帝竜戦役⑤〜偽りの黄金伝説
●ゴールデンスプラッシュ
「うーん、これもイケてないね、塗っとこう」
「やめろ……やめろ……」
「うわ、これはひどい! 塗り直さなきゃ!」
「そ、それは! 頼むからそれだけは!」
「あ、これも金に塗っとこうか? 金だけに」
「ノオオオオオオオ!!」
●ガチゴールド
「皆さん、今日も戦いお疲れ様っす!」
元気にそう声をかけるのは、金髪に褐色肌の少女アカリ・ゴールドに憑依したミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)。
「皆さんの活躍により、群竜大陸のさらに奥に進めるようになったっす。今回進軍して欲しいのは、勇者の墓標と呼ばれる場所っす。ここは生前のヴァルギリオスに挑んだ多くの勇者たちが相打ちとなって力尽きた場所で、その勇者たちの残留思念が溜まってる場所っすね」
激戦の後は巨大な竪穴となっており、そこに勇者の残留思念が溜まっているのだという。
「で、ここにもオブリビオンが住み着いてるんでこいつらを倒してここを突破して欲しいっす。今回やっつけて欲しいのは『偽金細工師・ガーザム』という、山羊の獣人みたいなオブリビオンっす。どうもこいつは金色じゃないものを一切認めないらしく、ここで勇者の遺品を金に塗りまくってるみたいっすね。こーいうやつがいるから金のイメージが悪くなるんす!」
やたら憤るミルケン。おそらくそのまんまな姓を持つ、ボディのアカリの意思が前面に出ているのだろう。
「こいつは持ってる遺物を金でコーティングして怪物化したり、金色じゃないものを手下を呼んで金に塗りたくろうとしたり、金の塗料を塗った武器でこっちを幻惑してきたりするっす」
どうやら直接の戦闘能力よりも搦手に長けた敵の様だ。
「で、もう一つなんすけど、さっき言った通りここには勇者の残留思念がたくさん溜まってるっす。今回戦う場所には『“圧砕野郎”ミロナ』というドワーフのバーバリアンの残留思念がいて、この人に呼びかければ力を貸してくれると思うんすよ」
伝承によれば彼は質実剛健を旨とする屈強な戦士で、外見はお世辞にもいいとは言えないが竹を割ったような好人物で、その圧倒的な筋力で重い武器も難なく使いこなすパワーファイターだったそうだ。
ガーザムが今金に塗ろうとしているのはまさしく彼の遺品であり、華美な装飾を嫌う彼にこれは耐えがたい事らしい。
「なんで、彼を助けてあげれば超筋力とか耐久力とか、あとは装備を使わせてくれるとかでそのパワーを貸してくれて戦いを有利に進められると思うっす」
元々話の分からない人物ではないらしいので、事情を話せば協力を仰ぐのは難しくない、という話だ。
「それとっすね、ここは激戦の後だけあって、その時の魔力が『魂晶石』という決勝になって残ってるらしいっす。価格はなんと金貨600枚! 是非持って帰っちゃってくださいっす」
奥へ進んだからか報酬もランクアップ。これを目当てに参加するのももちろんありだろう。
「それじゃ皆さん、どうか悪い金をぶっ潰してきてくださいっす!」
そう言ってミルケンは、勇者の墓場へ猟兵を送り出すのであった。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。
群竜大陸第二ステージ、今回は勇者の墓場での戦いです。
プレイングボーナスは以下の通り。
『プレイングボーナス……勇者の残留思念と心を通わせ、そのパワーを借りる』
勇者と心を通わせるには、会話や行動を見せるなど普通の人の信頼を得るようなやり方で問題ありません。元々左程頑迷な人物ではありませんが、彼の性格を汲んであげればよりやり易いでしょう。
勇者のデータはこちら。
“圧砕野郎”ミロナ(享年31) ドワーフのバーバリアンで、顔はいいとは言えないが、質実剛健、豪放磊落な好人物。
巨大金棒と岩を繋ぎ合わせた防具を纏い、それで自由に動けるだけの圧倒的な筋力を持つ。
協力を取り付けた場合、その超筋力や超耐久のパワーを貸してくれる。また自分が死んでいるのは分かっているため、意に沿わない使い方でなければ遺品も貸与、譲渡してくれる。
なぜか奇跡的に下着(褌)も残っているが、多分使い道はない。
また今回のシナリオクリア後には、金貨600枚(600万円相当)の価値のある『魂晶石』というお宝が手に入ります(勇者の装備共々、持ち帰ってもアイテムとしては発行されません)。売ってよし、飾ってよし、魔力の結晶なので研究に使ってよしのお宝なので、是非持ち帰ってください。
それでは、プレイングお待ちしております。
第1章 ボス戦
『偽金細工師・ガーザム』
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POW : ゴールドラッシュメーカー
自身が【コイツ金色じゃないなという感想】を感じると、レベル×1体の【金色に染める塗料を持った金で雇った手下】が召喚される。金色に染める塗料を持った金で雇った手下はコイツ金色じゃないなという感想を与えた対象を追跡し、攻撃する。
SPD : ゴートリック・ゴールド
自身の装備武器に【見た者を魅了し意識を惑わす金色の塗料】を搭載し、破壊力を増加する。
WIZ : ゴールデンエイジコンダクター 61
【アックス&ウィザーズの歴史ある一品の価値】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【金色に塗装、その品を自我を持ち暴れる存在】に変化させ、殺傷力を増す。
イラスト:いぬひろ
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「リダン・ムグルエギ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ソラスティベル・グラスラン
黄金の色は嫌いではないのですが……
こうも塗りたくられると、少々悪趣味ですね!凄く、勇者らしくないですっ。
【盾受け・オーラ防御】で守りを固め、全速力の体当たり!【怪力】
手下を【範囲攻撃】の大斧で蹴散らし、コーティングを妨害しつつも彼に語り掛けます
『ミロナ』さん!
