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帝竜戦役⑥〜逃れ得ぬ古戦場

#アックス&ウィザーズ #戦争 #帝竜戦役 #群竜大陸

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●永遠の闘争
 アックス&ウィザーズ世界において帝竜戦役が勃発したことは、喜ばしいことであった。
 深淵へと至る者であるリザ・トレゾアにとって、猟兵や竜種、彼らの扱う魔法は総て興味の対象であった。
 だからこそ、大きな戦いが起こるのであれば、様々な力がぶつかりあい、彼女の目の前にショーのように繰り広げられる。
 それらをつぶさに観察し、己の研究へと役立てる。他者とは自身の知らぬ未知を知るための道具に過ぎず、それ以上の感情など何一つ無い。
「ずぅっと戦い続けることができるからという理由で、この場所を選んだのだけれど……」

 そう、リザ・トレゾアが座すは地獄の古戦場。群竜大陸で死んだモンスターが蘇り、腐汁と共に地上へと降り注ごうとしている。
 そのモンスター軍団の指揮官として座しているのだが、これはこれで単調作業である。
 正直飽きてきたところだ。
 猟兵も古戦場の様々な場所で戦っているようだが、自身の所までやってくる気配がない。
「―――と見せかけて、案外、暗殺を狙っていたりして。なんて、考えすぎかしら。考えすぎでないほうがいいのだけれど」
 ふぁ、と欠伸を一つ付いて、リザ・トレゾアは伸びをする。だが、そののんびりとした表情が一瞬で消える。

 手にした薔薇槍と髑髏杖が一体となった武器を手に取り、立ち上がった。
「言って見るものだわ。猟兵……私が想像するより、ずぅっと戦い慣れしてる!」
 その表情は任されたモンスター軍団の指揮などどうでもいいと言わんばかりに、自身の暗殺を狙う猟兵達の姿を捉えていた。
「うふふ、早くいらっしゃぁい……私の知らない力を、見せて頂戴。そうでなくては、私がここにいる意味なんてないのだから」

●帝竜戦役
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)である。
 一礼をして、帝竜戦役の推移を素直に喜んでいるようだった。戦いにおいて、猟兵たちは次々とオブリビオンたちを撃破し、戻ってきてはとんぼ返りのように戦場へと向かっている。
 その疲れ知らずの戦いに感嘆しているのだ。
「お集まり頂きありがとうございます。新たなる戦いの場……地獄の古戦場へのルートが開かれました。すでに多くの方が戦っておられる場所ですが、無尽蔵に蘇ってくるモンスターたちを倒しているだけではキリがありません」
 そう、多くの猟兵たちが地獄の古戦場にて、蘇るモンスターたちを叩きのめしている。手を止めてしまえば、そのモンスターたちは溢れ、腐汁と共に地上へと注がれてしまう。
 地上に落ちてしまえば、その被害は甚大であろう。
 例え戦役に勝利したとしても、地上に被害が出ては元も子もないのだから。

「はい、ですので、このモンスター軍団を指揮するオブリビオンを撃破してほしいのです。今回、古戦場にあふれるモンスターたちは無視し、如何に素早く指揮官オブリビオンへと接敵するかが問題です」
 素早く指揮官オブリビオンを撃破できなければ、モンスター軍団たちが駆けつけ、指揮官を倒すことは不可能になってしまうだろう。
 そうなれば、モンスターは溢れ、地上へと注がれてしまう。それを阻止するために猟兵たちは如何に素早くモンスターの大群を躱し、指揮官オブリビオンへと到達し、撃破するかを考えなければならない。

「指揮官オブリビオンは、私の予知で分かる範囲では一体……リザ・トレゾアと呼ばれる深淵に至る者です。彼女は膨大な魔力と多彩な魔法を駆使する強敵です。こちらの狙いも即座に看破しているようです……」
 そう、リザ・トレゾアは、猟兵たちが自身を狙い撃ちすることを理解しているようだ。
 だが、それでも猟兵は彼女を討たねばならない。モンスター軍団に特別な指示を出していないところを見ると、こちらを誘い込んで撃破できる自信があるのだろう。

「敵の誘いに乗るようで、不安要素はありますが……それでもこれを打倒して進まねばなりません。素早くモンスター群を躱す、そして、リザ・トレゾアを討つ。この二つをこなす戦いになります」
 そして、再びナイアルテは猟兵に頭を下げる。
 この戦いに地上の人々の安寧が掛かっている。だからこそ、彼女は猟兵たちを信頼で持って送り出すしかない。
 彼女が信じる猟兵たちであれば、この厳しい戦いになるであろう強敵、リザ・トレゾアをも、きっと討ち果たせるのだと信じて―――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『帝竜戦役』の戦争シナリオとなります。

 地獄の古戦場へ進撃し、リザ・トレゾアを打倒しましょう。

 ※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。

 プレイングボーナス……乱戦を潜り抜け、司令官に素早く接近する。

 ※この戦場で手に入れられる財宝について。
 宝物「蓬莱の実」……地獄の古戦場の腐汁の中でのみ育つ、人間の頭部ほどもある、脈打つブドウのような果実です。食べた箇所が再生するという驚異的な特性から1個金貨650枚(650万円)の価値があります。

 アイテムとして発行するものではありません。ロールプレイのエッセンスとして扱ってください。

 それでは、帝竜戦役を戦い抜く皆さんのキャラクターの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 ボス戦 『リザ・トレゾア』

POW   :    マーベリック・ローズ
自身の装備武器を無数の【様々な毒を持つ薔薇】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    ファントム・バタフライ
【背に大きな蝶翅を持つ姿】に変身し、武器「【スピリットローズ】」の威力増強と、【死を呼ぶ嵐風】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
WIZ   :    ファクターコア
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。

