。
『ノーブルスカーレット』で地上を滑るように疾走、
「エアロモード、チェンジ!」
ウィングを展開し、【天翔ける紅彗星】を発動して一気に目的地を目指します。
「ここは任せて、あなた達は下がってください」
村人たちを下がらせると、鬼たちに銃を向けて見栄を切ります。
「ここからは私がお相手しましょう。さぁ、早くお姫様を出しなさい!」

さすがに多勢に無勢、囲まれては面倒なので、【天翔ける~】を継続して高速移動しながら射撃を行います。
常に敵の動きに注意し、囲まれないよう注意して攻撃しますね。



「エアロモード、チェンジ!」
 シン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)は【天翔ける紅彗星】で、ウィングを展開させた宇宙バイク――ノーブル・スカーレットで現場まで一気に駆ける。
 ノーブル・スカーレットに跨り、滑るように素早く、棍棒鬼と対峙している村人達の前へ出たシン。
「ここは任せて、あなた達は下がってください」
 奇怪な乗り物と美しい相貌の人物に、力自慢達は少しきょとんとしたが、差し出された符を見て拝みながら涙を流す。
「おお、天下自在符……! 助けが来た! ありがてえ、ありがてえ!」
「豆さ、ここに置いときますんで、必要なら使ってくだせえ!」
 村の力自慢達は、安心しきった表情で猟兵の邪魔にならない後方まで下がった。
 村人が安全な位置まで下がったのを見届けたシンは、鬼の大群と向き合う。
「ここからは私がお相手しましょう。さぁ、早くお姫様を出しなさい!」
 銃口を向け、大見得を切って鬼を挑発する。その姿を村人は心強く思い、また拝んでいた。
 シンは【天翔ける紅彗星】を発動したまま、ノーブル・スカーレットで颯爽と動き出す。
 囲まれないように右へ左へ、縦横無尽に高速で移動し、射撃で一体、また一体と倒していく。
 常に敵の動きを見ていたシンは、棍棒鬼の何体かが他と違う動き――何かを召喚しようとしている事に、すぐさま気付く。
「させません!」
 スカーレット・ブラスターで、妙な動きの鬼を最優先に仕留めていく。
「サクッと倒して、本命の姫様のご尊顔を拝見いたしましょう」
 茶化すように、不敵に、シンは笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アドニード・プラネタリア
前衛しまーす♪

ユーベルで(全力魔法)を込めて。
数に圧倒されてね♪

攻撃技能(生命力吸収,2回攻撃,衝撃波,敵を盾にする,範囲攻撃,破魔)のレベルは10以上だよ!
覚悟ゎいいかな?

防御技能(残像,敵を盾にする,盾受け,見切り)のレベルも10以上!
当てにくいよ?

これらの技能を重視して戦闘を行います。

鬼さん、こちら!
手の鳴る方へ♪
出来れば、引きつけたいね♪

ソロでもいいし、連携してもいいかな。
それじゃ、行こうか♪



「前衛しまーす♪ 必神火帝、万魔拱服!」
 シンが縦横無尽にバイクで駆けている頃、アドニード・プラネタリア(天文得業生・f03082)は最前線へ出ていた。
「覚悟ゎいいかな? 数に圧倒されてね♪」
 不遜に笑うアドニードは、【炎の術】を全力で打ち出す。数の暴力には数の暴力を。
 大量に放たれた炎の矢が棍棒鬼を貫き、ごうごうと焼いていく。
 反撃してくる敵もアドニードの見切りや残像で避けられ、味方を攻撃する事に。これは鬼の数の多さを、逆手に取られていたのもあるだろう。
 形を変え攻撃をしてくる棍棒鬼も何のその。倒れた鬼を盾にして、受け流すアドニード。
「はい、残念♪ 鬼さん、こちら! 手の鳴る方へ♪」
 不遜に笑いながら棍棒鬼を挑発し、引き付けて村から遠ざける。
 十分に引き付けたら、衝撃波の出るほど強い範囲攻撃で大量の鬼を滅していく。
 ――村人達は遠くてよく見えないが、無双している猟兵の存在に気付き、また拝んでいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

峰谷・恵
「鎧装騎兵相手に一方向から大量に来るとはね」

敵が密集しているところを狙ってフルバースト・マキシマム(一斉発射、鎧無視攻撃、鎧砕き、2回攻撃)を叩き込んでとにかく敵の数を減らす。砲撃を警戒した敵が散開すれば他の猟兵が倒しやすくなるはずなのでそれはそれで良し。
接近してきた鬼は地形の利用で岩や木を挟んで射線を切って下がりながら熱線銃(2回攻撃、鎧無視攻撃、鎧砕き)で処理する。かわしきれない敵の攻撃はダークミストシールド(盾受け)で受け流す。
死武者の助太刀を使おうとする敵を優先して砲撃に巻き込んで倒し敵の手数を増やさせない。

「豆投げでひるむなら鰯の頭も持ってきて試せばよかったかな?」


阿紫花・スミコ
「おっと、もう戦闘中か!」
戦場につくや否や、スーツケースに手をかける。中から現れたのは、からくり人形「ダグザ」。巨大な棍棒を持つ人形だ。
「さて、力比べといこうか。」
棍棒で敵を薙ぎ払っていく。ただし、敵の動きを読みながら、なるべく一か所に追い込んでいくようにする。頃合いを見て・・・
「これで決まりだ!」
人形を高速回転させて、超重量の棍棒による回転攻撃を放つ!
「ボクの人形に勝てると思ったのかい?」