貴方も嫌でしょう、勇者たちの誇りとも言える遺品の数々がこうも穢されていくのは!
わたしも見ていて辛いです…使い手の歴史が、武勇の痕が上塗りで消えていくのが
わたしに敵を止める為の力をください
わたしの手を取り、共に戦ってください!剛力の勇者よ!
勇者として鍛えた【怪力】に更なる力を宿し、今こそ我が雷の大斧の真の力を叩き込む!
「黄金の色は嫌いではないのですが……こうも塗りたくられると、少々悪趣味ですね! 凄く、勇者らしくないですっ」
ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)は勇者の墓場に着くと、開口一番そう言いながら、ガーザムに体当たりを仕掛けた。
ガーザムは突然の乱入者からの攻撃に体勢を崩すが、どうにか踏みとどまるとソラスティベルに不審な視線を向け、やれやれという風に肩をすくめる。
「金は多ければ多いほどいい、当り前の話じゃないか。嫌いじゃないとか言ってるくせに君も全然金色じゃないし。ちょっと塗ってあげようか?」
そう言ってガーザムが手を上げると、金の塗料を持ったいかにもチンピラ、という風情の男たちが大量に現れソラスティベルを取り囲んだ。
油断なく構えながら、ソラスティベルは傍らにいた影……古の英雄ミロナの残留思念に語り掛ける。
「ミロナさん! 貴方も嫌でしょう、勇者たちの誇りとも言える遺品の数々がこうも穢されていくのは! わたしも見ていて辛いです……使い手の歴史が、武勇の痕が上塗りで消えていくの」
それはまさに、ミロナがガーザムに与えられていた苦痛そのもの。それを理解してくれるソラスティベルに、ミロナの霊は好意的な視線を向けた。
「わたしに敵を止める為の力をください。わたしの手を取り、共に戦ってください!剛力の勇者よ!」
「おう!」
ソラスティベルの声に、ミロナの霊は外見に違わぬ野太く力強い声を返した。
その声と共にソラスティベルの両手に淡い光が宿り、自分のものとは違う大力がそこに宿っていく。
「ありがとう、ミロナさん! 私の力に、勇者の力! 今こそ我が雷の大斧の真の力を叩き込む!」
その力で、ソラスティベルは大斧をまるで棒切れでもあるかのように軽々と振り上げた。ミロナの力によって振りかざされた大斧に、ソラスティベルの呼ぶ蒼雷が宿される。
「これぞ我が勇気の証明、至る戦火の最前線! 今こそ応えて、蒼雷の竜よ!!」
【我が名は神鳴るが如く】、神すら打ち砕かんばかりの勇者の力と共に降り割れた斧が、群がり来た手下たちをなぎ払う。それは正しく力を貸してくれた勇者に応える蒼空の伝令。勇者の墓場に轟音が響き、ガーザムに偽りの金遊びの終わりが来たことを告げた。
大成功
🔵🔵🔵
ベール・ヌイ
「ヌイよりも…たぶんこっちの方が…気が合う」
予め【護理雷招来】で護理雷を召喚
『無音鈴』を使った「ダンス」による舞を奉納します
護理雷『ただまっすぐ殴りにいきます、力を貸してもらっても良いですか?』
褌を貸してくれるなら巻きます、気合が入りますね
ヌイは「ダンス」による鼓舞を続けて護理雷は戦闘に入ります
戦い方は単純、やばいのは「野生の感」で避けて受けれるのは「激痛耐性」で耐えて【黄雷の衝撃】でプロレス技をかけます
アドリブ等歓迎です
自身の遺品を偽金で塗りたくられ絶望していたかつての英雄ミロナ。彼の魂を救い、その力を借りてこの群竜大陸をそこに現れたのはベール・ヌイ(桃から産まれぬ狐姫・f07989)……と、雷を放つ輝くゴリラの護理雷であった。
「ヌイよりも…たぶんこっちの方が…気が合う」
突然現れた乱入者に、ガーザムは再び始めようとしていた偽金塗りの手を止める。
ミロナもまた目を丸くするが、彼に自分は味方だと説明するヌイ。
「なるほど……さっきのお嬢ちゃんといい、今の時代は色んな勇者がいるってことか!」
元々魔法の原理など詳しくないミロナは、護理雷召喚もそういう技なのかとすんなり受け入れた。
「ただまっすぐ殴りにいきます、力を貸してもらっても良いですか?」
「うお、喋るのかお前さん……だがいいぜ、持ってきな、俺の力!」
ミロナはそう言って護理雷の腕に自身の腕を重ねる。すると護理雷の手に普段以上の力が湧き、その腕に雷が猛々しく迸った。
「これは素晴らしい……これで気合を入れさせていただきます。行きますよ!」
傍らにあったミロナの褌をぎゅっと締めこむ護理雷。ミロナは『え、それも?』みたいな顔を一瞬するが、まあそれで気合が入るなら……と容認することにしたようだ。
後ろではヌイが『無音鈴』を振り、舞を奉納する。それは雷獣である護理雷に力を与える神楽舞となり、その力をさらに高めていく。
神子と勇者の力を得た雷獣は、宣言通り一直線にガーザムに向けて突進した。
「せっかくいい金色してたのに、余計なものつけちゃったね……そこだけ塗っとこうか?」
ガーザムはまたも手下を召喚、護理雷が締めた褌目掛け塗料をぶちまけるよう指示を出した。。護理雷はその攻撃を自らの体を持って防御、一切怯むことなくガーザムへと猛進していく。敵へ肉薄した時、ガーザムも自ら剣を振るって応戦するが、その動きを瞬時に見切って護理雷は横に動いた。そして代わりに伸ばされる護理雷の極太の腕。
「勇者の腕力、受けてみなさい!」
強烈なアックスボンバーがガーザムの顔面を直撃、大きく後ろに吹き飛ばした。
たったの一撃で敵を壁まで吹き飛ばした護理雷の雄姿に、締めた白い褌が美しく映えていた。
大成功
🔵🔵🔵
鈴木・志乃
開幕高速詠唱で声に指向性を持たせ
敵にだけ大声で耳をつんざくようにする
お前らには!!