イラスト:和狸56

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は十六夜・巴です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 地獄の古戦場に満ちるモンスターたちの行動は一様に動くものに反応するようだった。
 指揮官と言えど、リザ・トレゾアはまともに指揮をする気など無かったようだった。
 ただ、座して己の生命を狙う猟兵を迎えるだけである。
「でも、誰でもいいって言うわけじゃないわよねぇ……この程度のモンスター軍団も抜けられないようであれば、相手をするだけ無駄だもの」

 彼女が求めるは、強力な力であり、未知なる力である。
 もしも、それがこのモンスター軍団を掻い潜ることもできないような力であるのなら、端からいらないのである。
 だからこそ、彼女はモンスター軍団の奥で座して待つ。

「さあ、いらっしゃい。通り抜けてこれたのなら、相手をしてあげる。じっくりと、その力、研究させてね?」
ラモート・レーパー
「結論から言えば問題のオブリビオンをさっさと倒せばいいんでしょ?それならこれに限る」
 離れたところからユーベルコードで隕石を落として攻撃する。相手のところには向かわない。居たら巻き添え喰らって意味ないし。それに天変地異とは自然現象のこと、もしかしたら相手のユーベルコードの支配権も奪えるんじゃないかしら?
 連携・アドリブ歓迎



 帝竜戦役が勃発してから、地獄の古戦場に溢れ出るモンスターたち。
 それは群竜大陸で死した後に蘇ったものたちである。この地獄の古戦場において、彼らは倒されても倒されても大地から噴き上がるようにして、とめどなく溢れ出てくる。
 腐汁と共に限界を迎えれば、モンスター共々、群竜大陸の外……つまりは、アックス&ウィザーズ世界の地上へと注がれてしまう。
 そうなってしまえば、地上に住まう人々は腐汁の腐敗臭と疫病、それに加えて落ちてきたモンスターたちの餌食となることは間違いない。

 だからこそ、一刻も早く地獄の古戦場においてモンスター軍団の指揮を取る指揮官オブリビオンを討たねばならない。
 彼らは己が前面に出てくることは、そう多くない。余程の戦闘狂のオブリビオンや、特別な理由を持った者ではないかぎり、モンスター軍団たちの分厚い壁に守られて突破も容易ではない。
 ここで躊躇っていては、時間が経てば立つほどにオブリビオンにとって有利な状況を生み出す。

 ならば、とモンスター軍団を前にして見据える一人の猟兵がいた。ラモート・レーパー(生きた概念・f03606)である。
 彼女は指揮官であるオブリビオン、リザ・トレゾアへ向かうことをしない。
「結論から言えば問題のオブリビオンをさっさと倒せばいいんでしょ?それならこれに限る」
 ラモートのユーベルコード、大量絶滅(タイリョウゼツメツ)が発動する。
 遠く離れた場所から、かざした手を目標にするかのように天変地異たる隕石を呼び寄せるのだ。
 その巨大なる隕石の一撃は地形を変えるほどの威力を放つことだろう。しかし、その隕石が落ちる光景を見上げるリザ・トレゾアは興味深そうに空を見上げるばかりであった。
 彼女がなんと言ったのか、ラモーとには聞こえなかったし興味もなかったかもしれない。
 
「ここに居て巻き添え食らっても意味ないし」
 わざわざ近づくこともしない。天変地異とは自然現象のこと、もしかしたら相手のユーベルコードの支配権を奪えるんじゃないかと考えた。
 そう思っている内に落とされる隕石。
 その衝撃は凄まじく、地形を変えて尚、そこを不毛の大地へと変える。大穴が穿たれたようにクレーターが出来上がり、数多くのモンスターたちが消滅する。
 しかし、すぐに蘇ってくるモンスターたち。
 腐汁が溢れ出し、一度変えた地形もまた腐汁の受け皿たる湖のような様相となった。

 モンスター軍団が再生を開始したということは、隕石落としはリザ・トレゾアを捉えることはなかったのかもしれない。
 だが、この一瞬の隙とも言うべき時間は後続の猟兵たちに決定的な時間を与えたかもしれなかった―――。

成功 🔵​🔵​🔴​

神羅・アマミ
単騎駆けから大将の首を獲る!
戦場における最上の誉れ、勝ち取らずにいられようか!

配下を統制もせず誘い受けの姿勢…加えて制御の難しい属性攻撃を行ってくるというなら、その三点を踏まえ利用させてもらう!
UC『明転』を発動し、傘一本が持つ汎用性を尽く思い知らせてくれる!

傘の回転と上昇により敢えて敵将の目につく形で空中から一直線に突撃!
配下を巻き込むような形で自然現象を放つようなら目論見通り!
氷ならば傘を逆さに、生地に乗る形で滑り!
炎ならば回転による風圧で【範囲攻撃】の【吹き飛ばし】!
ボスがかえって道筋を作ってくれるような状況に導ければベストじゃな。

間合いに入れば即、無数の刃を飛ばし八つ裂きにしてくれる!



