帝竜戦役④〜ビビットマッシュ
●美味しい出会い
「ンメメメメ」
しびびびび。音にするなら、多分きっとそんな感じ。
本来であれば綿毛の如くふわっふわであるはずの毛玉は、ぱちりと弾けた静電気で何だかちょっとトゲトゲしい。
「メメメメェ」
「ンメメ~」
しかしどうやら痛くはないようで。
まるで極楽なマッサージを受けているかのように身体を平たく伸ばした毛玉の頭の上には、動きに合わせて左右に揺れるきのこ。そう、きのこ。
ぐんにゃりと伸びたっきりの毛玉──もとい、木の精霊・まんどらめぇめはそれはそれは香り高いトリュフ茸を生やした頭をしあわせそうに揺らして、万毒の群生地にて猟兵を待ち受けている。
●茸狩りのお時間です
「宝石トリュフと呼ばれるきのこはご存知かしら」
いつもよりどこか慌ただしいグリモアベースにて。
世界のきのこ図鑑を片手に問いかけたテテメア・リリメア(マーマレード・レディ・f25325)は、猟兵にも見えるように頁を捲る。
いわゆるトリュフ茸の一種とされる『宝石トリュフ』は馨しい香りで有名である他にも、その名に違わず宝石のように美しく腐敗しないことから高値で取引されているそうだ。
「万毒の群生地というエリアで、そのきのこが採れるそうなの」
しかし万毒という物騒な響きからも察せられるように、そこは毒の胞子を放つ様々な種類のきのこが自生している群生地になっているそうだ。このエリアを通るのであれば相応の覚悟を要する上に、何かしらの対策が必要になってくるだろう。
テテメアはこれから案内する場所を思い出すように目を瞑って、話を続ける。
「そこに蔓延している毒は……これは、痺れ粉のようなものかしら。吸い込むと静電気のように体が帯電したり、上手く動けなくなったりしてしまうのね」
ああ、けれど。
どうやら痛くはないみたい、とテテメアは付け加える。
「既にモンスターが居着いてしまっているのだけれど、気持ちよさそうに伸びているわ。退かそうとすると嫌がる子もいるから、どうかお気を付けて」
肩凝り腰痛にも効きそうな丁度良い塩梅の痺れが気に入ってしまったのか、 木の精霊・まんどらめぇめがたくさん道端に落ちているのだ。山のように固まっている子たちもいれば、ひとりでぐんにゃりと伸びている子もいる。
道を塞いでしまっている以上、猟兵が通るためには彼らを退かすしかないだろう。
「──それでは、良い道ゆきを」
彼らの頭にも宝石トリュフは1本ずつ生えているため、もし気になるのなら抜いてしまうのも良いかもしれない。
楽しんできてね、なんてピクニック気分でテテメアが手を振って送り出せば、その腕の中でぬいぐるみも独りでに手を挙げて、旅立つ猟兵へ小さなエールを送るのだった。
atten
お目に留めていただきありがとうございます。
attenと申します。
▼ご案内
舞台はアックス&ウィザーズ、万毒の群生地での戦争シナリオとなります。
特別強い敵ではありませんが、道を塞ぐようにぼとぼと落ちているので退けてあげると良いと思います。
下記プレイングボーナスを上手く使っていただけると、有利に進むことが出来ます。
その他、トゲトゲな静電気に負けずまんどらめぇめの頭から宝石トリュフが綺麗に取れると大成功が狙えそうです。
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プレイングボーナス…… シナリオ毎に提示された毒への対抗法を考える
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皆さまの素敵なプレイングをお待ちしています。
よろしくお願いします。
第1章 集団戦
『木の精霊・まんどらめぇめ』
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POW : マンドラ・ミサイル
レベル×5本の【木】属性の【ふわもこな毛の塊】を放つ。
SPD : めぇめぶらすと
【ふわもこな体】から【ざっくりと編みこんだ毛】を放ち、【巻きつけること(痛くはない)】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 必殺!疑似餌封じ
【美味しそうな食べ物】【愛らしいお人形】【魅力的な書物】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
イラスト:藤乃 はくまい
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
榎本・英
……なぜ、こんな所で?