この恰好の!!良さが!!
分からんのか!!!!!!!!!(※大真面目)
何でもかんでも金色に塗りたくって
この良さを潰すなんてアホか!!!
お前らはあたしの敵!! 成敗!!(※大真面目)
怯んだ隙にUC発動
念動力で鎖を操作し敵を捕縛
そのまま鎧砕き出来る魔改造ピコハンでぶん殴る
ってか人の遺品勝手に塗るとか冒涜か!!
お前らみたいなのが簡単に手ェ出していいもんじゃねえんだよ!!
離せーっっ!!!
ガーザムさんのパワー貰えたらそのまま鎖でぎりぎり締め上げて
ピコハンで容赦なくぶっ叩く。
ぶっ叩く。
「お前らには!! この恰好の!! 良さが!! 分からんのか!!!!!!!!!」
鈴木・志乃(代行者・f12101)は現場に着くと有無を言わさず大声で叫んだ。
「何でもかんでも金色に塗りたくってこの良さを潰すなんてアホか!!! お前らはあたしの敵!! 成敗!!」
さらにシャウトを重ねる志乃。しかもこれはただの絶叫ではない。猟兵として持つ高速詠唱の力によって指向性を持たせ、ガーザムだけにぶつかる様にした強烈な叫びだ。これは志乃の怒りの力と相まって最早音響兵器と言ってもいいくらいの音量と衝撃となり、ガーザムを直撃する。
あまりの声量と勢いにガーザムが思わず耳を塞いで顔を伏せると、それをチャンスとばかりに光の鎖を発動、ガーザムを絡めとり改造ピコハンでぶっ叩いた。
ピコハンとはいえ戦闘用に改造されたもの。元々粗悪な品であるガーザムの防具くらいは軽く打ち砕き、本体にダメージを通していく。
「ってか人の遺品勝手に塗るとか冒涜か!! お前らみたいなのが簡単に手ェ出していいもんじゃねえんだよ!! 離せーっっ!!!」
なおも叫びながら殴る。殴る。殴る。
その殴打は殴るごとに威力が増していく。これは志乃がヒートアップしていっているだけではない。
言いたいことを代わりに全部言ってくれた、そのミロナの感謝が力となり、志乃にさらなる剛力を与えているのだ。さらにはその剛力で鎖を引っ張りガーザムを締めあげ、至近距離から殴打の連打。
「放せ……くそ、何でこんなに硬いんだ……!」
ガーザムももちろん逃れようと抵抗はするが、縛られたまま僅かに身をよじるのが精いっぱいだ。疑念を感じない限り無敵な光の鎖は、勇者の剛力でいくら締めようとちぎれることなどない。そこに怒りの連撃が容赦なく降り注ぐのだから、逃げ場などあるはずもなかった。
「ぶっ叩く。ぶっ叩く!!」
かつて勇者ミロナがそうして敵を圧砕したように、志乃の怒りのピコハンは敵を全力でぶっ叩き続けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ジェイク・リー
※アリス、エルーゼ、華澄と行動
シャーマンとしての能力を使い、ミロナに話しかける。
現在の状況を説明して協力を仰ぐ。
呼び出したのは血の様な赤い長髪に青白い肌、黒い羽根飾りの付いた黒い兜に紋章の入った黒いローブ姿でカンテラを持つ美女。
≪死者の狩人が一人、ラーズグリーズ≫
魔術による魔法攻撃や回復・治療魔術を行うが、広範囲に絶大な火力を誇る。
魂晶石からも魔力を得ている為、空間に隙間を開ける事も容易らしく足元に次元の狭間に繋がる穴を開けたり。
七星天狼刃とドゥームから蒼紅の光刃を形成して襲ってくる敵を斬り捨てる。
接近されるとダメという弱点カバーを優先する。
絡み・アドリブOK
アリス・スラクシナ
※エルーゼ、華澄、ジェイクと行動
「そっちは任せるしかないか」
ジェイクに説得してもらう。その間に、私たちは暴挙を止める。
イザナギの覚悟を長柄に形成、元素の刃による攻撃を仕掛ける。
槍や斧、大鎌と使い分けをしつつ雑魚の対処に回る。
「今までと違う……どうなってるんだ?」
別のが出てくれば驚くが、こいつは魔術師タイプのようだ。
「火力が凄まじいな!」
余計な被害を出さないのはすごいとしか。
接近されるのはダメだと聞き、援護に回る。
絡み・アドリブOK
藤宮・華澄
※アリス、エルーゼ、ジェイクと行動
ヴァナディースによる援護射撃をメインに動きます。
乱れ撃ちによる範囲攻撃も行ったりして動きのけん制に。
第六感で危険を感知したら回避に。
地形の利用で使えそうなものも使って援護します。
絡み・アドリブOK
エルーゼ・フーシェン
※アリス、華澄、ジェイクと行動
対話の方はジェイクに任せるしかないわね。あっち食い止めるから。
「なんでも金ってあれねえ」
ヤヌスを柄と光刃に形成し、空中浮遊で機動力を確保。
一刀流だけど、双頭刃としても使えるし、分離して二刀流なんてことも可能なのよね。
「金色しかできない時点でセンスないのよ」
早業で切り替えながら攻撃を仕掛けるわ。
「偽物の金で動く……知ってて組んでる?」
絡み・アドリブOK
「とりあえず、今の状況を説明するぜ」
ジェイク・リー(影の護り手・f24231)はミロナに対してそう告げる。肉体のない残留思念の彼にシャーマンの能力を使って語り掛け、現在の状況を正確に把握してもらうつもりであった。
「そっちは任せるしかないか」
アリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)能力を持っているものに任せるのがいい、とミロナへの説明には加わらず、ガーザムの暴挙を止める方に専念することにした。
「対話の方はジェイクに任せるしかないわね。あっち食い止めるから」
エルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)も同じように、ミロナとの対話はジェイクに任せて戦闘に専念するつもりだ。
エルーゼは最後に簡単にジェイクに声をかけると、『ヤヌス』を柄と光刃の一刀流に形成し、さらにふわりと浮き上がる。
「私も援護します」
藤宮・華澄(戦医師・f17614)も『ヴァナディース』を構え、二人より後方に立つ。援護を得意とする彼女は、ジェイクの対話の状況とエルーゼとアリスの戦闘、双方を確認できる場所で状況把握しながら戦うつもりだ。
「なんでも金ってあれねえ」
エルーゼは言いながらガーザムに切りかかる。それは途中で割って入った手下たちに止められるが、エルーゼは邪魔だとばかりにそちらを切り捨てた。
「踊ろうか。どちらが倒れるか分からんが」
アリスも『イザナギの覚悟』を長柄に形成。そこから元素の刃を出し、攻撃をかける。リーチの長さを利用し、浮遊するエルーゼの後ろからその間を縫うように突き出される刃。先端は突く時は槍、打ち下ろすときには斧と用途に合わせて細かく形を変え、手下たちを攻撃していく。
「回り込ませませんよ!」
華澄は群れを離れて横を突こうとする手下へ牽制の射撃を放つ。さらにジェイクの方へ行こうとする者にも乱れ撃ちの弾丸を浴びせすぐに撃ち倒した。的確な援護は、後方からの状況把握と研ぎ澄まされた第六感の賜物だ。
「偽物の金で動く……知ってて組んでる?」
エルーゼは武器を手早く切り替えながら手下に問いかける。だが、手下はにやにやと笑い塗料をぶちまけるばかりで話にならなかった。恐らくはオブリビオン化で正気を失っているのだろう。最早自分がなぜガーザムに使役されているか、それすらも忘れているのではないか。
その様子にエルーゼはふぅ、と一つ溜息をつくと、無造作に目の前の手下を切り捨てた。
「待たせたな。話は付けたぜ」
ミロナとの話を終えたジェイクが戻ってくる。同時に協力を取り付けた証拠と言わんばかりに、全員の体に自分のものとは違う筋力がみなぎった。
しかし全員の目はその力よりも、ジェイクの傍らの存在に向けられる。
血の様な赤い長髪に青白い肌、黒い羽根飾りの付いた黒い兜に紋章の入った黒いローブ姿でカンテラを持つ美女。
≪死者の狩人が一人、ラーズグリーズ≫
名乗ったのはジェイクか、ラーズグリーズ本人か。
「今までと違う……どうなってるんだ?」
「まあ、新顔だ。近づかれるとダメなんでな、そこを面倒見てくれ。ミロナにもそう頼んだ」
「あ……よろしくお願いします」
華澄は思わずこの場にそぐわない、普通の挨拶をしてしまう。
ラーズグリーズはそれには答えずガーザムの方へ手を向けると、巨大な魔力波を撃ちだした。それは強力な衝撃を伴い、手下を一掃した。
「火力が凄まじいな!」
その威力にアリスは感嘆の声を上げる。しかもこの威力でありながら、辺りに転がる勇者の遺品には傷をつけていない。豪快な見た目にそぐわぬ繊細なコントロールは、彼女の魔力制御の巧みさを物語っていた。
「やれやれ、役立たずだね。じゃあこっちにお願いしようか」
ガーザムはそう言うと恐らく別の勇者の遺品であろう一本の剣を取り出し、そこに金色の液体をかける。すると見る間に剣は形を変え、全身金色の四肢のような魔獣へと姿を変えた。
ジェイクは『七星天狼刃』と『ドゥーム』から蒼紅の光刃を出すと、その魔獣を切って抑え込む。元の剣とはかけ離れた巨躯を持つ魔獣を力で抑え込めるのは、ミロナの与えた剛力故か。
さらにラーズグリーズがその魔獣の足元を指さすと、そこに大穴が空き魔獣を一瞬で飲み込んだ。どこへつながっているか分からないが、召喚主と切り離されたのだ、無事では済まないだろう。魂晶石の魔力を借りた大技だが、どうせいくらかは自分のものになるのだ。先に使ってしまっても構うまい。
魔獣を倒されまたも一人となったガーザムに、エルーゼとアリス、さらにジェイクが切りかかった。
「じゃあしょうがない、僕が相手だ」
今度は錆だらけの安そうな剣に、先ほどとは違う金の液体を振りかける。金に輝くようになった剣は目をくらませるようなぎらつきを放ち、3人を迎え撃った。
「金色しかできない時点でセンスないのよ」
エルーゼが真っ当な正論を言いながら光刃を打ち下ろす。それは非物理の刃でありながらガーザムの剣を欠けさせるほどに重い一撃だ。
さらにアリスが鎌と化したイザナギの覚悟を足元に滑り込ませ、その足を狩る。それもまた圧倒的な筋力から来る速さでなぎ払われ、ガーザムに深手を負わせた。
さらに竪穴という狭い場所を利用して跳弾を放ち、華澄も二人の邪魔にならぬようガーザムに銃弾を浴びせていく。
「よし、決めな」
その攻めでぐらついたガーザムに、ラーズグリーズは後方から極大の魔力を放つ。かつてジェイクが時間をかけて作り上げた巨大な魔力砲……それにも匹敵する大技が一瞬で練り上げ放たれ、ガーザムの安い剣のメッキをはぎながら、本体にも大きなダメージを与えた。
この魔力がラーズグリーズの、何よりも雄弁な自己紹介であった。
大成功
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無銘・サカガミ
金、金、金…そんなに輝かせても、それだけじゃ何の意味も持たんだろうに。
あんたもそう思うだろう、えっと…ミロナ、だったか?