 腐敗した匂いが立ち込める群竜大陸の一角、地獄の古戦場。
 死せるモンスターたちが何度でも蘇り、腐汁と共に溢れ出る禍々しき戦場である。今は猟兵たちがモンスターたちを撃滅し続け、抑え込んではいるが、いずれモンスターと腐汁は古戦場にて溢れ、地上の世界へと降り注ぐだろう。
 そうなれば、地上に在る人々は為す術もないだろう。腐汁は悪臭と疫病を齎し、落ちるモンスターたちは人々を傷つけるだろう。

 だからこそ、今のうちにモンスター軍団を指揮する指揮官オブリビオンを討ち果たし、統制を取らせぬようにしなければならない。
 指揮官となれば、それは大将首である。その言葉に高揚したように声を上げるのは、神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)である。
「単騎駆からの大将の首を獲る!炎上における最上の誉、勝ち取らずにいられようか!」
 彼女の生家は、かつて戦国の世で隆盛を誇り、そして没落した武家である。
 そんな彼女にとって、争乱とは一族の復興を齎すものである。だからこそ、この戦いは彼女の名声を引き上げ、嘗て在りし隆盛を再び己の手によって齎さんとしているのだった。

 第肆歩"目録"。そう名付けられた和傘が開く音が響き渡る。それは戦場においても尚、遠くモンスター軍団の背後に座す、リザ・トレゾアにも聞こえたのかも知れない。彼女の視線が僅かに上がったように思えたからだ。
「配下を統制もせず、誘い受けの姿勢……その傲慢、傘一本が持つ汎用性を尽く思い知らせてくれる!」
 広げた和傘の淵に並び立つは無数の刃。それはまるで丸鋸を思い起こさせるような凶悪な様相であった。
 回転を続ける傘がふわりとアマミの軽く小さな体を空へと舞い上げていく。それは指揮官であるリザ・トレゾアの目に留まった。

「へぇ、ああいうユーベルコードを使うのもいるのねぇ。いいじゃない。空から襲撃しようっていうのなら……」
 アマミの和傘の回転が早まり、まるでオニヤンマの如くスピードで一直線にリザ・トレゾアへと突撃してくる。それを猪突猛進だと侮るのが、リザ・トレゾアである。
 彼女にとってユーベルコードの制御など暴走の危険があるほどにスリルを感じる。
「ファクターコア起動。属性……氷。因子……波。さあ、受けなさい。まさか、それでお終いって言うわけじゃあないのでしょう?」

 瞬間、膨大な魔力から発せられる氷の波がアマミ目掛けて走る。それはアマミとリザ・トレゾアの間に存在したモンスター軍団たちをも巻き添えにして放たれたのだ。
 だが、それはアマミにとっては目論見どおりである。
「掛かったのぅ!わざわざ道を作ってくれてありがとうじゃな!」
 和傘を逆さにして、氷の波で出来た足場を滑走するように、リザ・トレゾアへと肉薄していく。
 ささくれた氷の波も、和傘に展開された無数の刃によって削られ、氷雪が戦場に降り注ぐように舞い散る。
 彼女のユーベルコード、明転(アカテン)である。なめらかにスピードを上げ、一気にリザ・トレゾアへと迫れば、彼女もまた薔薇槍を構えて迎え撃つ。

「百花繚乱、剣山刀樹!玄妙にて幻惑せし荘厳なる紅き華の刃を、其方の血煙でもってより鮮やかに彩ってくれようぞ!死ねーッッ!!」
 アマミの和傘が丸鋸のように回転し、薔薇槍で受け止める。しかし、丸鋸の回転は増すばかりであり、一気に柄を削りきりリザ・トレゾアの体を捉える。
 魔力障壁が一気に削られ、彼女の柔肌に傷を追わせていくのだ。

「魔法じゃあないけれど、そういのもあるのね―――」
「間合いに入らせたお主の負けじゃ!その大賞首、貰い受ける!」
 再び振るわれる和傘の一撃。
 再び魔力障壁が張られるも、和傘の一撃はさらに障壁を一気に削って消耗させていく。
 リザ・トレゾアの計算違いは、アマミの持つ和傘とユーベルコードの親和性の高さであった。
 アマミが言うように、傘一本、その汎用性によってリザ・トレゾアの魔法を尽く打ち破った結果であった―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
可愛い子ちゃんでござるねうわぁい!

こうも乱戦だとね、アレが来るでござるよ
特に派手な魔法戦や爆発があれば…ほら来た【物理演算の神】がお怒りだ!【お戯れのバグ】が来るぞ!
うわっ猟兵や雑魚が土遁したり天に飛ばされたり…道が空いてる内に進むか
戦争に犠牲はつきものデース

魔女っ子が先に仕掛けるのを待ちますぞ!迂闊に動くと神が怒るからな!
面白可笑しい自然現象なんかだしたら…ほら見ろ!負荷が重すぎて神が怒り狂っておる
関節が異様な方向に曲がったり
上半身だけブレイクダンスしたり
自然現象も物理現象なら神の管轄故に術者に被害を与えますぞ!

そして最後は拙者も神からは逃れられない…拙者も魔術師だからそういうの分かっちゃう



 リザ・トレゾアの容姿は、腐臭立ち込める地獄の古戦場において一輪の花のようなものであったのかもしれない。
 はたまた掃き溜めに鶴。
 だからといって、彼女が際限なく蘇るモンスター軍団の指揮官オブリビオンであることは変わりようがない事実である。だからこそ、疾く彼女を討ち果たし、このモンスター軍団の統制を乱さなければならない。
 もしも手間取るようなことがあれば、この地獄の古戦場から溢れ出る腐汁とモンスターたちは、群竜大陸からこぼれ落ち、疫病やモンスターを地上へと降り注がせることだろう。
 そうなれば、地上には疫病蔓延り、モンスターは人々を傷つけるだろう。

「可愛い子ちゃんでござるねうわぁい!」
 だが、そんな悲壮感とは無縁とでも言うのだろうか、エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)は場違いなほどに明るい声を上げていた。
 姿こそは歴戦の強者めいた傭兵の姿。だが、言動が残念なラが一致しないのである。それが敵を油断させるための演技であるのかも知れないが、真偽は果たして。
「こうも乱戦だとね、アレが来るでござるよ!特に派手な魔法戦や爆発があれば……」
 とエドゥアルトが見つめた先にあったのは、先の猟兵立ちとの戦い。ああ、やっぱり!とエドゥアルトが頭を抱えた。
 それは彼のユーベルコード、神の怒り(カミノイカリ)である。
 しかし、発動したという感覚は彼にはないのだろう。何故なら、気まぐれの如き唐突さで降臨した物理演算の神。
 その姿の威容は光によってわからない。だが、彼には分かる。完璧にアレはお怒りになってるやつだ!と。