嗚呼。言いたい事は沢山あるよ。
沢山あるとも。
……いや、止めておこう。
ふわもこのような者たちだね。
ふわもこな体から毛を巻き付けて来る様は似ても似つかないが。
これが噂の痺れ。
まるで疲れた身を癒しているような。
元気が出そうだよ。ありがとう。
今はふわもこ達は居なくてね。
代わりが情念の獣で申し訳ないのだが
毛をむしり取ってキノコを頂こう。
道を塞ぐ子は獣の手と協力をして横に置こう
しかし、ふわふわとしているね。
電気も相俟ってとても気持ちの良いものだ。
あまり浴びすぎると毒にもなりかねないからね
あとは獣に任せようか。
さて、宝石トリュフはどれだけ採れたかな
後で数えよう。
●ふわふわ大行進
万毒の群生地。
それは群竜大陸において、ありとあらゆる毒の胞子を放つきのこたちが自生しているところだ。人の手から離れた土地でありながら自然界で生き残ってきた故か、種類は其れこそ千差万別、この群生地の中でも場所によって毒の効果には偏りがあるようで──例えば、目前の道にもその傾向は見られた。
「ンメメメメ」
しびびびび。音にするなら、きっとそんな感じ。
実際にそう聞こえるわけではないけれど、気持ちよさそうに伸びて道に落ちている毛玉から察するに、この辺りに生えたきのこたちには静電気にも似た毒の胞子があるらしい。
ずり落ちた眼鏡を直すように指先で押し上げて、榎本・英(人である・f22898)は静かに目を細めた。
「......なぜ、こんな所で?」
ごろごろ、ぐんにゃりと。
地面に這い蹲った姿勢ながらも、そこには絶対に此処から離れてやるものかとしがみ付く意思さえ感じられる。そんな毛玉が溢れてひい、ふう、みい。こんもりとした山から零れた落ちた1匹を目にしたところで、英は痛むようなこめかみに触れた。
「──嗚呼。言いたい事は沢山あるよ。沢山あるとも。......いや、止めておこう」
何も言うまいと、赤らと鮮やかな瞳を瞼の下に閉じ込めて溜め息ひとつ。ゆるりと頭を振れば、それを最後に気を取り直すように英は毛玉──もとい、木の精霊・まんどらめぇめたちを見据えた。
「なるほど、これが噂の痺れ」
ふんわりもこもことした山に英が近付けばそれは一見として、彼が普段から頼りにしている冬の仲間たちにも似ているようにも見えた。ふわもこな体から毛を巻き付けて来る様は似ても似つかないが、頭上で揺れるきのこを見下ろせばそこで英は自身の体に起きる異変に気付く。周辺のきのこが持つ毒の胞子による痺れだ。
しかしやはりと言うべきか、痛みはなかった。それどころか丁度いい刺激は程よく筋肉を解すようで、英は何度か目を瞬く。
「......まるで疲れた身を癒しているような」
元気が出そうだよ。ありがとう。なんて、やおらと笑みを浮かべて。
くつろぐ彼らのように仲間たちにもお裾分けしたいところだけれど、いやしかし。今はふわもこ達は居ないらしい。
「代わりが情念の獣で申し訳ないのだが、毛をむしり取ってキノコを頂こう」
乾いた指先で捲る自身の著作から、溢れ出した情念の獣の声がする。
伸ばされた無数の手は、そのまま道端に落ちたまんどらめぇめへと真っ直ぐに向かって──すぽん、とひと息に頭上に生えた宝石トリュフを引っこ抜いた。
「すまないね、」
十円ほどの円形に地肌が覗いて、哀愁が漂うようなそんな気配。しかしそれもざっくりと編み込んだ毛が瞬く間に覆い隠して、音もなく伸びて此方に向かって来るのだから油断ならない。
歩幅一歩分ほど横に避けた英は、ぽいぽいとまんどらめぇめの小山を解体していく獣の手を傍らに、鼻先から口元までを手巾で覆って自らも最後の一匹を道の横へと退かす。
「しかし、ふわふわとしているね。電気も相俟ってとても気持ちの良いものだ」