エルシー・ナイン
「この世界には豆撒きという風習があると聞きました。なんでも、鬼に対して特に効果があるとか。ひとつ、試してみるとしましょう」

【エレクトロレギオン】で呼び出した機械兵器に村人から頂いた豆を搭載し、棍棒鬼に対して投擲させて【時間稼ぎ】させます。

その間にLC9型ガトリングガンに豆をこめて、【範囲攻撃】で棍棒鬼に対してひたすら連射です。
「こういう時は『鬼は外、福は内』と呪文を唱えればいいのでしょうか」
豆が切れたら、熱線銃で牽制しながら後退していきます。

その後は後方から【援護射撃】に徹することにしましょう。


須藤・莉亜
「きな粉か。うん、良いね。ちょっとだけやる気が出る。」

周囲を確認してから、眷属の腐蝕龍さんを召喚。
腐蝕竜さんには、爪で引っ掻き、体当たり、噛みつき、尻尾での薙ぎ払いなんかで攻撃してもらう。

僕は彼の攻撃で隙が出来た敵さんに大鎌で攻撃する。
狙いは首、無理なら手足。
攻撃で隙が出来たら【吸血】も狙っていきたい。

「さあ、僕のきな粉の為に、潔く腐蝕竜さんのご飯になって?」
嫌だったら、僕のご飯でも良いけどね。



「この世界には豆撒きという風習があると聞きました。なんでも、鬼に対して特に効果があるとか」
 ひとつ、試してみるとしましょう、とエルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)。エレクトロレギオンで呼び出した機械兵器達に、村人が置いていった豆を搭載する。
「手伝いましょうかー!」
 村人達が離れた場所から呼びかける。エルシーは危ないからと淡々と――しかし丁寧に断り、村人達から拝まれた。それを少しむず痒く思うエルシー。
 そんなこんなしつつも豆の搭載が終わった機械兵器達は、棍棒鬼に豆を投擲する。べしべしと投げられる豆に怯み、動きの止まる鬼。
 その間にエルシーはLC9型ガトリングガンへと豆を込めていく。
「鎧装騎兵相手に一方向から大量に来るとはね」
 美しい面立ちの峰谷・恵(神葬騎・f03180)は、冷めた表情で棍棒鬼の群れを睨め付ける。
 守りやすい地形とは、即ち攻め難い地形。棍棒鬼の侵攻は単純だった。
 川と山で狭くなった道を密集して進む。そんな状態の鬼達に、エルシーの召喚した機械兵器達が豆を投げて足止めをすれば――渋滞するのは自明の理。
 恵は己の持つ技能を活用し、団子になった棍棒鬼へとフルバースト・マキシマムを放つ。逃げ場を失くした敵の群れは呆気なく貫かれ倒れていく。
 攻撃を逃れて接近してくる棍棒鬼は、エルシーの機械兵器の豆投げで怯ませ、恵が熱線銃で焼いていった。
 減った仲間の分を増やそうと、後方の棍棒鬼達が助太刀を召喚しようとする。
「させないよ」
 恵はそんな鬼達に、再度一斉攻撃を放つ。助太刀も呼べずに動かぬモノへと成り果てる棍棒鬼達。
 見事な一斉攻撃に村人から歓声が上がった。そしてやっぱり拝まれる。
 二回ほど一斉攻撃を撃ち込まれ、後続の棍棒鬼は学習したのか思い思いにばらけ始める。
 棍棒鬼の数体が仲間の仇と言わんばかりに突進し、重い一撃をかまそうと大きく腕を揮う。恵が躱しきれないと判断しダークミストシールドを構えた所で、エルシーの装弾――ならぬ装豆が完了した。
 LC9型ガトリングガンから連射される豆、豆、豆。目に見えないほど速い豆の嵐――弾丸。
「こういう時は『鬼は外、福は内』と呪文を唱えればいいのでしょうか」
 冷静に口走りながらも、エルシーは広範囲へ豆を発射する。鬼は豆に怯えながら貫かれ、倒れ伏していった。
「豆投げでひるむなら、鰯の頭も持ってきて試せばよかったかな?」
 その光景を見ながら恵は嘯いた。村間近の鬼は退治が終わった。残るは少し離れた場所。