武具に必要なのは敵を倒せるだけの力。見たくれや名前に依るものではないだろう。
取り出すのは俺がよく使う武器。錆び、刃こぼれした刀だとしても、斬れるのであれば問題ない。
【呪詛】を込め、一時的に業物の妖刀と化させた、麗しさとは対極に位置するような刀でガーザムに斬りかかる。
…これで、分かってくれるか?わかってくれたなら…その力を貸して欲しい。
その耐久力を以てあえて敵の攻撃を受け止め、ガラ空きの身体にありったけの【呪詛】をブチ込む。
輝く「金」を呪いで「黒」に染め上げてやろう。
「金、金、金……そんなに輝かせても、それだけじゃ何の意味も持たんだろうに。あんたもそう思うだろう、えっと……ミロナ、だったか?」
無銘・サカガミ(「神」に抗うもの・f02636)は呆れたように言うと、ミロナに対して同意を求める。ここまでの戦いで残留思念ながらかなり意識が明確になってきているミロナは、腕を組んで深く頷いた。
「武具に必要なのは敵を倒せるだけの力。見てくれや名前に依るものではないだろう」
「戦いが終われば武具なんてただの飾り物さ。飾るなら派手な方がいいに決まってるだろう」
敵の方とは語るだけ無駄か、そう思いながらサカガミは自身愛用の武器を取り出す。
それは錆び、刃こぼれしたボロボロのものだが、切れるのであれば問題はない。
サカガミはその刀に呪詛を込め、業物の妖刀へと変じさせる。それは禍々しく、だがそれ故に力を感じさせる、役に立たない華美な装飾とは対極に位置する剣であった。
それを構えサカガミはガーザムに切りかかる。ガーザムは自らの持つ鈍色の剣でその攻撃を受け止めるが、それは妖刀と化したサカガミの剣にあっさりと両断された。
「……これで、分かってくれるか? わかってくれたなら……その力を貸して欲しい」
「おう!」
サカガミの言葉に、ミロナはもう一度深く頷く。言葉だけでなく装備と行動で示した、それがとりわけ強く彼の心を揺さぶったのだろう。
ミロナの力がサカガミに宿り、その体に無限とも思える耐久力をみなぎらせていく。ガーザムはそれを見て軽く舌打ちした後、別の剣を取り出しそこに金の薬剤を塗りたくった。
「やってることは僕と同じな気がするんだけどね。金かそうじゃないかの違いだけじゃないか」
そう言いながら、金を塗られた剣でガーザムはサカガミに切りかかる。サカガミはそれを、避けることなくその身で受けた。破壊力の強化されたそれは普通ならば猟兵でも大きなダメージは免れ得ない一撃であったが、勇者の力による超耐久を得た体にとってそれは虫に刺されたようなものであった。
それだけではない。何かを塗布して武器を強化する、という点で見れば確かにサカガミが見せたものとガーザムの金塗りは同じだが、その本質はまるで違う。攻撃のための武器に威力を増すため呪詛を込めそれで戦う、武器としての本領を高めるためにあるサカガミの技に対し、ガーザムはまずは金塗れありき、それは武器の本懐を無視した冒涜的行為である。そんな武器への理解のない者の一撃が、有効打足り得るはずはなかった。
「俺の呪いは文字通り『八百万』……お前程度に、推し量れると思うな!」
大ぶりを受け止められガラ空きになった身体に、サカガミのありったけの呪詛が叩き込まれた。
妖刀のその一撃は敵の体深く打ち込まれ、そこから呪いが注ぎ込まれる。その呪いはガーザムを侵し、輝く『金』の体を呪いで『黒』に染め上げた。
自らの金の体毛が黒く染まりゆくことにうろたえ、体を掻きむしるガーザム。
研ぎ澄まされた黒き呪いが、上っ面だけの金を内外から塗りつぶしていった。
大成功
🔵🔵🔵
シャルロッテ・ヴェイロン
(勇者の亡霊に対し)まぁ、見た目が派手なのを極度に嫌うっていう、その気持ちはわかりますよ。
例えばほら、期間限定アバターをこれ見よがしに見せびらかして「俺このフルセットをそろえるのにこれだけ金かけたんだぜ」とかほざいてるやつ、たまにいますよね?
――それはさておき。
超耐久力を付与してもらったうえで、レギオンを最大量召喚して攻撃させましょう(【先制攻撃・2回攻撃・一斉発射・乱れ撃ち・制圧射撃・鎧無視攻撃】)。
――さて、この魂晶石とかいうの、言われたほどの価値があるんでしょうか?一回UDCアースの宝石店で価値を調べてもらいましょうか(ぇ)。
※アドリブ・連携歓迎
初志・貫鉄
即興共闘歓迎
英雄の力を借りるたぁ、畏れ多い事だぜ
英雄に黙祷を捧げ、同時に覇気を限界突破するまで練り上げる
遺品を借り受けると断ってから、奇跡的に残っていた褌に手を伸ばす
これぞ、漢の魂をさらに強くする奇跡の一品に違いない!
自前の褌と入れ替え、ギュッと尻に締め込んだ瞬間に漲る力(錯覚)
練り上げた覇気が英雄の力と共振して、超筋力が身体に宿る(錯覚その2)
覇気も、通常よりも眩く可視光となって放たれ、その色は黄金色
「これがっ!俺のっ!金色だぁ!!」
後は超筋力と練り上げたオーラを武器に、褌男が戦場に立つ
褌翻し地を駆ける、拳にUCを乗せ振るう
文字通りの当たれば一撃必殺を体現してやるぜっ!