「ほらねー!やっぱりでござるよ!お戯れのバグが来るぞ!」
 そう言った瞬間、地上のモンスター軍団がまるで土遁を受けたように土埃を上げて空へと飛ばされたり、地面が割れたりともうしっちゃかめっちゃかである。
 これ、どう考えても他の猟兵にも迷惑かかるやつじゃね……?と一瞬彼の頭に思い浮かんだものの、彼は微妙な笑顔で納得するのだ。
「戦争には犠牲はつきものデース!」
 そういうものなの!?と誰も突っ込まない。だって、今戦いの最中であるし、誰も気がついてないからね。仕方ないね。物理演算の神が引き起こすバグによって、混乱する戦場を今のうちにと、そさくさと進むエドゥアルト。

「へぇ、こういうのも喚べちゃう猟兵もいるのねぇ?」
 げぇ!リザ・トレゾア!!
 ぎくりとエドゥアルトが振り返る。はろー可愛い子ちゃん。なんていってる暇はない。
 彼女から放たれた炎の竜巻がエドゥアルトを襲う。
「ヒェッ!いきなり情熱的でござる!拙者モテモテでござるな!って、あー!」
 炎の竜巻に巻かれるように攻撃を躱し続けるエドゥアルト。逃げ回ってばかりで、攻勢に出ない。
 何故なら、それは彼が狙ったものであったからだ。そう、うかつに動くと呼び出した物理演算の神の怒りを買うと、彼はこれまでの経験上わかっていたのだ。
 だからこそ、彼は回避に専念する。避け続ける。そうすることによって……。

「ほら見ろ!不可が重すぎて神が怒り狂っておる!関節が変な方向にカクカクしてたり、上半身だけブレイクダンスしたり!」
 うわ、こわっ。
 そのあまりの怒りっぷりに流石にエドゥアルトも青ざめる。これ、もしかして、リザ・トレゾアも拙者も巻き添えになるパティーンじゃね?
 ちら、とエドゥアルトは怒れる物理演算の神を見やる。もしかして?

 イエス。

 そんな声が聞こえた瞬間、地獄の古戦場に貢献度という謎システムと謎のモンスター軍団が現れ、同士討ちのようにどうしようもない泥仕合が展開される。
 これぎりぎりやつー!
「拙者も神からは逃げられない……そういうのわかっちゃう。だって拙者も魔術師だからね……」

 あっけにとられるリザ・トレゾアと共に、エドゥアルトもまた物理演算の神の怒りに巻き込まれていく。
 古戦場から逃げるな。
 謎の格言を残し、物理演算の神の怒りが静まるまで、戦場は混乱を極めたのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
A&Wの人々の安寧を護る為、為すべきことを為す
私の騎士道とはそういう物です
時に手段は選びません

機械馬に●騎乗し突撃
物資収納スペース内の煙幕手榴弾で●目潰ししながら敵を●踏みつけランスで●なぎ払い突破
此方はセンサーでの●情報収集で周囲を探知

指揮官とお見受け…いえ、指揮はとっておられないご様子
ですが討ち取らせていただきます

馬から飛び降り敵が攻撃態勢を取る前に格納銃器での●だまし討ちで回避行動を取らせ
●怪力でランスを●投擲、敵将の杖を●武器落とし
ワイヤーアンカーでの●ロープワークで奪取

力の行使に発動体が必要なようですね、封じさせてもらいました

UCで捕縛し、剣を一閃

研究へのお付き合いはご遠慮いたします



 腐臭溢れる地獄の戦場は、その特性から際限なく死せるモンスターたちが蘇ってくる異様なる土地。
 腐汁は腐敗臭を充満させ、戦場の空気はいつまでもとどまっては居れぬほどであった。死せるモンスターは倒しても倒しても蘇ってくる。
 だからこそ、このモンスター軍団を指揮する指揮官オブリビオンを打倒し、統制の取れぬモンスターたちを一掃しようと言うのだ。
 しかし、この不浄なる土地において、人の嗅覚というものは還ってマイナスへと働いたことだろう。
 環境の変化に敏感に反応するために発達した嗅覚が仇となるのだ。腐臭はそれだけで疫病を運ぶかのようなすさまじい匂い。それを前にして猟兵と言えどためらうこともあるかもしれなかった。

 だが、それを物ともしない者もまた猟兵には存在した。ウォーマシンたる身に嗅覚は関係がない。そう、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)はウォーマシンであるがゆえに人の身であれば躊躇うような匂いの中で遭っても通常と変わらない戦闘行動を行えるのだ。
「アックス&ウィザーズの人々の安寧を守る為、為すべきことを為す。私の騎士道とはそういうものです」
 そう、それが彼の持つ騎士道である。弱きものを守る。時にそれを為すためには手段を選ばない。例えそれが騎士らしくないと言われようとも、守られる生命があるのであれば、それを為すのだ。

 トリテレイアは機械馬、ロシナンテⅡへと騎乗する。
 モンスター軍団を躱し、指揮官オブリビオンであるリザ・トレゾアを目指すためには、この装備が相応しいと判断したのだ。
 物資収納スペース内に装備した煙幕手榴弾を放ち、モンスター軍団の視界を奪う。ここに来て細かい攻撃は必要ない。
 そのためのロシナンテⅡである。ウォーマシンの巨躯ですら悠々と載せ、駆けることが出来る機械馬は、もはや戦車と同じである。
 一気に蹴散らすように馬上槍たるランスと共にモンスターを蹴散らし、踏みつけ、蹂躙しながら駆け抜けるのだ。