 そんな村から少し離れた場所でも、鬼退治は行われていた。
「きな粉か。うん、良いね。ちょっとだけやる気が出る」
 呟くのは須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)だ。周囲を見渡し、被害が出なそうな事を確認すれば、【眷属召喚【腐蝕竜】】で腐蝕竜を呼び出す。
 腐蝕竜は棍棒鬼に体当たりしたり、尻尾をぶん回したりと、棍棒鬼の隙を作るような攻撃をする。
「なんぞでっけえ龍さ出た!」
 わやわやと村の方から声がする。なお、莉亜には見えなかったが腐蝕竜も拝まれていた。
 腐蝕竜の攻撃で隙の出来た棍棒鬼の首を、莉亜が白い大鎌――血飲み子で刎ねる。ごとり。頭の落ちる音。
 首の刎ねられた仲間を見た棍棒鬼に動揺が走った。それを好機と捉え、莉亜は棍棒鬼の血を吸う。そうしてまた隙の出来た棍棒鬼の首を刎ね、難しい時は手足を刎ねて。
 弾き飛ぶ首、手、足。転がって。噴き出す血、吸われる血、血。血。首。其処はさながら、赤い絨毯の舞台。
 腐蝕竜も莉亜と共に舞台で踊る。棍棒鬼を爪で引っ掻いたり、大きく口を開けて噛みついて――棍棒鬼を飲み込んだり。
「さあ、僕のきな粉の為に、潔く腐蝕竜さんのご飯になって?」
 嫌だったら、僕のご飯でも良いけどね。心の中でぽつりと零しながら、棍棒鬼の首を刎ね、腐蝕竜と舞う莉亜。
「おっと、もう戦闘中か!」
 そんな舞台に阿紫花・スミコ(人間の人形遣い・f02237)は現れ、急いで大きなスーツケースを開く。
 中から出されたのは、巨大な棍棒を手にしたからくり人形だ。名はダグザ。
「さて、力比べといこうか」
 ケルト神話の神の名を持つからくり人形を繰り、その棍棒で鬼を薙ぎ払っていくスミコ。
 その動きは豪快だが、棍棒鬼の様子をしっかりと観察していた。一つの場所へと集まるように追い込んでいく。
「腐蝕竜さん、手伝ってあげて」
「ありがとう!」
 それを見ていた莉亜は、何か考えがあるのかと腐蝕竜に指示を出し、追い込みを手伝う。スミコは礼を言いながら、ダグザの棍棒を振り回す。力負けし、後ろへと下がっていく鬼。
 巨大な棍棒と竜の猛攻で、山を背に後退することの出来なくなった棍棒鬼が溜まっていく。
 ――それが頃合いだった。
「これで決まりだ!」
 スミコの【スピニング・スイープ】が発動する。からくり人形のダグザが高速で回転し、鬼を吹き飛ばしていく。
 超重量の棍棒が振り回されれば、それだけで凶器だ。宙へと舞い、地面に叩きつけられる棍棒鬼。仲間とぶつかりぐしゃりと潰れる棍棒鬼。怨念の塊に変化しようとも、高速攻撃には太刀打ちできずぶっ飛ばされる棍棒鬼。
「鬼が吹き飛んどるぞ!」
「ひゃー、ありゃあすんげえなー!」
 またもや村の方から声が聞こえた。恒例行事のように、今回も拝まれていた。
「ボクの人形に勝てると思ったのかい?」
 ふふん、と笑うスミコ。こうして棍棒鬼の群れはほぼ全滅した。

 村の付近も周辺も、鬼を退治し尽くした猟兵達。
 残った数少ない棍棒鬼が、姫君の下へと走っていく。危険を伝える為、姫君を守る為、安全な場所へと姫君を移すため。そんな鬼達も猟兵は仕上げとばかりに、射抜き、焼いて、刎ねて、叩き潰す。――姫君の目の前で。
 そうして、オブリビオンの姫君と猟兵達は相対する。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『怨霊姫』

POW   :    怨霊乱舞
【無数の怨霊の群れ】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    怨霊傀儡
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【怨霊を憑依させることで、自らの傀儡】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
WIZ   :    怨霊家臣団
【レベル×1体の、怨霊武者】の霊を召喚する。これは【刀や槍】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠天御鏡・百々です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●姫の憤り
 オブリビオンの姫君――怨霊姫は唇を強く噛み、扇を固く握りしめる。
 こんな、こんな筈じゃなかったのに! 姫―わたし―はきな粉と麦が食べたくて、食べたくて食べたくて食べたくて、ただそれだけで!
 わざわざ出向いたのよ? この姫が! この手で殺されて死ねるなんて光栄でしょ? この姫の配下に殺されるなんて幸せでしょ?
 こんな閑散とした村、すぐに落とせるはずだったのに! ああ、ああ、にくい。こいつらさえいなければ、全部、上手くいっていたのに――!
 目の前にいる者達が憎い。にくいにくいにくい! ころしてやる。ころしてやるころしてやる、殺してやる!
 この姫を怒らせたらどうなるか、思い知らせてあげましょう。
峰谷・恵
「まさか、自分が殺しに来たんだから喜んで首を差し出すべき、なんておめでたいことは考えて無いだろうね?」

出し惜しめる相手ではないと判断し血統覚醒を使用。
正面からヴァンパイアの力を乗せたMCフォートの弾幕で圧力をかけ続け(MCフォートリロードの間は熱線銃連射で埋める)、常にこちらの攻撃への対応を強いて他の猟兵が側背面から攻撃しやすい状況を作る。
敵が怨霊家臣団を使ったら怨霊武者が動き出す前にアームドフォートの砲撃でまとめて削る。怨霊傀儡で動く死体を作った場合も同じくアームドフォートで対処。
怨霊乱舞を使ってきたらダークミストシールド(盾受け)と他3種防具(オーラ防御、呪詛耐性)で耐えつつ攻撃続行


阿紫花・スミコ
『ワイヤーギヤ』によって、樹木や地面、建造物などにフックをかけ、その巻き取りと、蒸気ガジェット『ヒートロッド』から発した蒸気によって推進力を得て、戦場を駆け回る。
(ジャンプ、ダッシュ、フェイント、空中戦、視力)
隙をみてヒートロッドで攻撃。まずは召喚された怨霊達を各個撃破していく。(属性攻撃)
「力があれば何をしても許されるとでも言いたげだね。・・・でも君が奪われる立場でも同じことが言えるのかな?」