魂晶石はお持ち帰り
初志・貫鉄(拳食合一のゴッドハンド・f26667)はしばし古の英雄に黙祷を捧げる。その姿は静かで厳かでありながら、その内ではこれからの戦いに備えて己の覇気を限界を超えて練り上げていた。
「英雄の力を借りるたぁ、畏れ多い事だぜ」
「なに、いいってことさ」
顔を上げた貫鉄は、ミロナの残留思念に向かってそう言う。ミロナもワイルドな風貌を持つ貫鉄にシンパシーを感じるところがあるのだろう。貫鉄に拳を突き合わせ協力の意思を早々に示す。
「まぁ、見た目が派手なのを極度に嫌うっていう、その気持ちはわかりますよ」
シャルロッテ・ヴェイロン(お嬢様ゲーマーAliceCV・f22917)も華美な装飾を嫌うミロナに賛同する。
「例えばほら、期間限定アバターをこれ見よがしに見せびらかして「俺このフルセットをそろえるのにこれだけ金かけたんだぜ」とかほざいてるやつ、たまにいますよね?」
「あー……よくわかんねぇけど、実力もないのに金で高い装備買って見せびらかすやつのことか? 確かにそう言うやつはいけ好かないな」
シャルロッテの説明はもちろんミロナに理解できるものではなかったが、当たらずとも遠からずな推測を立て、ミロナも彼女に同意した。
「そう言うやつがいるってことは需要があるってことだろ? だから僕の仕事はなくならないのさ!」
ガーザムはそう言ってまたも勇者の遺品に塗料ゴールデンエイジコンダクター61をかけ、今度は蛇のような魔獣へと変化させる。
「それじゃミロナさん、ちょっとその耐久力をお借りしますよ」
そう言ってシャルロッテは【エレクトロレギオン】を発動、335体の小型の機械が群れを成し、魔獣へと挑みかかっていく。
「おお! たくさん呼び出すタイプの召喚魔法か!」
厳密には違うのだが、これまで他の猟兵が行った召喚は皆強いのを一体というタイプだったため、そう見えたのだろう。だが、魔獣も黙ってやられてはいない。その長い体でレギオンたちをなぎ払った。数が多い代わりに一撃で消滅するエレクトロレギオンにとって、こういった広範囲をなぎ払う技は天的ともいえる。だが。
「ほい、げっとー」
レギオンたちはその一撃を耐え、一斉に魔獣へと群がった。ミロナはシャルロッテを召喚士の類だと思った結果、召喚されたレギオンに対し超耐久が付与されたのだ。
レギオンは魔獣を平らげ、そのままガーザムへと向かう。
それを見て貫鉄もまた、覇気を解放すべく構えを取った。
「俺も負けてられねぇな。勇者よ、遺品を借り受けるぜ!」
「ああ、使ってくれ!」
この逞しい男が手に取るのは金棒か、鎧か……否、どちらでもない。それは奇跡的に残っていた褌(2枚目)であった。
「これぞ、漢の魂をさらに強くする奇跡の一品に違いない!」
そう宣言して自分の褌路入れ替える貫鉄。
自前の褌と入れ替え、ギュッと尻に締め込んだ瞬間に漲る力(錯覚)
練り上げた覇気が英雄の力と共振して、超筋力が身体に宿る(錯覚その2)
覇気も、通常よりも眩く可視光となって放たれ、その色は黄金色。
「これがっ! 俺のっ! 金色だぁ!!」
それは上っ面だけの紛い物ではない、体の内より湧き上がる価値ある金色。その湧出元がどこかは言うまでもなかろう。
「今の勇者の流行りなのか……」
そう思いながらも、この男が信頼に足るのは間違いないとミロナは貫鉄にその筋力を分け与える。
勇者の力をその身に宿し、褌男が敵に向かって駆ける。その威容は姿だけでガーザムを怯ませ、その瞬間に残っているエレクトロレギオンたちが足を狙って完全に体勢を崩させた。
「これが俺の、勇者の一撃必殺だ!」
ぐらついてがら空きになった鳩尾に、一撃必殺の正拳が炸裂した。それは筋力と体重、さらに覇気までも余すところなく乗り、ガーザムをはるか後方まで吹き飛ばした。
「よっし! 流石は勇者の奇跡と俺の拳!」
褌を撒いた腰をぱぁんと叩いてそう宣言し、貫鉄は魂晶石を拾い上げる。
「おう、持っていきな。それも冒険の醍醐味だからな」
ミロナも勝者が報酬を得るのは当然と考えているのか、その姿に笑みを見せる。
「さて、この魂晶石とかいうの、言われたほどの価値があるんでしょうか? 一回UDCアースの宝石店で価値を調べてもらいましょうか」
シャルロッテはそう言うが、UDCアースで魔力の結晶に正確に値をつけられるのか……彼女が損するか得するかは、まだ分からない。
大成功
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ルキ・マーシトロン
アドリブ・絡み歓迎
(SPD使用)
なるほど君が件の勇者の霊というわけだね。
自らの遺品が下品なコーティングに施されては、憤懣遣る方無いといった所だろう。
どうだね、その怒りを自分の拳で相手にぶつけてみないかい?
僕が君の肉体を用意しよう。君はそれに憑依して、思う存分暴れてくれたまえ。
なに、肉体が壊れてもスペアはたくさんあるよ、遠慮しないでやっておくれ。
【行動】
ユーベルコード『死霊の王国』でゾンビを何体でも呼び出し、ミロナに憑依させて暴れさせます。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
それでは、頑張ってみましょうかぁ。
こういう方でしたら『自分と似た戦い方』を見せれば、協力してくれるでしょうかぁ?