 トリテレイアのセンサーが異物を捉える。それはモンスターの動体ではない、別の何か。
 そう思った瞬間、彼のアイセンサーが捉えたのは薔薇の花弁であった。
「マーベリック・ローズって言うの。私の綺麗な薔薇。こんにちは、素敵な機械騎士さん」
 そこにあったのは、薔薇槍を彼女のユーベルコードによって薔薇の花弁へと変えたリザ・トレゾアの姿だった。
 バラの花弁から即座に距離を取るトリテレイア。それは彼のセンサーに尽く劇薬としての反応を示していた。彼に効くとは思えないが、オブリビオンが使う劇薬と同じ毒物を含んだ薔薇である。
 金属に何かしらの影響を引き起こす可能性だってあるのだ。

「……指揮官とお見受け……いえ、指揮は取っておられないご様子。ですが、討ち取らせて頂きます」
 機械馬から飛び降り、リザ・トレゾアへと格納銃器による斉射を放つ。即座に飛び退るリザ・トレゾアへと、トリテレイアはランスを投擲する。
「―――あんっ。乱暴な殿方。騎士らしくなくってよ?」
 ランスが狙い過たずに骸骨杖を叩き落とし、ワイヤーアンカーによってそれを奪い取る。彼女の武器たる骸骨杖を奪い取れば、薔薇の花弁がリザ・トレゾアの手に集まり、薔薇槍へと姿を変える。
「力の行使に発動体……この杖が必要なようですね、封じさせてもらいました」
「その機械の体、とても興味があるわ。発達した科学は魔法と変わらない。なら、その体を突き動かしているのは何かしら?魂?記憶データ?それともプログラム?」
 興味があるわ、と薔薇槍を手に迫るリザ・トレゾア。
 それをばっさりと切り捨てるように、トリテレイアのユーベルコード、腰部稼働装甲格納型 隠し腕(対UC拘束モード)(ワイヤード・サブ・アーム・スタンモード)が発動し、ワイヤーから流れ出る特殊電流にてリザ・トレゾアの体の動きを止める。

「ガッ―――?!」
 そして、一瞬の隙を逃すトリテレイアではない。剣によって一閃し、魔力障壁を切り裂き、リザ・トレゾアへと痛手を追わせるのだ。
 静かにトリテレイアは言う。それは静かなる拒絶であった。

「研究へのお付き合いはご遠慮いたします」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハロ・シエラ
なるほど、中々厄介な相手の様ですね。
ですが、部下の扱いに関してはさほど気を払っていない様子。
危機感を持たれない内に潜り抜けましょう。
まずはとにかく【ダッシュ】です。
【第六感】で、敵勢の手薄なルートと攻撃の予兆を察知し、傷付くのを避けながらボスに近付きます。
場合によっては剣による【カウンター】で邪魔を排除する必要もあるでしょう。
さて、ボスの所に辿り着ければ本番です。
薔薇の花弁を全部回避するのは難しいでしょうから【オーラ防御】と【毒耐性】、そして【激痛耐性】で耐えながら最短距離で突っ込みます。
後は浅くでも突きが通れば構いません。
ユーベルコードで魔力を流し込み、爆破してやります。



 際限なく溢れる腐汁とモンスター軍団。
 それは猟兵たちにとって、ある意味時限爆弾そのものであった。
 帝竜戦役が始まって以降、この地獄の古戦場には死せるモンスターが溢れていた。それだけであるのならば、まだよかったのだろうが、腐汁もまた泉のように湧き出し古戦場に溢れ出していた。
 もしも、この腐汁とモンスターが群竜大陸からこぼれ落ち、地上へと注がれれば、地上の人々に疫病が蔓延り、モンスターは人々を傷つけるだろう。
 そうはさせぬために猟兵たちも奮闘しているのだが、際限なく蘇ってくるモンスター軍団は、容易く排除できるものではない。
 それ故に、モンスター軍団を統率する指揮官オブリビオンを疾く討たねばならないのだ。

「なるほど、中々厄介な相手のようですね。ですが、部下の扱いに関しては、然程気を払って居ない様子」
 この戦場の指揮官オブリビオンであるリザ・トレゾアは、配下であるモンスター軍団に感心を持っていないようであった。
 ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は、即座にそう断じた。リザ・トレゾアは、猟兵に対して危機感を持つというよりも好奇心のほうが強い様子であった。
 ならば、危機感を持たれてしまう前にモンスター軍団をくぐり抜け、彼女に肉薄するしかない。

 即座に行動を起こすハロ。第六感とも言うべき勘によって彼女はモンスター軍団の手薄な一角とルートを割り出す。その練度は、彼女の過去を鑑みればうなずけるものであったのかもしれない。
 彼女の戦い、生存する確率とでも言うべきか、奇跡のような確率を引き当てる力は本物であった。
「最速最短のルートを……一気に駆け抜けます!」
 彼女は黒髪をなびかせながら、モンスター軍団の間隙を縫うように駆け抜ける。多少の負傷は覚悟していた。
 モンスターの攻撃は無視する。今はこの唯の壁でしかないモンスター軍団をかいくぐり、指揮官オブリビオンであるリザ・トレゾアへと迫らなければならない。

「さあ、これからが本番です!」
 目の前にはリザ・トレゾア。彼女は興味深そうにハロを見つめている。何を、とたじろぎそうになるほどの美貌。
 それは彼女に対する好奇心が視線に乗って、ハロを舐め回すようだった。ぞわりと悪寒が走る。彼女の実力もそうであるが、底知れぬ深淵に立たされているような、居心地の悪さ。
「へぇ。珍しい……こういう子が猟兵になるのかしら。世界の選定基準、よくわからないわね。でも……」
 リザ・トレゾアは、すぐに興味を喪ったのか、けだるげに薔薇槍を薔薇の花弁へと変えていく。
 それは周囲に渦巻き、ハロの体をその含有せし様々な毒で死に居たら紙面とする攻撃であった。
 完全回避は難しいと捉えていたハロは、オーラに依る防御、そして彼女が獲得している毒への耐性で以て耐えながら、最速で最短距離を突っ込む。