須藤・莉亜
「残念だけど、きな粉は僕の物だよ?」
わがまま姫さんにはご退場願おうか。

召喚した首なし馬(コシュタ)に騎乗して戦う。
怨霊傀儡を使われても、コシュタの体格を活かして、雑魚を吹き飛ばしながら姫さんの首を大鎌で狙おう。

もし腐蝕竜さんがまだ動けるなら、不意をついて姫さんを抑え付けてもらって【吸血】するのも良いかも。

そうでなくても隙があれば【吸血】を狙っていきたいね。

「僕を怒らせたらどうなるか、思い知らせてあげる。...いや、まあ、別に怒ってないけどね。」
ちょっと言ってみたいセリフだっただけ。


シン・ドレッドノート
ふむ…姫を怒らせたらどうなるか、見せていただきましょう。

「見た目は美しいですね。…でも、愛がありません」
スコープ機能をONにした『怪盗の単眼鏡』で離れた場所から姫を確認。
両手で構えた『スカーレット・ブラスター』で、【異次元の狙撃手】による狙撃を行います。
「ターゲット、ロック…狙い撃ちます!」
単眼鏡によって強化した[視力]で、[先制攻撃]の[スナイパー]の一撃を撃ち込みます。

撃った後は位置を特定されないよう、[逃げ足]を活かして速やかに移動。
別の位置から再び狙撃を行います。

怨霊が召喚されたら優先して狙撃、味方の行動を[援護射撃]します。

姫が弱ってきたら心臓を狙い狙撃。ハートブレイクショットです。


エルシー・ナイン
残念ながらこの人には豆は効きそうにないですね。
ならば、普通に殲滅させてもらいましょう。

ブラスターによる【クイックドロウ】で怨霊姫の周囲を駆け回りながら連射攻撃を繰り出します。
反撃の暇など、与えてあげませんよ。
隙があれば【零距離射撃】で渾身の一撃を叩き込みます。

【怨霊傀儡】や【怨霊家臣団】で敵の数が増えたら、姫よりもそちらを優先して対処しましょう。
【範囲攻撃】で【時間稼ぎ】して仲間が怨霊姫に集中できるように敵を引き付けますよ。

ワタシたちを応援して下さる村人さんたちのためにも、ここから先に行かせるわけにはいきません。
きな粉と麦はワタシたちが守ります!



●使役するもの
 出し惜しみできる相手ではないと判断した峰谷・恵(神葬騎・f03180)は、血統覚醒でヴァンパイアへと変身する。瞳は普段と違う真っ赤な――血のような色へと変わり、爛々と光っていた。
「まさか、自分が殺しに来たんだから喜んで首を差し出すべき――なんておめでたいことは考えて無いだろうね?」
 歯噛みし、猟兵達を睨みつける怨霊姫に恵が――真紅の瞳で――軽蔑しきった視線と言葉を向ける。
「何を当たり前の事を仰っているのでしょうね? そう。そうよ、当たり前でしょう? 姫に! この姫に首を差し出すのは当然でしょう!?」
 怨霊姫はその言葉と視線に、悔しげな強い眼光のまま恵を凝視する。ぎりりと奥歯を噛む力も強くなり、絶叫するように喚く。
「残念ながらこの人には、豆は効きそうにないですね」
「姫を鬼風情と一緒にしないで!」
 エルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)の冷静な分析も、怨霊姫の癪に障ったようだ。地団駄さえ踏みそうな形相で、ギロリとエルシーに視線を投げる。
「見た目は美しいですね。……でも、愛がありません」
 恵とエルシーが怨霊姫と問答している間に、シン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)は怪盗の単眼鏡のスコープ機能を起動させていた。
 怨霊姫の、臣下を思い遣る気持ちのない言葉に、愛の無さを確信する。シンは離れた場所から怨霊姫を視認し、両手でスカーレット・ブラスターを構えた。
 怨霊姫の聞くに堪えない戯言に、恵は無言――しかし今にも舌打ちしそうな表情で、ヴァンパイアの力が乗ったMCフォートの弾幕をお見舞いする。
 同じくして、エルシーもブラスターを構え、怨霊姫の周りを駆けながらクイックドロウで連射を仕掛ける。
「きゃあ!」
 怨霊姫は容赦のない弾幕と連射から逃れる為に、倒れ伏していた棍棒鬼へと怨霊を憑依させた。
 息絶えていた棍棒鬼が、首ない棍棒鬼が、拉げている棍棒鬼が、形を保ってすらいない棍棒鬼が、それら全てがぐらりと起き上がり動き出す。中々にホラーな絵面だ。
「ぴぎゃあ!?」
 割と視力のいい村人がうっかりその瞬間を見てしまい、悲鳴を上げた。夢で魘されること間違いなしである。
 傀儡となった鬼達をそのまま弾幕避けの盾にし、残りの傀儡鬼達も自分を守るように配置し始める怨霊姫。これで少しは安心だとにんまりと笑った。――その時だった。
「ターゲット、ロック……狙い撃ちます!」
「いっ!?」
 遠方から【異次元の狙撃手】を用い、紅い光弾を放ったのはシンだ。左肩を貫かれ。小さな悲鳴を上げた怨霊姫は、犯人を突き詰めようと周りと見渡す。しかし、既にシンは逃げ足を活かして早々に移動した後だった。――見つからない、その事実に怨霊姫は憤怒した。
「きな粉と麦はワタシたちが守ります!」
 その隙を突いて怨霊姫の懐に潜り込んだエルシーは、ブラスターで零距離から渾身の一撃をぶち込む。
「かっは……!」
 放たれた熱線に焼き焦がされ、腹部に穴の開いた怨霊姫は目を見開く。腹部を抑えながら反撃しようと傀儡に命令を与えるも、手応えがない。
 どういうことだと、見渡せば傀儡の鬼達は恵の弾幕と須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)が【伝承召喚【首なし馬】】で呼び出した首なし馬のコシュタに蹴散らされ、殲滅させられていた。戦闘力の落ちた傀儡の鬼など、猟兵達の敵ではない。
「残念だけど、きな粉は僕の物だよ?」
 コシュタに騎乗した莉亜の言葉さえ、怨霊姫には挑発にしか聞こえない。
「こんな、こんなこと、こんなの許されない!」
 肩と腹部を押さえ、怨霊姫はがなる。瞳に憎しみと戦意を宿したまま。
 ヒステリックに髪を振り乱し、怨霊姫は怨霊の群れを呼び出し、猟兵達へと差し向ける。
「大人しくこの姫に殺されなさい!」
 そうしたら今までの無礼も許して差し上げましょう! 怨霊姫は傲慢に吐き捨てた。