【遍界招】を使用、[怪力]を更に強化する『腕輪』と『巨大鎚』の『祭器』を召喚、此方で戦いますねぇ。
召喚された手下は『巨大鎚』を横薙ぎに大きく振り回しての[範囲攻撃]に[2回攻撃]を重ね、纏めて吹き飛ばしましょうかぁ。
『鎚』が塗料を浴びても『再召喚』で戻せますので、私自身が浴びて動けなくならなければ大丈夫ですぅ。
力を借りられれば、此処に更に『ミロナさんのパワー』を加算出来ることになりますので、相当な破壊力が出せるでしょう。
ガーザムさんも纏めて殴り飛ばしますねぇ。
「それでは、頑張ってみましょうかぁ」
既に大きくダメージを負ったガーザムだが、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はそれを見逃すことなく、即座に戦闘に入る。
「大いなる豊饒の女神、その鴻大なる知と力を持つ『祭器』を此処にお与え下さい」
【豊乳女神の加護・遍界招】を発動。様々な祭器を呼び出せる技だが、今回呼び出したのは怪力を与える腕輪と、振り回すための巨大鎚。
新たな敵の出現にガーザムは何度目かの手下召喚を行うが、るこるはそれを待っていた、とばかりに鎚を担ぎ上げる。
「せーの!」
がきーん! と小気味よい音と共に、手下は吹き飛ばされ、竪穴の壁に激突した。その柔和な外見に見合わぬ剛力は、近くで見ていたミロナの残留思念を驚かせる。
「大したもんだな……そんな腕で」
「私のは加護の力ですからぁ。良ければ一手、ご指南願えますかぁ?」
るこるの言葉に、ミロナは拳を突合せ応える。途端、るこるの腕に普段の加護とは違う別の力がみなぎった。
「さぁ、どんどんいきますよぉ」
塗料の付いた槌を交換し、再び敵へ向かっていくるこる。それを見守るミロナの横にもう一人の猟兵が現れた。
「なるほど君が件の勇者の霊というわけだね」
小柄な青肌のルキ・マーシトロン(🧟♂️・f24589)は、興味深げに残留思念となったミロナを見ながら言う。
「自らの遺品が下品なコーティングに施されては、憤懣遣る方無いといった所だろう。どうだね、その怒りを自分の拳で相手にぶつけてみないかい?」
ルキは試すようにミロナに言うが、当のミロナは困惑した表情だ。
「そりゃそうしたいのは山々だが……俺はもう死んじまってるんだ。それくらい分かってるさ」
「僕が君の肉体を用意しよう。君はそれに憑依して、思う存分暴れてくれたまえ」
そう言ってルキが指を鳴らすと、後方からずるずると一体のゾンビが現れる。ミロナの生前の姿に少しでも近づけるためか、それは矮躯で筋骨隆々の男性のゾンビだ。
「うおっ!? なんだ、お前さん……ネクロマンサーってやつか?」
「お気に召さなかったかね?」
「いや、ただ冒険者側にいるのが珍しいってだけさ。能力に善悪はねえよ。筋肉だって悪いことに使えば悪さ。もしかしたらあの野郎のも……な」
そう言ってミロナはちらりとガーザムを見る。どのようにやるかは思い浮かばないが、彼の力ももしかしたら正しく使う道があったのかもしれない。しかしそれは今言って意味のあることではないことも、ミロナはよくわかっていた。
「よし、じゃあ使ってくれ……いや使わせてくれか。とにかく頼むぜネクロマンサーさんよ!」
「ま、厳密には違うのだが……なに、肉体が壊れてもスペアはたくさんあるよ、遠慮しないでやっておくれ」
そう言われ、ミロナはゾンビへと憑依。命ないその肉体に偽りの命を宿し、勇者ミロナはここに仮初の復活を果たした。
ミロナは汚されかけていた自らの武器と防具を拾い上げると、大股でガーザムの元へと近づいていく。
途中、ガーザムが慌てて金の魔獣を召喚しけしかけるが、それをたったの一振りで跳ね飛ばし、一歩も歩みを止めることなる進撃していく。
「おう、手伝うぜ!」
「ミロナさん、ですかぁ? ちょっとイメチェンなさいましたねぇ」
のんびり言うるこるに笑顔を返し、ミロナはガーザムへ向けて金棒を振り上げる。
それに合わせ、るこるも鎚を振り上げた。
「何年越しだか数えてもいねぇが、“圧砕野郎”のアンコールショットだ、有難く取っときな!」
「私もいっちゃいますよぉ!」
「その肉体は僕が用意したものだということはお忘れなく」
新旧勇者のアベックホームランが、ガーザムを天高く勝ちあげるのであった。
大成功
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シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
「わかってない!キミは全然お宝の価値がわかってないよ!」
開口一番、ガーザムに言い放つ
「お宝の価値はそれが辿ってきたドラマにあるんだよっ!それを安易に塗り替えるのはお宝に対する冒涜でしかない!」
そして今度はミロナさんに呼びかける
「だからお願い!あなたのドラマを守るための力をボクたちに貸して!」
【エクストリームミッション】でバイクが変形したパワードスーツを装着、お宝に対する情熱とミロナさんの助力でパワーアップ!
【ロープワーク】で手下たちをまとめて縛り上げてそれをハンマー代わりに振り回してガーザムに叩きつけるよっ!
やっつけたら魂晶石をゲット!
ミロナさんの遺品は塗料を拭いてから元に戻す
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
うわ、趣味悪っ!
なんでもかんでも金に塗ればいいってもんじゃないだろ?
お前絶対料理の下味お構いなしに調味料かけまくるタイプだろ!