 精気を喰らい、妖狐の霊力、炎の力を放つレイピアによる刺突が、神速で突きこまれる!
 鋭い一撃はリザ・トレゾアの魔力障壁を突き破り、彼女へと届かんとするが、一歩踏み込みが足らない。
 切っ先が触れる、薄皮一枚の回避。
「あら、残念。じゃあ、もう興味ないから―――」
「いいえ、これで十分です。言ってしまえば、これはおまけなのですが……!」
 瞬間、ハロのユーベルコードが発動する。
 それは刹那の一撃。陥落(ダウン・イン・フレイム)!レイピアの触れた切っ先から流れ出る魔力は、一瞬でリザ・トレゾアを爆破する。
 魔力障壁の中でリザ・トレゾアを焼く炎。

 切っ先であろうと、薄皮一枚であろうと、ハロには関係ない。
「言ったはずです。オマケです、と。私を侮るのは勝手ですが……足元を掬われましたね?」
 その一撃で持って、ハロはリザ・トレゾアに痛手を追わせるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

一郷・亞衿
開けた場所に敵が沢山、概ね頭は良くなさそう、と。なら、『原子怪獣現わる』を使用。
宇宙的恐怖感情を喚起する、体長60m超の巨怪を召喚!蹂躙しろ、悍ましき大怪獣っ!

……まあ、ただの幻影なんだけどさアレ。
指定対象たる敵達が身を竦ませたり逃げ出したり、見当違いの方向に攻撃放ったりし始めたらしめたもの。隙を<見切り>、リザへと<ダッシュ>!
リザも幻影に吊られてるなら良し、そうでないなら魔法攻撃見切って<カウンター>!<呪詛>に塗れたカッターの斬撃を喰らえ!
最悪魔法攻撃喰らっても一発までなら[ブードゥー人形]で耐えて押し切れる、はず。

あ、他の人には事前に話つけておく方向で。
視界遮って邪魔になるかもだしね。



 腐汁の瘴気漂う地獄の古戦場において、死しても蘇るモンスター軍団は、猟兵にとって驚異そのものであったかもしれない。
 モンスターの一個体は大した問題ではない。倒すには数が多かろうが問題はないのだ。猟兵達の力を持ってすれば、倒すことは容易い。
 だが、尋常鳴らざる問題として、溢れ出る腐汁とモンスターは臨界を超えると、この群竜大陸から溢れ出し、零れ落ちるように地上へと注がれていく。
 落ちた腐汁は疫病を蔓延らせ、モンスターは人々を傷つける。それは猟兵たちにとっては避けるべき問題であり、この問題を解決しない以上、地上のアックス&ウィザーズ世界に与える打撃は無視できない。

 だからこそ、このモンスター軍団の指揮を任されている指揮官オブリビオンを疾く叩かねばならないのだ。
 統制の取れぬ軍団ほど脆いものはない。
「開けた場所に敵が沢山、概ね頭はよくなさそう、と」
 一郷・亞衿(奇譚綴り・f00351)は、地獄の古戦場の状況を即座にそう断じた。これならば、確かに猟兵が手間取る相手ではない。
 戦えるし、殲滅も可能かもしれない。ただし、それが時間制限付きでなければの話だ。これ以上戦いを長引かせてしまえば、いつモンスターと腐汁が溢れ、地上へと注がれるかわからない。

「なら、そっこーってやつだよね!」
 彼女のユーベルコード、原子怪獣現わる(パニック・イン・イヤーゼロ)が発動する。それは体長60m超える巨怪の幻影。
 突如として戦場に現れた、その宇宙的恐怖感情を呼び起こす巨大怪獣の姿にモンスター軍団たちは、一瞬硬直する。如何にモンスターと言えど、そのモンスターを上回る怪獣の姿には、一瞬の空白とも言うべき時間が生まれる。

 その空白に差し込むのは、亞衿の声。それは引き金を引く行為と同じである。
「蹂躙しろ、悍ましき大怪獣っ!現実が常に虚構の上にあると誰が決めた!虚構は現実を凌駕する―――!」
 その言葉は恐怖の引き金である。モンスター軍団は、彼女の言葉を引き金にして混乱の極みへと陥る。
 ありとあらゆる混乱が引き起こされていた。身をすくませ、逃げ出し、見当違いの方向に攻撃を放つ。
「まあ、ただの幻影なんだけどさ、アレ」
 だが、効果は抜群である。混乱の極みに在るモンスター軍団を一気に駆け抜け、リザ・トレゾアへと肉薄する亞衿。

 巨大怪獣の幻影に見惚れているリザ・トレゾアを見て、良し、と思う。
 怪獣は見上げるものだ。恐れはあれど、そこに不思議な魅力と抗いがたい憧憬を覚えてしまう。
 それがオブリビオンであっても代わりはないのだ。だからこそ、彼女のユーベルコードによって隙が生まれる。
 だが―――。
「ねぇ―――……あれ、貴女が生み出したの?」
 ぐるん、とリザ・トレゾアの顔が肉薄した亞衿へと向けられる。ぞわりと怖気が背中を走り抜ける。
 やばい、と思った瞬間、リザ・トレゾアの放つ魔法の竜巻が彼女を襲う。見切れきれない―――だが、それでも、彼女にはダメージを一度だけ肩代わりをする力を持つ人形、ブードゥー人形が在る。炎の竜巻を受けて砕け散る人形。
「面白いのも持っているねぇ……身代わり人形?それとも呪詛の類かしら?」
 炎の竜巻から身を翻して、手にした呪われたカッターナイフを振るう。
 それは数多くのオブリビオン後を浴び、禍々しい瘴気を放つカッターナイフ。その禍々しき刃がリザ・トレゾアの魔力障壁をギザギザに切り裂いていく。