指先から伝わるもこもことした温もりに、ぱちりと弾けた静電気も悪くはない。そして、彼らが居着いてしまった気持ちも分からなくはない。
けれど、ずっと此処には居られないだろうと肩を竦める。あまり浴びすぎると毒にもなりかねないからね、なんて呟いて名残惜しさを振り切れば、英は道の端に退かされたまんどらめぇめへと別れを告げた。
「──さて、宝石トリュフはどれだけ採れたかな」
無数の手によって作り出された獣道を、英は往く。
袖の下に放り込んだきのこは後で数えようと歩むその足取りは、不思議と軽かった。
大成功
🔵🔵🔵
黒玻璃・ミコ
※スライム形態
◆行動
万毒の群生地の毒は実に千差万別
帯電すると言うことはトルマリンの様な性質なのですかねー
こう言う場所は【空中戦】の要領で
ほよよんと群生地の中を【念動力】でふわふわと跳ね飛び
毒の胞子やキノコを少しずつ【捕食】し
【毒耐性】を更に環境に適応させ奥地に進めば大丈夫そうですかねー
まぁ、場所によっては飛び越えられないほど
木の精霊さん達がたむろしてる処もありそうですが
そこは【黒竜の遊戯】でクレーンゲームのぬいぐるみの様に
直接は触れずに魔力のアームで退かせば問題は無さそうですよね
ビリビリしなければ一匹ぐらいお持ち帰りしてましたけどねー
◆補足
他の猟兵さんとの連携、アドリブOK
クレア・オルティス
WIZ
アドリブ絡み歓迎
・毒の対処
要は毒を吸い込まなければいいんだよね…
じゃぁハンカチやタオルで口と鼻を覆うように顔にぐるぐる巻きつけてみる!ちょっと息苦しくて、見た目とかすごく怪しい人に見えるかもしれないけど、我慢…!
道端にめぇめぇがいっぱい…
もふもふしたい…じゃなくて…!これじゃ他の猟兵さん達も困っちゃうから移動させなきゃ。よいしょよいしょ…わぁ!体にぱちぱちってくる!
うぅ、このぱちぱち苦手だよぅ
でも宝石トリュフは手に入れたいから頑張るよ…!
ゆっくりと、慎重に、そして丁寧にトリュフを…わぁぁっ
ぱちぱち容赦ない…!でも負けないもん!
攻撃してきたらこちらは指定UCで対処するよ!
「ふーむ、帯電すると言うことはトルマリンの様な性質なのですかねー」
ふわふわ、もこもこと。気持ちよさそうに揺れる毛玉の傍らに、小さく呟く影。それはとろりと液状に溶け出したブラックタールそのものながら、スライムのように弾力があった。黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)だ。
ほよよんと群生地の中を軽々と跳ね飛んだミコは、辺りに自生したきのこはもちろんのこと、毒の胞子さえも少しづつ捕食することで自身を周囲の環境に適応させていく。
「わあ、すごい。ええと、わたしも......要は、毒を吸い込まなければいいんだよね?」
痺れをもたらす毒の胞子も、身体に取り込まなければ毒にはならないだろう。
空中に跳ねたミコを見上げながら、クレア・オルティス(天使になりたい悪魔の子・f20600)も自分に出来る方法で身を守る。やり方は至って簡単、ハンカチやタオルで鼻先から口元までを覆うだけだ。
ぐるぐると顔周りにハンカチを巻き付けてキュッと結んでしまえば、クレアは息苦しさに眉を顰めながらもひとまずの身の安全を確保できた。
「見た目とかすごく怪しい人に見えるかもしれないけど、我慢…...!」
背に腹はかえられないのだ、と意気込んだ彼女の目前には道を塞ぐように落ちているまんどらめぇめの山、山、山。どれも決して大きな山ではないけれど、すべて掻き分けるとなればそれなりの苦労が見込まれる。
「道端にめぇめぇがいっぱい…...もふもふしたい、じゃなくて! これじゃ他の猟兵さん達も困っちゃうから移動させなきゃ」