●守る者たち
 襲い来る怨霊の群れを恵はダークミストシールドで受け流し、喰精紋やコード【神を穿つもの】、空間活動用改造ナノマシンを併用し、耐える。耐えつつも弾幕という攻撃の手は休めずに、怨霊姫のヘイトを集める事に専念する。
 阿紫花・スミコ(人間の人形遣い・f02237)は、予めワイヤーギアで周囲の木々や建造物、地面、岩などにかけていたフックの巻き取りと、ヒートロッドから出る蒸気で推進力と共に高速で移動し、怨霊の群れを避ける。
「ボクを捕まえられるかな?」
 これが彼女の【スリーディメンジョンモビリティ】だ。如何なる攻撃もスミコには届かない。
 ついでに村の方へと怨霊の群れが行かないように、フェイントを仕掛けながら軌道を逸らしていく。
 莉亜はコシュタと共に駆け、その辺に落ちている棍棒鬼改め傀儡鬼を盾にしながら、怨霊姫へと迫る。
「僕を怒らせたらどうなるか、思い知らせてあげる。……いや、まあ、別に怒ってないけどね」
 ちょっと言ってみたい台詞を口にできた莉亜は、大鎌で怨霊姫の首を狙うがあと少しで避けられてしまい、右手を切り落とす。ここぞとばかりに吸血し、もう一度大鎌を揮えば首筋と着物に傷を付けた。
 敵を盾にしたり、地形を活かした逃げ足で攻撃を避けるのはシン。こちらも怨霊の群れをうまいことおびき出し、村へ被害が無いよう努めている合間に、怨霊姫を狙撃し左の太ももを撃ち抜いた。
「ワタシたちを応援して下さる村人さんたちのためにも、ここから先に行かせるわけにはいきません」
 エルシーは怨霊の群れが村に向かわないように立ちふさがりながら、ブラスターを撃ち、時間を稼ぐ。
 それぞれが怨霊の群れに適切な対処をしたお陰で、村に損害はなく。村からは沢山の声援が響く。
 面白くないのは、たった一人。いや、たった一匹のオブリビオン。
「ふざけないで……! 下賤な分際で姫にこんな傷を! 姫の邪魔を、ああ、ああああああ!」
 ばきりと、扇子の折れる音。攻撃で焼けて煤けて刻まれた、血塗れの上等な着物をそのままに、怨霊姫は禍々しい空気を纏う。
「ころせ」
 言葉が零れるのと同時に、四十体は超える武者の霊が現れた。
 恵はアームドフォートを発射し、武者が動き出す前に数体削る。その間にMCフォートのリロードも済ませてく。
 エルシーは怨霊姫の周囲にいる武者に、ブラスターで範囲攻撃をし、武器の破壊をしたりと時間を稼ぐ。
 シンも武者を狙撃しながら、矢を弾いたりと仲間の援護をする。
 エルシーとシンの作った時間や隙を見逃さずに、戦場を自由自在に飛び回り、スミコは武者達を翻弄。飛んでくる矢を華麗に躱し、ヒートロッドで一体ずつ倒していく。隙を見ては怨霊姫に接近し攻撃を当て、また飛ぶように去って。
「力があれば、何をしても許されるとでも言いたげだね。……でも君が奪われる立場でも同じことが言えるのかな?」
 満身創痍の怨霊姫にスミコが問いかける。
「そうよ、力がすべて。姫には力があるの、臣下がいる、だから負けない。姫に許されない事なんてない……」
 うわ言の様に口走る怨霊姫に余裕など、もうある筈もなく。
 莉亜とコシュタは走る。巨大な首なしの馬は攻撃が届く前に、武者を蹴散らし吹き飛ばしていく。そこへもう一度、アームドフォースで砲撃する恵。
「そんな……そんな……」
 四十を超えていた怨霊武者は、今は両手で数えるほどになっていた。その数少ない武者達もエルシーとスミコが確実に落としていく。
 怨霊姫の唇が震える。すかさず恵のMCフォートが浴びせられ、よろける。
「ハートブレイクショットです」
 そこにシンが心臓めがけて正確な狙撃を放った。
「かはっ」
 血を吐き、後ろへ三歩、たたらを踏む。それでも、怨霊姫は踏みとどまった。穴だらけの身体、負けは決まっている。だとしても、怨霊姫は認めたくなかった。――だが。
 残りの武者全員をコシュタで吹き飛ばした莉亜が、怨霊姫の目の前に来ていた。
「わがまま姫さんにはご退場願おうか」
 弾幕に圧倒され、心臓を射抜かれ、それでも意地で立っている怨霊姫。そんな怨霊姫の首を莉亜は白い大鎌で――刈り取った。吹き出る血。それを飲んでいる間に、飛んだ頭は地面に落ちて――。
「ふう」
 恵の瞳の色が普段の黒へと戻った。それが合図になったのか、村からは歓声が沸き上がる。
 ――こうして猟兵達はオブリビオンの危険からまた世界を、人々を救ったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『特産品や名産品を楽しもう』