「あーもー!またブードゥー人形作り直しになっちゃうじゃん!」
 亞衿の一撃は、リザ・トレゾアに多大なる魔力を消費させる。
 カウンターで決めきれなかったのは惜しいと思うが、これ以上は難しい。引き際も見極めなければ、やられてしまうのはこちらだ。

 だが、リザ・トレゾアは興味深げな瞳を退く亞衿に向けていた。
 不気味なほどに静かに、何かに魅入られたように、狂気はらむ、その瞳は新たなる研究対象を見つけたような、そんな色に彩られていた―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガルディエ・ワールレイド
こっちの狙いを察して迎え撃つ度胸は敵ながら見事。
その歓迎に応えて、その迎撃を喰い破って見せよう。

◆移動
移動時を重視して鎧は無し。耐水性のボディースーツ着用。
既に戦争サバイバルで数百戦を戦った地だ。
経験を活かして敵兵と遭遇しにくいルートを選定。
戦場で爆音など注意を引く事項が有れば、その時は特に早く進む。
蓬莱の実を得られた場合、緊急時の回復アイテムとして保持。

◆戦闘
武装は《怪力/2回攻撃》を活かす魔槍斧ジレイザと魔剣レギアの二刀流。
敵をUCの薔薇ごと纏めて、【竜神の裁き】で焼き払うのが基本だ。
余波を防ぐべく《オーラ防御/毒耐性》で念動力の結界を纏う。
そしてUCと同時に近接戦闘も仕掛けるぜ。



 地獄の古戦場をすでに知る猟兵は少なくない。
 何故なら、連日連夜この戦場で戦い続け、モンスターと腐汁が地上へと降り注がぬように押し留めている猟兵たちが多数いるからだ。
 ガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)もまたその一人である。すでにこの地にてモンスター軍団を押し止める戦いを数えること数百。
 すでにこの戦場の地形、特性、あらゆる経験はガルディエの力となっていた。

 だからこそ、モンスター軍団を束ねる指揮官オブリビオンを倒し、モンスター軍団の統制を崩すという戦いの重要性ははっきりとわかる。
 だが、それを気取られるつもりはなくとも、指揮官オブリビオンであるリザ・トレゾアもまた一筋縄で行かぬ強敵である。
 こちらの狙いを察しているが故の余裕。特に配下であるモンスター軍団に指示を出すでもなく、ただ座して猟兵の到来を待つリザ・トレゾアにガルディエは見事であると思ったほどだ。
「その歓待に応えて、その迎撃を食い破って見せよう」

 彼は数百に及ぶ、この地での戦いにおいて得た知見がある。それは移動速度を重視しなければならないということである。
 彼の鎧は、この際不要であると判断し、耐水性のボディースーツへと換装を果たしていた。
 肝要なのは、モンスターの牙や爪を通さぬ鎧ではなく、腐汁を通さぬ隙間無きボディースーツなのだ。
「まさかこんな風に役立つ経験になるとは思ってもいなかったが―――行かせてもらうぜ!」
 その経験を活かし、モンスター軍団と邂逅しにくいルートを選んで一気に駆け抜ける。戦場では他の猟兵達もまた戦っている。
 あちらこちらで爆発や巨大な幻影なども散見される。ならば、そちらにリザ・トレゾアの注意が向いている間に肉薄するだけである。
 一気に駆け抜け、リザ・トレゾアの姿を捉えた瞬間、彼は物言わぬ戦いの化身となる。

「―――!」
 手にしたニ刀の複合武器である魔槍斧ジレイザと魔剣レギアが彼の膂力を以て振るわれる。神速の一撃であった。
 だが、そのニ刀の攻撃は、リザ・トレゾアの持つ薔薇槍と髑髏杖によって防がれる。あら、とリザ・トレゾアは微笑み、対峙するガルディエを見やる。
「へぇ、異端の神々の力かしらぁ……?面白い色の力ねぇ?」
 その瞳がガルディエをなめるように見上げる。
 彼の力、彼の身にある何かを値踏みするような視線を受けて、怖気が走る。それは単純な恐怖ではない。
 何かもっと悍ましい……深淵そのものを覗き込んでしまったかのような感覚。

「てめぇ!俺の何を―――!」
「あら、何も知らないから、今から知りたいって思うのでしょう?」
 ガルディエの体が弾き飛ばされる。地面へと着地、顔を上げえた瞬間、彼を襲うは猛毒の薔薇の花弁。
 それはリザ・トレゾアの持つ薔薇槍を様々な毒を持つ薔薇花弁へと変ずるユーベルコード。
「どんな毒に耐性を持つ生き物なのかしら……ああ、やっぱり猟兵はいいわねぇ。常識の埒外にある生物ってどうしてこんなに魅力的なのかしらぁ!」

 完全なる狂気。
 その怖気も走るようなリザ・トレゾアの偏狂的な好奇心を打ち破るようにガルディエのユーベルコードが発動する。
 それは竜神の裁き(ドラゴニック・ジャッジメント)。己に秘められた異端の神の力である赤い雷を放つ。
 一瞬でリザ・トレゾアと薔薇の花弁ごと焼き払う。
 雷鳴轟き、赤き力の奔流がガルディエを守るようにして、余波からの影響を防ぐのだ。
 赤き雷落ちる中、カルディエは駆ける。
 己が何であろうと、何が己に秘められていようと関係がない。今はアックス&ウィザーズを守るために戦う一人の猟兵である。
 魔力障壁を赤き雷によって根こそぎ引き剥がされたリザ・トレゾアへと魔剣レギアを振り下ろし、袈裟懸けに切り捨てる。
 さらに魔槍斧ジレイザが振るわれ、リザ・トレゾアの体を吹き飛ばす。