「いあいあ、はすたあ......私もお手伝いしますよー」
小山を掻き分ける地道な作業も、ふたりでやってしまえばあっという間だ。
クレアは下から、ミコは上から魔力を用いてアームを形作り、クレーンゲームの要領で退かせば山ひとつ分が道の端へと積まれていく。その間にも。
「ビリビリしなければ一匹ぐらいお持ち帰りしてましたけどねー......」
ふわっふわの毛玉に潜んだ静電気というのは、なかなか恐ろしいものだ。
体にぱちぱちっと来るその静電気をいま一番肌身に感じているのは他でもなく、彼らに直接触れているクレアだろう。耐えられないほどえはないけれど、ぱちぱちは苦手だと眉を八の字に下げたクレアはしかし決して諦めない。何故なら、宝石トリュフは目の前にあるからだ。
「ゆっくりと、慎重に、そして丁寧にトリュフを…...わぁぁっ! ぱちぱち容赦ない…...!」
まんどらめぇめの頭上に深く根付いた宝石トリュフに手を伸ばせば、静電気はクレアの指先により集中するようだった。トゲトゲしい静電気によって、クレアの鮮やかな金髪さえぶわりと舞い上がっていくのが分かる。しかしそれでも掴んだその手は離さない。
「負けないもん......っ!」
そうして、最後はひと息に。
すぽんと引っこ抜かれた宝石トリュフの勢いにコロッと後ろへと転がったクレアにまんどらめぇめのふわもこな毛の塊が伸びるよりも早く、ミコがぽいっと道の脇へと放り投げて。
「さあ、奥地に向かいましょー」
お宝ひとつ、手のひらの中に収めて。えへへ、と照れくさそうに微笑んだクレアはほよよんと跳ね飛んでいくミコへと感謝と共に手を振って、先行くその軌道を追いかけていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
イスラ・ピノス
毒は思ったよりひどくなさそう、かな?
お宝もあるし頑張らなくちゃね!
可愛い光景にも油断なくマスク着用!
ポケットには金貨を忍ばせる。
痺れても慌てずゆっくり、安全確実にを重視して進んでいくよ。
でも思った以上に動きづらいかも…。
【環境耐性】【毒耐性】【電撃耐性】も効果あれば良いな。
道中はなるべくまんどらめぇめのいない場所を通って、どうしてもな時だけどいて貰うね。
手荒にはせずに丁寧に運んで…う、ぴりぴりする。
ひとりで脱力しきってる子を見つけたら宝石トリュフを頂いちゃおう。
頭を優しく抑えてそぅっと抜くよ。
危ない時やミスしそうな時にゴーイング・マイウェイ
ポケットが軽くなっていっても先行投資…と思って!
ぱちりと弾けた静電気に、海色の瞳は僅かに細められる。
それは目に見えるものではなかったけれど、すんと鼻を鳴らせば毒の胞子の存在が確かに感じられた。
「......毒は思ったよりひどくなさそう、かな?」
やはりと言うべきか、訪れる痺れに痛みはない。
それはぐんにゃりと地面に懐いてしまったまんどめぇめたちにとっても同様のようで、ンメメと鳴く声はまるで極楽なマッサージを受けているかのように心地良さそうだ。
けれど、それも過ぎたるは猛毒に変わりなく。可愛らしい光景にも油断なくマスクを着用したイスラ・ピノス(セイレーンの冒険商人・f26522)は、マスクの下で唇を釣りあげて笑む。
「お宝もあるし頑張らなくちゃね!」
その声に応えるように、ポケットに忍ばせた金貨が音を立てた。
まんどらめぇめによって阻まれた道は、なかなかに狭苦しい。
けれども慌てずゆっくりと、多少の痺れもマスクによって軽減されているためか歩む足取りは慣れたもので、小山を作って固まっているところよりもなるべく開けた場所を選んで進みながらイスラは小さく嘆息する。思った以上に動きづらい。