POW   :    とにかく食べる、飲む。力仕事を請け負う。

SPD   :    器用に食べる、飲む。特産品や名産品の加工を手伝う。

WIZ   :    賢く食べる、飲む。新しい加工の仕方や楽しみ方の提案。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●豆を食え、麦を食え、そして豆を投げろ
「ありがとうごぜえます! ありがとうごぜえます!」
「将軍様の天下自在符に間違いはなかった……!」
「助かりました、かっこいいです、すき!」
 口々に村人たちが猟兵に礼を告げ、感謝の言葉を雨あられと降らせていく。
 いつの間にか村人に囲まれている猟兵達。逃げ場はなかった。
「よろしければ、うちの麦も大豆も食ってってくだせえ!」
「なんもないですけんども、これだけは自慢なんです」
 やいのやいのといつの間にか盛り上がって。
 せっかくだから、節分の豆撒きにも参加してくれだの、なんだのと勝手に決まっていく。
「きな粉は餅だ、餅がいいぞ!」
「きな粉だったらねじりだ。あれがいい」
「醤油や豆腐、味噌なんかもあります!」
「麦を忘れんでねえ、発芽水あめって知っとりますか?」
「はったい粉餅つーのもあってな」
 絶え間なく発せられる言葉に苦笑いが零れる者もいただろう。
 まあ、まずは豆撒きだ!
「鬼は外、福は内っていいながら炒り大豆投げるんです」
「子供も楽しみにしとるんですよ」

 残念ながら、地酒は技術を持つものがいない為、作られてはいない。
 ――が、藩主から今回のお礼にとお酒も届き、食べて飲んで節分する準備は整っていた。
峰谷・恵
「きな粉餅すっごいおいしい」

お祭り騒ぎは不慣れだが人が祭りに興じている雰囲気は好き。

【POW】で食べたり力仕事手伝ったりする。
豆まきのあとはきな粉餅などを食べる。お約束の噛み切れてなくておもちうにょーんもやる。(備考:胸から肉がつくタイプ)
ひとしきり食べた後は力仕事を手伝う(怪力)

※アドリブ、絡みは歓迎で


シン・ドレッドノート
誰とでも絡みオッケーです。
まずは怪我人の手当てを。
【夜明けの不死鳥】で召喚した火の鳥で、怪我の治療を行います。

「さて、気合い入れていきますよ!」
治療が終わったら料理開始。妖刀・紅蓮を振るい、豆腐料理を作っていきます。
まずは湯豆腐。醤油も良いものがありそうですし、持参した昆布で出汁をとって、醤油で軽く味付けして湯豆腐を作ります。
「寒いですし、温まってくださいね」

続いて油揚げの中に納豆と刻みネギを詰め、醤油をかけてあぶったおつまみを。
「大豆を色々な形に変えて、こんな料理も作れるんですよ」

他にも麻婆豆腐など、様々な料理を振る舞います。
あ、料理の時は村の若奥様やお嬢さんにコツを教えながら行いますね。


エルシー・ナイン
先程は鬼相手に聞きかじりの知識で豆撒きをしてしまいましたが、今度は村人に正しい作法を教わって、豆撒きを行いましょう。
中々面白い風習です。スペースシップワールドにも広めてみたいですね。

麦に大豆ですか。ワタシはウォーマシンですので口から栄養を摂取する必要はないのですが、味覚を感じる機能はあります。
せっかく村人たちが用意してくれたものですから、ありがたく頂きましょう。
――これは! ワタシの味覚センサーが反応しています。
これが、美味ということなのですね。
ねじりに発芽水あめにはったい粉餅……みんな食感も違って興味深いです。

ああ、思わず食べ過ぎてしまいました。



●癒して
「まずは怪我人の手当てを」
 シン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)は猟兵が来るまで堪え、傷ついた村の力自慢達の許へと近寄り、【夜明けの不死鳥】を呼び出す。
 現れた火の鳥が振りまく鮮やかで暖かな炎は、人々を傷つける所か優しく包み込み、癒していく。
「はえー、きれいだなぁ……んあ、痛くねえ?」
「お父、腕治っとるぞ!」
「こりゃあ伝説の鳥じゃねえか!?」
 村人は各々、癒えた傷や現れた鳥にわいのわいのと騒ぎ始める。――そして拝んだ。ここの村、何かある度に拝んでいる。
 すっかり元気になった村人達――もとよりなんだかんだ元気だった気もする――を見て、シンは微笑んだ。
「よぉし、おまえらー! おもてなしするぞー!」
 村人の誰かが叫べば、それに応えるように次々と声が上がる。
 猟兵達を村の中へ、どうぞどうぞと若干強引に招き入れ宴会の準備は始まっていく。