「てめぇが、何処の誰だか知らないが!俺は猟兵で、てめぇはオブリビオン。知るべきことはそれだけで十分だろうが!」
 その宣誓は、高らかに地獄の古戦場に響き渡るのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
今回の目的は司令官の暗殺……いつものように手当たり次第になぎ払うというわけにはいきませんか。

鳥の形の氷晶ゴーレムに乗り上空から敵司令官の元へ向かいます。
上空も乱戦になっているでしょうが、地上よりはましでしょうし、司令官の能力を考えると空中戦に対応できた方がいいでしょう。
デリンジャー二丁のクイックドロウで立ち塞がる敵のみ倒しつつ、司令官の元に。

司令官と戦闘になれば引き続き空中戦を。敵の杖から放たれる魔術による攻撃を氷の弾丸で撃ち落としつつ、敵をこちらの射程76m以内におさめます。
射程圏内に入ったら【絶対氷域】の無差別の冷気で凍結させ撃ち砕きます。
蝶は冬になれば墜ちるものです。



 群竜大陸にて死せるモンスターが蘇り続け、腐汁と共に溢れ出そうとしているのは、地獄の古戦場と呼ばれる戦場であった。
 そこは多数の猟兵たちによって、モンスターと腐汁が地上へと零れ落ち、注がれぬように押し止められていた。
 もしも、腐汁とモンスターがアックス&ウィザーズの地上へと降り注ぐことがあれば、腐汁は疫病を蔓延らせ、モンスターは人々を襲い傷つけるだろう。
 それだけは阻止しなければならず、しかし、それを時間が許そうとはしなかった。
 帝竜戦役にて打倒しなければならない帝竜は未だ多数確認されている上に、オブリビオン・フォーミュラであるヴァルギリオスを倒さねば、戦役は終わらないのだ。

 そのため、この地獄の古戦場においてモンスター軍団を指揮してる指揮官オブリビオンを暗殺し、統制を失わせないことには恐らく地上への損害は免れないだろう。
 セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は鳥の形をした氷晶ゴーレムに乗り、上空からモンスター軍団を躱し、指揮官オブリビオンであるリザ・トレゾアの元へと急いでいた。
「今回の目的はあくまで司令官……リザ・トレゾアの暗殺……いつものように手当たり次第薙ぎ払うというわけにはいきませんか」
 彼女が騎乗する氷晶ゴーレムは鳥の形をしているため、上空からのリザ・トレゾアの所在は見つけやすかった。
 地上は乱戦になっているが、上空はそこまで状況が逼迫しているようではなかった。
 それに、リザ・トレゾアの能力を考えると上空での戦いを制することができない以上、こちらに勝機があるとは思えなかった。

「あら……案外無粋なものを使うのね?」
 その声に、はっ、とセルマは気がつく。油断していたわけではない。だが、セルマの意識の死角からリザ・トレゾアは現れた。
 上空に背に大きな蝶翅を持つ姿で以て現れたリザ・トレゾアに瞬時にデリンジャー二丁によるクイックドロウで弾丸を撃ち放つ。
 だが、その銃弾は死を呼ぶ嵐風によって阻まれる。やはり、と思う。強敵であるに間違いはない。
「得物を狩るものに無粋も粋もありません。在るのは得物に対する心構えだけです」
 ああ、そう、とリザ・トレゾアは、微笑む。
 その言葉に此方に対する興味はないことがわかる。ただ己に降りかかる火の粉を振り払おうとするだけの対象としか見ていない。
 それは時に油断という言葉でもって表現される。
 セルマにとって、それは好都合なことであった。だが、悟らせてはいけない。優れた狩り人は頭を使う。得物に己が追い込まれていると思わせぬように立ち回らなければならい。
 それをセルマは師匠から特に教え込まれていた。それはもはや、体に染み付いたものであった。

 リザ・トレゾアの放つ魔術を氷の弾丸で撃ち落とす。
 薔薇の花弁の魔術は氷の弾丸と相殺されるように、氷結し砕けて空に舞う。銀雪の如くキラキラと光を反射しては、腐臭漂う地獄の古戦場へと落ちていくのだ。
 互いの距離が縮まらぬことにじれたリザ・トレゾアが、その大きな蝶翅を羽撃かせた瞬間、セルマの瞳がユーベルコードの輝きを放つ。
 それは無意識の行動であった。
 体に染み込んだ動作。意識せずに行える動作だ。
「この領域では全てが凍り、停止する……逃がしません」
 それは一瞬の出来事だった。リザ・トレゾアが、セルマの間合いに入る直前に、セルマはユーベルコードをコンマの狂いもなく発動させていた。
 リザ・トレゾアが間合いに入った瞬間、彼女を襲う破絶対零度の冷気。それはどのような神速の回避をも不可能へと貶める呼吸であった。

「―――」
 リザ・トレゾアは一体何が起こったのかわからなかったのだろう。
 驚愕に見開かれた瞳は閉じることも叶わずに、上空で止まる。大きな蝶翅は凍りつき、砕けて消える。
「―――蝶は冬になれば墜ちるものです」
 静かに、セルマの玲瓏なる声が響く。返事は期待していない。元より求めていない。
 セルマとリザ・トレゾアの間にあるのは、狩る者と狩られる者。ただそれだけである。
 
 故に、地獄の古戦場の上空にデリンジャーから放たれた銃弾が凍りついたリザ・トレゾアの体を散り散りに打ち砕く銃声が鳴り響く。
 砕かれたリザ・トレゾアの体は氷雪の如く、古戦場に舞い落ちるしかなかったのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月06日


挿絵イラスト