そしてとうとう突き当たってしまったまんどらめぇめの山に手を突っ込めば、ぴりぴりと伝わる刺激に眉を顰めた。
「......う、ぴりぴりする」
眠っているものを起こさぬように丁寧に、手荒にはせずに道の端へと退けて。
やがてその中でも一際脱力しきっている子を見つけたなら。イリスはその頭上で揺れている宝石トリュフに固唾を飲み込む。
そうっと、そうっと。慌てず、騒がず、優しく頭を抑えて撫でるように──そして引き抜くときは、ひと息に。
「──取れた!」
すぽんっと音を立てるように手中に収まったきのこに、浮かぶのは晴れやかな笑顔。
しかし、その衝撃によってまんどらめぇめは目覚めてしまったのだろう。ふわもことした体からざっくり編み込んだ毛が伸びるのを眼前に、イスラは小さく舌を出す。
「あら。起こしちゃった?」
ごめんね、なんて微笑めばどんな時でもゴーイング・マイウェイ。
巻きつこうとする毛を弾いた金貨で跳ね除けて、イスラはその隙に開けた道を足早に駆けていく。
「ポケットが軽くなっていっても先行投資…...と思って! 宝石トリュフは頂いていくわね!」
軽くなったポケットには、金貨の代わりにきのこを詰めて。
小さくなっていくまんどらめぇめたちに別れを告げるように、イスラは手を振った。
大成功
🔵🔵🔵
アルデルク・イドルド
宝石トリュフ…宝石と言うだけあって綺麗だが食べ物だからな…まぁ、食も人を惹きつける物だと理解はしているからな。商売の品としては遜色はない。
痺れ粉のようなものか…なら吸い込まないように布で口と鼻を覆うか。後はゴムは電気を通さないから…ゴム手袋をと。世の中には便利なもんがあるもんだ。
さて、まぁ、こんなもんだろう。
(まんどらめぇめぇはコインで攻撃)
トリュフなぁ…俺は食ったことはねぇが美味いのかねぇ?
朱酉・逢真
権能《毒》を活用して周囲の毒を操って避ける。もともと耐性は十分あるが、耐性あるから平気ってぇのも味気ねぇやな。ま・この《宿》がヒト並に脆いから慎重にならざるをえねえんだが……。
でかい《虫》を向かわせて、敵さんに触んねえようにトリュフだけ引っこ抜かせる。こう、虫の足で掴んで、羽ばたく感じでスッポンとな。一匹で無理なら数匹でやりな。《鳥》だと振動がでかそうだ。いちおう筋力上げとくか。疑似餌にゃひっかからんよぅ、こいつら"生き物"じゃねえからな。
「宝石と言うだけあって綺麗だが食べ物だからな…...」
宝石トリュフ。その名前のとおり、きらりと輝く色彩こそ鮮やかながらそれは観賞用に収まらない。視界に揺れたきのこを見据えてアルデルク・イドルド(海賊商人・f26179)が黄金の瞳を細めれば、朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)も薄らと笑った。
「ま、取れるもんは取っといて損もないだろう」
「ああ、食も人を惹きつける物だと理解はしているからな」
そして商売の品としても、遜色はない。
商人としての目利きにも相違はなく、ふたりは視線を交わすこともなく頷き合えば、どちらともなく毒の胞子が蔓延る道へと足を踏み出した。
「痺れ粉のようなものか......」
文明の機器も、物は使いようである。
ゴム手袋を装着したアルデルクがすんと鼻を鳴らせば、その隣で。慣れた仕草で周囲の毒の胞子を操って避けた逢真が地面に懐いたまんどらめぇめを見下ろした。
「もともと耐性は十分にあるが、耐性あるから平気ってぇのも味気ねぇやな」
何よりこの『宿』はヒト並みに脆く、慎重にならざるを得ない。念の為に鼻先から口元までを布で覆ったアルデルクの自衛も間違いないだろう。