●準備
 村の男がよいしょよいしょと杵と臼を運んでいるのを見かけた峰谷・恵(神葬騎・f03180)は、声を掛ける。
「ボクが運ぶよ」
「いやいやいや、お客人で恩人様にそんなことさせられねえ! それにこりゃ結構な重量で!」
 声を掛けられた男は驚いた様子で、ぶんぶんと首を横に振る。その弾みで杵と臼がずるっと手から落ちた。
 それを何でもないような顔でキャッチした恵は、中々の重さの杵と臼を片腕で運び始める。
 そこへ藩主から届いた酒樽をえっちらおっちらと運ぶ娘が通りかかり、恵は娘にも同様に声を掛ける。
「重そうだね。持つよ?」
「い、いえ。大丈夫で……!? 恩人様の方が重そうでは!?」
 片腕に杵と臼を持つ恵を見て、娘は思わず突っ込んだ。
 良いから良いからと、恵は酒樽を持ち上げる。――もう片方の腕で。片腕に杵と臼、片腕に酒樽。それを持ち前の怪力で目的地まで軽やかに運んでいく。
 その様子を男と娘はぽかんと見ていた。通り道の村人も振り返り、二度見していた。
「徳川様の御使いはすげえなぁ……」
「かっこいい……」 
 ちょっとしたファンが出来上がった瞬間であった。
 一方その頃、エルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)はその巨体が気に入られたのか、子供達の遊び相手になっていた。

「さて、気合い入れていきますよ!」
 そしてシンは豆腐料理を作る為、家を一つ借り受けていた。
 切れ味の鋭い包丁である妖刀・紅蓮を振るい豆腐や、他の食材を手際良く切っていく。
 お醤油や豆腐などが必要と聞いた村人が、村自慢の一番おいしいものを準備してくれていた。他にも調理に必要そうな道具や食材は、村にある限りではあるが提供されている。
 家に集まった若奥様や、結婚前の娘、小さな少女までシンの料理教室を興味津々で見つめていた。
 まずシンが着手したのは湯豆腐だ。持参した昆布での出汁をとり、醤油で軽く味付けをしたら完成。
「昆布は洗わずに、さっと拭くのがコツです。さ、どうぞ」
 シンが勧めれば娘たちが湯豆腐を口にし、はふはふと息を漏らす。
「……おいしい!」
 その言葉に麗しい顔を緩めるシン。村の女性陣にクリティカルヒット!
 シンは続いて、おつまみを作り始める。油揚げの中に納豆と刻みネギを詰めて、醤油をかけ炙る。
「大豆を色々な形に変えて、こんな料理も作れるんですよ」
 言いながらまた味見を勧めれば、今度は若奥様達が口にする。
「さくって! ぱりってする!」
「おいしい、こんな料理もあるのね! いつもはお餅か酢飯を入れていたわ」
 続いて味噌を使った和風の麻婆豆腐や、他にも色々な豆腐料理を振る舞っていくシン。
 美味しい美味しいと、味見の筈がどんどんと減っていく料理達。シンは慣れた手つきで追加の料理を作っていく。
 若奥様や、娘達にはコツを教えながら作っていくシン。
「一番大事なのは何ですか?」
「それはやっぱり」
 ――愛ですよ。と、若奥様の質問にシンは笑って答えた。

●豆を撒いて
 すっかり日の暮れた頃、お祭りの準備も終わり豆まきは開催された。
 神棚から取り出した升をエルシーに渡して村人は言う。
「節分の豆はこうやって、升に入れとくんです」
「あのね、あのね、ちゃんとお払いもされてるの!」
 いつも遠い神社からわざわざ宮司さまに来てもらって、大量の大豆をお祓いをしてもらってから炒っているのだと、シンと恵へと升を渡しながら少女は得意げな顔をする。
「季節の変わり目には鬼っつー邪気が生まれるって。それを追い払うんですわ」
 まさか本当に鬼が来るとは思ってもみませんでしたが、と男がガハハと笑う。
「この豆まきで、一年の無病息災を願うんです」
 豆まきで使う豆を福豆と呼ぶ、等と口々に豆まきの雑学のような物を村人達は話し出す。
「まだー? まめまきまだー?」
「よっし、では恩人様方も準備はいいですか?」
 準備万端な子供達がそわそわし始めた。それを見て、村人は猟兵達へ声を掛ける。そうして豆撒きは始まるのだった。
「鬼はー外!」
 掛け声と共に外へと豆を投げる。
「福はー内!」
 今度は家の戸を閉めて、内側へ豆を投げる。
「なるほど。先程は鬼相手に聞きかじりの知識で豆撒きをしてしまいましたが」
 これが正しい作法の豆撒きですか。と、エルシーは頷く。
 恵も先ほどの酒樽の娘と一緒に、力加減をしながら豆をまく。
 升が空になった所で、子供達がワーッと走り出す。手には先ほど撒いた豆。どうやら拾ったようだ。
「あんね、まいた豆、お歳の数だけ食べるの! おんじんさまもどーぞ!」
「年齢よりも一つ多く食べると体は頑丈で、風邪はひかないって言われてるんです」
 子供達が猟兵に豆を差し出す。それに村人が補足を入れた。
「中々面白い風習です。スペースシップワールドにも広めてみたいですね」
 言われた通りに自分の歳の分を口に入れたエルシーは、知識を記憶していく。自身の生まれた世界にも、こういった催しが増えればいいと思った。
 ふむふむと、恵も豆を口にする。
 歳の数だけと言われ、シンはちょっと固まった。見た目と年齢が一致しない者特有のあれこれである。誰にも見られていない内にサッと豆を口に放り込む。四十個を超える炒り大豆は、些かもそもそした。