そんな訳で、シャーリーと一緒にミロナの誇りと遺志を守るために金ピカ野郎に立ち向かう。
「あんたも力を貸してくれ、ミロナ。武具に刻まれた戦いの歴史が穢されるのは忍びないから」
敵が手下を召喚したら【飢龍炎牙】で迎撃し一か所に纏める事でシャーリーが捕縛しやすいようにする。
そして【物を隠す】でその炎に紛れてガーザムに接近、【武器落とし】で手にした金の塗料を叩き落して奴の注意を逸らし、シャーリーの必殺の一撃の隙を作る。
敵を倒したら汚された彼の遺品を元通りにしないとな。
「わかってない! キミは全然お宝の価値がわかってないよ!」
シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)が開口一番、ガーザムに言い放つ。
「お宝の価値はそれが辿ってきたドラマにあるんだよっ! それを安易に塗り替えるのはお宝に対する冒涜でしかない!」
宇宙海賊として、宝を求めるロマンは分かる。しかしそれはただ高価だから宝を欲しがっているのではない。探す過程やその宝の謂れ、元は誰が、どのように使ってきたかという来歴。それら全てを含めて、価値ある宝と言えるのだ。それをすべて無視して金色に塗りたくるガーザムの行いは、彼女にとって許しがたいものでしかない。
「うわ、趣味悪っ! なんでもかんでも金に塗ればいいってもんじゃないだろ? お前絶対料理の下味お構いなしに調味料かけまくるタイプだろ!」
ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)もまた、ガーザムの行いを否定する。
一つの味が好きだからと言って、全てをその調味料濡れにするのは料理に対しての冒涜だ。それと同じように、遺物や名品をそれが何かに関わらず、ただ金色に塗りたくる。それはその物に込められた時間や歴史を踏みにじること。シャーリーと同じく、ウィーリィにもこれは到底許せるものではなかった。
「さあ? 食事なんていらなくなって大分たつからね、覚えてないよ。さあ、こいつらで最後さ。止めてごらん!」
馬鹿にしたように言いながら、ガーザムは何度目かの手下召喚を行う。二人は油断なく構えながら、ミロナの方を見て声を上げた。
「あんたも力を貸してくれ、ミロナ。武具に刻まれた戦いの歴史が穢されるのは忍びないから」
「お願い! あなたのドラマを守るための力をボクたちに貸して!」
二人同時の声に、ミロナは笑顔で答える。ここまで多くの猟兵たちが自分の為に戦ってくれた、この二人もまたそうだ。戦いの終わりも近い、残った力を全てこの二人にくれてやろう。
ミロナはそう思い、残留思念としてあった力をありったけ二人に注ぎ込んだ。
「来た来た、これは凄いぜ! さあ喰らい尽くせ、炎の顎!」
ウィーリィは大鍋と巨大包丁をいつも以上に軽々と振り回す。その軌跡をなぞるように炎が舞い、それは龍の形となって手下たちを取り巻いた。普段より胴が太く翼が大きいのは、アックス&ウィザーズの勇者の力が入っているからだろうか。ともあれ、炎の龍は手下たちを締めあげるようにとぐろを巻いていき、その行動を縛っていく。
「よーし、ボクにも来たぁ! 史上最大の凶暴すぎる竜巻、戦う覚悟はある?」
シャーリーもまた、バイクをパワードスーツに変形させてその身に纏う。スーツの強化以上に腕力がみなぎっているのが分かり、宝への情熱と勇者の力で全身が熱くなるほどに滾っていた。
シャーリーはそのまま火炎に巻かれた手下の群れへ突っ込んだ。その手には頑丈なロープが握られている。
素早く正確に、そして絶対にほどけないほどに固く、シャーリーは手下たちを縛り上げる。そのまま体を回転させ、一塊の鉄球でもあるかのように手下たちを軽々と宙に舞わせた。
「くそ、この馬鹿力め……金色でもないくせに!」
この上なお金色にこだわるガーザムだが、そこに手下を取り巻いていた赤……炎の龍が迫る。
「くそっ、来るな!」
ガーザムは手に持った剣を払いその龍を払おうとする。だが、それを防ぐよう竜のアギトから鉄色の牙が飛び出した。龍に隠れ近寄っていたウィーリィが、武器を叩き落とす重い一撃を放ったのだ。ミロナの剛力を乗せた振り下ろしは、ガーザムの剣をやすやすとひん曲げて叩き落とす。
「よし、今だ!」
「オッケー、決めちゃうよ!」
手下をぶんぶんと振り回していたシャーリーが、ハンマーの如くそれをガーザムへと叩きつける。その重さと遠心力を加えた一撃がガーザムを叩きつぶした。
「くそ……こんな……汚らしい色に……!」
最後まで金色ではないものを否定しながら、ガーザムは骸の海へと消えていった。
「やったー! お宝はこうやって手に入れなくちゃね!」
シャーリーは勝利を喜びながら、魂晶石を拾い上げる。ウィーリィも笑顔を浮かべ彼女とハイタッチだ。
「おっと、こいつも洗っとかないとな」
そう言いながらウィーリィはミロナの遺品である武具を持ち上げる。そこには猟兵が来る前に塗られたものや、戦いの余波で飛び散った金の塗料が付着し、その本来の姿を失わせていた。
二人は持ってきた道具で武具を洗う。しばらくして、そこには派手さなど一片もないが、持ち主と共に戦ってきた歴史がにじみ出るような武骨な装備が姿を現した。
「ありがとうよ。そこまでやってくれて。お前さんたち、お似合いのコンビネーションだったぜ!」
そう言いながらミロナは二人の肩をバンバンと叩く。物理的な力はないが、気分の問題だろう。二人は顔を見合わせて照れ笑いするのであった。
「さてと、そろそろ時間みたいだな」
戦いが終わり、ミロナの姿が薄くなっていく。ヴァルギリオスは未だ健在だが、彼はもう心配などしていないのだろう。
「最期にいいものを見せてもらったぜ。お前さんたちなら俺や他の奴らができなかったことができる。世界は任せたぞ。現代の勇者たちよ!」
“圧砕野郎”ミロナは伝説の向こうへ消え、後には彼の歴史を語る武骨な装備だけが残された。新しい伝説はお前たちが作っていけ、そうとでも言うかのように。
大成功
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