僅かな翅音を立てて羽ばたいた『虫』を見送って、逢真はこきりと首を鳴らす。筋力を上げたとはいえ、きのこと虫のサイズ差を思えば1匹には荷が重いだろう。追いかけるようにもう数匹が飛び出し、彼らの細い足がまんどらめぇめの頭上に咲いた宝石トリュフだけを器用に掴み取る。
「おっと、疑似餌には引っかからんようにしろよ。こいつら生き物じゃねえからな」
頭上に咲いたものは何も宝石トリュフばかりではない。
美味しそうに見える食べ物、愛らしいお人形、どんなに魅力的な書物だって宝石トリュフ以上に価値があるものはこの場にはないだろう。
「これが此奴らなりの生存戦略なんだろうな。──しかしまぁ、生憎と目利きは得意でね」
天敵から逃れるため。自然界を生き抜いていくため。
長い年月を経て作り上げられた疑似餌を前に惑わされることなく、アルデルクもまた宝石トリュフだけに間違いなく手を伸ばせば──そうして。
「トリュフなぁ…...俺は食ったことはねぇが美味いのかねぇ?」
そんな声を最後に、すぽんと音を立てて引き抜かれた宝石トリュフがアルデルクの手のひらと逢真が操る虫の足にそれぞれ収まり、ふたりは確かにこの戦場に咲いた財宝を得るのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
浅間・墨
武器は持ち込まないようにします。UCも使用しないです。
話を聞いた限りではお相手さんに敵意なさそうですし。
けれど毒の胞子の対策はさせてもらいます。
対策は身体をオーラ防御で包んでからマスクをつけます。
移動をさせる前に。
この精霊さん。羊さんに似ています。可愛いです。
…。(まんどらさんの頬辺りに触れてみる)
まず触れてみて反応をみてみます。
もし嫌がる精霊さんは後回し。
嫌がる素振りをしない精霊さんを道の端へ。
嫌がる精霊さんは何が嫌なのか観察します。
何か嫌がる原因がある気がします。
それと無理に退かすのは可愛そうなので。
満足感を得るまで付き合うことも考えます。
気持ちいいことをすればいいのかもしれません。
「......この精霊さん。羊さんに似ています。可愛いです」
呟かれた声に潜められた敵意は一片もない。
ただ毒の胞子だけを避けるように練り上げたオーラで身体の周囲に防御壁を張り巡らして、マスクを着用した浅間・墨(人見知りと引っ込み思案ダンピール・f19200)は夜の帳のように垂れ下げられた前髪の向こう側で目を瞬く。
もふり、とまんどらめぇめに触れる手のひらもまた優しく、墨は様子を伺うようにぱちりと弾ける静電気を見る。その子がむずがるように身を捩ったなら後回しに、もうひとつ隣の子へ。
「少し、失礼しますね......」
ンメメ、と気持ちよさそうに伸びたまんどらめぇめに申し訳なさを覚えながらも、そうと持ち上げて道の端へ。こんもりした小山を崩すように地道に続ければ、ほとんどの子は抵抗も少なく道端に再び懐いているようだ。
けれどやはり、中にはその場を離れたがらない子もいるようで。
ぴたりと全身を大地へ押し付けるように伸びた姿から絶対に離れないぞ、という意思さえ感じられて墨は僅かに首を捻った。さてはて、どうしたものか。
嫌がっているのであれば、無理に退かすのはかわいそうだ。しかし退いてもらわないことには先へ進むにも進みづらいというのも確かで、となれば彼らが満足感を得られるまで付き合うしかないだろう。
もふりと毛玉の中へと差し込んだ手で墨が静電気を堪えてもちもちと揉みあげれば、たちまちとまんどらめぇめから声が上がる。
「ンメェ......」
「ええと、こっちですか?」
「ンメ!」
そっちじゃばくてこっち。そうそう、そこ。なんて言いたそうな声に、右から左へ重たそうな角を支える頭上からもふもふと手探りで応えれば、やがて手のひらにぶつかる柔らかな毛とは別の感触。編み込まれた毛を解いてみれば、そこに埋もれていたのは宝石トリュフだった。