●そんな日も
 豆まきが終わった後は宴会だ。準備の時に恵が運んだ杵と臼でついた、つきたての餅。
 その餅にきな粉をまぶしたきな粉餅はとても美味しい。
 そんな美味しいお餅を作るのに一役買った恵の口には、きな粉餅がみょーんと伸びていた。お約束の噛み切れずにうにょーんである。さすがつきたてお餅。めっちゃ伸びる。
 その横で子供や娘達も一緒にうみょーんとしていた。その姿を村人達は微笑ましく見守る。
「きな粉餅すっごいおいしい」
 恵はしばらくお餅と格闘していたが、ようやく上手いこと口に収める事ができ、もぐもぐと咀嚼しながら感想を零す。――その言葉に村人は嬉しそうにするのだった。
 恵はお祭り騒ぎに慣れずにどこか落ち着かなかったが、人々が楽しんでる様子に口元を緩ませる。
「せっかく村人たちが用意してくれたものですから、ありがたく頂きましょう」
 エルシーは麦や大豆を調理したものを見つめ、口を開ける。
 エルシーはウォーマシンである為、口からの栄養摂取は必要ない。しかし味覚を感じる機能は搭載されていた。
 きな粉餅をもにゅっと一口。
「――これは!」
 エルシーに衝撃が走った。村人が何かやらかしてしまったかと慌てる。
「ワタシの味覚センサーが反応しています。これが、美味ということなのですね」
 どこか感動したように呟くエルシー。――その顔は微笑を保ったままだったが。
「美味しいですか、それはよかった!」
 村人もほっとしたように、にこにこと笑う。
 もちもちと感慨深げにきな粉餅を完食して、今度はきな粉ねじりを口にする。
 程よい弾力とちょっとした歯応えの不思議な感触。
 お次は発芽水あめを口にすれば、仄かな甘みが口に広がる。
 これもどうぞと村人に勧められたはったい粉餅は、炒った麦の香ばしさと歯切れの良さが素晴らしい。
「ねじりに発芽水あめにはったい粉餅……みんな食感も違って興味深いです」
 これが全て麦や大豆で出来ているなんて。エルシーの手は止まらず、口も止まらず。中々の速さで村の名物を消費していく。
 恵も同じく勧められた名物をもぐもぐと食べていた。
「恩人様方は細いのに、よう食べるねぇ」
 それはもうほくほく顔の若奥様が、羨ましいわ、と笑う。
 その言葉に恵は、一瞬食べる手が止まる。
「全部、胸に行くんだよね。なぜか」
 言いながら、胸に手を当てる恵。思わず視線が恵の胸に目がいく若奥様。――おおきい。特大である。
「いいねえ、おっきいお乳とその体質……私も欲しい……」
 思わず若奥様の口から漏れる声。遠い目をした若奥様の視線は、自分のぺったんな胸と、恵の豊かな胸を往復していた。
「ワタシはウォーマシンなので」
 太ることはありません。エルシーは食べるのを止めずに、淡々と答える。
 ――ウォーマシンがなんなのかは分からないが、太ることはないとの返答に、若奥様の視線がもっと遠くなった。
 そんな若奥様を助けるかのように、声がかかる。
「寒いですし、温まってくださいね」
 シンは村人や他の猟兵へと先ほど作った料理――は結局ほとんど食べられてしまったので新しく作った湯豆腐を渡していく。
 差し出された湯豆腐を食べて、うまいうまいとほっこりする村人達。
 恵と若奥様も一緒食べて、優しい味にほっと一息。エルシーはこれも美味と、口に運ぶ。
 あれもこれも、本当に村人がこれだけは自慢と言う通り、美味しさにあふれていた。
 用意されていた御馳走を全部平らげ、エルシーは我に返る。
「ああ、思わず食べ過ぎてしまいました」
 それはもう見事に、綺麗になった皿を前に村人は満足げに笑みを零すのであった。

●またね
 お祭り騒ぎも終盤となり、恵は立ち上がる。村人の力仕事を手伝おうとしたのだ。
「何かできることはないかな?」
「あ! 力持ちのおんじんさまだ。あのね、あのね」
 気付いた少女が恵へと近寄り、手を引く。それからこっそりと耳打ちをした。
「この炒り大豆ね、いろんなとこにね、運ぶの。毎年! そいでね」
 お馬さんに乗せるの手伝って。と、炒り大豆が入った麻袋を見せる。その重さ、二十貫――大体七十五キログラム。それが複数個。
「おっ父、これ乗せるので毎年腰いわしてるから……」
 おんじんさま、やってくれると嬉しい。と、少女がもじもじとお願いする。
 恵は任せて、とその細腕に麻袋を軽々と持ち上げる。少女はすごいすごいとはしゃいでいた。
 あっという間に荷を積み終わった恵。少女が何度も礼を言う。
 そこへ、不在の恵に気付いたエルシーとシンが呼びに来る。どうやら、もう帰らねばならないらしい。
「ありがとうごぜえました! 本当に助かりました!」
「気を付けて帰ってくださいねー!」
「またねー! また食べに来てねー!」
 村人達の見送りの言葉を背に、猟兵達は村を去る。自分の世界へ戻る為に。
 猟兵の姿が見えなくなるまで、村人達は頭を下げたり、手を振ったりしていた。

 ――今回の事は、小さくも大きな鬼退治のお話として村に語り継がれていくだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月28日


挿絵イラスト