じっと見上げるつぶらな瞳に少しの沈黙。根元を握った墨が無言でそうっと、そうっと優しく引き抜けば──すぽん、と。
「ンメメェ」
どうやら、肥えすぎたきのこが重たく頭を悩ませていたらしい。
心なしかすっきりとした様子のまんどらめぇめを道の端へと退かせば、今度こそ。小山をひとつ移動し終えた墨は手のひらの中に収まる宝石トリュフを見下ろして、小さく微笑んだ。
大成功
🔵🔵🔵
都槻・綾
壮観ですねぇ…
跨ぎ超えて行こうにも
折り重なっていたり
ぽてりとモフ山から落ちているものだから
…埋りたい気持ちになってしまうのは
内緒ですよ内緒
誰にともない言い訳が
零れてしまったのも、内緒
踏んで傷めつけぬよう
柔いオーラを足元まで展開し
ふわふわ歩く
己の身を護る用途の技で
数多の幸せ顔を護れるのも嬉しくて
足取りと同じく
ふんわり笑んでいたかもしれない
帛紗で口元を覆い痺れ防止
岩陰、風の揺らぎなど
地形や状況から毒の薄い・濃い処も把握しましょ
耐性は持てども慢心はしない
どかされるのを嫌がる子には
馨遙で安らぎの香
甘い痺れと相乗効果で揺り籠の中で眠る心地だろうか
穏やかに毛並みを撫でれば
ころり
手のひらに零れる宝石トリュフ
剥き出しの岩肌に、苔蒸した緑の道。
ひび割れたような亀裂から伸びて生え揃うきのこ種類は見るからに様々で、群生地と呼ばれるに相応しい光景がそこにはある。しかし何より目を奪うのはきのこではなく道という道、其処彼処に落ちている毛玉たちだろう。
「壮観ですねぇ......」
思わず零れた呟きと同じくして、折り重なったモフ山からぽてりと毛玉がひとつ溢れ落ちるものだから。小さく笑みを浮かべて、都槻・綾(糸遊・f01786)は彼らをいたずらに踏んで痛めつけてしまわぬようにと柔いオーラを足元まで展開して、ふわふわと歩き出す。
「......埋りたい気持ちになってしまうのは、内緒ですよ内緒」
誰にともない言い訳が零れてしまったのも、内緒に。
眠る子を起こさぬようにと声を潜めて、ぽてりと落ちているまんどらめぇめの脇を通り過ぎる。その足取りのようにふんわりと笑んでしまったのは、己の身を護る用途の技で数多の幸せ顔を護れることが嬉しかったからかもしれない。
帛紗を口元に引き寄せて覆い、綾は笑みを湛えたまま風の揺らぎを読むべく青磁色の双眸を淡く細める。
耐性を持てども慢心はしないとしたその心は慎重で、地形を俯瞰するように見た綾が目に留めたのは岩陰の辺り。風の通りも悪いそこは空気が溜まりがちなのか、毒の胞子が一際留まっているように見えた。
毒の薄い場所を選び安全に進むのであればやはり、道の真ん中にも出来ているもふもふの小山を掻き分けていくしかないだろう。折り重なる小山の前まで歩いた綾は、腰を屈めてもふもふの毛玉へと手を伸ばす。
「──大丈夫ですよ。怖いものは何も、ありませんからね」
退かそうと触れれば、まるでむずがる子供のように。
地面に懐いて離れないまんどらめぇめの背中を優しく撫でて、綾は音もなく安らぎの香を薫く。
そうしてより深い眠りへ誘うようにまんどらめぇめを包み込めば、夢心地の甘い痺れと合わさり揺り籠の中で眠る赤子にも似た細い吐息が溢れるのが分かった。その寝顔の、なんと可愛らしいこと。
すやりすやりと再び眠りについたまんどらめぇめを道の端に置いて、綾は僅かに笑みを深める。
「......おや、」
そして別れを惜しむように穏やかにまんどらめぇめの毛並みを撫でていれば、ころりと。
手のひらに零れる宝石トリュフが麗らかな陽射しに煌めいて、綾は思わぬ収穫に目を瞬かせるのだった。
大成功
🔵🔵🔵